[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム10の構成例を説明するためのシステム構成図である。移動通信システム10の、図36に示す移動通信システム1に対する基本的な違いは、新たに加入者制御サーバ400Aが追加されている点にある。また、移動端末110A、加入者管理サーバ210A、および移動管理ノード310Aは、上記加入者制御サーバ400Aの追加に伴い、図36に示す移動端末100、加入者管理サーバ200、および移動管理ノード300に対して、各々に、後述する機能が追加されている。
図2は、図1に示す加入者制御サーバ400Aの構成例を説明するブロック図である。加入者制御サーバ400Aは、加入者制御情報管理DB(DataBase)401Aと、加入者制御要求受信部404と、加入者制御情報決定部405と、制御権利付与加入者登録部406と、加入者制御情報通知部407と、を含む。
加入者制御情報管理DB401Aは、制御権利ID(Identifier)内容管理テーブル402と、制御権利ID付与加入者管理テーブル403と、を含む。
図3は、制御権利ID内容管理テーブル402の内容の一例である。制御権利ID内容管理テーブル402は、制御権利IDをキーとして加入者制御パラメータを管理する。ここで、加入者制御パラメータは、加入者管理サーバ210Aが管理する加入者情報に対して制御(操作とも言う)する内容を記述するものである。また、制御権利IDは、加入者制御パラメータ(加入者情報に対する制御(操作内容))を識別するIDである。
図4は、制御権利ID内容管理テーブル402で管理される加入者制御パラメータの詳細図である。加入者制御パラメータは、加入者管理サーバ210Aが管理する加入者情報の項目毎に制御の種類と制御の内容(設定値)を含む。制御の種類の例としては、追加、削除、変更などを挙げることできる。ひとつの加入者制御情報に対して複数の項目を扱うことも可能である。
PDNサブスクリプションコンテキストに対する加入者制御パラメータは、複数あるPDNコンテキストの中から制御すべきPDNサブスクリプションコンテキストを特定するための基準となるパラメータを含む。すなわち、PDNサブスクリプションコンテキストに対する加入者制御パラメータは、制御対象PDNサブスクリプションコンテキスト識別情報と前記制御対象PDNサブスクリプションコンテキスト識別情報に対応したPDNサブスクリプションコンテキスト制御内容を含む。
図5は、制御権利ID付与加入者管理テーブル403の内容の一例である。制御権利ID付与加入者管理テーブル403は、制御権利IDと該制御権利IDに対応した加入者制御パラメータを付与した加入者IDをキーとして、所定情報を管理する。ここで、管理情報の例として、加入者IDに対して制御権利IDの付与を開始した時間情報とすることができる。
図2の説明に戻り、加入者制御要求受信部404は、加入者管理サーバ210Aから送信される「加入者制御情報要求」を受信し、該要求から制御権利IDと加入者IDとを抽出し、抽出した制御権利IDおよび加入者IDを、加入者制御情報決定部405へ通知する。
加入者制御情報決定部405は、加入者制御要求受信部404から制御権利IDおよび加入者IDを取得する。加入者制御情報決定部405は、制御権利IDをキーとして加入者制御情報管理DB401Aの制御権利ID内容管理テーブル402を検索し、対応する加入者制御パラメータを取得する。加入者制御情報決定部405は、制御権利IDと、加入者IDと、加入者制御パラメータとを、制御権利付与加入者登録部406へ通知する。
制御権利付与加入者登録部406は、制御権利ID付与加入者管理テーブル403に登録されている1つ以上の加入者IDに対して制御権利IDの付与を開始した時間(付与開始時間)を設定する。例えば、制御権利付与加入者登録部406は、付与開始時間として、現時点での時刻情報を設定することもできる。そして、制御権利付与加入者登録部406は、制御権利IDと、加入者IDと、制御権利IDに対応した加入者制御パラメータとを、加入者制御情報通知部407へ通知する。
加入者制御情報通知部407は、制御権利付与加入者登録部406から取得した制御権利IDと加入者IDと制御権利IDに対応した加入者制御パラメータとを含む加入者制御情報応答を、加入者管理サーバ210Aへ通知する。加入者制御情報応答は、加入者制御情報要求に対する応答情報である。
図6は、図1に示す移動端末110Aの構成例を説明するブロック図である。尚、図6には、加入者制御サーバ400Aの追加に関連した機能のみを示す。移動端末110Aは、制御権利ID入力部111と制御権利ID設定部112とを少なくとも含む。
制御権利ID入力部111は、制御権利IDを移動端末110Aに取り込むための手段である。制御権利IDを取り込む方法としては、例えば、ユーザインターフェースを使ってユーザが入力する方法、移動通信システム10から取得する方法、赤外線通信により取得する方法、QRコードを読取って取得する方法、あるいは、NFC(Near Field Communication)により取得する方法などを挙げることができる。もちろん、制御権利IDを取得する方法は、列挙した上記方法に限定されない。制御権利ID入力部111は、取り込んだ制御権利IDを、制御権利ID設定部112へ通知する。
制御権利ID設定部112は、移動端末110Aが初期接続開始時に送信する接続要求(3GPPの場合、Attach Request)に、移動通信システム上のエンティティ(例えば、移動端末)が加入者情報の制御を要求していることを判別するための第1の加入者情報制御フィールドを設ける。そして、制御権利ID設定部112は、制御権利ID入力部111から入力したままの制御権利ID、あるいは制御権利ID設定部112自らが選択した制御権利IDを、上記第1の加入者情報制御フィールドに格納する。第1の加入者情報制御フィールドに制御権利IDが設定された接続要求は、図6において不図示の通信手段を介して、移動管理ノード310Aへ送信される。
図7は、図1に示す移動管理ノード310Aの構成例を説明するブロック図である。尚、図7には、加入者制御サーバ400Aの追加に関連した機能のみを示す。移動管理ノード310Aは、加入者情報制御フィールドチェック部311と制御権利ID設定部312とを少なくとも含む。
加入者情報制御フィールドチェック部311は、移動端末110Aから送信される接続要求上記第1の加入者情報制御フィールドが存在するか否かをチェックする。第1の加入者情報制御フィールドが存在する場合、加入者情報制御フィールドチェック部311は、第1の加入者情報制御フィールドに格納されている制御権利IDを抽出し、制御権利ID設定部312へ通知する。
制御権利ID設定部312は、加入者管理サーバ210Aへ送信する加入者情報要求(3GPPの場合、Update Location Request)に、第2の加入者情報制御フィールドを設ける。制御権利ID設定部312は、加入者情報制御フィールドチェック部311から取得した制御権利IDを、上記第2の加入者情報制御フィールドに格納する。第2の加入者情報制御フィールドに制御権利IDが設定された加入者情報要求は、図7において不図示の通信手段を介して、加入者管理サーバ210Aへ送信される。
図8は、図1に示す加入者管理サーバ210Aの構成例を説明するブロック図である。尚、図8には、加入者制御サーバ400Aの追加に関連した機能のみを示す。
加入者管理サーバ210Aは、加入者情報管理DB211と、加入者情報制御フィールドチェック部215と、加入者制御情報取得部216と、加入者制御情報登録部217と、加入者情報更新部218とを少なくとも備える。
加入者情報管理DB211は、デフォルト加入者情報管理テーブル212と、制御情報管理テーブル213と、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214とを備える。
デフォルト加入者情報管理テーブル212は、一般的な加入者管理サーバが管理している加入者情報である(例えば、図36参照)。
図9は、制御情報管理テーブル213の内容の一例である。制御情報管理テーブル213は、加入者IDと該加入者IDに付与する制御権利IDとを主キーとして、制御権利IDに対応した加入者制御パラメータおよび制御権利IDを取得した加入者制御サーバの識別子を管理する。
図10は、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214の内容の一例である。制御情報付与後加入者情報管理テーブル214は、加入者ID(例えば、IMSI)をキーとして、デフォルト加入者情報管理テーブル212に対して制御情報管理テーブル213に登録されている加入者制御パラメータを付与した情報を項目毎に管理する。加入者情報項目毎に付与した制御権利IDも管理する。
図8の説明に戻り、加入者情報制御フィールドチェック部215は、移動管理ノード310Aから送信される加入者情報要求に上記第2の加入者情報制御フィールドが存在するか否かをチェックする。第2の加入者情報制御フィールドが存在する場合、加入者情報制御フィールドチェック部215は、第2の加入者情報制御フィールドに格納されている制御権利IDと、加入者情報要求に含まれる加入者IDとを、加入者制御情報取得部216へ通知する。
加入者制御情報取得部216は、加入者情報制御フィールドチェック部215から取得した制御権利IDおよび加入者IDを含む加入者制御情報要求を、加入者制御サーバ400Aへ送信する。また、加入者制御情報取得部216は、加入者制御サーバ400Aから、制御権利IDに対応した加入者制御パラメータを含む加入者制御情報応答を受信する。また、加入者制御情報取得部216は、制御権利IDと、加入者IDと、制御権利IDに対応した加入者制御パラメータとを、加入者制御情報登録部217へ通知する。
加入者制御情報登録部217は、加入者制御情報取得部216から取得した、加入者IDと制御権利IDと加入者制御パラメータとを、制御情報管理テーブル213に登録する。また、加入者制御情報登録部217は、加入者IDを含む加入者情報更新依頼を、加入者情報更新部218に対して通知する
加入者情報更新部218は、加入者制御情報登録部217からの加入者情報更新依頼を受けて、加入者IDをキーとしてデフォルト加入者情報管理テーブル212からデフォルトの加入者情報を取得する。また、加入者情報更新部218は、加入者IDをキーとして制御情報管理テーブル213から加入者IDに対応した加入者制御パラメータを取得する。そして、加入者情報更新部218は、デフォルト加入者情報に対して加入者制御パラメータを適用し、適用結果を、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214へ登録する。そして、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214に格納されている制御情報付与後加入者情報を含む加入者情報応答が、加入者管理サーバ210Aから移動管理ノード310Aへ送信される。
図11は、第1の実施形態の移動端末110Aの動作例(制御権限IDの入力から接続要求を送信するまでの動作)を示すフローチャートである。
制御権利ID入力部111は、所定の取得方法(例えば、ユーザインターフェースを用いた入力)により、制御権利IDを移動端末110A内に取り込む(ステップS200)。制御権利ID入力部111は、取り込んだ制御権利IDを、制御権利ID設定部112へ通知する。
制御権利ID設定部112は、移動端末110Aが初期接続開始時に送信する接続要求(Attach Request)に、制御権利ID入力部111より通知された制御権利IDを格納する(ステップS201)。具体的には、制御権利ID設定部112は、接続要求内に第1の加入者情報制御フィールドを設け、制御権利IDをこの第1の加入者情報制御フィールドに格納する。第1の加入者情報制御フィールドに制御権利IDが設定された接続要求は、移動端末110Aから移動管理ノード310Aへと送信される。
図12は、第1の実施形態の移動管理ノード310Aの動作例(接続要求の受信から加入者情報要求の送信までの動作)を示すフローチャートである。
まず、移動管理ノード310Aは、移動端末110Aから接続要求を受信する(ステップS300)。加入者情報制御フィールドチェック部311は、受信した接続要求の第1の加入者情報制御フィールドに制御権利IDが存在するか否かをチェックする(ステップS301)。制御権利IDが存在しない場合(ステップS301においてNo判定)、加入者情報を制御する必要無しと判断できるので、加入者管理サーバ210Aへ送信する加入者情報要求に対して制御権利IDを設定せずに処理を終了する。一方、制御権利IDが存在する場合(ステップS301においてYes判定)、制御権利ID設定部312は、第1の加入者情報制御フィールドチェック部311から取得した制御権利IDを、加入者管理サーバ210Aへ送信する加入者情報要求に設定する処理を実行する(ステップS302)。具体的には、制御権利ID設定部312は、加入者情報要求内に、第2の加入者情報制御フィールドを設け、取得した制御権利IDを、上記第2の加入者情報制御フィールドに格納する。第2の加入者情報制御フィールドに制御権利IDが設定された加入者情報要求は、移動管理ノード310Aから加入者管理サーバ210Aへと送信される。
図13は、第1の実施形態の加入者管理サーバ210Aの動作例(加入者情報要求を受信し、加入者情報応答を送信するまでの動作)を示すフローチャートである。
まず、加入者管理サーバ210Aは、移動管理ノード310Aから加入者情報要求を受信する(ステップS400)。加入者情報制御フィールドチェック部215は、移動管理ノード310Aから送信された加入者情報要求の第2の加入者情報制御フィールドに制御権利IDが存在するか否かをチェックする(ステップS401)。
制御権利IDが存在する場合(ステップS401においてYes判定)、加入者制御情報取得部216は、加入者情報制御フィールドチェック部215から取得した制御権利IDと加入者IDを含む加入者制御情報要求を、加入者制御サーバ400Aへ送信する(ステップS402)。その後、加入者管理サーバ210Aは、加入者制御サーバ400Aから、加入者制御情報要求の結果としての加入者制御情報応答を受信する。加入者制御情報取得部216は、加入者制御情報応答に格納されている制御権利IDに対応する加入者制御パラメータが存在するか否かを判定する(ステップS403)。
対応する加入者制御パラメータが存在する場合(ステップS403においてYes判定の場合)、加入者制御情報登録部217は、加入者制御情報取得部216から取得した加入者IDと制御権利ID及び制御権利IDに対応した加入者制御パラメータを、制御情報管理テーブル213に登録する(ステップS404)。加入者情報更新部218は、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214を、デフォルト加入者情報管理テーブル212と制御情報管理テーブル213を参照して更新する(ステップS405)。そして、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214に格納されている制御情報付与後加入者情報を含む加入者情報応答が、加入者管理サーバ210Aから移動管理ノード310Aへ送信される(ステップS406)。
一方、制御権利IDが存在しない場合(ステップS401においてNo判定)、および対応する加入者制御パラメータが存在しない場合(ステップS403においてNo判定)、ステップS406の処理が実行される。ただし、この場合、加入者管理サーバ210Aから移動管理ノード310Aへ送信される加入者情報応答には、制御情報付与後加入者情報は含まれていない。
図14は、第1の実施形態の加入者管理サーバ210Aの動作例(制御情報付与後加入者情報管理テーブル214を更新する際の詳細な動作)を示すフローチャートである。
加入者情報更新部218は、移動管理ノード310Aから受信した加入者情報要求に格納されている加入者IDをキーとしてデフォルト加入者情報管理テーブル212からデフォルトの加入者情報を取得する(ステップS500)。次いで、加入者情報更新部218は、加入者IDをキーとして制御情報管理テーブル213から加入者IDに対応した加入者制御パラメータを取得する(ステップS501)。そして、加入者情報更新部218は、デフォルト加入者情報管理テーブル212から取得したデフォルトの加入者情報に対して、制御情報管理テーブル213から取得した加入者制御パラメータを適用し、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214へ登録する(ステップS502)。そして、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214に格納されている制御情報付与後加入者情報を含む加入者情報応答が、加入者管理サーバ210Aから移動管理ノード310Aへ送信される。
図15は、第1の実施形態の加入者制御サーバ400Aの動作例(加入者制御情報要求の受信から加入者制御情報応答の送信までの動作)を示すフローチャートである。
まず、加入者制御要求受信部404は、加入者管理サーバ210Aから送信される「加入者制御情報要求」を受信する(ステップS600)。加入者制御情報決定部405は、加入者制御要求受信部404から制御権利IDを取得する。加入者制御情報決定部405は、この制御権利IDをキーとして加入者制御情報管理DB401Aの制御権利ID内容管理テーブル402を検索し、該制御権利IDに対応する加入者制御パラメータの有無を判定する(ステップS601)。
対応する加入者制御パラメータが存在しない場合(ステップS601においてNo判定)、加入者制御情報通知部407は、加入者制御パラメータが存在しないという情報を含む加入者制御情報応答を、加入者サーバ210Aへ通知する(ステップS602)。
一方、対応する加入者制御パラメータが存在する場合(ステップS601においてYes判定)、制御権利付与加入者登録部406は、制御権利を付与した加入者を登録する(ステップS603)。具体的には、制御権利付与加入者登録部406は、加入者制御情報管理DB401Aの制御権利ID付与加入者管理テーブル403の、該加入者IDに対して制御権利IDの付与を開始した時間(付与開始時間)に、現時点での時刻情報を登録する。
加入者制御情報通知部407は、制御権利付与加入者登録部406から取得した制御権利IDと加入者IDと制御権利IDに対応した加入者制御パラメータとを含む加入者制御情報応答を、加入者管理サーバ210Aへ通知する。
図16は、第1の実施形態の移動通信システム10の動作例(移動端末110Aの初期接続時の動作であって、より詳細には、移動端末110Aの接続要求送信から移動管理ノード310Aの通信制御ポリシーが適用されるまでの処理)を説明するためのシーケンス図である。
初期接続処理に入る前提として、移動端末110Aには、制御権利ID入力部111を介して制御権利IDが入力されているものとする。
まず、移動端末110Aの制御権利ID設定部112は、第1の加入者情報制御フィールドに制御権利IDが格納された接続要求(Attach Request)を、移動管理ノード310Aへ送信する(ステップS700)。
移動管理ノード310Aの制御権利ID設定部312は、加入者管理サーバ210Aへ送信する加入者情報要求(Update Location Request)に第2の加入者情報制御フィールドを設け、加入者情報制御フィールドチェック部311から取得した制御権利IDを格納する。第2の加入者情報制御フィールドに制御権利IDが設定された加入者情報要求は、やがて移動管理ノード310Aから加入者管理サーバ210Aへと送信される(ステップS701)。
加入者管理サーバ210Aの加入者制御情報取得部216は、加入者情報制御フィールドチェック部215から取得した制御権利IDと加入者IDを含む加入者制御情報要求を、加入者制御サーバ400Aへ送信する(ステップS702)。
加入者制御サーバ400Aの加入者制御要求受信部404は、加入者管理サーバ210Aから送信される加入者制御情報要求を受信し、該加入者情報制御要求に格納されている制御権利IDと加入者IDを抽出する。加入者制御情報決定部405は、抽出された制御権利IDをキーとして加入者制御情報管理DB401Aの制御権利ID内容管理テーブル402から前記制御権利IDに対応した加入者制御パラメータを取得する(ステップS703)。
加入者制御サーバ400Aの制御権利付与加入者登録部406は、制御権利IDを付与した加入者を登録する(ステップS704)。制御権利付与加入者登録部406は、制御権利ID付与加入者管理テーブル403に登録されている1つ以上の加入者IDに対して制御権利IDの付与を開始した時間(付与開始時間)を設定する。例えば、制御権利付与加入者登録部406は、付与開始時間として、現時点での時刻情報を設定する。
加入者制御サーバ400Aは、制御権利IDと加入者IDと制御権利IDに対応した加入者制御パラメータとを含む加入者制御情報応答を、加入者管理サーバ210Aへ通知する(ステップS705)。具体的には、加入者制御サーバ400Aの加入者制御情報通知部407は、制御権利付与加入者登録部406から取得した制御権利IDと加入者IDと制御権利IDに対応した加入者制御パラメータとを含む加入者制御情報応答を、加入者管理サーバ210Aへ通知する。
加入者管理サーバ210Aの加入者制御情報登録部217は、加入者制御情報取得部216から取得した加入者IDと制御権利ID及び制御権利IDに対応した加入者制御パラメータを制御情報管理テーブル213に登録する(ステップS706)。
加入者管理サーバ210Aの加入者情報更新部218は、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214を、デフォルト加入者情報管理テーブル212と制御情報管理テーブル213を参照して更新する(ステップS707)。
そして、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214に格納されている制御情報付与後加入者情報を含む加入者情報応答(Update Location Ack)が、加入者管理サーバ210Aから移動管理ノード310Aへ送信される(ステップS706)。
次に、ステップS709で、ステップS708の加入者情報応答を取得したモビリティ管理ノード310は、取得した加入者情報応答に格納されている加入者IDと加入者情報を通信制御ポリシーとして適用し、前記通信制御ポリシーを基に通信パス(ベアラ)を張る。
以上説明した第1の実施形態において、加入者制御サーバ400Aは、加入者情報に対する操作内容(加入者制御パラメータ)を、該操作内容を識別するための制御権利IDと関連付けて保存するデータベースを備える。そして、加入者制御サーバ400Aは、このデータベースを参照することにより、加入者管理サーバ210Aを介して所定の通信ノード(例えば、移動端末110A)から受信した制御権利IDに対応する操作内容を特定する。特定された操作内容は、加入者管理サーバ210Aへ送信され、該操作内容に基づいて加入者情報は更新される。
すなわち、モバイルオペレータから発行された制御権利IDを移動端末110Aから移動通信システム10に通知するだけで、移動端末110Aの通信環境を変更することが可能となる。従って、ユーザは、認証や煩雑な設定処理を行うことなく、加入者情報の操作(追加、削除、あるいは変更等)を容易に行うことが可能となる。
しかも、所定の通信ノード(例えば、移動端末110A)から加入者制御サーバ400Aへの制御権利IDの送信は、既存のリクエスト信号(例えば、Attach RequestやUpdate Location Request等)を用いて行われる。すなわち、初期接続時も含む任意のタイミングで、加入者情報の操作を行うことが可能となる。例えば、初期接続時に限らず、移動端末110Aが接続を完了する前に、加入者情報(通信制御ポリシー)の変更を行うことも可能である。
また、サービス事業者が、モバイルオペレータから取得した制御権利IDを、制御対象の移動端末に配布するような使用形態も可能となる。この場合、サービス事業者の意向に沿って移動端末を制御することが可能となる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態の第1の実施形態に対する違いは、加入者情報の制御タイミングが異なる点にある。第1の実施形態では、移動端末110Aの接続要求時(初期接続時)における加入者情報の制御について説明したが、第2の実施の形態では、初期接続完了後の任意のタイミングでの加入者情報の制御について説明する。
上記機能を実現するために、移動端末および移動管理ノードの構成(および動作)が第1の実施形態とは異なっている。従って、以下の説明では、第1の実施形態から変更の無い構成(すなわち、加入者管理サーバと加入者制御サーバ)についての説明は省略する。
図17は、第2の実施形態の移動端末110Bの構成例を説明するためのブロック図である。移動端末110Bの、第1の実施形態の移動端末110A(図6参照)に対する違いは、新たに、加入者情報更新トリガー受付部120と加入者情報更新要求送信部121が追加された点にある。他の構成要素については、図6に示す移動端末110Aと同一であるため、それらについては図17において図6と同一の符号を付し、以下での説明を省略する。
加入者情報更新トリガー受付部120は、加入者情報の更新を要求するトリガーを受け付ける。トリガーを受け付けた加入者情報更新トリガー受付部120は、加入者情報更新要求送信部121に対してトリガー発生通知を送信する。尚、加入者情報の更新を要求するトリガーは、ユーザインターフェースを使ってユーザが入力した場合、制御権利ID入力部111に制御権利IDが入力された場合、特定の条件が成立した場合等を挙げることができる。もちろん、トリガーの種類は、これらに限定されない。また、加入者情報更新トリガー受付部120は、制御権利ID入力部111によって事前に入力された制御権利IDを保持し、トリガー発生通知を加入者情報更新要求送信部121に送信する際にこの制御権利IDを併せて通知する。
加入者情報更新要求送信部121は、制御権利IDを含むトリガー発生通知を、加入者情報更新トリガー受付部120から取得した際に、制御権利IDと、移動端末110BのUICCに格納されている加入者IDとを含む「加入者情報更新要求」を移動管理ノード310Bへ送信する。「加入者情報更新要求」は、新規の信号として定義される場合もある。あるいは、既存の信号に、加入者情報制御フィールドを設け、制御権利IDを加入者情報制御フィールドに格納する事で加入者情報更新要求とすることもできる。尚、既存信号の例としては、例えば、3GPPの場合、Tracking Area Update Request、Tracking Area Update Request、あるいは、PDN Connection requestを挙げることができる。
図18は、第2の実施形態の移動管理ノード310Bの構成例を説明するためのブロック図である。移動管理ノード310Bは、加入者情報更新要求受信部320と、加入者情報要求処理開始部321とを少なくとも含む。
加入者情報更新要求受信部320は、移動端末110Bから加入者情報更新要求を受信する。加入者情報更新要求受信部320は、加入者情報更新要求から抽出した制御権利IDを、加入者情報要求処理開始部321へ通知する。
加入者情報要求処理開始部321は、加入者情報更新要求受信部320から制御権利IDを受信したタイミング(すなわち、実質的には、トリガーが発生したタイミング)で、以下の処理を実行する。この場合、加入者情報要求処理開始部321は、加入者情報要求(例えば、Update Location Request)に、加入者情報制御フィールドを設け、受信した制御権利IDと加入者IDとを、この加入者情報制御フィールドに格納する。そして、加入者情報要求処理開始部321は、この加入者情報要求を、加入者管理サーバ210Aへ送信する。
図19は、第2の実施形態の移動端末110Bの動作例(加入者情報更新トリガーを取得した際の動作)を示すフローチャートである。
加入者情報更新トリガー受付部120は、加入者情報の更新を要求するトリガーを受付けると、制御権利ID入力部111によって事前に入力されている制御権利IDを含むトリガー発生通知を、加入者情報更新要求送信部121へ送信する(ステップS1000)。
加入者情報更新要求送信部121は、トリガー発生通知を受信した際に、制御権利IDと移動端末110BのUICCに格納されている加入者IDとを、加入者情報更新要求に格納する(ステップS1001)。尚、加入者情報更新要求が3GPPで定義されている既存信号である場合、加入者情報更新要求送信部121は、加入者情報制御フィールドを設け、制御権利IDと加入者IDとを、この加入者情報制御フィールドに格納する。加入者情報更新要求送信部121は、制御権利IDと加入者IDとを含む加入者情報更新要求を、移動管理ノード310Bへ送信する(ステップS1002)。
図20は、第2の実施形態の移動管理ノード310Bの動作例(移動端末110Bから加入者情報更新要求を取得した際の動作)を示すフローチャートである。
加入者情報更新要求受信部320は、移動端末110Bから加入者情報更新要求を受信する(ステップS1100)。加入者情報更新要求受信部320は、加入者情報更新要求に格納されている制御権利IDを抽出し、加入者情報要求処理開始部321へ通知する。尚、加入者情報更新要求が3GPPで定義されている既存信号である場合は、加入者情報更新要求受信部320は、加入者情報制御フィールドに格納されている制御権利IDを抽出する。
加入者情報要求処理開始部321は、加入者情報更新要求受信部320から制御権利IDを受信したタイミングで、加入者情報要求に、加入者情報制御フィールドを設け、受信した制御権利IDと加入者IDとを、この加入者情報制御フィールドに格納する(ステップS1101)。そして、加入者情報要求処理開始部321は、この加入者情報要求を、加入者管理サーバ210Aへ送信する(ステップS1102)。
移動管理ノード310Bが加入者情報要求を加入者管理サーバ210Aへ送信した後の処理の流れは、第1の実施形態と同じなので省略する。
以上説明した第2の実施形態によれば、初期接続時に限らず、任意のタイミングで、加入者情報の操作を行うことが可能となる。例えば、移動端末110Bが接続を完了する前に、加入者情報(通信制御ポリシー)の変更を行うことも可能である。
尚、以上説明した第2の実施形態では、加入者情報更新要求を、移動管理ノード310Bを経由して送信する場合を例に挙げたがこれに限定されることはない。例えば、移動端末110Bと加入者制御サーバ400Aとが直接通信可能なインターフェースを構築することで、加入者情報更新要求を、移動管理ノード310Bを経由することなく、直接、加入者制御サーバ400Aへ送信することも可能である。
[第3の実施形態]
第1の実施形態において、加入者制御サーバ400Aは、制御権利IDを提出した加入者に対して上記制御権利IDに対応した加入者制御パラメータを適用する場合について説明した。第3の実施形態では、制御権利IDを適用する条件に基づいて制御権利IDに対応した加入者制御パラメータを適用する点を特徴とする。
上記特徴を実現するために、本実施形態の場合、加入者制御サーバの構成(および動作)が第1の実施形態とは異なっている。従って、以下の説明では、第1の実施形態から変更の無い構成についての説明は省略する。
図21は、第3の実施形態の加入者制御サーバ400Cの構成例を説明するためのブロック図である。加入者制御サーバ400Cは、第1の実施形態における加入者制御サーバ400A(図2参照)に対して、さらに、制御権利ID内容管理テーブル420と、制御権利付与条件判定部421とを、追加した構成となる。なお、図21において、制御権利ID内容管理テーブル420を含む加入者制御情報管理DBを、加入者制御情報管理DB401Cとする。
図22は、制御権利ID内容管理テーブル420で管理される内容を示す図である。制御権利ID内容管理テーブル420は、第1の実施形態の制御権利ID内容管理テーブル402(図3参照)に制御権利付与条件が追加されている。制御権利付与条件とは、加入者制御情報要求を送信している加入者に対して制御権利IDに対応する加入者制御パラメータ付与してよいか判断する条件である。制御権利付与条件は、ひとつの制御権利IDに対して複数の条件を設定する事も可能である。制御権利付与条件は、加入者制御情報決定部405によって制御権利IDに対応する加入者制御パラメータを取得する際に一緒に取得される。
図21の説明に戻り、制御権利付与条件判定部421は、制御権利ID内容管理テーブル420に格納されている制御権利付与条件に基づいて、加入者制御要求している加入者に対して制御権利IDに対応する加入者制御パラメータ付与してよいかを判断する。
図23は、加入者制御サーバ400Cの動作例を示すフローチャートである。
加入者制御情報決定部405は、制御権利ID内容管理テーブル420から加入者制御要求に格納されている制御権利IDに対応する加入者制御パラメータと制御権利付与条件を取得する(ステップS1200)。
制御権利付与条件判定部421は、加入者制御情報決定部405が取得した制御権利付与条件の先頭の条件から判定を進める(ステップS1201)。
ここで、条件判定の具体的方法について説明する。例えば、図22に示す制御権利ID内容管理テーブル420の条件1のように、制御権利IDの付与可能な人数が制限されている場合を例に挙げる。この場合、制御権利付与条件判定部421は、制御権利ID付与加入者管理テーブル403の制御権利IDに対応した加入者制御パラメータを付与している加入者の人数をチェックして、制限超過の有無を判断する。一方、条件2のように、特定の加入者への付与を不可とする条件である場合、制御権利付与条件判定部421は、加入者制御情報要求に格納されている加入者IDと条件2に規定されている加入者IDとのマッチングをとって判定をする。
条件が満たされていない場合(ステップS1201においてNo判定)、制御権利の付与は不可と判断して処理を終了する。
一方、条件を満たしている場合(ステップS1201においてYes判定)、制御権利付与条件判定部421は、制御権利付与条件の判定対象を次の条件に進める(ステップS1202)。制御権利付与条件判定部421は、次の条件が存在するか否かをチェックする(ステップS1203)。次の条件が存在しない場合(ステップS1203においてNo判定)、加入者制御情報要求に格納されている制御権利IDに対応する制御権利付与条件は、すべて満たされていると判断できる。従って、制御権利付与条件判定部421は、加入者制御情報要求に格納されている加入者IDに対して、制御権利IDに対応する加入者制御パラメータを付与することが可能と判断する(ステップS1204)。
以上説明した第3の実施形態において、加入者制御サーバ制御400Cは、制御権利付与条件に基づいて、提出された制御権利IDに対応する加入者制御パラメータを付与するか否かを自動的に判断する。従って、制御権利IDを配布した後であっても、加入者制御パラメータを適用する加入者を制限することが可能となる。例えば、特定のエリアにおいては特定の加入者のみに特定の通信サービスを提供することができるなど、サービス事業者の意向に沿った、付加価値の高い通信制御を実行することが可能となる。
[第4の実施形態]
第4の実施の形態は、ひとつの加入者ID対して複数の制御権限IDが行使されて、適用する加入者制御パラメータの制御項目が重複する場合に対応する点に特徴がある。
上記特徴を実現するために、本実施形態では、加入者制御サーバと加入者管理サーバの構成(および動作)が第1の実施形態とは異なっている。従って、以下の説明では、第1の実施形態から変更の無い構成についての説明は省略する。
図24は、本発明の第4の実施形態の加入者制御サーバ400Dの構成例を説明するためのブロック図である。加入者制御サーバ400Dの第1の実施形態における加入者制御サーバ400A(図2参照)に対する差異は、制御権利ID内容管理テーブル430にある。なお、図24において、制御権利ID内容管理テーブル430を含む加入者制御情報管理DBを、加入者制御情報管理DB401Dとする。
図25は、制御権利ID内容管理テーブル430で管理される内容を示す図である。図25から諒解されるように、制御権利ID内容管理テーブル430は、第1の実施形態の制御権利ID内容管理テーブル402(図3参照)に対して、管理情報の優先度が追加されている。
上記優先度は、ひとつの加入者ID対して複数の制御権限IDが行使され、適用する複数の加入者制御パラメータに重複する制御項目があった場合、どの制御権利IDを優先的に反映すればよいか判断するための基準となる情報である。従って、制御権利ID毎に優先度が設定されている。上記優先度は、加入者制御情報決定部405によって制御権利IDに対応する加入者制御パラメータを取得する際に一緒に取得され、加入者管理サーバ210Dに、制御権利IDに関連する情報として一緒に送られる。
図26は、本発明の第4の実施形態の加入者管理サーバ210Dの構成例を説明するためのブロック図である。加入者管理サーバ210Dの第1の実施形態の加入者管理サーバ210A(図8参照)からの追加要素は重複更新ポリシー230であり、変更点は制御情報管理テーブル231と加入者情報更新部232である。
加入者情報更新部232が制御情報付与後加入者情報管理テーブル214を更新する際、ひとつの加入者IDに対して適用する加入者制御パラメータが複数あり、かつ前記複数の加入者制御パラメータに重複する制御項目がある場合がある。重複更新ポリシー230には、制御パラメータが複数あり、かつ重複する制御項目がある場合に、どの制御権利IDに対応した加入者制御パラメータを適用するか決定するポリシーが記述されている。例を挙げると、最初もしくは最後に制御情報管理テーブル231に登録された制御権限IDを優先して適用する場合や、特定の制御権利IDを優先的に反映させる場合がある。
本実施形態の重複更新ポリシー230では、制御情報管理テーブル231に登録されている優先度の値が小さい制御権利IDを優先的に反映すると記述されている。
図27は、図26に示す加入者管理サーバ210Dを構成する制御情報管理テーブル231で管理される内容を示す図である。図27から諒解されるように、制御情報管理テーブル231は、第1の実施形態の制御情報管理テーブル213(図9参照)の管理情報に、加入者制御サーバ400Dから取得した加入者制御情報応答に格納されている制御権利IDに対応した優先度の項目が追加されている。
図26の説明に戻り、加入者情報更新部232は、第1の実施形態の加入者情報更新部218の機能に加え、加入者情報を更新する際に、適用すべき加入者制御パラメータが複数あるか、また複数の加入者制御パラメータに重複する制御項目が存在するかチェック機能を備える。重複する制御項目が存在した場合、加入者情報更新部232は、重複判定ポリシー230を参照し、適用すべき加入者制御パラメータを決定する。
図28は、本発明の第4の実施形態の加入者管理サーバ210Dの動作例を示すフローチャートである。
加入者情報更新部232は、加入者IDをキーとしてデフォルト加入者情報管理テーブル212からデフォルトの加入者情報を取得する(ステップS1300)。
加入者情報更新部232は、加入者IDをキーとして制御情報管理テーブル231から加入者IDに対応した加入者制御パラメータと優先度を取得する(ステップS1301)。
加入者情報更新部232は、加入者IDをキーとして制御情報管理テーブル231から加入者IDに対応した加入者制御パラメータが複数存在するかチェックする(ステップS1302)。
加入者制御パラメータが複数存在する場合(ステップS1302においてYes判定)、加入者情報更新部232は、加入者IDをキーとして制御情報管理テーブル231から加入者IDに対応した複数の加入者制御パラメータに対して、重複する制御項目があるかチェックする(ステップS1303)。
重複する制御項目が複数存在する場合(ステップS1303においてYes判定)、加入者情報更新部232は、重複更新ポリシー230から適用する制御権利IDを決定するためのポリシーを取得する(ステップS1304)。本実施形態の重複更新ポリシー230では、制御情報管理テーブル231に登録されている優先度の値が小さい制御権利IDを優先的に反映すると記述されている。
加入者情報更新部232は、重複更新ポリシー230に基づいて、重複する加入者制御パラメータに対してどの制御権利IDを適用するか決定する(ステップS1306)。本実施形態の場合、重複する制御項目に対して制御情報管理テーブル231に登録されている優先度の値がより小さい制御権利IDを採用する。
加入者情報更新部232は、ステップS1300で取得したデフォルトの加入者情報に対して、ステップS1306で決定した加入者制御パラメータを適用し、制御情報付与後加入者情報管理テーブル214へ登録する(ステップS1307)。
一方、加入者制御パラメータが複数存在しない場合(ステップS1302においてNo判定)、および重複する制御項目が複数存在する場合(ステップS1303においてNo判定)、
加入者情報更新部232は、以下の処理を実行する。加入者情報更新部232は、ステップS1300で取得したデフォルトの加入者情報に対して、ステップS1301で取得した加入者制御パラメータを適用する。そして、加入者情報更新部232は、加入者制御パラメータを適用した項目毎の情報および加入者情報項目毎に付与した制御権利IDを制御情報付与後加入者情報管理テーブル214へ登録する(ステップS1305)。
以上説明した第4の実施形態では、ひとつの加入者IDに対して適用する加入者制御パラメータが複数あり、かつ前記複数の加入者制御パラメータに重複する制御項目がある場合、どの制御権利IDに対応した加入者制御パラメータを適用するかを決定する。従って、サービス事業者が提供するサービスの内容が高度化し、加入者制御パラメータが複雑なものとなった場合であっても、容易且つ確実に最適な通信制御ポリシーを適用することが可能となる。
[第5の実施形態]
第1の実施形態の場合、移動端末110Aから制御権利IDを提出することにより、移動端末110Aのユーザの加入者情報が該制御権利IDに応じた加入者制御パラメータによって制御されていた。一方、第5の実施形態では、無線基地局500が制御権利IDを保持し、無線基地局500に接続してきた移動端末のユーザの加入者情報を、無線基地局500が保持する制御権利IDに応じた加入者制御パラメータによって制御する点を特徴とする。また、無線基地局500は、移動端末から送信される接続要求及び通信環境更新要求のパラメータを変更する事により、移動端末の通信環境を変更する処理も行う。
図29は、本発明の第5の実施形態に係る移動通信システム10Eの構成例を説明するシステム構成図である。移動通信システム10Eは、無線基地局500をさらに備える。尚、第1の実施形態においては、無線基地局自体には特徴がないため、無線基地局を敢えて記載していないが、本実施形態では、無線基地局500に特徴があるため、図29において図示することにした。また、本実施形態の場合、移動端末100は制御権利IDを保持および送信する必要がないので、図29に示す移動端末は既存の移動端末100(例えば、図36に示す移動端末)であるとする。他の構成要素(加入者管理サーバ、移動管理ノード、加入者制御サーバ)は、第1の実施形態と同一である。尚、無線基地局500は、例えば、3GPPにおいては、eNodeB(evolved NodeB):マクロセル、Home eNodeB:フェムトセルに該当する。
図30は、無線基地局500の構成例を説明するためのブロック図である。一般的に、無線基地局は、移動端末の接続要求を受けて、移動管理ノードへ接続要求を転送するという基本的な機能を有している。従って、図30では、上記基本的機能については記載せず、新規の機能についてのみ記載する。
無線基地局500は、制御権利ID設定ポリシー管理DB501と、接続要求受信部502と、制御権利ID設定部503と、接続要求パラメータ変更内容管理DB504、と接続要求パラメータ変更部505と、接続要求送信部506とを少なくとも含む。
図31は、制御権利ID設定ポリシー管理DB501の内容の一例を示す。制御権利ID設定ポリシー管理DB501は、移動端末100の接続要求に付与する制御権利IDを決定するための判断条件を格納する。付与条件の例としては、時間帯毎に付与する制御権利IDを決定する条件、接続要求を送信してくる移動端末100の特性に応じて付与する制御権利IDを決定する条件、移動端末100が送信してくる接続要求のパラメータに応じて制御権利IDを決定する条件等を挙げることができる。本実施形態では、移動端末100が送信してくる接続要求の加入者IDによって付与する制御権利IDを決定する条件が登録してある。
図30の説明に戻り、接続要求受信部502は、移動端末100から送信される接続要求を受信し制御権利ID設定部503に通知する。制御権利ID設定部503は、接続要求受信部502が受信した接続要求に対してどの制御権利IDを付与するか制御ID設定ポリシー管理DB501を参照して決定する。さらに、制御権利ID設定部503は、前記接続要求に対して加入者情報制御フィールドを設け、決定した制御権利IDをこの加入者情報制御フィールドに格納する機能を有する。
図32は、接続要求パラメータ変更内容管理DB504の内容の一例を示す。接続要求パラメータ変更内容管理DB504は、移動端末100の接続要求または通信環境更新要求に格納されているパラメータを変更する条件及び変更値を格納する。本実施形態では、移動端末100が送信する接続要求の加入者IDによって、前記接続要求に格納されている接続先のPDNを示すAPN(Access Point name)を変更する値が格納されている場合を例に挙げる。
再び図30の説明に戻り、接続要求パラメータ変更部505は、接続要求受信部502が受信した接続要求のパラメータの変更内容を、接続要求パラメータ変更内容管理DB504を参照して決定し、決定した変更内容を前記接続要求に設定する。接続要求送信部506は、制御権利ID設定部505が用意した接続要求を移動管理ノード310へ送信する。
図33は、第5の実施形態の無線基地局500の動作例(移動端末100からの接続要求を受信し、接続要求に対して制御権利IDの設定及び要求のパラメータの変更を行う際の動作)を示すフローチャートである。
接続要求受信部502は、移動端末100から接続要求を受信する(ステップS1400)。制御権利ID設定部503は、制御権利ID設定ポリシー管理DB501を参照し、接続要求受信部502が受信した接続要求に対してどの制御権利IDを付与するかを決定する(ステップS1401)。本実施形態では、接続要求に格納されている加入者IDによって付与する制御権利IDを決定する。制御権利ID設定部503は、ステップS1400で受信した接続要求に対して加入者情報制御フィールドを設け、ステップS1401で決定した制御権利IDを、この加入者情報制御フィールドに格納する(ステップS1402)。
接続要求パラメータ変更部505は、接続要求パラメータ変更内容管理DB504を参照し、接続要求受信部502が受信した接続要求のパラメータに対する変更内容を決定する(ステップS1403)。本実施形態では、移動端末100が送信する接続要求の加入者IDによって、接続要求に格納されている接続先APNを変更する値を決定する。
接続要求送信部504は、前続要求をステップS1403で決定した接続要求のパラメータの変更内容に基づいて、パラメータを変更する(ステップS1404)。本実施例では接続要求に格納されている接続先APNが変更される。
接続要求送信部504は、ステップS1402で制御権利ID設定部503が用意した接続要求を移動管理ノード310Aへ送信する(ステップS1405)。
図34は、第5の実施形態の移動通信システム10Eの動作例(移動端末100の接続時における、無線基地局500が移動端末100の接続要求を受けて、移動管理ノード310Aへ接続要求を送信するまでの処理動作)を説明するためのシーケンス図である。
移動端末100は、接続要求を無線基地局500へ送信する(ステップS1500)。無線基地局500の制御権利ID設定部503は、受信した接続要求に対して、制御権利ID設定ポリシー管理DB501に格納されている付与条件を参照して付与すべき制御権利IDを決定する(ステップS1501)。そして、制御権利ID設定部503は、接続要求に対して加入者情報制御フィールドを設け、決定した制御権利IDを、この加入者情報制御フィールド格納する。
無線基地局500の接続要求パラメータ変更部505は、接続要求パラメータ変更内容管理DB504を参照し、接続要求のパラメータに対する変更内容を決定する(ステップS1502)。接続要求送信部504は、決定した接続要求のパラメータの変更内容に基づいて、パラメータを変更する。
無線基地局500の接続要求送信部504は、決定した制御権利IDを含むとともにパラメータが変更された接続要求を、移動管理ノード310Aへ送信する(ステップS1503)。
移動管理ノード310Aが接続要求を移動端末から受信した後の処理は、第1の実施形態と同じなので省略する。
以上説明した第5の実施形態によれば、制御権利IDをエンドユーザ(例えば、移動端末)に配布するのではなく、無線基地局に配布することもできる。この場合、無線基地局にて決定された制御権利IDにより、加入者情報の操作(通信制御ポリシーの変更)が行われる。すなわち、第5の実施形態によって、移動端末ではなく無線基地局を主体として通信制御ポリシー変更を行うようなサービス形態にも対応することが可能となる。
尚、以上説明した第5の実施形態の無線基地局500は、移動端末100から送信される接続要求を移動管理ノードに転送する場合も含まれており、必ずしも無線基地局500において接続要求を終端している場合に限定されない。
また、以上説明した第5の実施形態において、移動端末100による接続要求及び通信環境変更要求に対して、無線通信局500は、制御権利IDの設定及び要求のパラメータの変更が可能である。
また、以上説明した第5の実施形態において、移動端末100による接続要求及び通信環境変更要求に対して、無線基地局500が制御権利IDを設定する処理だけを行うことも可能である。その場合、無線基地局500において、接続要求パラメータ変更内容管理DB504と接続要求パラメータ変更部505とを不要とすることができる。
[第6の実施形態]
図35は、本発明の第6の実施形態に係る移動通信システム600の構成例を説明するためのシステム構成図である。移動通信システム600は、所定の要求信号を送信する通信ノード602と、加入者識別子毎に加入者情報を管理する加入者管理サーバ604と、加入者情報を操作可能な加入者制御サーバ606と、を備える。加入者制御サーバ606は、加入者情報に対する操作内容を、該操作内容を識別するための権利識別子と関連付けて保存するデータベース700を備える。さらに、加入者制御サーバ606は、データベース700を参照することにより、加入者管理サーバ604を介して所定の通信ノード602から送信された要求信号に含まれる権利識別子に対応する操作内容を特定し、特定した操作内容を加入者管理サーバ604へ送信する制御部702を備える。加入者管理サーバ604は、加入者制御サーバ606から受信した操作内容に基づいて、加入者情報を操作する。
以上説明した第6の実施形態によれば、容易に、しかも初期接続時も含む任意のタイミングで、加入者情報の操作を行うことが可能となる。
ところで、移動端末に対して制御できる通信制御ポリシーは多岐にわたる。従って、以上説明した第1〜第6の実施形態は、プリペイドカードによる課金チャージサービスの拡張として、ユーザの移動端末の通信環境を変更するサービスに応用することもできる。
また、サービス事業者が移動端末のサービス利用時に制御権利IDを配布することで、移動端末がサービス事業者のサービス利用時にサービス事業者の意向に沿って通信環境を一時的に制御することも可能である。例えば、第1の利用例は、コンサートホールのゲートを通ると一時的に通話機能を制限する例である。第2の利用例は、特定のサービスアクセスについては通信料を無料とする例である。第3の利用例は、特定のフェムトセルに接続できるようにする例である。すなわち、モバイルサービスの付加価値の提供や新たなサービスの創出が期待できる。
また、以上説明した第1〜第6の実施形態は、制御プログラムに基づいて図示しないコンピュータ回路(例えば、CPU(Central Processing Unit))によって制御され、動作するようにすることができる。その場合、これらの制御プログラムは、例えば、装置またはシステム内部の記憶媒体(例えば、ROM(Read Only Memory)やハードディスク等)、あるいは、外部の記憶媒体(例えば、リムーバブルメディアやリムーバブルディスク等)に記憶され、上記コンピュータ回路によって読み出され実行される。