JP2012042439A - 閉鎖系光回路の光信号増幅装置、吸光分析装置、および光メモリ装置 - Google Patents
閉鎖系光回路の光信号増幅装置、吸光分析装置、および光メモリ装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】信号強度の減衰が少なく安定した光信号が得られる閉鎖系光回路の信号光増幅装置を提供する。
【解決手段】閉鎖系光回路或いは光周回回路として機能する環状光ファイバ14に介挿され、それを周回する増幅光のスペクトルのうち第1波長λ1を含まない波長域の一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rを変化させ得る波長可変フィルタ22を有し、その波長可変フィルタ22による上記増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rを変化させることにより、前記閉鎖系光回路内を伝播する増幅光のスペクトル内のうちの発振波長域Hを変更する発振域制御装置26を、含むことから、波長可変フィルタ22による増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rを変化させることにより、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域Hを第1波長λ1に近接させることができるので、減衰の少ない強い第1波長の信号光LSが安定して得られる。
【選択図】図1
【解決手段】閉鎖系光回路或いは光周回回路として機能する環状光ファイバ14に介挿され、それを周回する増幅光のスペクトルのうち第1波長λ1を含まない波長域の一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rを変化させ得る波長可変フィルタ22を有し、その波長可変フィルタ22による上記増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rを変化させることにより、前記閉鎖系光回路内を伝播する増幅光のスペクトル内のうちの発振波長域Hを変更する発振域制御装置26を、含むことから、波長可変フィルタ22による増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rを変化させることにより、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域Hを第1波長λ1に近接させることができるので、減衰の少ない強い第1波長の信号光LSが安定して得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、閉鎖系に構成された光伝播経路内を繰り返し伝播する光を増幅して繰り返し数或いは繰り返し時間を長くすることができる閉鎖系光回路の信号光増幅装置に関するものである。
特許文献1および特許文献2に示されているように、光透過性を有する物質の吸光特性を利用して試料を分析する装置として、所謂キャビティリングダウン法を用いた吸光分析装置や、光信号を所定時間記憶させる光メモリなどには、光源から入力された第1波長の光が閉じられた光伝播経路内で繰り返し伝播させられる閉鎖系光回路が用いられる。たとえば、環状の光伝播経路に沿って光が周回的に伝播させられる光周回回路や、線状の光伝播経路に沿って光が往復的に伝播させられる光往復回路がそれである。このような閉鎖系光回路内において、パルス状レーザ光である入力光が繰り返し伝播させられた結果、その閉鎖系光回路内の伝播光の一部(十分の1乃至百分の1程度)が外部へ順次取り出される信号光は、時間経過に伴って強度が減衰するとともに、その減衰波形にノイズが混入してS/N比が低いという問題があった。このため、たとえば吸光分析装置では、パルス状レーザ光である入力信号の入力当初から上記信号光が1/eの光強度まで減衰するまでの時間であるリングダウンタイムが短く、しかも正確に得られないし、或いは、減衰率も同様に正確に得られないので、測定精度が十分に得られなかった。また、たとえば光メモリでは、記憶時間が十分に得られなかった。
これに対して、本発明者は、上記閉鎖系光回路から順次取り出される光信号の減衰やS/N比の低下を解消することを意図して、光増幅器を上記閉鎖系光回路内に介挿することで、その閉鎖系光回路内で繰り返し伝播する光を繰り返し増幅させることを着想し、そのように構成した閉鎖系光回路の信号光増幅装置を試作した。このような信号光増幅装置では、光増幅器を用いて閉鎖系光回路内で繰り返し伝播する光のゲインを高めようとすると、パルス状レーザ光である第1波長の入力光の波長とその波長に隣接する周囲波長の周囲光(自然光)とを含む相対的に幅広のスペクトル(波長帯)を有する大きなゲインの増幅光が閉鎖系光回路内で発生させられるので、その一部を閉鎖系光回路から外部へ取り出した増幅光から第1波長の光を通過させる波長選択器を通して第1波長の信号光すなわち出力光を得るように構成される。
しかしながら、上記のように閉鎖系光回路内に光増幅器を設けて上記信号光の減衰を少なくしてそのS/N比を高めようとすると、閉鎖系光回路内で繰り返し伝播する増幅光のスペクトルのうち最大ゲイン部分が発振し、その発振部分では極端に強弱を有する不安定な光となるので、閉鎖系光回路から取り出されて波長選択された第1波長の信号光はそのゲインは大きいかも知れないが、そのS/N比が十分に改善されず、安定した信号光が得られないという問題があった。このため、吸光分析装置では、測定が不安定となって測定精度が損なわれるという問題があり、光メモリでは、光信号が不安定となって記憶時間が十分に得られないという問題があった。
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、信号強度の減衰が少なく安定した光信号が得られる閉鎖系光回路の信号光増幅装置を提供することにある。
本発明者は以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、光増幅器が介挿された閉鎖系光回路内において繰り返し伝播する光のスペクトルのうちの一部を局部的にカットし又はスペクトル全体を減衰させると、その光のスペクトルの発振が比較的局所的となって信号のベースラインが低下するとともに、そのカット又は抑制部分の波長域を移動させ又は減衰量を変化させると、上記増幅光のスペクトルの発振部分が移動する現象を見いだした。また、そのような現象を利用して、上記増幅光のスペクトルのうちの第1波長の信号光に近接して発振部分を移動させると、減衰が少なく且つ強い信号光が安定して得られるという事実を見いだした。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
すなわち、請求項1に係る発明の要旨とするところは、(a)光源からの第1波長の光が入力されて閉鎖された光伝播経路内で繰り返し伝播させられる閉鎖系光回路と、該閉鎖系光回路に介挿され、前記第1波長の光を増幅して該第1波長の光および該第1波長に隣接する波長帯を有する周囲光を含む増幅光とするとともに、該増幅光のスペクトルの一部を発振させる光増幅器と、前記閉鎖系光回路から出力される前記増幅光の一部から前記第1波長の信号光を選択する波長選択器とを備え、該波長選択器により選択された該第1波長の信号光を周期的に出力する閉鎖系光回路の信号光増幅装置であって、(b)前記閉鎖系光回路内で前記光増幅器により増幅された前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を変更可能な発振域制御素子を有し、該発振域制御素子を用いて該増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を前記第1波長から所定範囲内の位置に設定する発振域設定装置を、含むことにある。
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、請求項1に係る発明において、(c)前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路に介挿されて前記増幅光のスペクトルのうち前記第1波長を含まない波長域の一部の通過を抑制する通過波長抑制域を変化させ得る波長可変フィルタを有し、該波長可変フィルタによる前記増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域を変化させることにより、前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を前記第1波長に隣接する位置に設定するものである。
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項1または2に係る発明において、(d)前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路に介挿されて前記増幅光のゲインを変化させ得る可変減衰器を有し、該可変減衰器による前記増幅光のゲインを変化させることにより、前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を前記第1波長に隣接する位置に設定するものであることにある。
また、請求項4に係る発明の要旨とするところは、請求項2に係る発明において、(e)前記発振域設定装置は、前記周期的に出力される信号光の数または出力時間に基づいて前記波長可変フィルタの通過波長抑制域を手動操作又は自動操作にしたがって設定される通過波長抑制域操作器を、有することにある。
また、請求項5に係る発明の要旨とするところは、請求項3に係る発明において、(f)前記発振域設定装置は、前記周期的に出力される信号光の数または出力時間に基づいて前記可変減衰器の減衰率を手動操作又は自動操作に従って設定する減衰率操作器を、有することにある。
また、請求項6に係る発明の要旨とするところは、1乃至5のいずれか1の発明において、(g)前記閉鎖系光回路は、前記増幅光が環状の光伝播経路に沿って繰り返し周回させられる光周回回路であり、(h)前記光増幅器および前記発振域制御素子は、該光周回回路に介挿されていることにある。
また、請求項7に係る発明の要旨とするところは、1乃至5のいずれか1の発明において、(i)前記閉鎖系光回路は、前記増幅光が線状の光伝播経路に沿って繰り返し往復させられる光往復回路であり、(j)前記光増幅器および前記発振域制御素子は、該光往復回路に介挿されていることにある。
また、請求項8に係る発明の吸光分析装置の要旨とするところは、(k)請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置と、(l)被測定試料を保持して前記閉鎖系光回路に介挿され、該被測定試料を通して該閉鎖系光回路内で繰り返し伝播させる試料保持器とを、含み、(m)前記第1波長の光の入力に応答して前記閉鎖系光回路から周期的に出力される前記信号光の減少特性に基づいて該試料保持器に保持された被測定試料の成分を分析することにある。
また、請求項9に係る発明の光メモリ装置の要旨とするところは、(n)請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置を、含み、(o)前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路から周期的に出力される信号光の大きさが飽和し且つ該信号光の数が可及的に多くなるように前記発振域制御素子により前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を設定して、該信号光を周期的に出力させるものであることにある。
また、請求項10に係る発明の吸光分析装置の要旨とするところは、(p)請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置と、被測定試料を保持して前記閉鎖系光回路に介挿され、該被測定試料を通して該閉鎖系光回路内で繰り返し伝播させる試料保持器とを、含み、経時的に減衰する前記信号光を前記第1波長の光の入力に応答して前記閉鎖系光回路から周期的に出力するキャビティリングダウン装置と、(q)請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置を、含み、前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路から周期的に出力される信号光の大きさが飽和し且つ該信号光の数が可及的に多くなるように前記発振域制御素子により前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を設定して、該信号光を所定期間持続させる光メモリ装置と、(r)前記キャビティリングダウン装置から周期的に出力される信号光が制御光として入力されるとともに、前記光メモリ装置から周期的に出力される信号光が入力光として該キャビティリングダウン装置からの信号光と同期して入力され、該制御光を該入力光で変調した出力光を出力する3端子光増幅器とを、含むことにある。
請求項1に係る発明の閉鎖系光回路の信号光増幅装置によれば、(b)前記閉鎖系光回路内で前記光増幅器により増幅された前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を変更可能な発振域制御素子を有し、該発振域制御素子を用いて該増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を前記第1波長から所定範囲内の位置に設定する発振域設定装置を、含むことから、その発振域制御素子による前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域の変更により、その増幅光のスペクトルのうちの発振波長域を第1波長に近接させることができるので、減衰の少ない強い第1波長の信号光が安定して得られるようになる。
また、請求項2に係る発明の閉鎖系光回路の信号光増幅装置によれば、(c)前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路に介挿されて前記増幅光のスペクトルのうち前記第1波長を含まない波長域の一部の通過を抑制する通過波長抑制域を変化させ得る波長可変フィルタを有し、該波長可変フィルタによる前記増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域を変化させることにより、前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を前記第1波長に隣接する位置に設定するものであることから、その波長可変フィルタによって前記増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域を変化させることにより、その増幅光のスペクトルのうちの発振波長域を第1波長に近接させることができるので、減衰の少ない強い第1波長の信号光が安定して得られるようになる。
また、請求項3に係る発明の閉鎖系光回路の信号光増幅装置によれば、(d)前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路に介挿されて前記増幅光のゲインを変化させ得る可変減衰器を有し、該可変減衰器による前記増幅光のゲインを変化させることにより、前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を前記第1波長に隣接する位置に設定するものであることから、その可変減衰器によって前記増幅光のゲインを変化させることにより、その増幅光のスペクトルのうちの発振波長域を第1波長に近接させることができるので、減衰の少ない強い第1波長の信号光が安定して得られるようになる。
また、請求項4に係る発明の閉鎖系光回路の信号光増幅装置によれば、(e)前記発振域設定装置は、前記周期的に出力される信号光の数または出力時間に基づいて前記波長可変フィルタの通過波長抑制域を手動操作又は自動操作にしたがって設定される通過波長抑制域操作器を、有することから、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域を第1波長に近接させるように、手動操作又は自動操作にしたがってその通過波長抑制域操作器により波長可変フィルタの通過波長抑制域が設定されることにより、減衰の少ない強い第1波長の信号光が安定して得られるようになる。
また、請求項5に係る発明の閉鎖系光回路の信号光増幅装置によれば、(f)前記発振域設定装置は、前記周期的に出力される信号光の数または出力時間に基づいて前記可変減衰器の減衰率を手動操作又は自動操作に従って設定する減衰率操作器を、有することから、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域を第1波長に近接させるように、手動操作又は自動操作にしたがってその減衰率操作器により前記可変減衰器の減衰率が設定されることにより、減衰の少ない強い第1波長の信号光が安定して得られるようになる。
また、請求項6に係る発明の閉鎖系光回路の信号光増幅装置によれば、(g)前記閉鎖系光回路は、前記増幅光が環状の光伝播経路に沿って繰り返し周回させられる光周回回路であり、(h)前記光増幅器および前記発振域制御素子は、該光周回回路に介挿されていることから、第1波長の入力光およびその増幅光が繰り返し周回させられる光周回回路において、前記波長可変フィルタによる前記増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域を変化させることにより、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域を第1波長に近接させることができるので、減衰の少ない強い第1波長の信号光が安定して得られるようになる。
また、請求項7に係る発明の閉鎖系光回路の信号光増幅装置によれば、(i)前記閉鎖系光回路は、前記増幅光が線状の光伝播経路に沿って繰り返し往復させられる光往復回路であり、(j)前記光増幅器および前記発振域制御素子は、該光往復回路に介挿されていることから、第1波長の入力光およびその増幅光が繰り返し往復させられる光往復回路において、前記波長可変フィルタによる前記増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域を変化させることにより、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域を第1波長に近接させることができるので、減衰の少ない強い第1波長の信号光が安定して得られるようになる。
また、請求項8に係る発明の吸光分析装置によれば、(k)請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置と、(l)被測定試料を保持して前記閉鎖系光回路に介挿され、該被測定試料を通して該閉鎖系光回路内で繰り返し伝播させる試料保持器とを、含み、(m)前記第1波長の光の入力に応答して前記閉鎖系光回路から周期的に出力される前記信号光の減少特性に基づいて該試料保持器に保持された被測定試料の成分を分析することから、安定した試料の吸光特性或いはそれに基づく成分の測定が得られ、吸光分析の測定精度が高められる。
また、請求項9に係る発明の光メモリ装置によれば、(n)請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置を、含み、(o)前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路から周期的に出力される信号光の大きさが飽和し且つ該信号光の数が可及的に多くなるように前記発振域制御素子により前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を設定して、該信号光を周期的に出力させるものであることから、安定した信号光が比較的長時間記憶される。
また、請求項10に係る発明の吸光分析装置によれば、(p)請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置と、被測定試料を保持して前記閉鎖系光回路に介挿され、該被測定試料を通して該閉鎖系光回路内で繰り返し伝播させる試料保持器とを、含み、経時的に減衰する前記信号光を前記第1波長の光の入力に応答して前記閉鎖系光回路から周期的に出力するキャビティリングダウン装置と、(q)請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置を、含み、前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路から周期的に出力される信号光の大きさが飽和し且つ該信号光の数が可及的に多くなるように前記発振域制御素子により前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を設定して、該信号光を所定期間持続させる光メモリ装置と、(r)前記キャビティリングダウン装置から周期的に出力される信号光が制御光として入力されるとともに、前記光メモリ装置から周期的に出力される信号光が入力光として該キャビティリングダウン装置からの信号光と同期して入力され、該制御光を該入力光で変調した出力光を出力する3端子光増幅器とを、含むことから、3端子光増幅器ではキャビティリングダウン装置からの信号光が入力したときには光メモリ装置からの入力光によって強められた信号光が出力光として出力され、信号光が入力しないときには前記3端子光増幅器の増幅ゲインが低くされ出力光の大きさが一層小さくされるので、出力光の信号ベースラインが一層低下して高い変調度すなわち高S/N比の出力光が得られる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。尚、以下の説明に用いる図面において各部の寸法比等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の吸光分析装置10の構成の要部を示す略図である。図1において、吸光分析装置10は、所定波長たとえば1512nmの第1波長λ1を有するパルス状レーザ光Lを出力するレーザ光源12と、レーザ光源12から入力された第1波長λ1の入力光を周回させることによって繰り返し伝播させる環状の閉鎖系光回路(光周回回路)として機能する環状光ファイバ14と、入力ファイバ13および出力ファイバ15とその環状光ファイバ14に設けられ、レーザ光源12と環状光ファイバ14との間を光学的に結合してそのレーザ光源12から出力される第1波長λ1の入力光を環状光ファイバ14内に入力し、且つ環状光ファイバ14と出力ファイバ15との間を光学的に結合してその環状光ファイバ14内を周回して繰り返し伝播する増幅光の一部を取り出す光カプラ18と、上記環状光ファイバ14内に介挿され、その環状光ファイバ14内の周回光を増幅する光増幅器20と、上記環状光ファイバ14内に介挿された波長可変フィルタ22およびその通過波長抑制域(カット波長帯)を移動させる通過波長抑制域手動操作器24を有して、環状光ファイバ14内を周回する光増幅器20により増幅された増幅光のスペクトルのうちの一部の波長域を抑制して、その増幅光のスペクトルの発振波長域Hを第1波長λ1から所定範囲内の位置に設定する発振域制御装置26と、上記光カプラ18により環状光ファイバ14から取り出された増幅光のスペクトルのうち第1波長λ1付近たとえば1512nm±6.5nmの信号光LSを抽出する波長選択フィルタ28と、波長選択フィルタ28により抽出された第1波長λ1の信号光LSをアッテネータ(信号減衰器)30を通して検出する、ホトダイオード、ホトトランジスタなどの半導体ホトセルから成る信号検出装置として機能する光検出器32と、ガス、液体などの試料34を保持或いは収容した状態で環状光ファイバ14の環状の光伝播経路に介在させられ、その試料34を通して第1波長λ1の光を繰り返し伝播させる容器状の試料保持装置36と、マイクロコンピュータなどから構成され、光検出器32により検出された第1波長λ1の信号(出力)光LSの減衰波形の減衰状態を示すリングダウンタイムτ或いは減衰率kを算出し、そのリングダウンタイムτ或いは減衰率kに基づいて試料34の数密度n或いは吸光率Δkを算出する電子制御装置38と、その電子制御装置38において算出された減衰曲線、吸光率Δk、分析結果などを表示する表示装置40とを備えている。
上記の吸光分析装置10は、閉鎖系光回路の信号光増幅装置42を備えるものである。その閉鎖系光回路の信号光増幅装置42は、閉鎖系光回路として機能する環状光ファイバ14と、その環状光ファイバ14に介挿されてその環状光ファイバ14内の周回光を増幅する光増幅器20と、波長可変フィルタ22およびその通過波長抑制域(カット波長帯)を移動させる通過波長抑制域手動操作器24を有して上記環状光ファイバ14内に介挿され、環状光ファイバ14内を周回する光増幅器20により増幅された増幅光のスペクトルのうちの一部の波長域を抑制する発振域制御装置26と、その環状光ファイバ14から出力される増幅光の一部から第1波長λ1の信号光(出力光)LSを選択する波長選択器として機能する波長選択フィルタ28とを、有し、第1波長λ1の入力光およびその増幅光を周回させつつ、その一部を外部へ導出する波長選択フィルタ28により選択された第1波長λ1の信号光LSを出力するように構成されている。
上記レーザ光源12は、たとえば、直流電源12a と、たとえばAlGaAs系やInGaAsP系の化合物半導体が基板上にエピタキシャル成長させられることにより一対の反射層の間に発光層が介在した状態で構成されたレーザダイオードであって、その直流電源12a から供給される駆動電流に従って一定波長λ1のレーザ光を出力するレーザダイオード12b と、そのレーザダイオード12b へ直流電源12a から供給される駆動電流を開閉するための、トランジスタ、FETなどの半導体スイッチング素子から成るドライバ12c と、そのドライバ12c を所定の周波数で開閉するための開閉制御信号を出力するパルスジェネレータ12d とを備え、たとえば1512nmの第1波長λ1を有し、20乃至40ns程度のパルス幅を有する単発のパルス状レーザ光L、或いは、所定周波数たとえば27乃至98kHzの周波数を有するパルス状レーザ光Lを出力する。
光カプラ18は、たとえば光ファイバのコアが相互に並行状態で溶着されることにより構成されたものであり、入力ファイバ13を介して伝播するパルス状の第1波長λ1の単色光を環状光ファイバ14内へ取り込むため、および、環状光ファイバ14内を周回して繰り返し伝播する増幅光の一部を取り出すためのたとえば取込み時の結合係数5:5および取出し時の結合係数9:1をそれぞれ備えている。この光カプラ18は、2分割形式に構成されていてもよいし、ハーフミラーなどの他の形式の光取入装置或いは取出装置に替えられ得る。
上記環状光ファイバ14は、図1に示すように、光ファイバを1回または複数回環状に周回させることにより構成されているが、複数のミラーから構成されもよいし、PLDCなどの導波路から構成されてもよい。この環状の光ファイバにより、パルス状レーザ光から成る入力光或いはその増幅光を同じ経路で繰り返し伝播させる環状の閉鎖系伝播経路が構成されている。上記光増幅器20、波長可変フィルタ22、および試料収容装置36は、その環状の光ファイバに直列に接続されている。
上記光増幅器20は、量子井戸、歪超格子、量子ドットから構成された活性層(PN接合層)を有する1段或いは2段の半導体光増幅器SOAや、希土類元素たとえばエルビウムがドープされた1段或いは2段の光ファイバアンプなどから構成される。この光増幅器20では、第1波長λ1の入力光が入力されると、その第1波長λ1の光と、その第1波長λ1に隣接する波長帯を有する周囲光(自然光)とを含み、第1波長λ1を含む波長帯であってその第1波長λ1付近のゲインが大きいスペクトルを有する増幅光が出力される。その増幅光は、発振域制御装置26が設けられない場合は、たとえば図4に示すように、第1波長λ1を中心とした幅広い帯域の強度分布を有し、その分布の中央部では発振波長域Hが形成されている。
図5は、上記光増幅器20が半導体光増幅器SOAとして機能するチップ状の半導体素子から構成された場合の構成例を示している。光増幅器20は、化合物半導体たとえばインジウム燐InPから構成される半導体基板20aと、その上にエピタキシャル成長させられたIII-V 族混晶半導体から成り、ホトリソグラフィーにより所定幅に形成された相対的に屈折率の高い多層膜から成る光導波路20bと、その光導波路20b内の多層膜の一部を構成するpn接合であって、バルク、多重量子井戸、歪み超格子、量子ドットのいずれかから構成されたpn接合層である活性層20cと、光導波路20bの上面に固着された上部電極20eと、半導体基板20aの下面に固着された下部電極20fとを、備えている。上部電極20eと下部電極20fとの間に注入電流が流される状態では、所定の第1波長λ1の入力光が入射されて上記光導波路20b内を伝播させられる過程で活性層20cを通過させられるとき、誘導放射作用による光増幅を受け、出力される。同時に、所謂相互利得変調作用により、第1波長λ1を中心とするその第1波長λ1以外の周囲波長帯を有する周囲光(自然発生光)を含む図4に示す増幅光が発生させられて出力される。上記上部電極20eと下部電極20fとの間には、230mA程度の注入電流(励起電流)が付与される。
上記活性層20cが多重井戸から構成される場合は、たとえば、半導体基板20aからエピタキシャル成長させられることにより格子整合された100nm程度の6対のInGaAsおよびInGaPにより構成され、その活性層20cの上には、組成(屈折率)が段階的に変化させられたグリン(GRIN)構造のガイド層(2000Å)が順次設けられる。この活性層20cのデバイス長は、たとえば600μm程度である。
前記アッテネータ(信号減衰器)30は、波長選択フィルタ28により選択させた第1波長λ1の信号光LSの大きさを、光検出器32の検出ゲインに応じて調整するためのものであるため、必ずしも設けられていなくてもよいが、たとえば10dB程度の減衰となるように設定されている。
試料収容装置36は、たとえば図6に示すように、試料34を収容した状態で環状光ファイバ14に直列に介在させられる遮光性の容器36aと、その容器36a内の試料34を挟んで端面が対向する一対の光ファイバ(環状光ファイバ14の端部)36bと、それら光ファイバ36bの端面近傍に配設された一対のコリメータレンズ37とを備えている。これにより、環状光ファイバ14内において容器36a内に保持された試料34を通してパルス状レーザ光である入力光が繰り返し通過させられるようになっている。なお、上記試料34には、構成元素、不純物、物質の濃度などの解析のためにそれを含むガス、液体、透光性の固体が用いられる。また、上記一対の光ファイバ36bの端面を球面状にそれぞれ加工することにより上記一対のコリメータレンズ37を省略することができる。
上記波長可変フィルタ22は、所定幅たとえば6乃至10nm程度の波長帯の通過波長抑制域の信号をカット(遮断)或いはゲインを低下させるノッチフィルタであると同時に、その波長帯を移動させることができるように構成されている。波長可変フィルタ22は、たとえば、増幅光を通過させる回折格子と、その回折の光軸に対する角度を通過波長抑制域手動操作器24或いは電子制御装置38からの指令信号に従って作動する電動機により変更操作されるマイクロメータとを備えることで、その回折格子を通過する光のうちの所定波長域の光を除去すると同時にその波長域を移動させるように構成される。また、波長可変フィルタ22は、音波発生素子から供給される超音波に従ってその周波数に対応する定在波に基づく密度差で回折格子を二次元導波路内に構成する超音波格子と、通過波長抑制域手動操作器24により駆動されるポテンショメータなどからの出力電圧、或いは電子制御装置38からの指令信号に従って電圧を出力するD/A変換器付電圧発生装置から出力される電圧に従ってその超音波発生素子に供給される駆動信号の周波数を変更する駆動回路とを備え、その超音波回折格子の格子定数を上記周波数にしたがって変更することで、その回折格子を通過する光のうちの所定波長域の光を除去すると同時にその波長域を移動させるように構成される。さらに、波長可変フィルタ22は、たとえば、内部にネマティック液晶が充填されたエタロンと、そのエタロン内に設けられた液晶に電圧を印加する電極と、通過波長抑制域手動操作器24により駆動されるポテンショメータなどからの出力電圧、或いは電子制御装置38からの指令信号に従って電圧を出力するD/A変換器付電圧発生装置とを備え、その電極に上記出力電圧を付与して液晶の実質的屈折率を変化させることで、その液晶を通過する光のうちの所定波長域の光を除去すると同時にその波長域を移動させるように構成される。
電子制御装置38は、所謂マイクロコンピュータから構成されており、予め記憶されたプログラムに従って光検出器32により検出された出力光、すなわち波長選択フィルタ28を通過した第1波長λ1の信号光LSを演算処理し、リングダウン分光法を用いて試料34の成分等を特定する。すなわち、電子制御装置38は、試料34を試料収容装置36内に未だ収容しないときにパルス状レーザ光である入力光が取り込まれたときに光検出器32から順次得られるパルス群(列)の大きさの減衰波形を算出するとともに、その減衰波形からそのリングダウンタイムτ0を予め求め、次いで、試料34を試料収容装置36内に未だ収容しないときにパルス状レーザ光Lである入力光が取り込まれたときに光検出器32から得られるパルス群(列)の減衰波形を算出するとともに、その減衰波形からそのリングダウンタイムτを算出し、たとえば(4)式に示す予め記憶された関係から実際のそれらリングダウンタイムτ0およびτに基づいて試料34の数密度nを算出して試料34を特定する。
本実施例に用いられる分光分析測定の原理および上記(4)式の導出方法を以下に説明する。環状光ファイバ14において周回させられるパルス状のレーザ光である入力光およびその増幅光の一部は、周回する毎に光カプラ18から所定の割合たとえば1/10乃至1/100の取出割合で順次取り出されるので、パルス状レーザ光である入力光が取り込まれる毎にたとえば図2に示すように上記順次取り出された信号光LSすなわちパルス群(列)の減衰波形すなわちリングダウン波形が時系列的に観測される。この波形は、時間経過に伴って減衰し、その減衰率は、周回させられるパルス状である入力光およびその増幅光が透過する試料34の物質状態に応じて変化する。上記波形は、その初期値の強度をI0とすると、次式(1)の時間関数I(t)で表わされるものである。
I(t)=I0exp−(1/τ0)t ・・・(1)
ここで、(1/τ0)は減衰率である。τ0は強度が1/eとなるまでの時間すなわち時定数であり、基準リングダウンタイムとも称される。第1光カプラ18における光の取出割合をR、光速をc、キャビティ長(周回長)をLとすると、τ0は次式(2)で示される。
τ0=L/c(1−R) ・・・(2)
次いで、試料をある吸光物質としたときのリングダウンタイムτ、その試料の物質の吸収断面積をσ、物質の数密度をnとすると、(1)式は(3)式に書き換えられる。(2)式から(4)式が得られる。
I(t)=I0exp−(t/τ0−σnct) ・・・(3)
n=1/σc(1/τ−1/τ0) ・・・(4)
これにより、吸収断面積σが既知である水等の媒質の振動回転遷移を対象とし、τ0とτとを測定で求めることにより、(4)式を用いて物質の数密度nを算出することができる。
I(t)=I0exp−(1/τ0)t ・・・(1)
ここで、(1/τ0)は減衰率である。τ0は強度が1/eとなるまでの時間すなわち時定数であり、基準リングダウンタイムとも称される。第1光カプラ18における光の取出割合をR、光速をc、キャビティ長(周回長)をLとすると、τ0は次式(2)で示される。
τ0=L/c(1−R) ・・・(2)
次いで、試料をある吸光物質としたときのリングダウンタイムτ、その試料の物質の吸収断面積をσ、物質の数密度をnとすると、(1)式は(3)式に書き換えられる。(2)式から(4)式が得られる。
I(t)=I0exp−(t/τ0−σnct) ・・・(3)
n=1/σc(1/τ−1/τ0) ・・・(4)
これにより、吸収断面積σが既知である水等の媒質の振動回転遷移を対象とし、τ0とτとを測定で求めることにより、(4)式を用いて物質の数密度nを算出することができる。
吸光分析装置10では、光検出器32によって順次検出された信号光LSの強度(パワー)は図2の実線に示すような減衰波形が表示装置40に表示される。図2の曲線はτを求めるための減衰曲線の近似曲線である。また、演算制御装置38は、その実線で示される減衰曲線の初期値時点とその初期値の1/eとなる時点との間の時間を計測することでリングダウンタイムτを測定し、(4)式からリングダウンタイムτに基づいて試料34の数密度nを算出し、又は、たとえば図3の直線に示す予め記憶された関係から傾き指数β(=1/τ)に基づいて試料34の圧力(すなわち密度或いは濃度)を算出し、表示装置40に表示させる。
ここで、本実施例の吸光分析装置10では、一定条件の予備測定により表示装置40に予め表示された周期的に出力される信号光LSの数に基づいて、波長可変フィルタ22の通過波長抑制域Rが通過波長抑制域手動操作器24の手動操作にしたがって設定される発振域制御装置26が設けられており、その表示装置40に表示される所定以上の大きさの信号光LSの数或いは所定以上の大きさの信号光LSの表示時間が長くなるように、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域が第1波長に近接するように、通過波長抑制域手動操作器24の手動操作にしたがって波長可変フィルタ22の通過波長抑制域Rが予め設定(移動)されており、減衰の少ない高強度の第1波長λ1の信号光LSが安定して得られるようになっている。
図7乃至図9、図10乃至図12、図13乃至図15は、環状光ファイバ14を周回する増幅光のスペクトルのうち第1波長よりも大きい波長帯の一部が波長可変フィルタ22によって1560乃至1568nm程度の波長帯の波長通過抑制域Rについてゲインが低下させられたとき、上記波長可変フィルタ22の通過波長抑制域の設定(移動)値に対応して変化する、光検出器32により検出された第1波長λ1の信号光LSの経時的変化を示すリングダウン観測波形、光周回路の増幅光のスペクトル、および、波長選択フィルタ28を通過した波形を、それぞれ示している。図7乃至図9、図10乃至図12、図13乃至図15は、波長可変フィルタ22による波長通過抑制域(カット波長帯)Rの位置が短波長側(左側)に順次ずらされた場合のものである。図8、図11、図14の増幅光のスペクトルのうちの第1波長λ1よりも大きい波長の帯域においてノッチ状に凹んだ部分は、波長可変フィルタ22によって1560乃至1568nm程度の波長帯の一部の波長通過抑制域Rのゲインが−65dB程度まで大幅に低下させられた部分を示している。この図8、図11、図14からは上記波長通過抑制域Rのずらし量は0.5乃至1.5nm程度の小さなものであり、図8の波長通過抑制域Rの位置を第1位置、図11の波長通過抑制域Rの位置を第2位置、図14の波長通過抑制域Rの位置を第3位置とすると、第3位置は相対的に短波長側(第1波長側)に位置し、第1位置は相対的に長波長側に位置し、第2位置は第1位置と第3位置との中間に位置している。
上記図8、図11、図14の増幅光のスペクトルは、図4に示す増幅光に比較して、発振域制御装置26によるスペクトルの一部の波長通過抑制域Rのカット(遮断)が行われることによって発振波長域Hが局所的に小さくされると同時に発振波長域H以外の部分とのゲインの差が大きくされるとともに、スペクトル全体の幅が小さくされている。
図8、図11、図14から明らかなように、増幅光のスペクトルのうちの波長可変フィルタ22による1560乃至1568nmの波長帯の通過波長抑制域Rを短波長側へ移動させるほど、増幅光のスペクトルのうちのギザギザで示される発振波長域Hが第1波長λ1側(短波長側)へ接近させられるとともに、図9、図12、図15に示されるようにその増幅光のスペクトルから波長選択フィルタ28により抽出される第1波長の信号光LSのゲインが大きく得られ、また、図7、図10、図13に示されるように観測される信号光LSのうちの所定以上の大きさの信号光LSが個数が多く得られ且つその所定以上の大きさの信号光LSが得られる持続時間が長くされている。本実施例の吸光分析装置10では、図13乃至図15に示される波形が得られるように、換言すれば、増幅光のスペクトルのうちのギザギザで示される発振波長域Hが第1波長λ1を含まない範囲でその第1波長λ1に可及的に接近するように、波長可変フィルタ22の通過波長抑制域Rの位置およびゲインが設定されている。
上述のように、本実施例の吸光分析装置10によれば、閉鎖系光回路或いは光周回回路として機能する環状光ファイバ14に介挿され、それを周回する増幅光のスペクトルのうち第1波長λ1を含まない波長域の一部の通過を抑制する通過波長抑制域を変化させ得る波長可変フィルタ22を有し、その波長可変フィルタ22による上記増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rを変化させることにより、閉鎖系光回路内を伝播する増幅光のスペクトル内のうちの発振波長域Hを変更する発振域制御装置26を、含むことから、波長可変フィルタ22による増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rを変化させることにより、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域を第1波長λ1に近接させることができるので、減衰の少ない強い第1波長λ1の信号光LSが安定して得られる。
また、本実施例の吸光分析装置10によれば、第1波長λ1の入力光の入力に応答して波長選択器として機能する波長選択フィルタ28から周期的に出力される信号光LSの経時的変化を表示する表示装置40を含み、発振域制御装置26は、その表示装置40に表示された周期的に出力される信号光LSの数に基づいて波長可変フィルタ22の通過波長抑制域Rを手動操作にしたがって設定する通過波長抑制域手動操作器24を、有することから、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域Hが第1波長λ1に近接し且つ第1波長λ1を含まないように、手動操作にしたがって波長可変フィルタ22の通過波長抑制域Rが設定されることにより、減衰の少ない高強度の第1波長λ1の信号光LSが安定して得られるようになる。
また、本実施例の吸光分析装置10によれば、閉鎖系光回路に対応する環状光ファイバ14は、増幅光が環状の光伝播経路に沿って繰り返し周回させられる光周回回路であり、前記光増幅器20および波長可変フィルタ22は、その光周回回路に介挿されていることから、第1波長λ1の入力光およびその増幅光が繰り返し周回させられる光周回回路において、波長可変フィルタ22による増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rを変化させることにより、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域Hを第1波長λ1を含まない範囲でその第1波長λ1に近接させられているので、減衰の少ない強い第1波長λ1の信号光LSが安定して得られるようになる。
また、本実施例の吸光分析装置10によれば、試料34を保持して閉鎖系光回路に対応する環状光ファイバ14に介挿され、その試料34を通してその環状光ファイバ14内で繰り返し伝播させる試料収容装置36とを、含み、第1波長λ1の光の入力に応答して環状光ファイバ14から周期的に出力される信号光LSの減少特性に基づいて試料収容装置36に保持された試料34の成分を分析することから、試料34の安定した吸光特性の測定或いはそれに基づく成分の測定が正確に得られ、吸光分析の測定精度が高められる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図16の吸光分析装置50は、実施例1(図1)の吸光分析装置10と比較して、閉鎖系光回路が増幅光を線状の光伝播経路に沿って繰り返し往復させる光往復回路である点、光増幅器20および波長可変フィルタ22がその光往復回路に介挿されている点で、相違するが、その他の構成は同様である。上記の光往復回路は、たとえば一端にミラー52を備え、他端にミラー付半導体光増幅器54とを備える有端光ファイバ56により形成される。ミラー付半導体光増幅器54は、実施例1の光増幅器20が半導体光増幅器SOAから構成された場合のものと同様に構成されている。本実施例において、閉鎖系光回路の信号光増幅装置42は、実施例1のものに比較して、環状光ファイバ14により形成された光周回回路が、有端光ファイバ56により形成された光往復回路である点で相違するが、他は同様に構成されている。
本実施例では、レーザ光源12から出力された第1波長λ1の光は光カプラ18により有端光ファイバ56により構成された光往復回路に取り込まれ、そこで、ミラー付半導体光増幅器54により第1波長λ1の光から増幅された増幅光がより繰り返し伝播させられることで一部発振させられるとともに、波長可変フィルタ22によってその増幅光のスペクトルのうち第1波長λ1とは異なる部分の一部が通過波長抑制域Rのゲインが抑制される。そして、その光往復回路内を繰り返し伝播する増幅光が光カプラ18により取り出され、波長選択フィルタ28によって第1波長λ1の信号光LSが抽出される。このため、前述の実施例1と同様に、第1波長λ1の入力光およびその増幅光が繰り返し往復させられる光往復回路において、波長可変フィルタ22による増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rが変化させられることにより、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域Hを第1波長λ1に近接させることができるので、減衰の少ない強い第1波長λ1の信号光LSが安定して得られるようになる。
図17の吸光分析装置60は、実施例1の吸光分析装置10と比較して、波長可変フィルタ22による増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域Rを変化させることにより、閉鎖系光回路内を周回して伝播する増幅光のスペクトル内のうちの発振波長域を変更する発振域制御装置26は、波長可変フィルタ22の通過波長抑制域Rを手動操作にしたがって設定する通過波長抑制域手動操作器24に替えて、電子制御装置38からの指令信号に従って回折格子の角度を変更操作さするためのマイクロメータを駆動する電動機62を備える点で、相違する。本実施例の電子制御装置38は、波長可変フィルタ22の通過波長抑制域Rのゲインを、たとえば表示装置40に表示された周期的に出力される信号光LSの数に基づいてそれら信号光LSの数を可及的に多くするように予め設定する。これにより、たとえば図13乃至図15に示される波形が得られ、増幅光のスペクトルのうちのギザギザで示される発振波長域Hが第1波長λ1を含まない範囲でその第1波長λ1に接近させられる。
本実施例の吸光分析装置60によれば、第1波長λ1の入力光の入力に応答して波長選択フィルタ28から周期的に出力される信号光LSの経時的変化を検出する光検出器32を含み、発振域制御装置26は、その光検出器32により検出された、周期的に出力される信号光LSの数に基づいて波長可変フィルタ22の通過波長抑制域Rを自動的に設定する電動機(通過波長抑制域自動制御器)62を、有することから、周回する増幅光のスペクトルのうちの発振波長域Hが第1波長λ1に可及的に近接するように、電子制御装置38から指令される電動機62の自動制御操作にしたがって波長可変フィルタ22の通過波長抑制域Rが設定されることにより、減衰の少ない高強度の第1波長λ1の信号光LSが安定して得られる。すなわち、本実施例の吸光分析装置60によれば、前述の実施例1の吸光分析装置10と同様に波長可変フィルタ22の通過波長抑制域Rのゲインが、電子制御装置38によって増幅光のスペクトルのうちのギザギザで示される発振波長域Hが第1波長λ1を含まない範囲でその第1波長λ1に可及的に接近させられるように、すなわち表示装置40に表示される所定以上の大きさの信号光LSの数或いは所定以上の大きさの信号光LSの表示時間が長くなるように自動的に設定されるので、その実施例1の吸光分析装置10と同様の効果が得られる。
図18は、光メモリ装置70を示している。この光メモリ装置70は、閉鎖系光回路が増幅光を環状の光伝播経路に沿って繰り返し周回させる光周回回路を環状光ファイバ14で構成した図1に示す吸光分析装置10と、閉鎖系光回路が増幅光を線状の光伝播経路に沿って繰り返し往復させる光往復回路を、一対のミラー52および54とそれらの間に設けられた有端光ファイバ56とにより形成した図16に示す吸光分析装置50と、同様に構成されるが、閉鎖系光回路に試料収容装置36が設けられていない点、および、閉鎖系光回路に介挿された波長可変フィルタ22の設定が異なる点で、相違している。
図18の光メモリ装置70は、試料収容装置36が設けられていない点以外は、図1に示す吸光分析装置10と同様の構成を備えている。この光メモリ装置70の波長可変フィルタ22では、その通過波長抑制域Rの信号のゲインが、増幅光のスペクトルのうちのギザギザで示される発振波長域Hが第1波長λ1を含まない範囲でその第1波長λ1に接近させられるように設定され、減衰の少ない強い第1波長λ1の信号光LSが安定して得られるようになっている。同時に、アッテネータ30による減衰を最小限とし、および/または、光検出器32の感度を高めることにより、図19に示すように、表示装置40にて観測される信号光LSの大きさが可及的に飽和するように設定されている。
本実施例の光メモリ装置70によれば、図19に示すように、信号光LSの大きさが飽和する期間すなわち信号記憶期間MTが得られるので、その信号記憶期間MTの間は、信号光LSが記憶されていつでも読み出すことができる。また、本実施例によれば、前述と同様に、波長可変フィルタ22において周回する増幅光のスペクトルの一部の波長抑制域のゲインが閉鎖系光回路から周期的に出力される信号光LSの大きさが飽和し且つその信号光LSの数が可及的に多くなるように設定されることから、減衰の少ない強い第1波長λ1の信号光LSが安定して得られるので、上記信号記憶期間MTが比較的長時間となるとともに、その期間MT内において安定した信号光LSが比較的長時間記憶される利点がある。
次に、閉鎖系光回路において、波長可変フィルタ22に替えて可変減衰器82を適用する場合の実施例を以下に説明する。この可変減衰器82は、波長可変フィルタ22と同様に、光周回回路および光往復回路のいずれの閉鎖系光回路にも、また、吸光分析装置および光メモリ装置のいずれにも適用できるが、以下において、吸光分析装置の光往復回路に適用した場合について説明する。
図20の吸光分析装置80は、実施例2(図16)の吸光分析装置50と比較して、増幅光を線状の光伝播経路に沿って繰り返し往復させる光往復回路に設けられた波長可変フィルタ22を有する発振域制御装置26に替えて、可変減衰器82およびその可変減衰器82の減衰率を変化させる減衰率操作器84を有する発振域制御装置86が設けられている点で、相違するが、その他の構成は同様である。また、本実施例において、閉鎖系光回路の信号光増幅装置42は、実施例1のものに比較して、環状光ファイバ14により形成された光周回回路が、有端光ファイバ56により形成された光往復回路である点、および、発振域制御装置26に替えて、可変減衰器82およびその可変減衰器82の減衰率を変化させる減衰率操作器84を有する発振域制御装置86が設けられている点で相違するが、他は同様に構成されている。
上記可変減衰器82としては、光量減衰レベルに分布を有する光学フィルタと支持装置によって移動可能に支持されたその光学フィルタの位置を移動させることにより、位置固定の通過位置を通過する通過光に与える減衰を変化させるように構成された機械式のものや、導波路中に形成された対称型マッハツェンダ−干渉回路の2本のアームの一方に加熱ヒータ又は電磁石を設け、熱光学効果又は磁気光学効果を利用して位相制御することで通過光に減衰を与える非機械式のものが知られている。上記減衰率操作器84は、可変減衰器82が機械式である場合は、光学フィルタを移動させるために手動操作されるダイヤル操作器或いは電子制御装置38からの指令に従って光学フィルタを駆動する電動機から構成される。また、減衰率操作器84は、可変減衰器82が非機械式である場合は、加熱ヒータ又は電磁石に制御電流を供給する電源回路の出力電流を制御するために手動操作されるダイヤル操作器或いは電子制御装置38からの指令に従って電流を制御する駆動回路から構成される。上記可変減衰器82の減衰量の設定は、前述の波長可変フィルタ22と同様に、増幅光のスペクトルのうちのギザギザで示される発振波長域Hが第1波長λ1を含まない範囲でその第1波長λ1に可及的に接近するように行われる。
本実施例では、レーザ光源12から出力された第1波長λ1の光は光カプラ18により有端光ファイバ56により構成された光往復回路に取り込まれ、そこで、ミラー付半導体光増幅器54により第1波長λ1の光から増幅された増幅光がより繰り返し伝播させられることで一部発振させられるとともに、その増幅光のスペクトルの全体のゲインが可変減衰器82によって変更される。そして、その光往復回路内を繰り返し伝播する増幅光が光カプラ18により取り出され、波長選択フィルタ28によって第1波長λ1の信号光LSが抽出される。第1波長λ1の入力光およびその増幅光が繰り返し往復させられる光往復回路において、可変減衰器82による増幅光のスペクトルの全体のゲインが抑制されることにより、増幅光のスペクトルのうちの発振波長域Hを第1波長λ1に近接させることができるので、前述の実施例と同様に、減衰の少ない強い第1波長λ1の信号光LSが安定して得られるようになる。
図21は、上記光往復回路内に設けられた可変減衰器82の設定によりその減衰がない状態とされた場合における、その光往復回路内を繰り返し伝播する増幅光のスペクトルを示す図である。図22は、上記光往復回路内に設けられた可変減衰器82の設定により3.3dBの減衰状態とした場合のその光往復回路内を繰り返し伝播する増幅光のスペクトルを示す図である。両者を比較すると明らかなように、可変減衰器82によって増幅光のスペクトルに3.3dBの減衰を付与すると、発振波長域Hが第1波長λ1側(短波長側)にずらされているので、図1の実施例1等と同様に、減衰の少ない強い第1波長λ1の信号光LSが安定して得られ、試料34の安定した吸光特性の測定或いはそれに基づく成分の測定が正確に得られ、吸光分析の測定精度が高められる。
さらに、閉鎖系光回路において、波長可変フィルタ22に加えて可変減衰器82を適用する場合の実施例を以下に説明する。このような波長可変フィルタ22および可変減衰器82を共に閉鎖系光回路に設ける場合も、光周回回路および光往復回路のいずれの閉鎖系光回路にも、また、吸光分析装置および光メモリ装置のいずれにも適用できるが、以下において、吸光分析装置の光周回回路に適用した場合について説明する。
図23の吸光分析装置90は、図1の実施例1の吸光分析装置10と比較して、増幅光を線状の光伝播経路に沿って繰り返し周回させる環状光ファイバ14に、波長可変フィルタ22を有する発振域制御装置26だけでなく、可変減衰器82およびその可変減衰器82の減衰率を変化させる減衰率操作器84を有する発振域制御装置86が設けられている点で、相違するが、その他の構成は同様である。また、本実施例において、閉鎖系光回路の信号光増幅装置42は、実施例1のものに比較して、波長可変フィルタ22を有する発振域制御装置26に加えて、可変減衰器82およびその可変減衰器82の減衰率を変化させる減衰率操作器84を有する発振域制御装置86が設けられている点で相違するが、他は同様に構成されている。
本実施例の吸光分析装置90によれば、前述の吸光分析装置10と同様の効果が得られるのに加えて、表示装置40に表示される所定以上の大きさの信号光LSの数或いは所定以上の大きさの信号光LSの表示時間が長くなるように、波長選択フィルタ22および可変減衰器82を設定操作することによって、増幅光のスペクトルの発振波長域Hを可及的に第1波長λ1に接近させられるので、設定操作が容易となる利点がある。すなわち、波長選択フィルタ22の操作では、その通過波長抑制域Rの位置を0.5乃至1.5nm程度のオーダで僅かに移動させることが求められる微妙なものであるが、可変減衰器82では、その減衰量を変化させる操作は容易であるため、両者の操作を組み合わせることで、設定操作が容易となる。
さらにまた、図24の吸光分析装置100は、(a)共通のレーザ光源12と、(b)図1、16、17、20、或いは23の吸光分析装置10、50、60、80、或いは90に含まれる信号光増幅装置42と試料34を保持して閉鎖系光回路に介挿され、その試料34を通してその閉鎖系光回路内で繰り返し伝播させる試料収容装置36とを、含み、経時的に減衰する信号光LSを第1波長λ1の光の入力に応答して周期的に出力するキャビティリングダウン装置102と、(c)発振域設定装置26が、閉鎖系光回路から周期的に出力される信号光LSの大きさが飽和し且つその信号光LSの数が可及的に多くなるように発振域制御素子(波長可変フィルタ22或いは可変減衰器82)により増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域Hを設定して、信号光LSを所定期間持続させる図18の光メモリ装置70と、(d)光メモリ装置70から周期的に出力される第1波長λ1の信号光LSが第1入力光Linとして入力されるとともに、キャビティリングダウン装置102から周期的に出力される第1波長λ1の信号光LSが制御光Lc として光メモリ装置70からの第1入力光Linと同期して入力され、その制御光Lc をその第1入力光Linで変調した出力光を出力する3端子光増幅器104とを備えている。
上記3端子光増幅器104は、たとえば図25に示すものであり、負帰還増幅することにより、上記制御光Lc と同じ波長を有し、且つその第1入力光Linの第1周囲光Ls1により強度変調された出力光Lout を出力する。3端子光増幅器104は、光ファイバ132を介して第1波長λ1 のパルス状の第1入力光Linとして入力されると、その第1入力光Linの強度Iinに応じてその第1波長λ1以外の光すなわち第1波長λ1の第1周囲光Ls1の光強度増幅特性が変調され、その第1入力光Linを増幅した光とその第1入力光Linの強度Iinに対して強度反転したその第1波長λ1以外の光すなわち第1周囲光Ls1とを出力する第1半導体光増幅素子140と、この第1半導体光増幅素子140から出力される光を受けてその光のうちの第1波長λ1以外の光すなわち第1周囲光Ls1を反射により分離するとともに、その第1周囲光Ls1を光ファイバ131を介して第2波長λ2の第2入力光である制御光Lc と合波して第2半導体光増幅素子142へ出力する波長選択素子である第3光ファイバグレーティングデバイスFGD3と、その第3光ファイバグレーティングデバイスFGD3からの周囲光Ls1および第2波長λ2の第2入力光である制御光Lc の合波光が入力されると、相互利得変調により制御光Lc を第1入力光Linの周囲光Ls1により変調し且つ増幅した出力光Lout とその制御光Lc の強度Ic に対して強度反転したその第2波長λ2以外の光すなわち第2周囲光Ls2とを出力する第2半導体光増幅素子142と、光ファイバ139に設けられ、その第2半導体光増幅素子142からの光が導入されると、その光のうちの制御光Lc が増幅された第1波長λ1の出力光Lout を透過させるが、その光のうちの第1波長λ1以外の光すなわち第2周囲光Ls2を反射する第2光ファイバグレーティング部146を有し、その反射光を上記第2半導体光増幅素子142へ再入力させるための出力用光ファイバである第2光ファイバグレーティングデバイスFGD2とを、備えた負帰還増幅型3端子光信号増幅器(光トライオード)である。
なお、第2波長λ2および第1波長λ1は相互にその周囲光の波長帯に含まれる波長であるか、或いは、第2波長λ2および第1波長λ1は同一波長である。たとえば、第1波長λ1が1551nmであるとき、第2波長λ2は第1周囲光Ls1の波長帯に含まれる波長、或いは同じ波長1551nmに設定される。制御光Lc の第2波長λ2が1551nmであれば、出力光Lout の波長は1551nmとなる。上記第1半導体光増幅素子140および第2半導体光増幅素子142は、たとえば図5に示すチップ状の素子から互いに同様に構成されている。
以上のように構成された吸光分析装置100では、図26に示されるように、光メモリ装置70のパルス列が第1入力光Linとして3端子光増幅器104に入力されると、相互利得変調によって第1半導体光増幅素子140からは位相反転した第1周囲光Ls1が出力されて第2半導体光増幅素子142に入力されてその利得がそれに応じたタイミングで高められる。この第2半導体光増幅素子142からは第1周囲光Ls1の集光の一部である位相反転した第1波長λ1の光が発生すると同時に、その第2半導体光増幅素子142に入力された制御光Lc が増幅されて、それらの相乗効果により高い強度の第1波長λ1の出力光Lout が出力される。この出力光Lout は、上記キャビティリングダウン装置102からのから周期的に出力される第1波長λ1の信号光LSよりも高S/N比で低雑音であるため、測定精度が一層高められる。
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例では、信号光増幅装置42が吸光分析装置10、50、60、80、90および光メモリ装置70に適用された場合について説明されていたが、他の用途にも適用することができる。
また、前述の実施例の信号光増幅装置42において、閉鎖系光回路として、環状光ファイバ14が構成する光周回回路、および有端光ファイバ56が構成する光往復回路が用いられていたが、それら光周回回路および光往復回路は、ミラーなどの光学素子から空間内に環状或いは直線状に形成されたものであってもよい。
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10、50、60、80、90、100:吸光分析装置
12:レーザ光源
14:環状光ファイバ(光周回回路、閉鎖系光回路)
18:光カプラ
20:光増幅器
22:波長可変フィルタ(発振域制御素子)
24:通過波長抑制域手動操作器(通過波長抑制域操作器)
26:発振域制御装置(発振域設定装置)
28:波長選択フィルタ(波長選択器)
32:光検出器(信号検出装置)
34:試料(被測定試料)
36:試料収容装置(試料保持器)
38:演算制御装置
40:表示装置(信号表示装置)
42:信号光増幅装置
56:有端光ファイバ(光往復回路、閉鎖系光回路)
62:電動機(通過波長抑制域操作器)
70:光メモリ装置
82:可変減衰器(発振域制御素子)
84:減衰率操作器
86:発振域制御装置(発振域設定装置)
102:キャビティリングダウン装置
104:3端子光増幅器
12:レーザ光源
14:環状光ファイバ(光周回回路、閉鎖系光回路)
18:光カプラ
20:光増幅器
22:波長可変フィルタ(発振域制御素子)
24:通過波長抑制域手動操作器(通過波長抑制域操作器)
26:発振域制御装置(発振域設定装置)
28:波長選択フィルタ(波長選択器)
32:光検出器(信号検出装置)
34:試料(被測定試料)
36:試料収容装置(試料保持器)
38:演算制御装置
40:表示装置(信号表示装置)
42:信号光増幅装置
56:有端光ファイバ(光往復回路、閉鎖系光回路)
62:電動機(通過波長抑制域操作器)
70:光メモリ装置
82:可変減衰器(発振域制御素子)
84:減衰率操作器
86:発振域制御装置(発振域設定装置)
102:キャビティリングダウン装置
104:3端子光増幅器
Claims (10)
- 光源からの第1波長の光が入力されて閉鎖された光伝播経路内で繰り返し伝播させられる閉鎖系光回路と、該閉鎖系光回路に介挿され、前記第1波長の光を増幅して該第1波長の光および該第1波長に隣接する波長帯を有する周囲光を含む増幅光とするとともに、該増幅光のスペクトルの一部を発振させる光増幅器と、前記閉鎖系光回路から出力される前記増幅光の一部から前記第1波長の信号光を選択する波長選択器とを備え、該波長選択器により選択された該第1波長の信号光を周期的に出力する閉鎖系光回路の信号光増幅装置であって、
前記閉鎖系光回路内で前記光増幅器により増幅された前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を変更可能な発振域制御素子を有し、該発振域制御素子を用いて該増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を前記第1波長から所定範囲内の位置に設定する発振域設定装置を、
含むことを特徴とする閉鎖系光回路の信号光増幅装置。 - 前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路に介挿されて前記増幅光のスペクトルのうち前記第1波長を含まない波長域の一部の通過を抑制する通過波長抑制域を変化させ得る波長可変フィルタを有し、該波長可変フィルタによる前記増幅光のスペクトルの一部の通過を抑制する通過波長抑制域を変化させることにより、前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を前記第1波長に隣接する位置に設定するものである請求項1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置。
- 前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路に介挿されて前記増幅光のゲインを変化させ得る可変減衰器を有し、該可変減衰器による前記増幅光のゲインを変化させることにより、前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を前記第1波長に隣接する位置に設定するものである請求項1または2の閉鎖系光回路の信号光増幅装置。
- 前記発振域設定装置は、前記周期的に出力される信号光の数または出力時間に基づいて前記波長可変フィルタの通過波長抑制域を手動操作又は自動操作にしたがって設定される通過波長抑制域操作器を、有することを特徴とする請求項2の閉鎖系光回路の信号光増幅装置。
- 前記発振域設定装置は、前記周期的に出力される信号光の数または出力時間に基づいて前記可変減衰器の減衰率を手動操作又は自動操作に従って設定する減衰率操作器を、有することを特徴とする請求項3の閉鎖系光回路の信号光増幅装置。
- 前記閉鎖系光回路は、前記増幅光が環状の光伝播経路に沿って繰り返し周回させられる光周回回路であり、
前記光増幅器および前記発振域制御素子は、該光周回回路に介挿されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置。 - 前記閉鎖系光回路は、前記増幅光が線状の光伝播経路に沿って繰り返し往復させられる光往復回路であり、
前記光増幅器および前記発振域制御素子は、該光往復回路に介挿されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置。 - 請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置と、
被測定試料を保持して前記閉鎖系光回路に介挿され、該被測定試料を通して該閉鎖系光回路内で繰り返し伝播させる試料保持器とを、含み、
前記第1波長の光の入力に応答して前記閉鎖系光回路から周期的に出力される前記信号光の減少特性に基づいて該試料保持器に保持された被測定試料の成分を分析することを特徴とする吸光分析装置。 - 請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置を、含み、
前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路から周期的に出力される信号光の大きさが飽和し且つ該信号光の数が可及的に多くなるように前記発振域制御素子により前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を設定して、該信号光を周期的に出力させるものであることを特徴とする光メモリ装置。 - 請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置と、被測定試料を保持して前記閉鎖系光回路に介挿され、該被測定試料を通して該閉鎖系光回路内で繰り返し伝播させる試料保持器とを、含み、経時的に減衰する前記信号光を前記第1波長の光の入力に応答して前記閉鎖系光回路から周期的に出力するキャビティリングダウン装置と、
請求項1乃至7のいずれか1の閉鎖系光回路の信号光増幅装置を、含み、前記発振域設定装置は、前記閉鎖系光回路から周期的に出力される信号光の大きさが飽和し且つ該信号光の数が可及的に多くなるように前記発振域制御素子により前記増幅光のスペクトルに含まれる発振波長域を設定して、該信号光を所定期間持続させる光メモリ装置と、
前記キャビティリングダウン装置から周期的に出力される信号光が制御光として入力されるとともに、前記光メモリ装置から周期的に出力される信号光が入力光として該キャビティリングダウン装置からの信号光と同期して入力され、該制御光を該入力光で変調した出力光を出力する3端子光増幅器と
を、含むことを特徴とする吸光分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010186623A JP2012042439A (ja) | 2010-08-23 | 2010-08-23 | 閉鎖系光回路の光信号増幅装置、吸光分析装置、および光メモリ装置 |
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JP2010186623A JP2012042439A (ja) | 2010-08-23 | 2010-08-23 | 閉鎖系光回路の光信号増幅装置、吸光分析装置、および光メモリ装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107462540A (zh) * | 2017-08-09 | 2017-12-12 | 云南中烟工业有限责任公司 | 一种卷烟接装纸色差分析装置和方法 |
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2010
- 2010-08-23 JP JP2010186623A patent/JP2012042439A/ja not_active Withdrawn
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