JP2012036061A - ナノカーボン膜の製造方法及びナノカーボン膜 - Google Patents

ナノカーボン膜の製造方法及びナノカーボン膜 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、濾過速度が速くかつ耐久性が高く、限外濾過膜、ナノ濾過膜または逆浸透膜に利用可能な膜であって、極薄であるが、力学的強度が高いナノカーボン膜の製造方法及びナノカーボン膜を提供することを課題とする。
【解決手段】濾過法により、精密濾過膜上にナノファイバーからなる犠牲膜を形成する工程S1と、高周波プラズマ法により、ナノファイバーの隙間にカーボンが充填したカーボン充填層を形成してから、犠牲膜を覆うように平坦な面を有するカーボン平坦膜を製膜する工程S2と、酸又はアルカリ溶液により、カーボン充填層のナノファイバーを除去して網目状の空洞部を有するカーボン裏打ち層を形成することで、カーボン平坦膜と裏打ち層とからなり、膜厚が100nm以下のナノカーボン膜を形成する工程S3と、を有するナノカーボン膜の製造方法を用いることによって前記課題を解決できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナノカーボン膜の製造方法及びナノカーボン膜に関する。
厚みがナノメートルスケールのカーボン膜(ここではナノカーボン膜と呼ぶ)は、耐摩耗性だけでなく、表面の滑り具合の向上、内部の腐食防止などの効果を有するので、材料のハードコーディング等に頻繁に用いられている。
例えば、炭酸飲料水のPETボトルには、内側に100nm程度のカーボン被膜がされている。前記カーボン被膜の高いガスバリア性を利用して、ボトルからの炭酸ガスの漏れを防いでいる。このような用途では、ナノカーボン膜は、緻密かつ丈夫であることが要求され、膜を構成する炭素原子が相互に密に結合していなければならない。
なお、この膜は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜と呼ばれることも多い。
ナノカーボン膜は力学的強度が大きいので、内部に数ナノメートル以下の細孔を形成すると、極薄の濾過膜としての利用が期待でき、濾過速度や耐久性、化学的耐性などの特性の大幅な向上が期待できる。
前記濾過膜としては、限外濾過膜、ナノ濾過膜及び逆浸透膜(Reverse Osmosis膜:RO膜)等がある。
限外濾過膜は、一般に100nm以下1nm以上の細孔をもつ濾過膜であり、飲料水や半導体用の超純水、食品や化粧品の製造工程等に広く用いられ、個別化医療のためのバイオ医薬品の製造あるいは人工透析用のフィルターなどにも用いられている。
また、ナノ濾過膜は2nm未満の細孔をもち、飲料水の精製や多価イオンの除去による軟水化に利用されている。
更に、逆浸透膜は、細孔の大きさが0.5nm以下であり、ナトリウムなどの小さなイオンを除去することができる。
これらの膜は、今日、海水淡水化に幅広く用いられている。また、逆浸透膜は、将来の浸透圧発電用の膜としても期待されている。
逆浸透膜は、1960年代に酢酸セルロース膜により実用化され、現在では、1970年前後に開発された架橋ポリアミド膜が主流になっている。架橋ポリアミド膜を用いた逆浸透膜の製造プロセスにも改良が進められ、濾過速度、耐久性などの性能が著しく向上したためである。
最近の架橋ポリアミド膜では、数10ナノメートルの薄さの膜が形成されており、10気圧前後の圧力差でも50L/mh程度の流束で99%以上の塩化ナトリウムを除去することができる。
一方、ナノカーボン膜による逆浸透膜は、1970年代に多くの研究が実施された。例えば、1970年代のナノカーボン膜の研究として、HollahanとWydevenの論文がある(非特許文献1)。
非特許文献1には、25nmの平均細孔径をもつ高分子フィルター(限外濾過膜)上にポリアリルアミンをプラズマ重合することで、800nmから1600nmの厚みのカーボン膜を作製したこと、及び、逆浸透膜の性能評価により、この膜が40気圧の圧力差で約10L/mhの流束で塩化ナトリウムを90%以上除去できる性能を有することが記載されている。
また、別のナノカーボン膜の研究として、YasudaとLamazeの論文がある(非特許文献2)。
非特許文献2には、上記と同様な25nmの孔をもつ高分子フィルター(限外濾過膜)の上に、プラズマ重合により、4−ビニルピリジンを蒸着し、100nmより厚いカーボン膜を形成したこと、及び、逆浸透膜の性能評価により、この膜が81気圧の圧力差で65L/mhの流束で塩化ナトリウムを99%除去できる性能を有することが記載されている。
なお、このYasudaらの研究では、カーボン膜の堆積量を重さで記載しており、密度を1g/cmと仮定すると、100nm以下の極薄のカーボン膜は形成されていない。
しかし、ナノカーボン膜を用いた研究は実用化に至らなかった。これは、架橋ポリアミド膜に対し、優位性が示せなかったことによる。その結果、ナノカーボン膜の分離膜への応用は、久しく注目されることがなかった。
なお、ナノカーボン膜のうち100nm以下の膜厚の極薄のカーボン膜を製造することは、技術的には容易である。例えば、高周波やマイクロ波を使ったプラズマCVD(またはプラズマ重合)法では、膜厚が10ナノメートル程度のナノカーボン膜が製造されており、PVD法でも極薄のナノカーボン膜を作製できる。
しかし、濾過膜に求められる性能は、極薄であるだけでなく、膜の力学的な強度、高い細孔率と溶質分子(またはイオン)に対する高い阻止性能が要求され、これらを全て満足することは容易ではない。
溶質分子(またはイオン)を効率的に阻止するには、カーボン膜の内部に阻止すべき分子(またはイオン)と同じスケールの細孔を構築する必要があるが、このような構造の膜を極薄にすると、丈夫なカーボン膜であっても、力学的強度が期待できなくなるという問題があった。
なお、液体の透過速度(流束)は、カーボン膜の厚みに反比例して大きくなるので、極薄のカーボン膜とした場合、上記問題はより大きな問題となった。
また、以前の研究では、1μm程度の孔をもつ精密濾過膜の上には均質なナノカーボン膜を「自立膜」として製造することができなかった。
特許第4314362号公報
Hollahan,et al.,Science,179巻,500−501ページ,1973年. "Synthesis of Reverse Osmosis Membranes by Plasma Polymerization of Allylamine" Yasuda,et al.,Journal of Applied Polymer Science,17巻,201−222ページ,1973年 "Preparation of Reverse Osmosis Membranes by Plasma Polymerization of Organic Compounds"
本発明は、濾過速度が速くかつ耐久性が高い限外濾過膜、ナノ濾過膜または逆浸透膜に利用可能な膜であって、極薄であるが、力学的強度が高いナノカーボン膜の製造方法及びナノカーボン膜を提供することを課題とする。
本研究者らは、濾過速度が速くかつ耐久性が高いナノカーボン膜を製造するために、試行錯誤を繰り返した。そして、高い圧力に耐えうるような裏打ち構造をもたせること、即ち、平滑な表面をもつ極薄の多孔性カーボン膜の片面をネットワーク状のカーボンファイバーで裏打して強化することにより、優れた濾過性能と力学的強度が両立することを見出した。このような構造のナノカーボン膜は、極細のナノファイバーからなる不織布(犠牲膜)上に製膜することにより形成可能であった。本方法により、全体の膜厚が100nm以下の極薄であるが、力学的強度が高いナノカーボン膜を製造することに成功した。
この膜は、濾過速度が速くかつ耐久性が高い濾過膜として利用できることを見出した。
また、ナノカーボン膜の原料の種類や製膜条件を変えることで、限外濾過膜、ナノ濾過膜、逆浸透膜(RO膜)等に利用できることを見出した。
更に、このようなナノカーボン膜を自立膜として、細孔率が大きい精密濾過膜(一般にサブミクロンの細孔をもつ)の上に形成すると、更に実用に適した高透過性の限外濾過膜、ナノ濾過膜、あるいは逆浸透膜となることを見出した。
本発明は、以下の構成を有する。
本発明のナノカーボン膜の製造方法は、濾過法により、精密濾過膜上にナノファイバーからなる犠牲膜を形成する工程と、高周波プラズマ法により、前記ナノファイバーの隙間にカーボンが充填したカーボン充填層を形成してから、前記犠牲膜を覆うように平坦な面を有するカーボン平坦膜を製膜する工程と、酸又はアルカリ溶液により、前記カーボン充填層の前記ナノファイバーを除去して網目状の空洞部を有するカーボン裏打ち層を形成することで、前記カーボン平坦膜と前記裏打ち層とからなり、膜厚が100nm以下のナノカーボン膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明のナノカーボン膜の製造方法は、前記高周波プラズマ法が、チャンバーの内部に、常温における蒸気圧が8Pa以上である有機化合物を含むガスを流通させた状態で、高周波プラズマを発生させてカーボン膜を製膜する方法であることが好ましい。
本発明のナノカーボン膜の製造方法は、前記有機化合物が、アセチレン、ブタジエン、ピリジン、ベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサメチルジシロキサン、4−ビニルピリジン、プロピルアミン、アリルアミンの群から選ばれる一の有機化合物であることが好ましい。
本発明のナノカーボン膜の製造方法は、前記ナノファイバーの径が10nm以下であることが好ましい。
本発明のナノカーボン膜の製造方法は、前記ナノファイバーがナノストランドであることが好ましい。
本発明のナノカーボン膜の製造方法は、前記ナノストランドからなる前記犠牲膜に有機塩の水溶液を通過させ、中真空下における前記ナノストランドの安定性を向上させることが好ましい。
本発明のナノカーボン膜は、一面側と他面側とを貫通する孔部を有し、平坦な面を有するカーボン平坦膜と、前記カーボン平坦膜の他面側に形成され、網目状の空洞部を有する裏打ち層とからなる膜であって、膜厚が100nm以下の膜であることを特徴とする。
本発明のナノカーボン膜は、前記孔部の径が5nm以下とされていることが好ましい。
本発明のナノカーボン膜は、前記カーボン平坦膜の開孔面積率が1%以上とされていることが好ましく、3%以上とされていることがより好ましい。
本発明のナノカーボン膜は、前記空洞部の径が10nm以下であることが好ましい。
本発明のナノカーボン膜は、精密濾過膜の一面側に形成されていることが好ましい。
本発明のナノカーボン膜の製造方法は、濾過法により、精密濾過膜上にナノファイバーからなる犠牲膜を形成する工程と、高周波プラズマ法により、前記ナノファイバーの隙間にカーボンが充填したカーボン充填層を形成してから、前記犠牲膜を覆うように平坦な面を有するカーボン平坦膜を製膜する工程と、酸又はアルカリ溶液により、前記カーボン充填層の前記ナノファイバーを除去して網目状の空洞部を有するカーボン裏打ち層を形成することで、前記カーボン平坦膜と前記裏打ち層とからなり、膜厚が100nm以下のナノカーボン膜を形成する工程と、を有する構成なので、1μm程度の孔をもつ精密濾過膜上にも、犠牲膜を介して、均質で極薄なカーボン膜を「自立膜」として製造することができる。また、ナノストランドのようなナノファイバーからなる平滑な不織布を犠牲膜として利用することにより、前記犠牲膜上に平坦で均質なカーボン膜を「自立膜」として製造することができる。また、前記犠牲膜のナノファイバーの隙間にカーボンを入り込ませて、前記カーボン膜の他面側に裏打ち層を形成することにより、カーボン膜の力学的強度を高めることができ、濾過膜の耐久性を向上させることができる。また、溶解除去により、容易に、裏打ち層を形成することができる。さらに、本発明のナノカーボン膜は、精密濾過膜上に形成してそのまま分離膜として利用可能であるが、ナノファイバーを溶解除去する際に、前記精密濾過膜から分離して、他の多孔性の物質の上に移すことも可能である。以上の構成により、濾過速度が速くかつ耐久性が高く、限外濾過膜、ナノ濾過膜または逆浸透膜に利用可能な膜であって、極薄であるが、力学的強度が高いナノカーボン膜の製造方法を提供することができる。
本発明のナノカーボン膜は、一面側と他面側とを貫通する孔部を有し、平坦な面を有するカーボン平坦膜と、前記カーボン平坦膜の他面側に形成され、網目状の空洞部を有する裏打ち層とからなる構成であり、膜厚が100nm以下の膜であるので、濾過速度が速い濾過膜に利用することができる。前記カーボン平坦膜の他面側に前記裏打ち層を備えることにより、前記カーボン平坦膜の力学的強度を高めて、耐久性が高い濾過膜に利用することができる。更に、前記孔部の大きさを種々設定することにより、限外濾過膜、ナノ濾過膜または逆浸透膜に利用可能な膜とすることができる。
本発明のナノカーボン膜の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明のナノカーボン膜の製造方法の一例を示す図であって、図2(a)はナノストランド溶液の濾過工程を示す図であり、図2(b)は濾過法により、精密濾過膜上に形成された犠牲膜を示す図である。 高周波プラズマ装置の一例を示す概略図である。 高周波プラズマ法により形成されたカーボン膜の一例を示す図であって、図4(a)は断面図であり、図4(b)は図4(a)のA部の拡大断面図である。 本発明のナノカーボン膜の一例を示す図であって、図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)のB部の断面図である。 実施例1(F−05)の不織布(犠牲膜)の表面の走査電子顕微鏡写真である。 実施例1(NC−07)のナノカーボン膜の走査電子顕微鏡写真であって、図7(a)はアルミナ上でナノカーボン膜の一部を引き上げた状態の写真であり、図7(b)はナノカーボン膜の拡大写真である。 実施例1(NC−08)のナノカーボン膜の透過電子顕微鏡写真であって、図8(a)は屈曲した状態のナノカーボン膜の写真であり、図8(b)は図8(a)の四角で取り囲んだ部分の拡大写真である。 実施例2(NC−23)のナノカーボン膜の走査電子顕微鏡写真である。 実施例2(NC−32)のナノカーボン膜の走査電子顕微鏡写真である。
(本発明の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態であるナノカーボン膜の製造方法及びナノカーボン膜を説明する。
図1は、本発明の実施形態であるナノカーボン膜の製造方法の一例を示すフローチャートである。図1に示すように、本発明の実施形態であるナノカーボン膜の製造方法は、犠牲膜製膜工程S1と、カーボン膜製膜工程S2と、犠牲膜除去工程S3と、を有する。
(犠牲膜製膜工程S1)
まず、ナノファイバーを含む溶液を調製する。ナノファイバーは溶液中に高度に分散している。
次に、図2(a)に示すように、吸引瓶33に円板状の精密濾過膜2を挟み込んだ漏斗34を取り付け、ビーカー31から漏斗34にナノファイバーを含む溶液32を注いでこれを濾過する。
図2(b)は、前記濾過により精密濾過膜2上に形成された犠牲膜3の一例を示す図であり、平滑で円板状の犠牲膜3が精密濾過膜2上に形成されている。
犠牲膜3は、繊維状のナノファイバーが集積されてなる。
犠牲膜3の厚みは、20nm以上1000nm以下の範囲とすることが好ましい。犠牲膜3の厚みを1000nmより厚くした場合には、犠牲膜3の乾燥工程の際、犠牲膜3の表面にひび割れが生じやすくなる。逆に、犠牲膜3の厚みを20nmより薄くした場合は、精密濾過膜2の孔を一様に覆うことが困難になる。
ナノファイバーとして、例えば、水酸化カドミウムのナノストランドを用いる場合には、犠牲膜3の厚みを100nm程度とすることが好ましい。
精密濾過膜2としては、ナノファイバーを阻止して濾過できるサイズの孔をもつものであれば良い。
精密濾過膜2の孔の径は、50nmから数μmの範囲とすることが好ましい。また、精密濾過膜2における表面の孔の面積(開孔面積率:細孔率)は10%以上が好ましい。開孔面積率を10%以上とすることにより、濾過工程を短時間で実施することができる。
精密濾過膜2として、例えば、膜面の垂直方向に貫通し、直径100nm程度の孔をもつ陽極酸化多孔性アルミナ膜を用いることができる。
アルミナ膜は剛直であるので、後述するカーボン膜製膜工程S2でアルミナ膜上に犠牲膜3を介してカーボン膜を製膜した場合でも、アルミナ膜の反りを抑制して、カーボン膜の平坦性を維持することができる。
なお、剛直性を有する高分子であれば、高分子の精密濾過膜を用いてもよい。高分子の精密濾過膜としては、例えば、サブミクロンサイズの孔をもつポリカーボネート製のメンブランフィルターを挙げることができる。
また、剛直性を有する素材で補強することにより、カーボン膜の反りを防止してもよい。例えば、別の精密濾過膜を重ねて用いてもよい。
前記ナノファイバーは、直径が10nm以下であるものが好ましい。前記ナノファイバーの径を10nm以下とすることにより、ナノファイバーからなる犠牲膜3に平坦な面を形成することができ、後述するカーボン膜製膜工程S2で犠牲膜3上にカーボン膜を形成したときに、当該カーボン膜の平坦性を向上させることができる。
前記ナノファイバーの長さは、精密濾過膜2の孔の径の2倍以上とすることが好ましい。例えば、精密濾過膜2の孔の径が1μm以下であれは、ナノファイバーの長さは2μm以上とすることが好ましく、数十μm以上とすることがより好ましい。
精密濾過膜2の孔の径と同程度の長さのナノファイバーを用いた場合でも、精密濾過膜2上に犠牲膜3を形成できる。しかし、この場合、ナノファイバーの大部分が精密濾過膜2を通過してしまうので、犠牲膜3を形成するのに大量のナノファイバー溶液を必要とする。
また、前記ナノファイバーは、酸やアルカリの水溶液に溶解可能なものが好ましい。これにより、後述する犠牲膜除去工程S3で、犠牲膜3を容易に溶解除去することができ、必要に応じて、ナノカーボン膜を単体で分離し、他の多孔性の物質の上に容易に移すことができる。
前記ナノファイバーとして、例えば、金属水酸化物のナノストランドを用いることができる。
ナノストランドとは、金属塩の希薄な水溶液にアルカリを加えることで形成されるナノファイバーであり、その表面が高度に正に荷電しているため、水に分散して存在する。
ナノストランドは、正に荷電したナノファイバーとして既に権利化されている(特許文献1)。例えば、特許文献1は、金属酸化物ナノファイバー及びその製造方法に関するものであり、概ナノファイバーを用いたナノ複合材料、及び、著しく正に荷電した極細のナノファイバーであるナノストランドが記載されている。
前記ナノストランドとしては、具体的には、水酸化カドミウム(Cd(OH))、水酸化亜鉛(Zn(OH))、水酸化銅(Cu(OH))等のナノストランドを挙げることができる。これらは、数nm以下の直径で、数十μmに達するナノストランドとすることができるとともに、酸で容易に分解することができる。また、これらの金属水酸化物は、中性付近のpH条件下で形成することができる。
ナノストランドを含む溶液32としては、ナノストランドの調製に用いた水溶液が好ましく、例えば、水酸化カドミウム、水酸化銅又は水酸化亜鉛のナノストランドの水溶液を挙げることができる。
また、ナノストランドの犠牲膜3は、形成後直ちに、有機塩の水溶液を通過させることが好ましい。例えば、犠牲膜3でパラスチレンスルホン酸ナトリウム塩(PSS−Na)の水溶液の濾過を行う。
ナノストランドからなる犠牲膜(不織布)は、高周波プラズマ法によるカーボン膜製膜工程において、中真空下(100Pa〜0.1Pa)に置かれる。このような減圧下に長時間放置すると、ナノストランドの一部が分解し、極薄のカーボン膜を製膜する場合の欠陥の原因になる。しかし、PSS−Naのようなアニオン性の有機分子の水溶液を犠牲膜3で濾過することにより、ナノストランド表面に負に荷電したPSS−Naを吸着させておくと、ナノストランドを中真空下で安定化することができる。これにより、犠牲膜3の乾燥工程における表面の損傷(ひび割れなど)を防ぐことができる。
ナノストランドの表面は、著しく正に荷電しており、PSS−Naのようなアニオン性の有機分子の水溶液を濾過する過程で、前記有機分子を静電的に吸着する。
一方、ナノストランドは、高温多湿の環境に弱く、高湿度の環境で放置すると、一部が分解して結晶を析出する。しかし、アニオン性の有機分子を静電的に吸着させておくと、結晶の析出を防ぐこともできる。
(カーボン膜製膜工程S2)
次に、高周波プラズマ法によるカーボン膜の製造について説明する。
図3は、高周波プラズマ装置40の概略図である。
図3に示すように、高周波プラズマ装置40は、チャンバー41と、配管46、47と、電極部42a、42bと、ガス導入管43と、を有して概略構成されている。
なお、上下の電極部42a、42bは、一対の電極部として機能し、その間に電界を印加できる構成とされている。下の電極部42bは、基板を保持する機能を併せ持つ。
配管46は、ガス供給部(図示略)に接続されており、ガス供給部に貯蔵されたガスGをチャンバー41内に導入するガス導入管として用いられる。
配管47は、真空ポンプ(図示略)と接続されており、チャンバー41内を所定の真空度に減圧可能とするとともに、チャンバー41内に導入したガスGを排出するガス排出管として用いられている。
まず、図3に示すように、チャンバー41の内部に、犠牲膜3の一面3aをガスの噴出口43aに向けるように、犠牲膜3を形成した精密濾過膜2からなる基板39を下の電極部42bに取り付ける。
次に、チャンバー41の内部を所定の真空度まで減圧する。
次に、ガス供給部から有機化合物を含んだガスGをチャンバー41の内部に導入する。
前記有機化合物は、室温の前後10℃の範囲内における蒸気圧が8Pa以上である有機化合物であることが好ましい。
前記有機化合物は、炭化水素だけでなく、酸素、窒素、硅素、リン、ホウ素、その他の元素を含むものであってよい。
前記有機化合物としては、特に限定する訳ではないが、例えば、アセチレン、ブタジエン、ピリジン、ベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサメチルジシロキサン、4−ビニルピリジン、プロピルアミン、アリルアミンの群から選ばれる一の有機化合物を挙げることができる。
前記有機化合物はガス状態とした後、単体のガスとしてチャンバー41内に導入してもよく、また、他の有機化合物や不活性ガスとの混合ガスとしてチャンバー41内に導入してもよい。例えば、アセチレンやブタジエンなどの反応性が高いガスはアルゴンガスと混合して導入することが好ましい。
なお、ヘキサメチルジシロキサンなどの沸点が比較的高い液体を用いる場合、チャンバー41の外部に前記液体をガス化するための減圧容器を設け、前記減圧容器で圧力8Pa以上のガスとしてからチャンバー41内に導入してもよい。
次に、チャンバー41の内部に、有機化合物を含むガスGを流通させた状態で、上下の電極部42a、42bの間に電界を印加することにより、電極部42a、42bの間に高周波プラズマ48を発生させる。
製膜条件は、特に限定する訳ではないが、例えば、基板温度−20〜30℃、出力2〜100W、圧力1〜8Pa、製膜時間1〜120秒の範囲とする。前記製膜条件とすることにより、有機化合物を含むガスGをプラズマ化することができる。
所定の時間、犠牲膜3の一面3aに接触するように高周波プラズマ48を保持することにより、犠牲膜3の一面3a側に、カーボン膜を製膜することができる。
カーボン膜の形成は、より詳細には、次のような過程で形成される。
まず、高周波プラズマ48におけるプラズマ化したカーボン等は、犠牲膜3のナノファイバーの隙間(空隙部)に入り込む。犠牲膜3は、繊維状のナノファイバーがネットワーク状に集積されてなり、ナノファイバーの間には隙間(空隙部)が存在するためである。
ナノファイバーの集積度に応じて、プラズマ化したカーボン等が入り込む深さは変動する。ナノファイバーの集積度が低い場合や、犠牲膜3の膜厚が薄い場合には、犠牲膜3全体を充填するように、プラズマ化したカーボン等は入り込む。しかし、ナノファイバーの集積度が高い場合や、犠牲膜3の膜厚が厚い場合には、犠牲膜3の一面3aから一定の深さまでしか、プラズマ化したカーボン等は入り込まない。
ナノファイバーに接触したプラズマ化したカーボン等は、ナノファイバーに付着する。
次に、各ナノファイバーを取り囲むようにプラズマ化したカーボン等が次々に付着する。各ナノファイバーの表面に付着する炭素等の量が多くなるに従い、徐々に各ナノファイバーの隙間(空隙部)が小さくなる。そして、一定時間後には、完全にナノファイバーの隙間(空隙部)がなくなる。
完全にナノファイバーの隙間(空隙部)がなくなった後、プラズマ化したカーボン等は、主にカーボンからなる膜上に次々に堆積する。この堆積が続くことにより、主にカーボンからなる膜の膜厚が厚くなる。なお、主にカーボンからなる膜は、ナノファイバーを含まないが、プラズマ化したガスに含まれる元素(水素、窒素、硅素等)を含んでもよい。
以上の工程により、カーボン膜が形成される。
図4は、高周波プラズマ法により形成されたカーボン膜積層体を示す図であって、図4(a)は断面模式図であり、図4(b)は図4(a)のA部における拡大断面図である。
図4(a)に示すように、カーボン膜積層体19は、精密濾過膜2と、精密濾過膜2の一面2a上に形成された犠牲膜3と、犠牲膜3の一面3a上に形成された主にカーボンからなるカーボン平坦膜12とから概略構成されている。また、犠牲膜3は、カーボン充填層8と、カーボン未充填層9とから構成されている。
図4(b)に示すように、犠牲膜3は、繊維状の複数のナノファイバー3dが網の目状にネットワーク構造を形成してなる膜である。
そして、プラズマ化したカーボン等の充填の結果、犠牲膜3の一面3a側には、ネットワーク構造のナノファイバー3dの空隙部3eにカーボン等81が充填されたカーボン充填層8が設けられている。また、犠牲膜3の他面3b側の空隙部3eには、カーボンが充填されておらず、カーボン未充填層9とされている。
犠牲膜3の一面3aには、カーボン平坦膜12が形成されている。
犠牲膜3は径が10nm以下のナノファイバーからなるので、犠牲膜3の一面3aの平坦性が高く保たれている。そのため、その平坦性に依存して、犠牲膜3の一面3a上に堆積されて形成された主にカーボンからなるカーボン平坦膜12の一面12aの平坦性も高くされている。
また、カーボン平坦膜12は、孔部10cを有しており、孔部10cは一面12a側からカーボン充填層8側に連通されている。
(犠牲膜除去工程S3)
次に、犠牲膜除去工程S3について説明する。
犠牲膜除去工程S3は、酸又はアルカリ溶液により、犠牲膜3を溶解除去する工程である。例えば、カーボン膜積層体19を、所定の時間、酸又はアルカリ溶液に浮かべることにより、カーボン充填層8のナノファイバー3dを除去して網目状の空洞部を有するカーボン裏打ち層を形成することができる。また、酸又はアルカリ溶液により、前記カーボン裏打ち層を精密濾過膜2から分離することができる。
これにより、カーボン平坦膜と裏打ち層とからなり、膜厚が100nm以下のナノカーボン膜を形成することができる。
図5は、本発明の実施形態であるナノカーボン膜の一例を示す図であって、図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)のB部における断面図である。
図5(a)に示すように、ナノカーボン膜10は、略円板状である。なお、複数の孔部10cを有している(図示略)。
図5(b)に示すように、ナノカーボン膜10は、カーボン平坦膜12と裏打ち層11とからなる。なお、カーボン平坦膜12はS層、裏打ち層11はN層とも呼ぶ。
ナノカーボン膜10の膜厚は、100nm以下とされている。これにより、ナノカーボン膜10を濾過膜として用いたときに、濾過速度を速くすることができる。
なお、ナノカーボン膜10の膜厚は、製膜条件により異なるが、5nm程度まで薄くすることが可能である。ナノカーボン膜10の膜厚は5nm程度まで薄くした場合、濾過速度を非常に速くすることができる。
カーボン平坦膜12は、主にカーボンからなり、一面12a、すなわち、ナノカーボン膜10の一面10aが平坦な面とされている膜である。また、その膜厚は極薄であり、少なくとも、100nm以下とされている。
裏打ち層11は、カーボン平坦膜12の他面12b側を全面覆うように、かつ、高度の架橋構造を形成するように形成されたカーボン等81からなる。なお、カーボン等81は、プラズマ化したガスに含まれる元素(水素、窒素、硅素等)を含んでもよい。
裏打ち層11には、複数の空洞部11cが網目状に設けられている。空洞部11cは、ネットワーク状に形成されていたナノファイバー3dが溶解除去されて形成された部分であるので、ネットワーク状に設けられている。また、空洞部11cの径は、用いたナノファイバー3dの径と同じく10nm以下とされている。
なお、径の小さいナノファイバー3dを用いた場合には、径の小さい空洞部11cを有する裏打ち層11を形成することができる。
なお、孔部10cの大きさが、ナノカーボン膜10の濾過性能を制御し、空洞部11cの径がカーボン平坦膜12の濾過性能を阻害することはない。
裏打ち層11は、カーボン平坦膜12を裏打ちする層なので、カーボン膜の力学的強度を高めることができる。これにより、ナノカーボン膜10の濾過膜としての耐久性を向上させることができる。
具体的には、裏打ち層11を備えることにより、ナノカーボン膜10のヤング率を50〜300GPaの範囲とすることができ、30気圧以上の圧力に耐える膜とすることができる。
更に、ナノカーボン膜10は、裏打ち層11の高度の架橋構造を有するために、様々な有機溶媒(メタノール、エタノール、クロロホルム、ベンゼン、アセトニトリル、ヘキセンなど)に安定な濾過膜として利用することができ、これらの溶媒の分離に用いることができる。
図5(b)に示すように、カーボン平坦膜12は、複数の孔部10cを有している。孔部10cは、裏打ち層11に形成された孔部(主に空洞部11c)と連通しており、結果として、ナノカーボン膜10の一面10a側から他面10b側まで連通されている。孔部10cの大きさが、ナノカーボン膜10の濾過性能を制御する。
カーボン平坦膜12の開孔面積率は1%以上にすることができ、3%以上にすることもできる。開孔面積率を大きくすることにより、濾過膜として利用した場合の濾過工程を短時間で実施することができる。
ナノカーボン膜10の孔部10cの径は、高周波プラズマ法で用いる有機化合物を種々選択することで、種々設定することができ、孔部10cの径が100nm以下1nm以上の限外濾過膜、2nm未満のナノ濾過膜、0.5nm以下のRO膜等を得ることができる。
前記有機化合物としてヘキサメチルジシロキサンを用いてナノカーボン膜を形成した場合には、孔部10cの径を比較的大きくすることができる。これは、ナノカーボン膜10に導入された有機化合物の基本骨格が残っており、硅素を含んだナノカーボン膜が多孔質膜となるからである。これにより、限外濾過膜やナノ濾過膜を形成しやすい。
一方、アセチレンを用いてナノカーボン膜10を形成した場合には、ナノカーボン膜10の架橋密度を高くすることができるので、ナノ濾過膜を形成することができる。
また、プロピルアミンを用いてナノカーボン膜10を形成した場合には、緻密なナノカーボン膜が形成され、孔部10cの径を比較的小さくすることができる。このため、RO膜を形成しやすい。
また、ブタジエンを用いて製造したナノカーボン膜10では、有機溶媒(ヘキサンなど)の濾過速度を著しく大きくすることができる。一般に、本発明のナノカーボン膜は、水と比較して有機溶媒の濾過速度が著しく大きく、有機溶媒用の濾過膜としての利用に適している。
ナノカーボン膜10の分離膜としての性能は、後処理によって更に改善することができる。具体的には、例えば、ナノカーボン膜10に熱水等を濾過することで、ナノカーボン膜10の水の透過性を向上させることが可能である。また、ナノカーボン膜10にヘキサンを透過させることで、ナノカーボン膜10のエタノールの透過性を向上させることができる。
更に、ナノカーボン膜10を酸や塩基、酸化剤などを加えた水または有機溶媒で処理することにより、ナノカーボン膜10の液体の透過性または溶質の阻止率を更に調整することができる。
なお、孔の径が異なる精密濾過膜に前記種々のナノカーボン膜10を搭載することにより、更に濾過速度及び耐久性のバリエーションを変えた濾過膜とすることができる。本発明のナノカーボン膜10は、犠牲膜除去工程S3において精密濾過膜から分離し、他の精密濾過膜等の上に写しとることも可能である。しかし、ナノファイバーを溶解除去する過程でナノカーボン膜10と精密濾過膜と接着させると、精密濾過膜の一面側にナノカーボン膜10を有する分離膜をより簡便に製造できる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜10は、精密濾過膜2の上に「自立膜」として形成でき、また、単独でも「自立膜」としての構造安定性を有し、他の多孔性の物質の上に移すこともできる。このため、分離膜としての様々な応用が可能になる。
なお、本実施形態では、犠牲膜3のナノファイバーを溶解除去する方法として、カーボン膜積層体19を、所定の時間、酸又はアルカリ溶液に浮かべる方法を用いたが、これに限られるものではなく、他の除去方法を用いてもよい。
例えば、限外濾過膜又はナノ濾過膜に適したナノカーボン膜10を形成する場合には、弱酸性の水溶液を通過させて、犠牲膜3のナノファイバー3dを溶解除去することができる。
また、RO膜に適したナノカーボン膜10を形成する場合、ナノカーボン膜10を形成した精密濾過膜2を弱酸性の水溶液に浸す(浮かべる)方法によって、犠牲膜3のナノファイバー3dを除去できる。
更に、犠牲膜3のナノファイバー3dとしてナノストランドを使用した場合は、水を長時間透過させることによって、犠牲膜3のナノファイバーを除去できる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜の製造方法は、濾過法により、精密濾過膜2上にナノファイバー3dからなる犠牲膜3を形成する工程と、高周波プラズマ法により、ナノファイバー3dの隙間(空隙部3e)にカーボン等81が充填したカーボン充填層8を形成してから、犠牲膜3を覆うように平坦な面を有するカーボン平坦膜12を製膜する工程と、酸又はアルカリ溶液により、カーボン充填層8の前記ナノファイバー3dを除去して網目状の空洞部11cを有するカーボン裏打ち層11を形成することで、カーボン平坦膜12と裏打ち層11とからなり、膜厚が100nm以下のナノカーボン膜10を形成する工程と、を有する構成なので、1μm程度の孔をもつ精密濾過膜2上にも、犠牲膜3を介して、均質で極薄なカーボン膜を「自立膜」として製造することができる。また、ナノストランド等のようなナノファイバー3dからなる平滑な不織布を犠牲膜3として利用することにより、犠牲膜3上に平坦で均質なカーボン膜を「自立膜」として製造することができる。また、犠牲膜3のナノファイバー3dの隙間(空隙部3e)にカーボン等81を入り込ませて、前記カーボン膜の他面側に裏打ち層11を形成することにより、カーボン膜の力学的強度を高めることができ、濾過膜の耐久性を向上させることができる。また、溶解除去により、容易に、裏打ち層11を形成するとともに、ナノカーボン膜10を精密濾過膜2から分離することもできる。以上の構成により、濾過速度が速くかつ耐久性が高く、限外濾過膜、ナノ濾過膜または逆浸透膜に利用可能な膜であって、極薄であるが、力学的強度が高いナノカーボン膜10の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜の製造方法は、前記高周波プラズマ法が、チャンバーの内部に、常温における蒸気圧が8Pa以上である有機化合物を含むガスを流通させた状態で、高周波プラズマを発生させてカーボン膜を製膜する方法である構成なので、プラズマ化したカーボン等を犠牲膜3の一面3a側のナノファイバー3dの空隙部3eに入り込ませて、カーボン充填層8を形成してから、犠牲膜3の一面3aに極薄のカーボン膜からなるカーボン平坦膜12を製膜できる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜の製造方法は、前記有機化合物が、アセチレン、ブタジエン、ピリジン、ベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサメチルジシロキサン、4−ビニルピリジン、プロピルアミン、アリルアミンの群から選ばれる一の有機化合物である構成なので、孔部10cの大きさを変えるとともに、膜質を変えた種々の極薄のナノカーボン膜10を製膜でき、限外濾過膜、ナノ濾過膜または逆浸透膜に利用可能な膜を製造することができる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜の製造方法は、ナノファイバー3dの径が10nm以下である構成なので、一面12a(10a)の平坦性を向上させたカーボン平坦膜12を形成できる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜の製造方法は、前記ナノファイバーがナノストランドである構成なので、径が2.5nm以下のネットワーク構造からなる犠牲膜3を形成できる。ナノストランドは、条件により会合して、より太いナノファイバーとなるが、このような場合でも、径が10nm以下のネットワーク構造からなる犠牲膜3を与える。また、空隙部3eを有する犠牲膜3を形成でき、空隙部3eにカーボン等を充填して、カーボン充填層8を形成することができる。また、犠牲膜3の平坦な一面3aにカーボン平坦膜12を製膜でき、カーボン平坦膜12の一面12a(10a)の平坦性を向上させることができる。また、酸又はアルカリ溶液により、ナノストランドを容易に除去することができる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜の製造方法は、前記ナノストランドからなる前記犠牲膜に有機塩の水溶液を通過させ、中真空下における前記ナノストランドの安定性を向上させる構成なので、高周波プラズマ法によるカーボン膜製膜工程S2において犠牲膜3の安定性を向上させることができ、平坦性に優れ、均質な孔径を有するナノカーボン膜を形成できる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜10は、平坦な面12aを有するカーボン平坦膜12に形成された孔部10cが、カーボン平坦膜12の他面12b側にある裏打ち層11に形成された孔部(主に網目状の空洞部11c)と連通しており、その結果として、カーボン膜10の一面10a側と他面10b側とを貫通する孔を有し、膜厚が100nm以下の膜である構成なので、ナノカーボン膜10の膜厚を100nm以下の極薄にして、濾過速度が速い濾過膜に利用することができる。カーボン平坦膜12の他面12b側に裏打ち層11を備えることにより、カーボン平坦膜12の力学的強度を高めて、耐久性が高い濾過膜に利用することができる。更に、孔部10cの大きさを種々設定することにより、限外濾過膜、ナノ濾過膜または逆浸透膜に利用可能な膜とすることができる。
また、本発明の実施形態であるナノカーボン膜10はカーボン等(プラズマ化したガスに含まれる元素を含んでもよい)からなる膜であるので、有機溶媒の高透過性を有する膜として利用できる。また、本発明の実施形態であるナノカーボン膜10は、水処理用のナノ濾過膜やRO膜としての性能は架橋ポリアミド膜のような既存の膜と同程度であるが、架橋ポリアミド膜のような既存の膜では利用が困難である酸やアルカリ、腐食性の液体への利用に用いることができ、化学的安定性では優れた膜として利用できる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜は、孔部10cの径が5nm以下とされている構成なので、限外濾過膜、ナノ濾過膜または逆浸透膜のいずれかに利用できる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜は、カーボン平坦膜12の開孔面積率が1%以上であり、より好ましくは3%以上とされている構成なので、濾過速度を速くすることができる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜は、空洞部11cの径が10nm以下である構成なので、網目状の空洞部11cを有する裏打ち層により、カーボン平坦膜12を補強して、ナノカーボン膜10の力学的強度を高めて、濾過膜としての耐久性を向上させることができる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜は、精密濾過膜2の一面2a側に形成されている構成なので、限外濾過膜を選択することで、濾過速度及び耐久性のバリエーションを変えた濾過膜とすることができる。
本発明の実施形態であるナノカーボン膜の製造方法及びナノカーボン膜は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、様々な精密濾過膜の上にナノストランドの不織布(犠牲膜)を形成し、アセチレンを原料として、ナノカーボン膜を製造した。
(犠牲膜製膜工程)
まず、2.66mMの塩化カドミウム(CdCl)の水溶液(30mL)と0.2mMのアミノエタノールの水溶液(30mL)を激しく撹拌しながら混合し、室温で60分間放置することで、水酸化カドミウムのナノストランドの水溶液を調製した。
この水溶液の所定量を、20nm、100nm、200nmの孔をもつ陽極酸化多孔性アルミナフィルター(直径2.5cm、細孔率50%)または200nmの孔をもつポリカーボネート(PC)膜(直径2.5cm、細孔率10%)上に、80kPaの圧力差で減圧濾過した。
このようにして作製したナノストランドの不織布には、場合により2mMのパラスチレンスルホン酸ナトリウム塩(PSS−Na)の水溶液を濾過した。
ナノストランドの不織布の作製条件を表1に示す。

不織布の厚さは、断面の走査電子顕微鏡観察より計測した。また、走査電子顕微鏡の観察角度を変えながら、ナノストランドが重なることで形成される表面の凹凸の深さを見積もった。
図6は、実施例1(F−05)の不織布(犠牲膜)の表面の走査電子顕微鏡写真である。写真は、チャージアップを防ぐために約3nmの白金を蒸着して撮影された。そのため、ナノストランドの直径は、実際より大きく観察されている。
F−05の不織布(犠牲膜)は、100nmの孔をもつ陽極酸化多孔性アルミナフィルターの上にナノストランド水溶液を減圧濾過し、PSS−Na水溶液を濾過して作製した不織布である。図6に示すように、表面には、ナノストランドが重なることで、4〜5nmの深さの凹凸が存在している。
(カーボン膜製膜工程)
このようにして作製されたナノストランドの不織布をもつ精密濾過膜を真空チャンバーの内部に設置し、アセチレンガスを導入して、内部の圧力を4〜8Paにし、周波数13.6MHz、出力30〜100Wの交流を20秒から60秒の間で印可した。
また、アセチレンとアルゴンの混合ガス(混合比20:80、10:90)を用いて同様の実験を行った。
(犠牲膜除去工程)
その後、ナノカーボン膜を形成した精密濾過膜を10mMの塩酸水溶液に10分間浮かべてナノストランドの犠牲膜を取り除き、精密濾過膜をゆっくりと沈めることでナノカーボン膜を剥離後、ナノカーボン膜を水またはエタノールで洗浄した。その後、ナノカーボン膜を異なる陽極酸化多孔性アルミナフィルターの上にすくい取った。
これにより、精密濾過膜の孔の上に自立膜として存在するナノカーボン膜を得た。詳細な実験条件を表2に示す。
なお、表2のNC−01とNC−07は、後に述べる濾過実験に用いるために、ナノカーボン膜を形成した精密濾過膜を10mMの塩酸水溶液に10分間浮かべてナノストランドの犠牲膜を取り除き、精密濾過膜から剥離せずに、水またはエタノールで洗浄したサンプルも作製した。
このようにして製造されたナノカーボン膜は、ネットワーク状のカーボンファイバーの層(N層)と平滑かつ極薄のカーボン層(S層)からなる。
2つの層の厚みは、走査電子顕微鏡による断面観察より計測した。
図7は、実施例1(NC−07)のナノカーボン膜の走査電子顕微鏡写真であって、図7(a)はアルミナ上でナノカーボン膜の一部を引き上げた状態の写真であり、図7(b)はナノカーボン膜の拡大写真である。このナノカーボン膜は、電子顕微鏡観察のために、異なる陽極酸化多孔性アルミナフィルターの上にすくい取って撮影されている。
図7に示すナノカーボン膜は、アセチレンとアルゴンの混合ガスGM1(20:80)から製造された膜である。
図7の断面図では、自立膜がたわんだ部分が撮影されている。膜厚は35nmと計測された。表面から観察すると、ナノカーボン膜の内部には、ナノストランドの不織布の表面近傍の構造を反映したネットワーク状の構造が形成されていることが確認できる。
この層の厚みは、該不織布の表面の凹凸の深さ(4〜5nm)の約2倍であった。
図8は、実施例1(NC−08)のナノカーボン膜の透過電子顕微鏡写真であって、図8(a)は屈曲した状態のナノカーボン膜の写真であり、図8(b)は図8(a)の四角で取り囲んだ部分の拡大写真である。このナノカーボン膜は、透過電子顕微鏡観察のために、電子顕微鏡用の銅グリッドの上に移し取られて撮影されている。
図8(b)に示すように、ナノカーボン膜の厚みは30nmであり、内部にネットワーク状の構造が形成されていることは明らかである。
図8に示すナノカーボン膜は、アセチレンとアルゴンの混合ガスGM1(20:80)から製造された膜である。
(実施例2)
実施例2では、ナノストランドの不織布の上に様々な有機化合物を原料として、ナノカーボン膜を製造した。
(犠牲膜製膜工程)
まず、実施例1に示した方法により、100nmの孔をもつ陽極酸化多孔性アルミナフィルターの上に80nmの厚みのナノストランドの不織布を形成した。
(カーボン膜製膜工程)
次に、ナノストランドの不織布をもつ精密濾過膜(陽極酸化多孔性アルミナフィルター)を真空チャンバーの内部に設置し、種々の有機化合物をガスとしてチャンバー内に導入し、ナノカーボン膜を製造した。
使用した有機化合物は、ブタジエン、ピリジン、ベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサメチルジシロキサン、4−ビニルピリジン、プロピルアミン、アリルアミンである。
これらの有機化合物はガスとして導入され、チャンバー内部の圧力は1〜8Paに調整した。また、高周波プラズマの印可条件は、周波数13.6MHz、出力2〜100Wとした。製膜時間は、5秒から370秒の間で実施した。
(犠牲膜除去工程)
その後、ナノカーボン膜を形成した精密濾過膜を10mMの塩酸水溶液に10分間浮かべてナノストランドの犠牲膜を取り除き、精密濾過膜から剥離せずに、水またはエタノールで洗浄した。
詳細な実験条件を表3に示す。
膜の成長速度がやや速いヘキサフルオロベンゼンを除く全ての有機化合物では、100nm以下のナノカーボン膜を作製することが可能であった。ヘキサフルオロベンゼンでは、20秒の製膜時間で120nmのナノカーボン膜が得られた。
表3から明らかなように、ナノカーボン膜は、製膜時間を短くすると、より薄くなる。
N層の厚みは、ナノストランドの不織布としてF−05を用いているため、全ての場合に10nmであった。S層の厚みは、薄いものでは5nmに達する。
100nmの孔をもつ陽極酸化多孔性アルミナフィルターの上に形成されたナノカーボン膜の代表的な例として、図9と図10に、NC−23(原料ガス:ピリジン)とNC−32(原料ガス:ヘキサメチルジシロキサン)のナノカーボン膜の断面の走査電子顕微鏡写真を示す。
図9は、実施例2(NC−23)のナノカーボン膜の走査電子顕微鏡写真である。ピリジンから製造されたナノカーボン膜の断面が示されている。
図10は、実施例2(NC−32)のナノカーボン膜の走査電子顕微鏡写真である。ヘキサメチルジシロキサンから製造されたナノカーボン膜の断面が示されている。
これらの写真から、全体の膜厚が35nmのナノカーボン膜が、陽極酸化多孔性アルミナフィルターの上に自立膜として形成されていることは明らかである。
(実施例3)
実施例3では、本発明のナノカーボン膜が、使用した有機化合物のラジカルが架橋することで形成されていることを示すために、ナノカーボン膜の構造解析を行い、力学的、化学的特性を評価した。
ここでは、代表的なナノカーボン膜として、NC−07(原料ガス:アセチレン)、NC−23(原料ガス:ピリジン)、NC−32(原料ガス:ヘキサメチルジシロキサン)を選んだ。
まず、これらのナノカーボン膜のFT−IR測定を行った。
NC−07の膜では、2920cm−1付近に、C−H結合に由来するピークが観察され、アセチレンのラジカルが架橋することで形成された水素を含むナノカーボン膜が形成されていることが示された。
一方、NC−23の膜では、C−H結合に由来するピークに加えて、3368cm−1付近にN−H結合に由来するピークも観察され、ビリジンのラジカルが架橋することで、水素と窒素を含むカーボン膜が形成されていることが示された。
更に、NC−32の膜では、C−H結合に由来するピークに加えて、2140cm−1付近にSi−H結合に由来するピークも観察され、ヘキサメチルジシロキサンのラジカルが架橋することで水素と硅素を含むナノカーボン膜が形成されていることが示された。
次に、ナノカーボン膜の組成は、XPS測定により確認された。
NC−23の膜では、炭素と窒素の比率が11:1と見積もられた。原料のピリジンにおける炭素と窒素の比率が5:1であるため、原料の約半分の窒素分子がナノカーボン膜に導入されていることが明らかになった。
一方、NC−32の膜では、炭素と硅素の比率が5:3と見積もられた。原料のヘキサメチルジシロキサンにおける炭素と硅素の比率が3:1であるため、この場合、約3分の1の炭素原子がナノカーボン膜の形成時に失われていることが示唆された。
次に、ナノカーボン膜の密度は、水晶発振子の電極上に形成させた膜の重量と膜厚から計算された。また、ナノカーボン膜の力学的強度は、ナノインデンテーション法により計測した、
NC−07膜の密度は1.22g/cmであり、ヤング率と硬さはそれぞれ170GPa、20.1GPaであった。また、NC−23膜の密度は1.04g/cmであり、ヤング率と硬さは106GPa、12.3GPaであった。更に、NC−32膜の密度は0.98g/cmであり、ヤング率と硬さは91.8GPa、10.1GPaであった。
以上より、ナノカーボン膜の密度は原料ガスに依存しており、後で述べるように、密度が小さいものほど、液体の透過性が高くなる傾向になった。
次に、NC−40のナノカーボン膜に関しては、100nmの孔をもつ陽極酸化多孔性アルミナフィルターの上に形成し、ナノストランドの除去操作を行った後、耐圧試験を行った。この膜のS層の厚みは30nmであるが、上記の陽極酸化多孔性アルミナフィルター上で30気圧の水圧を負荷しても、膜が壊れないことが確認された。
(実施例4)
実施例4では、本発明のナノカーボン膜が限外濾過膜やナノ濾過膜、RO膜として利用できることを示すために、実施例1と実施例2で作製したナノカーボン膜に対して濾過実験を行った。その結果を表4に示す。
精密濾過膜の上に形成されたナノカーボン膜は、精密濾過膜ごと濾過装置に設置し、透過速度(流束)ならびに溶質分子の阻止率を評価した。
なお、本実施例では、液体の透過速度を単位面積、単位時間当たりの流量(流束)で示しており、負荷した圧力は別に示している。
流束は、膜の有効面積から計算されており、これには、精密濾過膜の細孔率を乗じてある。
溶質の阻止率は、膜を通過した溶液の紫外・可視吸収スペクトル測定から計算された。
まず、NC−01のナノカーボン膜に80kPa(0.08MPa)の圧力をかけてエタノール、メタノール、水を透過させたところ、著しく大きな流束が観察された。このナノカーボン膜は、エタノール中のアゾゼンセンの19.5%を阻止することができ、エタノール中のプロトポリフィリンの61.2%を阻止することができ、エタノール中の5nmの金ナノ粒子の100%を阻止することができた。このナノカーボン膜の全体の厚みは10nmであり、N層の厚みは10nmであり、S層の厚みは0nmである。S層が存在しないために、濾過膜として用いた場合の流束が著しく大きく、300L/hm以上の値を示す。
ナノカーボン膜の厚みが10nm以下になると、濾過実験における流束が著しく大きくなる。このことは、N層の厚みが10nmとなった後に、S層が形成されるであることを示している。また、5nmの金ナノ粒子が完全に阻止されたことから、このナノカーボン膜のN層における空洞部の径は5nm以下と結論できる。さらにこの結果は、N層単独でも、80kPaの濾過操作に耐えうる限外濾過膜として利用できることを示している。
次に、NC−07のナノカーボン膜に80kPaの圧力をかけてヘキサン、クロロホルム、ベンゼン、2−プロパノール、アセトニトリル、エタノール、メタノール、水を透過させたところ、疎水性が高い溶媒ほど流束が大きい傾向にあった。水分子は、溶媒の中で最も小さいが、流束は小さい。この結果は、NC−07のナノカーボン膜が有機溶媒を用いた濾過操作に有用であることを示している。
なお、ナノカーボン膜は、有機溶媒で劣化することはない。このナノカーボン膜は、エタノール中のアゾゼンセンの87.2%を阻止することができ、エタノール中のフロログルシノールやフルオロセイン−4−イソチオシアネート、プロトポリフィリンを100%阻止できた。また、水中のフェリシアンカリウムを100%阻止できた。
NC−23のナノカーボン膜では、エタノールの透過性が低くなり、水の透過性が上がっている。このため、NC−07のナノカーボン膜よりも親水性の膜となっている。NC−23の膜でもアゾゼンセンやフルオロセイン−4−イソチオシアネートに90%以上の阻止率が確認された。この結果は、NC−23のナノカーボン膜がナノ濾過膜としての利用できることを示している。
NC−32のナノカーボン膜では、水やエタノールの流束が大きく、アゾベンゼン等の阻止率が小さい。この膜は、直径2nmの金ナノ粒子の阻止率が27%であり、直径5nmの金ナノ粒子の阻止率が99.8%であることから限外濾過膜として利用できることを示している。
NC−40のナノカーボン膜では、80kPa(0.08MPa)の圧力差で濾過した場合、水の流束が0.7L/hmしかない。一方、2.4MPaの圧力を加圧して34mMの塩化ナトリウム水溶液を透過させた場合、4.7L/hmの流束で塩化ナトリウムの68.5%を阻止することが可能であった。この結果は、NC−40のナノカーボン膜がRO膜としての性能を有することを示している。
本発明のナノカーボン膜の製造方法及びナノカーボン膜は、濾過速度が速くかつ耐久性が高く、限外濾過膜、ナノ濾過膜または逆浸透膜に利用可能な膜であって、極薄であるが、力学的強度が高いナノカーボン膜の製造方法及びナノカーボン膜に関するものであり、濾過膜の製造産業、濾過膜を用いる分析産業等の産業において利用可能性がある。
本発明のナノカーボン膜は、自立膜であることから、浸透圧発電用の高透過性RO膜としても利用可能性がある。RO膜としての性能は、既存の架橋ポリアミド膜と比較して、やや未だ劣っている。しかし、有機溶媒の高透過性は特筆すべき特徴であり、機能性有機材料の回収や化学プロセスにおける固液分離などの産業用の用途には大きな利用可能性がある。
2…精密濾過膜、2a…一面、3…犠牲膜(不織布)、3a…一面、3b…他面、3d…ナノファイバー、3e…空隙部、8…カーボン充填層、9…カーボン未充填層、10…ナノカーボン膜、10a…一面、10b…他面、10c…孔部、11…裏打ち層(N層)、11a…一面、11b…他面、11c…空洞部、12…カーボン平坦膜(S層)、12a…一面、12b…他面、19…カーボン膜積層体、31…ビーカー、32…ナノファイバー溶液、33…吸引瓶、34…漏斗、39…基板、40…高周波プラズマ製膜装置、41…チャンバー、42a、42b…電極部、43…ガス導入管、43a…ガスの噴出口、46、47…配管、48…高周波プラズマ、81…カーボン等、G…ガス、S1…犠牲膜製膜工程、S2…カーボン膜製膜工程、S3…犠牲膜除去工程。


Claims (11)

  1. 濾過法により、精密濾過膜上にナノファイバーからなる犠牲膜を形成する工程と、高周波プラズマ法により、前記ナノファイバーの隙間にカーボンが充填したカーボン充填層を形成してから、前記犠牲膜を覆うように平坦な面を有するカーボン平坦膜を製膜する工程と、酸又はアルカリ溶液により、前記カーボン充填層の前記ナノファイバーを除去して網目状の空洞部を有するカーボン裏打ち層を形成することで、前記カーボン平坦膜と前記裏打ち層とからなり、膜厚が100nm以下のナノカーボン膜を形成する工程と、を有することを特徴とするナノカーボン膜の製造方法。
  2. 前記高周波プラズマ法が、チャンバーの内部に、常温における蒸気圧が8Pa以上である有機化合物を含むガスを流通させた状態で、高周波プラズマを発生させてカーボン膜を製膜する方法であることを特徴とする請求項1に記載のナノカーボン膜の製造方法。
  3. 前記有機化合物が、アセチレン、ブタジエン、ピリジン、ベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサメチルジシロキサン、4−ビニルピリジン、プロピルアミン、アリルアミンの群から選ばれる一の有機化合物であることを特徴とする請求項2に記載のナノカーボン膜の製造方法。
  4. 前記ナノファイバーの径が10nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノカーボン膜の製造方法。
  5. 前記ナノファイバーがナノストランドであることを特徴とする請求項4に記載のナノカーボン膜の製造方法。
  6. 前記ナノストランドからなる前記犠牲膜に有機塩の水溶液を通過させ、中真空下における前記ナノストランドの安定性を向上させることを特徴とする請求項5に記載のナノカーボン膜の製造方法。
  7. 一面側と他面側とを貫通する孔部を有し、平坦な面を有するカーボン平坦膜と、前記カーボン平坦膜の他面側に形成され、網目状の空洞部を有する裏打ち層とからなる膜であって、膜厚が100nm以下であることを特徴とするナノカーボン膜。
  8. 前記孔部の径が5nm以下とされていることを特徴とする請求項7に記載のナノカーボン膜。
  9. 前記カーボン平坦膜の開孔面積率が1%以上とされていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のナノカーボン膜。
  10. 前記空洞部の径が10nm以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のナノカーボン膜。
  11. 精密濾過膜の一面側に形成されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のナノカーボン膜。
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