JP2012026429A - インデューサ又は羽根車のキャビテーション挙動安定性を予測評価する方法 - Google Patents

インデューサ又は羽根車のキャビテーション挙動安定性を予測評価する方法 Download PDF

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    • F05D2260/81Modelling or simulation

Abstract

【課題】ポンプ等に使用される、複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車を最適設計するにあたり、ポンプ入口圧力低下時に発生する旋回キャビテーション等のキャビテーション挙動の不安定現象に着目し、時間的コストおよび計算コストの大きい非定常CFDを用いることなく、定常CFDによる計算結果からより低コストでキャビテーションの挙動安定性を予測評価できる予測評価方法を提供する。
【解決手段】複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車のキャビテーションの挙動安定性を予測評価する方法であって、予測評価対象の流れ場をCFD(Computational Fluid Dynamics)で解析し、各翼の翼面の特定方向の圧力分布を抽出し、各翼の各圧力分布の特徴的な圧力分布形状の位置を特定し、各位置のばらつきをキャビテーションの挙動安定性を示す指標とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車のキャビテーションの挙動安定性を予測評価する方法に関する。また、本発明は、特定の設計パラメータのキャビテーションの挙動安定性に対する感度を予測する設計パラメータの感度予測方法に関する。
ポンプ等に使用される、複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車において、ポンプ入口圧力低下時には翼に発生するキャビテーションの発達に起因して、旋回キャビテーションやキャビテーションサージ等と呼ばれているキャビテーション挙動の不安定現象が発生することが知られている。
近年の電子計算機の発達に伴い、CFD(Computational Fluid Dynamics)によってキャビテーション挙動の不安定現象を解析する研究が行われてきた。キャビテーション挙動の不安定現象は時間と共に変動する非定常現象であるため、その発生限界や挙動の予測には非定常CFDによって非定常解析を行う必要があった。しかしながら、インデューサや羽根車の設計段階において、多数の設計候補のキャビテーション挙動や安定性の評価のために、その都度、非定常CFDを行うことは現在の電子計算機能力を持ってしても時間的コスト、計算コストが大きすぎる欠点がある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、ポンプ等に使用される、複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車を最適設計するにあたり、ポンプ入口圧力低下時に発生する旋回キャビテーション等のキャビテーション挙動の不安定現象に着目し、時間的コストおよび計算コストの大きい非定常CFDを用いることなく、定常CFDによる計算結果からより低コストでキャビテーションの挙動安定性を予測評価できる予測評価方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、特定の設計パラメータを異ならせた複数の予測評価対象について上記予測評価方法にてキャビテーションの挙動安定性を評価し、前記特定の設計パラメータのキャビテーションの挙動安定性に対する感度を予測する方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明の予測評価方法の第1の態様は、複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車のキャビテーションの挙動安定性を予測評価する方法であって、予測評価対象の流れ場をCFD(Computational Fluid Dynamics)で解析し、各翼の翼面の特定方向の圧力分布を抽出し、各翼の圧力分布の特徴的な圧力分布形状の位置を特定し、各位置のばらつきをキャビテーションの挙動安定性を示す指標とすることを特徴とするものである。
本発明の予測評価方法の第1の態様によれば、予測評価対象の流れ場をCFDで解析し、複数の同一形状の翼について、各翼の翼面の特定方向の圧力分布を求める。例えば、各翼の子午面方向の翼面静圧分布を求める。次に、各翼の圧力分布の特徴的な圧力分布形状の位置を特定する。例えば、翼面静圧分布の場合には、静圧が極大値をとる子午面位置を特定する。次に、特定された各位置のばらつきを求め、各位置のばらつきをキャビテーションの挙動安定性を示す指標とする。例えば、静圧が極大値をとる子午面位置を特定した場合には、極大値をとる位置の子午面位置のばらつきが大きい場合にはキャビテーション挙動の不安定性が大きいと評価し、極大値をとる位置の子午面位置のばらつきが小さい場合にはキャビテーション挙動の安定性が大きいと評価する。
本発明の好ましい一態様は、前記特定方向の圧力分布は、各翼の子午面におけるチップ近傍の圧力分布であることを特徴とする。
各翼の子午面におけるチップ近傍でキャビテーションが発達する傾向があるため、本発明は、特定方向の圧力分布を、各翼の子午面におけるチップ近傍の圧力分布と特定したものである。
本発明の好ましい一態様は、前記特徴的な圧力分布形状の位置は、各翼の負圧面上の各圧力分布の極大値の位置であることを特徴とする。
各翼の負圧面上の圧力分布の極大値の位置が異なることは、各翼の圧力分布が異なることを意味するので、キャビテーションの分布もばらついていると考えることができる。そこで、本発明は、各翼の圧力分布の特徴的な圧力分布形状の位置を、各翼の負圧面上の各圧力分布の極大値の位置と特定したものである。
本発明の予測評価方法の第2の態様は、複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車のキャビテーションの挙動安定性を予測評価する方法であって、予測評価対象となるインデューサ又は羽根車の形状を決定し、前記予測評価対象の流れ場をCFD(Computational Fluid Dynamics)で計算し、各翼の翼面から連続する、所定圧力以下の領域、もしくは、所定のキャビテーションボイド率以上の領域を抽出し、各領域の占める体積を特定し、各体積のばらつきをキャビテーションの挙動安定性を示す指標とすることを特徴とするものである。
本発明の予測評価方法の第2の態様によれば、予測評価対象となるインデューサ又は羽根車の形状を決定する。この形状の決定には、例えば、CFDを用いて決定する。次に、前記予測評価対象の流れ場をCFDで計算し、各翼の翼面から連続する、所定圧力以下の領域、もしくは、所定のキャビテーションボイド率以上の領域を抽出する。ここでは、所定のキャビテーションボイド率以上の領域を抽出する場合を説明すると、例えば、CFDによりキャビテーションボイド率50%以上の領域を抽出する。次に、抽出した各領域の占める体積を特定し、各体積のばらつきをキャビテーションの挙動安定性を示す指標とする。例えば、キャビテーションボイド率50%以上の各領域の占める体積を特定してキャビテーション体積を求め、各キャビテーション体積のばらつきを求める。キャビテーション体積のばらつきとキャビテーションの挙動安定性とは相関があり、キャビテーション体積のばらつきが大きい場合にはキャビテーション挙動の不安定性が大きいと評価し、キャビテーション体積のばらつきが小さい場合にはキャビテーション挙動の安定性が大きいと評価する。また、各翼の翼面から連続する所定圧力以下の領域を抽出する場合には、例えば、各翼における所定圧力以下の等値面として抽出できる。この等値面を抽出した後は、上述と同様のステップでキャビテーションの挙動安定性を評価する。
本発明の予測評価方法の第3の態様は、複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車のキャビテーションの挙動安定性を予測評価する方法であって、予測評価対象の流れ場をCFD(Computational Fluid Dynamics)で計算し、各翼の翼面から連続する所定圧力以下の領域を抽出し、各領域の形状を特定し、各形状のばらつきをキャビテーションの挙動安定性を示す指標とすることを特徴とするものである。
本発明の予測評価方法の第3の態様によれば、CFDで計算して各翼の翼面から連続する所定圧力以下の領域を抽出する。この抽出は、例えば、各翼における所定圧力以下の等値面として抽出できる。次に、各領域の形状を特定し、各形状のばらつきをキャビテーションの挙動安定性を示す指標とする。例えば、等値面として抽出した場合には、抽出された各翼の等値面の形状のばらつきが大きい場合にはキャビテーション挙動の不安定性が大きいと評価し、ばらつきが小さい場合にはキャビテーション挙動の安定性が大きいと評価する。
本発明の設計パラメータの感度予測方法は、特定の設計パラメータを異ならせた複数の予測評価対象の形状を用意し、前記複数の予測評価対象について、上記予測評価方法にてキャビテーションの挙動安定性を評価し、前記特定の設計パラメータのキャビテーションの挙動安定性に対する感度を予測することを特徴とするものである。
本発明の設計パラメータの感度予測方法によれば、特定の設計パラメータを異ならせた複数の予測評価対象について、上記予測評価方法にてキャビテーションの挙動安定性を評価する。この場合、設計パラメータには、例えば、チップ側の負荷分布のslope(スロープ)であるSLTとハブ側の負荷分布のslope(スロープ)であるSLH、チップ側およびハブ側のIncidence(インシデンス)であるINCT,INCH、自由渦型や強制渦型等の出口渦形式がある。これらの設計パラメータは、キャビテーションの挙動安定性に影響が大きいものと、逆に小さいものがある。本発明は、これら設計パラメータによるキャビテーションの挙動安定性に対する感度を予測するようにしたものである。
本発明のインデューサまたは羽根車の設計方法は、上記感度予測方法によって求められた前記特定の設計パラメータのキャビテーションの挙動安定性に対する感度に基づいて、キャビテーションの挙動安定性を最適化することを特徴とするものである。前記キャビテーションの挙動安定性を最適化するとは、キャビテーションの挙動安定性を最大とすること、およびインデューサ又は羽根車の性能を維持した上でキャビテーションの挙動安定性を許容できる範囲内に収めることを含む。
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)ポンプ等に使用される、複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車を最適設計するにあたり、時間的コストおよび計算コストの大きい非定常CFDを用いることなく、定常CFDによる計算結果からより低コストでキャビテーションの挙動安定性を予測評価できる。したがって、キャビテーションの挙動安定性を向上できるインデューサ又は羽根車の開発をより低コストで行うことができる。
(2)特定の設計パラメータを異ならせた複数の予測評価対象について上記予測評価方法にてキャビテーションの挙動安定性を評価し、前記特定の設計パラメータのキャビテーションの挙動安定性に対する感度を予測することができる。
図1は本発明の一実施形態におけるインデューサを備えたターボポンプの一部分を示す断面図である。 図2は図1に示すインデューサの斜視図である。 図3は、3枚翼のインデューサの吸込性能ならびにキャビテーション挙動の不安定現象の発生範囲とその種類の例を説明する図である。 図4は、図3で示したインデューサの吸込性能に関して、定常CFDで計算した結果と比較したものである。 図5(a)は定常CFDで求めたキャビテーションが発生しているインデューサを前方から見た形状を示す。図5(b)はインデューサチップ部近くのインデューサ各翼の翼面静圧分布を示す図である。 図6(a),(b)は、インデューサ内キャビテーションボイド率50%以上の領域の体積V(インデューサ流路部体積Vindとの割合V/Vindで示す)と分散Vのキャビテーション数σに対する変化を示した図である。 図7は、キャビテーションの挙動安定性を含めたインデューサの設計最適化の一例を示すフローチャートである。 図8(a),(b)は設計パラメータの例を示す図であり、図8(a)はハブ側とチップ側のインデューサ負荷分布を設定するパラメータを示し、図8(b)は出口渦形式を設定するパラメータを示す。 図9(a),(b),(c)は、設計パラメータのキャビテーション体積およびキャビテーション体積のばらつきに及ぼす影響を示す図である。 図10(a),(b),(c)は、インデューサの設計負荷分布、及び当該インデューサについてCFDによりキャビテーションボイド率50%の等値面、およびNPSH(有効吸込ヘッド)とを求めた結果を示す図である。 図11(a),(b),(c)は、インデューサの設計負荷分布、及び当該インデューサについてCFDによりキャビテーションボイド率50%の等値面、およびNPSH(有効吸込ヘッド)を求めた結果を示す図である。 図12(a),(b),(c)は、インデューサ負荷分布、及び当該インデューサについてCFDによりキャビテーションボイド率50%の等値面、およびNPSH(有効吸込ヘッド)を求めた結果を示す図である。 図13は、図10で示したインデューサと図11で示したインデューサを試験ポンプに組み込み、ポンプ性能を確認した結果を示す図である。 図14(a),(b)は、図10で示したインデューサと図11で示したインデューサについてインデューサ出口チップ側で測定した静圧係数でみた吸込性能曲線を示す図である。
以下、本発明に係るインデューサ又は羽根車のキャビテーション挙動安定性を予測評価する方法の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態におけるインデューサを備えたターボポンプの一部分を示す断面図である。図1に示すターボポンプは、インデューサ1と、インデューサ1の下流側に配置された羽根車2と、インデューサ1と羽根車2とを支持する主軸3を備えている。インデューサ1の軸心は羽根車2の軸心と一致しており、インデューサ1は主軸3の回転に伴って羽根車2と同一回転速度で回転するようになっている。
ポンプの作動流体は、図1の矢印Fで示される方向からインデューサ1に流入する。インデューサ1に流入した作動流体は、インデューサ1内でキャビテーションを発生しながら昇圧され、更に下流の羽根車2でポンプの要求揚程まで昇圧される。このとき、インデューサ1により、羽根車2の中でキャビテーションが発生しない圧力まで作動流体が昇圧されるので、羽根車2単独のときよりもポンプの吸込性能が格段に向上する。
図2は図1に示すインデューサの斜視図である。インデューサ1は複数枚の翼を備えており、図2では3枚の翼を備えたインデューサが示されている。図2に示すように、インデューサ1の3枚の翼は、翼前縁1leから翼後縁1teに向かって螺旋状に形成されている。各翼は、主軸3側のインデューサハブ1Hからインデューサチップ1Tに向かって半径方向に延びている。図2において、翼の裏面側が圧力面Psであり、前面側が負圧面Ssである。
次に、インデューサに発生するキャビテーション挙動の不安定現象について説明する。
図3は、3枚翼のインデューサの吸込性能ならびにキャビテーション挙動の不安定現象の発生範囲とその種類の例を説明する図である。図3において、横軸はキャビテーション数σを表し、縦軸はインデューサ圧力係数ψtsを表す。キャビテーション数σは、ポンプ入口圧力Ptと作動流体の飽和蒸気圧Pvならびに作動流体の密度ρとインデューサチップ部周速度Utによって計算される。すなわち、キャビテーション数σ=2(Pt−Pv)/ρUtと表される。インデューサ圧力係数ψtsは、インデューサヘッドHとインデューサチップ部周速度Utならびに重力加速度gによって計算される。すなわち、インデューサ圧力係数ψts=gH/Utと表される。
図3は、図2に示すインデューサを用いて設計流量(設計点流量)Qdに対して実際の流量Qを種々変更して実験を行った結果をプロットしたものである。実験ではキャビテーション挙動の不安定現象が発生している範囲について調べたものである。図3では、設計流量Qdに対する流量比Q/Qdが1.0、0.9、0.8、0.7の4流量について示している。
図中、実線と点線で囲われた領域は、キャビテーション挙動の不安定現象が発生していた範囲である。図中、キャビテーション挙動の不安定現象の種類を以下の記号で示している。
AC:非対称キャビテーション(各翼のキャビテーションが非対称な分布となる現象)
RC:旋回キャビテーション(キャビテーションが周方向に翼から翼へ伝播する現象)
CS:キャビテーションサージ(キャビテーションがインデューサ内をインデューサ上下流方向に振動する現象)
MCS:弱いキャビテーションサージ的変動
従来、これらのキャビテーションの挙動安定性を予測評価し、安定なインデューサの設計手法を構築することが課題であった。しかしながら、キャビテーションの挙動安定性の予測には、前述したように非定常CFDを用いており、時間的コストおよび計算コストがが過大になるという問題があった。
そこで、本発明では時間的コストの小さい定常CFDによってキャビテーション挙動の安定性を評価する。
次に、定常CFDによりキャビテーション挙動の安定性を評価する方法について説明する。
図4は、図3で示したインデューサの吸込性能に関して、流量比Q/Qdが1.0と0.8の場合について、定常CFDで計算した結果と比較したものである。図中、7個の円形状の部分は、定常CFDで求めたキャビテーションが発生しているインデューサを前方から見た形状を示している。インデューサを前方から見た形状の中で、黒色部はキャビテーションボイド率50%の等値面であり、インデューサ翼面上に発達しているキャビテーション分布を表すものである。図中、上の列の左から2番目および3番目の形状の中で、黒色部で表すキャビテーションの分布がばらついていることがわかる。
図4において、流量比Q/Qdが0.8の場合でRCと示した範囲は実験でキャビテーション挙動の不安定現象である旋回キャビテーションが発生している範囲である。このRCと示した範囲において、図中示したように、定常CFDではインデューサの各翼上で発達しているキャビテーション分布にばらつきが発生していることが確認された。すなわち、定常CFDでキャビテーション分布にばらつきが発生する範囲は実験でキャビテーション挙動の不安定性が現れる運転領域(RCと表示)と一致することが確認された。旋回キャビテーションが発生しない流量比1.0では定常CFDで求めたキャビテーション分布にばらつきは発生しないことが確認された。すなわち、定常CFDの結果より、インデューサ各翼に発達するキャビテーション分布のばらつきを評価することでキャビテーション挙動の不安定性を評価できる可能性が示された。
そこで、キャビテーション分布のばらつきを定量的に評価するため、図5(a)のようにキャビテーション分布のばらつきが発生している場合に図5(b)のようにインデューサチップ部近くのインデューサ各翼の翼面静圧分布に発生するばらつきを評価指標とした。
図5(a)は、定常CFDで求めたキャビテーションが発生しているインデューサを前方から見た形状を示す。図中、黒色部はキャビテーションボイド率50%の等値面であり、インデューサ翼面上に発達しているキャビテーション分布を表す。図5(a)の黒色部の分布からわかるように、3枚の翼(blade1,blade2,blade3)に発生するキャビテーション分布にばらつきが発生している。
図5(b)はインデューサチップ部近くのインデューサ各翼の翼面静圧分布を示す図である。図5(b)において、縦軸は翼面静圧を飽和蒸気圧からの差のヘッドNPSH(m)として示し、横軸は正規化した子午面位置mを示し、m=0がインデューサ入口、m=1がインデューサ出口を示す。図5(b)においては、インデューサチップ側(span=0.975)における翼面静圧分布を示している。ここで、span(スパン)とは、インデューサハブIHからインデューサチップ1Tまでの半径方向位置を云う。インデューサハブIHの位置がspan=0であり、インデューサチップ1Tの位置がspan=1である。NPSH(有効吸込ヘッド)がゼロの範囲は、翼面静圧が飽和蒸気圧である部分でキャビテーションが主に発達している範囲である。翼面静圧分布の負圧面側の静圧分布を見ると、NPSHがゼロの翼面静圧が飽和蒸気圧である部分からインデューサ出口側に向かって静圧が急増し、各翼(blade1,blade2,blade3)は、それぞれ(1)、(2)、(3)と示した子午面位置で極大値を取ることがわかる。図5(a)のように、キャビテーション分布に翼毎にばらつきが発生している状態では、静圧の極大値を示す子午面位置(1)、(2)、(3)にもばらつきが発生することがわかる。このばらつきが大きい場合にキャビテーション挙動の不安定性が大きいと評価し、ばらつきが小さい場合にキャビテーション挙動の不安定性が小さいと評価する。
ここで、ばらつきを示す定量的指標として負圧面静圧の極大値を示す子午面位置(1)、(2)、(3)の分散、Vを、以下の式(1)で求める。
=(m−mave+(m+mave+(m−mave/3 (1)
,m,m:負圧面静圧の極大値を示す(1)、(2)、(3)の子午面位置
ave:m,m,mの平均値,(m+m+m)/3
図6(a),(b)は、インデューサ内キャビテーションボイド率50%以上の領域の体積V(インデューサ流路部体積Vindとの割合V/Vindで示す)と分散Vのキャビテーション数σに対する変化を、Q/Qd=1.0,Q/Qd=0.9ならびにQ/Qd=0.8の場合に対して示した図である。図6(a)はキャビテーション体積の変化を示し、図6(b)はキャビテーション分布のばらつきの変化を示している。図6(a),(b)では、図3に示すように実験により確認したキャビテーション不安定現象の発生領域をRC,CS,AC+MCSとして表記した。図6(a),(b)を見ると、実験により確認したキャビテーション不安定現象の発生領域と定常キャビテーション解析により求めたV/Vind,Vの変化には相関が認められる。すなわち、Q/Qd=0.8の場合、キャビテーションの発達にばらつきが発生するキャビテーション数σ(σ=0.077→0.072での変化)で旋回キャビテーション(RC)が発生している。さらにキャビテーション数σを減じた範囲であるσ=0.055→0.050での分散Vの増加部分ではキャビテーションサージ(CS)が発生している。これらVが増加するσでは、σの減少に対するV/Vindの増加率が大きい。
Q/Qd=0.9の場合、キャビテーションの発達にばらつきが発生するキャビテーション数σ(σ=0.066→0.06での変化)で弱いサージ的変動を伴う非対称キャビテーション(AC+MCS)が発生している。さらにキャビテーション数σを減じた範囲であるσ=0.055→0.050でのV,V/Vindの増加部分ではキャビテーションサージ(CS)が発生している。
以上の結果から、定常キャビテーション流れ解析結果により求められるインデューサ内キャビテーション発達状態を示すV/Vind,Vがキャビテーション不安定現象の発生しやすさの指標とできる。例えば、インデューサ設計過程で、定常キャビテーション流れ解析結果により、同一のキャビテーション数σにおける分散Vの大きさを比較することでキャビテーション不安定性の優劣を判断できる。
また、ここでは各翼のインデューサチップ側における翼面静圧分布における極大値の位置の分散Vtを評価したが、定常CFDの計算結果に基づく各翼のキャビテーション分布のばらつきを評価するには、各翼のキャビテーション体積/所定圧力以下の体積のばらつきや、各翼のキャビテーション領域の形状のばらつきを評価しても同様にキャビテーション不安定性の優劣を判断することができる。
すなわち、定常CFDにより各翼の翼面から連続する所定圧力以下の領域、例えば飽和蒸気圧以下の領域を抽出し、抽出した各領域の占める体積をキャビテーションボイド率の場合と同様に特定し、各体積のばらつきを評価してキャビテーション不安定性の優劣を判断することができる。
また、定常CFDにより各翼の翼面から連続する所定圧力以下の領域、例えば飽和蒸気圧以下の領域を抽出し、抽出した各領域の形状を特定し、各形状自体のばらつきを評価してキャビテーション不安定性の優劣を判断することができる。
以上のことから、本発明者らは、特定の設計パラメータを異ならせた複数の予測対象の形状を用意し、定常CFDを用いてキャビテーションの挙動安定性に対する感度を予測し、キャビテーションの挙動安定性を含めたインデューサの設計最適化の手法を着想したものである。
図7は、キャビテーションの挙動安定性を含めたインデューサの設計最適化の一例を示すフローチャートである。図7に示すように、第1ステップS1として設計パラメータの検討を行う。図8(a),(b)は設計パラメータの例を示す図であり、図8(a)はハブ側とチップ側のインデューサ負荷分布を設定するパラメータを示し、図8(b)は出口渦形式を設定するパラメータを示す。
図8(a)において、横軸は正規化した子午面位置を示し、m=0がインデューサ入口、m=1がインデューサ出口を示し、縦軸はインデューサ負荷分布∂(rVθ)/∂m(rVθは角運動量,mは子午面位置)を示す。図8(a)に示すように、設計パラメータとしてチップ側の負荷分布のslope(スロープ)であるSLTとハブ側の負荷分布のslope(スロープ)であるSLHとがある。また、設計パラメータとしてチップ側およびハブ側のIncidence(インシデンス)であるINCT,INCHがある。
図8(b)において、横軸はspan(スパン)を示し、span=0.0がインデューサハブの位置、span=1.0がインデューサチップの位置を示し、縦軸はインデューサ出口のスパン方向無次元rVθ分布(オイラーヘッド係数に相当する)を示す。図中、rVθtype1は自由渦型であり、rVθtype2,rVθtype3はハブ側よりチップ側が大きい強制渦型である。図8(b)に示すように、設計パラメータとしてrVθtype1,rVθtype2,rVθtype3の出口渦形式があり、以下の説明においては、これらの出口渦形式をRVTと表記する。
上述したように、設計パラメータの検討を行った後、第2ステップS2として、図7に示すように、実験計画法による設計パラメータの割付を行う。ここで、実験計画法とは、対象となるプロセスや物品などの特性を改善し、最適化を図りたい場合などに、その特性に影響を及ぼしていると考えられる要因とは何か、またその要因の効果がどの程度かを、少ない実験回数(シミュレーション回数)で定量化するための統計的実験手法を云う。
次に、第3ステップS3として、三次元逆解法によるインデューサ翼形の計算を行う。この三次元逆解法は1991年にUCL(University College London)のDr.Zangeneh氏が提唱した手法であり、翼面の負荷分布を規定して、その負荷分布を満たす翼面形状を数値計算により決定する設計手法である。この三次元逆解法の理論の詳細は公知文献(Zangeneh,M.,1991,“A Compressible Three−Dimensional Design Method for Radial and Mixed Flow Turbomachinery Blades”,Int.J.Numerical Methods in Fluids,Vol.13,pp.599−624)に記載されている。
本発明に係るインデューサは、この三次元逆解法により翼形の計算を行うものである。
次に、第4ステップS4として、定常CFDによる性能パラメータの評価を行う。この評価対象は、図7に示すように、揚程,効率等の一般性能、吸込性能、キャビテーション挙動の不安定性等である。
図9(a),(b),(c)は、設計パラメータのキャビテーション体積およびキャビテーションのばらつきに及ぼす影響を示す図である。
図8において説明したように、設計パラメータはRVT,INCT,INCH,SLT,SLHの5個あり、これら5個の設計パラメータを用いて、それぞれlow(小),middle(中),high(大)のようにレベル(Level)を変えて定常CFDにより翼形状を求めることにより、15個の翼形状が求まる。
図9(a)は、15個の翼形状に対して、100%Qdおよびキャビテーション数σ=0.066においてCFDによりキャビテーション体積Vcを求めた結果を示す。図9(a)において、横軸は設計パラメータのレベルを示し、縦軸は正規化されたキャビテーション体積Vcを示す。図9(a)からわかるように、チップ部のインシデンス(INCT)が大きい場合にはキャビテーション体積Vcが大きく、チップ部のインシデンス(INCT)が小さい場合には、キャビテーション体積が小さい。他のパラメータ(RVT,INCH,SLT,SLH)は、キャビテーション体積Vcにはそれほど影響を与えない。
図9(b)は、同様に、15個の翼形状に対して120%Qdおよびキャビテーション数σ=0.15においてCFDによりキャビテーション体積Vcを求めた結果を示す。図9(b)において、横軸は設計パラメータのレベルを示し、縦軸は正規化されたキャビテーション体積Vcを示す。図9(b)からわかるように、チップ部のインシデンス(INCT)が小さい場合にはキャビテーション体積Vcが大きく、チップ部のインシデンス(INCT)が大きい場合にはキャビテーション体積Vcが小さい。他のパラメータ(RVT,INCH,SLT,SLH)は、キャビテーション体積Vcにはそれほど影響を与えない。設計流量を超えるような大流量において、チップ部のインシデンス(INCT)を大きくすることによって吸込性能が向上することが分かる。
図9(c)は、同様に、15個の翼形状に対して80%Qdおよびキャビテーション数σ=0.071においてCFDによりキャビテーションのばらつきを求めた結果を示す。ばらつきVc’も、その数値の大きさが示すのは、各翼のインデューサチップ側(span=0.975)における翼面静圧分布における極大値の位置のばらつきであり、Vc’は、式(1)の分散Vtから求められ、Vc’=Vt1/2である。図9(c)において、横軸は設計パラメータのレベルを示し、縦軸はキャビテーションのばらつきの度合を示す。図9(c)からわかるように、チップ部のインシデンス(INCT)が大きい場合には、キャビテーションのばらつきVc’が大きく、チップ部のインシデンス(INCT)が小さい場合にはキャビテーションのばらつきVc’が小さい。また、チップ部スロープ(SLT)が大きい場合にはキャビテーションのばらつきVc’が大きく、チップ部スロープ(SLT)が小さい場合にはキャビテーションのばらつきVc’が小さい。さらに、RVTが小さい場合にはキャビテーションのばらつきVc’が大きく、RVTが大きい場合にはキャビテーションのばらつきVc’が小さい。他のパラメータ(INCH,SLH)は、キャビテーションのばらつきVc’にはそれほど影響を与えない。
図9(a),(b),(c)に示す結果から、以下のように判断することができる。
(1)キャビテーション体積の大きさで見たキャビテーションの発達度合いは、チップ側インシデンス(INCT)の影響が顕著であり他のパラメータの影響は小さい。
(2)Q/Qd=0.8におけるキャビテーションのばらつきにはRVT,INCT,SLTの影響が大きいことがわかる。すなわち、RVTが小さく(自由渦設計)、INCTが大きく(チップ側インシデンス大)、SLTが大きい(後半負荷型)場合にキャビテーションのばらつきが大きく、キャビテーション挙動の不安定性が大きく、RVTが大きく(強制渦設計)、INCTが小さく(チップ側インシデンス小)、SLTが小さい(前半負荷型)の場合にキャビテーションのばらつきが小さく、キャビテーション挙動の安定性が大きいと予測できる。
以上の結果から求められる、最もキャビテーション挙動が不安定と予測される設計結果(case3)と、吸込性能が高く、キャビテーション挙動が安定と予測される設計結果(case16とcase27)とを代表的設計結果として以下に示す。
表1は、最もキャビテーション挙動が不安定と予測されるcase3と、吸込性能が高く、キャビテーション挙動が安定と予測されるcase16およびcase27の設計パラメータを示す。
Figure 2012026429
表1に示すように、case3では、RVTを小(low)、INCTを大(high)、SLTを大(high)としている。したがって、図9(c)からわかるように、キャビテーションのばらつきに最も影響を与える3つの設計パラメータ(RVT,INCT,SLT)について、いずれもキャビテーションがばらつく条件を選定している。図9(c)からわかるように、他の設計パラメータ(INCH,SLH)については、どの条件でもキャビテーションのばらつきにはそれほど影響がない。
これに対して、case16およびcase27では、RVTを大(high)、INCTを大(high)、SLTを小(low)としている。したがって、図9(b)からわかるように、大流量における吸込性能(キャビテーション体積の小ささ)に最も影響を与える設計パラメータ(INCT)について、最も吸込性能の良くなる条件を選定し、また、一方で、図9(c)からわかるように、キャビテーションのばらつきに影響を与える3つの設計パラメータ(RVT,INCT,SLT)の内のINCT以外の2つについて、いずれもキャビテーション体積のばらつきが最も少ない条件を選定している。図9(a)〜(c)からわかるように、他の設計パラメータ(INCH,SLH)については、どの条件でも吸込性能やキャビテーションのばらつきにはそれほど影響がない。
図10(a)は、case3のインデューサの形状を決定するときに用いた負荷分布の形状であり、図10(b),(c)は、case3のインデューサについてCFDによりキャビテーションボイド率50%の等値面、およびNPSH(有効吸込ヘッド)とを求めた結果を示す図であり、図10(b)はキャビテーションボイド率50%の等値面を求めた結果を示し、図10(c)はNPSHを求めた結果を示す。図10(a)に示すように、case3ではチップ側の負荷分布のslope(スロープ)は右肩上がりになっている。したがって、case3では、SLTが大きく、後半部分の負荷が大きくなっている(後半負荷型)。また、図10(b)に示すように、黒色部で示すインデューサの各翼面上で発達しているキャビテーション分布にばらつきが発生している。さらに、図10(c)に示すように、case3では、翼面静圧分布の負圧面側の静圧分布を見ると、NPSHがゼロの翼面静圧が飽和蒸気圧である部分からインデューサ出口側に向かって静圧が急増し、各翼(blade1,blade2,blade3)は、それぞれ(1)、(2)、(3)と示した子午面位置で極大値を取っている。このように、静圧の極大値を示す子午面位置(1)、(2)、(3)のばらつきが大きい場合にキャビテーション挙動の不安定性が大きいと評価することができる。
図11(a)は、case16のインデューサの形状を決定するときに用いた負荷分布の形状であり、図11(b),(c)は、case16のインデューサについてCFDによりインデューサ負荷分布、キャビテーションボイド率50%の等値面、およびNPSH(有効吸込ヘッド)を求めた結果を示す図であり、図11(b)はキャビテーションボイド率50%の等値面を求めた結果を示し、図11(c)はNPSHを求めた結果を示す。図11(a)に示すように、case16ではチップ側の負荷分布のslope(スロープ)は右肩下がりになっている。したがって、case16では、SLTが小さく、前半部分の負荷が大きくなっている(前半負荷型)。また、図11(b)に示すように、黒色部で示すインデューサの各翼面上で発達しているキャビテーション分布にばらつきが発生していない。さらに、図11(c)に示すように、case16では、翼面静圧分布の負圧面側の静圧分布を見ると、NPSHがゼロの翼面静圧が飽和蒸気圧である部分からインデューサ出口側に向かって静圧が急増し、各翼(blade1,blade2,blade3)は、ともに子午面位置m=0.45近傍で極大値を取っている。このように、静圧の極大値を示す子午面位置のばらつきが小さい場合にキャビテーション挙動の安定性が大きいと評価することができる。
図12(a)は、case27のインデューサの形状を決定するときに用いた負荷分布の形状であり、図12(b),(c)は、case27のインデューサについてCFDによりキャビテーションボイド率50%の等値面、およびNPSH(有効吸込ヘッド)を求めた結果を示す図であり、図12(b)はキャビテーションボイド率50%の等値面を求めた結果を示し、図12(c)はNPSHを求めた結果を示す。図12(a)に示すように、case27では、チップ側の負荷分布のslope(スロープ)は右肩下がりになっている。したがって、case27では、SLTが小さく、前半部分の負荷が大きくなっている(前半負荷型)。また、図12(b)に示すように、黒色部で示すインデューサの各翼面上で発達しているキャビテーション分布にばらつきが発生していない。また、図12(c)に示すように、case27では、翼面静圧分布の負圧面側の静圧分布を見ると、NPSHがゼロの翼面静圧が飽和蒸気圧である部分からインデューサ出口側に向かって静圧が急増し、各翼(blade1,blade2,blade3)は、ともに子午面位置m=0.45近傍で極大値を取っている。このように、静圧の極大値を示す子午面位置のばらつきが小さい場合にキャビテーション挙動の安定性が大きいと評価することができる。
図13は、図10で示したcase3のインデューサと図11で示したcase16のインデューサを試験ポンプに組み込み、ポンプ性能を確認した結果を示す図である。図13(a)はcase3のインデューサおよびcase16のインデューサをそれぞれを組み込んだポンプにおける揚程特性と効率を示し、図13(b)はcase3のインデューサおよびcase16のインデューサをそれぞれを組み込んだポンプにおける吸込比速度を示す。図13(a)に示すように、case3のインデューサとcase16のインデューサを組み込んだポンプの揚程特性と効率は、Q/Qd>1.7以上の過大流量側を除けばほとんど同じであり、変化がないことが分かる。図13(b)に示すように、case16のインデューサを組み込んだポンプはcase3のインデューサを組み込んだポンプよりも大流量側、小流量側ともに吸込性能が良好であることがわかる。これにより、最適化設計プロセスによって予測されたcase16のインデューサの吸込性能に関する優位性が確認できた。
図14(a),(b)は、case3のインデューサとcase16のインデューサについてインデューサ出口チップ側で測定した静圧係数でみた吸込性能曲線を示す図である。図14(a),(b)において、キャビテーション不安定現象が現れた領域を図中囲い線でマッピングしている。
図14(a)に示すように、case3のインデューサでは流量比Q/Qd=0.9,0.8ならびに0.7で旋回キャビテーション(RC)が発生した。また、流量比Q/Qd=1.0と0.9では非対称キャビテーション(AC)が発生した。さらに、流量比Q/Qd=1.0のキャビテーションサージ発生直前と流量比Q/Qd=0.9,0.8でキャビテーション数σ=0.1の付近において弱いキャビテーションサージ的変動(MCS)が発生した。
図14(b)に示すように、case16のインデューサでは旋回キャビテーション(RC)は流量比Q/Qd=0.8においてのみ発生した。また、非対称キャビテーション(AC)は発生しなかった。流量比Q/Qd=1.0と0.9ではキャビテーションサージ発生よりも大きなキャビテーション数σで弱いキャビテーションサージ的変動(MCS)が発生したが、case3のインデューサと比べると全体的にキャビテーション不安定現象が弱く、より安定性が高いインデューサであることがわかる。
以上により、最適化プロセスにより予測されたcase16のインデューサの安定性と吸込性能の優位性を実験により確認できた。
本実施形態においては、複数の同一形状の翼を有するインデューサについて説明したが、本発明は、複数の同一形状の翼を有する羽根車に同様に適用できる。本発明を羽根車に適用する場合には、チップ又はチップ部をシュラウド又はシュラウド部に読み替えて適用すればよい。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
1 インデューサ
1le 翼前縁
1te 翼後縁
1H インデューサハブ
1T インデューサチップ
2 羽根車
3 主軸

Claims (8)

  1. 複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車のキャビテーションの挙動安定性を予測評価する方法であって、予測評価対象の流れ場をCFD(Computational Fluid Dynamics)で解析し、各翼の翼面の特定方向の圧力分布を抽出し、各翼の圧力分布の特徴的な圧力分布形状の位置を特定し、各位置のばらつきをキャビテーションの挙動安定性を示す指標とすることを特徴とする予測評価方法。
  2. 前記特定方向の圧力分布は、各翼の子午面におけるチップ近傍の圧力分布であることを特徴とする請求項1記載の予測評価方法。
  3. 前記特徴的な圧力分布形状の位置は、各翼の負圧面上の各圧力分布の極大値の位置であることを特徴とする請求項1または2記載の予測評価方法。
  4. 複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車のキャビテーションの挙動安定性を予測評価する方法であって、予測評価対象となるインデューサ又は羽根車の形状を決定し、前記予測評価対象の流れ場をCFD(Computational Fluid Dynamics)で計算し、各翼の翼面から連続する、所定圧力以下の領域、もしくは、所定のキャビテーションボイド率以上の領域を抽出し、各領域の占める体積を特定し、各体積のばらつきをキャビテーションの挙動安定性を示す指標とすることを特徴とする予測評価方法。
  5. 複数の同一形状の翼を有するインデューサ又は羽根車のキャビテーションの挙動安定性を予測評価する方法であって、予測評価対象の流れ場をCFD(Computational Fluid Dynamics)で計算し、各翼の翼面から連続する所定圧力以下の領域を抽出し、各領域の形状を特定し、各形状のばらつきをキャビテーションの挙動安定性を示す指標とすることを特徴とする予測評価方法。
  6. 特定の設計パラメータを異ならせた複数の予測評価対象の形状を用意し、前記複数の予測評価対象について、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の予測評価方法にてキャビテーションの挙動安定性を評価し、前記特定の設計パラメータのキャビテーションの挙動安定性に対する感度を予測することを特徴とする設計パラメータの感度予測方法。
  7. 請求項6記載の感度予測方法によって求められた前記特定の設計パラメータのキャビテーションの挙動安定性に対する感度に基づいて、キャビテーションの挙動安定性を最適化することを特徴とするインデューサまたは羽根車の設計方法。
  8. 前記キャビテーションの挙動安定性を最適化するとは、キャビテーションの挙動安定性を最大とすること、およびインデューサ又は羽根車の性能を維持した上でキャビテーションの挙動安定性を許容できる範囲内に収めることを含むことを特徴とする請求項7記載のインデューサまたは羽根車の設計方法。
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