JP2012003089A - レンズ用光照射装置 - Google Patents

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尚 五十嵐
Toshikazu Hashimoto
敏和 橋本
Takamitsu Hirose
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Abstract

【課題】レンズ基板の形状の違いによる照射条件の差を抑えることが可能なレンズ用光照射装置を提供する。
【解決手段】光源と、この光源に対向して配置され、凸面側を光源側としてレンズ基板30を載置するレンズ載置台28と、レンズ載置台28にレンズ基板30を載置した状態で、このレンズ基板30に光源からの光の反射光を導く反射面22を有する反射部21と、を備える。反射面22は、レンズ基板30の中央部に比べて、その周辺部に向かう反射光量がほぼ同等か、それ以上となるように、周辺部への照射光量が調整可能な形状及び配置とされ、反射面22からの反射光量により、レンズ基板30の中央部と周辺部とにおける照射光量の差を調整する。
【選択図】図3

Description

本発明は、眼鏡用プラスチックレンズ等の各種レンズに対して、主に塗膜形成用を目的として紫外線等の光照射を行うレンズ用光照射装置に関する。
近年、有機フォトクロミック染料を応用したプラスチック製フォトクロミックレンズ(調光レンズともいう)が眼鏡用として市販されている。このフォトクロミックレンズは、明るい屋外で発色して高濃度のカラーレンズと同様な防眩効果を有し、室内に移ると高い透過率を回復する機能をもつ。
このフォトクロミックレンズとしては、フォトクロミック色素を含むフォトクロミック膜をレンズ基板上に設ける構成のレンズが広く用いられている。フォトクロミック膜については、優れた光応答性(反応速度及び発色濃度)、発色時の色調、及び、レンズ基板やハードコート層との密着性に優れたフォトクロミックレンズを得るための材料構成やその製造方法が種々検討されている。
このようなフォトクロミック膜用のコーティング剤には光重合性のものがある。光重合性のコーティング剤を用いてフォトクロミック膜を形成するには、レンズ基材の表面にコーティング剤を塗布して塗膜を形成した後に紫外線等の光を照射してこの塗膜を硬化させる。特に眼鏡用プラスチックレンズ等の、複雑な曲面を有する光学面に対してこのようなコーティング液を用いて均一な膜を塗布して硬化する方法やその装置については、様々な提案がなされている(特許文献1、2参照)。
国際公開WO2003/099550号 特開2004−290857号公報
しかしながら、レンズの光学的設計方法の多様化や機械的加工技術の向上に伴い、レンズ表面自体が様々な曲面、曲率を有するようになっているため、レンズ上の位置により紫外線等の光を照射する条件が一定ではなくなってしまうという問題が生じている。例えば、表面のカーブが強く、すなわち曲率半径の小さいレンズについては、周辺部分へ十分な光照射を行うことができない場合がある。特に上述したフォトクロミック膜の硬化を行う場合、フォトクロミック膜の材料によってはその膜厚を10μm以上、30〜50μm程度と比較的厚く成膜するときは、レンズ周辺部において膜が硬化しないまま工程が終了してしまうという問題が発生する恐れがある。
そこでレンズ周辺部に十分な光照射を行うために、光の照射強度そのものを上げるということも考えられる。しかしながらこの場合は、レンズ中央部に必要以上のエネルギーを照射してしまうこととなる。したがってレンズ中央部と周辺部で硬化膜の性能が異なってしまう可能性があり、製品としての条件を満たすことが難しいという問題がある。
上述の課題に鑑みて、本発明は、このようなレンズ基板の形状の違いによる照射条件の差を抑えることが可能なレンズ用光照射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によるレンズ用光照射装置は、光源と、この光源に対向して配置され、レンズ基板の凸面側を光源側としてこのレンズ基板を載置するレンズ載置台と、レンズ載置台にレンズ基板を載置した状態で、このレンズ基板に光源からの光の反射光を導く反射面を有する反射部と、を備える。そしてこの反射面は、レンズ基板の中央部に照射される光量に比べて照射光量の少ないレンズ基板の周辺部に対し、それを補うように照射光量を調整可能とする形状及び配置とされ、反射面からの反射光量により、レンズ基板の中央部と周辺部とにおける照射光量の差が調整される構成とする。
このように、本発明のレンズ用光照射装置においては、レンズ載置台上にレンズ基板を載置した状態で、このレンズ基板の周辺部に、中央部との光量差を補うかたちで反射光を導く反射面を有する反射部を備える。このため、光源から出射される光の一部がこの反射部の反射面で反射されてレンズ基板の周辺部に向かうこととなる。したがって、例えば曲率半径の小さいレンズ基板に対して光照射を行う場合においても、光源からこのレンズ周辺部へ向かって直接入射する光に加えて反射部からの反射光が追加されることとなり、レンズ周辺部への照射光量をレンズ中央部への照射光量との差を調整することができる。
なお、本明細書において反射面とは、表面が鏡面状等とされることで、光源から出射される波長帯域の光(可視域に限定されず、赤外光や紫外光を含む)を適度な反射率で反射する平面又は曲面を含むものとする。ここで適度な反射率とは、必ずしも高い反射率である必要はなく、ある程度の光量を反射してレンズ基板の周辺部に向かわせ、レンズ基板の中央部における照度に周辺部の照度を近づける程度の反射率があればよい。また反射部は、例えばレンズ基板の周囲を取り囲む枠状の部材のうち、レンズ基板の周辺部と対向する面の少なくとも一部に、上述した反射面を備える構成を含むものであればよい。
ここで「レンズ基板の周辺部と対向する面」とは、反射部上において光源から出射される光が入射される範囲の面のうち、光が反射されてレンズ基板の周辺部に向かわせることが可能な面を示す。つまり、反射部の反射面はレンズ基板の周辺部に対して傾斜して向かい合う面であり、平面に限らず曲面であってもよい。また、光源からの光がレンズ基板を通過後に反射されて再度レンズ基板の周辺部に向かうような面も含まれる。このような面としては、レンズ基板を介して光源とは反対側の面である、レンズ基板の裏面側に位置する面がある。
つまり、本発明のレンズ用光照射装置においては、反射部の反射面がレンズ載置台の下面側を含む位置に配置されていてもよい。レンズ載置台の下面側に反射面を設けることで、レンズ基板の下面側からの反射光も照射光量に寄与する。このため、レンズ基板の周辺部を含みレンズ基板裏面への照射光量が増加し、相対的にレンズ中央部との照射光量の差を小さくしたり、場合によっては周辺部への照射光量を僅かに多くしたりすることが可能となる。また、光重合性の塗膜に照射する場合、塗膜とレンズ基板との界面での光重合に寄与することができる。
また、本発明のレンズ用光照射装置において、光源が線状である場合は、反射面をこの光源の長手方向と直交する方向に相対向する配置とすることが好ましい。ここで相対向する、とは、光源の長手方向と直交する方向に関して少なくとも一対の反射面が互いに傾斜した状態で向き合う構成を示し、曲面同士が向き合う構成も含まれる。このような反射部を設けることで、光源の長手方向と直交する方向に関してレンズ基板の中央部から周辺部にかけて照射光量が徐々に低下しても、反射面からの反射光によりその分の照射光量を補うことができる。
なお、光源が線状の場合に、光源の長手方向と直交する方向に相対向する反射面を配置すると共に、レンズ載置台の下面側に反射面を配置してもよい。また、レンズ載置台の下面側に設ける反射面を、光源の長手方向と直交する方向に相対向する配置としてもよい。
また、本発明のレンズ用光照射装置においては、反射部の反射面を含む少なくとも一部に、撥水性又は撥油性の少なくともいずれかの機能を有する被覆層が形成されることが好ましい。レンズ基板に対し光照射を行う際に、レンズ基板を回転する場合もある。また、光照射の目的が光重合である場合、レンズ基板の回転によって、重合前の塗膜材料が周囲に飛散すると、反射面が汚損する。このため、このような塗膜材料等が付着する恐れのある部分に、撥水性又は撥油性の少なくともいずれか、好ましくは両方の機能を有する被覆層を形成することによって、反射面の反射率低下を抑えると共に、装置の維持管理の作業性低下を抑えることが可能となる。なお、このような被覆層を形成する構成は、上述したいずれの構成の反射面にも適用できる。
更にまた、本発明のレンズ用光照射装置において、レンズ載置台に回転機構部を備えることが好ましい。この場合は、反射部として平面ミラー等の平面状部材を用いて、レンズ基板の周囲全てではなく、一部に対向させて配置しても、レンズ基板の周辺部に対してほぼ均等に反射光を照射することが可能となる。この場合は、反射部の加工が容易となり、またその位置調整も簡易化されるという利点を有する。
そして、本発明のレンズ用光照射装置においては、反射部の反射面を、レンズ載置台の載置面に対して90°を超え145°未満の角度を有する面を含む形状であることが好ましい。このような形状とする場合は、レンズ基板として例えばレンズ径が70mm以上、BC(ベースカーブ)9以上程度の眼鏡レンズ、すなわち周辺部の外周端における接線の傾斜角度が34°以上程度の曲率の大きいレンズに対して、良好に周辺部の照射光量の調整を行うことが可能となる。
本発明のレンズ用光照射装置によれば、例えば表面の曲率半径が比較的小さいレンズに対してもレンズ中央部と周辺部とにおける照射光量の差を少なくすることができ、レンズ基板の形状によって生じる照射条件の差を調整することができる。
本発明の実施の形態に係るレンズ用光照射装置の概略構成図である。 レンズ用光照射装置において光源とレンズ基板との配置例を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ用光照射装置に用いる反射部及びレンズ載置台の一例の断面構成図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ用光照射装置に用いる反射部の斜視図であり、Aは一部を切り欠いた斜視図、Bは全体の斜視図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ用光照射装置に用いる反射部の反射面の傾斜角度の説明図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ用光照射装置に用いる反射部の第1の変形例の構成図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ用光照射装置に用いる反射部の第2の変形例の構成図である。 曲率半径の小さいレンズに対して光照射を行う場合の模式的説明図である。 レンズの曲率(ベースカーブ)に対するレンズ上の各位置における照射光の光路長を示す図である。 レンズの曲率(ベースカーブ)に対するレンズ上の各位置における透過率(波長405nm)を示す図である。 光照射前後におけるフォトクロミック膜の厚さに対する透過率(波長405nm)を示す図である。 フォトクロミック膜に照射する光の積算光量に対するビッカース硬度を示す図である。 フォトクロミック膜に照射する光の積算光量に対する色変化時間を示す図である。 フォトクロミック膜に照射する光の積算光量に対する密着性の照度依存と時間依存とを比較して示す図である。 図14に示す各値の照射条件を示す図である。 レンズ凸面側におけるフォトクロミック膜に照射する光の積算光量に対する色変化時間の照度依存と時間依存とを比較して示す図である。 レンズ凹面側におけるフォトクロミック膜に照射する光の積算光量に対する色変化時間の照度依存と時間依存とを比較して示す図である。 フォトクロミック膜に照射する光の積算光量に対する色差を示す図である。
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.レンズ用光照射装置の実施の形態
(1−1)装置構成例
(1−2)反射部の構成例
(1−3)反射面の角度の検討
(1−4)反射部の変形例
2.光重合性フォトクロミック膜硬化処理への適用例
(2−1)実施例及び比較例
1.レンズ用光照射装置の実施の形態
(1−1)装置構成例
図1は、本発明の一実施形態としての、眼鏡レンズ等の塗膜硬化用に用いるレンズ用光照射装置100の概略構成図である。図1に示すように、このレンズ用光照射装置100は、例えば中心波長405nmの波長帯域の紫外光を出射する光源11を備える光源部10とレンズ載置台28を有するレンズ容器20とを備える。またレンズ容器20と光源部10との間には、光源11からレンズ載置台28上のレンズ基板30に至る光路上を密閉する筐体26が配置され、この筐体26により、外部から塵埃等の混入を阻止する構成とすることが好ましい。
そしてレンズ容器20内には、レンズ載置台28に載置されるレンズ基板30の周辺部と対向する位置に反射面を備える反射部21が配置される。反射面としては、鏡面状等の高反射率の面とする他、例えば白色光沢面等、適度な光量の反射光を反射する材料より成る面であればよい。この反射部21の詳細な構造については後述する。
光源部10に設ける光源11としては種類を問わず、ハロゲンランプや紫外線ランプ等、目的に合わせて種々の光源を用い得る。光源部10や筐体26には、図示しないが例えば内部を低圧に保持するための排気管や、例えば光源11の過熱を抑える目的で冷却ガス導入用等の配管が接続されていてもよい。
レンズ容器20と筐体26との間には、例えばレンズ容器20内を密閉する目的で光透過性基板27を設けてもよい。レンズ容器20と光透過性基板27、及び光透過性基板27と筐体26との接続部は、適切な密封性が得られる構造であればよく、その接続態様は問わない。例えば光透過性基板27としてガラス板や樹脂基板等を用いる場合、レンズ容器20と接続する部分の表面を鏡面状とし、レンズ容器20の端部にOリング等のシール材を配置して光透過性基板27の表面に密着させて密閉する構造としてもよい。また筐体26との接続部においても同様である。筐体26及びレンズ容器20は一体に構成されていてもよいが、個別に設ける場合はレンズ基板30の交換時の作業が容易であり、またレンズ容器20内や筐体26内の清浄化等の維持作業も容易となる。
またレンズ容器20と、筐体26及び光源部10とはそれぞれ相対的に移動可能な構成であってもよく、例えばレンズ塗膜装置と光照射装置とを一体化した本出願人の出願による特開2005−246265号公報に記載されたコーティング装置と同様の各種の駆動機構を備えていてもよい。図1に示す例では1つのレンズ容器20に1つのレンズ基板30を載置した例を示すが、上記公報に記載されている装置のように、レンズ容器20を並置して2つのレンズ基板30に対して一度に光照射を行う構造としてもよい。更に、レンズ載置台28上のレンズ基板30の保持態様は単にレンズ基板30を載置するのみでもよいが、例えばレンズ基板30を固定保持し、光照射時にレンズ基板30を回転させる機構を備えていてもよい。また、レンズ基板30をレンズ容器20からコーティング装置等の外部の処理装置に移動可能とする移動機構を設けるなど、その他種々の機構部を付加してもよい。
(1−2)反射部の構成例
次に、図1に示すレンズ用光照射装置100に用いて好適な反射部21の一例を、レンズ載置台28の一例の構成と共に詳細に説明する。図2は、図1に示すレンズ用光照射装置100において、直管型UVランプ等の線状の光源を用いる場合に、レンズ基板30に対して光照射を行う場合の配置例を示す平面図である。
このように線状の光源11を用いる場合、その長手方向(図2中x方向)と、これとは直交する方向(図2中y方向)とで強度分布が非対称となる。このため、レンズ基板30上では、中央部のP0と、周辺部の点P1〜P4とにおいて光量が異なるだけでなく、周辺部においても光源11の直下に位置する点P1及びP3よりも、光源11の直下から外れた位置となる点P2及びP4とでの光量が小さくなり、照射光量にばらつきが生じることとなる。
このような照度の差を解消するための一手法として、例えば図1に示すレンズ用光照射装置100のレンズ載置台28に、回転機構を設けることが考えられる。しかしながらレンズ基板30を回転させてもなお光量の差が生じて、光照射によって例えば塗膜硬化の条件が異なってしまう場合には、この光量のばらつきを抑える反射部21を用いることが好ましい。
図3は、このような場合に好ましく利用可能な反射部21をレンズ載置台28の周囲に配置した場合の断面構成図である。図3に示す例においては、反射部21でレンズ載置台28の周囲を覆う構成とし、図1に示すレンズ容器20内に収容し、上部に光透過性基板27を載置する構成としている。またレンズ載置台28に回転機構部25を設けており、レンズ基板30の光軸を回転機構部25の回転軸C1に合致させて固定し、10〜80rpm程度の例えば40rpmの回転数で回転させた状態で、図示しない光源からの光をレンズ基板30に照射する構成としている。図3において、レンズ基板30の内面(この場合凹面)を破線で示す。
そして、回転機構部25の周囲に反射部21が設けられる。この反射部21の一部を切り欠いた斜視図を図4Aに示し、全体の斜視図を図4Bに示す。これら図3及び図4において、図2におけるx方向(光源の長手方向)及びy方向(長手方向と直交する方向)を同様に示す。反射部21の枠体23は、例えば平面がほぼ長方形で、外側の4つの角部は円弧状の曲線とされ、側面23aは底面23bに対し垂直に設けられてレンズ載置台28上のレンズ基板30の周囲を覆うように配置される。また底面23bは平面状であり、中央部に長方形の孔部23cが設けられる。そして図3に示すように、この孔部23c内に回転機構部25及びレンズ載置台28が配置され、回転機構部25が図示しない外部の回転駆動部に接続される。
このように、レンズ載置台28に回転機構部25が設けられる場合は、反射部21として平面状の部材を、レンズ基板30の周囲全面ではなく一部にのみ設けても、レンズ基板30の周辺部に対して均等に反射光を照射することができるという利点を有する。この例においては、反射部21の反射面22には、鏡面や光沢面等の適度な反射率を有する平板状の部材が用いられる。また、枠体23の側面23aのうち、y方向(光源の長手方向と直交する方向)に相対向する面上に、底面23bに対し斜めに配置される。反射面22の平面形状はほぼ長方形の平板状とされる。図4においては、上端側の角部が円弧状等の曲線状に形成される例を示すが、反射面22の形状はこれに限定されるものではない。また、この例では平板状の部材を用いているが少なくとも一部に曲面を有していてもよい。図3及び図4においては、反射部21の反射面22と枠体23との固定部材や枠体23とレンズ載置台28との固定部材、レンズ載置台28と回転機構部25との接続部材等を省略しているが、これらの固定又は接続態様は特に限定されず、例えば螺子止めや接着、弾性体を用いた固定等いずれの態様でもよい。
なお、このようにレンズ載置台28に回転機構部25を設け、一定の回転速度でレンズ基板30を回転させて光照射を行う場合、反射部21の反射面22及び枠体23の表面は、撥水性、撥油性の少なくともいずれかの機能をもつ被覆層が形成されていることが好ましい。このような被覆層のコーティングを施すことで、レンズ基板30上の塗膜が回転により飛散して付着する場合でも、表面の清浄化等のメンテナンス作業が容易となる。また、このような構成の反射部21を図1に示すレンズ容器20内に収容し、枠体23の側面23a及び底面23bでレンズ容器20の側面及び底面を覆う構成としてもよい。この場合は、レンズ容器20の内面への汚損を抑えることができ、いわば反射部21をレンズ容器カバーとして用いることができる。
適度な撥水性、撥油性を有する材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレン等のコーティング剤が挙げられる。またこのようなコーティング剤としては白色タイプ、透明タイプ、黒色タイプ等があるが、反射面22としては白色タイプの光沢面とする場合に好ましい反射性が得られ、レンズ基板30の周辺部に向かって適度な光量の光を反射することが可能となる。
また、図3に示すように、この例では反射面22の傾斜角度は、レンズ基板30の光軸方向と平行な方向に対し、光軸に沿う断面において20°として構成される。つまり、レンズ基板30の光軸と平行な方向(図1中の一点鎖線C2)に沿って、光源(図示せず)から光L11が入射すると、反射面22で反射される光L21は、レンズ基板30の周辺部においてもより面法線方向に近い方向から照射されることとなる。
このように反射部21を用いて光量を調整する様子を、図1において光量の大小を太さで模式的に示す光L0〜L4、L10〜L14、L21及びL22により説明する。図1中光L0〜L4は光源11から光透過性基板27まで、光L10〜L14、L21及びL22は光透過性基板27を通過後における光の進行方向と光量を模式的に示している。光透過性基板27は透過光量に変化を与えないとしてよい。例えば光源11が直管型ランプ等の長手状とされる場合、長手方向の中央部での光L0及びL10の光量は、両端部の光L1〜L4、L11〜L14の光量に比べやや大きい。レンズ基板30の周辺部に直接照射される光L13、L14のみでは照射光量が比較的小さい。しかしながら、反射部21を設けることで、その反射面22からの反射によって、レンズ基板30の周辺部より外側に向かう光L11及びL12の反射光L21及びL22の光量が追加されることとなる。これにより、レンズ基板30の中央部に照射される光L10の光量と、周辺部へ照射される光L11及びL21の光量の和、光L12及びL22の光量の和とを近づけることができる。このため、曲率半径が比較的小さいレンズにおいて例えば塗膜を比較的厚くする場合においても、反射面22の反射率や傾斜角度を調整することで、レンズ基板30の中央部と周辺部とにおける照射光量を調整し、照射条件の差を抑えることが可能となる。なお、フォトクロミック膜に対し光重合を行う場合の照射条件の適用例については後述する。
図5は、この反射面22の傾斜角度の説明図であり、レンズ基板30の光軸に沿う断面図を用いて、周辺部の傾斜角度と光源(図示せず)からの光が反射する方向との関係を示している。図5においては、レンズ基板30の下端面を一点鎖線h、レンズ基板30の外周端30eにおけるレンズ基板30の光軸方向と平行な方向を一点鎖線v1、外周端30eの接線方向を一点鎖線t、面法線方向をvLとして示す。また、反射面22と面法線方向vLとの交点においてレンズ基板30の光軸方向と平行な方向を一点鎖線v2として示す。図5に示すように、レンズ基板30の外周端30eにおける接線tの傾斜角度をθとすると(以下この角度をレンズ基板30の「外周部角度」とする)、反射面22の傾斜角度をθ/2とすると、光軸と平行な方向から入射される光L11は外周端30eの面法線方向vLに沿って反射され、つまり外周端30eにおいて面法線方向から入射される。
レンズ基板として、眼鏡用のレンズ基板に照射する場合、外周部角度が大きくなるレンズ基板としては、例えばレンズ径がφ65mm、BC(ベースカーブ)13と曲率半径が比較的小さいレンズ基板が挙げられる。この場合、レンズ周辺部(累進屈折力レンズにおいては近用部)における外周部角度は50°程度となる。
本発明者等の検討の結果、このように曲率半径の小さいレンズ基板に対して光重合性の塗膜材料に対して光照射を行う場合に、光源からレンズ基板に向かって直進する方向に対して、レンズ基板周辺部の面法線方向が30°以上の場合は、重合後の塗膜の密着性等に問題が生じることが分かった。このため、光重合性の塗膜の硬化を行う用途の場合は、レンズ基板の周辺部に対して、光源からの光が面法線方向から30°未満の範囲に入射されるように反射面を構成することが好ましいといえる。
レンズ基板30の外周部角度θが30°のとき、外周端30eの面法線方向に光を反射させるような反射面22の最適な角度は90°+30°/2=105°となる。例えば外周部角度が50°の場合は、反射面22の最適な角度は90°+50°/2=115°となる。上述したように、光重合硬化の用途の場合は、光が外周端30eにおける面法線方向から30°未満の範囲で入射されるようにすればよいので、115°+30°=145°であるから、レンズ基板30の外周部角度が50°の場合は、反射面22の傾斜角度の上限は145°未満であればよく、好ましくは140°以下、更に好ましくは120°以下であればよい。一方、反射面22の傾斜角度が90°以下では光源からの光を殆ど反射することができないので、90°を超える傾斜角度であればよい。
以上説明した例においては、反射部21の反射面22が平面状である場合について説明したが、曲面状とすることも可能である。図6にこの場合の反射部41の概略斜視図を示す。この例においては、反射部41を円錐面の一部を切り取った形状とするものであり、円錐面の一部より成る反射面42と円形の底面43とより構成され、底面43から離間するにつれ内径が大となるように、すなわち上部にかけて外側に広がる円錐面状として反射面42が構成される。この反射面42の傾斜角度としては、円錐面の中心軸に沿う断面における底面43に対する角度とすると、図3において説明した反射面22と同様に、90°を超え145°未満とすればよく、140°以下とすることが好ましい。つまり、反射面42は、レンズ載置面に対して90°を超え145°未満の角度の面を含む平面又は曲面であればよい。また、底面43の中央部に例えば円形の孔部43aを設け、図3に示すレンズ載置台28を配置してもよい。反射部21をこのような構成とする場合、レンズ基板30の周辺部に対し360°の方向から反射光を照射することができることとなる。したがって、光源(図示せず)が線状等の非対称な形状ではなく、球状等の場合に有利であるが、光源が線状とされる場合においても、レンズ基板30の周辺部に対する照射光量を高める効果は得られ、つまり、レンズ基板30の中央部と周辺部とにおける照射条件を調整することが可能である。
また、図7は、レンズ基板30の下面側に配置する反射部51の一例の概略斜視図である。この反射部51は、図6に示す例と同様に円錐面の一部を切り取った形状とする場合であるが、反射面52は上部から入射される光を外側に反射する形状とされ、底部から上部にかけて径の小さくなる円錐面とされる。この場合、レンズ基板30の下部に載置されることで、反射面52により上部からレンズ基板30を通過して入射される光を、レンズ基板30の裏面側から周辺部に向けて反射することが可能である。このようにレンズ基板30の裏面からの反射光を照射する他の例としては、例えば平面円形や四角形等の平板状の鏡面や白色光沢面より成る反射面も利用可能である。
なお、上述した反射部21の反射面22は、例えば反射部21から取り外し可能に取り付けられることが好ましく、また反射部21、41及び51は、レンズ容器20から取り外し可能に取り付けられることが好ましい。これらを取り外し可能とすることで、種々の曲率半径や外周部角度のレンズ基板30に対応して光照射を行うことが可能となる。更に、図3及び図4に示す例において、反射部21における反射面22の傾斜角度を可変としてもよい。また、レンズ容器20内にレンズ載置台28を2以上設けて、2以上のレンズ基板30を同時に光照射する構成とする場合、例えば一方のみに反射面22を取り付けるとか、傾斜角度の異なる反射面22を設けることにより、異なる曲率半径を有するレンズ基板30に対して照射条件をそれぞれ調整することも可能となる。更に、上述した裏面側からの反射光量も調整することで、例えばレンズ基板30における塗膜の厚さむらや重合条件等を考慮して、レンズ基板30の中央部よりも周辺部に対して、照射光量をより多くするよう形状、配置とすることも可能である。
2.光重合性フォトクロミック膜硬化処理への適用例
次に、上述した本発明の実施の形態に係るレンズ用光照射装置100を用いて、光重合性のフォトクロミック膜を硬化する例への適用を検討した結果を説明する。
まず、光重合性フォトクロミック膜を形成する際のレンズ基板の周辺部における密着性不良等の不具合の原因として考えられる事項を検討した。この原因としては下記の5項目が挙げられる。
<1>曲率半径が小さいレンズ基板に光照射する場合、上部から照射される光は、レンズ基板中央部では反射せずに内部に入射されるが、周辺部では斜め入射となり、全反射臨界角を超えるカーブの領域では光を反射してしまう。
<2>周辺部は中央部に比べて光源からの距離が遠くなり、照度が相対的に弱くなる。
<3><2>と関連して、光源の形状が非対称である場合、光源の直下から外れた位置での照度は、光源から遠くなるため相対的に弱くなる。
<4>フォトクロミック膜の膜厚は一定でも、曲率半径が小さいレンズ基板では、光の進行方向の厚さが中央部と周辺部とでは異なる。
<5>周辺部はレンズ基板にカーブがあるため斜め入射となり、レンズ表面面積に対して照射量が少なくなる。
上記項目のうち<1>については、曲率半径が小さいレンズ基板の一例として、BC(ベースカーブ)13、屈折率1.53、レンズ径50mm、レンズ基板の外周部角度が35.4°のレンズ基板について入射角度計算を行ったところ、照度低下量は10%以内であることがわかった。したがって、周辺部において斜め入射となることによる影響度は少ないと考えられる。
また、上記項目のうち<2>について、レンズ基板の周辺部において光源からの距離が中央部よりも長くなることの対策として、全体の照度を10%上げて照射してアクリル系のフォトクロミック膜を用いて重合を行った。しかしながら周辺部の密着性について十分な改善はできなかった。照度をこれ以上大きくするとフォトクロミック膜の重合後の特性に影響があるため、光源の照度を一律に上げる方法では、周辺部の密着性低下の問題は改善できないといえる。
このため、上記項目の<2>〜<5>に挙げた照度の差と光路長の違いによる問題を改善する手法として、透過光量を部分的に調整する方法が有効であることを確認した。本実施形態のレンズ用光照射装置は、この透過光量を部分的に調整する方法を実現するものである。まず、レンズ基板の中央部と周辺部との光路長の違いについて、その様子を模式的に示す図8を参照して説明する。
図8は、凸状曲面を有するプラスチック等のレンズ基板300上に、均一な膜厚で光重合性のフォトクロミック膜301が形成されている場合の中央部と周辺部の断面図である。光源から出射される光が中央部で矢印L40で示すように、また周辺部で矢印L41で示すように同一方向に照射されるとする。周辺部では、膜内の光の進行方向に沿って中央部と同じ膜厚t0分に加え、レンズ基板300までの距離の差分dが膜厚の差分として追加される。この膜厚の差分dは、レンズ基板300の曲率半径が小さく、またレンズ径が大きくなって外周部角度が大きくなるほど増加する。このため、レンズ基板300の中央部付近で最適な硬化条件にて照射を行うと、周辺部で未硬化部分が発生するものと考えられる。
また、図8においては光源からの光が中央部と周辺部とで同一方向に入射するという前提であるが、光源の種類や位置、光源と硬化膜との距離によっては光が斜めに照射される。照射条件の対称性を考慮すると、中央部においてはレンズ基板300に対し垂直に(法線方向に)光が入射されることが好ましいが、この場合周辺部においては斜めに入射されることとなり、光の入射方向延長上での膜厚の差分は、図8に示す例よりも大きくなる。
一例として、眼鏡用のレンズ基板(屈折率1.53、レンズ径70mm)におけるBCを変化させた場合の、レンズ基板に対し垂直に光が入射する場合のレンズ基板上の位置に対する硬化膜内の光路長を計算により求めた。この結果を図9に示す。この場合、レンズ基板の外周部角度は、BC=1で2.1°、BC=2で5.8°、BC=3で9.6°、BC=4で13.3°、BC=5で17.2°、BC=6で21.1°、BC=7で25.6°、BC=8で29.4°、BC=9で34.6°、BC=11で44.0°、BC=13で54.1°となる。レンズ基板がBC11の場合で中央部との差が15μmを超え、BC13の場合は25μmを超える光路長差が生じていることが分かる。
この光路長差(すなわち膜厚の差)に対する透過率の変化について、一例としてアクリル系の光重合性フォトクロミック膜に対し波長405nmの光の透過率を計算により求めた。その結果を図10に示す。この結果から、周辺部における透過率はBC9で0.6%近く、BC11で0.5%未満、BC13で0.3%未満まで低下することが分かる。
図11は、フォトクロミック膜の膜厚に対して、波長405nmの光の透過率を測定したものである。図11中記号○は0秒(すなわち照射前)、記号×は900s照射した時点での透過率を示す。この結果、照射時間900sが経過した後も、膜厚が厚くなる程透過率が減少する傾向は変わらず、膜厚に対して透過光量が減衰していることが分かる。
次に、硬化処理後の密着性と色変化特性について検討した。この例においては、BC7、屈折率1.59、加入度数3.00の眼鏡用のプラスチックレンズ基板を用いて、フォトクロミック膜としてアクリル系の材料を用いた。
図12は、積算光量に対するビッカース硬度の違いを示す図である。図12中において記号◆はレンズ基板の中央部、■はレンズ基板の周辺部における結果を示す。また、破線はビッカース硬度目標値のレベルを示し、このレベル以上の硬度が得られれば硬化処理後の密着性が安定となる。
また、同様に積算光量に対する色変化時間の変化についても測定した。この結果を図13に示す。この例でも、記号◆はレンズ基板の中央部、■はレンズ基板の周辺部における結果を示す。硬化が十分である場合、フォトクロミック膜に光を照射した場合の色変化は900sでほぼ飽和するように設定される。このため、硬化の目安として、色の変化量100%に対して50%の色変化が認められた時間を、色変化時間の目安として測定した。破線は硬化が十分である膜における色変化50%となる基準時間のレベルを示す。この基準レベル以上の時間を超える場合は密着性が十分であると考えられる。
これら図12及び図13の結果から、レンズ基板の周辺部において中央部と同様の硬度を得る条件は、約1.4倍の照度(積算光量)とする照射条件が必要であることが分かる。
なお、積算光量を大きくするには、照度を増加するのみではなく時間を長くする方法が考えられる。しかしながら、本発明者等は、照射時間を長くしても効果が得られないことを確認した。図14は、照度と時間の条件を変え、積算光量を変化させて光重合を行ったフォトクロミック膜のレンズ基板外周部における密着性の度合いを測定したものである。レンズ基板及びフォトクロミック膜は、図12及び図13の測定において用いたものと同一とした。また密着性は、目標値を100として百分率にて示した。照度条件としては、波長405nmのUVランプ光源を用いて、その最大出力2.4kWに対して入力値を8段階のレベルとした場合の2,5,6,8レベルに変化することで、距離300mmの位置に配置したレンズ基板上での照度を132.2mW/cmから264.2mW/cmまで変化させた。時間については、照度を一定(132.2mW/cm)として照射時間を180sから270sまで3段階に変化させて測定した。なお、図14において、記号◆は照度依存、■は時間依存の条件での密着性の結果を示す。また、図14に示す各点の照射条件を図15に示す。図14の結果から、密着性については、同じ積算光量に対して時間より照度を上げる方が改善され、すなわち時間より照度依存性が高いことが分かる。
更に、フォトクロミック膜の表面側とレンズ基板側とにおける硬度の違いについても確認した。レンズ基板及びフォトクロミック膜は図12及び図13において用いたものと同一とした。この例では、フォトクロミック膜内側の硬度の指標として、前述の図13で示す色変化時間を用いた。そして、レンズ基板の凸面側から光を照射した場合の色変化時間と、これとは反対側の凹面側から光を照射した場合の色変化時間を、それぞれ積算光量に対して照射依存と時間依存とについて調べた。この結果を図16及び図17に示す。図16においてはレンズ凸面側、図17においてはレンズ凹面側の結果であり、各図において記号◆は照度依存、●又は■は時間依存の結果を示す。これら図16及び図17の結果から、硬度についても、同じ積算光量に対して時間より照度を上げる方が改善され、時間より照度依存性が高いことが分かる。
このように、密着性及び硬度の両方について照度依存性が高いことから、本実施形態のレンズ用光照射装置を用いて、部分的に照度を調整してレンズ基板中央部と外周部とにおける照射条件を均一化する方法が、フォトクロミック膜の膜質改善に有効であることが分かる。また、時間依存性が低いことから、照射時間の延長は不要であり、成膜工程にかかるタクトタイムを増加することなく、密着性改善を図ることができるといえる。
ところで、フォトクロミック膜は一般に照度を上げることで、発色時の色差は増加傾向を示す。そこで積算光量を増加させた場合に、色差がどの程度変化するかを確認した。この結果を図18に示す。この例においては、アクリル系のフォトクロミック膜に対して波長405nmの光を照射した場合を示す。図18の結果から、照度を変えて積算光量を19000mJから36000mJ程度と2倍近くまで増加させても、発色時の色差ΔEabは1以内であることが分かった。1つのレンズ基板内の色差としては許容範囲となる結果が得られた。
以上の結果から、一定の光照射条件においてもレンズ基板の中心部から周辺部にかけて、徐々にまたは段階的に照度を調整して照射することによって、色差やタクトタイムの増加を抑え、確実にフォトクロミック膜の密着性、硬度の改善を図ることができることが分かる。
なお、上述したフォトクロミック膜の評価例においては、直管型のUVランプを光源として用いており、中央部と外周部における硬化条件の違いについては、光源の長手方向(図2における点P0と、点P1及びP3とにおける比較)の評価を行った結果である。光源が線状の場合、前述の<3>においても説明したように長手方向と、これとは直交する方向とでレンズ基板の周辺部同士の照射条件が異なる。この場合、例えば図3及び図4に示す反射部21を用いることにより、周辺部における照射条件を調整することで照度の均一化を測り、同様に周辺部におけるフォトクロミック膜の密着性、硬度の改善を図ることが可能である。
(2−1)実施例及び比較例
次に、曲率半径の異なる2種類の眼鏡用プラスチックレンズをレンズ基板として用意し、それぞれにフォトクロミック膜材料をコーティングし、光重合を行って密着性について確認した。レンズ基板材料は、屈折率1.53、BC13.00、φ65mm(曲率半径R=43.178mm、外周部角度約49°)の単焦点レンズ構成のレンズ基板1と、屈折率1.59、BC7.25、加入度数3.00、φ75mm(近用部における外周部角度約48°)の累進屈折力レンズ構成のレンズ基板2とを用意した。
フォトクロミック膜のコーティング材料としては、アクリル系原料を用い、膜厚を40μmとして成膜した。
コーティング装置及び光照射装置としては、本出願人の出願による特開2005−246265号公報に記載の装置を使用し、実施例においては、レンズ容器20の上面に載置する光透過性基板27に、パイレックス(コーニング社製)基板を用いて光照射を行った。光源は、波長405nmの紫外光を出射する直管型のUVランプを用いた。また、回転載置台28を駆動して回転数10rpmとしてレンズ基板1,2を回転しながら光照射を行った。
反射部21としては、前述の図3及び図4に示す構成の反射部21を用いた。実施例においては、反射部21の反射面22を含む内面全面に黒色のポリテトラフルオロエチレンより成るコーティングを施して用いた。比較例においては、反射部21をレンズ容器20内に設置しない状態で照射を行った。
これら実施例及び比較例による試験を各レンズ基板1及び2に対してそれぞれ行ったところ、実施例によるレンズ基板1及び2では硬化後のフォトクロミック膜の剥がれは見られなかったが、比較例によるレンズ基板1及び2では、周辺部にフォトクロミック膜の剥離が見られた。また、実施例による場合はコーティング液であるフォトクロミック膜材料の一部が反射部21に付着したが、容易に除去することができた。比較例においては、フォトクロミック膜材料の一部がレンズ容器20内に付着し、除去が困難であった。
以上説明したように、本実施形態のレンズ用光照射装置によれば、レンズ基板の中央と周辺部とにおいて、反射部を設けて光照射の際の照度を調整することにより、フォトクロミック膜形成時のレンズ周辺部における密着性の問題を改善することができる。
なお、本発明によるレンズ用光照射装置は、フォトクロミック膜に対する光重合の際にのみ適用されるものではなく、その他、レンズ基板の曲率半径が小さく、また光重合を行う膜の厚さが比較的厚い場合に好適に用いることができる。レンズ基板の曲率半径の目安としては、眼鏡レンズの場合レンズ径が70mmとするとBC9以上、好ましくはBC11以上の場合、外周部角度で示すと34°以上、好ましくは44°以上の場合に好適である。また、レンズ基板の中央部と周辺部との光路差が大きく、照射条件に影響するのは硬化する膜の膜厚が比較的厚い場合であり、重合する膜の厚さが10μm以上である場合に、本発明を好ましく適用できる。
10.光源部、11.光源、20.レンズ容器、21,41,51.反射部、22,42,52.反射面、23.枠体、23a.側面、23b、43.底部、23c,43a.孔部、25.回転機構部、26.筐体、27.光透過性基板、28.レンズ載置台、30,300.レンズ基板、100.レンズ用光照射装置、301.フォトクロミック膜

Claims (4)

  1. 光源と、
    前記光源に対向して配置され、レンズ基板の凸面側を前記光源側として当該レンズ基板を載置するレンズ載置台と、
    前記レンズ載置台に前記レンズ基板を載置した状態で、前記レンズ基板に前記光源からの光の反射光を導く反射面を有する反射部と、を備え、
    前記反射面は、前記レンズ基板の周辺部に対し反射光の照射光量を調整可能とする形状及び配置とされ、
    前記反射面からの反射光量により、前記レンズ基板の中央部と周辺部とにおける照射光量の差が調整される
    レンズ用光照射装置。
  2. 前記光源が線状の光源とされ、
    前記反射面が、前記光源の長手方向と直交する方向に相対向する位置に配置される請求項1に記載のレンズ用光照射装置。
  3. 前記レンズ載置台に回転機構部を備える請求項1又は2に記載のレンズ用光照射装置。
  4. 前記反射面は、前記レンズ載置台の載置面に対して、90°を超え145°未満の角度の面を含む形状である請求項1〜3のいずれかに記載のレンズ用光照射装置。
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