JP2012018035A - 風洞試験装置 - Google Patents

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Nobuyoshi Sugawara
宣義 菅原
Hitoshi Ouchi
均 大内
Masayoshi Otaka
誠義 大高
Takuya Yanagi
拓也 柳
Mitsuhiro Hayasaka
充弘 早坂
Yoshinari Takahashi
美成 高橋
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Abstract

【課題】風による塩分の付着を再現でき気象パラメータや塩の潮解性、碍子の状態を反映して試験を行うことができる風洞試験装置を提供する。
【解決手段】風洞試験装置は、被試験体を内部に設置可能な風洞と、この風洞の内部の温度を所望の値に維持可能な温度調整手段と、この風洞の内部の湿度を所望の値に維持可能な湿度調整手段と、この風洞の内部に設置した被試験体に吹き付けられる気流を発生すると共にその気流の風速を所望の値に維持可能な風力発生及び調整手段と、気流内に所望量の微粒塩粒子を供給可能な微粒塩粒子供給手段とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば碍子等の被試験体への塩分の付着状況を試験するための、風洞試験装置に関する。
沿岸に設置されている送配電設備や発変電設備に使用される碍子においては、風によって飛来した塩粒子又は塩分を含んだ水に晒されることから、その表面に塩分が付着する。この塩分は碍子の絶縁性を損ねて塩害事故の原因となり、電力供給の不安定性を招く一因となる。このような塩害事故を未然に防止するために、碍子への塩分の付着について予測・推定する技術が従来から提案されている。
特許文献1には、着塩による碍子の汚損状態を監視する装置として、汚損状態を監視しようとする碍子と同一環境にパイロット碍子とを設置し、このパイロット碍子に電流を流し表面電流と漏れ電流とを検知する技術が開示されている。この技術は、パイロット碍子の汚損状態を診断することで、同一環境の碍子の塩分付着状態を予測しようとするものである。
特許第3757508号公報
特許文献1に開示されているごとき従来の碍子汚損監視装置によれば、特定の環境下における碍子の塩分付着状態を予測することはできる。しかしながら、碍子の塩分付着の各種現象の解明や、碍子の性能の評価には、様々な環境下における碍子の状態の予測・推定が必要であり、塩分の量や付着箇所などについてさらに多様な条件下で試験することが不可欠である。
このような多様な条件を提供するために、塩分を碍子に人為的に付着させることが考えられる。この人為的な塩分付着による試験方法としては、例えば、粉砕した塩の微粒子を碍子に吹き付ける、塩水を噴霧して水分が蒸発するのを待つといった方法が考えられる。しかしながら、これらの試験方法では、塩の粒子又は塩分を含んだ水が風によって飛来し付着するという条件を正しく再現できているとはいえない。さらに、風力、風向及び湿度といった気象パラメータの条件、それらの気象パラメータ下における塩の潮解性による塩の物理的特性などの条件、碍子の表面の水分の状態などの条件を反映した試験ではない。
従って本発明の目的は、風による塩分の付着状態を正確に再現でき、気象パラメータ、塩の潮解性、及び被試験体の状態に応じた試験を行うことができる風洞試験装置を提供することにある。
本発明の風洞試験装置は、被試験体を内部に設置可能な風洞と、この風洞の内部の温度を所望の値に維持可能な温度調整手段と、この風洞の内部の湿度を所望の値に維持可能な湿度調整手段と、この風洞の内部に設置した被試験体に吹き付けられる気流を発生すると共にその気流の風速を所望の値に維持可能な風力発生及び調整手段と、気流内に所望量の微粒塩粒子を供給可能な微粒塩粒子供給手段とを備えている。
風洞の温度と湿度を所望の値に維持することで、被試験体は、目的とする温度及び湿度下に置かれる。この被試験体に風速が所望の値に維持された気流を吹き付け、微粒塩粒子をこの気流に供給することで、微粒塩粒子が風洞の湿度によって潮解性に応じた水分の含有状態となった潮解性塩粒子となってこの被試験体に吹き付けられる。被試験体の表面の水分の状態及び潮解性塩粒子の水分の含有状態は、湿度を所望の値に維持することで、その状態に保たれる。また、気流の風速が所望の値に維持されることで、その所望の風速で潮解性塩粒子を被試験体に吹き付けることができる。従って、風速、温度及び湿度、さらに風向といった気象パラメータの条件、それらの気象パラメータにおける塩の潮解性等の条件、並びに被試験体の表面の水分の状態等の条件を反映した試験を行うことができ、風による塩分の付着を再現でき、気象パラメータ、塩の潮解性、及び被試験体の状態を反映した試験を行うことができる。
被試験体が碍子であることが好ましい。送配電設備や発変電設備に使用される碍子の塩分の付着について予測・推定し、塩分が碍子の絶縁性を損ねて塩害事故の原因となり、電力供給の不安定性を招く一因となるような塩害事故を未然に防止することができる。
気流の一部が風洞内を循環して微粒塩粒子供給手段に戻るように構成されており、微粒塩粒子供給手段に戻る気流の一部の通路中に設けられ、気流の一部内の塩分を除去するための塩除去手段をさらに備えていることが好ましい。気流に含まれる潮解性塩粒子に由来する塩分を除去してから微粒塩粒子供給手段に供給することで、微粒塩粒子供給手段による微粒塩粒子の供給量の調節によって気流中に含まれる潮解性塩粒子の量を調整しやすくすることができる。さらに、風洞内の他の装置、特に除湿装置や加湿装置に混入する塩分が最小限となり、性能低下が防止できると共に、装置の故障が少なくなる。
風洞の内部に設けられ被試験体を水平回転可能とする回転機構をさらに備えていることが好ましい。被試験体を水平回転することにより、この被試験体に吹き付けられる気流の方向を変えることができ、塩粒子を所望の方向から吹き付けて試験することができる。
湿度調整手段が加湿装置及び除湿装置を含んでいることが好ましい。これにより、風洞内の湿度を好適に調整することができる。
微粒塩粒子供給手段が粒径20μm以下の微粒塩粒子を供給可能であることが好ましい。微粒塩粒子が粒径20μm以下のいわゆる超微粒塩粒子であることによって、塩粒子が碍子へ到達するまでの短時間で水分を吸収又は放出するので、環境湿度と平衡した潮解性を示すことが出来るようになる。
湿度調整手段が20〜90%RHから選ばれた設定湿度から−3〜+3%以内に湿度を維持可能であることが望ましい。風力調製手段が0〜10m/sの気流を供給可能であることも好ましい。この範囲にあることによって、自然界での海塩飛来による碍子への塩分付着特性を模擬的に再現可能となる。
本発明によれば、風速、温度及び湿度、さらに風向といった気象パラメータの条件、それらの気象パラメータにおける塩の潮解性等の条件、並びに被試験体の表面の水分の状態等の条件を反映した試験を行うことができ、風による塩分の付着を再現でき、気象パラメータ、塩の潮解性、及び被試験体の状態を反映した試験を行うことができる。
本発明の一実施形態における風洞試験装置の構成を概略的に示す一部透視斜視図である。 図1の風洞試験装置による試験によって得られた、潮解性塩粒子の湿度依存状態を示す写真図である。 図1の風洞試験装置による試験によって得られた、潮解性塩粒子の直径の湿度依存性を示すグラフである。 図1の風洞試験装置による試験によって得られた、懸垂碍子の塩分付着密度の湿度依存性を示すグラフである。 図1の風洞試験装置による試験によって得られた、長幹碍子の塩分付着密度の湿度依存性を示すグラフである。
図1は本発明の一実施形態における風洞試験装置の構成を概略的に示している。
同図に示すように、本実施形態における風洞試験装置1は風洞2を備えており、この風洞2の内部には、被試験体3A及び3Bが設置されている。風洞2の内部には温度を所望の値に維持するための温度調整手段7A及び7Bと、内部の湿度を一定に維持するための湿度調整手段4と、被試験体3A及び3Bに対して吹き付ける気流50Cを発生すると共にその風速を所望の値に維持するための風力発生及び調整手段5A及び5Bと、気流50C内に微粒塩粒子60を供給可能な微粒塩粒子供給手段6とを備えている。
この風洞2は、温度及び湿度を一定に保つため、密閉可能な構造となっている。本実施形態では、点検扉22が設けられている他は密閉されている。風洞2は、大きく分けて長手方向に互いに並列にかつ隣接している流通室20A、20B及び20Cを有している。流通室20Bと20Cとは、風洞2の長手方向の図1における奥側(以下、単に奥側)に設けられた連通部21Aを介して互いに連通しており、さらに、風洞2の長手方向の図1における手前側(以下、単に手前側)に設けられた連通部21Bを介して互いに連通している。流通室20Aと20Cとは、奥側に設けられた通風管23を介して連通しており、手前側に設けられた連通部21Cを介して互いに連通している。
被試験体3A及び3Bは、塩分の付着について試験を行う対象であり、送電設備の部品をはじめ、塩害について試験を要する様々な対象が使用できる。本実施形態では、碍子を被試験体3A及び3Bとしている。即ち、被試験体3Aとして懸垂碍子を2つ、被試験体3Bとして長幹碍子を2つ設置している。これら被試験体3A及び3Bは、回転機構30によって水平回転可能となっている。回転機構30は、風洞2の流通室20Aの手前側の端近くに設けられ、天井に回転可能に設置されたシャフトと被試験体3A及び3Bを設置する保持部とを有している。この回転機構30に、被試験体3A及び3Bはそれぞれ2つずつが対角線状に支持されている。
温度調整手段7A及び7Bは、風洞2内の温度を調整することで湿度も調整しやすくするために設けられる。風洞2内の温度を常温の範囲内で調整可能なものであり、特に我国の海沿いの自然の気象状態を再現するには5〜30℃の範囲内を調節できるようになっていることが望ましい。本実施形態では、温度調整手段7Aは、流通室20C及び20Bの奥側の連通部21Aの近傍であって、微粒塩粒子供給手段6の出口付近に設けられたフィン付のヒータ棒である。温度調整手段7Bは、流通室20Bの途中に設けられたファンヒータである。
湿度調整手段4は、風洞2内の湿度を一定に維持できるものである。本実施形態では、湿度調整手段4は加湿装置4A及び4Bと、除湿装置4Cと、塩粒子加湿装置4Dとから構成されている。加湿装置4A、4B及び4Dとしては、超音波霧発生装置を用いている。塩粒子加湿装置4Dは、後述する微粒塩粒子供給手段6の近傍に設けられている。加湿装置4Cは、流通室20A及び20Cを接続する通風管23の、流通室20C側の出口付近に設けられている。風力発生及び調整手段5Bの上流側と下流側とに、加湿装置4B及び4Cが一基ずつ設けられている。通風管23の流通室20A側の入口近傍には、加湿装置4A、4B及び4Dによる加湿動作を相殺するために除湿動作を行う除湿装置4Cが備えられている。これら加湿装置4A、4B及び4D並びに除湿装置4Cからなる湿度調整手段4は、風洞2内を20〜90%RHから選ばれた範囲の設定湿度から、誤差3%以内の湿度に維持することが可能に構成されている。海沿いの環境に近い条件を再現するためには、30〜80%RHの条件を特に精密に調整できるように構成されていることが望ましい。
風力発生及び調整手段5A及び5Bは、流通室20A及び20Bを流れる気流50A及び50Bをそれぞれ発生するためのものであり、気流50A及び50Bの風速をそれぞれ調整できるように構成されている。実際の屋外環境における風速を再現するために、風速0〜10m/sの空気の流れを発生できるようになっていることが望ましい。本実施形態では、風力発生及び調整手段5A及び5Bはいずれも1〜10m/sの範囲の風速で空気流を発生し調整できる送風用ファンである。風力発生及び調整手段5A及び5Bは、流通室20A及び20Bの手前側端近く、回転装置30よりやや奥側に設けられ、手前側から奥側に向かう方向に風力を発生するように構成されている。
微粒塩粒子供給手段6は、通風管23の、流通室20C側の出口付近に設けられている。本実施形態では、微粒塩粒子供給手段6は、微粒塩粒子60を鉄製の筒から圧縮空気で散布するものである。微粒塩粒子60は、塩(NaCl)と水分とを含有する粒子であり、わずかに水分を含む固形の塩や、塩水溶液の水滴などを含む。微粒塩粒子60には、NaCl以外にも海水に含まれるその他の物質が含有されていてもよい。微粒塩粒子60の粒径は20μm以下である。本実施形態では、海塩由来の塩を機械的に粉砕したものを微粒塩粒子60として用いている。微粒塩粒子供給手段6に隣接して塩粒子加湿装置4Dが設けられており、散布された微粒塩粒子60が超音波霧発生装置の発生する霧状水滴を通過する際に水分を含有して潮解性塩粒子61となるよう構成されている。本実施形態の潮解性塩粒子61は、主に固体の塩が湿度によってわずかに潮解し表面付近に水分を含むものである。
流通室20Aには、潮解性塩粒子61を除去する塩粒子除去手段8が備えられている。本実施形態では、塩粒子除去手段8は約粒径5μm以上の固体を除去できるフィルタである。
次に、本実施形態の風洞試験装置1の作用について、風洞試験装置1を用いた風洞試験を例として説明する。まず、被試験体3A及び3Bを、点検扉22を通じて風洞2に搬入し設置した後に、風洞2を密閉する。ついで、湿度調整手段4、温度調整手段7A及び7B、並びに風力発生及び調整手段5A及び5Bを動作させる。
流通室20A及び20Bにそれぞれ設けられた風力発生及び調整手段5A及び5Bによってそれぞれ気流50A及び50Bが発生し、これらの気流50A及び50Bが流通室20Cに吹き込まれて気流50Cとなる。気流50Cは、流通室20Cに設置された被試験体3A及び3Bに吹き付けられる。その後、気流50Cは、連通部21B及び21Cを介して再び流通室20A及び20Bに流れ込み、気流50A及び50Bとなる。
湿度調整手段4によって湿度が調整された大気が風力発生及び調整手段5A及び5Bによって発生する気流50A、50B及び50Cによって風洞2内を循環し、風洞2内の湿度を調整する。湿度調整手段4、温度調整手段7A及び7B、並びに風力発生及び調整手段5A及び5Bを用いて、風洞2内の湿度、温度及び風力を所望の値に維持する。
被試験体3A及び3Bは、試験の目的とする湿度を維持した状態で密閉された風洞2に置かれることで、その表面がその湿度に応じて水分が付着した状態となる。具体的には、被試験体3A及び3Bの表面が、湿度が高ければ濡れた状態となり、低ければ乾燥した状態となる。確実に試験の目的とする湿度条件に置くために、1時間以上、この状態を維持してもよい。
ついで、微粒塩粒子供給手段6から微粒塩粒子60を供給する。供給された塩は加湿装置4Dから発生する水滴を通過する際に、水分を含有した潮解性塩粒子61となる。潮解性塩粒子61は、気流50Cによって流通室20C内を運ばれる。風洞2内は一定の湿度に保たれているので、潮解性塩粒子61は、流通室20C中を通過する間も塩の潮解性によって気流50C内の水分を吸収し、または気流50Cによって表面の水分が蒸発し、一定の湿度に応じた水分に調整される。
この潮解性塩粒子61が、気流50Cによって被試験体3A及び3Bに吹き付けられる。これにより、被試験体3A及び3Bには、湿度に応じたこれらの表面の水分状態に対して、潮解性塩粒子61が付着する。
被試験体3A及び3Bに付着しなかった潮解性塩粒子61は、連通部21C及び21Bを通じて気流50A及び50Bと共に流通室20A及び20Bに流れ込む。流通室20Aに流れ込んだ気流50Aに含まれる潮解性塩粒子61は、塩除去手段8によって除去される。塩分を除去された気流50Aからは除湿装置4Cによって水分が除去される。その後、通風管23に流れ込んだ気流50Aは、加湿装置4Cと微粒塩粒子供給手段6によって、ふたたび湿度と潮解性塩粒子61の量が調整され、気流50Cとして流通室20Cに吹き込められる。
このように被試験体3A及び3Bに潮解性塩粒子61を付着させることによって、例えば風洞2内の湿度が高ければ被試験体3A及び3Bの表面が濡れて潮解性塩粒子61がさらに付着しやすいなどの状態が再現できる。湿度が低く、気流50Cの風力が強いと、潮解性塩粒子61が乾燥しやすく、被試験体3A及び3Bに付着しにくい、剥がれ落ちやすくなるなどの現象も再現できる。これらの湿度や気流を経時的に変化させることによる付着状態の試験も可能である。例えば潮解性塩粒子61が湿度が高く、風力が弱い条件では付着した後に、湿度が低く、風力が強い条件では剥がれ落ちる状態などを試験できる。湿度、温度、風力及び潮解性塩粒子61の供給量を調整することによって、気象パラメータに応じた塩分の付着を再現することができる。
(試験1:潮解性塩粒子の特性試験)
図1に示す風洞試験装置1を用いて、微粒塩粒子60を風洞2内に散布し、この試験装置での飛来塩分量と、目的とする温度を維持して湿度を変化させた場合の潮解性塩粒子61の結晶状態についての試験を行った。風洞2の外形寸法は、高さ約1.8m、幅約2.7m、長さ約5mであった。風洞2内の風速は6m/s、風洞2内の湿度は30〜80%RHの範囲に設定して試験を行った。微粒塩粒子60は海塩由来の食塩を5時間以上乳鉢で粉砕したものを用い、80℃以上に加熱した鉄製の筒よりなる微粒塩粒子供給手段6から圧縮空気で1秒間散布した。この散布を800回試行したところ、一回の散布あたりの微粒塩粒子60の平均散布量は0.22gであった。
流通室20Cの手前側端近く、回転機構30の設置箇所にガーゼ法を元にしたガーゼ筒を高さの異なる3箇所に設置し、ガーゼ等を暴露する時間と筒の断面積とから通過空気の体積を求め、ガーゼに付着した塩の量から飛来塩分量を求めた。
図2に、湿度条件が異なる場合の潮解性塩粒子61の状態を示す。図2(a)に示すように、相対湿度10%では粒子は結晶構造をしている。図2(b)に示すように、相対湿度がNaClの潮解性が高くなる70%では周囲の水蒸気を吸収して粒子が大きくなる。図2(c)に示すように、その後に相対湿度60%に下げても粒子は結晶には戻らないが、図2(d)に示すように、相対湿度40%に下げると再び結晶の状態に戻る。図3に、塩粒子の直径の湿度依存性を示す。
ガーゼ法によって飛来塩分量を測定すると、風速6m/s、湿度80%で5.5mg/mであり、新潟市の気中海塩量の高めの値として実際に測定された10μg/mの500倍以上であった。すなわち、この試験装置を用いると自然の状態にパイロット碍子を設置して測定する方法に比べて短時間で多くのサンプル量の塩を付着させる加速試験が可能となった。
以上の結果から、この風洞試験装置1を用いると、湿度に依存した潮解性塩粒子61の潮解の状態を再現でき、潮解による粒子の状態について精緻なデータが得られ、短時間で多量のデータが得られる加速試験が可能であることが示された。
(試験2:風洞試験)
図1に示す風洞試験装置1を用いて、被試験体3A及び3Bとしてそれぞれ懸垂碍子及び長幹碍子を設置して風洞試験を行った。被試験体3A及び3Bを設置した回転機構30は0.6回転/分の速度で回転させた。微粒塩粒子60は試験1と同様の条件で散布した。
風洞2内の風速は4m/s、6m/s及び8m/sに設定して試験を行った。風洞2内の湿度は30〜80%RHの範囲に設定して試験を行った。
潮解性塩粒子61が付着した被試験体は、碍子の傘をガーゼで拭き洗いし、吹き洗いした面積とガーゼに付着した塩の量から塩分付着密度を求めた。気流50Cが当たる部分として、懸垂碍子の被試験体3Aは傘のうち3枚の上面と下面、長幹碍子の被試験体3Bは傘のうち6枚の上面と下面を測定した。
懸垂碍子(被試験体3A)について図4(a)に上面、図4(b)に下面の塩分付着密度、長幹碍子(被試験体3B)について図5(a)に上面、図5(b)に下面の塩分付着密度を示す。いずれの結果でも、湿度が70%と75%との場合において、塩分付着密度に大きく差が生じた。これは、NaCl粒子が潮解性を示す境界湿度に起因する。すなわち、塩分が潮解性を示し、湿度が70%以上の条件下では、湿度に依存して潮解性塩粒子61に付着する水分子が多くなり飽和水状態となり、表面に水分が吸着している碍子に衝突したときに付着しやすくなると考えられる。一方で湿度が30〜70%の条件下では、塩分付着密度が大きく変わらないのは、湿度が低いと微粒塩粒子60が潮解性を示さないためと思われる。
風速が4m/s〜8m/sの範囲では、風速が大きくなると付着塩密度が増加している。風速が大きいと潮解性塩粒子61が碍子に強く衝突するためと思われる。これより大きい風速では、潮解性塩粒子61が付着せずに吹き飛ばされることも多くなり、風速の大きさに付着塩密度が依存しなくなると思われる。
以上の結果から、この風洞試験装置1を用いると、風速と湿度とを調整しつつ付着塩密度を測定でき、精密な気象パラメータに依存した塩分の付着状態のデータが取得可能であることが示された。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
本発明は、電力設備をはじめ、材料の腐食を問題とする素材や塗装の産業分野、基礎研究、応用研究開発において広く役立ち産業発展に貢献できるものである。
1 風洞試験装置
2 風洞
3A、3B 被試験体
4 湿度調整手段
4A、4B、4D 加湿装置
4C 除湿装置
5A、5B 風力発生及び調整手段
6 微粒塩粒子供給手段
7A、7B 温度調整手段
8 塩除去手段
20A、20B、20C 流通室
21A、21B、21C 連通部
22 点検扉
23 通風管
30 回転機構
50A、50B、50C 気流
60 微粒塩粒子
61 潮解性塩粒子

Claims (7)

  1. 被試験体を内部に設置可能な風洞と、
    前記風洞の内部の温度を所望の値に維持可能な温度調整手段と、
    前記風洞の内部の湿度を所望の値に維持可能な湿度調整手段と、
    前記風洞の内部に設置した被試験体に吹き付けられる気流を発生すると共に該気流の風速を所望の値に維持可能な風力発生及び調整手段と、
    前記気流内に所望量の微粒塩粒子を供給可能な微粒塩粒子供給手段とを備えていることを特徴とする風洞試験装置。
  2. 前記被試験体が碍子であることを特徴とする請求項1に記載の風洞試験装置。
  3. 前記気流の一部が前記風洞内を循環して前記微粒塩粒子供給手段に戻るように構成されており、該塩粒子供給手段に戻る前記気流の一部の通路中に設けられ、該気流の一部内の塩分を除去するための塩除去手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の風洞試験装置。
  4. 前記風洞の内部に設けられ前記被試験体を水平回転可能とする回転機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の風洞試験装置。
  5. 前記湿度調整手段が加湿装置及び除湿装置を含んでいることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の風洞試験装置。
  6. 前記微粒塩粒子供給手段が粒径20μm以下の前記微粒塩粒子を供給可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の風洞試験装置。
  7. 湿度調整手段が20〜90%RHから選ばれた設定湿度から−3〜+3%以内に湿度を維持可能で、前記風力調製手段が0〜10m/sの気流を供給可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の風洞試験装置。
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