JP2011528351A - 含浸された基材における金属性殺生物剤の分布を改善するための後含浸処理 - Google Patents

含浸された基材における金属性殺生物剤の分布を改善するための後含浸処理 Download PDF

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Abstract

本発明は、昆虫、真菌、微生物などによる腐食に対して脆弱である、例えば、木材、他のセルロース系製品、デンプン系製品などの生分解性基材において、1又は2以上の金属性殺生物剤の分布を変更するために有用な、後処理(post−treatment)組成物及び後処理方法に関する。当該組成物は、過度の浸出(leaching)を引き起こさずに、基材中における1又は2以上の金属性殺生物剤の流動、及び再分布を促進し得る中等度の強度の錯化剤を含む。当該組成物は例えば、基材の他の領域からの、金属性殺生物剤の再分布によって、当該基材の枯渇領域における生物防護を補充するために使用され得る。追加の金属性殺生物剤を含む後処理組成物はまた、新たに追加で供給される殺生物剤を用いてこれらの領域を補充し得る。したがって、当該枯渇領域は、再分布、及び/又は補充機構によって回復され得る。屋外における基材の耐用年数は、これらの処理によって結果的に利益を受ける。

Description

優先権
仮出願ではない本特許出願は、Hayson他により、2008年7月17日に出願された、「POST−IMPREGNATION TREATMENTS TO IMPROVE DISTRIBUTION OF METAL BIOCIDES IN AN IMPREGNATED SUBSTRATE」という発明の名称である、整理番号61/135,121の米国仮特許出願からの利益を得、そして前記仮出願の全てが全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
発明の技術分野
本発明は、昆虫、真菌、微生物などによる腐食に対して脆弱である、例えば、木材、他のセルロース系製品、デンプン系製品などの生分解性基材において、1又は2以上の金属性殺生物剤の分布を変更するために有用な、後処理(post−treatment)組成物及び後処理方法に関する。当該組成物は、過度の浸出(leaching)を引き起こさずに、基材中における1又は2以上の金属性殺生物剤の流動、及び再分布を促進し得る中等度の強度の錯化剤を含む。
発明の背景
屋内又は屋外における適用のために使用される基材、例えば木材、デンプン系及び他の生分解性製品は、昆虫、真菌、微生物などによる攻撃に対して脆弱であり得る。これらの攻撃から生じる傾向にある腐食を防ぐために、かかる基材は、保存剤で処理されて腐食を防護し、そして寿命を増大させ得る。歴史的に、広く使用される保存剤組成物は、CCAという名称で知られている。この名称は、クロム化ヒ酸銅を表す。CCA組成物は、木製品、例えばデッキ、柵、造園用木材などのために使用されるサザンイエローパイン(Southern Yellow Pine)を処理するために広く使用された。
CCA組成物は、腐食に対して優れた防護を提供する。しかし、比較的最近において、これらの組成物のヒ素及びクロム含量に関して、健康面及び安全面における懸念が生じている。結果的に、規制ガイドラインにより、住宅への適用におけるCCA使用が2004年1月1日に中止された。結果として、当該産業界はCCA組成物の代替品としての新規保存剤を開発しており、且つ開発を継続している。クロム及びヒ素を含まない有効な代替品の発見は、困難だが興味深いものである。
より新しい種類の銅系保存剤は、水溶性である、錯体化された銅の形態を使用する。生じた溶液は、当該溶液が基材へ適用されるときに単一の液体層であるという意味で、均質(homogenous)であると考えられる。多くの実施形態において、銅は錯化剤、例えばアルカノールアミンと錯体形成する。銅錯体を含む保存剤の例は、銅ポリアスパラギン酸、(当産業界における専門用語で「アルカリ性銅クアット(quat)」又は「ACQ」とも呼ばれる)アルカリ性銅四級アンモニウム塩、銅アゾール、銅ホウ素アゾール、アンモニア性クエン酸銅、銅ビス(ジメチルジチオカルバメート)、及び銅エタノールアミンカーボネートを含む。一般的に、これら全ては、銅及び炭酸イオンと錯体形成して、生じる錯体を安定化する、窒素塩基を有する。アルカノールアミンと錯体形成した銅を含む保存剤組成物は、命名において銅−アミンと呼ばれる。銅−アミン組成物は現在、住宅用木材における適用のための保存剤の市場において圧倒的な数を占めている。
有益な点として、均質な保存剤溶液は、一定且つ完全に、基材に浸透する傾向がある。残念ながら、CCA物質で処理された生分解性製品と比較して、これらの新しい銅錯体系物質で処理された生分解性製品は、屋外においてより多くの銅の減少を受ける。当該錯体の水溶性のために、雨又は他の水に曝露されたとき、処理された生分解性製品から、当該銅がより容易に浸出する傾向にある。浸出のために銅の減少が生じるという予測により、これらの予想される減少に対応するために、より大量の銅を用いて処理がなされる。これは高価であり、且つ無駄が多い。同様に銅溶液は、pHが非常に低い場合には溶解性錯体が沈殿し得るため、pH変化に対して比較的敏感な傾向にある。これは例えば、アルカリ性錯化剤のみの使用に対する製剤化柔軟性を制限する。
不均質な(heterogenous)保存剤組成物がまた、近年開発されている。これらの中で、金属性殺生物剤は、液体担体中に分散された、溶解性微粒子形態で存在している。この分散液又はエマルション等はその後、生分解性基材を処理するために使用される。微粒子化された銅を含む粒子の分散液形態である、不均質性保存剤組成物の例は、例えば、米国特許出願公開第2004/0258767号、第2005/0118280号、第2005/0249812号、第2005/0265893号、第2006/0086284号、第2006/0112850号、及び第2006/0147632号明細書に記載されている。
有益な点として、不均質処理組成物中の銅含有粒子は、優れた保持特性を示し、そして溶解性錯体化銅と比較して浸出に対して非常に抵抗性である。残念ながら、不溶性粒子は、基材中の細孔(pore)内又は他の割れ目における穴(interstitial vacancy)にのみ存在し、そして細胞などの中へは十分に浸透しない。これは、基材へのより十分且つ均質な浸透によって得られる場合よりも、非常に低い生物学的有効性をもたらすと考えられる。粒子が大きすぎるか又は小さすぎる場合において、当該処理の有効性が損なわれ得るため、不均質法はまた、当該粒径の制限を受ける。
したがって、不均質性処理法、及び均質性処理法のいずれも全体として満足のいくものではない。均質性法は、少なくとも初期の段階においては優れた生物学的有効性を有するが、かなりの量が浸出する傾向にある。屋外において、浸出が、基材の表面領域から非常に速やかに生じる傾向にある。この浸出により、これらの表面領域は、金属性殺生物剤が枯渇するようになり、その結果生分解に対してより脆弱となる。これは、従来の均質性処理法を用いて防護された基材の耐用年数を制限する。この枯渇を防ぐこと、及び/又は、実用的且つ経済的手法において、枯渇領域を再補充することができることが望ましい。
不均質法は、金属性殺生物剤の優れた保持を有するが、所望なほどには生物学的有効性を有さない。特に、金属性殺生物剤粒子の分布は、非常に不均質となる傾向にある。多くの領域が十分に防護されず、そしてこれらの領域は生分解に対して脆弱なままである。不均質性組成物を通じて基材へと取り込まれる、1又は2以上の金属性殺生物剤の分布及び浸透を改善するための方法が所望である。
本発明は、昆虫、真菌、微生物などによる腐食に対して脆弱である、例えば、木材、他のセルロース系製品、デンプン系製品などの生分解性基材において、1又は2以上の金属性殺生物剤の分布を変更するために有用な、後処理(post−treatment)組成物及び後処理方法に関する。当該組成物は、過度の浸出(leaching)を引き起こさずに、基材中における1又は2以上の金属性殺生物剤の流動、及び再分布を促進し得る中等度の強度の錯化剤を含む。当該組成物は例えば、基材の他の領域からの、金属性殺生物剤の再分布によって、当該基材の枯渇(depleted)領域における生物防護(bioprotection)を補充するために使用され得る。当該組成物はまた、不均質性処理組成物を通じて、基材へと含浸された金属性殺生物剤を、より全面的且つ一定に再分布させるために使用され得る。屋外における基材の耐用年数は、これらの後処理によって非常に延長され得る。
一つの態様において、本発明は、当該基材の少なくとも一つの他の領域から、当該枯渇領域への再分布によって、使用中である生分解性基材の枯渇領域における金属性殺生物剤含有量を再補充するための方法に関する。当該方法は、当該基材が水性液体組成物と接触される時に、金属性殺生物剤が少なくとも2つの層中に存在するように、金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む当該水性液体組成物と、当該基材の表面とを接触させることを含み、ここで前記層の少なくとも一つは当該錯化剤及び当該金属性殺生物剤を含む成分の水溶性錯体を含み、並びに第二の層は当該金属殺生物剤を、当該水溶性錯体よりも水溶性ではない形態で含み、ここで第一の層中における錯体の少なくとも一部が、当該第二の層における金属性殺生物剤と平衡状態にある。好ましい実施形態において、前記錯化剤及び金属性殺生物剤は、約2.5〜約6.5の範囲内の錯体安定性定数Klを有する。
別の態様において、本発明は、生分解性基材を処理するための方法に関する。生分解性材料は、基材の表面の遠位部にある第一の基材領域であって、第一の濃度の金属性殺生物剤を有する、前記第一の基材領域;及び(ii)当該基材の表面の近位部にある第二の基材領域であって、前記第一の基材領域と比較して減少している、第二の濃度の金属性殺生物剤を有する、前記第二の基材領域を提供され、且つ含む。当該基材の表面は、当該基材が水性液体組成物と接触される時に、金属性殺生物剤が少なくとも2つの層中に存在するように、金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む当該水性液体組成物と接触され、ここで前記層の少なくとも一つは当該錯化剤及び当該金属性殺生物剤を含む成分の水溶性錯体を含み、並びに第二の層は当該金属殺生物剤を、当該水溶性錯体よりも水溶性ではない形態で含み、ここで第一の層中における錯体の少なくとも一部が、当該第二の層における金属性殺生物剤と平衡状態にある。好ましい実施形態において、前記錯化剤及び金属性殺生物剤は、約2.5〜約6.5の範囲内の錯体安定性定数Klを有し、前記接触は、前記第一の基材領域における金属性殺生物剤の一部を、前記第二の基材領域へと再分布させる。
別の態様において、本発明は、生分解性基材を処理して、当該基材へ既に取り込まれている金属性殺生物剤の分布を変更する方法に関する。金属性殺生物剤の分布を含む基材が提供される。当該基材が水性液体組成物と接触される時に、金属性殺生物剤が少なくとも2つの層中に存在するように、当該基材は、金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む当該水性液体組成物と接触され、ここで前記層の少なくとも一つは当該錯化剤及び当該金属性殺生物剤を含む成分の水溶性錯体を含み、並びに第二の層は当該金属殺生物剤を、当該水溶性錯体よりも水溶性ではない形態で含み、ここで第一の層中における錯体の少なくとも一部が、当該第二の層における金属性殺生物剤と平衡状態にある。好ましい実施形態において、前記錯化剤及び金属性殺生物剤は、約2.5〜約6.5の範囲内の錯体安定性定数Klを有し、前記接触は、変更されるべき当該基材における金属性殺生物剤の分布を引き起こす。
別の態様において、本発明は、生分解性基材中における金属性殺生物剤を分布させるための多段階処理に関する。金属性殺生物剤は、当該生分解性基材へと取り込まれる。当該基材が水性液体組成物と接触される時に、金属性殺生物剤が少なくとも2つの層中に存在するように、当該基材は、金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む当該水性液体組成物と接触され、ここで前記層の少なくとも一つは当該錯化剤及び当該金属性殺生物剤を含む成分の水溶性錯体を含み、並びに第二の層は当該金属殺生物剤を、当該水溶性錯体よりも水溶性ではない形態で含み、ここで第一の層中における錯体の少なくとも一部が、当該第二の層における金属性殺生物剤と平衡状態にある。好ましい実施形態において、前記錯化剤及び金属性殺生物剤は、約2.5〜約6.5の範囲内の錯体安定性定数Klを有し、前記接触は、変更されるべき当該基材における金属性殺生物剤の分布を引き起こす。
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明
以下に記載される本発明の実施形態は、以下の詳細な説明において開示された正確な形態へと本発明を網羅させる又は限定することを意図されていない。むしろ、当該実施形態は、他の当業者が本発明の原理及び実施を認識且つ理解し得るように選択且つ記載される。
本発明は、1又は2以上の金属性殺生物剤を含む生分解性基材において、金属性殺生物剤の分布を変更又は向上させるために使用され得る、後処理方法を提供する。本発明との関連において、専門用語「後処理(post−treatment)」は、一回又はそれ以上の事前の含浸処理から、1又は2以上の金属性殺生物剤を既に取り込んでいる生分解性基材へと、本発明の処理方法が一般的に適用されることを意味する。
当該後処理法は、種々の方法で、生分解性基材中における金属性殺生物剤の分布及び/又は保持を変更し得、又は向上させ得る。当該後処理法は、当該基材中における金属性殺生物剤が所望するよりも一定ではない時に特に有用である。通常の状況において、異なる基材領域は、1又は2以上の他の領域と比較して、当該金属性殺生物剤の異なる荷重及び濃度を有し得る。一又は幾つかの領域は金属性殺生物剤が比較的乏しいが、1又は2以上の他の領域は、金属性殺生物剤が比較的豊富であり得る。本発明は、これらの領域間における当該金属性殺生物剤を再分布し、当該分布をより一定なものとするために使用され得る。基材領域間におけるかかる再分布に加えて、本発明はまた、新たな追加の金属性殺生物剤を当該基材へと取り込むことによって、枯渇した基材領域を補充するために使用され得る。
例えば、従来の不均質性処理組成物は、当該基基材中の細孔(pore)、又は他の割れ目における穴(interstitial vacancy)にある、かなりの量の不溶性粒子中に、金属性殺生物剤が存在する傾向にある、処理された基材を生産する。したがって、当該金属性殺生物剤は、これらの粒子が位置する場所に一般的に存在するが、他の場所では存在しない。本発明の処理は、少なくとも、本発明の液体組成物が当該基材へ浸透することができる範囲及び奥行までにおける、不均質性金属性殺生物剤の分布を改善し得る。
不均質性金属性殺生物剤の分布を変更するための処理の能力は、顕微鏡検査によって視覚的に観察され得る。本発明の液体組成物の後処理より前だが、不均質性保存剤組成物の含浸の後、金属性殺生物剤の粒子は、処理された木材試料の切片の外観検査によって容易に視認される。試料自体の表面は、いずれの方法においても変更されないように思われる(例えば、天然の色から変化がない)。これは、当該金属性殺生物剤が、木材細胞へあまり浸透せずに主に当該粒子自体中に存在することを示している。反対に、本発明の後処理の後、かかるかなりの量の金属性殺生物剤粒子がもはや視認されない。代わりに、当該処理によって接触された基材表面は、一定の着色を有し、そしてそれは、少なくとも当該後処理組成物の浸透度までの、当該基材細胞へのより一定且つ完全な浸透を示す。任意の粒子がなお視認可能であり得る程度まで、当該粒子は十分に微細である。実際上の効果において、本明細書における後処理は、当該粒子中における金属性殺生物剤を、細孔、又は割れ目における穴から、より深く且つ完全に当該基材へと再分布させる。木材の場合において、当該再分布は、細胞壁膜を通じて、木細胞中へのより深い浸透を促進する。
別の例として、使用中である、処理済みの基材の表面領域における金属性殺生物剤含量は通常、当該基材の耐用年数中において枯渇し得る。この枯渇は、例えば雨又は他の水源への曝露による殺生物剤の浸出として生じ得る。結果的に枯渇は、当該基材に、枯渇が生じていない、金属性殺生物剤が比較的豊富である基材表面の遠位部にある1又は2以上の領域、並びに枯渇により金属性殺生物剤が比較的乏しい基材表面の近位部にある1又は2以上の領域の含有を生じさせる。言い換えれば、当該基材表面に対して近位部の金属性殺生物剤の濃度は、当該基材のより深い領域と比較して減少するようになる。幾つかの点において、十分な金属性殺生物剤が、当該表面近位部で失われ、それによりこれらの表面領域が、所望であるよりも生分解に対してより脆弱となる。
これらの枯渇領域において金属性殺生物剤含量を回復することが、したがって生物防護を回復することが確かに所望である。残念ながら、浸出して枯渇を引き起こす殺生物剤量とは別に、使用中である基材における殺生物剤は定着する傾向にあり、そして当該基材内を容易に流動できない傾向にある。この定着により、金属性殺生物剤は通常、屋外においてそれ自体自然には十分に再分布して、枯渇領域を適切に回復することはない。さらに、一旦当該基材が屋外において構造物中に組み込まれた場合、当該基材が基材製造業者へ返却され、そして工場における条件下で再度含浸されるように当該構造物を分解することは、物理的にも又は経済的にも一般的に実用的ではない。当該枯渇が減少されず、避けられず、及び/又は逆行しないならば、当該基材の耐用年数は制限される。
有利なことに、本発明は、この問題に対する容易な技術的解決法を提供する。本発明の液体組成物を使用中の基材へとはけ塗りし、浸し塗りし、噴霧し、又は他の方法で接触させるのと同様に容易である単純な処理で、当該基材の比較的豊富な領域の金属性殺生物剤が枯渇領域へと再分布され得る。当該処理組成物が任意の金属性殺生物剤を含む場合、当該枯渇領域はまた、処理組成物自体から、当該基材へと新たに追加される殺生物剤の供給により補充され得る。したがって、枯渇領域の殺生物剤含量は、再分布及び/又は補充機構の両方によって回復され得る。驚くべきことに、当該処理は、工場条件下においてのみ都合よく利用可能であり得る、特別な圧力又は真空条件を頼ることなく、通常の周囲条件下で行い得る。工場において利用可能な真空又は圧力条件を使用せずとも、当該処理組成物は、十分に当該基材へと浸透し、表面領域近位部における金属性殺生物剤の再分布及び/又は補充を促進する。当該組成物は、過度の浸出無しに、枯渇領域の殺生物剤の好ましい流動及び回復を誘導する1又は2以上の成分を含む。これらの領域への回復された生物防護は、当該基材の耐用年数を延長するために有用である。
本発明は、処理された基材から建築された構造物の耐用年数を管理するときにおけるパラダイムシフトを提供する。過去において、枯渇現象は、これらの構造物の耐用年数を制限し、及び/又は過度の処理レベルを必要とした。当該表面近位部における金属性殺生物剤が一旦著しく枯渇した場合、当該表面は腐食される傾向にある。下部が曝露され、そして枯渇及び腐食のサイクルが継続する。最終的に、当該構造物は使い尽くされる。実用的な効果において、一回の初期の、単一の保存剤処理によって提供される防護の長さが、これらの構造物の耐用年数を支配し得る。
基材防護及び耐用年数は本発明において限定されない。実用における代表例において、枯渇が過度に生じる前に、又は枯渇を避けるために十分に早い段階で基材は処理され得る。例えば、処理は、所望のスケジュールでなされ得る。処理中において、当該表面の金属性殺生物剤含量が回復され、維持され、及び/又は生物防護を回復する。驚くべきことに、1回ではなく、複数回処理サイクルを通じて、耐用年数は非常に延長される。
広範囲の適用における、広範囲の天然及び生分解性合成基材が、本発明の方法を用いて有利に後処理され得る。生分解性基材のセルロース系における実施態様の例は、限定されないが、紙、ボール紙、ロープ、化粧板、板材、加工木材、セルロース系合成物、遺伝子操作された木材、及び薄板物、例えば合板、ハードボード、パーティクルボード、チップボード、ファイバーボード、ストランドボード、パネル用材などを含む。代表的な最終用途とは、住居用、市販用、工業用、及び海用の屋内、又は屋外における適用、例えば、建造物の木材、装飾、羽目板(siding)、敷板(decking)、はり(beam)、枕木(railroad sleeper)、枕木(railroad tie)、橋梁成分、防波堤(jetty)、木製の乗り物、波止場、被覆材(clading)、箱形の建物(box)、木枠(pallet)、電柱、窓、ドア、ボート及び船、野地板(sheathing)、基礎杭(foundation pile)、ポスト、フェンス、マリーナにおける構造物、並びに1又は2以上の昆虫、真菌、微生物、及び/又は風化作用による腐食に対して脆弱である他の構造物を含む。
本発明の後処理に先立って、基材中における1又は2以上の金属性殺生物剤として既に存在し得る金属の例は、ランタノイド及びアクチノイド系原子を含む、1又は2以上の遷移金属成分、例えば、銅、ストロンチウム、バリウム、ヒ素、アンチモン、ビスマス、鉛、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、亜鉛、クロム、カドミウム、銀、金、ニッケル、モリブデン、これらの組み合わせなどを含む。好ましい金属性殺生物剤は銅である。現在の規制上の要件により、住居用の適用においてCr及び/又はAsの使用を制限又は回避することが望ましい。したがって、本発明の実施において後処理されるべき幾つかの基材は、少なくとも実質的にヒ素が除かれており、少なくとも実質的にクロムが除かれており、及び/又は少なくとも実質的にクロム及びヒ素が除かれていることが望ましい。しかし本発明の原理は、生分解性基材、例えば木材製品からのCr及び/又はAsを含む、生分解性基材を後処理するために有用であることが理解されている。
1又は2以上の金属性殺生物剤を生分解性基材へと含浸させるために使用される保存剤組成物は、不均質性又は均質性組成物であり得る。均質性組成物の実例は、ACQ保存剤組成物を含む。2007年12月13日に出願された、Kimberly S.Hayson,William C.Hoffman,Albert F.Joseph,Brian T.Keen「STRATEGIES FOR REDUCING LEACHING OF WATER−SOLUBLE METAL BIOCIDES FROM TREATED WOOD PRODUCTS」なる表題の、代理人整理番号66117(DOW0007/P1)である、譲受人の同時係属の米国仮特許出願番号第61/007,614号はまた、多くの好適な実施形態について記載している。他に、米国特許第4,929,454号明細書において記載されている。さらに、均質性組成物の市販の例は、NATUREWOOD(Osmose,Inc.)及びPRESERVE(Chemical Specialties Inc.)の商品名で市販されている。不均質性組成物は、米国特許第2004/0258767号、第2005/0118280号、第2005/0249812号、第2005/0265893号、第2006/0086284号、第2006/0112850号、及び第2006/0147632号明細書に記載されている。上で引用された特許及び公開された特許出願の各々の全体が全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
1又は2以上の金属性殺生物剤に加えて、本明細書に記載された通りに後に後処理されるために、生分解性基材へと含浸される保存剤組成物はまた、1又は2以上の他の成分を含み得る。例えば、当該組成物は、金属性殺生物剤と反応して水溶性金属錯体を形成する、1又は2以上の錯化剤を含み得る。幾つかの実施形態において、当該保存剤組成物中には、実質的に全ての金属性殺生物剤と、及びより好ましくは全ての金属性殺生物剤と水錯体を形成して均質性保存剤組成物が生じるために、十分な錯化剤が存在する。かかる均質性組成物の代表例は、2007年12月13日に出願された、「STRATEGIES FOR REDUCING LEACHING OF WATER−SOLUBLE METAL BIOCIDES FROM TREATED WOOD PRODUCTS」なる表題の、代理人整理番号66117(DOW0007/P1)である、譲受人の同時係属の米国仮特許出願番号第61/007,614号に記載されており、その全体は全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
他の実施形態において、当該金属性殺生物剤の一部のみが、当該組成物中において溶解性錯体の形態で存在するように、後処理前に生分解性基材を含浸するために使用される保存剤組成物中の金属性殺生物剤に対して、錯化剤を欠如させ得る。少なくとも、かなりの部分の金属性殺生物剤の残余が不溶性粒子の形態で存在し得る。かかる保存剤組成物は、これらの組成物が溶解性及び不溶性金属性殺生物剤種の両方を含むという意味でハイブリッドである。ハイブリッド保存剤組成物は、2008年3月14日に出願された、Brian T.Keen他の、「HYBRID STRATEGIES FOR REDUCING LEACHING OF METAL BIOCIDES FROM BIODEGRADABLE SUBSTRATES」なる表題の、代理人整理番号66467(DOWOO11/P1)である、譲受人の同時係属の米国仮特許出願に記載されており、その全体は全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
金属性殺生物剤、例えば銅は、微生物、真菌、害虫などに対する完全な殺生物性スペクトルを、望んだ通りには有さない。したがってより完全な殺生物性範囲を提供するために、1又は2以上の追加の共殺生物剤(co−biocide)が、保存剤組成物中へ組み込まれ得る。追加の共殺生物剤は、1又は2以上の殺真菌性、殺昆虫性、殺カビ剤性(moldicidal)、殺微生物性、殺藻類性(algaecidal)殺生物剤などを含み得る。これらの1又は2以上の共殺生物剤は、水溶性であり、部分的に水溶性であり、又は非水溶性であり得る。部分的に不溶性又は不溶性である場合、これらを保存剤組成物中において分散させるために、分散剤又はキレート剤が使用され得る。したがって、広範囲の無機性及び/又は有機性殺生物剤は、従来法に従って使用され得る。好適な殺生物剤の多くのリストは、米国特許第5,874,025号明細書、米国特許出願公開第2006/0086284号、第2006/0162611号、第2005/0256026号、及び第2005/0249812号明細書を含む、特許文献中において提供される。これらの特許文献の各々の全体は、全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。特に好ましい共殺生物剤は、四級アンモニウム塩、並びにトリアゾール及びイミダゾールを含むアゾール物質を含む。ベンザルコニウムクロリド又はベンザルコニウムカーボネートは、好ましい四級アンモニウム塩の一つであり;ジデシルジメチルアンモニウムクロリド又はジデシルジメチルアンモニウムカーボネートは、別の一般的に使用される四級アンモニウム塩である。アゾールの例は、テブコナゾール及びプロピコナゾールを含む。
別の実施上の関心事として、溶解する形態又は容易に分散する形態の金属性殺生物剤が有する問題は、雨又は他の水源に曝露されたときに、これらが処理された生分解性基材からより容易に浸出する傾向にあり得るということである。有利なことに、浸出減少剤を含浸組成物へと組み込むことは、かかる浸出を著しく減少させる。特に好ましい浸出減少剤は、2007年12月13日に出願された、Kimberly S.Hayson,William C.Hoffman,Albert F.Joseph,Brian T.Keen「STRATEGIES FOR REDUCING LEACHING OF WATER−SOLUBLE METAL BIOCIDES FROM TREATED WOOD PRODUCTS」なる表題の、代理人整理番号66117(DOW0007/P1)である、譲受人の同時係属の米国仮特許出願番号第61/007,614号に記載されており、その出願の全体は全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。これらの浸出減少剤は、それらが本発明の後処理組成物へと組み込まれ得る追加の成分であるように、以下でさらに記載されている。
他の追加の成分がまた、従来の慣行に従って、保存剤組成物中において有利に使用され得る。例えば製造段階において、金属容器が調製、輸送、貯蔵、又は当該組成物と接触させるために使用され得る場合、当該組成物は、腐食阻害剤を含み得る。ホウ素含有阻害剤、例えば腐食阻害量で使用されるボロン酸は、本目的のために好適であることが見い出された。他の補助剤は、分散剤、乳化剤、結合剤、固定剤、防水材、着色剤、抗酸化剤、紫外線安定剤、界面活性剤、乳化剤、帯電防止剤、防湿剤;沈殿阻害剤、緩衝剤、難燃剤;これらの組み合わせ、及び従来の慣行に従って使用されるものを含む。
本発明の後処理法は、一般的に生分解性基材を水性液体組成物と、好ましくは単一層組成物と接触させることを含み、ここで当該組成物は、(任意の殺生物剤が当該液体組成物中に追加の成分として存在する場合において)当該基材中及び/又は液体組成物中において、少なくとも一つの金属性殺生物剤と共に水溶性錯体を形成することができる錯化剤を含む。当該処理は、基材中における金属性殺生物剤の分布を変更する傾向にある。多くの実施形態において、当該分布はより一定となる。例えば、先に不均質性保存剤組成物と含浸された基材中において、比較的多量の金属性殺生物剤粒子は少なくとも、当該後処理組成物が当該基材へと浸透する領域において、より十分に且つより一定に、当該基材中へと溶解され且つ再分布される。金属性殺生物剤が枯渇している表面近位部の領域を有する使用中の基材に関して、当該後処理は、当該基材のより深部から金属性殺生物剤を再分布することによって、枯渇領域を回復させ得る。
錯化剤は、配位化学の分野において、リガンド、キラント(chelant)、キレート化剤、又は金属イオン封鎖剤(sequestering agent)とも呼ばれる。当該錯化剤は、望ましくは、1又は2以上の錯化剤の原子を通じて、通常はイオンである、中心金属含有種と結合するものである。これらの結合は、1又は2以上の異なる種の結合、例えば配位及び/又はイオン結合の組み合わせであり得る。本発明の重要な態様は、非常に弱く又は非常に強く当該金属性殺生物剤と錯体化する1又は2以上の錯化剤よりもむしろ、中等度の強度の1又は2以上の錯化剤の使用を含む。当該錯化剤が当該金属性殺生物剤と非常に弱く錯体化する場合において、当該錯化剤は当該基材内における当該金属性殺生物剤の所望の流動及び再分布を誘導することができない。他方、当該錯化剤が非常に強く錯体化する場合、生じる金属錯体は過度に溶解性となり得る。これは、再分布以上に、当該基材からの金属性殺生物剤の過度の浸出をもたらし得る。有利なことに、中等度の錯体化強度の錯化剤は、過度の浸出無しに流動及び再分布を提供することができる。
多くの代表的実施形態において、処理方法は、少なくとも一つの錯化剤を含む少なくとも一つの液体担体を含む成分由来である液体組成物と、当該基材との接触を含む。平衡を通じて、当該基材中の金属性殺生物剤の一部は、錯化剤と共に水溶性錯体を形成する傾向にある。当該処理は、当該基材中の当該金属性殺生物剤を少なくとも2つの層中に存在させる傾向にある。第一の液層は、液体担体中に溶解された、錯体化された金属性殺生物剤を含み、そして少なくとも一部の残存する金属性殺生物剤は第二の分離した層中に組み込まれる。当該第二の層における金属性殺生物剤は通常、当該錯体化した殺生物剤よりも溶解性が無い形態で存在する。結果的に、当該金属性殺生物剤は、当該基材中に固定化又は分布された、沈殿及び/又は分散した粒子の成分として、当該第二の層に存在し得る。当該錯化剤は、当該第一の層中における少なくとも一部の錯体化された金属性殺生物剤が、当該第二層中の少なくとも一部の金属性殺生物剤と平衡状態で存在するように選択される。
拘束されることを望むこと無しに、基材中における金属性殺生物剤の分布を変更するための処理組成物の能力は、少なくとも一部において、当該錯化剤と当該金属性殺生物剤との間の平衡効果に由来すると考えられる。具体的には、平衡は、当該錯化剤と当該金属性殺生物剤と間で、基材中において動的に生じるものと考えられる。任意の一の時点において、一部の金属性殺生物剤は、1又は2以上の水溶性の錯体化した形態で存在し、一方で残余物は平衡により、1又は2以上の溶解性状態で存在する傾向にある。任意のかかる時点において、溶解している部分は、相対的に流動性であり、そして結果的に、再分布のために当該基材を通じてより移動し得る。その後、平衡の一部として、異なる部分の殺生物剤は、錯体化され且つ可動化され得る。時間と共に、後処理組成物と接触する利用可能な金属性殺生物剤の少なくともかなりの部分は、異なる部分の金属性殺生物剤が持続的に錯体化され、その後1又は2以上の不溶性状態で沈殿するように、平衡反応に加わり、そして逆の場合も同様であると考えられる。時間と共に、やがて一時点で錯化剤によって結合され得るものよりもかなり多くの部分の金属性殺生物剤が、実際に溶解され、且つ可動性となる。連続的に溶解され且つ可動化されるので、少なくとも当該後処理組成物が浸透した領域へと、当該金属性殺生物剤はより一定に且つより十分に再分布される。
錯体安定性定数Klは、金属又は金属含有種が、錯体化された対応物の金属又は金属含有種との平衡に参加し得る程度を評価するために有用である。本発明の実施において、この定数の値は、当該錯化剤が所望の流動及び再分布を促進し得るか否かを示す。一般的に、錯体安定性定数Klは、以下の式:
Figure 2011528351
[式中、
Lは錯化剤であり、Mは、錯体化された金属と平衡にある、金属又は金属含有種であり、及びLMは錯体化された金属である]
によって表される。一般的に、錯化剤は、Klが増大するときに、金属とより強く結合する。Klが高すぎる場合、当該錯化剤は当該金属と強く結合しすぎ、そして所望の程度までの所望の平衡反応、及び基材との相互作用のいずれにも参加することができない。Klが高すぎる場合、錯体が浸出する傾向はまた、増大する傾向にある。他方で、Klが低すぎる場合、錯体の溶解性及び/又は基材への流動は、所望であるよりも大きな程度阻害され得る。これらの懸念事項を釣り合わせるために、錯化剤及び金属性殺生物剤は、25℃において約2.5〜約6.5、好ましくは約2.5〜約6、より好ましくは約3〜約5.5、そしてさらにより好ましくは約3.5〜約5.5の範囲内の錯体安定性定数Klを有する。本発明は、モル基準で少なくとも大部分、好ましくはモル基準で少なくとも80%、そしてより好ましくはモル基準で少なくとも95%の、1又は2以上の錯化剤が各々これらの範囲内のKlを有する限り、これらの範囲外のKlを有する錯化剤の使用を排除しないことに留意すること。
本発明の実施において、錯体安定性定数は、時折更新される、NIST Critically Selected Stability Constants of Metal Complexesデータベースから得ることができる。幾つかの環境下で、1超の値が、幾つかの特定の金属−リガンドの組み合わせに関して、幾つかの定数に関して提供され得る。かかる環境下において、本明細書で使用される定数は、リストされた値が各々の15%以内である限り、リストされた値の平均値として決定され得る。3又はそれ以上の値がリストされる場合、標準偏差が平均から2超離れた全ての値は切り捨てられ、その後平均は残りのリストされた値に関して再計算される。全ての値が、標準偏差が平均から2超である場合、全てのエントリーを切り捨てることなく計算された平均が使用され得る。対象の定数がNISTデータベースにリストされていない場合、かかる定数の値は、1超の定数値がIUPACデータベースにリストされている場合、NISTデータベースに関して本明細書に記載されているものと同一の平均値計算プロトコルを使用する、IUPAC Stability Constants Database (SC−Database)から得ることができる。
多くの種類の錯化剤が、本発明の実施において使用され得る。これらは、有機酸、例えばアスパラギン酸、クエン酸、及びシュウ酸;アンモニア;ポリアミン機能性化合物、例えばエチレンジアミン;窒素含有アルコール、例えばアルカノールアミン;これらの組み合わせなどを含む。アルカノールアミンの例は、モノエタノールアミン(MEA);イソプロパノールアミン;1−1−又は1,2−ジアミノエタノール;ジエタノールアミン;ジメチルエタノールアミン;トリエタノールアミン(TEA);アミノエチルエタノールアミン;これらの組み合わせなどを含む。アルカノールアミンは、銅との錯体において、本発明で好ましい。MEA、TEA、及びこれらの混合物は特に好ましい。MEA及びCu2+に関する定数Klは約4.5である。Klが完全に好適であるため、MEKは、銅を含む木材保存剤において非常に良く作用する。同様に、TEA及び銅の組み合わせは、約4.0である好適なKlを有する。対照的に、EDA及び銅の組み合わせは、Kl=10であり、EDAが銅と非常に強く結合するため、すなわちMEAの100,000倍強く結合するため、特にEDAが唯一の錯化剤として単体で使用される場合、本出願においてあまり望ましくはない。
アルカノールアミンの、例えばMEA及びTEAの混合物が使用される場合、MEAとTEAのモル比は、広い範囲で変化し得る。例えば、MEAとTEAのモル比は、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜50:1、より好ましくは1:2〜25:1の範囲内であり得る。一の実施形態において、モル比10:1が好適であり得る。
追加の金属性殺生物剤が後処理組成物の構成成分として含まれる実施形態において、TEAに対するMEAのモル比が、幾つかのファクターに基づいて1超であることが望ましい。例えば、TEAの分子量は、MEAの分子量よりも大きい。集中された実施形態のために、過剰のTEAの使用は、所望であるよりも粘性の高い溶液を調製し得る。したがって、より多くのMEAの使用は、より望ましい粘性特性の提供に有用である。MEAはまた、本明細書中において、より望ましい性能特性を有する錯体を提供する。しかし、少なくとも幾つかのTEAの使用がなお望ましい。TEAは、MEAよりも塩基性ではなく、そして生じた溶液のpHの緩和に有用である。TEAはまた、あまり揮発性ではない。
本発明の後処理組成物へと組み込まれる1又は2以上の錯化剤の量は、広範囲で変化し得る。一般的に、過剰の錯化剤の使用は、基材の他の部分から再分布される金属性殺生物剤、及び後処理組成物の構成成分として基材を補充するために適用される金属性殺生物剤の両方の過剰の浸出をもたらし得る。他方で、過少の錯化剤の使用は、妥当な時間内における再分布及び/又は補充を達成するための、金属性殺生物剤の十分な流動を達成することができない。一般的指針として、本発明の後処理組成物は、後処理組成物の全重量に基づいて、約0.01〜約5重量パーセント、好ましくは約0.1〜約3重量パーセント、そしてより好ましくは約0.25〜約2.5重量パーセントの、1又は2以上の錯化剤を含み得る。
後処理組成物が1又は2以上の金属性殺生物剤、例えばCuを含む実施形態において、1又は2以上の金属性殺生物剤の金属のモル数に対する全錯化剤のモル比は、一般的に約3:1〜約1000:1、好ましくは約3:1〜約100:1の範囲内である。
通常、後処理組成物の液体担体は、水性又は部分的に水性である。多くの実施形態において、液体担体は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、及びより好ましくは少なくとも90重量%の水である。水に加えて、保存剤組成物の液体担体は、組成物成分を溶解又は分散させるために、1又は2以上の追加の溶媒をさらに含み得る。かかる追加の溶媒は、水に対して完全に混和性であるか、又は成分間の層分離を避けることが望ましいときに少量使用されるかのいずれかである。かかる追加の溶媒の例は、アルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、これらの組み合わせなどを含む。
液体担体及び1又は2以上の錯化剤に加えて、後処理組成物は、製造、使用、性能などを向上させるために、1又は2以上の他の追加の成分をさらに含み得る。一つの選択肢として、本発明の後処理組成物は、1又は2以上の金属性殺生物剤、例えば上で記載されたものを含み得る。後処理組成物において使用される1又は2以上の殺生物剤は、後処理時点において、基材中に既に存在する金属性殺生物剤と同一又は相違し得る。後処理組成物における使用のための好ましい金属性殺生物剤はまた、銅である。現時点における規制条の要件のために、及び最初に基材を含浸するために使用される保存剤組成物と同様に、住居における適用のための後処理組成物中における、Cr及び/又はAsの使用を制限する又は避けることが望ましい。
金属性殺生物剤は、溶解性、及び/又は不溶性形態で存在し得るが、後処理組成物が均質であるように(すなわち、単一層組成物であるように)、好ましくは溶解性形態で存在し、或いは後処理組成物が、2008年3月14日に出願された、Brian T.Keen他の、「HYBRID STRATEGIES FOR REDUCING LEACHING OF METAL BIOCIDES FROM BIODEGRADABLE SUBSTRATES」なる表題の、譲受人の同時係属の、出願番号61/069484の米国特許出願に記載されているハイブリッド組成物であるように、溶解性及び不溶性形態の両方で、平衡状態で存在する。その全体が全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる、均質な組成物が好ましい。ハイブリッド保存剤組成物の、相対的に不溶性の金属性殺生物剤部分に関して、1又は2以上の金属性殺生物剤は、広範囲の固体形態で、組成物中に組み込まれるべき1又は2以上の組成物として又は当該組成物の構成成分として最初に供給され得る。或いは、比較的不溶性の金属性殺生物剤物質は、in situで比較的不溶性の物質を形成する、1又は2以上の成分から得られ得る。これらのin situ反応は、比較的不溶性の物質と溶解性物質との間における平衡反応と同一又は異なり得る。固体性物質、及び/又はin situで形成された場合における、生じた固体性物質は、沈澱、粒子、ペレット、顆粒、繊維、複合体、これらの組み合わせなどの形態で存在し得る。取得及び製造が経済的であり、製剤化及び組成物の適用時において容易に取り扱うことができ、並びに/又は、in situで容易に形成できるために、当該固体性物質は通常、粒子の形態で供給される。
本発明のハイブリッド組成物を最初に製剤化するために、粒子を選択することに関して、非常に広範囲の粒径が、本発明の実施において好適であり得る。一般的に、所望の製造、包装、及び/又は使用技術に合理的に対応可能である全ての粒径が好適である。より望ましくは、粒子は最初に、少なくとも基材の最も大きい孔へと浸透するために十分に小さく、そして当該浸透後、上で説明したような平衡効果は、当該物質が基材へのより十分且つ一定な浸透の達成に有用である。一般的指針として、粒径は、約2mm以下、望ましくは約10-6mm〜2mm、より望ましくは約10-5mm〜約0.1mm、さらにより望ましくは約10-4mm〜約0.05mmであり得る。
用語、粒径は、体積基準粒径(volume based particle size)のことである。特定の粒子に関して、体積基準粒径は、かかる粒子と同一の体積を有する球の直径である。粒子群を含む粒子試料に関して、体積基準粒径は、粒子の少なくとも90重量%が、0.4μm〜2mmの範囲内の平均体積基準粒径を有する粒子試料のために、レーザー回折技術を用いて、例えばBeckman Coulterから市販されている、任意のレーザー回折粒径分析器(これは、LS(商標)13320シリーズ・レーザー回折粒径分析器、好適であるLS(商標)2シリーズ・レーザー回折粒径分析器、及びLS(商標)100Qレーザー回折粒径分析器を含む)を用いることによって決定される、試料の体積分布の平均体積基準粒径である。より小さい粒径のために、X線回折技術が使用され得、そしてそれは場合により、0.003μm〜0.5μmの範囲内の粒径のために、シンクロトロンを備え得る。
粒子は、任意の種類の粒径分布を有し得る。例えば、通常の分布を有する本発明の幾つかの粒子成分に加えて、ハイブリッド組成物を製剤化するために使用される他の粒子成分は、2又は3以上のサイズ分布ピークを有する粒径特性を含み得る。異なる又は類似の分布特性を有する粒子成分との組み合わせがまた、使用され得る。例えば粒子成分は、相対的に粗い粒子及び相対的に細かい粒子に由来する混合物であり得る。これは、2つの異なる金属性殺生物剤が使用され得る実施形態において所望であり得る。基材への浸透を促進するために非常に細かく分割された形態中において粒子を供給することが必要とされないが、粒子は場合により、機械的、物理的、化学的に、又は別の方法である大きさにされ、代わりに所望の粒径構造をそれらに提供する。
1又は2以上の金属性殺生物剤を含む、相対的に不溶性の物質は、最初に、平衡化反応を通じて、相対的に溶解性の物質と反応性である広範囲の形態で存在し得る。幾つかの実施形態において、相対的に不溶性の物質は、イオン性又は非イオン性であり得る。幾つかの実施形態において、相対的に不溶性の物質は結晶で、部分的に結晶で、又はアモルファスで存在し得る。相対的に溶解性の物質が、1又は2以上の金属性殺生物剤の、1又は2以上の錯体を含むとき、実例となる不溶性形態は、純粋な金属、金属合金、金属間組成物、複合体、酸化物、オキシハロゲン化物、オキシ水酸化物、水酸化物、カーボネート、ホルメート、塩基性カーボネート、キノレート、カルバメート、オマジン(omadine)、ボレート、他の塩、これらの組み合わせなどを含む。
例えば、銅の場合において、錯化剤と反応性がある好適な相対的に不溶性の物質は、酸化第一銅、酸化銅(cupric oxide)、水酸化銅、炭酸銅、塩基性炭酸銅、オキシ塩化銅、8−ヒドロキシキノリン銅、カッパー・ジメチルジチオカルバメート、カッパー・オマジン(copper omadine)、ホウ酸銅、銅金属副生物、、硫酸銅、フルオロホウ酸銅、フッ化銅、ギ酸銅、酢酸銅、臭化銅、ヨウ化銅、塩基性リン酸銅(copper basic phosphate)、塩基性ホスホロ硫酸銅(copper basic phosphor−sulfate)、塩基性硝酸銅(copper basic nitrate)、これらの組み合わせなどを含む。略式でCu(OH)2−CuCO3と表され得る、塩基性炭酸銅は、相対的に不溶性の銅の好適な源の一例である。
好ましい実施形態において、金属性殺生物剤の相対的に溶解性の状態は、金属性錯体の形態である。当該錯体は、水性試薬中において、金属性殺生物剤の好適な源を1又は2以上の錯化剤と反応させることによって容易に得られる。好適な金属性殺生物剤源は、金属性殺生物剤の不溶性形態のために上で同定された源を含む。当該錯化剤は、錯体化した金属性殺生物剤、又は金属性殺生物剤含有種の溶解、及び/又は分布に有用である。製造、包装、貯蔵、種々の水供給による希釈、保存処理、及び/又は取扱い時において生じる錯体が、沈殿及び/又は沈降に対してより抵抗性であるため、当該錯化剤の使用は、Cuが極めて水溶性の源から供給されるときでさえ所望であり得る。錯化剤の使用は、水性媒体中において金属性殺生物剤を溶解するために、及び基材への金属性殺生物剤のより一定な分布を促進するために、容易であり、経済的な方法である。
本明細書における組成物へ組み込まれる1又は2以上の金属性殺生物剤の重量%の計算時において、金属自体の重量は、1又は2以上の金属源における1又は2以上の金属に含まれ得る他の種類の重量の含有無しに計算するために使用される。例えば、略式でCu(OH)2−CuCO3とされる塩基性炭酸銅15グラムが、添加された塩基性炭酸銅を含む、総重量100gの組成物へと組み込まれる場合、この組成物中における銅の重量パーセントは8.6重量%である。
浸出に対する防護に役立つ、1又は2以上の薬剤はまた、後処理組成物の、望ましい追加の1又は2以上の成分である。金属性殺生物剤の溶解性又は容易に分散される形態における問題は、雨又は他の水源に曝露されたときに、処理された生分解性基材から、これらがより容易に浸出する傾向にあることである。有利なことに、溶出減少剤(leaching−reducing agent)を当該後処理組成物へ組み込むことは、浸出に対する防護に有用であり得る。特に好ましいものは、2007年12月13日に出願された、Kimberly S.Hayson,William C.Hoffman,Albert F.Joseph,Brian T.Keen「STRATEGIES FOR REDUCING LEACHING OF WATER−SOLUBLE METAL BIOCIDES FROM TREATED WOOD PRODUCTS」なる表題の、代理人整理番号66117(DOW0007/P1)である、譲受人の同時係属の米国仮特許出願番号第61/007,614号に記載されており、その全体は全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
この同時係属の出願に従って、及び本明細書で使用されたものに従って、金属性殺生物剤の浸出を減少させる好ましい薬剤は水溶性であり、水性媒体中において実質的に非イオン性であり、約100超の分子量(又は、当該薬剤が個体群の分布のために存在する場合には重量平均分子量)を有し、及び水よりも低い蒸気圧を有する。以下にさらに記載されている、これらの薬剤の好ましい実施形態は、浸出を防護するのみならず、日光からの紫外線の曝露による分解から基材を防護するために有用である。これらの薬剤はまた、基材の寸法安定性の改善に有用である。
本明細書において使用される通り、浸出減少剤における水溶性は、均質な溶液が、100mlの蒸留水中、0.5グラム、幾つかの実施形態においては1.0グラム、及びさらに幾つかの実施形態において2.0グラムの、1又は2以上の薬剤を溶解することによって調製され得、そしてその後、生じた溶液が25℃で保存されたときに、当該薬剤の少なくとも90%が少なくとも2時間溶液のままであることを意味する。単一の薬剤が使用され得るとき、使用される当該単一の薬剤は、水溶性を評価するために水中に溶解される。2又は3以上の薬剤の混合物が処理溶液中で使用され得るとき、使用されるように意図された比率における混合物の好適な試料が、溶解性を評価するために水中へ溶解される。
一般的に、分子量は、浸出に対する防護のための薬剤の能力に影響を与える1要素である。分子量が小さすぎる場合、例えば約100未満、さらには約80未満である場合、物質は、浸出を全く防護できず、浸出をさらに増大させ得る。他方で、約100超の分子量を有する本発明の薬剤は、より多大な浸出防護を提供する傾向にある。実際、浸出防護は、必要に応じて分子量又は重量平均分子量が増大するときに増大する傾向にある。これは、より大きな分子量を有する薬剤が一般的に、より低い使用率で使用され得て、より小さい分子量の薬剤と同程度又はより優れた浸出防護を提供することを意味する。したがって、本発明の浸出減少剤は、望ましくは、少なくとも100、より望ましくは少なくとも約150、さらにより望ましくは少なくとも約200、そしてさらにより望ましくは少なくとも約500の分子量(又は必要に応じて重量平均分子量)を有する。
しかし、薬剤の使用が実用的でなくなり得る、最大分子量が存在する傾向にある。例えば、当該薬剤が大きすぎる場合、含浸溶液はゲルに、又は非常に粘性となり得、及び/又は含浸が非常に困難となり得る。したがって、本発明の薬剤は、約100,000以下、望ましくは約50,000以下、より望ましくは少なくとも約30,000以下の分子量(又は必要に応じて重量平均分子量)を有する。
本発明の浸出減少剤はまた、標準的温度において、水よりも低い蒸気圧を有する。このことは、含浸後の乾燥段階において、製造時において、及び/又は木材製品が耐用年期間において水(例えば雨など)に曝露された後において、当該薬剤が、水よりもゆっくりと蒸発することを保証するために有用である。言い換えれば、有機層としての当該薬剤は、相対的により揮発性である水がより早く蒸発するように、水と比較して濃縮される傾向にある。結び付けられることを望むことなしに、分配係数効果による、相対的に濃縮された有機層は、存在し得る水中に溶解されるべき、錯体化された金属性殺生物剤の傾向を減少させるために有用であると考えられる。これは、水と比較して金属性殺生物剤を保持する木材の能力を向上させ、生じ得る浸出を減少させる。模式的に説明されるように、木材及び水は、金属性殺生物剤の獲得のために競合する。浸出は、水がより強い競合物である時により多く生じる傾向にあり得る。しかし、本発明の添加剤の存在下において、生分解性基材は、当該添加剤の非存在下において存在する競合物よりも相対的に強い競合物であり、結果的にあまり浸出を生じさせない。
望ましくは、本発明の望ましい浸出減少剤は、25℃において、15mmHg未満の、好ましくは10mmHg未満の、より好ましくは1mmHg未満の、そしてさらには0.1mmHg未満の蒸気圧を有する。比較として、水は、25℃で約24mmHgの蒸気圧を有する。本発明の浸出減少剤の幾つか実施形態は、室温で固体形態であり得る。かかる物質は、非常に少量が昇華される傾向にあるが、本発明の目的のために、25℃で0.1mmHg未満の無視し得る蒸気圧を有するものと考えられ得る。
本発明の実質的に非イオン性の浸出減少剤は、場合によっては、調製時、又は市販元から得られた時に、幾つかの非イオン性及び/又はイオン性不純物を含む傾向にあり得る。かかる不純物の潜在的な存在を考慮して、好ましい本発明の実質的に非イオン性の浸出減少剤は、5重量パーセント未満、好ましくは2重量パーセント未満、及びより好ましくは0.5重量パーセント未満の非イオン性及び/又はイオン性不純物を含むものである。しかし、少なくとも一つのかかる実質的に非イオン性の物質が浸出に対する防護を支援するために使用される限り、保存剤組成物は、望ましくは多くの目的のために、1又は2以上のイオン性種を場合により含み得る。かかるイオン性種の例は、金属塩、4級アンモニウム塩、他の非イオン性及び/又は有機塩、これらの組み合わせなど、例えば、米国特許第5,304,237号、及び第5,874,025号明細書に記載された、PEGブロックを含むポリマー性4級アンモニウムホウ酸塩を含む。
上記の特性の組み合わせに加えて、好ましい浸出減少剤はまた、単一で又は組み合わせてのいずれかで、浸出防護をさらに増強するために、1又は2以上の追加の特性を有し得る。例えば、幾つかの実施形態において、浸出減少剤は、実質的に中性であることが望ましい。本明細書において使用される「実質的に中性」は、100mlの蒸留水に溶解された、0.5グラム、好ましくは1.0グラム、又はより好ましくは2.0グラムの、1又は2以上の薬剤が、約4〜約10の、好ましくは約5〜約9の、より好ましくは約6〜約8の範囲内のpHを25℃で有することを意味する。単一の薬剤が使用され得るとき、使用される当該単一の薬剤は、水中に溶解され、pHを評価される。2又は3以上の薬剤が使用され得るとき、使用されるべき、意図された比率の混合物である、好適な試料は、水に溶解されて、pH特性を評価される。
別の任意の望ましい特性として、好ましい浸出減少剤は、少なくとも約4重量パーセント、より好ましくは少なくとも約4〜約55重量パーセントの、及びさらにより好ましくは少なくとも約20〜約45重量パーセントの酸素を含むものである。これらの好ましい薬剤の例は、(ポリ)エーテル、及び/又は、1又は2以上のオキシアルケン単位を骨格中に、及び/又は当該分子の置換基として含む非イオン性界面活性剤を含む。本明細書において使用される、エーテルに関する用語「(ポリ)」は、当該エーテルが1又は2以上のオキシアルケン単位を有し得ることを示す。カッコ無しでの用語「ポリ」は、物質が、2又は3以上のオキシアルケン繰り返し単位を含むことを示し、そしてそれは同一又は異なり得る。幾つかの実施形態において、浸出抵抗性を改善するために有用である成分は、1又は2以上のかかるオキシアルケン基を各々含む、(ポリ)エーテル及び非イオン性界面活性剤の組み合わせを含む。本発明の(ポリ)エーテルの代表的な実施形態は、1又は2以上の、直鎖、分岐鎖、及び/又は環状の2価のオキシアルケン繰り返し単位、又はこれらの組み合わせを含む。当該(ポリ)エーテルは、ホモ重合体、又は2又は3以上の共重合可能物質の共重合体であり得る。2又は3以上の共重合可能物質から製造される場合、異なる物質は、(ポリ)エーテルへランダムに、又はブロックで組み込まれ得る。
本発明の実施において、2価のオキシアルケン単位は一般的に、式−RO−を有し、ここでRは、任意の直鎖、分岐鎖、若しくは環状のアルケン、又はアラルキレンであり、2価部分は通常、1〜10個の、望ましくは1〜5個の、より望ましくは1〜3個の炭素原子を含む。より多数の炭素原子を有する繰り返し単位は、必要に応じて、(ポリ)エーテル中へ組み込まれ得る。しかし、当該単位が過度に多くの炭素原子を含む場合、又は当該(ポリ)エーテルが、相対的に多くの数の炭素原子を有する、過度に大きなパーセンテージの繰り返し単位を含む場合、又は、当該薬剤が過度に大きい場合、水溶性、及び/又は(ポリ)エーテルによって提供される浸出防護は乏しいものとなり得る。具体例は:
Figure 2011528351
、1超のオキシアルケン骨格の置換基がアルキル基である追加の変化体、これらの組み合わせなどを含む。当該(ポリ)エーテルは望ましくは、H;1〜12個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル;及びこれらの組み合わせから選択される末端基を有する。通常市販品は、−RO−繰り返し単位の数が平均で1よりも大きいときの実施形態において、1超の種類の−RO−基を個々の分子内に含み得る。さらに、市販品は、異なる(ポリ)エーテル分子の群分布を含み得る。
好適な(ポリ)エーテルは通常、種々の数の繰り返し単位を有する(ポリ)エーテル重合体、及び分子量において対応する変化体の分布を含む混合物として市販されている。この種類の好ましい(ポリ)エーテル群は一般的に、平均で、少なくとも2個の及び好ましくは約1〜約3000個の、これらの2価のオキシアルケン繰り返し単位を有し得る。より好ましい実施形態において、当該(ポリ)エーテルは、当該(ポリ)エーテル物質が少なくとも約100〜約50,000の、好ましくは約300〜約30,000の、より好ましくは約500〜約20,000の重量平均分子量を有するように、十分な数のこれらの繰り返し単位を有する。
当該(ポリ)エーテルは好ましくは、少なくとも一つの(ポリ)エチレングリコール(PEG)を含む。PEGは、2又は3以上のオキシエチレン(EO)繰り返し単位を含む、直鎖の(ポリ)エーテル重合体であり、そしてそれは以下の式:
Figure 2011528351
[式中、
1及びR2の各々は独立して、H、又は、直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキルであり、好ましくはH、又は1〜12個の炭素原子を、通常1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;並びにnは、1〜3000であり、及び好ましくは、当該PEGが少なくとも約100〜約50,000の、好ましくは約300〜約30,000の、より好ましくは約500〜約20,000の範囲内の重量平均分子量を有するような数である]
で表され得る。
本発明の実施において有用であり得る別の種類の(ポリ)エーテル物質は、1又は2以上のオキシエチレン、及び、1又は2以上の以下の式:
Figure 2011528351
[式中、
3及びR4の各々は独立して、H、又は、直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキルであり、好ましくはH、又は1〜12個の炭素原子を、通常1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;mは1〜3000であり;nは1〜3000であり;及びm+nは好ましくは、当該PEGが少なくとも約100〜約50,000の、好ましくは約300〜約30,000の、より好ましくは約500〜約20,000の範囲内の重量平均分子量を有するような数である]
で表されるオキシプロピレン(PO)繰り返し単位を少なくとも含む共重合体である。望ましくは、mとnとの比は、約1:4〜約4:1の、好ましくは約1:1.5〜約1.5:1の範囲内であり得る。この式において、オキシエチレンの任意の他の異性体が存在し得る。
場合により、当該オキシアルキレン単位に加えて、本発明の実施において使用される任意の(ポリ)エーテルは、70重量パーセントまで、望ましくは25重量パーセントまで、より望ましくは10重量パーセントまで、及びさらにより望ましくは2重量パーセントまでの共重合可能物質をさらに含み得る。かかる他の物質の例は、フリーラジカル的に共重合可能な官能基、例えば炭素−炭素二重結合を含む単量体である。これらの物質は、オレフィン(エチレン、プロピレン、ブタジエンなど)、(メタ)アクリレート、スチレン型物質、これらの組み合わせなどのような単量体を含む。
PEG重合体、並びにEO及びPOの共重合体を含む、(ポリ)エーテル重合体の製造方法は、当業者に既知である。さらに通常、EO、PO、ブタノール、グリセロール、及び水素を含む出発物質は市販されている。
市販の(ポリ)エーテル物質の具体例は、Dow Chemical Co.から市販されている、CARBOWAX PEG 8000(重量平均分子量約8000)、及びCARBOWAX PEG 1000(重量平均分子量約1000)のポリエチレングリセロール製品である。他の例は、例えば、ブトキシトリグリセロール、トリプロピレングリコールブチルエーテル、テトラエチレングリコール、及び商品名CELLOSOLVE(例えばButyl CELLOSOLVE溶媒及びHexyl CELLOSOLVE溶媒)でDow Chemical Co.から市販されているグリコールエーテルを含む。
保存剤組成物中に組み込まれる浸出減少剤の量は、広範囲で変化し得る。代表的な実施形態は、金属性殺生物剤の1重量部あたり、約0.01〜約200重量部の、望ましくは0.5〜約50重量部の浸出減少剤を含み得る。上の場合において、当該組成物中の金属性殺生物剤の重量パーセントを計算するとき、1又は2以上の金属に対する、浸出減少剤の相対的重量部は、当該金属源の金属に含まれ得る他の種類のものの重量を含めずに、当該金属自体の重量に基づく。
当該浸出減少剤はまた、別の薬剤である、浸出抵抗性の促進に有用である1又は2以上の非イオン性界面活性剤との組み合わせの形態であり得、又は当該組み合わせをさらに含み得る。特に、(ポリ)エーテル及び非イオン性界面活性剤の両方を含む保存剤組成物の実施形態は、相対的に少ない比率の非イオン性界面活性剤のみが、当該(ポリ)エーテルよりも使用されるときでさえ、優れた浸出抵抗性を実証する。非イオン性界面活性剤は、少なくとも1つの疎水性部位と連結している、少なくとも一つの親水性部位を有する化合物のことであり、ここで当該界面活性剤は、当該保存剤組成物中に溶解され又は分散されたときに、分離したカチオン性又はアニオン性電荷を有する。
広範囲の非イオン性界面活性剤が使用され得る。好ましい実施形態において、非イオン性界面活性剤の親水性は、式−(R5O)w−で表されるポリオキシアルキレン基によって提供され、ここで式中、R5は、1〜5個の炭素原子であり、特に、−CH2−(メチレン)、−CH2CH2−(エチレン)、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、又はイソブチレンであり;及びwは通常、1〜約100である。R5は、好ましくはエチレン、プロピレン、又はイソプロピレンである。このポリオキシアルキレン基は、水と強い水素結合をすることができ、所望の親水性特性を提供する。
非イオン性界面活性剤の疎水性は一般的に、親水性部位と連結した無極性部位を通じて提供される。無極性は望ましくは、当該部位が少なくとも6個〜100個の炭素原子を、好ましくは少なくとも10個〜100個の炭素原子を含み;及び2個以上のヘテロ原子、例えばO、S、N、Pなどを、10個の炭素原子あたり、より好ましくは15個の炭素原子あたり含む。代表的な実施形態において、疎水性部位は直鎖、分岐鎖、若しくは環状のアルキル、アリール、アラルキル;又はアルコールである。好ましいヒドロキシル部位は2級のものである。
非イオン性界面活性剤の代表的な実施形態は、EO、又はEO/PO(ポリ)エーテルとアルコール、望ましくは2級アルコールとの付加体である。かかる付加体は以下の式:
Figure 2011528351
[式中、
6は直鎖、分岐鎖、若しくは環状の無極性基、又は10〜100個の、好ましくは10〜50個の炭素原子を含むアリールであり;R7は独立して1〜4個の、好ましくは2〜3個の炭素原子を含むアルキレン基であり、並びにR9はH又は、1〜20個の、好ましくは1〜10個の炭素原子を含む1価の置換基、及び非アリール又はアリールであり得る1価の置換基であり;並びにpは1〜200である]
を有し得る。かかる付加体の特に好ましい実施形態は独立して、以下の式:
Figure 2011528351
[式中、
各々のR10は独立して、10〜50個の炭素原子の炭化水素基であり;各々のkは独立して0〜80であり;各々のqは独立して0〜40であり、ただしk+qは1又は2以上である]
を有する。同様に含まれるものは、分岐したオキシアルキレン単位が全部でq個の繰り返し単位を与える場合、又はこれらの分岐したオキシアルキレン単位が、1又は2以上の炭素原子を含む2又は3以上のペンダント型アルキル置換基を含み、また、全部でq個の繰り返し単位を与える場合、付加体が混合物を含む変化体である。通常、市販品は、分子量の値、k及びqが平均として表現され得るような付加体の群分布を含み得る。かかる混合物において、分子量は、他で強調されない限り、本明細書において重量平均分子量のことである。
浸出の減少の支援に効果的である非イオン性界面活性剤の任意の量が、保存性組成物中において使用され得る。しかし、浸出抵抗性は、(ポリ)エーテルと非イオン性界面活性剤の重量比が約1超である場合に増強されることが見いだされた。したがって、(ポリ)エーテルと非イオン性界面活性剤の重量比は、1:1超、好ましくは約2:1〜約50:1、より好ましくは約3:1〜約20:1である。
他の任意の成分はまた、従来の慣行に従って、後処理組成物中において有利に使用され得る。1又は2以上の金属性殺生物剤に加えて、例えば、後処理組成物はまた、微生物、真菌、害虫などに対するより広い殺生物スペクトルを提供するために、1又は2以上の追加の共殺生物剤(co−biocide)を含み得る。追加の共殺生物剤は、1又は2以上の殺真菌剤、殺昆虫剤、殺カビ剤、殺微生物剤、殺藻類性剤、及び/又はその他のもの、例えば後処理に先立って最初に基材を処理するために使用された保存剤組成物における使用に関して上記されたものを含み得る。上の場合において、特に好ましい共殺生物剤は、4級アンモニウム塩、及びトリアゾール及びイミダゾールを含むアゾール物質を含む。ベンザルコニウムクロリド又はベンザルコニウムカーボネートは、好ましい四級アンモニウム塩の一つであり;ジデシルジメチルアンモニウムクロリド又はジデシルジメチルアンモニウムカーボネートは、別の一般的に使用される四級アンモニウム塩である。アゾールの例は、テブコナゾール及びプロピコナゾールを含む。
さらに、製造段階において、金属容器が調製、輸送、貯蔵、又は当該組成物と接触させるために使用され得る場合、当該組成物は、腐食阻害剤を含み得る。ホウ素含有阻害剤、例えば腐食阻害量で使用されるボロン酸は、本目的のために好適であることが見い出された。他の補助剤は、分散剤、乳化剤、結合剤、固定剤、防水材、着色剤、抗酸化剤、紫外線安定剤、界面活性剤、乳化剤、帯電防止剤、防湿剤;沈殿阻害剤、緩衝剤;難燃剤;これらの組み合わせ、及び従来の慣行に従って使用されるものを含む。
当該組成物は、種々の方法に従って製造され得る。第一に、金属源と錯化剤を通常所望の濃度で水中にて混合し、金属錯体を形成する。その後、1又は2以上の段階で、追加の成分が当該錯体と結合され得る。実施の一態様に従って、当該金属錯体を形成するための反応は、室温未満又は室温を超える温度で行われ得る。錯化剤の熱分解を避けるために、過度に反応混合物を加熱することを避けることが所望であり得る。
後処理組成物は、所望であれば、1又は2以上の濃縮物として(例えば1パート、又は2パートの濃縮物として)、最初に製造、貯蔵、及び/又は輸送され得る。1又は2以上の濃縮物が生分解性製品の処理のために使用且つ希釈される場合に、1又は2以上の濃縮物はその後組み合され得る。広範囲の濃縮/希釈計画が使用され得る。例えば、当該濃縮物は、実際に生分解性製品を処理するために使用され得る組成物の希釈形態よりも少なくとも5倍、望ましくは5〜500倍、より望ましくは5〜50倍、そして最も望ましくは10〜25倍に濃縮され得る。希釈時において、広範囲の液体が希釈のために使用され得る。好ましい希釈用液体は、水、及び/又は水混和性液体を含む。水非混和性物質は、層分離を避けるために、慎重に使用されるべきである。経済的な理由のために、水のみを使用することは最も多くの場合において好適であり得る。希釈用水は、1又は2以上の金属性殺生物剤又は組成物の他の成分の過度の沈殿を生じさせ得る種のものを含む場合、希釈の前に当該水を処理することが所望であり得る。処理の代表例は、1又は2以上の物理的又は化学的濾過、抽出、蒸留、逆浸透、軟化、他の不純物を除去するための他の物質流動技術などを含む。所望であれば、沈殿阻害剤はまた、当該組成物中に含まれ得る。
濃縮物は、従来法に従って、例えばAWPA Standard P5−02(2002に発表されたstandard P5とも呼ばれる)の方法に従って調製され得る。1又は2以上の抗浸出剤はその後、含浸処理を行うために使用され得る最終濃度への希釈前、希釈中、及び/又は希釈後における任意の時点において当該濃縮物へと加えられ得る。1又は2以上の当該薬剤は、直接的に当該濃縮物へ添加され得、或いは好適な液体担体(通常は水)に前もって溶解され、その後濃縮物へ添加され得る。1又は2以上の当該抗浸出剤は、10秒〜8時間かけて、速やかに又はゆっくりと添加され得る。速やかに添加されるか又はゆっくりと添加されるかについて、望ましくは、当該成分は混合されながら添加される。穏やかな加熱が、均質な組成物の獲得を支援するために使用され得る。濃縮物は一般的に長い保存期限を有するため、当該濃縮物は、1又は2以上の当該抗浸出剤の添加前、かなりの期間保存され得る。
本発明の後処理組成物は、種々の適用又は含浸方法を用いて、生分解性製品を処理するために使用され得る。これらは、噴霧、はけ塗り、ローリング(rolling)、浸漬、注入(pouring)工程、例えばカーテンコーティングなどの手作業の方法を含む。これらはまた、自動化された方法、例えば加圧含浸、交互圧力(alternating pressure)含浸、真空含浸、二重真空含浸などを含む。屋外において使用中の基材、例えばデッキ、ドック、フェンス、ポストなどのような構造物の一部に組み込まれているものに関して、当該組成物を基材上に周囲温度及び周囲圧力で噴霧、はけ塗り、又はローリングすることは容易であり且つ経済的である。当該後処理組成物の1又は複数の適用は、各々の後処理事象において適用され得る。複数の被覆が使用される場合、別の被覆を適用する前に、一の被覆を乾燥させることが望ましい。
タイミングに関して、当該後処理は、基材の最初の含浸の後の任意の時点で行われ得る。かかる処理は、最初の含浸の後に速やかに、又は数年後に行われ得る。例えば、最初の含浸処理において、均質の又はハイブリッドの保存剤組成物を使用するとき、当該基材への金属性殺生物剤の均質性及び浸透を向上させるために、当該発明の後処理は最初の含浸後速やかに適用され得る。このような典型的な工程は、完成品の基材が使用のために利用可能とされる以前に、工場内における2又は3以上の含浸段階を含み得る。第一段階において、金属性殺生物剤は、好適な保存剤組成物を用いた含浸を通じて当該基材へと組み込まれる。次の段階において、当該基材は後処理組成物と接触されて、当該基材における金属性殺生物剤の分布の変更の支援を行い得る。工場における条件が利用可能である場合、当該後処理は、当該基材への後処理組成物の浸透を向上させるために、周囲のものとは異なる圧力又は真空条件を用いて行われ得る。複数の後処理は、必要に応じて工場で適用され得る。
使用中の基材の後処理に関して、当該処理は当該基材が使用開始された任意の時点において行われ得る。これは、当該基材の使用が開始された日と同日に1又は2以上の処理が行われてから、数日後、数か月後、数年後、又は数十年後に1又は2以上の処理が行われるまでの範囲であり得る。望ましくは、後処理は、当該基材の完全性が腐食により過度に損なわれる前に適用される。上記の通り、当該基材における、特に当該基材表面に近位部における金属性殺生物剤の過度の減少を避けることを支援するために、基材が定期的に後処理を受けるように定期的な保守計画が行われ得る。各々計画された後処理事象において、当該後処理の複数の被覆が適用され得る。通常、1〜3つの被覆が好適であり得、そして次のものが適用される前に、各々の被覆は乾燥される。かかる計画は、定期的、例えば3か月ごとに、半年ごとに、1年後ごとに、2年ごとに、3年ごとに、又は当該基材の完全性を維持することを支援するように、行われる処理を意図し得る。このような保守計画は、これらの基材の耐用年数を著しく延長する可能性を提供する。
後の加工における殺生物剤の分布の改善の能力は、より低いレベルの殺生物剤、及び/又はより少ない量の処理溶液を用いる、より早期で効果的な処理を促進する。例えば、生分解性基材の最初の処理は、懸念事項、例えば基材の耐用年数、浸出、及び/又は浸透に対応するために、過剰の処理溶液、及び/又はより高濃度の殺生物剤の処理溶液を使用し得る。浸出された物質に対応するために、浸透を改善するために、又は他の目的のために、後の処理を行うための能力は、最初の過度の処理レベルの使用の必要性を緩和する。要するに、本発明の実施により、より少ない処理物質が最初の処理のために使用され得、処理された基材の最初の製造業者の効率性が著しく増加する。
本発明の種々の態様は、以下の実施例において説明され得る。以下の実施例中において、全てのパーセンテージは、他で明示的に示されない限り、重量あたりのものである。
ブロック試料の調製
典型的な市販の、地面における使用のために処理された4インチ×4インチ×8フィートのサザンイエローパイン(Southern Yellow Pine)の材木(AWPA UC4a,0.40 pcf Alkaline Copper Quaternary Type D)をLowesから購入した。約1フィートを材木から各々切り出し、その後、各々の板の末端から各々約1インチの横断切片を切り出した。各々の横断切片を整列し、そしてそれらが切り出された場所に従って番号付けされた。第一セットの名目4インチ×4インチ(実際3.5インチ×3.5インチ)×1インチの横断切片をブロック1〜21と標識し、そして第二の横断切片をブロック50〜70と標識した。
各々のブロック横断切片は、銅−アミン錯体の特徴的な緑色の存在又は不在によって証拠付けられる、著しく銅浸透を起こした領域及び起こしていない領域を示した。中心領域のかなりの部分は無着色であり、そしてそれはこれらの領域において銅が存在しないことを示した。この領域における銅の不在は、噴霧試験(AWPA Standard A3−00−7)によって、及びエネルギー分散分光法を用いることによって実証された。主として、当該銅殺生物剤は、当該横断切片の外側端から内部へ約1.5cm〜約3cm浸透していた。
実施例1−圧力処理された材木のウィッキング(wicking)(塗装されていない面)
75グラムの3重量%のMEAを含む水溶液を、後処理組成物として、2枚の板ガラス容器へ添加した。容器中の溶液の深さは約1/4インチであった。ブロック17、18及び15を用い、そして本実施例において試験されたこれらのブロックを、本明細書において各々試料1a、1b、及び1cと呼ぶ。木目に逆らって(半径方向に)当該後処理組成物を吸収させるために、上記の横断切片#17(試料1a)を一の容器中に垂直に設置し、木目方向に(接線方向に)当該後処理組成物を吸収させるために、横断切片#18(試料1b)を第二の容器中に横たえた。ブロック表面の底への後処理組成物の完全な到達を保証するために、両方の場合において、ガラス製のキャピラリーを横断切片の各々の末端の下に置いた。横断切片#15(試料1c)を比較のためのスタンダードとして保持した。試料を一晩ウィッキングした。両方の場合において、当該後処理組成物を基本的に完全に吸収させた。横断切片をガラス製容器から取り出し、そしてオーブンラック上で、室温にて一晩乾燥させた。ブロック#17(試料1a)、ブロック#18(試料1b)、及びブロック#15(試料1c−スタンダード)から、同一の2cm×4cmの切片標本を取り除くために、チゼルを使用した。銅含有保存剤の浸透決定のためのA3−00−7法(A3−00−7Method for Determining Penetration of Copper−Containing Preservations)噴霧試験、及びエネルギー分散分光法によって、全ての3つの試料を試験した。切片#17及び切片#18の両方は、全ての外部表面において銅の存在を示したが、スタンダード切片#15においては示さなかった。切片#17及び切片#18の内側の木の表面の比較試験は、未処理の領域への銅の浸透分布を、スタンダードである切片#15のものよりも幾らか示した。
これは、後処理組成物との接触は、銅の再分布を促進することを示している。これはまた、内部(木材を通じて)及び外部(溶液を通じて)の両方の、銅殺生物剤の再分布を示している。
実施例2 ワニスで塗られた面でのウィッキング(側面密閉)
試料ブロック横断切片の平面を、2層の被覆のポリウレタンのワニスで密閉した。ブロック切片#52(試料2a)及び#52(試料2b)をこの試験のために使用した。75グラムの3%のMEAを含む水溶液を後処理組成物として、2枚の板ガラス容器へ添加した。容器中の溶液の深さは約1/4インチであった。木目に逆らって(半径方向に)非真空下で当該溶液を吸収させるために、一の切片を容器中に直立に設置した。第二の切片を他の容器中に設置し、そしてデシケーター中に設置した。木目に逆らって(半径方向に)当該溶液を吸収させるために、当該切片を直立に置いた。250mmHg(+/−10mm)の真空を適用し、そしてデシケーターへ維持した。両方の試料を一晩ウィッキングさせた。各々のブロックを約3〜4cm、当該後処理組成物でウィッキングさせた。大部分の処理組成物が両方の場合において吸収された。試料を容器から取り除き、そして一晩乾燥させた。チゼルにより、同一の2cm×4cmの、当該ブロックの中心切片を取り除いた。第三のブロック、ブロック切片#56(試料2c−レファレンス)をレファレンス・スタンダードとして使用した。銅含有保存剤の浸透決定のためのA3−00−7噴霧法によって、全ての3つの試料を試験した。切片#52及び#53は、当該銅が、スタンダードと比較して、未処理の領域へと約2cmさらに上に移動したことを示した。これは、当該後処理組成物との接触が銅の再分布を促進したことを再び示している。
実施例3−後表面処理(Post Surface Treatment)
切片#54(試料3c−レファレンス)、切片#55(試料3a)、及び切片#57(試料3b)を試験のために選択した。切片54をベンチ上で平らに置いた。切片55をベンチ上に平らに置き、そして5重量%MEA含有水溶液を噴霧した。切片#57をベンチ上に平らに置き、そして20重量%MEA含有水溶液を噴霧した。全ての試料を一晩乾燥させた。銅含有保存剤の浸透決定のためのAWPAスタンダードA3−00−7噴霧法を使用して、銅が処理された領域から未処理の領域へと分布するか否かを決定した。スタンダード切片#15においては示さなかった。ブロック#54の中心領域は銅を有さないことを試験は示した。しかし、当該方法は、以前に銅が存在しなかった切片#55及び#57において銅を検出した。同様に、切片#55よりも切片#57において多くの銅を当該方法は検出した。これは、当該後処理組成物との接触が銅の再分布を促進したことを再び示している。
実施例4−改善された金属性殺生物剤浸透の促進
4つの、4インチ×4インチ×1インチの切片の2つの切断面を、実施例#2と同様に、ポリウレタンで密閉した(各々試料4a、4b、4c及び4d)。試料4aをレファレンスとして保存した。試料4b〜4dは、振盪しながら一晩、水中に浸出され、その後水から取り出して乾燥させた。当該浸出は全ての固定化されていない又は緩く結合した金属性殺生物剤を除くものと推定された。試料4bを浸出されたレファレンスとして保持した。4c及び4dの、同一の代表的な外側端を、5重量%MEA含有水溶液、及び20重量%MEA含有水溶液で各々処理した。当該後処理組成物を噴霧で2回適用した。当該組成物の全てが僅少な過剰噴霧でブロックに吸収されることを確保するために注意が払われた。X線光電子分光法(XPS)分析のために、同一の代表的な2mm×2mmの表面切片を4a、4b、4c及び4dから採取した。試料4a及び4bは、約0.4%の表面の銅を示した。試料4c及び4dは、各々0.25%及び0.15%の表面の銅を示した。この結果は、当該後処理溶液が、金属性殺生物剤と複合化して、木材中の再分布のためにそれを流動させることを実証している。
実施例5−金属性殺生物剤の流動、浸透、及び再分布を促進するために十分な、本発明の後処理組成物が、過度の金属性殺生物剤の浸出をもたらさないことの実証
後処理溶液の調製
表1に示す通り、リストに記載された成分を蒸留水中に所定の濃度で溶解することによって種々の後処理溶液を調製した。表1において、TEAはトリエタノールアミンであり、TTEGはテトラエチレングリコールであり、PEGはポリエチレングリコール 8000 mol wtであり、そしてquat.はベンザルコニウムクロリド、Fluka 12060である。
木材ブロック
約3/4インチ×3/4インチ×3/4インチの微粉処理された(Micronized treated)木材ブロック(Universal Forest Products(Grand Rapids,Michigan)によって製造された「ProWood Micro」)を実施例A〜Hにおいて使用した。約3/4インチ×3/4インチ×5/4インチの、年数を経た(2006年に処理)市販のACQ処理済松材ブロックを実施例I〜Lで使用した。全ての実施例のために選択された木材は、一貫した木目及び質感を有した。試験前に、ブロックを一定の湿度室に一晩置いた。湿度を50〜60%で維持した。
木材ブロックの後処理−実施例B〜H及びJ〜L
9つの、節及び欠陥の無いブロックを各々の実験のために選択した。当該ブロックの重量は+/−0.2グラムの標準偏差を有した。ブロックの重量を量り、そして乾燥棚へ置いた。試料Aの微粉処理されたブロックをレファレンスとして使用した。試料B〜Hを、側面に腕を有する500ml三角フラスコの底に各々の試料に対して9個のブロックを置くことによって、表Iに示した種々の後処理組成物で処理した。穿孔された柔軟プラスチック秤量皿を当該ブロックの上部に置き、それらをフラスコの底に固定した。200mlの後処理組成物を含む、250mlの等圧付加漏斗を三角フラスコの上部に接続した。当該フラスコの側面の腕を、250mmHgに設定された真空器に接続した。250+/−5mmHgで維持しながら、真空を20分間適用した。20分後、当該後処理組成物を当該ブロックへと加えた。全ての溶液を加えた後、真空を解除した。当該ブロックは、当該組成物で30分間吸収された。30分後、当該ブロックを当該溶液から除去した。各々のブロックの各々の面をペーパータオルでわずかに拭き、過剰の液体を除去した。各々のブロックをその後秤量し、そしてラック上において乾燥させた。各々のセットのブロックを一晩室温で置いた後、それらを空気対流オーブンに、35℃+/−1℃の温度で維持しながら5日間置いた。当該ブロックの乾燥率の調節を支援するために、当該オーブンの底部に蒸留水の容器を置いた。実施例J〜Lは、指定された溶液及び木材ブロックを用いて同様の方法で行われた。
銅浸出試験
5日後に当該ブロックをオーブンから取り出した。非常に密に吸収された重量を有する6つのブロックをパイント容器へ置き、そして300mlの蒸留水を加えて銅の浸出を決定した。当該容器を振盪器に置き、120rpmで22時間振盪した。
当該振盪器から除去された後、浸出溶液の試料を濾過し、そして誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma)(ICP)分析により、ppm銅を決定した。実施例A〜Hの結果を表1に示す。
実施例B〜Gの後処理試料における銅の浸出は少なく、且つ後処理されていないスタンダードAに近かった。実施例Hは、より高濃度の錯化剤の使用により、より多くの浸出がもたらされることを実証している。
さらに、割けて開いている実施例B〜Hのブロックは、一定の緑色を示し、そしてそれは、銅錯体の分散を、及び恐らくは銅の生物有効性の増大を示唆している。相対的に、溶解されない塩基性炭酸銅の大きい粒子は、後処理されていないブランクの実施例Aにおいて観察された。
Figure 2011528351
試料I〜L:
試料I〜Lは、(最初のACQ処理から約2年後の)ACQ処理された松材を用いた本発明の実施を説明する。これらの実施例は、年数を経た、ACQ処理された木材が使用されたことを除き、実施例A〜Hと類似の方法で行われた。
銅の浸出の結果を表2に示す。実施例J〜Lにおいて観察された銅の浸出は、スタンダードの実施例Iと同程度であった。これらの結果は、本発明の典型的な組成物を用いた後処理が、スタンダードと比較して、増大した銅浸出を引き起こさないことを示している。
Figure 2011528351

Claims (25)

  1. 使用中の生分解性基材の枯渇領域において、前記基材の少なくとも1つの他の領域から前記枯渇領域へ金属性殺生物剤の一部を再分布することによって、金属性殺生物剤含量を回復させる方法であって、前記金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む水性液体組成物であって、前記錯化剤及び前記金属性殺生物剤が約2.5〜約6.5の範囲内の錯体安定性定数Klを有する、前記水性液体組成物を、前記基材の表面と接触させるステップを含む、前記方法。
  2. 前記錯体安定性定数が約3〜5.5の範囲内である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記枯渇領域が、前記基材の表面の近位部にある、請求項1に記載の方法。
  4. 前記基材がセルロース系である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記金属性殺生物剤がCuを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記組成物が、As及びCrの少なくとも1つを含まない、請求項1に記載の方法。
  7. 前記組成物が均質である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記組成物が不均質である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記錯化剤がアルカノールアミンを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記錯化剤がモノエタノールアミンを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記錯化剤がトリエタノールアミンを含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記錯化剤が、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンを含む、請求項1に記載の方法。
  13. モノエタノールアミンとトリエタノールアミンとのモル比が1:2〜25:1の範囲内である、請求項1に記載の方法。
  14. トリエタノールアミンに対するモノエタノールアミンのモル比が1超である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記組成物が浸出減少剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  16. 前記組成物が(ポリ)エーテルをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記組成物が非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記組成物が、(ポリ)エーテル及び非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  19. 生分解性基材を処理する方法であって、以下のステップ:
    a)(i)前記基材の表面から遠位部にある第一の基材領域であって、第一の濃度の金属性殺生物剤を有する、前記第一の基材領域;及び(ii)前記基材の表面の近位部にある第二の基材領域であって、前記第一の基材領域と比較して減少されている、第二の濃度の金属性殺生物剤を有する、前記第二の基材領域を含む、前記生分解性基材を提供し;並びに、
    b)前記金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む水性液体組成物であって、前記錯化剤及び前記金属性殺生物剤が約2.5〜約6.5の範囲内の錯体安定性定数Klを有する、前記水性液体組成物を、前記基材の表面と接触させ、それにより、前記第一の基材領域における金属性殺生物剤の一部を、前記第二の基材領域へと再分布させること
    を含む、前記方法。
  20. 生分解性基材を処理して、既に前記基材へと組み込まれている金属性殺生物剤の分布を変更する方法であって、以下のステップ:
    a)金属性殺生物剤の分布を含む、前記基材を提供し;及び
    b)前記金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む水性液体組成物であって、前記錯化剤及び前記金属性殺生物剤が約2.5〜約6.5の範囲内の錯体安定性定数Klを有する、前記水性液体組成物を、前記基材と接触させ、それにより、前記基材中の前記金属性殺生物剤の分布を変更させること
    を含む、前記方法。
  21. 生分解性基材中における金属性殺生物剤を分布させるための多段階処理方法であって、以下のステップ:
    a)前記生分解性基材へと金属性殺生物剤を組み込み;及び
    b)ステップ(a)の後に、前記金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む水性液体組成物であって、前記錯化剤及び前記金属性殺生物剤が約2.5〜約6.5の範囲内の錯体安定性定数Klを有する、前記水性液体組成物を、前記基材と接触させ、それにより、前記基材中の前記金属性殺生物剤の分布を変更させること
    を含む、前記方法。
  22. 使用中の生分解性基材の枯渇領域において、前記基材の少なくとも1つの他の領域から前記枯渇領域へ金属性殺生物剤の一部を再分布することによって、金属性殺生物剤含量を回復させる方法であって、前記金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む水性液体組成物を、前記基材の表面と接触させるステップであって、ここで、前記基材が前記液体組成物と接触される時に、前記金属性殺生物剤は少なくとも2つの層中に存在するように接触され、前記層の少なくとも一つは前記錯化剤及び前記金属性殺生物剤を含む成分の水溶性錯体を含み、並びに第二の層は前記金属性殺生物剤を、前記水溶性錯体ほど水溶性ではない形態で含み、ここで前記第一の層中における前記錯体の少なくとも一部が、前記第二の層における金属性殺生物剤と平衡状態にある、前記ステップを含む、前記方法。
  23. 生分解性基材を処理する方法であって:
    a)(i)前記基材の表面から遠位部にある第一の基材領域であって、第一の濃度の金属性殺生物剤を有する、前記第一の基材領域;及び(ii)前記基材の表面の近位部にある第二の基材領域であって、前記第一の基材領域と比較して減少されている、第二の濃度の金属性殺生物剤を有する、前記第二の基材領域を含む、前記生分解性基材を提供するステップ;並びに、
    b)前記金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む水性液体組成物を、前記基材の表面と接触させるステップであって、ここで、前記基材が前記液体組成物と接触される時に、前記金属性殺生物剤は少なくとも2つの層中に存在するように接触され、前記層の少なくとも一つは前記錯化剤及び前記金属性殺生物剤を含む成分の水溶性錯体を含み、並びに第二の層は前記金属性殺生物剤を、前記水溶性錯体ほど水溶性ではない形態で含み、ここで前記第一の層中における前記錯体の少なくとも一部が、前記第二の層における金属性殺生物剤と平衡状態にある、前記ステップ
    を含む、前記方法。
  24. 生分解性基材を処理して、既に前記基材へと組み込まれている金属性殺生物剤の分布を変更する方法であって:
    a)金属性殺生物剤の分布を含む、前記基材を提供するステップ;及び
    b)前記金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む水性液体組成物を、前記基材と接触させるステップであって、ここで、前記基材が前記液体組成物と接触される時に、前記金属性殺生物剤は少なくとも2つの層中に存在するように接触され、前記層の少なくとも一つは前記錯化剤及び前記金属性殺生物剤を含む成分の水溶性錯体を含み、並びに第二の層は前記金属性殺生物剤を、前記水溶性錯体ほど水溶性ではない形態で含み、ここで前記第一の層中における前記錯体の少なくとも一部が、前記第二の層における金属性殺生物剤と平衡状態にある、前記ステップ
    を含む、前記方法。
  25. 生分解性基材中における金属性殺生物剤を分布させるための多段階処理方法であって:
    a)前記生分解性基材へと金属性殺生物剤を組み込むステップ;及び
    b)ステップ(a)の後に、前記金属性殺生物剤と水溶性金属錯体を形成することができる錯化剤を含む水性液体組成物を、前記基材と接触させるステップであって、ここで、前記基材が前記液体組成物と接触される時に、前記金属性殺生物剤は少なくとも2つの層中に存在するように接触され、前記層の少なくとも一つは前記錯化剤及び前記金属性殺生物剤を含む成分の水溶性錯体を含み、並びに第二の層は前記金属性殺生物剤を、前記水溶性錯体ほど水溶性ではない形態で含み、ここで前記第一の層中における前記錯体の少なくとも一部が、前記第二の層における金属性殺生物剤と平衡状態にある、前記ステップ
    を含む、前記方法。
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