JP2012020919A - 複層ガラス用スペーサ - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げても屈曲面の色が変わらない複層ガラス用スペーサを提供する。
【解決手段】2枚の板ガラスが所定の間隔を置いて対向するよう当該2枚の板ガラスの間で板ガラスの周縁部に沿って設けられる複層ガラス用スペーサ1であって、長尺な芯体10と、芯体10の長さ方向Lに沿った芯体外表面を覆う筒状の被覆体20と、を備え、芯体10は吸湿剤を含有する樹脂組成物からなり、被覆体20は、不透明であると共に、上記複層ガラス用スペーサを屈曲させた場合に白色化しない樹脂組成物で構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、2枚の板ガラスが所定の間隔を置いて対向するよう当該2枚の板ガラスの間で板ガラスの周縁部に沿って設けられる複層ガラス用スペーサに関する。
従来、複層ガラスは、2枚のガラスの間に空気層を挟んで構成されていて断熱性能を高めるための建具として利用されており、部屋の内外の温度差が原因で生じる結露などの発生を減少させることができる。
この複層ガラス100は、例えば図8に示すように、2枚の板ガラス111,112と、これらの2枚の板ガラス111,112が所定の間隔を置いて対向するよう当該2枚の板ガラス111,112の間で板ガラス周縁部に沿って設けられたスペーサ120と、2枚の板ガラス111,112を支持する枠体150と、から構成されている。さらに、複層ガラス100には、シリカゲル,ゼオライト等の吸湿剤がスペーサ120に含有されている。この吸湿剤によって中間の空気層Aの湿気が除去されて複層ガラス内面の結露を防止している。このような複層ガラスが特許文献1に開示されている。
特表平11−508006号公報
図9は従来の複層ガラス100の部分斜視図である。図中の二点鎖線が複層ガラスの周縁を表している。従来の複層ガラス100では、周縁に沿ってスペーサ120が設けられている。このスペーサ120は長尺に形成されていて、複層ガラス100の周縁に長さ方向を沿わせて配設される。例えば図9に示すように複層ガラス100は、底辺から側縁へ繋がるコーナー部Cを有するため、コーナー部Cで向きを変えるよう折り曲げる必要がある。従来のスペーサ120は、塩化ビニル、ポリプロピレン等の樹脂にゼオライト、シリカゲル等の吸湿剤を含有させて成る樹脂組成物であり、例えば黒色に着色されている。このような樹脂組成物で構成される従来のスペーサ120を図10に示すように折り曲げた場合、屈曲部、具体的には符号αの破線で囲う領域部分が黒色から白色に変わる。このようにスペーサ120の色が部分的に白色化(以下、白化と呼ぶ場合もある。)すると、複層ガラスの見栄えが劣ることになってしまう。
特許文献1に開示のスペーサも、シリカゲルなどを含んだコアや接着フィルムは、それを外部から隠すようには構成されていないため、前述と同様に、折り曲げた部分が白色化し得る。
本発明は、上記課題を考慮して創作されたものであり、折り曲げても屈曲面の色が変わらない複層ガラス用スペーサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、2枚の板ガラスが所定の間隔を置いて対向するよう当該2枚の板ガラスの間で板ガラスの周縁部に沿って設けられる複層ガラス用スペーサであって、長尺な芯体と、芯体の長さ方向に沿った芯体外表面を覆う筒状の被覆体と、を備え、芯体は吸湿剤を含有する樹脂組成物からなり、被覆体は不透明であると共に、複層ガラス用スペーサを屈曲させた場合に白色化しない樹脂組成物で構成されていることを特徴としている。
本発明の複層ガラス用スペーサにおいて、芯体が四角柱状に形成され、金属板が芯体の長さ方向に沿った一側面と前記被覆体との間に設けられている。
本発明の複層ガラス用スペーサにおいて、被覆体の前記金属板に接する部分が反対側の部分よりも厚く形成されている。
本発明によれば、芯体の外周を不透明な被覆体で覆っているため、白色化した芯体が直に使用者の目に触れることを防止できる。
本発明の第1実施形態に係る複層ガラス用スペーサを示す斜視図である。 図1の複層ガラス用スペーサのA−A線に沿った拡大断面図である。 本実施形態のスペーサを適用した複層ガラスの部分斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る複層ガラス用スペーサの拡大断面図である。 本発明の第3実施形態に係る複層ガラス用スペーサの拡大断面図である。 図5の複層ガラス用スペーサの複層ガラスコーナー部に配設した状態を示す部分断面図である。 本発明の第3実施形態の変形例に係る複層ガラス用スペーサの拡大断面図である。 従来の複層ガラスの断面図である。 従来の複層ガラスの部分斜視図である。 従来の複層ガラスのスペーサを示す部分斜視図である。
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態に係る複層ガラス用スペーサ(以下、単にスペーサと呼ぶ。)1を示す斜視図であり、図2は図1のスペーサ1のA−A線に沿った拡大断面図である。
スペーサ1は線状型に形成されており、図1ではその全長の一部を実線で表しており、図示のサイズは例示である。
本実施形態のスペーサ1は芯体10と被覆体20とから構成されている。
芯体10は樹脂に吸湿剤を含有した樹脂組成物で構成されている。
樹脂としては、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)などを使用することができる。
吸湿剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナなどを使用することができる。吸湿剤含有量は、芯体全体の30〜60wt%が好ましい。なお、30wt%未満の場合は吸湿能力が不足しがちであり、60wt%より多い場合は成形性が悪化する。
この芯体10は、長尺に形成されており、図示例では断面が長方形状に形成されている。芯体10の長さ方向L(図1参照)に沿って延びた各面を、以下それぞれ側面と呼び、それぞれ区別するために異なる符合11,12,13,14を付す。これらの側面11〜14によって、芯体10の長さ方向Lに沿った外表面は角筒状に形成されている。
被覆体20は樹脂に着色剤を含有した樹脂組成物で不透明に構成されている。
被覆体20を構成する樹脂としては、塩化ビニル、オレフィン系熱可塑性エラストマー、例えばポリプロピレンにスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体ブレンド(PP+SEBS)などを使用することができる。
この被覆体20は、芯体10の外周面、つまり四つの側面11〜14を囲うように筒状に形成されている。具体的には、被覆体20は芯体10の動きに追随するよう、被覆体内周面は芯体10の外周面に密着している。このため、本実施形態では、被覆体20は四角形の筒状に形成されている。被覆体20の長さ方向L(図1参照)に沿って延びた外周の各面を、以下それぞれ外側面と呼び、それぞれ区別するために異なる符合21,22,23,24を付す。
この被覆体20の厚みは、少なくとも0.1mmあればよい。このように、被覆体20は厚みを薄くした被覆層として形成されてもよい。本実施形態において、被覆体20は、厚みの薄い被覆層を含む概念で使用している。なお、被覆体20は、安定した品質とするため、0.5mm〜1.5mm程度の厚みのある範囲で使用するのが好ましい。
スペーサ1を構成する芯体10と被覆体20とは、芯体10がビニル系であれば被覆体20もビニル系の材料を使用し、芯体10がオレフィン系であれば被覆体20もオレフィン系の材料を使用するなど、両者は同系の樹脂材料を使用する。これは、芯体10と被覆体20とを接着させるためである。
本実施形態のスペーサ1は、ミキサーで芯体10を構成する樹脂と吸湿剤とを混練した後、押出機で芯体10とその周りに被着した被覆体20とを同時に押出し成形することで、製造することができる。
このように製造されたスペーサ1は、2枚の板ガラスが所定の間隔を置いて対向するよう当該2枚の板ガラスの間で板ガラスの周縁部に沿って設けて、使用に供される。
ここで、図3は、本実施形態のスペーサ1を適用した複層ガラス50の部分斜視図である。図3において、二点鎖線が複層ガラス50の周縁を表しており、この二点鎖線に沿ってスペーサ1が設けられるが、図3ではその一部だけを表し、その他の部分の表示を省略している。一対のガラス51,52も一部だけを表している。
図3に示すように、複層ガラス50の底辺から側縁へ繋がるコーナー部Cでは、弾力性を有するスペーサ1は曲げられて配設される。ここで、芯体10を構成する樹脂組成物は吸湿剤を含有するため、曲げられた樹脂組成物の屈曲部、例えば黒色に形成された樹脂組成物の曲げられた部分の表面が白色になり得るが、芯体10の外周、つまり4つの側面11〜14が被覆体20で被覆されているため、白色化した樹脂組成物の一部の表面を直接視認することはできない。
このように本実施形態のスペーサ1によれば、芯体10の外周を不透明な被覆体20で覆っているため、白色化した芯体10が直に使用者の目に触れることを防止できる。
〔第2実施形態〕
図4は本発明の第2実施形態に係るスペーサ2の拡大断面図である。この図は図1のA−A線に沿った図に対応しており、スペーサ2の長手方向に直交する平面で切った拡大断面図である。
本実施形態のスペーサ2は芯体10と被覆体20と金属板30とから構成されている。前述の実施形態の構成と同じ或いは同等のものには同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
金属板30はスペーサ2の形態を保持するためのものであり、スペーサ2の全長に亘って設けられている。金属板30は芯体10の一側面、図中の下側の側面11に密接して配設されている。被覆体20は芯体10と共にこの芯体10に密着した金属板30を被覆する。
また、図示例の金属板30の厚みt1は芯体10の厚みt2よりも薄く形成され、幅w1は芯体10の幅と同じ寸法に設定されているが、金属板30の厚みt1や幅w1は、スペーサ2を変形させた際、元の姿勢に戻ろうとする樹脂の弾性力に抗して変形後の姿勢が保持されるように、選定される。金属板30としては、例えばアルミニウム板などを使用することができる。
本実施形態のスペーサ2は金属板30を備えることで、例えば図3に示すように、コーナー部Cで曲げた形状を維持できる。このような保形機能を有することで、スペーサ2が形態を維持させるための別途の手段、例えば窓枠などの周辺の部材に固着させるための接着剤自体の省略化、或いはその量を低減させることができる。
また、金属板30は芯体10の複層ガラス外側に密着して設けられているため、外気の水分が芯体10に浸透することを防止できる。
〔第3実施形態〕
図5は本発明の第3実施形態に係るスペーサ3の拡大断面図である。この図は図2のA−A線に沿った図に対応しており、スペーサ3の長手方向に直交する平面で切った拡大断面図である。
本実施形態のスペーサ3は芯体10と被覆体20と金属板30とから構成されている点では前述の第2実施形態の構成と同じであるが、芯体10及び金属板30を被覆する被覆体20の厚みが芯体回りの部分によって相違している点で第2実施形態と異なる。具体的には、図5に示すように、被覆体20の金属板30に接する部分の厚みt3が、その反対側の部分、つまり金属板30に接する側面11の反対側の側面13に接する部分の厚みt4よりも、厚く形成されている。
金属板30を有するスペーサ3を複層ガラス50の周縁に沿って配設する場合、図6に示すように、金属板側が外寄りに配置される。なお、図6は図5のB−B線に沿った断面図に相応する。図6中の二点鎖線は、図3と同様に、複層ガラス50の周縁を部分的に表している。この図に示すように、コーナー部Cにおいて、曲げられたスペーサ3は外側の角部3a、つまり外方向に突き出るように角を成す部分を有する。この角部3aには屈曲時に引張応力が内側の角部よりも大きくかかるため、最も白色化し易い。
本実施形態では、外側の角部3aで引張応力が大きく作用する部位を、被覆体20の肉厚部分で構成している。これにより、芯体10に作用する引張応力を低減できるので、芯体10の白色化を減少でき、芯体10の白化の隠蔽性能を高めることができる。
さらに、本実施形態のスペーサ3は、図6に示すように、肉厚部分よりも薄く形成された芯体10の側面13が複層ガラス50の空気層Aに対向するように、つまり、側面13が側面11よりも空気層Aに近くなるように、向きが選定されて複層ガラス50の周縁に沿って配置される。このようにスペーサ向きが選定されることで、図5に示すように、外気に触れ易い被覆体20の外側面21から芯体10の側面11までの間隔、即ち厚みt3が、複層ガラス50の中間の空気層Aに触れる内側の外側面23から芯体10の内側の側面13までの間隔、即ちつまり厚みt4よりも広く設定(t3>t4)されている。これにより、芯体10が、外気の水分を多く吸収して機能が低減することを防止できる。
図7は本発明の第3実施形態の変形例に係るスペーサ3′の拡大断面図である。この図は図2のA−A線に沿った図に対応しており、スペーサ3′の長手方向に直交する平面で切った拡大断面図である。
図7のスペーサ3′は、第3実施形態のスペーサ3から金属板30を省略した構成であり、言い換えれば第1実施形態のスペーサ1の被覆体20の外側面21部位を肉厚に構成したものである。このスペーサ3′も、外気に触れ易い外側面21から芯体10までの間隔が、複層ガラス50の中間の空気層Aに触れる内側の外側面23から芯体10までの間隔よりも広く設定されている。
以下、スペーサの芯体と被覆体とに関する実験例1,2を説明するが、これによりこの発明の実地態様が限定されるものではない。
〔実験例1〕
(1)芯体の白色化の評価
スペーサを構成する芯体10を用意し、90°曲げた場合の表面白色化を評価した。
ここで、白色化評価のスペーサ曲げ角度を90°としたのは、現在普及している多くの複層ガラスが90°をなすコーナー部を有し、このような複層ガラスにスペーサが多く使用されるからである。以下、他の実験でも同様の理由で90°としている。
(1−1)材料
樹脂: 塩化ビニル樹脂 商品名『JZ427B』信越ポリマー株式会社製
引張弾性率: 15MPa(90°に屈曲させても白化しない)
吸湿剤: ゼオライト 商品名『モレキュラーシーブ3A』ユニオン昭和株式会社製
(1−2)配合割合
タイプ1: 樹脂60wt%,吸湿剤40wt%
タイプ2: 樹脂50wt%,吸湿剤50wt%
タイプ3: 樹脂40wt%,吸湿剤60wt%
(1−3)測定方法
測定環境: 23℃,50%RH
測定機種: 製品名『ストログラフ VE100』株式会社東洋精機製作所製
試験方法: JIS K6251に準拠
測定対象: 加熱プレスで2mm厚のシートを作製して3号ダンベル型で打ち抜いたものを引張試験に使用した。
引張速度: 500mm/min
(1−4)混練方法
混練機: 製品名『ラボプラストミルミキサー R100』株式会社東洋精機製作所製
混練条件: 175℃,50rpm
混練時間: 10min
(1−5)引張試験結果
試験結果を下記の表1〜表3に示す。
(1−6)評価まとめ
本実験に使用した塩化ビニル樹脂は、引張弾性率を15MPaとする柔軟な樹脂であり、当該樹脂だけで形成したフィルムを90°屈曲させても白色化しなかったのに対し、上記表1〜表3のように吸湿剤を樹脂に混合すると、樹脂の引張弾性率が増加して白色化した。また、吸湿剤の配合割合が増加するに従い、引張弾性率も大きくなり、つまり樹脂が固くなり、白色化が顕著になる傾向が見られた。
〔実験例2〕
(2)被覆体の白色化の評価
(実験2−1)被覆体の曲げ弾性率と屈曲時の表面白色化評価
スペーサの被覆体20を構成する材料を検討するため、曲げ弾性率の異なる材料で成るシート片を複数用意し、表面白色化を評価した。
(2−1−1)実験条件
150mm×150mm×1mm厚のシートを加熱プレス機で作製し、そこから10mm幅のシートを切り出して、1秒でR=5mm以下になるように90°に屈曲して、白色化の有無を調査した。
(2−1−2)実験結果
実験結果を表4に示す。

※表4では有効数字を2桁で表示している。
(実験2−2)被覆体の厚みと90°屈曲時の表面白色化評価
芯体10とそれを覆う被覆体20とから成るスペーサを作製して、被覆体の厚みに関する表面白色化を評価した。
(2−2−1)実験条件
芯体: EMMA(商品名『アクリフトWH401』住友化学株式会社製)60wt%とゼオライト(商品名『モレキュラーシーブ3a』ユニオン昭和株式会社製)40wt%とのブレンド(曲げ弾性率:110MPa)
被覆体: 熱可塑性エラストマー(TPO、商品名『エスポレックス820』住友化学株式会社製、曲げ弾性率:24MPa)
成形方法: プレス成形
成形機 : 加熱プレス機(井元製作所製)
スペーサの大きさ: 断面方形状で芯体の表面に、等厚の被覆体を設けた成形体で幅12mm、高さ7mm、長さ10mm
屈曲方法: 人が、1秒程度でR=5mm以下となるように、90°に屈曲した。
(2−2−2)実験結果
実験結果を表5に示す。

尚、表5において厚みが『0』とは被覆体を備えていない場合であり、芯体が上記屈曲方法によって白色化することを表している。
(2−3)実験2のまとめ
実験2−1によれば、曲げ弾性率が110MPaの樹脂は僅かに白色化するが、使用に際して問題はない程度であった(表4)。このことから、吸湿剤を含有していない曲げ弾性率110MPa以下の樹脂は、90°屈曲してもほとんど白色化せず、被覆体として好適に使用できると言える。
また、実験2−2によれば、曲げ弾性率が110MPaの樹脂でなる芯体は90°屈曲で白色化するが、被覆体が厚み0.1mm以上あれば芯体の表面が外部から確認することはできない(表5)。このことから、吸湿剤を含有していない樹脂で厚みを0.1mm以上にすることで、被覆体として好適に使用できると言える。
(2−4)実験総まとめ
実験1の芯体に関する白色化評価と実験2の被覆体の白色化評価とから、本発明では、芯体の外表面に密着した被覆体は、芯体の動きに追随して変形させた際、芯体自体が白色化しても、被覆体表面は白色化しないように樹脂材料が選定されるべきとの結果を得られた。実験例の被覆体は、吸湿剤を含有していない曲げ弾性率110MPa以下の樹脂で厚みを0.1mm以上に構成されていれば、図3に示すような、90°のコーナー部Cを有する複層ガラス50の使用に好適に使用できると言える。
以上詳述したが、本発明は発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
たとえば、本発明のスペーサは、図示例の寸法比率に限定されるものではない。
芯体や被覆体の断面形状は、図示例の長方形に限定されるものではなく、正方形や円形、楕円、三角形、5角以上の多角形状に形成されてもよい。
また、本発明のスペーサは内側の芯体と外側の被覆体との所謂2層構造でなり、スペーサを曲げた場合に生じる芯体の白色化を外皮である被覆体が隠蔽することを要旨としており、上記説明ではスペーサを90°屈曲させた場合、つまり複層ガラス50のコーナー部Cで白色化する問題を提示したが、スペーサの用途は輪郭が長方形状の複層ガラスに限定されるものではないことは勿論である。例えば、本発明を適用できる複層ガラスの輪郭は、正方形、円形、楕円、三角形、五角以上の多角形などであってもよい。このような輪郭に沿って本発明のスペーサを配設する際にスペーサを曲げて、例えば曲げ角度θ(図6参照)は90°未満であったり90°より大きかったりする。このように、スペーサを適用する複層ガラスの輪郭が成す角度は90°以外もあるので、被覆体を構成する樹脂の曲げ弾性率は110MPa以下に限られないことは勿論で、当該数値は一使用例を示したものである。曲げ角度θが90°より大きければ、つまり鈍角であれば、使用可能な被覆体を構成する樹脂の曲げ弾性率は110MPaより大きくなる。
このように、本発明は、芯体の白色化を隠蔽するよう被覆体の樹脂組成物が選定されて、構成される。
1,2,3,3′ スペーサ
3a,3b スペーサの角部
10 芯体
11〜14 芯体の側面
20 被覆体
21〜24 被覆体の側面
30 金属板
50 複層ガラス
51,52 ガラス
A 複層ガラスの中間の空気層
C 複層ガラスのコーナー部

Claims (5)

  1. 2枚の板ガラスが所定の間隔を置いて対向するよう当該2枚の板ガラスの間で板ガラスの周縁部に沿って設けられる複層ガラス用スペーサであって、
    長尺な芯体と、
    上記芯体の長さ方向に沿った芯体外表面を覆う筒状の被覆体と、を備え、
    上記芯体は吸湿剤を含有する樹脂組成物からなり、
    上記被覆体は、不透明であると共に、上記複層ガラス用スペーサを屈曲させた場合に白色化しない樹脂組成物で構成されていることを特徴とする、複層ガラス用スペーサ。
  2. 前記被覆体は樹脂に着色剤を含有しており、
    上記樹脂の曲げ弾性率は110MPa以下であり、
    前記被覆体の厚みは0.1mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス用スペーサ。
  3. 前記芯体が四角柱状に形成され、
    金属板が、前記芯体の長さ方向に沿った一側面と前記被覆体との間に設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の複層ガラス用スペーサ。
  4. 前記被覆体の前記金属板に接する部分が反対側の部分よりも厚く形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の複層ガラス用スペーサ。
  5. 前記芯体が四角柱状に形成され、
    前記被覆体の前記芯体の一側面に接する部分が反対側の部分よりも厚く形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の複層ガラス用スペーサ。
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