JP2011530272A - デュアルコントローラ、及び2相ブラシレスモータを利用するフェイルパッシブ電気機械アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
デュアルコントローラ、及び2相ブラシレスモータを利用するフェイルパッシブ電気機械アクチュエータが提供される。本システムは、固定子と、回転子と、回転子に電磁的に結合する第1の巻線と、回転子に電磁的に結合する第2の巻線と、第1の巻線に結合され、第1の巻線に第1の電流を提供するように構成される第1の制御回路と、第2の巻線に結合され、第2の巻線に第2の電流を提供するように構成される第2の制御回路と、を具備し、第1の制御回路、及び第2の制御回路は、回転子の動きを同時に制御する。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
従来、フェイルセーフ自動操縦サーボアクチュエータは、デュアルレーンサーボ増幅器、及びタコメータとともに、DCモータが使用されてきた。このようなシステムでは、レーンそれぞれは、1つのモータ端子の電圧を制御する。レーンそれぞれが閉ループ制御を実行するため、機能するレーンは、反対側のレーンの故障を直接的に検出することなく、反対側のレーンの故障を自動的に調整する。この高性能のサーボアーキテクチャは、ローカルの電子機器がサーボのループ閉を提供することが可能になる一方、モータのデュアルレーン制御の自己補償を提供する。インタフェース機器は、ARINC429デジタルデータインタフェースのような標準的な航空電子工学バスプロトコルを介して、サーボアクチュエータを制御し、かつ監視できる。2つのレーンのそれぞれが同等な制御を有するこれらのフェイルパッシブ特性を、より信頼性が高いブラシレスモータで再現することは、有益なことであるであろう。
本発明の態様は、デュアルコントローラ、及び2相ブラシレスモータを利用するフェイルパッシブ電気機械アクチュエータに関する。1つの実施形態において、本発明は、2相ブラシレスモータを制御するフェイルパッシブシステムに関する。システムは、固定子と、回転子と、回転子に電磁的に結合する第1の巻線と、回転子に電磁的に結合する第2の巻線と、第1の巻線に結合され、第1の巻線に第1の電流を提供するように構成される第1の制御回路と、第2の巻線に結合され、第2の巻線に第2の電流を提供するように構成される第2の制御回路と、を具備し、第1の制御回路は、外部制御回路から第1の指令値を受信するように構成され、第2の制御回路は、外部制御回路から第2の指令値を受信するように構成され、第1の制御回路は、ネゲート形式の第2の指令値を第2の回路から受信するように構成され、第2の制御回路は、ネゲート形式の第1の指令値を第1の回路から受信するように構成され、第1の制御回路、及び第2の制御回路は、回転子の動きを同時に制御するように構成される。
他の実施形態において、本発明は、回転子と、第1の巻線、及び第2の巻線を有する固定子と、第1の巻線に第1の電流を提供することによって回転子の動きを制御する第1の制御回路と、第2の巻線に第2の電流を提供することによって回転子の動きを制御する第2の制御回路とを具備する2相ブラシレスモータシステムを制御する方法に関する。本方法は、第1の回路において第1の指令値を受信し、第2の回路において第2の指令値を受信し、第1の回路においてネゲート形式の第2の指令値を受信し、第2の回路においてネゲート形式の第1の指令値を受信し、第1の回路において、第1の指令値、ネゲートした第2の指令値、及び第1のデフォルト値からなるグループから、先に選択された第1の基準に基づいて、第1の値を選択し、第2の回路において、ネゲートした第1の指令値、第2の指令値、及び第2のデフォルト値からなるグループから先に選択された第2の基準に基づいて、第2の値を選択し、第1の値に基づいて第1の巻線のための第1の電流を生成し、第2の値に基づいて第2の巻線のための第2の電流を生成する。
ブラシレスモータ制御システムの実施形態は、2相ブラシレスモータを制御する。多くの実施形態において、制御システムは、モータの第1の固定子巻線を制御する第1の制御回路と、モータの第2の固定子巻線を制御する第2の制御回路とを具備する。第1の回路、及び第2の回路は、互いに実質的に独立に動作する。しかしながら、これらの回路は、いずれかの制御回路で情報が誤使用されないように、ネゲート形式(negated form)で指令値情報を共有する。いくつかの実施形態において、第1の回路、及び第2の回路それぞれは、中央値選択(mid-value select)機能を使用して、ある入力信号に関連する過渡信号、故障、又は遅延を回避する。ブラシレスモータは、それぞれが反対方向に4つのコイル巻線を具備して指令されない動きを最小化し、かつ最大効率、及び最大のモータ制御を提供する4極固定子巻線、及び4極回転子巻線を具備できる。
ブラシレスモータシステムの実施形態は、最小の極で滑らかな動作につながることが多い簡明なベクトル制御のために2相構造を提供し、正弦トルクの生成を提供し、駆動回路故障による暴走を除去するために実質的に分離した制御駆動電子機器を有する2巻線モータを提供できる。
ブラシレスモータシステム、すなわちスマートサーボアクチュエータの実施形態をデジタル自動操作システムの一部として使用して、パート25民間航空機(Part 25 commercial aircraft)において使用できる。スマートサーボアクチュエータは、信号故障が、キャプスタンにおける1.5度(1.5 degrees at the capstan)よりも大きい指令外の動きがもたらさないように、フェイルパッシブにできる。これにより、以下に説明するように、優れた2相ブラシレスDC(BLDC)モータと、関連する冗長センサ、モニタ、及び以下に説明されるソフトウェアを有する独立なデュアルレーンDSPコントローラを使用して、実施できる。また、アクチュエータの安全特性は、いずれかのコントローラにより独立に解放でき、またクラッチ電源入力を遠方で除去できる電磁係合クラッチを具備する。
図1は、本発明に係る1つの実施形態に従う、デュアルレーン制御システム12と、2相ブラシレスモータ14とを具備するモータ制御システム10のブロックを概略的に示す図である。モータ制御システム10は、モータ/シャフト一センサ16と、クラッチ、及び歯車列(a clutch and gear train)18と、電源20とを具備する。
デュアルレーン制御システム12は、第1のレーン回路22と、第2のレーン回路24とを具備する。デュアル制御回路(22、及び24)は、実質的に互いに独立に操作でき、それぞれのレーンは、2相モータ14について別個の制御を有する。第1のレーン22は、フライトコンピュータ(図示せず)からの指令などの情報を受信するARINC429汎用非同期送受信回路(UART)26を具備する。UART26は、デジタル信号処理(DSP)、すなわちレーン1の制御回路28に結合される。UART26は、レーン1の制御回路28により生成される論理信号により制御される特定のUARTモードのためのレジスタを具備してもよい。UART26は、オーバラン誤差を防止するFIFOバッファを一般に具備してもよい。レーン1のDSP28は、DSP28のパルス幅変調(PWM)出力を増幅するHブリッジドライバ29に結合される。Hブリッジドライバ29は、第1の巻線32に提供される電流の双方向制御を提供するHブリッジ回路30に結合される。第1の巻線32は、モータの回転子43と電磁気的にコミュニケーションする多くのコイルを具備してもよい。多くの実施形態において、第1の巻線32は、モータの固定子43の構成要素である。
第2のレーン24は、フライトコンピュータ(図示せず)からの指令などの情報を受信するARINC429汎用非同期送受信回路(UART)34を具備する。UART34は、デジタル信号処理(DSP)、すなわちレーン2の制御回路36に結合される。UART34は、レーン2のDSP36により生成される論理信号により制御される特定のUARTモードのためのレジスタを具備してもよい。UART34は、オーバラン誤差を防止するFIFOバッファを一般に具備してもよい。レーン2のDSP36は、DSP36のパルス幅変調(PWM)出力を増幅するHブリッジドライバ37に接続される。Hブリッジドライバ37は、第2の巻線40に提供される電流の双方向制御を提供するHブリッジ回路38に接続される。第2の巻線40は、モータの回転子42と電磁気的に通信する多くのコイルを具備してもよい。多くの実施形態において、第2の巻線40は、モータの固定子43の構成要素である。
4つの位置センサ(44a、44b、44c、及び44d)は、回転子/モータシャフトを取り囲む位置に位置される。回転子/モータシャフトの端部において、モータシステムは、出力ピニオン48に続く惑星歯車列46を具備する。惑星歯車列46の係合は、クラッチ50によって制御されてもよい。クラッチ50は、レーン1のDSP28、及びレーン2のDSP36によって独立に制御されてもよい。
いくつかの実施形態において、ブラシレスモータシステムは、スマートサーボアクチュエータと称される。スマートサーボアクチュエータは、モータ制御ループを完成し、サーボの完全性(servo integrity)を監視するのに必要な構成要素、及びソフトウェアの全てを包含してもよい。サーボ指令、及びサーボ命令(Servo commands and instructions)は、ARINC429高速フォーマットを使用するサーボのレーンそれぞれに提供される。位置指令、速度指令、又はトルク指令は、サーボに提供される命令によってコントローラに受け取られてもよい。メッセージ構造は、レーンそれぞれにより受信されるデータの完全性を保証するために、自動操縦システムに統合されてもよい。また、スマートサーボの位置データ、速度データ、及びトルクデータ、並びに位置状態、速度状態、及びトルク状態は、ARINC429高速フォーマットのインタフェース機器に送信されてもよい。コントローラへのハードウェアインタフェースは、レーンそれぞれにおいてARINC429UARTを使用して実施される。スマートサーボのレーンそれぞれの呼び掛けは、設定の間に配線接続されるディスクリート(52、及び54)を使用して、獲得されてもよい。他の実施形態において、スマートサーボへの呼び掛けの他の手段を使用できる。
モータ14は、フェイルパッシブ自動操作の応用に特に設計される2相4極BLDCモータである。回転子の組立部品は、回転子、出力歯車、及びセンサ磁石組立部品に付着される多くの希土類元素磁石を具備する。モータの固定子は、独立の2つの巻線(32、及び40)を具備する。巻線それぞれの電流は、いずれかのコントローラによって独立に制御される。モータのトルクは、2つの巻線の電流のベクトル和により提供される。電流ベクトルの振幅は、出力トルクに比例する。電流ベクトルは、所望のトルク、すなわち所望の回転の方向に90度ずれて回転子の極の位置を導く。巻線それぞれは、固定子巻線の端部それぞれに提供させる2つの電流センサ(33、及び41)を有してもよい。一方の電流センサは、独立の制御に使用でき、他方は、反対のレーンのコントローラによって、独立に監視する。
回転子の角度位置は、モータシャフトに直接取り付けられる4極センサ磁石に半径方向の周りに配置される一対の線形レシオメトリックホール効果センサ(44a、44b、44c、及び44d)を使用して感知される。センサ出力電圧の対は、DSPコントローラのアナログ‐デジタル変換機に提供され、固定子の角度は、電圧比のアークタンジェントとして計算される。レーンそれぞれは、専用の位置センサを有し、センサの入力から回転子の位置を独立に計算する。回転子の位置を使用して、特定のレーンのモータコイルの電流の正確なレベルを決定し、デルタ位置(delta position)を計算し、回転のシャフト角速度を算定する。
図1において説明される実施形態において、コントローラは、モータ制御のために特に設計される異なるDSPマイクロコンピュータ(28、及び36)である。第1レーンのDSPは、テキサスインスツルメンツ(登録商標、TI)のTMS320F2800シリーズのDSPであり、第2レーンは、フリースケールの56F8300シリーズのDSPである(Texas Instruments(登録商標)、及びFreescale(登録商標)は、これらの会社の商標である)。他の実施形態において、他のコントローラモデルを使用できる。1つの実施形態において、コントローラは、同一である。プロセッサそれぞれは、対応するレーンのARINC429データバスを介して独立の指令を受信する。スマートサーボの呼び掛けは、設定時に配線接続される入力ディスクリート(52、及び54)を読み出して決定されてもよい。DSP(28、及び36)は、配線接続される呼び掛けに適合するメッセージに応答することになるであろう。
指令メッセージの構造、妥当性、及び新鮮さは、完全性を保証するために、試験される。妥当性は、着信したメッセージが、サーボに到着する前に損傷していないかを確かめ、かつメッセージのデータフィールドが先に選択された範囲内であるかを確かめるために、参照してチェックしてもよい。これは、メッセージ全体の巡回冗長検査(CRC)を実行することによって達成される。新鮮さは、メッセージを受信するサーボを特定の速度(100Hzなど)で参照してもよい。メッセージが、この時間フレーム内で受信されない場合、これによって、クラッチを強制的に解放する故障条件を示すフラグを始動してもよい。モータコイル電流指令を作り出す指令入力、及びセンサ入力の処理は、DSPに不可欠なパルス幅変調(PWM)を利用して達成される電流変調により、高速度で実行される。コントローラそれぞれは、コントローラの巻線における電流、他方のコントローラにおける巻線の電流、クラッチ電流、供給電圧、内部電力供給電圧、及び回転子の位置の入力を含む多くのセンサ入力を具備する。PWM信号を使用して、従来のHブリッジ(30、及び38)のMOSFET対をスイッチングする。
所望のトルク、及び所望の速度を作り出すためのモータの動作は、レーンの指令信号、センサ入力、及び算定される電流によって独立に決定される固定子巻線(33、及び40)それぞれの固有の電流を必要とする。
短絡、又は開路された固定子コイル、短絡、又は開路されたパワーMOSFET、若しくは誤スイッチング指令によって、レーンいずれかが故障することにより、90度のモータの回転子の最大動作が一般的にもたらされることになるであろう。BLDCモータは、連続運動のために能動的に制御しなければならない範囲で本質的に安全である。一般的には、このようなモータは、コイルの1つを通る電流が一定の場合、90度よりも大きく移動できない。
モータ18の出力は、サーボマウントの5.85−1平歯車減速機を介してさらに駆動する2段20−1惑星歯車減速機を駆動する。この惑星歯車減速機は、必要な出力トルク、及び速度を提供できる。モータ14と連結して使用できる惑星歯車の説明は、参照することにより本明細書に内容が明確に組み込まれる名称を「高速歯車減速機(HIGH RATIO GEAR REDUCER)」という2008年12月1日に出願された米国特許出願第12/326074号に含まれる。モータの回転子の位置において最悪90度のハードオーバ(hardover)の場合では、キャプスタンのアップセットは、1.5度より小さく限定できる。
惑星歯車システム18のリングギアは、サーボアクチュエータクラッチが解放されるときに、フリーホイールが可能になる。一般的に、リングギアは、クラッチが係合されるときに半径方向の位置でロックされる。これは、クラッチのポールの外側の直径上の対応する平歯車に結合されるリングギアの外側に機械加工される平歯車とともに達成される。クラッチのコイルに電圧が印加されるとき、磁極面上の環状フェイスギアは、ともにリングギアに接地され、サーボアクチュエータに機械的に係合される。クラッチへの電流信号は、自動操作を制御するコンピュータから提供される信号とは別の信号である。クラッチのコイルの端部それぞれのMOSFETのスイッチは、モニタを介してコントローラが故障を検出するときに、アクチュエータのレーンそれぞれが、クラッチを独立に解放することを可能にする。また、独立のクラッチ電流センサは、コイルの端部それぞれに提供される。これらの電流信号は、DSPコントローラにより監視され、個々のレーンによりクラッチ電流のPWM閉ループ制御に使用でき、反対のレーンによる監視にも使用できる。これらの機能は、クラッチを内部的に解放できる構成要素における潜在的な故障を検出するために、周期的に交互に行われる。
デュアル電流センサ、及びデュアル位置センサに加えて、レーンそれぞれはまた、DSPの性能を監視するために、監視回路を含む。双方のDSPは、電力供給電圧を独立に監視する。DSPそれぞれに内在するシリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)バス56を使用して、入力指令、センサデータ、監視入力、アクチュエータ出力性能、及び内蔵テストの間にチェックされる他の機能をクロスチェックする。クロスチェック処理における不一致は、ARINC429バスを介して故障状態のレポートをもたらす。また、このような不一致、又は他の故障によって、逆方向の側のDSPによるクラッチの解放が起動される。
コントローラ(28、及び36)は、SPIバスを使用して互いに通信する。いくつかの実施形態では、コントローラそれぞれは、位置のような他のコントローラのネゲート形式の指令値(クロスサイド指令値など)を受信する。例えば、レーン1のコントローラ28が10度の位置の指令値を受信し、レーン2のコントローラ36が15度の位置の指令値を受信している場合、レーン1のコントローラ28は、−15度の値を受信し、レーン2のコントローラ36は、−10度の値を受信することになるであろう。このように情報を共有することによって、デュアルレーン制御システムは、いずれかのコントローラからの真の制御情報を使用することを避ける。これによって、いずれかのコントローラが他のコントローラの情報を自身のものとして受け取ることを防止する。このような考慮は、飛行機の応用において重要なことである可能性がある。
ブラシレスモータは、スロットレスのブラシレス型のモータにしてもよい。最も存在するスロットレスブラシレスモータは、3巻線の3相である(6つのコイル)。多くの実施形態において、本発明のモータは、4極回転子と、それぞれが互いから45度に位置する4コイルの2固定子巻線との組み合わせである。他の実施形態では、2極回転子を使用できる。他の実施形態では、固定子は、互いから90度に位置する2コイル2相(1相当たり1コイル)を含む。
特定の応用のための設計要求により、固定子のコイルと回転子の極とのいずれの組み合わせにすることが可能である。固定子のコイル数、及び回転子の極数が増加すると、製造コストが増加する一方、出力トルクのリップルが減少する。
図2は、本発明に係る1つの実施形態に従う2相ブラシレスモータの縦切りの断面を示す図である。固定子構造は、回転子から巻線64を分離するフェノール性の耐熱性スリーブ62と、磁気的な帰還路を提供し、かつ渦電流損を低減する円盤状の積層66と、モータを取り囲むステンレス鋼の筐体68と、を含む。回転子構造は、適当な位置に熱収縮されるマイラーチューブにより囲まれるステンレス鋼のシャフト72に接合される4つの希土類磁石70から構成される。シャフト72の端部において、ホール効果磁石74は、ホール効果センサ76と併せて使用される。
図3は、図2の2相ブラシレスモータの横断面を示し、本発明に係る1つの実施形態に従う回転子42´、固定子43、及び固定子巻線(L1、及びL2)の配置を示す図である。
図4は、本発明の1つの実施形態に従う1つの固定子巻線のコイルを概略的に示す図である。いくつかの実施形態において、固定子巻線L1は、図2、及び3の2相ブラシレスモータとともに使用できる。相/巻線それぞれは、特定の巻数の4つの一連のコイルからなり、巻線列のコイルそれぞれは、隣接するコイルから反対の方向に巻かれる。例えば、L1固定子巻線は、コイルL1a、L1b、L1c、及びL1dを具備し、L1bは、L1a、及びL1cの反対の方向に巻かれる。コイルL1dは、コイルL1bと同一の方向に巻かれる。L2固定子巻線(図3参照)は同様に、L2bは、L2a、及びL2cの反対の方向に巻かれる。コイルL2dは、コイルL2bと同一の方向に巻かれる。
したがって、コイルそれぞれの回転の寄与は、4極固定子42´を制御する他の全てのコイルの寄与に付加する。他の実施形態において、異なる数の極を有する固定子を使用してもよい。コイルの固有の幾何学的配置は、リップルが小さい正弦波出力トルクを提供する。
図4の隣接するコイルの互いの相関方法を理解するために、電流(I)を作り出すために巻線に印加される電圧を考慮する。矢印は、電流(I)が流れる方向を示す。電流の流れ方向の規定された方向と、右手の法則とを使用して、磁界の方向は、決定できる。例えば、コイルL1a、及びコイルL1cに関して、磁界は、頁の方に伸びる。コイルL1a、及びコイルL1cに関して、磁界は、頁から伸びる。そこで、電流が単一の固定子巻線を流れているときに、交番磁界が作られ、巻線列において隣接するコイルの磁界は、互いに反対する。
ここで図3に戻ると、横断面図は、回転子42´との関係で固定子43の固定子コイルのレイアウトを説明する。固定子43は、それぞれが同一の固定子巻線の他のコイルに隣接する固定子巻線(L1、又はL2)を有する8つの8分の1部分に分割される。例えば、0度から45度まで、第1の8分の1部分は、第2の巻線L2cのコイルの巻線と、第2の牧瀬L2bの他のコイルの巻線とを具備する。第1の8分の1のL2b、及びL2cの巻線は、ドットで示されるように、頁の方に向く。45度から90度までの第2の8分の1部分は、第1の巻線L1aのコイルの巻線と、第1の巻線L1dの他のコイルの巻線とを具備する。第2の8分の1のコイルL1a、及びL1dの巻線は、Xに丸印が描かれるように、頁から向く。巻線の残りのコイルは、環状の固定子43に沿う他の8分の1部分に同様に配列される。
図4に戻ると、巻線列L1の隣接するコイルの巻線における電流は、コイル巻線が結合される位置(Cab、Cbc、Ccd、及びCda)、又はごく近接する位置において同一の方向に流れる。また、結合部分(Cab、Cbc、Ccd、及びCda)は、図3において説明される。第2の巻線L2は、第1の巻線L1と類似するコイル、及び結合部分を具備する。
図3に示すように、2つの固定子巻線がともに組み立てられるとき、完全な固定子組立品が形成される。固定子コイルの全てを考慮するとき、巻線それぞれ、及び対応するDSP制御回路は、4つの4分の1のいずれかの制御を有する。モータのトルクは、2つの巻線における電流のベクトル和により提供される。2つの固定子巻線の間の合力電流ベクトルの増幅は、出力トルクに比例する。
個々のDSPコントローラにより制御されるレーンの一方の構成要素のいずれかにおける故障の場合には、結果は、モータにおけるハードオーバ効果を有する。しかしながら、上述の制御システムは、このような故障を積極的に監視し、かつ応答することによって、ハードオーバ効果を最小限にするように配置される。さらに、固定子巻線、及び4極回転子物理的な配置は、システムの故障の最悪の効果を限定する。例えば、モータの回転子位置において最悪90度のハードオーバの場合には、キャプスタンのアップセットは、1.5度より小さく限定できる。短絡、又は開路された固定子コイル、短絡、又は開路されたパワーMOSFET、又は誤スイッチング指令のためにいずれかのレーンが故障することにより、90度のモータの回転子の最大動作を一般的にもたらすことになるであろう。BLDCモータは、連続運動のために能動的に制御しなければならない範囲で本質的に安全である。一般的には、このようなモータは、コイルの1つを通る電流が一定の場合、90度よりも大きく移動できない。
図5は、本発明の1つの実施形態に従う2相ブラシレスモータシステムを制御する高レベル処理を説明するフローチャートを示す図である。高レベル処理80において概して4つのメイン実行経路がある。電源投入82、高級ループ84、電源故障インタラプト86、及びPWMインタラプト88である。図5、及び6は、本発明のいくつかの実施形態に従う実行の構造、及びフローを示す。
電源投入82において(ブラシレスモータシステムに電源を印加するときなど)、プロセッサは、RAM、及びARINC受信UARTをテストすることによって、動作のチェックをすることができる。一般的には、これらのテストは、電源投入内蔵テスト(PBIT)の間のみに実行される。さもなければ、通常の処理を干渉するからである。機能性の自己検証テストの後に、プロセッサは、多くの初期化タスクを実行し、次いで高級ループ(executive Loop)に入る。これらのタスクは、監視タイマ、ARINC UART、SPIバス、制御ループ、及びPWMサブシステムを含む必要な変数、及びハードウェアの全ての初期化を含んでもよい。
概して高級ループ84は、規則的で一貫した速度で実行されるであろうタスクを実行suるが、これは、モータ制御機能に欠かせないものでない。これらは、ARINC429、及びSPIバスを介して受信される有効なメッセージブロックの検証と、固有の指令モード、及び固有の指令値の調整、及び設定と、ARINCラベルの送信と、持続的な内蔵テスト(BIT)とを具備する。ループは、0.25ミリ秒に1度、すなわち4kHzの速度で実行できる。いくつかの実施形態において、ARINC429ラベルは、1秒当たり100回送信されることになるので、概して特定のラベルは、高級ループの40回の実行ごとに処理される必要がある。高級ループの論理スイッチ状態は、40のケースを有することができる。これは、伝送されるデータが可能な限り短い待機時間を有することを保証する。それぞれのケースが実行されたのち、監視タイマが利用可能になる。次いで、0.25ミリ秒タイマが満了するまでの利用可能時間の残りのために、フラッシュにおけるプログラムの妥当性は、巡回冗長検査(CRC)を生成し、チェックすることによりチェックされる。
第3の主要な実行経路である電源故障インタラプト86は、アクチュエータから電源が除去されたときに始動できる。入力される電源の喪失を検出ためのインタラプトは、高級ループ84、及びPWMインタラプト88の実行を停止し、次いでクラッチを解放できる。最後に、関連する機器に電源の喪失を通知するために、ARINC429メンテナンスラベルが電源故障表示とともに送信される。この時点から、プログラムの実行は、概して停止することになるだろう。電源インタラプトが一時的である場合、監視タイマは、プロセッサをリセットし、電源投入シーケンスを再度進めることになるであろう。
処理により概して実行される1次モータ制御タスク、又はインタラプト88は、一貫性のあるタイミングを有し、かつ他のタスクよりも優先される。制御タスクは、40kHzPWMインタラプトにおいて動作するように構成できる。制御ループは、それぞれの期間が終了する前に、PWMデューティサイクルをリロードするための計算を終了する。PWM期間それぞれの間、位置を算出してもよい。電流制御ループは、通信状態、及びデューティサイクルを設定するように処理されてもよい。またアクチュエータの出力モード(トルク、位置、又は速度など)は、制御ループで調整されるが、概して10kHzの速度で実行される。他の2つのタスクは、概してPWM40kHzインタラプト内で実行されて、特定のタイミングマージンを維持する。これらのタスクは、高級ループのために40kHzタイマをインクリメントすること、及びSPIレジスタのロード、及びアンロードをチェックすることを具備してもよい。
図6は、本発明の1つの実施形態に従うブラシレスモータシステムを制御する処理(高級ループ)84を説明するフローチャートを示す図である。高級ループ処理84の動作は、初期始動から説明できる。フライトコンピュータ(図示せず)は、ARINC429メッセージをブラシレスモータ制御システムに送信する。DSPそれぞれは、ARINCメッセージへのアクセスを有する。ブロック102において、処理は、ARINC429UARTデータバッファレジスタから4バイトのデータを読み出す。処理は、受信したラベルの妥当性をチェックし、データをテンポラリの指令ブロックに置き、CRCをチェックし、指令ブロックの状態を設定できる。伝送キューが空でない場合、処理は、ARINC429UART送信バッファレジスタに、メッセージ送信キューから4ビットのデータをテールエンドで書き込むことができる。処理は、受信器のキューを取り出して、指令データ、及び監視データの正当性を立証できる。指令データが正当である場合、処理は、指令モードのタイプと、指令値とを抽出する。次いで、処理は、指令モードに基づいて、指令値しきい値と、指令値範囲とを設定できる。監視データが正当である場合、処理は、トルクの制限を更新できる。
ブロック104において、処理は、SPIメッセージブロックを組み立てる。またSPIスレーブのために、処理は、送信FIFOにメッセージを置き、送信器FIFO、及び受信器FIFOをリセットする。ブロック106において、処理は、受信した指令モード、フィルタリングされたオンサイド指令値(filtered onside commanded value)、クロスサイド指令値、及び補償された位置に基づいて、中央値選択を実行する。
いくつかの実施形態では、ブロック102、104、及び106は、連続的に実行してもよい。例えば、高級ループケース0を介する第1回、すなわちブロック108が実行される。高級ループケース1を介する次回、ブロック110が実行される。高級ループを介する第10回、「処理CBIT」が実行される。高級処理を介する第11回において、ブロック108を繰り返してもよく、サイクルは、ブロックそれぞれが合計4回実行されるまで続けてもよい。
ケースブロックのそれぞれが実行された後に、処理は、ブロック116を実行し、監視タイマを使用可能にする。ブロック118において、処理は、CRCを計算し、チェックする。ブロック120において、処理は、経過した合計の高級ループの時間が0.25ミリ秒(ms)以上であるかを判定する。0.25msよりも短い場合、0.25msに到達するまで待機ループが実行される。0.25msの時間を経過すると、処理ループは、高級ループの開始に戻る。
いくつかの実施形態において、処理に記載される全ての活動が実行されるのではない。他の実施形態において、活動は、フローチャートで説明される順番と異なる順番で実行される。いくつかの実施形態において、いくつかの活動は、同時に実行される。いくつかの実施形態において、処理は、他の機能を提供する付加的な活動を実行する。
図7は、本発明の1つの実施形態に従うブラシレスモータシステムの典型的な動作のシーケンスを説明するフローチャートを示す図である。シーケンス、又は処理は、定常状態条件を獲得することにより開始する(A)。次いで、処理は、ARINC429を介してパラメータを受信する(B)。次いで、処理は、クラッチを係合する(C)。次いで、処理は、ARINC429を介してフライトコンピュータにより提供されるか、又はフライトコンピュータから提供されるパラメータから抽出されるかのいずれかである所望のクラッチ電圧に基づいてPWM値を決定する(D)。次いで、処理は、PWM値によりHブリッジを駆動する(E)。係合されると、コントローラそれぞれは、対応するHブリッジをイネーブルにし、かつPWM値を個々のHブリッジに出力するレジスタに、PWM値をロードする(図1参照)。
いくつかの実施形態において、処理に記載される全ての活動が実行されるのではない。他の実施形態において、活動は、フローチャートで説明される順番と異なる順番で実行される。いくつかの実施形態において、いくつかの活動は、同時に実行される。いくつかの実施形態において、処理は、他の機能を提供する付加的な活動を実行する。
図8は、図7の動作シーケンスに従うブラシレスモータ制御システムの定常状態条件(A)を説明するフローチャートを示す図である。入力のシーケンス、及び条件をチェックして、定常状態における動作を確認する。いくつかの実施形態において、これらの入力、及び条件は、クラッチを係合するために必要である。シーケンスは、係合可能ディスクリート(Engage Enable Discrete)をチェックし(A1)、フライト制御システムを介してサーボに供給されるクラッチ電圧入力をチェックする(A2)。概してクラッチ電圧は、先に選択された低許容値より高くすべきであり、係合可能ディスクリートは、固有の動作に対して高くできる。安全状態の他の条件は、再係合の前に2つの実行期間のためにクラッチを解放すること(A3)と、クラッチ解放故障がレポートされていないこと(A4)と、サーボがARINC429を介して解放を指令されないこと(A5)とを含む。クラッチ解放チェック(A3)により、再係合が実行される前に、クラッチが機械的に十分に解放されることを保障する。クラッチ解放故障がないことのチェック(A4)は、故障条件が存在するときの係合を防止する。故障条件の一例は、オンサイドのコントローラのSPIデータブロックのチェックサムが、送信するコントローラのチェックサムと適合しないことを表示するSPIデータ故障であろう。このような場合、無効メッセージが受信されて、廃棄される。解放が指令されてないことのチェック(A5)は、概して解放指令が係合指令より優先されることを確認する。
いくつかの実施形態において、処理に記載される全ての活動が実行されるのではない。他の実施形態において、活動は、フローチャートで説明される順番と異なる順番で実行される。いくつかの実施形態において、いくつかの活動は、同時に実行される。いくつかの実施形態において、処理は、他の機能を提供する付加的な活動を実行する。
図9は、図7の動作シーケンスに従うブラシレスモータ制御システムのために、ARINCを介してパラメータを受信する処理(B)を説明するフローチャートを示す図である。処理は、クラッチモード指令を受信すること(B1)によって開始する。例えば、クラッチモード指令によって、クラッチを係合することを指令できる。処理は、指令モードをトルクに設定するなどのような指令モードを受信してもよい(B2)。処理は、トルク制限を100%に設定するなどのような指令モードトルク制限を受信してもよい。(B3)。また、処理は、指令値を100%に設定するなどのような指令値を受信してもよい。(B4)。
動作の前にフライト制御システムから必要とされる入力を受信でき、又は算出できる。これらの入力は、ARINC429メッセージを介してサーボに通信される指令モード、指令値、トルク制限、係合指令を含むことができる。指令値は、中央値選択機能に入力されるオンサイド入力である。中央値選択出力、及び所望の指令値は、誤差(エラー、error)計算への入力になり、所望の指令値と実際のモータ状態との間の差異を決定するために使用される。例えば、コマンドモードが位置であり、所望の指令値が100度であり、モータの電流状態が0度である場合、位置誤差の絶対値は、100度になる。モータは、位置誤差0を達成するように駆動される。トルク制限は、所望の指令値と併せて使用されて、Hブリッジを制御するために使用されるPWMデューティサイクルを決定する。トルク制限は制御ループにおいて使用されて、所望の指令値を達成するために必要なトルク量を制限する。
いくつかの実施形態において、処理に記載される全ての活動が実行されるのではない。他の実施形態において、活動は、フローチャートで説明される順番と異なる順番で実行される。いくつかの実施形態において、いくつかの活動は、同時に実行される。いくつかの実施形態において、処理は、他の機能を提供する付加的な活動を実行する。
図10は、図7の動作シーケンスに従うブラシレスモータ制御システムのために、クラッチを係合する処理(C)を説明するフローチャートを示す図である。処理は最初に、係合指令は、受信されたか否かを判定して(C1)クラッチが先に解放されたことを保障する。条件が満たされていない場合、条件が満たされるまで処理は待機する。条件が満たされる場合、レーン1の制御回路は、クラッチ制御回路のレーン1の部分を起動する(C2)。次いで、処理は、故障チェックを実行して(C3)、クラッチ回路に電流がないことを保障する。故障チェックを実行して、レーン2が入っておらず、完全な電気路がないために、クラッチ回路に電流が流れないことを保障する。コントローラが電流の流れを感知する場合、故障条件がフラグされ、コントローラは、クラッチを解放するよう指令する。
先に選択された期間の後に、レーン2の制御回路は、レーン2のクラッチ制御回路の部分をアクティブにする。これにより、クラッチコイルを介して電流が流れることができ、クラッチアーマチャのスプリング力を超える磁界を作り出す。このようにして、クラッチアーマチャが引き込まれて、クラッチをモータに機械的に係合させる。アーマチャを引き入れるために、規定の時間量を要し、この時間の間に電流が定常状態値を超えることができる。電流のこの引き入れは、アーマチャの移動を生じさせるためにスプリング力とその慣性を超えなければならないという事実のために、より大きくなる。
次いで、処理は、所望のクラッチ電流と実際のクラッチ電流との間の差に応じてクラッチ電流誤差を決定する(C5)。次いで、処理は、クラッチ電流誤差に応じて所望のクラッチ電圧を決定する(C6)。所望の電圧を使用して、クラッチが係合し続けるために必要な新たなPWM値を決定する。クラッチのPWM制御は、レーン1の制御回路により実行される。このPWM値は、コントローラのPWMレジスタにロードされる。
図11は、図7の動作シーケンスに従うブラシレスモータ制御システムのPWM値を決定するための主要処理(D)のフローを示す図である。処理は、中央値選択(MVS)機能/アルゴリズムの出力を決定する(D1)ことで開始する。次いで、処理は、MVSの出力に基づいてトルクを決定し(D2)、決定されたトルクとトルクリミットとを比較する。これは、ARINCメッセージにおいて受信できる。また、処理は、加速度を決定し(D3)、D2で決定された所望のトルクに基づいて、決定された加速度とリミットとを比較する。次いで、処理は、Hブリッジドライバ、及びHブリッジを駆動するために必要な適当なPWM値を決定する(D4)。
図12は、図11で説明されるPWM値を決定する処理における中央値選択(MVS)アルゴリズムの出力を決定するサブ処理(D1)を説明するフローチャートである。サブ処理は、オンサイド指令値(OCV)、クロスサイド指令値(CCV)、及びデフォルト値(DV)を受信すること(D11)により開始する。特定のDSPコントローラについて、オンサイド指令値は、フライトコンピュータからDSPコントローラに送信される値であり、クロスサイド指令値は、他方のDSPコントローラに送信されるネゲート形式の指令値である。オンサイド指令値、及びクロスサイド指令値が同一の値であり、符号が異なる場合(D12)、中央値選択出力は、オンサイド指令値(OCV)に設定される。
オンサイド指令値、及びクロスサイド指令値が異なる値であり、かつ符号が異なり、これらの値の間の差が、故障状態の信号を出すのに十分に大きくなく、オンサイド指令値の絶対値が、クロスサイド指令値よりも大きい場合(D13)、MVSの出力は、クロスサイド指令値(CCV)に設定される。オンサイド指令値と、クロスサイド指令値との符号が同一である場合(D14)、MVSの出力は、デフォルト値に設定される。クロスサイド指令値は、他方のコントローラに送信される前はネゲートであるので、クロスサイド指令値がオンサイド指令値と同一の符号である場合、レーン1は、レーン2の反対の方向に移動するように指令される。コントローラ間のいずれの競合も防止するため、所望の指令値は、双方のコントローラでデフォルト値(コマンドモードがトルクである場合、ゼロなど)に設定される。この例では、オンサイド指令値と、オフサイド指令値とは、等しく、かつ符号が異なるので、これらの値の合計はゼロである。したがって、このような場合、MVSの出力は、オンサイド指令値に設定される。
図13は、図11で説明されるPWM値を決定する処理とともにトルクを決定するサブ処理(D2)を説明するフローチャートである。第1に、サブ処理は、指令モードがトルクであるかを判定する(D21)。そして、指令モードがトルクである場合、MVS出力は、MVS出力に基づいて最大モータ速度を決定するために、第1の変換係数によって拡大、又は縮小される。次いで、サブ処理は、モータの現在の速度、及び第2の変換係数を使用して、速度ベースのトルクを決定する(D22)。速度ベースのトルクは、最大モータ速度により制限される。次いで、サブ処理は、MVS出力と、速度ベースのトルクとの間の差異に基づいて速度誤差を決定する(D23)。この誤差信号は、ローパスフィルタを介して、拡大、又は縮小し、かつ送信できる。サブ処理は、結果として生じる所望のトルクを決定できる(D24)。サブ処理は、結果として生じる所望のトルクが制限内であることを確認するために、トルク制限と、結果として生じる所望のトルクとをチェックできる(D25)。
図14は、図11で説明されるPWM値を決定する処理とともに加速度を決定するサブ処理(D3)を説明するフローチャートである。サブサブ処理は、第3の変換係数で拡大、又は縮小されて(サブ処理D2から)結果として生じる所望のトルクに基づいてモータの期待される加速度、及びモータ電流を決定できる(D31)。次いで、サブ処理は、期待される加速度と予測される速度との比較に基づいて、加速度誤差を決定する(D32)。次いで、サブ処理は、加速度誤差値をフィルタリングする(D33)。サブ処理は、第4の変換係数により拡大、又は縮小され、かつフィルタリングされた加速度誤差に基づいて、加速度積分器(acceleration integrator)を決定する(D34)。加速度積分器を使用して、モータの所望の速度を決定する。
図15は、図11で説明されるPWM値を決定する処理とともにPWM値を決定するサブ処理(D4)を説明するフローチャートである。サブサブ処理は、期待されるモータ電流と、実際のモータ電流との比較に基づいて、モータ電流誤差を決定する(D41)。次いで、サブ処理は、第5の変換係数により拡大、又は縮小されたモータ電流誤差に基づいて、所望の電圧を決定する(D42)。次いで、サブ処理は、第6の変換係数により拡大、又は縮小された所望の電圧に基づいて、モータに印加するためのPWM値、すなわちデューティサイクルを決定する(D43)。PWM値は、Hブリッジ、及びHブリッジドライバを介して固定子巻線に出力できる。
図16は、本発明に係る1つの実施形態に従う中央値選択システムのブロックを概略的に説明する図である。より強固なシステムを達成するために、MVSシステムを実施して、入力値の過渡信号、不良、又は遅延を上回る所望の指令値(MVS出力)を計算できる。一般にレーンそれぞれのコントローラは、異なる製造業者から提供されるので、制御処理は、コントローラそれぞれと、それぞれのレーンとの間の処理タイミング差を占めるように配置される。さらに、概して不良チェックを実施する必要がある。不良チェック処理は、それぞれのレーンの指令値を比較して、それぞれのレーンの指令値が許容範囲の外であるか否かをチェックする。それぞれのレーンの指令値が許容範囲の外である場合、ソフトウェアのフラグが設定されることになるであろう。いくつかの実施形態において、先に選択された数の比較フラグが、先に選択された時間内に生じた場合、クラッチは、問題を検出するレーンにより解放せざるを得ない。この場合、指令されない動作は、防止される。図16のMVSシステムは、多くのこれらの機能を実行するために役に立つ。
MVSシステム200は、少なくとも3つの入力値を含む。デフォルト値201、オンサイド指令値202、及びクロスサイド指令値202である。デフォルト値201は、スマートサーボの動作の指令モードに基づいて決定される。例えば、指令モードがトルクモードの場合、デフォルト値は0である。オンサイド指令値202は、オンサイドのコントローラのARINC429バスを介してサーボに送信され、オンサイドのコントローラにより受信される指令値である。クロスサイド指令値203は、クロスサイドのコントローラのARINC429バスを介してサーボに送信され、クロスレーンのコントローラにより受信される指令値である。クロスサイド指令値は、反対のレーンのコントローラにSPIバスを介してネゲート形式で通信される。この機能性は、それぞれのコントローラで共通である。
ここで、図16を参照すると、オンサイド指令値202、及びクロスサイド指令値203の双方は、ローパスフィルタを通ることによって、期間全体の値が平均化される。次いで、値は、互いに加算されて、値の間の差を見出される。これは、クロスサイド指令値203がSPIを介して送信される前にネゲートされるため、可能である。このときに、値の間の差が許容範囲を超える場合にソフトウェアフラグが設定される(205)。中央値選択のこの出力は、双方のレーンの所望の指令値になる。クロスサイドコントローラ208の指令値は、SPIバスによって、他方のコントローラに送信できる。
図17は、本発明に係る実施形態に従うモータの第1の巻線を制御する第1の回路と、モータの第2の巻線を制御する第2の電子回路とを有する2相ブラシレスモータの実質的に独立に制御する処理を説明するフローチャートを示す図である。多くの実施形態において、処理300を使用して、回転子と、第1の巻線、及び第2の巻線を有する固定子と、第1の巻線に第1の電流を提供することにより回転子の動きを制御する第1の制御回路と、第2の巻線に第2の電流を提供することにより回転子の動きを制御する第2の制御回路と、を具備する。
処理は、第1の回路において、第1の指令値を受信する(301)。1つの実施形態において、第1の回路は、レーン1の制御回路に相当する。処理は、第2の回路において、第2の指令値を受信する(302)。1つの実施形態において、第2の回路は、レーン2の制御回路に相当する。処理は、第1の回路において、ネゲート形式の第2の指令値を受信する(303)。処理は、第2の回路において、ネゲート形式の第1の指令値を受信する(304)。処理は、第1の指令値、ネゲートした第2の指令値、及び第1のデフォルト値からなる群から、先に選択された第1の基準に基づいて、第1の回路において、第1の値を選択する(305)。処理は、ネゲートした第1の指令値、第2の指令値、及び第2のデフォルト値からなる群から先に選択された第2の基準に基づいて、第2の回路において、第2の値を選択する(306)。処理は、第1の巻線について第1の値に基づいて第1の電流を生成する(307)。処理は、第2の巻線について第2の値に基づいて第2の電流を生成する(308)。
いくつかの実施形態において、処理で説明される動作の全てが実行されるわけではない。他の実施形態において、フローチャートで説明される順序と異なる順序で実行される。いくつかの実施形態において、いくつかの動作は同時に実行される。いくつかの実施形態において、処理は、付加的な動作を実行して他の機能を提供する。
本発明の実施形態は、多くの利点を有する。例えば、3相モータ配置に対して本発明の2相モータ配置は著しい利点がある。2相モータは、デュアルレーン制御に非常に適し、コギングを取り除くスロットレス構造を提供し、かつ3相スロットモータに匹敵するトルクを提供する。また、2相モータは、それ自体が3相モータよりもデュアル制御により容易に役に立ち、冗長制御、及びフェイルパッシブを可能にする。
これまでの説明は、本発明の多くの具体的な実施形態が含まれるが、本発明の範囲を限定するように解釈すべきでなく、むしろ本発明の具体的な実施形態の励磁として解釈すべきである。したがって、本発明の範囲は、説明される実施形態により決定されるべきでなく、添付されるクレーム、及びクレームの均等により決定されるべきである。
Claims (23)
- 2相ブラシレスモータを制御するフェイルパッシブシステムであって、
固定子と、
回転子と、
前記回転子に電磁的に結合する第1の巻線と、
前記回転子に電磁的に結合する第2の巻線と、
前記第1の巻線に結合され、前記第1の巻線に第1の電流を提供するように構成される第1の制御回路と、
前記第2の巻線に結合され、前記第2の巻線に第2の電流を提供するように構成される第2の制御回路と、
を具備する2相ブラシレスモータを有し、
前記第1の制御回路は、外部制御回路から第1の指令値を受信するように構成され、
前記第2の制御回路は、前記外部制御回路から第2の指令値を受信するように構成され、
前記第1の制御回路は、ネゲート形式の前記第2の指令値を前記第2の回路から受信するように構成され、
前記第2の制御回路は、ネゲート形式の前記第1の指令値を前記第1の回路から受信するように構成され、
前記第1の制御回路、及び前記第2の制御回路は、前記回転子の動きを同時に制御するように構成されることを特徴とするシステム。 - 前記第1の制御回路は、前記第2の制御回路における故障を補償するように構成され、
前記第2の制御回路は、前記第1の制御回路における故障を補償するように構成される請求項1に記載のシステム。 - 前記回転子の位置を検出するように構成される第1の位置センサと、
前記回転子の位置を検出するように構成される第2の位置センサと、
をさらに具備し、前記第1の位置センサは、前記第1の制御回路に結合され、
前記第2の位置センサは、前記第2の制御回路に結合される請求項1に記載のシステム。 - 前記第1の制御回路は、第1の形式のデジタルシグナルプロセッサを具備し、
前記第2の制御回路は、第2の形式のデジタルシグナルプロセッサを具備し、
前記第1の形式と、前記第2の形式とは、相違する請求項1に記載のシステム。 - 前記第1の巻線は、4つのコイルを直列に具備し、
前記第2の巻線は、4つのコイルを直列に具備し、
前記第1の巻線の前記コイルのそれぞれは、前記第1の巻線の隣接するコイルの方向と反対の方向に巻回され、
前記第2の巻線の前記コイルのそれぞれは、前記第2の巻線の隣接するコイルの方向と反対の方向に巻回される請求項1に記載のシステム。 - 前記第1の巻線、及び前記第2の巻線の前記コイルの第1のコイルの磁界の方向は、前記第1の巻線、及び前記第2の巻線の前記コイルの第2のコイルの磁界の方向に直交し、
前記第1のコイルは、前記第2のコイルに隣接する請求項5に記載のシステム。 - 前記回転子は、実質的に方形の断面部を有する4極回転子である請求項5に記載のシステム。
- 前記固定子は、8つの部分を有するリング形状の断面部を有し、
前記8つの部分の第1の部分は、前記第1の巻線の前記コイルの2つの巻線を含み、前記第1の部分に隣接する第2の部分は、前記第2の巻線の前記コイルの2つの巻線を含む請求項5に記載のシステム。 - 前記固定子の前記リング形状の断面部は、前記回転子の前記方形の断面部を包囲する請求項8に記載のシステム。
- 前記第1の制御回路は、前記第1の指令値、前記ネゲート形式の前記第2の指令値、及び第1のデフォルト値からなる群から、先に選択された第1の基準に基づいて、第1の値を選択するように構成され、
前記第1の制御回路は、前記第1の値を使用して、前記第1の巻線の前記第1の電流を生成するように構成され、
前記第2の制御回路は、前記ネゲート形式の前記第1の指令値、前記第2の指令値、及び第2のデフォルト値からなる群から、先に選択された第2の基準に基づいて、第2の値を選択するように構成され、
前記第2の制御回路は、前記第2の値を使用して、前記第2の巻線に提供される電流を生成するように構成される請求項1に記載のシステム。 - 前記第1の制御回路は、前記第1の値に基づいて、所望のトルクを算出するように構成され、
前記第1の制御回路は、前記第1の値に基づく前記所望のトルクと、第1のトルク制限とを比較するように構成され、
前記第2の制御回路は、前記第2の値に基づいて、所望のトルクを算出するように構成され、
前記第2の制御回路は、前記第2の値に基づく前記所望のトルクと、第2のトルク制限とを比較するように構成される請求項10に記載のシステム。 - 前記第1の制御回路は、前記第1の値に基づいて、期待される加速度を算出するように構成され、
前記第1の制御回路は、前記第1の値に基づく前記期待される加速度と、第1の加速度制限とを比較するように構成され、
前記第2の制御回路は、前記第2の値に基づいて、期待される加速度を算出するように構成され、
前記第2の制御回路は、前記第2の値に基づく前記期待される加速度と、第2の加速度制限とを比較するように構成される請求項10に記載のシステム。 - 回転子と、第1の巻線、及び第2の巻線を有する固定子と、前記第1の巻線に第1の電流を提供することによって前記回転子の動きを制御する第1の制御回路と、前記第2の巻線に第2の電流を提供することによって前記回転子の動きを制御する第2の制御回路とを具備する2相ブラシレスモータシステムを制御する方法であって、
前記第1の回路において第1の指令値を受信し、
前記第2の回路において第2の指令値を受信し、
前記第1の回路においてネゲート形式の前記第2の指令値を受信し、
前記第2の回路においてネゲート形式の前記第1の指令値を受信し、
前記第1の回路において、前記第1の指令値、前記ネゲートした前記第2の指令値、及び第1のデフォルト値からなるグループから、先に選択された第1の基準に基づいて、第1の値を選択し、
第2の回路において、前記ネゲートした前記第1の指令値、前記第2の指令値、及び第2のデフォルト値からなるグループから、先に選択された第2の基準に基づいて、第2の値を選択し、
前記第1の値に基づいて前記第1の巻線のための前記第1の電流を生成し、
前記第2の値に基づいて前記第2の巻線のための前記第2の電流を生成することを特徴とする方法。 - 前記第1の回路において前記第2の回路における故障を補償し、
前記第2の回路において前記第1の回路における故障を補償することをさらに有する請求項13に記載の方法。 - 前記回転子の位置を第1の位置センサで検出し、
前記回転子の位置を第2の位置センサで検出し、
前記第1の位置センサからの位置情報を前記第1の回路で受信し、
前記第2の位置センサからの位置情報を前記第2の回路で受信することをさらに有する請求項13に記載の方法。 - 前記第1の制御回路は、第1の形式のデジタルシグナルプロセッサを具備し、
前記第2の制御回路は、第2の形式のデジタルシグナルプロセッサを具備し、
前記第1の形式と、前記第2の形式とは、相違する請求項13に記載の方法。 - 前記第1の巻線は、4つのコイルを直列に具備し、
前記第2の巻線は、4つのコイルを直列に具備し、
前記第1の巻線の前記コイルのそれぞれは、前記第1の巻線の隣接するコイルの方向と反対の方向に巻回され、
前記第2の巻線の前記コイルのそれぞれは、前記第2の巻線の隣接するコイルの方向と反対の方向に巻回される請求項13に記載の方法。 - 前記第1の巻線、及び前記第2の巻線の前記コイルの第1のコイルの磁界の方向は、前記第1の巻線、及び前記第2の巻線の前記コイルの第2のコイルの磁界の方向に直交し、
前記第1のコイルは、前記第2のコイルに隣接する請求項17に記載の方法。 - 前記回転子は、実質的に方形の断面部を有する4極回転子である請求項17に記載の方法。
- 前記固定子は、8つの部分を有するリング形状の断面部を有し、
前記8つの部分の第1の部分は、前記第1の巻線の前記コイルの2つの巻線を含み、前記第1の部分に隣接する第2の部分は、前記第2の巻線の前記コイルの2つの巻線を含む請求項17に記載の方法。 - 前記固定子の前記リング形状の断面部は、前記回転子の前記方形の断面部を包囲する請求項20に記載の方法。
- 前記第1の制御回路において前記第1の値に基づいて、所望のトルクを算出し、
前記第1の制御回路において前記第1の値に基づく前記所望のトルクと、第1のトルク制限とを比較し、
前記第2の制御回路において前記第2の値に基づいて、所望のトルクを算出し、
前記第2の制御回路において前記第2の値に基づく前記所望のトルクと、第2のトルク制限とを比較することをさらに有する請求項13に記載の方法。 - 前記第1の制御回路において前記第1の値に基づいて、期待される加速度を算出し、
前記第1の制御回路において前記第1の値に基づく前記期待される加速度と、第1の加速度制限とを比較し、
前記第2の制御回路において前記第2の値に基づいて、期待される加速度を算出し、
前記第2の制御回路において前記第2の値に基づく前記期待される加速度と、第2の加速度制限とを比較することをさらに有する請求項13に記載の方法。
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