JP2012022127A - 音声認識装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1騒音振幅分布検出部11と第2騒音振幅分布検出部12は、音声認識エンジン7が音声認識処理中に発声音声を検出している時間区間である発声音声区間以外の時間区間において、騒音の振幅分布gb(n)を繰り返し算出する。音声振幅分布検出部14は、発声音声区間の発声音声の平均の振幅分布f(n)を算出する。入力ゲイン制御部10は、音声認識処理開始時に、最後に算出された騒音の振幅分布と、発声音声の平均の振幅分布の双方を考慮し、音声認識エンジン7に入力する入力音声データのレンジが、音声認識エンジン7の規格レンジに対して適正なレンジを持つように入力アンプ5の入力ゲインGを制御する。
【選択図】図1
Description
したがって、上述のように、過去の音声認識の成功率や過去の音声区間における音声信号レベルなどの、過去の音声認識実行時の状況にのみ基づいて入力ゲインを調整したのでは、必ずしも、現在の騒音状況に適した入力ゲインを設定することはできない。
そこで、本発明は、音声信号の入力ゲインとして、より現在の騒音状況に適した入力ゲインを設定することができる音声認識装置を提供することを課題とする。
図1に、本実施形態に係る音声認識システムの構成を示す。
図示するように音声認識システムは、図示を省略したオーディオ機器から出力されるオーディオデータをアナログオーディオ信号にDA変換するDA変換器1、オーディオ信号を出力ゲインSpGで増幅する出力アンプ2、オーディオアンプの出力するオーディオ信号が表す音をスピーカ出力音として出力するスピーカ3、マイク4、マイク4でピックアップした音声を表す入力音声信号を入力ゲインGで増幅する入力アンプ5、入力アンプ5で増幅された入力音声信号を入力音声データにデジタル変換するAD変換器6、AD変換器6で変換された入力音声データに対して音声認識処理を実行する音声認識エンジン7、トークスイッチ8、出力アンプ2の出力ゲインSpGを制御する出力ゲイン制御部9、入力アンプ5のゲインGを制御する入力ゲイン制御部10とを備えている。
そして、入力ゲイン制御部10は、騒音bの振幅分布を算出する第1騒音振幅分布検出部11と、騒音bの振幅分布gb(n)を算出する第2騒音振幅分布検出部12と、騒音bの最新の振幅分布gb(n)を格納する騒音振幅分布レジスタ13と、発話音声sの平均の振幅分布f(n)を検出する音声振幅分布検出部14と、発話音声sの平均の音声振幅分布f(n)を格納する音声振幅分布レジスタ15と、畳込演算器16と、ゲイン制御部17とを備えている。なお、振幅分布Z(n)におけるnは、振幅分布Z(n)が、振幅値(dB)をn個の振幅値の階級に離散化して振幅分布を表したものであることを表している。
ここで、図2では、マイク4が出力する入力音声信号をxとして、音声認識エンジン7が出力する発話音声区間データSonで表される発話音声区間をSonDとして示す。
図示するように、トークスイッチ8の押し下げが発生するまでの時間区間中、マイク4が出力する入力音声信号xには、その成分として、スピーカ出力音aと騒音bとが含まれる。
第1騒音振幅分布検出部11は、この入力音声信号xに成分としてスピーカ出力音aと騒音bとが含まれる時間区間である、音声認識中信号Ronがオフである期間を算出実行期間として、算出実行期間中、騒音bの振幅分布gb(n)の算出を行う。ここで、この第1騒音振幅分布検出部11における騒音bの振幅分布gb(n)の算出法の詳細については後述する。
音声振幅分布検出部14は、音声認識中信号Ronがオンである期間を算出実行期間とする。そして、入力音声信号xに成分として騒音bのみが含まれる時間区間である、発話音声区間データSonで表される発話音声区間SonD以外の算出実行期間中の時間区間の入力音声信号xと、入力音声信号xに成分として騒音bと発話音声sとが含まれる時間区間である、算出実行期間中の発話音声区間データSonで表される発話音声区間SonD中の入力音声信号xとを用いて発話音声sの平均の振幅分布f(n)の算出を実行する。ここで、この音声振幅分布検出部14における発話音声sの平均の振幅分布f(n)の算出法の詳細については後述する。
次に、音声振幅分布検出部14における発話音声sの平均の振幅分布f(n)の算出は、音声認識処理の実行の度に行われ、音声振幅分布検出部14は、発話音声sの平均の振幅分布f(n)の算出の度に、算出した振幅分布f(n)で音声振幅分布レジスタ15の内容を更新する。したがって、音声認識処理の実行開始時に、音声振幅レジスタには、前回の音声認識処理の実行時に算出された発話音声sの平均の振幅分布f(n)が格納されていることになる。
いま、音声認識エンジン7で適正に処理可能な入力音声データのレンジを規格レンジRとして、規格レンジがRminからRmaxまでの範囲であるものとする。また、規格レンジのダイナミックレンジRmax/Rminを、音声認識エンジン7のダイナミックレンジの規格値Dと呼ぶこととする。
次に、音声認識中信号Ronがオンとなって音声認識処理が開始されたならば(ステップ304)、畳込演算器16から出力されているマイク4からの入力音声信号の振幅分布h(n)が示す振幅分布の最大値(度数が存在する振幅の最大値)をHmax、振幅分布h(n)が示す振幅分布の最小値(度数が存在する振幅の最小値)をHminとして(ステップ306)、振幅分布h(n)が表すマイク4からの入力音声信号のダイナミックレンジHmax/Hminが、音声認識エンジン7のダイナミックレンジの規格値D以下であるかどうかを調べる(ステップ308)。
この結果、音声認識エンジン7の規格レンジのダイナミックレンジが、入力音声データのダイナミックレンジ以上である場合には、次のように入力アンプ5の入力ゲインGが設定されることになる。
すなわち、いま、図4a1に示すように、振幅分布h(n)の中心Hmidが、音声認識エンジン7の規格レンジRの中心Rmidからずれた位置にあるものとする。ここで、振幅分布h(n)は、振幅分布h(n)と等しい振幅分布を持つ入力音声信号を、入力アンプ5で入力音声信号を増幅せずにAD変換した場合に音声認識エンジン7に入力する入力音声データの振幅分布に一致する。
一方、力音声信号のダイナミックレンジHmax/Hminが、音声認識エンジン7のダイナミックレンジの規格値Dを越えていれば(ステップ308)、ダイナミックレンジMD=Mmax/Mminが音声認識エンジン7の規格レンジDと等しくなるレンジであって、かつ、入力音声信号の振幅分布h(n)上で当該レンジ中に含まれる度数(当該レンジ中に含まれる振幅値の出現頻度の総数)が最大となるレンジMを算出する(ステップ316)。但し、MminはレンジMの最小値、MmaxはレンジMの最大値を表す。
この結果、音声認識エンジン7の規格レンジのダイナミックレンジが、入力音声データのダイナミックレンジ未満である場合には、次のように入力アンプ5の入力ゲインGが設定されることになる。
すなわち、いま、図4b1に示すように、振幅分布h(n)が、音声認識エンジン7の規格レンジR内にその端部分が含まれるように存在しているものとする。ここで、振幅分布h(n)は、振幅分布h(n)と等しい振幅分布を持つ入力音声信号を、入力アンプ5で入力音声信号を増幅せずにAD変換した場合に音声認識エンジン7に入力する入力音声データの振幅分布に一致する。
以上、入力ゲイン制御処理について説明した。
なお、以上の、ステップ302で入力ゲインGを最小ゲインGminに設定するのは、音声認識処理が行われていない期間中に、入力アンプ5の増幅によって入力音声信号が飽和してしまって、当該期間中に騒音振幅分布gb(n)を算出する第1騒音振幅分布検出部11において適正に騒音振幅分布gb(n)を算出できなくなってしまうことを抑制するためである。また、最小ゲインGminは、たとえば、マイク4で歪まずにピックアップ可能な最大の大きさの音声が、入力音声データとして表現可能な最大値に、AD変換器6で変換されることとなる値とする。
まず、音声振幅分布検出部14の発話音声sの平均の振幅分布f(n)の算出法について説明する。
発声された発話音声sの振幅分布f(s)は、スーパーガウス分布となることが知られており、発話音声sの振幅分布がスーパーガウス分布となると仮定すると、式2によって、発話音声sの振幅分布は表すことができる。
参考文献:T.Lotter and P.Vary, “Noise reduction by joint maximum a posteriori spectral amplitude and phase estimation with super-gaussian speech modeling",Proc. EUSIPCO-04(Vienna,Austria), pp.1447-60,Sep.2004.
そして、α=1とすると、βとパワーPsとの関係は式6で表すことができ、βが求まれば式1の発話音声sの振幅分布f(s)を算出することができる。
すなわち、AD変換器6がAD変換した入力音声データのゲインを、当該入力音声データの生成時に用いた入力アンプ5の入力ゲインGの逆数で表せるゲイン/Gでゲイン調整した入力音声データを対象入力音声データとする。ここで、対象入力音声データは、入力アンプ5で増幅される前の入力音声信号xの値を表すものとなる。
すなわち、算出実行期間中の、発話音声区間データSonで表される発話音声区間以外の期間には、入力音声信号xに成分として騒音bのみが含まれる時間区間となるので、この時間区間の対象入力音声データのパワーをパワーPbとして算出する。また、入力音声信号xに成分として騒音bと発話音声sとが含まれる発話音声区間の対象入力音声データのパワーをパワーPb+sとして算出する。そして、パワーPb+sからパワーPbを減算することにより発話音声sのパワーPseを算出し、保存する。
まず、第1騒音振幅分布検出部11の算出実行期間中は、入力音声信号xに成分としてスピーカ出力音aと騒音bとが含まれる。
したがって、入力音声信号xの振幅分布gc(n)は、スピーカ出力音aの振幅分布ga(n)と騒音bの振幅分布gb(n)との、式7、8に示す畳み込み演算によって表すことができる。
そして、式9のように、騒音bの振幅分布gb(n)を行列表記したWと、行列表記したスピーカ出力音aの振幅分布ga(n)を定める。
そこで、第1騒音振幅分布検出部11は、AD変換器6がAD変換した入力音声データのゲインを、当該入力音声データの生成時に用いた入力アンプ5の入力ゲインGの逆数で表せるゲイン/Gでゲイン調整した入力音声データを対象入力音声データとして、第1騒音振幅分布検出部11は、算出実行期間中、対象入力音声データを求めて保存すると共に、DA変換器1に入力するオーディオデータを保存する。
そして、算出実行期間中、単位時間区間毎に、以下のようにして騒音bの振幅分布gb(n)を、保存した対象入力音声データとオーディオデータを用いて算出する。
すなわち、DA変換器1の入力からマイク4の出力までの伝達関数Hを、出力アンプ2の出力ゲインSpGを参照して算出し、DA変換器1に入力するオーディオデータに算出した伝達関数Hを施したオーディオデータの単位時間区間の振幅分布関数をスピーカ出力音aの振幅分布ga(n)として算出する。伝達関数Hは、たとえば、予め求めておいた、出力アンプ2で増幅を行わなかった場合の、DA変換器1の入力からマイク4の出力までの伝達関数に、出力アンプ2の出力ゲインSpGを乗じることにより求める。または、伝達関数Hは、適応フィルタなどを用いて対象入力音声データとオーディオデータからリアルタイムに求めるようにすることもできる。
次に、第2騒音振幅分布検出部12の騒音bの振幅分布gb(n)の算出法について説明する。
AD変換器6がAD変換した入力音声データのゲインを、当該入力音声データの生成時に用いた入力アンプ5の入力ゲインGの逆数で表せるゲイン/Gでゲイン調整した入力音声データを対象入力音声データとして、第2騒音振幅分布検出部12は、算出実行期間中、対象入力音声データを求めて保存すると共に、保存しておいた対象入力音声データを用いて、単位時間区間毎に、以下のように騒音bの振幅分布gb(n)を算出する。
すなわち、第2騒音振幅分布検出部12の算出実行期間中、入力音声信号xには、成分として騒音bのみが含まれる。そこで、第2騒音振幅分布検出部12は、単位時間区間の対象入力音声データの振幅分布をそのまま騒音bの振幅分布gb(n)として算出する。
以上のように本実施形態によれば、第1騒音振幅分布検出部11と第2振幅分布検出部によって、発話音声区間以外の時間区間において、騒音の振幅分布gb(n)の算出を繰り返し実行し、音声認識処理の開始時に、最後に検出された騒音の振幅分布gb(n)、すなわち、直近の時点における騒音の振幅分布gb(n)と、前回以前の音声認識処理実行時の発話音声の平均的な振幅分布f(n)とに基づいて入力音声信号の振幅分布h(n)を推定し、推定した前記入力音声信号の振幅分布h(n)を前記入力アンプ5で増幅した振幅分布hin(n)が、前記音声認識エンジン7に適合したレベルとなるように入力アンプ5の入力ゲインGを設定する。
Claims (6)
- 音声認識を行う音声認識装置であって、
マイクと、
マイクから出力される入力音声信号を増幅する入力アンプと、
前記入力アンプで増幅された信号を、入力音声データに変換するAD変換器と、
音声認識実行指示に応答して、前記AD変換器の出力する入力音声データを対象とする音声認識処理を行う音声認識エンジンと、
騒音レベル検出部と、
発話音声レベル検出部と、
前記入力アンプのゲインを制御する入力ゲイン制御部とを有し、
前記音声認識エンジンは、前記音声認識処理において、前記入力音声データにユーザの発話音声が含まれる時間区間を発話音声区間として検出すると共に、検出した発話音声区間の入力音声データに含まれる発話音声の内容を識別し、
前記騒音レベル検出部は、前記発話音声区間以外の時間区間、または、前記音声認識処理を行っていない時間区間において、前記入力音声信号に含まれる騒音のレベルを、前記入力音声データに基づいて繰り返し算出し、
前記発話音声レベル検出部は、前記音声認識処理の各回において検出された各発話音声区間の前記入力音声信号に含まれる発話音声の平均的なレベルを、前記入力音声データに基づいて算出し、
前記入力ゲイン制御部は、前記音声認識処理の各回の開始時に、前記騒音レベル検出部によって最後に算出された騒音のレベルと、発話音声レベル検出部によって検出されている発話音声の平均的なレベルとより、当該回の前記音声認識処理で検出される発話音声区間の前記入力音声信号のレベルを推定し、推定した前記入力音声信号のレベルを前記入力アンプで増幅したレベルが、前記音声認識エンジンに適合したレベルとなるように、前記入力アンプのゲインを設定することを特徴とする音声認識装置。 - 請求項1記載の音声認識装置であって、
前記入力ゲイン制御部は、前記音声認識処理が行われていない時間区間中、前記入力アンプのゲインを、前記入力音声信号のレベルが取り得る最大レベルを前記入力アンプで増幅したレベルが、前記AD変換器の入力レンジを越えないように予め定めた所定の値に設定することを特徴とする音声認識装置。 - 請求項1または2記載の音声認識装置であって、
オーディオデータが表すオーディオ音を出力するオーディオ機器と、
前記音声認識処理が行われている期間中、前記オーディオ機器のオーディオ音の出力を抑止する出力抑止部とを備え、
前記騒音レベル検出部は、前記音声認識処理を行っていない時間区間において、前記入力音声信号に含まれる騒音のレベルを、前記入力音声データと前記オーディオデータとに基づいて算出することを特徴とする音声認識装置。 - 請求項1、2または3記載の音声認識装置であって、
前記騒音レベル検出部は、前記騒音のレベルとして騒音の振幅分布を算出し、
前記発話音声レベル検出部は、前記発話音声の平均的なレベルとして、前記発話音声の平均的な振幅分布を算出し、
前記入力ゲイン制御部は、前記入力音声信号のレベルとして、前記入力音声信号の振幅分布を推定することを特徴とする音声認識装置。 - 請求項4記載の音声認識装置であって、
前記入力ゲイン制御部は、前記推定した入力音声信号の振幅分布が示す振幅の分布範囲のダイナミックレンジが、前記音声認識エンジンの入力レンジのダイナミックレンジ以下である場合には、前記推定した入力音声信号の振幅分布が示す振幅の分布範囲の中心の振幅値を前記入力アンプで増幅した後の振幅値が、前記音声認識エンジンの入力レンジの中心の振幅値となるように、前記入力アンプのゲインを設定することを特徴とする音声認識装置。 - 請求項4または5記載の音声認識装置であって、
前記入力ゲイン制御部は、前記推定した入力音声信号の振幅分布における振幅の分布範囲のダイナミックレンジが、前記音声認識エンジンの入力レンジのダイナミックレンジを越える場合には、前記推定した入力音声信号の振幅分布における振幅の分布範囲のうちの、前記音声認識エンジンの入力レンジのダイナミックレンジと同じダイナミックレンジとなる範囲部分であって、当該範囲分布内の度数の合計が最大となる部分範囲を選定し、選定した部分範囲を前記入力アンプで増幅した後の範囲が、前記音声認識エンジンの入力レンジと一致するように、前記入力アンプのゲインを設定することを特徴とする音声認識装置。
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