JP2012016691A - 食品工場排水を再利用する環境保全方法および環境保全システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】食品工場排水を回収して浄化処理することにより純水を生成し、ドックシェルターを備えた入出荷バースに送水して噴霧する。純水の散布は、例えば入出荷バースの外気温に応じて、または入出荷バースに車両が接近したとき、または入出荷バースに停車した車両がアイドリング状態の間に行う。食品工場排水の浄化にあたっては、膜分離活性汚泥法による精密ろ過膜(MF膜)又は限外ろ過膜(UF膜)により一次処理し、粉末状活性炭を使用したELCD法により二次処理し、逆浸透膜(RO膜)により三次処理を行う。これにより、食品工場排水が飲料に適した水質に浄化され、純水が得られる。この純水は、室外機への散布、吸気口の外気温の定温化、景観水の使用、調整池の散水、河川放流等にも使用される。
【選択図】図1
Description
配送拠点としての役割も担う食品製造工場には、多数の配送車両が昼夜を問わず頻繁に出入りするため、有害な煤塵を多量に含む排気ガスによって工場周辺の環境が汚染されているといった問題がある。
また、食品工場周辺の大気が汚染されれば、製造・配送される食品にNOxなどの有害微粒子が付着・混入する虞もあり、食品の安全性の観点から問題がある。
さらに、出荷される食品の鮮度・品質を確保する観点から庫内や荷台には温度管理が求められ、入出荷バースには冷気漏れを防ぐドックシェルターが設けられている。しかしながら、ドックシェルターによる気密性確保は完全なものではなく、車両との間に隙間があいており、入出荷バースに車両が待機している間に庫内や荷台から冷気が漏れ、夏季には熱気が進入するといった問題があった。特に、車両がアイドリング状態で待機している場合には、煤塵混じりの熱気がドックシェルターを介して庫内や荷台に進入し、食品に対する温度管理と衛生管理が阻害されるといった問題があった。
食品工場で使用された水は、排水として自前の浄化設備で排水基準値に水質を合わせ下水道や河川に放出されている。この水は、基準値以内に浄化されているとはいえ長期間では川や海を汚染し環境破壊を招く。また、下水道使用においても、最終的には公共の浄化処理設備で浄化するため費用も膨大となり、浄化後放流するため環境破壊にもつながる。従って従来の方法では、食品工場における水の有効利用、水の循環は創造できない。
純水の散布は、前記入出荷バースにおける外気温に応じて、または前記入出荷バースに車両が接近したとき、または前記入出荷バースに車両が停車している間、または前記入出荷バースに停車した車両がアイドリング状態の間に行うようにする。
前記二次処理における活性炭は、微生物を繁殖させ、生物分解性有機物を除去するとともに、イオン交換樹脂の保護及び負荷の低下に使用する中間フィルターとしての機能を有する。
浄化して得た純水は、環境保全のため、食品の製造工程、飲料水、屋根散水、室外機への散布、吸気口の外気温の定温化、景観水の使用、調整池の散水、河川放流等に使用される。或いは、浄化して得た純水を、地下浸透させてもよい。
なお、本発明でいう「食品工場」とは、食品製造工場、食品加工工場を広く含む意味であり、例えば弁当・惣菜・麺・調理パン等を製造する食品工場が代表例として挙げられる。
本発明によれば、食品工場排水から生成した純水を入出荷バースに送水し、該純水をミスト状又は霧状に散布するようになっている。散布される純水は、水道水と異なりミネラル分その他の不純物をほとんど含まない。そのため、大気中に散布された純水の粒子(ミスト又は霧)の一粒一粒が、高い物質溶解効果と微粒子吸着効果を発揮して、入出荷バースエリアの空気を浄化する。
したがって、ドックシェルターを含む車両停車領域において、上記純水をミスト状又は霧状に散布することで、ドックシェルター周辺に浮遊する煤塵(NOx等の有害微粒子)が純水粒子に吸着され、純水粒子と排気ガス成分が一体となって地表へ落下する。その結果、入出荷バース周辺に浮遊する有害微粒子が除去され、ドックシェルターを介して庫内や車両荷室に進入するのを防止でき、食品の安全性を確保することができる。
また、純水をミスト状又は霧状に散布することで、入出荷バース周辺が気化熱による冷却効果を受けて外気温が低下するので、夏季においても庫内や荷室の温度上昇を可及的に抑制することが可能になる。その結果、庫内や荷室の温度管理、生鮮食料品の定温保存を従来以上に徹底することが可能になるのと同時に、空調に要するエネルギーコストを削減することが可能になる。
さらに、入出荷バース周辺に浮遊する排気ガス成分を純水粒子とともに落下させることで、庫内や荷室への煤塵の進入を防止できるだけでなく、工場周辺への煤塵の飛散,拡散を防止でき、排気ガスによる周辺環境の汚染を防止することができる。
さらに、散布する水が水道水ではなく、不純物をほとんど含まない純水であることから、送水管等にスケールが付着するのを防止することができる。
本発明によれば、従来廃棄されていた食品工場排水を飲料に適した水質に浄化して、清澄な純水を得ることができる。得られた純水は水道法水質基準全51項目をクリアする水質なので、中水のように用途がトイレ等に限られることがなく、上水に代わる無料の水資源として食品工場であらゆる用途に有効活用することができる。
本発明では図1に示すように、食品工場排水を、排水路を介して浄化装置に集めて浄化処理し、得られた清澄な純水を食品工場内で再利用する。浄化装置における処理は、主として下記の一次処理、二次処理、三次処理の3工程から構成される。
精密ろ過膜(MF膜)又は限外ろ過膜(UF膜)を使用した
膜分離活性汚泥法(MBR)による浄化処理。
二次処理工程:
粉末状活性炭を使用したELCD(Evaporative Loss Control Device)法による
フィルタリング。
三次処理工程:
逆浸透膜(RO膜)を使用した浄化処理。
他方、限外ろ過膜(UF膜)は、膜表面に孔径0.01μm程度の微細孔を有する膜であり、孔径より大きな物質は膜の孔や網目構造によって補足され、分画ろ過機能を有する。限外ろ過膜では、細菌やウィルス、1〜100万程度の高分子を分画ろ過することが可能である。
このフィルターとしての役割を果たす活性炭は、一次処理で使う精密ろ過膜(MF膜)又は限外ろ過膜(UF膜)と、三次処理で使う逆浸透膜(RO膜)との間に設けられて、フィルタリング処理を行う。
次に、上述した浄化処理を経て生成した純水を利用して、食品工場における大気を浄化し、製造・配送される食品の安全性を確保するための構成・方法について説明する。
一方、食品工場に出入りする配送車両は、一般的に、図3に示すように車両後部に荷台5(コンテナ)を備えており、その荷室の温度はチルド又は冷蔵に温度管理されている。食品工場に到着した配送車両は、その荷台後部(荷台の後部扉側)をプラットホーム3に近接させた状態で停車する。
従って本発明によれば、従来廃棄されていた食品工場排水から清澄な純水を得ることができるので、これを上水に代わる無料の水資源として食品工場であらゆる用途に有効活用することが可能になる。
また、浄化して得られた水は、水質基準51項目をすべてクリアする水質であるので、河川への放流や地下浸透を行っても水質を汚染することはなく、自然な水循環を人工的に創造することが可能になる。
2 倉庫
3 プラットホーム
5 荷台(コンテナ)
11 送水管
12 散布装置
13 温度センサ
14 車両センサ
15 アイドリングセンサ
Claims (7)
- 弁当・惣菜・麺・調理パン等を製造する食品工場における排水を回収して浄化処理することにより、前記食品工場排水から純水を生成し、
ドックシェルターを備えた食品工場の入出荷バースに前記純水を送水してミスト状又は霧状に散布する、
ことを特徴とする食品工場排水を再利用する環境保全方法。 - 前記入出荷バースにおける外気温に応じて、または
前記入出荷バースに車両が接近したとき、または
前記入出荷バースに車両が停車している間、または
前記入出荷バースに停車した車両がアイドリング状態の間、
前記純水を散布することを特徴とする請求項1記載の食品工場排水を再利用する環境保全方法。 - 請求項1記載の純水を生成するための方法であって、
弁当・惣菜・麺・調理パン等を製造する食品工場における排水を回収して、膜分離活性汚泥法による精密ろ過膜(MF膜)又は限外ろ過膜(UF膜)により一次処理し、
粉末状活性炭を使用したELCD(Evaporative Loss Control Device)法により二次処理し、
逆浸透膜(RO膜)により三次処理を行うことで、
前記食品工場排水を飲料に適した水質(水道法水質基準全51項目をクリアする水質)に浄化することを特徴とする食品工場排水を再利用する環境保全方法。 - 浄化して得た純水を、食品の製造工程、飲料水、屋根散水、室外機への散布、吸気口の外気温の定温化、景観水の使用、調整池の散水、河川放流等の少なくともいずれか1種の用途に使用することを特徴とする請求項3記載の食品工場排水を再利用する環境保全方法。
- 浄化して得た純水を地下浸透させることを特徴とする請求項3記載の食品工場排水を再利用する環境保全方法。
- 請求項1記載の純水を生成するためのシステムであって、
弁当・惣菜・麺・調理パン等を製造する食品工場における製造工程で生じた排水を回収するための排水路と、
前記排水路を介して回収した食品工場排水を、膜分離活性汚泥法による精密ろ過膜(MF膜)又は限外ろ過膜(UF膜)により一次処理し、次いで粉末状活性炭を使用したELCD(Evaporative Loss Control Device)法により二次処理し、さらに逆浸透膜(RO膜)により三次処理を行うことで、飲料に適した水質(水道法水質基準全51項目をクリアする水質)に浄化する浄化装置と、
を有することを特徴とする食品工場排水を再利用する環境保全システム。 - 弁当・惣菜・麺・調理パン等を製造する食品工場における排水を、膜分離活性汚泥法による精密ろ過膜(MF膜)又は限外ろ過膜(UF膜)により一次処理し、次いで粉末状活性炭を使用したELCD(Evaporative Loss Control Device)法により二次処理し、さらに逆浸透膜(RO膜)により三次処理を行うことで、飲料に適した水質(水道法水質基準全51項目をクリアする水質)に浄化し、
浄化された水を、屋根散水、室外機への散布、吸気口の外気温の定温化、の少なくともいずれか1種の用途に供給する、
ことを特徴とする食品工場排水を再利用して食品工場のCO2排出量を削減する方法。
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