以下、本発明を具現化した各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態の薬液流路用連結装置の構成及び作動)
図1は、第1実施形態の薬液流路用連結装置11の内部流路を示す断面図である。図2は、薬液流路用連結装置11を構成する薬液流路用連結ユニット10を示す斜視図である。図3は、薬液流路用連結ユニット10の構成部品を示す分解斜視図である。薬液流路用連結装置11は、2個の薬液流路用連結ユニット10,10aと、それらを機械的に連結する結合部材12とを備えている。なお、薬液流路用連結ユニット10,10aは、単体では流路切替弁として機能し、それぞれ連結ユニットとも呼ばれている。また、連結ユニット10a及び連結ユニット10は、それぞれ第1連結ユニットと第2連結ユニットとも呼ばれる。
薬液流路用連結装置11は、薬液供給配管91aから薬液の供給を受ける上流側の薬液流路用連結ユニット10aと、パージガス供給配管92aに薬液を供給する下流側の薬液流路用連結ユニット10との間の連結と切り離しとを行うことによって、薬液流路の連結と切断とを可能としている。薬液流路用連結装置11は、さらに、薬液流路用連結装置11の内部流路から薬液を排出して、流路切り離し時の薬液を漏洩するためのパージガスを流通させるための後述の流路を備えている。
結合部材12は、連結ユニット10が有するヒンジ24aに対して回転可能に装着され、連結ユニット10aが有するヒンジ24に契合して、その連結ユニット10,10aの両者が相互に連結されている。ただし、結合部材12は、一対の連結面37,37aに対して荷重を印加させつつ相互に当接させて連結させる原理を模式的に示すものであり、実際の連結機構を示すものではない。なお、連結面37及び連結面37aは、それぞれ第1連結面と第2連結面とも呼ばれる。
連結ユニット10は、図2及び図3に示されるように、内部流路が形成されているフッ素樹脂製のバルブボディ30と、その内部流路の連通と連通遮断とを行う2個の弁体アクチュエータ40,50と、2個の弁体アクチュエータ40,50をバルブボディ30に組み付けるためのフレーム部材20とを有している。本実施形態では、連結ユニット10aは、連結ユニット10と同一の構成を有している。なお、バルブボディ30は、主回路部材とも呼ばれる。弁体アクチュエータ40,50は、副回路部材とも呼ばれる。
弁体アクチュエータ50は、主として塩化ビニル製であり、操作エアによって弁体を動作させて薬液流路の連通と連通遮断とを行う機能部品である。弁体アクチュエータ50は、流路の連通と連通遮断とを行うダイアフラム弁体52と、ダイアフラム弁体52を駆動するピストン53と、ピストン53に流路を連通させる方向に駆動力を与える圧力室54と、その逆方向の付勢力をピストン53に印加するバネ56と、圧力室54に操作エアを供給するアダプタ51と、を備えている。ダイアフラム弁体52は、流路の連通と連通遮断とを行う円柱形状を有する突起部52bと、突起部52bの周囲に形成されている環状のシール部52sとを有している。ダイアフラム弁体52は、ダイアフラム膜部に相当する。ダイアフラム弁体52は、たとえばバルブボディ30と同種のフッ素樹脂製としても良い。
バルブボディ30には、薬液を受け取る薬液受領配管91に接続されている薬液流路34と、開口部32cで薬液流路34に連通する薬液弁室38と、薬液弁室38に連通する連結流路33と、が形成されている。薬液の流通経路は、順に連結流路33、薬液弁室38、及び薬液流路34である。薬液弁室38は、バルブボディ30に形成された内壁面38sと、シール面32sを有し、シール面32sとダイアフラム弁体52のシール部52sとの当接によって密閉されている。薬液弁室38は、ダイアフラム弁体52が動作することによって、突起部52bで開口部32cを開閉し、薬液弁室38と薬液流路34との間の連通と連通遮断とが実現されることになる。薬液弁室38は、主開口部とも呼ばれる。
バルブボディ30aには、薬液を供給する薬液供給配管91aに接続されている薬液流路34aと、薬液流路34aに連通する薬液弁室38aと、薬液弁室38aに連通する連結流路33aと、が形成されている。薬液の流通経路は、順に薬液流路34a、薬液弁室38a、及び連結流路33aである。薬液弁室38aでは、バルブボディ30に形成された内壁面38asと、ダイアフラム弁体52aによって薬液弁室38aと薬液流路34aとの間の連通と連通遮断とが実現されている。
なお、薬液弁室38a及び薬液弁室38は、それぞれ第1薬液弁室と第2薬液弁室とも呼ばれる。また、バルブボディ30a及びバルブボディ30は、それぞれ第1バルブボディと第2バルブボディとも呼ばれる。内壁面38as及び内壁面38sは、それぞれ第1内壁面と第2内壁面とも呼ばれる。また、薬液弁室38aと連通する薬液流路34aの開口部は、第1薬液開口部とも呼ばれ、薬液弁室38と連通する薬液流路34の開口部は、第2薬液開口部とも呼ばれる。連結流路33a及び連結流路33は、それぞれ第1連結流路と第2連結流路とも呼ばれる。
薬液流路用連結装置11の薬液流通流路は以下のとおりである。薬液は、薬液供給配管91aから供給されて、連結ユニット10aが有する薬液流路34a、薬液弁室38a、及び連結流路33aと、連結ユニット10が有する連結流路33、薬液弁室38、及び薬液流路34と、を順に経由させて薬液受領配管91に供給することができる。本流路は、重力方向Gを基準として薬液が下方から上方に流れ、上方から下方に向かう部分が存在しないように構成されている。
薬液流路用連結装置11の連通と連通遮断の切替構成は以下のとおりである。連結ユニット10aは、薬液弁室38aで薬液供給配管91aからの流路を遮断することができる。連結ユニット10は、薬液弁室38で薬液受領配管91への流路を遮断することができる。これにより、薬液流路用連結装置11は、薬液弁室38及び薬液弁室38aで流路を遮断することができるので、連結流路33aと連結流路33との間で流路を切り離しても薬液供給配管91aや薬液受領配管91からの薬液の漏洩を防ぐことができる。
一方、薬液流路用連結装置11は、このように構成されている薬液流路からの薬液のパージ機能を有している。パージ機能は、2個のバルブボディ30,30aのパージ用の内部流路と2個の弁体アクチュエータ40,40aとによって実現されている。
弁体アクチュエータ40は、操作エアによって弁体を動作させてパージガス流路の連通と連通遮断とを行う機能部品であり、本実施形態では、弁体アクチュエータ50と同一の構成を有している。弁体アクチュエータ40は、ダイアフラム弁体42と、ピストン43と、圧力室44と、及びアダプタ41と、を備えている。ダイアフラム弁体42は、フッ素樹脂製で、突起部42bと、シール部42sとを有している。
バルブボディ30には、パージガス流路として、パージガスを排出するパージガス排出配管92に接続されているパージガス流路35と、パージガス流路35に連通するパージガス弁室39と、パージガス弁室39と薬液弁室38とに連通する接続流路36と、が形成されている。パージガス弁室39は、シール面31sとダイアフラム弁体42のシール部42sとの当接によって密閉されている。パージガス弁室39では、ダイアフラム弁体42によって、薬液弁室38に連通する接続流路36とパージガス流路35との間の連通と連通遮断とが実現されている。
バルブボディ30には、弁体アクチュエータ40,50の各々が嵌合する形状の凹部である凹部31,32が形成されている。凹部31,32の最奥部には、それぞれ薬液弁室38とパージガス弁室39とが配置されている。薬液弁室38及びパージガス弁室39は、弁体アクチュエータ40,50がそれぞれ凹部31,32に装着されることによって形成される。
バルブボディ30aには、パージガス流路として、パージガスを供給するパージガス供給配管92aに接続されているパージガス流路35aと、パージガス流路35aに連通するパージガス弁室39aと、パージガス弁室39aと薬液弁室38aとに連通する接続流路36aと、が形成されている。パージガス弁室39aでは、ダイアフラム弁体42aによって、薬液弁室38aに連通する接続流路36aとパージガス流路35aとの間の連通と連通遮断とが実現されている。
薬液流路用連結装置11のパージガスの流路は以下のとおりである。パージガス供給配管92aから供給されるパージガスは、順にパージガス流路35a、接続流路36a、薬液弁室38a、及び連結流路33aと、連結流路33、薬液弁室38、接続流路36、及びパージガス流路35と、を順に経由させてパージガス排出配管92に供給することができる。これにより、薬液弁室38aで薬液供給配管91aから流路を遮断するとともに、薬液弁室38で薬液受領配管91への流路を遮断した状態において、パージガスで接続流路36a、薬液弁室38a、及び連結流路33a、連結流路33、薬液弁室38、及び接続流路36から薬液を排出することができる。
各薬液弁室38,38aへの各流路の接続状態は以下のとおりである。薬液弁室38aには、重力方向Gを基準として、最も低い位置で接続流路36aに接続され、最も高い位置で連結流路33aに接続されている。一方、薬液弁室38には、重力方向Gを基準として、最も低い位置で連結流路33に接続され、最も高い位置で接続流路36に接続されている。
さらに、第1実施形態の薬液流路用連結装置11では、弁体アクチュエータ40,50,40a,50aの各々がバルブボディ30,30aに対して荷重(当接荷重)を印加させつつ当接されることによって装着されている。弁体アクチュエータ40は、フレーム部材20の嵌合孔21を貫通させた状態で4個の螺子Sでフレーム部材20の螺子孔29に締結されている。これにより、弁体アクチュエータ40は、バルブボディ30の凹部31に嵌合し、シール面32sとダイアフラム弁体42のシール部42sとを当接させて装着されることになる。弁体アクチュエータ50も同様に、フレーム部材20の嵌合孔22を貫通して、バルブボディ30の凹部32に嵌合して装着されている。螺子Sの数は、4個以上であることが好ましい。
フレーム部材20の2つの嵌合孔21、22には、それぞれキー溝25,28が形成されている。キー溝25,28は、弁体アクチュエータ40,50の方向を拘束して組み付け時の向きを決定する役割を有している。さらに、切り込み部23は、バルブボディ30の連結面37が形成されている連結部材18を装着可能とするために貫通孔ではなく、切り込みとしての形状を有している。これにより、連結部材18の周囲にフレーム部材20を配置することができるので、結合部材12の締結荷重をバルブボディ30に円滑に流すことができる。
なお、弁体アクチュエータ50a及び弁体アクチュエータ50は、それぞれ第1薬液制御弁と第2薬液制御弁とも呼ばれる。また、弁体アクチュエータ40a,50aがバルブボディ30aに対して印加する荷重は第1荷重とも呼ばれる。弁体アクチュエータ40,50がバルブボディ30に対して印加する荷重は第2荷重とも呼ばれる。
本装着方法によれば、当接荷重の反力は、たとえば連結ユニット10の弁体アクチュエータ50と弁体アクチュエータ40の装着においては、それぞれフレーム部材20の内壁面26と内壁面27とを介してバルブボディ30に流すことができる。弁体アクチュエータ40,50,40a,50aは、バルブボディ30,30aに対して、それぞれ4本の螺子Sで螺子孔29に締結されている。この締結トルクによって、上述の当接荷重を調整することができる。螺子孔29は、装着部に相当する。
本発明者は、フッ素樹脂等の有機材料で構成されているバルブボディ30,30aやポリ塩化ビニル(PVC)等の有機材料で構成されている弁体アクチュエータ40,40a,50,50aと、金属やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン,polyetheretherketone)樹脂といった材料で構成されているフレーム部材20とからなる異性材料からなる構造体の特性についても分析を行った。特性分析は、熱応力、塑性変形、及び縦弾性係数との観点から行われた。
熱応力については以下のとおりである。たとえばフレーム部材20に金属材料を利用すれば、フレーム部材20が有機材料で構成されているバルブボディ30,30aや弁体アクチュエータ40,40a,50,50aよりも小さな線膨張係数を有していることになるので、高温環境下においては、バルブボディ30等や弁体アクチュエータ40等の熱膨張によって封止面(たとえばシール面32sとシール部42sとの当接面)の面圧が上昇することになる。この結果、封止性能が温度上昇によって低下しにくいという好ましい特徴を有することができる。
さらに、バルブボディ30,30aや弁体アクチュエータ40,40a,50,50aを構成するフッ素樹脂等の有機材料は、ガラス繊維の充填やガラス繊維の補強材としての混合によって線膨張係数を調整することができるという設計自由度も提供することができる。
塑性変形については以下のとおりである。バルブボディ30,30aを構成するフッ素樹脂等の有機材料は、体積ひずみに対する強い耐性を有してはいるが、塑性変形(形状変形)しやすい性質を有している。塑性変形は、たとえば従来技術(特開2007−292217号公報)では、ナットの嵌入部への熱応力によって嵌入部の孔形状を楕円として隙間やガタつきが発生することが本発明者の解析によって予測されている。このような隙間やガタつきは、たとえば流体の漏洩や機能部品の脱落にもつながる問題である。
本実施形態は、フレーム部材20でバルブボディ30,30aを囲むことによってバルブボディ30,30aの周囲を拘束するので、塑性変形の自由度が制限されていることになる。これにより、フレーム部材20でバルブボディ30,30aを囲む構造は、塑性変形に対する耐性を向上させることが分る。フッ素樹脂等の有機材料は、前述のように体積ひずみに対する耐性を有しているからである。一方、ポリ塩化ビニル等の有機材料で構成されている弁体アクチュエータ40,40a,50,50aとフレーム部材20との間の締結では、このような隙間やガタツキの問題は生じないことが本発明者によって確認された。
縦弾性係数については以下のとおりである。ポリ塩化ビニル等の有機材料で構成されている弁体アクチュエータ40,40a,50,50aは、高い弾性係数と大きな機械的強度を有し、フレーム部材20に強固に締結することができる。一方、弁体アクチュエータ40,40a,50,50aとバルブボディ30,30aとの間は、フッ素樹脂製のバルブボディ30のシール面32sとダイアフラム弁体42のシール部42sとの当接面で弾性変形しつつ締結されることになる。
この弾性変形量は、フレーム部材20とバルブボディ30,30aのサイズの相互関係の設定によって締結力に過度に依存することなく安定的な設定を実現することができる。具体的には、予め設定された弾性変形をさせるためにバルブボディ30,30aを大き目のサイズとすることで弾性変形量の調整(設定)が可能である。これにより、弾性変形によるシール面32sとシール部42sの間の面圧の調整を実現して高い封止性能が発生することになる。
このように、フレーム部材20がバルブボディ30,30aを囲む構造形態や材料の特性の有効利用によって、各構成部品の確実な締結と流体の漏洩の防止とが実現されている。
なお、弁体アクチュエータ40等が凹部31に嵌合する際には、フッ素樹脂製の凹部31の弾性変形を見込んだ嵌め合い公差を利用できるので、たとえば2つの凹部31,32の位置関係の公差等を緩和して簡易な製造を実現することができる。さらに、ダイアフラム弁体42等のシール部42s等は、たとえばバルブボディ30等の材料よりも縦弾性係数が小さな材料を使用して緩衝層とするような構造としてもよい。本構造は、バルブボディ30等に対して圧縮荷重のみを与える構造体を実現しているので、高い耐久性を実現することができる。
これにより、バルブボディを貫通する締結部材(たとえばボルトやナット)を使用することなく、バルブボディに対して弁体アクチュエータを装着することができる。この結果、バルブボディ30には、パージガス弁室39aからパージガス弁室39までの間に略直線状の短い流路形成が実現されている。さらに、パージ流路は、常に下方から上方に向かって、すなわち逆方向(下方向)への経路を有することなく実現されているので、パージ効率を顕著に高めることができる。
次に、図4乃至図6を参照して、薬液流路用連結装置11の切り離し操作の内容を説明する。
図4は、薬液流路用連結ユニット10,10aの薬液流通状態を示す断面図である。薬液流通状態は、連結ユニット10の薬液流路34aと連結流路33aとを連通させるとともに、連結ユニット10aの連結流路33と薬液流路34とを連通させることによって実現される。薬液流路34aと連結流路33aの連通は、弁体アクチュエータ50aに対してアダプタ51aから操作エアを供給することによって行われる。薬液流路34と連結流路33の連通は、弁体アクチュエータ50に対してアダプタ51から操作エアを供給することによって行われる。
一方、連結ユニット10のパージガス流路35は、薬液弁室38に連通する接続流路36から遮断されている。パージガス流路35aは、薬液弁室38aに連通する接続流路36aから遮断されている。パージガス流路35と接続流路36の連通遮断は、弁体アクチュエータ40のアダプタ41に排気経路を接続することによって行われる。パージガス流路35aと接続流路36aの連通遮断は、弁体アクチュエータ40aのアダプタ41に排気経路を接続することによって行われる。
このように、薬液流通状態では、薬液供給配管91aから供給される薬液は、薬液流路34a、薬液弁室38a、連結流路33a、連結流路33、薬液弁室38、及び薬液流路34を順に経由して薬液受領配管91に供給されることになる。この際には、パージガス流路35及びパージガス流路35aは、弁体アクチュエータ40,40aによって薬液が流通する流路から遮断されている。
連結ユニット10,10aの切り離しの前には、図示しない薬液ポンプを停止させた後に、全ての弁体アクチュエータ40,40a,50,50aへの操作エアの供給を停止する。一方、図示しないパージガス供給ポンプを起動する。これにより、連結ユニット10,10aは、薬液受領配管91、薬液供給配管91a、パージガス排出配管92、及びパージガス供給配管92aから遮断されることになる。
図5は、薬液流路用連結ユニット10,10aの薬液パージ中の状態を示す断面図である。薬液パージは、薬液流路にパージガスを導入して薬液流路用連結ユニット10,10aの内部流路から薬液を排出する処理である。薬液パージ状態では、パージガス供給配管92aから供給されるパージガスは、パージガス流路35a、接続流路36a、薬液流路34a、薬液弁室38a、連結流路33a、連結流路33、薬液弁室38、薬液流路34、接続流路36、及びパージガス流路35を順に経由してパージガス排出配管92に薬液とともに排出される。本図では、薬液流路34a、薬液弁室38a、連結流路33aから薬液が排出され、薬液が連結流路33から排出されつつある状態が示されている。
図6は、薬液流路用連結ユニット10,10aの薬液パージ後の状態を示す断面図である。薬液が、パージガス流路35a、接続流路36a、薬液流路34a、薬液弁室38a、連結流路33a、連結流路33、薬液弁室38、薬液流路34、接続流路36、及びパージガス流路35の全ての流路から排出された後には、パージガスを流しつつ減圧が行われる。これにより、流路に付着した薬液を気化させて薬液の残留を顕著に低減させることができる。
図7は、連結ユニット10,10aが切り離された状態を示す断面図である。連結ユニット10,10aの切り離しは、結合部材12を時計回りの方向に回転させてヒンジ24aへの契合を解除することによって行われる。これにより、一対の連結面37、37aの間の連結が解除され、連結流路33と連結流路33aとが大気開放されることになる。これに伴い、連結流路33と連結流路33aとに連通する全ての流路38、38a、36、36aも大気開放状態となる。本実施形態では、これらの全ての流路33、33a、38、38a、36、36aからは予め薬液が排除されているので、連結ユニット10,10aの切り離しに起因する薬液の外部漏洩を抑制することができる。
一方、連結ユニット10,10aの連結は、以下のステップで行うことができる。
(1)作業員は、結合部材12による機械的な連結を行う。
(2)作業員は、パージガス弁室39aと接続流路36aとの連通遮断の状態において、パージガス弁室39と接続流路36とを連通させて、パージガス排出配管92から真空引きを行う。これにより、内部流路が低圧状態となる。
(3)作業員は、パージガス弁室39と接続流路36とを連通遮断の状態とする。
(4)作業員は、薬液流路34と薬液弁室38とを連通させるとともに、薬液流路34aと薬液弁室38aとを連通させる。これにより、薬液が各流路に引き込まれる。
(5)作業員は、薬液ポンプ(図示省略)を作動させて薬液の流通を再開させることができる。
このように、第1実施形態の薬液流路用連結装置11は、短く且つ下方から上方に向かう直線状の流路内部の薬液を効果的にパージすることができるので、連結の切り離し時に薬液の漏洩を効果的に抑制することができる。さらに、バルブボディ30,30aの小型化によって薬液流路用連結装置11の小型化も実現されている。
(第1実施形態の変形例の薬液流路用連結装置の構成及び作動)
図8は、第1変形例の薬液流路用連結装置11aを示す斜視図である。変形例の薬液流路用連結装置11aは、制御器15を有する連結ユニット10bと、連結ユニット10bによって操作可能に構成されている連結ユニット10cと、を備えている点で、第1実施形態の薬液流路用連結装置11と相違する。制御器15は、連結ユニット10bと連結ユニット10cとが内蔵する計4個の弁体アクチュエータ(図示省略)を操作して、上述の処理シーケンスを自動で実行することができる。
連結ユニット10bは、制御器15に加え、操作ボタン16と、LEDインジケータ17とを備えている。作業者は、たとえばメインテナンス等のために連結を切断しなければならないときに、操作ボタン16を押すことによって、上述のシーケンスを開始させることができる。LEDインジケータ17は、処理シーケンスの途中においては赤色に点灯し、処理の完了(切り離し準備完了)に応じて点灯色が青色に変化する。連結ユニット10bは、処理シーケンスの完了に応じて連結が解除可能となるような機構として構成しても良い。
図9は、第2変形例の薬液流路用連結装置11bの流路回路図である。薬液流路用連結装置11bは、パージガス弁室39v、39avのいずれにもパージガス排出配管92とパージガス供給配管92aの双方が接続されている点で相違する。本構成では、連結ユニット10,10aの連結時において、パージガス弁室39v、39avからのパージガスの排出を可能として連結時の薬液へのパージガスの混入を効果的に抑制することができる。
具体的には、薬液弁室38,38aへの薬液供給を可能とした連通状態(バルブV1,V1a開状態)において、パージガス弁室39を連通遮断状態(バルブV2閉状態)とし、パージガス弁室39を連通遮断状態(バルブV2a開状態)とすれば、薬液の供給によって連結流路33の内部のパージガスがパージガス弁室39を経由して排出可能となる。一方、連結流路33aの内部のパージガスは、バルブV1,V2開状態において、バルブV2開状態とし、バルブV2a閉状態とすれば、薬液の供給によってパージガス弁室39aを経由して排出可能となる。
(第2実施形態の薬液用流路切替装置の構成及び作動)
図10及び図11は、第2実施形態の薬液用流路切替装置100の内部流路を示す断面図である。図12は、薬液用流路切替装置100の構成部品を示す分解斜視図である。薬液用流路切替装置100は、種類が相違する複数の薬液の流路を切り替える装置であり、5個の弁体アクチュエータ70,70a,70b,70c,70dと、バルブボディ60と、第1フレーム部材80と、を備えている。複数の薬液は、本実施形態では、相互に種類が相違する第1薬液と第2薬液とである。
弁体アクチュエータ70は、ダイアフラム弁体72と、ピストン73と、圧力室74と、及びアダプタ71と、を備えている。ダイアフラム弁体72は、突起部72vと、シール部72sとを有している。一方、弁体アクチュエータ70aは、ダイアフラム弁体72aと、ピストン73aと、圧力室74aと、及びアダプタ71aと、を備えている。ダイアフラム弁体72aは、シール部72asと、突起端部72abと、筒状傾斜面72amと、突起面72atとを有している。筒状傾斜面72am及び突起面72atの役割については後述する。弁体アクチュエータ70b,70c,70dは、弁体アクチュエータ70aと同一の構成を有している。なお、バルブボディ60は、主回路部材とも呼ばれる。弁体アクチュエータ70b,70c,70dは、副回路部材とも呼ばれる。
バルブボディ60には、弁体アクチュエータ70が有するダイアフラム弁体72との間に流路切替室82を形成する内壁面82sが形成されている。内壁面82sには、流路切替室82に第1薬液を供給する流路である第1薬液流路63と、流路切替室82に第2薬液を供給する流路である第2薬液流路64と、流路切替室82から第1薬液と第2薬液薬のいずれか一方を外部に供給する出口流路61と、が連通している。
第1フレーム部材80には、バルブボディ60に対して当接することによって、第1薬液流路63に連通する第1薬液流路83と、第2薬液流路64に連通する第2薬液流路84と、出口流路61に当接する出口流路81と、が形成されている。第1フレーム部材80には、5個の弁体アクチュエータ70,70a,70b,70c,70dを装着するための締結部(たとえば螺子孔)を有している。
バルブボディ60は、第1フレーム部材80に対して以下のように組みつけられる。先ず、バルブボディ60は、第1フレーム部材80の内凹部86に装着される。次に、第2フレーム部材85は、内凹部86に対して弾性変形しやすいバルブボディ60を押さえつけつつ内凹部86に螺子Mで締結される。これにより、第1フレーム部材80、第2フレーム部材85、及びバルブボディ60が相互に密着した構造体を作ることができあがる。このように、フレーム部材は、複数の部品からなるように構成してもよい。フレーム部材を複数の部品からなるように構成すれば、フレーム部材によって容易にバルブボディ60を挿入して囲むことができるので、バルブボディ60の形態の自由度を高めることもできる。
本構造体に対して、5個の弁体アクチュエータ70,70a,70b,70c,70dを装着し、それらの各々の締結力のバランスを維持しつつ徐々に締め付けることによって薬液用流路切替装置100が完成する。ただし、本実施形態では、5個の弁体アクチュエータ70,70a,70b,70c,70dとバルブボディ60との相互の位置関係が第1フレーム部材80によって規制されるので、組み付け方法によらず締め付け力のバランスを実現することができる。
第1薬液流路63には、弁体室65(図10参照)が形成され、円柱状の傾斜孔である連通傾斜孔63aによって流路切替室82に連通している。第2薬液流路64には、弁体室66(図10参照)が形成され、円柱状の傾斜孔である連通傾斜孔64aによって流路切替室82に連通している。流路切替室82は、第1弁体室に相当する。出口流路61、81は、第1流路に相当する。第1薬液流路63、第1薬液流路83、第2薬液流路64及び第2薬液流路84は、第2流路に相当する。
なお、内壁面82sに形成されている出口流路61の開口部は、第1開口部に相当する。内壁面82sに形成されている第1薬液流路63及び第2薬液流路64の開口部は、いずれも第2開口部に相当する。連通傾斜孔63aは、連絡通路に相当する。また、弁体室65及び弁体室66は、第2弁体室に相当する。
弁体アクチュエータ70aは、ダイアフラム弁体72aを動作させて、流路切替室82と第2薬液流路64との連通と連通遮断状態を切り替えることができる。弁体アクチュエータ70bは、ダイアフラム弁体72bを動作させて、流路切替室82と第2薬液流路64との連通と連通遮断状態を切り替えることができる。
弁体アクチュエータ70cは、流路切替室82とパージガス供給流路(図示省略)との連通と連通遮断状態を切り替えることができる。弁体アクチュエータ70dは、流路切替室82とパージガス排出流路(図示省略)との連通と連通遮断状態を切り替えることができる。なお、ダイアフラム弁体72は、第1弁体に相当する。ダイアフラム弁体72a,72b,72c,72dは、いずれも第2弁体に相当する。
連通遮断状態は、たとえば連通傾斜孔63aの内面に対して筒状傾斜面72amを当接させて実現するようにしても良いし、あるいは弁体室66の内壁面に突起端部72abの面を当接させて実現するようにしても良い。筒状傾斜面72amの当接による連通遮断を行う構成では、突起端部72abを削除しても良い。一方、突起端部72abの当接による連通遮断を行う構成では、突起端部72abの直径を小さくして連通傾斜孔63aとの間に隙間が生じるような構成も可能である。突起端部72abの当接による連通遮断は、たとえば突起端部72abの端面に凸部を設けて面圧を高めて封止性能を高める設計自由度も得られる。
本実施形態のダイアフラム弁体72aは、連通傾斜孔63aに挿入されて流路切替室82に連通する凹部の容積を低減させるように構成されていれば良い。こうすれば、流路の切替に起因する薬液の不意の混合を抑制することができるからである。
弁体アクチュエータ70aは、弁体室65において、ダイアフラム弁体72aを動作させて、連通傾斜孔64aに対して筒状傾斜面72amと突起面72atとを挿入する。突起面72atは、内壁面82sと同一平面あるいは内壁面82sから流路切替室82の内側に突出する位置に配置されることになる。これにより、流路切替室82は、第1薬液流路63に対して凹部を形成することなく、第1薬液流路63から連通遮断することができる。弁体アクチュエータ70bは、弁体アクチュエータ70aと同様に、第2薬液流路64に対して凹部を形成することなく、流路切替室82を第2薬液流路64から連通遮断することができる。
なお、連通傾斜孔63aや筒状傾斜面72amは、必ずしも傾斜している必要は無く、ダイアフラム弁体72aの一部が連通傾斜孔63aに挿入されて、流路切替室82に連通する凹部の容積を減殺させるものであればよい。ただし、双方が傾斜して封止可能な構成とすれば、薬液の不意の混在を顕著に抑制することができるという利点を得ることができる。また、連通傾斜孔63aは、連絡流路に相当する。
また、第2実施形態では、5個の弁体アクチュエータ70,70a,70b,70c,70dとバルブボディ60との間の当接荷重は相互に相殺されるように構成されている。すなわち、5個の弁体アクチュエータ70,70a,70b,70c,70dは、相互に対向する位置に対称に配置されているので、第1実施形態の内壁面26や内壁面27に相当する部材を必ずしも必要としないことを意味している。
図13は、薬液用流路切替装置100における第1薬液の流通状態を示す断面図である。第1薬液の流通状態は、弁体アクチュエータ70と弁体アクチュエータ70bとを作動させて、第1薬液流路83と出口流路81と連通状態としている。これにより、薬液用流路切替装置100は、第1薬液を流通させるバルブとして機能していることになる。
図14は、薬液用流路切替装置100における第2薬液の流通状態を示す断面図である。第2薬液の流通状態は、弁体アクチュエータ70と弁体アクチュエータ70aとを作動させて、第2薬液流路84と出口流路81と連通状態としている。これにより、薬液用流路切替装置100は、第2薬液を流通させるバルブとして機能していることになる。
第1薬液の流通状態から第2薬液の流通状態の切替は、以下のようにして行うことができる。
(1)弁体アクチュエータ70と弁体アクチュエータ70bとを作動させて全ての流路遮断状態とする。
(2)2個の弁体アクチュエータ70c,70dを作動させて、パージガスで掃気することによって流路切替室82の内部から第1薬液を排出する。
(3)弁体アクチュエータ70と弁体アクチュエータ70aとを作動させて、第2薬液流路84と出口流路81と連通状態とする。
このように、第2実施形態の薬液用流路切替装置100は、5個の弁体アクチュエータ70,70a,70b,70c,70dは、それ自体がバルブボディ60をいわば挟持する形でバルブボディ60に装着されているので、バルブボディ60の内部には自由に流路設計を実現することができる。これにより、弁体アクチュエータ70によって形成されている流路切替室82に対して他の弁体アクチュエータ70a等によって形成されている弁室を直接連通させることも可能となっている。この結果、流路切替室82に対して他の弁体アクチュエータ70a,70b,70c,70dのダイアフラム弁体72a,72b,72c,72dが挿入されて、ガスパージの効率が顕著に改善されている。
(第3実施形態の流量計の構成及び作動)
図15は、第3実施形態の流量計100aの構成を示す斜視図である。図16は、第3実施形態の流量計100aの構成を示す断面図である。流量計100aは、計測部170と、2個のバルブボディ130,130aと、流路部材140と、フレーム部材120と、2個の弁体アクチュエータ150,150aと、2個の継手部材110と、6個のOリングRとを備えている。
計測部170は、いわゆるパージメータと呼ばれる面積流量計であり、フロートFの位置を読み取ることで流量を計測する部品である。計測部170は、入口側流路171と、接続流路172と、フロートFと、テーパ管173と、出口側流路174と、筐体179と、ガラス窓181と、ニードル175と、封止部材176と、調整軸177と、調整ノブ178とを備えている。
入口側流路171は、流体が流入するための入口開口部182を有し、水平方向に延びている。接続流路172は、入口側流路171に連通して鉛直方向に延びている。出口側流路174は、テーパ管173に連通する垂直部分と、出口開口部183を有して水平方向に延びている部分とを備えている。筐体179には、入口開口部182が形成されている入口側流路凸部184と、出口開口部183が形成されている出口側流路凸部185とが形成されている。
計測部170の内部流路は、以下のように接続されている。計測対象の流体は、入口開口部182から入口側流路171に流入する。ニードル175は、入口側流路171と接続流路172の連通位置のオリフィス径を調整して流量を調整することができる。ニードル175は、調整軸177を介して調整ノブ178によって回転され、調整軸177の図示しない筐体179との間の螺合によってオリフィス径を調整することができる。
テーパ管173は、出口側流路174に近づくほど内径が大きくなるようにテーパしている内部流路を有している。テーパ管173は、軸線方向が鉛直方向となるように配置され、出口側流路174が上方に配置されている。テーパ管173の内部流路には、フロートFが移動可能に挿入され、通過流量の増大に応じて内径が大きな下流側(鉛直方向の上方側)に移動し、通過流量の減少に応じて内径が小さな上流側(鉛直方向の下方側)に移動する。テーパ管173は、ガラス窓181からフロートFの動きを見ることによって、テーパ管173の内部流路に流れる流体の流量を計測することができる。
フレーム部材120は、図15に示されるように、直方体の形状を有し、その内部に相互に一直線上に配置されている第1収容部121と、第2収容部122と、第3収容部123とが形成されている。第1収容部121、第2収容部122、及び第3収容部123は、いずれも直方体の形状を有し、それぞれ同一方向に第1開口部127、第2開口部128、及び第3開口部129を有している。第1収容部121、第2収容部122、及び第3収容部123は、それぞれ第1開口部127、第2開口部128、及び第3開口部129を底面とする角柱形状を有している。
フレーム部材120は、計測部170が装着されるための装着面185sを有している。装着面185sには、計測部170を装着するための締結ネジ(図示省略)を螺合するための雌ネジ孔186〜189と、2個の貫通孔184h,185hとが形成されている。雌ネジ孔186〜189及び2個の貫通孔184h,185hは、装着面185s側から第2収容部122に連通している。計測部170は、図16に示されるように、入口側流路凸部184と出口側流路凸部185とが、それぞれ貫通孔184hと貫通孔185hとに挿入された状態でフレーム部材120に装着されている。
第2収容部122は、それぞれ内壁126と内壁126aとによってそれぞれ第1収容部121と第3収容部123とから隔てられている。第2収容部122は、内壁126を貫通する貫通孔124と、内壁126aを貫通する貫通孔125とを介してそれぞれ第1収容部121と第3収容部123とに連通している。
第1収容部121には、貫通孔124と軸線を共通する貫通孔121wが形成されている。第3収容部123には、貫通孔125と軸線を共通する貫通孔123wが形成されている。貫通孔121w及び貫通孔123wは、それぞれ貫通孔124及び貫通孔125の穴あけ加工を行なうためにドリル(図示せず)を通すための貫通孔である。
第1収容部121、第2収容部122、及び第3収容部123には、それぞれ第1バルブボディ130と、第2バルブボディ130aと、流路部材140とが収容されている。第1バルブボディ130、第2バルブボディ130a、及び流路部材140は、それぞれ第1開口部127、第2開口部128、及び第3開口部129に嵌合する形状を底面とする角柱の外形形状を有している。
これにより、第1バルブボディ130、第2バルブボディ130a、及び流路部材140は、それぞれ第1開口部127、第2開口部128、及び第3開口部129から円滑に挿入され、それぞれ第1収容部121、第2収容部122、及び第3収容部123に収容されることが可能である。
流路部材140は、2つの内部流路142,145を有している。内部流路142は、2つの開口部141,143を有し、これらを接続する流路である。内部流路145は、2つの開口部144,146を有し、これらを接続する流路である。流路部材140は、開口部143と開口部144とが、それぞれ計測部170の入口開口部182と出口開口部183とに連通する位置に収容される。
計測部170は、流路部材140がフレーム部材120の第2収容部122の内部で上述のように位置決めされた状態において装着される。計測部170の装着は、貫通孔184hと貫通孔185hとにOリングRが挿入された状態において、貫通孔184hと貫通孔185hとにそれぞれ入口側流路凸部184と出口側流路凸部185とを挿入して行なわれる。この装着は、締結部材(図示省略)を4つの計測部170の貫通孔180に貫通させて雌ネジ孔186〜189に螺合させることによって締結される。
これにより、計測部170の入口開口部182と出口開口部183とが、それぞれ流路部材140の開口部143と開口部144とにOリングRを介して連通することになる。一方、流路部材140は、OリングRを介して第2収容部122の内壁面の一部をなす内部当接面128pに押し付けられることになる。換言すれば、流路部材140は、入口側流路凸部184と出口側流路凸部185と内部当接面128pとの間にOリングRを介して挟持されていることになる。
第1バルブボディ130は、2つの薬液流路131,132と、これらに連通している薬液弁室138とを有している。薬液弁室138には、ダイアフラム弁体152が装着されており、ダイアフラム弁体152の駆動によって2つの薬液流路131,132の連通と連通遮断とが行なわれる。薬液流路132は、樹脂ジョイント133(図15参照)の内部流路(図示省略)に連通している。薬液流路131は、継手部材110の内部流路111と2個のOリングを介して流路部材140の内部流路145に連通している。
第2バルブボディ130aは、2つの薬液流路131a,132aと、これらに連通している薬液弁室138aとを有している。薬液弁室138aには、ダイアフラム弁体152aが装着されており、弁体アクチュエータ150によるダイアフラム弁体152aの駆動によって2つの薬液流路131a,132aの連通と連通遮断とが行なわれる。薬液流路132aは、樹脂ジョイント133aの内部流路(図示省略)に連通している。薬液流路131aは、継手部材110の内部流路111と2個のOリングRを介して流路部材140の内部流路142に連通している。
弁体アクチュエータ150は、弁体アクチュエータ50に近似する構成を有している。弁体アクチュエータ150は、ダイアフラム弁体152と、ダイアフラム弁体152を駆動するピストン153と、ピストン153に流路を連通遮断させる方向に駆動力を与える圧力室155と、その逆方向の付勢力をピストン53に印加するバネ154とを備えている。弁体アクチュエータ150aは、弁体アクチュエータ150と同一の構成を有している。弁体アクチュエータ150,150aは、弁体アクチュエータ50と同様の構造によって、第1バルブボディ130や第2バルブボディ130aとともに遮断弁を構成している。
第1収容部121、第2収容部122、及び第3収容部123は、前述のように継手部材110の軸線方向に一直線上に配置されているので、2個の継手部材110と2個の継手部材110の各々の両端に装備されている2個のOリングは、第1バルブボディ130と第2バルブボディ130aとを相互に遠ざける方向に付勢していることになる。第2バルブボディ130aは、第3収容部123の内壁の一部をなす内部当接面123pに押し付けられることになる。第1バルブボディ130は、第1収容部121の内壁の一部をなす内部当接面(図示省略)に押し付けられることになる。
本構成では、継手部材110及び封止用弾性部材(たとえばOリングR)は、フレーム部材120が有する複数の収容部121〜123に格納されている各部材130,130a、140を付勢することによって、これらの相互の連通状態を実現している。継手部材110及び封止用弾性部材(たとえばOリングR)は、各部材130,130a、140をフレーム部材120の収容部121〜123の各々の内部に固定する役割も果たしている。
このように、フレーム部材120は、複数の収容部121〜123を有するように構成されている。このような複数の収容部121〜123を有する構成では、複数の収容部121〜123の相互間に連通する貫通孔124,125を形成し、相互に流路を接続する継手部材110と封止用弾性部材(たとえばOリングR)で流路を接続することもできる。さらに、機能部品である計測部170は、フレーム部材120の外側に装着され、簡単に取り外すことができるので、高い整備性を実現している。
本実施形態は、第1バルブボディ130や第2バルブボディ130aを他のバルブボディに入れ替えることによって、樹脂ジョイント133や樹脂ジョイント133aの方向を簡単に入れ替えることができる。これにより、外部との接続位置を簡易に変更することができる。さらに、第1バルブボディ130、第2バルブボディ130a及び流路部材140は、相互に継手部材110で接合され、樹脂ジョイント等による相互接続を必要としないので、省スペース化を図ることができる。なお、バルブボディ130,130aは主回路部材とも呼ばれる。弁体アクチュエータ150は副回路部材とも呼ばれる。
(第4実施形態の薬液切り替えバルブの構成及び作動)
図17は、第4実施形態の薬液切り替えバルブ160及び薬液タンク197の構成の概要を示す模式図である。薬液切り替えバルブ160は、薬液タンク197に装備され、薬液使用機器200への薬液供給や薬液タンク197への薬液充填の際に流路を切り替えるバルブである。
薬液切り替えバルブ160は、2個の遮断弁MV1,MV2を有する流路配管191,198を介して薬液使用機器200に接続される。薬液使用機器200と薬液切り替えバルブ160との間の接続と切り離しは、点線S(2個の遮断弁MV1,MV2と薬液切り替えバルブ160との間)の部分で行なわれる。
薬液切り替えバルブ160は、フレーム部材196と、フレーム部材196に装着されている5個の遮断弁AV1〜AV5と、4個の継手部材110(及びOリング)と、継手付き流路配管192〜195とを備えている。5個の遮断弁AV1〜AV5は、それぞれバルブボディBV1〜BV5の各々と弁体アクチュエータ150とを有している。
フレーム部材196は、5個のバルブボディBV1〜BV5を挿入するための開口部を有し、その開口部を底面とする角柱形状の収容部を5個有している。フレーム部材196は、3時、6時、及び9時の各方位に計3個の収容部を有する略U字状の底面形状を有する柱状部材196aと、U字型の底面を有する柱状部材196bと、を接合して形成されている部材である。柱状部材196aと柱状部材196bとの間には、2個の収容部が形成されている。接合方法は、図示しない螺合や溶接で実現することができる。フレーム部材196は、金属性でもよいが、たとえば強酸の薬液を使用する場合には、十分な強度を有する樹脂材料で製造するようにしてもよい。
これらの5個の収容部の各々の外壁面には、5個の弁体アクチュエータ150の一部が挿入されるための貫通孔が形成されている。外壁面は、柱状形状を有するフレーム部材196の柱状形状の軸線方向に垂直な方向で外部方向と各収容部とを隔てる隔壁である。
フレーム部材196が有する5個の収容部の各々には、5個のバルブボディBV1〜BV5の各々が挿入されている。5個のバルブボディBV1〜BV5は、フレーム部材196の各収容部において4個の継手部材110と5個の弁体アクチュエータ150とによって固定されている。5個のバルブボディBV1〜BV5の内部流路は、4個の継手部材110によって相互に接続され、薬液切り替えバルブ160の内部流路が形成されている。
フレーム部材196には、継手付き流路配管192〜195が装着されている。継手付き流路配管193は、薬液タンク197の内部において薬液の液面の上方に開口部が配置された状態で装備されている。継手付き流路配管194は、薬液タンク197の内部において薬液に浸かった位置に開口部が配置された状態で装備されている。このような配置によって、継手付き流路配管193から窒素ガスを注入することによって、継手付き流路配管194から薬液を供給することができる。
2個の遮断弁AV1,AV2は、継手付き流路配管192から継手付き流路配管193までの窒素ガスの流通の連通と連通遮断とを操作する遮断弁である。2個の遮断弁AV3,AV4は、継手付き流路配管194から継手付き流路配管195までの薬液の流通の連通と連通遮断とを操作する遮断弁である。遮断弁AV5は、窒素流路と薬液流路との間のバイパス流路199の流通の連通と連通遮断とを操作する遮断弁である。
図18は、薬液供給時の薬液切り替えバルブ160の構成を示す拡大図である。継手付き流路配管192〜195は、その端部で径方向に広がっているフランジ192f〜195fを有し、フレーム部材196に形成されている環状の溝部192h〜195hのそれぞれに装着されている。環状の溝部192hは、柱状形状を有するフレーム部材196において環状の溝部193hと柱状形状の相違する高さ位置(シフトされた位置)に配置されている。環状の溝部194hは、柱状形状を有するフレーム部材196において環状の溝部195hと柱状形状の相違する高さ位置(シフトされた位置)に配置されている。
フレーム部材196には、環状の溝部192hの同一軸線に渡って貫通孔(図示省略)が形成され、その貫通孔を使用してフランジ192fを有する継手付き流路配管192がOリングRとともに装着される。その貫通孔は、環状の溝部193hからシフトした位置に形成されることになる。フレーム部材196には、他の継手付き流路配管193〜195についても同様の貫通孔がそれぞれシフトした位置に形成されている。
3個のバルブボディBV1,BV3,BV5は共通する構成を有している。2個のバルブボディBV2,BV4は共通する構成を有している。2個のバルブボディBV2,BV4は、バイパス流路199への連通のための連通流路199aが形成されている点で3個のバルブボディBV1,BV3,BV5と相違し、他の構成で共通している。したがって、2個のバルブボディBV2,BV4は、3個のバルブボディBV1,BV3,BV5に対して連通流路199aを形成するための穴あけ工程を追加するだけで製造することができる。
図19は、薬液切り替えバルブ160の薬液の充填のための作動内容(設定モードの切替)を示すフローチャートである。ステップS11では、薬液切り替えバルブ160は、薬液供給モードに設定されている。薬液供給モードとは、薬液使用機器200への薬液の供給が可能な状態である。薬液使用状態では、図18に示されるように、4個の遮断弁AV1〜AV4が開の状態に1個の遮断弁AV5が閉の状態にそれぞれ操作されている。
本操作状態では、開とされている2個の遮断弁AV1,AV2を介して、流路配管191を介して窒素ガスを薬液タンク197に導くことができ、開とされている2個の遮断弁AV3,AV4を介して薬液タンク197から薬液を流路配管198に導くことができる。一方、遮断弁AV5は、流路配管191と流路配管198との間のバイパス流路199を遮断している。
ステップS12では、薬液切り替えバルブ160は、パージモードに設定されている。パージモードは、図20に示されるように、薬液切り替えバルブ160の内部流路に残留する薬液を外部に排出するための作動状態である。パージモードでは、2個の遮断弁AV2,AV4が閉状態とされることによって薬液タンク197が封止状態とされ、2個の遮断弁AV1,AV3が開状態のままで遮断弁AV5が開状態に操作される。これにより、薬液タンク197を封止状態としつつ、窒素ガスを供給することによって薬液切り替えバルブ160の内部流路から薬液を排出することができる。
ステップS13では、薬液切り替えバルブ160は、脱着可能モードに設定されている。脱着可能モードは、図21に示されるように、薬液使用機器200から薬液切り替えバルブ160を切り離す際の作動状態である。薬液使用機器200は、2個の遮断弁MV1,MV2の下流(薬液タンク197側)において切り離される。脱着可能モードは、3個の遮断弁AV1,AV3,AV5を閉状態に切り替えることによって、5個の遮断弁AV1〜AV5の全てを閉状態として薬液切り替えバルブ160の内部流路を外部から封止する作動状態である。
薬液切り替えバルブ160は、脱着可能モードにおいて薬液供給装置(図示省略)に接続することができる。薬液供給装置への接続は、薬液使用機器200への接続と同一の構成で実現することができる。
ステップS14では、薬液切り替えバルブ160は、充填モードに設定されている。充填モードは、薬液供給モードと同一の作動モードである(図18参照)。本操作状態では、薬液供給モードと逆方向に流体が流れることになる。すなわち、開状態の2個の遮断弁AV3,AV4を介して薬液を薬液タンク197に導くとともに、開状態2個の遮断弁AV1,AV2を介して窒素ガスを薬液タンク197から排出することができる。一方、遮断弁AV5は、流路配管191と流路配管198との間のバイパス流路199を遮断している。
ステップS15では、薬液切り替えバルブ160は、再びパージモードに設定されている。パージモードは、ステップS12のパージモードと同一の作動状態であり(図20参照)、薬液切り替えバルブ160の内部流路からの薬液の排出を可能とする作動状態である。この状態でパージが行なわれる。パージが完了すると、処理がステップS16に進められる。
ステップS16では、薬液切り替えバルブ160は、再び脱着可能モードに設定されている。脱着可能モードは、ステップS13の脱着可能モードと同一の作動状態であり(図21参照)、薬液切り替えバルブ160の薬液供給装置(図示省略)からの切り離しと、薬液使用機器200への接続を可能とする作動状態である。
ステップS17では、薬液切り替えバルブ160は、再び薬液供給モードに設定されている。これにより、薬液タンク197は、薬液が充填された状態で、薬液使用機器200に対して薬液の供給を再開することができる。
このように、薬液切り替えバルブ160は、薬液タンク197の封止状態を維持して薬液と空気の接触を断った状態で薬液の充填作業を行うことができる。さらに、本実施形態では、5個の遮断弁AV1〜AV5を効率的に実装した簡易な構成を有する薬液切り替えバルブ160の実装をも実現している。
上述の各実施例では、金属ネジ(図示省略)を通すことなく、主回路部材(たとえばバルブボディや流路部材)や副回路部材(たとえば弁体アクチュエータや計測部)を相互に締結することができる。たとえばPTFEなどの透過性のある樹脂材料を金属ネジを使用して締結すると、長時間をかけて少しずつ樹脂材料を透過した強酸の薬液が流路の近傍の金属ネジを腐食させることが本発明者によって見出された。上述の各実施例では、樹脂ボディに金属ネジが貫通も接触もしないので、このような腐食を予防することができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、流路の切り離しや切替の機能を有する装置として本発明が具現化されているが、たとえば図22、図23、図24、及び図25に示されるバルブユニット10dのように、単にオンオフ切替や開度調整を行うバルブとして具現化するようにしても良い。バルブユニット10dは、単一の弁体アクチュエータ40とバルブボディ96とフレーム部材95とを有し、2つの薬液流路93,94の間のオンオフ切替や開度調整を行うバルブユニットである。
このように、本発明は、このようなバルブユニットに適用しても、その小型化を実現し、製造を容易とすることができるという利点を有している。このような構成では、複数の薬液流路は、たとえば上述の薬液流路93,94をも含む広い概念を有している。
(2)上記第2実施形態は、必ずしもフレーム部材を必須の構成要素とするものではない。第2実施形態は、弁体が作動する弁室に形成されている開口部を他の弁体で開閉する点に特徴を有しているので、弁体アクチュエータのバルブボディへの装着方法に限定されるものではない。また、パージ流体用の流路も必須ではない。少なくとも3個以上の連通又は連通遮断が可能な流路が接続されていれば良く、弁体アクチュエータの数が5個以上であっても良い。
(3)上記各実施形態は、気体であるパージガスで掃気して流路から薬液を排出しているが、液体を流して流路から薬液を排出するようにしてもよい。一般に、流体を掃通させて薬液を排出するものであればよい。なお、弁体アクチュエータ40a及び弁体アクチュエータ40は、それぞれ掃通流体供給制御弁と掃通流体排出制御弁とも呼ばれる。また、接続流路36a及び接続流路36は、それぞれ掃通流体供給流路と掃通流体排出流路とも呼ばれる。
(4)上記実施形態では、薬液として半導体製造装置用のHMDS薬液が例示されているが、他の種類の薬液を流すものでも良いし、他の種類の液体を流すものでも良い。
(5)上記実施形態では、柱状形状を有するフレーム部材の軸線方向に垂直な方向に複数の収容部が配置されているが、このような配置形態に限られず、軸線方向に複数の収容部が配置されているようにしてもよい。さらに、フレーム部材の軸線方向とそれに垂直な方向の双方の三次元方向に複数の収容部が配置されるようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、弁アクチュエータは、流体によって駆動されているが、手動で駆動されるものであってもよい。
(7)上記実施形態では、バルブとして本発明が具現化されているが、たとえば状態計測部(たとえば流量計測デバイスや温度計測デバイス)や状態制御部(たとえば圧力制御弁や流量制御弁)を使用する装置として具現化することもできる。本発明は、一般に薬液回路装置として具現化することができる。