図1は、パルス酸素濃度計システム10のある実施形態の斜視図である。
システム10は、センサ12と、パルス酸素濃度計モニタ14と、を含んでもよい。センサ12は、患者の組織内へと2つ以上の波長における光を放出するためのエミッタ16を含んでもよい。また、検出器18が、組織を通過後、本来、患者の組織から発せられるエミッタ16からの光を検出するためのセンサ12内に提供されてもよい。
別の実施形態によると、後述されるように、システム10は、単一センサ12の代わりに、センサアレイを形成する複数のセンサを含んでもよい。センサアレイのセンサはそれぞれ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサであってもよい。代替として、アレイの各センサは、電荷結合素子(CCD)センサであってもよい。別の実施形態では、センサアレイは、CMOSとCCDセンサとの組み合わせから形成されてもよい。CCDセンサは、データを送受信するための光活性領域と、透過性領域とを含み得る一方、CMOSセンサは、画素センサのアレイを有する集積回路から形成されてもよい。各画素は、光検出器と活性増幅器とを有してもよい。
ある実施形態によると、エミッタ16および検出器18は、指先またはつま先等の指の両側にあってもよく、その場合、組織から発せられる光は、指を完全に通過する。ある実施形態では、エミッタ16および検出器18は、エミッタ16からの光が、組織を貫通し、患者の額からパルス酸素濃度計データを獲得するように設計されたセンサ等の検出器18内へと組織によって反射されるように配列されてもよい。
ある実施形態では、センサまたはセンサアレイは、図示されるように、モニタ14に接続され、そこからその電力を得てもよい。別の実施形態では、センサは、モニタ14に無線で接続され、その専用バッテリまたは類似電源供給装置(図示せず)を含んでもよい。モニタ14は、光放出および検出に関連するセンサ12から受信したデータに少なくとも部分的に基づいて、生理学的パラメータを計算するように構成されてもよい。ある代替実施形態では、計算はモニタリングデバイス本体上で行われてもよく、酸素濃度計示度値の結果が、モニタ14に転送されてもよい。さらに、モニタ14は、生理学的パラメータまたはシステムに関する他の情報を表示するように構成される、ディスプレイ20を含んでもよい。示される実施形態では、モニタ14はまた、例えば、患者の生理学的パラメータが規定の正常範囲内にない場合、可聴アラームを鳴らすか、種々の他の実施形態において使用され得る可聴音を提供するように、スピーカ22を含んでもよい。
ある実施形態では、センサ12またはセンサアレイは、ケーブル24を介して、モニタ14に無線で連結されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、無線伝達デバイス(図示せず)等が、ケーブル24の代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。
例示される実施形態では、パルス酸素濃度計システム10はまた、マルチパラメータ患者モニタ26を含んでもよい。モニタは、陰極線管型、液晶ディスプレイ(LCD)またはプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(図示されるように)、あるいは現在既知または今後開発される任意の他の種類のモニタであってもよい。マルチパラメータ患者モニタ26は、生理学的パラメータを計算し、モニタ14および他の医療モニタリングデバイスまたはシステム(図示せず)からの情報をディスプレイ28に提供するように構成されてもよい。例えば、マルチパラメータ患者モニタ26は、パルス酸素濃度計モニタ14(「SpO2」測定値と称される)によって生成される患者の血液酸素飽和度の予測値、モニタ14からの脈拍数情報、および血圧モニタ(図示せず)からの血圧をディスプレイ28上に表示するように構成されてもよい。
モニタ14は、それぞれ、センサ入力ポートあるいはデジタル通信ポートに結合されるケーブル32または34を介して、マルチパラメータ患者モニタ26に通信可能に結合されてもよく、および/または無線で通信してもよい(図示せず)。加えて、モニタ14および/またはマルチパラメータ患者モニタ26は、サーバまたは他のワークステーション(図示せず)と情報を共有可能にネットワークに結合されてもよい。モニタ14は、バッテリ(図示せず)または壁コンセント等の従来の電源によって電力供給されてもよい。
図2は、ある実施形態による、患者40に結合され得る、図1のパルス酸素濃度計システム10等のパルス酸素濃度計システムのブロック図である。センサ12およびモニタ14のある例示的構成要素が図2に例示される。センサ12は、エミッタ16と、検出器18と、エンコーダ42とを含んでもよい。示される実施形態では、エミッタ16は、患者の組織40内へと少なくとも2つの光の波長(例えば、REDおよびIR)を放出するように構成されてもよい。故に、エミッタ16は、患者の生理学的パラメータを計算するために使用される波長において、患者の組織40内へと光を放出するために、RED発光ダイオード(LED)44等のRED発光光源と、IR LED46等のIR発光光源と、を含んでもよい。一実施形態では、RED波長は、約600nm乃至約700nmであってもよく、IR波長は、約800nm乃至約1000nmであってもよい。単一センサの代わりに、センサアレイが使用される実施形態では、各センサは、単一波長を放出するように構成されてもよい。例えば、第1のセンサは、RED光のみ放出する一方、第2のセンサは、IR光のみ放出する。
本明細書で使用されるように、用語「光」は、放射源によって生成されるエネルギーを指す場合があり、超音波、無線、マイクロ波、ミリ波、赤外線、可視、紫外線、ガンマ線、またはX線電磁放射線の1つ以上を含んでもよいことを理解されるであろう。本明細書で使用されるように、光はまた、無線、マイクロ波、赤外線、可視、紫外線、またはX線スペクトル内の任意の波長を含んでもよく、電磁放射線のその任意の好適な波長は、本技法と併用するために適切であり得る。検出器18は、エミッタ16の選択された標的エネルギースペクトルに対して特異的に感応するように選択されてもよい。
ある実施形態では、検出器18は、REDおよびIR波長における光の強度を検出するように構成されてもよい。代替として、アレイ内の各センサは、単一波長の強度を検出するように構成されてもよい。動作時、光は、患者の組織40を通過後、検出器18に入光してもよい。検出器18は、受光した光の強度を電気信号に変換してもよい。光強度は、組織40内の光の吸光度および/または反射率に直接関連する。すなわち、ある波長における光がより多く吸収または反射される時、検出器18によって組織から受光されるその波長の光は、より少なくなる。受光された光を電気信号に変換後、検出器18は、信号をモニタ14に送信してもよく、そこで、生理学的パラメータが、患者の組織40内のREDおよびIR波長の吸収に基づいて計算されてもよい。そのような計算を行うように構成されるデバイスの例には、Nellcor Puritan Bennett LLCより市販されるModel N600xパルス酸素濃度計がある。
ある実施形態では、エンコーダ42は、センサの種類(例えば、センサが額または指上に定置されることを意図したものであるかどうか)およびエミッタ16によって放出される光の波長等、センサ12に関する情報を含有してもよい。本情報は、患者の生理学的パラメータを計算するために、モニタ14内に格納される適切なアルゴリズム、ルックアップテーブル、および/または較正係数を選択するように、モニタ14によって使用されてもよい。
エンコーダ42は、例えば、患者の年齢、体重、および診断等、患者40に特有の情報を含有してもよい。この情報によって、モニタ14は、例えば、患者の生理学的パラメータ測定値が含まれるべき患者特有の閾値範囲を決定し、追加生理学的パラメータアルゴリズムを有効または無効にすることが可能となってもよい。エンコーダ42は、例えば、センサ12の種類またはセンサアレイ内の各センサの種類、センサアレイの各センサ上のエミッタ16によって放出される光の波長、および/または患者の特性に対応する値を格納する、コード化されたレジスタであってもよい。別の実施形態では、エンコーダ42は、モニタ14との通信のために、以下の情報の1つ以上が格納され得るメモリを含んでもよく、その情報とは、センサ12の種類、エミッタ16によって放出される光の波長、センサアレイ内の各センサがモニタリングする特定の波長、センサアレイ内の各センサの信号閾値、任意の他の好適な情報、またはそれらの任意の組み合わせである。
ある実施形態では、検出器18およびエンコーダ42からの信号は、モニタ14に伝送されて得る。示される実施形態では、モニタ14は、内部バス50に接続される汎用マイクロプロセッサ48を含んでもよい。マイクロプロセッサ48は、本明細書に説明される機能を行うステップの一環として、オペレーティングシステムと、1つ以上のアプリケーションと、を含み得る、ソフトウェアを実行するように適合されてもよい。また、バス50に接続されるものとして、読取専用メモリ(ROM)52、ランダムアクセスメモリ(RAM)54、ユーザ入力56、ディスプレイ20、およびスピーカ22があってもよい。
RAM54およびROM52は、限定ではなく、一例として例示される。任意の好適なコンピュータ可読媒体が、データ記憶のためのシステム内で使用されてもよい。コンピュータ可読媒体は、マイクロプロセッサ48によって解釈され得る情報を格納可能である。本情報は、データであってもよく、あるいはマイクロプロセッサにある機能および/またはコンピュータ実装方法を行わせる、ソフトウェアアプリケーション等のコンピュータ実行可能命令の形態をとってもよい。実施形態に応じて、そのようなコンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、通信媒体と、を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ等の情報を記憶するための任意の方法あるいは技法において実装される揮発性および不揮発性、可撤性ならびに非可撤性媒体を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または他の固体メモリ技法、CD−ROM、DVD、または他の光記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶、または他の磁気記憶デバイス、または所望の情報を格納するために使用可能であって、システムの構成要素によってアクセス可能な任意の他の媒体を含んでもよいが、それらに限定されない。
示される実施形態では、時間処理ユニット(TPU)58は、エミッタ16が照射される時を制御し、RED LED44およびIR LED46のタイミングが多重化され得るタイミング制御信号を光駆動回路60に提供してもよい。また、TPU58は、増幅器62および切替回路64を通して、検出器18からの信号のゲートインを制御してもよい。これらの信号は、照射される光源に応じて、適切な時間でサンプリングされる。検出器18から受光された信号は、増幅器66、低域通過フィルタ68、およびアナログ/デジタル変換器70を通過してもよい。次いで、デジタルデータは、QSM72が満たされると、後にRAM54にダウンロードするための待ち行列型シリアルモジュール(QSM)72(または、バッファ)内に格納されてもよい。一実施形態では、増幅器66と、フィルタ68と、受光される複数の光波長またはスペクトルのA/D変換器70とを有する、複数の別個の並列経路が存在してもよい。
ある実施形態では、マイクロプロセッサ48は、検出器18によって受光された光に対応する、受信信号および/またはデータの値に基づく種々のアルゴリズムおよび/またはルックアップテーブルを使用して、SpO2および脈拍数等の患者の生理学的パラメータを決定し得る。患者40に関する情報、特に、経時的に患者の組織から発せられる光の強度に関する情報に対応する信号は、エンコーダ42からデコーダ74に伝送されてもよい。これらの信号は、例えば、患者特性に関連するエンコードされた情報を含んでもよい。デコーダ74は、マイクロプロセッサが、ROM52内に格納されるアルゴリズムまたはルックアップテーブルに基づいて、閾値を決定することができるように、これらの信号を翻訳してもよい。ユーザ入力56を使用して、年齢、体重、身長、診断、投薬療法、治療等、患者に関する情報を入力してもよい。ある実施形態では、ディスプレイ20は、ユーザがユーザ入力56を使用して選択し得る、例えば、年齢範囲または投薬療法集合といった、概して、患者に該当するであろう値の一覧を提示してもよい。
組織を通る光信号は、他の源の中でもとりわけ、雑音およびモーションアーチファクトによって劣化する可能性がある。雑音源の1つは、光検出器に到達する周囲光である。別の雑音源は、他の電子機器からの電磁結合である。また、患者の動きも雑音をもたらし、信号に影響を及ぼす。例えば、検出器と皮膚との間、またはエミッタと皮膚との間の接触は、動きによって皮膚からいずれかが離されると、一時的に妨害される可能性がある。加えて、血液は流体であるため、慣性効果に対して周囲組織と異なって応答し、したがって、酸素濃度計プローブが取りつけられる点における体積に瞬間的な変化をもたらす。
モーションアーチファクトは、医師の自覚を伴わずに、医師に依存するパルス酸素濃度計信号を劣化させる可能性がある。これは、患者のモニタリングが遠隔である場合、動きが微小過ぎて観察不可能である場合、あるいは医師が計器またはセンサ部位以外の患者の他の部分を見ている場合に、特に当てはまる。パルス酸素濃度計(すなわち、PPG)信号の処理は、信号内に存在する雑音の量を減少させるか、または別様に、PPG信号から導出された生理学的パラメータの測定値に影響を及ぼすことを防止するために、雑音成分を識別する操作を伴ってもよい。
本開示は、任意の好適な信号に適用可能であって、PPG信号は、例示目的のために使用されるにすぎないことを理解されるであろう。当業者は、本開示が、他の生体信号(例えば、心電図、脳波図、胃筋電図、筋電図、心拍信号、病理学的音、超音波、または任意の他の好適な生体信号)、動的信号、非破壊試験信号、状態モニタリング信号、流体信号、地球物理的信号、天文学的信号、電気信号、財務指標を含む金融信号、発話信号、化学信号、気候指標を含む気象学的信号、および/または任意の他の好適な信号、および/またはそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない、他の信号に対して、幅広い適用性を有することを認識するであろう。
一実施形態では、PPG信号は、連続ウェーブレット変換を使用して、変換されてもよい。PPG信号の変換(すなわち、ウェーブレット空間内)から導出された情報を使用して、1つ以上の生理学的パラメータの測定値を提供してもよい。
本開示による、信号x(t)の連続ウェーブレット変換は、以下のように定義されてもよい。
式中、ψ*(t)は、ウェーブレット関数の複素共役ψ(t)であって、aは、ウェーブレットの拡張パラメータであって、bは、ウェーブレットの位置パラメータである。式(9)によって求められる変換を使用して、変換表面上の信号表現を構築してもよい。変換は、時間スケール表現としてみなされてもよい。ウェーブレットは、周波数の範囲から構成され、その1つは、ウェーブレットの特性周波数として表記されてもよく、ウェーブレットと関連付けられた特性周波数は、スケールaと逆比例する。特性周波数の一実施例は、優位周波数である。特定のウェーブレットの各スケールは、異なる特性周波数を有してもよい。時間スケール内における実装のために必要とされる基礎となる数学的詳細は、例えば、Paul S.AddisonのThe Illustrated Wavelet Transform Handbook(Taylor & Francis Group 2002)に見ることができ、これは参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
連続ウェーブレット変換は、概して、時間内に高度に局在されるウェーブレットを使用して、信号を分解する。連続ウェーブレット変換は、離散変換と比較して、高分解能を提供し、したがって、フーリエ変換(または、任意の他のスペクトル技法)あるいは離散ウェーブレット変換等の典型的周波数変換より、信号から多くの情報を作成する能力を提供し得る。連続ウェーブレット変換は、信号のより小さなスケール成分が、信号のより大きなスケール成分を抽出するために使用されるウェーブレットよりコンパクトにスケーリングされたウェーブレットを使用して変換されるように、着目信号のスケールに従い、それぞれスケーリングされる複数のウェーブレット(例えば、およそ何十、何百、何千、または任意の他の数)の使用を可能にする。各ウェーブレットに適用されるデータの窓大きさは、スケールによっても変動する。したがって、離散技法に対して連続ウェーブレットを使用することで、より高い分解能変換が可能になる。
加えて、信号または任意の他の種類のデータをスペクトル(すなわち、周波数)ドメインに変換する変換および操作は、必ず、2次元座標系における一連の周波数変換値を生成し、2つの次元は、周波数と、例えば、振幅であってもよい。例えば、任意の種類のフーリエ変換は、2次元スペクトル等を作成するであろう。対照的に、連続ウェーブレット変換等のウェーブレット変換は、3次元座標系に定義され、時間、スケールと、例えば、振幅の次元を伴う表面を作成するように要求される。故に、スペクトルドメイン内で行われる操作を、ウェーブレットドメイン内で行うことは不可能であり、代わりに、ウェーブレット表面は、スペクトルに変換されなければならない(すなわち、ウェーブレット表面を時間ドメインに変換するように、逆ウェーブレット変換を行い、次いで、時間ドメインからスペクトル変換を行うことによって)。反対に、ウェーブレットドメイン内で行われる操作を、スペクトルドメイン内で行うことは不可能であり、代わりに、スペクトルは、最初に、ウェーブレット表面に変換されなければならない(すなわち、スペクトルドメインを時間ドメインに変換するように、逆スペクトル変換を行い、次いで、時間ドメインからウェーブレット変換を行うことによって)。同様に、例えば、時間内の特定の点に沿った3次元ウェーブレット表面の横断面も、スペクトルベースの技法が使用され得る周波数スペクトルと等しくはない。少なくとも、ウェーブレット空間は、時間次元を含むため、スペクトル技法とウェーブレット技法は、互換性がない。スペクトルドメイン処理に依存する系をウェーブレット空間処理に依存する系に変換することは、ウェーブレット空間処理に適応するために、系に大幅かつ基本的修正を必要とするであろうことを理解されるであろう(例えば、信号または信号の一部の代表的エネルギー値を導出することは、ウェーブレットドメイン内の時間およびスケールの2回の積分を行うことを必要とする一方、反対に、スペクトルドメインから代表的エネルギー値を導出するためには、周波数の1回の積分が必要となる)。さらなる実施例として、時間信号を再構築するためには、ウェーブレットドメイン内の時間およびスケールの2回の積分を行うことを必要とする一方、反対に、スペクトルドメインから時間信号を導出するためには、周波数の1回の積分が必要となる。振幅に加えて、または代替として、とりわけ、エネルギー密度、係数、位相等のパラメータはすべて、そのような変換を使用して作成されてもよく、これらのパラメータは、3次元ウェーブレット座標系ではなく、2次元周波数座標系において定義される時、明確に異なる文脈および意味を有することは、当技術分野において周知である。例えば、フーリエ系の位相は、全周波数に対して、単一基点に関して計算される一方、ウェーブレット系の位相は、ウェーブレットの位置(多くの場合、時間内の)およびスケールに関して、2つの次元に展開される。
ウェーブレット変換のエネルギー密度関数であるスカログラムは、以下のように定義される。
式中、‘||’は、剰余演算子である。スカログラムは、有用目的のために、再スケーリングされてもよい。一般的再スケーリングの1つは、以下のように定義される。
例えば、Morletウェーブレットが使用される時、ウェーブレット空間内のリッジを定義するために有用である。リッジは、平面内の極大値の点の軌跡として定義される。リッジの任意の合理的定義が、方法において採用されてもよい。また、リッジの定義として本明細書に含まれるのは、極大値の軌跡から変位された経路である。平面内の極大値の点の軌跡のみと関連付けられたリッジは、「最大値リッジ」と標識される。
高速数値計算を必要とする実装の場合、ウェーブレット変換は、フーリエ変換を使用した近似式として表されてもよい。重畳積分定理に従って、ウェーブレット変換は、ウェーブレット関数との信号の相互相関であるため、ウェーブレット変換は、信号のフーリエ変換と各必要とされるaスケールに対するウェーブレットのフーリエ変換の積の逆FFTの観点から近似され、次いで、
本明細書の以下に続く技法の議論では、「スカログラム」は、スケーリングされていない原ウェーブレット表現、線形再スケーリング、ウェーブレット変換の係数の任意の指数、または任意の他の好適な再スケーリングを含むが、それらに限定されない、あらゆる好適な形態の再スケーリングを含むものととらえられてもよい。加えて、明確性および一貫性の目的のために、用語「スカログラム」は、ウェーブレット変換、T(a,b)自体、または任意のその一部を意味するものと捉えられるものとする。例えば、ウェーブレット変換の実数部、ウェーブレット変換の虚数部、ウェーブレット変換の位相、ウェーブレット変換の任意の他の好適な部分、またはそれらの任意の組み合わせが、用語「スカログラム」によって含意されることが意図される。
代表的時間期間として解釈されるスケールは、ウェーブレット関数の特性周波数に変換されてもよい。任意のaスケールのウェーブレットと関連付けられた特性周波数は、以下によって求められる。
式中、マザーウェーブレットの特性周波数であるf
c(すなわち、a=1において)は、スケーリング定数となり、および/あるいは任意のスケールaにおけるウェーブレットの代表または特性周波数である。
任意の好適なウェーブレット関数が、本開示と併用されてもよい。最も一般的に使用される複素ウェーブレットの1つであるMorletウェーブレットは、以下のように定義される。
式中、f
0は、マザーウェーブレットの中心周波数である。括弧内の第2項は、ガウス窓内の複素正弦曲線の非ゼロ平均を補正するため、補正項として知られる。実際は、f
0>>0の値の場合は、ごくわずかであって、無視することができ、その場合、Morletウェーブレットは、以下のようにより簡潔に記述可能である。
このウェーブレットは、スケーリングされたガウス包絡線内の複素波である。Morletウェーブレットの両定義が、本明細書に含まれるが、式(14)の関数は、非ゼロ平均(すなわち、その対応するエネルギースペクトルのゼロ周波数項が非ゼロである)を有するため、厳密には、ウェーブレットではない。しかしながら、式(14)は、実際は、最小誤差を伴うf0>>0と併用されてもよく、本明細書のウェーブレットの定義に含まれる(他の類似近似ウェーブレット関数も同様)ことが、当業者によって認識されるであろう。ウェーブレット関数の定義を含む、基礎的ウェーブレット理論のより詳細な概観は、一般的文献において見出され得る。本明細書に論じられるのは、ウェーブレット変換特徴が、信号のウェーブレット分解から抽出され得る方法についてである。例えば、PPG信号のウェーブレット分解を使用して、医療デバイス内の臨床的に有用な情報を提供してもよい。
信号内に付随する反復特徴は、ウェーブレット空間または再スケーリングされたウェーブレット空間内に時間スケール帯域をもたらす。例えば、PPG信号のパルス成分は、パルス周波数またはその周囲において、ウェーブレット空間内に優位帯域を生成する。図3(a)および(b)は、ある実施形態による、PPG信号から導出された例示的スカログラムの2つの図を示す。図は、信号等内のパルス成分によって生じる帯域の実施例を示す。パルス帯域は、図3(a)のプロット内の破線間に位置する。帯域は、スカログラム全体にわたる一連の優位合体特徴から形成される。これは、プロット中の矢印によって示されるスケールの領域内に位置する、図3(b)内の変換表面全体にわたる隆起帯域として、明確に認められ得る(1分当たり60回の拍動に対応する)。スケールに関する本帯域の最大値が、リッジである。リッジの軌跡は、図3(b)内の帯域の上部の黒色湾曲として示される。式(11)で求められるもの等のスカログラムの好適な再スケーリングを採用することによって、ウェーブレット空間内に見られるリッジが、信号の瞬時的周波数と関連してもよい。このように、脈拍数は、PPG信号から求められてもよい。スカログラムを再スケーリングする代わりに、また、ウェーブレット表面上のリッジから得られたスケールと実際の脈拍数との間の好適な規定関係を使用して、脈拍数を決定してもよい。
ウェーブレット変換を通して得られたウェーブレット位相情報にパルスリッジの時間スケール座標をマッピングすることによって、個々のパルスが捕捉されてもよい。このように、個々のパルス間の時間と各パルス内の成分のタイミングの両方が、モニタリングされ、心拍異常を検出する、動脈系のコンプライアンスを測定する、あるいは任意の他の好適な計算または診断を行うために使用されてもよい。リッジの代替定義が、採用されてもよい。リッジと発生のパルス周波数との間の代替関係が、採用されてもよい。
上述のように、信号内に付随する反復特徴は、ウェーブレット空間または再スケーリングされたウェーブレット空間内に時間スケール帯域をもたらす。周期的信号の場合、本帯域は、時間スケール平面内に一定のスケールのままである。多くの実信号、特に、生物学的信号の場合、帯域は、非定常であって、経時的に、スケール、振幅、または両方が変動し得る。図3(c)は、ある実施形態による、変換空間内の2つの帯域をもたらす、2つの付随成分を含有する信号のウェーブレット変換の例示的概略図を示す。これらの帯域は、ウェーブレット表面の3次元概略図上において、帯域Aおよび帯域Bと標識される。この実施形態においては、帯域リッジは、スケールに関するこれらの帯域のピーク値の軌跡として定義される。議論の目的のために、帯域Bは、着目信号情報を含有すると仮定され得る。これは、「一次帯域」と称される。加えて、信号が発生し、続いて、変換が導出される系は、帯域Aおよび帯域B内の信号成分間において、ある形態の連結を呈すると仮定され得る。雑音または他の誤特徴が、帯域Bの特徴の類似スペクトル特性を伴う信号内に存在する場合、帯域B内の情報は曖昧となり得る(すなわち、遮蔽、分裂、または欠落する)。この場合、帯域Aのリッジが、ウェーブレット空間内に追随し、振幅信号またはスケール信号のいずれかとして抽出され得、それぞれ、「リッジ振幅摂動」(RAP)信号および「リッジスケール摂動」(RSP)信号と称される。RAPおよびRSP信号は、それぞれ、時間振幅または時間スケール平面にリッジを投影することによって、抽出され得る。図3(d)の上のプロットは、図3(c)内のリッジAと関連付けられたRAPおよびRSP信号の概略図を示す。これらのRAPおよびRSP信号の下は、これらの新しく導出された信号のさらなるウェーブレット分解の概略図である。この二次ウェーブレット分解は、図3(c)における帯域Bの領域内の情報を帯域Cおよび帯域Dとして利用可能にする。帯域CおよびDのリッジは、帯域CおよびDを生じさせる信号成分の瞬時的な時間スケール特性の測定としての役割を果たし得る。本明細書において二次ウェーブレット特徴デカップリング(SWFD)と称されるこの技法は、帯域B自体が、雑音または他の誤信号特徴の存在下において遮蔽されているとき、一次帯域B(図3(c))を生じさせる、基礎的物理プロセスと関連付けられた信号成分の性質に関する情報を抽出可能にし得る。
いくつかの事例では、例えば、アーチファクトを除去するために、スカログラムへの修正(または、変換された信号の係数への修正)がなされたとき等、逆連続ウェーブレット変換が望ましい場合がある。一実施形態では、全スケールおよび位置aおよびbにわたって積分することによって、そのウェーブレット変換から原信号を復元することが可能である逆連続ウェーブレット変換が存在する。
式中、C
gは、許容定数として知られるスカラー値である。これは、ウェーブレット型依存性であって、以下から計算されてもよい。
図3(e)は、上述の議論に従って、逆連続ウェーブレット変換を行うために取られ得る、例示的ステップの工程図である。逆変換に対する近似式は、式(15)をスケールにわたる一連の畳み込みとして考慮することによってなされ得る。順変換の相互相関と異なり、ここでは、複素共役は存在しないことを理解されたい。各時間tに対するaおよびbのすべてにわたる積分同様に、この式はまた、逆ウェーブレット変換を一連の乗算を使用して実行可能にする重畳積分定理を利用し得る。図3(f)は、逆連続ウェーブレット変換の近似式を行うために取られ得る例示的ステップの工程図である。逆連続ウェーブレット変換を行うための任意の他の好適な技法が、本開示に従って使用され得ることを理解されるであろう。
図4は、ある実施形態による、例示的連続ウェーブレット処理システム400である。本実施形態では、入力信号発生器410は、入力信号416を生成する。例示されるように、入力信号発生器410は、入力信号416としてPPG信号を提供し得る、センサ418に結合される酸素濃度計420を含んでもよい。入力信号発生器410は、信号416を生成するように、任意の好適な信号源、信号発生データ、信号発生機器、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよいことを理解されるであろう。信号416は、例えば、生体信号(例えば、心電図、脳波図、胃筋電図、筋電図、心拍信号、病理学的音、超音波、または任意の他の好適な生体信号)、動的信号、非破壊試験信号、状態モニタリング信号、流体信号、地球物理学的信号、天文学的信号、電気信号、財務指標を含む金融信号、発話信号、化学信号、気候指標を含む気象学的信号、および/または任意の他の好適な信号、ならびに/あるいはそれらの任意の組み合わせの、任意の好適な信号または複数の信号であってもよい。
この実施形態では、信号416は、プロセッサ412に結合されてもよい。プロセッサ412は、処理信号416のための任意の好適なソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェア、ならびに/あるいはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、プロセッサ412は、1つ以上のハードウェアプロセッサ(例えば、集積回路)、1つ以上のソフトウェアモジュール、メモリ等のコンピュータ可読媒体、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。プロセッサ412は、例えば、コンピュータであってもよく、または1つ以上のチップ(すなわち、集積回路)であってもよい。プロセッサ412は、本開示の連続ウェーブレット変換と関連付けられた計算、ならびに変換の任意の好適な照合と関連付けられた計算を行ってもよい。プロセッサ412は、任意の好適な帯域フィルタリング、適応フィルタリング、閉ループフィルタリング、および/または任意の他の好適なフィルタリング、ならびに/あるいはそれらの任意の組み合わせ等、信号416をフィルタリングするように、信号416の任意の好適な信号処理を行ってもよい。
プロセッサ412は、任意の好適な揮発性メモリデバイス(例えば、RAM、レジスタ)、非揮発性メモリデバイス(例えば、ROM、EPROM、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、フラッシュメモリ)、または両方等、1つ以上のメモリデバイス(図示せず)に結合される、あるいは1つ以上のメモリデバイスを組み込んでもよい。メモリは、例えば、スカログラムを表すデータといった入力信号416の連続ウェーブレット変換に対応するデータを格納するために、プロセッサ412によって使用されてもよい。一実施形態では、スカログラムを表すデータは、時間スケール平面内のエネルギーレベルとしてスカログラムを表す、3次元アレイ等の任意の好適な3次元データ構造として、プロセッサ412内部のRAMまたはメモリに格納されてもよい。任意の他の好適なデータ構造を使用して、スカログラムを表すデータを格納してもよい。
プロセッサ412は、出力414に結合されてもよい。出力414は、例えば、1つ以上の医療デバイス(例えば、種々の生理学的パラメータを表示する医療モニタ、医療アラーム、あるいは生理学的パラメータを表示する、または入力として、プロセッサ412の出力を使用する、任意の他の好適な医療デバイス)、1つ以上のディスプレイデバイス(例えば、モニタ、PDA、携帯電話、任意の他の好適なディスプレイデバイス、またはそれらの任意の組み合わせ)、1つ以上のオーディオデバイス、1つ以上のメモリデバイス(例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、RAM、光ディスク、任意の他の好適なメモリデバイス、またはそれらの任意の組み合わせ)、1つ以上の印刷デバイス、任意の他の好適な出力デバイス、またはそれらの任意の組み合わせといった、任意の好適な出力デバイスであってもよい。
システム400は、システム10内に組み込まれてもよく(図1および2)、例えば、入力信号発生器410は、センサ12およびモニタ14の一部として実装されてもよく、プロセッサ412は、モニタ14の一部として実装されてもよいことは理解されるであろう。
次に、本開示の連続ウェーブレット処理が、図5−9を参照して論じられる。
図5は、本開示のある実施形態による、信号の一部を選択およびミラーリングし、さらなる解析のために、新しい信号を生成するための例示的プロセスの工程図である。プロセス300は、ステップ302から開始してもよい。ステップ304では、原信号の第1の部分が、選択されてもよい。原信号は、任意の好適な源からの信号を含んでもよく、1つ以上の反復成分を含有してもよい。例えば、原信号は、PPG信号であってもよい。第1の部分は、信号の特性に基づく任意の好適な方法を使用して(例えば、原信号の極大値および極小値を使用して、または原信号の1つ以上の転換点を見出すように二次導関数を使用して)、選択されてもよい。選択された部分は、信号の反復部分に対応してもよい。例えば、選択された部分は、心拍に対応する、PPG信号のアップストロークまたはダウンストロークに対応してもよい。ステップ306では、第1の部分は、ミラーリングされた第1の部分を生成するように、選択されたセグメントの開始または終了点に位置する垂直軸等、任意の好適な第1の垂直軸に関してミラーリングされてもよい。「ミラーリング」によって、第1の部分が、信号の元の第1の部分およびミラーリングまたは反射された部分の両方を含有する、ミラーリングされた第1の部分を生成するように、任意の好適な軸に関して反射されることを意味する。第1の垂直軸に関して第1の部分をミラーリングすることによって、第1の垂直軸に関して対称であるパルスが生成されてもよい。プロセス300は、ステップ308に進み、第2の部分が、原信号から選択されてもよい。第2の部分は、第1の部分と同一、類似、または異なってもよく、任意の好適な方法を使用して、選択されてもよい。例えば、第2の部分は、第1の部分に対して、時間的に順次生じる信号の特性に対応してもよい。ステップ310では、原信号の第2の部分は、任意の好適な第2の垂直軸を中心としてミラーリングされ、ミラーリングされた第2の部分を生成してもよい。第2の垂直軸に関して第2の部分をミラーリングすることによって、第2の垂直軸に関して対称であるパルスが生成されてもよい。ある実施形態では、プロセス300は、ステップ312に進み、ミラーリングされた第1の部分およびミラーリングされた第2の部分は、組み合わせられ、新しい信号を生成してもよい。ある実施形態では、プロセス300は、2つの新しい信号を生成してもよく、1つは、ミラーリングされた第1の部分からであって、1つは、ミラーリングされた第2の部分からである。このように、1つ以上の新しい信号が、生成されてもよい。これらの新しい信号は、ステップ314において、任意の好適な方法を使用してさらに解析されてもよい。プロセス300は、ステップ316に進み、終了してもよい。
工程図の上述のステップは、例示にすぎず、任意の好適な修正が、成されてもよい。例えば、信号の追加部分は、選択され、ミラーリングされ(例えば、任意の好適な軸に関して反射され、その軸に関して対称であるパルスを生成する)、新しい信号に追加されてもよい。プロセスは、信号の受信に伴って、リアルタイムで行われてもよく、または信号が受信された後に行われてもよい。新しい信号は、連続ウェーブレット変換等のウェーブレット変換を使用して、解析されてもよい。
図6は、本開示のある実施形態による、原PPG信号からアップストローク信号およびダウンストローク信号を再構築するための例示的プロセスの概略図である。プロセス6400は、プロセッサ412(図4)またはマイクロプロセッサ48(図2)によって、PPG信号が収集され得る時間窓全体より短い時間窓を使用して、患者40に結合され得る、センサ12(図2)または入力信号発生器410(図4)によって獲得されるPPG信号を使用して、リアルタイムで行われてもよい。代替として、プロセス6400は、PPG信号が収集されたデータの時間窓全体を使用して、QSM72(図2)からのPPG信号サンプル上で、あるいはRAM54またはROM52(図2)内に格納されたPPG信号サンプルから、オフラインで行われてもよい。
プロセス6400は、ステップ6410から開始してもよく、PPG信号6405は、アップストローク信号6463および/またはダウンストローク信号6465を再構築するように、任意の好適な時間周期tにわたって、センサ12または入力信号発生器410によって収集されてもよい。アップ信号6463およびダウン信号6465を再構築するために使用されるPPG信号6405の一部は、任意の好適な手法を使用して、選択されてもよい。例えば、PPG信号6405のアップストロークおよびダウンストロークは、PPG信号6405の最大値および最小値に基づいて、選択されてもよい。代替として、アップストロークおよびダウンストロークを有するPPG信号6405の一部は、PPG信号6405の1つ以上の転換点を見つけるために、二次導関数を使用して配置されてもよい。ある実施形態では、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48は、PPG信号6405の最大値ならびに最小値とPPG信号6405の二次導関数を識別し、PPG信号6405の一部を選択し、1つ以上のダウンストロークからPPG信号6405の一部内の1つ以上のアップストロークを分離するために、任意の好適なソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェア、ならびに/あるいはそれらの組み合わせを含んでもよい。PPG信号6405の極小転換点は、丸を使用して、ステップ6410に示される。ステップ6420では、アップストロークおよびダウンストロークは、2つの選択された転換点間に生じてもよく、アップストローク「U」は、PPG信号6405の原基線Bの2つの転換点間およびそれに垂直なPPG信号6405の極大値を表す点線を使用して、ダウンストローク「D」と区別されてもよい。好適な一実施形態では、アップストロークおよびダウンストロークは、典型的心拍の範囲より高いおよび低い周波数をフィルタリングするように、例えば、帯域通過フィルタまたは低域通過フィルタ68を使用して、PPG信号6405をフィルタリングした後、選択されてもよい。別の好適な実施形態では、アップおよびダウンストロークは、2008年6月30日出願のWatsonの米国暫定出願第61/077,092号「Systems and Method for Detecting Pulses」に記載の技法を使用して検出されてもよく、それは、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。当業者は、パターン整合方法(差異の総和または最近傍技法等)、統語的処理方法(述語計算文法等)、および適応方法(非単調論理推論または人工神経ネットワーク等)を含むが、それらに限定されない、トレースの顕著な部分の検出および/または選択のために、任意の好適な方法が、採用され得ることを理解するであろう。
図6では、ある実施形態による、PPG信号6405の原基線Bが、正弦曲線状の点線として示される。基線Bは、患者40の呼吸によって変動してもよく、時間平面において、PPG信号を振動または歪曲させ得る。例えば、PPG信号6405は、患者の呼吸に伴う患者の血管の拡張に関連し得る、振幅変調を被ってもよい。PPG信号6405はまた、患者の静脈床内の圧力に少なくとも部分的に基づき得る、搬送波を含んでもよい。PPG信号6405はまた、患者の呼吸性洞性不整脈に少なくとも部分的に基づき得る、周波数変調を被ってもよい。プロセス6400は、PPG信号の搬送波を除去してもよく、その除去は、再構築されたアップストローク信号およびダウンストローク信号の振幅変調に、少なくとも部分的に反映されてもよい。
プロセス6400は、ステップ6420に進み得、PPG信号6405の1つのアップストロークおよび1つのダウンストロークが、任意の好適な方法を使用して、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって選択され得る。ステップ6420においては、アップストロークおよびダウンストロークは、2つの選択された転換点間に生じ得、アップストローク「U」は、2つの転換点間およびそれに垂直なPPG信号6405の極大値を表す点線を使用して、ダウンストローク「D」と区別され得る。任意の他の好適な技法を使用して、アップストロークおよびダウンストロークを区別してもよい。本開示のある実施形態では、PPG信号6405のアップストロークは、同様にPPG信号6405からダウンストロークも選択することなく、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によるさらなる処理のために選択されてもよい。同様に、PPG信号6405のダウンストロークは、PPG信号6405からアップストロークも選択することなく、さらなる処理のために選択されてもよい。
プロセス6400は、ステップ6430に進み得、ステップ6420において選択されたアップストロークは、任意の好適な方法を使用して、さらなる処理のためにプロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、選択されたダウンストロークから分離されてもよい。例えば、アップストロークは、2つの転換点に垂直な極大値を表す点線が、PPG信号6405の選択された部分と交差し得る点において、ダウンストロークから分離されてもよい。
プロセス6400は、ステップ6440に進み得、選択されたアップストローク「U」および選択されたダウンストローク「D」はそれぞれ、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、任意の好適な垂直軸に関してミラーリングされてもよい。選択されたアップストローク「U」および選択されたダウンストローク「D」のそれぞれを、垂直軸に関してミラーリングすることによって、ミラーリングされたアップパルス6443およびミラーリングされたダウンパルス6445が生成されてもよい。ミラーリングされたアップパルス6443およびミラーリングされたダウンパルス6445は、アップストローク「U」および選択されたダウンストローク「D」を反映するように使用された、それぞれの垂直軸に関してそれぞれ対称であり得る。ミラーリングされたアップパルス6443およびミラーリングされたダウンパルス6445の形状は、PPG信号6405のどの部分が選択されたかに依存し得る。PPG信号6405の基線Bは変動し得るので、PPG信号6405の一部分から選択されたアップストロークおよびダウンストロークの組み合わせは、PPG信号6405の別の部分からの類似アップストロークおよびダウンストロークの組み合わせと異なる振幅ならびに/または異なる周波数を有し得る。例えば、PPG信号6405の一部が、原基線Bが下方傾向にあるステップ6410から選択された場合、アップストローク「U」および結果として生じるミラーリングされたアップ信号は、より広く平らなパルスを形成し得る一方、ダウンストローク「D」および結果として生じるミラーリングされたダウン信号は、より狭く高いパルスを形成し得る。
プロセス6400は、ステップ6450に進み得、ミラーリングされたアップパルス6443およびミラーリングされたダウンパルス6445はそれぞれ、ミラーリングされたアップ信号6453およびミラーリングされたダウン信号6455を形成するように、PPG信号6405から追加アップストロークおよびダウンストロークを選択およびミラーリングすることから形成された、追加の複数のパルスに追加されてもよい。代替として、ミラーリングされたアップパルス6443およびミラーリングされたダウンパルス6445はそれぞれ、個々の信号パルスのままであってもよく、図7に関して後述されるように、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、さらに解析されてもよい。ミラーリングされたアップ信号6453およびミラーリングされたダウン信号6455内のパルスは、それぞれ、その振幅および/またはその時間周期において可変であり、時間平面におけるPPG信号6405の振幅および/または周波数振動を反映し得る。代替として、ミラーリングされた信号は、それぞれ、所望の数のパルスを有する信号を形成する代わりに、所望の時間窓内の信号を形成するように複製することが可能である。
プロセス6400は、ステップ6460に進み得、ミラーリングされたアップ信号6453およびミラーリングされたダウン信号6455は、それぞれ、さらなる解析に先立って、任意の所望の大きさに伸張または圧縮されることによる等、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によってさらに操作されてもよい。ミラーリングされた信号6453および6455の各パルスは、ミラーリングされた信号内の他のパルスから独立して、拡大または短縮され得る。例えば、ミラーリングされた信号6453および6455内のパルスはそれぞれ、各パルスの時間周期の大きさを等しくするように、伸張または圧縮されてもよく、時間周期はすべてまとめて、PPG信号6405が収集されるか、または解析される時間周期tに等しい。代替として、ミラーリングされたアップ信号6453およびミラーリングされたダウン信号6455の各パルスは、時間周期tに整合するように伸張されなくてもよいが、代わりに、PPG信号6405の別の時間周期に少なくとも部分的に基づいて、あるいは個々または所定の数の信号パルスに少なくとも部分的に基づいて、任意の所望の大きさに伸張もしくは圧縮されてもよい。ある実施形態では、各ミラーリングされたアップパルスは、伸張あるいは圧縮され、その対応するダウンストロークと組み合わされるように、ミラーリングにおいて使用されるアップストロークの大きさに整合させてもよい。同一プロセスが、各ミラーリングされたダウンパルスにおいて行われてもよい。ある実施形態では、ミラーリングされた信号6453および6455内のミラーリングされたパルスは、PPG信号6405が収集されるか、または解析される、時間周期tに整合するように等しく伸張または圧縮されてもよい。
ミラーリングされた信号6453および6455内のパルスの1つ以上が、伸張または圧縮されるときに生じる周波数変調は、ステップ6460において、上述の個々の伸張または圧縮量に関連して、ミラーリングされた信号6453および6455内のパルスのそれぞれの振幅を増減することにより、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって振幅変調に変換されてもよい。これによって、原PPG信号6405内の基線変化のために、ミラーリングされたパルス内に既に存在し得る振幅変調を増加させてもよい。周波数変調の影響をミラーリングされた信号6453および6455内の振幅変調に変換することによって、PPG信号6405のさらなる解析に及ぼす患者40の呼吸性洞性不整脈の影響を低減させてもよい。パルスのそれぞれが、(例えば、PPG信号6405が収集された時間周期tに整合し、相互のパルスの周期に整合するように)相互から独立して伸張または圧縮される場合、再構築アップ信号6463および/または再構築ダウン信号6465内のパルスの振幅は、変調または増大されてもよい。代替として、再構築信号に適用される周波数変調が、均一振幅を伴う再構築信号を生成するように各パルスを個々に伸張または圧縮する場合、再構築アップ信号6463または再構築ダウン信号6465内のパルスそれぞれの振幅は、同一(図示せず)であってもよい。ある実施形態では、再構築アップ信号6463および/または再構築ダウン信号6465は、振幅および周波数が可変し得るパルスを含んでもよい。
本開示のある実施形態では、ダウンストロークではなく、アップストロークが、ステップ6420において選択され、ステップ6440において垂直軸に関してミラーリングされ、ステップ6450において複製され、ステップ6460において伸張(または、圧縮)されてもよい。ミラーリングされたアップ信号6453およびミラーリングされたダウン信号6455の処理(例えば、アップストロークおよび/またはダウンストロークを選択し、ストロークをミラーリングし、ミラーリングされたパルスを複製し、ミラーリングされた信号を伸張または圧縮する)が完了すると、再構築アップ信号6463および再構築ダウンストローク信号6465は、図7に関して後述のように、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によるさらなる処理において使用されてもよい。
図7は、本開示のある実施形態による、二次ウェーブレット特徴デカップリングを使用して、例えば、図6の再構築信号を解析するための例示的プロセスの工程図である。プロセス500は、ステップ530から開始し得、それぞれ、再構築アップ信号6463および再構築ダウン信号6465と同一であり得、かつその特徴の一部または全部を含み得る、アップ信号533およびダウン信号535は、任意の好適な方法を使用して、任意の原信号(例えば、PPG信号)から生成されてもよい。本開示のある実施形態では、両方の再構築信号の代わりに、一方の再構築信号(例えば、アップ信号533)のみ、プロセス500によって解析されてもよい。
プロセス500は、ステップ540に進み得、一次アップスカログラム543および一次ダウンスカログラム545が、任意の好適な方法を使用して、アップ信号533およびダウン信号535から少なくとも部分的に導出されてもよい。例えば、アップスカログラム543およびダウンスカログラム545は、図3(a)、3(b)、および3(c)に示されるスカログラムを導出するために使用された同一方法を使用して(例えば、連続ウェーブレット変換を使用して)導出されてもよい。ある実施形態では、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48は、アップ信号533およびダウン信号535の連続ウェーブレット変換と関連付けられた計算を行ってもよい。アップスカログラム543およびダウンスカログラム545は、任意の好適な特性周波数のマザーウェーブレットを使用して導出されてもよく、またはMorletウェーブレット等を形成してもよく、そこで、f0(その振動性質に関連する)は、(5.5/2π)Hzに等しい値または任意の他の好適な値をとり得る。
また、アップスカログラム543およびダウンスカログラム545は、任意の好適なスケール範囲にわたって導出されてもよい。例えば、アップスカログラム543およびダウンスカログラム545は、図3(c)に示されるように、帯域Aに対応するスケールの両側において、その特性周波数が、例えば、約0.8Hzに及ぶ、スケール範囲内のウェーブレットを使用して導出されてもよい。より狭いスケール範囲を使用して他のアーチファクト(例えば、雑音)の含有を排除するために、アップスカログラム543およびダウンスカログラム545を導出し、他PPG信号(例えば、パルス成分)内の着目成分に焦点を当て、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48が行うことを必要する計算数を最小にしてもよい。得られたアップスカログラム543およびダウンスカログラム545は、例えば、二次ウェーブレット特徴デカップリングを使用するといった、任意の好適な方法を使用して、さらに解析され得る帯域A等の増加エネルギーの少なくとも1つの面積に対応するリッジを含み得る。
プロセス500は、プロセス550に進み得、アップリッジ553およびダウンリッジ555は、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、任意の好適な方法を使用して、それぞれ、アップスカログラム543およびダウンスカログラム545から抽出され得る。例えば、アップリッジ553およびダウンリッジ555は、特定のスケール値において、PPG信号が、そのスケールの特性周波数に対応する高振幅を含有し得ることを表し得る。帯域A内に認められる振幅および/またはスケール変調は、別の成分(例えば、パルス帯域Aによって示されるように、患者の脈拍数)に及ぼすPPG信号の1つの成分(例えば、図3(c)内の呼吸帯域Bによって示されるように、患者の呼吸)の影響の結果であり得る。帯域Aに関して、アップリッジ553および/またはダウンリッジ555を抽出し、さらに解析することによって、また、帯域B自体が、例えば、雑音または他の誤信号特徴の存在下において遮蔽されているとき、一次帯域B(図3(c))を生じさせる、基礎的な物理プロセスと関連付けられる信号成分の性質に関する情報が抽出され得る。
プロセス500は、ステップ560に進み得、アップリッジ553およびダウンリッジ555は、それぞれ、任意の好適な方法を使用して、それぞれ、二次アップスカログラム563および二次ダウンスカログラム565にさらに変換され得る。ある実施形態では、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48は、アップリッジ553およびダウンリッジ555のさらなる変換を含む、連続ウェーブレット変換の任意の好適な照合と関連付けられた計算を行ってもよい。例えば、二次ウェーブレット特徴デカップリングが、二次アップスカログラム563および二次ダウンスカログラム565を導出するように、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、アップリッジ553およびダウンリッジ555のそれぞれに適用されてもよい。二次ウェーブレット特徴デカップリング技法は、帯域Aの振幅変調を検証することによって、図3(c)内の一次帯域Bに関する所望の情報を提供してもよく、そのような振幅変調は、一次帯域Bに関連し得る、PPG信号内の信号成分の存在に少なくとも部分的に基づいている。
アップリッジ553またはダウンリッジ555は、ウェーブレット空間内に追随し、振幅信号(例えば、図3(d)に示されるようなRAP信号)および/またはスケール信号(例えば、図3(d)に示されるようなRSP信号)のいずれかとして抽出され得る。ある実施形態では、「オフリッジ」技法が採用されてもよく、最大リッジ自体ではなく、アップリッジ553またはダウンリッジ555近傍の経路が、ウェーブレット空間内に追随さてもよい。また、オフリッジ技法を使用して、RAP信号内の振幅変調を求めてもよい。
RAPおよび/またはRSP信号は、アップリッジ553またはダウンリッジ555を時間振幅平面上に投影することによって抽出され得る。アップリッジ553およびダウンリッジ555のこの二次ウェーブレット分解によって、着目帯域(例えば、図3(c)内の帯域B)に関する情報を二次アップスカログラム563および二次ダウンスカログラム565のそれぞれの二次帯域(例えば、図3(d)内の帯域Cおよび帯域D)として利用可能にする。二次帯域のリッジは、帯域B自体が遮蔽され得るとき、一次着目帯域(例えば、呼吸帯域B)を生じさせる、基礎的な物理的プロセスと関連付けられた信号成分を解析する際に有用であり得る、二次帯域を生じさせる基礎的信号成分の瞬時的時間スケール特性の測定値としての役割を果たし得る。
ある実施形態では、二次アップスカログラム563および二次ダウンスカログラム565は、アップスカログラム543およびダウンスカログラム545を導出するために使用されたものと異なるスケール窓内において、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって導出されてもよい。二次アップスカログラム563および二次ダウンスカログラム565は、その特性周波数が約0.07Hzであるスケール等の任意の好適な最小値から、図3(c)内の帯域Aのリッジが存在し得るスケール等の任意の好適な最大値までのスケール範囲内のウェーブレットを使用して導出されてもよい。例えば、好適な最小スケール値と帯域Aが主に位置し得るスケール値との間の窓の使用によって、PPG信号の他の信号成分(例えば、帯域Bによって表される呼吸帯域)が解析可能となる。スケール値の窓は、依然として、PPG信号内の他のアーチファクト(例えば、雑音)の含有を排除するように選択されてもよい。
二次アップスカログラム563および二次ダウンスカログラム565は、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、ウェーブレット用の倍数fcに任意の好適な値を使用して導出されてもよい。例えば、fcの値は、アップスカログラム543およびダウンスカログラム545を導出し、二次アップスカログラム563および二次ダウンスカログラム565内の連続リッジの経路形成を低減するために使用されるfcの値より小さくてもよい。より小さいfcの値は、ウェーブレットの振動性質を減少させ得る。
プロセス500は、fcの異なる値におけるステップ560の反復であり得るステップ567に進み得る。fcの値は、ステップ567のスカログラム内の偽リッジを分解するために、ステップ560において使用される値より小さくてもよい。ステップ567の反復スカログラム内に形成されるリッジ断片を使用して、二次アップスカログラム563および二次ダウンスカログラム565内の安定領域を識別し得る。
プロセス500は、ステップ570に進み得、ステップ560のスカログラムおよびステップ567の反復スカログラム内に形成されるリッジ断片は、任意の好適な方法を使用して、1つ以上の所望のリッジを選択するように、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって解析され得る。1つ以上のリッジは、例えば、2008年6月30日出願のWatsonらの米国出願第61/077,029号「Systems and Methods for Ridge Selection in Scalogram of Signals」に記載の技法を使用して選択されてもよく、それは参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。例えば、リッジを断片解析するために、幅および開始位置(例えば、開始時間)の両方において可変であり得る時間窓が、ステップ560および567のそれぞれにおいて導出された1つ以上のアップ反復スカログラムおよび1つ以上のダウン反復スカログラムにわたってスライドされ得る。時間窓内のリッジ断片は、スケール、リッジ断片の長さ、他のリッジ断片に対するリッジ断片の近似性、および/または任意の他の好適な加重特性を単位として、特定のリッジ断片が取り得る経路の標準偏差の加重の観点からパラメータ化され得る。最高加重を有するリッジは、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によるさらなる処理のために選択され得る。ある実施形態では、最高加重を有するリッジは、作成されたスカログラムのうちの1つ内に安定領域を識別および選択するために使用されてもよい。
プロセス500は、ステップ580に進み得、振幅比例和法(sum along amplitude technique)が、任意の好適な方法を使用して、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、ステップ570から選択されたリッジに対応する帯域の少なくとも一部、またはステップ570から選択された二次スカログラムの少なくとも一部(例えば、識別された安定領域)に適用され得る。振幅比例和法は、スケール範囲内の各スケール増分に対して、任意の好適な時間窓(例えば、最小パラメータ化値を有するステップ570からの時間窓)にわたって、二次スカログラムの選択された部分の振幅(例えば、エネルギー)を合計し得る。結果として生じる和は、その後、スケール値の関数として、各スケール値の和をプロットすることによる等、任意の好適な方法において表されてもよい。ある実施形態では、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48は、振幅比例和ベクトルを生成し、それを選択された二次スカログラムに適用するために、任意の好適なソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェア、ならびに/あるいはそれらの組み合わせを含んでもよい。振幅比例和を適用する技法は、任意の好適な原信号の任意の二次ウェーブレット特徴デカップリング方法に適用されてもよい。例えば、ステップ570から選択されたリッジ断片が、ステップ567で導出されるアップ反復スカログラムのリッジ断片であった場合、振幅比例和法は、選択されたリッジ断片を含有する二次アップスカログラム563の少なくとも一部に適用されてもよい。同様に、ステップ570から選択されたリッジ断片が、ステップ567で導出されるダウン反復スカログラムのリッジ断片であった場合、振幅比例和は、選択されたリッジ断片を含有する二次ダウンスカログラム565の少なくとも一部に適用されてもよい。代替として、振幅比例和法は、二次アップスカログラム563または二次ダウンスカログラム565全体に適用されてもよい。振幅比例和法はまた、図6の原PPG信号6405のウェーブレット変換等、任意の好適な信号の任意の連続ウェーブレット変換に適用されてもよい。ある実施形態では、振幅比例和法は、スカログラム混合物、またはステップ560および567で導出される二次スカログラムから形成された重層に適用されてもよい。
プロセス500は次いで、ステップ590に進み得、振幅比例和関数は、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、スケール値の関数としてプロットされ得る。例えば、二次アップスカログラム563または二次ダウンスカログラム565のいずれかの少なくとも一部分の振幅(例えば、エネルギー)は、各スケール値増分に対する時間にわたって合計され得る。ある実施形態では、ステップ590において生成されたプロットは、システム10(図1)またはシステム400(図4)のユーザによる検討および解析のために、例えば、ディスプレイ20(図2)、ディスプレイ28(図2)、あるいは出力414(図4)上を含む、任意の好適な方法において、表示され得る。プロットから、振幅の合計に伴って減少するスケールの方向から移動する第1のピークまたはエッジが、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、あるいはシステム10またはシステム400のユーザによってのいずれかで識別され得る。第1のピークまたはエッジは、二次ウェーブレット変換が導出された原信号に関連する解析値を有し得る。二次アップスカログラム563および二次ダウンスカログラム565が、PPG信号から導出された場合、ステップ590のプロットの第1のピークまたはエッジは、患者40の呼吸速度を表し得る。
プロセス500は、所望の情報を配置するために、1つ以上の二次アップスカログラム563、1つ以上の二次ダウンスカログラム565、または2つ以上の二次スカログラムから形成された重層を使用し得ることが理解されるべきである。アップスカログラム543およびダウンスカログラム545は、それぞれ、振幅変調されたアップリッジ553およびダウンリッジ555を生成するために使用され得る。アップリッジ553およびダウンリッジ555は、再び変換されてもよいが、しかしながら、所望の情報(例えば、呼吸速度)を獲得し得る前である。
プロセス500は、任意の好適な方法において、患者40から得られるPPG信号に適用され得る。ある実施形態では、プロセス500は、システム10またはシステム400の一部として搭載され得るコンピュータアルゴリズムの形態をとってもよい。アルゴリズムは、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、PPG信号が、センサ12を使用して、または入力信号発生器410を使用して検出されることに伴って、リアルタイムでPPG信号データに適用され得る。ある実施形態では、アルゴリズムは、QSM72からのPPG信号サンプルに、あるいはRAM54またはROM52内に格納されるPPG信号サンプルからオフラインで適用されてもよい。任意の好適な方法において(例えば、ディスプレイ20、ディスプレイ28、または出力414を使用して)表示され得るアルゴリズムの出力は、任意の好適な目的のために(例えば、患者40の呼吸器の健康状態を評価する)、システム10またはシステム400のユーザによって使用され得る患者40の呼吸速度を含み得る。ある実施形態では、アルゴリズムは、患者40の呼吸速度を計算する際に、いくつかの効果を提供し得る。アルゴリズムは、選択されたアップストロークまたはダウンストロークが、所望の軸に関してミラーリングされ、その所望の軸に関して対称であるパルスを生成する点において、強制された対称性を使用し、かつ新しい信号(例えば、アップ信号533またはダウン信号535)が、任意の好適な数の対称パルスを使用して生成され得る。強制された対称性により、アップ信号533およびダウン信号535からのスカログラム543ならびに545のより正確な導出と、アップリッジ553およびダウンリッジ555のより正確な抽出とを可能にすることによって、呼吸速度決定の精度が向上し得る。また、プロセス500アルゴリズムは、患者の呼吸速度を効率的に決定するために使用され得るサンプル数または患者データの割合を大幅に改善してもよい。プロセス500アルゴリズムの使用によって、ミラーリングアルゴリズムを使用する呼吸速度の計算と、別の方法(例えば患者の鼻サーミスタ信号における1つ以上の呼吸特徴を数えることによって)を使用する呼吸速度の計算との間に認められる差異の標準偏差をさらに改善し得る。しかしながら、プロセス500アルゴリズムの使用へのトレードオフは無効であり、それゆえ患者40の呼吸速度を決定するために使用することができないと分類される患者データ量の増加(例えば、およそ7%)を含む場合がある。
図8(a)は、本開示のある実施形態による、未加工の吸光度PPG信号等の信号800、および信号800から導出される例示的スカログラム810のプロットを示す。信号800は、上述のように、患者に取り付けたパルス酸素濃度計センサから獲得される赤色光信号または赤外線信号を含み得る。信号800は、患者血液がかん流された組織(例えば、指先、爪先、足)の一部を通過した後に、図8(a)に図示されるようにプロットされ得る。パルス酸素濃度計センサは、さらなる解析のために、任意の好適な処理ユニット(例えば、図4のプロセッサ412または図2のマイクロプロセッサ48)に信号800を伝送してもよい。
スカログラム810は、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、信号800から導出され得る。スカログラム810は、患者のパルス速度(パルス帯域Pに関連)または患者の呼吸速度(呼吸帯域Bに関連)等、着目臨床パラメータに関連し得る帯域を含む任意の好適な特徴だけでなく、信号800内に存在した任意の他のアーチファクト(例えば、アーチファクトA)も含み得る。スカログラム810、840(図8(b))、および880(図8(c))に関して、示すグレースケールは、より明るい色調で陰影を付けられている高エネルギー成分、およびより暗い色調で陰影を付けられているより低いエネルギー成分に対応し得ることは理解されるものとする。陰影付けは、黒および白の色調が、各スカログラムにおいてそれぞれ最低および最高エネルギーに対応し得るように自動的にスケーリングされ得る。スカログラム810、840、および880に使用される陰影付けは、必ずしも各スカログラム内の同一絶対値に対応するとは限らないことが、さらに理解されるものとする。
図8(b)は、本開示のある実施形態による、未加工の吸光度PPG信号800から再構築されたアップストローク信号830、およびアップストローク信号830から導出された例示的スカログラム840を示す。同様に、図8(c)は、本開示のある実施形態による、未加工の吸光度PPG信号800から再構築されたダウンストローク信号870およびダウンストローク信号870から導出された例示的スカログラム880を示す。アップストローク信号830およびダウンストローク信号870は、図5および6に関して記載した方法を含む、任意の好適な方法を使用して再構築されてもよい。スカログラム840およびスカログラム880は、図7に関して記載した方法を含む、任意の好適な方法を使用して導出されてもよい。スカログラム840および880は、アーチファクト(例えば、スカログラム810内のアーチファクトA)の含有を排除し、着目成分(例えば、色調がより明るく見え、それによって、スカログラム810内よりスカログラム840および880の両方におけるエネルギーがより高いパルス帯域P)に焦点を当て、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48が行うことを必要する計算数を最小にするように、より狭いスケール範囲を使用して導出されてもよい。スカログラム840および880は、例えば、二次ウェーブレット特徴デカップリングを使用するといった任意の好適な方法を使用してさらに解析され得る、帯域P等の増加エネルギーの少なくとも1つの面積に対応するリッジを含み得る。帯域B自体が、例えば、雑音または他の誤信号特徴の存在下において遮蔽されている場合、帯域Pに関するリッジを抽出し、さらに解析することによって、スカログラム810に呼吸帯域Bを生じさせる、基礎的な物理的プロセスと関連付けられた信号成分の性質に関する情報が抽出され得る。
図7に記載するような振幅比例和法は、連続ウェーブレット変換を使用して変換されている任意の好適な信号に適用され得る。図9は、本開示のある実施形態による、振幅比例和をスカログラムに適用するための例示的プロセスの工程図である。プロセス900は、ステップ902から開始し得る。ステップ904において、信号が獲得され得る。例えば、信号は、システム10内のセンサ12、またはシステム400内の入力信号発生器410を使用して患者40から獲得されるPPG信号を含んでもよい。
プロセス900は、ステップ906に進み得、信号は、任意の好適な方法を使用して変換され得る。例えば、PPG信号は、式(9)を使用する上述の通り、連続ウェーブレット変換を使用して変換され得る。ステップ908において、スカログラムは、任意の好適な方式で、ステップ906からの変換された信号に少なくとも部分的に基づいて生成されてもよい。例えば、スカログラムは、エネルギー密度関数式(10)を使用して生成されてもよく、図3(a)、3(b)、および3(c)に関する上述の特徴の一部または全てを含み得る。ある実施形態では、PPG信号のスカログラムは、パルス情報および呼吸情報を含有する任意の好適な数の帯域を含んでもよく、各帯域がリッジを含んでもよい。リッジは連続していてもよく、または任意の好適な数のリッジ断片を含んでいてもよい。
プロセス900は、ステップ910に進み得、スカログラムの任意の好適な領域が選択されてもよい。例えば、リッジ断片を含有する一部のスカログラムが選択されてもよい。代替として、スカログラム全体が選択されてもよい。プロセス900は、ステップ912に進み得、選択された領域内の各スケールに対して、そのスケールにおける時間にわたる振幅(例えば、エネルギー)の和が得られてもよい。したがって、スカログラムの領域に対して、和の任意の好適な数が、所与の時間窓内で計算されてもよい。技法は、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、選択されたリッジに対応する少なくとも一部分の帯域、またはスカログラムの少なくとも一部に適用されてもよい。ある実施形態では、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48は、振幅比例和ベクトルを生成し、それを選択された領域に適用するために、任意の好適なソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェア、ならびに/あるいはそれらの組み合わせを含んでもよい。ある実施形態(図示せず)では、2より多いスカログラムが、ステップ908(例えば、2つのスカログラムが2つのPPG信号の変換から生成され得る)において生成された場合、振幅比例和法は、スカログラム混合物、またはスカログラムから形成される重層に適用されてもよい。ある実施形態(図示せず)では、振幅比例和関数(例えば、各スケール値に対して得られる和)は、任意の好適な手法を使用して、スケール値の関数としてプロットされてもよい。例えば、プロットは、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって生成されてもよく、システム10(図1)またはシステム400(図4)のユーザによる検討および解析のために、ディスプレイ20(図2)、ディスプレイ28(図2)、または出力414(図4)上に表示されてもよい。
プロセス900は次いで、ステップ914に進み得、(例えば、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48を使用して)最大値が識別され得る。ある実施形態では、最大値は、プロセッサ412またはマイクロプロセッサ48によって、あるいはシステム10またはシステム400のユーザによって、プロットから識別されてもよい。ある実施形態においては、最大値は、振幅の和に伴って減少するスケールの方向から移動する、第1のピークまたはエッジであってもよい。第1のピークまたはエッジは、スカログラムまたはスカログラムがそこから生成され得るPPG信号に関連する解析値を有してもよい。
プロセス900は、ステップ916に進み得、ステップ914で識別される最大値と関連付けられ得る所望のスケール値が選択されてもよい。例えば、原信号がPPG信号であった場合、ステップ914における第1のピークまたはエッジは、その最大値におけるスケール値に関連し得る。スケール値は、患者40の呼吸速度を表し得る。次いで、プロセス900は、ステップ918に進み、終了し得る。
前述が本開示の原理の例示に過ぎず、本開示は記載の実施形態以外によっても実施することができることは理解されるであろうし、記載の実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示されている。