JP2012040647A - 超音波非接触マイクロマニピュレーション方法及び装置 - Google Patents

超音波非接触マイクロマニピュレーション方法及び装置 Download PDF

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Kyuichi Yasui
久一 安井
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Atsuya Towata
篤哉 砥綿
Shinichi Hatanaka
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Abstract

【課題】超音波振動子を液体媒体に直接接触させず、マイクロ流路中で、微小物体の捕捉及びその移動を行うとともに、微小物体が分散した液体媒体中の微小物体の流れの方向を簡便な構造で制御することが可能な超音波非接触マイクロマニピュレーション技術を提供する。
【解決手段】少なくとも一対の壁部と底部により構成されたマイクロ流路が形成され、マイクロ流路が直線流路と途中で二股に分岐した分岐流路からなる固体セルの一側面に、直線流路に平行となるように超音波振動子を取り付け、マイクロ流路に、微小物体が分散した液体媒質を流し、超音波振動子からの超音波を流路より超音波振動子側の固体セル部分からマイクロ流路内に進行波として伝搬させ、マイクロ流路の超音波振動子側壁部に対向する壁部で超音波を反射させて反射波とし、進行波と反射波を干渉させて定在波音場を生成し、微小物体を音圧の節に捕捉することにより、媒体の流れの方向を制御する。
【選択図】図4

Description

本発明は、外部からの超音波により、マイクロ流路を流れる微小物体が分散した液体媒質中の微小物体の流れの方向を制御することができる、超音波を用いた非接触マイクロマニピュレーション方法及びその装置に関するものである。
従来より、微小物体をハンドリングするためのマイクロマニピュレーション方法が、バイオテクノロジー、マイクロマシン、材料開発等の分野において強く求められており、種々の方法が提案されている。例えば、従来のピンセットなどの物体をハンドリングする機構をスケールダウンしたもの、静電気を用いたもの、レーザ光の放射圧を用いたもの等が挙げられる。
しかし、微小物体が分散している領域では固体の摩擦、液体の粘性が大きく作用し、また、従来のスケールでは無視できた微小なほこり等も前記領域では大きな障害物となるため非接触で力を作用する必要があり、従来の機構をスケールダウンしたものでは正確にハンドリングすることができない。
また、静電気を用いた微小物体のハンドリングは動作距離が短く、しかも電極における電気分解等の問題がある。また、対象とする物体および雰囲気は導電性に関して制限される。
レーザ光による微小物体のハンドリングは、対象物が光学的に光を透過し、屈折する必要がある。また、作用する力は微弱であるため、対象とする物体はきわめて微小なものに限られる。さらに、高価な設備を必要とし、人体に対する安全性等にも配慮する必要があるなど、さまざまな問題点がある。
これらのハンドリング技術に対し、超音波を用いたものは、音波を伝搬する媒質中であれば使用でき、対象とする物体は音響的に媒質と異なる音響インピーダンスを持ち、音波を反射又は吸収するものであれば音響放射圧による力が作用する。力の作用範囲は、定在波音場を生成することにより、波長のオーダの微小領域のみに力を作用させることが可能である。また、超音波の発生装置はレーザ等に比べ安価である。更に人体に対する安全性に関しては、液体・固体媒質と人体の間に空気層が存在すれば超音波は遮断されるため、超音波の漏洩に関して配慮することは容易である。
本発明の発明者らは、凹面型振動子を用いてその焦点位置に反射板を設置して生じる定在波音場中で、周波数を変化することにより音圧の節に捕捉した微小物体を音軸上で一次元的に移動させる方法を提案した(特許文献1)。また、複数の音波を重畳させることで2次元、3次元に広がる音場を生成して、音圧の節に捕捉した微小物体を2次元、3次元空間中で操作する方法を提案した(特許文献2、特許文献3)。
さらに、本発明の発明者らは、配管内での超音波を用いて液体中の懸濁物を凝集、操作する手法を提案した(特許文献4)。この手法は、超音波素子と反射板を一定距離だけ離間させて鉛直方向に浸漬し、両者の間に上から微細粒子を懸濁液として投入し、微細粒子が文指した液体媒体を上から下へ流し、超音波振動子に印加する周波数を連続して同一速度で変化させ、瞬時に初期値に戻した後、再度連続して変化させることを繰り返し行う周波数スイープを行うようにしたものである。これにより、濃縮された流体成分を反射板側から取り出し、希釈された流体成分を超音波振動子側から取り出すようにしたものである。
しかし、この手法では、超音波振動子が液体媒質に接して直接媒質中に超音波を放射するため、十分に大きな空間が必要であり、装置の小型化は難しく、マイクロ流路中において音場を生成して、微細粒子を操作することはできない。また、微細粒子が分散された液体媒体が上から下へ鉛直方向に流れるため、バイオテクノロジーにおいて要求される顕微鏡下で操作する細胞などの生体微粒子を操作するためには更なる工夫が必要であった。
一方、特許文献5には、微粒子を含む流体を直方体の容器に導入して流し、流体の流れと直交するように一対の超音波振動子を配置し、これらから微小に異なる超音波を照射し、容器中での定在波音場の節あるいは腹を一方の超音波振動子側に移動させ、一対の出口の一方からは微粒子成分を含む流体成分を取り出し、もう一方の出口からは微粒子成分を含まない流体成分を取り出す技術が開示されている。
しかしながら、この技術でも、超音波振動子が流体に接して直接流体中に超音波を放射するため、十分に大きな空間が必要であり、装置の小型化は難しく、マイクロ流路中において音場を生成して、微細粒子を操作することはできない。
特許第2700058号掲載公報(特開平9−193055公報) 特許第2913031号掲載公報 特許第2990273号掲載公報 特開平11−197491号公報 特許第4505624号掲載公報(特開2004−24959号公報)
"Study of an acoustic field in microchannel"Proceedings of Symposium on Ultrasonic Electronics, Vol. 30 (2009) pp.113-114 18-20 November, 2009
本発明は、このような従来技術の実情に鑑み、超音波振動子を液体媒体に直接接触させず、マイクロ流路中で、微小物体の捕捉及びその移動を行うとともに、微小物体が分散した液体媒体中の微小物体の流れの方向を簡便な構造で制御することが可能な超音波非接触マイクロマニピュレーション方法及び装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手法ないし手段から構成される。
(1)上面部又は内部に、少なくとも一対の壁部と底部により構成され、入口と出口を有するマイクロ流路が形成され、前記マイクロ流路が直線流路と途中で二股に分岐した分岐流路からなる固体セルの一側面に、前記直線流路に平行となるように、かつ、前記マイクロ流路の分岐部が内側位置にくるように超音波振動子を取り付け、前記マイクロ流路に、微小物体が分散した液体媒質を流し、前記超音波振動子からの超音波を前記流路より前記超音波振動子側の前記固体セル部分から前記マイクロ流路内に進行波として伝搬させ、前記マイクロ流路の前記超音波振動子側壁部に対向する壁部で超音波を反射させて反射波とし、前記進行波と前記反射波を干渉させて定在波音場を生成し、前記微小物体を音圧の節に捕捉することにより、前記媒体中の微小物体の流れの方向を制御することを特徴とする超音波非接触マイクロマニピレーション方法。
(2)上記第(1)の方法において、前記超音波振動子に一定の周波数を印加することを特徴とする超音波非接触マイクロマニピュレーション方法。
(3)上記第(1)の方法において、前記超音波振動子に印加する周波数を連続して同一速度で変化させ、瞬時に初期値に戻した後、再度連続して変化させることを繰り返し行う周波数スイープを行うことを特徴とする超音波非接触マイクロマニピレーション方法。
(4)上記第(1)ないし第(3)のいずれかの方法において、前記マイクロ流路の分岐点に前記微小物体を操作するための溜まり場を設けることを特徴とする超音波非接触マイクロマニピレーション方法。なお、操作とは、微小物体を捕捉及び移動することを示し、分岐する流路であれば、任意の出口に誘導することを示す。
(5)上記第(1)ないし第(4)のいずれかの方法において、前記固体セルとして、ガラスからなるものを用いることを特徴とする超音波非接触マイクロマニピレーション方法。
(6)固体セルの上面部又は内部に、微小物体が分散した液体媒質が流れる、少なくとも一対の壁部と底部により構成され、入口と出口を有するマイクロ流路が形成され、前記マイクロ流路は直線流路と途中で二股に分岐した分岐流路からなり、前記固体セルの一側面に、前記直線流路に平行となるように、かつ、前記マイクロ流路の分岐部が内側位置にくるように取り付けられた超音波振動子を有し、前記超音波振動子の動作を制御することにより、前記マイクロ流路を流れる前記微小物体が分散した前記液体媒体中の微小物体の流れの方向を制御することを特徴とする超音波非接触マイクロマニピレーション装置。
(7)上記第(6)の装置において、前記超音波振動子に一定の周波数が印加されることを特徴とする超音波非接触マイクロマニピュレーション装置。
(8)上記第(6)の装置において、前記超音波振動子に印加する周波数を連続して同一速度で変化させ、瞬時に初期値に戻した後、再度連続して変化させることを繰り返し行う周波数スイープを行う周波数制御手段を設けたことを特徴とする超音波非接触マイクロマニピレーション装置。
(9)上記第(6)ないし第(8)のいずれかの装置において、前記マイクロ流路の分岐点に前記微小物体を操作するための溜まり場を設けたことを特徴とする超音波非接触マイクロマニピレーション装置。
(10)上記第(6)ないし第(9)のいずれかの装置において、前記固体セルがガラスからなることを特徴とする超音波非接触マイクロマニピレーション装置。
以上説明したように、本発明によれば、超音波振動子を液体媒体に直接接触させず、マイクロ流路中で、微小物体の捕捉及びその移動を行うとともに、微小物体が分散した液体媒体中の微小物体の流れの方向を簡便な構造で制御することが可能な超音波非接触マイクロマニピュレーション方法及び装置を提供することができる。
また、本発明によれば、マイクロ流路の超音波振動子側壁部に対向する壁部が反射板の役割を行うため、その構成がシンプルとなる。
さらに、本発明によれば、分岐したマイクロ流路のいずれか一方又は双方に、微小物体が分散された液体媒体の流れを誘導することが可能となる。
振動子と反射板を平行に配置した場合の音圧の節の分布の説明図である。(a)は周波数fの場合、(b)は周波数f+Δfの場合である。 ガラス板上に作成したマイクロ流路実験装置及びその粒子捕捉写真の一例である。 固体壁に囲まれたマイクロ流路と超音波振動子及び超音波の伝搬を示す図である。(a)は水平面図、(b)は断面図である。 本発明の実施形態及び実施例1で示す、ガラス板上に作成した半円の溜まり場を含む二股に分岐する流路の実験装置及びその粒子捕捉写真の一例である。(a)は実験装置を示し、(b)は周波数4.5MHzに固定時、(c)周波数スイープ(4.4MHz→4.6MHz/0.2s)、(d)周波数スイープ(4.6MHz→4.4MHz/0.2s)の場合を示す。 周波数スイープの説明図である。 実施例2で示す、ガラス板上に作成した右頂点三角形の溜まり場を含む実験装置及びその粒子捕捉写真の一例である。(a)は実験装置を示し、(b)は超音波照射直後、(c)は数秒後、(d)は約10秒後の様子を示す。
先ず、本発明に関連する技術、原理について説明する。
超音波音場中に媒質と異なる物体が存在すると、物体には音波の伝搬する方向に力が作用する。また、異なる方向から同一周波数の音波が干渉して生成される超音波の定在波音場中では、波長に比べて十分に小さな物体が、音圧の腹から節に向かう力を受ける。これらの現象は古くから知られている。定在波音場中の音圧の節と腹は音波の伝搬方向に4分の1波長間隔で交互に存在するため、音の伝搬方向に関して微小物体が捕捉される力学的な安定点は非常に小さな領域に限られる。また、音の伝搬方向の鉛直面に関しては、振動子面積相当の比較的広い領域に力の作用範囲は分布する。流路に対して鉛直な方向に超音波を照射して定在波音場を生成すると、微小物体は媒質の流れる流路方向に自由に移動することが可能である。
更に詳しく説明すると、図1(a)に示すように、例えば水中において、超音波振動子と反射板を平行に配置し、電圧を超音波振動子に印加すると、超音波振動子と反射板との間に定在波音場が生成される。この生成される定在波音場は超音波振動子と反射板に囲まれた微小領域に限られ、定在波音場中では、4分の1波長間隔で音圧の腹と節が交互に存在し、音場中を浮遊する微小物体は、音圧の腹から節に向かう力を受け、半波長間隔に存在する音圧の節に捕捉される。定在波音場は、超音波振動子と反射板を平行に配置することで容易に生成できる。超音波の周波数を変化すると波長が変化し、半波長間隔でできる音圧の節の位置も変化する。そして、図1(a)に示す音圧の節の位置は同図(b)に示すように移動し、同時に音圧の節に捕捉されている微小物体も音軸上(音波の伝搬方向)で移動することができる。
本発明者らは、最近、図2(a)に示すような超音波非接触マイクロマニピレーション手法を非特許文献1において提案した。この超音波マイクロマニピュレーション手法は、マイクロ流路の外部に配置した超音波振動子により発生した超音波を、微小物体が分散した液体媒体が流れるマイクロ流路中に、流路と垂直な方向に伝搬させて(進行波)、対向する流路壁で超音波を反射させて(反射波)、この進行波と反射波の2音波を干渉させることで定在波音場を生成し、微小物体を音圧の節に捕捉するものである。これにより、図2(b)に示すように、捕捉された微小物体は音圧の節において層状となる。
図3にこの原理の説明図を示す。なお、図3ではマイクロ流路が固体セル内部に形成されている場合を例にしてある。多数の微小物体が分散、浮遊する液体媒質がマイクロ流路中を水平方向に流れている。固体セルの一側面に超音波振動子が配置され、超音波がマイクロ流路より超音波振動子側の固体セル部分を伝搬して超音波振動子側のマイクロ流路壁面を振動させる。このマイクロ流路壁では一部の超音波はマイクロ流路中の液体媒体に伝搬し、残りの一部は反射して超音波振動子側に戻っていく。マイクロ流路内に伝搬した超音波は、さらに対向する流路壁で一部の音波が反射してマイクロ流路内の液体媒体中を戻り、残りの一部の超音波は流路壁側の固体セル部に伝搬する。さらに、様々な部位での音波の反射が考えられるが、最初にマイクロ流路内の液体媒体に伝搬した超音波と最初に流路壁で反射した超音波が支配的となり、この2音波の干渉で定在波音場が生成される。
次に、本発明の実施形態について述べる。
本発明による超音波非接触マイクロマニピュレーション方法は、基本的に、上面部又は内部に、少なくとも一対の壁部と底部により構成され、入口と出口を有するマイクロ流路が形成され、前記マイクロ流路が直線流路と途中で二股に分岐した分岐流路からなる固体セルの一側面に、前記直線流路に平行となるように、かつ、前記マイクロ流路の分岐部が内側位置にくるように超音波振動子を取り付け、前記マイクロ流路に、微小物体が分散した液体媒質を流し、前記超音波振動子からの超音波を前記流路より前記超音波振動子側の前記固体セル部分から前記マイクロ流路内に進行波として伝搬させ、前記マイクロ流路の前記超音波振動子側壁部に対向する壁部で超音波を反射させて反射波とし、前記進行波と前記反射波を干渉させて定在波音場を生成し、前記微小物体を音圧の節に捕捉することにより、前記媒体の流れの方向を制御することを特徴とするものである。
本発明の方法が適用される装置例を図4(a)に模式的に示す。
本発明では、固体セル1の上面部又は内部にマイクロ流路2が形成されたものを用いる。本例では、マイクロ流路2は固体セル1の上面部に形成され、一対の壁部3A、3Bと底部4により構成される。各壁部3A、3Bと底部4は平面であってよい。マイクロ流路2の上部は空気層に開放されていてもよい。また、マイクロ流路2は固体セル1の内部に形成されていてもよく、その場合、上部は閉塞されることになる。
マイクロ流路2の断面寸法は後述の例では壁部3A、3Bの高さ及び底部4の幅が1mmであるが、ともに0.2mm〜5.0mm程度とすることができる。なお、この数値に限定される訳ではない。ただし、さらなるスケールダウンを図るためには周波数の高い超音波を用いて波長を短くし、流路幅より半波長を短くすることが必要である。
マイクロ流路2は途中で分岐して直線流路部2Aと分岐流路部2Bの二股に分岐するが、分岐流路部2Bの直線流路部2Aに対する角度は5度〜90度程度とすることができる。本例では、90度の場合を例示している。直線流路部2Aには、微小物体が分散された液体媒体を導入するための入口5と排出するための出口6Aが設けられる。分岐流路部2Bにも出口6Bが設けられる。マイクロ流路2は断面矩形とすることができる。
直線流路部2Aと分岐流路部2Bの分岐部には、微小物体操作のための溜まり場7が形成される。本例の場合、この溜まり場7は半円形状に形成されているが、円形状、半楕円形状、楕円形状、三角形状、四角形状等、流路制御に適する形状とすることができる。また、溜まり場7のスペースも流路制御に適する大きさに設定することが望ましい。なお、ケースによっては、溜まり場7を設けなくても流路制御を可能とすることができる。
固体セル1は、超音波の伝搬に適した材料を使用することができ、典型的にはガラスを用いることができるが、これに限定されない。また、固体セル1の形状は本例では平面視矩形状の板状体であるが、所期の効果が得られれば適宜形状を変更して構わない。
固体セル1の側壁には超音波振動子8が取り付けられる。この超音波振動子8はマイクロ流路2の直線流路2Aと平行になるように、かつ、マイクロ流路2の分岐部が内側位置にくるように(本例では中央位置となっている)取り付けられる。超音波振動子8は、本例では全厚み方向において取り付けられているが、その寸法は適宜調整可能である。
本実施形態においては、超音波振動子8が発生する超音波には2つのパターンがある。その1つは一定周波数のものであり、もう1つは周波数をスイープするものである。この周波数のスイープとは、超音波振動子8の出力する周波数を連続して同一速度で変化させ、瞬時に初期値に戻した後、再度連続して変化させることを繰り返し行うことである。
超音波振動子8が発生する超音波が一定周波数の場合、図4(b)に示すように、直線流路部2Aと分岐流路部2Bにほぼ均等に微小粒子を分散した液体媒体が流れていく。溜まり場7の形状によっては、音圧の節に捕捉した微小物体を特定の方向に移動させることが可能である。例えば、超音波の伝搬方向に頂点を持つ正三角形の場合では、超音波が三角形の溜まり場7に入射するのはマイクロ流路2の壁部2Aが鉛直面であるためまっすぐに入射するが、反対側の壁部2Bで反射するところで、三角形の頂点に向かう傾斜した壁面であるため、超音波は壁面の垂線に対して反対側に反射してしまう。そして音源側からの進行波ときれいな定在波を作ることなく散乱してしまうため、音源からの直接波の影響が大きく、微小物体は音波の進行方向に押され、三角形の頂点に向かって押されることとなる。
次に、周波数スイープを行う場合について述べる。
定在波の音圧の節は、超音波振動子8から遠方の流路壁面を起点として、半波長間隔の層状に生成される。この状態で周波数を増加すると半波長は短くなるため、層の間隔は短くなる。なお、上述のように、超音波振動子8からの進行波と最初の反射波が支配的となるため、層の間隔が短くなる起点は超音波振動子8から遠方の流路壁面2Bであり、そこに向けて層の間隔が縮んでいく。
超音波振動子8には共振周波数があり、その周波数付近で用いることが効率的である。周波数を増加するには限界があり、共振周波数から1〜2割程度の変動が限界である。そこで、周波数をある程度増加したところで、瞬時に初期値に戻すことを行うと、捕捉された微小物体はそのとき近くにある音圧の節に捕捉される。そして、再度周波数を増加することで再び同じ方向に移動することとなる。この操作を繰り返し行うことで、連続して微小物体を移動させることが可能となる。この場合の周波数の変動を図5に示す。
また、周波数の変化を逆にして減少させれば、半波長間隔でできる音圧の節の間隔は広がるため、音圧の節に捕捉された微小物体は超音波振動子8の方向に向けて移動する。そして周波数が十分に減少した後に瞬時に元に戻す操作を繰り返すことで、上記の周波数を増加させた場合と同様に、連続して音圧の節に捕捉した微小物体を移動させることが可能となる。
次に、参考例及び実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
[参考例]
本例では、ガラス板上に刻んだ断面1mm×1mmの流路中に微粒子の懸濁液を投入し、ガラス板の端より超音波を伝搬させ、流路中の液体媒質中に超音波の定在波音場を生成して、超音波の音響放射圧を用いて流路中の粒子を音圧の節に捕捉することを試みた。
本例で用いた基本的なガラスプレートは既述の図2(a)に示したものである。50mm×50mm×5mmの大きさのパイレックス(登録商標)ガラスの中央に、流路として1mm×50mm×1mmの溝を彫り込んである。溝の3面は磨りガラス仕上げのガラス壁に囲まれ、上面中央の観察位置には顕微鏡の観察時に用いるカバーガラス(厚さ50μm)を被せてある。PZT振動子(30mm×5mm、共振周波数4.5MHz)を、プレートの左端面にグリスを塗り密着させた。振動子を4.5MHz、消費電力1Wで駆動し、流路中に平均径10μmのアルミナ粒子の懸濁液を投入したところ、図2(b)に示すように粒子が層状に凝集した。層の間隔は、音波の半波長である0.166mm(音速1500m/s、4.5MHz)に相当する。すなわち、流路中には定在波音場が生成され、粒子は音圧の節に補足されていると考えられる。
[実施例1]
次に、上記参考例で用いた流路の中央に、直径5mmの半円の溜まり場(深さ1mm、流路と同じ)および右側への流路を加えたガラスプレートを製作した。図4(a)にガラスプレートの概形図、同図(b)に粒子懸濁液を流路に投入して、4.5MHzの超音波を左端から加えたときの溜まり場における粒子の凝集写真を示す。粒子は同心円状に近い幾何学模様に捕捉されていることがわかる。
流路中の媒質に流れを作り、同様の実験を行った。なお、上記の実験で用いたアルミナ粒子は比重が重く、比較的早く沈降するため、ここではポリスチレン粒子を用いて実験を行った。また、一定速度で流れを発生させるために、シリンジポンプにポリスチレン粒子の懸濁液を入れ、流路の上方より16.7mm/sの流速で懸濁液を流し込み、下側の流路と右側の流路より排水した。ガラスプレートの左端より4.5MHzの超音波を照射すると、溜まり場中で図4(b)のように粒子は凝集しながら、粒子はその凝集位置に沿って移動し、2方向の流路に均等に分岐して流れ出た。
懸濁粒子を流しながら、周波数をスイープさせる実験を行った。懸濁粒子を含む媒質を上方の流路から投入して下方と右側の流路より排出している状態で、周波数を4.4MHzから4.6MHzまで0.2s間隔でスイープさせたところ、捕捉された粒子が右に向かい搬送され、図4(c)に示すように媒質とともに右側に流れ出した。また逆に、周波数を4.6MHzから4.4MHzに0.2s間隔で変化させると、粒子は溜まり場の左側に移動して、図4(d)に示すように下方の流路より排出された。すなわち、超音波により懸濁粒子の排出先を選択できることが確認された。
[実施例2]
また、溜まり場として一辺5mmの正三角形を流路中央に作成したガラスプレートを試作した。周波数を4.5MHzに固定して、超音波を照射した際の懸濁粒子の挙動を観察した。図6(a)は、三角形の頂点を右に向けた溜まり場を含むガラス板の概形図で、同図(b)は超音波照射直後の粒子の様子、同図(c)はその数秒後、同図(d)は約10秒後の様子である。超音波を照射すると、粒子は三角形の頂点のある右に向かい移動することがわかる。これにより分岐流路を設けると、懸濁粒子の排出先を選択できることがわかる。

Claims (10)

  1. 上面部又は内部に、少なくとも一対の壁部と底部により構成され、入口と出口を有するマイクロ流路が形成され、前記マイクロ流路が直線流路と途中で二股に分岐した分岐流路からなる固体セルの一側面に、前記直線流路に平行となるように、かつ、前記マイクロ流路の分岐部が内側位置にくるように超音波振動子を取り付け、
    前記マイクロ流路に、微小物体が分散した液体媒質を流し、
    前記超音波振動子からの超音波を前記流路より前記超音波振動子側の前記固体セル部分から前記マイクロ流路内に進行波として伝搬させ、前記マイクロ流路の前記超音波振動子側壁部に対向する壁部で超音波を反射させて反射波とし、前記進行波と前記反射波を干渉させて定在波音場を生成し、前記微小物体を音圧の節に捕捉することにより、前記媒体中の微小物体の流れの方向を制御することを特徴とする超音波非接触マイクロマニピレーション方法。
  2. 前記超音波振動子に一定の周波数を印加することを特徴とする請求項1に記載の超音波非接触マイクロマニピュレーション方法。
  3. 前記超音波振動子に印加する周波数を連続して同一速度で変化させ、瞬時に初期値に戻した後、再度連続して変化させることを繰り返し行う周波数スイープを行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波非接触マイクロマニピレーション方法。
  4. 前記マイクロ流路の分岐点に前記微小物体を操作するための溜まり場を設けることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波非接触マイクロマニピレーション方法。
  5. 前記固体セルとして、ガラスからなるものを用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の超音波非接触マイクロマニピレーション方法。
  6. 固体セルの上面部又は内部に、微小物体が分散した液体媒質が流れる、少なくとも一対の壁部と底部により構成され、入口と出口を有するマイクロ流路が形成され、
    前記マイクロ流路は直線流路と途中で二股に分岐した分岐流路からなり、
    前記固体セルの一側面に、前記直線流路に平行となるように、かつ、前記マイクロ流路の分岐部が内側位置にくるように取り付けられた超音波振動子を有し、
    前記超音波振動子の動作を制御することにより、前記マイクロ流路を流れる前記微小物体が分散した前記液体媒体中の微小物体の流れの方向を制御することを特徴とする超音波非接触マイクロマニピレーション装置。
  7. 前記超音波振動子に一定の周波数が印加されることを特徴とする請求項6に記載の超音波非接触マイクロマニピュレーション装置。
  8. 前記超音波振動子に印加する周波数を連続して同一速度で変化させ、瞬時に初期値に戻した後、再度連続して変化させることを繰り返し行う周波数スイープを行う周波数制御手段を設けたことを特徴とする請求項6に記載の超音波非接触マイクロマニピレーション装置。
  9. 前記マイクロ流路の分岐点に前記微小物体を操作するための溜まり場を設けたことを特徴とする請求項6ないし8のいずれか一項に記載の超音波非接触マイクロマニピレーション装置。
  10. 前記固体セルがガラスからなることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか一項に記載の超音波非接触マイクロマニピレーション装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014091195A (ja) * 2012-11-02 2014-05-19 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 湾曲反射面を有する固体セルを用いた超音波マイクロマニピュレーション方法及び装置
CN110396653A (zh) * 2019-08-26 2019-11-01 沈阳工业大学 非直接接触式超声振动制备碳纤维复合材料设备与方法
EP4141410A1 (en) 2021-08-26 2023-03-01 ARKRAY, Inc. Particle recovery device and particle recovery method

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