JP2012021955A - 熱放射率測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】正確かつ簡単に熱放射率を測定することが可能な熱放射率測定装置を提供する。
【解決手段】試料表面から所定距離だけ離隔して設置され、熱伝導及び熱対流を除外して試料から入射面に入射する熱放射による熱エネルギーのみを測定可能な放射センサーと、試料を加熱する加熱部と、試料の温度を測定する第一温度測定部と、放射センサーの温度を測定する第二温度測定部とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱放射率測定装置に関する。
近年、ビデオカメラ、携帯電話等の電子機器の商品開発において、熱シミュレーションが用いられることが多くなってきた。熱シミュレーションによって、対象とする電子機器の熱の時間的変化を推測できる。熱シミュレーションは、ナビエ−ストークスの式等による流れに関する方程式と、熱力学第一法則であるエネルギー保存則による熱移動に関する方程式を計算し、温度上昇等の予測を行う。
熱力学では、熱の伝播は伝導、対流、放射の3要素だけであるとされている。これら3要素のうち伝導と放射は、それぞれ熱伝導率、熱放射率という物(素材)によって固定される物性値によって決定される。したがって、熱シミュレーションの算出において、熱伝導率、熱放射率といった入力値が正しい値でなければ誤った結果が出力されることは明らかである。そのため、正しい物性値を得ることは商品開発において重要なファクターとなっている。
熱放射率を算出するため、フーリエ変換−赤外分光法(FT−IR)を原理とした装置が用いられることがある。この装置は、波長あるいは波数毎の放射強度を測定し、理想黒体との比率から熱放射率を算出する。しかし、FT−IR光度計は測定結果の信頼性が高いが、非常に高価であるし、測定機関における一回の測定費用も高い。
特許文献1では、FT−IR光度計に比べて簡単な構成で試料の熱放射率を算出する方法が開示されている。この方法では、低温真空容器内に試料と電気炉を入れ、試料に接触しないところに電気炉を近づける。空気による熱の伝播がない環境であるため、試料の温度が上昇した場合は電気炉からの放射の影響のみであるという原理を利用して熱放射率を算出する。
特開2009−300134号公報 特開2006−98295号公報
しかし、測定装置本体は小型で簡単になるかもしれないが、低温を保つための液体窒素、真空を維持するためのバキューム等、測定装置の状態を保持するための周辺装置が大掛かりであり、必ずしも容易な測定方法であるとはいえない。
また、特許文献2では、放射エネルギーを直接測定し熱放射率を算出する方法が開示されている。この方法では、積分球に三つの穴を空け、一つ目の穴から放射エネルギーを入射させ、二つ目の穴に露出している試料の表面に放射エネルギーをぶつけると積分球内で放射エネルギーが多重散乱し、三つ目の穴から試料からの放射エネルギーを検出する。特許文献2では、温度の管理が不要であるとされている。
この方法は、試料の熱放射率が低く、熱伝導率が高い金属のような素材に関しては有効であると予想される。反対に熱放射率が高い素材、例えばABS樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)等のエンジニアリングプラスチック等は熱吸収率が高いことも意味する。そのため、赤外線等を照射するとその材料の温度が上昇しやすく、さらに熱伝導率が低いためその熱が拡散しにくい。表面温度が上昇すると放射エネルギーも増大するため、精度良く測定するためには特許文献2でも厳密な温度管理が必要となる。逆に温度が上昇しないように、赤外線照射を弱くすることが考えられるが、最終的に検出される放射エネルギーも小さくなってしまうため、測定精度が悪くなってしまう。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、正確かつ簡単に熱放射率を測定することが可能な、新規かつ改良された熱放射率測定装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、試料表面から所定距離だけ離隔して設置され、熱伝導及び熱対流を除外して試料から入射面に入射する熱放射による熱エネルギーのみを測定可能な放射センサーと、試料を加熱する加熱部と、試料の温度を測定する第一温度測定部と、放射センサーの温度を測定する第二温度測定部と、放射センサーの電圧を測定する電圧測定部とを備える熱放射率測定装置が提供される。
上記放射センサーによって測定される熱エネルギーと、試料と放射センサー間の距離に基づいて算出される試料から放射センサーに対する形態係数と、試料の温度と、放射センサーの温度に基づいて、熱放射率を算出する算出部を更に備えてもよい。
測定時は、放射センサーと試料との距離を一定に保ち、非測定時は、放射センサーを試料から熱の影響を受けない位置に退避させる支持部を更に備えてもよい。
以上説明したように本発明によれば、正確かつ簡単に熱放射率を測定することができる。
本発明の一実施形態に係る熱放射率測定装置100を示す側面図である。 同実施形態に係る熱放射率測定装置100を示す側面図である。 放射センサー102を示す斜視図である。 熱電対の構成を示す説明図である。 放射センサー102と試料10の関係を示す側面図である。 放射センサー102と試料10の関係を示す側面図である。 スライドブロック112とレール142を示す断面図である。 スライドブロック112とレール142を示す側面図である。 ストッパー116を示す断面図である。 放射エネルギーと温度の関係を示すグラフである。 本発明の別の実施形態に係る熱放射率測定装置200を示す側面図である。 本発明の別の実施形態に係る熱放射率測定装置300を示す側面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.熱放射率測定装置の構成
2.熱放射率の算出方法
<1.熱放射率測定装置の構成>
まず、本発明の一実施形態に係る熱放射率測定装置100について説明する。熱放射率測定装置100は、試料10からの放射による熱エネルギーを測定でき、試料10の熱放射率を算出できる。試料10は、金属部材に限らず、合成樹脂部材や複数の部材からなる複合部材でもよく、本実施形態の熱放射率測定装置100による測定はいずれの部材にも適している。本実施形態に係る熱放射率測定装置100は、単純で理想的な放射エネルギー測定場を実現することができ、安価かつ高速に、正確な熱放射率を算出できる。
熱放射率測定装置100は、放射センサー102と、ヒーター104と、冷却ブロック106と、アーム108と、支持部110と、上下移動手段114と、ストッパー116と、床部118と、電圧計122と、コントローラ124などからなる。
放射センサー102は、後述する構成によって、熱伝導及び熱対流を除外して、試料10から放射センサー102の入射面に入射する熱放射による熱エネルギーのみを測定できる。放射センサー102は、熱エネルギー測定時のみ、ヒーター104に載置された試料10の表面から所定距離D1だけ離隔して設置される。試料10からの熱放射によって放射センサー102の温度が上昇しないように、放射センサー102は、測定時以外では、試料10から離れて設置される。本実施形態では、放射センサー102は、冷却ブロック106の下面に設置され、試料10に対して対向配置される。
ヒーター104は、試料10を載置できるように構成され、試料10を加熱する。ヒーター104の温度は、コントローラ124によって制御される。
冷却ブロック106は、例えばアルミニウム製の部材である。冷却ブロック106は、測定時に放射センサー102の温度が周辺環境の温度とほぼ同一の状態を維持するためと、ヒーター104と試料10からの放射熱によって温度が上昇しないようにするために設けられている。冷却ブロック106は、熱容量が大きく、熱抵抗が小さいほど性能が良い。また、試料10の温度と放射センサー102の温度差が小さくなってしまうと、得られる放射エネルギー量が小さくなるため、算出する熱放射率の誤差が大きくなるが、冷却ブロック106によって誤差を低減できる。
アーム108は、一端にスライドブロック112を備え、他端に冷却ブロック106を備える。アーム108は、例えばスライドブロック112から水平方向に延設された棒状部材である。
支持部110は、床部118に固定され、スライドブロック112を支持する。支持部110は、床部118から鉛直方向に延設される棒状部材である。
スライドブロック112は、上下移動手段114によって支持部110に沿って上下方向に移動する。スライドブロック112は、アーム108の一端と接続されている。これによって、スライドブロック112は、放射センサー102を測定位置と、測定位置から離隔した位置に移動させることができる。
上下移動手段114は、スライドブロック112を支持部110に沿って移動させる。上下移動手段114の一例は、後述する。
ストッパー116は、測定のたびに放射センサー102と試料10との間の距離D1が変化してしまわないようにするために設けられる。本実施形態では、ストッパー116は、棒部材であり、下端が床部118に設けられ、上端116aが熱エネルギー測定時にスライドブロック112の下面112aに当接する。床部118の上面からストッパー116の上端116aまでの高さは、H1である。高さH1は、例えば、床部118の上面から試料10の表面までの高さがH0であり、測定時の試料10の表面から放射センサー102の入射面までの距離がD1であるとき、放射センサー102の表面とスライドブロック112の下面112aの位置関係と、H0及びD1を考慮して決定される。
床部118は、例えば面状の部材であり、ヒーター104と、支持部110と、ストッパー116を固定する。支持部110と床部118によってスタンドが構成される。
電圧計122は、放射センサー102から出力される2点間の電位差を測定し、電圧値を出力する。電圧計122は、熱電対よる温度の計測も可能なものを使用してもよく、通常の電圧計でもよい。また、電圧計122は、放射センサー102の温度(又は表面温度)を同時に測定する。
コントローラ124は、ヒーター104に接続され、ヒーター104の温度を測定し、ヒーター104の温度を制御する。コントローラ124は、測定時、ヒーター104の温度が一定になるように温度を制御する。
次に、放射センサー102について説明する。放射センサー102は、波長選択性が低く、かつ放射エネルギー以外による熱流速には反応しない構造を有する。放射センサー102は、例えばCaptec社製の放射熱流速センサー(Radiant Flux Sensor)等である。
放射センサー102の原理は、E. Gaviot et al, “Thin foil planar radiometers: application for designing contactless ΔT sensors”, Measurement Science and Technology, Volume 7, Number 4, pp.489-494 (1996)に詳細に説明されている。
放射センサー102は、図3に示すように、平面上のベース132に帯板状のコンスタンタン部134と帯板状の銅部135が一定間隔で交互に配置され、入射面には吸熱フィルムが蒸着され帯状の吸熱板136と帯状の反射板137が一定間隔で交互に配置される。放射センサー102は、吸熱板136と反射板137それぞれの中央に、コンスタンタン部134と銅部135の接触面が位置する。
図4に熱電対の原理を示す。異なる二種類の金属Aと金属Bを接合したとき、それぞれの熱電能の違いから、異なる温度の二つの接合点において、異なる温度に応じた電圧が発生する(ゼーベック効果)。熱電対は、例えば金属Aにおいて冷接点Xから温接点Yへ電流が流れ、金属Bにおいて温接点Yから冷接点Xへ電流が流れるときに発生する電位差を読み取り、温度に換算することで温度センサーとして知られている。
本実施形態の放射センサー102は、平面上に熱電能が異なる2種類の金属が互い違いに並んでいる構造である。放射センサー102は、図5に示すように放射熱が吸熱板136で吸収され、放射熱が反射板137で反射される。一方、図6に示すように、伝導熱や対流熱は、一様に放射センサー102の内部に伝播し、コンスタンタン部134と銅部135の接点において、熱エネルギーの差を生じさせない。したがって、放射熱の影響のみによって、吸熱板136の中間に位置するコンスタンタン部134と銅部135の境界に冷接点Yを生じさせ、反射板137の中間に位置するコンスタンタン部134と銅部135の境界に温接点Xを生じさせる。その結果、2点間の電位差が生じて、放射センサー102のコンスタンタン部134と銅部135に一定方向の電流が流れ、熱放射による熱エネルギーのみを測定できる。放射センサー102からの出力電圧は、放射センサー102の入射面に入射する放射熱に比例する。
放射センサー102は、従来、熱放射率の算出には使用されておらず、ヒーターの性能評価や火災等による火災監視等に使用されてきた。本実施形態は、放射センサー102の放射エネルギーのみを測定できるという性質を利用して、放射率の算出に応用したものである。
次に、スライドブロック112及び上下移動手段114について説明する。
スライドブロック112の移動は、例えば一軸移動を実現するガイドレールを使用して実現する。図7は、スライドブロック112とレール142を軸方向に対して垂直に切断した断面図である。図8は、レール142の溝144及びスライドブロック112の溝113と、スライドブロック112内部を通過するボール146の関係を示す概念図である。
上下移動手段114は、支持部110に平行に設置されるレール142と、溝113,144とスライドブロック112内部を通過するボール146によって実現される。スライドブロック112は、ボール146を介してレール142と接続される。ボール146は、溝113,144内とスライドブロック112の内部で自由に回転し移動できる。レール142に溝144が設けられたエリア内であれば、スライドブロック112はスムーズな移動が可能となる。ボール146は、図8に示した範囲Lの間で溝144と接触しており、それ以外のボール146はスライドブロック112の中を例えば破線の矢印のように循環する構造となっている。ボール146が範囲Lの間で長く接触しているためにスライドブロック112の可動軸以外の方向へのずれが小さいことから、位置の再現性が高い。また、ボール146の接触面積が小さいため摩擦が小さいという利点がある。上下移動手段114は、例えばTHK社のLMガイド(登録商標)を採用することで実現できる。
なお、位置の再現性を求めるための方法としては、単に摺動性が高い素材等を用いてスライドブロック112が目的とする方向以外への移動(ずれ)を抑制するような位置にガイドを設ける等の方法でもよい。
次に、ストッパー116について説明する。図9は、ストッパー116を示す側面図である。
通常、試料10は任意の物体であるため、厚さは一定とはならない。そのため、ストッパー116の高さは任意に変更可能である必要がある。そこで、本実施形態ではストッパー116の周面にネジが切られたものを使用する。床部118には、ストッパー116の雄ネジに対応する雌ネジを切っておく。ストッパー116を回転させると、ストッパー116の上端の高さを、図9の矢印方向(上下方向)に変化させることができる。ストッパー116の上端には台座部152が設けられ、台座部152の上面にはクッション154が設けられる。
クッション154の上面(ストッパー116の上端116a)が目的の高さH1になったとき、ナット156を床部118に取り付けると、ストッパー116の高さを固定できる。スライドブロック112が移動して、スライドブロック112の下面が、クッション154の上面(ストッパー116の上端116a)に接触することで、設定した目的の高さH1でスライドブロック112の位置を固定できる。
スライドブロック112は目的の高さH1よりも下方への移動はできない。そのため、一度スライドブロック112がストッパー116より上方へ移動したとしても、繰り返し同じ位置を高精度に再現できる(理論上、クッション154の変化量が0あるいは毎回の変化量が同じと仮定すると位置の再現誤差は0mm)。
なお、クッション154はストッパー116の上端に設けられてもよいし、設けられなくてもよい。また、目的の高さH1が実現できればよいため、ストッパー116の周面に雄ネジを切る例に限定されない。例えば、目的の高さH1を実現するため、ストッパーは単純なブロックでもよいし、床部118自体がストッパーとなってもよい。
<2.熱放射率の算出方法>
次に、本実施形態の熱放射率測定装置100を使用して、熱放射率を算出する方法について説明する。熱放射率は、例えばパーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータなどの演算装置によって算出される。
放射熱流速は、以下の式(1)によって算出されることが知られている。
Figure 2012021955
ここで、Qは放射エネルギー(放射熱流速)、εは熱放射率、Fは形態係数、σはステファン−ボルツマン係数(5.67×10-8W/m・K)、Tは試料10の表面温度、Tは放射センサー102の温度(=周辺環境の温度)である。
熱放射率εと、形態係数Fは無次元の定数で、ステファン−ボルツマン係数も定数である。その結果、式(1)は、傾きを熱放射率εとして、放射エネルギーQと温度差(T −T )が正比例の関係にあることを示している。したがって、温度差を変化させて、それぞれの温度差における放射エネルギーが分かれば、熱放射率を算出できる。
まず、試料10をヒーター104にセットし、コントローラ124によって試料10の放射センサー102側の表面温度が一定になるように制御しながら、ヒーター104を用いて試料10を加熱する。このとき、放射センサー102は、試料10の熱による影響を受けない場所で待機しておく必要があることから、図1に示す位置や図2の破線で示すような位置で待機している。
試料10の温度が安定した後、放射センサー102を試料10に近づける。近づける距離によって試料10から放射センサー102に対する形態係数が変化してしまう。したがって、測定時の試料10から放射センサー102までの距離D1は、形態係数を算出したときの距離に厳密に合わせる必要がある。また、繰り返し測定が必要となるため、距離D1以外にも測定対象との相対位置も常に同じであることが望ましい。そこで、スライドブロック112により1軸移動を実現させ、距離D1はストッパー116によって決定させる。これにより、本実施形態は簡単で高精度な位置の再現が可能である。
試料10の表面温度は、放射センサー102の温度を測定する前にあらかじめ測定しておいてもよい。または、試料10が、熱伝導率が高い素材で厚さが薄ければ、裏面の温度と表面の温度差はゼロに近いため、試料10の裏面の温度をモニタリングしておけばよい。そして、時間軸上で同じある時間の放射センサー102の温度を式(1)のT0、試料10の温度を式(1)のT1、放射センサー102の電圧値を式(1)のQとする。そして、横軸を温度、縦軸を放射エネルギーとして、データをプロットしたものが図10のグラフである。この測定結果は、試料10がSUS304(ステンレス)のものである。
まず、原点の右隣にあるプロットのデータが得られる。次に、コントローラ124によって、ヒーター104の温度を上昇させ、試料10の温度を任意の温度まで上昇させる。同様の手順でデータを取得して高温側へ順次データをプロットしていく。最終的に、切片0として最小二乗法等の統計計算から下記の式2のような一次直線を得る。
y=0.2404x ・・・・・・式(2)
この一次直線の傾きの値が放射率として算出される。試料10から放射センサー102に対する形態係数Fはモンテカルロ法等の確率的アルゴリズム等を用いてあらかじめ計算しておく。
このように得られた値は先に示した文献と比較すると一義的に決まった値を得ることができるため、作業者にとって放射率の値に悩むことが無くなる。また、実際にその材料が使用される環境下での放射率ということになるため、製品設計のシミュレーションに使用する放射率としては実用的な値が得られるといった効果がある。逆に、その材質の真の放射率を得る必要があれば、試料10の測定面の表面を研磨したり酸化物を除去したり脱脂するなど十分に管理することで正確な放射率の値を得ることができるのは勿論である。
なお、本明細書の説明においては各作業を手動で行っているように説明しているが、作業自体は単純であるため、計算を含めてこれを自動で行うことは容易である。熱放射率測定装置100における測定器は電圧計と温度計だけでよく、放射率算出時の計算アルゴリズムも最小二乗法をコンピュータで計算する方法は広く知られており、一次直線の傾きを得ることも通常用いられる方法でよい。放射センサー102の上下移動は、安価な単軸ロボットが多くのメーカーから販売されている。回転移動の場合は汎用的なステッピングモーターあるいはサーボモーターを含むモーターを使用することで容易に実現可能である。したがって、これらを全てあるいは一部を自動化してもよい。
本発明のその他の実施形態に係る熱放射率測定装置200,300について説明する。熱放射率測定装置200,300は、回転機構を有する。なお、図11に示した熱放射率測定装置200と図12に示した熱放射率測定装置300はそれぞれ独立した機構である。
まず、熱放射率測定装置200は、回転中心部212を支持部210に設けて、アーム206を回転させることで、放射センサー102の退避が可能である。アーム206の下面206aがストッパー116の上端116aに当接する。ストッパー116は、熱放射率測定装置100の一軸直線移動の時と同じ条件で、位置の再現が可能である。ただし、熱放射率測定装置200では、ストッパー116の高さを変更すると、放射センサー102と試料10の角度が平行にならない。そのため、放射センサー102と試料10の角度を平行にするには、回転中心部212の高さの変更が必要となる。
次に、熱放射率測定装置300について説明する。図12は、熱放射率測定装置300の上から見た図である。熱放射率測定装置300は、熱放射率測定装置100と同じ床部118を有している。熱放射率測定装置300は、回転中心部312から横にアーム306を回転させて、放射センサー102を退避させる。この時、アーム306の高さはストッパー316では決まらず、回転中心部312を支える支持部310の高さで決定される。ストッパー316の突起部317は、アーム306の横からの位置を再現させるためのものである。この熱放射率測定装置300では、アーム306の位置を決めるための要素の「重力」を使えないため、アーム306の回転を止めるにはもう一つ別の要素が必要である。例えば、アームの側面とストッパー316の突起部317とを磁力等を使用して固定する必要がある。
熱放射率測定装置200,300は、「退避」という行動は一軸であるが、試験片のサイズの自由度を考えたときには、もう一軸「縦方向」の移動が必要になる。つまり回転と平行移動の二軸が必要な機構となる。しかし、コストを無視すれば、これらの回転機構を加えることでヒーター104から発生する熱を完全に回避することが可能となるため、測定のバラつき抑制が可能となる。
また、回転移動による退避でも位置の再現性は高く保つことができる。さらに、測定位置の再現が可能であればよいので、退避している際の位置はどこにあってもよい。そして、測定するときに、例えばテーパピンキャッチャー(株式会社ミスミ製のもの等))のような部材を用いて、特定の位置に、放射センサー102を固定するようにしてもよい。この方法により、熱放射率測定装置100の一軸方向による退避でも、同様のストッパーを用いてもよく、高精度な位置決めが実現可能である。
前述で、従来、シミュレーションを行う際に熱伝導率や輻射率等の物性値を入力すると述べたが、通常これらの値は素材開発メーカーや測定器メーカーに照会したり、本などの文献等を参照して値を引用することが多い。しかしながら多くの場合、それがどのような方法で測定された値であるかははっきりしないため、信頼できる値かどうかはその値を用いる側の判断に委ねられるのが現状である。つまり、その値が目的のシミュレーションにおいて必要十分な精度であるかは明確ではない。
最近ではインターネット上に放射率を公開されていることが多いため、手軽に値を検索することができる。例えば、有限会社フィンテックによると、ステンレスの放射率は波長が8μm〜14μmの間では放射率は0.1〜0.8となっている(http://www.fintech.co.jp/etc-data/housharitsu.htm)。また、株式会社八光によるとステンレスは褐色酸化面で表面温度が216℃〜490℃の範囲では放射率は0.44〜0.36となっている(http://www.hakko.co.jp/qa/qakit/html/h01070.htm)。このように放射率は、同じ材質であっても温度帯によって異なる値を示す材質もあるため、文献資料から放射率の値を引用するには注意が必要である。0〜1の範囲しかない放射率に対して前者の0.1〜0.8と書かれてもほぼ全範囲であるため、目的の放射率の値は得られないこともある。加えて表面状態、すなわち表面粗さや酸化の度合いや付着物の状況等によっても放射率の値は異なるが、文献に記載される放射率の値は表面を研磨したり脱脂したりして純度の高い材質が表面に露出している条件である場合が多く、実際に製品としてその材料が使われる場合はそのような条件下ではないため、放射率の値を使用する目的によっては、即ち製品設計のシミュレーションなどの用途においては必ずしも適切な値とは限らないため、実用的な放射率を得ることは容易ではない。したがって、目的の環境下での任意の材質の放射率の正確な値を得るためにはその環境下で放射率を実測することが望ましい。
以上、本実施形態によって精度よく簡単に安価でさまざまな素材の放射率を得ることができる。任意の環境下における正確な放射率を得ることによって製品の設計コスト・試作コスト削減のための熱シミュレーションを正確に実施することができるようになる。また、放射温度計は温度測定の際、温度測定結果は対象の素材の放射率に依存するため、素材の放射率を正確に把握することにより放射温度計での温度測定の結果を正確に得ることができるようになる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 試料
100,200,300 熱放射率測定装置
102 放射センサー
104 ヒーター
106 冷却ブロック
108,206,306 アーム
110,210,310 支持部
112 スライドブロック
113,144 溝
114 上下移動手段
116,316 ストッパー
118 床部
122 電圧計
124 コントローラ
132 ベース
134 コンスタンタン部
135 銅部
136 吸熱板
137 反射板
142 レール
146 ボール
152 台座部
154 クッション
156 ナット
212,312 回転中心部
317 突起部

Claims (3)

  1. 試料表面から所定距離だけ離隔して設置され、熱伝導及び熱対流を除外して試料から入射面に入射する熱放射による熱エネルギーのみを測定可能な放射センサーと、
    前記試料を加熱する加熱部と、
    前記試料の温度を測定する第一温度測定部と、
    前記放射センサーの温度を測定する第二温度測定部と、
    前記放射センサーの電圧を測定する電圧測定部と
    を備える、熱放射率測定装置。
  2. 前記放射センサーによって測定される前記熱エネルギーと、前記試料と前記放射センサー間の距離に基づいて算出される前記試料から前記放射センサーに対する形態係数と、前記試料の温度と、前記放射センサーの温度に基づいて、熱放射率を算出する算出部を更に備える、請求項1に記載の熱放射率測定装置。
  3. 測定時は、前記放射センサーと前記試料との距離を一定に保ち、非測定時は、前記放射センサーを前記試料から熱の影響を受けない位置に退避させる支持部を更に備える、請求項1又は2に記載の熱放射率測定装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014038017A (ja) * 2012-08-14 2014-02-27 Hitachi Chemical Co Ltd 半導体装置の評価システム及び評価方法
KR101656872B1 (ko) * 2015-03-27 2016-09-30 한국지질자원연구원 가열된 지질암석의 교환이 용이한 열복사 검출 장치

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