JP2011511522A - エコー抑制フィルタの制御情報を演算する装置および方法、並びに、ディレイ値を演算する装置および方法 - Google Patents

エコー抑制フィルタの制御情報を演算する装置および方法、並びに、ディレイ値を演算する装置および方法 Download PDF

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Abstract

第1のオーディオ信号に基づくエコーを抑制するために第2のオーディオ信号をフィルタリングする抑制フィルタ(210)の制御情報を演算する装置(200)の実施形態は、一群の信号の少なくとも1つの信号の少なくとも2つの時間的に連続するデータブロックのバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を決定する値決定手段(230)を有する演算手段(220)を含む。演算手段(220)は、バンドパス信号に対する少なくとも1つの決定されたエネルギー関連値の少なくとも1つの平均値を決定する平均値決定手段(250)を更に含む。演算手段(220)は、バンドパス信号に対する決定された平均値に基づいて、バンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を修正する修正手段(260)を更に含む。演算手段(220)は、少なくとも1つの修正されたエネルギー関連値に基づいて抑制フィルタ(210)の制御情報を演算する制御情報演算手段(270)を更に含む。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、例えば、音響エコーが発生する会議システム、通信システムおよびその他のシステムにおいて用いられるような、抑制フィルタの制御情報を演算する装置および方法、抑制フィルタリングする装置および方法、並びに、ディレイ値を演算する装置および方法に関する。
例えば、スピーカからのトーン、サウンドおよびノイズが、同じ部屋または同じ音響環境内でマイクロフォンによってピックアップされるとき、音響エコーが発現する。遠隔通信システムにおいて、これらは音響フィードバック信号として遠方または他端の加入者に返送され、加入者はそれを自分自身の音声の遅延されたバージョンとして認知する。エコー信号は、ここで気が散る外乱を表し、対話型の双方向全二重通信を妨げさえする可能性がある。さらに、音響エコーは、音響フィードバックループのハウリング作用および他の不安定性をも導く可能性がある。
ここで、マイクロフォンによってピックアップされたマイクロフォン信号は、対応するスピーカに供給されるスピーカ信号と比較して、一方ではマイクロフォンおよびスピーカが配置される音響環境から、他方では最も多様な物理的発信源から生じるノイズ源から、生ずる差異を有する。音響環境のノイズ源は別として、スピーカ自体、関連する回路、マイクロフォンおよびそれに関連する他の回路は、少数の潜在的発信源のみについて言及するため、このようにマイクロフォン信号にノイズを結合する可能性がある。
定常のまたは準定常のノイズおよびマイクロフォン信号内のノイズの存在は、ここでシステムの達成可能なオーディオ品質に有意に影響を及ぼす可能性がある。
特許文献1は、マルチチャンネルオーディオ信号におけるエコー除去の方法および装置に関する。音響エコー制御およびノイズ抑制は、電話、オーディオまたはビデオ会議システムのような、あらゆるハンズフリー遠隔通信システムの重要な部分である。演算量に関係する帯域幅の制限および規制もまた、ここで考慮される。文献に記載された、マルチチャンネルオーディオスピーカ信号および少なくとも1つのマイクロフォン信号を処理する方法は、ここで、入力マイクロフォン信号を入力マイクロフォン短時間スペクトルに変換するステップと、スピーカ信号からの結合されたスピーカ信号短時間スペクトルの演算ステップと、入力マイクロフォン信号からの結合マイクロフォン信号短時間スペクトルの演算ステップと、結合マイクロフォン信号短時間スペクトルにおけるエコーの振幅スペクトルまたはパワースペクトルの推定ステップと、入力マイクロフォン短時間スペクトルの振幅修正のためのゲインフィルタの演算ステップと、少なくとも1つの入力マイクロフォンスペクトルへのゲインフィルタの適用ステップと、フィルタされた入力マイクロフォンスペクトルの時間ドメインへの変換ステップとを含む。
国際公開第2006/111370号
本発明の目的は、この先行技術から始まり、ノイズ部分に関するエコー抑制の範囲内で、音響システムのオーディオ品質を改善することである。
この目的は、請求項1に記載の装置、請求項20に記載の抑制フィルタ、請求項21または22に記載の方法、または請求項32に記載のプログラムによって達成される。
他の信号処理回路において、信号処理回路によって処理されるものがアナログであろうとかデジタルであろうと、電気信号であろうと光信号であろうと、ノイズは、また、対応する構成要素のパフォーマンスに関してネガティブな影響を有する。特に、一方では関係する信号から情報を取得し、次に他方ではこの取得された情報に基づいてオリジナルの信号に影響を及ぼす信号処理回路が、ここで関係している。
このような信号処理回路の実施例は、例えば、対応する2つの信号の比較からディレイ値が導き出されるディレイ回路である。関係する1つ以上の信号におけるノイズ部分の存在は、ここで、関係する信号処理回路のパフォーマンスを有意に低下させる。それ故、例えば、ディレイ回路の範囲内で、他の信号の波形への対応するディレイ値の適応は、その品質およびまたその適応速度に関して、ノイズによってネガティブに影響を及ぼされる可能性がある。
それ故に、本発明の更なる目的は、この先行技術から始まり、改良されたディレイ値を演算できるようにする、ディレイ手段に対するディレイ値の演算の改良を提供することである。
この目的は、請求項23に記載されたディレイ値を演算する装置、請求項31に記載されたディレイ値を演算する方法、または請求項32に記載されたプログラムによって達成される。
第1のオーディオ信号に基づくエコーを抑制するために第2のオーディオ信号をフィルタリングする抑制フィルタの制御情報を演算する装置の実施形態は、ここで演算手段を備える。演算手段は、それ自体、一群の信号の少なくとも1つの信号の少なくとも2つの時間的に連続するデータブロックのバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を決定する値決定手段を含む。一群の信号は、ここで、第1のオーディオ信号、第2のオーディオ信号、および第1または第2のオーディオ信号から導き出される信号を含む。演算手段は、バンドパス信号に対する少なくとも1つの決定されたエネルギー関連値の少なくとも1つの平均値を決定する平均値決定手段を更に含む。演算手段は、バンドパス信号に対する決定された平均値に基づいて、バンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を修正する修正手段を更に含む。演算手段は、バンドパス信号に対する少なくとも1つの修正されたエネルギー関連値に基づいて、抑制フィルタの制御情報を演算する制御情報演算手段を更に含む。
第1のオーディオ信号に基づくエコーを抑制するために第2のオーディオ信号をフィルタリングする抑制フィルタの形の本発明の実施形態は、一群の信号の少なくとも1つの信号の少なくとも2つの時間的に連続するデータブロックのバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を決定する値決定手段をそれ自体備える演算手段を含む。一群の信号は、第1のオーディオ信号と、第2のオーディオ信号と、第1または第2のオーディオ信号から導き出される信号を含む。演算手段は、バンドパス信号に対する少なくとも1つの決定されたエネルギー関連値の少なくとも1つの平均値を決定する平均値決定手段を更に含む。演算手段は、バンドパス信号に対する決定された平均値に基づいて、バンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を修正する修正手段を更に含む。また、演算手段は、バンドパス信号に対する少なくとも1つの修正されたエネルギー関連値に少なくとも基づく制御情報に基づいてマイクロフォン信号をフィルタリングする音響抑制フィルタ手段を更に含む。
第2の信号に対して第1の信号を遅延させるディレイ手段のディレイ値を演算する装置の形の本発明の実施形態は、第1および第2の信号の少なくとも2つの時間的に連続するデータブロックの、第1の信号および第2の信号のバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を決定する値決定手段をそれ自体備える演算手段を含む。演算手段は、第1の信号および第2の信号のバンドパス信号に対する少なくとも1つの決定されたエネルギー関連値の少なくとも1つの平均値を決定する平均値決定手段を更に含む。それは、第1および第2の信号のバンドパス信号に対する決定された平均値に基づいて、第1の信号のバンドパス信号および第2信号のバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を修正する修正手段を更に含む。また、演算手段は、第1および第2の信号の修正されたエネルギー関連値に基づいてディレイ値を演算するように形成されたディレイ値演算手段を更に含む。
本発明の実施形態は、エコー抑制システムのノイズ源に関するオーディオ品質の改善が、少なくとも1つの修正されたエネルギー関連値に基づいて抑制フィルタの制御情報を決定するおよび/または抑制フィルタリングする前に、バンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を平均値に関して修正することによって達成することができるという発見に基づいている。少なからずバンドパス信号に対するエネルギー関連値の平均演算および修正のため、時間ドメインにおいてそれぞれの瞬間値(伸長値)に関して統計的平均値ゼロを含むが、バンドパス信号に対するエネルギー関連値に関してゼロと異なる平均値を含むようなノイズ寄与度の考慮が可能である。
付随する平均値に基づくエネルギー関連値の平均演算および続く修正によって、抑制フィルタの制御情報の演算の前に、および/または、実際の抑制フィルタリングの前に、実際に役立つそれらの信号からの定常スプリアス信号の分離が可能である。これにより、本発明のいくつかの実施形態において、少なからず、既存のノイズ成分と比較して、実際に役立つ信号に対する抑制フィルタおよび/または付随する制御情報のフォーカシングを可能にする。
本発明の実施形態において、エネルギー関連値は、ここでパワーの指数が正整数である実数値のパワーに比例してもよい。同様に、エネルギー関連値は、指数として正の実数を有する振幅(絶対値)のパワーに比例してもよい。このように、本発明の実施形態において、エネルギー関連値は、エネルギー値(振幅の自乗)またはエネルギー値に比例する値とすることができる。ここで、第1のオーディオ信号はスピーカ信号であって、第2のオーディオ信号はマイクロフォン信号とすることができる。
本発明の実施形態において、値演算手段は、このように同じデータブロックに対するが、異なる特性周波数を有する異なるバンドパス信号に対する複数のエネルギー関連値を決定するように形成することもできる。ここで、一般的に言って、バンドパス信号は、スペクトルの、少なくとも1つの特性周波数が関連する、周波数の接近したまたは周波数の関連する信号である。これらの特性周波数は、例えば、中心周波数、初期周波数、終期周波数、または他の特徴的周波数とすることができる。このように、バンドパス信号の実施例は、フーリエ解析フィルタバンク、サブバンドまたは部分バンド信号、制限された周波数範囲からの信号またはまたQMF(直交ミラーフィルタ)信号のスペクトル情報を表す。
本発明の実施形態において、関連するバンドパス信号に対する対応するエネルギー関連値、関連する時間平均化された平均値よびそれぞれの平均値を考慮する多数の修正されたエネルギー関連値は、次に音響抑制フィルタの制御情報の演算または直接的に音響抑制フィルタリングに用いられ、このように個々のバンドパス信号に対してだけでなく、複数の対応するバンドパス信号またはまたすべてのバンドパス信号に対してそれぞれ演算することができる。
本発明の実施形態において、平均値演算は、移動平均に基づいて実行することができる。ここで、実施形態の具体的な実施態様に依存して、移動平均または平均演算は、現在のデータブロックは別として、時間において現在のデータブロックの前にあるデータブロックのみに基づくことができる。これにより、例えば、リアルタイムの平均演算を実施することができる。
本発明の更なる実施形態において、修正は、関連するエネルギー関連値からの平均値の減算に基づいて実行することができる。本発明の実施形態は、更なるフィルタエレメントまたはまたディレイ手段も備えることができ、ディレイ手段は、信号、波形または一連のエネルギー関連値のような時系列の値をディレイ値によって遅延するように構成することができる。ディレイ値自体は、ここで、修正されたエネルギー関連値、未修正のエネルギー関連値または他の値に基づいて決定することができる。
ここで、本発明の実施形態は、ディレイ手段に対するディレイ値の演算における改善が、第1の信号および第2の信号の少なくとも1つのバンドパス信号に対するエネルギー関連値を決定し、それを平均演算に供給し、決定された平均値に基づいてそれを対応して修正することによって達成することができるという発見にも基づいている。これにより、関係するバンドパス信号の基礎をなす周波数範囲またはバンドパス信号の基礎をなす特性周波数において、エネルギー関連値のなかでゼロ点移動作用のように見えるノイズ部分または定常信号部分を除去することができる。エネルギー関連値に基づく、バンドパス信号に関するそれぞれの修正の実行によって、対応する周波数に関するノイズ信号の形の、時間平均において基本的に消失している外乱を除去することができる。
ディレイ値の演算に関して、本発明の実施形態を実施することによって、例えば、その助けによって第1および第2の信号波形の適応をより速く、より確実に、またはより速くかつより確実に達成できるディレイ値を決定することができる。
本発明の実施形態は、添付図面を参照して、以下において更に詳細に説明される。
エコー除去の基本的問題を説明するための図解図を示す。 本発明の一実施形態に係る、音響抑制フィルタの制御情報を演算する装置のブロック回路図を示す。 本発明の実施形態の機能のより詳細な説明のための簡略ブロック図を示す。 本発明に係る更なる実施形態のブロック回路図を示す。 図4に図示された本発明の実施形態のディレイ値演算手段のブロック回路図を示す。 (a)は1000Hzでのスピーカ信号の短時間スペクトルの時間経過ならびにその時間平均値を示し、(b)はさまざまなエコー推定フィルタの比較を示し、(c)は係数、エコー予測性ゲインの時間経過を示す。 本発明に係る更なる実施形態のブロック図を示す。 本発明に係る一実施形態のブロック図を示す。 本発明の一実施形態に係る、制御情報を演算する装置および音響抑制フィルタのブロック図を示す。 本発明の一実施形態に係る、いくつかのチャンネルに対する音響抑制フィルタの制御情報を演算する装置のブロック図を示す。 本発明の一実施形態に係る、更なる音響抑制フィルタのブロック図を示す。 周波数群における均一な短時間フーリエ変換フィルタバンクのグループ化を示す。 (a)はハン補間フィルタの経過を示し、(b)は周波数の関数としてゲインフィルタ係数の比較を示す。 ディレイ値を演算する装置の実施形態のブロック回路図を示す。
図2〜14に関連して本発明のさまざまな実施形態を詳細に説明する前に、図1に関連してエコー除去の基本的問題が最初により詳細に説明される。
例えば、スピーカからのトーン、サウンドまたはノイズが同じ部屋または同じ音響環境においてマイクロフォンによってピックアップされたときはいつでも、音響エコーが生ずる。遠隔通信システムにおいて、これは、音響フィードバック信号として遠端の加入者に返送され、遠端の加入者は自分自身の音声の遅延バージョンの形のエコーに気がつく。エコー信号は、このような局面において非常に気が散る外乱を表し、対話型の双方向全二重通信が妨げられるという事実に導きさえする。そのうえ、音響エコーは、音響フィードバックループのハウリング作用や他の不安定性に結果としてなり得る。
全二重ハンズフリー通信システムにおいて、エコー制御は、それ故、スピーカとマイクロフォンの結合を抑制、減衰、または除去することが、しばしば望ましい。図1は、この音響エコーの問題を図示する。
図1は、音響環境120、それは例えば部屋でもよい、におけるスピーカ100とマイクロフォン110の配置を示す。ここで、図1においてx[n]としても示されるスピーカ信号130は、それを音響音波に変換するスピーカ100に供給される。指標nは、ここでスピーカ信号x[n]の離散経過の時間指標を示す。指標nは、ここでは整数である。
マイクロフォン110は、それに付帯する音波をピックアップし、図1においてy[n]としても示されるマイクロフォン信号140に変換する。ここで、マイクロフォン110は、特に、スピーカ100から生じ、スピーカ100からさまざまなパスを介してマイクロフォン110に到達するスピーカ信号x[n]の音響波もピックアップする。直接の伝送パス150は別として、スピーカ100の音波が音響環境120で反射され、このようにマイクロフォン110に間接的にのみ到達する2つの間接伝送パス160−1および160−2が、図1において図式的にかつ例示として描かれている。伝送部160は、このように間接パスとも称される。
このように、スピーカ100で利用可能なスピーカ信号x[n]が遠端の遠隔通信システム加入者の音声信号、いわゆる遠端の信号である場合、これはまたマイクロフォン110によってピックアップされる。言い換えれば、遠端の信号は、スピーカ100による放出に応じて、直接的および間接的な反射パスまたは伝送パス150、160を介してマイクロフォン110に伝わる。それ故、マイクロフォン110は、遠隔通信システムの最も近い端末のローカル音声だけでなく、次に遠端のユーザにフィードバックされたエコーをもピックアップする。
この問題を支配下に置くため、遠隔通信システムは、以下の概要においてエコー除去処理回路またはエコー除去処理ユニット170とも称される、エコーキャンセル処理回路またはエコー抑制処理回路をしばしば備え、それに対して、図1においても示されるように、マイクロフォン信号y[n]とスピーカ信号x[n]の両方が供給される。エコー除去処理回路170は、次に、エコーを除去されたまたは部分的にエコーを除去されたまたは部分的にエコーをキャンセルされた信号e[n]を出力する。
図1は、このような音響エコー除去問題の基本構成を図示する。スピーカ信号xは、マイクロフォン信号yにフィードバックされる。エコー除去処理は、このエコーを除去し、その一方で通信システムのこちらの端末で生成されるローカル音声は理想的にパスすることができる。
これらのエコーを取り扱う従来のアプローチは、参考文献1にも記載されているように、エコー信号の伝播パス150、160に応じて音響エコーキャンセラー(AEC)を設置することである。音響エコー除去器において、エコー信号のデジタル複製が推定され、次にそれは測定されたマイクロフォン信号から減算される。音響エコーのキャンセルの標準アプローチは、エコーパス(伝送パス150、160の全体システム)が線形FIR(有限インパルス応答)フィルタによってモデル化できるという仮定に基づいており、その結果、参考文献1にも記載されているように、音響エコーのキャンセルが対応して実施される。FIRフィルタは、有限長のインパルス応答を有するフィルタとも呼ばれる。
ここで、エコーパスは、スピーカ100の特性、マイクロフォン110の特性、並びに音響環境120の特性、並びに更なる対象の性質および特徴を含む多数のパラメータによって与えられる。例えば、日射または他の熱源によって生じる大気の温度変化および温度こう配をこれらの中にカウントし、ほんの少しの起こりうる偏差の発生源のみを指定することができる。
エコーパスはこのように未知であり、動作時間中は可変でもあるので、音響エコーキャンセルの線形フィルタを最適に実現することが望ましい。代表的なエコーパスをモデル化するために、このようにしばしば数百ミリ秒までの長さのFIRフィルタが実装され、また部分的に要求され、それは高い演算量を意味する。そのフィルタに実装されるフィルタ係数の数は、ここでFIRフィルタすなわち有限インパルス応答を有するフィルタの長さと呼ばれる。ここでおよび他の対応するパラメータにおいて、実際に無次元量を表す対応数、または対応値が秒、ミリ秒または他の時間単位で示される場合、それは、デジタル信号処理または対応して使用されたアナログ/デジタル変換器およびデジタル/アナログ変換器の使用されたサンプリングレート(サンプリング周波数)に関係する。
しかしながら、実際には、これらの従来のアプローチに対してこのように達成可能なエコー減衰量は、長いエコーの残響時間(エコーテール効果)、非線形エコー要素およびコンバーゼンス問題のために、十分に高いというわけではない。上述したエコーテール効果は、エコーパスのアンダーモデリングによってしばしば生じ、その一方で、非直線エコー要素は、バイブレーション効果によってまたは低コストまたは安価なオーディオハードウェア構成要素の非線形動作によって生じる。言及されたコンバーゼンス問題は、例えば、大きく時間変化するエコーパスのケースにおいて起こる。この局面における詳細は、参考文献2に記載されている。
このため、エコーキャンセラーが除去できなかった残余エコーを取り除くために、音響エコーキャンセラーを非線形ポストプロセッサと結合することを必要とする可能性がある。この点における更なる詳細は、参考文献3に見出される。一般に、残余エコーの抑制は、参考文献4に記載されているように、周波数選択式で実行される。実際、ほとんどすべての音響エコーキャンセラーは、聞こえなくなるようにエコーを十分に減衰することにかなりしばしば失敗するので、このようなポストプロセッサを使用する。
最近では、参考文献5および6に記載されているように、上述の非線形ポストプロセッサに類似するが、音響エコーキャンセラーを必要とせず、エコーパスのインパルス応答の推定を必要としない、サブバンド領域で動作する多くの音響エコー抑制器が提案されてきている。これらのシステムは、高度な二重性を達成しながら、低い演算量を有し、ロバストであると言われている。
参考文献6において提案されたエコー抑制方式は、スピーカおよびマイクロフォン信号からスペクトルを演算するために短時間フーリエ変換(STFT)を適用する。STFTによって変換されたスピーカ信号の結果の間のディレイまたはディレイ値dは、大部分のエコーインパルス応答が考慮されるように選択される。次に、エコーパスの一部の効果を模擬する実数値のエコー推定フィルタが推定される。エコー振幅スペクトルの推定を取得するために、推定されたディレイ値およびエコー推定フィルタがスピーカ信号スペクトルに適用される。エコー振幅スペクトルの推定を用いて、実数値のエコー抑制フィルタが演算され、エコーを抑制するためにマイクロフォン信号スペクトルに適用される。
しかしながら、上記の音響エコー抑制(AES)システムの弱点は、マイクロフォン信号の定常ノイズを満足な方法で取り扱わないということである。次の説明でも示すように、定常ノイズは、エコー推定における寄与(バイアス)に結果としてなり、関係する信号のSN比があまり高くない場合、このようなシステムのパフォーマンスを劣化させる。実施態様またはモデルに依存して、この寄与は、期待される推定からの偏差、零点シフト、またはシステマチック推定偏差とも称される。
図2は、オプションの構成要素として図2において破線で表される音響抑制フィルタ210の制御情報を演算する装置200のブロック回路図を示す。装置200は、ここで演算手段220を含み、それは次に入力において手段200の入力240に接続される値決定手段230を備える。平均値決定手段250は、一方では値決定手段230の出力に接続され、それと平行して修正手段260の第1の入力に接続される。平均値決定手段250の出力は、修正手段260の第2の入力に接続される。修正手段260は、出力において音響抑制フィルタ210に制御情報を出力し、提供し、その出力は同時に装置200の出力でもある制御情報演算手段270の入力に、出力を介して接続される。
このため、音響抑制フィルタ210は、制御情報の入力を備える。装置200と音響抑制フィルタ210が実装されるシステムの具体的な実施態様に依存して、入力240に提供される信号を抑制フィルタ210に対して入力側に提供することもできる。しかしながら、加えてまたはこれの代替として、更なる信号を抑制フィルタ210に対してオプションの入力280に提供することができる。音響抑制フィルタ210に提供される一方または両方の信号は、このような方法で、抑制フィルタ210に提供される制御情報を考慮しながらフィルタされ、出力290に出力される。
音響抑制フィルタ210の制御情報を演算する装置200の機能に関して、少なくとも1つの信号がそれに対して入力240に提供され、それは上述のスピーカ信号、上述のマイクロフォン信号、またはこれらのうちの1つまたは両方から導き出された信号とすることができる。以下において更に詳細に説明されるように、もちろん複数の信号を装置200に提供することもできる。
装置200に提供される信号は、ここで時間的に連続するデータブロックを備え、それはフレームとも称される。本発明の実施形態において、下流の手段および装置は、それぞれ1つまたはそれ以上のデータブロック上で動作し、いくつかのデータブロック上の動作の場合は、データブロックの時間シーケンスに関して、過去のデータブロックが付加的に考慮される。これは、本発明の実施形態に係る装置200の代表的なアプリケーションシナリオを反映し、対応するエコー抑制を実時間で使用可能とするかまたは実現するためにしばしば使用される。
対応する信号が入力240において装置200に提供される場合は、少なくとも1つの対応するデータブロックは、値決定手段230に到達し、次に少なくとも1つのバンドパス信号のエネルギー関連値を演算する。ここで、バンドパス信号は、例えば、解析フーリエフィルタバンク、サブバンド解析フィルタバンクまたはまたQMF解析フィルタバンクによって提供されるような周波数関連信号である。
例えば下部の初期周波数、上部の最終周波数、中心周波数、または他の特徴的周波数を表す特性周波数は、ここで各バンドパス信号と関連している。バンドパス信号がフーリエ解析フィルタバンクのスペクトル値である場合は、例えば、関係するスペクトル値の基礎をなす周波数は、特性周波数と考えることができる。より大きな周波数範囲の周波数部分を含むサブバンドまたはQMF信号のケースでは、特性周波数は上述した代表的周波数の1つでもよい。
本発明の一実施形態に係る装置200の具体的な実施態様に依存して、値決定手段230は、時間指標によって独自に定義可能である同じデータブロックに基づいて、複数のバンドパス信号の複数のエネルギー関連値を出力することもできる。このように、例えば、複数個のまたは全てのサブバンド信号に対する対応するエネルギー関連値を決定することが可能である。
エネルギー関連値は、例えば、関係するバンドパス信号のエネルギー値またはそれに比例する値とすることができる。同様に、基数部として供する値が実数値である場合、それは、正の整数指数部を有する関係するバンドパス信号の値のパワーに比例する値とすることもできる。代替としてまたは付加的に、エネルギー関連値は、指数部として正の実数を有する関係するバンドパス信号の振幅(絶対値)のパワーに比例することもできる。例えば、これは、基数部として複素数値の使用をも可能とする。
少なくとも1つのバンドパス信号に対してこのように決定されるエネルギー関連値は、このとき、少なくとも1つの対応する平均値を決定するように形成された平均値決定手段250に提供される。データブロックにつき複数のエネルギー関連値が平均値決定手段250に提供される本発明の実施形態において、この種の平均値は、それぞれに対して、または、関係する複数の値のみに対して、決定することができる。
更なる過程において説明されるように、平均値決定は、ここで、現在のデータブロックは別として、例えば時間的に前のデータブロックまたはその複数に基づく移動平均に基づいて実行することができる。これは、例えば、異なるデータブロックのそれぞれの値をそれぞれ考慮に入れることによって、または再帰演算の形で、実行することができる。具体的な実施態様は、更なる過程において説明される。
値決定手段230の少なくとも1つのエネルギー関連値および平均値決定手段250の少なくとも1つの平均値は、このとき、関係するバンドパス信号に対して決定された平均値に基づいてエネルギー関連値を修正する修正手段260に提供される。本発明の異なる実施形態において、これは、例えば、単純な減算、単純な除算、または、減算または除算に基づくより複雑な数値演算によって、実行することができる。
これにより、修正手段260は、このとき、それに基づいて下流の制御情報演算手段270が音響抑制フィルタ210の制御情報を演算する1つ以上の修正されたエネルギー関連値を生成する。
どの信号が装置200の入力240に提供されるかに依存して、オプションの更なる入力280を介して、音響抑制フィルタ210に同じ信号またはまた別の信号を提供することが望ましいかもしれない。例えば、入力240に提供される信号がマイクロフォン信号である場合は、音響抑制フィルタ210の更なる入力280の実施態様は、おそらく省略することができる。けれども、入力240に提供される信号がスピーカ信号である場合は、マイクロフォン信号が次に提供される更なる入力280の実施態様は、実際に望ましいかもしれない。
それらがマイクロフォン信号の定常ノイズをあまりよく取り扱わないことは、更に上述された従来の音響エコー抑制システムの弱点である。オーディオ品質に関するそれに関係する弱点は、本発明の実施形態を使用することによって、少なくとも部分的に、おそらくまた完全に、改善することができる。更なる過程において示されるように、定常または準定常ノイズは、エコー推定に関して、SN比(SNR)があまり高くないときのシナリオにおいて、これらのシステムのパフォーマンスを悪化させるシステマチック推定偏差を導く。
本発明の実施形態は、実際に、対応する音響エコー抑制システムの上述した弱点に対処し、少なくとも部分的に除去する新技術を切り開く。少なからず図2に示された本発明の実施形態は、ノイズの存在によって引き起こされるシステマチックな推定偏差の問題が低減されるエコー推定フィルタを推定する技術を基本的に実現することを可能とする。
本発明の実施形態は、このようにエコー推定フィルタの演算に関する。それらは、スピーカスペクトルの時間変動から始まる、マイクロフォンスペクトルの時間変動の推定に基づいている。本発明の実施形態は、このように、マイクロフォンチャンネルにおけるおそらく加算性ノイズによるシステマチック推定偏差を誘導することなく、エコー推定フィルタのより正しい推定を可能とする。本発明の実施形態は、このように、スペクトル寄与度変動に基づくエコー推定フィルタの実現を可能とする。
本発明の更なる実施形態が本明細書の更なる過程においてより詳細に説明され、またそれらの機能に関して更に詳細に検討される前に、互いに接続された2つの構成要素は、対応する接続手段、信号路、または他の通信方法を介して直接的にまたは間接的に接続されたものを意味すると想定されることを指摘すべきである。それ故、先に述べた手段230、250、260および270は、演算手段220のフレームワークの範囲内ですべて実装されている。
ここで、個々の手段が別々の回路ブロックによって実現される必要はない。このように、前述の手段の複数に帰属する演算手段220の回路構成要素の部分的なまたは完全なオーバーラップは、実際に起こる可能性がある。例えば、演算手段220がプロセッサである場合、異なる手段において同じ回路を少なくとも部分的に用いることができる。従って、例えば、ALU(算術論理ユニット)の同一部分は、値決定手段230において、並びに修正手段260において使用することができる。このようなケースでは、それぞれの手段230、260を接続することは、例えば記憶装置の記憶場所を介して実現することができる。
この点で、以下において、機能的に等しいまたは機能的に類似する手段、ユニットおよび対象は、類似するまたは等しい参照符号によって示されることも指摘すべきである。同じまたは類似する参照符号は、等しい、類似する、機能的に等しいまたは機能的に類似する手段、対象およびユニットに用いられる。このため、同じまたは類似する参照符号によって示される対象、手段およびユニットに関する記載の一節は、本発明の個々の実施形態の間で転写することができ、不必要な反復を有することなく、さまざまな実施形態のより簡潔で明瞭な説明を可能にする。
本明細書の更なる過程において用いられる要約参照符号は、類似する参照符号の中でも考慮される。手段、対象および要素が1つの図において複数回、本発明の一実施形態において複数回、または他の環境で複数回生ずる場合、個々の対象、手段および要素は、個々の参照符号によって示され、他方では、付随する要約参照符号は、一般的特徴および全ての対応する手段、対象およびユニットの特性の記載、陳述または議論において用いられる。このように、例えば、要約参照符号160は、2つの間接的なオーバーラップパス160−1および160−2に対して用いられている。多くのケースにおける要約参照符号の使用は、更に、それぞれの手段、対象および要素の記載から何らかの矛盾を取り出すことができない限り、このように指定されたそれぞれの手段、要素およびユニットが同じまたは類似の機能的または構造的な特徴を備えるという事実を示すものである。
エコー抑制フィルタの重要な部分は、効果的なエコー抑制フィルタを演算できるようなエコー信号の振幅またはパワースペクトルの正確な推定である。参考文献6において、エコー振幅スペクトルは、エコー推定フィルタの助けによって、正しく遅延されたスピーカ振幅スペクトルをフィルタリングすることによって推定される。
しかしながら、参考文献6において、マイクロフォン信号にノイズがあるときはいつでも、エコー推定フィルタの演算がシステマチック推定偏差を導くことが最初に示されている。そこで、信号にノイズがある場合であっても、(ほとんど)いつでもシステマチック推定偏差のないエコー推定フィルタを演算する方法が提案される。このシステマチック推定偏差の問題は、図3にも示されるように、信号スペクトルの変動に基づいてエコー推定フィルタを推定することによって対処される。
図3は、図3において直接的に実装されないが大きな回路の一部として実装される対応する音響抑制フィルタとともに、音響抑制フィルタの制御情報を演算する装置200の簡略ブロック回路図を示す。図3に示されるブロック回路図は、全ての構成要素が表示されてはいない簡略図である。図3に基づいて、むしろ本発明の一実施形態に係る装置の基本機能、および/または、本発明の一実施形態に係る対応する音響抑制フィルタのみが説明される。
図3は、このように、スピーカ信号x[n]を再生するスピーカ100を再び示す。このスピーカ信号は、ユニット300に提供される。そのうえ、図3は、ユニット300にマイクロフォン信号y[n]を提供するマイクロフォン110をも示す。
図2に示された実施形態に関する値決定手段230および平均値決定手段250を含むユニット300は、図3において若干異なって図示される。このように、図3のユニット300は、図3においてETF(時間変動の推定)としても示される、時間変動に対する2つの推定手段310−1、310−2を含む。ここで、推定手段310−1は、入力側でスピーカ100に接続され、一方推定手段310−2は、入力側でマイクロフォン110に接続される。
2つの推定手段310は、ここで、スピーカ信号およびマイクロフォン信号に含まれるバンドパス信号に対して、図2に関連して記載されたような値決定手段230および平均値決定手段250の機能的な特徴および特性を少なくとも実行する。図3に示された装置200の実施形態は、このように、一群の信号の単一信号だけでなく、少なくとも2つの信号、すなわちスピーカ信号およびマイクロフォン信号が処理される実施形態を表す。図3に示された実施形態において、2つの推定手段310は、このように、対応するバンドパス信号および付随する平均値に対する両方の信号のエネルギー関連値を決定する。
2つの推定手段310は、出力のそれぞれで、図2に示された実施形態の記載に関する修正手段260および制御情報演算手段270を含むエコー推定フィルタ320の対応する入力に接続される。同様に、エコー推定フィルタ320は、両方の信号x[n]、y[n]のエネルギー関連値および付随する平均値に基づいて、図2に関連して記載された2つの手段260および270の機能を実行する。
図3の装置200は、図3においてエコー抑制とも称され、図2の音響抑制フィルタ210の機能を含むエコー抑制処理ユニットまたはエコー抑制処理回路325(ERP:エコー除去処理)を更に含む。エコー推定フィルタ320は、それ故、エコー推定フィルタ320から提供される制御情報が供給される制御情報の対応入力をも備える。
エコー抑制処理ユニット325は、音響抑制フィルタのように、次にまたマイクロフォン信号y[n]に基づき、スピーカ100によって生成されたエコーに関して少なくとも部分的に訂正された音響信号e[n]を、それに対して提供される信号に基づいて生成する。このステップは、しばしばスペクトル修正とも称されるが、音響抑制フィルタ210(図3において示されない)とエコー抑制処理ユニット325の両方がスペクトル修正と称される理由は、少なくとも本発明のいくつかの実施形態において、周波数ベースのドメインにおいて動作するからである。エコー抑制処理ユニット325に関して、特に、図7の記載に付加的な参照がなされる。
図3は、このように、提案されたエコー推定フィルタの推定のブロック回路図を示し、図3において用いられた略語ETFおよびEEFは、それぞれ時間変動の推定とエコー推定フィルタを示す。
本発明の実施形態の機能のより良好な理解のために、図面を参照して、更なる機能が、信号モデルに基づいて、ここでより詳細に記載される。以下において、図1の音響環境の音響エコーパスcnは、ここで直接伝送路または直接伝播路と線形フィルタgnの作用の組み合わせとして表現できるとみなされる。直接伝播路は、ここでνサンプルのディレイ値によるスピーカ信号およびマイクロフォン信号の遅延に対応する。線形フィルタgnは、ここで環境の音響特性をモデル化する。このようにして、次式が得られる。

cn = gn * δ[n - ν] (1)

ここで、δ[n]は単位インパルスを表し、*は(数学的)コンボリューションを表す。遠端のスピーカのみが作動中と仮定すると、マイクロフォン信号y[n]の時間ドメインモデルは、次式によって与えられる。

y[n] = gn * x[n - ν] + w[n] (2)

ここで、nは、再び離散時間経過のサンプル値に関する時間指標を表す整数である。式(1)および(2)において現れる変数nは、このように時間ドメインの指標である。
式(2)において、式 gn * x[n - ν] は、ここでマイクロフォンによってピックアップされたような遅延されフィルタされたスピーカ信号を示す。寄与度w[n]は、ここで録音エリアに存在する定常背景ノイズを表す。式(2)の両側で、対応する時間−周波数変換、すなわち、例えば短時間フーリエ変換(STFT)によって、次式が得られる。

Y[k,m]= G[k,m]Xd[k,m] + W[k,m] (3)

ここで、kは整数であり、データブロック番号(フレーム番号)の形のデータブロックを表し、mは周波数指標であり、すなわちこれも整数である。ここで、次式に従って、

Xd[k, m] := X[k - d, m] (4)

周波数またはSTFTドメインにおける対応する遅延されたスピーカ信号は、x[n−ν]であり、このケースにおいて、νはデータブロックシフト(フレームシフトまたはサンプル進み値)Kの整数倍であると仮定される。言い換えれば、ここで次式を適用することが仮定される。

ν = d K (5)

ここで、ν、dおよびKは、対応する整数である。式(5)は、ここで表記法の若干の簡略化のために許容される仮定を表すだけであり、次式の有効性またはそれらの技術的実現性の厳格な必要条件をはるかに表していない。明細書の更なる過程において、信号の遅延または値の周波数が言及される場合、式(5)を厳格に考慮する必要はない。
さらに言い換えれば、本発明のいくつかの実施形態において、連続の、サンプルされた音響データストリームは、時間ドメインにおいて長さKのデータブロックに分割される。もちろん、他の実施形態では、データブロックは、関係するデータストリームがシフトされるよりも大きい数の値を含むこともできる。これは、例えばオーバーラップによって達成することができる。
そのうえ、式(3)の表示G[k,m]は、フィルタgnおよび/またはそのインパルス応答の付随する表示として用いられる。同様に、W[k,m]は、周波数ドメインにおける定常背景ノイズw[n]の表示を示す。実際問題として、x[n]およびw[n]が無相関であると仮定することは合理的であり、その結果、式(3)により次式に従う。
Figure 2011511522
この信号モデリングに基づいて、本発明の更なる実施形態は、音響抑制フィルタ210の制御情報を演算する装置200の形で、図4および5に関連して記載される。図4および5は、ここでブロック回路図を示し、図5は、図4に示された実施形態において用いることができるディレイ演算手段のブロック回路図を示す。
図4は、音響抑制フィルタ210の制御情報を演算する装置200のブロック回路図を示す。装置200および音響抑制フィルタ210の両方は、ここで演算手段220の一部として具現化され、それは例えばプロセッサまたはCPU(中央演算処理装置)であってもよい。
装置200は、ここで第1の入力240−1および第2の入力240−2を備え、第1の入力240−1および第2の入力240−2は、それぞれ時間ドメインのスピーカ信号および時間ドメインのマイクロフォン信号に対して提供される。例えば、短時間フーリエ解析フィルタバンク、フーリエ解析フィルタバンク、サブバンド解析フィルタバンクまたはQMFフィルタ解析バンクとすることができる時間/周波数変換手段330−1は、第1の入力240−1に接続される。時間/周波数変換手段330−1から提供された信号を遅延された形態で転送するように形成されたディレイ手段340は、時間/周波数変換手段330−1の出力に接続される。
図4に示された実施形態において、ディレイ手段340は、出力側で、スピーカ信号に対する第1の値決定サブ手段230aを備えた値決定手段230に接続される。値決定手段230は、次に、それ自体が次にディレイ手段240の出力と値決定サブ手段230aの出力の両方に接続される平均値決定サブ手段250aを備える平均値決定手段250に接続される。平均値決定手段250は、値決定サブ手段250aと同様に、出力において修正手段260の修正サブ手段260aの入力に接続される。修正サブ手段260aは、ここで、決定された平均値は別として、オリジナルの値も修正サブ手段260aに利用可能となるように、更なる入力を介して値決定サブ手段230aの出力に接続される。
スピーカ信号に対するこの第1のパスは別として、装置200は、マイクロフォン信号に対する第2の入力240−2に接続される第2のパスを備える。より詳しくは、第2の時間/周波数変換手段330−2は、ここで、入力側で第2の入力240−2に接続される。それは、次に、出力側で、また値決定手段230の一部として具現化される第2の値決定サブ手段230bに接続される。平均値決定手段250は、時間/周波数変換手段330−2の出力と第2の平均値決定サブ手段230bの出力の両方に接続されるマイクロフォン信号に対する平均値決定サブ手段250bを備える。平均値決定サブ手段250bは、ちょうど平均値決定サブ手段250aのように、修正手段260の入力に接続される。平均値決定サブ手段250bは、ここで修正手段260の一部でもある第2の修正サブ手段260bに接続される。修正サブ手段260bは、ここで、更なる入力を介して値決定サブ手段230bの出力に接続され、決定された平均値は別として、オリジナルの値が修正サブ手段260bに利用可能となる。
2つの修正サブ手段260a、260bによって、修正手段260自体は、図4に示された実施形態において、実際の制御情報に対する推定手段350と演算手段360の直列接続を含む制御情報演算手段270の入力に接続される。図4に示された装置200の実施形態において、演算手段360は、値決定サブ手段230bおよびディレイ手段340の出力に更に接続される。
演算手段360から提供され、制御情報を含む制御信号と、それに基づいて音響抑制フィルタ210がエコー抑制信号を周波数ドメインまたは周波数近接ドメインにおいて生成し、これにより信号のスペクトル修正を実行する第2の時間/周波数変換330−2において、周波数ドメインまたは周波数近接ドメインに変換されたマイクロフォン信号の両方は、音響抑制フィルタ210に提供される。周波数ドメインまたは周波数近接ドメインにおいて修正された信号は、次に、時間ドメインへの逆変換を実行する周波数/時間変換手段370に通信される。図2に示された実施形態に対比して、それは、出力側で、エコー抑制されたまたはエコー低減されたマイクロフォン信号が時間ドメインにおいて提供される装置200の出力290に接続される。
そのうえ、図4に示された装置200の実施形態は、それを介して現在のディレイ値またはディレイ値に対する現在の修正値をディレイ手段340に通信する、出力においてディレイ手段340の入力(制御入力)に接続されるディレイ値演算手段380を更に含む。ディレイ値演算手段380は、ここでスピーカ信号とマイクロフォン信号のそれぞれに対するパスに接続される。
具体的な実施態様に依存して、修正手段260の後でのみマージされる2つのパスに対するこの接続は、異なる位置で実行することができる。このように、ディレイ値演算手段380は、例えば、第1の時間/周波数変換手段330−1の出力に、ディレイ手段340の出力に、または修正手段260の第1の修正サブ手段260aの出力に接続することができる。さらにまた、ディレイ値演算手段380は、マイクロフォン信号パスに関係して、第2の時間/周波数変換手段330−2の出力に、または第2の修正サブ手段260bの出力に接続することができる。
図5は、例えば図4に使用することができるディレイ値演算手段380のブロック回路図を示す。ディレイ値演算手段380は、ここで第1の入力390−1と第2の入力390−2を備え、図4に示された実施形態において、そのうちの1つはスピーカ信号パスに接続され、他の1つはマイクロフォン信号パスに接続される。このように、例えば、第1の入力390−1はスピーカ信号パスに関係してディレイ手段340の出力に接続され、第2の入力390−2は第2の時間/周波数変換手段330−2の出力に接続される。
ディレイ値演算手段380は、両入力390に接続されるコヒーレンス関数演算手段400を備える。それは、2つの入力390に入来する信号に基づいて対応するコヒーレンス関数を演算するように形成される。それは、出力側で、対応するエコー予測ゲインを演算し、最適化手段420に出力するように形成された下流のエコー予測ゲイン演算手段410に接続される。この最適化手段420は、次に、ディレイ値演算手段380の出力430に接続され、それ自体は対応するディレイ値のためにディレイ手段340の入力に接続される。
このように、ディレイ値dは、図4および5に示された手段の助けにより、スピーカおよびマイクロフォンのパワースペクトルに関して、次式に従って、コヒーレンス関数、例えば自乗コヒーレンス関数を用いて、演算または決定することができる。
Figure 2011511522
ここで、式(8)において生ずる期待値E[]は、平均値として実施することもできる。この演算は、図4および5に示された実施形態において、ディレイ値演算手段380のコヒーレンス関数演算手段400によって実行される。
基本的に、ディレイ値dは、各周波数バンドに対しておよび/または各バンドパス信号に対して演算することができ、バンドパス信号は整数である指標mによって決定される。しかしながら、図4および5に記載された実施形態においては、全ての周波数に対しておよび/または全てのバンドパス信号に対して、単一のディレイ値の使用のみが考慮される。このため、いわゆるエコー予測ゲインω[k]は、エコー予測ゲイン演算手段410において、次式に従って、個々の周波数上のコヒーレンス関数Γd[k,m]の平均値として演算される。
Figure 2011511522
ここで、Mは周波数バンドおよび/またはバンドパス信号の数を示す整数である。個々のバンドの指標mは、ここで0からM−1まで変化する。実際のディレイ値dは、次に、最適化手段420を介して、エコー予測ゲインが最大になるように選択される。言い換えれば、これは、次式に従って、手段420によって決定される。

d = argmaxdd[k]] (10)

ここで、関数 argmaxd[] は、パラメータdに関して正確に最大値を決定することを意味する。
これにより、図4に図示されたように、現在のディレイ値dは、現在の波形の関数として、ディレイ値演算手段380を介して、ディレイ手段340に通信される。より詳しくは、ここで記載されたディレイ値演算手段380の接続は、遅延された信号はコヒーレンス関数の演算においてすでに考慮されているので、ディレイ手段340に利用可能とされた信号がディレイ値dに関する訂正信号を表すに至るフィードバック回路である。それ故、基本的に、式(10)に従って、先に演算されたディレイ値からの偏差を表すΔdによって演算されるようなディレイ値を示すことも可能である。絶対ディレイ値dを取得するために、ディレイ手段340によって、それを考慮に入れることができる。しかしながら、非ディレイ信号に基づく演算のケースでは、それぞれのディレイ値は、式(10)を介して直接に決定することができる。
Figure 2011511522
付録Aに示されるように、式(11)の使用は、定常ノイズW[k,m]の加算的部分によって、エコー推定フィルタのシステマチック推定偏差によるシフトされた推定を導く。このように、式(11)に基づいて、エネルギードメインにおけるエコー推定フィルタは、次式のように結果としてなる。
Figure 2011511522
数バンド内の定常ノイズw[n]の分散である。ここで、システマチック推定偏差によってシフトされたエコー推定フィルタは、ノイズの多い環境においてエコー信号に対して容認できないほど高い推定に潜在的に導くことが、(12)から直ちに帰着する。エコー信号の過剰推定は、概して攻撃的すぎるエコー抑制に結果としてなるので、近端における音声信号の外乱は、同時双方向通信(2倍のトーク状況)の間は、容認できないほど高くなる。
本発明の実施形態を利用するとき、図4および5に図示されたように、例えば、エコー推定フィルタG[k,m]は、スピーカおよびマイクロフォンのパワースペクトルの時間変動に関して推定される。パワースペクトルの時間変動は、ここで「中心ぞろえ」または平均化バージョン、すなわち低減するまたは、さらに一般的には、対応する平均値を考慮に入れるように決定される。このように、修正手段260において、修正されたパワースペクトルは、第2の修正手段260bによって、次式に従って、マイクロフォン信号に対する修正されたエネルギー関連値として演算される。
Figure 2011511522
同様に、スピーカ信号に対する修正されたパワースペクトルもまた、修正手段260によって、次式に従って、第1の修正サブ手段260aの形で演算される。
Figure 2011511522
式(13)および(14)に入っている数学的期待値E{}は、ここで平均値決定手段250によって形成される。ここで、都合よく、数学的期待値E{}は、上記の式において用いられているように、対応するパワー関連値に基づいて、2つの平均値決定サブ手段250および250bによる短時間平均値によって置き換えられる。次の実施例から始めて、

ΦAB[k,m] = E{A[k,m] ・ B[k,m]} (15)

Figure 2011511522
係数 αavg は、ここで時間上の平滑化の度合いを決定し、いかなる与えられた条件にも適応することができる。
言い換えれば、時間平均値は、次式に従って、任意の量A[k,m]、ここでkは時間指標である、に対して演算することができる。
Figure 2011511522
ここで、量E(A[k,m])は、現在の値A[k,m]および先に演算された平均値E(A[k−1,m])に基づいて再帰的に演算される。係数 αavg は、ここで、先に演算された平均値に対する新しい値A[k,m]の加算の寄与度を重み付けし、先に演算された平均値自体は係数(1−αavg)によって重み付けられる。
このように、式(15)〜(17)において与えられた演算ルールの助けにより、対応する平均値は、平均値決定手段250およびその2つの平均値決定サブ手段250aおよび250bにおいて、これらの手段に利用可能となった対応するデータから決定することができる。式(15)〜(17)に従う演算ルールの実施態様は、ここで実時間で実行することができる再帰的な移動平均を表す。特に、「将来の」データブロックをここで待つ必要はない。
Figure 2011511522
Figure 2011511522
に従って演算され、関連する位相情報もまた、さまざまな方法によって加算および/または推定することができる。それが必要である限り、位相情報としての一定の位相は、このように、例えば、全ての周波数バンド、周波数範囲またはバンドパス信号に対して用いることができ、対応する周波数バンドに対するディレイ値dの関数として決定することができ、または時間経過または対応する振幅のスペクトル経過から決定することができる。
この推定によって、式(18)において実行されたように、スピーカ信号およびマイクロフォン信号のスペクトル変遷のみがエコー推定フィルタを推定するために用いられる。また付録Bにおいて説明されるように、加算的定常ノイズ信号w[n]は、式(18)による推定によって相殺される。付録Bの導出において示されるように、式(18)の使用
Figure 2011511522
そのうえ、式(8)を用いる代替として、ディレイ値dの推定は、次式に従って、コヒーレンス関数を用いて、変動スペクトルに基づいて実行することもできることをここで指摘すべきである。
Figure 2011511522
に基づいて、エコー予測ゲインが最大化されるように選択される。
言い換えれば、ディレイ値演算は、式(8)および(9)に関連して示されたもの以外の量を用いて、ディレイ値演算手段380によって実行することもできる。これは、図4に関して、他の値が、入力390において利用可能であるように、オプションとして引かれたパスを介してディレイ値演算手段380に提供されることを意味する。制御情報演算手段270は、設計パラメータβ、γおよびLHに基づくフィルタ係数H[k,m]の形で、音響抑制フィルタ210に利用可能な制御情報を作り、それは以下において更に詳細に紹介される。
本発明の実施形態において、異なる特性周波数に帰属するスピーカ信号のバンドパス信号またはそこから導き出される信号は、異なる範囲に遅延させることができる。例えば、異なる伝播路が周波数選択的な減衰を有し、その結果、直接の伝播路が特定の周波数範囲において最も強い信号寄与度をもはや提供しないとき、これは望ましいかも知れない。このようなケースでは、ディレイ値の決定は、コヒーレンス関数に基づいて、および/または、制限された周波数バンドを介してなされたエコー予測ゲインの演算に基づいて、直接実行することができる。
音響エコー抑制は、音響抑制フィルタ210によって、次式に従って、適当なエコー抑制フィルタによってマイクロフォン信号を重み付けすることによって実行される。

E[k,m] = H[k,m] ・ Y[k,m] (22)
マイクロフォンスペクトルY[k,m]は、ここで第2の時間/周波数変換手段330−2の出力から直接に音響抑制フィルタ210に提供される。重み係数および/またはフィルタ係数H[k,m]は、ここで制御情報の演算手段360および/または制御情報演算手段270から取得された音響抑制フィルタ210の制御情報を表す。
エコー推定フィルタH[k,m]および/または制御情報は、ここで、参考文献7に記載されているように、スペクトル減算法によって演算することができる。制御情報は、このケースにおいて、次式によって得ることができる。
Figure 2011511522
設計パラメータβ、γおよびLHは、エコー抑制フィルタの望ましいパフォーマンスを制御するために用いられる。代表的な値は、ここで、β=2、γ=2およびLH=−60(−60dBの最大減衰に対応する)である。エコーのパワースペクトルの推定は、ここで、次式に従って、エコー推定フィルタによって取得される。
Figure 2011511522
式(24)による演算は、制御情報の演算手段360によって実行することもできる。好ましくは、エコー推定およびエコー抑制は、スピーカ信号およびマイクロフォン信号のオリジナルのスペクトルに関して実行される。
図6は、1000Hzの周波数に対する本発明の実施形態に基づく数値結果を示す。シミュレーションは、6dBのSN比(SNR)を有する1/fノイズ(ピンクノイズ)によって損なわれた音声信号によって生成された。シミュレーションの前半は、ここで、作動中の遠端のスピーカによって生じたエコーに排他的に対応しているのに対し、シミュレーションの後半は、双方向トーク状況(2倍のトーク状況)に対応している。
図6の(a)は、それに重畳された1000Hzの周波数に対するスピーカ信号の短時間パワースペクトル430および短時間平均化スペクトルを黒線で示す。言い換えれば、図6(a)は、スピーカ信号に対する短時間パワースペクトル430および対応する短時間平均化スペクトル440を示す。
部分図(b)は、ここで、実際のエコー推定フィルタを破線で示し、ならびに点線で図示されたシステマチック推定偏差を有する推定と、実線で描かれたシステマチック推定偏差を有しない推定とを示す。言い換えれば、図6(b)の部分図は、本発明および本明細書の実施形態において提案され、記載されたように演算された、真のエコー推定フィルタG[k,m]を破線で示し、式(11)によるシステマチック推定偏差ありで演算された
Figure 2011511522
部分図6(c)は、エコー予測ゲインの時間経過を示し、ここで、全ての3つの部分図はそれぞれ0秒(0s)から15秒(15s)の時間スケールに基づいている。前に説明されたように、0秒から約7.5秒の時間範囲は、スピーカからの音声のみが含まれ、それはエコーおよびマイクロフォンを介して再びピックアップされるが、後半、すなわち約7.5秒と15秒の間の時間においては、音声が付加的にマイクロフォンに結合される。
部分図6(c)は、このようにエコー推定フィルタの信頼性の尺度を時間の関数として表すエコー予測ゲインに対応する。これらのプロットは、中心ぞろえ統計量を考慮に入れずに演算されたエコー推定フィルタのシステマチック推定偏差を示すが、時間変動に基づくエコー推定フィルタは、エコー予測ゲインが十分に大きいとき、実際のエコー推定フィルタG[k,m]に対応する。特に、エコー推定フィルタは、平均値除去を考慮に入れると、平均値除去のないものと比較して、明らかに望ましい経過により良好にマッチすることが図示されている。特に、部分図6(b)の10秒と15秒の間の時間レンジにおいて、対応するエコー推定フィルタの経過に関して、認識可能な有意差がある。
図7は、音響抑制フィルタ210を有する装置200の更なる実施形態の簡略ブロック回路図を示す。図7において選択されたイラストは、時間指標n上の、マイクロフォン信号y[n]およびスピーカ信号x[n]の2つの時間経過を付加的に示す。図3に示された実施形態と比較して、図7は、このように、提案された本発明の実施形態に係る音響エコー抑制アルゴリズムのより完全なブロック回路図を示す。図3に示された実施形態との類似性のため、この実施形態の記載はこの点でより簡潔に保たれ、付加的な詳細に関して図3の記述が参照される。
スピーカ信号x[n]は、短時間フーリエ変換(STFT)の形の第1の時間/周波数変換手段330−1に供給される。同様に、マイクロフォン信号y[n]は、これもまた対応するSTFTユニットである第2の時間/周波数変換手段330−2に供給される。2つの時間波形x[n]とy[n]の比較において示されるように、スピーカ信号は、時間間隔dによってマイクロフォン信号をリードするので、第1の時間/周波数変換手段330−1は、対応して時間遅延されたスピーカ信号のスペクトルX[k−d,m]を生成する。
図7の上部の2つの時間経過に関して、これは、2つの中括弧450−1と450−2の使用によって並びに時間間隔dを示す矢印460によっても表される。第2の時間/周波数変換手段330−2は、しかしながら、時間遅延されない形のマイクロフォン信号の対応するスペクトルY[k,m]を提供する。図4に対して、これは、図7に示された実施形態において、ディレイ手段340も第1の時間/周波数変換手段330−1に統合されていることを意味する。
2つの時間/周波数変換手段330−1、330−2は、次に、図3に図示された実施形態において既に示されたように、図7においてETFと称される2つの推定手段310−1、310−2を含むユニット300に接続される。ここで、略語ETFは、時間変動の推定を表す。推定手段310は、このように、図4の値決定手段230および平均値決定手段250の機能を含む。
Figure 2011511522
エコー抑制処理ユニット325は、その出力において周波数ドメインにあるエコー抑制された信号を提供し、それは、次に、このケースでは逆短時間フーリエ変換(ISTFT)である周波数/時間変換ユニット370によって処理され、その結果、エコーに関して低減された対応する時間信号がその出力において出力される。
図3および7に示された実施形態と図4および5に示された実施形態との比較は、個々の手段およびモジュールがそれらの機能に関して実際に異なって実装できることを明らかに図示している。このように、個々のステップは、対応する数学変換によって再編成することができる。このように、式(22)〜(24)の実装は、例えば、エコー抑制処理ユニット325の上記説明において記載されているのと異なってまとめることもできる。このように、それぞれの演算は、例えば、1つの演算プロセス内で、またはまた、いくつかの異なって再分割された演算において実行することができる。
図8は、これもまた装置200に含まれる音響抑制フィルタ210の制御情報を演算する装置200の形の本発明に係る更なる実施形態を示す。図8に示された実施形態は、ここで、実施形態を他の音響エコー抑制アプローチにおいて実装し、埋め込むこともできることを強調する。音響エコー抑制アプローチの埋め込みに関する第2の異なるアプローチを表す他の実施形態が、図9において記載される。
Figure 2011511522
装置200は、スピーカ100並びにマイクロフォン110を備える。スピーカ信号x[n]は、信号を周波数ドメインに転送する離散フーリエ変換解析バンク(DFTは離散フーリエ変換)の形の時間/周波数変換手段330−1に供給される。それは、その出力において、一方ではディレイ手段340に、他方では値決定手段230の第1の値決定サブ手段230aに提供されるスペクトルX[k,m]を出力する。スペクトルX[k,m]は、ここで、実数値であってもよく、または、また複素値であってもよい。
同様に、マイクロフォン110のマイクロフォン信号y[n]は、その出力において、対応する実数値または複素値のスペクトルY[k,m]を出力する第2の時間/周波数変換手段330−2に供給される。それは、一方では値決定手段230の第2の値決定サブ手段230bに供給され、他方では直接音響抑制フィルタ210に入力信号として供給される。
Figure 2011511522
ディレイ手段340は、それに供給されるスペクトルX[k,m]から、遅延されたバージョンX[k−d(k,m),m]を生成する。この遅延されたスピーカスペクトルは、次にディレイ手段340に接続されたエコー推定フィルタ480に利用可能とされる。
そのうえ、エコー推定フィルタ480は、それを介して実際のエコー推定フィルタを関連するフィルタ係数の形で取得するユニット470にも接続される。エコー推定フィルタ480は、このように、図8に示された実施形態において、式(24)の機能を実行し、それ故、制御情報演算手段270の一部として理解される。
Figure 2011511522
Figure 2011511522
ここの制御情報の演算手段360は、ここでまた再びエコー抑制係数H[k,m]を演算し、それを対応する制御入力を介して音響抑制フィルタ210に利用可能とさせるように形成される。
すでに前に説明されたように、第2の時間/周波数変換手段330−2の出力も音響抑制フィルタ210の入力に接続されるので、エコーを抑制されたスペクトルE[k,m]を演算し、それを逆離散フーリエ変換フィルタバンクの形の下流の周波数/時間変換手段に利用可能とさせることができる。この周波数/時間変換手段は、合成フィルタバンクとも称され、その出力においてエコー抑制された時間信号e[n]を提供する。
Figure 2011511522
更なる過程においてなお説明されるように、クリチカルバンドに関して決定されるエコー推定フィルタのケースにおいて、対応する補間は、STFTドメインにあるエコー推定フィルタのバージョンを取得するように実行できることをここで指摘すべきである。
Figure 2011511522
そのうえ、図9および8に示された実施形態は、その構成上の特徴に関して異なるが、非常に小さい範囲のみである。より詳しくは、それらは、値決定サブ手段230aおよび230cの構成に関して実質的に異なる。説明を簡単にするため、値決定手段230、230´は、図9において示されていない。
より詳しくは、値決定サブ手段 230aは、このとき、第1の時間/周波数変換手段330−1の下流に直接接続され、その結果、スピーカ信号のパワースペクトルX[k,m]は、すでに、ユニット470だけでなくディレイ手段340にも供給されている。同様に、ディレイ手段340は、パワースペクトルの遅延された形をも生成し、エコー推定フィルタ480は、式(24)に従って対応する振幅周波数経過を生成し、それは次に、加算値決定サブ手段230cのない制御情報の演算手段360に直接提供される。言い換えれば、ディレイ手段340の「上流」の値決定サブ手段230aを動かすことによって、第3の値決定サブ手段 230cの実装を省略することができる。同様に、エコー推定フィルタ
Figure 2011511522
さらに、図8および9に示された本発明の2つの実施形態は、しかしながら、お互いに有意には異ならない。他の供給された信号および個々の手段の情報による偏差は、いくつかの機能上の特徴およびいくつかの演算ルールに関してのみ、結果として生ずる可能性がある。
Figure 2011511522
Figure 2011511522
図8および9に示された実施形態において、ディレイ値d(k,m)は、時間およびまた現在の周波数の両方に関して変動する可能性がある。もちろん、ディレイ手段340で使用されるディレイ値は、個々のバンドパス信号および/または周波数範囲に対して同一に選択することができる。
図10は、本発明の更なる実施形態を示し、それは、その構造に関して図2に示された実施形態と類似している。しかしながら、図10および図2に示された実施形態は、図10に示された実施形態がマルチチャンネル変形の装置200であるという点で異なる。構造的に言うと、図2および図10に示された実施形態は、このように、若干異なるだけであり、そのため図2に関する記載が再び参照される。
しかしながら、図2に示された装置200の実施形態に対比して、図10に示された実施形態200は、前に定めたように、一群の信号の複数の対応する入力信号を装置200に提供することができる複数の入力240−1、240−2、…を備える。このように、複数の入力240−1、240−2、…は、次に装置200の更なる構成要素に利用可能とされる入力240に入来する信号から単一の結合信号を生成する結合手段490に接続される。より詳しくは、結合手段490のこの結合信号は、上述したように、次に、対応する制御情報を提供する値決定手段230、平均値決定手段250、修正手段260および制御情報演算手段270に再び利用可能とされる。
図10に示された実施形態は、音響抑制フィルタ210が、このとき、対応する実施形態の具体的な実施態様に依存して、装置200の入力240に提供される入力信号またはまたオプションの付加的入力280−1、280−2、…を介して装置200に提供される他の信号を供給することができるサブフィルタ210−1、210−2、…を含むという点で、図2に示されたものと更に異なる。言い換えれば、具体的な実施態様に依存して、音響抑制フィルタ210のすべての単一のサブフィルタ210−1、210−2には、入力240−1、240−2、…において利用可能とされる信号、または、オプションの他の信号を提供することができる。このような信号は、対応するオプションの入力280−1、280−2、…を介して、フィルタ210−1、210−2に提供することができる。
制御情報演算手段270の制御情報は、しかしながら、音響抑制フィルタ210の全てのサブフィルタ210−1、210−2、…に、パラレルに利用可能とされる。それ故、全てのサブフィルタ210は、同様に制御情報演算手段270の出力に接続される。個々のサブフィルタ210−1、210−2、…は、それが接続された対応する出力290−1、290−2、…において、エコーが低減された出力信号を提供する。
本発明の実施形態は、以前は1つのスピーカ信号および1つのマイクロフォン信号のみが利用可能な単一チャンネルのケースについて論じられてきただけであるが、ここでマルチチャンネルのケースについても考慮される。以下において更に記載されるように、本発明の実施形態は、単一チャンネルのケースに限定されるものではなく、音響マルチチャンネルエコー抑制システムにも同様に適用することができる。
l[k,m]をl番目のスピーカ信号のSTFTドメイン表現を示すとすると、全てのスピーカチャンネルの連結されたパワースペクトルが、次式に従って、組合せ手段490を介して個々のスピーカ信号のスペクトルを結合することによって最初に演算される。
Figure 2011511522
ここで、Lはスピーカチャンネルの数を示し、lは0からL−1に変化するチャンネルの指標を示す。しかしながら、これは非負の整数である。
同様に、マイクロフォンチャンネルの連結されたパワースペクトルは、次式に従って演算される。
Figure 2011511522
ここで、Yp[k,m]はp番目のマイクロフォンの信号を示し、Pはマイクロフォンの数を表す自然数を示す。指標pは、個々のマイクロフォン信号を示し、0からP−1に変化する。指数lおよびpは、以前に述べた指標mのように、0からそれぞれL−1、P−1およびM−1の値の範囲にある。
結合は、例えば式(25)および(26)に含まれるような、対応する結合手段によって、また他の演算または決定のルールを用いて、実装することができる。式(25)および(26)において、それぞれパラメータLおよびPによる区域がある場合、それは例えば算術平均演算である。このため、結合手段は、部分的には平均演算手段とも称される。
エコーのパワースペクトルに対する望ましいモデルは、式(7)に類似して、次式によって与えられる。
Figure 2011511522
Figure 2011511522
実際のエコー抑制は、その時それぞれのマイクロフォン信号に対して別々に実行されるが、それぞれのマイクロフォンチャンネルに対して同じエコー抑制フィルタを用いることによって実行される。それ故に、
Figure 2011511522
が、p=0、1、…、P−1について適用される。同様に、図10に関連して述べられたように、対応するエコーが低減された信号は、それぞれのマイクロフォン信号に対して周波数ドメインEp[k,m]において最初に決定され、その信号は次に時間ドメインに変換することができる。
もちろん、図10に示された実施形態において、入力240に提供される信号および入力280に提供される信号は、異なる数を用いることができる。並列演算および更なるチャンネルの処理が要求されない限り、処理される信号のそれぞれに対して対応する分離した音響抑制サブフィルタ210を実装することのみが意味をなす。
もちろん、本発明の実施形態はまた、1つのマイクロフォン信号のみが複数のスピーカ信号に結合され、その結果、付加的な構成要素がスピーカ信号に関してのみ実装されるように、結合することができる。類似して、1つのスピーカ信号のみが複数のマイクロフォン信号に対向する実施態様を利用することもできる。第1の状況は、例えば、他端の音声が車両のHiFiシステムを介して出力される自動車ハンズフリー電話システムにおいて遭遇することができるが、第2のシナリオは、それぞれのパーティーに対して単一の中心スピーカと1つのマイクロフォンを有する会議システムのケースにおいて可能である。スピーカ信号およびマイクロフォン信号の数は、ここで、もちろん同一であるかお互いに異なることができる。
本発明のそれぞれの実施形態の周波数分解能が説明され、変形例が図12および13に関連して論じられる前に、フィルタ500の実施形態が、最初に、個々の手段もまたそれらの回路および処理の実施態様に関して柔軟に適応できることを図示する図11に関連して述べられる。
図11に示すように、音響抑制フィルタ500は、ここで、音響抑制フィルタ210に関連して図2に示された装置200に主に対応する。このように、図11の音響抑制フィルタ500もまた、演算手段220に非常に類似した演算手段510を有する入力240を備えている。入力240を介して、以前に述べた一群の信号の1つは、演算手段510の一部である値決定手段230に供給される。値決定手段230の出力は、一方では平均値決定手段250に、他方では修正手段260に接続される。平均値決定手段250の出力もまた、修正手段260に接続される。この時点まで、音響抑制フィルタ500の構成記述および機能接続は、装置200のそれらから異ならない。
しかしながら、修正手段260の出力は、ここで、その機能に関して音響抑制フィルタ210に対応する音響抑制フィルタ手段520の入力に接続される。図2の音響抑制フィルタ210に対比して、音響抑制フィルタユニット520は、また、修正手段260から受信された修正されたエネルギー関連値に基づいてそれぞれの信号の1つをフィルタするため、入力240またはオプションの更なる入力280に直接接続される。同様に、音響抑制フィルタ手段520は、エコーが低減された信号を出力することができる出力290に接続される。
図11に示された音響抑制フィルタ500の実施形態は、このように、図2に示されたような装置200の実施形態とは、例えば、装置200の機能の一部が実際の音響抑制フィルタおよび/または音響抑制フィルタ手段520に含まれることにおいて異なる。言い換えれば、これは、音響抑制フィルタ手段520が図2に示された制御情報演算手段270の機能を含むことを意味する。すでに前に説明されたように、以前に述べたブロックに関する機能上および/または構成上の軟化はここで起こるかも知れない。
Figure 2011511522
16kHzのサンプリングレートに対して、長さ512のDFTフィルタバンクの使用および15の区画の使用は、参考文献9で述べられているように、それぞれの区画が等価な矩形バンド幅(ERB)の約2倍のバンド幅を有する適切な選択を表すことができる。図12において図示されたように、バンドは区画に対応する。
このように、図12は、均一なSTFTスペクトルのスペクトル係数が、どのように人間の聴覚系の均一でない周波数分解能を模擬する区画にグループ化することができるかを示す。このように、図12は、0Hzから8000Hz間の周波数の関数として、16kHzで動作するサンプリング手段によってアクセスできる合計15から16の周波数バンドの配置を示す。図12は、対応する周波数区画が、どのように周波数の増加と共により幅広くなるかを明らかに示している。
異なるゲインフィルタは、それぞれの区画の中心周波数に対してのみ演算される。これは、均一なSTFTスペクトルの最大スペクトル分解能のケースと比較して、より少ない演算量に付加的に導く。最後の区画のゲインフィルタをSTFTスペクトルの均一な信号に適用する前に、対応するスペクトルは、ハン補間フィルタを用いて補間される。
図13(a)は、このように、ゲインフィルタを周波数の関数としてスムージングするために用いることができる潜在的なハン補間フィルタを示す。図13(b)は、対応するゲインフィルタ係数を実線600の形で示し、それは図13(b)において太字の点で表された区画におけるゲインフィルタに対する値の補間によって取得することができる。ここで、図13(b)において横軸上に図示された周波数軸は、図13(a)において表されたイラストにも関係する。
言い換えれば、部分図13(a)は、ハンフィルタを図示し、部分図13(b)は、対応する補間のアプリケーションの前および後のゲインフィルタ値の例を示す。ここでの前の値は点によって表され、補間は線600によって表される。ゲインフィルタの周波数平均演算は、周波数の関数として、結果として生じるスペクトルのバリエーションの平均演算に導き、このように、音の音楽ノイズおよび他のアーチファクトを低減する。
具体的な実施態様に依存して、本発明の実施形態は、ここで、少なくとも1つのスピーカ信号を受信することと、少なくとも1つのマイクロフォン信号を受信することと、スピーカおよびマイクロフォン信号を短時間スペクトルに変換することと、対応するスピーカとマイクロフォン信号のパワースペクトルを演算することと、対応する時間変動スペクトルを取得するために、スピーカおよびマイクロフォンのパワースペクトルをフィルタリングすることと、スピーカ時間変動スペクトルからマイクロフォン時間変動スペクトルを推定するエコー推定フィルタを演算することと、マイクロフォン信号スペクトルにおけるエコーを除去するためのエコー抑制フィルタを使用することと、エコーが除去された出力信号を獲得するために、抑制されたエコーを有するマイクロフォン信号スペクトルを時間ドメインに逆変換することとを備える。
この点で、本発明の実施形態のバンドパス信号が、例えば、フーリエ変換、サブバンドドメインへの変換、または対応する解析フィルタバンクによるQMFドメインへの変換によってなすことができることを指摘することは、再び意味をなす。対応する逆変換は、対応する合成フィルタバンクによって行うことができる。
同様に、異なる装置が、完全にまたは部分的に同じ回路網、回路および対象によって形成できると指摘することは、意味をなす。同様に、マイクロフォン信号およびスピーカ信号が一般に異なる信号であると指摘することは、意味をなす。この点で、上記実施形態において取得された中間結果がこのように必ずしも生成される必要があるわけではないことを再び指摘すべきである。むしろ、本発明の実施形態は、他の中間結果を直接アクセスできるまたはいかなる中間結果も全く直接アクセスできない数学変換を用いて実装することもできる。同様に、マルチチャンネル実施態様のケースにおいて導き出された信号に基づくが、個々の信号に基づく更なる演算によって、エネルギー関連値を演算することが可能である。
装置およびシステムの形の上記構成上の実施形態は、個々の演算ステップ、方法ステップおよび他のステップを表すフローチャートとして理解できることも指摘すべきである。この点で、方法および装置の別々の記載は、ここでは必要ない。
本明細書においては、実質的に、電気的にデジタル的に符号化されたオーディオ信号が前もって考慮されており、ディレイ値もまた、それをスピーカ信号および/またはそれから導き出された信号に適用するために、エコーキャンセレーションシステムにおいて演算される。しかしながら、すでに最初に説明したように、他の信号に対して対応するディレイ値を決定し、おそらくこのディレイ値によって信号を遅延させる他の信号処理回路の必要性も実際に存在する。
異なる信号が、それらの実行時間、位相位置または他のパラメータに関してお互いに適応される補償回路および補償装置は、考えられる応用分野としてここで言及される。すでに言及された電気的にデジタル的に符号化されたオーディオ信号は別として、他の電気的にデジタル的に符号化された信号もまた、対応する遅延の必要があるかも知れない。それはまた、アナログ電気信号、光学アナログ信号および光学的にデジタル的に符号化された信号に対しても適用される。具体的な実施態様に依存して、対応する情報は、ここで、電圧値において、電流値において、周波数値において、位相値において、強さ値において、または電気または光の信号の他の量において符号化される。すでに言及されたオーディオ信号は別として、例えば、ビデオ信号、一般的なデータ信号、また同期信号および他信号は、対応するディレイの必要があるかも知れない。
さまざまな実施態様の多様性にも拘らず、主にデジタル的に符号化された電気信号に基づいてディレイ値を決定する装置の形の本発明の実施形態は、更なる過程において記載され、言及される応用分野のための実施形態の対応するバリエーションが引き続いて説明され、記載される。
図14は、ディレイ手段710に対するディレイ値dを演算する装置700を示す。ディレイ手段710は、ここで、それ自体は装置700に対するオプションの構成要素であり、図14においてこのように破線で描かれている。
装置700は、ここで、第1および第2の信号のための第1の入力720−1および第2の入力720−2を備える。前に説明されたように、これらの信号は、また対応する他の信号も、電気的にデジタル的に符号化されたオーディオ信号とすることができる。ディレイ手段710は、ここで、入力側で、第1の信号のための第1の入力720−1に接続される。ディレイ手段710は、出力側で、第1の信号が遅延された形で出力される装置700の出力730に接続される。さらに、ディレイ手段710は、それによって第1の信号が入力720−1と出力730の間で遅延されるディレイ値に関する情報を備える信号が提供される入力710aを備える。同様に、ディレイ手段710は、入来する第1の信号をこのディレイ値によって対応して遅延させるように形成される。
装置700は、両入力720に接続されるオプションの時間/周波数変換手段740を更に備える。それは、第1および第2の出力において値決定手段750に接続され、値決定手段750は、次に、第1の信号に基づく信号の出力および第2の信号に基づく信号の出力を介して平均値決定手段760および修正手段770に接続される。修正手段770は、2つの付加的な更なる入力を更に備え、それによって平均値決定手段760に接続され、第1の信号および第2の信号に関する2つの信号の出力に接続される。
図14に示された装置700の実施形態において、修正手段770は、ディレイ値演算手段780に接続される2つの対応する出力も備える。ディレイ値演算手段780は、またディレイ手段710の制御入力710aに接続される出力を備える。
制御情報を演算する装置200および音響抑制フィルタ500の上記実施形態に関連してすでに述べたように、記載された手段は、演算手段790の一部であってもよく、例えば、プロセッサの形で実装されてもよい。オプションとして、ここで個々の構成要素、例えばディレイ手段710が、この演算手段790の一部でないこともまた可能である。
個々の手段は、それらの機能に関して、前にすでに記載された手段に対応する。このように、例えば、時間/周波数変換手段740は、第1および第2の信号それぞれの1つのデータブロックを、対応するスペクトル表現に変換するように形成され、それは次に更なる装置において更に処理することができる。より詳しくは、時間/周波数変換手段740は、ここで、それぞれが関連する1つ以上の特性周波数を有する、2つの信号のそれぞれに対する1つ以上のバンドパス信号を出力する。バンドパス信号は、ここで、周波数関連ドメインに関係しており、それは、3つの実施例だけを挙げると、再び、実際の周波数ドメイン、サブバンドドメインまたはQMFドメインとすることができる。
値決定手段750は、その機能に関して、値決定手段230に対応し、この点で、ここで以前の実施形態を参照することができる。しかしながら、最も一般的で単純な形の値演算手段230と対比して、図14に示された装置700の実施形態の値決定手段750は、両方の信号に対して、バンドパス信号に関係する少なくとも1つのエネルギー関連値を演算するように形成される。本発明の更なる実施形態において、全てのバンドパス信号、すなわち例えばエネルギー値またはまた対応するバンドパス信号の振幅値に対して、複数のまたは対応するエネルギー関連値を演算するように更に形成される。さまざまなバンドパス信号は、ここで異なる特性周波数に関係しており、このようなケースにおいて、通常は2つの信号に対して同じ特性周波数に対応するバンドパス信号が考慮される。
平均値決定手段760は、その機能に関して、以前に述べた実施形態の平均値決定手段250に対応し、それは再び両方の信号に対応する平均値を決定する。このため、この点で平均値決定手段250に関する記載を再び参照することができる。
同じことが、先の実施形態の修正手段260に対応する修正手段770に等しく適用され、それはまた両方の信号に対して対応する修正を実行する。
最後に、ディレイ値演算手段780は、ディレイ値d[k,m]の演算値に関して、ディレイ値演算手段380およびユニット470に対応する。このため、その記載に関して、これらの手段および装置に関する対応する記載の一節が参照される。
言い換えれば、本発明の実施形態において、ディレイ値演算手段780は、例えば、式(8)〜(10)に記載された関数を実行するように形成することができる。同様に、本発明の実施形態において、修正手段770は、式(13)および(14)によって記載された関数を実装するように、対応して形成することができる。平均値演算手段760は、このように、基本的に、式(15)〜(17)によって定義された関数を実装するように理解することもできる。値決定手段750は、最後に、入来する対応信号の値に関して、図2に関連してすでに説明されたエネルギー関連値を演算する手段として理解することができる。
ディレイ手段710は、その機能に関して、ディレイ手段340、ならびに、対応する機能を実装する図7の時間/周波数変換ユニット330−1のような他の構成要素に、少なくとも対応しない。同様に、演算手段790および220は、お互いに対応することができる。同じことが、上述の入力240、280および出力290に関して、入力720および出力230にも適用される。
この考察において示されたように、図1〜13に示された多くの装置および音響抑制フィルタもまた、これらがここで簡潔性の理由で示されないような場合であっても、装置700の形の本発明の実施形態である。
すでに前に述べたように、装置700の形の本発明の実施形態は、図14に示されたように、例えば、第2の信号に対する第1の信号のディレイ値の、より速いおよびおそらくまた改善された適応に導くことができる。これは、例えば、対応する差分が時間において一定でない実行時間補償問題において、非常に有益である可能性がある。これは、対応する平均演算によって決定することができるシステマチック推定偏差の形の定数値として生ずるエネルギー関連値に関して、少なからず周波数関連ドメインにおけるノイズ部分および他の定常のノイズの多い寄与によって達成される。これらの値は、次に修正手段770において更に考慮することができる。
すでに図14においても示されたように、このように決定されたディレイ値は、例えば、対応する信号を遅延させるために使用することができる。すでに複数回言及された実行時間補償は別として、対応するディレイ回路は、またエコー除去システムおよび他の同期回路において使用することができる。
そのうえ、本発明の実施形態において、装置700をマルチチャンネル変形として実装することも可能である。このようなケースにおいて、装置700のマルチチャンネル変形は、第1の信号のための複数の入力720−1、第2の信号のための複数の入力720−2、またはその両方を備え、後者のケースにおける第1および第2の信号のための入力数は、お互いと同一またはまたお互いに独立とすることができる。
このような装置700において、対応する第1および第2の信号のタイプに依存して、オプションの時間/周波数変換サブ手段は、周波数ドメインへの変換を実行するために、時間/周波数変換手段740において、1つの信号のそれぞれに対して実装することができる。入来する第1の信号および入来する第2の信号を結合する結合手段は、結合手段490と関連してすでに前に記載したように、時間/周波数変換手段740と値決定手段750および/または付随する入力720と値決定手段750の間を結合することができる。信号の更なる処理は、次に、上述したように行われる。
このような装置700のマルチチャンネル変形は、通常は第1の信号のための入力720−1の数に対応して、多数のディレイ手段710を更に含む。これらは、それを介してディレイ値を取得するそれぞれの制御入力において、それぞれが同じディレイ値を取得するように、ディレイ値演算手段780に並列に接続される。
もちろん、その特性周波数を有するそれぞれのバンドパス信号に対するディレイ値の演算は、ここで、すでに上述したように、複数のバンドパス信号に対して、または全てのバンドパス信号に対して、個別になすこともできる。もちろん、これは、図14に示されたように、装置700のケースにおいて、すなわち非マルチチャンネル対応の実施態様において、実装することもできる。
条件に依存して、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアの方法の形で実装することができる。実施態様は、デジタル記憶媒体上、例えばフレキシブルディスク、CD、DVDまたは本発明の一実施形態に係る方法が実行されるプログラム可能なコンピューターシステムまたはプロセッサと協働することができる電子的に読取可能な制御信号を有する他のコンピュータ読取可能な記憶媒体であってもよい。一般に、本発明の実施形態は、このように、ソフトウェアプログラムプロダクトがコンピュータ上またはプロセッサ上で実行されるときに、方法の実施形態を実行するために機械読取可能なキャリアに記憶されるプログラムコードを有するソフトウェアプログラムプロダクトおよび/またはコンピュータプログラムプロダクトおよび/またはプログラムプロダクトにおいても成り立つ。言い換えれば、本発明の実施形態は、このように、プログラムがプロセッサ上で実行されるときに、方法の実施形態を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムおよび/またはソフトウェアプログラムおよび/またはプログラムとして実現することができる。プロセッサは、ここで、コンピュータ、チップカード(スマートカード)、特定用途向け集積回路(ASIC)、オンチップシステム(SOC)または他の集積回路(IC)によって形成することができる。
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[付録A]
システマチック推定偏差を有するエコー推定フィルタ
Figure 2011511522
最初に、
Figure 2011511522
式(11)によるエコー推定フィルタは、このように
Figure 2011511522
を産生する。
以上のように、定常ノイズ信号w[n]は、エコー推定フィルタの推定に零点項を導入する。さらにまた、式(29)は、エコー推定フィルタの零点シフトがノイズ分散の増加と共により大きくなることを暗示する。
[付録B]
システマチック推定偏差を有しないエコー推定フィルタ
Figure 2011511522
さらに、
Figure 2011511522
式(18)によるエコー推定フィルタは、このように
Figure 2011511522
を産生する。
このように、式(18)は、マイクロフォン信号に含まれる近いサイドの定常背景ノイズのケースにおいて、エコーパワー伝達関数の正しい推定に導くことが分かる。
100 スピーカ
110 マイクロフォン
120 音響環境
130 スピーカ信号
140 マイクロフォン信号
150 直接伝送路
160 間接伝送路
170 エコー除去処理回路
200 装置
210 音響抑制フィルタ
220 演算手段
230 値決定手段
240 入力
250 平均値決定手段
260 修正手段
270 制御情報演算手段
280 更なる入力
290 出力
300 ユニット
310 推定手段
320 エコー推定フィルタ
325 エコー抑制処理回路
330 時間/周波数変換手段
340 ディレイ手段
350 推定手段
360 制御情報の演算手段
370 周波数/時間変換手段
380 ディレイ値演算手段
390 入力
400 コヒーレンス関数演算手段
410 エコー予測ゲイン演算手段
420 最適化手段
430 短時間パワースペクトル
440 平均化された短時間パワースペクトル
450 中括弧
460 矢印
470 ユニット
480 エコー推定フィルタ
490 結合手段
500 音響抑制フィルタ
510 演算手段
520 音響抑制フィルタ
600 線
700 装置
710 ディレイ手段
720 入力
730 出力
740 時間/周波数変換手段
750 値決定手段
760 平均値決定手段
770 修正手段
780 ディレイ値演算手段
790 演算手段

Claims (32)

  1. 第2のオーディオ信号に基づくエコーを抑制するために第1のオーディオ信号をフィルタリングする抑制フィルタ(210)の制御情報を演算する装置(200)であって、
    一群の信号の少なくとも1つの信号の少なくとも2つの時間的に連続するデータブロックのバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を決定する値決定手段であって、前記一群の信号は、前記第1のオーディオ信号、前記第2のオーディオ信号、および前記第1のオーディオ信号または前記第2のオーディオ信号から導き出された信号を含む、値決定手段(230)を備える演算手段(220)を備え、
    前記演算手段(220)は、前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つの決定されたエネルギー関連値の少なくとも1つの平均値を決定する平均値決定手段(250)を更に含み、
    前記演算手段(220)は、前記バンドパス信号に対する前記決定された平均値に基づいて、前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つのエネルギー関連値を修正する修正手段(260)を更に含み、
    前記演算手段(220)は、前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つの修正されたエネルギー関連値に基づいて、前記抑制フィルタ(210)の前記制御情報を演算する制御情報演算手段(270)を更に含む、
    装置(200)。
  2. 前記値決定手段(230)は、前記エネルギー関連値が、正の整数指数部を有する前記バンドパス信号の値のパワーに比例するように形成された、または、前記値決定手段(230)は、前記エネルギー関連値が、パワーの指数部として正の実数値を有する前記バンドパス信号の値の振幅のパワーに比例するように形成された、請求項1に記載の装置(200)。
  3. 前記値決定手段(230)は、エネルギー関連値としてエネルギー値またはエネルギー値に比例する値を使用するように形成された、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  4. 前記値演算手段(230)は、同じデータブロックに対してであるが、異なる特性周波数を有する異なるバンドパス信号に対して、複数のエネルギー関連値を決定するように形成された、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  5. 前記値演算手段(230)は、同じデータブロックに対してであるが、異なる特性周波数を有する全てのバンドパス信号に対して、エネルギー関連値を決定するように形成された、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  6. 前記平均値決定手段(230)は、前記バンドパス信号の前記決定されたエネルギー関連値のそれぞれに対する平均値を決定するように形成され、前記修正手段(260)は、前記付随して決定された平均値に基づいて前記決定されたエネルギー関連値のそれぞれを修正するように形成され、前記制御情報演算手段(270)は、全ての修正されたエネルギー関連値に基づいて前記制御情報を演算するように形成された、請求項4または5に記載の装置(200)。
  7. 前記平均値演算手段(250)は、移動平均に基づいて前記少なくとも1つの平均値を決定するように形成された、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  8. 前記平均値演算手段(250)は、前記一群の信号の前記現在のデータブロックと、時間において前記現在のデータブロックの前にある前記一群の信号のデータブロックのみに基づいて、前記移動平均を演算するように形成された、請求項7に記載の装置(200)。
  9. 前記修正手段(260)は、前記それぞれのバンドパス信号に対する前記決定された平均値の減算に基づいて、前記少なくとも1つのエネルギー関連値を修正するように形成された、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  10. 前記演算手段(220)は、前記少なくとも1つの信号が、前記信号の前記データブロックに基づいて、サブバンド信号として周波数ベースのドメインに帰属するように形成された時間/周波数変換手段(330)を更に備える、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  11. 前記演算手段(220)は、少なくとも前記第1のオーディオ信号または前記第1のオーディオ信号に基づく信号ならびに前記第2のオーディオ信号または前記第2のオーディオ信号に基づく信号に対して、少なくとも1つのエネルギー関連値をそれぞれ決定し、少なくとも1つの平均値をそれぞれ決定し、前記それぞれの平均値に基づいて前記少なくとも1つのエネルギー関連値を修正し、前記それぞれの修正されたエネルギー関連値に基づいて前記制御情報を演算するように形成された、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  12. 前記演算手段(220)は、複数の第1のオーディオ信号、複数の第2のオーディオ信号、または、前記第1のオーディオ信号または前記第2のオーディオ信号から導き出された信号に基づいて、それらの結合によって、前記一群の信号の前記少なくとも1つの信号を形成するように形成された、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  13. 前記演算手段(220)は、前記複数の第1のオーディオ信号、前記複数の第2のオーディオ信号、または、前記第1のオーディオ信号または前記第2のオーディオ信号から導き出された前記複数の信号のそれぞれの信号に対して、前記抑制フィルタ(210)の同じ制御情報を演算するように形成された、請求項12に記載の装置。
  14. 前記演算手段(220)は、前記一群の信号の少なくとも1つの信号に対するまたは前記一群の信号のバンドパス信号の少なくとも1つのエネルギー関連値に対するディレイ手段(340)を更に備え、前記ディレイ手段(340)は、ディレイ値によって前記それぞれの信号または前記それぞれのエネルギー関連値を遅延させるように形成された、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  15. 前記ディレイ手段(340)は、前記ディレイ値が少なくとも1つの修正されたエネルギー関連値に基づくように形成された、請求項14に記載の装置(200)。
  16. 前記ディレイ手段(340)は、前記ディレイ値がコヒーレンス関数の最大値に基づくように形成され、前記コヒーレンス関数は、少なくとも1つの修正されたエネルギー関連値に基づいている、請求項14または15に記載の装置(200)。
  17. 前記ディレイ手段(340)は、異なる特性周波数に関して異なるバンドパス信号に対するディレイ値が互いに独立しているように形成された、請求項14〜16のいずれかに記載の装置(200)。
  18. 前記装置(200)または前記演算手段(220)は、前記演算された制御情報に基づいて前記第2のオーディオ信号をフィルタリングする抑制フィルタ(210)を更に備えた、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  19. 前記第1のオーディオ信号がスピーカ信号であって、前記第2のオーディオ信号がマイクロフォン信号であるように形成された、先行する請求項のいずれかに記載の装置(200)。
  20. 第1のオーディオ信号に基づくエコーを抑制するために第2のオーディオ信号をフィルタリングする抑制フィルタ(500)であって、
    一群の信号の少なくとも1つの信号の少なくとも2つの時間的に連続するデータブロックのバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を決定する値決定手段であって、前記一群の信号は、前記第1のオーディオ信号、前記第2のオーディオ信号、および、前記第1のオーディオ信号または前記第2のオーディオ信号から導き出された信号を含む、値決定手段(230)を備える演算手段(220)を備え、
    前記演算手段(220)は、前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つの決定されたエネルギー関連値の少なくとも1つの平均値を決定する平均値決定手段(250)を更に含み、
    前記演算手段(220)は、前記バンドパス信号に対する前記決定された平均値に基づいて、前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つのエネルギー関連値を修正する修正手段(260)を更に含み、
    前記演算手段(220)は、前記制御情報に基づいて前記第2のオーディオ信号をフィルタリングする音響抑制フィルタ手段であって、前記制御情報は、前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つの修正されたエネルギー関連値に少なくとも基づいている、音響抑制フィルタ手段(520)を更に備えた、
    抑制フィルタ(500)。
  21. 第1のオーディオ信号に基づくエコーを抑制するために第2のオーディオ信号をフィルタリングする抑制フィルタ(210)の制御情報を演算する方法であって、
    一群の信号の少なくとも1つの信号の少なくとも2つの時間的に連続するデータブロックのバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を決定するステップであって、前記一群の信号は、前記第1のオーディオ信号、前記第2のオーディオ信号、および、前記第1のオーディオ信号または前記第2のオーディオ信号から導き出された信号を含む、エネルギー関連値を決定するステップと、
    前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つの決定されたエネルギー関連値の少なくとも1つの平均値を決定するステップと、
    前記バンドパス信号に対する前記決定された平均値に基づいて前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つのエネルギー関連値を修正するステップと、
    前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つの修正されたエネルギー関連値に基づいて、前記抑制フィルタの前記制御情報を演算するステップと、
    を備えた、方法。
  22. 第1のオーディオ信号に基づくエコーを抑制するために第2のオーディオ信号を抑制フィルタリングする方法であって、
    一群の信号の少なくとも1つの信号の少なくとも2つの時間的に連続するデータブロックのバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を決定するステップであって、前記一群の信号は、前記第1のオーディオ信号、前記第2のオーディオ信号、および、前記第1のオーディオ信号または前記第2のオーディオ信号から導き出された信号を含む、エネルギー関連値を決定するステップと、
    前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つの決定されたエネルギー関連値の少なくとも1つの平均値を決定するステップと、
    前記バンドパス信号に対する前記決定された平均値に基づいて、前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つのエネルギー関連値を修正するステップと、
    制御情報に基づいて前記第2のオーディオ信号をフィルタリングするステップであって、前記制御情報は、前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つの修正されたエネルギー関連値に基づいている、フィルタリングするステップと、
    を備えた、方法。
  23. 第2信号に対して第1の信号を遅延させるディレイ手段(710)のためのディレイ値を演算する装置(700)であって、
    前記第1の信号および前記第2の信号の少なくとも2つの時間的に連続するデータブロックの前記第1の信号および前記第2の信号のバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を決定する値決定手段(750)を備える演算手段(790)を備え、
    前記演算手段(790)は、前記第1の信号および前記第2の信号の前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つの決定されたエネルギー関連値の少なくとも1つの平均値を決定する平均値決定手段(760)を備え、
    前記演算手段(790)は、前記第1の信号および前記第2の信号の前記バンドパス信号に対する前記決定された平均値に基づいて前記第1の信号の前記バンドパス信号および前記第2の信号の前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つのエネルギー関連値を修正する修正手段(770)を備え、
    前記演算手段(790)は、前記第1の信号および前記第2の信号の前記修正されたエネルギー関連値に基づいてディレイ値を演算するように形成されたディレイ値演算手段(780)を更に備える、
    装置(700)。
  24. 前記ディレイ値演算手段(780)は、前記ディレイ値がコヒーレンス関数の最大値に基づくように形成され、前記コヒーレンス関数は、前記第1の信号および前記第2の信号の前記修正されたエネルギー関連値に基づいている、請求項23に記載の装置(700)。
  25. 前記装置(700)または前記演算手段(790)は、前記ディレイ値によって前記第1の信号を遅延するように形成された前記第1の信号のディレイ手段(710)を更に備える、請求項23または24に記載の装置(700)。
  26. 前記装置(700)は、前記第1の信号および前記第2信号のそれぞれが一群の信号種別の信号であるように形成され、前記一群の信号種別は、アナログ電気信号、アナログ光学信号、デジタル電気信号およびデジタル光学信号を含む、請求項23〜25のいずれかに記載の装置(700)。
  27. 前記演算手段(790)は、前記第1の信号および前記第2の信号が、データブロックに基づいて、サブバンド信号として周波数ベースのドメインに帰属するように形成された時間/周波数変換手段(740)を更に備える、請求項23〜26のいずれかに記載の装置(700)。
  28. 前記値決定手段(750)は、同じデータブロックに対してであるが、それぞれ前記第1の信号および前記第2の信号に対する異なる特性周波数を有する異なるバンドパス信号に対して、複数のエネルギー関連値を決定するように形成され、前記平均値決定手段(760)は、前記バンドパス信号の前記決定されたエネルギー関連値のそれぞれに対する平均値を決定するように形成され、前記修正手段(770)は、前記対応する決定された平均値に基づいて前記決定されたエネルギー関連値のそれぞれを修正するように形成され、前記ディレイ値演算手段(780)は、前記第1および第2の信号の全ての修正されたエネルギー関連値に基づいて前記ディレイ値を演算するように形成された、請求項23〜27のいずれかに記載の装置(700)。
  29. 前記演算手段(790)は、複数の第1の信号または第1の信号から導き出された複数の信号に基づいて、結合によって前記第1の信号を形成するように形成され、または、前記演算手段(790)は、複数の第2の信号または第2の信号から導き出された複数の信号に基づいて、結合によって前記第2の信号を形成するように形成された、請求項23〜28のいずれかに記載の装置(700)。
  30. 前記演算手段(790)は、複数の第1の信号または第1の信号から導き出された複数の信号のそれぞれに対して、同じ前記ディレイ手段(710)の同じ制御情報を演算するように形成された、請求項29に記載の装置。
  31. 第2信号に対して第1の信号を遅延させるディレイ手段(710)のためのディレイ値を演算する方法であって、
    少なくとも2つの時間的に連続するデータブロックの前記第1の信号および前記第2の信号のバンドパス信号に対する少なくとも1つのエネルギー関連値を決定するステップと、
    前記第1の信号および前記第2の信号の前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つの決定されたエネルギー関連値の少なくとも1つの平均値を決定するステップと、
    前記第1の信号および前記第2の信号の前記バンドパス信号に対する前記決定された平均値に基づいて、前記第1の信号および前記第2の信号の前記バンドパス信号に対する前記少なくとも1つのエネルギー関連値を修正するステップと、
    前記第1の信号および前記第2の信号の前記修正されたエネルギー関連値に基づいてディレイ値を演算するステップと、
    を備えた、方法。
  32. プログラムがプロセッサ上で実行されるときに請求項21、22、31のいずれかに記載の方法を実行するプログラムコードを有するプログラム。
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