JP2012034697A - βアミロイドペプチドを認識するヒト化抗体 - Google Patents

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Guriq Basi
バシ,グリク
Jose W Saldanha
サルダナ,ジヨズ・ダブリユー
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Abstract

【課題】患者の脳中のAβのアミロイド沈着物と関連する疾患の処置のための改良された剤および方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、少なくとも部分的に、Aβペプチドに特異的に結合しかつアミロイド原性障害と関連する斑負荷の低下および/若しくは神経炎性ジストロフィーの低下で有効である2種のモノクローナル抗体の同定および特徴付けに基づく。とりわけ、本発明はこれらの抗体の可変領域のヒト化を特徴とし、そして従ってヒト化免疫グロブリン若しくは抗体鎖、無傷のヒト化免疫グロブリン若しくは抗体、および機能的免疫グロブリン若しくは抗体フラグメント、とりわけ特徴とされる抗体の抗原結合フラグメントを提供する。
【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、“Humanized Antibodies that Recogni
ze Beta Amyloid Peptide”(βアミロイドペプチドを認識する
ヒト化抗体)と題された、2001年12月6日出願の以前に出願された米国特許出願第
10/010,942号明細書(順に、“Humanized Antibodies
That Recognize Beta−Amyloid Peptide”(β−ア
ミロイドペプチドを認識するヒト化抗体)と題された、以前に出願された米国仮出願第6
0/251,892号明細書(2000年12月6日出願)(失効)の利益を主張する)
の一部継続出願である、2003年3月14日出願の米国特許出願第10/388,38
9号明細書に対する優先権を主張する。上で言及された出願の内容全体は引用することに
より本明細書に組み込まれる。
アルツハイマー病(AD)は老人性痴呆をもたらす進行性疾患である。全般として、非
特許文献1;特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4を参照されたい。
大まかに言って、該疾患は2つの範疇、すなわち高齢(65歳以上)で発生する晩発性お
よび老年期の十分に前すなわち35と60歳との間に発症する早発性に分けられる。双方
の型の疾患で病状は同一であるが、しかし、より若年齢で開始する症例において異常がよ
り重篤かつ広範な傾向がある。該疾患は脳中の最低2つの型の病変、すなわち神経原線維
変化および老人斑を特徴とする。神経原線維変化は対になって相互の周囲で捻れた2本の
細糸よりなる微小管結合τタンパク質の細胞内沈着物である。老人斑(すなわちアミロイ
ド斑)は脳組織の切片の顕微鏡分析により見ることができる、中心に細胞外アミロイド沈
着物をもつ直径150μmまでのまとまりのない神経絨の領域である。脳内のアミロイド
斑の蓄積はダウン症候群および他の認識障害ともまた関連する。
該斑の主構成要素はAβすなわちβ−アミロイドペプチドと命名されるペプチドである
。Aβペプチドは、より大きい膜貫通糖タンパク質(アミロイド前駆体タンパク質(AP
P)と命名された著名なタンパク質)の39−43アミノ酸の4kDaの内部のフラグメ
ントである。多様な分泌酵素によるAPPのタンパク質分解性プロセシングの結果として
、Aβは主として長さ40アミノ酸の短い形態および長さ42〜43アミノ酸からの範囲
にわたる長い形態の双方で見出される。APPの疎水性膜貫通ドメインの一部はAβのカ
ルボキシ端に見出され、そしてとりわけ、長い形態の場合は斑に凝集するAβの能力の原
因であるとみられる。脳中のアミロイド斑の蓄積は最終的に神経細胞死に至る。この型の
神経系の劣化に関連する身体的症状がアルツハイマー病の特徴である。
APPタンパク質内の数種の突然変異がアルツハイマー病の存在と相関している。例え
ば、非特許文献5(バリン717からイソロイシン);非特許文献6(バリン717から
グリシン);非特許文献7(バリン717からフェニルアラニン);非特許文献8(リシ
595−メチオニン596をアスパラギン595−ロイシン596に変える二重突然変
異)を参照されたい。こうした突然変異は、APPのAβへの増大した若しくは変えられ
たプロセシング、とりわけAPPの増大された量の長い形態のAβ(すなわちAβ1−4
2およびAβ1−43)へのプロセシングによりアルツハイマー病を引き起こすと考えら
れている。プレセニリン遺伝子PS1およびPS2のような他の遺伝子中の突然変異がA
PPのプロセシングに間接的に影響を及ぼして増大された量の長い形態のAβを生成させ
ると考えられている(非特許文献9を参照されたい)。
アルツハイマー病におけるアミロイド斑の意義を決定するためにマウスモデルが成功裏
に使用されてきた(非特許文献4;非特許文献10)。とりわけ、PDAPPトランスジ
ェニックマウス(変異体の形態のヒトAPPを発現しかつ若齢でアルツハイマー病を発症
する)に長い形態のAβを注入する場合に、それらはアルツハイマー病の進行の低下およ
びAβペプチドに対する抗体力価の増大の双方を表す(非特許文献11)。上で論考され
た観察結果は、(とりわけその長い形態の)Aβがアルツハイマー病における原因要素で
あることを示している。
特許文献2は、事前に確立された(preestablished)ADを伴う患者へ
のホメオパシー療法の投薬量(10−2mg/日未満若しくはそれに等しい)のAβの投
与を提案している。約5リットルの血漿をもつ典型的なヒトにおいて、この投薬量の上限
でさえ2pg/mlを超えない濃度を生成させると期待されるとみられる。ヒト血漿中の
Aβの通常濃度は典型的に50〜200pg/mlの範囲にある(非特許文献12)。特
許文献2の提案された投薬量は内因性の循環するAβのレベルを辛うじて変えるとみられ
るため、また、特許文献2は免疫賦活剤としてのアジュバントの使用を推奨していないた
め、何らかの治療的利益が生じるとみられることはありそうもないと思われる。
従って、アルツハイマー病の処置のための新たな療法および試薬、とりわけ生理学的(
例えば非毒性の)用量で治療上の利益を遂げることが可能な療法および試薬に対する必要
性が存在する。
Hardyら、第WO 92/13069号明細書 McMichael、欧州特許第526,511号明細書
Selkoe、TINS 16:403(1993) Selkoe、J.Neuropathol.Exp.Neurol.53:438(1994) Duffら、Nature 373:476(1995) Gamesら、Nature 373:523(1995) Goateら、Nature 349:704)(1991) Chartier Harlanら Nature 353:844(1991)) Murrellら、Science 254:97(1991) Mullanら、Nature Genet.1:345(1992) Hardy、TINS 20:154(1997) Johnson−Woodら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:1550(1997) Schenkら、Nature 400、173(1999) Seubertら、Nature 359:325(1992)
[発明の要約]
本発明は、アミロイド原性疾患(例えばアルツハイマー病)の予防および処置のための
新たな免疫学的試薬、とりわけ治療的抗体試薬を特徴とする。本発明は、少なくとも部分
的に、Aβペプチドに特異的に結合しかつアミロイド原性障害と関連する斑負荷の低下お
よび/若しくは神経炎性ジストロフィーの低下で有効である2種のモノクローナル抗体の
同定および特徴付けに基づく。これらの抗体の構造および機能分析は、予防的および/若
しくは治療的使用のための多様なヒト化抗体の設計につながる。とりわけ、本発明はこれ
らの抗体の可変領域のヒト化を特徴とし、そして従ってヒト化免疫グロブリン若しくは抗
体鎖、無傷のヒト化免疫グロブリン若しくは抗体、および機能的免疫グロブリン若しくは
抗体フラグメント、とりわけ特徴とされる抗体の抗原結合フラグメントを提供する。
前記ポリペプチドをコードするのに適するポリヌクレオチド試薬、ベクターおよび宿主
がそうであるように、特徴とするモノクローナル抗体の相補性決定領域を含んでなるポリ
ペプチドもまた開示される。
アミロイド原性疾患若しくは障害(例えばアルツハイマー病)の処置方法が、こうした
応用での使用のための製薬学的組成物およびキットがそうであるように開示される。
治療的試薬として使用される場合に、適正な免疫学的機能、ならびに向上した結合親和
性および/若しくは低下した免疫原性を有するヒト化抗体の設計における置換の影響を受
けやすい残基の同定に重要である、特徴とするモノクローナル抗体内の残基の同定方法も
また特徴とする。
変えられたエフェクター機能を有する抗体(例えばヒト化抗体)およびそれらの治療上
の用途もまた特徴とする。
マウス3D6、ヒト化3D6、Kabat ID 109230および生殖系列A19抗体のL鎖のアミノ酸配列のアラインメントを描く。CDR領域を矢印により示す。太字斜体は希少なネズミの残基を示す。太字は充填(VH+VL)残基を示す。黒地はカノニカル/CDRと相互作用する残基を示す。*印はヒト化3D6、バージョン1の戻し突然変異に選択した残基を示す。 マウス3D6、ヒト化3D6、Kabat ID 045919および生殖系列VH3−23抗体のH鎖のアミノ酸残基のアラインメントを描く。注釈は図1についてと同一である。 3D6、キメラ3D6および10D5のAβ結合特性をグラフで描く。図3Aはネズミの3D6と比較したキメラ3D6(PK1614)へのAβの結合を描くグラフである。図3Bは、Aβへの結合についての未標識の3D6、PK1614および10D5に対するビオチニル化3D6の競合を描くグラフである。 α−炭素バックボーンの軌跡を示す3D6 VHおよびVLの相同性モデルを描く。VHは点線としてに示し、また、VLは実線として示す。CDR領域はリボンの形態で示す。 キメラ3D6およびヒト化3D6のAβ結合特性をグラフで描く。図5Aは、ヒト化3D6v1およびキメラ3D6の凝集したAβへの結合を測定するELISAの結果を描く。図5Bはヒト化3D6v1およびヒト化3D6v2の凝集したAβへの結合を測定するELISAの結果を描く。 PDAPPマウスの脳切片からのAβ斑へのヒト化3D6およびキメラ3D6の結合を定量するグラフである。 Aβへの結合についてネズミの3D6と競合するヒト化3D6のバージョン1および2、キメラ3D6、ネズミの3D6ならびに10D5の能力を試験する競合結合アッセイの結果を示すグラフである。 小膠細胞によるAβの取り込みを媒介するヒト化3D6v2、キメラ3D6およびヒトIgGの能力を試験するex vivo食作用アッセイのグラフで描く。 10D5 VLおよび3D6 VLのアミノ酸配列のアラインメントを描く。太字は10D5と正確に一致する残基を示す。 10D5 VHおよび3D6 VHのアミノ酸配列のアラインメントを描く。太字は10D5と正確に一致する残基を示す。
[発明の詳細な記述]
本発明は、アルツハイマー病若しくは他のアミロイド原性疾患を予防若しくは治療する
ための新たな免疫学的試薬および方法を特徴とする。本発明は、少なくとも部分的に、β
アミロイドタンパク質(Aβ)の結合(例えば可溶性および/若しくは凝集したAβの結
合)、(例えば凝集したAβの)食作用の媒介、(例えば患者での)斑負荷の減少ならび
に/または神経炎性ジストロフィーの低下で有効な2種のモノクローナル免疫グロブリン
3D6および10D5の特徴付けに基づく。本発明はさらに、これらの免疫グロブリンの
可変LおよびH鎖の一次および二次構造の決定および構造的特徴付け、ならびに活性およ
び免疫原性に重要な残基の同定に基づく。
本明細書で記述される好ましいモノクローナル免疫グロブリンの可変Lおよび/若しく
は可変H鎖を包含する免疫グロブリンを特徴とする。ヒト化可変Lおよび/若しくはヒト
化可変H鎖を包含する好ましい免疫グロブリン、例えば治療的免疫グロブリンを特徴とす
る。好ましい可変Lおよび/若しくは可変H鎖は、モノクローナル免疫グロブリン(例え
ばドナー免疫グロブリン)からの相補性決定領域(CDR)および実質的にヒトアクセプ
ター免疫グロブリンからの可変枠組み領域を包含する。「実質的にヒトアクセプター免疫
グロブリンから」という句は、大多数の若しくは重要な枠組み残基がヒトアクセプター配
列からであり、しかしながらヒト化免疫グロブリンの活性を向上させる(例えばそれがド
ナー免疫グロブリンの活性をより緊密に模倣するように活性を変える)ように選択された
か若しくはヒト化免疫グロブリンの免疫原性を低下させるように選択された残基でのある
位置の残基の置換を見込む。
一態様において、本発明は、3D6の可変領域の相補性決定領域(CDR)を包含し(
すなわち、配列番号2として示されるL鎖可変領域配列からの1、2若しくは3個のCD
Rを包含するか、または配列番号4として示されるH鎖可変領域配列からの1、2若しく
は3個のCDRを包含する)かつ実質的にヒトアクセプター免疫グロブリンL若しくはH
鎖配列からの可変枠組み領域を包含するヒト化免疫グロブリンL若しくはH鎖を特徴とす
るが、但し、枠組み残基の最低1残基が対応するネズミの残基に戻し突然変異され(ba
ckmutated)、前記戻し突然変異はAβ結合に導く該鎖の能力に実質的に影響を
及ぼさない。
別の態様において、本発明は、3D6可変領域の相補性決定領域(CDR)を包含し(
例えば、配列番号2として示されるL鎖可変領域配列からの1、2若しくは3個のCDR
を包含しかつ/または配列番号4として示されるH鎖可変領域配列からの1、2若しくは
3個のCDRを包含する)かつ実質的にヒトアクセプター免疫グロブリンL若しくはH鎖
配列からの可変枠組み領域を包含するヒト化免疫グロブリンL若しくはH鎖を特徴とする
が、但し、最低1個の枠組み残基が、マウス3D6 L若しくはH鎖可変領域配列からの
対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基は(a)抗原を直接非共有結合する残基
;(b)CDRに隣接する残基;(c)(例えば相同な既知の免疫グロブリン鎖の解明さ
れた構造上のL若しくはH鎖をモデル化することにより同定される)CDRと相互作用す
る残基;および(d)VL−VH界面に参画する残基よりなる群から選択される。
別の態様において、本発明は、3D6の可変領域のCDRおよびヒトアクセプター免疫
グロブリンL若しくはH鎖配列からの可変枠組み領域を包含するヒト化免疫グロブリンL
若しくはH鎖を特徴とするが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス3D6 L若しくは
H鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基は、可変領域の
三次元モデルの解析により同定されるところのL鎖可変領域のコンホメーション若しくは
機能に影響を及ぼすことが可能な残基、例えば抗原と相互作用することが可能な残基、抗
原結合部位に近接する残基、CDRと相互作用することが可能な残基、CDRに隣接する
残基、CDR残基の6Å以内の残基、カノニカル残基、バーニア領域(vernier
zone)残基、鎖間充填残基、異常な残基、若しくは構造モデルの表面上のグリコシル
化部位残基である。
別の態様において、本発明は、(例えば配列番号2として示される3D6 L鎖可変領
域配列からの)3D6可変領域のCDRを包含しかつヒトアクセプター免疫グロブリン可
変枠組み領域を包含するヒト化免疫グロブリンL鎖を特徴とするが、但し、L1、L2、
L36およびL46(Kabatの番号付け規約)よりなる群から選択される最低1個の
枠組み残基がマウス3D6 L鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換されて
いる。別の態様において、本発明は、(例えば配列番号4として示される3D6 H鎖可
変領域配列からの)3D6可変領域CDRを包含しかつヒトアクセプター免疫グロブリン
可変枠組み領域を包含するヒト化免疫グロブリンH鎖を特徴とするが、但し、H49、H
93およびH94(Kabatの番号付け規約)よりなる群から選択される最低1個の枠
組み残基がマウス3D6 H鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換されてい
る。
好ましいL鎖は、サブタイプκII(Kabatの規約)のκII枠組み領域、例えば
アクセプター免疫グロブリンKabat ID 019230、Kabat ID 00
5131、Kabat ID 005058、Kabat ID 005057、Kab
at ID 005059、Kabat ID U21040およびKabat ID
U41645からの枠組み領域を包含する。好ましいH鎖は、サブタイプIII(Kab
atの規約)の枠組み領域、例えばアクセプター免疫グロブリンKabat ID 04
5919、Kabat ID 000459、Kabat ID 000553、Kab
at ID 000386およびKabat ID M23691からの枠組み領域を包
含する。
一態様において、本発明は、10D5可変領域の相補性決定領域(CDR)を包含し(
すなわち、配列番号14として示されるL鎖可変領域配列からの1、2若しくは3個のC
DRを包含するか、または配列番号16として示されるH鎖可変領域配列からの1、2若
しくは3個のCDRを包含する)かつ実質的にヒトアクセプター免疫グロブリンL若しく
はH鎖配列からの可変枠組み領域を包含するヒト化免疫グロブリンL若しくはH鎖を特徴
とするが、但し、枠組み残基の最低1残基は対応するネズミの残基に戻し突然変異され、
前記戻し突然変異はAβ結合に導く該鎖の能力に実質的に影響を及ぼさない。
別の態様において、本発明は、10D5可変領域の相補性決定領域(CDR)を包含し
(例えば配列番号14として示されるL鎖可変領域配列からの1、2若しくは3個のCD
Rを包含しかつ/または配列番号16として示されるH鎖可変領域配列からの1、2若し
くは3個のCDRを包含する)かつ実質的にヒトアクセプター免疫グロブリンL若しくは
H鎖配列からの可変枠組み領域を包含するヒト化免疫グロブリンL若しくはH鎖を特徴と
するが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス3D6 L若しくはH鎖可変領域配列から
の対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基は(a)抗原を直接非共有結合する残
基;(b)CDRに隣接する残基;(c)(例えば相同な既知の免疫グロブリン鎖の解明
された構造上のL若しくはH鎖をモデル化することにより同定される)CDRと相互作用
する残基;および(d)VL−VH界面に参画する残基よりなる群から選択される。
別の態様において、本発明は、10D5可変領域のCDRおよびヒトアクセプター免疫
グロブリンL若しくはH鎖配列からの可変枠組み領域を包含するヒト化免疫グロブリンL
若しくはH鎖を特徴とするが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス10D5 L若しく
はH鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基は、可変領域
の三次元モデルの解析により同定されるところのL鎖可変領域のコンホメーション若しく
は機能に影響を及ぼすことが可能な残基、例えば抗原と相互作用することが可能な残基、
抗原結合部位に近接する残基、CDRと相互作用することが可能な残基、CDRに隣接す
る残基、CDR残基の6Å以内の残基、カノニカル残基、バーニア領域残基、鎖間充填残
基(interchain packing residue)、異常な残基、若しくは
構造モデルの表面上のグリコシル化部位残基である。
別の態様において、本発明は、上述された置換に加え最低1個の希少ヒト枠組み残基(
rare human framework residue)の置換を特徴とする。例
えば、希少残基はその位置でヒト可変鎖配列に共通であるアミノ酸残基で置換し得る。あ
るいは、希少残基は相同な生殖系列可変鎖配列からの対応するアミノ酸残基で置換し得る
(例えば、希少L鎖枠組み残基をA1、A17、A18、A2若しくはA19生殖系列免
疫グロブリン配列からの対応する生殖系列残基で置換し得るか、または、希少H鎖枠組み
残基をVH3−48、VH3−23、VH3−7、VH3−21若しくはVH3−11生
殖系列免疫グロブリン配列からの対応する生殖系列残基で置換し得る。
別の態様において、本発明は、上述されたところのL鎖およびH鎖を包含するヒト化免
疫グロブリン、若しくは前記免疫グロブリンの抗原結合フラグメントを特徴とする。例示
的一態様において、ヒト化免疫グロブリンは最低10−1、10−1若しくは1
−1の結合親和性でβアミロイドペプチド(Aβ)に結合する(例えば特異的に結
合する)。別の態様において、免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメントはアイソタ
イプγ1を有するH鎖を包含する。別の態様において、免疫グロブリン若しくは抗原結合
フラグメントは可溶性βアミロイドペプチド(Aβ)および凝集したAβ双方に結合する
(例えば特異的に結合する)。別の態様において、免疫グロブリン若しくは抗原結合フラ
グメントはβアミロイドペプチド(Aβ)の食作用を媒介する(例えば食作用を誘導する
)。なお別の態様において、免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメントは被験体の血
液脳関門を横断する。なお別の態様において、免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメ
ントは被験体におけるβアミロイドペプチド(Aβ)負荷および神経炎性ジストロフィー
の双方を低下させる。
別の態様において、本発明は3D6可変領域(例えば配列番号2若しくは配列番号4と
して示される可変領域配列)を包含するキメラ免疫グロブリンを特徴とする。本明細書で
使用されるところの例えば配列番号2若しくは配列番号4に示されるところのVLおよび
/若しくはVH配列を含んでなる抗体若しくは免疫グロブリン配列は、完全なVL若しく
はVH配列を含み得るか、または成熟VL若しくはVH配列(すなわちシグナル若しくは
リーダーペプチドを伴わない成熟ペプチド)を含み得るかのいずれかである。なお別の態
様において、本発明は、配列番号8に示されるところの可変H鎖領域および配列番号5に
示されるところの可変L鎖領域を包含する免疫グロブリン若しくはその抗原結合フラグメ
ントを特徴とする。なお別の態様において、本発明は、配列番号12に示されるところの
可変H鎖領域および配列番号11に示されるところの可変L鎖領域を包含する免疫グロブ
リン若しくはその抗原結合フラグメントを特徴とする。別の態様において、本発明は10
D5可変領域(例えば配列番号14若しくは配列番号16として示される可変領域配列)
を包含するキメラ免疫グロブリンを特徴とする。なお別の態様において、免疫グロブリン
若しくはその抗原結合フラグメントはIgG1からの定常領域をさらに包含する。
本明細書に記述される免疫グロブリンはアミロイド原性疾患を予防若しくは治療するこ
とを目的とした治療法での使用にとりわけ適する。一態様において、本発明は本明細書に
記述されるところのヒト化免疫グロブリンの有効投薬量を患者に投与することを必要とす
るアミロイド原性疾患(例えばアルツハイマー病)の予防若しくは治療方法を特徴とする
。別の態様において、本発明は本明細書に記述されるところのヒト化免疫グロブリンおよ
び製薬学的担体を包含する製薬学的組成物を特徴とする。本明細書に記述される免疫グロ
ブリンまたは免疫グロブリンフラグメント若しくは鎖を製造するための単離された核酸分
子、ベクターおよび宿主細胞、ならびに前記免疫グロブリン、免疫グロブリンフラグメン
ト若しくは免疫グロブリン鎖の製造方法もまた特徴とする。
本発明はさらに、ヒト化3D6若しくは10D5免疫グロブリンを製造する場合に置換
の影響を受けやすい3D6若しくは10D5それぞれの残基の同定方法を特徴とする。例
えば、置換の影響を受けやすい可変枠組み領域残基の同定方法は、解明された相同な免疫
グロブリン構造上の3D6若しくは10D5の可変領域の三次元構造をモデル化すること
、および3D6若しくは10D5免疫グロブリン可変領域のコンホメーション若しくは機
能に影響を及ぼすことが可能な残基について前記モデルを解析してその結果置換の影響を
受けやすい残基を同定することを必要とする。本発明はさらに、3D6免疫グロブリン、
3D6免疫グロブリン鎖若しくはそれらのドメインの三次元像の作製における配列番号2
若しくは配列番号4に示される可変領域配列またはそれらのいずれかの部分の使用を特徴
とする。10D5免疫グロブリン、10D5免疫グロブリン鎖若しくはそれらのドメイン
の三次元像の作製における配列番号14若しくは配列番号16として示される可変領域配
列またはそれらのいずれかの部分の使用もまた特徴とする。
本発明はさらに、エフェクター分子、例えば補体若しくはエフェクター細胞上の受容体
を結合する能力のような変えられたエフェクター機能を有する免疫グロブリンを特徴とす
る。とりわけ、本発明の免疫グロブリンは、定常領域例えばFc領域の最低1アミノ酸残
基が異なる残基若しくは側鎖で置換されている、変えられた定常領域例えばFc領域を有
する。一態様において、改変免疫グロブリンはIgGクラスのものであり、該免疫グロブ
リンが例えば未改変の免疫グロブリンと比較して変えられたエフェクター機能を有するよ
うなFc領域中の最低1個のアミノ酸残基置換を含んでなる。特定の態様において、本発
明の免疫グロブリンは、それがより少なく免疫原性であり(例えば望ましくないエフェク
ター細胞活性、溶解若しくは補体結合を惹起しない)、改良されたアミロイド消失特性を
有し、かつ/または望ましい半減期を有するような変えられたエフェクター機能を有する
本発明を記述する前に、下で使用されることになるある種の用語の定義を示すことがそ
の理解に役立ちうる。
「免疫グロブリン」若しくは「抗体」(本明細書で互換性に使用される)という用語は
、抗原を特異的に結合する能力を有する2本のHおよび2本のL鎖(前記鎖は例えば鎖間
ジスルフィド結合により安定化される)よりなる基本的な4ポリペプチド鎖構造を有する
抗原結合タンパク質を指す。HおよびL鎖双方がドメインに折り畳まれる。「ドメイン」
という用語は例えばβ−プリーツシートおよび/若しくは鎖間ジスルフィド結合により安
定化されたペプチドループを含んでなる(例えば3ないし4個のペプチドループを含んで
なる)H若しくはL鎖ポリペプチドの球状領域を指す。ドメインは、「定常」ドメインの
場合は多様なクラスのメンバーのドメイン内の配列の変動の相対的欠如、若しくは「可変
」ドメインの場合は多様なクラスのメンバーのドメイン内のかなりの変動に基づいて「定
常」若しくは「可変」と本明細書でさらに称される。L鎖上の「定常」ドメインは「L鎖
定常領域」、「L鎖定常ドメイン」、「CL」領域若しくは「CL」ドメイン)と互換性
に称される。H鎖上の「定常ドメイン」は「H鎖定常領域」、「H鎖定常ドメイン」、「
CH」領域若しくは「CH」ドメイン)と互換性に称される。L鎖上の「可変」ドメイン
は「L鎖可変領域」、「L鎖可変ドメイン」、「VL」領域若しくは「VL」ドメイン)
と互換性に称される。H鎖上の「可変」ドメインは「H鎖可変領域」、「H鎖可変ドメイ
ン」、「CH」領域若しくは「CH」ドメイン)と互換性に称される。
「領域」という用語は抗体鎖の一部(part)若しくは一部分(portion)を
指し、そして本明細書で定義されるところの定常若しくは可変ドメイン、ならびに前記ド
メインのより分離している一部(part)若しくは部分(portion)を包含する
。例えばL鎖可変ドメイン若しくは領域は、本明細書で定義されるところの「枠組み領域
」すなわち「FR」の間に差し込まれた「相補性決定領域」すなわち「CDR」を包含す
る。
免疫グロブリン若しくは抗体は単量体若しくは多量体で存在し得る。「抗原結合フラグ
メント」という用語は、抗原を結合するか若しくは抗原結合(すなわち特異的結合)につ
いて無傷の抗体と(すなわちそれらが由来した無傷の抗体と)競合する免疫グロブリン若
しくは抗体のポリペプチドフラグメントを指す。「コンホメーション」という用語はタン
パク質若しくはポリペプチド(例えば抗体、抗体鎖、ドメインもしくはそれらの領域)の
三次構造を指す。例えば、「L(若しくはH)鎖のコンホメーション」という句はL(若
しくはH)鎖可変領域の三次構造を指し、また、「抗体のコンホメーション」若しくは「
抗体フラグメントのコンホメーション」という句は抗体若しくはそのフラグメントの三次
構造を指す。
抗体の「特異的結合」は、抗体が抗原若しくは好ましいエピトープに対する認識可能な
親和性を表しかつ好ましくは有意の交差反応性を表さないことを意味している。「認識可
能な」若しくは好ましい結合は最低10、10、10、10−1若しくは10
10−1の親和性を伴う結合を包含する。10−1以上、好ましくは10−1
以上の親和性がより好ましい。本明細書で示される値の中間の値もまた本発明の範囲内に
あることを意図しており、また、好ましい結合親和性はある範囲例えば10ないし10
10−1、好ましくは10ないし1010−1、より好ましくは10ないし10
10−1の親和性として示し得る。「有意の交差反応性を表さない」抗体は望ましくな
い実体(例えば望ましくないタンパク質性の実体)に認識可能に結合することができない
ものである。例えば、Aβに特異的に結合する抗体はAβを認識可能に結合することがで
きるが、しかし非Aβタンパク質若しくはペプチド(例えば斑に包含される非Aβタンパ
ク質若しくはペプチド)と有意に反応することができない。好ましいエピトープに特異的
な抗体は、例えば同一のタンパク質若しくはペプチド上の離れたエピトープと有意に交差
反応しないことができる。特異的結合はこうした結合を測定するためのいかなる技術に認
識された手段によっても測定し得る。好ましくは、特異的結合はスキャッチャード分析お
よび/若しくは競合結合アッセイにより測定する。
結合フラグメントは組換えDNA技術または無傷の免疫グロブリンの酵素的若しくは化
学的切断により製造する。結合フラグメントはFab、Fab’、F(ab’)、Fa
bc、Fv、一本鎖および一本鎖抗体を包含する。「二特異性」若しくは「二官能性」免
疫グロブリン若しくは抗体以外は、免疫グロブリン若しくは抗体は同一のその結合部位の
それぞれを有すると理解される。「二特異性」若しくは「二官能性抗体」は2個の異なる
H/L鎖対および2個の異なる結合部位を有する人工的ハイブリッド抗体である。二特異
性抗体はハイブリドーマの融合若しくはFab’フラグメントの結合を包含する多様な方
法により製造し得る。例えばSongsivilaiとLachmann、Clin.E
xp.Immunol.79:315−321(1990);Kostelnyら、J.
Immunol.148、1547−1553(1992)を参照されたい。
「ヒト化免疫グロブリン」若しくは「ヒト化抗体」という用語は最低1本のヒト化免疫
グロブリン若しくは抗体鎖(すなわち最低1本のヒト化L若しくはH鎖)を包含する免疫
グロブリン若しくは抗体を指す。「ヒト化免疫グロブリン鎖」若しくは「ヒト化抗体鎖」
(すなわち「ヒト化免疫グロブリンL鎖」若しくは「ヒト化免疫グロブリンH鎖」)とい
う用語は、実質的にヒト免疫グロブリン若しくは抗体からの可変枠組み領域および実質的
にヒト以外の免疫グロブリン若しくは抗体からの相補性決定領域(CDR)(例えば最低
1個のCDR、好ましくは2個のCDR、より好ましくは3個のCDR)を包含する可変
領域を有しかつ定常領域(例えばL鎖の場合は最低1個の定常領域若しくはその一部分、
およびH鎖の場合は好ましくは3個の定常領域)をさらに包含する免疫グロブリン若しく
は抗体鎖(すなわちそれぞれL若しくはH鎖)を指す。「ヒト化可変領域」(例えば「ヒ
ト化L鎖可変領域」若しくは「ヒト化H鎖可変領域」)という用語は、実質的にヒト免疫
グロブリン若しくは抗体からの可変枠組み領域および実質的にヒト以外の免疫グロブリン
若しくは抗体からの相補性決定領域(CDR)を包含する可変領域を指す。
「実質的にヒト免疫グロブリン若しくは抗体から」または「実質的にヒト」という句は
、比較の目的上ヒト免疫グロブリン若しくは抗体のアミノ酸配列に整列した場合に該領域
がヒト枠組み若しくは定常領域配列と最低80〜90%、好ましくは90〜95%、より
好ましくは95〜99%の同一性(すなわち局所配列の同一性)を共有して例えば保存的
置換、コンセンサス配列置換、生殖系列置換、戻し突然変異などを見込むことを意味して
いる。保存的置換、コンセンサス配列置換、生殖系列置換、戻し突然変異などの導入はし
ばしばヒト化抗体若しくは鎖の「至適化」と称される。「実質的にヒト以外の免疫グロブ
リン若しくは抗体から」または「実質的にヒト以外」という句は、ヒト以外の生物体、例
えばヒト以外の哺乳動物の免疫グロブリン若しくは抗体配列に最低80〜95%、好まし
くは90〜95%、より好ましくは96%、97%、98%若しくは99%同一の免疫グ
ロブリン若しくは抗体配列を有することを意味している。
従って、ヒト化免疫グロブリン若しくは抗体、またはヒト化免疫グロブリン若しくは抗
体鎖の全部の領域若しくは残基は、おそらくCDRを除き、1種若しくはそれ以上の天然
のヒト免疫グロブリン配列の対応する領域若しくは残基に実質的に同一である。「対応す
る領域」若しくは「対応する残基」という用語は、第一および第二の配列を比較の目的上
至適に整列する場合に第一のアミノ酸若しくはヌクレオチド配列上のある領域若しくは残
基と同一の(すなわち同等の)位置を占有する第二のアミノ酸若しくはヌクレオチド配列
上の領域若しくは残基を指す。
「ヒト化免疫グロブリン」若しくは「ヒト化抗体」という用語は下で定義されるところ
のキメラ免疫グロブリン若しくは抗体を包含することを意図していない。ヒト化免疫グロ
ブリン若しくは抗体はそれらの構造においてキメラである(すなわち1以上の種のタンパ
ク質からの領域を含んでなる)とは言え、それらは本明細書で定義されるところのキメラ
免疫グロブリン若しくは抗体中に見出されない付加的な特徴(すなわちドナーCDR残基
およびアクセプター枠組み残基を含んでなる可変領域)を包含する。
「有意の同一性」という用語は、2種のポリペプチド配列をデフォルトのギャップ重み
(gap weight)を使用してプログラムGAP若しくはBESTFITによるよ
うに至適に整列した場合に最低50〜60%の配列の同一性、好ましくは60〜70%の
配列の同一性、より好ましくは70〜80%の配列の同一性、より好ましくは最低80〜
90%の同一性、なおより好ましくは最低90〜95%の同一性、およびなおより好まし
くは最低95%の配列の同一性若しくはそれ以上(例えば99%の配列の同一性若しくは
それ以上)を共有することを意味している。「実質的同一性」という用語は、2種のポリ
ペプチド配列をデフォルトのギャップ重み(gap weight)を使用してプログラ
ムGAP若しくはBESTFITによるように至適に整列した場合に最低80〜90%の
配列の同一性、好ましくは90〜95%の配列の同一性、およびより好ましくは最低95
%の配列の同一性若しくはそれ以上(例えば99%の配列の同一性若しくはそれ以上)を
共有することを意味している。配列の比較のため、典型的には1配列が参照配列として作
用し、それと試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参
照配列をコンピュータに入力し、必要な場合は下位配列座標を指定し、そして配列アルゴ
リズムプログラムのパラメータを指定する。その後、配列比較アルゴリズムが、指定した
プログラムパラメータに基づき参照配列に関する試験配列(1種若しくは複数)の配列の
同一性パーセントを計算する。「配列の同一性」および「配列の同一性」という用語は本
明細書で互換性に使用する。
比較のための配列の至適のアラインメントは、例えばSmithとWaterman、
Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズム、Ne
edlemanとWunsch、J.Mol.Biol.48:443(1970)の相
同性アラインメントアルゴリズム、PearsonとLipman、Proc.Nat’
l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索方法、これら
のアルゴリズムのコンピュータ化実装(Wisconcin Geneticsソフトウ
ェアパッケージ、Genetics Computer Group、575 Sien
ece Dr.、ウィスコンシン州マディソン中のGAP、BESTFIT、FASTA
およびTFASTA)、若しくは視覚的検査(全般的にAusubelら、Curren
t Protocols in Molecular Biologyを参照されたい)
により実施し得る。配列の同一性および配列の類似性のパーセントを決定するのに適する
アルゴリズムの一例は、Altschulら、J.Mol.Biol.215:403(
1990)に記述されるBLASTアルゴリズムである。BLAST解析を実施するため
のソフトウェアは、国立生物工学情報センター(National Center fo
r Biotechnology Information)(国立保健研究所(Nat
ional Institutes of Health)のNCBIインターネットサ
ーバーを通じて公的にアクセス可能)から公的に入手可能である。典型的には、デフォル
トのプログラムパラメータを使用して配列の比較を実施し得るが、とは言えカスタマイズ
したパラメータもまた使用し得る。アミノ酸配列には、BLASTPプログラムは3の語
長(wordlength)(W)、10の期待(expectation)(E)およ
びBLOSUM62スコアリングマトリックスをデフォルトとして使用する(Henik
offとHenikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1
0915(1989)を参照されたい)。
好ましくは、同一でない残基位置は保存的アミノ酸置換により異なる。アミノ酸置換を
保存的若しくは非保存的に分類する目的上、アミノ酸を後に続くとおりグループ分けする
。すなわち、グループI(疎水性側鎖):leu、met、ala、val、leu、i
le;グループII(中性の親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(
酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn、gln、his、
lys、arg;グループV(鎖の配置に影響する残基):gly、pro;およびグル
ープVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換は同一分類中のアミノ酸
間の置換を伴う。非保存的置換はこれらの分類の1つの1メンバーを別の1メンバーと交
換することを構成する。
好ましくは、ヒト化免疫グロブリン若しくは抗体は、対応するヒト以外の抗体の親和性
の3、4若しくは5の係数以内である親和性で抗原を結合する。例えば、ヒト以外の抗体
が10−1の結合親和性を有する場合、ヒト化抗体は最低3×10−1、4×1
−1若しくは10−1の結合親和性を有することができる。免疫グロブリン若
しくは抗体鎖の結合特性を記述する場合に、該鎖は「抗原(例えばAβ)結合に導く」そ
の能力に基づいて記述し得る。鎖が無傷の免疫グロブリン若しくは抗体(またはそれらの
抗原結合フラグメント)に特異的結合特性若しくは結合親和性を賦与する場合に、それは
「抗原結合に導く」と言われる。突然変異(例えば戻し突然変異)が、前記突然変異を欠
く同等な鎖を含んでなる抗体(若しくはその抗原結合フラグメント)の結合親和性に比較
して、H若しくはL鎖を含んでなる無傷の免疫グロブリン若しくは抗体(またはそれらの
抗原結合フラグメント)の結合親和性に、最低一桁の影響を及ぼす(例えば低下させる)
場合に、それは抗原結合に導くH若しくはL鎖の能力に実質的に影響を及ぼすと言われる
。突然変異が、ある鎖を含んでなる無傷の免疫グロブリン若しくは抗体(またはそれらの
抗原結合フラグメント)の結合親和性に、前記突然変異を欠く同等な鎖を含んでなる抗体
(若しくはその抗原結合フラグメント)の結合親和性の2、3若しくは4の係数のみ影響
を及ぼす(例えば低下させる)場合、それは「抗原結合に導く鎖の能力に実質的に影響を
及ぼさない(例えば低下させない)」。
「キメラ免疫グロブリン」若しくは抗体という用語は、その可変領域が第一の種由来で
ありかつその定常領域が第二の種由来である免疫グロブリン若しくは抗体を指す。キメラ
免疫グロブリン若しくは抗体は、異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから
例えば遺伝子工学により構築し得る。
「抗原」は抗体が特異的に結合する実体(例えばタンパク質性の実体すなわちペプチド
)である。
「エピトープ」若しくは「抗原決定基」という用語は、免疫グロブリン若しくは抗体(
またはそれらの抗原結合フラグメント)が特異的に結合する抗原上の部位を指す。エピト
ープは、隣接するアミノ酸、若しくはタンパク質の三次折り畳みにより並置される隣接し
ないアミノ酸の双方から形成され得る。隣接するアミノ酸から形成されるエピトープは、
典型的には変性溶媒への曝露に際して保持される一方、三次折り畳みにより形成されるエ
ピトープは変性溶媒での処理に際して典型的に喪失される。エピトープは典型的に最低3
、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15アミノ酸を独特
の空間的コンホメーションに包含する。エピトープの空間的コンホメーションの決定方法
は、例えばx線結晶学および二次元核磁気共鳴を包含する。例えばEpitope Ma
pping Protocols in Methods in Molecular
Biology、Vol.66、G.E.Morris編(1996)を参照されたい。
同一のエピトープを認識する抗体は、標的抗原への別の抗体の結合を阻害する1抗体の
能力を示す単純なイムノアッセイ、すなわち競合結合アッセイで同定し得る。競合結合は
、試験中の免疫グロブリンがAβのような共通の抗原への参照抗体の特異的結合を阻害す
るアッセイで測定する。多数の型の競争結合アッセイ、例えば:固相直接若しくは間接ラ
ジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接若しくは間接エンザイムイムノアッセイ(EI
A)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahliら、Methods in Enzym
ology 9:242(1983)を参照されたい);固相直接ビオチン−アビジンE
IA(Kirklandら、J.Immunol.137:3614(1986)を参照
されたい):固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow
とLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Col
d Spring Harbor Press(1988)を参照されたい);I−12
5標識を使用する固相直接標識RIA(Morelら、Mol.Immunol.25(
1):7(1988)を参照されたい);固相直接ビオチン−アビジンEIA(Cheu
ngら、Virology 176:546(1990));および直接標識RIA(M
oldenhauerら、Scand.J.Immunol.32:77(1990))
が既知である。典型的には、こうしたアッセイは、これらすなわち未標識の試験免疫グロ
ブリンおよび標識した参照免疫グロブリンのいずれかを持つ固体表面もしくは細胞に結合
した精製された抗原の使用を必要とする。競合阻害は試験免疫グロブリンの存在下で固体
表面若しくは細胞に結合した標識の量を測定することにより測定する。通常、試験免疫グ
ロブリンは過剰に存在する。通常、競合する抗体が過剰に存在する場合、それは共通の抗
原への参照抗体の特異的結合を最低50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜
70%、70〜75%若しくはそれ以上阻害することができる。
エピトープは免疫学的細胞、例えばB細胞および/若しくはT細胞によってもまた認識
される。エピトープの細胞認識は、H−チミジン取り込み、サイトカイン分泌、抗体分
泌若しくは抗原依存性の殺傷(細胞傷害性Tリンパ球アッセイ)により測定されるところ
の抗原依存性の増殖を測定するin vitroアッセイにより測定し得る。
例示的エピトープ若しくは抗原決定基はヒトアミロイド前駆体タンパク質(APP)内
に見出し得るが、しかし好ましくはAPPのAβペプチド内に見出される。APPの複数
のアイソフォーム、例えばAPP695、APP751およびAPP770が存在する。
APP内のアミノ酸はAPP770アイソフォームの配列に従って番号を割当てられてい
る(例えば配列番号38としてもまた示されるGenBank受託番号P05067を参
照されたい)。Aβ(本明細書でβアミロイドペプチドおよびA−βともまた称される)
ペプチドはAPPの39〜43アミノ酸の約4kDaの内的フラグメント(Aβ39、A
β40、Aβ41、Aβ42およびAβ43)である。例えばAβ40はAPPの残基6
72−711よりなり、また、Aβ42はAPPの残基673−713よりなる。in
vivo若しくはin situでの多様な分泌酵素によるAPPのタンパク質分解性プ
ロセシングの結果として、Aβは「短い形態」すなわち長さ40アミノ酸、および長さ4
2〜43アミノ酸からの範囲にわたる「長い形態」の双方で見出される。本明細書に記述
されるところの好ましいエピトープ若しくは抗原決定基はAβペプチドのN末端内に位置
し、そして好ましくはAβ42の残基1−3、1−4、1−5、1−6、1−7若しくは
3−7からのAβのアミノ酸1−10内の残基を包含する。付加的な言及されるエピトー
プ若しくは抗原決定基はAβの残基2−4、5、6、7若しくは8、Aβの残基3−5、
6、7、8若しくは9、またはAβ42の残基4−7、8、9若しくは10を包含する。
「アミロイド原性疾患」という用語は、不溶性アミロイド原線維の形成若しくは沈着を
伴う(若しくはそれらにより引き起こされる)いかなる疾患も包含する。例示的アミロイ
ド原性疾患は、限定されるものでないが全身性アミロイドーシス、アルツハイマー病、成
人発症型糖尿病、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型痴呆、およびプリオン関
連の伝染性海綿状脳症(それぞれヒトにおけるクールーおよびクロイツフェルト・ヤコブ
病ならびにヒツジおよび蓄牛におけるスクレイピーおよびBSE)を挙げることができる
。多様なアミロイド原性疾患は、沈着される原線維のポリペプチド成分の性質により定義
すなわち特徴付けられる。例えば、アルツハイマー病を有する被験体すなわち患者におい
て、β−アミロイドタンパク質(例えば野性型、バリアント若しくは短縮型β−アミロイ
ドタンパク質)はアミロイド沈着物の特徴づけるポリペプチド成分である。従って、アル
ツハイマー病は例えば被験体すなわち患者の脳中の「Aβの沈着物を特徴とする疾患」若
しくは「Aβの沈着物を伴う疾患」の一例である。「β−アミロイドタンパク質」、「β
−アミロイドペプチド」、「β−アミロイド」、「Aβ」および「Aβペプチド」という
用語は本明細書で互換性に使用される。
「有効用量」若しくは「有効投薬量」という用語は所望の効果を達成若しくは少なくと
も部分的に達成するのに十分な量と定義する。「治療上有効な用量」という用語は、既に
疾患に罹っている患者において疾患およびその合併症を治癒若しくは少なくとも部分的に
停止させるのに十分な量と定義する。この使用に有効な量は、感染の重篤度および患者自
身の免疫系の全般的状態に依存することができる。
「患者」という用語は予防的若しくは治療的いずれかの処置を受領するヒトおよび他の
哺乳動物被験体を包含する。
「可溶性」若しくは「脱凝集した」Aβは凝集していないすなわち脱凝集したAβポリ
ペプチドを指す。「不溶性」Aβは凝集するAβポリペプチド、例えば非共有結合により
一緒に保持されるAβを指す。Aβ(例えばAβ42)は、少なくとも部分的に該ペプチ
ドのC末端の疎水性残基(APPの膜貫通ドメインの一部)の存在により凝集すると考え
られている。可溶性Aβの一調製方法は、凍結乾燥したペプチドを希釈していないDMS
Oに超音波処理を用いて溶解することである。生じる溶液を遠心分離していかなる不溶性
微粒子も除去する。
「エフェクター機能」という用語は、エフェクター細胞の活性、溶解、補体に媒介され
る活性、抗体消失のような抗体の数種の免疫機能および抗体半減期を制御し得る、抗体(
例えばIgG抗体)のFc領域に存しかつ例えば補体および/若しくはFc受容体のよう
なエフェクター分子を結合する抗体の能力を包含する活性を指す。
「エフェクター分子」という用語は、限定されるものでないが補体タンパク質若しくは
Fc受容体を挙げることができる抗体(例えばIgG抗体)のFc領域に結合することが
可能である分子を指す。
「エフェクター細胞」という用語は、典型的には限定されるものでないがリンパ球、例
えば抗原提示細胞およびT細胞を挙げることができるエフェクター細胞の表面上で発現さ
れるFc受容体を介して、抗体(例えばIgG抗体)のFc部分に結合することが可能な
細胞を指す。
「Fc領域」という用語は、IgG抗体のC末端領域、とりわけ前記IgG抗体のH鎖
(1個若しくは複数)のC末端領域を指す。IgG H鎖のFc領域の境界はわずかに変
動し得るとは言え、Fc領域は典型的にはほぼアミノ酸残基Cys226からIgG H
鎖(1個若しくは複数)のカルボキシル末端まで広がると定義する。
「Kabatの番号付け」という用語は、別の方法で述べられない限り、Kabatら
(Sequences of Proteins of Immunological
Interest、第5版 Public Health Service、Natio
nal Institute of Health、メリーランド州ベセスダ(1991
))(明らかに引用することにより本明細書に組み込まれる)におけるようなEUインデ
ックス(EU index)を使用する例えばIgG H鎖抗体中の残基の番号付けと定
義する。
「Fc受容体」若しくは「FcR」という用語は抗体のFc領域に結合する受容体を指
す。抗体(例えばIgG抗体)のFc領域に結合する典型的なFc受容体は、限定される
ものでないが、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体の対
立遺伝子バリアントおよび選択的スプライスされた形態を包含するこれらの受容体を挙げ
ることができる。Fc受容体は、RavetchとKinet、Annu.Rev.Im
munol 9:457−92(1991);Capelら、Immunomethod
s 4:25−34(1994);およびde Haasら、J.Lab.Clin.M
ed.126:330−41(1995)に総説されている。
I.免疫学的および治療的試薬
本発明の免疫学的および治療的試薬は、本明細書で定義されるところの免疫原若しくは
抗体またはその機能的若しくは抗原結合フラグメントを含んでなるか若しくはそれらより
なる。基本的な抗体の構造単位はサブユニットの四量体を含んでなることが既知である。
各四量体はポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対は1個の「L」(約25
kDa)および1個の「H」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分
は、主として抗原認識の原因である約100ないし110若しくはそれ以上のアミノ酸の
可変領域を包含する。各鎖のカルボキシ末端部分は主としてエフェクター機能の原因であ
る定常領域を規定する。
L鎖はκ若しくはλいずれかに分類され、そして長さ約230残基である。H鎖はγ、
μ、α、δ若しくはεに分類され、長さ約450〜600残基であり、そして抗体のアイ
ソタイプをそれぞれIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEと規定する。Hおよび
L鎖双方ともドメインに折り畳まれる。「ドメイン」という用語はタンパク質例えば免疫
グロブリン若しくは抗体の球状領域を指す。免疫グロブリン若しくは抗体のドメインは例
えばβ−プリーツシートおよび鎖間ジスルフィド結合により安定化される3若しくは4個
のペプチドループを包含する。無傷のL鎖は例えば2ドメイン(VおよびC)を有し
、また、無傷のH鎖は例えば4若しくは5ドメイン(V、C1、C2およびC
)を有する。
LおよびH鎖内で、可変および定常領域は約12若しくはそれ以上のアミノ酸の「J」
領域により結合され、H鎖は約あと10アミノ酸の「D」領域もまた包含する(全般とし
て、Fundamental Immunology(Paul,W.編、第2版 Ra
ven Press、ニューヨーク(1989)、第7章(全部の目的上そっくりそのま
ま引用することにより組み込まれる)を参照されたい)。
各L/H鎖対の可変領域は抗体結合部位を形成する。従って無傷の抗体は2個の結合部
位を有する。二官能性若しくは二機能性抗体でを除き、2個の結合部位は同一である。鎖
は全部、相補性決定領域すなわちCDRともまた呼ばれる3個の超可変領域により結合さ
れた、相対的に保存された枠組み領域(FR)の同一の一般的構造を表す。天然に存在す
る鎖若しくは組換えで製造した鎖はリーダー配列(細胞のプロセシングの間に除去されて
成熟鎖を生じる)を伴い発現され得る。例えば目的の特定の鎖の分泌を高める若しくはプ
ロセシングを変えるために、天然に存在しないリーダー配列を有する成熟鎖もまた組換え
で製造し得る。
各対の2本の成熟鎖のCDRは枠組み領域により整列されて特異的エピトープへの結合
を可能にする。N末端からC末端まで、LおよびH鎖双方はドメインFR1、CDR1、
FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含んでなる。「FR4」はまた、可
変H鎖のD/J領域および可変L鎖のJ領域とも当該技術分野で称される。各ドメインへ
のアミノ酸の割当てはKabat、Sequences of Proteins of
Immunological Interest(National Institu
tes of Health、メリーランド州ベセスダ、1987および1991)の定
義に従う。代替の構造の定義はChothiaら、J.Mol.Biol.196:90
1(1987);Nature 342:878(1989);およびJ.Mol.Bi
ol.186:651(1989)(下で集合的に「Chothiaら」と称され、そし
て全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)により提案されてい
る。
A.Aβ抗体
本発明の治療薬はAβ若しくはアミロイド斑の他成分に特異的に結合する抗体を包含す
る。こうした抗体はモノクローナル若しくはポリクローナルであり得る。数種のこうした
抗体は可溶性の形態に結合することなく凝集した形態のAβに特異的に結合する。数種は
凝集した形態に結合することなく可溶性の形態に特異的に結合する。数種は凝集した形態
および可溶性の形態双方に結合する。数種のこうした抗体は、天然に存在する長い形態の
Aβ(すなわちAβ42およびAβ43)に結合することなく天然に存在する短い形態の
Aβ(すなわちAβ39、40若しくは41)に結合する。数種の抗体は短い形態に結合
することなく長い形態のAβに結合する。数種の抗体は完全長のアミロイド前駆体タンパ
ク質に結合することなくAβに結合する。治療方法で使用される抗体は、好ましくは無傷
(intact)の定常領域、若しくは少なくともFc受容体と総合作用するのに十分な
定常領域を有する。ヒトアイソタイプIgG1は、貪食細胞上のFcRI受容体に対する
ヒトアイソタイプの最高の親和性を有するそれのために好ましい。抗体の一方のアームが
Aβに対する、そして他方がFc受容体に対する特異性を有する二特異性Fabフラグメ
ントもまた使用し得る。好ましい抗体は約10、10、10、10若しくは10
10−1(これらの値の中間の親和性を包含する)より大きい(若しくはこれらに等し
い)結合親和性でAβに結合する。
ポリクローナル血清は、典型的に、Aβの長さに沿って数種のエピトープに結合する抗
体の混合した集団を含有する。しかしながらポリクローナル血清はAβ1−10のような
Aβの特異的一セグメントに特異的であり得る。モノクローナル抗体は、コンホメーショ
ン性若しくは非コンホメーション性エピトープであり得るAβ内の特定の一エピトープに
結合する。抗体の予防的および治療的有効性は実施例で記述されるトランスジェニック動
物モデル手順を使用して試験し得る。好ましいモノクローナル抗体はAβの残基1−10
(天然のAβの最初のN末端残基を1と呼称する)内の1エピトープに結合する。数種の
好ましいモノクローナル抗体はアミノ酸1−5内の1エピトープに、そして数種は5−1
0内の1エピトープに結合する。数種の好ましい抗体はアミノ酸1−3、1−4、1−5
、1−6、1−7若しくは3−7内のエピトープに結合する。数種の好ましい抗体はAβ
の残基1−3で開始しかつ残基7−11で終了する1エピトープに結合する。より少なく
好ましい抗体はAβの残基10−15、15−20、25−30、10−20、20、3
0若しくは10−25を含むエピトープに結合するものを包含する。こうした抗体を、実
施例に記述されるマウスモデルで活性について使用前にスクリーニングすることが推奨さ
れる。例えば、残基10−18、16−24、18−21および33−42内のエピトー
プに対するある種の抗体は活性を欠く(例えば、アルツハイマー病と関連する斑負荷を低
下させかつ/若しくは神経炎性の病状を自然治癒させる能力を欠く)ことが見出された。
いくつかの方法において、異なるエピトープに対する結合特異性を有する複数のモノクロ
ーナル抗体を使用する。こうした抗体は連続して若しくは同時に投与し得る。Aβ以外の
アミロイド成分に対する抗体もまた使用し得る(例えば投与若しくは共投与し得る)。例
えば、抗体をアミロイド関連タンパク質シヌクレインに向けることができる。
抗体が例えばAβ1−5のような指定された残基内の1エピトープに結合すると言われ
る場合、意味しているものは、該抗体が指定された残基(すなわち本例においてAβ1−
5)を含有するポリペプチドに特異的に結合することである。こうした抗体はAβ1−5
内のすべての残基と必ずしも接触しない。また、Aβ1−5内のどの単一アミノ酸の置換
若しくは欠失も結合親和性に必ずしも有意に影響を及ぼさない。抗体のエピトープ特異性
は、例えば多様なメンバーがAβの異なる下位配列を表すファージディスプレイライブラ
リーを形成することにより決定し得る。その後、該ファージディスプレイライブラリーを
、試験中の抗体に特異的に結合するメンバーについて選択する。一群の配列を単離する。
典型的には、こうした一群は、異なるメンバーで共通のコア配列および変動する長さの隣
接配列を含有する。抗体への特異的結合を示す最も短いコア配列が、該抗体により結合さ
れるエピトープを規定する。抗体はまた、エピトープ特異性が既に決定されている抗体と
の競合アッセイでもエピトープ特異性について試験し得る。例えば、Aβへの結合につい
て3D6抗体と競合する抗体は、3D6と同一若しくは類似のエピトープに、すなわち残
基Aβ1−5内で結合する。同様に、10D5抗体と競合する抗体は同一若しくは類似の
エピトープに、すなわち残基Aβ3−7内で結合する。エピトープ特異性についての抗体
のスクリーニングは治療的有効性の有用な予測因子である。例えば、Aβの残基1−7内
の1エピトープに結合することが決定された抗体は、本発明の方法論によるアルツハイマ
ー病の予防および治療において有効であることがありそうである。
Aβの他領域に結合することなくAβの好ましいセグメントに特異的に結合するモノク
ローナル若しくはポリクローナル抗体は、他領域に結合するモノクローナル抗体若しくは
無傷のAβに対するポリクローナル血清に関して多数の利点を有する。第一に、等量の投
薬量について、好ましいセグメントに特異的に結合する抗体の投薬量はアミロイド斑の消
失において有効な抗体のより高いモル投薬量を含有する。第二に、好ましいセグメントに
特異的に結合する抗体は、無傷のAPPポリペプチドに対する消失応答を誘導することな
くアミロイド沈着物に対する消失応答を誘導してそれにより潜在的な副作用を低減し得る

1.ヒト以外の抗体の製造
本発明はヒト以外の抗体、例えば本発明の好ましいAβエピトープに対する特異性を有
する抗体を特徴とする。こうした抗体は、本発明の多様な治療的組成物の処方で使用し得
るか、または、好ましくはヒト化若しくはキメラ抗体(下に詳細に記述される)の製造の
ための相補性決定領域を提供し得る。ヒト以外のモノクローナル抗体(例えばネズミ、モ
ルモット、霊長類、ウサギ若しくはラット)の製造は、例えばAβで動物を免疫すること
により達成し得る。Aβ若しくはAβの免疫原性フラグメントを含んでなるより長いポリ
ペプチド、またはAβに対する抗体に対する抗イディオタイプ抗体もまた使用し得る。H
arlowとLane、上記(全部の目的上引用することにより組み込まれる)を参照さ
れたい)。こうした免疫原は、天然の供給源から、ペプチド合成により若しくは組換え発
現により得ることができる。場合によっては、免疫原は下述されるとおり担体タンパク質
と融合若しくは別の方法で複合体形成して投与し得る。場合によっては、免疫原はアジュ
バントとともに投与し得る。「アジュバント」という用語は、抗原とともに投与される場
合に該抗原に対する免疫応答を増加させるがしかし単独で投与される場合に該抗原に対す
る免疫応答を生成しない化合物を指す。アジュバントは、リンパ球補充(lymphoc
yte recruitment)、Bおよび/若しくはT細胞の刺激、ならびにマクロ
ファージの刺激を包含するいくつかの機構により免疫応答を増加させ得る。数種の型のア
ジュバントを下述されるとおり使用し得る。フロイントの完全アジュバント、次いで不完
全アジュバントが実験動物の免疫化に好ましい。
ポリクローナル抗体を作成するのにウサギ若しくはモルモットを典型的に使用し得る。
例えば受動保護のためのポリクローナル抗体の例示的製造は後に続くとおり実施する。1
25匹の非トランスジェニックマウスを100μgのAβ1−42およびCFA/IFA
アジュバントで免疫し、そして4〜5か月に安楽死させる。免疫したマウスから血液を収
集する。IgGを他の血液成分から分離する。免疫原に特異的な抗体をアフィニティーク
ロマトグラフィーにより部分的に精製してもよい。マウスあたり平均約0.5〜1mgの
免疫原特異的抗体が得られ、合計60〜120mgを生じる。
マウスはモノクローナル抗体を作成するのに典型的に使用する。モノクローナル抗体は
、Aβのフラグメント若しくはより長い形態のAβをマウスに注入すること、ハイブリド
ーマを調製すること、およびAβに特異的に結合する抗体についてハイブリドーマをスク
リーニングすることによりフラグメントに対し製造し得る。場合によっては、抗体は、A
βの他のオーバーラップしないフラグメントへの結合を伴わないAβの特定の領域若しく
は所望のフラグメントへの結合についてスクリーニングする。後者のスクリーニングは、
Aβペプチドの欠失変異体の集合物への抗体の結合を測定すること、およびどの欠失変異
体が該抗体に結合するかを決定することにより達成し得る。結合は例えばウエスタンブロ
ット若しくはELISAにより評価し得る。抗体への特異的結合を示す最小のフラグメン
トが抗体のエピトープを規定する。あるいは、エピトープ特異性は、試験および参照抗体
がAβへの結合について競合する競合アッセイにより決定し得る。試験および参照抗体が
競合する場合には、それらは同一のエピトープ、または一方の抗体の結合が他方の結合を
妨害するような十分に近接したエピトープに結合する。こうした抗体の好ましいアイソタ
イプはマウスアイソタイプIgG2a若しくは他の種の同等のアイソタイプである。マウ
スアイソタイプIgG2aはヒトアイソタイプIgG1の同等物である。
2.キメラおよびヒト化抗体
本発明はまた、βアミロイドペプチドに特異的なキメラおよび/若しくはヒト化抗体(
例えばキメラおよび/若しくはヒト化免疫グロブリン)も特徴とする。キメラおよび/若
しくはヒト化抗体は、キメラ若しくはヒト化抗体の構築のための出発原料を提供するマウ
ス若しくは他のヒト以外の抗体と同一の若しくは類似の結合特異性および親和性を有する

A.キメラ抗体の製造
「キメラ抗体」という用語は、そのLおよびH鎖遺伝子が、典型的には遺伝子工学によ
り異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから構築された抗体を指す。例えば
、マウスモノクローナル抗体からの遺伝子の可変(V)セグメントを、IgG1およびI
gG4のようなヒト定常(C)セグメントに結合しうる。ヒトアイソタイプIgG1が好
ましい。典型的なキメラ抗体は、従って、マウス抗体からのVすなわち抗原結合ドメイン
およびヒト抗体からのCすなわちエフェクタードメインよりなるハイブリッドタンパク質
である。
B.ヒト化抗体の製造
「ヒト化抗体」という用語は、実質的にヒト抗体鎖(アクセプター免疫グロブリン若し
くは抗体と称される)からの可変領域枠組み残基および実質的にマウス抗体(ドナー免疫
グロブリン若しくは抗体と称される)からの最低1個の相補性決定領域を含んでなる最低
1本の鎖を含んでなる抗体を指す。Queenら、Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 86:10029−10033(1989)、米国特許第5,530,10
1号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762
号明細書、Selickら、第WO 90/07861号明細書およびWinter、米
国特許第5,225,539号明細書(全部の目的上そっくりそのまま引用することによ
り組み込まれる)を参照されたい。定常領域(1個若しくは複数)もまた、存在する場合
は実質的に若しくは完全にヒト免疫グロブリンからである。
ヒト可変ドメイン枠組みへのマウスCDRの置換は、最もありそうには、ヒト可変ドメ
イン枠組みが、CDRが発するマウス可変枠組みに同一の若しくは類似のコンホメーショ
ンを採用する場合に、それらの正しい空間的配置の保持をもたらす。これは、CDRが由
来したネズミの可変枠組みドメインとの高い程度の配列の同一性を枠組み配列が表すヒト
抗体からヒト可変ドメインを得ることにより達成される。HおよびL鎖可変枠組み領域は
同一若しくは異なるヒト抗体配列由来であり得る。ヒト抗体配列は、天然に存在するヒト
抗体の配列であり得るか、若しくは数種のヒト抗体のコンセンサス配列であり得る。Ke
ttleboroughら、Protein Engineering 4:773(1
991);Kolbingerら、Protein Engineering 6:97
1(1993)およびCarterら、第WO 92/22653号明細書を参照された
い。
ネズミのドナー免疫グロブリンおよび適切なヒトアクセプター免疫グロブリンの相補性
決定領域を同定すれば、次の段階は、生じるヒト化抗体の特性を至適化するためにこれら
の成分からのどの残基(あれば)を置換すべきかを決定することである。一般に、ネズミ
の残基の導入はヒトにおけるヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を導き出す抗体の危険を
増大させるため、ネズミのアミノ酸残基でのヒトアミノ酸残基の置換は最小限にすべきで
ある。免疫応答の技術に認識された決定方法を実施して、特定の患者における若しくは臨
床試験の間のHAMA応答をモニターし得る。ヒト化抗体を投与された患者に、前記治療
の投与の開始時におよびそれを通じて免疫原性の評価を与え得る。HAMA応答は、例え
ば、表面プラスモン共鳴技術(BIACORE)および/若しくは固相ELISA分析を
包含する当業者に既知の方法を使用して、患者からの血清サンプル中のヒト化治療薬に対
する抗体を検出することにより測定する。
ヒト可変領域枠組み残基からのあるアミノ酸を、CDRのコンホメーションおよび/若
しくは抗原への結合に対するそれらの可能な影響に基づいて置換のため選択する。ヒト可
変枠組み領域とのネズミのCDR領域の不自然な並置は、あるアミノ酸残基の置換により
是正されない限り、結合親和性の喪失につながる不自然なコンホメーションの歪みをもた
らし得る。
置換のためのアミノ酸残基の選択は部分的にコンピュータモデル化により決定する。免
疫グロブリン分子の三次元像を作製するためのコンピュータハードウェアおよびソフトウ
ェアを本明細書に記述する。一般に、分子モデルは免疫グロブリン鎖若しくはそれらのド
メインの解明された構造から出発して作製する。モデル化すべき鎖を、アミノ酸配列の類
似性について、解明された三次元構造の鎖若しくはドメインと比較し、そして、最大の配
列の類似性を示す鎖若しくはドメインを分子モデルの構築のための出発点として選択する
。最低50%の配列の同一性を共有する鎖若しくはドメインをモデル化のため選択し、そ
して、好ましくは最低60%、70%、80%、90%の配列の同一性若しくはそれ以上
を共有するものをモデル化のため選択する。解明された出発構造を、モデル化されている
免疫グロブリン鎖若しくはドメイン中の実際のアミノ酸と出発構造中のアミノ酸との間の
差違を見込むように改変する。改変した構造をその後混成免疫グロブリンに集成する。最
後に、エネルギー最小化、ならびに、全部の原子が相互から適切な距離内にあることなら
びに結合の長さおよび角度が化学的に許容できる限界内にあることを確認することにより
、モデルを精緻なものとする。
置換のためのアミノ酸残基の選択はまた、部分的には特定の位置のアミノ酸の特徴の検
査または特定のアミノ酸の置換若しくは突然変異誘発の効果の経験的観察によっても決定
し得る。例えば、あるアミノ酸がネズミの可変領域枠組み残基と選択したヒト可変領域枠
組み残基との間で異なる場合、ヒト枠組みアミノ酸は、通常、該アミノ酸が:
(1)抗原を直接非共有結合する、
(2)CDR領域に隣接する、
(3)CDR領域と別の方法で相互作用する(例えばコンピュータモデル化により決定さ
れるところのCDR領域の約3〜6Å内にある)、若しくは
(4)VL−VH界面に参画する
ことが合理的に期待される場合はマウス抗体からの同等な枠組みアミノ酸により置換すべ
きである。
「抗原と直接非共有結合する」残基は、確立された化学的力により、例えば水素結合形
成、ファンデルワールス力、疎水性相互作用などにより抗原上のアミノ酸と直接相互作用
する十分な確率を有するである枠組み領域中の位置のアミノ酸を包含する。
CDRおよび枠組み領域はKabatら若しくはChothiaら、上記により定義さ
れるとおりである。Kabatら、上記により定義されるところの枠組み残基がChot
hiaら、上記により定義されるところの構造的ループ残基を構成する場合、マウス抗体
中に存在するアミノ酸をヒト化抗体中での置換に選択しうる。「CDR領域に隣接する」
残基は、ヒト化免疫グロブリン鎖の一次配列中でCDRの1個若しくはそれ以上に直に隣
接する位置、例えばKabatにより定義されるところのCDR若しくはChothia
により定義されるところのCDRに直に隣接する位置のアミノ酸残基を包含する(例えば
ChothiaとLesk JMB 196:901(1987)を参照されたい)。こ
れらのアミノ酸は、とりわけ、CDR中のアミノ酸と相互作用しかつアクセプターから選
ばれる場合はドナーCDRを歪ませかつ親和性を低下させることがありそうである。さら
に、隣接アミノ酸は抗原と直接相互作用するとみられ(Amitら、Science、2
33:747(1986))(引用することにより本明細書に組み込まれる)、また、ド
ナーからこれらのアミノ酸を選択することは元の抗体における親和性を提供する全部の抗
原接触を保つために望ましいとみられる。
「CDR領域と別の方法で相互作用する」残基は、CDR領域を達成するのに十分な空
間的配置にあることが二次構造解析により決定されるものを包含する。一態様において、
「CDR領域と別の方法で相互作用する」残基は、ドナー免疫グロブリンの三次元モデル
(例えばコンピュータで生成されるモデル)を解析することにより同定される。典型的に
は元のドナー抗体の三次元モデルは、CDRの外側のあるアミノ酸がCDRに近くかつ水
素結合形成、ファンデルワールス力、疎水性相互作用などによりCDR中のアミノ酸と相
互作用する十分な確率を有することを示す。それらのアミノ酸位置では、アクセプター免
疫グロブリンのアミノ酸よりもむしろドナー免疫グロブリンのアミノ酸を選択しうる。こ
の基準に従うアミノ酸は、一般に、CDR中の何らかの原子の約3オングストローム単位
(Å)内に側鎖原子を有することができ、そして上に列挙されたもののような確立した化
学的力によりCDR原子と相互作用し得る原子を含有するはずである。
水素結合を形成しうる原子の場合、3Åはそれらの核間で測定されるが、しかし、結合
を形成しない原子については、3Åはそれらのファンデルワールス表面間で測定される。
これゆえに、後者の場合において、核は、相互作用することが可能とみなされる原子につ
いて約6Å(3Åおよびファンデルワールス半径の合計)内になくてはならない。多くの
場合、核は4若しくは5ないし6Å離れていることができる。アミノ酸がCDRと相互作
用し得るかどうかの決定において、H鎖のCDR2の最後の8アミノ酸をCDRの一部と
みなさないことが好ましい。構造の見地から、これら8アミノ酸は枠組みの一部としてよ
り多く挙動するからである。
CDR中のアミノ酸と相互作用することが可能であるアミノ酸はなお別の方法で同定し
うる。各枠組みアミノ酸の溶媒が接近可能な表面積は、2つの方法、すなわち(1)無傷
の抗体で、および(2)そのCDRを除去した抗体よりなる仮定の分子で計算する。約1
0平方Å若しくはそれ以上のこれらの数の間の有意の差異は、枠組みアミノ酸の溶媒への
接近がCDRにより少なくとも部分的に阻害されること、および従って該アミノ酸はCD
Rと接触していることを示す。アミノ酸の溶媒が接近可能な表面積は、当該技術分野で既
知のアルゴリズム(例えばConnolly、J.Appl.Cryst.16:548
(1983)およびLeeとRichards、J.Mol.Biol.55:379(
1971)(それらの双方は引用することにより本明細書に組み込まれる))を使用して
抗体の三次元モデルに基づき計算しうる。枠組みアミノ酸はまた、ときに、順にCDRと
接触する別の枠組みアミノ酸のコンホメーションに影響を及ぼすことによりCDRと間接
的に相互作用することもある。
枠組み中のいくつかの位置のアミノ酸は多くの抗体中のCDRと相互作用することが可
能であることが既知である(ChothiaとLesk、上記、Chothiaら、上記
およびTramontanoら、J.Mol.Biol.215:175(1990)(
それらの全部は引用することにより本明細書に組み込まれる))。注目すべきことに、L
鎖の位置2、48、64および71ならびにH鎖の26−30、71および94のアミノ
酸(Kabatによる番号付け)は、多くの抗体中のCDRと相互作用することが可能で
あることが既知である。L鎖の位置35ならびにH鎖の93および103のアミノ酸もま
たCDRと相互作用することがありそうである。全部のこれらの番号付けられた位置では
、ヒト化免疫グロブリン中にあるべきアクセプターアミノ酸よりはむしろドナーアミノ酸
(それらが異なる場合)の選択が好ましい。他方、L鎖の最初の5アミノ酸のようなCD
R領域と相互作用することが可能なある残基を、ときに、ヒト化免疫グロブリンにおける
親和性の喪失を伴わずにアクセプター免疫グロブリンから選ぶことができる。
「VL−VH界面に参画する」残基若しくは「充填残基」は、例えばNovotnyと
Haber、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:4592−66(
1985)若しくはChothiaら、上記により定義されるところのVLとVHとの間
の界面の残基を包含する。一般に、異常な充填残基は、それらがヒト枠組み中のものと異
なる場合は、ヒト化抗体中で保持されるべきである。
一般に、上の基準を満たすアミノ酸の1個若しくはそれ以上を置換する。いくつかの態
様においては上の基準を満たすアミノ酸の全部若しくは大部分を置換する。ときに、特定
の一アミノ酸が上の基準に合致するかどうかについて若干のあいまいさが存在し、そして
、一方はその特定の置換を有し、他方は有しない代替のバリアント免疫グロブリンが製造
される。そのように製造した代替のバリアント免疫グロブリンを、本明細書に記述される
アッセイのいずれかで所望の活性について試験し得、そして好ましい免疫グロブリンを選
択し得る。
通常、ヒト化抗体中のCDR領域はドナー抗体の対応するCDR領域に実質的に同一、
およびより通常は同一である。通常は望ましくないとは言え、生じるヒト化免疫グロブリ
ンの結合親和性に認識可能に影響を及ぼすことなくCDR残基の1個若しくはそれ以上の
保存的アミノ酸置換を行うことがときに可能である。保存的置換により、gly、ala
;val、ile、leu;asp、glu;asn、gln;ser、thr;lys
、arg;およびphe、tyrのような組合せを意図している。
置換の付加的な候補は、その位置でヒト免疫グロブリンにとって異常若しくは「希少」
であるアクセプターヒト枠組みアミノ酸である。これらのアミノ酸は、マウスドナー抗体
の同等な位置若しくはより典型的なヒト免疫グロブリンの同等な位置からのアミノ酸で置
換し得る。例えば、アクセプター免疫グロブリンのヒト枠組み領域中のアミノ酸がその位
置にとって希少でありかつドナー免疫グロブリン中の対応するアミノ酸がヒト免疫グロブ
リン配列中のその位置に普遍的である場合;若しくはアクセプター免疫グロブリン中のア
ミノ酸がその位置にとって希少でありかつドナー免疫グロブリン中の対応するアミノ酸も
また他のヒト配列に関して希少である場合、置換が望ましいとみられる。これらの基準は
、ヒト枠組み中の典型的でないアミノ酸が抗体構造を破壊しないことを確実にするのに役
立つ。さらに、異常なヒトアクセプターアミノ酸をヒト抗体に偶々典型的であるドナー抗
体からのアミノ酸で置換することにより、ヒト化抗体はより少なく免疫原性にされうる。
本明細書で使用されるところの「希少な(rare)」という用語は、配列の代表的サ
ンプル中の配列の約20%未満、しかし通常は約10%未満でその位置に存在するアミノ
酸を示し、また、本明細書で使用されるところの「普遍的な(common)」という用
語は、代表的サンプル中の配列の約25%以上しかし通常は約50%以上に存在するアミ
ノ酸を示す。例えば、全部のヒトLおよびH鎖可変領域配列は、それぞれ、相互にとりわ
け相同でありかつある極めて重要な位置に同一のアミノ酸を有する配列の「サブグループ
」にグループ分けされる(Kabatら、上記)。ヒトアクセプター配列中のあるアミノ
酸がヒト配列の間で「希少」であるか若しくは「普遍的」であるかを決定する場合、該ア
クセプター配列と同一のサブグループのヒト配列のみを考慮することがしばしば好ましい
ことができる。
置換の付加的な候補は、Chothiaら、上記により提案された代替の定義のもとで
CDR領域の一部と同定されるとみられるアクセプターヒト枠組みアミノ酸である。置換
の付加的な候補は、AbMおよび/若しくは接触の定義のもとでCDR領域の一部と同定
されるとみられるアクセプターヒト枠組みアミノ酸である。注目すべきことに、可変H鎖
中のCDR1は残基26−32を包含すると定義される。
置換の付加的な候補は、希少若しくは異常なドナー枠組み残基に対応するアクセプター
枠組み残基である。希少若しくは異常なドナー枠組み残基は、その位置でネズミの抗体に
とって(本明細書で定義されるところの)希少若しくは異常であるものである。ネズミの
抗体について、サブグループをKabatに従って決定し得、そしてコンセンサスと異な
る残基位置を同定し得る。これらのドナー特異的な差異は活性を高めるネズミの配列中の
体細胞突然変異を指すとみられる。結合に影響を及ぼすと予測される異常な残基が保持さ
れる一方、結合に重要でないと予測される残基を置換し得る。
置換の付加的な候補はアクセプター枠組み領域中に存在する非生殖系列残基である。例
えば、アクセプター抗体鎖(すなわちドナー抗体鎖と有意の配列の同一性を共有するヒト
抗体鎖)を生殖系列抗体鎖(同様にドナー鎖と有意の配列の同一性を共有する)に整列さ
せる場合、アクセプター鎖枠組みと生殖系列鎖枠組みとの間で一致しない残基を、生殖系
列配列からの対応する残基で置換し得る。
上で論考された特定のアミノ酸置換以外に、ヒト化免疫グロブリンの枠組み領域は通常
、それらが由来したヒト抗体の枠組み領域に実質的に同一、およびより通常は同一である
。もちろん、枠組み領域中のアミノ酸の多くは抗体の特異性若しくは親和性にほとんど若
しくは全く直接的な寄与をなさない。従って、枠組み残基の多くの個々の保存的置換は、
生じるヒト化免疫グロブリンの特異性若しくは親和性の認識可能な変化を伴わずに耐えら
れ得る。従って、一態様において、ヒト化免疫グロブリンの可変枠組み領域はヒト可変枠
組み領域配列若しくはこうした配列のコンセンサスに対する最低85%の配列の同一性を
共有する。別の態様において、ヒト化免疫グロブリンの可変枠組み領域は、ヒト可変枠組
み領域配列若しくはこうした配列のコンセンサスに対する最低90%、好ましくは95%
、より好ましくは96%、97%、98%若しくは99%の配列の同一性を共有する。し
かしながら一般にこうした置換は望ましくない。
ヒト化抗体は、好ましくは最低10、10、10若しくは1010−1の抗原
に対する特異的結合親和性を表す。通常、抗原に対するヒト化抗体の結合親和性の上限は
ドナー免疫グロブリンのものの3、4若しくは5の係数以内である。しばしば、結合親和
性の下限もまたドナー免疫グロブリンのものの3、4若しくは5の係数以内である。ある
いは、結合親和性は、置換を有しないヒト化抗体(例えばドナーのCDRおよびアクセプ
ターのFRを有するがしかしFR置換を有しない抗体)のものと比較し得る。こうした例
において、(置換を伴う)至適化した抗体の結合は、好ましくは、未置換の抗体のものよ
り最低2ないし3倍より大きいか、若しくは3ないし4倍より大きい。比較を行うために
、多様な抗体の活性を例えばBIACORE(すなわち未標識の試薬を使用する表面プラ
スモン共鳴)若しくは競合結合アッセイにより測定し得る。
C.ヒト化3D6抗体の製造
本発明の好ましい一態様は、とりわけ本明細書に記述される治療および/若しくは診断
の方法論での使用のためのAβのN末端に対するヒト化抗体を特徴とする。ヒト化抗体の
製造のためのとりわけ好ましい一出発原料は3D6である。3D6はAβのN末端に特異
的でありかつアミロイド斑の食作用を媒介する(例えば食作用を誘導する)ことが示され
ている(実施例I〜Vを参照されたい)。3D6抗体のHおよびL鎖可変領域をコードす
るcDNAのクローニングおよびシークエンシングを実施例VIに記述する。
適するヒトアクセプター抗体配列は、マウス可変領域のアミノ酸配列の既知のヒト抗体
の配列とのコンピュータ比較により同定する。該比較はHおよびL鎖について別個に実施
するがしかし原理はそれぞれについて類似である。とりわけ、その枠組み配列がネズミの
VLおよびVH枠組み領域と高い程度の配列の同一性を表すヒト抗体からの可変ドメイン
を、それぞれのネズミの枠組み配列を用いてNCBIのBLAST(国立保健研究所(N
ational Institutes of Health)のNCBIのインターネ
ットサーバーを通じて公的にアクセス可能)を使用するKabatデータベースのクエリ
により同定した。一態様において、ネズミのドナー配列と50%以上の配列の同一性を共
有するアクセプター配列を選択する。好ましくは、60%、70%、80%、90%若し
くはそれ以上を共有するアクセプター抗体配列を選択する。
3D6のコンピュータ比較は、3D6 L鎖がKabatら、上記により定義されると
ころのサブタイプκIIのヒトL鎖に対する最大の配列の同一性を示すこと、および3D
6 H鎖がサブタイプIIIのヒトH鎖に対する最大の配列の同一性を示すことを明らか
にした。従って、LおよびHヒト枠組み領域は、好ましくはこれらのサブタイプのヒト抗
体若しくはこうしたサブタイプのコンセンサス配列由来である。3D6からの対応する領
域に対する最大の配列の同一性を示す好ましいL鎖ヒト可変領域は、Kabat ID番
号019230、005131、005058、005057、005059、U210
40およびU41645を有する抗体からであり、019230がより好ましい。3D6
からの対応する領域に対する最大の配列の同一性を示す好ましいH鎖ヒト可変領域は、K
abat ID番号045919、000459、000553、000386およびM
23691を有する抗体からであり、045919がより好ましい。
次に、後に続くとおり置換のための残基を選択する。あるアミノ酸が3D6可変枠組み
領域と同等なヒト可変枠組み領域との間で異なる場合、ヒト枠組みアミノ酸は通常、該ア
ミノ酸が:
(1)抗原を直接非共有結合する、
(2)CDR領域に隣接する、Chothiaら、上記により提案される代替の定義のも
とでCDR領域の一部である、若しくはCDR領域と別の方法で相互作用する(例えばC
DR領域の約3A以内である)(例えば3D6の位置L2、H49およびH94のアミノ
酸)、または
(3)VL−VH界面に参画する(例えば3D6の位置L36、L46およびH93のア
ミノ酸)
ことが合理的に期待される場合は、同等なマウスのアミノ酸により置換されるべきである
3D6抗体のHおよびL鎖可変領域のコンピュータモデル化、ならびに3D6抗体のヒ
ト化を実施例VIIに記述する。簡潔には、HおよびL鎖の最も緊密に解明されたネズミ
の抗体の構造に基づき三次元モデルを生成した。この目的上、1CR9と呼称される抗体
(タンパク質データバンク(PDB)ID:1CR9、Kanyoら、J.Mol.Bi
ol.293:855(1999))を、3D6 L鎖をモデル化するための鋳型として
選び、また、1OPGと呼称される抗体(PDB ID:1OPG、Kodandapa
niら、J.Biol.Chem.270:2268(1995))を、H鎖をモデル化
するための鋳型として選んだ。該モデルは、好ましくない原子接触を緩和しかつ静電的お
よびファンデルワールス相互作用を至適化するための一連のエネルギー最小化段階により
さらに精緻なものとした。3D6および1OPGは比較の目的上整列した場合にこの領域
で有意の配列の相同性を表さなかったため、H鎖のCDR3をモデル化するための鋳型と
して1qkz(PDB ID:1QKZ、Derrickら、J.Mol.Biol.
93:81(1999))の解明された構造を選んだ。
本明細書に記述される抗体の三次元構造の情報は、例えば構造バイオインフォマティク
ス研究共同体(Research Collaboratory for Struct
ural Bioinformatics)のタンパク質データバンク(PDB)から公
的に入手可能である。PDBはワールドワイドウェブのインターネットを介して自由にア
クセス可能であり、そしてBermanら(2000)Nucleic Acids R
esearch、28:235により記述されている。コンピュータモデル化はCDRと
相互作用する残基の同定を見込む。3D6の構造のコンピュータモデルは、順に、ヒト枠
組み構造中で置換された3D6の相補性決定領域を含有する抗体の三次元構造を予測する
ための出発点としてはたらく可能性がある。さらなるアミノ酸置換を導入した際の構造を
表す付加的なモデルを構築し得る。
一般に、上の基準を満たすアミノ酸の1個、大部分若しくは全部の置換が望ましい。従
って、本発明のヒト化抗体は、通常、以下の位置すなわちL1、L2、L36およびL4
6の最低1、2若しくは3、およびより通常は4個において対応する3D6残基でのヒト
L鎖枠組み残基の置換を含有することができる。該ヒト化抗体はまた、通常、以下の位置
すなわちH49、H93およびH94の最低1、2およびときに3個において対応する3
D6残基でのヒトH鎖枠組み残基の置換も含有する。ヒト化抗体はまた、以下の位置すな
わちH74、H77およびH89の最低1、2およびときに3個において対応する生殖系
列残基でのH鎖枠組み残基の置換も含有し得る。
しかしながら、ときに特定の一アミノ酸が上の基準に合致するかどうかに関して若干の
あいまいさが存在し、そして一方はその特定の置換を有し、他方は有しない代替のバリア
ント免疫グロブリンが製造される。ネズミの残基での置換がヒト免疫グロブリンにおいて
希少である残基を特定の一位置に導入するとみられる場合、該特定の置換を伴う若しくは
伴わない活性について該抗体を試験することが望ましいことがある。活性(例えば結合親
和性および/若しくは結合特異性)が置換を伴い若しくは伴わずにほぼ同一である場合、
置換を伴わない抗体は本明細書に記述されるところのHAHA応答をほとんど導き出さな
いと期待することができるため、それが好ましいことができる。
置換の他の候補はその位置でヒト免疫グロブリンにとって異常であるアクセプターヒト
枠組みアミノ酸である。これらのアミノ酸をより典型的なヒト免疫グロブリンの同等の位
置からのアミノ酸で置換し得る。あるいは、マウス3D6中の同等な位置からのアミノ酸
が該同等な位置でヒト免疫グロブリンに典型的である場合は、こうしたアミノ酸をヒト枠
組み領域に導入し得る。
ヒトL鎖枠組みアクセプター免疫グロブリンがKabat ID番号019230であ
る付加的な態様において、該L鎖は以下の位置、すなわちL7、L10、L12、L15
、L17、L39、L45、L63、L78、L83、L85、L100若しくはL10
4の最低1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12若しくはより通常は1
3個に置換を含有する。ヒトH鎖枠組みアクセプター免疫グロブリンがKabat ID
番号045919である付加的な態様において、H鎖は以下の位置、すなわちH3、H5
、H13、H16、H19、H40、H41、H42、H44、H72、H77、H82
A、H83、H84若しくはH108の最低1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
、11、12、13、14若しくはより通常は15個に置換を含有する。これらの位置を
、より典型的なアミノ酸残基を有するヒト免疫グロブリンの同等の位置からのアミノ酸で
置換する。置換するための適切なアミノ酸の例を図1および2に示す。
置換の他の候補は枠組み領域中に存在する非生殖系列残基である。既知の生殖系列配列
との3D6のコンピュータ比較は、最高の程度の配列の同一性を示すH鎖が生殖系列可変
領域配列VH3−48、VH3−23、VH3−7、VH3−21およびVH3−11を
包含することを示し、VH3−23がより好ましい。VH3−23とのKabat ID
045919のアラインメントは、残基H74、H77および/若しくはH89が、対
応する生殖系列残基(例えばKabat ID 045919およびVH3−23を比較
する場合に残基H74、H77および/若しくはH89)での置換に選択されうることを
示す。同様に、3D6 L鎖に対する最高の程度の同一性を有する生殖系列配列はA1、
A17、A18、A2およびA19を包含し、A19が最も好ましい。選択したL鎖アク
セプター枠組みとこれらの生殖配列の1つとの間で一致しない残基を、対応する生殖系列
残基での置換に選択し得る。
表1は3D6 VHおよびVL領域の配列分析を要約する。3D6抗体および付加的な
ヒト抗体のコンピュータモデル化に使用し得る付加的なマウスおよびヒト配列、ならびに
アミノ酸置換の選択で使用し得る生殖系列配列を示す。希少マウス残基もまた表1に示す
。希少マウス残基は、ドナーVLおよび/若しくはVH配列を該ドナーVLおよび/若し
くはVH配列が属する(Kabatによる)サブグループの他メンバーの配列と比較する
こと、ならびにコンセンサスと異なる残基位置を同定することにより同定する。これらの
ドナー特異的な差異は活性を高める体細胞突然変異を示すかもしれない。結合部位に近い
異常な若しくは希少残基はおそらく抗原と接触してマウス残基を保持することを望ましく
するとみられる。しかしながら、異常なマウス残基が結合に重要でない場合は、該マウス
残基がヒト化抗体中で免疫原性のネオエピトープ(neoepitope)を創製しうる
ため、対応するアクセプター残基の使用が好ましい。ドナー配列中の異常な残基が対応す
るアクセプター配列中で実際は普遍的残基である状況では、好ましい残基は明らかにアク
セプター残基である。
Figure 2012034697
本明細書で言及されるKabat IDは、例えばノースウエスタン大学生物医学工学
部の免疫学的目的のタンパク質の配列のKabatデータベース(Northweste
rn University Biomedical Engineering Dep
artment’s Kabat Database of Sequences of
Proteins of Immunological Interest)から公的
に入手可能である。本明細書に記述される抗体の三次元構造の情報は、例えば構造バイオ
インフォマティクス研究共同体(Research Collaboratory fo
r Structural Bioinformatics)のタンパク質データバンク
(PDB)から公的に入手可能である。PDBはワールドワイドウェブのインターネット
を介して自由にアクセス可能であり、そしてBermanら(2000)Nucleic
Acids Research、p235−242により記述されている。本明細書で
言及される生殖系列遺伝子配列は、例えば国立生物工学情報センター(National
Center for Biotechnology Information)(N
CBI)のIgh、Ig κおよびIg λ生殖系列V遺伝子の集合物の配列のデータベ
ース(国立保健研究所(National Institutes of Health
)(NIH)の国立医学図書館(National Library of Medic
ine)(NLM)の一部門として)から公的に入手可能である。NCBIの「Ig生殖
系列遺伝子」データベースの相同性検索はIgG BLASTTMにより提供される。
好ましい一態様において、本発明のヒト化抗体は、(i)ネズミの3D6 VLのCD
Rおよびヒトアクセプター枠組み(該枠組みは対応する3D6残基で置換されたL1、L
2、L36およびL46よりなる群から選択される最低1、好ましくは2、3若しくは4
残基を有する)を含んでなる可変ドメインを含んでなるL鎖、ならびに(ii)3D6
VHのCDRおよびヒトアクセプター枠組み(該枠組みは対応する3D6残基で置換され
たH49、H93およびH94よりなる群から選択される最低1、好ましくは2若しくは
3残基を有する)を含んでなるH鎖を含有し、そして、場合によっては、H74、H77
およびH89よりなる群から選択される最低1、好ましくは2若しくは3残基が、対応す
るヒト生殖系列残基で置換される。
より好ましい一態様において、本発明のヒト化抗体は、(i)ネズミの3D6 VLの
CDRおよびヒトアクセプター枠組み(該枠組みはtyr(Y)で置換された残基1、v
al(V)で置換された残基2、leu(L)で置換された残基36および/若しくはa
rg(R)で置換された残基46を有する)を含んでなる可変ドメインを含んでなるL鎖
、ならびに(ii)3D6 VHのCDRおよびヒトアクセプター枠組み(該枠組みはa
la(A)で置換された残基49、val(V)で置換された残基93および/若しくは
arg(R)で置換された残基94を有し、かつ、場合によっては、ser(S)で置換
された残基74、thr(T)で置換された残基77および/若しくはval(V)で置
換された残基89を有する)を含んでなるH鎖を含有する。
とりわけ好ましい一態様において、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記述されるとこ
ろの構造的特徴を有し、かつ、以下の活性、すなわち(1)(例えばELISAにより測
定されるとおり)凝集したAβ1−42に結合する;(2)斑中のAβを結合する(例え
ばADおよび/若しくはPDAPP斑の染色);(3)キメラ3D6(例えばネズミの可
変領域配列およびヒト定常領域配列を有する3D6)に比較して2ないし3倍より高い結
合親和性でAβを結合する;(4)(例えば本明細書に記述されるところのex viv
o食作用アッセイにおいて)Aβの食作用を媒介する;ならびに(5)血液脳関門を横断
する(例えば、例えば本明細書に記述されるところのPDAPP動物モデルにおいて短期
の脳局在化を示す)の最低1つ(好ましくは2、3、4若しくは全部)をさらに有する。
別の態様において、本発明のヒト化抗体は本明細書に記述されるところの構造的特徴を
有し、以下のin vivo効果、すなわち(1)Aβ斑負荷を低下させる;(2)斑形
成を予防する;(3)可溶性Aβのレベルを低下させる;(4)アミロイド原性障害と関
連する神経炎性の病状を低下させる;(5)アミロイド原性障害と関連する最低1種の生
理学的症状を小さくするすなわち改善する;および/若しくは(6)認識機能を向上させ
る、の最低1つを導き出すのに十分な様式で若しくは親和性を伴いAβを結合する。
別の態様において、本発明のヒト化抗体は本明細書に記述されるところの構造的特徴を
有し、そしてAβの残基1−5若しくは3−7を含んでなるエピトープに特異的に結合す
る。
上述された活性は本明細書若しくは当該技術分野で記述される多様なアッセイ(例えば
結合アッセイ、食作用アッセイなど)のいずれか1つを利用して測定し得る。活性は(例
えば標識したアッセイ成分および/若しくは画像化技術を使用して)in vivoまた
は(例えば被験体由来のサンプル若しくは試料を使用して)in vitroのいずれで
もアッセイし得る。活性は直接若しくは間接的のいずれでもアッセイし得る。ある好まし
い態様において、神経学的エンドポイント(例えばアミロイド負荷、神経炎性負荷など)
をアッセイする。こうしたエンドポイントは、非侵襲的検出の方法論を使用して、生存す
る被験体で(例えばアルツハイマー病の動物モデル若しくは例えば免疫療法を受けている
ヒト被験体で)アッセイし得る。あるいは、こうしたエンドポイントは死後の被験体でア
ッセイし得る。動物モデルおよび/若しくは死後のヒト被験体でこうしたエンドポイント
をアッセイすることは、類似の免疫治療の応用で利用されるべき多様な剤(例えばヒト化
抗体)の有効性の評価において有用である。他の好ましい態様において、行動若しくは神
経学的パラメータを上の神経病理学的活性若しくはエンドポイントの指標として評価し得
る。
3.ヒト抗体
Aβに対するヒト抗体は下述される多様な技術により提供される。数種のヒト抗体は、
競合結合実験により、そうでなければ本明細書に記述されるマウスモノクローナル抗体の
1種のような特定の1マウス抗体と同一のエピトープ特異性を有するように選択する。ヒ
ト抗体はまた、免疫原としてAβのフラグメントのみを使用することにより、および/若
しくはAβの欠失変異体の集合物に対し抗体をスクリーニングすることにより、特定の1
エピトープ特異性についてもスクリーニングし得る。ヒト抗体は好ましくはヒトIgG1
アイソタイプ特異性を有する。
a.トリオーマ(trioma)の方法論
基礎的アプローチ、および本アプローチでの使用のための例示的一細胞融合パートナー
SPAZ−4は、Oestbergら、Hybridoma 2:361(1983);
Oestberg、米国特許第4,634,664号明細書;およびEnglemanら
、米国特許第4,634,666号明細書(それらのそれぞれは全部の目的上そっくりそ
のまま引用することにより組み込まれる)により記述されている。本方法により得られる
抗体産生細胞株は、それらが3種の細胞(2種はヒトおよび1種はマウス)の子孫である
ためにトリオーマ(trioma)と呼ばれる。最初に、マウス骨髄腫株をヒトBリンパ
球と融合して、Oestberg、上記により記述されるSPAZ−4細胞株のような抗
体を産生しない異種ハイブリッド細胞を得る。該異種細胞をその後、免疫したヒトBリン
パ球と融合して抗体産生トリオーマ細胞株を得る。トリオーマはヒト細胞から作成した通
常のハイブリドーマより安定に抗体を産生することが見出された。
免疫したBリンパ球はヒトドナーの血液、脾、リンパ節若しくは骨髄から得る。特定の
抗原若しくはエピトープに対する抗体が望ましい場合は、免疫化にその抗原若しくはその
エピトープを使用することが好ましい。免疫化はin vivo若しくはin vitr
oのいずれでもあり得る。in vivo免疫化には、B細胞は典型的にAβ、そのフラ
グメント、Aβ若しくはフラグメントを含有するより大きなポリペプチド、またはAβに
対する抗体に対する抗イディオタイプ抗体で免疫したヒトから単離する。いくつかの方法
において、B細胞は抗体治療を最終的に投与されることになる同一患者から単離する。i
n vitro免疫化には、Bリンパ球は典型的に、10%ヒト血漿を補充したRPMI
−1640(Engleman、上記を参照されたい)のような培地中で7〜14日の期
間、抗原に曝露する。
免疫したBリンパ球を公知の方法によりSPAZ−4のような異種ハイブリッド細胞に
融合する。例えば、該細胞をMW 1000〜4000の40〜50%ポリエチレングリ
コールで約37℃で約5〜10分間処理する。細胞を融合混合物から分離し、そして所望
のハイブリッドについて選択的な培地(例えばHAT若しくはAH)中で増殖させる。必
要とされる結合特異性を有する抗体を分泌するクローンを、Aβ若しくはそのフラグメン
トに結合する能力についてトリオーマ培地をアッセイすることにより同定する。所望の特
異性を有するヒト抗体を産生するトリオーマを限界希釈技術によりサブクローニングし、
そして培地中でin vitroで増殖させる。得られるトリオーマ細胞株をその後、A
β若しくはそのフラグメントを結合する能力について試験する。
トリオーマは遺伝的に安定であるとは言えそれらは抗体を非常に高力価で産生するわけ
ではない。発現レベルは、抗体遺伝子をトリオーマから1種若しくはそれ以上の発現ベク
ターにクローン化すること、および該ベクターを標準的な哺乳動物、細菌若しくは酵母細
胞株に形質転換することにより増大させ得る。
b.トランスジェニックのヒト以外の哺乳動物
Aβに対するヒト抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の最低1セグメントをコー
ドする導入遺伝子を有するヒト以外のトランスジェニック哺乳動物からも産生させ得る。
通常、こうしたトランスジェニック哺乳動物の内因性の免疫グロブリン遺伝子座は機能的
に不活性化する。好ましくは、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の該セグメントはHおよびL
鎖成分の再配列されていない配列を包含する。内因性免疫グロブリン遺伝子の不活性化お
よび外因性免疫グロブリン遺伝子の導入の双方を、標的化相同的組換え若しくはYAC染
色体の導入により達成し得る。この方法から生じるトランスジェニック哺乳動物は、免疫
グロブリン成分の配列を機能的に再配列しかつ内因性免疫グロブリン遺伝子を発現するこ
となくヒト免疫グロブリン遺伝子によりコードされる多様なアイソタイプの抗体のレパー
トリーを発現することが可能である。これらの特性を有する哺乳動物の製造および特性は
、例えばLonbergら、第WO93/12227号明細書(1993);米国特許第
5,877,397号、同第5,874,299号、同第5,814,318号、同第5
,789,650号、同第5,770,429号、同第5,661,016号、同第5,
633,425号、同第5,625,126号、同第5,569,825号、同第5,5
45,806号明細書、Nature 148:1547(1994)、Nature
Biotechnology 14:826(1996)、Kucherlapati、
第WO 91/10741号明細書(1991)(それらのそれぞれは全部の目的上そっ
くりそのまま引用することにより組み込まれる)により詳細に記述されている。トランス
ジェニックマウスがとりわけ適する。抗Aβ抗体は、Lonberg若しくはKuche
rlapati、上記により記述されるようなトランスジェニックのヒト以外の哺乳動物
をAβ若しくはそのフラグメントで免疫することにより得られる。モノクローナル抗体は
例えば慣習的なKohler−Milsteinの技術を使用してこうした哺乳動物から
のB細胞を適する骨髄腫細胞株に融合することにより製造する。免疫原性の剤で免疫した
ヒトから血清の形態でヒトポリクローナル抗体もまた提供し得る。場合によっては、こう
したポリクローナル抗体を、アフィニティー試薬としてAβ若しくは他のアミロイドペプ
チドを使用するアフィニティー精製により濃縮し得る。
c.ファージディスプレイ法
ヒト抗Aβ抗体を得るためのさらなる一アプローチは、Huseら、Science
246:1275−1281(1989)により概説された一般的プロトコルに従ってヒ
トB細胞からのDNAライブラリーをスクリーニングすることである。トリオーマの方法
論について記述されたとおり、こうしたB細胞はAβ、フラグメント、Aβ若しくはフラ
グメントを含有するより長いポリペプチド、または抗イディオタイプ抗体で免疫したヒト
から得ることができる。場合によっては、こうしたB細胞は抗体処置を最終的に受けるこ
とになる患者から得る。Aβ若しくはそのフラグメントに結合する抗体を選択する。こう
した抗体(若しくは結合フラグメント)をコードする配列をその後クローン化しかつ増幅
する。Huseにより記述されたプロトコルはファージディスプレイ技術と組合せてより
効率的にされる。例えば、Dowerら、第WO 91/17271号明細書、McCa
ffertyら、第WO 92/01047号明細書、Herzigら、米国特許第5,
877,218号明細書、Winterら、米国特許第5,871,907号明細書、W
interら、米国特許第5,858,657号明細書、Holligerら、米国特許
第5,837,242号明細書、Johnsonら、米国特許第5,733,743号明
細書およびHoogenboomら、米国特許第5,565,332号明細書(それらの
それぞれは全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)を参照され
たい。これらの方法で、メンバーがそれらの外側表面上に多様な抗体を表示するファージ
のライブラリーが製造される。抗体は通常Fv若しくはFabフラグメントとして表示さ
れる。所望の特異性をもつ抗体を表示するファージを、Aβペプチド若しくはそのフラグ
メントに対する親和性の強化により選択する。
ファージディスプレイ法の一変形において、選択したネズミの抗体の結合特異性を有す
るヒト抗体を製造し得る。Winter、第WO 92/20791号明細書を参照され
たい。本方法では、選択したネズミの抗体のH若しくはL鎖いずれかの可変領域を出発原
料として使用する。例えばL鎖可変領域を出発原料として選択する場合、メンバーが同一
のL鎖可変領域(すなわちネズミの出発原料)および異なるH鎖可変領域を表示するファ
ージライブラリーが構築される。H鎖可変領域は再配列されたヒトH鎖可変領域のライブ
ラリーから得られる。Aβに対する強い特異的結合(例えば最低10および好ましくは
最低10−1)を示すファージを選択する。このファージからのヒトH鎖可変領域が
その後さらなるファージライブラリーを構築するための出発原料としてはたらく。本ライ
ブラリーにおいて、各ファージは同一のH鎖可変領域(すなわち第一のディスプレイライ
ブラリーから同定される領域)および異なるL鎖可変領域を表示する。L鎖可変領域は再
配列されたヒト可変L鎖領域のライブラリーから得られる。再度、Aβに対する強い特異
的結合を示すファージを選択する。これらのファージは完全にヒトの抗Aβ抗体の可変領
域を表示する。これらの抗体は通常、ネズミの出発原料と同一若しくは類似のエピトープ
特異性を有する。
4.可変領域の製造
ヒト化免疫グロブリンのCDRおよび枠組み成分を概念的に選択したら、こうした免疫
グロブリンの多様な製造方法が利用可能である。暗号の縮重のため、多様な核酸配列が各
免疫グロブリンのアミノ酸配列をコードすることができる。所望の核酸配列は新規固相D
NA合成若しくは所望のポリヌクレオチドのより早期に製造されたバリアントのPCR突
然変異誘発により製造し得る。オリゴヌクレオチドに媒介される突然変異誘発は標的ポリ
ペプチドのDNAの置換、欠失および挿入バリアントの好ましい製造方法である。Ade
lmanら、DNA 2:183(1983)を参照されたい。簡潔には、所望の突然変
異をコードするオリゴヌクレオチドを一本鎖DNA鋳型にハイブリダイズさせることによ
り、標的ポリペプチドのDNAを変える。ハイブリダイゼーション後にDNAポリメラー
ゼを使用して、オリゴヌクレオチドプライマーを組込みかつ標的ポリペプチドのDNA中
に選択された変化をコードする鋳型の完全な第二の相補鎖を合成する。
5.定常領域の選択
上述されたとおり製造した抗体の可変セグメント(例えばキメラ、ヒト化若しくはヒト
抗体のHおよびL鎖可変領域)は、典型的に、免疫グロブリン定常領域(Fc)(典型的
にはヒト免疫グロブリンの定常領域)の最低一部分に連結する。ヒト定常領域のDNA配
列は、多様なヒト細胞、しかし好ましくは不死化B細胞(Kabatら、上記およびLi
uら、第WO87/02671号明細書を参照されたい)(それらのそれぞれは全部の目
的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)から公知の手順に従って単離し
得る。通常、該抗体はL鎖およびH鎖双方の定常領域を含有することができる。H鎖定常
領域は通常、CH1、ヒンジ、CH2、CH3およびCH4領域を包含する。本明細書に
記述される抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを包含する全部のタイ
プの定常領域、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を包含するいずれ
かのアイソタイプを有する抗体を包含する。定常領域の選択は、部分的に、抗体依存性の
補体および/若しくは細胞媒介性の毒性が望ましいかどうかに依存する。例えば、アイソ
タイプIgG1およびIgG3は補体活性を有し、そしてアイソタイプIgG2およびI
gG4は有しない。抗体(例えばヒト化抗体)が細胞傷害性の活性を表すことが望ましい
場合、定常ドメインは通常、補体を固定する定常ドメインであり、そしてクラスは典型的
にIgG1である。こうした細胞傷害性の活性が望ましくない場合、定常ドメインはIg
G2クラスのものでありうる。アイソタイプの選択は脳中への抗体の通過にもまた影響を
及ぼし得る。ヒトアイソタイプIgG1が好ましい。L鎖定常領域はλ若しくはκであり
得る。ヒト化抗体は1種以上のクラス若しくはアイソタイプからの配列を含みうる。抗体
は、2本のLおよび2本のH鎖を含有する四量体として、個別のH鎖、L鎖として、Fa
b、Fab’ F(ab’)2およびFvとして、若しくはHおよびL鎖可変ドメインが
スペーサーにより連結されている一本鎖抗体として発現させ得る。
6.組換え抗体の発現
キメラ、ヒト化およびヒト抗体は典型的には組換え発現により製造する。定常領域に作
動可能に連結されたLおよびH鎖可変領域をコードする核酸を発現ベクターに挿入する。
LおよびH鎖は同一の若しくは異なる発現ベクターにクローン化し得る。免疫グロブリン
鎖をコードするDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする発
現ベクター(1種若しくは複数)中で制御配列に作動可能に連結する。発現制御配列は、
限定されるものでないが、プロモーター(例えば天然に関連する若しくは異種のプロモー
ター)、シグナル配列、エンハンサー要素および転写終止配列を挙げることができる。好
ましくは、発現制御配列は真核生物宿主細胞を形質転換若しくはトランスフェクトするこ
とが可能なベクター中の真核生物プロモーター系である。ベクターが一旦適切な宿主に組
込まれれば、該宿主を該ヌクレオチド配列の高レベル発現ならびに交差反応する抗体の収
集および精製に適する条件下で維持する。
これらの発現ベクターは、典型的にはエピソーム若しくは宿主の染色体DNAの複合的
部分のいずれかとして宿主生物体中で複製可能である。一般に、発現ベクターは所望のD
NA配列で形質転換した細胞の検出を可能にするための選択マーカー(例えばアンピシリ
ン耐性、ヒグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性若しくはネオマイシン耐性)を含有
する(例えばItakuraら、米国特許第4,704,362号明細書を参照されたい
)。
大腸菌(E.coli)は本発明のポリヌクレオチド(例えばDNA配列)をクローン
化するのにとりわけ有用な1種の原核生物宿主である。使用に適する他の微生物宿主は、
枯草菌(Bacillus subtilis)のような杆菌、ならびにサルモネラ属(
Salmonell)、セラチア属(Serratia)および多様なシュードモナス属
Pseudomonas)の種のような他の腸内細菌を包含する。これらの原核生物宿
主中で、宿主細胞と適合性の発現制御配列(例えば複製起点)を典型的に含有することが
できる発現ベクターもまた作成し得る。加えて、乳糖プロモーター系、トリプトファン(
trp)プロモーター系、β−ラクタマーゼプロモーター系若しくはファージλからのプ
ロモーター系のようないずれかの数の多様な公知のプロモーターが存在することができる
。プロモーターは、典型的には、場合によってはオペレーター配列とともに発現を制御す
ることができ、そして、転写および翻訳を開始および完了するためのリボソーム結合部位
配列などを有することができる。
酵母のような他の微生物もまた発現に有用である。サッカロミセス属(Sacchar
omyces)が好ましい酵母宿主であり、適するベクターは発現制御配列(例えばプロ
モーター)、複製起点、終止配列などを所望のとおり有する。典型的なプロモーターは3
−ホスホグリセレートキナーゼおよび他の解糖酵素を包含する。誘導可能な酵母のプロモ
ーターは、とりわけ、アルコール脱水素酵素、イソチトクロームC、ならびに麦芽糖およ
びガラクトース利用の原因である酵素からのプロモーターを包含する。
微生物に加え、哺乳動物組織細胞培養物もまた本発明のポリペプチドを発現かつ産生す
るのに使用しうる(例えば免疫グロブリン若しくはそれらのフラグメントをコードするポ
リヌクレオチド)。Winnacker、From Genes to Clones、
VCH Publishers、ニューヨーク州ニューヨーク(1987)を参照された
い。異種タンパク質(例えば無傷の免疫グロブリン)を分泌することが可能な多数の適す
る宿主細胞株が当該技術分野で開発されているために真核生物細胞が実際に好ましく、そ
してCHO細胞株、多様なCos細胞株、HeLa細胞、好ましくは骨髄腫細胞株、若し
くは形質転換したB細胞、またはハイブリドーマを包含する。好ましくは細胞はヒト以外
である。これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモーター、およびエンハンサー
(Queenら、Immunol.Rev.89:49(1986))のような発現制御
配列、ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位および
転写ターミネーター配列のような必要なプロセシング情報部位を包含し得る。好ましい発
現制御配列は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイ
ルス、サイトメガロウイルスなど由来のプロモーターである。Coら、J.Immuno
l.148:1149(1992)を参照されたい。
あるいは、抗体をコードする配列を、トランスジェニック動物のゲノム中への導入およ
び該トランスジェニック動物の乳中でのその後の発現のため導入遺伝子に組込み得る(例
えばDeboerら、米国特許第5,741,957号明細書、Rosen、米国特許第
5,304,489号明細書、およびMaedaら、米国特許第5,849,992号明
細書を参照されたい)。適する導入遺伝子は、カゼイン若しくはβラクトグロブリンのよ
うな乳腺特異的遺伝子からのプロモーターおよびエンハンサーと作動可能な連結のLおよ
び/若しくはH鎖のコーディング配列を包含する。
目的のポリヌクレオチド配列(例えばHおよびL鎖をコードする配列ならびに発現制御
配列)を含有するベクターは、細胞宿主の型に依存して変動する公知の方法により宿主細
胞に移入し得る。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは原核生物細胞に一般に
利用される一方、リン酸カルシウム処理、電気穿孔、リポフェクション、遺伝子銃若しく
はウイルスに基づくトランスフェクションを他の細胞宿主に使用しうる。(全般として、
Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory
Maunal(Cold Spring Harbor Press、第2版、198
9)(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)を参照されたい
。哺乳動物細胞を形質転換するのに使用される他の方法は、ポリブレンの使用、プロトプ
ラスト融合、リポソーム、電気穿孔および微小注入を包含する(全般として、Sambr
ookら、上記を参照されたい)。トランスジェニック動物の製造のため、導入遺伝子を
受精卵に微小注入し得るか、若しくは胚幹細胞のゲノムに組込み得、そしてこうした細胞
の核を除核卵細胞に移入し得る。
HおよびL鎖を別個の発現ベクター上にクローン化する場合は、該ベクターをコトラン
スフェクトして無傷の免疫グロブリンの発現および集成を得る。一旦発現されれば、抗体
全体、それらの二量体、個々のLおよびH鎖若しくは本発明の他の免疫グロブリンの形態
を、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、HPL
C精製、ゲル電気泳動などを包含する当該技術分野の標準的手順により精製し得る(全般
として、Scopes、Protein Purification(Springer
−Verlag、ニューヨーク、(1982)を参照されたい)。製薬学的使用のために
は最低約90ないし95%の均一性の実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、そして
98ないし99%若しくはそれ以上の均一性が最も好ましい。
7.抗体フラグメント
抗体フラグメントもまた本発明の範囲内で企図されている。一態様において、ヒト以外
、キメラおよび/若しくはヒト抗体のフラグメントが提供される。別の態様において、ヒ
ト化抗体のフラグメントが提供される。典型的には、これらのフラグメントは最低10
、およびより典型的には10若しくは10−1の親和性での抗原への特異的結合を
表す。ヒト化抗体フラグメントは、別個のH鎖、L鎖 Fab、Fab’ F(ab’)
2、FabcおよびFvを包含する。フラグメントは組換えDNA技術、または無傷の免
疫グロブリンの酵素的若しくは化学的分離により製造する。
8.動物モデルでの治療的有効性についての抗体の試験
7〜9月齢のPDAPPマウスの群それぞれにPBS中0.5mgのポリクローナル抗
Aβ若しくは特異的抗Aβモノクローナル抗体を注入する。全部の抗体調製物は低エンド
トキシンレベルを有するよう精製する。モノクローナル抗体は、Aβのフラグメント若し
くはより長い形態のAβをマウスに注入すること、ハイブリドーマを調製すること、およ
びAβの他のオーバーラップしないフラグメントに結合することなくAβの所望のフラグ
メントに特異的に結合する抗体についてハイブリドーマをスクリーニングすることにより
、フラグメントに対して製造し得る。
マウスに、4か月の期間にわたり必要とされるように腹腔内注入して、Aβ42若しく
は他の免疫原に対するELISAにより定義される1/1000より大きいELISA力
価により測定される循環抗体濃度を維持する。力価をモニターし、そして6か月の注入の
終了時にマウスを安楽死させる。組織化学、Aβレベルおよび毒物学を死後に実施する。
群あたり10匹のマウスを使用する。
9.消失活性についての抗体のスクリーニング
本発明はまた、アミロイド沈着物若しくはいずれかの他の抗原、または消失活性が望ま
しい関連する生物学的実体の消失における活性についての抗体のスクリーニング方法も提
供する。アミロイド沈着物に対する活性についてスクリーニングするため、アルツハイマ
ー病を伴う患者若しくは特徴的なアルツハイマー病の病理学を有する動物モデルの脳から
の組織サンプルを、小膠細胞のようなFc受容体をもつ貪食細胞、および試験中の抗体と
培地中、in vitroで接触させる。貪食細胞は初代培養物またはBV−2、C8−
B4若しくはTHP−1のような細胞株であり得る。いくつかの方法においては、成分を
顕微鏡スライドガラス上で合わせて顕微鏡モニタリングを助長する。いくつかの方法にお
いては複数の反応をマイクロタイター皿のウェル中で同時に実施する。こうした形式にお
いては、別個の小型顕微鏡スライドガラスを別個のウェル中に据付け得るか、若しくはA
βのELISA検出のような顕微鏡によらない検出形式を使用し得る。好ましくは、反応
が進行する前の基礎値から出発して、および反応の間の1個若しくはそれ以上の試験値の
in vitro反応混合物中のアミロイド沈着物の量の一連の測定を行う。抗原は例え
ばAβ若しくはアミロイド斑の他成分に対する蛍光標識した抗体で染色することにより検
出し得る。染色に使用される抗体は消失活性について試験されている抗体と同一であって
も若しくはなくてもよい。アミロイド沈着物の反応の間の基礎に関する低下は、試験中の
抗体が消失活性を有することを示す。こうした抗体は、アルツハイマー病および他のアミ
ロイド原性疾患の予防若しくは治療において有用であることがありそうである。
類似の方法を使用して、他の型の生物学的実体の消失における活性について抗体をスク
リーニングし得る。該アッセイを使用して事実上いかなる種類の生物学的実体に対する消
失活性も検出し得る。典型的には、該生物学的実体はヒト若しくは動物の疾患で何らかの
役割を有する。生物学的実体は組織サンプルとして若しくは単離された形態で提供され得
る。組織サンプルとして提供される場合、該組織サンプルは、好ましくは、該組織サンプ
ルの成分への容易な到達を可能にしかつ固定に付帯する成分のコンホメーションを混乱さ
せることを回避するために固定されない。本アッセイで試験し得る組織サンプルの例は癌
組織、前癌組織、疣贅若しくは母斑のような良性増殖を含有する組織、病原性微生物に感
染した組織、炎症細胞が浸潤した組織、細胞間に病理学的マトリックスをもつ組織(例え
ば線維素性心膜炎)、異常な抗原をもつ組織および瘢痕組織を包含する。使用し得る単離
された生物学的実体の例は、Aβ、ウイルス抗原若しくはウイルス、プロテオグリカン、
他の病原性微生物の抗原、腫瘍抗原および接着分子を包含する。こうした抗原は、とりわ
け、天然の供給源、組換え発現若しくは化学合成から得ることができる。組織サンプル若
しくは単離された生物学的実体を、単球若しくは小膠細胞のようなFc受容体をもつ貪食
細胞および試験されるべき抗体と培地中で接触させる。抗体は試験中の生物学的実体若し
くは該実体に関連する抗原に向け得る。後者の状況において、目的は、該生物学的実体が
該抗原とともに代償性に貪食されるかどうかを試験することである。通常、とは言え必ず
しもではなく、抗体および生物学的実体(ときに関連抗原を伴う)は貪食細胞を添加する
前に相互と接触させる。培地中に残存する生物学的実体および/若しくは関連抗原の濃度
を、存在する場合はその後モニターする。培地中の抗原若しくは関連する生物学的実体の
量若しくは濃度の低下は、該抗体が貪食細胞とともに該抗原および/若しくは関連する生
物学的実体に対する消失応答を有することを示す(例えば実施例IVを参照されたい)。
10.変えられたエフェクター機能を有するキメラ/ヒト化抗体
定常領域(Fc領域)を含んでなる本発明の上述された抗体について、該分子のエフェ
クター機能を変えることもまた望ましいことがある。一般に、抗体のエフェクター機能は
、多様なエフェクター分子、例えば補体タンパク質若しくはFc受容体への結合を媒介し
得る該分子の定常すなわちFc領域中に存する。Fc領域への補体の結合は、例えば細胞
病原体のオプソニン作用および溶解ならびに炎症応答の活性化において重要である。例え
ばエフェクター細胞の表面上のFc受容体への抗体の結合は、例えば抗体で被覆された病
原体若しくは粒子の貪食および破壊、免疫複合体の消失、キラー細胞による抗体で被覆さ
れた標的細胞の溶解(すなわち抗体依存性の細胞媒介性の細胞傷害性、すなわちADCC
)、炎症メディエーターの放出、抗体の胎盤通過、ならびに免疫グロブリン産生の制御を
包含する多数の重要かつ多彩な生物学的応答を誘発し得る。
従って、特定の治療的若しくは診断的応用に依存して、前述の免疫機能若しくは選択し
た免疫機能のみが望ましいことがある。抗体のFc領域を変えることにより、診断および
治療における有益な効果を伴い免疫系の多様な反応を高める若しくは抑制することを包含
する該分子のエフェクター機能の多様な局面が達成される。
ある型のFc受容体とのみ反応する本発明の抗体を製造し得、例えば、本発明の抗体は
、ある種のFc受容体にのみ結合するか、または、所望の場合は該抗体のFc領域に位置
するFc受容体結合部位の欠失若しくは変化によりFc受容体結合を完全に欠くように改
変し得る。本発明の抗体のFc領域の他の所望の変化の目録を下に作成する。典型的には
、エフェクター機能の所望の変化を達成するために(例えばIgG抗体の)Fc領域のど
のアミノ酸残基(1個若しくは複数)を(例えばアミノ酸置換により)変えるかを示すの
に、Kabatの番号付け体系を使用する。該番号付け体系はまた、例えばマウス抗体で
観察される所望のエフェクター機能をその後本発明のヒト、ヒト化若しくはキメラ抗体に
系統的に工作し得るように種を横断して抗体を比較するのにも使用する。
例えば、抗体(例えばIgG抗体)を、Fc受容体(例えばヒト単球上のFc受容体(
FcγRI))への強固な、中間の若しくは弱い結合を表すことが見出されたものにグル
ープ分けし得ることが観察されている。これらの異なる親和性の群中でのアミノ酸配列の
比較により、ヒンジ連結領域中の単球結合部位(Leu234−Ser239)が同定さ
れた。さらに、ヒトFcγRI受容体は単量体としてのヒトIgG1およびマウスIgG
2aを結合するが、しかしマウスIgG2bの結合は100倍より弱い。ヒンジ連結領域
でのこれらのタンパク質の配列の比較は、強結合体中での配列234ないし238すなわ
ちLeu−Leu−Gly−Gly−Proがマウスγ2bすなわち弱結合体中でLeu
−Glu−Gly−Gly−Proになることを示す。従って、低下されたFcγI受容
体結合が望ましい場合はヒト抗体のヒンジ配列中の対応する変化を行い得る。他の変化を
行って同一若しくは類似の結果を達成し得ることが理解される。例えば、FcγRI結合
の親和性は、指定された残基をその側鎖に不適切な官能基を有する残基で置換することに
より、あるいは荷電した官能基(例えばGlu若しくはAsp)または例えば芳香族非極
性残基(例えばPhe、Tyr若しくはTrp)を導入することにより変えることができ
る。
多様な免疫グロブリン間の配列の相同性を考えれば、これらの変化はネズミ、ヒトおよ
びラットの系に等しく適用し得る。ヒトFcγRI受容体に結合するヒトIgG3につい
てLeu235をGluに変えることが該受容体に対する該変異体の相互作用を破壊する
ことが示されている。従って、適切な突然変異を作成することにより本受容体の結合部位
のスイッチをオンまたはオフに切り替え得る。
ヒンジ連結領域中の隣接する若しくは近い部位の突然変異(例えば残基234、236
若しくは237のAlaによる置換)は、残基234、235、236および237の変
化がFcγRI受容体の親和性に少なくとも影響を及ぼすことを示す。従って、本発明の
抗体は、未改変の抗体と比較してFcγRIに対する変えられた結合親和性をもつ変えら
れたFc領域もまた有し得る。こうした抗体は、便宜的にアミノ酸残基234、235、
236若しくは237に改変を有する。
他のFc受容体に対する親和性は、多様な方法で免疫応答を制御するために類似のアプ
ローチにより変えることができる。
さらなる一例として、補体のC1成分の結合後のIgG抗体の溶解特性を変えることが
できる。
補体系の第一の成分C1は、一緒に強固に結合するC1q、C1rおよびC1sとして
知られる3種のタンパク質を含んでなる。C1qが該3種のタンパク質の複合体の抗体へ
の結合の原因であることが示されている。
従って、H鎖のアミノ酸残基318、320および322の最低1個が異なる側鎖を有
する残基に変えられている変えられたCH2ドメインをもつ抗体を提供することにより、
抗体のC1q結合活性を変えることができる。H鎖中の残基の番号付けはEUインデック
ス(Kabatら、上記を参照されたい)のものである。抗体への特異的C1q結合を変
える(例えば低下若しくは根絶する)ための他の適する変化は、残基318(Glu)、
320(Lys)および322(Lys)のいずれか1つをAlaに変えることを包含す
る。
さらに、これらの残基で突然変異を作成することにより、残基318が水素結合する側
鎖を有しかつ残基320および322の双方が正に荷電した側鎖を有する限りはC1q結
合が保持されることが示された。
C1q結合活性は、その側鎖上に不適切な官能性を有する残基で3種の指定された残基
のいずれか1つを置換することにより根絶し得る。C1q結合を根絶するためにイオン性
残基のみをAlaで置換することは必要でない。C1q結合を根絶するために該3残基の
いずれか1つの代わりにGly、Ile、Leu若しくはValのような他のアルキル置
換された非イオン性残基、またはPhe、Tyr、TrpおよびProのような芳香族非
極性残基を使用することもまた可能である。加えて、C1q結合活性を根絶するために残
基320および322(しかし318でない)の代わりにSer、Thr、Cysおよび
Metのような極性の非イオン性残基を使用することもまた可能である。
イオン性若しくは非イオン性極性残基上の側鎖が、Glu残基により形成される結合に
類似の様式で水素結合を形成することが可能であることができることもまた言及される。
従って、極性残基による318(Glu)残基の置換はC1q結合活性を改変するがしか
し根絶しないとみられる。
残基297(Asn)をAlaで置換することは、Clqに対する親和性をわずかにの
み低下(約3倍より弱い)させつつ溶解活性の除去をもたらすこともまた既知である。こ
の変化は、補体活性に必要とされるグリコシル化部位および炭水化物の存在を破壊する。
この部位でのいかなる他の置換もまた該グリコシル化部位を破壊することができる。
本発明はまた、改変されたヒンジ領域を有する、変えられたエフェクター機能を有する
抗体も提供する。該改変されたヒンジ領域は、CH1ドメインの抗体クラス若しくはサブ
クラスと異なる抗体クラス若しくはサブクラスの抗体に由来する完全なヒンジ領域を含み
うる。例えば、クラスIgG抗体の定常ドメイン(CH1)をクラスIgG4抗体のヒン
ジ領域に結合し得る。あるいは、新たなヒンジ領域は、天然のヒンジの一部、若しくは反
復配列中の各単位が天然のヒンジ領域由来である反復単位を含みうる。一例において、1
個若しくはそれ以上のシステイン残基をアラニンのような中性残基に転化すること、若し
くは適して配置された残基をシステイン残基に転化することにより天然のヒンジ領域を変
える。こうした変化は技術に認識されるタンパク質化学および好ましくは本明細書に記述
されるところの遺伝子工学技術を使用して実施する。
本発明の一態様において、抗体のヒンジ領域中のシステイン残基の数を例えば1システ
イン残基まで減少させる。この改変は、抗体、例えば二特異性抗体分子およびFc部分が
エフェクター若しくはレポーター分子により置換されている抗体分子の集成を助長すると
いう利点を有する。単一のジスルフィド結合を形成することのみが必要であるからである
。この改変はまた、例えば化学的手段により直接若しくは間接的にのいずれかで別のヒン
ジ領域またはエフェクター若しくはレポーター分子のいずれかにヒンジ領域を結合するた
めの特異的標的も提供する。
対照的に、抗体のヒンジ領域中のシステイン残基の数を、例えば通常存在するシステイ
ン残基の数より最低1以上増大させる。システイン残基の数を増大させることを使用して
隣接するヒンジ間の相互作用を安定化し得る。本改変の別の利点は、変えられた抗体にエ
フェクター若しくはレポーター分子、例えば放射標識を結合するためのシステインのチオ
ール基の使用をそれが助長することである。
従って、本発明は、変えられたエフェクター機能を達成するための抗体クラス、とりわ
けIgGクラス間のヒンジ領域の交換、および/またはヒンジ領域中のシステイン残基の
数の増大若しくは減少を提供する(例えば米国特許第5,677,425号明細書(明ら
かに本明細書に組込まれる)を参照されたい)。変えられた抗体のエフェクター機能の測
定は、本明細書に記述されるアッセイ若しくは他の技術に認識された技術を使用して行う
重要なことに、結果として生じる抗体を1種若しくはそれ以上のアッセイにかけて出発
抗体に比較しての生物学的活性のいかなる変化も評価し得る。例えば、補体若しくはFc
受容体を結合する変えられたFc領域をもつ抗体の能力を、本明細書に開示されるアッセ
イならびにいずれかの技術に認識されたアッセイを使用して評価し得る。
本発明の抗体の製造は、本明細書に記述される技術ならびに当業者に既知の技術を包含
するいずれかの適する技術により実施する。例えば、例えば抗体の適切な定常ドメイン、
例えばFc領域すなわちCH2および/若しくはCH3ドメイン(1個若しくは複数)の
一部若しくは全部を形成しかつ適切な変えられた残基(1個若しくは複数)を包含する適
切なタンパク質配列を合成し得、そしてその後抗体分子中の適切な場所に化学的に結合し
得る。
好ましくは、変えられた抗体を製造するために遺伝子工学技術を使用する。好ましい技
術は、例えば、IgG H鎖の少なくとも一部、例えばFcすなわち定常領域(例えばC
H2および/若しくはCH3)をコードするDNA配列が1個若しくはそれ以上の残基で
変えられているようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)での使用のための適するプライマ
ーを製造することを包含する。該セグメントをその後、抗体の残存する部分、例えば抗体
の可変領域、および細胞中での発現のための必要とされる制御配列に作動可能に連結し得
る。
本発明はまた、細胞株を形質転換するために使用されるベクター、形質転換ベクターの
製造において使用されるベクター、形質転換ベクターで形質転換された細胞株、調製ベク
ターで形質転換された細胞株、およびそれらの製造方法も包含する。
好ましくは、変えられたFc領域をもつ(すなわち変えられたエフェクター機能の)抗
体を製造するために形質転換される細胞株は、不死化哺乳動物細胞株(例えばCHO細胞
)である。
変えられたFc領域をもつ抗体を製造するのに使用される細胞株は好ましくは哺乳動物
細胞株であるとは言え、細菌細胞株若しくは酵母細胞株のようないずれかの他の適する細
胞株をあるいは使用しうる。
B.免疫学的および治療的剤をコードする核酸
アミロイド沈着物に対する免疫応答は、抗体および受動免疫に使用されるそれらの成分
鎖をコードする核酸の投与によってもまた誘導し得る。こうした核酸はDNA若しくはR
NAであり得る。免疫原をコードする核酸セグメントは、典型的に、患者の意図される標
的細胞中のDNAセグメントの発現を可能にするプロモーターおよびエンハンサーのよう
な制御配列に連結される。免疫応答の誘導のため望ましいところの血液細胞中での発現の
ため、L若しくはH鎖免疫グロブリン遺伝子からのプロモーターおよびエンハンサー要素
、またはCMV主中初期プロモーターおよびエンハンサーが発現に導くのに適する。連結
された制御配列およびコーディング配列はしばしば1ベクターにクローン化される。二本
鎖抗体の投与のためには、該2本の鎖を同一若しくは別個のベクターにクローン化し得る
レトロウイルス系(例えばLawrieとTumin、Cur.Opin.Genet
.Develop.3:102−109(1993)を参照されたい);アデノウイルス
ベクター(例えばBettら、J.Virol.67:5911(1993)を参照され
たい);アデノ随伴ウイルスベクター(例えばZhouら、J.Exp.Med.179
:1867(1994)を参照されたい)、ワクシニアウイルスおよび禽痘ウイルスを包
含するポックス科(pox family)からのウイルスベクター、シンドビスウイル
スおよびセムリキ森林ウイルス(例えばDubenskyら、J.Virol.70:5
08(1996)を参照されたい)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Johnstonら
、米国特許第5,643,576号明細書を参照されたい)由来のもののようなアルファ
ウイルス属、ならびに水疱性口内炎ウイルス(Rose、第WO 96/34625号明
細書を参照されたい)のようなラブドウイルス、ならびにパピローマウイルス(Oheら
Human Gene Therapy 6:325(1995);Wooら、第WO
94/12629号明細書、およびXiaoとBrandsma、Nucleic A
cids.Res.24、2630−262(1996))からのウイルスベクターを包
含する多数のウイルスベクター系が利用可能である。
免疫原をコードするDNA若しくはそれを含有するベクターをリポソーム中にパッケー
ジングし得る。適する脂質および関連する類似物は、Eppsteinら、米国特許第5
,208,036号明細書、Felgnerら、米国特許第5,264,618号明細書
、Rose、米国特許第5,279,833号明細書およびEpandら、米国特許第5
,283,185号明細書により記述されている。免疫原をコードするベクターおよびD
NAはまた、微粒子状担体(それらの例はポリメチルメタクリレートポリマーならびにポ
リラクチドおよびポリ(ラクチドコグリコリド)を包含する)に吸着若しくはそれらと会
合させ得る。例えばMcGeeら、J.Micro Encap.(1996)を参照さ
れたい。
遺伝子治療ベクター若しくは裸のポリペプチド(例えばDNA)は、典型的には全身投
与(例えば静脈内、腹腔内、鼻、胃、皮内、筋肉内、皮下若しくは頭蓋内注入)または局
所適用(例えばAndersonら、米国特許第5,399,346号明細書を参照され
たい)による個々の患者への投与によりin vivoで送達し得る。「裸のポリヌクレ
オチド」という用語はコロイド状物質と複合体形成されていないポリヌクレオチドを指す
。裸のポリヌクレオチドはときにプラスミドベクター中にクローン化される。こうしたベ
クターはブピバカイン(Attardoら、米国特許第5,593,970号明細書)の
ような促進剤をさらに包含し得る。DNAは遺伝子銃を使用してもまた投与し得る。Xi
aoとBrandsma、上記を参照されたい。免疫原をコードするDNAを極微の金属
ビーズの表面上に沈殿させる。微小発射体は衝撃波若しくは膨張ヘリウムガスで加速され
、そして数細胞層の深さまで組織に浸透する。例えば、Agacetus,Inc.、ウ
ィスコンシン州ミドルトンにより製造されるAccelTM遺伝子送達装置が適する。あ
るいは、裸のDNAは、化学的若しくは機械的刺激を用いて皮膚上にDNAを単にスポッ
トすることにより、皮膚を通して血流中に進め得る(Howellら、第WO 95/0
5853号明細書を参照されたい)。
さらなる一変形において、免疫原をコードするベクターは、個々の患者から外植された
細胞(例えばリンパ球、骨髄吸引物、組織生検)若しくは普遍的ドナーの造血幹細胞のよ
うな細胞にex vivoで送達し得、次いで通常はベクターを組込んだ細胞についての
選択後に該細胞を患者に再移植し得る。
II.予防および治療方法
本発明は、とりわけ、例えばアミロイド原性疾患の予防若しくは処置のための、患者に
おいて、患者における有益な治療応答(例えばAβの食作用の誘導、斑負荷の低下、斑形
成の阻害、神経炎性ジストロフィーの低下、認識機能の改善および/または認識低下の逆
転、治療若しくは予防)を生成させる条件下での、Aβ内の特定のエピトープに対する治
療的免疫学的試薬(例えばヒト化免疫グロブリン)の該患者への投与によるアルツハイマ
ー病および他のアミロイド原性疾患の処置に向けられる。本発明はまた、アミロイド原性
疾患の処置若しくは予防のための薬品の製造における開示される免疫学的試薬(例えばヒ
ト化免疫グロブリン)の使用にも向けられる。
本明細書で使用されるところの「処置」という用語は、疾患、疾患の症状若しくは疾患
に対する素因を治癒、回復、軽減、緩和、変化、治療、改善、改良若しくはそれらに影響
する目的で、疾患、疾患の症状若しくは疾患に対する素因を有する患者への治療薬の適用
若しくは投与、または患者からの単離した組織若しくは細胞株への治療薬の適用若しくは
投与と定義する。
一局面において、本発明は患者の脳中のAβのアミロイド沈着物と関連する疾患の予防
若しくは治療方法を提供する。こうした疾患はアルツハイマー病、ダウン症候群および認
識障害を包含する。後者はアミロイド原性疾患の他の特徴を伴い若しくは伴わずに発生し
得る。本発明のいくつかの方法は、アミロイド沈着物の1成分に特異的に結合する抗体の
有効投薬量を患者に投与することを伴う。こうした方法はヒト患者でアルツハイマー病を
予防若しくは治療するためにとりわけ有用である。例示的方法はAβに結合する抗体の有
効投薬量を投与することを伴う。好ましい方法は、Aβの残基1−10内の1エピトープ
に特異的に結合する抗体、例えばAβの残基1−3内の1エピトープに特異的に結合する
抗体、Aβの残基1−4内の1エピトープに特異的に結合する抗体、Aβの残基1−5内
の1エピトープに特異的に結合する抗体、Aβの残基1−6内の1エピトープに特異的に
結合する抗体、Aβの残基1−7内の1エピトープに特異的に結合する抗体、若しくはA
βの残基3−7内の1エピトープに特異的に結合する抗体の有効投薬量を投与することを
伴う。なお別の局面において、本発明は、Aβの遊離のN末端残基を含んでなる1エピト
ープに結合する抗体を投与することを特徴とする。なお別の局面において、本発明は、A
βの1−10(ここでAβの残基1および/若しくは残基7はアスパラギン酸である)の
残基内の1エピトープに結合する抗体を投与することを特徴とする。なお別の局面におい
て、本発明は、完全長のアミロイド前駆体タンパク質(APP)に結合することなくAβ
ペプチドに特異的に結合する抗体を投与することを特徴とする。なお別の局面において、
該抗体のアイソタイプはヒトIgG1である。
なお別の局面において、本発明は、患者中のアミロイド沈着物に結合しかつアミロイド
沈着物に対する消失応答を誘導する抗体を投与することを特徴とする。例えば、こうした
消失応答はFc受容体に媒介される食作用により遂げ得る。
本発明の治療薬は、典型的には望ましくない汚染物質から実質的に純粋である。これは
、該剤が典型的には最低約50%w/w(重量/重量)純度であり、ならびに妨害するタ
ンパク質および汚染物質を実質的に含まないことを意味している。ときに、該剤は最低約
80%w/w、およびより好ましくは最低90若しくは約95%w/w純度である。しか
しながら、慣習的タンパク質精製技術を使用して最低99%w/wの均一なペプチドを得
ることができる。
該方法は無症候性患者および疾患の症状を現在示している者双方に使用し得る。こうし
た方法で使用される抗体はヒト、ヒト化、キメラ若しくはヒト以外の抗体またはそれらの
フラグメント(例えば抗原結合フラグメント)であり得、そして、本明細書に記述される
とおりモノクローナル若しくはポリクローナルであり得る。なお別の局面において、本発
明は、抗体で治療されるべき患者であり得る、Aβペプチドで免疫したヒトから調製した
抗体を投与することを特徴とする。
別の局面において、本発明は抗体を製薬学的担体とともに製薬学的組成物として投与す
ることを特徴とする。あるいは、該抗体は、最低1種の抗体鎖をコードするポリヌクレオ
チドを投与することにより患者に投与し得る。該ポリヌクレオチドは患者中で発現されて
抗体鎖を産生する。場合によっては、該ポリヌクレオチドは抗体のHおよびL鎖をコード
する。該ポリヌクレオチドは患者中で発現されてHおよびL鎖を産生する。例示的態様に
おいて、患者を該患者の血液中の投与された抗体のレベルについてモニターする。
本発明は従って、神経病理学および若干の患者においてはアルツハイマー病と関連する
認識障害を予防若しくは軽減するための治療レジメンに対する長年の必要性を満たす。
A.処置の影響を受けやすい患者
処置の影響を受けやすい患者は、疾患の危険にさらされているがしかし症状を示してい
ない個体、ならびに症状を現在示している患者を包含する。アルツハイマー病の場合、彼
若しくは彼女が十分に長く生きる場合は事実上誰でもアルツハイマー病に罹る危険にさら
されている。従って、本方法は、被験体患者の危険のいかなる評価に対する必要性も伴わ
ずに一般集団に予防的に投与し得る。本方法は、アルツハイマー病の既知の遺伝的危険を
有する個体にとりわけ有用である。こうした個体は、本疾患を経験した親族を有する者、
および遺伝子若しくは生化学的マーカーの分析によりその危険が決定される者を包含する
。アルツハイマー病に対する危険の遺伝子マーカーは、APP遺伝子の突然変異、とりわ
けそれぞれハーディ型およびスウェーデン型突然変異と称される位置717、ならびに位
置670および671の突然変異を包含する(Hardy、上記を参照されたい)。危険
の他のマーカーは、プレセニリン遺伝子PS1およびPS2、ならびにApoE4の突然
変異、ADの家族歴、高コレステロール血症若しくはアテローム硬化症である。現在アル
ツハイマー病に罹っている個体は、特徴的な痴呆、ならびに上述された危険因子の存在か
ら認識し得る。加えて、多数の診断検査がADを有する個体を同定するために利用可能で
ある。これらはCSF τおよびAβ42レベルの測定を包含する。上昇したτおよび減
少したAβ42レベルはADの存在を知らせる。アルツハイマー病に罹っている個体は、
実施例の節で論考されるところのADRDA基準によってもまた診断し得る。
無症候性の患者において、処置はいかなる年齢(例えば10歳、20歳、30歳)でも
開始し得る。しかしながら通常は、患者が40歳、50歳、60歳若しくは70歳に達す
るまで処置を開始することは必要でない。処置は典型的にある期間にわたる複数の投薬量
を伴う。処置は抗体レベルを長期間アッセイすることによりモニターし得る。応答が下落
する場合は追加免疫投薬量を指示する。潜在的ダウン症候群の患者の場合、処置は、出生
前に母親に治療薬を投与することにより、若しくは出生直後に開始し得る。
B.処置レジメンおよび投薬量
予防的応用においては、製薬学的組成物若しくは薬品を、アルツハイマー病に感受性の
、そうでなければその危険にさらされている患者に、危険を排除若しくは縮小する、重篤
度を小さくする、または疾患の生化学的、組織学的および/若しくは行動上の症状を包含
する該疾患の発症、その合併症ならびに該疾患の進行の間に現れる中間的な病理学的表現
型を遅らせるのに十分な量で投与する。治療的応用においては、組成物若しくは薬品を、
こうした疾患が疑われる、若しくは既に罹っている患者に、その合併症を包含する疾患の
症状(生化学的、組織学的および/若しくは行動上の)、ならびに該疾患の進行中の中間
的な病理学的表現型を治癒若しくは少なくとも部分的に停止するのに十分な量で投与する
いくつかの方法において、剤の投与は、特徴的なアルツハイマー病の病状を未だ発症し
ていない患者における筋認識(myocognitive)障害を低下若しくは排除する
。治療的若しくは予防的処置を達成するのに十分な量を治療上若しくは予防上有効な用量
と定義する。予防的および治療的双方のレジメンにおいて、剤は通常、十分な免疫応答が
達成されるまでいくつかの投薬量で投与する。「免疫応答」若しくは「免疫学的応答」と
いう用語は、レシピエント被験体における抗原に向けられた体液性(抗体媒介性)および
/または細胞性(抗原特異的T細胞若しくはそれらの分泌産物により媒介される)応答の
発生を包含する。こうした応答は能動的応答であり得る(すなわち免疫原の投与により誘
導し得る)か、または受動的応答であり得る(すなわち免疫グロブリン若しくは抗体若し
くは薬物刺激されたT細胞の投与により誘導し得る)。
「免疫原性の剤」若しくは「免疫原」は、場合によってはアジュバントとともにの哺乳
動物への投与に際してそれ自身に対する免疫学的応答を誘導することが可能である。典型
的には、免疫応答をモニターし、そして免疫応答が衰え始めた場合に反復投薬量を与える
上述された状態の処置のための本発明の組成物の有効用量は、投与手段、標的部位、患
者の生理学的状態、患者がヒトであるか若しくは動物であるか、投与されている他の薬品
、および処置が予防的であるか若しくは治療的であるかを包含する多くの異なる因子に依
存して変動する。通常、患者はヒトであるがしかしトランスジェニック哺乳動物を包含す
るヒト以外の哺乳動物もまた治療し得る。処置投薬量は安全性および有効性を至適化する
ように滴定されるべきである。
抗体での受動免疫のためには、投薬量は約0.0001から100mg/kgまで、お
よびより通常は0.01ないし5mg/kg宿主体重の範囲にわたる。例えば、投薬量は
1mg/kg体重若しくは10mg/kg体重、または1〜10mg/kgの範囲内、好
ましくは最低1mg/kgであり得る。被験体には、こうした用量を毎日、1日おき、毎
週、若しくは経験的分析により決められるいずれかの他のスケジュールに従って投与し得
る。例示的一処置は例えば最低6か月の長期にわたる複数の投薬量の投与を伴う。付加的
な例示的処置レジメンは2週ごとあたり1回若しくは月1回若しくは3ないし6か月ごと
に1回の投与を伴う。例示的投薬スケジュールは、連日1〜10mg/kg若しくは15
mg/kg、1日おきに30mg/kg、または毎週60mg/kgを包含する。いくつ
かの方法においては、異なる結合特異性をもつ2種若しくはそれ以上のモノクローナル抗
体を同時に投与し、この場合投与される各抗体の投薬量は示される範囲内にある。
抗体は通常複数の機会に投与する。単一投薬量間の間隔は週単位、月単位若しくは年単
位であり得る。間隔はまた患者中のAβに対する抗体の血液レベルを測定することにより
示されるように不規則でもあり得る。いくつかの方法においては、1〜1000μg/m
lおよびいくつかの方法においては25〜300μg/mlの血漿抗体濃度を達成するよ
うに投薬量を調節する。あるいは、抗体は徐放性製剤として投与し得、この場合より少な
く頻繁な投与が必要とされる。投薬量および頻度は患者での抗体の半減期に依存して変動
する。一般にヒト抗体が最長の半減期を示し、次いでヒト化抗体、キメラ抗体およびヒト
以外の抗体である。
投薬量および投与頻度は、該処置が予防的であるか若しくは治療的であるかに依存して
変動し得る。予防的応用において、本抗体若しくはそれらのカクテルを含有する組成物を
、患者の抵抗性を高めるため、既に疾患状態にはなっていない患者に投与する。こうした
量は「予防的有効用量」であると定義する。本使用において、正確な量は再度、患者の健
康状態および全身免疫に依存するが、しかし一般には投与あたり0.1から25mgまで
、とりわけ投与あたり0.5ないし2.5mgの範囲にわたる。比較的低投薬量を長期に
わたり比較的頻繁でない間隔で投与する。若干の患者は彼らの生涯の残りの間処置を受け
続ける。
治療的応用においては、疾患の進行が低下若しくは停止されるまで、および好ましくは
患者が疾患の症状の部分的若しくは完全な改善を示すまで、比較的短い間隔で比較的高投
薬量(例えば投与あたり約1から200mgまでの抗体、5から25mgまでの投薬量を
より一般的に使用する)がときに必要とされる。その後は患者に予防的レジメンを投与し
得る。
抗体をコードする核酸の用量は患者あたり約10ngから1g、100ngないし10
0mg、1μgないし10mg、若しくは30〜300μgのDNAの範囲にわたる。感
染性ウイルスベクターの用量は投与あたり10〜100から若しくはそれ以上のビリオン
で変動する。
治療薬は予防的および/若しくは治療的処置のため非経口、局所、静脈内、経口、皮下
、動脈内、頭蓋内、腹腔内、鼻内若しくは筋肉内の手段により投与し得る。免疫原性の剤
の最も典型的な投与経路は皮下であるとは言え、他の経路が等しく有効であり得る。次に
最も一般的な経路は筋肉内注入である。この型の注入は最も典型的には腕若しくは脚の筋
肉で実施する。いくつかの方法においては、沈着物が蓄積している特定の組織に剤を直接
注入する(例えば頭蓋内注入)。筋肉内注入若しくは静脈内注入が抗体の投与に好ましい
。いくつかの方法においては、特定の治療的抗体を頭蓋に直接注入する。いくつかの方法
において、抗体は徐放性組成物若しくはメディパッド[Medipad]TM装置のよう
な装置として投与する。
本発明の剤は、場合によっては、アミロイド原性疾患の処置で少なくとも部分的に有効
である他の剤とともに投与し得る。アミロイド沈着物が脳中に存在するアルツハイマー病
およびダウン症候群の場合、本発明の剤は、血液脳関門を横断する本発明の剤の通過を増
大させる他の剤とともにもまた投与し得る。
C.製薬学的組成物
本発明の剤は、しばしば、有効な治療薬、すなわち、および多様な他の製薬学的に許容
できる成分を含んでなる製薬学的組成物として投与される。Remington’s P
harmaceutical Science(第15版、Mack Publishi
ng Company、ペンシルバニア州イーストン(1980))を参照されたい。好
ましい形態は意図される投与様式および治療的応用に依存する。組成物は、所望の製剤に
依存して、動物若しくはヒトの投与のための製薬学的組成物を処方するのに一般に使用さ
れるベヒクルと定義される製薬学的に許容できる非毒性の担体若しくは希釈剤もまた包含
し得る。希釈剤は組合せの生物学的活性に影響を及ぼさないように選択する。こうした希
釈剤の例は蒸留水、生理学的リン酸緩衝生理的食塩水、リンゲル液、ブドウ糖液、および
ハンクス液である。加えて、製薬学的組成物若しくは製剤は他の担体、補助物質若しくは
非毒性の非治療的非免疫原性安定剤なども包含しうる。
製薬学的組成物はまた、タンパク質、キトサンのような多糖、ポリ乳酸、ポリグリコー
ル酸および(ラテックス官能性化セファロース(TM)、アガロース、セルロースなどの
ような)コポリマー、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマーならびに(油滴若しくは
リポソームのような)脂質凝集物のような大型のゆっくりと代謝される巨大分子も包含し
得る。加えて、これらの担体は免疫刺激剤(すなわちアジュバント)として機能し得る。
非経口投与のために、本発明の剤は水、油、生理的食塩水、グリセロール若しくはエタ
ノールのような滅菌の液体であり得る製薬学的担体を含む生理学的に許容できる希釈剤中
の物質の溶液若しくは懸濁液の注入可能な投薬量として投与し得る。加えて、湿潤剤若し
くは乳化剤、界面活性剤、pH緩衝物質などのような補助物質が組成物中に存在し得る。
製薬学的組成物の他の成分は石油、動物、植物若しくは合成起源のもの、例えばラッカセ
イ油、ダイズ油および鉱物油である。一般に、プロピレングリコール若しくはポリエチレ
ングリコールのようなグリコールはとりわけ注入可能な溶液のための好ましい液体担体で
ある。抗体は、有効成分の徐放性を可能にするような様式で処方し得るデポー注射剤若し
くは移植製剤の形態で投与し得る。例示的一組成物は、HClでpH6.0に調節された
50mM L−ヒスチジン、150mM NaClよりなる水性緩衝液中で処方した5m
g/mLのモノクローナル抗体を含んでなる。
典型的には、組成物は液体の溶液若しくは懸濁液のいずれかのような注入可能物として
製造し;注入前に液体ベヒクル中の溶液若しくは懸濁液に適する固体の形態もまた製造し
得る。該製剤はまた、乳化もし得るか、あるいは、上で論考されたとおり高められたアジ
ュバント効果のためにリポソームまたはポリラクチド、ポリグリコリド若しくはコポリマ
ーのような微粒子中に被包化もし得る(Langer、Science 249:152
7(1990)およびHanes、Advanced Drug Delivery R
eviews 28:97(1997)を参照されたい)。本発明の剤は、有効成分の徐
放性若しくは拍動性放出を可能にするような様式で処方し得るデポー注射剤若しくは移植
製剤の形態で投与し得る。
他の投与様式に適する付加的な製剤は、経口、鼻内および肺製剤、坐剤ならびに経皮適
用を包含する。坐剤について、結合剤および担体は例えばポリアルキレングリコール若し
くはトリグリセリドを包含し;こうした坐剤は0.5%ないし10%、好ましくは1%〜
2%の範囲の有効成分を含有する混合物から成形し得る。経口製剤は、製薬学的等級のマ
ンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セル
ロースおよび炭酸マグネシウムのような賦形剤を包含する。これらの組成物は溶液、懸濁
剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤若しくは散剤の形態をとり、そして10%〜9
5%、好ましくは25%〜70%の有効成分を含有する。
局所適用は経皮若しくは皮内送達をもたらし得る。局所投与は、コレラトキシン、また
はその無毒化誘導体若しくはサブユニット、あるいは他の類似の細菌のトキシンとの該剤
の共投与により助長し得る(Glennら、Nature 391、851(1998)
を参照されたい)。共投与は、成分を混合物または化学的架橋若しくは融合タンパク質と
しての発現により得られる連結した分子として使用することにより達成し得る。
あるいは、経皮送達は皮膚経路を使用して若しくはトランスフェロソーム(trans
ferosome)を使用して達成し得る(Paulら、Eur.J.Immunol.
25:3521(1995);Cevcら、Biochem.Biophys.Acta
1368:201−15(1998))。
III.処置の経過のモニタリング
本発明は、アルツハイマー病に罹っているか若しくはそれに感受性である患者における
処置のモニター方法、すなわち患者に投与されている1クールの処置のモニター方法を提
供する。該方法を使用して、症候性の患者での治療的処置および無症候性の患者での予防
的処置の双方をモニターし得る。とりわけ、該方法は受動免疫をモニターする(例えば投
与された抗体のレベルを測定する)のに有用である。
いくつかの方法は、ある投薬量の剤を投与する前に例えば患者の抗体のレベル若しくは
プロファイルの基礎値を測定すること、およびこれを処置後のプロファイル若しくはレベ
ルの値と比較することを伴う。レベル若しくはプロファイルの値の有意の増大(すなわち
、反復した測定値の平均からの1標準偏差として表される同一サンプルのこうした測定値
の典型的な実験誤差より大きい)は正の処置の結果(すなわち該剤の投与が所望の応答を
達成したこと)を知らせる。免疫応答の値が有意に変化しない若しくは減少する場合は負
の処置の結果を示す。
他の方法において、レベル若しくはプロファイルの対照値(すなわち平均および標準偏
差)を対照集団について測定する。典型的には、対照集団の個体は前の処置を受けていな
い。治療薬を投与した後の患者でのレベル若しくはプロファイルの測定値をその後対照値
と比較する。対照値に関しての有意の増大(例えば平均から1標準偏差より大きい)は正
のすなわち十分な処置の結果を知らせる。有意の増大の欠如若しくは減少は負のすなわち
不十分な処置の結果を知らせる。一般に、レベルが対照値に関して増大している間は剤の
投与を継続する。前のとおり、対照値に関してのプラトーの達成は、処置の投与を中断ま
たは投薬量および/若しくは頻度を低下し得ることの指標である。
他の方法において、レベル若しくはプロファイルの対照値(例えば平均および標準偏差
)は、治療薬での処置を受けかつそのレベル若しくはプロファイルが処置に応答してプラ
トーに達した個体の対照集団から測定する。患者でのレベル若しくはプロファイルの測定
値を対照値と比較する。患者で測定されたレベルが対照値と有意に異ならない(例えば1
標準偏差より大きくない)場合は、処置を中断し得る。患者でのレベルが対照値より有意
に低い場合は剤の継続投与が保証される。患者でのレベルが対照値より下で持続する場合
には、処置の変更を指示しうる。
他の方法において、処置を現在受けていないがしかし以前の1クールの処置を受けた患
者を抗体のレベル若しくはプロファイルについてモニターして、処置の再開が必要とされ
るかどうかを決定する。患者での測定されたレベル若しくはプロファイルを、以前の1ク
ールの処置後に該患者で以前に達成された値と比較し得る。以前の測定値に関して有意の
減少(すなわち同一サンプルの反復測定における典型的な誤差より大きい)は処置を再開
し得ることの指標である。あるいは、患者で測定された値を、1クールの処置を受けた後
の患者の集団で測定した対照値(平均+標準偏差)と比較し得る。あるいは、患者での測
定値を、疾患の症状がないままである予防的に処置した患者の集団、若しくは疾患の特徴
の改善を示す治療的に処置した患者の集団での対照値と比較し得る。これらの場合の全部
において、対照レベルに関して有意の減少(すなわち1標準偏差より大きい)は、処置を
患者で再開すべきであることの指標である。
分析のための組織サンプルは、典型的には患者からの血液、血漿、血清、粘液若しくは
脳脊髄液である。サンプルを例えばAβペプチドに対する抗体のレベル若しくはプロファ
イル、例えばヒト化抗体のレベル若しくはプロファイルについて分析する。Aβに特異的
な抗体のELISA検出方法を実施例の節に記述する。いくつかの方法において、投与さ
れた抗体のレベル若しくはプロファイルは、消失アッセイを使用して、例えば本明細書に
記述されるところのin vitro食作用アッセイで測定する。こうした方法において
、試験されている患者からの組織サンプルを(例えばPDAPPマウスからの)アミロイ
ド沈着物およびFc受容体をもつ貪食細胞と接触させる。アミロイド沈着物のその後の消
失をその後モニターする。消失応答の存在および程度は、試験中の患者の組織サンプル中
のAβを消失させるのに有効な抗体の存在およびレベルの指標を提供する。
受動免疫後の抗体プロファイルは、典型的には、抗体濃度の即時のピーク、次いで指数
的減衰を示す。さらなる投薬量が伴わなければ、該減衰は、投与された抗体の半減期に依
存して数日ないし数ヶ月の期間内に処置前のレベルに近づく。例えば数種のヒト抗体の半
減期は20日の次数のものである。
いくつかの方法において、患者でのAβに対する抗体のベースライン測定を投与前に行
い、第二の測定をその直後に行ってピーク抗体レベルを決定し、そして間をおいて1回若
しくはそれ以上のさらなる測定を行って抗体レベルの減衰をモニターする。抗体のレベル
がベースライン若しくはピークのないベースラインの予め決められたパーセント(例えば
50%、25%若しくは10%)まで減少した場合に、抗体のさらなる投薬量の投与を投
与する。いくつかの方法において、ピーク若しくはバックグラウンドより小さいその後の
測定レベルを、以前に決定した参照レベルと比較して、他の患者での有益な予防若しくは
治療的処置レジメンを構成する。測定された抗体レベルが参照レベルより有意により小さ
い(例えば処置によって利益を得る患者の集団での参照値の平均−1標準偏差未満)場合
は、抗体の付加的な投薬量の投与を指示する。
付加的な方法は、アミロイド原性疾患(例えばアルツハイマー病)を診断若しくはモニ
ターするために研究者若しくは医師により慣例に頼られる、いずれかの技術に認識された
生理学的症状(例えば身体的若しくは精神的症状)を処置の経過にわたってモニターする
ことを包含する。例えば認識障害をモニターし得る。後者はアルツハイマー病およびダウ
ン症候群の症状であるが、しかしこれらの疾患のいずれの他の特徴を伴わなくともまた発
生し得る。例えば、認識障害は、処置の経過の間中、知能状態小検査(Mini−Men
tal State Exam)で規約に従って患者のスコアを決定することによりモニ
ターし得る。
C.キット
本発明は上述されたモニター方法を実施するためのキットをさらに提供する。典型的に
は、こうしたキットはAβに対する抗体に特異的に結合する剤を含有する。該キットはま
た標識も包含し得る。Aβに対する抗体の検出のため、標識は典型的に標識抗イディオタ
イプ抗体の形態である。抗体の検出のため、該剤はマイクロタイター皿のウェルへのよう
に固相に予め結合して供給し得る。キットは、典型的に、該キットの使用のための説明書
を提供するラベルもまた含有する。該ラベルは、測定された標識のレベルをAβに対する
抗体のレベルと相互に関連づけるチャート若しくは他の対応レジメンもまた包含しうる。
ラベルという用語は、キットの製造、輸送、販売若しくは使用の間のいずれかの時点でそ
れに貼付若しくは別の方法で付随するいかなる文書若しくは記録された資料も指す。例え
ばラベルという用語は、広告用チラシおよびパンフレット、包装資材、説明書、音声若し
くはビデオカセット、コンピュータディスク、ならびにキットに直接刻印された文書を包
含する。
本発明はまた診断キット、例えば研究、検出および/若しくは診断キット(例えばin
vivo画像化を実施するための)も提供する。こうしたキットは、典型的にはAβの
、好ましくは残基1−10内の1エピトープに結合するための抗体を含有する。好ましく
は、抗体は標識されているか、若しくは二次標識試薬がキットに包含される。好ましくは
、該キットは、意図される応用を実施するため、例えばin vivo画像化アッセイを
実施するための説明書のラベルが貼られている。例示的抗体は本明細書に記述されるもの
である。
D.in vivo画像化
本発明は患者におけるアミロイド沈着物のin vivo画像化方法を提供する。こう
した方法は、アルツハイマー病若しくはそれに対する感受性を診断若しくはそれらを確認
するのに有用である。例えば、該方法は痴呆の症状を伴って現れる患者で使用し得る。該
患者が異常なアミロイド沈着物を有する場合には、該患者はアルツハイマー病に罹ってい
ることがありそうである。該方法は無症候性の患者でもまた使用し得る。アミロイドの異
常な沈着物の存在は将来の症候性疾患に対する感受性を示す。該方法は、以前にアルツハ
イマー病と診断された患者における疾患の進行および/若しくは処置に対する応答をモニ
ターするのにもまた有用である。
該方法は、Aβに結合する抗体のような試薬を患者に投与すること、およびその後該剤
が結合した後にそれを検出することにより機能する。好ましい抗体は、完全長のAPPポ
リペプチドに結合することなく患者中のAβ沈着物に結合する。アミノ酸1−10内のA
βの1エピトープに結合する抗体がとりわけ好ましい。いくつかの方法においては、抗体
はAβのアミノ酸7−10内の1エピトープに結合する。こうした抗体は、典型的には実
質的な消失応答を誘導することなく結合する。他の方法において、抗体はAβのアミノ酸
1−7内の1エピトープに結合する。こうした抗体は典型的にAβに結合しかつそれに対
する消失応答を誘導する。しかしながら、消失応答は、Fabのような完全長の定常領域
を欠く抗体フラグメントを使用することにより回避し得る。いくつかの方法においては、
同一の抗体が処置および診断双方の試薬としてはたらき得る。一般に、Aβの残基10に
対しC末端のエピトープに結合する抗体は、おそらくC末端エピトープがアミロイド沈着
物中に到達不可能であるために、残基1−10内のエピトープに結合する抗体ほど強いシ
グナルを示さない。従ってこうした抗体はより少なく好ましい。
診断試薬は、静脈内注入により患者の身体に、または頭蓋内注入若しくは頭蓋骨を通る
孔をドリルで開けることにより脳中に直接投与し得る。試薬の投薬量は処置方法について
と同一の範囲内であるべきである。典型的には試薬は標識されるとは言え、いくつかの方
法においては、Aβに対する親和性をもつ一次試薬が未標識であり、そして一次試薬に結
合する二次標識試薬を使用する。標識の選択は検出手段に依存する。例えば、光学的検出
には蛍光標識が適する。常磁性標識の使用は外科的介入を伴わない断層撮影による検出に
適する。放射活性標識もまたPET若しくはSPECTを使用して検出し得る。
診断は、標識された遺伝子座の数、大きさおよび/若しくは強度を、対応する基礎値と
比較することにより実施する。基礎値は疾患に罹っていない固体の集団の平均レベルを表
し得る。基礎値はまた、同一患者で測定した以前のレベルも表し得る。例えば、処置を開
始する前に患者で基礎値を測定し得、そしてその後測定した値を基礎値と比較する。基礎
に関しての値の減少は処置に対する正の応答を知らせる。
本発明は以下の制限しない実施例によりより完全に記述されるであろう。
実施例
抗Aβ抗体:mAb 2H3、mAb 10D5、mAb 266、mAb 21F12
およびpAb Aβ1−42の治療的有効性
本実施例はヘテロ接合性トランスジェニックマウスの脳中のAβの蓄積を阻害するAβ
に対する多様なモノクローナルおよびポリクローナル抗体の能力を試験する。
A.試験デザイン
8.5ないし10.5月齢の60匹の雄性および雌性のヘテロ接合性PDAPPトラン
スジェニックマウスをCharles River Laboratoryから得た。マ
ウスを、Aβに向けられた多様な抗体で処理するため6群に分類した。動物は、動物の性
、齢、血統および起源を群内で可能な限り緊密に一致させるように分配した。表2は該実
験デザインを描く。
Figure 2012034697
表2に示されるとおり、抗体は、4種のネズミのAβ特異的モノクローナル抗体2H3
(Aβの残基1−12に向けられる)、10D5(Aβの残基3−7に向けられる)、2
66(Aβの残基13−28に向けられかつ可溶性AN1792に結合するがしかし凝集
したAN1792にはしない)、21F12(Aβの残基33−42に向けられる)を包
含した。第五の群はAβ特異的ポリクローナル抗体画分(凝集したAN1792での免疫
化により生じさせた)で処理した。陰性対照群は抗体を含まない希釈剤PBS単独を受け
た。
B.処置の経過のモニタリング
モノクローナル抗体は約10mg/kg(マウスの体重が50gであると想定した)の
用量で注入した。抗体力価を28週の処置の間中モニターした。注入は、抗Aβ力価を1
000より上に維持するため平均で7日ごとに腹腔内投与した。mAb 266は該アッ
セイで捕捉抗原として使用した凝集したAN1792に良好に結合しないためにそれに対
するより低い力価が測定されたとは言え、この群について同一の投与スケジュールを維持
した。モノクローナル抗体2H3を受けた群は、該抗体がin vivoであまりにも迅
速に消失されたため最初の3週以内に中断した。
抗体力価の測定のため、各群からの3匹の無作為に選んだマウスのサブセットを各腹腔
内接種直前に採血した(合計30採血)。抗体力価は、一般的材料および方法に詳細に記
述されるとおり、Aβ1−42で被覆したプラスチック製マルチウェルプレートを用いる
サンドイッチELISAを使用して、Aβ1−42結合抗体として測定した。各採血の平
均力価を、ポリクローナル抗体ならびにモノクローナル抗体10D5および21F12に
ついて表3に示す。
Figure 2012034697
力価は、ポリクローナル抗体調製物についてこの期間にわたり平均約1000であり、
そして、10D5および21F12で処理した動物についてはこのレベルよりわずかに上
であった。
処置は6か月間にわたり合計196日間継続した。動物を最終投与1週後に安楽死させ
た。
C.脳中のAβおよびAPPレベル:
多様な抗Aβ抗体調製物での約6か月の処置後に、脳を生理的食塩水灌流後に動物から
取り出した。一半球を免疫組織化学的分析のため調製し、そして第二の半球をAβおよび
APPレベルの定量に使用した。多様な形態のβアミロイドペプチドおよびアミロイド前
駆体タンパク質(APP)の濃度を測定するために、半球を切開し、そして海馬、皮質お
よび小脳領域のホモジェネートを5Mグアニジン中で調製した。これらを連続希釈し、そ
してアミロイドペプチド若しくはAPPのレベルを、ELISAの形式での既知濃度のA
βペプチド若しくはAPPの標準品の一連の希釈物との比較により定量した。
皮質および海馬のホモジェネート中のELISAにより測定された全AβおよびAβ1
−42のレベル、ならびに小脳中の全Aβのレベルをそれぞれ表4、5および6に示す。
PBSを接種した対照群の全Aβの濃度の中央値は、皮質でよりも海馬で3.6倍より高
かった(皮質の17,818ng/gに比較して、63,389ng/g海馬組織という
中央値)。対照群の小脳中のレベルの中央値(30.6ng/g組織)は海馬でよりも2
,000倍以上より低かった。これらのレベルはこの齢のヘテロ接合性PDAPPトラン
スジェニックマウスについて以前に報告されたもの(Johnson−Woodら、上記
)と同様である。
皮質について、1処置群(それらの動物は表4に示されるとおりポリクローナル抗Aβ
抗体を受けた)が対照群のものと有意に異なる(p<0.05)Aβ1−42として測定
されたAβレベルの中央値を有した。Aβ1−42のレベルの中央値は、この処置群の対
照に比較して65%減少した。Aβ1−42のレベルの中央値は、付加的な1処置群(そ
れらの動物はmAb 10D5を投与された)でもまた対照に比較して55%有意に低下
した(p=0.0433)。
Figure 2012034697
海馬においては、ポリクローナル抗Aβ抗体での処置と関連した全Aβの減少パーセン
トの中央値(50%、p=0.055)は、皮質で観察されたもの(65%)ほど大きく
なかった(表5)。しかしながら、該減少の絶対的大きさは皮質においてよりも海馬でほ
ぼ3倍より大きかった(皮質での11,658ng/g組織に対し海馬で31,683n
g/g組織の正味の減少)。全Aβよりはむしろよりアミロイド原性の形態のAβすなわ
ちAβ1−42のレベルとして測定した場合、ポリクローナル抗体で達成された減少は有
意であった(p=0.0025)。mAb 10D5および266で処置した群のレベル
の中央値はそれぞれ33%および21%低下した。
Figure 2012034697
全Aβを小脳でもまた測定した(表6)。ポリクローナル抗Aβおよび266抗体を投
与した群は、全Aβのレベルの有意の低下(それぞれ43%および46%、p=0.00
33およびp=0.0184)を示し、また、10D5で処置した群はほぼ有意の低下(
29%、p=0.0675)を有した。
Figure 2012034697
抗体で処置したマウスおよび対照すなわちPBSで処置したマウスからの皮質および小
脳で、ELISAによりAPP濃度もまた測定した。2種の異なるAPPアッセイを利用
した。APP−α/FLと呼称される第一のものはAPP−α(α、Aβ配列内で切断さ
れている分泌型のAPP)および完全長の形態(FL)のAPPの双方を認識する一方、
第二のものはAPP−αのみ認識する。処置群の1サブセットでのAβの処置に関連する
減少と対照的に、APPのレベルは処置群の全部で対照動物と比較して事実上変化しなか
った。これらの結果は、Aβ抗体での免疫化がAPPを枯渇させることなくAβを枯渇さ
せることを示す。
要約すれば、AN1792に対して生じさせたポリクローナル抗体で処置した動物の大
脳皮質、海馬および小脳でAβレベルが有意に低下した。より小さい程度まで、Aβ1−
42のアミノ末端領域、具体的にはアミノ酸1−16および13−28に対するモノクロ
ーナル抗体もまた、有意の処置効果を示した。
D.組織化学的解析:
PBS、ポリクローナルAβ42、21F12、266および10D5処置群のマウス
からの脳のサブセットにおけるAβ免疫反応性斑の形態学を、Aβ42を用いる標準的免
疫化手順に従った以前の研究のものと比較した。
アミロイド斑の程度および出現(appearance)の双方での最大の変化は、ポ
リクローナルAβ42抗体で免疫した動物で生じた。アミロイド負荷の減少、侵食された
斑の形態学および細胞に関連したAβの免疫反応性は、標準的免疫化手順により生じられ
る効果に緊密に似ていた。これらの観察結果は、ポリクローナルAβ42抗体の投与によ
り全AβおよびAβ42双方の有意の減少が達成されたELISAの結果を裏付ける。
類似の定性的評価において、10D5群のアミロイド斑もまた、細胞に関連したAβの
免疫反応性の若干の証拠を伴い、数および出現が減少した。対照で処理した動物に関して
、Aβに対するポリクローナルIg画分およびモノクローナル抗体の1種(10D5)は
、斑負荷をそれぞれ93%および81%減少させた(p<0.005)。21F12は斑
負荷に対する比較的限られた効果を有するようであった。pAbAβ1−42での処置後
の脳の顕微鏡写真は、対照で処置した動物に関して、pAbAβ1−42処置した群にお
ける拡散した沈着物およびより大きな密集した斑の多くの非存在を示す。
E.リンパ球増殖応答
Aβ依存性のリンパ球増殖を、最終抗体注入8日後に収集した脾細胞を使用して測定し
た。新たに収集した細胞(ウェルあたり10)を、刺激のため5μMの濃度のAβ1−
40の存在下で5日間培養した。陽性対照として、付加的な細胞をT細胞マイトジェンP
HAとともに培養し、また、陰性対照として、添加されるペプチドを伴わずに細胞を培養
した。
多様な抗Aβ抗体で受動免疫した加齢PDAPPマウスからの脾細胞をAN1792で
in vitroで刺激し、そして増殖およびサイトカイン応答を測定した。これらのア
ッセイの目的は、受動免疫が抗原提示および従ってAN1792に特異的なT細胞応答の
初回刺激を助長したかどうかを決定することであった。AN1792特異的な増殖若しく
はサイトカイン応答は、抗Aβ抗体で受動免疫したマウスで観察されなかった。
抗Aβ抗体:mAb 2H3、mAb 10D5、mAb 266、mAb 21F12
、mAb 3D6、mAb 16C11およびpAb Aβ1−42の治療的有効性
第二の研究において、10D5での処置を反復し、また、2種の付加的な抗Aβ抗体す
なわちモノクローナル抗体3D6(Aβ1−5)および16C11(Aβ33−42)を
試験した。対照群はPBS若しくは無関係なアイソタイプを一致させた抗体(TM2a)
のいずれかを受けた。マウスは以前の研究より高齢(11.5〜12月齢のヘテロ接合性
)であったが、それ以外は実験デザインは同一であった。もう一度、6か月の処置後に、
10D5はPBS若しくはアイソタイプを一致させた抗体の対照のいずれに関しても80
%以上斑負荷を減少させた(p=0.003)。Aβに対する他の抗体の一方すなわち3
D6は等しく有効であり、86%の減少を生じた(p=0.003)。対照的に、該ペプ
チドに対する第三の抗体、16C11は斑負荷に対するいかなる効果も有することに失敗
した。類似の知見がAβ42のELISA測定で得られた。
これらの結果は、Aβペプチドに対する抗体応答がT細胞免疫の非存在下でPDAPP
マウスのアミロイド沈着を減少させるのに十分であること、しかし全部の抗Aβ抗体が等
しく有効であるわけではないことを示す。Aβのアミノ酸1−5若しくは3−7を含んで
なるエピトープに向けられた抗体がとりわけ有効である。要約すれば、Aβに対する受動
的に投与された抗体(すなわち受動免疫)がアルツハイマー病のマウスモデルでの斑沈着
の程度を低下させることを示し得る。
CNSでの抗体結合のモニタリング
本実施例は、限られた血清濃度(25〜70μg/ml)で保持される場合に抗体がβ
−アミロイド斑を装飾するのに十分なレベルでCNSへの到達経路を獲得したことを示す
Aβに対する抗体がCNS内で直接作用し得るかどうかを決定するため、実施例2の終
了時に生理的食塩水で灌流したマウスから採取した脳を、末梢で投与した抗体の存在につ
いて検査した。未固定のクライオスタット脳切片を、マウス免疫グロブリンに対する蛍光
試薬(ヤギ抗マウスIgG−Cy3)に曝露した。10D5および3D5群の脳内の斑は
抗体で強く装飾された一方、16C11群では染色が存在しなかった。斑沈着の完全な程
度を明らかにするために、各脳の連続切片を最初に抗Aβ抗体と、およびその後二次試薬
と免疫反応させた。10D5および3D6は末梢投与後にCNS内の大部分の斑への到達
経路を獲得した。斑負荷はこれらの処置群で16C11群に比較して大きく低下した。P
DAPPマウスでエバンスブルーにより測定されるところの血管透過性の増大が存在しな
かったため、CNS中への抗体の進入は血液脳関門の異常な漏出によらなかった。加えて
、加齢PDAPPマウスの脳実質中の抗体の濃度は非トランスジェニックマウスにおいて
と同一であり、血清中の抗体濃度の0.1%に相当した(アイソタイプに関係なく)。
これらのデータは、末梢で投与した抗体がCNSに進入し得、それらはそこでアミロイ
ド消失を直接誘発し得ることを示す。16C11もまた斑への到達経路を有したがしかし
結合することが不可能であったことがありそうである。
アミロイド沈着物に対する抗体の活性についてのex vivoスクリーニングアッセイ
斑消失に対する抗体の効果を検査するために、われわれは、初代小膠細胞をPDAPP
マウス若しくはヒトAD脳のいずれかの未固定のクライオスタット切片とともに培養する
ex vivoアッセイを確立した。小膠細胞を新生DBA/2Nマウス(1〜3日齢)
の大脳皮質から得た。皮質を50μg/mlのDNアーゼI(Sigma)を含むHBS
(ハンクス平衡塩類溶液、Sigma)中で機械的に解離させた。解離した細胞を1
00μm細胞濾過器(Falcon)で濾過し、そして1000rpmで5分間遠心分離
した。ペレットを増殖培地(高グルコースDMEM、10%FBS、25ng/ml r
mGM−CSF)に再懸濁し、そして細胞をT−75プラスチック製培養フラスコあたり
2個の脳の密度でプレーティングした。7〜9日後にフラスコを回転式振とう機で200
rpmで37℃で2時間回転した。細胞懸濁液を1000rpmで遠心分離し、そしてア
ッセイ培地に再懸濁した。
PDAPPマウス若しくはヒトAD脳(死後間隔<3時間)の10μmクライオスタッ
ト切片を、ポリリシン被覆した円形のガラス製カバーガラス上で融解マウントし、そして
24ウェル組織培養プレートのウェルに入れた。該カバーガラスを、1%FBS、グルタ
ミン、ペニシリン/ストレプトマイシンおよび5ng/mlのrmGM−CSF(R&D
)を含むH−SFM(ハイブリドーマ無血清培地、Gibco BRL)よりなるアッセ
イ培地で2回洗浄した。対照若しくは抗Aβ抗体を2倍濃度(最終5μg/ml)で1時
間添加した。小膠細胞をその後、0.8×10細胞/mlアッセイ培地の密度で接種し
た。培養物を加湿インキュベータ(37℃、5%CO)中で24時間若しくはそれ以上
維持した。インキュベーションの終了時に、培養物を4%パラホルムアルデヒドで固定し
、そして0.1%Triton−X100で浸透化した。切片をビオチニル化3D6、次
いでストレプトアビジン/Cy3複合物(Jackson ImmunoResearc
h)で染色した。外因性小膠細胞を核染色(DAPI)により可視化した。培養物を倒立
蛍光顕微鏡(Nikon、TE300)で観察し、そしてSPOTソフトウェア(Dia
gnositc instruments)を使用してSPOTデジタルカメラを用いて
顕微鏡写真を撮影した。ウエスタンブロット分析のため、培養物を8M尿素で抽出し、還
元トリシンサンプル緩衝液で1:1希釈しそして16%トリシンゲル(Novex)上に
負荷した。イモビロンへの転写後に、ブロットを5μg/mlのpabAβ42、次いで
HRP結合抗マウス抗体に曝露し、そしてECL(Amersham)で発色させた。
アッセイを16C11(in vivoで有効でなかったAβに対する抗体の1種)の
存在下にPDAPP脳切片を用いて実施した場合、β−アミロイド斑は無傷のままであり
、また、食作用は観察されなかった。対照的に、隣接切片を10D5の存在下で培養した
場合、アミロイド沈着物はほぼ消失しかつ小膠細胞はAβを含有する無数の貪食胞を示し
た。同一の結果がAD脳切片で得られ;10D5はAD斑の食作用を誘導した一方、16
C11は無効であった。加えて、該アッセイは、マウス若しくはヒト小膠細胞のいずれか
、およびAβに対するマウス、ウサギ若しくは霊長類抗体を用いて実施した場合に匹敵す
る結果を提供した。
表7は、数種の異なる抗体結合特異性について食作用に対しAβ結合を比較する。aa
1−7内のエピトープに結合する抗体はアミロイド沈着物を結合および消失の双方をする
一方、アミノ酸4−10内のエピトープに結合する抗体はアミロイド沈着物を消失するこ
となく結合することを理解し得る。残基10に対しC末端のエピトープに結合する抗体は
アミロイド沈着物に結合もそれらを消失もしない。
Figure 2012034697
表8は、ex vivoアッセイで食作用を誘導する、および受動的移入研究において
in vivoの斑負荷を減少させるAβに対する数種の抗体の能力を比較した、それら
の抗体で得た結果を示す。16C11および21F12は凝集した合成Aβペプチドに高
親和性で結合したとは言え、これらの抗体は未固定の脳切片中のβ−アミロイド斑と反応
することが不可能であり、ex vivoアッセイで食作用を誘発し得ず、そしてin
vivoで有効でなかった。10D5、3D6、およびAβに対するポリクローナル抗体
は全3種の測定により活性であった。これらの結果は、in vivoの有効性がCNS
内の斑の直接の抗体に媒介される消失によること、およびex vivoアッセイがin
vivo有効性を暗示することを示す。
Figure 2012034697
同一のアッセイを使用して、NACと称されるシヌクレインの1フラグメントに対する
抗体の消失活性を試験した。シヌクレインはアミロイド斑に関連するタンパク質であるこ
とが示されている。NACに対する抗体を、前のとおり、アミロイド斑を含有する脳組織
サンプルおよび小膠細胞と接触させた。ウサギ血清を対照として使用した。その後のモニ
タリングは、抗体の消失活性を暗示する、斑の数および大きさの顕著な低下を示した。
共焦点顕微鏡検査を使用して、Aβがex vivoアッセイの経過の間に内部移行さ
れたことを確認した。対照抗体の存在下で、外因性の小膠細胞は組織の上の共焦点面に留
まり、Aβを含有する貪食胞は存在せず、そして斑は切片内で無傷のままであった。10
D5の存在下では、ほぼ全部の斑物質が外因性の小膠細胞内の小胞中に含有された。内部
移行されたペプチドの運命を決定するために、10D5で処理した培養物を多様な時点で
8M尿素で抽出し、そしてウエスタンブロット分析により検査した。食作用が未だ起きて
いなかった1時間の時点で、Aβに対するポリクローナル抗体との反応は強い4kDのバ
ンド(Aβペプチドに対応する)を示した。Aβの免疫反応性は第1日に減少し、そして
第3日までに非存在となった。従って、Aβの抗体に媒介される食作用はその分解につな
がる。
ex vivoアッセイでの食作用がFc媒介性であったかどうかを決定するために、
抗Aβ抗体3D6のF(ab’)2フラグメントを製造した。F(ab’)2フラグメン
トは斑と反応するそれらの完全な能力を保持したとは言え、それらは小膠細胞による食作
用を誘発することが不可能であった。加えて、完全な抗体での食作用は、ネズミのFc受
容体に対する試薬(抗CD16/32)により阻害され得た。これらのデータは、Aβの
in vivo消失がFc受容体媒介性の食作用により生じることを示す。
抗体の血液脳関門の通過
本実施例は、正常若しくはPDAPPいずれかのマウスの末梢組織への静脈内注入後に
脳に送達される抗体の濃度を測定する。処置後、PDAPP若しくは対照の正常マウスを
0.9%NaClで灌流した。脳領域(海馬若しくは皮質)を切開しかつ急速凍結した。
脳を0.1%triton+プロテアーゼ阻害剤中でホモジェナイズした。免疫グロブリ
ンがELISAにより抽出物中で検出された。F(ab’)2ヤギ抗マウスIgGを捕捉
試薬としてRIAプレート上に被覆した。血清若しくは脳抽出物を1時間インキュベート
した。抗マウスIgG1−HRP若しくはIgG2a−HRP若しくはIgG2b−HR
P(Caltag)でアイソタイプを検出した。抗体は、アイソタイプに関係なく、血液
中で見出された濃度の1/1000である濃度で、CNS中に存在した。例えば、IgG
1の濃度が血中でIgG2aの濃度の3倍であった場合、それは脳中で同様にIgG2a
の3倍であり、双方は血中のそれらのそれぞれのレベルの0.1%で存在した。この結果
はトランスジェニックおよび非トランスジェニック双方のマウスで観察され、PDAPP
が独特に漏出する血液脳関門を有しないことを示す。
マウス3D6可変領域のクローニングおよびシークェンシング
3D6 VHのクローニングおよび配列分析。3D6のH鎖可変VH領域を、2つの独
立した方法によりハイブリドーマ細胞から調製したmRNAを使用するRT−PCRによ
りクローン化した。第一において、コンセンサスプライマー、5’プライマーとしての翻
訳開始コドンを包含するVH領域リーダーペプチド(DNA #3818−3829)、
およびg2b(DNA #3832)定常領域特異的3’プライマーを使用した。PCR
で増幅した産物ならびに複数の独立に派生したクローンからの配列は相互と完全に一致し
た。3D6 VH領域の配列に対するさらなる確認として、5’RACE RT−PCR
の方法論により得られるVHフラグメントおよび3’のg2b特異的プライマー(DNA
#3832)をシークェンシングすることにより該結果を確認した。再度、該配列はP
CR産物ならびに複数の独立に単離されたクローン由来であった。双方の配列は(5’R
ACE産物からのリーダー領域中のV8I置換を除き)相互と完全に一致し、該配列が3
D6のVH領域をコードするmRNA由来であることを示す。3D6のVH領域のヌクレ
オチド(配列番号3)およびアミノ酸配列(配列番号4)をそれぞれ表9Aおよび図2に
示す。
Figure 2012034697
3D6 VLのクローニングおよび配列分析。3D6のL鎖可変VL領域をVH領域と
類似の様式でクローン化した。第一の試行において、後に続くとおりネズミのVL領域の
増幅のためコンセンサスのプライマー組を設計した。すなわち、5’プライマー(DNA
#3806−3816)は翻訳開始コドンを包含するVL領域にハイブリダイズするよ
うに設計し、そして3’プライマー(DNA#3817)はV−J接合領域の下流のネズ
ミのCk領域に特異的であった。PCRフラグメント、ならびにこのコンセンサスL鎖プ
ライマー組を使用して単離された独立に派生したクローンのDNA配列分析は、該配列が
V−J領域の接合の間のフレームシフト突然変異を含有したため、得られたcDNAが非
機能的に再配列されたメッセージ由来であったことを示した。
第二の試行において、5’RACEを使用して、第二のVLをコードするcDNAをク
ローン化した。この産物(コンセンサス11)のDNA配列分析はそれが機能的mRNA
をコードしたことを示した。従って、該配列が正しい3D6 L鎖mRNAをコードする
と結論し得る。3D6のVL領域のヌクレオチド(配列番号1)およびアミノ酸配列(配
列番号2)をそれぞれ表9Bおよび図1に示す。
Figure 2012034697
3D6 VLのcDNAのクローニングに使用したプライマーを表10に示す。
Figure 2012034697
Figure 2012034697
Figure 2012034697
N末端からC末端へ、LおよびH鎖双方はドメインFR1、CDR1、FR2、CDR
2、FR3、CDR3およびFR4を含んでなる。各ドメインへのアミノ酸の割当てはK
abatら、上記の番号付け規約に従う。
キメラ3D6抗体の発現:可変HおよびL鎖領域を、それぞれのVDJ若しくはVJ接
合部の下流のスプライスドナー配列をコードするように再工作し、そしてH鎖について哺
乳動物発現ベクターpCMV−hγ1およびL鎖についてpCMV−hκ1にクローン化
した。これらのベクターは、挿入された可変領域カセットの下流のエキソンフラグメント
としてヒトγ1およびCk定常領域をコードする。配列の確認後にH鎖およびL鎖発現ベ
クターをCOS細胞にコトランスフェクトした。2種の異なるH鎖クローン(H2.2お
よびH3.2)を3種の異なるキメラL鎖クローン(L3、L4およびL10)とともに
独立にコトランスフェクトして結果の再現性を確認した。キメラ21.6抗体のトランス
フェクションをベクターの陽性対照として実施した。トランスフェクション48時間後に
馴化培地を収集し、そして抗体産生についてウエスタンブロット分析、若しくはAβ結合
についてELISAによりアッセイした。
複数のトランスフェクタントは全部、H鎖+L鎖の組合せを発現し、それらはウエスタ
ンブロット上でヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体により認識される。
Aβへの3D6およびキメラ3D6(PK1614)抗体の直接結合をELISA分析
により試験した。キメラ3D6は、3D6により示される親和性に類似の高親和性でAβ
に結合することが見出された(図3A)。さらに、ELISAに基づく競合阻害アッセイ
は、キメラ3D6およびネズミの3D6抗体がAβへのビオチニル化3D6の結合と等し
く競合したことを示した(図3B)。キメラ抗体は3D6参照サンプルと識別不可能な結
合特性を表した。
Figure 2012034697
さらに、3D6およびPK1614双方がAβ斑の消失で有効であった。該ex vi
voアッセイは、抗体の濃度が増大する際にAβの量がネズミおよびキメラ双方の3D6
抗体について類似の様式で減少することを示す。これゆえに、該配列がそれぞれ機能的な
3D6 H鎖およびL鎖をコードすると結論し得る。
3D6のヒト化
相同性/分子モデル化。ネズミの3D6抗体中の重要な構造的枠組み残基を同定するた
めに、HおよびL鎖について最も近いネズミの抗体に基づき三次元モデルを生成した。こ
の目的上、1CR9と呼称される抗体を3D6 L鎖をモデル化するための鋳型として選
び(PDB ID;1CR9、Kanyoら、上記)、そして1OPGと呼称される抗体
をH鎖をモデル化するための鋳型として選んだ(PDB ID:1OPG Kodand
apaniら、上記)。(表1もまた参照されたい。)これらの抗体のL鎖およびH鎖と
の3D6のアミノ酸配列のアラインメントは、H鎖のCDR3を除き、1CR9および1
OPG抗体が3D6と有意の配列の相同性を共有することを示した。加えて、選択した抗
体のCDRループは、再度H鎖のCDR3を除き、3D6のCDRループがそうであるよ
うに同一のカノニカルのChothia構造分類にある。従って、1CR9および1OP
Gを、3D6の相同性モデル化のための解明された構造の抗体として最初に選択した。
上に示された抗体に基づく3D6の可変領域の最初の試みの相同性モデルを、Look
& SegMod Module GeneMine(v3.5)ソフトウェアパッケ
ージを使用して構築した。このソフトウェアはMolecular Applicati
ons Group(カリフォルニア州パロアルト)から無期限ライセンスのもとに購入
した。Michael Levitt博士およびChris Lee博士により生み出さ
れたこのソフトウェアパッケージは、配列の相同性に基づく既知の構造の鋳型での一次構
造の構造的モデル化に関与する段階を自動化することにより分子モデル化の過程を促進す
る。UNIX(登録商標)環境下でSilicon Graphics IRISワークステーションで作業して、該モデル構造は、好ましくない原子接触を緩和しかつ静電的およびファンデルワールス相互作用を至適化する一連のエネルギー最小化段階により、自動的に精緻なものとされる。
さらなる精緻なものにされたモデルをQuanta(R)のモデル化機能を使用して構
築した。3D6のH鎖のCDR3でのPDBデータベースのクエリは、1qkzを最も相
同かつ3D6と同一の数の残基を有すると同定した。これゆえに、3D6のH鎖のCDR
3は、1qkzの結晶構造を鋳型として使用してモデル化した。3D6のモデルのα−炭
素バックボーンの軌跡を図4に示す。VHドメインは点線として示し、そしてVLドメイ
ンは実線として示し、また、CDRループはリボンの形態で示す。
ヒトアクセプター抗体配列の選択。適するヒトアクセプター抗体配列は、マウス可変領
域のアミノ酸配列の既知のヒト抗体の配列とのコンピュータ比較により同定した。該比較
は3D6 HおよびL鎖について別個に実施した。とりわけ、枠組み配列がネズミのVL
およびVH枠組み領域と高い程度の配列の同一性を表したヒト抗体からの可変ドメインは
、ネズミの枠組み配列に関してNCBI BLAST(国立保健研究所(Nationa
l Institutes of Health)のNCBIのインターネットサーバー
を通じて公的にアクセス可能)を使用するKabatデータベースのクエリにより同定し
た。
2個の候補配列を、以下の基準、すなわち(1)主題の配列との相同性;(2)ドナー
配列とカノニカルCDR構造を共有すること;および(3)枠組み領域にいかなる希少ア
ミノ酸残基も含有しないことに基づき、アクセプター配列として選んだ。VLについて選
択されたアクセプター配列はKabat ID番号(KABID)019230(Gen
bank受託番号S40342)であり、そしてVHについてはKABID 04591
9(Genbank受託番号AF115110)である。最初のバージョンのヒト化3D
抗体はこれらの選択されたアクセプター抗体配列を利用している。
アミノ酸残基の置換。上で示されたとおり、本発明のヒト化抗体は、実質的にヒト免疫
グロブリン(アクセプター免疫グロブリン)からの可変枠組み領域、および実質的に3D
6と命名されるマウス免疫グロブリン(ドナー免疫グロブリン)からの相補性決定領域を
含んでなる。3D6の相補性決定領域および適切なヒトアクセプター免疫グロブリンが同
定されれば、次の段階は、生じるヒト化抗体の特性を至適化するためにこれらの成分から
のどの残基を(あれば)置換するかを決定することであった。上述された基準を使用して
置換のための残基を選択した。
図1および2は、ヒト化配列、対応するヒト枠組みアクセプター配列、および最後に該
ヒト枠組みアクセプター配列に対する最高の相同性を示すヒト生殖系列V領域配列のそれ
ぞれのバージョン1とのそれぞれ元のネズミの3D6 VLおよびVHのアラインメント
を描く。影を付けた残基はカノニカル(黒地)、バーニア(点線の輪郭)、充填(太字)
および希少アミノ酸(太字斜体)を示し、そして図上で示される。*印はヒトアクセプタ
ー枠組み配列中のネズミの残基に戻し突然変異された残基を示し、そしてCDR領域は上
線を付けて示す。ヒト化3D6 VHおよびVLのバージョン1に組込まれた変化の要約
を表12に提示する。
Figure 2012034697
表13および14はそれぞれ多様なLおよびH鎖のKabatの番号付けの符号を示す
Figure 2012034697
Figure 2012034697
Figure 2012034697
Figure 2012034697
Figure 2012034697
Figure 2012034697
Figure 2012034697
Figure 2012034697
ヒト化抗体は、好ましくは最低10、10、10若しくは1010−1のAβ
に対する特異的結合親和性を表す。通常、Aβに対するヒト化抗体の結合親和性の上限は
3D6の上限(すなわち約10−1)の3、4若しくは5の係数内である。しばしば
、結合親和性の下限もまた3D6の下限の3、4若しくは5の係数内である。
ヒト化3D6 VHおよびVL、バージョン1の集成および発現
簡潔には、各V領域について、4種の大きな一本鎖のオーバーラップするオリゴヌクレ
オチドを合成した。加えて、特定のV領域の集成をさらに助長するために各V領域のため
の4種の短いPCRプライマーを合成した。この目的上使用したオリゴヌクレオチドのD
NA配列を表15に示す。
Figure 2012034697
Figure 2012034697
Figure 2012034697
ヒト化L鎖はPCRを使用して集成した。2ダース以上のクローンのDNA配列分析は
、期待された配列に関してVL領域全体に散在した点突然変異および欠失を示した。配列
の分析は、クローン2.3がアミノ末端領域の2個の狭い間隔で並ぶ単一ヌクレオチド欠
失の修復の影響を受けやすかったことを示した。これゆえに、オリゴヌクレオチドを使用
してクローンpCRShum3D6v12.3で部位特異的突然変異誘発を実施して2個
の欠失ヌクレオチドを導入し、そして点突然変異の修復をDNA配列分析により確認し、
また、VL挿入物をL鎖発現ベクターpCMV−cKにクローン化した。
PCRに基づく方法を使用したヒト化VHの集成は、該配列の5’半分にかなりの欠失
をもつクローンをもたらした。PCR条件を至適化するためのさらなる試みは部分的成功
をみた。至適化されたPCR条件を介して集成したクローンは、A+Bフラグメントのオ
ーバーラップに位置する領域に10〜20ntの欠失をなお有した。結果、DNAポリメ
ラーゼ(T4、クレノウ、およびシークェナーゼ)に媒介されるオーバーラップ伸長、次
いでオーバーラップ端を共有結合するためのT4 DNAリガーゼを利用するVH集成の
ため代替の一戦略を使用した。後者のアプローチを使用するVH集成から生じるクローン
のサブセットのDNA配列分析は、該クローン間の散在した点突然変異および欠失を示し
た。2ダースを上回るクローンの分析は、該クローンについて具体的に説明されたと本質
的に同一のパターンを示した。VHおよびVLクローンの初回通過集成後に観察された類
似の結果は、観察されたDNA配列の誤りが集成に使用した長いDNAの合成の間の自動
合成機の誤りから生じたことを示唆する。
ヒト化VHクローン2.7を、3ヌクレオチド欠失の部位特異的突然変異誘発に媒介さ
れる修復のため選択し、それは含有することが観察された。
ヒト化3D6v2抗体の特徴付け
残基1でのD→Y置換を除きバージョン1について示された置換のそれぞれを有する第
二のバージョンのヒト化3D6を創製した。この残基がCDRと相互作用する残基と同定
されたため、該残基での置換をバージョン1で実施した。しかしながら、置換は、その位
置でヒト免疫グロブリンにとって希少であった1残基を欠失した。これゆえに置換を伴わ
ない1バージョンを創製した。さらに、H鎖枠組み領域中の非生殖系列残基を生殖系列残
基で置換した(すなわちH74=S、H77=TおよびH89=V)。バージョン2のL
およびH鎖のKabatの番号付けは、バージョン2のL鎖の残基1がasp(D)であ
り、H鎖の残基74がser(S)であり、H鎖の残基77がthr(T)でありかつH
鎖の残基89がval(V)であることを除き、それぞれ表13および14に描かれたも
のと同一である。ヒト化3D6のバージョン1のLおよびH鎖のヌクレオチド配列をそれ
ぞれ配列番号34および36に示す。ヒト化3D6のバージョン2のLおよびH鎖のヌク
レオチド配列をそれぞれ配列番号35および37に示す。
ヒト化3D6抗体の機能試験
凝集したAβへのヒト化3D6v1の結合。ヒト化3D6v1の機能試験を、一過性に
トランスフェクトしたCOS細胞からの馴化培地を使用して実施した。細胞を、完全にキ
メラの抗体、キメラH鎖+ヒト化L鎖、若しくはキメラL鎖+ヒト化H鎖のいずれかの混
合物、および最後に完全にヒト化した抗体でトランスフェクトした。馴化培地は、凝集し
たAβ1−42への結合についてELISAアッセイにより試験した。ヒト化抗体は実験
誤差内の良好な活性を示し、かつ、キメラ3D6参照サンプルと識別不可能な結合特性を
表した。結果を表16に示す。
Figure 2012034697
ヒト化3D6v1および3D6v2抗体の結合親和性を比較するため、抗原として凝集
したAβを使用してELISA分析を実施した。該結果は、3D6v1(H1L1)およ
び3D6v2(H2L2)双方がほぼ同一のAβ結合特性を有することを示す(図5)。
h3D6v2の置換NET(rNET)分析。rNETエピトープマップアッセイは、
抗体の全体的な結合活性へのエピトープ内の個々の残基の寄与についての情報を提供する
。rNET分析は合成した系統的単一置換ペプチドアナログを使用する。試験されている
抗体の結合を、天然のペプチド(天然の抗原)および19種の代替の「単一置換」ペプチ
ド(各ペプチドは第一の位置で、その位置についての19種の非天然のアミノ酸の1種で
置換されている)に対して測定する。その位置の多様な非天然の残基での置換の影響を反
映するプロファイルが生成される。プロファイルを同様に、抗原性ペプチドに沿った連続
した位置で生成させる。組合せたプロファイルすなわちエピトープマップ(各位置の全1
9種の非天然の残基での置換を反映する)をその後、第二の抗体について同様に生成させ
たマップと比較する。実質的に類似若しくは同一のマップは、比較されている抗体が同一
若しくは類似のエピトープ特異性を有することを示す。
この分析を3D6およびヒト化3D6のバージョン2について実施した。抗体を天然の
AβペプチドDAEFRHDSGY(配列番号33)に対する結合について試験した。残
基1−8をその位置についての19種の非天然の残基のそれぞれで系統的に置換した。3
D6およびh3D6v2について相応してマップを生成させた。結果を表の形態で表17
に提示する。
Figure 2012034697
Figure 2012034697
Figure 2012034697
注目すべきことに、各位置での置換を見る場合に該プロファイルは3D6およびh3D
6v2について事実上同一である(すなわち、値は欄2(h3D6v2)に対し欄1(3
D6)のデータを比較する場合に同一の様式で変動する。これらのデータは、h3D6v
2のrNETエピトープマップがAβの残基1−4および5−8双方を使用してm3D6
に事実上同一であるため、h3D6v2の特異性が保存されることを示す。
PDAPP脳切片での免疫組織化学はh3D6v1抗体の特異性を示す。ヒト化3D6
v1抗体は、PDAPPマウスからのクライオスタットで調製した脳切片中のAβを認識
した。ヒト化3D6v1およびPK1614双方が、組織を染色するのに使用した抗体の
量に対するスライドガラスあたりの蛍光の量(ピクセルで定量される)により測定される
とおり、同一の用量応答様式でPDAPP斑に結合した(図6)。同一の抗ヒト二次抗体
をこの実験で使用した。切片作成、染色および画像処置は前述した。同一の実験において
、PDAPPおよびAD脳切片でのh3D6v2染色の画像解析は、h3D6v2が3D
6v1に類似の様式でAβ斑を認識することを示した(例えば高度に装飾された(dec
orated)斑)。
h3D6の競合結合分析。ネズミの3D6と競合するh3D6抗体v1およびv2の能
力を、ビオチニル化3D6抗体を使用するELISAにより測定した。競合結合分析は、
h3D6v1、h3D6v2およびキメラPK1614が全部、Aβを結合するためにm
3D6と競合し得ることを示した(図7)。h3D6v1およびh3D6v2はAβに対
し3D6と競合するそれらの能力において同一であった。10D5抗体は3D6と異なる
結合エピトープを有するため、それを陰性対照として使用した。BIAcore分析もま
た、Aβに対するh3D6v1およびh3D6v2の高親和性を示した(表18)。
Figure 2012034697
0.88nMというKdを有する3D6と比較して、h3D6v1およびh3D6v2
双方が、h3D6v1およびh3D6v2についてそれぞれ2.06nMおよび2.24
nMで測定される約2ないし3倍より小さい結合親和性を有した。ELISA競合結合ア
ッセイは、h3D6v1およびh3D6v2に対するおよそ6倍より小さい結合親和性を
示した。典型的には、ヒト化抗体はそれらのネズミの対蹠物に比較して結合親和性を約3
〜4倍喪失する。従って、h3D6v1およびh3D6v2についての約3倍(ELIS
AおよびBIAcoreの結果の平均)の喪失は許容される範囲内にある。
h3D6v2抗体を使用するex vivoアッセイ。小膠細胞を刺激するh3D6v
2の能力をex vivo食作用アッセイにより試験した(図8)。h3D6v2は、P
DAPPマウス脳組織からのAβ凝集物の食作用の誘導においてキメラ3D6と同じくら
い有効であった。IgGはAβを結合することが不可能であり、そして従って食作用を誘
導し得ないため、それをこの実験で陰性対照として使用した。
h3D6のin vivo脳局在化。125I標識したh3D6v2、m3D6および
抗体DAE13を、別個の実験で14匹の個別のPDAPPマウスにそれぞれIV注入し
た。マウスを第7日後に殺しそしてさらなる分析のため灌流した。それらの脳領域を切開
し、そして特定の脳領域の125I活性について測定した。脳中の放射標識活性を血清サ
ンプル中の活性と比較した。結果を血清および脳領域についてそれぞれ表19および20
に示す。
Figure 2012034697
該データは、h3D6v2が脳に局在化し、そしてAβが凝集することが知られている
海馬領域でとりわけ濃縮されたことを示す。m3D6およびDAE13の脳のカウントは
h3D6v2に匹敵した。全3種の抗体は、in vivoでのAβ斑結合により示され
るとおり、血液関門を横断することが可能であった。
マウス10D5可変領域のクローニングおよびシークェンシング
10D5 VHのクローニングおよび配列分析。ハイブリドーマ細胞からの10D5の
VHおよびVL領域を、5’RACE手順を使用するRT−PCRによりクローン化した
。推定される10D5 VLドメインをコードする2個の独立のcDNAクローン由来の
ヌクレオチド配列(配列番号13)および推定されるアミノ酸配列(配列番号14)を表
21および図9に示す。推定される10D5 VHドメインをコードする2個の独立のc
DNAクローン由来のヌクレオチド配列(配列番号15)および推定されるアミノ酸配列
(配列番号16)を表22および図10に示す。10D5 VLおよびVH配列は、それ
らがイニシエーターのメチオニンからC領域までの1個の連続したORFを含有しかつ免
疫グロブリンV領域遺伝子の保存された残基の特徴を共有する限りにおいては、機能的V
領域の基準に合致する。
Figure 2012034697
PDAPPマウスにおける多様な神経病理学的エンドポイントに対するmAb 3D6の
有効性
本実施例は多様な神経病理学的エンドポイントに対するネズミのmAb 3D6の有効
性を記述する。(変動する用量での)3D6での受動免疫とAβペプチドでの能動免疫と
の間で比較を行う。
免疫化
PDAPPマウスを3種の異なる用量すなわち10mg/kg、1mg/kgおよび1
0mg/kgを月1回(1×4)のmAb 3D6で受動免疫した。無関係のIgGγ2
a抗体(TY 11/15)およびPBS注入が対照としてはたらいた。Aβペプチドで
の能動免疫が比較としてはたらいた。各群で20と35匹の間の動物を分析した。
アッセイした神経病理学的エンドポイントはアミロイド負荷および神経炎性負荷を包含
する。
アミロイド負荷
アミロイド沈着物により占有される前頭皮質の程度を、3D6で免疫染色すること、次
いで定量的画像解析により決定した。この分析の結果を表6に示す。免疫療法のそれぞれ
がアミロイド負荷の有意の減少に至った。
神経炎性負荷
3D6での受動免疫後の神経炎性負荷を、抗APP抗体8E5での脳切片の免疫染色、
次いで定量的画像解析によりPDAPPマウスで測定した。神経炎性ジストロフィーはア
ミロイド斑の直近に位置する異栄養性神経突起の出現(例えば球状の外観をもつ神経突起
)により示される。この分析の結果を表7に示す。3D6(IgGγ2aアイソタイプ、
Aβ1−5を認識する)はAβペプチドでの能動免疫に比較して神経炎性負荷を有意に低
下させなかった。以前に、10D5(Aβ3−7を認識するIgGγ1アイソタイプ)は
神経炎性負荷を有意に低下させることが不可能であったことが観察されていた。
Figure 2012034697
アルツハイマー病のPDAPPマウスモデルにおける多様な神経病理学的エンドポイン
トの特徴付けは、適切なヒトの治療的免疫化プロトコルの設計において当業者を補助する
とみられる。
ヒト被験体の予防および処置
単回投与のフェーズI試験をヒトでの安定性を決定するために実施する。治療薬は、想
定される有効性のレベルの約0.01から開始しかつ有効なマウス投薬量の約10倍のレ
ベルに達するまで3の係数により増大させて、異なる患者に増大する投薬量で投与する。
フェーズII試験は治療的有効性を決定するために実施する。推定(probable
)ADについてのアルツハイマー病および関連疾患協会(Alzheimer’s di
sease and Related Disorders Association)
(ADRDA)の基準を使用して定義される早期ないし中期のアルツハイマー病を伴う患
者を選択する。適する患者は、知能状態小検査(Mini−Mental State
Exam)(MMSE)で12〜26の範囲の点を得る。他の選択基準は、患者が研究の
持続期間を生存しかつ妨害するとみられる併用薬の使用のような複雑にする問題を欠くこ
とがありそうであることである。患者機能の基礎評価は、MMSE、およびアルツハイマ
ー病を伴う患者の状態および機能を評価するための包括的尺度であるADASのような、
古典的計量心理学的基準を使用して行う。これらの計量心理学的尺度はアルツハイマー病
の状態の進行の基準を提供する。適する定性的な生命尺度もまた処置をモニターするのに
使用し得る。疾患の進行はMRIによってもまたモニターし得る。免疫原特異的抗体およ
びT細胞応答のアッセイを包含する患者の血液プロファイルもまたモニターし得る。
基礎測定後に患者は処置を受け始める。彼らを無作為化し、そして盲検化した様式で治
療薬若しくはプラセボのいずれかで処置する。患者は最低でも6か月ごとにモニターする
。有効性は、プラセボ群に関しての処置群の進行の有意の低下により決定する。
第二のフェーズII試験は、ときに加齢性記憶障害(AAMI)若しくは軽度認識障害
(MCI)と称される非アルツハイマー病の早期記憶障害から、ADRDA基準によると
おり定義されるところの推定アルツハイマー病への患者の変換を評価するために実施する
。アルツハイマー病への変換の高危険度を伴う患者は、記憶障害の初期兆候若しくは前ア
ルツハイマー病の症候学と関連する他の困難、アルツハイマー病の家族歴、遺伝的危険因
子、年齢、性別、およびアルツハイマー病の高危険度を予測することが見出された他の特
徴について参照集団をスクリーニングすることにより、非臨床的集団から選択する。MM
SEおよびADASを包含する適する数的指標でのベースラインスコアを、より正常な集
団を評価するために設計された他の数的指標と一緒に収集する。これらの患者集団を、該
剤を含む投薬代替物に対するプラセボの比較を伴う適する群に分割する。これらの患者集
団を約6か月間隔で追跡し、そして、各患者のエンドポイントは、彼若しくは彼女が観察
の終了時にADRDA基準により定義されるところの推定アルツハイマー病に変換するか
どうかである。
一般的材料および方法
A.ポリクローナルおよびモノクローナルAβ抗体の製造
抗Aβポリクローナル抗体は2群の動物から収集した血液から調製した。第一群は6な
いし8週齢の100匹の雌性Swiss Websterマウスよりなった。それらを第
0、15および29日に、CFA/IFAと組合せた100μgのAN1792で免疫し
た。第四の注入を半分の用量のAN1792を用いて第36日に与えた。動物を第42日
に殺す際に放血し、血清を調製し、そして血清をプールして合計64mlを創製した。第
二群は6ないし9週齢のPDAPPマウスと同系しかしヒトAPP遺伝子について非トラ
ンスジェニックの24匹の雌性マウスよりなった。それらを第0、14、28および56
日に、CFA/IFAと組合せた100μgのAN1792で免疫した。これらの動物も
また、第63日に殺す際に放血し、血清を調製しかつ合計14mlのためプールした。該
2ロットの血清をプールした。50%飽和硫酸アンモニウムを用いる2回の連続した沈殿
を使用して抗体画分を精製した。最終沈殿物をPBSに対し透析しかつエンドトキシンに
ついて試験した。エンドトキシンのレベルは1EU/mg未満であった。
抗Aβモノクローナル抗体を腹水から調製した。腹水はまず、0.238%の最終濃度
に達するまで氷上で攪拌することによる氷冷腹水への濃デキストラン硫酸ナトリウムの添
加により脱脂した。その後濃CaClを64mMの最終濃度に達するまで攪拌しながら
添加した。この溶液を10,000×gで遠心分離しかつペレットを廃棄した。上清を、
等容積の飽和硫酸アンモニウムを一滴ずつ添加しつつ氷上で攪拌した。該溶液を10,0
00×gで再度遠心分離しかつ上清を廃棄した。ペレットを再懸濁しかつ20mMトリス
−HCl、0.4M NaCl、pH7.5に対し透析した。この画分を、Pharma
cia FPLC セファロース(Sepharose)Qカラムに適用しかつ20mM
トリス−HCl、pH7.5中0.4Mから0.275MまでのNaClの逆勾配で溶出
した。
抗体のピークを280nmでの吸光度により同定し、そして適切な画分をプールした。
精製した抗体調製物は、BCA法を使用してタンパク質濃度を、およびSDS−PAGE
を使用して純度を測定することにより特徴付けした。プールはまたエンドトキシンについ
ても試験した。エンドトキシンのレベルは1EU/mg未満であった。力価、100未満
の力価は25の力価値に自由裁量で割り当てた。
B.抗体力価の測定
尾静脈に小さな切れ目を作成することおよび約200μlの血液を微小遠心管に収集す
ることによりマウスを採血した。モルモットは、最初に後肢領域の毛を剃ること、および
その後18ゲージ針を使用して中足静脈に切れ目を入れること、ならびに血液を微小遠心
管に収集することにより採血した。血液を室温(RT)で1時間凝血させ、ボルテックス
攪拌し、その後14,000×gで10分間遠心分離して血餅を血清から分離した。血清
をその後清浄な微小遠心管に移しかつ力価測定するまで4℃で保存した。
抗体力価はELISAにより測定した。96ウェルマイクロタイタープレート(Cos
ter EIAプレート)を、ウェル被覆緩衝液(0.1Mリン酸ナトリウム、pH8.
5、0.1%アジ化ナトリウム)中の10μg/mlのAβ42若しくはSAPPのいず
れか、または個々の報告のそれぞれで示されるところの他の抗原のいずれかを含有する1
00μlの溶液で被覆し、そしてRTで一夜保持した。ウェルを吸引し、そして、血清を
試料希釈剤(0.014Mリン酸ナトリウム、pH7.4、0.15M NaCl、0.
6%ウシ血清アルブミン、0.05%チメロサール)中100倍希釈で開始してウェルに
添加した。サンプルの7種の連続希釈物を、1/218,700の最終希釈に達するまで
3倍の段階でプレート中で直接作成した。希釈物は被覆したプレートのウェル中RTで1
時間インキュベートした。その後プレートを0.05%Tween 20を含有するPB
Sで4回洗浄した。二次抗体すなわちワサビペルオキシダーゼに結合したヤギ抗マウスI
g(Boehringer Mannhimから得た)を、試料希釈剤中の100μlの
3000倍希釈物としてウェルに添加し、そしてRTで1時間インキュベートした。プレ
ートを再度PBS、Tween 20で4回洗浄した。色原体を発色させるため、100
μlのSlow TMB(Pierce Chemicalsから得た3,3’,5,5
’−テトラメチルベンジジン)を各ウェルに添加し、そしてRTで15分間インキュベー
トした。25μlの2M HSOの添加により反応を停止した。その後、色の強度を
Molecular Devices Vmaxで(450nm〜650nm)で読取っ
た。
力価は最大のODの半分を生じる血清の希釈の逆数と定義した。最大のODは、最大の
ODを確立するのにより高い初期希釈が必要であった非常に高力価を伴う場合を除き、一
般に最初の100倍希釈から得られた。50%点が2種の希釈の間にあった場合は、直線
の外挿を行って最終力価を計算した。抗体力価の幾何平均を計算するため、100未満の
力価は25の力価値を自由裁量で割り当てた。
C.脳組織の調製
安楽死後に脳を取り出し、そして一半球を免疫組織化学的分析のため調製した一方、3
種の脳領域(海馬、皮質および小脳)を他方の半球から切開し、そして特異的ELISA
(Johnson−Woodら、上記)を使用して多様なAβタンパク質およびAPPの
形態の濃度を測定するのに使用した。
ELISAに運命づけられた組織を10容積の氷冷グアニジン緩衝液(5.0Mグアニ
ジン−HCl、50mMトリス−HCl、pH8.0)中でホモジェナイズした。ホモジ
ェネートは、Adams Nutator(Fisher)を使用する穏やかな攪拌によ
りRTで3ないし4時間混合し、その後AβおよびAPPの定量前に−20℃で保存した
。以前の実験は、該被検体がこの貯蔵条件下で安定であったこと、および、合成Aβタン
パク質(Bachem)がマウス同腹子からの対照脳組織のホモジェネートに添加した場
合に定量的に回収し得たことを示していた(Johnson−Woodら、上記)。
D.Aβレベルの測定
脳ホモジェネートを氷冷カゼイン希釈剤(0.25%カゼイン、PBS、0.05%ア
ジ化ナトリウム、20μg/mlアプロチニン、5mM EDTA pH8.0、10μ
g/mlロイペプチン)で10倍希釈し、そしてその後16,000×gで4℃で20分
間遠心分離した。合成Aβタンパク質標準品(1−42アミノ酸)およびAPP標準品は
、最終組成物に0.5Mグアニジンおよび0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を包含
するように調製した。「全」AβサンドイッチELISAは、捕捉抗体としてAβのアミ
ノ酸13−28に特異的なモノクローナル抗体、モノクローナル抗体266(Seube
rtら、上記)、およびレポーター抗体としてAβのアミノ酸1−5に特異的なビオチニ
ル化モノクローナル抗体3D6(Johnson−Woodら、上記)を利用する。3D
6モノクローナル抗体は分泌型APP若しくは完全長のAPPを認識しないが、しかしア
ミノ末端のアスパラギン酸をもつAβ種のみを検出する。このアッセイは約50ng/m
l(11nM)の感度の下限を有し、そして1ng/mlまでの濃度で内因性のネズミの
Aβタンパク質に対する交差反応性を示さない(Johnson−Woodら、上記)。
Aβ1−42特異的サンドイッチELISAは、捕捉抗体としてAβのアミノ酸33−
42に特異的なmAβ 21F12を使用する。ビオチニル化mAβ 3D6はまた、こ
のアッセイで約125μg/ml(28μM、Johnson−Woodら、上記)の感
度の下限を有するレポーター抗体でもある。AβのELISAのために、100μlのm
Aβ 266(10μg/mlの)若しくは(5μg/ml)のmAβ 21F12のい
ずれかを、RTでの一夜インキュベーションにより96ウェルイムノアッセイプレート(
Costar)のウェルに被覆した。吸引により溶液を除去し、そして200μlのPB
S緩衝液中0.25%ヒト血清アルブミンの添加によりウェルをRTで最低1時間ブロッ
キングした。ブロッキング溶液を除去し、そしてプレートを使用するまで4℃で乾燥させ
て保存した。プレートは使用前に洗浄緩衝液[トリス緩衝生理的食塩水(0.15M N
aCl、0.01Mトリス−HCl、pH7.5)および0.05%Tween 20]
で再水和した。サンプルおよび標準をウェルあたり100μlの三重のアリコートで添加
しそしてその後4℃で一夜インキュベートした。プレートはアッセイの各段階の間に洗浄
緩衝液で最低3回洗浄した。カゼインアッセイ緩衝液(0.25%カゼイン、PBS、0
.05%Tween 20、pH7.4)中0.5μg/mlまで希釈したビオチニル化
mAβ 3D6を添加し、そしてウェル中でRTで1時間インキュベートした。カゼイン
アッセイ緩衝液で4000倍希釈したアビジン−ワサビペルオキシダーゼ複合物(Vec
tor、カリフォルニア州バーリンゲームから得たアビジン−HRP)をウェルにRTで
1時間添加した。比色定量の基質すなわちSlow TMB−ELISA(Pierce
)を添加しかつRTで15分間反応させ、その後25μlの2N HSOの添加によ
り酵素反応を停止した。Molecular Devices Vmaxを使用して45
0nmおよび650nmでの吸光度の差異を測定して反応生成物を定量した。
E.APPレベルの測定
2種の異なるAPPアッセイを利用した。APP−α/FLと呼称される第一のものは
APP−α(α)および完全長(FL)の形態のAPPの双方を認識する。第二のアッセ
イはAPP−αに特異的である。APP−α/FLアッセイはAβの最初の12アミノ酸
を包含する分泌型APPを認識する。レポーター抗体(2H3)はAPP695のアミノ
酸612−613の間に存在するα−クリップ部位に特異的でないため(Eschら、S
cience 248:1122−1124(1990));このアッセイは完全長のA
PP(APP−FL)もまた認識する。APP−FLの脳ホモジェネートを枯渇させるた
めにAPP−FLの細胞質尾部に対する固定されたAPP抗体を使用する予備実験は、A
PP−α/FL APPのおよそ30〜40%がFLであることを示唆している(データ
は示されない)。APP−α/FLおよびAPP−αアッセイ双方のための捕捉抗体は、
APP695の形態のアミノ酸444ないし592に対し生じられたmAb 8E5であ
る(Gamesら、上記)。APP−α/FLアッセイのためのレポーターmAbは、A
PP695のアミノ酸597−608に特異的なmAb 2H3(Johnson−Wo
odら、上記)であり、また、APP−αアッセイのためのレポーター抗体はAPPのア
ミノ酸605ないし611に対し生じられたmAb 16H9のビオチニル化誘導体であ
る。APP−αFLアッセイの感度の下限は約11ng/ml(150ρM)(John
son−Woodら)であり、また、APP−α特異的アッセイの下限は22ng/ml
(0.3nM)である。双方のAPPアッセイのため、mAb 8E5を、mAb 26
6について上述されたとおり96ウェルEIAプレートのウェル上に被覆した。精製した
組換え分泌型APP−αをAPP−αアッセイおよびAPP−α/FLアッセイの参照標
準として使用した(Eschら、上記)。5Mグアニジン中の脳ホモジェネートサンプル
をELISA試料希釈剤(0.014Mリン酸緩衝液、pH7.4、0.6%ウシ血清ア
ルブミン、0.05%チメロサール、0.5M NaCl、0.1%NP40)で10倍
希釈した。それらをその後、0.5Mグアニジンを含有する試料希釈剤で4倍希釈した。
希釈したホモジェネートをその後16,000×gでRTで15秒間遠心分離した。AP
P標準およびサンプルを二重のアリコートでプレートに添加しかつRTで1.5時間イン
キュベートした。ビオチニル化レポーター抗体2H3若しくは16H9をサンプルととも
にRTで1時間インキュベートした。試料希釈剤で1000倍希釈したストレプトアビジ
ン−アルカリホスファターゼ(Boehringer Mannheim)をウェル中で
RTで1時間インキュベートした。蛍光基質4−メチルウンベリフェリルホスフェートを
30分のRTでのインキュベーションのため添加し、そしてプレートを365nmの励起
および450nmの発光でCytofluor tm 2350蛍光計(Millipo
re)で読取った。
F.免疫組織化学
脳をPBS中4%パラホルムアルデヒド中で40Cで3日間固定し、そしてその後切片
にするまで1%パラホルムアルデヒド、PBS中4℃で1から7日まで保存した。40ミ
クロン厚の冠状切片をRTでビブラトームで切断し、そして免疫組織化学的処理前に−2
0℃で低温保護物質(リン酸緩衝液中30%グリセロール、30%エチレングリコール)
中で保存した。各脳について、それぞれ連続する240μmの間隔により分離される背側
海馬の水準の6切片を、以下の抗体、すなわち(1)PBSおよび1%ウマ血清中2μg
/mlの濃度に希釈したビオチニル化抗Aβ(mAb、3D6、ヒトAβに特異的);若
しくは(2)PBSおよび1.0%ウマ血清中3μg/mlの濃度に希釈したヒトAPP
に特異的なビオチニル化mAb、8E5;若しくは(3)トリス緩衝生理的食塩水、pH
7.4(TBS)中0.25%Triton X−100および1%ウマ血清で500倍
希釈したグリア線維性酸性タンパク質(GFAP;Sigma Chmical Co.
)に特異的なmAb;若しくは(4)TBS中0.25%Triton X−100およ
び1%ウサギ血清で100倍希釈したCD11b、MAC−1抗原に特異的なmAb(C
hemicon International);若しくは(5)TBS中0.25%T
riton X−100および1%ウサギ血清で100倍希釈したMHC II抗原に特
異的なmAb(Pharmingen);若しくは(6)PBS中1%ウサギ血清で10
0倍希釈したCD 43に特異的なラットmAb(Pharmingen)、若しくは(
7)PBS中1%ウサギ血清で100倍希釈したCD 45RAに特異的なラットmAb
(Pharmingen);若しくは(8)PBS中1%ウサギ血清で100倍希釈した
CD 45RBに特異的なラットモノクローナルAβ(Pharmingen);若しく
は(9)PBS中1%ウサギ血清で100倍希釈したCD 45に特異的なラットモノク
ローナルAβ(Pharmingen);若しくは(10)PBS中1%ウサギ血清で1
00倍希釈したCD3eに特異的なビオチニル化ポリクローナルハムスターAβ(Pha
rmingen)、若しくは(11)PBS中1%ウサギ血清で200倍希釈したCD3
に特異的なラットmAb(Serotec)の1種とともに;または(12)1%正常ウ
マ血清を含有する一次抗体を欠くPBSの溶液とともに一夜インキュベートした。
上の1、2および6〜12に列挙される抗体溶液と反応させた切片は、内因性ペルオキ
シダーゼを阻害するためにPBS中1.0%Triton X−100、0.4%過酸化
水素でRTで20分間前処理した。それらを次に一次抗体とともに4℃で一夜インキュベ
ートした。3D6若しくは8E5若しくはCD3e mAbと反応させた切片は、その後
、PBSで75倍希釈したキット成分「A」および「B」とともにワサビペルオキシダー
ゼ−アビジン−ビオチン複合体とRTで1時間反応させた(Vector Elite
Standardキット、Vector Labs、カリフォルニア州バーリンゲーム)
。CD 45RA、CD 45RB、CD45、CD3に特異的な抗体および一次抗体を
欠くPBS溶液と反応させた切片は、それぞれ、PBSで75倍希釈したビオチニル化抗
ラットIgG(Vector)若しくはPBSで75倍希釈したビオチニル化抗マウスI
gG(Vector)とともにRTで1時間インキュベートした。切片をその後、PBS
で75倍希釈したキット成分「A」および「B」とともにワサビペルオキシダーゼ−アビ
ジン−ビオチン複合体とRTで1時間反応させた(Vector Elite Stan
dardキット、Vector Labs、カリフォルニア州バーリンゲーム)。
切片を、0.01%過酸化水素、0.05%3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)
中でRTで発色させた。GFAP、MAC−1およびMHC II特異的抗体とのインキ
ュベーションに運命づけられた切片は、0.6%過酸化水素でRTで前処理して内因性ペ
ルオキシダーゼを阻害し、その後一次抗体とともに4℃で一夜インキュベートした。GF
AP抗体と反応させた切片は、TBSで200倍希釈したウマで作成したビオチニル化抗
マウスIgG(Vector Laboratories;Vectastatin E
lite ABCキット)とともにRTで1時間インキュベートした。該切片を次に、T
BSで1000倍希釈したアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体(Vector
Laboratories;Vectastatin Elite ABCキット)と
1時間反応させた。一次抗体としてのMAC−1若しくはMHC II特異的モノクロー
ナル抗体とともにインキュベートした切片は、その後、TBSで200倍希釈したウサギ
で作成したビオチニル化抗ラットIgGとRTで1時間反応させ、次いで、TBSで10
00倍希釈したアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体とともに1時間インキュベ
ートした。GFAP、MAC−1およびMHC II特異的抗体とインキュベートした切
片は、その後、それぞれ0.05%DAB、0.01%過酸化水素、0.04%塩化ニッ
ケル、TBSでの4および11分間のRTでの処理により可視化した。
免疫標識した切片をガラス製スライドガラス(VWR、Superfrostスライド
ガラス)上にマウントし、一夜風乾し、Propar(Anatech)に浸積し、そし
てマウント媒体としてPermount(Fisher)を使用してカバーガラスで覆っ
た。
Aβ斑を対染色するため、GFAP陽性切片の1サブセットをSuperfrostス
ライドガラス上にマウントし、そして免疫組織化学的処理後に水性1%チオフラビンS(
Sigma)中で7分間インキュベートした。切片をその後脱水しかつPropar中で
澄明にし、その後Permountでマウントしたカバーガラスで覆った。
G.画像解析
CCDビデオカメラおよびSony TrinitronモニタによりNikon M
icrophot−FX顕微鏡に接続したVideometric 150画像解析装置
(Oncor,Inc.、メリーランド州ゲイサーズバーグ)を免疫反応性のスライドガ
ラスの定量に使用した。切片の画像をビデオバッファに保存し、そして、免疫標識された
構造により占有される全画素面積を選択かつ計算するための色および彩度に基づく閾値を
決定した。各切片について、海馬の輪郭を人的に描き、そして海馬により占有される全画
素面積を計算した。アミロイド負荷パーセントを:(mAb 3D6と免疫反応性のAβ
沈着物を含有する海馬領域の画分)×100として測定した。同様に、神経炎性負荷パー
セントは:(モノクローナル抗体8E5と反応性のジストロフィー性の神経突起を含有す
る海馬領域の画分)×100として測定した。Simple 32ソフトウェアアプリケ
ーションプログラムを動作するC−Imaging装置(Compix,Inc.、フィ
ラデルフィア州クランベリータウンシップ)をOptronicsカメラによりNiko
n Microphot−FX顕微鏡に接続し、そしてGFAP陽性の星状細胞ならびに
MAC−1およびMHC II陽性小膠細胞により占有される膨大後部皮質のパーセント
を定量するのに使用した。免疫反応した切片の画像をビデオバッファに保存し、そして、
免疫標識された細胞により占有される全画素面積を選択かつ計算するためのモノクロに基
づく閾値を決定した。各切片について、膨大後部皮質(RSC)の輪郭を人的に描き、そ
してRSCにより占有される全画素面積を計算した。星状細胞増加のパーセントを:(G
FAP反応性の星状細胞により占有されるRSCの画分)×100と定義した。同様に、
小膠細胞症のパーセントを:(MAC−1若しくはMHC II反応性の小膠細胞により
占有されるRSCの画分)×100と定義した。全部の画像解析について、それぞれ連続
する240μmの間隔により分離される背側海馬の水準の6切片を各動物について定量し
た。全部の場合で、動物の処置状態は観察者に未知であった。
前述の発明は理解の明瞭さの目的上詳細に記述したとは言え、付属として付けられる請
求の範囲の範囲内である種の改変を実施しうることが明らかであろう。本明細書で引用さ
れる全部の刊行物および特許文書、ならびに図面および配列表に出現する本文は、これに
より、それぞれが個々にそのように表示されたかのように、全部の目的上同一の程度まで
そっくりそのまま引用することにより組み込まれる。
前述から、本発明が多数の用途を提供することが明らかであろう。例えば、本発明は、
アミロイド原性疾患の処置、予防若しくは診断、またはそれでの使用のための薬品若しく
は診断組成物の製造における上述されたAβに対する抗体のいずれの使用も提供する。

Claims (158)

  1. (i)配列番号2として示される3D6免疫グロブリンL鎖可変領域配列からの可変領
    域の相補性決定領域(CDR)、および(ii)ヒトアクセプター免疫グロブリンL鎖配
    列からの可変枠組み領域を含んでなるが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス3D6
    L鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基が:
    (a)抗原を直接非共有結合する残基;
    (b)CDRに隣接する残基;
    (c)CDRと相互作用する残基;および
    (d)VL−VH界面に参画する残基
    よりなる群から選択される、ヒト化免疫グロブリンL鎖。
  2. (i)配列番号4として示される3D6免疫グロブリンH鎖可変領域配列からの可変領
    域の相補性決定領域(CDR)、および(ii)ヒトアクセプター免疫グロブリンH鎖か
    らの可変枠組み領域を含んでなるが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス3D6 H鎖
    可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基が:
    (a)抗原を直接非共有結合する残基;
    (b)CDRに隣接する残基;
    (c)CDRと相互作用する残基;および
    (d)VL−VH界面に参画する残基
    よりなる群から選択される、ヒト化免疫グロブリンH鎖。
  3. CDRと相互作用する残基が、1CR9の解明された構造に基づき3D6 L鎖をモデ
    ル化することにより同定される、請求項1に記載のL鎖。
  4. CDRと相互作用する残基が、1NLDの解明された構造に基づき3D6 L鎖をモデ
    ル化することにより同定される、請求項1に記載のL鎖。
  5. CDRと相互作用する残基が、1OPGの解明された構造に基づき3D6 H鎖をモデ
    ル化することにより同定される、請求項2に記載のH鎖。
  6. (i)配列番号2として示される3D6免疫グロブリンL鎖可変領域配列からの可変領
    域の相補性決定領域(CDR)、および(ii)ヒトアクセプター免疫グロブリンL鎖配
    列からの可変枠組み領域を含んでなるが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス3D6
    L鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基が、3D6免疫
    グロブリンL鎖可変領域の三次元モデルの解析により同定されるところのL鎖可変領域の
    コンホメーション若しくは機能に影響を及ぼすことが可能な残基である、ヒト化免疫グロ
    ブリンL鎖。
  7. (i)配列番号4として示される3D6免疫グロブリンH鎖可変領域配列からの可変領
    域の相補性決定領域(CDR)、および(ii)ヒトアクセプター免疫グロブリンH鎖か
    らの可変枠組み領域を含んでなるが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス3D6 H鎖
    可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基が、3D6免疫グロ
    ブリンH鎖可変領域の三次元モデルの解析により同定されるところのH鎖可変領域のコン
    ホメーション若しくは機能に影響を及ぼすことが可能な残基である、ヒト化免疫グロブリ
    ンH鎖。
  8. 枠組み残基が、抗原と相互作用することが可能な残基、抗原結合部位に近接する残基、
    CDRと相互作用することが可能な残基、CDRに隣接する残基、CDR残基の6Å以内
    の残基、カノニカル残基、バーニア領域残基、鎖間充填残基、希少残基、および構造モデ
    ルの表面上のグリコシル化部位残基よりなる群から選択される、請求項6に記載のL鎖。
  9. 枠組み残基が、抗原と相互作用することが可能な残基、抗原結合部位に近接する残基、
    CDRと相互作用することが可能な残基、CDRに隣接する残基、CDR残基の6Å以内
    の残基、カノニカル残基、バーニア領域残基、鎖間充填残基、希少残基、および構造モデ
    ルの表面上のグリコシル化部位残基よりなる群から選択される、請求項7に記載のH鎖。
  10. 枠組み残基が、1CR9の解明された構造に基づいて3D6 L鎖をモデル化すること
    により同定される、請求項6若しくは8に記載のL鎖。
  11. 枠組み残基が、1NLDの解明された構造に基づいて3D6 L鎖をモデル化すること
    により同定される、請求項6若しくは8に記載のL鎖。
  12. 枠組み残基が、1OPGの解明された構造に基づいて3D6 H鎖をモデル化すること
    により同定される、請求項7若しくは9に記載のH鎖。
  13. (i)配列番号2として示される3D6免疫グロブリンL鎖可変領域配列からの可変領
    域の相補性決定領域(CDR)、および(ii)ヒトアクセプター免疫グロブリンL鎖か
    らの可変枠組み領域を含んでなるが、但し、L1、L2、L36およびL46(Kaba
    tの番号付け規約)よりなる群から選択される最低1個の枠組み残基がマウス3D6 L
    鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換されている、ヒト化免疫グロブリンL
    鎖。
  14. (i)配列番号4として示される3D6 H鎖可変領域配列からの可変領域の相補性決
    定領域、および(ii)ヒトアクセプター免疫グロブリンH鎖からの可変枠組み領域を含
    んでなるが、但し、H49、H93およびH94(Kabatの番号付け規約)よりなる
    群から選択される最低1個の枠組み残基がマウス3D6 H鎖可変領域配列からの対応す
    るアミノ酸残基で置換されている、ヒト化免疫グロブリンH鎖。
  15. ヒトアクセプターL鎖がサブタイプκII(Kabatの規約)のものである、請求項
    1、3、4、6、8、10、11および13のいずれか1つに記載のL鎖。
  16. ヒトアクセプターH鎖がサブタイプIII(Kabatの規約)のものである、請求項
    2、5、7、9、12および14のいずれか1つに記載のH鎖。
  17. ヒトアクセプターL鎖が、Kabat ID 019230、Kabat ID 00
    5131、Kabat ID 005058、Kabat ID 005057、Kab
    at ID 005059、Kabat ID U21040およびKabat ID
    U41645よりなる群から選択される、請求項15に記載のL鎖。
  18. ヒトアクセプターL鎖がKabat ID 019230である、請求項15に記載の
    L鎖。
  19. ヒトアクセプターH鎖が、Kabat ID 045919、Kabat ID 00
    0459、Kabat ID 000553、Kabat ID 000386およびK
    abat ID M23691よりなる群から選択される、請求項16に記載のH鎖。
  20. ヒトアクセプターH鎖がKabat ID 045919である、請求項16に記載の
    H鎖。
  21. 最低1個の希少ヒト枠組み残基が、その位置でヒト可変L鎖配列に共通であるアミノ酸
    残基で置換されている、請求項1、3、4、6、8、10、11、13、15、17およ
    び18のいずれか1つに記載のL鎖。
  22. 最低1個の希少ヒト枠組み残基が、生殖系列可変L鎖配列からの対応するアミノ酸残基
    で置換されている、請求項1、3、4、6、8、10、11、13、15、17および1
    8に記載のL鎖。
  23. 生殖系列可変L鎖配列がA1、A17、A18、A2およびA19よりなる群から選択
    される、請求項22に記載のL鎖。
  24. 最低1個の希少ヒト枠組み残基が、その位置でヒト可変H鎖配列に共通であるアミノ酸
    残基で置換されている、請求項2、5、7、9、12、14、16、19および20のい
    ずれか1つに記載のH鎖。
  25. 最低1個の希少ヒト枠組み残基が、生殖系列可変H鎖配列からの対応するアミノ酸残基
    で置換されている、請求項2、5、7、9、12、14、16、19および20のいずれ
    か1つに記載のH鎖。
  26. 生殖系列可変H鎖配列がVH3−48、VH3−23、VH3−7、VH3−21およ
    びVH3−11よりなる群から選択される、請求項25に記載のH鎖。
  27. 生殖系列可変H鎖配列がVH3−23である、請求項25に記載のH鎖。
  28. 希少枠組み残基が、L鎖可変領域サブグループのヒトL鎖可変領域配列の10%未満の
    その位置での存在に基づいて選択され、また、共通残基はL鎖可変領域サブグループの配
    列の50%以上のその位置での存在に基づいて選択される、請求項21〜23のいずれか
    1つに記載のL鎖。
  29. 希少枠組み残基が、H鎖可変領域サブグループのヒトH鎖可変領域配列の10%未満の
    その位置での存在に基づいて選択され、また、共通残基はH鎖可変領域サブグループの配
    列の50%以上のその位置での存在に基づいて選択される、請求項24〜26のいずれか
    1つに記載のH鎖。
  30. モノクローナル抗体3D6 L鎖からの相補性決定領域(CDR)ならびに可変領域枠
    組み残基L1、L2、L36およびL46(Kabatの番号付け規約)を含んでなり、
    残部がヒト免疫グロブリンからであるL鎖。
  31. モノクローナル抗体3D6 H鎖からの相補性決定領域(CDR)ならびに可変枠組み
    残基H49、H93およびH94(Kabatの番号付け規約)を含んでなり、残部がヒ
    ト免疫グロブリンからであるH鎖。
  32. 請求項1、3、4、6、8、10、11、13、15、17および18のいずれか1つ
    に記載のL鎖、ならびに請求項2、5、7、9、12、14、16、19および20のい
    ずれか1つに記載のH鎖を含んでなるヒト化免疫グロブリン、若しくは前記免疫グロブリ
    ンの抗原結合フラグメント。
  33. 最低10−1の結合親和性でβアミロイドペプチド(Aβ)に特異的に結合する、
    請求項32に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメント。
  34. 最低10−1の結合親和性でβアミロイドペプチド(Aβ)に特異的に結合する、
    請求項32に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメント。
  35. 最低10−1の結合親和性でβアミロイドペプチド(Aβ)に特異的に結合する、
    請求項32に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメント。
  36. H鎖アイソタイプがγ1である、請求項32に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結合
    フラグメント。
  37. 可溶性βアミロイドペプチド(Aβ)および凝集したAβの双方に結合する、請求項3
    2に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメント。
  38. 可溶性βアミロイドペプチド(Aβ)が脱凝集したAβである、請求項37に記載の免
    疫グロブリン。
  39. βアミロイドペプチド(Aβ)の食作用を媒介する、請求項32に記載の免疫グロブリ
    ン若しくは抗原結合フラグメント。
  40. 被験体の血液脳関門を横断する、請求項32に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結合
    フラグメント。
  41. 被験体のβアミロイドペプチド(Aβ)負荷および神経炎性ジストロフィーの双方を低
    下させる、請求項32に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメント。
  42. (a)ヒト化L鎖が、配列番号2と呼称されるマウス3D6免疫グロブリンL鎖可変ド
    メインの対応する相補性決定領域からのアミノ酸配列を有する3種の相補性決定領域(C
    DR1、CDR2およびCDR3)、ならびにヒトL鎖可変領域枠組み配列からの可変領
    域枠組みを含んでなるが、但し、L1、L2、L36およびL46(Kabatの番号付
    け規約)よりなる第一の群から選択される最低1位置が、マウス3D6免疫グロブリンL
    鎖可変領域枠組みの同等な位置に存在する同一のアミノ酸残基により占有され;ならびに
    (b)ヒト化H鎖が、配列番号4と呼称されるマウス3D6免疫グロブリンH鎖可変ドメ
    インの対応する相補性決定領域からのアミノ酸配列を有する3種の相補性決定領域(CD
    R1、CDR2およびCDR3)、ならびにヒトH鎖可変領域枠組み配列からの可変領域
    枠組みを含んでなるが、但し、H49、H93およびH94(Kabatの番号付け規約
    )よりなる第二の群から選択される最低1位置が、マウス3D6免疫グロブリンH鎖可変
    領域枠組みの同等な位置に存在する同一のアミノ酸残基により占有され、
    該ヒト化免疫グロブリンが最低10−1の結合親和性でβアミロイドペプチド(Aβ
    )に特異的に結合し、該3D6免疫グロブリンは配列番号2と呼称される可変ドメインを
    もつL鎖および配列番号4と呼称される可変ドメインをもつH鎖を有する、
    ヒト化H鎖およびヒト化L鎖を含んでなるヒト化免疫グロブリン。
  43. ヒトL鎖可変領域枠組みがκ L鎖可変領域からである、請求項42に記載のヒト化免
    疫グロブリン。
  44. ヒトH鎖可変領域枠組みがIgG1 H鎖可変領域からである、請求項42に記載のヒ
    ト化免疫グロブリン。
  45. ヒト化L鎖可変領域枠組みが、Kabat ID 019230、Kabat ID
    005131、Kabat ID 005058、Kabat ID 005057、K
    abat ID 005059、Kabat ID U21040およびKabat I
    D U41645よりなる群から選択されるL鎖からである、請求項42に記載のヒト化
    免疫グロブリン。
  46. ヒト化H鎖可変領域枠組みが、Kabat ID 045919、Kabat ID
    000459、Kabat ID 000553、Kabat ID 000386およ
    びKabat ID M23691よりなる群から選択されるH鎖からである、請求項4
    2に記載のヒト化免疫グロブリン。
  47. ヒト化L鎖可変領域枠組みが、第一の群からの位置を除きKabat ID 0192
    30のL鎖可変領域枠組み配列に同一であり、かつ、H鎖可変領域枠組みは、第二の群か
    らの位置を除きKabat ID 045919のH鎖可変領域枠組み配列に同一である
    、請求項42に記載のヒト化免疫グロブリン。
  48. ヒト化L鎖がマウス3D6 H鎖の対応する相補性決定領域に同一である相補性決定領
    域を含んでなり、かつ、ヒト化H鎖がマウス3D6 H鎖の対応する相補鎖決定領域に同
    一である相補性決定領域を含んでなる、請求項42に記載のヒト化免疫グロブリン。
  49. 配列番号2として示される3D6の可変L鎖配列の相補性決定領域(CDR1、CDR
    2およびCDR3)を含んでなるヒト化抗体。
  50. 配列番号4として示される3D6の可変H鎖配列の相補性決定領域(CDR1、CDR
    2およびCDR3)を含んでなるヒト化抗体。
  51. マウス3D6抗体からの相補性決定領域(CDR)に対応するCDRを含んでなる可変
    領域を含んでなる、βアミロイドペプチド(Aβ)に特異的に結合するヒト化抗体若しく
    はその抗原結合フラグメント。
  52. (a)ネズミの3D6の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸残基およびヒトVLサブ
    グループIIの可変ドメイン枠組み領域(FR)のアミノ酸残基を含んでなるL鎖可変ド
    メイン;ならびに
    (b)ネズミの3D6の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸残基およびヒトVHサブグ
    ループIIIの可変ドメイン枠組み領域(FR)のアミノ酸残基を含んでなるH鎖可変ド
    メイン
    を含んでなる、最低10−1の結合親和性でβアミロイドペプチド(Aβ)を結合す
    るヒト化抗体。
  53. 配列番号2若しくは配列番号4として示される3D6免疫グロブリン可変領域配列から
    の可変領域の相補性決定領域(CDR)、およびヒトアクセプター免疫グロブリンからの
    可変枠組み領域を含んでなるキメラ免疫グロブリン。
  54. 配列番号8に示されるところの可変H鎖領域および配列番号5に示されるところの可変
    L鎖領域を含んでなる免疫グロブリン若しくはその抗原結合フラグメント。
  55. 配列番号12に示されるところの可変H鎖領域および配列番号11に示されるところの
    L鎖領域を含んでなる免疫グロブリン若しくはその抗原結合フラグメント。
  56. 配列番号8に示されるところの可変H鎖領域、配列番号5に示されるところの可変L鎖
    領域およびIgG1からの定常領域を含んでなる免疫グロブリン。
  57. 配列番号12に示されるところの可変H鎖領域、配列番号11に示されるところのL鎖
    領域およびIgG1からの定常領域を含んでなる免疫グロブリン。
  58. 請求項32〜52のいずれか1つに記載のヒト化免疫グロブリンの有効投薬量を患者に
    投与することを含んでなる、患者におけるアミロイド原性疾患の予防若しくは治療方法。
  59. 請求項32〜52のいずれか1つに記載のヒト化免疫グロブリンの有効投薬量を患者に
    投与することを含んでなる、患者におけるアルツハイマー病の予防若しくは治療方法。
  60. ヒト化免疫グロブリンの有効投薬量が1mg/kg体重である、請求項59に記載の方
    法。
  61. ヒト化免疫グロブリンの有効投薬量が10mg/kg体重である、請求項59に記載の
    方法。
  62. 請求項32〜52のいずれか1つに記載の免疫グロブリンおよび製薬学的担体を含んで
    なる製薬学的組成物。
  63. 配列番号2のアミノ酸24−39、配列番号2のアミノ酸55−61および配列番号2
    のアミノ酸94−102よりなる群から選択される配列番号2のフラグメントを含んでな
    る単離されたポリペプチド。
  64. 配列番号2のアミノ酸24−39、配列番号2のアミノ酸55−61および配列番号2
    のアミノ酸94−102を含んでなる単離されたポリペプチド。
  65. 配列番号4のアミノ酸31−35、配列番号4のアミノ酸50−66および配列番号4
    のアミノ酸99−107よりなる群から選択される配列番号4のフラグメントを含んでな
    る単離されたポリペプチド。
  66. 配列番号4のアミノ酸31−35、配列番号4のアミノ酸50−66および配列番号4
    のアミノ酸99−107を含んでなる単離されたポリペプチド。
  67. 配列番号2のアミノ酸配列を含んでなる単離されたポリペプチド。
  68. 配列番号4のアミノ酸配列を含んでなる単離されたポリペプチド。
  69. 最低1個の保存的アミノ酸置換を含んでなり、最低10−1の結合親和性でのβア
    ミロイドペプチド(Aβ)への特異的結合に導く能力を保持する、配列番号2のアミノ酸
    配列を含んでなるポリペプチドのバリアント。
  70. 最低1個の保存的アミノ酸置換を含んでなり、最低10−1の結合親和性でβアミ
    ロイドペプチド(Aβ)を特異的に結合する能力を保持する、配列番号4のアミノ酸配列
    を含んでなるポリペプチドのバリアント。
  71. 配列番号2のアミノ酸配列の残基1−112を含んでなるか、若しくは配列番号4のア
    ミノ酸配列の残基1−119を含んでなる、単離されたポリペプチド。
  72. 請求項1、3、4、6、8、10、、11、13、15および18のいずれか1つに記
    載のL鎖をコードする単離された核酸分子。
  73. 請求項2、5、7、9、12、14、16、19および20のいずれか1つに記載のH
    鎖をコードする単離された核酸分子。
  74. 請求項64−71のいずれか1つに記載のポリペプチドをコードする単離された核酸分
    子。
  75. 請求項32−57のいずれか1つに記載の免疫グロブリンをコードする単離された核酸
    分子。
  76. 配列番号1若しくは3のヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸分子。
  77. 請求項72−76のいずれかに記載の核酸分子を含んでなるベクター。
  78. 請求項72−76のいずれかに記載の核酸分子を含んでなる宿主細胞。
  79. 請求項45に記載の宿主細胞を抗体若しくはそのフラグメントが産生されるような条件
    下で培養すること、および前記抗体を宿主細胞若しくは培養物から単離することを含んで
    なる、抗体若しくはそのフラグメントの製造方法。
  80. 抗体若しくはそのフラグメントをコードする核酸分子を発現する宿主細胞を前記抗体若
    しくはフラグメントが産生されるような条件下で培養すること、および前記抗体若しくは
    フラグメントを宿主細胞若しくは培養物から単離することを含んでなり、前記抗体若しく
    はフラグメントが配列番号2のアミノ酸24−39、配列番号2のアミノ酸55−61お
    よび配列番号2のアミノ酸94−102を含んでなる、抗体若しくはそのフラグメントの
    製造方法。
  81. 抗体若しくはそのフラグメントをコードする核酸分子を発現する宿主細胞を前記抗体若
    しくはフラグメントが産生されるような条件下で培養すること、および前記抗体を宿主細
    胞若しくは培養物から単離することを含んでなり、前記抗体若しくはフラグメントが配列
    番号4のアミノ酸31−35、配列番号4のアミノ酸50−66および配列番号4のアミ
    ノ酸99−112を含んでなる、抗体若しくはそのフラグメントの製造方法。
  82. 解明された免疫グロブリン構造に基づき3D6可変領域の三次元構造をモデル化するこ
    と、および3D6免疫グロブリン可変領域のコンホメーション若しくは機能に影響を及ぼ
    すことが可能な残基について前記モデルを解析してその結果置換の影響を受けやすい残基
    を同定することを含んでなる、ヒト化3D6免疫グロブリン可変枠組み領域中の置換の影
    響を受けやすい残基の同定方法。
  83. 3D6免疫グロブリン、3D6免疫グロブリン鎖若しくはそれらのドメインの三次元像
    の作製における配列番号2若しくは配列番号4として示される可変領域配列またはそのい
    ずれかの部分の使用。
  84. (i)配列番号14として示される10D5免疫グロブリンL鎖可変領域配列からの可
    変領域の相補性決定領域(CDR)、および(ii)ヒトアクセプター免疫グロブリンL
    鎖配列からの可変枠組み領域を含んでなるが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス10
    D5 L鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基が:
    (a)抗原を直接非共有結合する残基;
    (b)CDRに隣接する残基;
    (c)CDRと相互作用する残基;および
    (d)VL−VH界面に参画する残基
    よりなる群から選択される、ヒト化免疫グロブリンL鎖。
  85. (i)配列番号16として示される10D5免疫グロブリンH鎖可変領域配列からの可
    変領域の相補性決定領域(CDR)、および(ii)ヒトアクセプター免疫グロブリンH
    鎖からの可変枠組み領域を含んでなるが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス10D5
    H鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基が:
    (a)抗原を直接非共有結合する残基;
    (b)CDRに隣接する残基;
    (c)CDRと相互作用する残基;および
    (d)VL−VH界面に参画する残基
    よりなる群から選択される、ヒト化免疫グロブリンH鎖。
  86. CDRと相互作用する残基が、10D5 L鎖と最低70%の配列の同一性を共有する
    ネズミの免疫グロブリンL鎖の解明された構造に基づき10D5 L鎖をモデル化するこ
    とにより同定される、請求項84に記載のL鎖。
  87. CDRと相互作用する残基が、10D5 L鎖と最低80%の配列の同一性を共有する
    ネズミの免疫グロブリンL鎖の解明された構造に基づき10D5 L鎖をモデル化するこ
    とにより同定される、請求項84に記載のL鎖。
  88. CDRと相互作用する残基が、10D5 L鎖と最低90%の配列の同一性を共有する
    ネズミの免疫グロブリンL鎖の解明された構造に基づき10D5 L鎖をモデル化するこ
    とにより同定される、請求項84に記載のL鎖。
  89. CDRと相互作用する残基が、10D5 H鎖と最低70%の配列の同一性を共有する
    ネズミの免疫グロブリンH鎖の解明された構造に基づき10D5 H鎖をモデル化するこ
    とにより同定される、請求項85に記載のH鎖。
  90. CDRと相互作用する残基が、10D5 H鎖と最低80%の配列の同一性を共有する
    ネズミの免疫グロブリンH鎖の解明された構造に基づき10D5 H鎖をモデル化するこ
    とにより同定される、請求項85に記載のH鎖。
  91. CDRと相互作用する残基が、10D5 H鎖と最低90%の配列の同一性を共有する
    ネズミの免疫グロブリンH鎖の解明された構造に基づき10D5 H鎖をモデル化するこ
    とにより同定される、請求項85に記載のH鎖。
  92. (i)配列番号14として示される10D5免疫グロブリンL鎖可変領域配列からの可
    変領域の相補性決定領域(CDR)、および(ii)ヒトアクセプター免疫グロブリンL
    鎖配列からの可変枠組み領域を含んでなるが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス10
    D5 L鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基は10D
    5免疫グロブリンL鎖可変領域の三次元モデルの解析により同定されるところのL鎖可変
    領域のコンホメーション若しくは機能に影響を及ぼすことが可能な残基である、ヒト化免
    疫グロブリンL鎖。
  93. (i)配列番号16として示される10D5免疫グロブリンH鎖可変領域配列からの可
    変領域の相補性決定領域(CDR)、および(ii)ヒトアクセプター免疫グロブリンH
    鎖からの可変枠組み領域を含んでなるが、但し、最低1個の枠組み残基がマウス10D5
    H鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換され、該枠組み残基は10D5免
    疫グロブリンH鎖可変領域の三次元モデルの解析により同定されるところのH鎖可変領域
    のコンホメーション若しくは機能に影響を及ぼすことが可能な残基である、ヒト化免疫グ
    ロブリンH鎖。
  94. 枠組み残基が、抗原と相互作用することが可能な残基、抗原結合部位に近接する残基、
    CDRと相互作用することが可能な残基、CDRに隣接する残基、CDR残基の6Å以内
    の残基、カノニカル残基、バーニア領域残基、鎖間充填残基、希少残基、および構造モデ
    ルの表面上のグリコシル化部位残基よりなる群から選択される、請求項92に記載のL鎖
  95. 枠組み残基が、抗原と相互作用することが可能な残基、抗原結合部位に近接する残基、
    CDRと相互作用することが可能な残基、CDRに隣接する残基、CDR残基の6Å以内
    の残基、カノニカル残基、バーニア領域残基、鎖間充填残基、異常な残基、および構造モ
    デルの表面上のグリコシル化部位残基よりなる群から選択される、請求項93に記載のH
    鎖。
  96. 枠組み残基が、10D5 L鎖と最低70%の配列の同一性を共有するネズミの免疫グ
    ロブリンL鎖の解明された構造に基づき10D5 L鎖をモデル化することにより同定さ
    れる、請求項92若しくは94に記載のL鎖。
  97. 枠組み残基が、10D5 L鎖と最低80%の配列の同一性を共有するネズミの免疫グ
    ロブリンL鎖の解明された構造に基づき10D5 L鎖をモデル化することにより同定さ
    れる、請求項92若しくは94に記載のL鎖。
  98. 枠組み残基が、10D5 L鎖と最低90%の配列の同一性を共有するネズミの免疫グ
    ロブリンL鎖の解明された構造に基づき10D5 L鎖をモデル化することにより同定さ
    れる、請求項92若しくは94に記載のL鎖。
  99. 枠組み残基が、10D5 H鎖と最低70%の配列の同一性を共有するネズミの免疫グ
    ロブリンH鎖の解明された構造に基づき10D5 H鎖をモデル化することにより同定さ
    れる、請求項93若しくは95に記載のH鎖。
  100. 枠組み残基が、10D5 H鎖と最低80%の配列の同一性を共有するネズミの免疫グ
    ロブリンH鎖の解明された構造に基づき10D5 H鎖をモデル化することにより同定さ
    れる、請求項93若しくは95に記載のH鎖。
  101. 枠組み残基が、10D5 H鎖と最低90%の配列の同一性を共有するネズミの免疫グ
    ロブリンH鎖の解明された構造に基づき10D5 H鎖をモデル化することにより同定さ
    れる、請求項93若しくは95に記載のH鎖。
  102. 最低1個の希少ヒト枠組み残基が、その位置でヒト可変L鎖配列に共通であるアミノ酸
    残基で置換されている、請求項84、86−88、92、94および96−98のいずれ
    か1つに記載のL鎖。
  103. 最低1個の希少ヒト枠組み残基が、生殖系列可変L鎖配列からの対応するアミノ酸残基
    で置換されている、請求項84、86−88、92、94および96−98のいずれか1
    つに記載のL鎖。
  104. 生殖系列可変L鎖配列が、配列の同一な可変L鎖配列と最低70%の同一性を共有する
    免疫グロブリンのものである、請求項103に記載のL鎖。
  105. 生殖系列可変L鎖配列が、配列の同一な可変L鎖配列と最低80%の同一性を共有する
    免疫グロブリンのものである、請求項103に記載のL鎖。
  106. 生殖系列可変L鎖配列が、配列の同一な可変L鎖配列と最低90%の同一性を共有する
    免疫グロブリンのものである、請求項103に記載のL鎖。
  107. 最低1個の希少ヒト枠組み残基が、その位置でヒト可変H鎖配列に共通であるアミノ酸
    残基で置換されている、請求項85、89−91、93および99−101のいずれか1
    つに記載のH鎖。
  108. 最低1個の希少ヒト枠組み残基が、生殖系列可変H鎖配列からの対応するアミノ酸残基
    で置換されている、請求項85、89−91、93および99−101のいずれか1つに
    記載のH鎖。
  109. 生殖系列可変H鎖配列が、配列番号16の可変H鎖配列のものであるか、若しくはそれ
    との最低70%の同一性の共有している、請求項108に記載のH鎖。
  110. 生殖系列可変H鎖配列が、配列番号16の可変H鎖配列のものであるか、若しくはそれ
    と最低80%の同一性の共有している、請求項108に記載のH鎖。
  111. 生殖系列可変H鎖配列が、配列番号16の可変H鎖配列のものであるか、若しくはそれ
    と最低90%の同一性の共有している、請求項108に記載のH鎖。
  112. 希少枠組み残基が、L鎖可変領域サブグループのヒトL鎖可変領域配列の10%未満の
    その位置での存在に基づいて選択され、また、共通残基はL鎖可変領域サブグループの配
    列の50%以上のその位置での存在に基づいて選択される、請求項102−106のいず
    れか1つに記載のL鎖。
  113. 希少枠組み残基が、H鎖可変領域サブグループのヒトH鎖可変領域配列の10%未満の
    その位置での存在に基づいて選択され、また、共通残基はH鎖可変領域サブグループの配
    列の50%以上のその位置での存在に基づいて選択される、請求項107−111のいず
    れか1つに記載のH鎖。
  114. 請求項84、86−88、92、94および96−98のいずれか1つに記載のL鎖、
    ならびに請求項85、89−91および93ならびに99−101のいずれか1つに記載
    のH鎖を含んでなるヒト化免疫グロブリン、若しくは前記免疫グロブリンの抗原結合フラ
    グメント。
  115. 最低10−7Mの結合親和性でβアミロイドペプチド(Aβ)に特異的に結合する、請
    求項114に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメント。
  116. 最低10−8Mの結合親和性でβアミロイドペプチド(Aβ)に特異的に結合する、請
    求項114に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメント。
  117. 最低10−9Mの結合親和性でβアミロイドペプチド(Aβ)に特異的に結合する、請
    求項114に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメント。
  118. H鎖のアイソタイプがγ1である、請求項114に記載の免疫グロブリン若しくは抗原
    結合フラグメント。
  119. 凝集したβアミロイドペプチド(Aβ)に結合する、請求項114に記載の免疫グロブ
    リン若しくは抗原結合フラグメント。
  120. βアミロイドペプチド(Aβ)の食作用を媒介する、請求項114に記載の免疫グロブ
    リン若しくは抗原結合フラグメント。
  121. 被験体の血液脳関門を横断する、請求項114に記載の免疫グロブリン若しくは抗原結
    合フラグメント。
  122. 被験体のβアミロイドペプチド(Aβ)斑負荷を低下させる、請求項114に記載の免
    疫グロブリン若しくは抗原結合フラグメント。
  123. (a)ヒト化L鎖が、配列番号14と呼称されるマウス10D5免疫グロブリンL鎖可
    変ドメインの対応する相補性決定領域からのアミノ酸配列を有する3個の相補性決定領域
    (CDR1、CDR2およびCDR3)、ならびにヒトL鎖可変領域枠組み配列からの可
    変領域枠組みを含んでなるが、但し、カノニカル残基、バーニア残基、充填残基および希
    少残基よりなる群から選択される最低1個の枠組み残基が、マウス10D5免疫グロブリ
    ンL鎖可変領域枠組みの同等な位置に存在する同一のアミノ酸残基により占有され;かつ
    (b)ヒト化H鎖が、配列番号16と呼称されるマウス10D5免疫グロブリンH鎖可変
    ドメインの対応する相補性決定領域からのアミノ酸配列を有する3個の相補性決定領域(
    CDR1、CDR2およびCDR3)、ならびにヒトH鎖可変領域枠組み配列からの可変
    領域枠組みを含んでなるが、但し、カノニカル残基、バーニア残基、充填残基および希少
    残基よりなる第二の群から選択される最低1個の枠組み残基が、マウス10D5免疫グロ
    ブリンH鎖可変領域枠組みの同等な位置に存在する同一のアミノ酸残基により占有され;
    最低10−7Mの結合親和性でβアミロイドペプチド(「Aβ」)に特異的に結合し、1
    0D5免疫グロブリンは配列番号14と呼称される可変ドメインをもつL鎖および配列番
    号16と呼称される可変ドメインをもつH鎖を有する、
    ヒト化H鎖およびヒト化L鎖を含んでなるヒト化免疫グロブリン。
  124. ヒトL鎖可変領域枠組みがκ L鎖可変領域からである、請求項123に記載のヒト化
    免疫グロブリン。
  125. ヒトH鎖可変領域枠組みがIgG1 H鎖可変領域からである、請求項123に記載の
    ヒト化免疫グロブリン。
  126. L鎖可変領域枠組みが、10D5免疫グロブリンのL鎖配列との最低70%の配列の同
    一性を有するヒト免疫グロブリンL鎖からである、請求項123に記載のヒト化免疫グロ
    ブリン。
  127. H鎖可変領域枠組みが、10D5免疫グロブリンのH鎖配列との最低70%の配列の同
    一性を有するヒト免疫グロブリンH鎖からである、請求項123に記載のヒト化免疫グロ
    ブリン。
  128. ヒト化L鎖が、マウス10D5 H鎖の対応する相補性決定領域に同一である相補性決
    定領域を含んでなり、かつ、ヒト化H鎖は、マウス10D5 H鎖の対応する相補性決定
    領域に同一である相補性決定領域を含んでなる、請求項123に記載のヒト化免疫グロブ
    リン。
  129. 配列番号14として示される10D5の可変L鎖配列の相補性決定領域(CDR1、C
    DR2およびCDR3)を含んでなるヒト化抗体。
  130. 配列番号16として示される10D5の可変H鎖配列の相補性決定領域(CDR1、
    CDR2およびCDR3)を含んでなるヒト化抗体。
  131. マウス10D5抗体からの相補性決定領域(CDR)に対応するCDRを含んでなる可
    変領域を含んでなる、βアミロイドペプチド(Aβ)に特異的に結合するヒト化抗体若し
    くはその抗原結合フラグメント。
  132. 実質的に配列番号14若しくは配列番号16に示されるところの可変領域配列、および
    ヒト免疫グロブリンからの定常領域配列を含んでなるキメラ免疫グロブリン。
  133. 請求項114−131のいずれか1つに記載のヒト化免疫グロブリンの有効投薬量を患
    者に投与することを含んでなる、患者におけるアミロイド原性疾患の予防若しくは治療方
    法。
  134. 請求項114−131のいずれか1つに記載のヒト化免疫グロブリンの有効投薬量を患
    者に投与することを含んでなる、患者におけるアルツハイマー病の予防若しくは治療方法
  135. ヒト化免疫グロブリンの有効投薬量が1mg/kg体重である、請求項134に記載の
    方法。
  136. ヒト化免疫グロブリンの有効投薬量が10mg/kg体重である、請求項134に記載
    の方法。
  137. 請求項114−131のいずれか1つに記載の免疫グロブリンおよび製薬学的担体を含
    んでなる製薬学的組成物。
  138. 配列番号2のアミノ酸24−39、配列番号2のアミノ酸55−61および配列番号2
    のアミノ酸94−102よりなる群から選択される配列番号2のフラグメントを含んでな
    る単離されたポリペプチド。
  139. 配列番号2のアミノ酸24−39、配列番号2のアミノ酸55−61および配列番号2
    のアミノ酸94−102を含んでなる単離されたポリペプチド。
  140. 配列番号4のアミノ酸31−37、配列番号4のアミノ酸52−67および配列番号4
    のアミノ酸100−112よりなる群から選択される配列番号4のフラグメントを含んで
    なる単離されたポリペプチド。
  141. 配列番号4のアミノ酸31−37、配列番号4のアミノ酸52−67および配列番号4
    のアミノ酸100−112を含んでなる単離されたポリペプチド。
  142. 配列番号14のアミノ酸配列を含んでなる単離されたポリペプチド。
  143. 配列番号16のアミノ酸配列を含んでなる単離されたポリペプチド。
  144. 最低1個の保存的アミノ酸置換を含んでなり、最低10−7Mの結合親和性でβアミロ
    イドペプチド(Aβ)を特異的に結合する能力を保持する、配列番号14のアミノ酸配列
    を含んでなるポリペプチドのバリアント。
  145. 最低1個の保存的アミノ酸置換を含んでなり、最低10−7Mの結合親和性でのβアミ
    ロイドペプチド(Aβ)への特異的結合に導く能力を保持する、配列番号16のアミノ酸
    配列を含んでなるポリペプチドのバリアント。
  146. 配列番号14のアミノ酸配列の残基1−112を含んでなるか、若しくは配列番号16
    のアミノ酸配列の残基1−123を含んでなる単離されたポリペプチド。
  147. 請求項84、86−88、92、94および96−98のいずれか1つに記載のL鎖を
    コードする単離された核酸分子。
  148. 請求項85、89−91、93および99−101のいずれか1つに記載のH鎖をコー
    ドする単離された核酸分子。
  149. 請求項139−146のいずれか1つに記載のポリペプチドをコードする単離された核
    酸分子。
  150. 請求項114−132のいずれか1つに記載の免疫グロブリンをコードする単離された
    核酸分子。
  151. 配列番号13若しくは15のヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸分子。
  152. 請求項147−151のいずれかに記載の核酸分子を含んでなるベクター。
  153. 請求項147−151のいずれかに記載の核酸分子を含んでなる宿主細胞。
  154. 請求項153に記載の宿主細胞を抗体若しくはそのフラグメントが産生されるような条
    件下で培養すること、および前記抗体を該宿主細胞若しくは培養物から単離することを含
    んでなる、抗体若しくはそのフラグメントの製造方法。
  155. 抗体若しくはそのフラグメントをコードする核酸分子を発現する宿主細胞を前記抗体若
    しくはフラグメントが産生されるような条件下で培養すること、および前記抗体を該宿主
    細胞若しくは培養物から単離することを含んでなり、前記抗体若しくはフラグメントが配
    列番号2のアミノ酸24−39、配列番号2のアミノ酸55−61および配列番号2のア
    ミノ酸94−102を含んでなる、抗体若しくはそのフラグメントの製造方法。
  156. 抗体若しくはそのフラグメントをコードする核酸分子を発現する宿主細胞を前記抗体若
    しくはフラグメントが産生されるような条件下で培養すること、および前記抗体を該宿主
    細胞若しくは培養物から単離することを含んでなり、前記抗体若しくはフラグメントが配
    列番号4のアミノ酸31−37、配列番号4のアミノ酸52−67および配列番号4のア
    ミノ酸100−112を含んでなる、抗体若しくはそのフラグメントの製造方法。
  157. 解明された免疫グロブリンの構造に基づいて10Dの5可変領域の三次元構造をモデル
    化すること、および10D5免疫グロブリン可変領域のコンホメーション若しくは機能に
    影響を及ぼすことが可能な残基について前記モデルを解析して、その結果置換の影響を受
    けやすい残基を同定することを含んでなる、ヒト化10D5免疫グロブリン可変枠組み領
    域中の置換の影響を受けやすい残基の同定方法。
  158. 10D5免疫グロブリン、10D5免疫グロブリン鎖若しくはそれらのドメインの三次
    元像の作製における配列番号14若しくは配列番号16として示される可変領域配列また
    はそれらのいずれかの部分の使用。
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