JP2011527575A - Notchシグナル伝達のインヒビターでの処置に感受性であるがんの同定 - Google Patents

Notchシグナル伝達のインヒビターでの処置に感受性であるがんの同定 Download PDF

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Abstract

本開示は、Notch受容体活性化のインヒビターでの処置に感受性のがん組織を同定するための方法を提供する。上記方法は、がん組織に由来するサンプル中のHeyL遺伝子発現のレベルを決定する工程を包含し、ここで上記サンプル中のHeyL遺伝子発現のみの上昇したレベルは、上記がん組織がNotch受容体活性化のインヒビターでの処置に感受性であることを示す。Notch受容体活性化を阻害する薬剤での処置に対して感受性であるがん組織としては、乳房腫瘍、肺腫瘍、腎臓腫瘍、結腸直腸腫瘍、および膵臓腫瘍のような固形腫瘍が挙げられる。Notch受容体活性化を阻害する薬剤での処置に対して感受性のがん組織としてはまた、体液(例えば、血液および骨髄)が挙げられ得る。

Description

(関連出願への相互参照)
この出願は、 2008年7月11日に出願された米国仮特許出願番号第61/080,122号および2009年1月27日に出願された米国出願番号第12/360,790号への優先権およびその利益を主張し、各々の全容は、参照によって本明細書に援用される。
(発明の分野)
本発明の分野は、分子生物学および腫瘍学である。
(発明の背景)
大部分のがん薬物は、ある患者には有効であるが、他の患者には有効ではない。このことは、腫瘍間の遺伝的バリエーションから生じ、同じ患者内の腫瘍間ですら観察され得る。変動し得る患者応答は、標的化治療に関して特に顕著である。従って、標的化治療の完全な可能性は、どの患者がどの薬物から利益を受けるかを決定するための適切な生体マーカーなしでは現実化できない。国立衛生研究所(NIH)は、生体マーカーを以下のように定義する:
インジケーター、または通常の生物学的もしくは病原性プロセス、または治療的介入への薬理学的応答として客観的に測定かつ評価される形質。
生体マーカーの発見に基づく改善された診断の開発は、予め、所定の薬物に対し最も臨床的応答を示すであろう患者を同定することによって、新薬開発を促進する可能性を有する。このことは、臨床試験の規模、期間および費用を顕著に低下させる。ゲノミクス、プロテオミクスおよび分子画像化のような技術は、現在、特定の遺伝子変異、特定の遺伝子の発現レベル、および他の分子的生体マーカーの迅速、高感度かつ信頼性ある検出を可能にしている。腫瘍の分子的特徴付けのための種々の技術の利用可能性にも拘わらず、がん生体マーカーの臨床的利用は、十分には利用されていないままである。なぜなら、がん生体マーカーがほとんど発見されていないからである。例えば、近年の総説記事は、以下のように述べている:
がんの診断および処置を改善するために、生体マーカーおよびその使用の迅速な開発が、非常に必要とされている(非特許文献1)。
がん生体マーカーに対する別の近年の総説記事は、以下の見解を含む:
難題は、がん生体マーカーを発見することである。分子標的化薬剤を使用して、いくつかの腫瘍タイプ(例えば、慢性骨髄性白血病、消化管間質腫瘍、肺がんおよび多形性神経膠芽腫)の分子的に定義されたサブセットを標的化することにおいて臨床的に成功してきたが、このような成功をより広い状況において適用する能力は、患者において標的化薬剤を評価するために効率的なストラテジーがないことによって、厳しく制限されている。問題は、主に、これら刺激的な新薬を評価する臨床試験のために、分子的に定義されたがんを有する患者を選択することができないことにある。その解決法は、特定の薬剤から利益を受ける可能性が最も高い患者を確実に同定する生体マーカーを必要とする(非特許文献2)。
このような見解は、臨床的に有用な生体マーカーおよびそのような生体マーカーに基づく診断法の発見の必要性の認識を示す。
脊椎動物(哺乳動物を含む)は、4つの異なるNotchタンパク質(Notch受容体(Notch1〜Notch4)としても公知)を有する。全4つのNotch受容体は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む1型膜貫通タンパク質である。
上記Notch経路は、細胞間シグナル伝達について高度に保存されたシステムである。これは、全ての後生動物に存在し、通常の成長および発生において複数の役割を果たす。上記Notch経路に関する総説については、例えば、非特許文献3を参照のこと。Notch機能は複雑であり、細胞の状況(一時的な状況、および解剖学的状況)に非常に依存する。Notchシグナル伝達は、多くのがんにおいて調節不全(dysregulate)となっている。Notchシグナル伝達は広い範囲の細胞タイプおよびプロセスに影響を及ぼしているだけでなく、Notchシグナル伝達は、異なる細胞状況において活性化される場合には、反対の効果も生じる。例えば、Notchシグナル伝達は、T細胞の増殖を刺激し、アポトーシスを阻害すると同時に、細胞周期を停止させ、B細胞におけるアポトーシスを誘導する。Notchは、ある細胞状況においては腫瘍遺伝子として機能する一方で、他の細胞状況においては、腫瘍リプレッサーとして機能する。
Cho,Molecular Cancer,2007,6:25 Sawyers,Nature,2008,452:548〜552,548にて Ilaganら,Cell,2007,128:1245〜1246
Notchは、特定のがんの処置における潜在的な治療標的である。しかし、Notch生物学の複雑性は、任意の所定の腫瘍におけるNotch経路阻害の効果を推測不能にする。このことは、Notchシグナル伝達のインヒビターでの処置に応答する腫瘍を同定するための診断法の発見が必要であることを強調する。
(発明の要旨)
本発明は、特定の哺乳動物のがんに由来する組織サンプル中のHeyL遺伝子発現の上昇したレベルがNotch受容体活性化のインヒビターでの処置に対する感受性を示すという発見に一部基づく。
よって、本発明は、Notch受容体活性化を阻害する薬剤での処置に感受性のがん組織を同定するための方法を提供する。上記方法は、(a)上記がん組織に由来するサンプル中のHeyL遺伝子発現のレベルを決定する工程;および(b)HeyL遺伝子発現のレベルを、標準値に対して比較し、それによって、HeyL遺伝子発現のみに基づいて、Notch受容体活性化を阻害する薬剤での処置に感受性のがん組織を同定する工程を包含する。上記サンプル中のHeyL遺伝子発現の上昇は、上記薬剤での処置に対する上記がん組織の感受性を示す。特定の環境下では、工程(b)における同定する工程は、HeyL以外のいかなる遺伝子の発現レベルにも基づかない。本発明のいくつかの実施形態において、HeyL遺伝子発現のレベルの上昇は、適切なコントロールサンプル中のHeyL遺伝子発現のレベルと比較して、少なくとも2倍(例えば、2倍〜4倍、または4倍〜30倍)である。本発明のいくつかの実施形態において、上記HeyL遺伝子発現のレベルは、mRNA検出によって決定される。本発明のいくつかの実施形態において、上記mRNA検出は、マイクロアレイによるものである。本発明のいくつかの実施形態において、上記mRNA検出は、定量的PCRによるものである。本発明のいくつかの実施形態において、上記HeyL遺伝子発現のレベルは、HeyLポリペプチドアッセイによって決定される。
別の実施形態において、本発明は、Notch受容体活性化を阻害する薬剤での処置に感受性のがん組織を同定するための方法を提供する。ここで上記方法は、(a)がん組織からサンプルを得る工程;(b)上記サンプル中のHeyL遺伝子発現のレベルを決定する工程;および(c)上記HeyL遺伝子発現のレベルを、標準値に対して比較し、それによって、HeyL遺伝子発現のみに基づいて、Notch受容体活性化を阻害する薬剤での処置に対して感受性のがん組織を同定する工程を包含する。本明細書に記載される場合、上記サンプル中のHeyL遺伝子発現の上昇は、上記がん組織が上記薬剤での処置に対して感受性であることを示す。
Notch受容体活性化を阻害する薬剤での処置に対して感受性であるがん組織としては、乳房腫瘍、肺腫瘍、腎臓腫瘍、結腸直腸腫瘍、および膵臓腫瘍のような固形腫瘍が挙げられる。Notch受容体活性化を阻害する薬剤での処置に対して感受性のがん組織としてはまた、体液(例えば、血液および骨髄)が挙げられ得る。
図1は、線形回帰トレンド線を示す散布図である。線形回帰分析は、qRT−PCRによって決定される場合のHeyL mRNA発現と、Notch受容体活性化の阻害に対するヒト結腸がん細胞株の応答との間の高度の相関を示す。試験した7種のヒト結腸がん細胞株の中で、R値は、0.8699(p=0.0022)であった。これは、参照に対するHeyL発現のレベル(比率)が大きくなるほど、Notch受容体活性化の阻害に対する上記細胞株の感受性が大きくなることを示す。実線は、線形回帰を示す;破線は、95%信頼区間を示す。参照は、市販のUniversal Human Reference RNA(Stratagene Cat.No.740000)である。 図2は、線形回帰トレンド線を示す散布図である。線形回帰分析は、qRT−PCRによって決定される場合のHeyL mRNA発現と、Notch受容体活性化の阻害に対するヒト膵臓がん細胞株の応答との間の高度の相関を示す。試験した7種のヒト結腸がん細胞株の中で、R値は、0.6123(p=0.0026)であった。これは、HeyL発現のレベルが高くなるほど、Notch受容体活性化の阻害に対する上記細胞株の感受性が大きくなることを示す。実線は、線形回帰を示す;破線は、95%信頼区間を示す。参照は、市販のUniversal Human Reference RNA(Stratagene Cat.No.740000)である。 図3は、マイクロアレイ発現プロフィールである。Notch1が近位Mo−MuLV組み込みによって活性化されかつNotch受容体活性化に依存するマウス腫瘍におけるHeyL発現のマイクロアレイ分析は、Notch受容体活性化に直接影響を与えずかつNotch受容体活性化に依存しない遺伝子を活性化するMo−MuLV組み込みによって駆動されるマウス腫瘍と比較される。これらのような結果は、Notch依存性腫瘍が、Notch受容体活性化に依存しない腫瘍より有意に高いレベルのHeyLを発現することを示す(p=8.5×10−7)。
(発明の詳細な説明)
(生体マーカー)
がん生体マーカーには3種の異なるタイプがある:(1)予後生体マーカー、(2)推定生体マーカー、および(3)薬力学的(PD)生体マーカー。予後生体マーカーは、がん(例えば、固形腫瘍)を、攻撃性(すなわち、増殖および/もしくは転移の速度)、および処置への治療抵抗性(refractiveness)に従って分類するために使用される。これは、ときおり、「良好な結果」の腫瘍の、「悪い結果」の腫瘍からの区別といわれる。推定生体マーカーは、特定の患者が特定の薬物での処置から利益を得る可能性を評価するために使用される。例えば、ERBB2(HER2もしくはNEU)遺伝子が増幅される乳がんを有する患者は、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))での処置から利益を受ける可能性があるのに対して、ERBB2遺伝子増幅がない患者は、トラスツズマブでの処置から利益を受ける見込みはない。PD生体マーカーは、患者が薬物を摂取している間の、上記患者に対する上記薬物の効果の指標である。よって、PD生体マーカーは、しばしば、新薬の臨床開発の初期段階の間に、投与レベルおよび投与頻度をガイドするために使用される。がん生体マーカーの考察については、例えば、Sawyers,2008,Nature 452:548−552を参照のこと。
本明細書で記載される研究は、HeyLが推定生体マーカーでありかつHeyL遺伝子発現の上昇したレベルが、Notchシグナル伝達のインヒビターでの処置に対する腫瘍の感受性を示すことを実証する。上記HeyL遺伝子発現の(適切な標準に対する)レベルは、他の遺伝子発現データの非存在下で、Notchシグナル伝達のインヒビターでの処置に対して応答する可能性に従って腫瘍を分類するための生体マーカーとして使用され得る。腫瘍のこのような分類は、臨床状況においてヒト患者を処置するために有用である。このような分類はまた、実験動物(例えば、遺伝的に操作されたマウスがんモデル)を伴う実験研究のために有用である。
(定義)
本明細書で使用される場合、HeyL遺伝子発現の「上昇したレベル」とは、適切な比較の標準(すなわち、ベースライン値)より有意に高い、RNAレベルもしくはタンパク質レベルで測定されるHeyL遺伝子発現のレベルを意味する。
本明細書で使用される場合、「HeyL遺伝子」とは、(a)配列番号1からなるポリペプチドをコードするヒト遺伝子(アクセッション番号NP_055386);(b)(a)の対立遺伝子改変体;および(c)(a)の哺乳動物オルソログを意味する。
本明細書で使用される場合、「Notchリガンド」とは、JAG1、JAG2、DLL1、DLL3、DLL4、もしくはDNERを意味する。
本明細書で使用される場合、「Notch受容体」とは、Notch1、Notch2、Notch3もしくはNotch4を意味する。
本明細書で使用される場合、「Notch受容体活性化」とは、核へのトランスロケーションのためにNotch細胞質ドメインを放出するNotch受容体の調節された部位特異的タンパク質分解切断を意味する。Notchタンパク質分解切断を調節するタンパク質の例としては、Notchリガンド(JAG1、JAG2、DLL1、DLL3、DLL4、およびDNER)、Adam10、Adam17、プレセニリン、ニカストリン(nicastrin(NCT))、PEN2、APH1およびCrumbsが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「標準値」とは、適切な比較の標準、すなわち、HeyL遺伝子発現の測定されたレベルが比較されて、HeyL遺伝子発現の上記測定されたレベルが上昇したレベルであるか否かが決定されるベースライン値を意味する。
(HeyLおよびNotch)
HeyL(YRPWモチーフ様関連へアリー/スプリットのエンハンサー(hairy/enhancer−of−split related with YRPW motif−like))として公知のヒト遺伝子は、328アミノ酸のポリペプチドをコードし、ベーシックヘリックス−ループ−ヘリックス(bHLH)タイプ転写因子のHESR(へアリーおよびスプリットのエンハンサー関連(hairy and enhancer of split−related))ファミリーに属する。Hey1およびHey2とともに、HeyLは、上記HESRファミリー内のHERP(HES関連リプレッサータンパク質(HES−related repressor protein))サブファミリーに属する。Hey1およびHey2と共通して、上記HeyLタンパク質は、保存されたbHLHドメインおよびOrangeドメインを含む。HeyLは、Notchシグナル伝達の下流エフェクターであり、乳がんにおいて頻繁に過剰発現されるといわれている。HeyLは、細胞周期インヒビターp15を(転写的に)標的化して、p15の影響を低下させ、細胞周期を細胞が進む速度を増大させると言われている。例えば、WO 2007/136856を参照のこと。上記HERPファミリーおよびHESファミリーは、密接に、構造的におよび機能的に関連しているが、HeyLのみが(他のHESファミリー遺伝子、またはHey1もしくはHey2のいずれでもなく)、示されたがんにおけるNotchシグナル伝達の阻害に対する感受性の生体マーカーとして働く。
多くの研究から、がん処置における上記Notch経路の標的化が示唆された。例えば、Mieleら,2006,Current Cancer Drug Targets 6:313−323を参照のこと。これら研究の大部分において、上記Notch経路の種々の下流転写標的(Hes1、Hes5、Hey1、Myc、サイクリンD1、Deltex、NrarpおよびNFkBを含む)の状態が、目的の細胞におけるNotchシグナル伝達のレベルの代理マーカーとして使用されてきた。このような下流標的の上昇した発現は、活性なNotch経路(増大したNotchシグナル伝達)を示すと解釈され、およびこのような標的の低下した発現は、低下したNotchシグナル伝達を示すと解釈された。上記種々の下流標的は、本質的に、所定の組織もしくは細胞株におけるNotch活性(シグナル伝達)のレベルを示すという点で等価である。このことは、刊行物(例えば、Isoら,2002,J.Biol.Chem.277:6598−6607;Dumortierら,2006,Mol.Cell Biol.26:209−220;Fischerら,2007,Nuc.Acids Res.35:4583−4596;およびLeongら,2007,J.Exp.Med.204:2935−2948)によって示されている。
一般に、上記Notch経路が活性である任意の細胞株において、Notch受容体活性化の阻害は、下流の標的遺伝子の発現の低下をもたらす。しかし、重要なことには、本発明者らは、Notch受容体活性化の阻害が、上記経路が活性である全ての細胞株の増殖を阻害しない(もしくは生存率を低下させない)ことを見いだした。例えば、γ−セクレターゼインヒビターによるNotch活性化の阻害は、HT−29結腸がん細胞株およびLS−1034結腸がん細胞株の両方においてNotch標的遺伝子の発現を低下させる。しかし、LS−1034細胞は、Notch活性化に非常に依存的である一方で、HT−29細胞は、Notch活性化の阻害に対して比較的非感受性である。このことは、Notch経路標的遺伝子のパネルの上昇した発現への信頼は、Notch依存性細胞株を同定するために効果的ではないことを示す。特定の生体マーカー(その発現は、Notch受容体活性化インヒビターに応じた細胞の増殖の低下および/もしくは生存率の低下と相関する)を同定することが必要である。
HeyL遺伝子発現は、Notch受容体活性化の阻害に対する細胞の感受性(Notchシグナル伝達に対する依存性)と(正に)相関するのに対して、他の個々のNotch標的遺伝子の発現レベルも、Notch標的遺伝子の組み合わせも、このような感受性と相関しない。代わりに、それらは、上記Notch経路が活性であることを示すに過ぎない。このことは、細胞もしくは組織におけるNotch経路活性もしくはNotchシグナル伝達の証明が、その細胞もしくは組織がNotch受容体活性化のインヒビターでの処置に感受性であることを推定するには不十分であることを意味する。HeyLは、他のNotch標的遺伝子とは異なる。なぜなら、上記HeyLは、Notch経路活性(もしくはその欠如)を示すのみならず、Notch受容体活性化のインヒビターに対する感受性(もしくはその欠如)をも示すからである。
ヒト原発性腫瘍からの発現プロフィールデータの分析から、種々のがんタイプの中でのHeyL遺伝子発現レベルにおけるバリエーションが明らかにされている。さらに、これらデータは、HeyL遺伝子発現の上昇は、Notch経路シグナル伝達に増殖が依存する(および低分子であろうが生物製剤であろうが、Notch受容体活性化を阻害する薬剤によって増殖が阻害される)ヒトがんに印をつけることを示す。HeyL遺伝子発現レベルにおける有意なバリエーションを有するヒトがんとしては、膵臓がん、乳がん(特に、基底様乳がん(basal−like breast cancer))および結腸がんおよび小細胞肺がんが挙げられる。Notch1変異体T−ALLはまた、高いHeyL発現を示す。これらがんは、HeyL遺伝子発現が、Notch受容体活性化の阻害に対する感受性を推定する生体マーカーである状況を示す可能性が高い。神経膠芽腫(GBM)細胞株のような他の状況では、HeyLは、有意なレベルでは発現されず、GBM細胞株の中で、HeyL遺伝子発現レベルにおける有意なバリエーションは存在しない。さらに、Notchアンタゴニスト(例えば、Jag1−Fc)でのGBM細胞株の処置は、Notch依存性ヒトGBM細胞株を同定するが、HeyL発現は、Notchシグナル伝達の阻害に対するGBM細胞株感受性と相関がないことを示す。従って、HeyLは、上記Notch経路の阻害に対する感受性の生体マーカーとして具体的に定義された腫瘍において使用され得る。
本発明の前に、Notchの任意の1つの特定の下流標的の発現レベルが、Notch経路インヒビターに対する特定のがん(例えば、特定の腫瘍)の感受性を推定することを示さなかった。本発明者らは、驚くべきことに、特定のがんにおいて、(a)HeyL遺伝子発現のレベルが、Notch受容体活性化のインヒビターでの処置に対する感受性についての推定生体マーカーであること、および(b)Notchの他の下流標的(例えば、Hey1およびHey2)が、個々でも、グループとしても、Notch受容体活性化のインヒビターでの処置に対する感受性についての推定生体マーカーでないことを発見した。
(Notch受容体活性化のインヒビター)
Notch受容体活性化を阻害する種々の薬剤は、公知である。例えば、TNFα変換酵素の低分子インヒビター(TACEインヒビター)(ADAM10およびADAM17が挙げられる)(Mossら,2008,Curr Pharm Biotechnol.9:2−8)、およびγ−セクレターゼインヒビター(DeStrooperら,1999,Nature 398:518−522)は、上記Notch受容体のタンパク質分解切断を阻害することによって、Notch受容体活性化を阻害する。Notchリガンドを隔離する(sequester)可溶性受容体のおとり(decoy)は、Notch受容体活性化を阻害するために使用され得る(Funahashiら,2008,Cancer Res.68:4727−4735)。また、Notch受容体へのリガンド結合を阻害する可溶性リガンド(Noguera−Troiseら,2006,Nature 444:1032−1037)が使用され得る。Notchリガンドに結合する抗体(Ridgwayら,2006,Nature 444:1083−1087;Noguera−Troiseら,前出)もしくはNotch受容体に結合する抗体(Liら,2008,J.Biol.Chem IEP January 8,2008)は、Notch受容体活性化を阻害するために使用され得る。さらに、上記γ−セクレターゼ複合体の成分(例えば、ニカストリン)に結合する抗体が使用され得る。
(組織サンプルの提供)
本発明の方法は、哺乳動物(例えば、実験マウスもしくはヒト患者)における癌性組織からサンプルを提供し、その結果、HeyL遺伝子発現のレベルが、上記サンプル中で決定され得ることを包含する。上記サンプルの形態および上記サンプルを得るための方法は、関与する癌性組織のタイプに依存する。
例えば、上記癌性組織が血液である場合、急性リンパ芽球性白血病と同様に、上記サンプルは、骨髄サンプルであり得、上記骨髄サンプルは、従来の骨髄生検機器および手順を使用して得られ得る。あるいは、上記サンプルは、血液自体のサンプルであり得、上記血液は、従来の瀉血機器および手順を使用して得られ得る。必要に応じて、全血球、もしくは特定のタイプの血球(例えば、白血球)は、HeyL遺伝子発現の決定のために単離され得る。
上記癌性組織が固形腫瘍(例えば、癌腫、肉腫、神経膠腫もしくはリンパ腫)である場合、上記サンプルは、腫瘍サンプルであり、上記腫瘍サンプルは、従来の腫瘍生検機器および手順を使用することによって得られ得る。内視鏡生検、切除生検、切開生検、細針生検、パンチ生検、薄片生検および皮膚生検は、本発明の方法を実施することにおいて使用するための腫瘍サンプルを得るために、当業者によって使用され得る認められた医療手順の例である。
(HeyL遺伝子発現のレベルの決定)
本発明を実施するにあたって、上記HeyL遺伝子発現のレベルの決定は、任意の適切な方法(例えば、mRNAベースの方法もしくはタンパク質ベースの方法)によって行われ得る。目的の遺伝子の発現レベルを決定するための種々の方法は、当該分野で公知である。このような方法は、一般に、上記HeyL遺伝子発現のレベルを決定することにおいて適用され得る。本発明の目的のために、HeyL遺伝子発現は、mRNAレベルにおいて、もしくはポリペプチドレベルにおいて決定され得る。
上記HeyL遺伝子発現の相対レベルを評価するために、がん組織サンプル中の上記HeyL遺伝子発現のレベルは、種々の比較のうちの1つ以上に供され得る。一般に、(a)がんが発生した器官に由来する正常組織中のHeyL遺伝子発現レベル;(b)同種のがん組織サンプルの収集物におけるHeyL遺伝子発現レベル;(c)正常組織サンプルの収集物におけるHeyL遺伝子発現;または(d)任意の標準中のHeyL遺伝子発現レベルと比較され得る。
例えば、自発性マウス乳房腫瘍におけるHeyL遺伝子発現の上昇したレベルは、自発性マウス乳房腫瘍の参照収集物におけるHeyL遺伝子発現の平均レベルより有意に高いレベルであり得る。ここでHeyL遺伝子発現のレベルを、同じ方法(例えば、定量的PCR)によって測定した。第2の例において、ヒト基底様乳がん組織サンプル中のHeyL発現の上昇したレベルは、ヒト基底様乳がん組織サンプルの参照収集物中のHeyL遺伝子発現の平均レベルより有意に高いレベルであり得る。ここでHeyL遺伝子発現のレベルを、同じ方法(例えば、免疫組織化学)によって測定した。
上記比較は、間接比較および直接比較であり得る。よって、組織サンプル中の上記HeyL発現のレベルは、同じタイプの組織サンプルが比較される代わりに、任意の標準(例えば、特定の培養細胞株における上記HeyL発現のレベル)と比較して表され得る。本発明のいくつかの実施形態において、HeyL遺伝子発現の上昇したレベルは、任意の標準(例えば、10個のヒトがん細胞株から全RNAのプール)中のHeyL遺伝子発現レベルより少なくとも2倍高い。上記標準は、Universal Human Reference RNA(Stratagene Cat.No.740000)として市販されている。
(HeyL mRNA測定)
mRNAレベルとしてHeyL遺伝子発現のレベルを決定するための方法の例としては、従来のマイクロアレイ分析および定量的ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)が挙げられる。RNAは、標準的プロトコルを使用して、目的の細胞、腫瘍もしくは組織から抽出され得る。
(マイクロアレイ)
複数遺伝子についてのmRNAのレベルは、従来のマイクロアレイ発現プロフィール分析を使用して決定され得る。機器、マイクロアレイチップ、試薬およびプロトコルは、当該分野で公知であり、商業的供給源から入手可能である。目的のサンプルから単離されるRNAは、製造業者のプロトコル(例えば、AgilentもしくはAffymetrix)を使用して単離され得、任意の特定のマイクロアレイプラットフォームに必要な標識物質に変換され得る。マイクロアレイハイブリダイゼーションは、上記マイクロアレイ上のプローブによって表される、全ての遺伝子の発現の相対的なレベルを決定するために定量化され得る。比較は、単一のサンプル内の異なる遺伝子間で、または複数サンプル(コントロールサンプルを含む)の間での同じ遺伝子間で、行われ得る。
(定量的PCR)
特定の遺伝子(HeyLを含む)についてのmRNAのレベルは、従来の定量的RT−PCR技術を使用して測定され得る。定量的PCRのための組織サンプルの処理に関するガイダンスは、種々の情報源から入手可能である。例えば、www.Qiagen.com;またはwww.ambion.comを参照のこと。定量的PCRが本発明を実施するにあたって使用される場合、目的の遺伝子(例えば、ヒトHeyL)に対して特異的なプライマーは、上記遺伝子のcDNA配列に基づく。商業的技術(例えば、SYBR greenもしくはTaqManTM)は、業者の説明書に従って使用され得る。メッセンジャーRNAレベルは、ハウスキーピング遺伝子(例えば、B−アクチンもしくはGAPDH)のレベルを比較することによって、サンプル間でのローディングの差異について正規化され得る。上記mRNA発現のレベルは、任意の単一のコントロールサンプル(例えば、正常もしくは非腫瘍の組織もしくは細胞に由来するmRNA)と比較して、表わされ得る。あるいは、上記mRNA発現のレベルは、腫瘍サンプルもしくは腫瘍細胞株のプールに由来するか、またはコントロールmRNAの市販のセット(例えば、Stratageneから市販される参照RNA)に由来するmRNAと比較して、表わされ得る。
適切なPCRプライマーの設計および使用は、当該分野で公知である。増幅(PCR)プライマーとしての使用については、約17〜25ヌクレオチド長が好ましい。プライマーは、融解温度(Tm)予測のための従来のアルゴリズムを使用して、特定のTmを有するように設計され得る。プライマー設計およびTm予測のためのソフトウェアは、商業的にもしくはインターネット上で入手可能である(例えば、Primer Express(Applied Biosystems)、およびPrimer3(Massachusetts Institute of Technology))。
(HeyLタンパク質測定)
タンパク質レベルにおいてHeyL遺伝子発現のレベルを決定するための方法の例としては、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)および免疫組織化学(IHC)が挙げられる。
(ELISA)
HeyL ELISAを行うには、少なくとも1種の抗HeyL抗体(すなわち、検出抗体)が必要である。分析されるべきサンプルからのHeyLタンパク質は、ポリスチレンマイクロタイタープレートのような固体支持体上に固定される。この固定は、上記HeyLの非特異的結合によって、すなわち、表面への吸着を介して、であり得る。あるいは、固定化は、特異的結合によって(すなわち、「サンドイッチ」ELISAにおいて捕捉抗体(検出抗体とは異なる抗HeyL抗体)によって上記サンプルからのHeyLタンパク質の結合を介して)、であり得る。上記HeyLが固定化された後に、上記検出抗体が添加され、上記検出抗体は、結合したHeyLと複合体を形成する。上記検出抗体は、直接的もしくは間接的のいずれかで、例えば、上記検出抗体を特異的に認識する2次抗体を介して酵素に連結される。代表的には、各工程の間に、結合したHeyLを有する上記プレートは、マイルドな界面活性剤溶液で洗浄される。代表的なELISAプロトコルはまた、1回以上のブロッキング工程を包含し、上記工程は、上記プレートへのタンパク質試薬の所望されない非特異的結合をブロックするために、非特異的結合タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)の使用を伴う。最終洗浄工程の後に、上記プレートは、適切な酵素基質の添加によって発色(develop)させられ、目に見えるシグナルを生じ、上記シグナルは、上記サンプル中のHeyLの量を示す。上記基質は、例えば、色素生成基質もしくは蛍光生成基質であり得る。ELISA法、試薬および装置は、当該分野で周知であり、市販されている。
(免疫組織化学(IHC))
IHCによるHeyLのアッセイは、少なくとも1種の抗HeyL抗体を必要とする。標準的なアプローチを使用して、上記抗HeyL抗体は、腫瘍から得られた切片(パラフィン包埋切片および凍結腫瘍切片を含む)においてHeyLタンパク質の存在を検出するために使用され得る。代表的には、上記腫瘍切片は、上記腫瘍物質を収集かつ保護する最初のプロセスにおいて固定された、タンパク質の抗原性構造を回復させるような方法で最初に処理される。次いで、スライドはブロッキングされて、上記抗HeyL検出抗体による非特異的結合が妨げられる。次いで、HeyLタンパク質の存在は、上記HeyLタンパク質への上記抗HeyL抗体の結合によって検出される。上記検出抗体は、直接的もしくは間接的のいずれかで、例えば、上記検出抗体を特異的に認識する2次抗体を介して、酵素に連結される。代表的には、上記腫瘍切片は、各工程の間に洗浄され、非特異的タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)でブロッキングされる。上記スライドは、適切な酵素基質を使用して発色させられて、目に見えるシグナルが生じ、次いで、上記サンプルは、ヘマトキシリンで対比染色される。
(信頼度)
上昇したHeyL発現は、Notchアンタゴニストに対する感受性の定性的な生体マーカーであるだけではない。本発明はまた、定量的生体マーカーとしてのHeyL発現レベルの使用を提供する。HeyL遺伝子発現のレベルが高くなるほど:(a)感受性を推定し得る信頼性が高くなり、かつ(b)Notchアンタゴニストに対する感受性の程度が高くなる。
HeyL発現レベルがNotch経路インヒビターに対する感受性を推定するために使用され得ることの信頼性の程度は、多くのアプローチを使用して決定され得る。一例において、HeyL発現レベルと、Notchアンタゴニストに対するヒトがん細胞の感受性との間の相関の程度は、2変数を比較するために、線形回帰分析を使用して決定され得る。例えば、ヒト結腸がん細胞株において、HeyL発現レベルと、Notchアンタゴニストに対する感受性との間には、非常に強い相関が認められる(R=0.87、p=0.0022)。同様に、ヒト膵臓がん細胞株において、HeyL発現レベルと、Notchアンタゴニストに対する感受性との間には、非常に強い相関計が認められる(R=0.61、p=0.0026)。これらデータは、HeyLが発現されるレベルが高くなるほど、Notchアンタゴニストに対する感受性が高くなることを示す。第2の例において、サンプルは、3群に分類され得る−HeyLの高発現(参照を少なくとも2倍上回る)、中レベルのHeyL発現(参照の2倍未満であるが、参照の0.5倍より高い)もしくは低HeyL発現(参照の0.5倍未満)。この場合、HeyL発現のレベルとNotchアンタゴニストに対する感受性の程度との間の相関は、評価者内一致(inter−rater agreement)の統計的尺度であるCohen’s kappaを使用して計算され得る。23個のヒト膵臓がん細胞株、結腸がん細胞株、乳房がん細胞株、SCLCがん細胞株およびT−ALLがん細胞株の、高レベル、中レベルおよび低レベルのHeyL発現への分類は、非常に高い信頼性(Cohen’s kappa=0.877)で、それぞれ、高程度、中程度および低い程度のNotchアンタゴニストに対する感受性を示す細胞株を推定する。
(実施例)
本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。実施例は、例示目的でのみ提供されるのであって、本発明の範囲もしくは趣旨を限定するとは少しも解釈されない。
(実施例1:Jag1−Fcインヒビター)
可溶性形態のNotchリガンド細胞外ドメイン(ECD)は、Notch受容体への通常のNotchリガンドの結合を妨害し、それによって、Notchシグナル伝達のアンタゴニストとして作用することが、以前に示された。従って、上記NotchリガンドJag1の可溶性形態を、以下に記載される実験における使用のために構築した。これを、PCRを使用して、ヒトJagged1の細胞外ドメインを増幅し、これをヒトIgG1に由来するFcドメインに結合することによって行った。上記構築物を、pEE14.4ベクター(Lonza)へとクローニングし、CHOK1SV細胞へとトランスフェクトし、安定な発現クローンを作製するために選択した。Jag1−Fcタンパク質を、上記細胞上清から精製し、定量し、使用時まで−80℃で凍結した。
(実施例2:可溶性Jag1−Fcインヒビターを用いた増殖アッセイ)
可溶性Jag1−Fcインヒビターを用いた増殖アッセイを、以下の細胞株について行った:HPAC、Panc10.05、PL45、PANC−1、CAPAN−1、CAPAN−2、AsPC−1、HPAF II、SW1990、BxPC−3、MiaPaCa−2、Hs766T(膵臓がん細胞株);HCT−116、LS−1034、SW−480、DLD1、HCT−15、HT−29、COLO−205(結腸がん細胞株);DU4475、MCF12A(乳がん細胞株);Karpas45(T−ALL細胞株);およびNCI−H187(肺がん細胞株)。
以下のプロトコルを、全ての細胞株に対して使用した。Notch依存性ヒトがん細胞株を同定するために、本発明者らは、上記ヒトIgG1 Fc領域に融合した上記JAG1の可溶性細胞外ドメイン(ECD)を使用した。ヒトがん細胞株の増殖および生存性を、Jag1−Fcの非存在下および存在下で試験して、ヒトがん細胞株の増殖および生存率に対するNotchシグナル伝達の阻害の影響を決定した。
増殖アッセイのために、全てのヒトがん細胞株を、最終濃度2%のウシ胎仔血清(FBS)を有する適切な培地中で培養した。各細胞株についての最適な播種密度を、上記アッセイが終わる前に細胞密集度が70〜80%より大きくならないように決定した。細胞を、三連において、適切な細胞密度で96ウェルプレートに蒔き、その後、Jag1−Fc(無血清培地中で希釈)を添加して、最終濃度100μg/mL、50μg/mL、もしくは25μg/mLの上記可溶性リガンドを与えた。精製GP120抗体、マウスIgGおよび無血清培地を、ネガティブコントロールとして使用した。細胞を48時間にわたって増殖させ、次いで、MTT(チアゾリルブルーテトラゾリウムブロマイド)アッセイもしくはBrdUアッセイ(Roche)によってアッセイした。
MTTアッセイのために、MTTを、PBS中に(5mg/mlにおいて)再懸濁し、0.2μmフィルタを通して濾過した。48時間の処理後に10μlのMTTを細胞(最終容積100μlにおいて可溶性リガンドもしくはコントロールで処理した)に添加し、4時間インキュベートし、次いで、90μlの0.01N HCl/10% SDSの添加によって停止させた。MTTをまた、播種の際に少数のウェルに添加して、出発細胞数を決定した。37℃において一晩インキュベーションした後、プレートを、[A570〜A690]にて、Molecular Devices−Spectromax m2で読み取った。BrdUアッセイのために、細胞を、48時間にわたって増殖させ、次いで、細胞を固定して製造業者のプロトコルに従って処理する前に、5時間もしくは24時間のいずれかにわたってBrdUで標識した。Jag1−FcによるNotchシグナル伝達の阻害に対する各細胞株の%応答を、上記アッセイ(MTTアッセイ)の開始時に播種した細胞数に対して比較するか、またはバックグラウンドシグナル(BrDUアッセイ)に対して比較することによって、定量した。
並行して、同じセットの細胞株を、上記Notch経路の任意のインヒビターを存在させないで標準的な培養条件下で増殖させながら、RNAを上記細胞株から収集した。がん細胞株を、10% FBS+1% Pen/Strepを補充した適切な培養培地中で培養し、約70%の密集度になったら、トリプシン処理によって採取した。RNAを、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用することによって得、Quantitect SYBR Green RT−PCRキット(Qiagen)を用いる使用のために、10ng/μlへと希釈した。他のヒトがん細胞株に対して発現レベルを比較するために、10ng/μl Universal Human Reference RNA(Stratagene)をまた、各標的遺伝子に対するプライマーを使用して増幅させた。β−アクチン遺伝子の増幅も行って、細胞株にわたって発現の正規化を可能にした。以下のNotch経路遺伝子のヒトがん細胞株間の発現の相対的レベルを、qRT−PCRによって決定した:Notch1、Notch2、Notch3、Notch4、Jag1、Jag2、DLL1、DLL3、DLL4、Hes1、Hes5、Hes6、Hes7、Hey1、Hey2、HeyL、およびHelt。
Notch経路遺伝子発現と、上記ヒトがん細胞株の増殖に対するJag1−Fcの影響との比較は、HeyLの発現と、Jag1−Fc阻害に対する感受性との間に、高い程度の相関があったことを示した。Cohen’s kappa値0.877を、この相関について計算した。このことは、HeyLレベルが、Jag1−Fcに対する応答と相関しているということの非常に高い程度の信頼性を示している。さらに、線形回帰分析は、ヒト結腸がん細胞株(R=0.87、p=0.0022)(図1)および膵臓がん細胞株(R=0.61、p=0.0026)(図2)について、HeyL発現と、Notch経路の阻害に対する感受性との間の高い程度の相関があることを示す。
他の試験した遺伝子のいずれについても、発現レベルと、Notchシグナル伝達の阻害に対する応答との間に、相関を観察しなかった。このことは、上昇したHeyL遺伝子発現が、Notch経路シグナル伝達の阻害に対する感受性の特異的生体マーカーであることを示した。
上昇したHeyL遺伝子発現と、Notch受容体活性化の阻害に対する感受性との相関を、結腸がん細胞および膵臓がん細胞に加えて、他の細胞株に関しても観察した。例えば、上昇したHeyL遺伝子発現と、Notch受容体活性化の阻害に対する感受性との間の有意な正の相関を、ヒト乳がん細胞において観察した。DU4475細胞は、Notch受容体活性化の阻害に対して非常に感受性であり、51個の試験したヒト乳がん細胞株の中で最高レベルのHeyLを発現する。対照的に、MCF12A細胞は、Notchに依存性でなく、同じセットの試験した51個のヒト乳がん細胞株の中で最低レベルのHeyLを発現する。ヒトT−ALL細胞(Karpas 45)および肺がん細胞(NCI−H187)は、上昇したレベルのHeyL遺伝子発現を示し、また、Notch受容体活性化の阻害に対して感受性であった。
9個の神経膠芽腫細胞株の中で、Notch受容体活性化の阻害に対する感受性と、HeyL発現との間に、相関を観察しなかった。このことは、HeyL発現レベルがこの特定の腫瘍タイプにおいてNotch受容体活性化の阻害に対する感受性の生体マーカーではないことを示唆する。
(実施例3:γ−セクレターゼインヒビターでの細胞の処理)
細胞を、2mLの培地中で、6ウェルプレートに播種した。細胞の複製ウェルを、播種の直後に、1μM、3μM、および6μMのγセクレターゼインヒビター(GSI;Sigma L−685,458)、もしくはDMSO(Sigma D2650)(ビヒクルコントロール)で処理した。細胞を、処理後、37℃、5% COにおいて20時間にわたってインキュベートし、次いで、収集し、PBS(Invitrogen 14040−133)ですすぎ、細胞ペレットを、ドライアイスで凍結させ、−80℃において貯蔵した。その後、RNAを、Qiagen RNeasyTM miniprepカラム(Qiagen GR8RNA)を使用して手動で調製し、qRT−PCRを、標準的プロトコル(Qiagen Quantitect SYBR GREEN RT−PCR kit 204245)に従って、Notch標的遺伝子発現を分析するために行った。定量的RT−PCRを、Applied Biosystems 7900HT Sequence Detection Systemで行った。結果を、比較Ct法を使用して分析した。βアクチンを、ハウスキーピング遺伝子として使用し、Stratagene Universal Human Reference RNA(Stratagene Cat.No.740000)を、外部参照サンプルとして使用して、Notch標的遺伝子Hes1、Hes5、Hes6、Hes7、Hey1、Hey2、HeyL、およびHeltの発現のレベルを決定した。
細胞増殖および生存率を測定するために、HT29細胞およびLS1034細胞を0.25% トリプシン(GIBCO Cat.No.25200)で採取し、10% FBS(GIBCO Cat.No.10438)および1% pen/strepを含むRPMI培地(GIBCO Cat.No.11875)中に再懸濁し、次いで、数を数えた。細胞を遠心分離し、無血清RPMIで洗浄し、次いで、4% FBSおよび1% pen/strepを含むRPMI培地中で1.2×10細胞/mLに再懸濁した。HT29細胞およびLS1034細胞の両方を、96ウェルプレート(Costar Cat.No.3595)において、6K/ウェル(50μL/細胞懸濁物のウェル)で最終的に播種した。ビヒクルコントロールもしくはNotch受容体活性化のインヒビターいずれか50μlを、三連で上記細胞に添加し、その結果、各ウェル中のFBSの最終濃度は、2%であった。これら実験において、Jag1−Fcもしくはγ−セクレターゼインヒビター(GSI;Sigma L−685,458)を、Notch受容体活性化のインヒビターとして使用した。
DMSO(GSIのビヒクルコントロール)を、以下のように調製した:1.0%、0.5%、0.25%および0.1%のDMSOを、無血清RPMI中の2×溶液として調製した。無処理細胞に、無血清RPMIを与えた。GSI希釈物を、DMSO中の1mMストックから、以下のように調製した:1.0μM、2.5μM、5μM、および10μM GSI希釈物を、無血清RPMI中の2×溶液として調製した。RPMI培地(100μL/ウェル)を、上記96ウェルプレート上のウェルの列外(outside row)に添加して、試験ウェルの蒸発を妨いだ。Jag1−Fcでの処理および細胞増殖を測定するための全てのMTTアッセイを、上記のように行った。
これら分析は、上記Notch経路の阻害が、LS−1034細胞の完全な増殖阻害および細胞死を生じさせた(>100%増殖阻害)が、HT−29細胞の増殖に対しては中程度の効果のみを有した(<17%増殖阻害)ことを示した。
さらにNotch依存性であるヒトがん細胞株を、免疫無防備状態のマウスにおいて異種移植片としてインビボで増殖させた場合に、HeyLの上昇したレベルが示されることを実証した。例えば、T−ALL細胞株であるKarpas45(これは、Notchシグナル伝達の阻害に対して非常に感受性であり、培養物において上昇したレベルのHeyLを発現する)はまた、インビボで正常組織と比較して、腫瘍において上昇したレベルのHeyLを発現することを(Karpas45異種移植片腫瘍の切片の免疫組織化学染色によって)示した。
目的の腫瘍を、10%緩衝化ホルマリン中で固定し、パラフィン中に包埋した。4μM厚切片を、ミクロトームを使用してスライスした。2×5分間インキュベーションを使用して、キシレン中で脱パラフィン(de−paraffinize)する前に、スライドを、55℃において10分間加温した。漸減エタノール濃度(100%、95%、70%)中で切片を水和し、工程ごとに、2×2分間で洗浄した。内因性ペルオキシダーゼを、30分間にわたって0.3% H中でインキュベートすることによって抑制(quench)した。スライドを、マイクロ波オーブン(中出力レベル)において、クエン酸緩衝液(pH6.0)中で3×5分間で加熱し、次いで、20分間にわたって10%ヤギ血清中でブロックした。免疫染色のために、一次抗体およびアイソタイプコントロール抗体(ウサギIgG、Epitomics)を、1% FBS中4μg/mLで作製し、30〜45分間にわたってインキュベートした。2次抗体(ヤギα−ウサギビオチン化,Vector Labs)を1% FBS中で、1:200で希釈し、30〜45分間にわたってインキュベートした。Vectastain Standard ABCキット(Vector Labs)を、製造業者の説明書に従って使用した。スライドを、DAB酵素基質とともに5分間にわたってインキュベートし(Vector Labs)、DAB増強溶液とともに2分間にわたってインキュベートした(Zymed)。サンプルを、Mayersヘマトキシリンで1分間対比染色し、次いで、濃度漸増のエタノール(70%、95%、100%)中での2×2分間のインキュベーション、およびその後の、キシレンでの2×5分間のインキュベーションで脱水し、その後、カバースリップで密封した。
抗ヒトマウスモノクローナル抗体(Abcam Cat.No.ab61277)を使用する場合に、Vector M.O.M.(マウス−オン−マウス(mouse−on−mouse))キット(Vector Labs)を使用して、マウス異種移植片モデルとして増殖させた腫瘍について宿主組織の非特異的染色を低下/排除した。腫瘍を切片化し、上記のように脱パラフィンし、次いで、M.O.MマウスIgGブロッキング試薬とともに60分間にわたってインキュベートした。免疫染色については、一次抗体およびアイソタイプコントロール(マウスIgG,Sigma)を、M.O.M.希釈物中、10μg/mLで作製し、30分間にわたってインキュベートした。2次抗体(抗マウスビオチン化,M.O.M.キット,Vector Labs)を、M.O.M.希釈物中で作製し、30分間にわたってインキュベートした。検出、対比染色、および脱水を、上記のように行った。
HeyL遺伝子発現が、Notch1遺伝子座近くへのMo−MuLVの染色体組み込みによって引き起こされるNotch1の増強された発現に応じて自発的に発生するマウス腫瘍において上昇することを見出した。このような腫瘍の増殖は、GSI(γセクレターゼインヒビター(Sigma L−685,458))による阻害に対する感受性によって示されるように、Notch依存性であった。上昇したNotch1発現を示さず、GSIに対して感受性ではなかったマウス腫瘍は、有意に低いレベルのHeyL遺伝子発現を示した。一般に、Notch受容体をコードする遺伝子付近へのMo−MuLV組み込みを示し、上記Notch受容体の上昇した発現がqRT−PCRもしくはマイクロアレイ発現分析によって確認された腫瘍はまた、(1)Notch受容体発現のレトロウイルス誘導性アップレギュレーションが存在しない、Notch遺伝子座とは異なる部位におけるMo−MuLV組み込みから生じる腫瘍;および(2)MMTVプロモーターによって駆動される外因性Her2腫瘍遺伝子を過剰発現するInk4aヌルマウスにおける自発的乳房腫瘍、に対する比較において、上昇したHeyL遺伝子発現を示した。両側スチューデントT検定は、Notch経路活性化によって駆動されない腫瘍に対する比較によって、Notch依存性腫瘍におけるHeyL遺伝子発現の非常に有意な上昇を示した(p<1×10−6)。Notch受容体発現のレトロウイルスアップレギュレーションに起因するNotch依存性と、上昇したレベルのHeyLとの間のこの相関は、Notch経路依存の生体マーカーとしてのHeyL遺伝子発現の役割をさらに実証した。
上記レトロウイルス誘導性腫瘍における分析を行うために、腫瘍保有動物を安楽死させ、腫瘍を収集し、RPMI培地中の4mg/ml コラゲナーゼを使用して、37℃で2時間にわたって0.2gの小片を脱凝集させた。細胞を、18Gニードルに5〜10回通すことによってさらに脱凝集させた。懸濁物中の単一細胞を、さらなる分析のために上清中に吸引した。
細胞生存率アッセイのために、単一細胞を、10% FBS、1% PenStrep、および0.01μM β−エストラジオールを補充したRPMI培地中、12ウェルプレートにおいて100,000細胞/ウェルで再度播種した。次いで、細胞を、1μM、3μMもしくは10μMのGSI(Sigma L−685,458)またはビヒクルコントロールで48時間にわたって処理した。細胞生存率およびアポトーシスを、Guava PCA−96 Viacount Flex試薬(Cat.No.4700−0060)を使用してアッセイし、製造業者のプロトコルに従って、Guava PCA−96機器を使用して測定した。mRNA発現レベルを測定するために、新鮮な腫瘍サンプルを収集し、RNAを、標準的なプロトコルを用いて調製し、マイクロアレイ遺伝子発現プロフィール分析を、製造業者の推奨プロトコルに従って、Agilent cDNAマイクロアレイチップを使用して行った。HeyLおよび他の遺伝子の相対的発現を、Stratageneのユニバーサルマウス参照RNAサンプル(Universal Mouse Reference RNA Cat.No.740100)に対する比較によって計算した。腫瘍を、HeyL発現の相対的レベルに従ってランク付けし、スチューデントT検定を使用して、上記Notch経路のレトロウイルス活性化を欠いている腫瘍に対して比較することによって、Notch受容体をコードする遺伝子付近にMo−MuLV組み込みを示し、かつ上記Notch受容体の上昇した発現がqRT−PCRもしくはマイクロアレイ発現分析によって確認される腫瘍における、HeyL発現の差異の有意性を決定した。
(参照による援用)
本明細書で言及される特許文書および科学論文の各々の開示全体は、全ての目的で、参照によって援用される。
(等価物)
本発明は、その趣旨もしくはその本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。従って、前述の実施形態は、全ての観点において、本明細書に記載される発明に対する限定ではなく、例示として解釈されるべきである。従って、本発明の範囲は、前述の説明によるのではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と等価の意味および範囲内にある全ての変更は、特許請求の範囲に包含されることが意図される。

Claims (9)

  1. Notch受容体活性化を阻害する薬剤での処置に感受性のヒトもしくはマウスのがん組織を同定するための方法であって、該方法は、
    (a)該がん組織に由来するサンプル中のHeyL遺伝子発現のレベルを測定する工程;および
    (b)該HeyL遺伝子発現のレベルを、標準値に対して比較し、それによって、HeyL遺伝子発現のみに基づいて、Notch受容体活性化を阻害する薬剤での処置に対して感受性のがん組織を同定する工程であって、ここで該サンプル中のHeyL遺伝子発現の上昇したレベルは、該がん組織が該薬剤での処置に感受性であることを示す、工程、
    を包含する、方法。
  2. 前記がん組織が、固形腫瘍である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記腫瘍が、乳房腫瘍、肺腫瘍、腎臓腫瘍、結腸直腸腫瘍、および膵臓腫瘍からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記がん組織が、血液および骨髄からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記HeyL遺伝子発現の上昇したレベルが、適切なコントロールサンプル中のHeyL遺伝子発現のレベルと比較して、少なくとも2倍である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記HeyL遺伝子発現のレベルが、mRNAを検出することによって測定される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記mRNA検出が、マイクロアレイによるものである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記mRNA検出が、定量的PCRによるものである、請求項6に記載の方法。
  9. 前記HeyL遺伝子発現のレベルが、HeyLポリペプチド検出によって測定される、請求項5に記載の方法。
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