JP2012008048A - 圧損調節部材及び原子炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料集合体への冷却材の流量を容易に分散させること。
【解決手段】圧損調節部材60に、下部ノズルに複数形成される位置決め孔同士の相対的な位置関係と同じ位置関係で複数が形成されることにより、下部炉心板22に複数形成される位置決めピン24が入り込むことが可能な係合孔61と、燃料集合体の周囲を流れる軽水が下部炉心板22に形成される炉心板連通孔23のみを通過する際の圧損よりも大きい圧損にして軽水を通過させることができる圧損調節孔62と、を備える。これにより、圧損調節部材60は、容易に下部炉心板22上に配置することができ、また、この圧損調節部材60を、圧損が小さい燃料集合体と下部炉心板22との間に配設することにより、圧損が小さい燃料集合体に流れる軽水の流量を低減させることができる。この結果、燃料集合体への軽水の流量を容易に分散させることができる。
【選択図】図9

Description

本発明は、圧損調節部材及び原子炉に関するものである。
原子炉において燃料を反応させる部分である炉心は、複数の燃料棒をまとめた燃料集合体の状態で炉心内に配設されており、燃料集合体の周囲は、冷却材や減速材として用いられる軽水で満たされている。また、原子炉の一種である加圧水型原子炉(PWR)では、エネルギを取り出す際における経路を一次冷却系と二次冷却系とに分離し、一次冷却系では炉心内を含んで循環する軽水を加圧して沸騰しないようにすることにより、燃料の反応時の熱を受ける軽水を高温高圧水にし、二次冷却系では二次冷却系を循環する軽水で一次冷却系の高温高圧水の熱を受けることにより軽水を沸騰させ、エネルギを高温高圧の蒸気として取り出す。
この加圧水型原子炉では、燃料集合体は下部ノズル上に載置された状態で、原子炉容器の下方に設けられる下部炉心板上に複数が載置されている。また、下部炉心板と下部ノズルとには、共に複数の孔が形成されており、炉心内を循環する軽水は、下部炉心板の下方側から上方に向って流れて下部炉心板の孔を通った後、下部ノズルの孔を通ることにより、下部ノズル上の燃料集合体の方向に流れる。これにより、この軽水は、燃料の反応時における熱を受けながら一次冷却系を循環する。
加圧水型原子炉では、軽水の循環時は、このように下部炉心板や下部ノズルの孔を通って燃料集合体の周囲に流れるが、燃料集合体の周囲に流れる軽水の流量は、燃料集合体の配設位置によって異なる場合がある。また、原子炉の運転時の性能を考慮した場合には、燃料集合体への流量を調節するのが好ましい場合もある。これらのため、従来の原子炉では、燃料集合体に流れる軽水の流量を調節する構造を設けているものがある。
例えば、特許文献1に記載された原子炉では、下部炉心板に複数形成される孔のうち、下部炉心板の外周部に形成された孔の流動抵抗に対して、下部炉心板の中心部に形成された孔の流動抵抗を大きくするように、下部炉心板に流動抵抗変更部材を設けている。軽水が下部炉心板の孔を通過する際には、原子炉内の構造物等の影響により、下部炉心板の外周部よりも中心部付近の方が流量が増加する流量分布が発生し易くなるが、流動抵抗変更部材によってこのように流動抵抗を変化させることにより、流量分布の均一化を図ることができる。
また、特許文献2に記載された圧損可変加圧水型原子炉用燃料集合体では、下部ノズルの下面に、下部ノズルに形成された複数の孔に対応する位置に配設される圧損調節素子が固定された圧損調節板を、ネジによって固定している。これにより、下部ノズル上に位置する燃料集合体への軽水の流量を燃料集合体ごとに調節することができる。
特開2009−75001号公報 特開平5−240982号公報
ここで、原子炉によって燃料集合体からエネルギを取り出す際には、下部炉心板の下方側から燃料集合体の方向に流れる軽水の流量を分散し、複数の燃料集合体に対してなるべく均一に流れるようにするのが好ましいが、原子炉では、検査時に下部炉心板上における燃料集合体の配設位置を変える場合がある。また、燃料集合体は、燃料集合体によって圧損が異なっている場合がある。このため、燃料集合体の配設位置を変更した際には、燃料集合体での圧損に応じて流動抵抗を変更するのが好ましい状態になる場合があるが、特許文献1のように流動抵抗変更部材を下部炉心板に設ける場合、流動抵抗を変更するのが好ましい状態になった場合でも、この変更に対応するのが困難なものになっている。
また、特許文献2のように下部ノズルの下面に圧損調節板をネジによって固定する場合には、個々の下部ノズルに対して圧損調節板を取り付けるので、圧損調節板を交換することにより流動抵抗を変更することは可能にはなっている。しかし、この圧損調節板は、下部炉心板上に多数が配設される下部ノズルに対してネジによって固定するので、流量の調節に用いる部材を設けるのが煩雑なものとなっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、燃料集合体への冷却材の流量を容易に分散させることのできる圧損調節部材及び原子炉を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る圧損調節部材は、燃料集合体の一端に配設される下部ノズルを一方の面に複数配設可能な下部炉心板に複数形成される位置決めピンが入り込む孔であり、前記下部ノズルに複数形成される孔である位置決め孔同士の相対的な位置関係と同じ位置関係で複数が形成されることにより、前記位置決めピンが入り込むことが可能な係合孔と、前記燃料集合体の冷却材が前記下部炉心板に形成される炉心板連通孔のみを通過する際の圧損よりも大きい圧損にして前記冷却材を通過させることができる圧損調節孔と、を備えることを特徴とする。
この発明では、圧損調節部材に、下部ノズルに複数形成される位置決め孔同士の相対的な位置関係と同じ位置関係で、下部炉心板の位置決めピンが入り込むことが可能な係合孔が複数形成されているので、位置決めピンと係合孔とを用いて、圧損調節部材を容易に下部炉心板上に配置することができる。また、圧損調節部材には、燃料集合体の冷却材が炉心板連通孔のみを通過する際の圧損よりも大きい圧損にして冷却材を通過させることができる圧損調節孔が形成されている。このため、圧損調節部材が配設された下部炉心板から下部ノズルの方向に冷却材が流れる場合には、炉心板連通孔を通過した冷却材は、圧損調節孔を通過して流れるため、下部炉心板上に圧損調節部材が配設されない場合と比較して、圧損が大きくなった状態で流れる。これにより、圧損が小さい燃料集合体の下部ノズルと下部炉心板との間に圧損調節部材を配設することにより、この燃料集合体に対して流れる冷却材の圧損を大きくし、流量を低減させることができる。従って、この燃料集合体を流れる冷却材の流量を、圧損が大きい燃料集合体を流れる冷却材の流量と同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体への冷却材の流量を容易に分散させることができる。
また、上記圧損調節部材において、前記圧損調節孔は、前記下部炉心板に複数形成される前記炉心板連通孔のうち1つの前記下部ノズルに対して前記冷却材を流す1つまたは複数の前記炉心板連通孔の合計の開口面積よりも有効的な開口面積の合計が小さくなっていることが好ましい。
この発明では、圧損調節孔は、下部炉心板に複数形成される炉心板連通孔のうち、1つの下部ノズルに対して冷却材を流す炉心板連通孔の開口面積よりも、有効的な開口面積が小さくなっている。このため、冷却材が炉心板連通孔と圧損調節孔とを通過する際の圧損を、冷却材が炉心板連通孔のみを通過する際の圧損よりも、より確実に大きくすることができる。これにより、圧損が小さい燃料集合体の下部ノズルと下部炉心板との間に圧損調節部材を配設することにより、この燃料集合体を流れる冷却材の流量を、圧損が大きい燃料集合体を流れる冷却材の流量と、より確実に同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体への冷却材の流量を、より確実に分散させることができる。
また、上記圧損調節部材において、前記圧損調節孔は、複数形成されており、前記炉心板連通孔を通過した前記冷却材を分流させることが可能になっていることが好ましい。
この発明では、圧損調節孔は、炉心板連通孔を通過した冷却材を分流させることが可能になっているので、流れる冷却材を分流することによって発生する抵抗により、冷却材が炉心板連通孔の通過後に圧損調節孔を通過する場合の圧損を、冷却材が炉心板連通孔のみを通過する際の圧損よりも、より確実に大きくすることができる。これにより、圧損が小さい燃料集合体の下部ノズルと下部炉心板との間に圧損調節部材を配設することにより、この燃料集合体を流れる冷却材の流量を、圧損が大きい燃料集合体を流れる冷却材の流量と、より確実に同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体への冷却材の流量を、より確実に分散させることができる。
また、上記圧損調節部材において、前記係合孔と前記圧損調節孔とは、同一平面上に形成されていることが好ましい。
この発明では、係合孔と圧損調節孔とを同一平面上に形成するので、圧損調節部材を容易に形成することができる。この結果、燃料集合体への冷却材の流量を、より容易に分散させることができる。
また、上記圧損調節部材において、さらに、前記下部ノズルに複数形成される脚部の端部を前記位置決め孔と前記係合孔とが連通するように一方の面に接触させた際に、複数の前記脚部のうち隣り合う前記脚部同士の間に位置する部分には、前記脚部同士の間隔よりも長さが短く、且つ、前記脚部の高さよりも高さ低い遮蔽部が設けられていることが好ましい。
この発明では、圧損調節部材における、下部ノズルに複数形成される脚部同士の間に位置する部分に、遮蔽部を設けるので、冷却材が下部炉心板側から下部ノズルに流れる際に、隣り合う下部ノズル同士の間の冷却材の流れを、遮蔽部で遮断することができる。これにより、下部炉心板を通過した冷却材が、圧損調節部材が配設されることにより流量が少なくなっている下部ノズルの方向に流れることを抑制することができ、複数の燃料集合体を流れる冷却材の流量を、より確実に同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体への冷却材の流量を、より確実に分散させることができる。
また、上記圧損調節部材において、さらに、前記圧損調節孔が形成される圧損調節部と、前記係合孔が形成されると共に前記係合孔に前記位置決めピンが入り込む方向における位置が前記圧損調節部とは異なっている取付部と、を有しており、前記圧損調節部は、前記位置決めピンが前記係合孔に入り込んだ際に、前記下部炉心板に対して離間するように形成されていることが好ましい。
この発明では、圧損調節孔は圧損調節部に形成され、係合孔は取付部に形成されており、位置決めピンが係合孔に入り込んだ際には、圧損調節部は下部炉心板に対して離間するように形成されている。これにより、下部炉心板の炉心板連通孔を通過し、下部ノズルの方向に流れる冷却材に対して、下部ノズルにより近い位置で圧損調節孔を通過させることができる。従って、圧損を大きくして流量を低減させた直後の冷却材を下部ノズルに流し、燃料集合体に流すことができるので、圧損が小さい燃料集合体を流れる冷却材の流量を、より確実に低減させることができる。この結果、燃料集合体への冷却材の流量を、より確実に分散させることができる。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る原子炉は、燃料集合体の冷却材を前記燃料集合体の方向に流すことができるノズル連通孔と、位置決め用の孔である位置決め孔と、がそれぞれ複数形成され、且つ、前記燃料集合体の一端に配設される下部ノズルと、一方の面に複数形成される位置決めピンを前記位置決め孔に入り込ませることにより複数の前記下部ノズルを配設可能に設けられており、且つ、前記下部ノズル側の反対側の面の方向から前記下部ノズルの方向に前記冷却材を流すことができる炉心板連通孔が複数形成される下部炉心板と、相対的に圧損が小さい前記燃料集合体の一端に配設される前記下部ノズルと前記下部炉心板との間の位置で前記係合孔に前記位置決めピンが入り込むことにより、当該下部ノズルと前記下部炉心板との間に配設される上記圧損調節部材と、を備えることを特徴とする。
この発明では、相対的に圧損が小さい燃料集合体の一端に配設される下部ノズルと下部炉心板との間に、上述した圧損調節部材を配設するので、圧損調節部材の配置時には、下部炉心板が有する位置決めピンと圧損調節部材に形成される係合孔とを用いて容易に配置することができる。また、圧損調節部材を、相対的に圧損が小さい燃料集合体の一端に配設される下部ノズルと下部炉心板との間に配設するので、この燃料集合体を流れる冷却材の流量を、相対的に圧損が大きい燃料集合体を流れる冷却材の流量と同程度にすることができる。つまり、圧損調節部材は、下部炉心板から下部ノズルの方向に冷却材が流れる場合に、圧損調節部材が配設されない場合と比較して、圧損が大きくなった状態で流れるようにすることができる。このため、この圧損調節部材を、相対的に圧損が小さい燃料集合体の一端に配設される下部ノズルと下部炉心板との間に配設することにより、冷却材が下部炉心板から燃料集合体の方向に流れる際に、圧損が小さい燃料集合体に対して多く流れることを抑制することができる。これにより、燃料集合体に流れる冷却材の流量を、燃料集合体の圧損の大小に関わらず同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体への冷却材の流量を容易に分散させることができる。
本発明に係る圧損調節部材は、燃料集合体への冷却材の流量を容易に分散させることができる、という効果を奏する。また、本発明に係る原子炉は、燃料集合体への冷却材の流量を容易に分散させることができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態1に係る圧損調節部材を備える原子炉の概略図である。 図2は、図1のA−A断面図である。 図3は、図1に示す下部炉心板の要部詳細図である。 図4は、下部ノズルの上面側の斜視図である。 図5は、下部ノズルの下面側の斜視図である。 図6は、実施形態1に係る圧損調節部材の上面側の斜視図である。 図7は、実施形態1に係る圧損調節部材の下面側の斜視図である。 図8は、図6、7に示す圧損調節部材を下部炉心板上に配置した状態を示す斜視図である。 図9は、図8の要部断面図である。 図10は、実施形態2に係る圧損調節部材の斜視図である。 図11は、図10に示す圧損調節部材を下部炉心板上に配置した状態を示す斜視図である。 図12は、実施形態3に係る圧損調節部材の斜視図である。 図13は、図12に示す圧損調節部材を下部炉心板上に配置した状態を示す斜視図である。 図14は、図13の要部断面図である。 図15は、実施形態1に係る圧損調節部材の変形例を示す斜視図である。 図16は、図15の要部断面図である。
以下に、本発明に係る圧損調節部材及び原子炉の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る圧損調節部材を備える原子炉の概略図である。なお、以下の説明では、原子炉1の使用時の設置状態における上方を各部においても上方とし、使用時の設置状態における下方を各部においても下方として説明する。図1に示す原子炉1は、エネルギを取り出す際における経路を一次冷却系と二次冷却系とに分離した加圧水型原子炉(Pressurized Water Reactor)となっている。加圧水型原子炉が使用される原子力発電プラントの概略について説明すると、加圧水型原子炉では、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、この軽水の循環経路である一次冷却系に加圧器(図示省略)を設けることにより、一次冷却系では軽水を炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水にする。一次冷却系では高温高圧水を、二次冷却系との間で熱交換を行う部分である蒸気発生器(図示省略)に送り、二次冷却系を循環する軽水との間で熱交換を行う。二次冷却系では、この熱交換により蒸気を発生させ、発生した蒸気をタービン発電機(図示省略)へ送ることにより、タービン発電機で発電をする。
このように加圧水型原子炉として設けられる実施形態1に係る原子炉1は、圧力容器として設けられる原子炉容器10は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体11と、その上部に装着され、原子炉容器本体11に対して開閉可能な原子炉容器蓋12とにより構成されている。このうち、原子炉容器本体11は、原子炉1の設置時の上下方向における上部は開口すると共に、下部は球面状に閉塞された略円筒形の形状で形成されている。また、原子炉容器本体11には、開口側の端部である上端側付近に、一次冷却系で用いる冷却水である一次冷却水としての軽水(冷却材)を給排水する入口ノズル15及び出口ノズル16が形成されている。
図2は、図1のA−A断面図である。原子炉容器本体11に形成される入口ノズル15と出口ノズル16とは、4つずつ形成されており、合計8つのノズルは、略円筒形の形状で形成される原子炉容器本体11の外周にほぼ等間隔で配設されている。詳しくは、入口ノズル15と出口ノズル16とは、同じ種類のノズルが2つ連続で並び、連続で並んだ同じ種類の2つのノズルを1組とした場合に、この組みとなっているノズルが交互に配設されている。
また、原子炉容器本体11内における、入口ノズル15及び出口ノズル16の下方には、略円筒形の形状で形成される炉心槽20が配設されており、炉心槽20は、原子炉容器本体11の内面と所定の隙間を有して配設されている。つまり、略円筒形の形状で形成される炉心槽20は、同様に略円筒形の形状で形成される原子炉容器本体11よりも小さい径で形成されており、炉心槽20は、双方の円筒形の中心軸が一致するように原子炉容器本体11内に配設されることにより、原子炉容器本体11の内面との間に隙間を有している。
また、炉心槽20の上部には、円板形状で形成され、多数の連通孔(図示省略)が形成された上部炉心板21が連結されている。また、炉心槽20の下部には、同様に円板形状で形成された下部炉心板22が連結されており、この下部炉心板22には、当該下部炉心板22の連通孔である炉心板連通孔23(図3参照)が多数形成されている。また、原子炉容器本体11の内部には、炉心槽20の上方に位置し、円板状の形状で形成される上部炉心支持板25が固定されており、上部炉心支持板25から複数の炉心支持ロッド26を介して上部炉心板21が吊り下げ支持されている。つまり、上部炉心板21に連結される炉心槽20は、上部炉心板21が炉心支持ロッド26を介して上部炉心支持板25に上部炉心板21が吊り下げ支持されることにより、当該炉心槽20も上部炉心支持板25に吊り下げ支持されている。一方、下部炉心板22は、原子炉容器本体11の内面に対して複数のラジアルキー27により位置決め保持されており、これにより、炉心槽20は、複数のラジアルキー27により原子炉容器本体11の内面に対して位置決め保持されている。
炉心30は、これらのように設けられる炉心槽20と上部炉心板21と下部炉心板22とにより形成されており、この炉心30には、多数の燃料集合体31が配置されている。この燃料集合体31は、多数の燃料棒が支持格子により格子状に束ねられて構成されており、上端部に上部ノズル(図示省略)が固定され、下端部に下部ノズル50(図4参照)が固定されている。また、燃料集合体31には、多数の燃料棒に加えて、制御棒が挿入される制御棒案内管と、炉内計装用検出器が挿入される炉内計装案内管を有している。
上部炉心支持板25は、多数の制御棒クラスタ案内管35と多数の炉内計装案内管36とを支持しており、上部炉心支持板25は、制御棒クラスタ案内管35や炉内計装案内管36が当該上部炉心支持板25を貫通した状態で、これらを支持している。このうち、制御棒クラスタ案内管35は、複数の制御棒がまとめて駆動されるクラスタ型制御棒(図示省略)用の案内管として設けられており、原子炉容器蓋12に設けられた制御棒駆動装置(図示省略)から延出された制御棒クラスタ駆動軸が、制御棒クラスタ案内管35内を通って燃料集合体31まで延出されている。制御棒は、この制御棒クラスタ駆動軸の下端部に取り付けられており、燃料集合体31が有する制御棒案内管に挿入されている。また、炉内計装案内管36は、原子炉容器10内の中性子を測定する炉内中性子計装(図示省略)用の案内管として設けられており、下端部が燃料集合体31まで延出されている。
また、原子炉容器10内において、炉心30の上方に位置して出口ノズル16に連通する部分は上部プレナム41として形成されており、炉心30の下方に位置し、下部炉心板22と、原子炉容器本体11の下部で球面状の閉塞されている部分の内面とで形成される半球状の空間は、下部プレナム42として形成されている。さらに、原子炉容器10と炉心槽20との間に形成され、入口ノズル15と下部プレナム42とに連通する部分は、ダウンカマー部45として形成されている。つまり、上部プレナム41は、炉心槽20と上部炉心支持板25と上部炉心板21とで区画されることにより形成され、出口ノズル16に連通すると共に、上部炉心板21に形成された多数の連通孔を介して炉心30に連通している。また、下部プレナム42は、炉心槽20の底部となる下部炉心板22と原子炉容器本体11とで区画されることにより形成され、下部炉心板22に形成された多数の連通孔を介して炉心30に連通している。また、ダウンカマー部45は、原子炉容器本体11と炉心槽20の側壁とによって区画されることにより形成され、上部は入口ノズル15に連通しており、下部は下部プレナム42に連通している。
図3は、図1に示す下部炉心板の要部詳細図である。下部炉心板22には、板の厚さ方向、即ち、上下方向にあけられた連通孔である炉心板連通孔23が、多数形成されている。また、下部炉心板22上には、多数の燃料集合体31を配置することが可能に設けられており、下部炉心板22における燃料集合体31を配置する側の面である上面側には、燃料集合体31の配置に用いるピンである位置決めピン24が設けられている。
この位置決めピン24は、下部炉心板22の上面に、丸棒の形状で上方に突出して形成されており、先端部分はテーパー状に形成され、先細りになっている。また、位置決めピン24は、燃料集合体31を下部炉心板22上に配置する際に、燃料集合体31の下端部に固定される下部ノズル50(図4参照)の配置位置の位置決めに用いることにより、燃料集合体31を適切な位置に配置することができるように設けられている。つまり、位置決めピン24は、下部炉心板22上において下部ノズル50が配置される部分に、適切位置に下部ノズル50を配置することができるように設けられている。
図4は、下部ノズルの上面側の斜視図である。図5は、下部ノズルの下面側の斜視図である。燃料集合体31の下方側の端部に配設される下部ノズル50は、略矩形状の板状の形状で形成されるノズル部51と、このノズル部51に複数形成される脚部55とを有している。このうち、ノズル部51には、板の厚さ方向に貫通する孔であるノズル連通孔52が多数形成されている。また、脚部55は、ノズル部51の一方の面に設けられており、4つの脚部55がこの面の四隅からノズル部51の厚さ方向に、同じ高さで突出して形成されている。
また、この脚部55には、ノズル部51側の端部の反対側に位置する端部に、脚部55の高さ方向に形成された孔である位置決め孔56が形成されている。この位置決め孔56は、下部炉心板22に形成される位置決めピン24が入り込む孔として脚部55の端部に開口し、所定の深さで形成されている。このように形成される下部ノズル50は、脚部55側が下方に位置し、ノズル部51における脚部55が形成されている側の面が上方を向く向きで燃料集合体31の下端部に固定されており、燃料集合体31は、ノズル部51における脚部55側の面の反対側の面に載置されている。
下部ノズル50を、脚部55側が下方に位置する向きで下部炉心板22上に載置する場合には、4つの脚部55に形成される4つの位置決め孔56のうち、2つの位置決め孔56に、下部炉心板22に形成される位置決めピン24を入り込ませる。つまり、脚部55は、矩形状に形成されるノズル部51の4つの角部から突出しているが、位置決めピン24は、ノズル部51において対角の位置関係になる2つの角部から突出する脚部55に形成される2つの位置決め孔56に入り込ませる。
これらのように、下部炉心板22上において下部ノズル50が配置される部分に形成される2つの位置決めピン24と、下部ノズル50が有するノズル部51の対角に位置する2つの脚部55に形成される2つの位置決め孔56とは、相対的な位置関係がほぼ同一の位置関係になっており、下部ノズル50を下部炉心板22上に配置する際には、この2つの位置決めピン24を2つの位置決め孔56に入り込ませた状態で配置する。
図6は、実施形態1に係る圧損調節部材の上面側の斜視図である。また、下部ノズル50と下部炉心板22とは、双方の間に圧損調節部材60を介在させて下部ノズル50を下部炉心板22上に配置することができるように設けられている。この圧損調節部材60について説明すると、圧損調節部材60は、略矩形状の薄い板状の形状で形成されており、矩形の2組の対角のうち、一方の対角を構成する2つの角部の近傍に、板の厚さ方向に貫通する孔である係合孔61が形成されている。
この係合孔61は、下部炉心板22に形成される位置決めピン24が入り込む孔として設けられており、下部ノズル50に複数形成される位置決め孔56同士の相対的な位置関係と同じ位置関係で形成されている。つまり、圧損調節部材60の2つの角部の近傍に形成される2つの係合孔61は、下部ノズル50に4つ形成される位置決め孔56のうち、下部ノズル50の配置時に2つの位置決めピン24が入り込む2つの位置決め孔56同士の相対的な位置関係と同じ位置関係で形成されている。これにより、圧損調節部材60に形成される2つの係合孔61には、下部炉心板22に多数形成される位置決めピン24のうち、1つの下部ノズル50の位置決め孔56に入り込むことができる2つの位置決めピン24が、入り込むことが可能になっている。
さらに、圧損調節部材60には、当該圧損調節部材60の板の厚さ方向に貫通する孔である圧損調節孔62が、複数形成されている。圧損調節部材60は、板状の形状で形成されているため、係合孔61と圧損調節孔62とは、同一平面上に形成されている。
また、圧損調節孔62は、下部炉心板22の位置決めピン24が係合孔61に入り込んだ状態における炉心板連通孔23に対応する位置に、炉心板連通孔23と同数で形成されている。つまり、圧損調節部材60の圧損調節孔62は、係合孔61との位置関係が、係合孔61に位置決めピン24を入り込ませて下部炉心板22上に圧損調節部材60を配置した場合における圧損調節部材60の範囲内に位置する炉心板連通孔23と位置決めピン24との位置関係と同じ関係になって形成されている。また、このように形成される圧損調節孔62は、各圧損調節孔62に対応する位置に形成される炉心板連通孔23の開口面積よりも、小さい開口面積で形成されている。
図7は、実施形態1に係る圧損調節部材の下面側の斜視図である。またさらに、圧損調節部材60には、一方の面側における圧損調節孔62が形成されている部分に、円筒形の形状で、内径が圧損調節孔62と同じ径で形成される嵌合筒63が形成されている。即ち、嵌合筒63は、内側部分が圧損調節孔62となって設けられている。また、この嵌合筒63の外径は、炉心板連通孔23よりも若干小さい径となって形成されている。また、これらのように形成される圧損調節部材60には、平面視における中央付近に、原子炉1の運転時に使用する計装の部品が入る孔である計装孔65が形成されている。
図8は、図6、7に示す圧損調節部材を下部炉心板上に配置した状態を示す斜視図である。図9は、図8の要部断面図である。これらのように形成される圧損調節部材60を下部炉心板22上に配置する場合には、嵌合筒63が下部炉心板22側を向く向きにして、圧損調節部材60に形成される2つの係合孔61に下部炉心板22の位置決めピン24を通し、係合孔61に位置決めピン24を入り込ませた状態で下部炉心板22上に配置する。位置決めピン24と炉心板連通孔23、及び係合孔61と圧損調節孔62とは、同じ位置関係となって形成されているため、このように、係合孔61に位置決めピン24を入り込ませて圧損調節部材60を下部炉心板22上に配置した場合には、圧損調節孔62は炉心板連通孔23に対して重なった状態になる。その際に、圧損調節部材60には圧損調節孔62が形成されており、圧損調節部材60は、外径が炉心板連通孔23よりも小さい嵌合筒63が下部炉心板22側を向く向きにして配置するため、嵌合筒63は、炉心板連通孔23に入って炉心板連通孔23と嵌合する。これにより、圧損調節孔62は炉心板連通孔23に対して連通した状態になる。
このように、炉心板連通孔23と嵌合する嵌合筒63の内側部分に形成される圧損調節孔62は、炉心板連通孔23よりも開口面積が小さくなっている。また、嵌合筒63が炉心板連通孔23と嵌合することにより、圧損調節孔62と炉心板連通孔23とが連通している場合には、炉心板連通孔23は、圧損調節孔62の開口面積によって開口していることになるため、炉心板連通孔23は、実質的な開口面積が小さくなった状態になる。
また、圧損調節部材60は、厚さが薄い板によって形成されているため、係合孔61に位置決めピン24を入り込ませて圧損調節部材60を下部炉心板22上に配置した場合、位置決めピン24は係合孔61を貫通し、圧損調節部材60から上方に突出した状態になる。このため、下部ノズル50は、下部炉心板22上に配置された圧損調節部材60の上方から配設することが可能になっている。この場合、下部ノズル50を、矩形状に形成される圧損調節部材60の4つの角部付近に下部ノズル50の4つの脚部55の端部を接触させることができる向きにして、係合孔61を貫通した位置決めピン24を、4つの位置決め孔56のうちの2つに入り込ませて下部ノズル50を圧損調節部材60上に配置する。つまり、下部ノズル50は、複数形成される脚部55の端部を、位置決め孔56と係合孔61とが連通するように、圧損調節部材60の一方の面に接触させて配置する。
下部ノズル50は、このように圧損調節部材60を介して下部炉心板22上に配置することができるので、下端部に下部ノズル50が固定された燃料集合体31は、下部炉心板22上に圧損調節部材60を配置した状態で、圧損調節部材60の上から圧損調節部材60を介して下部炉心板22上に配置することができる。さらに、下部炉心板22には位置決めピン24が多数形成されているため、下部炉心板22上には、燃料集合体31を多数配置することができる。
ここで、原子炉1の運転時には、燃料集合体31の周囲を軽水が流れるが、軽水が流れる際における圧損は、燃料集合体31によって異なっている場合がある。圧損調節部材60は、下部炉心板22上に多数配置される全ての燃料集合体31に対して配設するのではなく、圧損が比較的小さい燃料集合体31に固定される下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設される。
この実施形態1に係る圧損調節部材60及び原子炉1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。原子炉1を運転する場合には、冷却材や中性子減速材として用いられる軽水を循環させながら、燃料集合体31を構成する燃料として燃料集合体31に含まれているウラン235やプルトニウムなどの核分裂性物質に対して核分裂反応させる。このように、核分裂反応をさせる場合には、原子炉容器蓋12に設けられた制御棒駆動装置によって制御棒クラスタ駆動軸を移動させ、燃料集合体31への制御棒の挿入量を調節する。これにより、炉心30内での核分裂反応を制御する。核分裂性物質が核分裂をした場合、熱エネルギが発生するが、燃料集合体31の周囲は循環する軽水が満たされているため、この熱エネルギは燃料集合体31の周囲の軽水に伝達される。これにより、原子炉容器10内に満たされた軽水は加熱される。このように、核分裂反応時に発生する熱エネルギによって加熱された高温の軽水は、出口ノズル16から排出され、蒸気発生器に送られる。
つまり、燃料集合体31に含まれている核分裂性物質が核分裂することにより、中性子を放出し、減速材及び一次冷却系の冷却水として用いられている軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子にし、新たな核分裂を起こし易くすると共に、発生した熱を奪って冷却する。
また、制御棒は、核分裂性物質の核分裂時に放出される中性子を吸収することにより、炉心30内で生成される中性子数を調節することができるように設けられている。例えば、燃料集合体31への制御棒の挿入量を増加させた場合には、制御棒で吸収する中性子の量が増加するため、核分裂性物質を核分裂させる中性子の量が減少する。反対に、制御棒を引き抜く方向に移動させ、燃料集合体31への制御棒の挿入量を低減させた場合には、制御棒で吸収する中性子の量が低減するため、核分裂性物質を核分裂させる中性子の量が増加する。これにより、核分裂性物質が核分裂をする頻度を変化させることができるため、原子炉1の運転時は、制御棒の挿入量を調節することにより核分裂反応を制御し、核分裂反応によって発生する熱エネルギの量を調節する。
また、原子炉1の運転時には、一次冷却系で軽水を循環させるが、この軽水は、4つの入口ノズル15から原子炉容器本体11内に流入し、入口ノズル15と連通するダウンカマー部45を下向きに流れ落ちて下部プレナム42に到達し、流れる向きを下部プレナム42の球面状の内面によって上向きに変える。これにより軽水は下部プレナム42から上昇し、下部炉心板22を通過した後、炉心30に流入する。炉心30に流入した軽水は、炉心30に配設される燃料集合体31から発生する熱エネルギを吸収することにより、燃料集合体31を冷却する一方、高温となって上部炉心板21まで上昇する。上部炉心板21に到達した高温の軽水は、上部炉心板21を通過して上部プレナム41まで上昇し、出口ノズル16を通って原子炉容器本体11から排出される。
一次冷却系を循環する軽水は、原子炉容器本体11内では、このように下部炉心板22や上部炉心板21を通過することにより、下部プレナム42から上部プレナム41に向って流れるが、軽水が下部炉心板22を通過する際には、下部炉心板22に形成される炉心板連通孔23を通過する。これにより、軽水は下部プレナム42から炉心30に流入し、燃料集合体31の周囲を流れる。
ここで、燃料集合体31は、燃料集合体31に固定される下部ノズル50が下部炉心板22上に配置されることによって多数が炉心30に設けられているが、燃料集合体31によって、下部ノズル50と下部炉心板22との間に圧損調節部材60が配設されている燃料集合体31と圧損調節部材60が配設されていない燃料集合体31とがある。このため、下部炉心板22を通過した軽水が燃料集合体31に流れる場合には、圧損調節部材60の有無によって流れ方が異なる。
まず、下部ノズル50と下部炉心板22との間に圧損調節部材60が配設されていない燃料集合体31について説明すると、下部炉心板22の炉心板連通孔23を通過した軽水は、そのまま上昇して下部ノズル50のノズル部51まで流れる。ノズル部51まで流れた軽水は、ノズル部51に多数形成されるノズル連通孔52を通過して、燃料集合体31の周囲を流れる。
これに対し、下部ノズル50と下部炉心板22との間に圧損調節部材60が配設されている燃料集合体31では、下部炉心板22の炉心板連通孔23を通過した軽水は、炉心板連通孔23に連通している圧損調節部材60の圧損調節孔62を通るが、圧損調節孔62は、炉心板連通孔23よりも開口面積が小さくなっている。このため、軽水が炉心板連通孔23と圧損調節孔62と通って流れる際における抵抗は、軽水が炉心板連通孔23のみを通る際における抵抗よりも大きくなっている。従って、軽水が炉心板連通孔23と圧損調節孔62とを通過する場合には、軽水が炉心板連通孔23のみを通過する場合よりも流れ難くなっており、即ち、軽水が流れる際における圧力損失が大きくなっている。このように、圧力損失が大きく、軽水が流れ難い状態の炉心板連通孔23と圧損調節孔62と通過した軽水は、上昇して下部ノズル50のノズル部51まで流れ、ノズル部51に多数形成されるノズル連通孔52を通過して、燃料集合体31の周囲を流れる。
圧損調節部材60は、相対的に圧損が小さい燃料集合体31の下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設されているが、下部炉心板22を通過した軽水が圧損調節部材60を通過してから下部ノズル50に流れる場合は、下部炉心板22を通過した軽水が直接下部ノズル50に流れる場合と比較して圧損が大きくなっている。このため、圧損が小さい燃料集合体31に流れる軽水は、圧損が大きくなっている下部炉心板22と圧損調節部材60とを通過した軽水が流れ、圧損が大きい燃料集合体31に流れる軽水は、下部炉心板22のみを通過することにより圧損が小さい軽水が流れる。
従って、下部プレナム42から燃料集合体31にかけて軽水が流れる際の圧損を総合的に見ると、圧損が小さい燃料集合体31の総合的な圧損と、圧損が大きい燃料集合体31の総合的な圧損とは、同程度の大きさになっている。これにより、下部プレナム42側から炉心30に流れる軽水は、圧損が小さい燃料集合体31に多く流れずに、複数の燃料集合体31に分散して流れ、複数の燃料集合体31に対してほぼ均一に流れる。複数の燃料集合体31に対してほぼ均一に流れる軽水は、燃料集合体31を均一に冷却したり、均一に熱中性子を生成したりするため、これらの軽水の作用により、原子炉1は、安定した運転が行われる。
以上の圧損調節部材60は、下部炉心板22の位置決めピン24が入り込むことが可能な係合孔61が、下部ノズル50に複数形成される位置決め孔56同士の相対的な位置関係と同じ位置関係で複数形成されているので、位置決めピン24と係合孔61とを用いて、圧損調節部材60を容易に下部炉心板22上に配置することができる。また、圧損調節部材60には、燃料集合体31の周囲を流れる軽水が炉心板連通孔23のみを通過する際の圧損よりも大きい圧損にして軽水を通過させることができる圧損調節孔62が形成されている。このため、圧損調節部材60が配設された下部炉心板22から下部ノズル50の方向に軽水が流れる場合には、炉心板連通孔23を通過した軽水は、圧損調節孔62を通過して流れるため、下部炉心板22上に圧損調節部材60が配設されない場合と比較して、圧損が大きくなった状態で流れる。これにより、圧損が小さい燃料集合体31の下部ノズル50と下部炉心板22との間に圧損調節部材60を配設することにより、この燃料集合体31に対して流れる軽水の圧損を大きくし、流量を低減させることができる。従って、この燃料集合体31を流れる軽水の流量を、圧損が大きい燃料集合体31を流れる軽水の流量と同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体31への軽水の流量を容易に分散させることができる。
また、圧損調節孔62は、下部ノズル50に対して軽水を流す炉心板連通孔23の開口面積よりも、開口面積が小さくなっている。このため、軽水が炉心板連通孔23と圧損調節孔62とを通過する際の圧損を、軽水が炉心板連通孔23のみを通過する際の圧損よりも、より確実に大きくすることができる。これにより、圧損が小さい燃料集合体31の下部ノズル50と下部炉心板22との間に圧損調節部材60を配設することにより、この燃料集合体31を流れる軽水の流量を、圧損が大きい燃料集合体31を流れる軽水の流量と、より確実に同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体31への軽水の流量を、より確実に分散させることができる。
また、圧損調節部材60は板状の形状で形成し、係合孔61と圧損調節孔62とを同一平面上に形成するので、圧損調節部材60を容易に形成することができる。この結果、燃料集合体31への軽水の流量を、より容易に分散させることができる。
また、圧損調節孔62は、炉心板連通孔23に対応する位置に炉心板連通孔23と同数で、炉心板連通孔23の開口面積よりも小さい開口面積で形成しているため、圧損調節部材60が配設された下部炉心板22から下部ノズル50の方向に軽水が流れる場合における圧損を、より確実に大きくすることができる。従って、圧損が小さい燃料集合体31を流れる軽水の流量を、より確実に、圧損が大きい燃料集合体31を流れる軽水の流量と同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体31への軽水の流量を、より確実に分散させることができる。
また、本実施形態1に係る原子炉1は、相対的に圧損が小さい燃料集合体31の一端に配設される下部ノズル50と下部炉心板22との間に、上述した圧損調節部材60を配設するので、圧損調節部材60の配置時には、位置決めピン24と係合孔61とを用いて容易に配置することができる。また、本実施形態1に係る原子炉1は、圧損調節部材60を、相対的に圧損が小さい燃料集合体31の一端に配設される下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設するので、この燃料集合体31を流れる軽水の流量を、相対的に圧損が大きい燃料集合体31を流れる軽水の流量と同程度にすることができる。つまり、圧損調節部材60は、下部炉心板22から下部ノズル50の方向に軽水が流れる場合に、圧損調節部材60が配設されない場合と比較して、圧損が大きくなった状態で流れるようにすることができる。このため、この圧損調節部材60を、相対的に圧損が小さい燃料集合体31の一端に配設される下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設することにより、軽水が下部炉心板22から燃料集合体31の方向に流れる際に、圧損が小さい燃料集合体31に対して多く流れることを抑制することができる。これにより、燃料集合体31に流れる軽水の流量を、燃料集合体31の圧損の大小に関わらず同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体31への軽水の流量を容易に分散させることができる。
[実施形態2]
実施形態2に係る圧損調節部材70は、実施形態1に係る圧損調節部材60と略同様の構成であるが、圧損調節部材70に遮蔽部75を設けている点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。図10は、実施形態2に係る圧損調節部材の斜視図である。実施形態2に係る圧損調節部材70は、実施形態1に係る圧損調節部材60と同様に、略矩形状の薄い板状の形状で形成されており、対角となる2つの角部の近傍に係合孔71が形成されている。また、実施形態2に係る圧損調節部材70にも圧損調節孔72が形成されているが、この圧損調節孔72は、実施形態1に係る圧損調節部材60に形成される圧損調節孔62とは異なり、比較的径が小さい孔が多数形成されることにより設けられている。つまり、圧損調節孔72は、炉心板連通孔23よりも大幅に径が小さい孔が多数形成されることにより設けられている。
さらに、略矩形状の形状で形成される圧損調節部材70には、4つの辺に遮蔽部75が設けられている。この遮蔽部75について具体的に説明すると、まず、下部ノズル50と下部炉心板22と間に圧損調節部材70を配設する場合は、下部ノズル50の4つの脚部55を、圧損調節部材70の4つの角部付近に位置させ、位置決め孔56と係合孔71とが連通するように、脚部55の端部を圧損調節部材70の一方の面に接触させて配置する。
遮蔽部75は、このように圧損調節部材70の4つの角部付近に下部ノズル50の脚部55が接触した状態における、隣り合う脚部55同士の間に位置する部分に設けられおり、この状態における下部ノズル50の方向に突出した板状の形状で形成されている。また、このように下部ノズル50の方向に突出して形成される遮蔽部75は、脚部55同士の間隔よりも、この間隔方向における長さが短く、且つ、脚部55の高さよりも低い高さで形成されている。
この実施形態2に係る圧損調節部材70は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。図11は、図10に示す圧損調節部材を下部炉心板上に配置した状態を示す斜視図である。本実施形態2に係る圧損調節部材70を下部炉心板22上に配置する場合には、遮蔽部75が突出している側の面が下部炉心板22側の反対を向く向きにして、下部炉心板22の位置決めピン24を圧損調節部材70の係合孔71に入り込ませる。これにより、遮蔽部75が位置決めピン24の突出方向と同じ方向に突出する向きで、圧損調節部材70を下部炉心板22上に配置する。
また、この圧損調節部材70に形成される圧損調節孔72は、実施形態1に係る圧損調節部材60に形成される圧損調節孔62とは異なり、比較的径が小さい孔が多数形成されることにより設けられている。このため、圧損調節部材70を下部炉心板22上に配置した場合、一部の圧損調節孔72は、下部炉心板22によって閉塞される。この場合、閉塞した圧損調節孔72は、炉心板連通孔23との間で連通する孔とは機能せず、圧損調節孔72全体の開口面積は、実質的に小さくなり、有効的な開口面積は小さくなる。このため、圧損調節孔72は、下部炉心板22に多数形成される炉心板連通孔23のうち、圧損調節部材70が配置された部分に位置する複数の炉心板連通孔23の合計の開口面積よりも、有効的な開口面積の合計が小さくなって開口する状態になる。
また、この圧損調節部材70を下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設する場合には、係合孔71に下部炉心板22の位置決めピン24を入り込ませて位置決めピン24を貫通させ、この貫通した位置決めピン24を位置決め孔56に入り込ませるように、下部ノズル50を配置する。なお、この圧損調節部材70は、実施形態1に係る圧損調節部材60と同様に、相対的に圧損が小さい燃料集合体31の一端に配設される下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設する。
圧損調節部材70を下部炉心板22上に配置した状態で下部ノズル50を配置する場合は、下部ノズル50の脚部55を圧損調節部材70の4つの角部付近に接触させるが、圧損調節部材70には、この角部同士の間に遮蔽部75が設けられている。このため、下部ノズル50をこのように配置した場合には、遮蔽部75は、下部ノズル50の隣り合う脚部55同士の間に位置し、脚部55同士の間の空間を遮蔽する状態になる。
これらのように、圧損調節部材70が下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設された状態で原子炉1を運転し、軽水が下部プレナム42から下部炉心板22の炉心板連通孔23を通過して燃料集合体31の方向に流れる場合、炉心板連通孔23を通過した軽水の一部は、流れが圧損調節部材70によって遮られる。つまり、圧損調節部材70には圧損調節孔72が多数設けられているが、圧損調節部材70を下部炉心板22上に配置することにより、有効的な開口面積の合計が炉心板連通孔23の合計の開口面積よりも小さくなっている。つまり、軽水が炉心板連通孔23と圧損調節孔72を通過する際には、炉心板連通孔23のみを通過する場合よりも抵抗が大きく、圧力損失が大きくなっている。
このため、下部プレナム42から燃料集合体31にかけて軽水が流れる際の圧損を総合的に見ると、圧損が小さく、圧損調節部材70が配設されている燃料集合体31と、圧損が大きく、圧損調節部材70が配設されていない燃料集合体31とでは、総合的な圧損は同程度の大きさになっている。これにより、下部プレナム42側から炉心30に流れる軽水は、圧損が小さい燃料集合体31に多く流れずに、複数の燃料集合体31に分散して流れ、複数の燃料集合体31に対してほぼ均一に流れる。
さらに、圧損調節部材70には、遮蔽部75が形成されており、下部ノズル50の脚部55同士の間を遮蔽した状態になっているため、圧損調節部材70と下部ノズル50と間の空間は、この空間の外部から遮蔽されている。このため、軽水が下部プレナム42から下部炉心板22の炉心板連通孔23を通過して燃料集合体31の方向に流れる場合には、この圧損調節部材70と下部ノズル50と間の空間と、この空間の外部との間で、軽水の流入出が行われ難くなる。従って、圧損調節部材70が配設されることによって圧損が大きくなることにより、圧損調節部材70が配設されていない部分よりも軽水の流量が低減している場合に、この部分の外部から、圧損調節部材70と下部ノズル50との間への軽水の流入は抑制される。
このため、下部ノズル50には、炉心板連通孔23と圧損調節孔72とを通過した軽水のみが流れるため、圧損が小さく、圧損調節部材70が配設されている燃料集合体31と、圧損が大きく、圧損調節部材70が配設されていない燃料集合体31との、総合的な圧損は、より確実に同程度の大きさになる。これにより、下部プレナム42側から炉心30に流れる軽水は、複数の燃料集合体31に対してより確実に、ほぼ均一に流れ、この均一に流れる軽水の作用により、原子炉1は、安定した運転が行われる。
以上の圧損調節部材70は、下部ノズル50に形成される脚部55同士の間に位置する部分に、遮蔽部75が形成されるので、軽水が下部炉心板22側から下部ノズル50に流れる際に、隣り合う下部ノズル50同士の間の軽水の流れを、遮蔽部75で遮断することができる。これにより、下部炉心板22を通過した軽水が、圧損調節部材70が配設されることにより流量が少なくなっている下部ノズル50の方向に流れることを抑制することができ、複数の燃料集合体31を流れる軽水の流量を、より確実に同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体31への軽水の流量を、より確実に分散させることができる。
[実施形態3]
実施形態3に係る圧損調節部材80は、実施形態1に係る圧損調節部材60と略同様の構成であるが、圧損調節孔82と係合孔86とが異なる平面に形成されている点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。図12は、実施形態3に係る圧損調節部材の斜視図である。実施形態3に係る圧損調節部材80は、板状の形状で形成された実施形態1に係る圧損調節部材60とは異なり、圧損調節孔82と係合孔86とが異なる平面上に形成されている。
詳しく説明すると、圧損調節部材60は、略矩形状の板状の形状で形成される圧損調節部81と、内周部分が圧損調節部81の外周部分と同等の形状で形成されたロの字の板状の形状で形成される取付部85とを有している。これらの圧損調節部81と取付部85とは、双方の面が平行になる向きで設けられると共に、双方の面に直交する方向における位置が異なった位置となり、この双方の面に直交する方向に見た場合に、圧損調節部81の外周と取付部85の内周とが重なって位置している。圧損調節部材80は、圧損調節部81と取付部85がこのように位置する状態で、圧損調節部81の外周と取付部85の内周とが、双方を接続する平面である側面部88で接続されることにより形成されている。
また、圧損調節孔82は、圧損調節部81に形成されており、この圧損調節孔82は、実施形態2に係る圧損調節部材70に形成される圧損調節孔72と同様に、比較的径が小さい孔、即ち、炉心板連通孔23よりも大幅に径が小さい孔が多数形成されることにより設けられている。また、係合孔86は、取付部85に形成されており、取付部85の形状であるロの字における対角となる2つの角部付近に、それぞれ1つずつ、合計2つの係合孔86が形成されている。この係合孔86は、下部炉心板22に形成される位置決めピン24が入り込む孔となっているので、これらを換言すると、圧損調節部材80は、圧損調節部81と取付部85とは、係合孔86に位置決めピン24が入り込む方向における位置が異なっている。
この実施形態3に係る圧損調節部材80は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。図13は、図12に示す圧損調節部材を下部炉心板上に配置した状態を示す斜視図である。図14は、図13の要部断面図である。本実施形態3に係る圧損調節部材80を下部炉心板22上に配置する場合には、取付部85が下部炉心板22側に位置し、圧損調節部81が下部炉心板22から離れる向きにして、下部炉心板22の位置決めピン24を、取付部85に形成される係合孔86に入り込ませる。圧損調節部81と取付部85とは、係合孔86に位置決めピン24が入り込む方向における位置が異なっているため、この向きで係合孔86に位置決めピン24を入り込ませ、取付部85を下部炉心板22に接触させた場合には、圧損調節部81は、下部炉心板22に対して離間した状態になる。下部炉心板22上への圧損調節部材80の配置は、このように圧損調節部81が下部炉心板22から離間した状態で配置する。
また、この圧損調節部材80には、側面部88が形成されているため、取付部85を下部炉心板22に接触させて下部炉心板22上に配置した場合には、下部炉心板22に形成される炉心板連通孔23と圧損調節部81との間の空間は、炉心板連通孔23と圧損調節孔82の部分以外からは外部に通じておらず、外部に対してほぼ密閉した状態になる。
圧損調節部材80を下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設する場合には、圧損調節部材80をこのように下部炉心板22上に配置し、係合孔86を貫通した位置決めピン24が位置決め孔56に入るように、下部ノズル50を配置する。なお、この圧損調節部材80は、実施形態1、2に係る圧損調節部材60、70と同様に、相対的に圧損が小さい燃料集合体31の一端に配設される下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設する。本実施形態3に係る圧損調節部材80を下部炉心板22上に配置した場合には、圧損調節部81は下部炉心板22から離間した状態になるため、下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設した場合には、圧損調節部81は下部ノズル50のノズル部51近傍に位置する状態になる。
これらのように、圧損調節部材80が下部ノズル50と下部炉心板22との間に配設された状態で原子炉1を運転し、軽水が下部プレナム42から下部炉心板22の炉心板連通孔23を通過して燃料集合体31の方向に流れる場合、炉心板連通孔23を通過した軽水は、ほぼ全てが圧損調節部81の方向に流れて圧損調節孔82を通過する。つまり、圧損調節部材80には側面部88が形成されており、炉心板連通孔23と圧損調節部81との間の空間は、外部に対してほぼ密閉した状態になっているため、炉心板連通孔23を通過した軽水は、この空間の外部には流れずに圧損調節部81の方向に向い、圧損調節孔82を通過する。
この圧損調節孔82は、比較的径が小さい孔が多数形成されることにより設けられているので、炉心板連通孔23を通過した軽水が圧損調節孔82を通過する際には、軽水は分流する。つまり、比較的径が小さい多数の圧損調節孔82を軽水が通過する際には、軽水は、この圧損調節孔82によって、流れが多数に分けられて分流した後、下部ノズル50のノズル部51の方向に流れる。このように、軽水が圧損調節孔82を通過する場合には、軽水は圧損調節孔82によって分流するため、軽水が炉心板連通孔23と圧損調節孔82とを通過する場合には、炉心板連通孔23のみを通過する場合よりも抵抗が大きく、圧力損失が大きくなっている。
このため、下部プレナム42から燃料集合体31にかけて軽水が流れる際の圧損は、圧損が小さい燃料集合体31に圧損調節部材80を配設することにより、総合的な圧損は全ての燃料集合体31で同程度の大きさになる。これにより、下部プレナム42側から炉心30に流れる軽水は、圧損が小さい燃料集合体31に多く流れずに、複数の燃料集合体31に分散して流れ、複数の燃料集合体31に対してほぼ均一に流れる。
さらに、圧損調節部材80には、側面部88が形成されているため、側面部88の内側に位置する炉心板連通孔23と圧損調節部81との間の空間は、外部に対してほぼ密閉した状態になっている。このため、軽水が下部プレナム42から下部炉心板22の炉心板連通孔23を通過して燃料集合体31の方向に流れる場合には、側面部88の内側の空間と、この空間の外部との間で、軽水の流入出が行われ難くなる。従って、圧損調節部材80が配設されることによって圧損が大きくなることにより、圧損調節部材80が配設されていない部分よりも軽水の流量が低減している場合に、この部分の外部から、側面部88の内側の空間への軽水の流入は抑制される。
また、下部炉心板22上への圧損調節部材80の配置時は、圧損調節部81は下部炉心板22から離間した状態になっており、圧損調節部81は下部ノズル50のノズル部51の近傍に位置している。これらのため、下部ノズル50のノズル連通孔52には、ほぼ炉心板連通孔23と圧損調節孔82とを通過した軽水、即ち、圧損が大きくなった軽水のみが流れる。これにより、下部プレナム42側から炉心30に流れる軽水は、複数の燃料集合体31に対して、より均一に流れる。従って、原子炉1は、このように複数の燃料集合体31に対して均一に流れる軽水の作用により、安定した運転が行われる。
以上の圧損調節部材80は、圧損調節孔82が形成される圧損調節部81と、係合孔86が形成される取付部85とが異なる平面上に位置しており、位置決めピン24が係合孔86に入り込んだ際には、圧損調節部81は下部炉心板22に対して離間するように形成されている。これにより、下部炉心板22の炉心板連通孔23を通過して下部ノズル50の方向に流れる軽水に対して、下部ノズル50に、より近い位置で圧損調節孔82を通過させることができる。従って、圧損を大きくして流量を低減させた直後の軽水を下部ノズル50に流し、燃料集合体31に流すことができるので、圧損が小さい燃料集合体31を流れる軽水の流量を、より確実に低減させることができる。この結果、燃料集合体31への軽水の流量を、より確実に分散させることができる。
また、圧損調節孔82は、径が小さい多数の孔によって形成されており、炉心板連通孔23を通過した軽水を分流させることが可能になっているので、流れる軽水を分流することによって発生する抵抗により、軽水が炉心板連通孔23の通過後に圧損調節孔82を通過する場合の圧損を、軽水が炉心板連通孔23のみを通過する際の圧損よりも、より確実に大きくすることができる。これにより、圧損が小さい燃料集合体31の下部ノズル50と下部炉心板22との間に圧損調節部材80を配設した場合におけるこの燃料集合体31を流れる軽水の流量を、圧損が大きい燃料集合体31を流れる冷却材の流量と、より確実に同程度の流量にすることができる。この結果、燃料集合体31への軽水の流量を、より確実に分散させることができる。
なお、実施形態1に係る圧損調節部材60では、一方の面に嵌合筒63が設けられており、圧損調節孔62は、この嵌合筒63の内側に形成されているが、嵌合筒63は設けられていなくてもよい。つまり、圧損調節孔62は、板状の圧損調節部材60に形成され、開口面積が炉心板連通孔23の開口面積よりも小さい孔によって設けられていてもよい。圧損調節孔62は、嵌合筒63を設けて炉心板連通孔23と嵌合させなくても、開口面積が炉心板連通孔23の開口面積よりも小さくなっていれば、軽水が炉心板連通孔23のみを通過する際の圧損よりも大きい圧損にして、軽水を通過させることができる。
図15は、実施形態1に係る圧損調節部材の変形例を示す斜視図である。図16は、図15の要部断面図である。また、実施形態1に係る圧損調節部材60では、圧損調節孔62は、炉心板連通孔23に対応する位置に、炉心板連通孔23と同数で、炉心板連通孔23の開口面積よりも小さい開口面積で形成しているが、圧損調節孔62は、これ以外の形状で形成されていてもよい。例えば、図15に示すように、圧損調節孔62は炉心板連通孔23の位置や炉心板連通孔23の数に関わらず、炉心板連通孔23と比較して小さな径の孔を多数形成することにより設けてもよい。このように、圧損調節孔62を設けた場合でも、下部炉心板22上に圧損調節部材60を配置した場合に下部炉心板22によって閉塞されることなく、軽水を通過させることができる圧損調節孔62の開口面積である有効的な開口面積の合計が、炉心板連通孔23の合計の開口面積よりも小さくなっていればよい。これにより、軽水が炉心板連通孔23と圧損調節孔62とを通過する際における圧損を大きくすることができる。
また、この圧損調節孔62は、さらに径が小さい孔を多数形成することにより設け、圧損調節孔62を通過する軽水を、より多く分流することにより圧損を大きくしてもよい。これらのように、圧損調節孔は、下部炉心板22に複数形成される炉心板連通孔23のうち、1つの下部ノズル50に対して軽水を流す1つまたは複数の炉心板連通孔23の合計の開口面積よりも有効的な開口面積の合計が小さくなっている、または、圧損調節孔は複数形成し、炉心板連通孔23を通過した軽水を分流させることが可能になっていればよい。圧損調節部材に形成される圧損調節孔は、炉心板連通孔23を通過した軽水が下部ノズル50のノズル連通孔52の方向に向う際に、圧損を大きくさせることができるように設けられていれば、その形態は問わない。
また、上述した圧損調節部材60、70、80では、係合孔61、71、86は、位置決めピン24に合わせて2つが形成されているのみであるが、係合孔61、71、86は、下部ノズル50の位置決め孔56と同様に4つ形成されていてもよい。この場合、位置決めピン24も4つ形成されていてもよい。反対に、下部ノズル50の位置決め孔56が、位置決めピン24に合わせて2つ形成されているのみでもよい。下部炉心板22に形成される位置決めピン24と下部ノズル50に形成される位置決め孔56とは、下部ノズル50の配設時における位置決めをすることができるように複数形成されていればよく、圧損調節部材60、70、80に形成される係合孔61、71、86は、位置決めピン24が入り込むことができるように形成されていればよい。圧損調節部材60、70、80に、このように位置決めピン24が入り込む係合孔61、71、86を形成することにより、圧損調節部材60、70、80を、下部炉心板22上に容易に配設することができる。
また、圧損調節部材60、70、80の形態と圧損調節孔62、72、82との組み合わせは、上述した以外のものであってもよい。圧損調節部材60、70、80は、炉心板連通孔23を通過した軽水を下部ノズル50のノズル連通孔52の方に流す際に、圧損調節部材60、70、80が配設されていない場合と比較して、圧損を大きくして流すことができるように設けられていればよい。
以上のように、本発明に係る圧損調節部材及び原子炉は、加圧水型原子炉に有用であり、特に、複数の種類の燃料集合体を用いる場合に適している。
1 原子炉
10 原子炉容器
15 入口ノズル
16 出口ノズル
20 炉心槽
22 下部炉心板
23 炉心板連通孔
24 位置決めピン
30 炉心
31 燃料集合体
42 下部プレナム
50 下部ノズル
51 ノズル部
52 ノズル連通孔
55 脚部
56 位置決め孔
60、70、80 圧損調節部材
61、71、86 係合孔
62、72、82 圧損調節孔
75 遮蔽部
81 圧損調節部
85 取付部
88 側面部

Claims (7)

  1. 燃料集合体の一端に配設される下部ノズルを一方の面に複数配設可能な下部炉心板に複数形成される位置決めピンが入り込む孔であり、前記下部ノズルに複数形成される孔である位置決め孔同士の相対的な位置関係と同じ位置関係で複数が形成されることにより、前記位置決めピンが入り込むことが可能な係合孔と、
    前記燃料集合体の冷却材が前記下部炉心板に形成される炉心板連通孔のみを通過する際の圧損よりも大きい圧損にして前記冷却材を通過させることができる圧損調節孔と、
    を備えることを特徴とする圧損調節部材。
  2. 前記圧損調節孔は、前記下部炉心板に複数形成される前記炉心板連通孔のうち1つの前記下部ノズルに対して前記冷却材を流す1つまたは複数の前記炉心板連通孔の合計の開口面積よりも有効的な開口面積の合計が小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の圧損調節部材。
  3. 前記圧損調節孔は、複数形成されており、前記炉心板連通孔を通過した前記冷却材を分流させることが可能になっていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧損調節部材。
  4. 前記係合孔と前記圧損調節孔とは、同一平面上に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧損調節部材。
  5. さらに、前記下部ノズルに複数形成される脚部の端部を前記位置決め孔と前記係合孔とが連通するように一方の面に接触させた際に、複数の前記脚部のうち隣り合う前記脚部同士の間に位置する部分には、前記脚部同士の間隔よりも長さが短く、且つ、前記脚部の高さよりも高さ低い遮蔽部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の圧損調節部材。
  6. さらに、前記圧損調節孔が形成される圧損調節部と、前記係合孔が形成されると共に前記係合孔に前記位置決めピンが入り込む方向における位置が前記圧損調節部とは異なっている取付部と、を有しており、
    前記圧損調節部は、前記位置決めピンが前記係合孔に入り込んだ際に、前記下部炉心板に対して離間するように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧損調節部材。
  7. 燃料集合体の冷却材を前記燃料集合体の方向に流すことができるノズル連通孔と、位置決め用の孔である位置決め孔と、がそれぞれ複数形成され、且つ、前記燃料集合体の一端に配設される下部ノズルと、
    一方の面に複数形成される位置決めピンを前記位置決め孔に入り込ませることにより複数の前記下部ノズルを配設可能に設けられており、且つ、前記下部ノズル側の反対側の面の方向から前記下部ノズルの方向に前記冷却材を流すことができる炉心板連通孔が複数形成される下部炉心板と、
    相対的に圧損が小さい前記燃料集合体の一端に配設される前記下部ノズルと前記下部炉心板との間の位置で前記係合孔に前記位置決めピンが入り込むことにより、当該下部ノズルと前記下部炉心板との間に配設される請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧損調節部材と、
    を備えることを特徴とする原子炉。
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