JP2012015461A - レーザドーピング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ光によって拡散材料を基板に拡散(ドーピング)させる際に、各拡散層の拡散深さおよび拡散濃度を個別に制御するとともに、製造効率を向上させる。
【解決手段】基板600に、高濃度n拡散領域と低濃度n拡散領域とp拡散領域とを形成するために、それぞれの拡散領域に応じたレーザビームを基板600に照射する。なお、各領域において、拡散材料(不純物)を拡散させる濃度や深さが異なる。本実施の形態では、各領域の拡散深さに応じて、照射するレーザビームのエネルギ密度を調整し、また、拡散濃度に応じて、パルスレーザを基板600上にスキャンさせる際のオーバーラップレートを調整する。
【選択図】図6

Description

本発明は、半導体の製造におけるレーザドーピング方法に関し、特に、基板上に、異なる種類、深さ、濃度の拡散領域を同時に形成できるレーザドーピング方法に関する。
従来から、半導体装置の製造方法に関し、種々の技術が開示されている。
たとえば、特許文献1(特開昭63−302518号公報)には、n−領域とp−領域のソース電極およびドレイン電極を一回のレーザスキャンにより形成する技術が開示されている。ここでは、p−シリコン基板上にn−ウェル領域を形成し、フィールド絶縁膜を形成し、そして、ゲート絶縁膜を形成し、ゲート電極を形成し、さらに、n−ウェル領域に拡散させた拡散材料をフォトプロセスで拡散させ、p−領域に拡散材料を被覆し、そして、エキシマレーザでスキャンすることによりn−領域とp−領域にソース電極とドレイン電極を形成する。
また、特許文献2(特開昭60−206019号公報)には、光分解反応を起こす光の周波数が異なる2つの成分を、2つの光の周波数を同時にあるいは時間的に順次照射して析出またはドーピングさせることにより、異なる成分からなる複数の層を有する基板を生成する技術が開示されている。
また、特許文献3(特開2005−310830号公報)には、裏面電極型太陽電池であって、3種の拡散層を持つ構造を有するものについての製造方法が開示されている。当該方法によれば、3種の拡散層が順次形成される。その形成プロセスでは、拡散防止マスク形成と拡散処理と拡散防止マスク除去からなる一連の工程が、2回もしくは3回繰り返される。
特開昭63−302518号公報 特開昭60−206019号公報 特開2005−310830号公報
特許文献1に記載の技術によれば、レーザ照射が基板全面に対して一律に行なわれる。このため、基板上において、拡散深さや濃度を個別に制御することができなかった。
また、特許文献2に記載の技術は、拡散材料が光化学反応をするものに限定され、また、析出させる成分ごとに異なる周波数の光を照射する必要があるため光利用効率が良好とは言えず、また、光化学反応に基づくものであるため生成する基板における不純物の拡散深さを制限(たとえば0.5μm以下等)されるという課題があった。
また、特許文献3に記載の技術は、各層を逐次形成する方法であり、各層の拡散深さや拡散濃度を制御することはできるものの、製造効率について改善の余地があると言える。
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、レーザビームによって拡散材料を基板に拡散(ドーピング)させる際に、各拡散層の拡散深さおよび拡散濃度を個別に制御するとともに、製造効率を向上させることである。
本発明に従ったレーザドーピング方法は、第1の拡散材料を、基板の第1の面の第1の領域に付与するステップと、第2の拡散材料を、基板の第1の面の第1の領域とは異なる第2の領域に付与するステップと、第1の拡散材料および第2の拡散材料を付与された基板に所定の波長のレーザ光を照射するステップとを備え、基板にレーザ光を照射するステップは、基板に、第1の拡散材料を、第1の拡散深さおよび第1の拡散濃度で拡散させるための、所定の波長のレーザ光の第1の強度および第1のオーバラップレートを取得するステップと、基板に、第2の拡散材料を、第2の拡散深さおよび第2の拡散濃度で拡散させるための、所定の波長のレーザ光の第2の強度および第2のオーバラップレートを取得するステップと、基板の第1の領域に、1の強度および第1のオーバラップレートで、所定の波長のレーザ光を照射させ、かつ、基板の第2の領域に、第2の強度および第2のオーバラップレートで、所定の波長のレーザ光を照射させるステップとを含む。
また、本発明のレーザドーピング方法は、第3の拡散材料を基板の第1の面の全面に付与するステップと、第3の拡散材料を付与された基板を熱処理することにより、第3の拡散材料を基板の第1の面全体に拡散させるステップと、第3の拡散材料を第1の面の全体に拡散させた後、第1の面表面の第3の拡散材料を除去するステップとをさらに備え、第1の拡散材料を第1の領域に付与するステップでは、第3の拡散材料が拡散された基板に第1の拡散材料を付与することが好ましい。
また、本発明のレーザドーピング方法は、第1の面の第1の領域および第2の領域に拡散防止マスクを形成するステップと、第3の拡散材料を含む気体中で基板の第1の面を熱拡散処理することにより、第1の面の、第1の領域および第2の領域以外の領域に第3の拡散材料を拡散させるステップをさらに備え、第1の拡散材料を第1の領域に付与するステップでは、第3の拡散材料が拡散された基板に第1の拡散材料を付与することが好ましい。
また、本発明のレーザドーピング方法では、第1の領域および第2の領域は、長手方向と短手方向を有する矩形であり、レーザ光を照射するステップでは、基板とレーザ光の発生源とを相対的に移動させることにより、短手方向の幅を有するレーザ光を長手方向にスキャンすることが好ましい。
また、本発明のレーザドーピング方法は、レーザ光を照射するステップでは、単一の光源から供給されるレーザ光を分岐して、レーザ光を照射することが好ましい。
また、本発明のレーザドーピング方法は、第1の領域および第2の領域は、長手方向と短手方向を有する矩形であり、短手方向に並んで配列され、レーザ光を照射するステップでは、第1の領域および第2の領域の形状に対応した線状のレーザ光を第1の面に照射し、基板とレーザ光の発生源とを相対的に移動させることにより、線状のレーザ光を短手方向にスキャンすることが好ましい。
上記構成によれば、基板の第1の拡散材料を付与された領域には、第1の拡散材料を拡散させるための強度およびオーバラップレートでレーザビームが照射され、基板の第2の拡散材料を付与された領域には、第2の拡散材料を拡散させるための強度およびオーバラップレートでレーザビームが照射される。
これにより、基板上に複数の拡散層を形成する場合、各層ごとにレーザビームの強度およびオーバラップレートを調整することにより、各層を逐次形成することなく、複数の拡散層を形成でできる。
したがって、製造効率を従来より向上させた上で、各層ごとに拡散深さおよび拡散濃度を制御できる。
本発明のレーザドーピング方法の一実施の形態におけるレーザビームの照射が実施されるレーザ装置の構成を模式的に示す図である。 図1の制御システムのハードウェア構成を示す図である。 図1の基板にレーザビームが照射される状態を模式的に示す図である。 図1のレーザ装置においてパルスレーザを基板に照射する際のオーバーラップレートを説明するための図である。 レーザビームが矩形である場合のオーバーラップレートを説明するための図である。 本発明の一実施の形態における、基板への拡散領域の形成の手順の一例を説明するための図である。 図1のレーザ装置の変形例の構成を模式的に示す図である。 図6の拡散領域の形成の変形例の手順を説明するための図である。 図6の拡散領域の形成の他の変形例の手順を説明するための図である。 図1に示したレーザ装置の変形例の構成を示す図である。 図1に示したレーザ装置の他の変形例の構成を示す図である。 図11のレーザ装置による基板へのレーザビームの照射態様を説明するための図である。 図11のレーザ装置による基板へのレーザビームの照射態様を説明するための図である。 図1のレーザ装置が照射されるレーザがCW(Continuous wave laser)に変更された際の、同一箇所照射時間を説明するための図である。
以下、本発明に従った情報処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一の機能を発揮する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
[1.レーザ装置の概略構成]
図1は、本発明のレーザドーピング方法の一実施の形態におけるレーザビームの照射が実施されるレーザ装置の構成を模式的に示す図である。
図1を参照して、レーザ装置1は、レーザ発振器400と、ミラー504と、ビームエキスパンダ300と、ミラー503と、回折格子素子502と、対物レンズ501とを含む。また、レーザ装置1は、基板600が載置されるXYテーブル200を含む。
レーザ発振器400から発振されるレーザビームは、ミラー504で反射されてビームエキスパンダ300へ送られ、ビームエキスパンダ300によってその広がり角を調整された後ミラー503へ送られ、ミラー503によって回折格子素子502に送られる。回折格子素子502は、レーザ発振器400が発振した1本のレーザビームを、複数本に分岐する。対物レンズ501には、回折格子素子502によって分岐された光線の数に対応する対物レンズが設けられている。そして、対物レンズ501からXYテーブル200に設置された基板600にレーザビームが照射される。レーザ装置1では、たとえば基板600に対してパルス光が照射される。
XYテーブル200は、基板600を載置される載置台202と、当該載置台202を対物レンズ501に対して移動させる駆動部201を含む。駆動部201は、たとえばモータなどの駆動源を含み、XYテーブル200をX方向(図1の両矢印AX方向)およびY方向(図1の紙面に垂直な方向)に移動させる。
制御システム100は、レーザ発振器400および駆動部201の動作を制御する。制御システム100のハードウェア構成を、図2に示す。
[2.制御システムハードウェア構成]
図2を参照して、制御システム100を構成するコンピュータは、処理装置102、記憶装置103、ROM(Reed Only Memory)104、RAM(Random Access Memory)105、表示装置106、操作パネル107、および、ネットワークインターフェース(I/F)108を備えている。これらの各要素は、バス101によって互いに接続されている。
処理装置102は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。当該プロセッサ(処理装置102)が記憶装置103に記憶されたプログラムを実行することにより、処理装置102は、本明細書に記載された、レーザ発振器400やXYテーブル200の動作の制御を実行する。なお、処理装置102が実行するプログラムは、必ずしも記憶装置103に記憶されていなくてもよく、処理装置102を含むコンピュータに着脱可能に構成された記録媒体に記録されていても良く、レーザ装置1がネットワークに介して通信可能な記憶装置に記憶されていても良い。
RAM105は、処理装置102のワークエリアとなる。操作パネル107は、キーボードやマウス、タッチパネル等の、情報を入力するための周知の装置である。
記憶装置103には、本実施の形態において利用されるパルスエネルギ強度などの種々のデータが記憶されている。その記憶内容については、後述する。
制御システム100は、ネットワークI/F108を介して、XYテーブル200の駆動部201およびレーザ発振器400に制御信号を送信する。これにより、レーザ発振器400は、制御システム100から指示されたタイミングで、指示された強度のレーザビームを発振する。また、駆動部201は、制御システム100から指示されたパターンで、載置台202を移動させる。
[3.レーザビーム照射についての諸条件の決定]
図3は、基板600にレーザビームが照射される状態を模式的に示す図である。
図3を参照して、基板600には、対物レンズ501を介して、複数本のレーザビームBa,Bb,Bc,Bd,Beが同時に照射される。矢印A11〜矢印A13は、基板600に対するレーザビームの走査方向を示している。
レーザビームBa〜Beは、1列に(たとえば、X方向に沿って1列に)配列されている。そして、基板600が、矢印A11〜矢印A13で示される方向に、つまり、レーザビームBa〜Beの配列方向に交わる方向に移動することにより(具体的には、矢印A11、矢印B11、矢印A12、矢印B12、矢印A13の順に移動することにより)、基板600上に、ライン状に、レーザビームが照射される。図3では、基板600上でレーザビームを照射された軌跡が、軌跡E,Ea〜Eeで示されている。
基板600の移動の向きは、対物レンズ501に対して、矢印A11〜A13で示されるように、交互に変更される。これにより、基板600上全体に、所定の間隔で、ライン状のレーザビームを効率よく照射することができる。なお、図3は、矢印A12で示す向きに移動している基板600に対してレーザビームが照射されている状態が示されている。
本実施の形態では、レーザビームの照射側に対して、XYテーブル200を移動させることにより、基板600上のレーザビームの照射位置を変化させることを、スキャンと言う。なお、スキャンは、本実施の形態では、レーザビームを照射する側に対してXYテーブル200の載置台202を移動させることにより実現されるが、本発明はこれに限らず、基板600とレーザビームを照射する側とが相対的に移動することにより基板600上のレーザビームの照射位置がレーザの照射時間の経過に従って変更されればよく、このため、基板600が静止し、レーザビームを照射する側の位置が時間とともに変更されることによりスキャンが実現されてもよいし、また、レーザビームを照射する側および基板600の双方がレーザビームの照射時間とともに移動されることによりスキャンが実現されてもよい。
本実施の形態では、基板600に、高濃度n拡散領域(高濃度でn型半導体のための不純物が拡散される領域。適宜、「n+拡散領域」と記載される。)と低濃度n拡散領域(低濃度でn型半導体のための不純物が拡散される領域。適宜、「n−拡散領域」と記載される。)とp拡散領域(pn型半導体のための不純物が拡散される領域)とを形成するために、それぞれの拡散領域に応じたレーザビームを基板600に照射する。なお、各領域において、拡散材料(不純物)を拡散させる濃度や深さが異なる。本実施の形態では、各領域の拡散深さに応じて、照射するレーザビームのエネルギ密度を調整し、また、拡散濃度に応じて、パルスレーザを基板600上にスキャンさせる際のオーバーラップレートを調整する。
以下、エネルギ密度およびオーバーラップレートを含む、レーザ照射についての諸条件の決定について説明する。
(1) 前提条件
本実施の形態における基板600へのレーザビームの照射に際し、諸条件の決定は、以下のような前提に基づいてなされる。
まず、対物レンズ501を含めた、レーザビームを照射する側の位置が固定され、XYテーブル200が、当該レーザを照射する側に対して移動する。
基板600へのレーザビームの照射中は、XYテーブル200は、等速で移動し、また、照射されるレーザビームは一定の周波数とされる。
基板600上にレーザビームを一定の速度でスキャンするために、スキャンの前にXYテーブル200を加速させる工程が設けられている。また、スキャンの後、または、スキャンの向きを変更する際には、XYテーブル200を減速させる工程が設けられている。加速または減速する工程における加速度は、たとえば1.0G(9.8m/sec2)とされる。
また、対物レンズ501を介して基板600に照射される光は、100%の効率で、基板600上に付与された拡散材料の基板600への拡散に利用される。
(2) スキャン速度
本実施の形態では、スキャン方向についての拡散材料が拡散される寸法は、図3においてLで示されている。つまり、本実施の形態では、レーザビームのスキャンは、距離Lだけ、等速でスキャンされる。
1つの向きでのスキャンに要する処理時間(Tps)は、等速で移動させる前に加速させる時間(加速時間)と、等速で移動させながらレーザビームを照射する時間(等速スキャン時間)と、停止(または、方向転換)に向けて減速させる時間(減速時間)との和で表わされる、具体的には次の式(1)で表わすことができる。
Tps=Ta+Tc+Td …(1)
ここで、上記加速工程は、スキャン速度が0から等速でのレーザビームの照射における速度まで加速される。したがって、加速時間Taは、スキャン速度(V)を加速度(a)で割ったもので表わされる。
また、等速スキャン時間は、基板600上で1つの向きでスキャンされる距離(L)を上記スキャン速度(v)で割ったもの(L/v)で表わすことができる。
また、減速時間(Td)は、減速の開始時の速度(つまり、スキャン速度(v))を加速度(a)で割ったもの(v/a)で表わすことができる。
これにより、上記式(1)は、次の式(2)で表わすことができる。
処理時間(Tps)=v/a+L/v+v/a …(2)
そして、式(2)は、右辺をまとめると、次の式(3)で表わすことができる。
処理時間(Tps)=(2/a)・v+L/v …(3)
ここで、処理時間(Tps)が最小となるvの値は、式(3)をvで微分することにより、求めることができる。式(3)の両辺をvで微分した式を、式(4)として示す。
d(Tps)/dv=2/a−L/v2 …(4)
そして、式(4)において、d(Tps)/dv=0のときのvの値が、処理時間を最小にすることができるスキャン速度となる。
たとえば、L=125mmとし、a=9.8m/sec2とすると、スキャン速度vは、v=782mm/secとして求められる。
(3) オーバーラップレート(OLR)
図4は、パルスレーザを基板600に照射する際のオーバーラップレートを説明するための図である。
図4において、円R11は、ある瞬間での基板600に照射される1本のレーザビームの照射位置を示し、円R12は、円R11の時点から単位時間だけスキャンがなされたときの、レーザビームの照射位置を示している。円R11の直径に対する、円R11と円R12が重なる部分のスキャン方向についての寸法の割合が、オーバラップレートとなる。
単位時間における基板600上のレーザビームの照射位置の移動距離(LP)は、照射されるレーザビームの繰返し周波数(f(Hz))を用いると、次の式(5)で表わすことができる。
v=LP×f …(5)
なお、上記した距離(LP)は、レーザビームの直径(D)とレーザビームのオーバーラップレート(OLR)を用いると、次の式(6)で表わされるため、式(5)は、次の式(7)で表わすことができる。なお、本実施の形態では、オーバラップレート(OLR)は、パーセント表示されている値とする。
LP=2×D×(OLR/100) …(6)
v=2×D×(OLR/100)×f …(7)
つまり、上記のようにスキャン速度(v)が設定された場合、オーバーラップレート(OLR)は、レーザビームの直径(D)とレーザビームの繰返し周波数(f)を調整することにより、調整することができる。
なお、本実施の形態では、レーザビームの直径は、形成する拡散領域の幅(図3のスキャン方向と交わる方向の寸法)とされる。したがって、本実施の形態では、繰返し周波数により、オーバーラップレートが調整される。
図5は、基板600上に照射されるレーザビームの形状が、矩形である場合のオーバーラップレート等の考え方を説明するための図である。
図5では、図4と同様に、レーザビームのスキャン方向のビームの寸法がDで表わされている。また、枠R13は、図4の円R11と同様に、ある瞬間での基板600に照射される1本のレーザビームの照射位置を示し、枠R14は、図4の円R12と同様に、枠R13の時点から単位時間だけスキャンがなされたときの、レーザビームの照射位置を示している。
レーザビームの形状が矩形の場合、枠R13のスキャン方向についての寸法に対する、枠R13と枠R14が重なる部分のスキャン方向についての寸法の割合が、オーバラップレートとなる。
そして、本実施の形態では、レーザビームの形状が矩形である場合であっても、円径である場合と同様に、オーバーラップレートを設定することができる。
(4) レーザビームの1パルスあたりのエネルギ密度
本実施の形態では、基板600に拡散材料を拡散させる深さ(拡散深さ)は、レーザビームの1パルスあたりのエネルギ密度を調整することによって、調整できる。つまり、本実施の形態では、当該エネルギ密度は、基板600における拡散材料の拡散深さに応じて、決定される。
(5) 実施例
本実施の形態では、拡散濃度や拡散深さを決定するためのパラメータ(オーバーラップレートおよびエネルギ密度)は、予めパラメータの値を特定の値で設定して実験を行ない、そのときに得られた半導体における各拡散領域の拡散濃度と拡散深さの値に基づいて、決定される。
なお、レーザ発振器400の仕様として重要な、繰返し周波数および平均出力については、半導体の製造において想定されるオーバーラップレートやビームサイズの範囲から、これらの値の範囲を求めることができる。
繰返し周波数(f)については、スキャン速度(v)とレーザビームの直径(D)とオーバーラップレート(OLR)とから、式(8)に示すように求められる。たとえば、スキャン速度(v)を上記のように求めた782mm/secとし、レーザビームの直径(D)を0.1(mm)とし、そして、オーバーラップレート(OLR)を40〜60%とした場合、繰返し周波数(f)は、下記のように130.3〜195.5(kHz)程度の値が必要とされる。
繰返し周波数(f)=v/{D×(OLR/100)}
=782/{0.1×(0.4〜0.6)}
=130.3〜195.5(kHz) …(8)
また、平均出力については、次の式(9)に示されるように、照射されるレーザビームの1パルスあたりのエネルギ(パルスエネルギ)と繰返し周波数の積によって求めることができる。ここで、パルスエネルギは、エネルギ密度とレーザビームのサイズの積で表わすことができる。
ここで、エネルギ密度を1〜3J/cmとし、ビームサイズを0.001×0.01cmとし、繰返し周波数を式(8)に基づいて200(kHz)程度とした場合、平均出力は、次に式(9)に基づいて、2〜6(W)程度と想定される。
レーザ平均出力=パルスエネルギ×繰返し周波数
=(エネルギ密度×ビームサイズ)×繰返し周波数
={(1〜3)×(0.001×0.01)}×200
=2〜6(W) …(9)
このような想定をすることにより、レーザ発振器400として、最大繰返し周波数200kHz、最大平均出力6Wのレーザ発振器を用いるよう、レーザ装置1のシステムを設計することができる。
[4.拡散領域の形成(1)]
次に、図6を参照して、本実施の形態における、基板への拡散領域の形成の手順について説明する。まず、図6(A)に示されるように、Si基板が準備される。
図6(A)では、基板10の側面が示されている。当該基板10において、厚さDPは約0.2mmとされ、また、X方向の寸法(図3の寸法L1)とY方向の寸法(図3の寸法L2)は、たとえば120〜150mm程度とされる。
なお、これらの寸法は一例であって、本発明に係るレーザドーピング方法が適用される基板のサイズはこれに限定されるものではない。
次に、基板10の主面(レーザビームを照射される面)に、拡散材料が付与される。これにより、図6(B)に示されるように、基板10の主面には、拡散材料20が、所定のパターンで付与された状態となる。拡散材料20は、リンなどの、基板10に拡散させる不純物を含む。拡散材料20は、たとえば、リンなどの不純物を含む液体が、スクリーン印刷やインクジェット印刷により塗布されることにより、基板10上に付与される。なお、拡散材料20が付与される領域は、後述するように、高濃度n拡散領域および低濃度n拡散領域を形成する領域を含み、かつ、p拡散領域が形成される領域以外の領域である。
そして、拡散材料20の乾燥が完了すると、次の工程が実施される。
次の工程では、基板10上に、先に付与された拡散材料とは別の種類の拡散材料(ボロンなどの不純物を含む拡散材料)が、付与される。これにより、図6(C)に示されるように、基板10上にはさらに拡散材料30が付与される。なお、拡散材料30は、後述するように、p拡散領域が形成される領域を含み、高濃度n拡散領域および低濃度n拡散領域が形成される領域以外の領域に、形成される。拡散材料30についても、たとえば、ボロンなどの不純物を含む液体がスクリーン印刷やインクジェット印刷によって塗布されることによって、基板10上に付与される。
拡散材料20および拡散材料30の膜厚については、特に限定されるものではないが、たとえば、0.5〜1μmとすることができる。
そして、拡散材料30が乾燥されると、次の工程に移される。拡散材料20の乾燥および/または拡散材料30の乾燥は、たとえば、100〜200℃に加熱された状態で行なわれる。
なお、本実施の形態では、基板10に対して、p拡散領域のための拡散材料の付与の後でn拡散領域のための拡散材料が付与されたが、この順番に限定されるものではなく、先に付与された拡散材料の乾燥が完了してから次の拡散材料が付与されれば、n拡散領域のための拡散材料が先に付与されても良い。
拡散材料20および拡散材料30を付与された基板10に対して、図6(D)に示されるように、レーザビームが照射される。
なお、図6(D)では、レーザビームが、下向きの矢印で示されている。なお、各矢印には、矢印B1,矢印B2,矢印B3のように、異なる参照符号が付されている。これらの矢印には、照射されるレーザビームのエネルギ密度および/または繰返し周波数が異なるものについては、異なる参照符号が付されている。
図6(D)には、レーザビームの照射により、基板10に形成される拡散領域が合わせて示されている。具体的には、基板10には、p拡散領域40と、高濃度n拡散領域60と、低濃度n拡散領域50が形成されている。
矢印B1で示されるレーザビームが照射された領域には、p拡散領域が形成され、矢印B3に対応するレーザビームが照射された領域には、高濃度n拡散領域が形成され、そして、矢印B2に対応するレーザビームが照射された領域には、低濃度n拡散領域が形成されている。
図6(D)から理解されるように、本実施の形態では、隣接する拡散領域ごとに、拡散濃度および拡散深さを実現するための、エネルギ密度および/または繰返し周波数のレーザビームが照射される。隣接するレーザビームごとにエネルギ密度を変更する場合には、たとえば、図1の回折格子素子502と対物レンズ501の間に、各レーザビームのエネルギ密度を調整する機構(たとえば、フィルタ)を配置する。隣接するレーザビームごとに繰返し周波数を変更する場合には、たとえば、図7に示されるように、同時に照射される各レーザビームごとに、レーザ発振器を設ける。
図7では、レーザ発振器421A〜421Dのそれぞれから出力されるレーザビームが、ミラー524A〜524D、ビームエキスパンダ321A〜321D、ミラー523A〜523Dを介して、対物レンズ521A〜521Dのそれぞれから、基板600へと照射される。
たとえば、レーザ発振器421Aは、矢印B1に対応するレーザビームを出力する。レーザ発振器421Bは、矢印B2に対応するレーザビームを出力する。レーザ発振器421Cは、矢印B3に対応するレーザビームを出力する。レーザ発振器421Dは、矢印B2に対応するレーザビームを出力する。レーザ発振器421A〜421Dが出力するレーザビームのエネルギ強度および繰返し周波数は、制御システム100によって制御される。
[5.拡散領域の形成(2)]
次に、図8を参照して、本実施の形態における、基板への拡散領域の形成の変形例の手順について説明する。
本変形例では、図8(A)に示されるように基板10を準備した後、図8(B)に示されるように、n−拡散領域を形成するためのリンなどの不純物を含む溶液を塗布することにより拡散材料21を基板10の主面全体に付与する。当該溶液の塗布は、たとえば、スピンコート、スプレーコート、スリットコートなどの方法によってなされる。
当該溶液を乾燥させた後、図8(C)に示されるように、熱拡散処理を行なうことにより、基板10表面にn−拡散領域50を形成する。
そして、図8(D)に示されるように、拡散材料21を除去する。
そして、図6(B)および図6(C)を参照して説明したように、拡散材料20および拡散材料30を基板10上に付与する。これにより、基板10上には、図8(E)に示されるように、拡散材料20および拡散材料30が付与される。
そして、拡散材料30が付与された領域にp+拡散領域を形成するためのレーザビーム(矢印B1)を照射し、拡散材料20が付与された領域にn+拡散領域を形成するためのレーザビーム(矢印B3)を照射する。
本変形例では、レーザドーピングの前処理として、n−拡散領域が熱処理により形成される。つまり、本発明に係るレーザドーピング方法は、熱処理による拡散領域の形成と組合わせることができる。
[6.拡散領域の形成(3)]
次に、図9を参照して、本実施の形態における、基板への拡散領域の形成の他の変形例の手順について説明する。
本変形例では、図9(A)に示されるように基板10を準備した後、図9(B)に示されるように、p拡散領域を形成する領域に、拡散防止マスク70が形成される。拡散防止マスクの形成は、たとえば、印刷やインクジェットにより、SiOなどの薄膜にエッチングでパターン形成することにより行なわれる。
次に、図9(C)に示されるように、気相熱拡散により、n−拡散領域50が形成される。このときの気相熱拡散は、たとえば、POCl雰囲気中での熱拡散である。
次に、図9(D)に示されるように、拡散防止マスク70を除去する。
そして、図6(B)および図6(C)を参照して説明したように、拡散材料20および拡散材料30を基板10上に付与する。これにより、基板10上には、図9(E)に示されるように、拡散材料20および拡散材料30が付与される。
そして、拡散材料30が付与された領域にp+拡散領域を形成するためのレーザビーム(矢印B1)を照射し、拡散材料20が付与された領域にn+拡散領域を形成するためのレーザビーム(矢印B3)を照射する。
本変形例では、レーザドーピングの前処理として、気相熱拡散により形成される。つまり、本発明に係るレーザドーピング方法は、気相熱拡散による拡散領域の形成と組合わせることができる。
[7.装置構成の変形例(1)]
図10は、図1に示したレーザ装置1の変形例の構成を示す図である。
本変形例では、回折格子素子502の代わりに、ビームスプリッタ512が設けられている。そして、ビームスプリッタ512により分岐されたそれぞれのレーザビームは、対物レンズ511を介して、基板600へと照射される。
[8.装置構成の変形例(2)]
図11は、図1に示したレーザ装置1の他の変形例の構成を示す図である。
本変形例では、図12に示されるように、基板600に対して、ライン状に配列されたレーザビームが照射される。
本変形例では、スキャン方向は、図12に示されるように、レーザビームの配列方向に交わる方向(矢印A2で示される方向)とされる。
本変形例では、スキャン動作中、レーザビームの照射のON/OFFを繰り返すことにより、図12に示されるように、基板600に対してラインEごとにレーザビームを照射できる。
また、本変形例では、レーザビームの配列方向に沿って、図13に示すようにレーザビームの強度を調整することにより、当該配列方向においても、付与された拡散材料のパターンに応じたレーザビームの照射を実現することができる。
[9.CWレーザ]
図14は、レーザ装置において照射されるレーザビームがCWレーザとされた場合の、基板に対する拡散濃度の変更を説明するための図である。
レーザ装置1において、照射されるレーザビームがパルスレーザの場合には、拡散濃度を変更する場合、オーバラップレートが調整されていた。
照射されるレーザビームがCWレーザとされた場合、オーバラップレートの代わりに、同一箇所にレーザビームが照射される時間(同一箇所照射時間)が調整される。
図14(A)は、レーザビーム形状が円径である場合が示されている。図14(A)において、円R21は、ある瞬間での基板600に照射される1本のレーザビームの照射位置を示し、円R22は、円R21の時点から単位時間だけスキャンがなされたときの、レーザビームの照射位置を示している。
図14(B)は、レーザビーム形状が矩形である場合が示されている。図14(B)において、枠R23は、ある瞬間での基板600に照射される1本のレーザビームの照射位置を示し、枠R24は、枠R23の時点から単位時間だけスキャンがなされたときの、レーザビームの照射位置を示している。
図14(A)および図14(B)から理解されるように、基板600上において、ビーム寸法をDとし、スキャン速度をvとされた場合、同一箇所照射時間は、D/vで表される。
CWレーザが採用された場合には、オーバラップレートの代わりに、同一箇所照射時間が調整されることにより、基板に対する拡散材料の拡散濃度を調整することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 レーザ装置、10,600 基板、20,21,30 拡散材料、40,50,60 拡散領域、70 拡散防止マスク、100 制御システム、200 XYテーブル、201 駆動部、202 載置台、300,321A〜321D ビームエキスパンダ、400,421A〜421D,421A,421B,421C,421D レーザ発振器、501 対物レンズ、502 回折格子素子、503,504 ミラー、512 ビームスプリッタ。

Claims (6)

  1. 第1の拡散材料を、基板の第1の面の第1の領域に付与するステップと、
    第2の拡散材料を、前記基板の前記第1の面の前記第1の領域とは異なる第2の領域に付与するステップと、
    前記第1の拡散材料および前記第2の拡散材料を付与された前記基板に所定の波長のレーザ光を照射するステップとを備え、
    前記基板にレーザ光を照射するステップは、
    前記基板に、前記第1の拡散材料を、第1の拡散深さおよび第1の拡散濃度で拡散させるための、前記所定の波長のレーザ光の第1の強度および第1のオーバラップレートを取得するステップと、
    前記基板に、前記第2の拡散材料を、第2の拡散深さおよび第2の拡散濃度で拡散させるための、前記所定の波長のレーザ光の第2の強度および第2のオーバラップレートを取得するステップと、
    前記基板の前記第1の領域に、前記1の強度および前記第1のオーバラップレートで、前記所定の波長のレーザ光を照射させ、かつ、前記基板の前記第2の領域に、前記第2の強度および前記第2のオーバラップレートで、前記所定の波長のレーザ光を照射させるステップとを含む、レーザドーピング方法。
  2. 第3の拡散材料を前記基板の前記第1の面の全面に付与するステップと、
    前記第3の拡散材料を付与された前記基板を熱処理することにより、前記第3の拡散材料を前記基板の前記第1の面全体に拡散させるステップと、
    前記第3の拡散材料を前記第1の面の全体に拡散させた後、前記第1の面表面の前記第3の拡散材料を除去するステップとをさらに備え、
    前記第1の拡散材料を前記第1の領域に付与するステップでは、前記第3の拡散材料が拡散された前記基板に前記第1の拡散材料を付与する、請求項1に記載のレーザドーピング方法。
  3. 前記第1の面の前記第1の領域および前記第2の領域に拡散防止マスクを形成するステップと、
    第3の拡散材料を含む気体中で前記基板の前記第1の面を熱拡散処理することにより、前記第1の面の、前記第1の領域および前記第2の領域以外の領域に前記第3の拡散材料を拡散させるステップをさらに備え、
    前記第1の拡散材料を前記第1の領域に付与するステップでは、前記第3の拡散材料が拡散された前記基板に前記第1の拡散材料を付与する、請求項1に記載のレーザドーピング方法。
  4. 前記第1の領域および前記第2の領域は、長手方向と短手方向を有する矩形であり、
    前記レーザ光を照射するステップでは、前記基板とレーザ光の発生源とを相対的に移動させることにより、前記短手方向の幅を有するレーザ光を長手方向にスキャンする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のレーザドーピング方法。
  5. 前記レーザ光を照射するステップでは、単一の光源から供給されるレーザ光を分岐して、レーザ光を照射する、請求項4に記載のレーザドーピング方法。
  6. 前記第1の領域および前記第2の領域は、長手方向と短手方向を有する矩形であり、短手方向に並んで配列され、
    前記レーザ光を照射するステップでは、
    前記第1の領域および前記第2の領域の形状に対応した線状のレーザ光を前記第1の面に照射し、
    前記基板とレーザ光の発生源とを相対的に移動させることにより、前記線状のレーザ光を前記短手方向にスキャンする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のレーザドーピング方法。
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