JP2011513401A - フラーレンを投与することにより動脈プラークの蓄積を抑制するための方法 - Google Patents
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Abstract
本明細書に開示されるのは、それを必要とする被験体において動脈プラークの蓄積を抑制する方法である。これらの方法は、治療有効量のフラーレンを、それを必要とする被験体に投与することを含む。
Description
本開示は、ヒトにおける動脈プラークの蓄積を抑制するための方法に関する。
心血管疾患は、工業世界全体の主要な健康危機である。心血管疾患のなかでもっとも蔓延しているアテローム性動脈硬化症は、心臓発作、脳卒中、及び四肢の壊疽の主原因であり、それにより、米国における主な死亡原因となっている。アテローム性動脈硬化症は、多くの細胞型及び分子的因子が関与する複合病である(詳細な総説は、Ross,Nature 362:801−809(1993)参照)。
アテローム性動脈硬化症は、動脈の内層(内膜)における脂肪性物質、主にコレステロールの沈着、及びそれに続く線維症により特徴づけられる疾患であり、その結果、動脈壁の内表面上へのプラーク沈着及びその内部での退行性変化が生じる。広範な動脈脂肪性プラークは、アテローム性動脈硬化症のもっとも初期の病変であり、マクロファージ(白血球)及び平滑筋線維からなる全体的に平坦で脂質が豊富なアテローマである。進行性アテローム性動脈硬化症の種々の形態の線維性プラークは、結合組織マトリックス並びに様々な量の細胞内及び細胞外脂質により囲まれた内膜平滑筋細胞を増加させている。動脈の管腔表面では、平滑筋又は結合組織の密な線維性被膜が、通常、このプラーク又は病変を覆っている。線維性被膜の下では、マクロファージ、他の白血球、及び平滑筋細胞からなる病変は高度に細胞性である。この細胞が豊富な領域の深部には、コレステロール結晶、壊死片及びカルシウム沈着の領域が存在する可能性がある。
前記疾患は、進行させると、動脈管腔の狭窄と閉塞、血流の減少と閉塞、結果的に脳、心臓、腸若しくは四肢などの大部分が罹患した臓器又は解剖学的部分の虚血又は梗塞を引き起こすことがある。その結果は、著しい機能喪失、細胞物質の喪失、緊急医療処置及び/又は外科的処置、並びに著しい能力障害又は死に至ることがある。或いは、動脈壁は、脂質(コレステロール)、炎症性白血球、結合組織及びカルシウムでの筋層の浸潤によりひどく弱まり、そのために、分節状に拡張(動脈瘤性)しうる柔らかく且つ/又は脆弱な領域、並びに臓器、肢若しくは生命をも脅かす出血をもたらす破裂又は亀裂を生じることがある。
前記疾患が、著しい持続性症状及び機能不全の段階まで進行してしまうと、次の処置段階は、従来、損傷動脈を修復及び/又は置換するための動脈バイパス術であった。米国では冠動脈バイパスはもっとも一般的で主要な心血管外科的処置の1つになったが、外科手術は前記病理過程の解決策でないことは明らかである。さらに、多くの患者が受け容れたがらない外科手術に付随する罹患率及び死亡率という重大な危険性がある。実際、疾患障害動脈を迂回するために使用される自家性静脈又は動脈は、一般に最初の罹患動脈よりも速い速度で手術後にアテローム性動脈硬化の変化を受ける。国立心肺血液研究所(NHLBI)の支援を受けた冠動脈手術研究(CASS)では、患者のある種の小集団は、他の医療処置と比べてバイパス手術からいかなる全体的統計的恩恵も受けてはいないという結論が出された。Carraciolo,Circulation,91(9):2335−44(1995)。
冠動脈バイパス手術の代替として、ある種の薬物と処置を使用して、アテローム性動脈硬化症の結果を治療する。これらの治療には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を使用したキレート化及び経皮的冠動脈形成術(PTCA)が挙げられる。しかし、EDTA治療はまだ実験段階で、未証明であり、有益であるのと同程度に潜在的に有害である。PTCA治療は、浸潤性で、適用と成功は限られており、時折、致命的合併症を示す。極めて実験的な動脈内レーザー光プラーク蒸発は、適用が限られていて、罹患血管に対する開放手術法が必要である。
心筋梗塞、冠動脈心疾患、高血圧、及び低血圧を含む血管閉塞及び心血管障害、脳卒中、脳血栓、及び脳卒中による記憶喪失を含む脳血管障害、末梢血管障害、並びに腸梗塞は、動脈硬化性プラークによる動脈及び小動脈の遮断により引き起こされることは現在では十分に明らかとなっている。動脈硬化性プラーク形成の生成は、その生成において多因子性である。高コレステロール血症、特に、上昇レベルの低比重リポタンパク質コレステロール(LDL)は、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症及び関連疾患の重要な危険因子である。
リポタンパク質は、親油性トリグリセリド及びコレステリルエステルが疎水性コア中にあり、両親媒性脂質、リン脂質及び遊離コレステロールがアポリポタンパク質を有する表面上にある球状粒子である。身体に入るコレステロールの量が増加すると、肝細胞内のステロールのプールが膨張し、血液からLDLを取り除く受容体が下方調節され、したがって血液中のLDLレベルを増加させる。コレステロール摂取が一定である場合、一部の長鎖飽和脂肪酸が肝LDL受容体をさらに抑制するが、いくつかの不飽和脂肪酸は逆の効果を有する。リポタンパク質(a)[Lp(a)]は、冠動脈、頸動脈及び脳動脈の両疾患に関連する血漿リポタンパク質として現れている。リポタンパク質は、LDLに構造的に関連しており、粒子あたり1分子のアポリポタンパク質B100を有する。マクロファージは、酸化的に修飾されたLp(a)を容易に認識するスカベンジャー受容体を発現する。Marcovina&Morrisett,Current Opinion In Lipidology,6:136−145(1995)。
200mg/dl未満のコレステロールレベルは、「望ましい」と見なされる。スカンジナビア人の研究では、コレステロールの低下は、冠動脈疾患(CAD)に関連する死亡率を6年間かけて42%減少させ、全死亡率を30%減少させることが明らかにされた。J.Hardman&L.Lipman,Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis Of Therapeutics(9th ed.1996)(下文では、“J.Hardman”)。研究者らにより、1mMol/Lのトリグリセリドレベルの増加は、女性では心血管疾患危険性の76%の増加、男性では31%の増加をもたらすことが明らかにされた。Austin,American Journal of Cardiology,83(9B):13F−16F(1999)。すでに疾患に罹患している患者においても、LDLコレステロールを2から2.5mmol/Lまで下げると、その進行を遅延させ、後退させることさえある。Illingsworth,Drugs,41(20):151−160(1991)。
コレステロール濃度が240mg/dL(6.2mM/L)より高く上昇している患者は治療を受けることが、200〜239mg/dL(5.2から6.2mM/L)間の境界線値の患者は、患者の性別、更年期後状態、低血漿濃度の高比重リポタンパク質コレステロール(HDL)コレステロール(35mg/dL[0.9mM/L]より下)、陽性家族歴、喫煙、高血圧及び糖尿病を含む冠動脈疾患の危険因子の存在によりさらに評価されることが勧められる。Expert Panel on Detection,Evaluation,and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults,J.Am.Medical A.,269(23):3015−3023(1993)。他の因子には、肥満、高トリグリセリド血症、座ることの多い生活、ステロイド使用、ベータアドレナリン遮断薬、一部の利尿薬及び遺伝因子が挙げられる。Frohlich&Pritchard,Clinical Biochemistry.22:417−433(1989)。
1980年代までには、アテローム性動脈硬化性疾患を予測するのに、LDLよりもHDLレベルのほうが重要である可能性があり、HDLはCAD発症を予防する可能性があることが認識されていた。同文献。喫煙、肥満、高トリグリセリド血症、遺伝因子、及び運動不足などの要因が、血清HDLの低下の主原因である。HDLコレステロールリポタンパク質は、過剰なコレステロールを排泄のために肝臓外臓器から肝臓へ移動させる。Dietschy,Am.J.Clinical Nutrition,65:1581S−9S(1997)。ほぼすべての身体組織は、前駆アセチル補酵素A(CoA)から少なくともある程度のコレステロール合成を可能にするという証拠が存在する。毎日、HDLは、内分泌腺を除くあらゆる肝臓外臓器により合成され、LDLとして取り込まれる量に等しい量のコレステロールを肝臓に戻す。受容体非依存性である第2のLDL輸送過程が存在する。同文献。動脈壁細胞からの遊離コレステロールの除去は、HDLがアテローム産生抑制の役割を演じる重要な機構である可能性がある。J.Hardman,上記参照、878。
アテローム発生においてもっとも初期に認識される肉眼的病変は、脂肪線条であり、血管内皮の真下でコレステリルエステルが詰まった細胞(「泡沫細胞」)の蓄積により特徴づけられる。動脈内のLDL受容体は、泡沫細胞、及びアテローム性動脈硬化症のもっとも初期の病変である脂肪線条を生じるが、その形成には受容体非依存性機構も存在する。これは、LDL受容体が欠損している患者及び動物においてもマクロファージ由来泡沫細胞が豊富な病変が発生すること、並びに、LDLと一緒にインキュベートされた正常な単球及び単球由来マクロファージから泡沫細胞を産生できないことにより実証されている。これにより、研究者たちは、LDLが新しい特異的受容体、すなわち「スカベンジャー受容体」により泡沫細胞へ取り込まれる前のLDLの分泌後修飾の可能性を探求した。Steinberg,New Eng J.Medicine,320(14):915−924(1989)。
高コレステロール血症のどんな所与のレベルでも、臨床疾患にはかなりの変動が存在する。リポタンパク質の構造における分泌後修飾は、そのアテローム生成の潜在性に影響を与えると思われる。Steinberg,上記参照、915。重要なのは、LDLコレステロールの上昇したレベルだけではなく、アテローム性動脈硬化症をもたらすその酸化でもある。この理由で、抗酸化剤は、アテローム性動脈硬化性疾患の危険性を低下させると考えられている。Mortensen,Molecular Aspects of Medicine,18:s137−s144,(Supp.1997)。LDL脂質における多価不飽和脂肪酸の過酸化は、その変化の一般的開始因子であり、酸化LDLの細胞毒性はいくつかの研究グループにより証明済みであり、良性脂肪線条病変をアテローム性プラークへ裸出する可能性がある。Steinberg,上記参照、918。
研究者らは、動脈壁内でのLDLの酸化それ自体がもっとも重要であると考えている。Ocana,New Eng.J.Medicine,312(17):1196−1197(1989)。正常対照、並びに症例群中で喫煙者の大部分、LDLコレステロールが比較的高い男性、及び銅の血清レベルが比較的高い男性よりも、アテローム性動脈硬化症の男性のほうが、MDL−LDLに対する自己抗体は有意に高い力価で見られた。Salonen,339 LANCET 883−887(1992)。
研究者らは、マクロファージと一緒のLDLのインキュベーション効果もすでに研究しており、その環境ではLDLは、同一細胞内のアセチルLDL又はスカベンジャー受容体により酸化され、認識され、取り込まれることを見出した。アルファトコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びプロブコールはこの過程を遮断する。Parthasarathy,Arteriosclerosis,6(5):505−10(1986)。強力な抗酸化剤であるプロブコールを使用した治療は、高脂血症のウサギにおける脂肪線条病変の発生速度を著しく低下させたが、血漿コレステロールレベルは、ロバスタチン治療動物よりも低くはなかった。Carew,Schwenke&Steinberg,PNAS USA,84:7725−7729(1987)。類似する結果が、内皮細胞を使用したLDLの培養物において実証されている。Steinbrecher,PNAS,81:3883−3887(1984)。単球及び好中球は、LDLと一緒にインキュベートされると、LDLを酸化し、LDLを有毒にする。Cathcart,Morel&Chisolm,J.Leukocyte Biology,38:341−350(1985)。
フラーレンは、一般に20から200個の炭素原子の閉鎖ケージを含む炭素同素体のファミリーであり、外面に結合している又はケージ内部に取り込まれている化学的部分を含むこともある。フラーレンは、中空球、楕円体又は管の形態になることができる。これまででもっとも一般的なフラーレンは、C60バックミンスターフラーレン(IUPAC名 (C60−Ih)[5,6]フラーレン)である。別のかなり一般的なバックミンスターフラーレンはC70であるが、72、76,84及び最大200個の炭素原子のフラーレンも得ることができる。フラーレンは500個以上の炭素原子を含有することができる。
構造異形には、非閉鎖ケージ構造体、ヘテロフラーレン、ヒドロフラーレンの置換により形成される誘導体、有機環又は環系のフラーレンケージへの融合体、キラルフラーレン、バッキーボールクラスター、ナノチューブ、メガチューブ、ポリマー、ナノ「タマネギ」、連結「ボールアンドチェイン」ダイマー、及びフラーレン環が挙げられる。たとえば、Miessler and Tarr,Inorg.Chem.3,Pearson Education International.ISBN 0−13−120198−0(2004);Mitchel et.al.,Inorg.Chem.40:2751(2001);Sano,Nature(London),414:506(2001);Shvartsburg,Phys.Chem.103:5275(1999);and Li et al.,Chem.Phys.Lett.335:524(2001)を参照されたい。
一般に、フラーレンは疎水性であり、多くの溶媒にやや溶けにくい。Braun et al.,Fullerenes,Nanotubes and Carbon Nanostructures,15;311−314(2007)を参照されたい。しかし、フラーレンを官能化するための種々の方法が当技術分野では既知であり、フラーレン誘導体の一部は水溶性である。たとえば、Chiangへの米国特許第5648243号、米国特許出願公開第2008/0004345号及び米国特許出願公開第2004/0044062号;Jensen et al.,Bioorganic&Medicinal Chemistry,4:767−79(1996);Da Ros et al.,Croatica Chemica Acta CCACCA 74:743−55(2001);Wilson,“Perspectives in Fullerene Nanotechnology,”Osawa,ed.,(Kluwer Academic Publishers,Dorcrecht,Netherlands,2000);Syrensky,et al.,Kopf Carrier #63,(David Kopf Instruments Tujunga,California,Sept 2006);Y.L.Lai and L.Y.Chiang,J.Autonomic Pharmacol.,17:229(1997);Schinazi et al.,Proc.Electrochem.Soc.,97:10,(1997);Lai et al.,World J.Surg.,24:450(2000);Jin et al.,J.Neuroscience Res.,62:600(2000);Huang et al.,Free Radical Biol.Med.,30:643(2001);Chi et al.,“Perspectives of Fullerene Nanotechnology,”pp165−183,E.Osawa ed.,(Kluwer Academic Publisher,Great Britain,2002);Dugan et al.,P.N.A.S.94:9434−39(1997);Dugan et al.,Parkinsomism&Related Disorders 7:243−46(2001);Quick et al.,Neurobiol of Aging(electronic publication 2006);Kato et al.,Chem&Biodiv.,2:1232−1241(2005);Georgakilas et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.99:5075−5080(2002)を参照されたい。
脂質小胞へのフラーレンの取込みも研究されてきた。(たとえば、Bensasson et al.,Journal of Physical Chemistry,98:3492−3500(1994);Hirsch et al.,Angewandte Chemie International Edition,39:1845−1848(1999);米国特許第7070810号;Felder,et al.,Helv.Chim.Acta,85:288−319(2002)参照)。
レクチン又は抗体などの特定の生物活性のある基を提示するように、フラーレンをその表面で修飾することもできる。たとえば、米国特許出願公開第2005/0043787号、米国特許第5310669号を参照されたい。ある種の化学的に修飾されたフラーレンは市販されている。たとえば、BuckyUSA,Houston,Texas and American Dye Source,Inc.,Quebec,Canadaを参照されたい。
フラーレン及びフラーレン誘導体は、フリーラジカルスカベンジャーとして提唱されている。たとえば、Haddon,J.Am.Chem.Soc.112:3389(1990);Chiangへの米国特許第5648243号、Duganによる米国特許出願公開第2003/0162837号;Wilsonへの米国特許第7163956号;Kepley,J.Immunol.179:665(2007)を参照されたい。
本明細書に開示されるのは、個体における動脈プラークの蓄積を抑制する方法である。
種々の実施形態によれば、本明細書に開示されるのは、それを必要とする被験体において動脈プラークの蓄積を抑制する方法である。これらの方法は、治療有効量のフラーレンを、それを必要とする被験体に投与することを含む。
この詳細な説明に従って、以下の省略形及び定義が適用される。本明細書で使用するように、単数形「a」、「an」及び「the」は、明らかに文脈上異なる形で指示していない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、たとえば、「化合物」への言及は、複数のそのような化合物を含み、「用量」への言及は、1つ又は複数の用量及び当業者には既知のその等価物などへの言及を含む。
本開示において論じられる出版物は、本出願の出願日より前のその開示についてのみ提供される。本明細書において、本開示が、事前開示という理由でそのような出版物に先行する資格がないことを認めたものとして解釈されるべきではない。さらに、示された公表日は実際の公表日とは異なることがあり、これは独立して確認する必要がある可能性がある。
別段述べられていない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される以下の用語は、下に示す意味を有する。
本明細書において使用される「フラーレン」又は「フラーレン分子」とは、炭素ケージ分子のフラーレンファミリーの任意のメンバーのことである。フラーレンは、一般に、環が単及び二重炭素−炭素共有結合の組合せにより結合される閉鎖ジオデシック球又はスフェロイドを形成するように配置された五及び六員環で形成される炭素構造体である。本開示におけるフラーレンは、式:C2sにより定義することができ、sは、約30から約200又は約30から約100など、30より大きく又は30に等しい。たとえば、フラーレンはC60、C70、及び分子量がC60からC84、C90、及びさらに大きなそのような分子までに及ぶ類似の分子を含み、形状は球体から楕円体、細長い形状及び他の形状までに及び、単層だけではなく、積み重ねられた又は平行な層からなる多層ケージを含む。フラーレンは、無修飾でもよく、又は誘導化されていなくてもよい。或いは、フラーレンは、炭素ケージ内部に、金属原子などの1つ若しくは複数の原子、又は他の小型の化学基を包み込んでいてよく、そのようなフラーレンは内包フラーレンと呼ばれることもある。フラーレンには、本明細書で使用されるように、化学官能基が炭素ケージの表面に結合している構造体も含まれる。官能基は、炭素−炭素二重結合の開口を介して炭素ケージに共有結合させることができる。フラーレンには、他の構造変異体、誘導体、及び/又は本明細書に記載され、且つ/若しくは当技術分野で既知の修飾若しくは官能化されたフラーレンも含まれる。フラーレンは、合成のものでもよく、又は天然に存在するものでもよい。合成フラーレン分子は、既知の方法により実験室で調製することができ(たとえば、米国特許第5177248号、及びKratschmer et al.,Chem.Phys.Lett.,170,167−170(1990)参照)、又は市販品を購入することができる。
一実施形態では、フラーレンは水溶性であり、つまり、フラーレンは水溶液中でほぼ均一に分布し、著しく沈殿することはない。水溶性フラーレンは、上記のように当技術分野では既知であり、たとえば、1つ又は複数の親水性化学基を炭素ケージ表面に結合させることにより合成することができる。適切な親水性化学基には、ヒドロキシル又はポリヒドロキシル基及びN−エチルポリアミノ基が挙げられる。水溶性フラーレンの非限定的な例には、C60(OH)n、C60(NH−CH2−CH3)n、及びC70−テトラグリコール酸が挙げられる。水溶性フラーレンの他の多くの例は既知であり、リン酸イオン、硫酸イオン、アンモニウムイオン、カルボン酸イオン、若しくは他の荷電基などの1つ若しくは複数の荷電基、又は、ヒドロキシル若しくはポリヒドロキシル基などの親水性、並びに、炭水化物、ペプチド、タンパク質、ヌクレオチド及びDNAの付加物を含むことができる。
別の実施形態では、両親媒性又は親油性基などの化学基を、親水性化学基の代わりに、又はそれと組み合わせて炭素ケージに結合させることができる。
本明細書で使用される「フラーレン」又は「フラーレン分子」とは、式Zm−F−Ynの両親媒性又は親油性の合成的に修飾されたフラーレン、及び式Z’m−F−Y’nの親水性又は両親媒性の合成的に修飾されたフラーレンを含む、本明細書に記載されるある種の合成的に修飾されたフラーレン分子のことである。フラーレンは、60から200個の炭素原子の閉鎖ケージを含み、それは、ケージの外面に結合し、且つ/又はケージ内部に取り込まれた化学的部分を含んでいてもよい。
両親媒性又は親油性の合成的に修飾されたフラーレン分子は、2008年3月3日に出願された同時係属の米国特許出願第2/073230号、米国特許出願公開第2008−0213324−A1号、表題AMPHIPHILIC OR LIPOPHILIC POLAR FUNCTIONALIZED FULLERENES AND THEIR USESに記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれている。
同時係属出願に記載されている両親媒性又は親油性及び親水性又は両親媒性の合成的に修飾されたフラーレン分子は、エクアトリアル帯及び2つの反対の極があって、アスペクト比≠1を有し、一方の極又は両極に付加体を含むフラーレンを含む。
一実施形態では、両親媒性又は親油性の合成的に修飾されたフラーレンは、式
Zm−F−Yn
を有する
[式中、Fは、式Cp又はX@Cpのフラーレンであり、前記フラーレンは、2つの対極、及びエクアトリアル領域を有し、
Cpは、p個の炭素原子を有するフラーレンケージを表し、X@Cpはケージ内部に化学基Xを有するそのようなフラーレンケージを表し、
Z及びYは、Cpのそれぞれの対極近くに位置しており、
m=1〜5であり、Zは親水性、親油性又は両親媒性化学的部分であり、
n=1〜5であり、Yは親油性化学的部分であり、
p=60〜200で、pは偶数であり、
Xは、存在する場合、任意選択で式Gi=1〜3Hk=3−iNのトリニトリドの形態のフラーレン(F)内部の1つ又は複数の金属原子を表し、G及びHは金属原子である]。
Zm−F−Yn
を有する
[式中、Fは、式Cp又はX@Cpのフラーレンであり、前記フラーレンは、2つの対極、及びエクアトリアル領域を有し、
Cpは、p個の炭素原子を有するフラーレンケージを表し、X@Cpはケージ内部に化学基Xを有するそのようなフラーレンケージを表し、
Z及びYは、Cpのそれぞれの対極近くに位置しており、
m=1〜5であり、Zは親水性、親油性又は両親媒性化学的部分であり、
n=1〜5であり、Yは親油性化学的部分であり、
p=60〜200で、pは偶数であり、
Xは、存在する場合、任意選択で式Gi=1〜3Hk=3−iNのトリニトリドの形態のフラーレン(F)内部の1つ又は複数の金属原子を表し、G及びHは金属原子である]。
例示的な変化量では、pは、60から120までの偶数であり、p=60〜96がより一般的であり、p=60又はp=70が好ましい。各化学的部分Zが式ArBで構成されており、Aは親水性、親油性又は両親媒性化学的部分であり、r=1〜4であり、Bは前記Aをフラーレンに連結させる化学リンカーであり、各化学的部分Yは式DEvで構成されており、Eは親油性化学的部分であり、v=1〜4であり、Dは親油性化学的部分をフラーレンに連結する化学リンカーである、合成的に修飾されるフラーレンを配置することができる。
両親媒性又は親油性の合成的に修飾されたフラーレンは、前記極が扁長楕円体フラーレンの主軸の反対の末端に位置するように、主軸を有する扁長楕円体形のフラーレンになることができる。或いは、フラーレンは、対極が反対の炭素環を通る軸により定義されるスフェロイドになることができる。分子が水媒体中で脂質二重層に接触している場合、Fのエクアトリアル領域が、リン脂質二重層内部に又はそれにごく接近して選択的に位置するように、Z及びYを構成することができる。分子は、伸長した配置で、約2.1から15のアスペクト比及び約2nm未満の径を有するように構成することができる。そのような配置は、分子の脂質二重層への取込みには好ましい配置である。
別の実施形態では、両親媒性又は親油性の合成的に修飾されたフラーレン分子は、式Z(Cp)Yを有し、式中、p=60〜200炭素、好ましくはp=60又は70であり、Yは、その極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親油性部分であり、Zは、前記Yの反対の極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親油性部分、両親媒性部分、又は親水性部分であり、前記親油性部分Yは合成フラーレン分子を脂質膜に繋ぎ止めることができる。
別の実施形態では、両親媒性又は親油性の合成的に修飾されたフラーレン分子は、式Z(Cp)Yを有し、式中、p=60〜200炭素、好ましくは、P=60又は70であり、Yは、その極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親油性部分であり、Zは、前記Yの反対の極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親水性部分であり、前記親油性部分Yは合成フラーレン分子を脂質膜に繋ぎ止めることができる。
別の実施形態では、両親媒性又は親油性の合成的に修飾されたフラーレン分子は、式Z(C70)Yを有し、式中、Yは、その極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてC70に共有結合している親油性部分であり、Zは、前記Yの反対の極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてC70に共有結合している親油性部分、両親媒性部分、又は親水性部分であり、前記親油性部分Yは合成フラーレン分子を脂質膜に繋ぎ止めることができる。
別の実施形態では、両親媒性又は親油性の合成的に修飾されたフラーレン分子は、式Z(C70)Yを有し、Yは、その極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親油性部分であり、Zは、前記Yの反対の極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親水性部分であり、前記親油性部分Yは合成フラーレン分子を脂質膜に繋ぎ止めることができる。
別の実施形態では、両親媒性又は親油性の合成的に修飾されたフラーレン分子は、式Zm−F−Ynを有することができ、
[式中、Fは式Cpのフラーレンであり、p=60〜200炭素、好ましくはp=60又は70を有し、
m=1〜5で、各Zは基ArBsであり、r=1〜4、s=1〜4であり、Aは、1つ又は複数のリンカーBを通じてフラーレンに結合された1つ又は複数の親水性又は荷電基であり、
n=1〜5で、各Yは基DtEvであり、t=1〜4、v=1〜4で、Eは、1つ又は複数のリンカーDを通じてフラーレンに結合された1つ又は複数の親油基であり、
X及びYはFの対極に又は対極の近くに位置している]。
[式中、Fは式Cpのフラーレンであり、p=60〜200炭素、好ましくはp=60又は70を有し、
m=1〜5で、各Zは基ArBsであり、r=1〜4、s=1〜4であり、Aは、1つ又は複数のリンカーBを通じてフラーレンに結合された1つ又は複数の親水性又は荷電基であり、
n=1〜5で、各Yは基DtEvであり、t=1〜4、v=1〜4で、Eは、1つ又は複数のリンカーDを通じてフラーレンに結合された1つ又は複数の親油基であり、
X及びYはFの対極に又は対極の近くに位置している]。
ある種の実施形態では、両親媒性又は親油性の合成的に修飾されたフラーレンは、フラーレンのエクアトリアル帯近くのラジカル除去ゾーンがリン脂質二重層内部に又はそれにごく接近して位置するように、フラーレン分子を細胞のリン脂質二重層内部に位置させることができる幾何学的配置を有する。
複数のそのような合成的に修飾されたフラーレン分子は、リポソーム内などのリン脂質内で均一に分散させることができる。本明細書に記載される両親媒性フラーレン分子は、一般に、単独では小胞を形成しないが、小胞を形成するためには、膜形成リン脂質を1:1(脂質対フラーレン付加体)より大きいモル比で必要とする。
本明細書に記載される方法は、式
Z’m−F−Y’n
の親水性又は両親媒性の合成的に修飾されたフラーレンも包含する
[式中、Fは、式Cp又はX@Cpのフラーレンであり、前記フラーレンは、2つの対極、及びエクアトリアル領域を有し、
Cpは、p個の炭素原子を有するフラーレンケージを表し、X@Cpは、ケージ内部に化学基Xを有するそのようなフラーレンケージを表し、
Z’及びY’は、Cpのそれぞれの対極近くに位置しており、
m=1〜5であり、Z’は親水性、親油性、又は両親媒性化学的部分であり、
n=1〜5であり、Y’は親水性又は両親媒性化学的部分であり、
p=60〜200で、pは偶数であり、
Xは、存在する場合、任意選択で式Gi=1〜3Hk=3−iNのトリニトリドの形態のフラーレン(F)内部の1つ又は複数の金属原子を表し、G及びHは金属原子である]。
Z’m−F−Y’n
の親水性又は両親媒性の合成的に修飾されたフラーレンも包含する
[式中、Fは、式Cp又はX@Cpのフラーレンであり、前記フラーレンは、2つの対極、及びエクアトリアル領域を有し、
Cpは、p個の炭素原子を有するフラーレンケージを表し、X@Cpは、ケージ内部に化学基Xを有するそのようなフラーレンケージを表し、
Z’及びY’は、Cpのそれぞれの対極近くに位置しており、
m=1〜5であり、Z’は親水性、親油性、又は両親媒性化学的部分であり、
n=1〜5であり、Y’は親水性又は両親媒性化学的部分であり、
p=60〜200で、pは偶数であり、
Xは、存在する場合、任意選択で式Gi=1〜3Hk=3−iNのトリニトリドの形態のフラーレン(F)内部の1つ又は複数の金属原子を表し、G及びHは金属原子である]。
例示的な変化量では、pは60から120までの偶数であり、p=60〜96がより一般的であり、p=60又はp=70が好ましい。各化学的部分Z’が式A’rBで構成されており、A’は親水性、親油性又は両親媒性の化学的部分であり、r=1〜4であり、Bは前記A’をフラーレンに連結する化学リンカーであり、各化学的部分Y’は式DE’vで構成されており、E’は親水性又は両親媒性化学的部分であり、v=1〜4であり、Dは、化学的部分Y’をフラーレンに連結する化学リンカーであるフラーレンを配置することができる。
別の実施形態では、親水性又は両親媒性の合成的に修飾されたフラーレン分子は、式Z’(Cp)Y’を有し、式中、p=60〜200炭素、好ましくはp=60又は70であり、Y’は、その極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親水性又は両親媒性部分であり、Z’は、前記Y’の反対の極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親水性又は両親媒性部分である。
例示的な実施形態では、Z’とY’は両方が両親媒性であり、Z’とY’は両方が親水性であり、又はZ’とY’のうちの1つが両親媒性で、もう1つは親水性である。他の実施形態では、Z’は親油性でY’は親水性又は両親媒性である。
別の実施形態では、親水性又は両親媒性の合成的に修飾されたフラーレン分子は、式Z’(C70)Y’を有し、式中、Y’は、その極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてC70に共有結合している親水性又は両親媒性部分であり、Z’は、前記Y’の反対の極で又はその極の近くで任意選択で連結基を通じてC70に共有結合している親水性又は両親媒性部分である。
ある種の実施形態では、フラーレンは、本図面に示されたフラーレンのうちのいずれか1つ又は複数を含む。一実施形態では、フラーレンは、化合物5(図1、2及び4に図示されている)のフラーレンである。本例では、化合物5はC70を含む。
適切なフラーレンは、これと共に同時に出願された以下の同時係属PCT出願にも記載されている:その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、代理人整理番号1034136−000062、表題USING FULLERENES TO ENHANCE AND STIMULATE HAIR GROWTH、代理人整理番号1034136−000063、表題METHOD FOR INHIBITING THE BUILD−UP OF ARTERIAL PLAQUE BY ADMINISTERING FULLERENES、代理人整理番号1034136−000064、表題FULLERENE THERAPIES FOR INFLAMMATION、及び代理人整理番号1034136−000066、表題METHOD FOR TREATING WOUNDS BY ADMINISTERING FULLERENES、並びに、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2008年5月15日に提出された米国特許出願第61/071756号、表題NEW REACTIONS OF FULLERENES、及び2008年3月3日に提出された米国特許出願第12/073231号、表題STEROID DERIVATIVES OF FULLERENES。
本明細書で使用される「動脈プラーク」又は「アテローム性動脈硬化症」は、取り換え可能である。正常な状況では、動脈プラークの蓄積は、動脈壁の内皮及び平滑筋細胞(SMC)へのストレスに対する防御応答である。そのようなストレスに対する応答では、アテローム性動脈硬化症は、炎症が先行し付随する線維脂肪性及び線維性病変又はプラークの形成からなる。アテローム性動脈硬化症の進行性病変は、関係している動脈を閉鎖し、数々の異なった形態の障害に対する過度な炎症性線維増殖性応答から生じることがある。たとえば、せん断ストレスは、分岐点及び不規則構造などの、乱血流が起こる循環系の領域における動脈硬化性プラークの頻発の原因であると考えられている。
血液由来単球が血管内皮層に付着し、内皮下間隙にまで遊出すると、動脈硬化性プラークの形成において最初に観察可能な事象が起こる。同時に隣接する内皮細胞が酸化LDLを産生する。その後、これらの酸化LDLは、単球の表面上に発現されるスカベンジャー受容体を通じて単球により大量に吸収される。天然のLDL(nLDL)がnLDL特異的受容体により吸収される調節された経路とは対照的に、スカベンジャー取込み経路は単球により調節されてはいない。LDLの酸化LDLへの酸化により、細胞LDL受容体によるアポリボタンパク質B成分の認識がなくなり、マクロファージ「スカベンジャー」受容体により酸化LDLが優先的に取り込まれる。血管壁マクロファージにより増強された酸化LDLのエンドサイトーシスにより、マクロファージは初期の動脈硬化性病変を特徴づける脂質を持った泡沫細胞に変換される。
脂質に満ちた単球は泡沫細胞と呼ばれ、脂肪線条の主成分である。泡沫細胞とそれを取り囲む内皮及びSMC間の相互作用により、慢性局所炎症状態になり、この状態は最終的には平滑筋細胞増殖及び遊走、並びに線維性プラークの形成をもたらすことがある。そのようなプラークは関係する血管を閉鎖し、したがって、血流を制限して虚血となる。
虚血は、不十分な潅流に起因する、臓器組織中の酸素供給の不足により特徴づけられる状態である。そのような不十分な潅流には、2〜3例を挙げると、動脈硬化性若しくは再狭窄病変、貧血、又は脳卒中を含むいくつかの自然の原因がありうる。たとえば、バイパス手術中の血流の遮断などの、多くの医療介入も虚血を生じる。罹患した心臓血管組織により引き起こされることもあることに加えて、虚血は、虚血性心疾患でのように、心臓血管組織に影響を与えることもある。しかし、虚血は、酸素供給不足を被っているどんな臓器においても起こる可能性がある。
心臓における虚血のもっとも一般的な原因は、心外膜冠動脈のアテローム性動脈硬化性疾患である。これらの血管の管腔を減少することにより、アテローム性動脈硬化症は、基礎的状態の心筋潅流の絶対的減少を引き起こし、又は流量への需要が増加した場合に潅流の適切な増加を制限する。冠血流量はまた、動脈血栓、攣縮、及び、稀に、冠動脈塞栓によっても、梅毒性大動脈炎のための入口部狭窄によっても制限されることがある。肺動脈からの左前下行冠動脈の異常起源などの先天性異常は、幼年期に心筋虚血及び梗塞を引き起こすことがあるが、この原因は成人では非常に稀である。心筋虚血は、高血圧又は大動脈弁狭窄のための重度心室肥大の場合のように、心筋酸素需要が異常に増加する場合にも起こることがある。後者の大動脈弁狭窄は、冠動脈硬化症により引き起こされる狭心症と識別不能な狭心症と一緒に存在することがある。極端に重度の貧血の場合又は一酸化炭素ヘモグロビンが存在する場合のような、血液の酸素運搬能の低下は心筋虚血の稀な原因である。往々にして、左室肥大及び冠動脈硬化症に続発する酸素供給量の減少のための酸素需要の増加などの、虚血の2つ以上の原因が共存する。アテローム性動脈硬化症及び虚血に関する追加の情報は、たとえば、米国特許第6492126号を参照されたい。
ビタミンA、E、C及びセレンなどのフリーラジカル「スカベンジャー」は、酸化LDLと反応して、それを酸化不能にすると考えられている。したがって、これらの抗酸化剤の抑制作用は、酸化LDLの形成を抑制し、それにより血管中の動脈プラーク沈着物のレベルを低下させる。LDL、O−LDL、HDL及び動脈プラークに関する追加の背景は、たとえば、米国特許第6326031号を参照されたい。
フラーレンは、ホルボールミリスチン酸(PMA)の皮下注射に続く免疫カスケードを効果的に遮断する。理論に縛られることは望まないが、この遮断作用の機構は、フリーラジカル除去を伴う可能性があると考えられる。膜輸送及び透過性は、生物学的応答に寄与している可能性がある。
末梢血単球は、組織培養皿に置かれると、癒着しマクロファージになる。しかし、末梢血単球は、通常は、培地に添加されたLDLを摂取しない。たとえば、酸化によるLDLの化学的修飾は、マクロファージを刺激してLDLを取り込ませる。ヒト末梢単球を刺激してLDLを摂取させるためのもう1つの技術は、Kruth et al.,J Biol Chem,277:34573(2002)に示されるように、マクロファージをPMAと一緒にインキュベートすることである。
理論に縛られることは望まないが、皮膚においてPMA炎症応答を遮断する化合物は、泡沫細胞において同一の経路を遮断することもできるであろうと考えられる。したがって、LDLの取込みを制御するための提唱されている細胞内機構は、フラーレンを使用して泡沫細胞内の炎症機構を遮断し、それによりこれらの細胞が脂質を蓄積するのを妨げるというものである。
用語「抑制する(inhibiting)」、「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」などは、一般に、目的の薬理学的生理学的効果を得ることを意味し、被験体が治療を受けている理由となる状態の完全な除去の他にもどんな臨床的に又は定量的に測定可能な減少にも言及するために本明細書では使用される。「治療(treatment)」は、障害の発生を予防する又は障害の病態若しくは症状を変化させる目的で実施される治療介入のことである。したがって、「治療(treatment)」とは、治療処置と予防的又は防止的処置の両方のことである。「治療(treatment)」は、緩和療法として特定してもよい。さらに具体的には、本明細書に記載されるフラーレンを使用して、被験体において動脈プラークの蓄積を抑制する。これらのフラーレンは、障害を予防する(すなわち、障害に曝され若しくは罹りやすいが、まだ障害の症状を経験して若しくは示していない哺乳動物において、障害の発症又は出現を抑制し且つ/若しくは障害の臨床的症状を発症させない)、障害を抑制する(すなわち、障害の発症若しくはその臨床的症状を停止する若しくは抑える)、又は障害を軽減する(すなわち、障害若しくはその臨床的症状を退行させる)治療有効量で提供される。治療を必要とする被験体には、動脈プラークの蓄積を抑制することが望ましいすべての被験体が挙げられる。
「それを必要とする被験体」とは、本明細書に記載される治療方法から利益を得ることができると考えられる任意の被験体又は個体のことである。ある種の実施形態では、それを必要とする被験体とは、動脈プラークの蓄積を抑制することが望ましい被験体である。「それを必要とする被験体」とは、脊椎動物、好ましくは哺乳動物である。哺乳動物には、ヒト、他の霊長類、齧歯動物(すなわち、マウス、ラット、及びハムスター)、家畜、スポーツ動物並びに愛玩動物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、被験体はヒトなどの哺乳動物である。ある種の実施形態では、前記方法は実験動物に、獣医学的適用に、及び/又は疾患の動物モデルの開発に利用を見出す。
本明細書で使用されるように、被験体にフラーレンを「投与する(administering)」又は「導入する(introducing)」という用語は、被験体にフラーレンを提供することを意味する。被験体へのフラーレンの投与方法は、当業者にはよく知られており、経口、静脈内、筋肉内、非経口、又は局所投与が挙げられるが、これらに限定されるものではない。投与様式は、制御放出並びに/又は制御放出薬物送達製剤及び/若しくは装置を介した送達も含むことができる。
「持続放出」とは、従来の薬物製剤の経口投与により実現される時間と比べて長期間にわたり体循環に薬物又はその活性代謝物を放出することである。
「制御放出」とは、0次放出、すなわち、薬物が濃度とは無関係に長い時間をかけて放出することである。単回、複数、連続又は間欠投与を実施することができる。
「経口送達される薬物」とは、好ましくは、薬学的に許容可能な希釈剤中で、経口剤型で動物に投与される薬物のことである。経口送達には、薬物の摂取の他にも薬物の経口強制投与も挙げられる。
「治療的又は予防的血液濃度」とは、処置動物において疾患療法を実施する又は疾患の発症を予防する若しくは疾患の重症度を抑えるのに十分な期間にわたる、十分な濃度の薬物又はその活性代謝物への全身曝露のことである。
「任意選択の」又は「任意選択で」は、それに続いて記載される事象又は状況が起こる可能性があるが起こらなくてもよく、その記述が、事象又は状況が起こる例、及び前記事象又は状況が起こらない例を含むことを意味する。
「薬学的に許容可能な塩」とは、その塩が当技術分野でよく知られている種々の有機及び無機の対イオンに由来し、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど、並びに、分子が基本機能を含有する場合は、塩酸塩、臭化水素酸、酒石酸、メシル酸、酢酸、マレイン酸、シュウ酸などの有機又は無機酸の塩を含む、薬学的に許容可能なフラーレンの塩のことである。
本明細書で使用するように、「薬学的に許容可能な」は、薬学及び獣医学技術において使用するのに許容可能であり、製剤の他の成分と適合性があり、有毒ではなく、又は妥当な利益/危険比と他の方法では許容できない釣り合いがとれていることを意味する。
「薬学的に許容可能な担体」又は「希釈剤」には、フェリチン−イオン複合体を含む組成物の医薬的投与と適合性の、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌性及び抗真菌生薬剤、等張性及び吸収遅延薬剤などが挙げられる。そのような担体又は希釈剤の例には、水、生理食塩水、リンゲル液及びブドウ糖液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。フラーレンを含む医薬組成物又は製剤の量は、医療専門家が決定する個々の患者に対する目的とする投与様式、及び安全量に基づく。
担体の選択も目的とする投与様式に依存する。本発明のフラーレンは、全身投与(たとえば、静脈注射、非経口内注射、吸入、経皮送達、経口送達、経鼻送達、直腸送達など)及び/又は局所投与(たとえば、標的組織への直接注射、カニューレを介した組織への送達、持続放出物質の埋め込みによる標的組織への送達、又はクリーム、ローションなどの局所的組成物を介した皮膚を通じた送達)、ポンプなどによる組織への送達、経口、非経口、骨内、脳脊髄液でなどを含むが、これらに限定されるものではない、いくつかの従来の手段のうちのいずれによって投与してもよい。追加の投与様式には、口腔、舌下、膣内、皮下、筋肉内、又は皮内投与が挙げられる。
いくつかの実施形態では、プラーク標的フラーレンを含む医薬組成物又は製剤は、動脈プラークの蓄積を抑制することが望ましい被験体へ経口投与される。これらのフラーレンは、治療有効量のフラーレンが泡沫細胞に送達され、前記フラーレンがLDLのプラーク内への追加の蓄積を遮断するように、腸にかなり吸収され、肝臓においてLDL粒子に取り込まれる。本明細書で使用されるように、「医薬組成物」及び「医薬製剤」は取り換え可能である。別の実施形態では、フラーレンを含む組成物は、治療有効量のフラーレンが動脈プラークに吸収されて、動脈プラークへのLDLのそれ以上の蓄積を遮断するように、動脈プラークの蓄積を抑制することが望ましい被験体の血管系に直接注入される。さらに別の実施形態では、コレステロール修飾されたフラーレンを含む組成物が、治療有効量のフラーレンが動脈プラークに吸収されて、動脈プラークへのLDLのそれ以上の蓄積を遮断するように、そのようなコレステロール修飾されたフラーレンが、血管系内のLDL粒子に分配されるミセルを形成する血管系に直接投与される。動脈プラーク内の泡沫細胞をターゲティングすることは、泡沫細胞上のコレステロール受容体に向かう基(すなわち、コレステロール誘導体)の結合を通じて実現される。
「治療有効量」又は「薬学的有効量」は、動脈プラークの蓄積を抑制することが望ましい被験体に投与されるときのフラーレンの量を意味する。したがって、「治療有効量」は、著しい有害作用を引き起こす可能性のある量を超えないうちに治療のために指示される量である。「治療有効量」は、投与されるフラーレンの種類、望ましい蓄積動脈プラークの抑制の程度、及び治療される被験体の年齢、体重、その他により、変化することになる。治療的処置の有効性を評価するための方法は、当業者には既知である。
投与される用量は、治療期間、投与頻度、宿主、並びに障害の性質及び重症度によって様々である。前記用量は、必要以上の量の実験をしなくても、当業者であれば決定することができる。フラーレンは、動脈プラークの蓄積の望ましい抑制レベルを提供するために、患者内に十分な投与量単位を確実に放出するのに十分な投与量濃度で投与される。投与される実際の投与量は、患者の年齢、体重、状態の重症度、及び/又は臨床歴などの物理的生理的要因により決定されることになる。いくつかの実施形態では、フラーレンは、約0.01から10000ng/ccのインビボ血漿濃度を実現するように投与してもよい。たとえば、本開示に記載される方法は、約30mg/kg体重/日のフラーレンなど、約0.01から約100mg/kg又は約0.01から約10mg/kg体重/日のフラーレンを提供するよう組成物を使用してもよい。提供される範囲は、所与の障害の治療に適していてもよいことは理解されるであろう。実際の投薬計画は、患者が従うのに実際的である薬物投与の計画である。ヒト患者では、経口投与薬のための実際的な投薬計画は、10g/日未満の凝集用量である可能性が高い。
フラーレンは、投与に適していればどんな形態でもよい。そのような投与可能な形態には、錠剤、緩衝錠剤、丸剤、カプセル、腸溶性カプセル、糖衣錠、カシェー、粉末、顆粒、エアロゾル、リポソーム、坐薬、クリーム、ローション、軟膏、皮膚用パッチ、非経口剤、トローチ剤、懸濁液、溶液及び乳濁液(水中油型若しくは油中水型)などの経口液剤、点眼液並びに注射液、又はその持続放出型が挙げられる。望ましい用量は、持続注入により、又は持続放出製剤により、一日中、一定間隔をおいて、数回増分して提供してもよく、ボーラス、舐剤又はペースト剤として提示してもよい。
種々の実施形態では、フラーレンを含む医薬組成物又は製剤は、1つ又は複数の薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤と混合することにより調製される。必要ならば、他の添加剤及び/又は活性成分を添加して、フラーレンの保存を最大にし、特定の送達法を最適化し、又はそれを必要とする被験体において動脈プラークの蓄積の抑制を最適化してもよい。さらに、他の実施形態によれば、フラーレンを含む医薬組成物又は製剤は、動脈プラークの蓄積の抑制に適している他の薬物と組み合わせて、本明細書に記載されるフラーレンを含む他の組成物を含んでいてもよい。
フラーレンは、種々の組成物(たとえば、製剤又は調剤)に配合してもよい。これらの組成物は、従来の生理的に許容可能な送達媒体、希釈剤、並びに、等張化剤、pH調節剤、溶媒、可溶化剤、染料、ゲル化剤及び増粘剤及び緩衝剤及びその組合せを含む賦形剤などの所望の目的に適しているいかなる成分も含んでいてよい。当フラーレンと共に使用するのに適した医薬製剤は、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。生理的に許容可能な担体は、用いられる投与量及び濃度で毒性のない担体である。本明細書の医薬製剤は、それを必要とする被験体が、動脈プラークの蓄積を抑制することが望ましい被験体である領域にフラーレンを向けることができる医薬的賦形剤又は担体を含む。フラーレンと共に使用するのに適した賦形剤には、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセリンなどが挙げられる。
種々の実施形態では、フラーレンは、それを必要とする被験体に医薬組成物又は製剤の形で投与される。これらの医薬組成物又は製剤は、フラーレンを含み、1つ又は複数の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤も含むことができる。賦形剤は、典型的には、ヒト被験体又は他の哺乳動物への投与に適した賦形剤である。本開示の組成物を作製する際に、活性成分(すなわち、フラーレン)は通常、賦形剤と混合され、且つ/又は賦形剤により希釈される。賦形剤は、希釈剤の働きをする場合、活性成分のための媒体、担体又は媒介物として作用する固体、半固体又は液状物質でもよい。本開示において使用するのに適した方法及び製剤に関する追加の情報は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,Mace Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に見出される。
一実施形態によれば、フラーレンは単独で投与してもよく、他のどんな薬剤と組み合わせて投与してもよい。したがって、製剤は、同一製剤中に、薬物などの別の活性成分と組み合わせたフラーレンを含んでいてよい。フラーレンは、組み合わせて投与される場合、示されている他の化合物と同じ製剤で投与してもよく、別々の製剤で投与してもよい。フラーレンは、組み合わせて投与される場合、その他の化合物及び/又は組成物に先立って、続いて、又は同時に投与してもよい。
ある種の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物又は製剤は、約500cpsから約40000cpsまで、又は約5000cpsから約30000cpsまでなど、約5cpsから約50000cpsの20℃での粘度を有する。
使用直前に再構成される乾燥製剤の調製も企図されている。乾燥又は凍結乾燥製剤の調製は、都合よく本発明の溶液から既知の方法で実施される。本発明の乾燥製剤は貯蔵も可能である。従来技術により、溶液は、特に、水分の共沸除去用の溶媒、典型的にはトルエンとエタノールの混合液の添加後に、穏やかな条件下で蒸発乾固することができる。その後、残渣は都合よく、たとえば、乾燥炉で数時間乾燥させる。
本明細書の方法は、それを必要とする被験体において動脈プラークの蓄積を抑制することを目標とする。上記のフラーレン含有調剤は、全身投与してもよく、局所投与してもよく、単独で使用してもよく、混合物の成分として使用してもよい。一実施形態では、投与は局所的である。フラーレンの投与経路は、静脈、経口、又は移植片の使用による経路でもよい。
追加の投与経路は、従来の又は都合のよい形での、フラーレンの皮下、筋肉内、又は腹腔内注射である。
一般に、本明細書に記載される医薬組成物又は製剤は、医薬又は栄養製剤として投与することができる。これらの組成物又は製剤は、経口、静脈内、又は坐薬として投与することができる。
本開示は、動脈プラークの蓄積を抑制するための本明細書に記載されるフラーレンのうちのいずれか1つ又は複数の使用に関する。本開示は、薬物、特に動脈プラークの蓄積を抑制するための薬物を製造するための、本明細書に記載されるフラーレンのうちのいずれか1つ又は複数の使用にも関する。
本明細書で論じられる出版物は、本出願の出願日より前のその開示についてのみ提供される。本明細書において、本開示が、事前開示という理由でそのような出版物に先行する資格がないことを認めたものとして解釈されるべきではない。さらに、示された公表日は実際の公表日とは異なることがあり、これは独立して確認する必要がある可能性がある。本明細書に引用されるすべての出版物、特許、特許出願及び他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
本発明の開示は、そのある種の実施形態に関連して詳細に記載されているが、本発明の開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更を加えることが可能であり、同等のものを用いることが可能であることは当業者には明らかであろう。さらに、以下の例は、本明細書に記載される方法を例示するものであり、決して前述の開示を限定するものと見なされるべきではない。
(例1)
培養単球は組織培養フラスコに付着し、マクロファージに分化する。そのような培養マクロファージは、泡沫細胞のモデル系として研究することができる。ヒト末梢血単球を、プラスチック製の組織培養皿に移した。1つの皿は、0.01ng/mlから50ng/mlの範囲の濃度でリポソームに配合されたフラーレン化合物5で処置した(図3に例証される)。別の皿はフラーレン化合物を含有しない空のリポソームで処置した。その後すぐに、ホルボールミリスチン酸アセテートを、1μg/mlの濃度で、両群の培地に添加した。その後すぐに、LDLを2mg/mlの濃度で両群に添加した。24時間後、細胞を顕微鏡で調べた。空のリポソームで処置された細胞は、泡沫細胞に類似して、空胞化しているように思われ、フラーレン化合物5で処置された細胞では空胞はほとんどなかった。これにより、フラーレン化合物5は、LDLのPMA誘導取込みを遮断したことが示唆される。
培養単球は組織培養フラスコに付着し、マクロファージに分化する。そのような培養マクロファージは、泡沫細胞のモデル系として研究することができる。ヒト末梢血単球を、プラスチック製の組織培養皿に移した。1つの皿は、0.01ng/mlから50ng/mlの範囲の濃度でリポソームに配合されたフラーレン化合物5で処置した(図3に例証される)。別の皿はフラーレン化合物を含有しない空のリポソームで処置した。その後すぐに、ホルボールミリスチン酸アセテートを、1μg/mlの濃度で、両群の培地に添加した。その後すぐに、LDLを2mg/mlの濃度で両群に添加した。24時間後、細胞を顕微鏡で調べた。空のリポソームで処置された細胞は、泡沫細胞に類似して、空胞化しているように思われ、フラーレン化合物5で処置された細胞では空胞はほとんどなかった。これにより、フラーレン化合物5は、LDLのPMA誘導取込みを遮断したことが示唆される。
(例2)
U937細胞系は、びまん性組織球性リンパ腫から樹立され、単球からマクロファージ分化のインビトロモデルとしての役割を果たす。泡沫細胞形成を誘導するため、U937単球細胞を、実験的処置に先立って24ウェルプレートに1×106細胞/mLで播種した。ヒト血漿由来の低比重リポタンパク質(LDL)を、4℃で24時間PBSに対して透析して、EDTAを取り除いた。次に、EDTA不含LDLを、37℃で12時間、10μmol/LのCuSO4中でのインキュベーションにより酸化し、次に、4℃で24時間、EDTA 0.1mmol/Lを含有するPBS中で透析した。マクロファージ細胞への分化のために、U937細胞を0.7μg/mLホルボールミリスチン酸(PMA)で処置し、6%CO2、37℃で24時間インキュベートした。酸化LDL(10μg/mL)をPMA分化マクロファージ細胞に添加し、6%CO2、37℃で48時間インキュベートした。フラーレンが分化に与える効果を試験するために、細胞の一部を、種々の濃度のフラーレン誘導体5(ALM)及び7(TGA)(2.5μg/mL、5.0μg/mL、及び25μg/mL)と一緒に6%CO2、37℃で24時間インキュベートした。分化したU937マクロファージ細胞の生存率は、トリパンブルー排除により決定した。
U937細胞系は、びまん性組織球性リンパ腫から樹立され、単球からマクロファージ分化のインビトロモデルとしての役割を果たす。泡沫細胞形成を誘導するため、U937単球細胞を、実験的処置に先立って24ウェルプレートに1×106細胞/mLで播種した。ヒト血漿由来の低比重リポタンパク質(LDL)を、4℃で24時間PBSに対して透析して、EDTAを取り除いた。次に、EDTA不含LDLを、37℃で12時間、10μmol/LのCuSO4中でのインキュベーションにより酸化し、次に、4℃で24時間、EDTA 0.1mmol/Lを含有するPBS中で透析した。マクロファージ細胞への分化のために、U937細胞を0.7μg/mLホルボールミリスチン酸(PMA)で処置し、6%CO2、37℃で24時間インキュベートした。酸化LDL(10μg/mL)をPMA分化マクロファージ細胞に添加し、6%CO2、37℃で48時間インキュベートした。フラーレンが分化に与える効果を試験するために、細胞の一部を、種々の濃度のフラーレン誘導体5(ALM)及び7(TGA)(2.5μg/mL、5.0μg/mL、及び25μg/mL)と一緒に6%CO2、37℃で24時間インキュベートした。分化したU937マクロファージ細胞の生存率は、トリパンブルー排除により決定した。
フラーレン誘導体で処置された分化泡沫細胞は、培養下で与えられた脂質に対して異なる応答を有する。フラーレン誘導体と一緒及びフラーレン誘導体なしにインキュベートされた細胞における脂質取込みを分析すると、オイルレッド0染色法により、PMA及び種々の濃度のOx−LDLと一緒にインキュベートされた細胞の細胞質において相当量の脂質蓄積が明らかになり、泡沫細胞形質転換が示された。未処置のU937単球はほとんど染色を示さなかった。しかし、PMA及びOx−LDLの添加に先立って5(ALM)と一緒にプレインキュベートされた細胞は、5(ALM)を受けていない細胞よりも有意に染色が少なく、脂質蓄積が少ないことが示された(データは示していない)。
本明細書では、種々の実施形態が特に示され記載されているが、添付の特許請求の範囲によりさらに定義されるこれらの実施形態の精神と範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において種々の変更をそれに加えてもよいことは、当業者であれば理解されるであろう。
Claims (24)
- 治療有効量の1つ又は複数のフラーレンを、それを必要とする被験体に投与することを含む、動脈プラークの蓄積を抑制する方法。
- 前記フラーレンが、被験体の泡沫細胞においてLDLの蓄積を抑制する、請求項1に記載の方法。
- 前記フラーレンが、被験体の泡沫細胞に直接送達される、請求項1に記載の方法。
- 前記フラーレンが、コレステロール修飾フラーレンとして投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記フラーレンが、経口又は静脈内投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記フラーレンが、少なくとも1つの担体及び/又は少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物として投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記フラーレンが、少なくとも1つの他の活性成分と組み合わせて被験体に投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記被験体がヒトである、請求項1に記載の方法。
- 前記1つ又は複数のフラーレンのうちの少なくとも1つが、式
Zm−F−Yn
の合成的に修飾されたフラーレンである
[式中、Fは、式Cp又はX@Cpのフラーレンであり、前記フラーレンは、2つの対極、及びエクアトリアル領域を有し、
Cpはp個の炭素原子を有するフラーレンケージを表し、X@Cpはケージ内部に化学基Xを有するそのようなフラーレンケージを表し、
Z及びYは、Cpのそれぞれの対極近くに位置しており、
m=1〜5であり、Zは親水性、親油性、又は両親媒性化学的部分であり、
n=1〜5であり、Yは親油性化学的部分であり、
p=60〜200で、pは偶数であり、
Xは、存在する場合、任意選択で式Gi=1〜3Hk=3−iNのトリニトリドの形態のフラーレン(F)内部の1つ又は複数の金属原子を表し、G及びHは金属原子である]
、請求項1に記載の方法。 - pが60又は70である、請求項9に記載の方法。
- pが70である、請求項10に記載の方法。
- 前記1つ又は複数のフラーレンのうちの少なくとも1つが、式
Z(Cp)Y
の合成的に修飾されたフラーレンであり、
式中、p=60〜200炭素、好ましくはp=60又は70であり、Yは、その極で又はその近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親油性部分であり、Zは、前記Yと反対の極で又はその近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親油性部分、両親媒性部分、又は親水性部分である、
請求項1に記載の方法。 - CpがC70である、請求項12に記載の方法。
- 前記1つ又は複数のフラーレンのうちの少なくとも1つが、式
Z’m−F−Y’n
の合成的に修飾されたフラーレンである
[式中、Fは、式Cp又はX@Cpのフラーレンであり、前記フラーレンは、2つの対極、及びエクアトリアル領域を有し、
Cpはp個の炭素原子を有するフラーレンケージを表し、X@Cpはケージ内部に化学基Xを有するそのようなフラーレンケージを表し、
Z’及びY’は、Cpのそれぞれの対極近くに位置しており、
m=1〜5であり、Z’は親水性、親油性、又は両親媒性化学的部分であり、
n=1〜5であり、Y’は親水性又は両親媒性化学的部分であり、
p=60〜200で、pは偶数であり、
Xは、存在する場合、任意選択で式Gi=1〜3Hk=3−iNのトリニトリドの形態のフラーレン(F)内部の1つ又は複数の金属原子を表し、G及びHは金属原子である]
請求項1に記載の方法。 - pが60又は70である、請求項14に記載の方法。
- pが70である、請求項15に記載の方法。
- 前記1つ又は複数のフラーレンのうちの少なくとも1つが、式
Z’(Cp)Y’
の合成的に修飾されたフラーレンであり、
式中、p=60〜200炭素、好ましくはp=60又は70であり、Y’は、その極で又はその近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親水性又は両親媒性部分であり、Z’は、前記Y’と反対の極で又はその近くで任意選択で連結基を通じてCpに共有結合している親水性又は両親媒性部分である、
請求項1に記載の方法。 - Cp=C70である、請求項17に記載の方法。
- 前記1つ又は複数のフラーレンのうちの少なくとも1つが、本図面に示される化合物である、請求項1に記載の方法。
- 前記1つ又は複数のフラーレンのうちの少なくとも1つが、化合物5、化合物7、及びその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 動脈プラークの蓄積を抑制するのに使用するための、式
Zm−F−Yn
の合成的に修飾されたフラーレン
[式中、Fは、式Cp又はX@Cpのフラーレンであり、前記フラーレンは、2つの対極、及びエクアトリアル領域を有し、
Cpはp個の炭素原子を有するフラーレンケージを表し、X@Cpはケージ内部に化学基Xを有するそのようなフラーレンケージを表し、
Z及びYは、Cpのそれぞれの対極近くに位置しており、
m=1〜5であり、Zは親水性、親油性、又は両親媒性化学的部分であり、
n=1〜5であり、Yは親油性化学的部分であり、
p=60〜200で、pは偶数であり、
Xは、存在する場合、任意選択で式Gi=1〜3Hk=3−iNのトリニトリドの形態のフラーレン(F)内部の1つ又は複数の金属原子を表し、G及びHは金属原子である]。 - 動脈プラークの蓄積を抑制するための薬物の調製のための、式
Zm−F−Yn
の合成的に修飾されたフラーレン
[式中、Fは、式Cp又はX@Cpのフラーレンであり、前記フラーレンは、2つの対極、及びエクアトリアル領域を有し、
Cpはp個の炭素原子を有するフラーレンケージを表し、X@Cpはケージ内部に化学基Xを有するそのようなフラーレンケージを表し、
Z及びYは、Cpのそれぞれの対極近くに位置しており、
m=1〜5であり、Zは親水性、親油性、又は両親媒性化学的部分であり、
n=1〜5であり、Yは親油性化学的部分であり、
p=60〜200で、pは偶数であり、
Xは、存在する場合、任意選択で式Gi=1〜3Hk=3−iNのトリニトリドの形態のフラーレン(F)内部の1つ又は複数の金属原子を表し、G及びHは金属原子である]。 - 動脈プラークの蓄積を抑制するのに使用するための、式
Z’m−F−Y’n
の合成的に修飾されたフラーレン
[式中、Fは、式Cp又はX@Cpのフラーレンであり、前記フラーレンは、2つの対極、及びエクアトリアル領域を有し、
Cpはp個の炭素原子を有するフラーレンケージを表し、X@Cpはケージ内部に化学基Xを有するそのようなフラーレンケージを表し、
Z’及びY’は、Cpのそれぞれの対極近くに位置しており、
m=1〜5であり、Z’は親水性、親油性、又は両親媒性化学的部分であり、
n=1〜5であり、Y’は親水性又は両親媒性化学的部分であり、
p=60〜200で、pは偶数であり、
Xは、存在する場合、任意選択で式Gi=1〜3Hk=3−iNのトリニトリドの形態のフラーレン(F)内部の1つ又は複数の金属原子を表し、G及びHは金属原子である]。 - 動脈プラークの蓄積を抑制するための薬物の調製のための、式
Z’m−F−Y’n
の合成的に修飾されたフラーレン
[式中、Fは、式Cp又はX@Cpのフラーレンであり、前記フラーレンは、2つの対極、及びエクアトリアル領域を有し、
Cpはp個の炭素原子を有するフラーレンケージを表し、X@Cpはケージ内部に化学基Xを有するそのようなフラーレンケージを表し、
Z’及びY’は、Cpのそれぞれの対極近くに位置しており、
m=1〜5であり、Z’は親水性、親油性、又は両親媒性化学的部分であり、
n=1〜5であり、Y’は親水性又は両親媒性化学的部分であり、
p=60〜200で、pは偶数であり、
Xは、存在する場合、任意選択で式Gi=1〜3Hk=3−iNのトリニトリドの形態のフラーレン(F)内部の1つ又は複数の金属原子を表し、G及びHは金属原子である]。
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