JP2012005171A - 強誘電体層が固着した電極の製造方法、及び強誘電体層が固着した電極 - Google Patents

強誘電体層が固着した電極の製造方法、及び強誘電体層が固着した電極 Download PDF

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健一 原川
Takayuki Ando
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Abstract

【課題】電極に対して強固に強誘電体層を接合することができる、強誘電体層が固着した電極の製造方法、及び強誘電体層が固着した電極を提供すること。
【解決手段】強誘電体層が固着した電極の製造方法は、両側面に連通する貫通孔21を有する送電電極20を準備する電極準備工程と、この送電電極20の一方の側面に、強誘電性粒子2を混合した樹脂3を配置する樹脂配置工程と、送電電極20の一方の側面から樹脂3を加圧すると共に送電電極20他方の側面から当該送電電極20の貫通孔21を介して樹脂3の一部を吸引し、又は、送電電極20の一方の側面から樹脂3を加圧して当該樹脂3の一部を貫通孔21を介して押し出し、又は、送電電極20の他方の側面から当該送電電極20の貫通孔21を介して樹脂3の一部を吸引する樹脂移動定着工程と、樹脂3を固化させる樹脂固化工程とを含む。
【選択図】図1

Description

この発明は、強誘電体層が固着した電極の製造方法、及び強誘電体層が固着した電極に関する。
床面上に配置された各種の負荷に対して非接触で給電を行う電力供給システムとして、本願の一部の発明者は、電界結合を用いた非接触式の電力供給システムを提案している。
この非接触式の電力供給システムは、電力供給領域に配置された固定体から電力被供給領域に配置された可動体に対して電力供給を行うシステムであって、固定体に設けた送電電極と、可動体に設けた受電電極とを、非接触状に対向状に配置して構成されており、これら送電電極と受電電極とにより構成される結合コンデンサを介して、非接触電力供給を行うことができる(特許文献1参照)。
この電力供給システムでは、絶縁性を有する床板を挟んで送電電極と受電電極とを相互に対向配置することで、これら送電電極と受電電極とを相互に非接触状に配置している。あるいは、送電電極における受電電極側の側面に絶縁層を形成することで、床板を省略して、送電電極と受電電極とを相互に電気的に非接触状に配置してもよい。
特開2009−89520号公報
このような非接触式の電力供給システムにおいて、結合コンデンサの誘電率を高めるためには、送電電極に強誘電体層を形成することが好ましい。そして、このように強誘電体層を形成するためには、送電電極に強誘電性材料を接着や塗布すればよいとも考えられる。しかしながら、電力供給システムにおいては、可動体が移動することに伴って、強誘電体層に対して可動体の受電電極が接触することが想定されており、単に強誘電性材料を送電電極に接着や塗布しただけでは、受電電極と接触したり、この接触に起因する衝撃を受けた場合に、強誘電体層が送電電極から剥離してしまうという問題が生じ得る。
そこで本発明は、電極に対して強固に強誘電体層を接合することができる、強誘電体層が固着した電極の製造方法と、強誘電体層が固着した電極を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法は、両側面に連通する貫通孔を有する電極を準備する電極準備工程と、前記電極の一方の側面に、強誘電性粒子を混合した樹脂を配置する樹脂配置工程と、前記樹脂配置工程の後に、前記電極の一方の側面から前記樹脂を加圧すると共に前記電極の他方の側面から当該電極の前記貫通孔を介して前記樹脂の一部を吸引し、又は、前記電極の一方の側面から前記樹脂を加圧して当該樹脂の一部を前記貫通孔を介して押し出し、又は、前記電極の他方の側面から当該電極の前記貫通孔を介して前記樹脂の一部を吸引する樹脂移動定着工程と、前記樹脂移動定着工程の後に、前記樹脂を固化させる樹脂固化工程とを含む。
また、請求項2に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法は、請求項1に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法において、前記電極準備工程の後で、前記樹脂配置工程の前に、前記電極の前記一方の側面に、前記強誘電性粒子より小さい径の多孔を有するフィルタ層を形成するフィルタ層形成工程を含み、前記樹脂移動定着工程において、前記電極及び前記フィルタ層を介して、前記電極の一方の側面から当該電極の他方の側面に前記樹脂の一部を移動させる。
また、請求項3に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法は、請求項1又は2に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法において、前記樹脂配置工程の後で、前記樹脂固化工程の前に、前記強誘電性粒子に電圧を印加することにより、当該強誘電性粒子を配向する配向工程を含む。
また、請求項4に記載の強誘電体層が固着した電極は、請求項1から3のいずれか一項に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法により製造された電極である。
請求項1に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法によれば、吸引された樹脂が電極の貫通孔に入り込んだ状態で固化されるので、樹脂が電極に入り込むことでアンカー効果が生じ、強誘電性粒子を電極に対して強力に固着させることが可能となる。また、樹脂を電極側に加圧してから固化させた場合には、過剰な樹脂を加圧により排除することができる。
また、請求項2に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法によれば、強誘電性粒子より小さい径の多孔を有するフィルタ層を介して樹脂を移動させるので、強誘電性粒子が貫通孔に入り込むことをフィルタ層にて防止することができ、樹脂のみを貫通孔に入り込ませて定着することが可能となる。また、樹脂がフィルタ層に入り込んだ状態で固化されるので、樹脂がフィルタ層に入り込むことでアンカー効果を生じさせ、強誘電性粒子をフィルタ層に対して強力に固着させることが可能となる。
また、請求項3に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法によれば、誘電性粒子に電圧を印加して配向させることで、強誘電体層の誘電率を一層向上させることができる。
また、請求項4に記載の強誘電体層が固着した電極によれば、請求項1から3のいずれか一項に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法の利点を具備する電極を提供することができる。
本実施の形態に係る強誘電体層が固着した送電電極の縦断面図である。 フィルタ層形成工程の説明図であり、(a)はりん青銅粒子の散布後の縦断面図、(b)はりん青銅粒子の焼結後の縦断面図である。 変形例に係るフィルタ層形成工程の説明図であり、(a)は樹脂性微粒子の堆積時の縦断面図、(b)は金属メッキ液含浸時の縦断面図、(c)は樹脂性微粒子除去時の縦断面図である。 加圧工程、配向工程及び樹脂吸引工程を説明するための縦断面図である。 コンデンサを模式的に示す縦断面図である。 図6は、樹脂における強誘電性粒子の整列状態を模式的に示す図であって、(a)は整列前の状態を示す図、(b)は整列後の状態を示す図である。 実験に使用した強誘電性粒子を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)に直交する方向から見た側面図である。 実験結果を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)に直交する方向から見た側面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る強誘電体層が固着した電極の製造方法、及び強誘電体層が固着した電極の実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。この実施の形態では、特許文献1に開示されている如き非接触式電力供給システムの固定体の送電電極における受電電極側の面に、強誘電体層を固着させる場合について説明するが、この他にも、非接触電力供給以外の任意の目的に使用する電極に強誘電体層を固着させる場合にも適用することができる。
(構造)
最初に、本実施の形態に係る強誘電体層を含む構造について説明する。図1は、本実施の形態に係る強誘電体層が固着した送電電極の縦断面図である。強誘電体層1は、結合コンデンサの誘電率を向上させるためのもので、強誘電性粒子2を混合した樹脂3を固化させることで形成されたものである。また、強誘電体層1は、送電電極20を覆う化粧層としても機能する。強誘電性粒子2としては、例えば、比誘電率=6000で直径200μm程度のチタン酸バリウムを用いることができ、強誘電体層1は、例えば、200μm〜800μm程度の厚みで形成する。この強誘電性粒子2は、誘電率を高くしたい所定方向(ここでは、送電電極20に対して直交する方向。以下、配列方向)に沿って密に配列されている。
フィルタ層10は、強誘電体層1を構成する強誘電性粒子2が当該フィルタ層10を通過することを防止する一方で、強誘電体層1を構成する樹脂3のみを当該フィルタ層10に通過させるものである。このフィルタ層10は、強誘電性粒子2より小さい径の孔11を有するものであり、例えば、りん青銅の如き金属粒子を焼結させることによって構成されている。フィルタ層10は、例えば、10〜400μm程度の厚みで形成する。
送電電極20は、強誘電体層1を固着させる対象となる電極であって、本実施の形態においては、特許文献1に開示されている如き非接触式電力供給システムの固定体に設けられる送電電極であって、可動体の受電電極に対して非接触状に対向配置されることで、受電電極と共に結合コンデンサを構成する電極である。この送電電極20は、スズメッキ鋼板等の金属平板によって形成されており、その両側面に連通する貫通孔21が複数形成されている。
(製造方法)
次に、図1の強誘電体層1を製造するための製造方法について説明する。この製造方法は、概略的には、送電電極準備工程(電極準備工程)、フィルタ層形成工程、樹脂配置工程、加圧工程、配向工程、樹脂吸引工程、樹脂固化工程を順次行うものである。以下、各工程について順次説明する。
(製造方法−送電電極準備工程)
送電電極準備工程は、送電電極20を準備する工程である。まず、送電電極20を公知の方法により形成した後、この送電電極20に、両側面に連通する複数の貫通孔21を形成する。この貫通孔21の形成は、例えば、放電加工や精密スピンドル加工にて行う。この際、貫通孔21に連通する溝(図示せず)を、送電電極20の一方の側面(強誘電体層1が固着される側の側面)に形成することで、溝に樹脂3が入り込むことでアンカー効果を増大させてもよく、この場合には、アンカー効果を増大させた分だけ、貫通孔21の数を低減することができる。このような溝は、例えば、ダイシングソーを用いて100μ程度の幅で、深さで形成する。例えば、貫通孔21から放射状に広がるように溝を形成することで、溝が強誘電性粒子2で埋まらなければ、貫通孔21の周囲の樹脂3を溝を介して当該貫通孔21から吸引することが可能となる。
(製造方法−フィルタ層形成工程)
フィルタ層形成工程は、送電電極20の一方の側面(強誘電体層1が固着される側の側面)にフィルタ層10を形成する工程である。図2は、フィルタ層形成工程の説明図であり、(a)はりん青銅粒子の散布後の縦断面図、(b)はりん青銅粒子の焼結後の縦断面図である。
このフィルタ層形成工程では、図2(a)に示すように、送電電極20の側面に、りん青銅粒子12を散布する。次いで、図2(b)に示すように、雰囲気電気炉、フラッシュランプ、赤外線ゴールドランプ、あるいはレーザ等を用いてりん青銅粒子12をアニール処理することで、りん青銅粒子12同士を溶融結合させると共に、りん青銅粒子12と送電電極20とを溶融結合させて、孔11を有する多孔質な焼結金属層としてのフィルタ層10を形成する。アニール処理における加熱温度、加熱時間、加熱雰囲気は、送電電極20やりん青銅粒子12の溶融温度に基づいて、上記溶融結合が好適に行われるように決定される。また、必要に応じて、送電電極20を加熱してもよい。さらに、アニール処理の後、フィルタ層10の端面(送電電極20と反対側の面)に凸部がある場合には、当該凸部と受電電極との間で電界が集中して好ましくないため、当該凸部をフライス等で切削して平坦化処理する。これにてフィルタ層形成工程が終了する。
あるいは、りん青銅粒子12を用いたアニール処理に代えて、他の方法でフィルタ層10を形成してもよい。図3は、変形例に係るフィルタ層形成工程の説明図であり、(a)は樹脂性微粒子の堆積時の縦断面図、(b)は金属メッキ液含浸時の縦断面図、(c)は樹脂性微粒子除去時の縦断面図である。まず、図3(a)に示すように、送電電極20の側面に、樹脂性微粒子13を堆積させ、この樹脂性微粒子13を加熱や静電気により送電電極20に固定する。次いで、図3(b)に示すように、送電電極20の側面に固定した樹脂性微粒子13に、アルミ等の金属のメッキ液を含浸させ、送電電極20の側面を金属メッキすることにより、樹脂性微粒子13の相互間の空間部に金属メッキ層14を形成する。そして、図3(c)に示すように、樹脂性微粒子13をアッシング処理又は溶剤処理等によって除去することで、送電電極20の側面に多孔質の金属メッキ層14のみを残し、当該金属メッキ層14をフィルタ層10とする。この場合にも、図2で示した場合と同様に、平坦化処理を行うことが好ましい。
さらに、他の方法でフィルタ層10を形成してもよい。すなわち、送電電極20の側面に、チタン等の金属をプラズマ溶射器等にて溶射することで、凹凸状の多孔質のフィルタ層10を形成することができる。この場合にも、図2で示した場合と同様に、平坦化処理を行うことが好ましい。
特に、このフィルタ層形成工程において、フィルタ層10を導電部材で形成することにより、フィルタ層10を送電電極20の一部として機能させることもでき、この送電電極20を用いて構成される結合コンデンサの静電容量を増加させることで、強誘電性粒子2の使用量を低減することもできる。
(製造方法−樹脂配置工程)
樹脂配置工程は、送電電極20の一方の側面(強誘電体層1が固着される側の側面)に、強誘電性粒子2を混合した樹脂3を配置する工程である。この工程では、送電電極20に形成したフィルタ層10の側面に、強誘電性粒子2を混合した樹脂3を配置する。この際、強誘電性粒子2の配合比率を高くした場合には、樹脂3の流動性が低下して、後述する樹脂吸引工程における樹脂吸引効率が低下するので、このような問題が生じない程度に樹脂3の流動性が確保できるように、強誘電性粒子2の配合比率を決定し、過剰な樹脂3に関しては、樹脂吸引工程等において除去することが好ましい。また、樹脂3としては、半結晶性樹脂を用いることもでき、この場合には、樹脂固化工程で樹脂3を体積収縮させて、強誘電性粒子2の相互間の樹脂3を取り除くようにしてもよい。
(製造方法−加圧工程)
また、本実施の形態では、樹脂移動定着工程を行う。この工程では、送電電極20の一方の側面から樹脂3を加圧すると共に送電電極20他方の側面から当該送電電極20の貫通孔21を介して樹脂3の一部を吸引し、又は、送電電極20の一方の側面から樹脂3を加圧して当該樹脂3の一部を貫通孔21を介して押し出し、又は、送電電極20の他方の側面から当該送電電極20の貫通孔21を介して樹脂3の一部を吸引する。ここでは、樹脂移動定着工程を、樹脂3を加圧する加圧工程と、樹脂3を吸引する樹脂吸引工程との2つの工程に分けており、この加圧工程と樹脂吸引工程との間に、別の工程(配向工程)を行っている。まず、加圧工程について説明する。加圧工程は、樹脂3を送電電極20側に加圧する工程である。図4は、加圧工程、配向工程、及び樹脂吸引工程を説明するための縦断面図である(この図4では、フィルタ層10を簡略化して示す)。この工程では、樹脂3を挟んでフィルタ層10と反対側に、錘30を載置して、送電電極20に向けて圧力を加える。このことにより、強誘電体層1を形成するために必要な量以上の余分な樹脂3を、側方に押し出すことができ、後述する樹脂固化工程後に切削等して容易に除去することができる。また同時に、樹脂3のガスが外部に放出されると共に、樹脂3がフィルタ層10又は貫通孔21の内部に押し出される。さらに、平坦面を有する錘30で樹脂3を加圧することで、樹脂3の表面を平坦化することもできる。この錘の重量と圧力の大きさは、強誘電体層1を形成するために残すべき樹脂3の量や、樹脂3の流動性を考慮して決定される。また、この加圧工程においては、樹脂3に対して、超音波による微振動を加えつつ加圧するようにしてもよい。超音波を利用した場合には、強誘電性粒子2の流動性を向上させることができ、加圧や後述する樹脂吸引工程における吸引との相乗効果により、強誘電性粒子2の密度を向上させることが可能となる。
(製造方法−配向工程)
配向工程は、強誘電性粒子2に電圧を印加することにより、当該強誘電性粒子2を配向する工程である。図4に示すように、上述の配列方向に沿った電圧を印加するため、導電性の錘30と送電電極20とにそれぞれ直流電源40を接続し、電圧を印加する。このことにより、配列方向の誘電率が向上するように、強誘電性粒子2が自己組織的に移動し、この配列方向に沿って強誘電性粒子2が密に整列する。
このように強誘電性粒子2を整列することによる効果について説明する。図5は、コンデンサを模式的に示す縦断面図、図6は、樹脂3における強誘電性粒子2の整列状態を模式的に示す図であって、(a)は整列前の状態を示す図、(b)は整列後の状態を示す図である。図5に示すように、誘電率εの誘電体の間に空気層を介在させたコンデンサにおいては、静電容量Cは、C=(εεS)/(2d+εg)で表わされる(ここで、εは真空の誘電率、Sは電極の面積、dは誘電体の厚さ、gは空気層の厚さ)。この式から判るように、誘電率εは大きい(誘電体がチタン酸バリウムの場合にはε=6000程度)ため、gが少しでも存在すれば、静電容量Cが大幅に低下する。
したがって、図6(a)に示すように、強誘電性粒子2の相互間に低誘電率の樹脂3が入り込んでいる場合には、コンデンサの静電容量Cは低下して好ましくない。
一方、図6(b)に示すように、強誘電性粒子2が配列方向に整列された場合には、強誘電性粒子2の相互間隔が狭くなり、強誘電性粒子2の相互間に入り込む樹脂3の量を非整列に比べて低減できるので、コンデンサの静電容量Cを大幅に改善することが可能となる。なお、このように強誘電性粒子2を配列方向に整列した場合には、強誘電体層1が異方性誘電材料となるが、用途によっては問題がなく、逆に、異方性誘電材料とすることで、樹脂3が存在する領域と強誘電性粒子2が存在する領域を相互に分離することができ、樹脂3が存在する領域を強誘電性粒子2で分断されない連続領域とすることができるので、強誘電体層1の機械的強度を向上させることができる点で好ましい。
ここで、このような強誘電性粒子2の自己組織的な移動に関する実験結果について説明する。図7は、実験に使用した強誘電性粒子2を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)に直交する方向から見た側面図である(ここでは、x−y面を平面、z−y面及びz−x面を側面とする。図8においても同じ)。この実験では、0.4mm(x方向)×0.4mm(y方向)の大きさの2つの電極50、51の相互間に、2mm(x方向)×2mm(y方向)×1mm(z方向)の空間を形成した。そして、この空間に、比誘電率=6000で直径200μmの強誘電性粒子2を、上部領域に8個、下部領域に8個をそれぞれ規則的に配列すると共に、これら上部領域と下部領域の間の中間領域に5個をランダムに配列した。そして、図7(b)に示すように、2つの電極50、51の相互間に10000vの直流電圧を印加した。
図8は、実験結果を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)に直交する方向から見た側面図である。この実験により、中間領域にランダムに配列された強誘電性粒子2のうち、強誘電性粒子2aは、中心軸方向(上部領域に配列した8個の強誘電性粒子2の相互間の中心位置と、下部領域に配列した8個の強誘電性粒子2の相互間の中心位置とを、相互に結ぶ軸。以下同じ)に向かって約257μNの力で吸引されることが確認された。また、他の強誘電性粒子2も、ほぼ同様の中心軸方向に向かう力で吸引されることが確認された。このことから、電圧を印加することで、強誘電性粒子2が中央方向に集まって連鎖するように配列していくことが確認された。すなわち、電圧を印加することで、配列方向の誘電率が向上するように、強誘電性粒子2が自己組織的に移動し、この配列方向に沿って強誘電性粒子2が密に整列することが確認された。
(製造方法−樹脂吸引工程)
樹脂吸引工程は、送電電極20の他方の側面から、当該送電電極20の貫通孔21を介して、樹脂3の一部を吸引する工程である。この樹脂吸引工程においては、図4に示すように、送電電極20の他方の側面(強誘電体層1が固着される側と反対側の側面)から、当該送電電極20及びフィルタ層10を介して、樹脂3を吸引する。このように吸引を行った場合、樹脂3は、フィルタ層10の孔11と送電電極20の貫通孔21を順次介して送電電極20の外部に除去されるが、フィルタ層10の孔11が強誘電性粒子2より小さい径で形成されていることから、強誘電性粒子2が孔11を通過することなく残存するので、強誘電性粒子2のみ(あるいは、強誘電性粒子2に加えて、完全に吸引されなかった一部の樹脂3)を残存させることができる。
(製造方法−樹脂固化工程)
樹脂固化工程は、樹脂3を固化させる工程である。この工程では、樹脂3を固化させる。このことにより、加圧工程や樹脂吸引工程によって、強誘電性粒子2の相互間に残存している樹脂3を固化させると共に、フィルタ層10の孔11や送電電極20の貫通孔21の内部に入り込んだ樹脂3を固化させることができ、これら固化された樹脂3を介して、強誘電性粒子2をフィルタ層10及び送電電極20に強固に固着させることができる。このように樹脂3を固化させる方法としては、加熱、冷却、常温雰囲気に一定時間放置することによる自然固化、あるいは、樹脂3として光硬化性樹脂を使用すると共にこの樹脂3に紫外線を照射することによる光固化等を採用したり、これらの方法を相互に組み合わせることができる。
(効果)
この実施の形態によれば、吸引された樹脂3が送電電極20の貫通孔21に入り込んだ状態で固化されるので、樹脂3が送電電極20に入り込むことでアンカー効果を生じさせ、強誘電性粒子2を送電電極20に対して強力に固着させることが可能となる。
また、強誘電性粒子2より小さい径の孔11を有するフィルタ層10を介して樹脂3を吸引するので、強誘電性粒子2が貫通孔21に入り込むことをフィルタ層10にて防止することができ、樹脂3のみを貫通孔21を介して一層効果的に吸引することが可能となる。また、樹脂3がフィルタ層10に入り込んだ状態で固化されるので、樹脂3がフィルタ層10に入り込むことでアンカー効果を生じさせ、強誘電性粒子2をフィルタ層10に対して強力に固着させることが可能となる。
また、誘電性粒子に電圧を印加して配向させることで、強誘電体層1の誘電率を一層向上させることができる。
また、樹脂3を送電電極20側に加圧してから固化させるので、過剰な樹脂3を加圧により排除することができる。
また、送電電極20を電極として形成したので、電極に対して強誘電層を強固に固着させることができ、非接触式電力供給システム等に好適な電極を製造することができる。
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。さらに、本発明によって、上述していない課題を解決したり、上述していない効果を奏することもある。
(工程の省略や順序について)
加圧工程や配向工程を行わなくても、樹脂3の除去や、所望の誘電率を得ることができる場合には、これら加圧工程や配向工程を省略してもよい。また、加圧工程は、配向工程と樹脂吸引工程の間に行ってもよい。あるいは、加圧工程、配向工程、及び樹脂吸引工程のうち、いずれか2つ又は3つの工程を同時に行うこともできる。
(樹脂の流動について)
上記実施の形態においては、樹脂配置工程の後に、加圧工程を行って樹脂3を加圧し、さらに樹脂吸引工程を行って貫通孔21を介して樹脂3を吸引しているが、樹脂3を貫通孔21に入り込ませてアンカー効果を生じさせるためには、少なくとも、樹脂3の一部を送電電極20の一方の側面から他方の側面に移動させて、貫通孔21に定着させることができればよく、このためには、送電電極20の両側面の相互間に圧力差(樹脂3を配置した側面の圧力が、樹脂3を配置していない側面の圧力より高くなるような圧力差)を生じさせることができればよい。このため、1)加圧工程と樹脂吸引工程の両方を行う方法(送電電極20の一方の側面から樹脂3を加圧すると共に送電電極20の他方の側面から当該送電電極20の貫通孔21を介して樹脂3を吸引する方法)、又は、2)加圧工程のみを行う方法(送電電極20の一方の側面から樹脂3を加圧して当該樹脂3を貫通孔21を介して押し出す方法)、又は、3)樹脂吸引工程のみを行う方法(送電電極20の他方の側面から当該送電電極20の貫通孔21を介して樹脂3を吸引する方法)の中から、いずれか一つの方法のみを採用すればよい。
また、当然のことながら、このように加圧工程と樹脂吸引工程の両方又はいずれか一方を行うことで流動させる樹脂3は、樹脂配置工程で配置された樹脂3の全てではなく、少なくともアンカー効果を生じさせる程度の一部の樹脂3を貫通孔21に入り込ませたり、不要な樹脂3を除去できればよく、残りの樹脂3は送電電極20の側面に残存させて樹脂固化工程で固化させる。
1 強誘電体層
2 強誘電性粒子
3 樹脂
10 フィルタ層
11 孔
12 りん青銅粒子
13 樹脂性微粒子
14 金属メッキ層
20 送電電極
21 貫通孔
30 錘
40 直流電源
50、51 電極

Claims (4)

  1. 両側面に連通する貫通孔を有する電極を準備する電極準備工程と、
    前記電極の一方の側面に、強誘電性粒子を混合した樹脂を配置する樹脂配置工程と、
    前記樹脂配置工程の後に、前記電極の一方の側面から前記樹脂を加圧すると共に前記電極の他方の側面から当該電極の前記貫通孔を介して前記樹脂の一部を吸引し、又は、前記電極の一方の側面から前記樹脂を加圧して当該樹脂の一部を前記貫通孔を介して押し出し、又は、前記電極の他方の側面から当該電極の前記貫通孔を介して前記樹脂の一部を吸引する樹脂移動定着工程と、
    前記樹脂移動定着工程の後に、前記樹脂を固化させる樹脂固化工程と、
    を含むことを特徴とする強誘電体層が固着した電極の製造方法。
  2. 前記電極準備工程の後で、前記樹脂配置工程の前に、前記電極の前記一方の側面に、前記強誘電性粒子より小さい径の多孔を有するフィルタ層を形成するフィルタ層形成工程を含み、
    前記樹脂移動定着工程において、前記電極及び前記フィルタ層を介して、前記電極の一方の側面から当該電極の他方の側面に前記樹脂の一部を移動させる、
    請求項1に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法。
  3. 前記樹脂配置工程の後で、前記樹脂固化工程の前に、前記強誘電性粒子に電圧を印加することにより、当該強誘電性粒子を配向する配向工程を含む、
    請求項1又は2に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の強誘電体層が固着した電極の製造方法により製造された、強誘電体層が固着した電極。
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