JP2012021474A - タービン翼の窒化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理目的に応じて、タービン翼に任意の厚さ分布の窒化膜を少ない熱エネルギーで形成可能なタービン翼の窒化方法を提供する。
【解決手段】タービン翼2が収納されたチャンバ4に窒化用ガスを窒化ガスボンベ16から供給し、当該窒化用ガスを加熱手段10で加熱し、タービン翼2の表面を窒化する。このとき、所望の窒化膜の厚さの分布が形成されるように、チャンバ4内において窒化用ガスの温度分布が形成された状態で窒化処理を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、蒸気タービンやガスタービンの圧縮機翼等の窒化方法に関する。
蒸気タービンでは、水滴、湿り蒸気、スケール等の飛来によってタービン翼の翼部が侵食されてしまうことがある。同様に、ガスタービンの場合も、フォグシステム稼動時において、水滴や湿り蒸気の飛来によって圧縮機側のタービン翼が侵食されてしまうことがある。
すなわち、蒸気タービンの低圧部のタービン翼やガスタービンの圧縮機側のタービン翼は、水滴を含む湿り蒸気中で作動するため、水滴・湿り蒸気によるドレンエロージョンが問題となる。また、蒸気タービンの上流側のタービン翼(タービン入口部に位置する調速段ノズル等)では、主として、ボイラ側から飛来するスケールによる侵食が問題となる。
そこで、従来から、タービン翼の翼部のエロージョンを防止するための対策が採られてきた。
例えば、特許文献1には、タービン翼の先端側前縁部にステライト材を溶射した後、これを焼鈍することによって、エロージョン防止被膜を形成する方法が記載されている。
一方、タービン翼の翼根部は、タービン翼の微小振動に起因するフレッティング疲労が問題となる場合がある。近年、タービン翼は長翼化が進んでいるため、タービン翼の翼根部のフレッティング疲労を防止する対策が今後ますます重要になる。
この点、特許文献2には、ブレードの蟻継ぎ部の表面に、銅、ニッケル及びインジウムを含む摩耗コーティング層と、該摩耗コーティング層上に配置される潤滑剤コーティング層とを設けたガスタービンエンジンが記載されている。
さらに、ガスタービン動翼に特有の問題として、タービン入口の非常に高温の燃焼ガスに曝されることが挙げられるところ、特許文献3には、高温強度、耐酸化性及び耐食性に優れたガスタービン動翼材料として、ほう化物、炭化物又は窒化物の化合物からなる表面層に有するNi基単結晶合金が記載されている。
特開2003−27206号公報 特開2007−170376号公報 特開平9−2900号公報
特許文献1〜3に記載されているように、エロージョン対策、フレッティング疲労対策、高温燃焼ガス対策等の処理目的に応じて、タービン翼の種々の箇所に種々の硬質材層を設ける手法がそれぞれ知られていたが、タービン翼の品種によっては、シュラウドやスタブを含む翼部にエロージョン対策を施すとともに、翼根部にフレッティング疲労対策を施す必要があり、このような場合には製造プロセスの簡素化の観点から工程の共通化が望まれる。そこで、タービン翼の様々な箇所を同時に窒化処理して、必要に応じて複数の処理目的を重畳的に達成することが考えられる。
しかしながら、タービン翼の品種によって処理目的は様々であり、例えば、エロージョン対策としてタービン翼の先端側前縁部にのみ窒化処理をしたい場合、窒化処理が不要な箇所にまで窒化膜が形成されてしまい、製造コストが嵩んでしまう。この場合、窒化処理が不要な箇所に窒化防止剤を予め塗布しておくことも考えられるが、窒化防止剤を塗布した領域とそうでない領域との間に窒化膜の境界が明確に現れ、長期の品質保証上問題がある。
また、エロージョン対策及びフレッティング疲労対策の観点からタービン翼のシュラウド部や翼部と翼根部とに窒化膜を形成したい場合、タービン翼のシュラウド部や翼部のエロージョン対策のためには、比較的厚い窒化膜が必要となるのに対し、タービン翼の翼根部のフレッティング疲労対策のためには、それほど厚い窒化膜は必要でない。むしろ、タービン翼の翼根部に形成された窒化膜が厚すぎると、窒化処理によって翼根部が膨出してしまい、車室又はタービン軸に形成された翼根部溝の形状・寸法によっては、溝への装着(翼植え作業)が困難になってしまう場合も想定される。
さらにタービン翼の窒化処理は、長時間に亘って加熱が必要であるため、大量の熱エネルギーが必要になる。特に、超長大翼のように大型のタービン翼の場合、タービン翼に見合った大型のチャンバ(処理炉)を用いる必要があり、加熱に必要な熱エネルギーがその分だけ増加する。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、処理目的に応じて、タービン翼に任意の厚さ分布の窒化膜を少ない熱エネルギーで形成可能なタービン翼の窒化方法を提供することを目的とする。
本発明に係るタービン翼の窒化方法は、タービン翼が収納されたチャンバに窒化用ガスを供給する工程と、前記チャンバ内において前記窒化用ガスの温度分布が形成されるように、前記タービン翼又は窒化用ガスを加熱する工程と、前記温度分布に応じて窒化膜の厚さの分布が形成されるように、前記温度分布が形成された状態で前記窒化用ガスによって前記タービン翼の表面を窒化する工程とを備えることを特徴とする。
この窒化方法によれば、窒化用ガスに温度分布が形成された状態でタービン翼の窒化処理が行われるので、窒化用ガスの温度分布を調節することで、タービン翼に任意の厚さ分布の窒化膜を形成することができる。これにより、窒化処理が必要な箇所に必要最小限の厚さの窒化膜を形成することができる。また、チャンバ内における窒化用ガスの温度分布によって窒化膜の厚さが決定されるため、窒化膜の厚さが緩やかに変動するような厚さ分布が得られる。よって、窒化防止剤を予め塗布した場合に問題となる窒化膜の境界(窒化防止剤を塗布した領域とそうでない領域との間に現れる境界)が生じることもない。
また、窒化用ガスを均一に加熱するのではなく、窒化用ガスに温度分布が形成されるように公知の電磁誘導加熱や高周波加熱等による部分加熱を行うことで、窒化処理に必要な熱エネルギーを全体として削減することができる。また被処理物(タービン翼)自体の一部分を高周波誘導加熱により加熱し窒化ガスと反応させる方法でも、部分窒化する目的は達成可能である。
なお、タービン翼の表面に形成された窒化膜は、非常に硬く、圧縮応力を有し、耐熱性に優れるので、シュラウド・スタブ・翼部のエロージョン対策や、翼根部のフレッティング疲労対策や、ガスタービン動翼の高温燃焼ガス対策として有用である。
また、本明細書において、「タービン翼」とは、蒸気タービンの動翼及び静翼、並びにガスタービンの圧縮機翼等を意味する。
上記タービン翼の窒化方法において、前記タービン翼の翼根部に比べて、前記タービン翼の翼部(特に先端に近い部分)における前記窒化膜が厚くなるように、前記温度分布が形成されることが好ましい。
これにより、タービン翼の翼部(特に先端に近い部分)に窒化膜を比較的厚く形成してエロージョンを確実に防止するとともに、窒化処理による翼根部の機能上問題とならない膨出の範囲で、タービン翼の翼根部に適度な厚さの窒化膜を形成して、翼根部のフレッティング疲労を防止することができる。
また上記タービン翼の窒化方法において、前記タービン翼は、前記翼根部が前記窒化用ガスの供給口側に位置し、前記翼部が前記窒化用ガスの排出口側に位置するように配置されており、前記窒化用ガスは、前記供給口から前記チャンバ内に導入された後、前記排出口を介して前記チャンバから排出されるまでの間に、前記チャンバに取り付けられた加熱手段により加熱されることが好ましい。
これにより、定常状態において、チャンバ内には供給口側から排出口側に向かって窒化用ガスの温度が上昇する温度分布が自然に形成され、供給口側に位置する翼根部よりも、排出口側に位置する翼部における窒化膜を容易に厚くすることができる。
この場合、前記供給口が前記チャンバの下部に設けられ、前記排出口が前記チャンバの上部に設けられるとともに、前記タービン翼は、前記翼部が前記翼根部よりも上方に位置するように配置されていることが好ましい。
これにより、チャンバ内の窒化用ガスの温度差によって密度差が生じ、チャンバの上部に比較的高温の窒化用ガスが溜まり、チャンバの下部に比較的低温の窒化用ガスが溜まる自然対流現象を利用して、チャンバ内における窒化用ガスの温度分布をより効率的に形成することができる。
なお、「翼部が翼根部よりも上方に位置する」とは、翼部を上方に向けてタービン翼を略鉛直方向に沿って配置した状態だけでなく、翼部が翼根部よりも上方に位置するようにタービン翼を傾けて配置した状態をも意味する。
上記タービン翼の窒化方法は、前記チャンバに前記窒化用ガスを供給する工程の前に、前記タービン翼が収納された前記チャンバにフッ素系ガスを供給するとともに該フッ素系ガスを加熱し、加熱された前記フッ素系ガス中において前記タービン翼を保持して前記タービン翼の表面を活性化する工程を備えることが好ましい。
一般的なガス窒化方法の場合、例えば550℃を超える温度(好ましくは560℃を超える温度)で40時間以上の窒化処理を行う必要があり、長時間に亘って高温で窒化処理が行われる結果、タービン翼の表面に脆い白層(スケール層)が形成されてしまう。この白層は窒化処理後に研磨等の後加工を行えば除去は可能ではあるが、タービン翼等の部品を高精度に後加工を行うことは困難であり、製造プロセスが煩雑かつ高コストになってしまう。
この点、チャンバに窒化用ガスを供給する工程の前に、チャンバにフッ素系ガスを供給し、タービン翼の表面を予め活性化することで、一般的なガス窒化方法に比べて低温での窒化処理が可能になる。よって、タービン翼の表面における白層の形成を低減し、窒化処理後の後加工はバフ研磨等の最小限のもので足りるようになり、製造プロセスを簡素化し、製造コストを低減することができる。
この場合、前記タービン翼の表面を活性化する工程の前に、前記タービン翼の表面仕上げ加工を行うとともに、前記タービン翼の窒化は500℃未満の前記窒化用ガスで行うことが好ましい。
上述のように、フッ素系ガスを用いてタービン翼の表面を予め活性化することで、タービン翼の窒化処理を低温条件下で行うことが可能になる。特に、タービン翼の窒化を500℃未満の温度条件で行うことで、白層の形成を確実に低減することができる。よって、タービン翼の表面の活性化処理を行う前に、タービン翼の表面仕上げを予め行っておけば、窒化処理後におけるタービン翼の後加工(研磨)を省略若しくは簡素化して、製造プロセスを簡略化することができる。
本発明によれば、窒化用ガスに温度分布が形成された状態でタービン翼の窒化処理が行われるので、窒化用ガスの温度分布を調節することで、タービン翼に任意の厚さ分布の窒化膜を形成することができる。これにより、窒化処理が必要な箇所に必要最小限の厚さの窒化膜を形成することができる。また、チャンバ内における窒化用ガスの温度分布によって窒化膜の厚さが決定されるため、窒化膜の厚さが緩やかに変動するような厚さ分布が得られる。よって、窒化防止剤を予め塗布した場合に問題となる窒化膜の境界(窒化防止剤を塗布した領域とそうでない領域との間に現れる境界)が生じることもない。
また、窒化用ガスを均一に加熱するのではなく、窒化用ガスに温度分布が形成されるように加熱を行うことで、窒化処理に必要な熱エネルギーを全体として削減することができる。
タービン翼を窒化する窒化処理装置の構成例を示す図である。 チャンバ内における窒化用ガスの温度分布を調節する手法の一例を示す図である。 チャンバ内における窒化用ガスの温度分布を調節する手法の他の例を示す斜視図である。 複数のタービン翼の窒化処理を同時に行うためのチャンバの構成例を示す斜視図である。
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は、一実施形態に係るタービン翼の窒化方法を実施するための窒化処理装置の構成例を示す図である。同図に示すように、窒化処理装置1は、タービン翼2を収納するチャンバ4と、チャンバ4にガスを供給するためのガス供給ライン6と、チャンバ4からガスを排出するためのガス排出ライン8と、チャンバ4を加熱する加熱手段10とで構成される。なお、加熱手段10は、誘導加熱、抵抗加熱等の任意の方式のものを用いることができる。
チャンバ4には、チャンバ4内にガスを導入するための供給口12と、チャンバ4からガスを排出するための排出口14とが設けられており、供給口12はガス供給ライン6に接続され、排出口14はガス排出ライン8に接続されている。
窒化処理装置1では、窒化用ガスが貯留された窒化ガスボンベ16だけでなく、フッ素系ガスが貯留されたフッ素系ガスボンベ18も設けられている。窒化ガスボンベ16及びフッ素系ガスボンベ18は、それぞれ、流量調節弁20(20a,20b)を介してガス供給ライン6に接続されている。一方、ガス排出ライン8には、真空ポンプ22及び排ガス処理部24が設けられている。
またチャンバ4には、チャンバ4内の攪拌を必要に応じて行うためのファン26と、ファン26を駆動するためのモータ28とが設けられている。
本実施形態では、上記構成の窒化処理装置1を用いて、流量調節弁20aを開き、フッ素系ガスボンベ18からガス供給ライン6及び供給口12を介してチャンバ4内にフッ素系ガスを供給する。そして、加熱手段10によってチャンバ4内を加熱しながら所定の時間保持するフッ化処理を行い、タービン翼2の表面を活性化する。なお、タービン翼2の表面を「活性化」するとは、タービン翼2の表面の酸化膜をフッ化膜に置換し、後続の窒化処理時において窒素原子が浸入しやすいようにすることを意味する。
なお、フッ化(活性化)処理時におけるチャンバ4内の温度は約350℃であり、フッ化処理時間は10〜60分であることが好ましい。
また、フッ化処理を行う際、モータ28によってファン26を駆動して、チャンバ4内を攪拌し、チャンバ4内における温度を均一化することが好ましい。これにより、タービン翼2の表面を均一に活性化させることができる。
また、フッ素系ガスは、分子内にフッ素原子を含むものであれば特に限定されないが、例えば、NF、BF、CF、HF、SF、C、WF、CHF、SiF等を単独で若しくは混合して用いることができる。
なお、フッ化処理は、フッ素系ガスをチャンバ4内に連続的に供給しながら行う連続処理であってもよいし、フッ化処理毎にフッ素系ガスをチャンバ4内に投入するバッチ処理であってもよい。
この後、流量調節弁20aを閉じ、真空ポンプ22によって、排出口14及びガス排出ライン8を介してチャンバ4内からフッ素系ガスを排出する。なお、排出されたフッ素系ガスは、排ガス処理部24によって処理されてから、大気中に放出されるようになっている。
続いて、流量調節弁20bを開き、窒化ガスボンベ16からガス供給ライン6及び供給口12を介してチャンバ4内に窒化用ガスを供給する。そして、加熱手段10によってチャンバ4内の窒化用ガスを加熱し、所定の時間保持して、タービン翼2の表面に窒化層を形成する。
窒化用ガスは、例えば、NHのみからなる単体ガスや、NHと炭素源を有するガス(例えばRXガス)との混合ガスや、これらのガスにN等の不活性ガスを混合したものを用いることができる。なお、窒化処理は、窒化用ガスをチャンバ4内に連続的に供給しながら行う連続処理であってもよいし、窒化処理毎に窒化用ガスをチャンバ4内に投入するバッチ処理であってもよい。
本実施形態では、このような窒化処理は、所望の窒化膜の厚さの分布が形成されるように、チャンバ4内において窒化用ガスの温度分布が形成された状態で行う。すなわち、タービン翼2のうち、窒化膜を厚く形成したい箇所の近傍における窒化用ガスの温度が、窒化膜の厚さはそれほど必要ない、あるいは、窒化膜自体を形成する必要がない箇所の近傍における窒化用ガスの温度よりも高くなるように、チャンバ4内における窒化用ガスの温度分布を調節する。
図2は、チャンバ4内における窒化用ガスの温度分布を調節する手法の一例を示す図である。図3は、チャンバ4内における窒化用ガスの温度分布を調節する手法の他の例を示す斜視図である。
タービン翼2の翼部2Aのエロージョン対策のためには、比較的厚い窒化膜が必要であるのに対し、タービン翼2の翼根部2Bのフレッティング疲労対策のためには、それほど厚い窒化膜は必要でない。この場合、図2に示すように、翼根部2Bが窒化用ガスの供給口12側に位置し、翼部2Aが窒化用ガスの排出口14側に位置するようにタービン翼2を配置し、加熱手段10(タービン翼2又は窒化用ガスを部分加熱するヒータ等)を供給口12及び排出口14の間に設けてもよい。
これにより、供給口12からチャンバ4内に導入された窒化用ガスが、排出口14を介してチャンバ4から排出されるまでの間に、加熱手段10によって加熱されるので、定常状態において、チャンバ4内には供給口12側から排出口14側に向かって窒化用ガスの温度が上昇する温度分布が自然に形成される。よって、供給口12側に位置する翼根部2Bに比べて、排出口14側に位置する翼部2Aに窒化膜を厚く形成することができる。
なお、加熱手段10の位置や出力は、チャンバ4内において窒化用ガスの所望の温度分布が形成されるように適宜設定すればよいが、翼部2Aに窒化膜をより厚く形成するには翼部2Aの近傍に加熱手段10を設けることが好ましい。
また図3に示すように、供給口12が下部に設けられ、排出口14が上部に設けられたチャンバ4を用いる場合、タービン翼2は、翼部2Aが翼根部2Bよりも上方に位置するように配置することが好ましい。
これにより、チャンバ4内の窒化用ガスの温度差によって密度差が生じ、チャンバ4の上部に比較的高温の窒化用ガスが溜まり、チャンバ4の下部に比較的低温の窒化用ガスが溜まる自然対流現象を利用して、図2に示す例に比べて、チャンバ4内における窒化用ガスの温度分布をより効率的に形成することができる。よって、チャンバ4の底部に位置する翼根部2Bに比べて、チャンバ4の上部に位置する翼部2Aに窒化膜を厚く形成することができる。
また、タービン翼2は通常運搬する場合にも、歪み防止や、搬入箱への出し入れの作業性を配慮し、図3に示すように、タービン翼2を略鉛直方向に縦置きした状態で行うことが好ましい。
また、図3に示すように、必要に応じて複数個の供給口12及び排出口14を設けることで、チャンバ4内における乱流を防止して、窒化用ガスの温度分布を安定的に維持することができる。
なお、図3にはタービン翼2を略鉛直方向に沿って縦置きした例を示したが、翼部2Aが翼根部2Bよりも上方に位置するようにタービン翼2を傾けて配置してもよい。
また、タービン翼2の窒化は、材料にもよるが窒化用ガスの温度が500℃未満(好ましくは450℃未満)、処理時間が約40時間の条件で行うことが好ましい。
上述のように、フッ素系ガスを用いてタービン翼2の表面を予め活性化することで、タービン翼2の窒化処理を低温条件下で行うことが可能になる。特に、タービン翼2の窒化を500℃未満の温度条件で行うことで、白層の形成を確実に低減可能となり、窒化処理後のタービン翼2の後加工が簡略化できる。そこで、製造プロセスの簡素化の観点から、タービン翼2の表面の活性化処理を行う前に、タービン翼2の表面仕上げを予め行っておき、窒化処理後はタービン翼2の後加工(研磨)をできるだけ行わないことが好ましい。ここで、タービン翼2の表面仕上げは、タービン翼2の表面粗度Raが0.8μm以下となる程度まで行うことが好ましい。
このようにして、タービン翼2の窒化処理を行った後、図1に示す流量調節弁20bを閉じ、真空ポンプ22によって、排出口14及びガス排出ライン8を介してチャンバ4内から窒化用ガスを排出する。なお、排出された窒化用ガスは、排ガス処理部24によって処理されてから、大気中に放出されるようになっている。
以上説明したように、本実施形態では、タービン翼2が収納されたチャンバ4にフッ素系ガスボンベ18からフッ素系ガスを供給し、タービン翼2の表面を予め活性化した後、タービン翼2が収納されたチャンバ4に窒化用ガスを供給し、チャンバ4内の窒化用ガスに温度分布が形成されるように窒化用ガスを加熱手段10で加熱するとともに、窒化用ガスの温度分布が形成された状態で窒化処理を行う。
本実施形態によれば、チャンバ4内の窒化用ガスに温度分布が形成された状態でタービン翼2の窒化処理が行われるので、窒化用ガスの温度分布を調節することで、タービン翼2に任意の厚さ分布の窒化膜を形成することができる。これにより、窒化処理が必要な箇所に必要最小限の厚さの窒化膜を形成することができる。また、チャンバ4内における窒化用ガスの温度分布によって窒化膜の厚さが決定されるため、窒化膜の厚さが緩やかに変動するような厚さ分布が得られる。よって、窒化防止剤を予め塗布した場合に問題となる窒化膜の境界(窒化防止剤を塗布した領域とそうでない領域との間に現れる境界)が生じることもない。
また、チャンバ4内の窒化用ガスを均一に加熱するのではなく、窒化用ガスに温度分布が形成されるように加熱を行うことで、窒化処理に必要な熱エネルギーを全体として削減することができる。
また、チャンバ4に窒化用ガスを供給する工程の前に、チャンバ4にフッ素系ガスを供給し、タービン翼2の表面を予め活性化することで、一般的なガス窒化方法に比べて低温での窒化処理が可能になる。これにより、タービン翼2の表面における白層の形成を防止し、窒化処理後の後加工はバフ研磨等の最小限のもので足りるようになり、製造プロセスを簡素化し、製造コストを低減することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
例えば、上述の実施形態では、チャンバ4に窒化用ガスを供給する工程の前に、チャンバ4にフッ素系ガスを供給し、タービン翼2の表面を予め活性化する例について説明したが、フッ素系ガスを用いたタービン翼2表面の活性化は必ずしも行う必要はない。ただし、タービン翼2表面の活性化を行わない場合、窒化処理後にタービン翼2の仕上げ加工を行い、タービン翼2の表面における白層を除去する必要が生じることがある。
また上述の実施形態では、チャンバ4内で一個のタービン翼2の窒化処理を行う例について説明したが、複数のタービン翼2の窒化処理を同時に行ってもよい。
図4は、複数のタービン翼2の窒化処理を同時に行うためのチャンバ4の構成例を示す斜視図である。この例におけるチャンバ4の構成は、複数のタービン翼2を収納している点を除けば、図3に示す構成と共通しているので、ここでは図3に示す構成と異なる点について説明する。
図4に示すように、複数のタービン翼2を立てた状態で互いに間隔を空けてチャンバ4内に配置している。これにより、チャンバ4内のスペースを有効活用することができる。また、供給口12から排出口14に向かう窒化用ガスの流れ方向に沿ってタービン翼2が配置されているため、チャンバ4内における窒化用ガスの流れがスムーズであり、複数のタービン翼2の窒化処理を安定して同時に行うことができる。なお、供給口12及び排出口14の個数は、チャンバ4内における窒化用ガスの乱流が防止されるように決定されることが好ましい。
また上述の実施形態では、チャンバ4に取り付けられた加熱手段10を用いて、フッ素系ガス及び窒化用ガスを加熱する例について説明したが、チャンバ4に導入される前にフッ素系ガス及び窒化用ガスを予熱してもよい。特に、チャンバ4内において窒化用ガスの所望の温度分布を形成するために、必要に応じて、窒化用ガスを予熱することが好ましい。
さらに上述の実施形態では、チャンバ4から排出されたフッ素系ガス及び窒化用ガスを、排ガス処理部24における処理後、大気中に放出する例について説明したが、チャンバ4から排出されたフッ素系ガス及び窒化用ガスの少なくとも一部を循環させるようにしてもよい。
上述の実施形態によれば、チャンバ4内の窒化用ガスに温度分布が形成された状態でタービン翼2の窒化処理を行うことで、タービン翼2の必要な箇所に必要な厚さの窒化膜を形成可能であるから、フッ素系ガス及び窒化用ガスの使用量(消費量)は必要最小限である。そこで、フッ素系ガス及び窒化用ガスの少なくとも一部を循環させる(例えば、ガス供給ライン6に戻す)ことで、未使用のガス成分を回収し、コストを低減することができる。
1 窒化処理装置
2 タービン翼
2A 翼部
2B 翼根部
4 チャンバ
6 ガス供給ライン
8 ガス排出ライン
10 加熱手段
12 供給口
14 排出口
16 窒化ガスボンベ
18 フッ素系ガスボンベ
20a 流量調節弁
20b 流量調節弁
22 真空ポンプ
24 排ガス処理部
26 ファン
28 モータ

Claims (6)

  1. タービン翼が収納されたチャンバに窒化用ガスを供給する工程と、
    前記チャンバ内において前記窒化用ガスの温度分布が形成されるように、前記タービン翼又は窒化用ガスを加熱する工程と、
    前記温度分布に応じて窒化膜の厚さの分布が形成されるように、前記温度分布が形成された状態で前記窒化用ガスによって前記タービン翼の表面を窒化する工程とを備えることを特徴とするタービン翼の窒化方法。
  2. 前記タービン翼の翼根部に比べて、前記タービン翼の翼部における前記窒化膜が厚くなるように、前記温度分布が形成されることを特徴とする請求項1に記載のタービン翼の窒化方法。
  3. 前記タービン翼は、前記翼根部が前記窒化用ガスの供給口側に位置し、前記翼部が前記窒化用ガスの排出口側に位置するように配置されており、
    前記窒化用ガスは、前記供給口から前記チャンバ内に導入された後、前記排出口を介して前記チャンバから排出されるまでの間に、前記チャンバに取り付けられた加熱手段により加熱されることを特徴とする請求項2に記載のタービン翼の窒化方法。
  4. 前記供給口が前記チャンバの下部に設けられ、前記排出口が前記チャンバの上部に設けられるとともに、
    前記タービン翼は、前記翼部が前記翼根部よりも上方に位置するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載のタービン翼の窒化方法。
  5. 前記チャンバに前記窒化用ガスを供給する工程の前に、前記タービン翼が収納された前記チャンバにフッ素系ガスを供給するとともに該フッ素系ガスを加熱し、加熱された前記フッ素系ガス中において前記タービン翼を保持して前記タービン翼の表面を活性化する工程を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のタービン翼の窒化方法。
  6. 前記タービン翼の表面を活性化する工程の前に、前記タービン翼の表面仕上げ加工を行うとともに、
    前記タービン翼の窒化は500℃未満の前記窒化用ガスで行うことを特徴とする請求項5に記載のタービン翼の窒化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105567916A (zh) * 2016-02-29 2016-05-11 扬州诚德钢管有限公司 一种大容积钢质无缝气瓶热处理方法
CN107641783A (zh) * 2017-08-31 2018-01-30 安徽信息工程学院 磁性材料氮化装置

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