JP2011509096A - 特発性自閉症のリスク増加に関連するコンタクション関連タンパク質2(cntnap2)の突然変異 - Google Patents

特発性自閉症のリスク増加に関連するコンタクション関連タンパク質2(cntnap2)の突然変異 Download PDF

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Abstract

本発明は、CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはその両者における染色体異常または変異体を検出することにより自閉症スペクトラム障害を発症するリスクのあるヒト対象を同定するための、生体試料として総称される公知の細胞、組織、および液の検査のための組成物および方法を提供する。

Description

発明の背景
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、複合遺伝的病因の一群の関連神経発達症候群である(Gupta and State, 2007, Biol. Psychiatry 61:429-437/非特許文献1)。一般に自閉症の診断基準には、相互注視、顔の表情、姿勢、および身振りなどの非言語性行動の使用における障害、適切な仲間関係を作ることの失敗、および社会的共有または相互性の欠如により明らかになるような社会的相互作用における質的障害が含まれる。患者は、言語発達の遅れまたは完全な欠如などのコミュニケーションにおける障害をもつことがある。実際に発話が十分に発達した患者では、会話を開始しまたは継続する能力の顕著な障害、および常同的またはイディオシンクラティックな言語の使用が残ることがある。患者はまた、特定の活動への異常な没頭および習慣または儀式への頑固な固執などの、限局し、反復的で常同的なパターンの行動、興味、および活動を示すことがある。これらの領域の全てではなく一部の基本的障害が、アスペルガー症候群および特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)などの状態のスペクトラムを規定している。レット(Rett)症候群および小児期崩壊性障害を含む低頻度発達障害(Tuchman et al., 2002, Lancet Neurol. 1:352-358/非特許文献2)は、DSM-IVで同じ診断群に分類されている。ASDを有する患者の大部分は、社会的能力障害に加えて精神遅滞(MR)を有し、最大3分の1がてんかんを患う(Tuchman et al., 2002, Lancet Neurol. 1:352-358)。ASDの個体はまた、染色体異常(Gupta and State, 2007, Biol. Psychiatry 61:429-437)およびデノボ(de novo)低頻度コピー数変異 (Sebat et al., 2007, Science 316:445-449/非特許文献3)の負荷増加を示す。
複合遺伝的病因を示唆している多重の証拠に関わらず、高頻度のASD変異体は、同定が極めて困難であった(Gupta and State, 2007, Biol. Psychiatry 61:429-437)。加えて、今日までニューロリジン遺伝子ファミリーの突然変異などの、非症候性自閉症で同定された低頻度の突然変異(Jamain et al., 2003, Nature Genetics 34:27-29/非特許文献4; Laumonnier et al., 2004, Am. J. Hum. Genet. 74:552-557/非特許文献5; Vincent et al., 2004, Am. J. Med. Genet. B. Neuropsychiatr. Genet. 129:82-84/非特許文献6; Gauthier et al., 2005, Am. J. Med. Genet. B. Neuropsychiatr. Genet. 132:74-75/非特許文献7; Ylisaukko-oja et al., 2005, Eur. J. Hum. Genet. 13:1285-1292/非特許文献8; Blasi et al., 2006, Am. J. Med. Genet. 13:1285-1292/非特許文献9)と、ノンパラメトリック連鎖解析または高頻度変異体関連解析により最も強く意味づけられたゲノム領域との間に収束はなかった。ASDの遺伝的基質(genetic substrate)を解明する上での困難は、おそらく顕著な遺伝子座と対立遺伝子異質性との併存、信頼性のある生物学的診断マーカーの非存在、および寄与している任意の高頻度対立遺伝子が極めて小さなリスク増大を招き、それらの寄与を決定的に確定するためには非常に大きな標本サイズが必要であろう事を反映している(Gupta and State, 2007, Biol. Psychiatry 61:429-437)。
当技術分野において、ASDの病態生理に寄与する特異的染色体異常または遺伝子変異体を同定することが長年にわたり必要とされている。本発明は、この必要を満たす。
Gupta and State, 2007, Biol. Psychiatry 61:429-437 Tuchman et al., 2002, Lancet Neurol. 1:352-358 Sebat et al., 2007, Science 316:445-449 Jamain et al., 2003, Nature Genetics 34:27-29 Laumonnier et al., 2004, Am. J. Hum. Genet. 74:552-557 Vincent et al., 2004, Am. J. Med. Genet. B. Neuropsychiatr. Genet. 129:82-84 Gauthier et al., 2005, Am. J. Med. Genet. B. Neuropsychiatr. Genet. 132:74-75 Ylisaukko-oja et al., 2005, Eur. J. Hum. Genet. 13:1285-1292 Blasi et al., 2006, Am. J. Med. Genet. 13:1285-1292
一態様では、本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症するリスクのあるヒト対象を同定する方法であって、該方法は、該対象から生体試料を得ること;CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、およびそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子における少なくとも一つの染色体異常を検出することを含み、ここで、該遺伝子から少なくとも一つの染色体異常が検出された場合に、該対象はASDを発症するリスクがある。一局面では、対象は、胎児、新生児、および小児からなる群より選択される。別の局面では、小児は5歳以下である。別の局面では、生体試料は、組織、細胞、および体液からなる群より選択される。なお別の局面では、アッセイは、PCRアッセイ、配列決定アッセイ、プローブアレイを使用するアッセイ、遺伝子チップを使用するアッセイ、およびマイクロアレイを使用するアッセイからなる群より選択される。
別の態様では、本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症するリスクのあるヒト対象を同定する方法であって、該方法は、該対象から生体試料を得ること;CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、およびそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子の少なくとも一つの破壊された転写を検出することを含み、ここで、該遺伝子に少なくとも一つの破壊された転写物が検出されたならば、該対象はASDを発症するリスクがある。一局面では、該方法は、CNTNAP2 mRNA、AUTS2 mRNA、またはそれらの組合せからなる群より選択されるmRNAについてのアッセイを含む。別の局面では、該アッセイは、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはRT-PCRを含む。なお別の局面では、該方法は、CNTNAP2タンパク質、AUTS2タンパク質、またはそれらの組合せについてのアッセイを含む。なお別の局面では、該アッセイは、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ(RIA)、およびイムノアッセイ、化学発光アッセイ、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を含む。なお別の局面では、対象は、胎児、新生児、および小児からなる群より選択される。なお別の局面では、小児は、5歳以下である。別の局面では、生体試料は、組織、細胞、および体液からなる群より選択される。
なお別の態様では、本発明は、ヒト対象においてCNTNAP2、AUTS2、またはそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子の配列変異の存在または非存在を決定するための方法であって、該方法は、対象から生体試料を得ること;CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、およびそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子の少なくとも一つの配列変異を検出することを含み、ここで、いずれかの遺伝子に少なくとも一つの配列変異が検出された場合に、該対象はASDを発症するリスクがある。一局面では、対象は、胎児、新生児、および小児からなる群より選択される。別の局面では、小児は5歳以下である。なお別の局面では、生体試料は、組織、細胞、および体液からなる群より選択される。なお別の局面では、アッセイは、PCRアッセイ、配列決定アッセイ、プローブアレイを使用するアッセイ、遺伝子チップを使用するアッセイ、およびマイクロアレイを使用するアッセイからなる群より選択される。別の局面では、前記CNTNAP2遺伝子の配列変異は、I869T、R1119H、D1129H、I1253T、I1278I、T218M、L226M、R283C、S382N、E680K、W134G、L292Q、V708A、Q921R、R1027T、およびV1157Aからなる群より選択される。
なお別の態様では、本発明は、対象の子孫に自閉症スペクトラム障害(ASD)を生殖系列伝達するリスクのあるヒト対象を同定する方法であって、該方法は、対象から生体試料を得ること;CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、およびそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子の少なくとも一つの配列変異を検出することを含み、ここで、該遺伝子に少なくとも一つの配列変異が検出された場合に、該対象は子孫にASDを伝達するリスクがある。一局面では、該方法は、CNTNAP2 mRNA、AUTS2 mRNA、またはそれらの組合せからなる群より選択されるmRNAについてのアッセイを含む。別の局面では、アッセイは、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはRT-PCRを含む。なお別の局面では、該方法は、CNTNAP2タンパク質、AUTS2タンパク質、またはそれらの組合せについてのアッセイを含む。なお別の局面では、アッセイは、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ(RIA)、およびイムノアッセイ、化学発光アッセイ、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を含む。別の局面では、生体試料は、組織、細胞、および体液からなる群より選択される。なお別の局面では、該CNTNAP2遺伝子における配列変異は、I869T、R1119H、D1129H、I1253T、I1278I、T218M、L226M、R283C、S382N、E680K、W134G、L292Q、V708A、Q921R、R1027T、およびV1157Aからなる群より選択される。
なお別の態様では、本発明は、対象の子孫に自閉症スペクトラム障害(ASD)を生殖系列伝達するリスクのあるヒト対象を出生前に同定する方法であって、該方法は、対象から生体試料を得ること;CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、およびそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子の少なくとも一つの配列変異を検出することを含み、ここで、該遺伝子に少なくとも一つの配列変異が検出された場合に、該対象は子孫にASDを伝達するリスクがある。一局面では、該方法は、CNTNAP2 mRNA、AUTS2 mRNA、またはそれらの組合せからなる群より選択されるmRNAについてのアッセイを含む。別の局面では、アッセイは、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはRT-PCRを含む。なお別の局面では、該方法は、CNTNAP2タンパク質、AUTS2タンパク質、またはそれらの組合せについてのアッセイを含む。なお別の局面では、アッセイは、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ(RIA)、およびイムノアッセイ、化学発光アッセイ、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を含む。別の局面では、生体試料は、組織、細胞、および体液からなる群より選択される。なお別の局面では、前記CNTNAP2遺伝子における配列変異は、I869T、R1119H、D1129H、I1253T、I1278I、T218M、L226M、R283C、S382N、E680K、W134G、L292Q、V708A、Q921R、R1027T、およびV1157Aからなる群より選択される。
本発明を説明するために、本発明のある態様を図に示す。しかし、本発明は、図に示された態様の正確な配置および手段に限定されない。
図1は、図1A〜Dを含み、発達遅延を有する小児におけるデノボ逆位(inv(7)(q11.22;q35))のマッピングを示す一連の図である。 図1Aは、発達遅延を患う男児の家系図である。両親、祖父母、および姉2人は、神経発達障害を患っていない。 図1Bは、Gバンド法による中期染色体を示す画像である。正常(左)および逆位(右)の染色体についての模式図を示す。 図1Cは、q35ブレークポイントのFISHマッピングを示す。画像は、破断部をまたぐ二つの細菌人工染色体(BAC)を示す。実験用プローブは、正常(nml)染色体7q35上の予想される位置に見られる。二つの蛍光シグナルが、逆位(inv)染色体上に見ることができ、これは、プローブがブレークポイントをまたぐことを示している。100倍対物レンズで写真を撮影した。 図1Dは、q35q11.22ブレークポイントのFISHマッピングを示す。画像は、破断部をまたぐ二つの細菌人工染色体(BAC)を示す。実験用プローブは、正常(nml)染色体7q11.22上の予想される位置に見られる。二つの蛍光シグナルが、逆位(inv)染色体上に見ることができ、これは、プローブがブレークポイントをまたぐことを示している。100倍対物レンズで写真を撮影した。 図1Eは、破壊されたCNTNAP2遺伝子に対して橋かけしているBACの位置を示す概略図である。BAC RP11-1012D24の両端が、CNTNAP2のセントロメア側およびテロメア側の端から1314kbおよび821kb離れていることを示す。 図1Fは、破壊されたAUTS2遺伝子に対して橋かけしているBACの位置を示す概略図である。BAC RP11-709J20の両端が、AUTS2のセントロメア側およびテロメア側の端から926kbおよび110kb離れていることを示す。 図2A〜Fは、出生後マウス脳におけるCntnap2 mRNAの発現を示す一連の画像を示す図である。全ての欄は冠状切片を表し、前方から後方の順に示す。Ctx:皮質、CPu:線条体(caudate putamen)、Se:中隔、GP:淡蒼球、Th:視床、Hip:海馬体、A:扁桃体、HTh:視床下部、SC:上丘、PAG:中脳水道周囲灰白質、Pn:橋核。 図3は、図3A〜3Dを含み、CNTNAP2/Cntnap2の発現および生化学分析を示す一連の画像である。 図3Aは、ヒト側頭皮質(6歳)におけるCNTNAP2/Cntnap2の発現を示す顕微鏡写真である。皮質層をII、III、IV、およびVで示す。 図3Bは、ヒト側頭皮質(58歳)におけるCNTNAP2/Cntnap2の発現を示す顕微鏡写真である。皮質層をII、III、IV、およびVで示す。 図3Cは、マウス新皮質(生後7日)におけるCNTNAP2/Cntnap2の発現を示す顕微鏡写真である。皮質層を、II/III、IV、V、およびVIで示す。 図3Dは、除核上清(S1)、シナプトソーム上清(S2)、粗シナプトソーム(P2)、シナプトソーム膜(LP1)、粗シナプス小胞(LP2)、シナプス形質膜(SPM)、およびミトコンドリア (mito.)に細分画されたラット前脳ホモジェネート(homog.)から得られたシナプス形質膜中のCntn2/TAG-1およびCntnap2の共分画を示す画像である。シナプス膜タンパク質N-カドヘリンおよびシナプス小胞タンパク質シナプトタグミン1は、これらのそれぞれの画分についてのマーカーとして役立つ。左側の数は分子量マーカーの位置を示す。 図4は、図4Aおよび4Bを含み、CNTNAP2タンパク質の低頻度で独特な非同義変異体の同定を示す一連の画像である。 図4Aは、CNTNAP2タンパク質を示し、予測される独特な有害変異体の位置を強調している図である(SMARTから改変)。患者の変異体の位置を示す。変異体G731S、I869T、R1119H、D1129H、I1253T、およびT1278Iは、生物情報学ツールの使用により有害であると予測された、または保存された部位に位置する。星印は、変異体が三つの独立した家族で同定されたことを示す。SP:シグナルペプチド、FA58C:凝固因子5/8のC-末端ドメイン、LamG:ラミニンGドメイン、EGFおよびEFG-L:上皮成長因子様ドメイン、TM:膜貫通ドメイン、4.1M:推定上のバンド4.1ホモログの結合モチーフ、黒の縦棒線:C-末端II型PDZ結合配列。図は正確な拡大率である。 図4Bは、保存された部位に、有害と予測される変異体を有する全ての家族(I〜XIII)または罹患した近親者全てが同定された変異体を有する全ての家族(IX〜X)についての家系図である。疑わしい対立遺伝子を有する個体を注釈するが、彼らはヘテロ接合性である。D1129H変異体を受け継いでいる兄弟は、一卵性双生児である。罹患状態は、ADI-Rスコアに基づくAGRE診断アルゴリズムを用いて計算した。黒で塗りつぶした記号は自閉症の診断を表し、半分塗りつぶした記号は完全に自閉症というわけではない(NQA)診断を示し、斜線の個体は広いスペクトラムの診断を有する。 CNTNAP2へのBlastPで上位ヒットのClustalWアライメントを示す画像である。症例(N407S、N418D、Y716C; G731S、I869T、R906H、R1119H、D1129H、A1227T、I1253T、T1278I)および対照群(R114Q、T218M、L226M、R283C、S382N、E680K、P699Q、G779D、D1038N、V1102A、S1114G)で独特な変異体が同定される。灰色の印を付けたアミノ酸は、ヒト配列と同一である。以下が、同じ広い生理化学群に分類される:T218S、L226F、N418G、Y716HまたはS、G779S、I869L、D1O38E、V11021またはL、S1114N、A1227V、I1253P、およびT127H。星印(*)は、アラインメントの全ての配列で同一の残基またはヌクレオチドを特定するものである。コロン(:)は、保存的置換を示す。ピリオド(.)は、半保存的置換を意味する。ホモ・サピエンス(Homo sapiens):NP_054860.1、パン・トログロダイテス(Pan troglodytes):XP_519462.2、マカカ・ムラッタ(Macaca mulatta):XP_001094652.1、ポンゴ・ピグマエウス(Pongo pygmaeus):Q5RD64、ムス・ムスクルス(Mus musculus):NP_001004357.1、モノデルフィス・ドメスティカ(Monodelphis domestica):XP_001368218.1、オルニトリンクス・アナティヌス(Ornithorhynchus anatinus):XP_001505555.1、ゼノプス・トロピカリス(Xenopus tropicalis):NP_001072732.1、ダニオ・レリオ(Danio rerio):XP_691801.2、テトラオドン・ニグロビリディス(Tetraodon nigroviridis):CAG11627.1。 図5−1の続き。 図5−2の続き。 図5−3の続き。 図5−4の続き。 図5−5の続き。 図5−6の続き。 図5−7の続き。 図5−8の続き。 図5−9の続き。 図5−10の続き。 図5−11の続き。
発明の詳細な説明
本発明は、自閉症スペクトラム障害を発症するリスクのあるヒト対象を同定するための、総称で生体試料として公知の細胞、組織、および液の検査のための組成物および方法を提供する。
本発明の方法は、ヒト対象から採集された生体試料からCNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはその両者における少なくとも一つの染色体異常または配列変異を検出する方法を含む。染色体異常には、非限定的に、染色体欠失、重複、逆位、挿入、および転座が含まれる。配列変異には、非限定的に、独特な非同義変異体または対立遺伝子が含まれる。
別の態様では、本発明は、破壊されたCNTNAP2転写物、破壊されたAUTS2転写物、またはそれらの組合せを検出する方法を含み、ここで、前記転写物は、mRNAレベルまたはタンパク質レベルのいずれかで検出することができる。
定義:
本明細書で使用される以下の用語のそれぞれは、本項でその用語に関連づけた意味を有する。
冠詞「a」および「an」は、その冠詞がつく文法上の物が一つまたは一つを超える(すなわち、少なくとも一つ)ことを表す。例として、「要素(an element)」は、一つの要素または一つを超える要素を意味する。
量、持続時間などの測定可能な値を表す場合に本明細書で使用される「約」は、特定の値から±20%または±10%、さらに好ましくは±5%、なおさらに好ましくは±1%、いっそうさらに好ましくは±0.1%の変動が、開示された方法を行うために適するときに、そのような変動を包含することを意味する。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、抗原上の特異的エピトープに特異的に結合することのできる免疫グロブリン分子を表す。抗体は、天然起源または組換え起源由来のインタクトな免疫グロブリンであることができ、インタクトな免疫グロブリンの免疫反応性部分であることができる。抗体は、典型的には免疫グロブリン分子の四量体である。本発明の抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、細胞内抗体(「イントラボディー(intrabody)」)、Fv、FabおよびF(ab)2、ならびに一本鎖抗体(scFv)、ラクダ抗体およびヒト化抗体を含む多様な形態で存在しうる(Harlow et al., 1999, Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY; Harlow et al., 1989, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York; Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。本明細書で使用される「中和抗体」は、抗原に結合してその生物学的活性を遮断する免疫グロブリン分子である。
本明細書で使用される「合成抗体」という用語によって、例えば、本明細書に記載されるようなバクテリオファージによって発現される抗体などの、組換えDNA技法を使用して作製される抗体を意味する。この用語は、また、抗体をコードするDNA分子であって、抗体タンパク質またはその抗体を特定するアミノ酸配列を発現するDNA分子の合成により作製された抗体を意味すると解釈すべきであり、ここで、そのDNAまたはアミノ酸配列は、合成を使用して得られたものである。
本明細書で使用される「抗原」または「Ag」という用語は、免疫反応を誘起する分子として定義される。この免疫反応は、抗体産生もしく特異的免疫適格細胞の活性化のいずれか、またはその両者を伴いうる。当業者は、事実上全てのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原として役立ちうることを理解しているであろう。さらに、抗原は、組換えDNAまたはゲノムDNA由来であることができる。したがって、当業者は、免疫反応を誘発するタンパク質をコードしているヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、本明細書で使用されるときの用語「抗原」をコードすることを理解しているであろう。さらに、当業者は、抗原が遺伝子の全長ヌクレオチド配列だけによりコードされる必要がないことを理解しているであろう。本発明には、非限定的に、一つを超える遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用が含まれること、およびこれらのヌクレオチド配列が様々な組合せで配置されて所望の免疫反応を誘発することは容易に明らかである。そのうえ、当業者は、抗原が「遺伝子」により全くコードされる必要がないことを理解しているであろう。抗原が合成的に作製することができ、または生物学的試料から得ることができることは、容易に分かる。そのような生物学的試料には、非限定的に、組織試料、腫瘍試料、細胞または生体液が含まれうる。
本明細書で使用される「生体試料」という語句は、中からCNTNAP2またはAUTS2の遺伝子または遺伝子産物の発現を検出できる細胞、組織、または体液を含む任意の試料が意図される。もともと液体の試料は、本明細書において「体液」と呼ばれる。生体試料は、例えば、領域を擦過もしくは拭き取りすることにより、または体液を吸引するために針を使用することによるなどの、多様な技法により患者から得ることができる。様々な生体試料を採集するための方法は、当技術分野において周知である。
本明細書で使用される「リスクがある」という語句は、自閉症スペクトラム障害を発生する見込みが平均よりも高い対象を表す。
本明細書で使用される「対立遺伝子」は、染色体の同じ位置を占有する遺伝子またはDNAの非コード領域のいくつかの代替形態の一つである。
本発明の「バイオマーカー」は、対象がASDのリスクのあることの一因となる任意の検出可能な染色体異常である。染色体異常は、核酸またはタンパク質レベルのいずれかで検出することができる。
本明細書で使用される「小児」という用語は、新生児を含む年齢0歳〜年齢18歳のヒト対象を表す。
本明細書で使用される「染色体異常」という用語は、対象の染色体と正常相同染色体の間の構造の逸脱を表す。「正常」という用語は、特定種の健康な個体に見出される優位な核型バンド形成パターンまたは核酸配列を表す。染色体異常は、数値的または構造的なことがあり、それには、非限定的に、異数性、倍数性、逆位(inversion)、三染色体、一染色体、染色体欠失、重複、逆位の繰り返し(inversions)、挿入、および転座が含まれる。本発明の染色体異常は、ASDを発症するリスクの増加と相関する。
本明細書で使用される「配列変異」は、正常な相同遺伝子からの対象の遺伝子の独特な非同義変異体または対立遺伝子を表す。本発明の配列変異は、ASDを発症するリスクの増加と相関する。本明細書に定義される一塩基多型(「SNP」)は、染色体異常ではない。
遺伝子の「コード領域」は、遺伝子の転写により産生されるmRNA分子のコード領域にそれぞれ相同または相補的な、その遺伝子のコード鎖のヌクレオチド残基およびその遺伝子の非コード鎖のヌクレオチドから成る。
mRNA分子の「コード領域」はまた、mRNA分子の翻訳時にトランスファーRNA分子のアンチコドン領域と一致する、mRNA分子のヌクレオチド残基または停止コドンをコードするヌクレオチド残基から成る。したがって、コード領域は、mRNA分子によりコードされる成熟タンパク質に存在しないアミノ酸残基(例えば、タンパク質搬出シグナル配列中のアミノ酸残基)に対応するヌクレオチド残基を含みうる。
核酸を表すために本明細書で使用される「相補的」は、二つの核酸鎖の領域の間で、または同じ核酸鎖の二つの領域の間で相補的な、広い概念の配列を表す。第一の核酸領域のアデニン残基は、その第一の領域と逆平行の第二の核酸領域の残基がチミンまたはウラシルである場合に、その残基と特異的水素結合を形成(「塩基対形成」)することができる。同様に、第一の核酸鎖のシトシン残基は、その第一の鎖に逆平行の第二の核酸鎖の残基がグアニンである場合に、その残基と塩基対形成することができる。核酸の第一の領域と、同一または異なる核酸の第二の領域とが逆平行に配置されている場合に、第一の領域の少なくとも一つのヌクレオチド残基が第二の領域の残基と塩基形成できるならば、第一の領域は第二の領域に相補的である。好ましくは、第一の領域が第一の部分を含み、第二の領域が第二の部分を含み、それにより第一および第二の部分が逆平行で配置されている場合に、第一の部分の少なくとも約50%、および好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のヌクレオチド残基は、第二の部分のヌクレオチド残基と塩基対形成することができる。さらに好ましくは、第一の部分の全てのヌクレオチド残基は、第二の部分のヌクレオチド残基と塩基形成することができる。
「実質的に相補的な」は、挙げられた配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズするプローブもしくはプライマー配列、および/または被験ポリヌクレオチド配列と十分な相同性を有することにより、対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプローブもしくはプライマーが、それらが相補的な被験ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする配列を表す。
本明細書で使用される「DNA」という用語は、デオキシリボ核酸と定義される。
「コードする」は、遺伝子、cDNA、またはmRNAなどのポリヌクレオチドにおける特異的ヌクレオチド配列が、所定のヌクレオチド配列(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)または所定のアミノ酸配列のいずれかを有し、それに由来する生物学的性質を有する、生物学的過程における他のポリマーおよび高分子を合成するためのテンプレートとして役立つ固有の性質を表す。したがって、遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生物学的システムにおいてタンパク質を産生するならば、その遺伝子はタンパク質をコードする。ヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であって、通常は配列リストに提供されるコード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写のためのテンプレートとして使用される非コード鎖との両者が、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードすると呼ぶことができる。
特記のない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、相互の縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチドが含まれる。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含みうる。
本明細書で使用される「多型」は、必ずしも病理に関連しない遺伝子における配列変異を表す。
本明細書で使用される「突然変異」は、非機能性タンパク質または機能が低下したタンパク質もしくは変更されたタンパク質をコードする遺伝子を生じる、変更された遺伝子配列を表す。一般に、有害な突然変異は、病理または病理の潜在性に関連する。
本明細書で使用される「対立遺伝子特異的検出アッセイ」は、差次的DNA配列に基づく技法またはDNA増幅法が正常と突然変異体を識別するように、被験ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドと、予め決定された配列のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドをアニーリングすることにより、被験ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドに予め決定された配列変異が存在するか、非存在であるかを検出するためのアッセイを表す。
本明細書で使用される「配列変異位置決定アッセイ」は、被験ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドにおける配列変異を検出し、必ずしもその配列変異の正確な塩基変化または位置を決定せずにその配列変異の位置を被験ポリヌクレオチドの亜領域に位置決定するアッセイを表す。
本明細書で使用される「内因性」は、生物、細胞、組織またはシステム内部に由来する、またはそこで産生される任意の物質を表す。
本明細書で使用される「外因性」という用語は、生物、細胞、組織またはシステム外部に由来する、またはそこで産生される任意の物質を表す。
本明細書で使用される「発現」という用語は、特定のヌクレオチド配列のプロモーターにより駆動されるその配列の転写および/または翻訳として定義される。
核酸に適用されるときに本明細書で使用される「断片」という用語は、より大型の核酸の部分配列を表す。核酸の「断片」は、少なくとも約15ヌクレオチド長、例えば少なくとも約50ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド、少なくとも約100〜約500ヌクレオチド、少なくとも約500〜約1000ヌクレオチド、少なくとも約1000ヌクレオチド〜約1500ヌクレオチド、または約1500ヌクレオチド〜約2500ヌクレオチド、または約2500ヌクレオチド(およびその間の任意の整数値)でありうる。
本明細書で使用される、タンパク質またはペプチドに適用されるときの「断片」という用語は、より大型のタンパク質またはペプチドの部分配列を表す。タンパク質またはペプチドの「断片」は、少なくとも約20アミノ酸長、例えば少なくとも約50アミノ酸長、少なくとも約100アミノ酸長、少なくとも約200アミノ酸長、少なくとも約300アミノ酸長、および少なくとも約400アミノ酸長(およびその間の任意の整数値)でありうる。
本明細書で使用される「説明資料」には、指定された使用のための本発明の組成物の有用性を伝えるために使用することができる刊行物、記録、図、または任意の他の表現媒体が含まれる。本発明のキットの説明資料は、例えばその組成物を内部に含む容器に添付してもよいし、その組成物を内部に含む容器と一緒に発送してもよい。または、受取人が説明資料および組成物を協同して使用することを意図して、説明資料を容器と別々に発送してもよい。説明資料の配達は、例えばキットの有用性を伝えている刊行物もしくは他の表現媒体の物理的配達であってもよいし、その代わりに、例えばコンピューターによる電子メールもしくはウェブサイトからのダウンロードなどによる電子送信により達成してもよい。
「単離された」は、自然状態から変更または取り出されたことを意味する。例えば、生きた動物に自然に存在する核酸またはペプチドは「単離されて」いないが、その自然状態の共存物質から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは、「単離されて」いる。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在しうるか、または例えば宿主細胞などの非天然の環境でも存在しうる。
「単離された核酸」は、天然状態における隣接する配列と分離された核酸セグメントまたは断片(すなわち、その断片に通常は隣接する配列、すなわちその断片が天然に存在するゲノム中でその断片に隣接する配列から取り出されたDNA断片)を表す。この用語は、また、核酸に本来付随する他の構成要素、すなわち細胞中で核酸に本来付随するRNAまたはDNAまたはタンパク質から実質的に精製された核酸に適用される。したがって、この用語には、例えば、ベクター、自己複製性プラスミドもしくはウイルス、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた組換えDNA、あるいは他の配列と独立した別個の分子として(すなわち、cDNAとして、またはPCRもしくは制限酵素消化により産生するゲノムDNAもしくはcDNAの断片として)存在するものが含まれる。それにはまた、追加的なポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の部分である組換えDNAが含まれる。
本発明の文脈では、通常存在する核酸塩基のために以下の略語を使用する。「A」はアデノシンを表し、「C」はシトシンを表し、「G」はグアノシンを表し、「T」はチミジンを表し、そして「U」はウリジンを表す。
特記のない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、相互の縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチドが含まれる。タンパク質をコードするヌクレオチド配列が一部のバージョンでイントロンを含みうる限り、タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という語句には、また、イントロンが含まれる。
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドの連なりとして定義される。さらに、核酸は、ヌクレオチドのポリマーである。したがって、本明細書で使用される核酸およびポリヌクレオチドは、互換可能である。当業者は、核酸がモノマー性「ヌクレオチド」に加水分解されることのできるポリヌクレオチドであるという一般知識を有する。モノマー性ヌクレオチドは、ヌクレオシドに加水分解されることができる。本明細書で使用されるポリヌクレオチドには、非限定的に、組換え手段、すなわち通常のクローニング技法およびPCR(商標)などを用いて組換えライブラリーまたは細胞ゲノムから核酸配列をクローニングすること、および合成手段を含む、当技術分野で利用可能な任意の手段により得られた全ての核酸配列が非限定的に含まれる。
本明細書で使用される「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、互換可能に使用され、ペプチド結合により共有結合したアミノ酸残基から構成される化合物を表す。タンパク質またはペプチドは、少なくとも二つのアミノ酸を含まなくてはならず、タンパク質またはペプチドの配列を構成できるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドには、ペプチド結合により相互に結合した二つまたはそれ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質が含まれる。本明細書で使用されるこの用語は、例えば、当技術分野において通例ペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも呼ばれる短鎖、ならびに当技術分野において一般にタンパク質と呼ばれる長鎖の両方を表し、それらには多数の種類がある。「ポリペプチド」には、とりわけ例えば生物学的活性断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、アナログ、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、またはそれらの組合せが含まれる。
本明細書で使用される「RNA」という用語は、リボ核酸と定義される。
本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、バイオマーカーまたはその断片を認識し、それと結合するが、試料中の他の分子を実質的に認識しないか、またはそれと結合しない抗体を意味する。
本明細書で使用される用語としての「変異体」は、それぞれ参照核酸配列またはペプチド配列と配列が異なるが、参照分子の不可欠な性質を保持する核酸配列またはペプチド配列である。核酸変異体の配列の変化は、参照核酸によりコードされるペプチドのアミノ酸配列を変更できないか、またはアミノ酸置換、付加、欠失、融合および短縮化を招くおそれがある。ペプチド変異体の配列変化が、典型的には限定的または保存的であることにより、参照ペプチドおよび変異体の配列は、全体的に極めて類似しており、多数の領域で同一である。変異体および参照ペプチドは、任意の組合せの一つまたは複数の置換、付加、欠失によりアミノ酸配列が異なることがある。核酸またはペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体などの天然でありうるか、または天然に存在することが知られていない変異体でありうる。核酸およびペプチドの非天然変異体は、突然変異誘発技法または直接合成により作製してもよい。
説明:
本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症するリスクのあるヒト対象を同定するための組成物および方法を提供する。一態様では、本発明は、ASDを発症するリスクのあるヒト対象を同定するための方法であって、該方法は、ASDに関連する認知および社会的遅延の病因の一因となる少なくとも一つの染色体異常または配列変異を検出することを含み、ここで、少なくとも一つのそのような染色体異常または配列変異が検出された場合に、該被験者はASDを発症するリスクがある。
別の態様では、本発明は、ASDを発症するリスクのあるヒト対象を同定するための方法であって、該方法は、ASDに関連する認知、行動、言語または社会的遅延の病因の一因となる、mRNAおよび/またはタンパク質などの少なくとも一つの破壊された遺伝子産物を検出することを含む。本発明の破壊された遺伝子産物は、正常な遺伝子産物の変異体または突然変異体である任意の遺伝子産物を含み、正常な遺伝子産物の機能を果たすことができないことから、ASDの病因の一因となる。少なくとも一つのそのような破壊された遺伝子産物が、本発明の方法により検出された場合に、該対象はASDを発症するリスクがある。
なお別の態様では、本発明は、ASDに関連する認知、行動、言語、または社会的遅延の病因の一因となる、遺伝子における少なくとも一つの配列変異体の存在または非存在を検出する方法を含み、ここで、少なくとも一つのそのような配列変異体の存在が検出された場合に、対象はASDを発症するリスクがある。
好ましい態様では、本発明は、CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはそれらの組合せにおける異常または配列変異が、ASDに関連する認知、行動、言語、または社会的遅延の病因の一因となると同定する。したがって、CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはそれらの組合せにおける異常または配列変異は、本明細書においてASDを発症するリスクのある対象のためのバイオマーカーとして同定される。別の態様では、本発明は、CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはそれらの組合せの破壊された産物を、ASDを発症するリスクのある対象のためのバイオマーカーとして同定する。
一態様では、本発明は、ASDを発症するリスクのあるヒト対象を同定するための方法であって、該方法は、ASDに関連する認知、行動、言語、または社会的遅延の病因の一因となる、CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはそれらの組合せにおける少なくとも一つの染色体異常または配列変異を検出することを含み、ここで、CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはそれらの組合せにおける少なくとも一つの染色体異常または配列変異が検出された場合に、前記対象は、ASDを発症するリスクがある。
別の態様では、本発明は、ASDを発症するリスクのあるヒト対象を同定するための方法であって、該方法は、ASDに関連する認知、行動、言語、または社会的遅延の病因の一因となる、mRNAおよび/またはタンパク質を含む、CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはそれらの組合せの少なくとも一つの破壊された遺伝子産物を検出することを含む。CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはそれらの組合せの少なくとも一つの破壊された遺伝子産物が検出された場合に、前記対象はASDを発症するリスクがある。
なお別の態様では、本発明は、ASDに関連する認知、行動、言語、または社会的遅延の病因の一因となる、CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはそれらの組合せにおける少なくとも一つの配列変異体の存在または非存在を検出する方法を含み、ここで、CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはそれらの組合せに少なくとも一つの配列変異体の存在が検出された場合に、対象はASDを発症するリスクがある。
CNTNAP2遺伝子は、7q35上の2.3MBのゲノム領域に位置し、細胞接着分子およびレセプターとして機能するニューレキシンファミリーのメンバーをコードする。その核酸配列は、NM_014141 (配列番号:1)として米国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)に寄託された配列に対応し、NCBI配列NP_054860 (配列番号:2)に対応するタンパク質をコードする。
CNTNAP2遺伝子の配列変異は、ASDに関連する認知、行動、言語、または社会的遅延の病因の一因となるという意味において、罹患者に有害作用を有すると予測される任意のアミノ酸置換を含む。そのような配列変異の例には、非限定的に、I869T、R1119H、D1129H、I1253T、I1278I、T218M、L226M、R283C、S382N、E680K、W134G、L292Q、V708A、Q921R、R1027T、およびV1157Aが含まれる。
AUTS2遺伝子は、7q11.22の1.2MBのゲノム領域に位置し、いくつかのアイソフォームを有することが知られている。AUTS2アイソフォーム1は、NP_056385.1 (配列番号:4)をコードする核酸配列NM_015570.2 (配列番号:3)に対応する。AUTS2アイソフォーム2は、NP_001120703.1 (配列番号:6)をコードする核酸配列NM_001127231.1 (配列番号:5)に対応する。AUTS2アイソフォーム3は、NP_001120704.1 (配列番号:8)をコードする核酸配列NM_001127232.1 (配列番号:7)に対応する。
染色体異常、配列変異、または破壊された遺伝子産物を検出するために当技術分野において利用可能な任意の方法が、本明細書に包含される。本発明は、本明細書に列挙された染色体異常、配列変異、または破壊された遺伝子産物を検出するための方法に限定されてはならず、それどころか、当技術分野において公知であるか、または公知になった方法と同様に、全ての公知のまたはこれまで未知の検出法を包含すべきである。
CNTNAP2およびAUTS2の染色体異常、配列変異、または破壊された遺伝子転写を検出するための方法は、CNTNAP2もしくはAUTS2遺伝子またはそれらの産物を核酸レベルまたはタンパク質レベルのいずれかで調べる任意の方法を含む。そのような方法は、当技術分野で周知であり、それらには、非限定的に、核酸ハイブリダイゼーション技法、核酸逆転写法、および核酸増幅法、ウエスタンブロット、ノーザンブロット、サザンブロット、ELISA、免疫沈降、免疫蛍光法、フローサイトメトリー、免疫細胞化学法が含まれる。特定の態様では、破壊された遺伝子転写は、例えば、特異的Cntnap2またはAuts2タンパク質に対する抗体を使用して、タンパク質レベルで検出される。これらの抗体は、ウエスタンブロット、ELISA、免疫沈降、または免疫細胞化学技法などの様々な方法で使用することができる。
I. 染色体異常および配列変異の検出
当技術分野で公知のいくつかのアッセイ形式が、染色体異常の検出に有用である。これらの方法は、通例、例えばフィルター、ビーズ、またはマイクロリットルプレートなどへの核酸の結合を伴い、それらの方法には、ドットブロット法、ノーザンブロット、サザンブロット、PCR、およびRFLP方法などが含まれる。「関心対象の遺伝子座」は、より大きな核酸領域内の核酸の選択された領域を表し、ここで、該遺伝子座は、ASDに関連する認知、行動、言語、または社会的遅延の病因の一因となる染色体異常または変異体を有する。一態様では、関心対象の遺伝子座は、CNTNAP2遺伝子の任意の領域を含む。別の態様では、関心対象の遺伝子座は、AUTS2遺伝子の任意の領域を含む。関心対象の遺伝子座には、非限定的に、1〜100個、1〜50個、1〜20個、または1〜10個のヌクレオチド、好ましくは1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個のヌクレオチドが含まれる。
関心対象の遺伝子座は、非限定的に、蛍光検出、DNA配列決定ゲル、自動DNA配列決定装置を用いたキャピラリー電気泳動、マイクロチャネル電気泳動、および他の配列決定法、Sangerジデオキシ配列決定、質量分析、飛行時間型質量分析、四重極子質量分析、磁場型質量分析、電場型質量分析、赤外分光法、紫外分光法、定電位電流測定(palentiostatic amperometry)を含む多様な方法により、またはサザンブロット、スロットブロット、ドットブロット、およびDNAマイクロアレイを含むDNAハイブリダイゼーション技法(ここで、DNA断片は、「プローブ」と「標的」の両方として有用であろう)、ELISA、蛍光定量法、蛍光偏光法、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、SNP-IT、Gene Chips、HuSNP、BeadArray、TaqManアッセイ、Invaderアッセイ、MassExtend、またはMassCleave (商標)(hMC)法により分析することができる。
A. 核型分析
遺伝子スクリーニングのための従来手順は、核型の分析を伴う。核型は、通常は分裂中期の染色体の数および形態の両者により定義される、個体または個体の関連群の特定の染色体の補足物である。核型には、総染色体数、個別の染色体型のコピー数(例えばX染色体のコピー数)、および例えば長さ、着糸点指数、連結性(connectedness)などにより測定される染色体の形態などの事柄が含まれる。核型は、生物の中期、前期、またはそうでなければ(例えば未成熟染色体凝縮により)凝縮した染色体を化学染色することにより慣例的に決定される。間期染色体は、分散した状態にあり、細胞核内で染色体同士の境界の可視性が欠如していたことが原因で、最近までそれらを視覚化することが不可能であったため、凝縮した染色体が使用される。
凝縮した染色体上に、一般にバンドと呼ばれる縦方向の模様をつける化学染色に基づくいくつかの細胞学的技法が開発された。生物内の各染色体のバンド形成パターンは、通常は各染色体型の明白な同定を可能にする(Latt, 1976, Annual Review of Biophysics and Bioengineering, 5: 1-37)。
B. ハイブリダイゼーションアッセイ
本発明の一態様では、染色体異常は、ハイブリダイゼーションアッセイを用いて検出される。
「プローブ」とは、別のポリヌクレオチドの指定配列に特異的にハイブリダイズできるポリヌクレオチドを指す。プローブは、標的相補的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするが、テンプレートの正確な相補的配列を反映する必要はない。そのような場合に、標的へのプローブの特異的ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに依存する。プローブを、例えば、発色性部分、放射性部分、または蛍光部分でラベルして、検出可能な部分として使用することができる。
(1) 蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(「FISH」)は、染色体上の特異的DNA配列の存在または非存在を検出および位置特定するために使用することができる細胞遺伝学的技法である(Verma et al., 1988, Human Chromosomes: A Manual Of Basic Techniques, Pergamon Press, New York)。高度な配列相同性を共有する染色体の部分だけに結合する蛍光プローブが使用される。FISHは、また、組織試料内の特異的mRNAを検出および位置特定するために使用することができる。中期染色体スプレッドに対するcDNAクローンのFISHは、正確な染色体位置を一段階で与えるために使用することができる。この技法は、50または60bpのように短いcDNA由来プローブを用いて使用することができる。
FISHプローブは、単離されたDNAの断片から構築され、蛍光団で、抗体の標的で、またはビオチンで、直接タグ付けされる。タグ付けは、様々な方法で、例えばタグ付きヌクレオチドを用いたニックトランスレーションおよびPCRにより行うことができる。
間期または中期染色体調製物は、ヒト対象から得られた試料から製造される。染色体は、支持体に、通常はガラスに堅固に付着される。反復DNA配列は、試料にDNAの短い断片を添加することにより遮断しなければならない。次に、プローブを染色体DNAに適用し、ハイブリダイズさせながら約12時間インキュベートする。数回の洗浄段階でハイブリダイズしていないプローブまたは部分的にハイブリダイズしたプローブを全て除去する。次に、色素を励起して画像を記録することができる顕微鏡を用いて、結果を視覚化および定量化する。
一旦、正確な染色体位置に配列が位置付けされたならば、染色体上のその配列の物理的位置を遺伝子マップのデータと関連づけることができる。そのようなデータは、例えば、Johns Hopkins University, Welch Medical Libraryを通じてオンラインで入手可能なV. McKusick, Mendelian Inheritance In Manから見出すことができる。次に、同じ染色体領域に位置付けされた遺伝子と疾患の間の関係は、連鎖解析(物理的隣接遺伝子の共遺伝)により同定される。
(2) 対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションは、被験遺伝子における予め決定された配列変異、好ましくは公知の突然変異または公知の突然変異のセットを検出するために使用することができる。本発明によると、そのような予め決定された配列変異は、正常対立遺伝子と突然変異対立遺伝子の識別を可能にする配列依存的技法である、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションにより検出される。対立遺伝子特異的アッセイは、ミスマッチのあるヌクレオチド配列(例えば正常:突然変異体)が相互にハイブリダイズする能力と、一致している配列(例えば正常:正常または突然変異体:突然変異体)が相互にハイブリダイズする能力の差に依存する。
当技術分野で周知の多様な方法は、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションにより予め決定された配列変異の検出のために使用することができる。好ましくは、被験遺伝子は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)で探索され、各ASOは、公知の突然変異の配列を有する。ASO分析は、特異的オリゴヌクレオチドプローブが標的ポリヌクレオチド断片にハイブリダイズする能力を検査することにより、標的ポリヌクレオチド断片における特異的配列変異を検出する。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、突然変異配列(またはその相補体)を有する。標的配列における配列変異の存在は、正常配列を有するオリゴヌクレオチドプローブが標的断片とハイブリダイズしない条件下で、オリゴヌクレオチドプローブと標的断片の間でハイブリダイズすることにより示される。配列変異(例えば突然変異)オリゴヌクレオチドプローブと標的ポリヌクレオチド断片の間のハイブリダイゼーションの欠如は、標的断片における特異的配列変異(例えば突然変異)の非存在を示す。好ましい態様では、被験試料は、標準的ドットブロット形式で探索される。ASOに対応する配列を有する被験遺伝子内の各領域は、例えばメンブラン上の個別のドットとして、固体表面に個別に適用される。各個別の領域は、当技術分野で周知の方法を使用して、例えば別々のPCR増幅産物として製造することができる(例えば米国特許第4,683,202号参照)。
ASO分析の実施のためにドットブロット方式の代替法として使用することのできるメンブランに基づく方式には、非限定的に、逆ドットブロット、(マルチプレックス増幅アッセイ)、およびマルチプレックス対立遺伝子特異的診断アッセイ(MASDA)が含まれる。
逆ドットブロット方式では、公知の配列を有するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドプローブを固体表面に固定化し、続いてラベルされた被験ポリヌクレオチド試料とハイブリダイズさせる。この状況で、ラベルされた被験ポリペプチド試料を調製するために、増幅の前にプライマーをラベルしてもよいし、NTPをラベルしてもよい。または、単離および/または合成の後に被験ポリヌクレオチド試料をラベルしてもよい。
マルチプレックス形式では、個別の試料は、被験遺伝子内にただ一つの標的配列ではなく、複数の標的配列を有する。例えば、ASO標的配列の少なくとも一つをそれぞれ有する複数のPCR産物が同じ試料ドット内に適用される。複数のPCR産物は、Caskeyら、米国特許第5,582,989号の方法を使用して単一の増幅反応で同時に製造することができる。したがって、対応する配列が試料ドット中にある各ASOによって、同じブロットを探索することができる。
MASDA方式では、各ブロット(複数の標的配列を有するドットを含む)を探索するために複数のASOを使用することによってマルチプレックス方式の複雑さのレベルが増す。この手順は、その各々が全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,589,330号およびMichalowskyら、1996 (American Journal of Human Genetics, 59(4): A272, poster 1573)に詳細に記載されている。まず、複数のASOプローブと固定化試料の間のハイブリダイゼーションを検出する。この方法は、所与のドット中の複数の標的配列間に突然変異が存在することは十分に稀であるので、いかなる正のハイブリダイゼーションシグナルも、プローブ混合物内の単一のASOが対応する突然変異標的とハイブリダイズすることに起因する、という予測に依存している。次に、ハイブリダイズしているASOは、ハイブリダイゼーション部位からそれを単離することおよびそのヌクレオチド配列を決定することにより同定する。
ドットブロット、逆ドットブロット、マルチプレックス、およびMASDA方式で使用することのできる適切な物質は、当技術分野で周知であり、それらには、非限定的にナイロンおよびニトロセルロースメンブランが含まれる。
PCR増幅により標的配列が製造された場合、出発物質は染色体DNAであることができ、その場合、そのDNAは直接増幅される。または、出発物質はmRNAであることができ、その場合、そのmRNAは最初cDNAに逆転写され、次にRT-PCRの周知の技法により増幅される(例えば、米国特許第5,561,058号参照)。
(3) 大規模アレイは、多数の配列変異体の迅速分析を可能にする。チップアレイの適用および開発の違いの総説は、Southern, 1996, Trends In Genetics 12: 110-115およびCheng et al., 1996, Molecular Diagnosis, 1:183-200で取り上げられている。チップアレイの製造を伴ういくつかのアプローチが存在する。違いには、非限定的に、固定化オリゴヌクレオチドを付着させる固体支持体の種類、変異体同定のためのラベル技法、およびプローブへの標的ポリヌクレオチドの配列に基づく技法の変化が含まれる。
「DNAチップ」に関する大規模分析の有望な方法は、これにより全体として参照により組み入れられる、Haciaら(Nature Genetics, 14:441-447)に詳細に記載されている。Haciaら、1996 (Nature Genetics, 14:441-447)に記載されているように、それぞれ20ヌクレオチド長で96,000オリゴヌクレオチドを超える高密度アレイを、光援助化学合成を使用して単一のガラスチップまたはシリコンチップに固定化する。オリゴヌクレオチドプローブの数および設計のいかんによって、潜在的に配列中の各塩基が変更されていないか調べることができる。したがって、チップに適用されたオリゴヌクレオチドは、その集団に出現することがまだ知られていない配列変異を有してもよいし、その集団に出現することが公知の突然変異に限ることもできる。
チップ上でオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせる前に、被験試料を当業者に周知の手段により単離、増幅およびラベル(例えば蛍光マーカー)する。次に、被験ポリヌクレオチド試料を固定化オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。固定化プローブへの標的ポリヌクレオチドの配列の基づく技法の強度を定量し、参照配列と比較する。結果として得られた遺伝情報を分子診断に使用することができる。
分子診断における「DNAチップ」の一般的で非限定的な有用性は、公知の突然変異についてのスクリーニングである。しかし、これは、当技術分野で記載された突然変異だけを見ることによって、技法に限定を課すおそれがある。本発明は、以前に利用できたよりもかなり多数の突然変異に関して対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション分析を行えるようにする。したがって、大規模ASO分析の効率および包括性は、公知の突然変異のみならず、受け入れられた原理により推定される通り起こりうる全ての突然変異に関しても包括的に、面倒な端から端まで配列分析を行う必要性を減らして拡大するであろうし、これらの面倒な検査に伴うコストおよび時間は減少するであろう。
アレイに基づく比較ハイブリダイゼーションは、数千のクローンからなるアレイに差次的にラベルされた被験DNAおよび参照DNAをハイブリダイズすることにより、高分解能スクリーニングを可能にする別の方法であり、そして高い分解能で染色体変異を検出する。
C. 増幅アッセイ
一態様では、染色体異常は、増幅アッセイを使用して検出される。テンプレートDNAは、非限定的に、PCR (ポリメラーゼ連鎖反応)、3SR (自家持続配列反応)、LCR (リガーゼ連鎖反応)、RACE-PCR (cDNA末端迅速増幅)、PLCR(ポリメラーゼ連鎖反応とリガーゼ連鎖反応の組合せ)、Q-βファージ増幅(Shah et al., J. Medical Micro. 33: 143541 (1995))、SDA(鎖置換増幅)、SOE-PCR(重複伸長スプライスPCR)などを含む、当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して増幅することができる。好ましい態様では、テンプレートDNAは、PCRを使用して増幅される(PCR: A Practical Approach, M. J. McPherson, et al., IRL Press (1991); PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Innis, et al., Academic Press (1990);およびPCR Technology: Principals and Applications of DNA Amplification, H. A. Erlich, Stockton Press (1989))。PCRは、また、米国特許第4,683,195号;第4,683,202号;第4,800,159号;4,965,188号;第4,889,818号;第5,075,216号;第5,079,352号;第5,104,792号;第5,023,171号;第5,091,310号;および第5,066,584号を含む、数多くの米国特許に記載されている。
1. プライマーの設計
公表された配列は、コンセンサス配列を含めて、テンプレートDNAの増幅に使用するためのプライマーを設計または選択するために使用することができる。関心対象の遺伝子座に隣接するプライマーの構築のために使用するための配列の選択は、関心対象の遺伝子座の配列またはそれに隣接する配列の調査により行うことができる。最近公表されたヒトゲノム配列は、関心対象の所望のヒト遺伝子の遺伝子座に隣接するプライマーを設計する基となる有用なコンセンサス配列の情報源となる。
関心対象の遺伝子座に「隣接する」ことにより、一方のプライマーの3'領域の少なくとも一部がテンプレートDNAのアンチセンス鎖に相補的で、関心対象の部位の遺伝子座から上流であって(フォワードプライマー)、もう一方のプライマーの3'領域の少なくとも一部がテンプレートDNAのセンス鎖に相補的で、関心対象の遺伝子座の下流である(リバースプライマー)ようなプライマーの配列であることを意味する。「プライマー対」は、フォワードプライマーとリバースプライマーの対を表す。プライマー対のプライマーはどちらも、プライマーを伸長させるようにアニールする結果として、関心対象の遺伝子座の領域でその伸長がテンプレートDNAの増幅を招く。
プライマーは、当技術分野で周知の方法を使用した、非限定的に、適切な配列のクローニングおよび直接化学合成などの多様な方法により調製することができる(Narang et al., Methods Enzynol. 68:90 (1979); Brown et al., Methods Enzymol. 68:109 (1979))。プライマーは、また、Operon Technologies, Amersham Pharmacia Biotech, Sigma、およびLife Technologiesなどの販売元から得ることができる。プライマーは、同一の融解温度を有しうる。プライマーの長さは、所望の融解温度を有するプライマーを製造するために5'末端または3'末端で伸長または短縮することができる。好ましい態様では、プライマー対のプライマーの一方は、もう一方のプライマーよりも長い。好ましい態様では、プライマー対内のプライマーの3'アニーリング長は異なる。また、各プライマー対のアニーリング位置は、プライマー対の配列および長さが所望の融解温度を得るように設計することができる。25塩基対よりも短いプライマーの融解温度を決定するための最も単純な式は、ウォーレス規則(Td=2(A+T)+4(G+C))である。非限定的にArray Designer Software (Arrayit Inc.)、Oligonucleotide Probe Sequence Design Software for Genetic Analysis (Olympus Optical Co.)、NetPrimer、およびHitachi Software Engineering製DNAsisを含む、コンピュータプログラムもまたプライマーの設計に使用することができる。各プライマーのTM(融解またはアニーリング温度)は、Net Primer (ウェブベースのフリープログラム、http://premierbiosoft.com/netprimer/netprlaunch/netprlaunch.html;2002年4月17日のインターネットアドレス)などのソフトウェアプログラムを使用して計算される。
別の態様では, プライマーのアニーリング温度は、非限定的に、1、2、3、4、5サイクル、6〜10サイクル、10〜15サイクル、15〜20サイクル、20〜25サイクル、25〜30サイクル、30〜35サイクル、または35〜40サイクルを含む任意の増幅サイクル後に再計算および上昇させることができる。初期増幅サイクルの後で、プライマーの5'半分が関心対象の各遺伝子座からの産物に組み込まれることから、各プライマーの5'半分および3'半分の配列の両者に基づきTMを再計算することができる。
アニーリング温度に関して本明細書で使用される「約」という用語は、記述された温度の10℃以内の温度を包含するために使用される。
一態様では、一方のプライマー対を、関心対象の各遺伝子座のために使用する。しかし、複数のプライマー対を、関心対象の各遺伝子座のために使用することができる。
2. テンプレート
精製または未精製形態の任意の核酸標本が、CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、またはそれらの部分を有する特異的核酸配列を有するまたは有すると疑われるという条件で、その核酸標本を出発核酸または酸として利用することができる。したがって、「テンプレート」という用語は、本発明において増幅のために使用することができる任意の核酸分子を表す。自然状態で二本鎖ではないRNAまたはDNAは、テンプレートDNAとして使用されるように二本鎖DNAに作製することができる。任意の二本鎖DNAまたは複数の異なる二本鎖DNA分子を含有する調製物をテンプレートDNAとして使用して、そのテンプレートDNAに含まれる、関心対象の一つまたは複数の遺伝子座を増幅させることができる。
テンプレートDNAは、当技術分野で十分に確立されたプロトコールを使用して、非限定的に、組織、体液、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、胚、2細胞期胚、4細胞期胚、8細胞期胚、16細胞期胚、32細胞期胚、64細胞期胚、128細胞期胚、256細胞期胚、512細胞期胚、1024細胞期胚、胚組織、リンパ液、脳脊髄液、粘膜分泌、または他の体浸出液の核酸含有試料を含む任意の適切な試料由来でありうる。
一態様では、テンプレートDNAは、妊婦の試料から得ることができる。別の態様では、テンプレートDNAは、胚から得ることができる。好ましい態様では、テンプレートDNAは、胚の単一細胞から得ることができる。
一態様では、テンプレートDNAは胎児DNAである。胎児DNAは、非限定的に、母体血、母体血清、母体血漿、胎児細胞、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、尿、唾液、細胞または組織を含む供給源から得ることができる。
分析目的の核酸は、RNA試料から逆転写されたcDNAなどのDNAなどの、任意の核酸、例えばゲノム核酸のことがある。RNAの配列は、テンプレートDNAとして使用されるための二本鎖DNA形態に作製することができるならば、本発明により決定することができる。
3. 増幅
増幅段階は、メッセンジャーRNAを含む、例えばDNAまたはRNAを増幅することができ、ここでDNAまたはRNAは、一本鎖または二本鎖でありうる。RNAをテンプレートとして使用しようとする事象では、そのテンプレートをDNAに逆転写するために最適な酵素および/または条件が利用されよう。加えて、DNAおよびRNAをそれぞれ1本ずつ有するDNA-RNAハイブリッドを利用してもよい。核酸混合物もまた用いてもよいし、同一または異なるプライマーを使用して、本明細書において以前の増幅反応で産生した核酸を同様に利用してもよい。増幅させる特異的核酸配列、すなわち多型遺伝子座は、より大きな分子の一部分であってもよいし、特異的配列が核酸全体を構成するように別個の分子として最初に存在することもできる。増幅される配列が最初に純粋な形態で存在する必要はなく、ヒトDNA全体に含まれるように複雑な混合物のわずかな部分であってもよい。
一態様では、核酸は、核酸源を含有する本来の試料中で直接増幅される。核酸が抽出、精製、または単離されることは不可欠ではなく、核酸は、増幅できる形態で提供されることだけが必要である。増幅前に核酸テンプレートとプライマーのハイブリダイゼーションは必要ない。例えば、増幅は、当技術分野で周知の標準プロトコールを使用して細胞または試料溶解液中で行うことができる。固体支持体上に、固定された生物学的調製物中に、またはそうではなく非DNA物質を含有する組成物中にあり、その固体支持体または固定された調製物または組成物中の非DNA物質から最初に抽出せずに増幅することのできるDNAは、そのDNAを適切なプライマーとアニールし、コピーし、特に増幅させることができ、コピーまたは増幅された産物を本明細書に記載されたように回収および利用することができる限り、さらに精製せずに直接使用することができる。
好ましい態様では、核酸は、増幅前に当技術分野で公知の方法を使用して、原試料中の非核酸物質から、抽出、精製または単離される。
別の態様では、核酸は、核酸源を含有する原試料から、抽出、精製または単離され、増幅前に核酸は、非限定的に、酵素消化、手動剪断、または超音波処理などの、当技術分野で周知の任意の数の方法を使用して断片化される。例えば、DNAは、関心対象の遺伝子座に存在しない認識部位、特に8塩基または6塩基対認識部位を有する一つまたは複数の制限酵素で消化することができる。典型的には、DNAは、50、100、250、500、1,000、5,000、10,000、50,000および100,000塩基対長を含む、任意の所望の長さに断片化することができる。別の態様では、DNAは、約1000〜2000塩基対の平均長に断片化される。しかし、DNAを断片化することは必要ではない。
関心対象の遺伝子座を有するDNA断片は、増幅前に断片化したDNAから精製することができる。そのような断片は、プライマーが関心対象の遺伝子座にアニールする能力に基づき、増幅に使用されるであろうプライマーを、関心対象の遺伝子座を検索するためのフックとして使用することにより精製することができる(下記「プライマーの設計」の項参照)。好ましい態様では、例えばビオチン化プライマーなどのタグで修飾されたプライマーが使用される。
関心対象の遺伝子座を有するDNA断片を精製することにより、増幅反応の特異性を向上することができる。これは、テンプレートDNAの非特異的領域の増幅を最小限にするであろう。DNA断片の精製は、また、向上した特異性でマルチプレックスPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を、すなわち関心対象の複数遺伝子座の増幅を可能にすることができる。
典型的なPCR反応の構成要素には、非限定的に、テンプレートDNA、プライマー、反応緩衝液(選んだポリメラーゼに依存する)、dNTP (dATP、dTTP、dGTP、およびdCTP)およびDNAポリメラーゼが含まれる。適切なPCRプライマーは、当技術分野で周知の方法により設計および調製することができる。簡潔には、反応物を95℃に2分間加熱してテンプレートDNAの鎖を分離させ、反応物を適切な温度(設計されたプライマーのアニーリング温度を計算することにより決定される)に冷却して、プライマーをテンプレートDNAにアニールさせ、72℃に2分間加熱して伸長させる。
アニーリング後に、各サイクルで温度を「伸長」温度に上昇させて、プライマーを「伸長」させ、次に、伸長後に各サイクルの温度を変性温度に上昇させる。大きさが500塩基対未満のPCR産物については、各サイクルの伸長段階を削除して、変性段階およびアニーリング段階のみを行うことができる。典型的なPCR反応は、上記のような、25〜45サイクルの変性、アニーリングおよび伸長から成る。しかし、前述のように、本発明を実施するために、1サイクルの増幅(1コピー)で十分可能である。
別の態様では、プライマーセットがフォワードプライマーおよびリバースプライマーを含む複数セットのプライマーを使用して、1〜5、5〜10、10〜15、15〜20または20サイクルを超えるテンプレートDNAを増幅することができ、次に、単一のプライマーセットまたは複数のプライマーセットのサブセットを用いた反応で増幅産物をさらに増幅させる。好ましい態様では、低濃度の各プライマーセットを使用して、プライマー-二量体形成を最小限にする。低濃度の出発DNAは、複数のプライマーセットを使用して増幅することができる。非限定的に、1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜150、150〜200、200〜250、250〜300、300〜350、350〜400、400〜450、450〜500、500〜1000個、および1000個超を含む、任意の数のプライマーセットを初回増幅反応に使用することができる。別の態様では、増幅産物は、2回目の反応で単一のプライマーセットを用いて増幅される。別の態様では、増幅産物は、非限定的に、2〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜150、150〜200、200〜250個、および250個超を含む、複数のプライマー対のサブセットを用いてさらに増幅される。
最小限の量のテンプレートDNAが、検出されることができる遺伝子座の数を制限しないように、複数のプライマーセットは、関心対象の遺伝子座を増幅する。例えば、テンプレートDNAが単一細胞から単離されるか、テンプレートDNAが母体テンプレートDNAおよび胎児テンプレートDNAの両者を含む妊婦から得られるならば、低濃度の各プライマーセットを初回増幅反応に使用して、関心対象の遺伝子座を増幅することができる。低濃度のプライマーは、プライマー-二量体の形成を減少させ、プライマーがテンプレートDNAにアニールしてポリメラーゼを伸長させる確率を上げる。複数のプライマーセットで行われたサイクルの最適数は、プライマーの濃度により決定される。初回増幅反応の後に、追加のプライマーを添加して、関心対象の遺伝子座をさらに増幅させることができる。追加的量の各プライマーセットを添加して、単一反応でさらに増幅させることができる。または、各反応において単一のプライマーセットまたは複数のプライマーセットのサブセットを使用して、増幅産物をさらに増幅させることができる。例えば、150個のプライマーセットが初回増幅反応で使用された場合に、10個のプライマーセットのサブセットを使用して、初回反応からの産物をさらに増幅させることができる。
非限定的に大腸菌DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼ1のクレノウフラグメント、T7 DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、バクテリオファージ29、REDTaq.TM.ゲノムDNAポリメラーゼまたはシーケナーゼを含む、プライマー伸長を触媒する任意のDNAポリメラーゼを使用することができる。好ましくは、耐熱性DNAポリメラーゼが使用される。反応物を95℃に2分間加熱してからポリメラーゼを加えるか、または、サイクル1における初回加熱段階までポリメラーゼを不活性に保つことができる「ホットスタート」PCRもまた行うことができる。「ホットスタート」PCRは、非特異的増幅を最小限に抑えるために使用することができる。非限定的に2、5、10、15、20、25、30、35、40、または45サイクルを含む、任意のPCRサイクル数を使用してDNAを増幅することができる。最も好ましい態様では、行われるPCRサイクル数は、等モル量の関心対象の各遺伝子座が産生されるサイクル数である。
増幅されたDNAの精製は、本発明の実施に必要ではない。しかし、一態様では、精製が好ましい場合に、プライマー(第一または第二プライマー)の5'末端を、PCR産物の精製が容易なタグで修飾することができる。好ましい態様では、第一プライマーは、PCR産物の精製が容易なタグで修飾される。修飾は、好ましくは全てのプライマーについて同一であるが、PCR産物を異なる群に分けることが望まれるならば、異なる修飾を使用することもできる。
タグは、非限定的に、放射性同位体、蛍光レポーター分子、化学発光レポーター分子、抗体、抗体断片、ハプテン、ビオチン、ビオチン誘導体、フォトビオチン、イミノビオチン、ジゴキシゲニン、アビジン、酵素、アクリジニウム、糖、酵素、アポ酵素、ホモポリマー性オリゴヌクレオチド、ホルモン、強磁性部分、常磁性部分、反磁性部分、リン光部分、発光部分、電気化学発光部分、着色部分、検出可能な電子スピン共鳴、静電容量、比誘電率もしくは電気伝導率を有する部分、またはそれらの組合せを含む、任意の化学的部分であることができる。
一例として、プライマーの5'末端をビオチン化することができる(Kandpal et al., Nucleic Acids Res. 18:1789-1795 (1990); Kaneoka et al., Biotechniques 10:30-34 (1991); Green et al., Nucleic Acids Res. 18:6163-6164 (1990))。ビオチンは、ゲノムDNAからコピーされたDNAまたは関心対象ではない任意の他のDNA分子を精製するために使用することができる親和性タグを提供する。ビオチン化分子は、図1Fに示すように、非限定的に、Roche Molecular Biochemicals製Streptawell透明高結合性プレート(Roche Molecular Biochemicalsの2001 Biochemicals Catalogに挙げられたカタログ番号1 645 692)を含む、ストレプトアビジンでコーティングされたマトリックスを使用して精製することができる。
関心対象の各遺伝子座のPCR産物は、ストレプトアビジンでコーティングされたプレートの別々のウェルに入れられる。または、関心対象の遺伝子座のPCR産物をプールして、非限定的に、Roche Molecular Biochemicals製のStreptawell、透明、高結合性(High-Bind)プレート (Roche Molecular Biochemicals, 2001 Biochemicals Catalogに挙げられたカタログ番号1 645 692)などの、ストレプトアビジンでコーティングされたマトリックスに入れられる。
増幅されたDNAはまた、当技術分野で公知の非アフィニティー法を使用して、例えば標準プロトコールを使用したポリアクリルアミドゲル電気泳動により、テンプレートDNAから分離することができる。
4. 増幅産物の配列分析
増幅産物のヌクレオチド配列を分析するために多様な方法が用いられる。PCRによる増幅後に点突然変異を検出するためのいくつかの技法は、Chehab et al., 1992, Methods in Enzymology, 216:135-143; Maggio et al., 1993, Blood, 81(1):239-242; Cai and Kan, 1990, Journal of Clinical Investigation, 85(2):550-553;およびCai et al., 1989, Blood, 73:372-374に記載されている。
特に有用な技法は、増幅後の制限酵素部位の分析である。この方法では、増幅された核酸セグメントを制限酵素による消化に供する。異なる個体における対応する増幅セグメントの間の制限酵素消化における差の同定から、点突然変異が同定される。制限酵素消化における差は、一般に制限断片の大きさを電気泳動により測定すること、および電気泳動パターンの差を観察することにより決定される。一般に、制限断片の大きさは、Sambrook, et al, 2001, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Pressおよび例えばPolymeropoulos et al., 1992, Genomics, 12:492-496に記載されているような標準的なゲル電気泳動技法により決定される。
患者および正常な個体から得られ、適切な制限酵素で消化された増幅セグメントの大きさをアガロースまたはポリアクリルアミドゲルで分析する。ポリアクリルアミドゲル電気泳動の高い識別力が原因で、小さな強度の差は容易に検出される。DPDをコードする遺伝子のDPDD関連多型を招く他の突然変異もまた、DPDD関連核酸配列を配列決定することによりおよびそれらを正常な配列と比較することにより決定される独特な制限部位を遺伝子に付加する。
PCR増幅産物における点突然変異を同定する別の有用な方法は、異なる配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを採用する。オリゴヌクレオチドプローブを、ハイブリダイゼーション条件で増幅産物と混合する。プローブは、RNAオリゴヌクレオチドまたはDNAオリゴヌクレオチドのいずれかであり、場合により天然ヌクレオチドだけではなく、ジゴキシゲニンdCTP、ビオチンdCTP、7-アザグアノシン、アジドチミジン、イノシン、またはウリジンなどのアナログもまた含む。アナログを含む核酸を使用する利点には、選択的安定性、ヌクレアーゼ活性への耐性、シグナルの結合の容易さ、外来性混入からの保護増加およびプローブ特異的着色ラベルの数増加が含まれる。例えば、好ましい態様では、下記の特異的点突然変異の検出のためにオリゴヌクレオチドアレイが使用される。
プローブは、典型的にはクローニングされた核酸由来であるか、または化学合成される。クローニングされた場合に、単離された核酸断片は、典型的には、λファージ、pBR322、M13、pJB8、c2RB、pcosIEMBL、またはSP6もしくは17プロモーターを含むベクターなどの複製ベクターに挿入され、細菌ホストにおけるライブラリーとしてクローニングされる。一般的なプローブクローニング手順は、Sambrook, et al, 2001, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Pressに記載されている。
増幅産物は、また、放射性プローブを使用しないサザンブロットによりそれを分析することで検出することができる。そのような工程では、例えば、非常に低レベルの多型遺伝子座の核酸配列を有するDNAの試料少量を増幅させ、サザンブロット技法により、または同様にドットブロット分析を使用して分析する。非放射性プローブまたはラベルの使用は、高レベルの増幅シグナルにより促進される。または、増幅産物を検出するために使用されるプローブは、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート剤または酵素を用いて、直接または間接的に検出可能なようにラベルすることができる。当業者は、プローブへの結合に適した他のラベルを知っているであろうし、日常の実験を使用してそれを確かめることができるであろう。好ましい態様では、増幅産物は、DNAを蛍光性にする臭化エチジウムを含有するアガロースゲルでその混合物を分離することにより決定することができる。
増幅の代替法が記載されており、また、本発明の実施に使用することができる。そのような代替増幅システムには、非限定的に、関心対象のRNAの短い配列およびT7プロモーターで開始する自家持続配列複製が含まれる。逆転写酵素は、RNAをcDNAにコピーし、RNAを分解し、続いて逆転写酵素はDNAの第二の鎖を重合する。別の核酸増幅技法は、逆転写およびT7 RNAポリメラーゼを使用し、かつそのサイクリングスキームを標的化するために二つのプライマーを組み込む核酸配列系増幅(NASBA)である。NASBAは、DNAまたはRNAのいずれかで開始し、いずれかで終止し、60〜90分以内に108個のコピーまで増幅させることができる。または、核酸は、ライゲーション活性化転写(LAT)により増幅することができる。LATは、部分的に一本鎖で、部分的に二本鎖の単一プライマーを用いて一本鎖テンプレートから作動する。増幅は、プロモーターオリゴヌクレオチドにcDNAをライゲーションすることにより開始され、数時間以内に増幅は108〜109倍になる。QBレプリカーゼシステムは、関心対象のDNA配列に相補的なRNAにMDV-1と呼ばれるRNA配列を結合させることにより利用することができる。試料と混合すると、ハイブリッドRNAは、標本のmRNAの中からその相補体を見出し、レプリカーゼを活性化して結合し、関心対象の配列に沿ってタグをコピーする。別の核酸増幅技法であるリガーゼ連鎖反応(LCR)は、関心対象の配列を二分して2つの異なるラベルを付けたものを使用することにより作動する。試料中に連続配列が存在すると、二分された配列の一方が他方とリガーゼにより共有結合し、新しい標的を形成する。修復鎖反応(RCR)核酸増幅技法は、標的化された配列を幾何的に増幅するために、二つの相補的で標的特異的なオリゴヌクレオチドプローブ対、耐熱性ポリメラーゼおよびリガーゼ、ならびにDNAヌクレオチドを使用する。2塩基ギャップがオリゴヌクレオチドプローブ対を引き離し、RCRは正常なDNA修復を模倣してギャップを埋めて連結する。鎖置換活性化(SDA)による核酸増幅は、標的DNAと結合する5'末端に短いオーバーハングを有し、HincIIのための認識部位を含む短いプライマーを利用する。DNAポリメラーゼは、オーバーハングと反対側のプライマーの部分に硫黄含有アデニンアナログを補充する。HincIIが加えられるが、未修飾DNA鎖を切断するだけである。5'エキソヌクレアーゼ活性を欠如したDNAポリメラーゼは、ニック部位に進入し、重合を開始し、下流の当初のプライマー鎖を置換し、より大きいプライマーとして働く新しいプライマーを構築する。SDAは、37℃、2時間で107倍よりも大きな増幅を生む。PCRおよびLCRとは異なり、SDAは、機器による温度サイクリングを必要としない。本発明の方法に有用な別の増幅システムは、QBレプリカーゼシステムである。
D. 配列決定アッセイ
一態様では、染色体異常は配列決定アッセイを使用して検出される。DNA配列決定という用語は、DNA分子中のヌクレオチド塩基、アデニン、グアニン、シトシン、およびチミンの順序を決定するための生化学的方法を包含する。
1. チェーンターミネーション法
古典的チェーンターミネーション法すなわちSanger法は、一本鎖DNAテンプレート、DNAプライマー、DNAポリメラーゼ、放射性または蛍光ラベルされたヌクレオチド、およびDNA鎖の伸長を終止させる修飾ヌクレオチドを必要とする。DNA試料は、全四種の標準デオキシヌクレオチド(dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP)およびDNAポリメラーゼを含有する四つの別々の配列決定反応物に分けられる。各反応物に四つのジデオキシヌクレオチド(ddATP、ddGTP、ddCTP、またはddTTP)の一つだけを添加する。これらのジデオキシヌクレオチドは、DNA鎖の伸長の際に二つのヌクレオチドの間にホスホジエステル結合の形成を必要とする3'-OH基を欠如しているチェーンターミネーションヌクレオチドである。したがって、新生(伸長中の)DNA鎖へのジデオキシヌクレオチドの組み込みは、DNA鎖の伸長を終止させ、多様な長さの多様なDNA断片を生じる。ジデオキシヌクレオチドは、標準デオキシヌクレオチドよりも低濃度で添加され、配列分析に十分な鎖伸長を可能にする。
新たに合成され、ラベルされたDNA断片を熱変性させ、変性ポリアクリルアミド-尿素ゲルを用いたゲル電気泳動により、サイズ分離(ちょうど一つのヌクレオチドの分解能で)する。四つのDNA合成反応物のそれぞれを、四つの個別のレーン(レーンA、T、G、C)の一つで泳動させ、次に、オートラジオグラフィーまたはUV光によりDNAのバンドを視覚化し、DNA配列は、X線フィルムまたはゲルの画像から直接読み取ることができる。右側の画像では、ゲルをX線フィルムに感光させたが、黒いバンドは異なる長さのDNA断片に対応する。レーンの黒いバンドは、ジデオキシヌクレオチド(ddATP、ddGTP、ddCTP、またはddTTP)の組み込み後のチェーンターミネーションの結果であるDNA断片を示す。末端ヌクレオチド塩基は、そのバンドを与える反応物にどのジデオキシヌクレオチドが添加されたかに応じて同定することができる。次に、四つのレーンの間で種々のバンドの相対位置を使用して、表示したように(下から上方向に)DNA配列を読み取る。
2. ダイターミネーター配列決定
プライマーラベリングの代替は、「ダイターミネーター配列決定」と一般に呼ばれる方法である鎖ターミネーターのラベリングである。この方法の主な利点は、ラベルドプライマー法のような四つの反応物よりも単一の反応物で配列決定が行えることである。ダイターミネーター配列決定では、四つのジデオキシヌクレオチド鎖ターミネーターのそれぞれを、それぞれ異なる波長で蛍光を発する異なる蛍光色素でラベルする。ダイターミネーター配列決定法は、自動ハイスループットDNA配列分析装置と共に、現在大多数の配列決定プロジェクトに使用されている。
3. ハイスループット配列決定
低コスト配列決定の高い需要により、いくつかのハイスループット配列決定技法が生み出された(Hall, 2007, The Journal of Experimental Biology 209: 1518-1525; Church, 2006, Scientific American 294: 47-54)。新しいハイスループット法の多くは、配列決定工程を並列処理する方法を利用し、数千または数百万の配列を一度に生み出す。
a. インビトロクローン増幅
分子検出法は、多くの場合に単一分子の配列決定に十分なほど高感度ではないことから、各個別の分子のコピーを多数発生させるために、大部分のアプローチはインビトロクローニング段階を使用する。エマルションPCRは、油相内の水性泡中にプライマーでコーティングされたビーズと共に個別のDNA分子を単離する一方法である。次に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、単離されたライブラリー分子のクローンのコピーで各ビーズをコーティングし、「エマルションPCR」としても知られているその後の配列決定のためにこれらのビーズを続いて固定化する(Margulies, et al., 2005, Nature 437: 376-380.; Shendure, et al., 2005, Science 309:1728-1732)。
インビトロクローン増幅のための別法は、固体表面に結合したプライマー上に断片を増幅させる「ブリッジPCR」であり、該方法は、Solexaにより開発および使用された。これらの方法は、共に、単一断片の多数のコピーをそれぞれ含む、多数の物理的に隔離された位置を生み出す。Stephen Quakeの研究室により開発された(その後Helicosにより販売された)単分子法は、この増幅段階を省略し、表面にDNA分子を直接固定する。
b. 並列処理配列決定
一旦、クローンDNA配列が表面の別々の位置に物理的に局在化されたならば、全ての位置のDNA配列を決定するために様々な配列決定アプローチを並列的に使用することができる。普及しているダイターミネーション電気泳動配列決定のような「合成による配列決定」は、相補的DNA分子に存在する塩基を同定するためにDNAポリメラーゼによるDNA合成工程を使用する。可逆ターミネーター法(IlluminaおよびHelicosによって利用)は、一つのヌクレオチドを一度に添加し、位置に対応して蛍光を検出し、次にブロッキング基を除去して別のヌクレオチドに重合させる、可逆版のダイターミネーターを使用する。
b.1 ライゲーションによる配列決定は、標的配列を同定するためにポリメラーゼではなくむしろDNAリガーゼ酵素を使用する、配列決定の酵素法の別法である(Shendure et al., 2005, Science 309: 1728-1732;米国特許第5750341号)。この方法は、配列決定された位置に応じてラベルされた、一定長の全ての可能なオリゴヌクレオチドのプールを使用する。オリゴヌクレオチドは、アニールおよびライゲートされ、マッチしている配列に対するDNAリガーゼによる優先的なライゲーションの結果として、その位置で相補的配列に対応するシグナルが発生する。
b.2. ピロシーケンシングは、「合成による配列決定」の原理に基づく(DNA中のヌクレオチドの順序を決定する)DNA配列決定法であり、ジデオキシヌクレオチドを用いたチェーンターミネーションではなくむしろヌクレオチド組み込み時のピロリン酸放出を検出することを拠り所とする(Margulies, et al., 2005, Nature 437:376-380; Ronaghi et al., 1996, Analytical Biochemistry 242:84-89)。
「合成による配列決定」は、配列決定されるDNAの一本鎖を採取すること、および次にその相補鎖を酵素合成することを伴う。ピロシーケンシング法は、DNAポリメラーゼ(DNA合成酵素)の活性を別の化学発光酵素で検出することに基づく。本質的に、この方法は、それに沿った相補鎖を一度に一塩基対合成すること、および各段階でどの塩基が実際に付加されたかを検出することにより、DNAの一本鎖を配列決定させる。連続的に、テンプレートDNAを固定化し、A、C、G、およびTヌクレオチドの溶液を添加し、反応後に除去する。ヌクレオチド溶液がテンプレートの最初の不対塩基を相補する場合にのみ、光が発生する。化学発光シグナルを発生する溶液の順序が、テンプレートの配列を決定させる。
ssDNAテンプレートは、配列決定用プライマーとハイブリダイズされ、酵素DNAポリメラーゼ、ATPスルフリラーゼ、ルシフェラーゼおよびアピラーゼならびに基質アデノシン5'ホスホスルフェート(APS)およびルシフェリンと共にインキュベートされる。四つのデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の一つの添加は(またはdATPの場合は、ルシフェラーゼの基質ではないdATPαSを添加する)、第二段階を開始する。DNAポリメラーゼは、テンプレートに正しい相補的dNTPを組み込む。この組み込みは、化学量論的にピロリン酸(PPi)を放出する。ATPスルフリラーゼは、アデノシン5'ホスホスルフェートの存在下でPPiをATPに定量的に変換する。このATPは、ルシフェラーゼが介在するルシフェリンからオキシルシフェリンへの変換に対する燃料として作用し、オキシルシフェリンはATPの量に比例する量の可視光を発生する。ルシフェラーゼ触媒反応において発生する光を、カメラで検出し、プログラムで分析する。組み込まれていないヌクレオチドおよびATPを、アピラーゼにより分解し、別のヌクレオチドで反応を再開することができる。
4. 他の配列決定技法
DNA配列決定の他の方法は、効率性または正確性に関して有利なことがある。伝統的なダイターミネーター配列決定のように、それらは単一の単離されたDNA断片を配列決定することに限定される。「ハイブリダイゼーションによる配列決定」は、DNAマイクロアレイを使用する非酵素法である。この方法では、単一プールの未知DNAを蛍光ラベルし、公知の配列のアレイにハイブリダイズする。未知DNAがアレイ上の所与のスポットに強くハイブリダイズして、それを「点灯(light up)」するならば、その配列は配列決定中の未知DNA内に存在すると推論される。G.J. Hanna, V.A. Johnson, D. R. Kuritzkes, D.D. Richman, J. Martinez-Picado, L. Sutton, J.D. Hazelwood, R.T. D'Aquila, 2000, Journal of Clinical Microbiology 38 (7): 2715。質量分析もまた、DNA分子を配列決定するために使用することができ、通例のチェーンターミネーション反応が異なる長さのDNA分子を産生し、次に、これらの断片の長さを、(ゲル分離を使用するのではなくむしろ; Edwards, et al. Mutation Research 573 (1-2): 3-12)それらの間の質量差により決定する。
II. 破壊された遺伝子産物の検出
A. タンパク質アッセイ
本発明の別の態様では、本発明のバイオマーカータンパク質に特異的な抗体を使用して、遺伝子産物の破壊がタンパク質レベルで検出される。該方法は、患者から生体試料を得ること、および生体試料をバイオマーカーに対する少なくとも一つの抗体と接触させることを含む。当業者は、本明細書下記に記載された免疫細胞化学法が手動または自動的に行われることを認識しているであろう。
本発明の方法に使用される抗体がポリクローナル抗体(IgG)である場合に、抗体は、適切な動物にバイオマーカータンパク質、ペプチドまたはそれらの断片を接種することにより発生する。次に、接種された動物に産生された、バイオマーカータンパク質と特異的に結合する抗体を、その動物から得られた液体から単離する。バイオマーカー抗体は、非限定的に、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、およびロバなどのいくつかの非ヒト哺乳動物にこの方法で発生させることができる。ポリクローナル抗体を発生させる方法は、当技術分野で周知であり、例えば、Harlowら(1988年、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY)に記載されている。これらの方法は、抗体技術の分野で通常使用されていることから、本明細書において繰り返さない。
本発明の方法に使用される抗体がモノクローナル抗体である場合に、その抗体は、例えば、Harlowら(上記)およびTuszynskiら(1988, Blood, 72:109-115)に記載されているような任意の周知のモノクローナル抗体調製手順を使用して発生される。これらの方法が当技術分野において周知であるとすると、それらを本明細書において繰り返さない。一般に、所望の抗原に対するモノクローナル抗体は、本明細書に参照される標準手順を使用して、抗原を免疫処置されたマウスから発生される。バイオマーカーの全長またはペプチド断片に対するモノクローナル抗体は、Harlowら(1988年、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY)に記載された技法を使用して調製することができる。
試料は、バイオマーカー抗原として抗体が結合しやすくするために、修飾する必要があるかもしれない。免疫細胞化学法の特定の局面では、予備処理緩衝液、例えばTriton-Xを含有するリン酸緩衝食塩水にスライドを移動させる。予備処理緩衝液中で試料をインキュベートすることにより、細胞の脂質二重層は急速に破壊され、抗原(すなわちバイオマーカータンパク質)はさらに抗体が結合しやすくされる。予備処理緩衝液は、ポリマー、洗剤、または非イオン系もしくは陰イオン系界面活性剤、例えばエチルオキシル化陰イオン系または非イオン系界面活性剤、アルカノエートもしくはアルコキシレートまたはこれらの界面活性剤の混合物さえ含むことがあり、または胆汁塩の使用さえ含むことがある。本発明の予備処理緩衝液は、例えば、免疫細胞化学法または免疫組織化学法などのイムノアッセイで、抗原をより抗体が結合しやすくするための方法に使用される。
当技術分野で公知の抗原賦活化法などの、抗原をより抗体が結合しやすくするための任意の方法を、本発明の実施に使用することができる。例えば、Bibbo, 2002, Acta. Cytol. 46:25 29; Saqi, 2003, Diagn. Cytopathol. 27:365 370; Bibbo, 2003, Anal. Quant. Cytol. Histol. 25:8 11を参照されたい。いくつかの態様では、抗原不活化は、95%エタノール中でスライドを少なくとも24時間保存すること、95℃に予熱した標的賦活化溶液(pH6.0)(DAKO S1699)/dH2O浴にスライドを1回浸すこと、およびスチーマーの中にスライドを25分間入れることを含む。
抗原へのアクセスの可能性を増大するための予備処理または抗原賦活化の後に、適切なブロッキング剤、例えば過酸化水素などのペルオキシダーゼブロッキング剤を使用して、試料をブロックする。いくつかの態様では、抗体の非特異的結合を防止するためにタンパク質ブロッキング試薬を使用して試料をブロックする。タンパク質ブロッキング試薬は、例えば、精製カゼイン、血清または乳タンパク質溶液を含みうる。次に、関心対象のバイオマーカーに対する抗体を試料と共にインキュベートする。
抗体結合を検出するための技法は、当技術分野において周知である。関心対象のバイオマーカーに結合する抗体は、抗体結合のレベル、したがってバイオマーカータンパク質の発現レベルに対応して検出可能なシグナルを発生する化学試薬の使用により検出することができる。本発明の好ましい免疫細胞化学法の一つでは、ラベルされたポリマーに抱合した二次抗体の使用により、抗体結合を検出する。ラベルされたポリマーの例には、非限定的にポリマー-酵素抱合が含まれる。これらの複合体中の酵素は、典型的には抗原-抗体結合部位で色素原の沈着を触媒するために使用されることにより、関心対象のバイオマーカーの発現レベルに対応する細胞染色を生じる。特に関心対象の酵素には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)およびアルカリホスファターゼ(AP)が含まれる。市販の抗体検出系、例えばDako Envision+システム(Dako North America, Inc., Carpinteria, CA)およびMach 3システム(Biocare Medical, Walnut Creek, CA)などを使用して、本発明を実施することができる。
本発明の一つの特定の免疫細胞化学法では、バイオマーカーへの抗体による結合は、HRPラベルされたポリマーが二次抗体に抱合したものを使用することにより検出される。抗体結合は、また、マウスモノクローナル抗体に結合するマウスプローブ試薬、およびマウスプローブ試薬に結合するHRPに抱合したポリマーの使用により検出することができる。スライドは、色素原3,3-ジアミノベンジジン(DAB)を使用して抗体結合について染色され、次に、ヘマトキシリンと、場合により水酸化アンモニウムまたはTBS/Tween-20などのブルーイング剤とを用いて対比染色される。本発明のいくつかの局面では、スライドは、細胞技術者および/または病理学者により顕微鏡検査され、細胞染色(すなわちバイオマーカーの過剰発現)が評価される。あるいは、試料は、自動化顕微鏡法により、または陽性染色細胞の同定を容易にするコンピュータソフトウェアの助けを借りた人員により検査されてもよい。
抗体結合の検出は、抗体を検出可能な物質とカップリングすることにより容易にすることができる。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質が含まれる。適切な酵素の例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれ;適切な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチが含まれ、適切な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ロダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが含まれ;発光物質の例には、ルミノール;生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが含まれ;適切な放射性物質の例には、125I、131I、35S、または3Hが含まれる。
本発明の免疫細胞化学法における抗体染色の検出に関して、生物学的試料中の複数の分子種(例えばバイオマーカータンパク質)量の定量測定のためのビデオ顕微鏡およびソフトウェア法もまた当技術分野において存在するが、ここで、存在する各分子種は、特定の色を有する代表的な色素マーカーにより表示される。そのような方法は、当技術分野では比色分析法としても知られている。これらの方法では、関心対象の特定のバイオマーカーの存在を視覚的に表示するために生物学的試料を染色した後に、ビデオ顕微鏡を使用してその試料の画像を提供する。本明細書に参照により組み入れられるMarcelpoilへの米国特許出願第09/957,446号および米国特許出願第10/057,729号に開示された方法などの、これらの方法のいくつかは、画像化システムおよび関連するソフトウェアを使用して、画像化システムおよび関連ソフトウェアによりそれぞれ決定される代表的な色素マーカーの光学密度または透過率値により示されるそれらの色素マーカーの存在に基づいて、存在する各分子種の相対量を決定することを開示している。これらの技法は、構成色のパーツに「分解(deconstruct)」された単一のビデオ画像を使用して、染色された生物学的試料中の各分子種の相対量の定量決定を提供する。
本発明を実施するために使用される抗体は、関心対象のバイオマーカータンパク質に高い特異性を有するように選択される。抗体を作製する方法および適切な抗体を選択する方法は、当技術分野において公知である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるCelis, J.E.著(印刷中)Cell Biology & Laboratory Handbook、第3版(Academic Press, New York)を参照されたい。いくつかの態様では、特異的バイオマーカータンパク質に対する市販の抗体を使用して、本発明を実施してもよい。本発明の抗体は、組織学的試料よりも細胞学的試料の所望の染色に基づき選択することができる。すなわち、特定の態様では、抗体は、最終的な試料の種類(すなわち細胞学的調製物)に留意して、結合特異性に関して選択される。
当業者は、抗体力価および検出化学反応の最適化が、特定の抗体についてのS/N(信号対雑音)比を最大化するために必要であることを認識しているであろう。本発明のバイオマーカーへの特異的結合を最大化し、非特異的結合(すなわち「バックグラウンド」)を最小化する抗体濃度は、被験生物学的試料の種類に関して決定されるであろう。特定の態様では、細胞学的調製物に使用するための適切な抗体力価は、ホルマリン固定パラフィン包埋正常組織試料に対して様々な抗体希釈物を最初に試験することにより決定される。最適抗体濃度および検出化学反応条件は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料について最初に決定される。抗体力価を最適化するためのアッセイの設計および検出条件は、標準的であり、十分に当業者の日常的な能力の範囲内である。次に、固定された組織試料のための最適条件が決定された後に、同じ条件で各抗体を細胞学的調製物に使用する。いくつかの抗体は、バックグラウンド染色を減少させるために、ならびに/または細胞学的試料における染色の特異性および感度を上げるために、追加的な最適化が必要である。
さらに、当業者は、本発明の方法を実施するために使用される特定の抗体の濃度が、結合時間、バイオマーカータンパク質に対する抗体の特異性のレベル、および生体試料調製法などの要因に応じて変動することを認識しているであろう。そのうえ、複数の抗体が使用される場合に、必要な濃度は、抗体が試料に適用される順序によって、すなわち、カクテルとして同時に、または個別の抗体試薬として連続的に適用されるかによって影響されうる。さらに、関心対象のバイオマーカーに結合している抗体を視覚化するために使用される検出化学反応もまた、所望の信号対雑音比を生み出すために最適化しなければならない。
イムノアッセイ
最も簡単で最も直接的な意味のイムノアッセイは、結合アッセイである。ある好ましいイムノアッセイは、当技術分野で公知の様々な種類の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)である。組織切片を使用した免疫組織化学検出法もまた、特に有用である。しかし、検出が、そのような技法に限定されないことが容易に認識されており、ウエスタンブロット、ドットブロット、FACS分析などもまた使用することができる。
一つの例示的なELISAでは、本発明のバイオマーカータンパク質に結合する抗体は、ポリスチレン製マイクロタイタープレートのウェルなどのタンパク質親和性を示す選択された表面に固定化される。次に、バイオマーカー抗原を含有する疑いのある、臨床試料などの被験組成物がウェルに添加される。結合、および非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄の後に、結合している抗体を検出することができる。検出は、一般に、検出可能なラベルと連結した標的タンパク質に特異的な二次抗体の添加により達成される。この種のELISAは、単純な「サンドイッチELISA」である。検出は、また、二次抗体の添加に続いて、二次抗体に対して結合親和性を有する、検出可能なラベルに連結した三次抗体の添加により達成することができる。
別の例示的なELISAでは、バイオマーカー抗原を含有することが疑われる試料は、ウェルの表面に固定化され、次に、本発明の抗体と接触される。結合させ、洗浄して非特異的に結合した免疫複合体を除去した後に、結合している抗体が検出される。最初の抗体が検出可能なラベルと連結している場合に、免疫複合体を直接検出することができる。同様に、一次抗体に結合親和性を有する、検出可能なラベルと連結した二次抗体を使用して、免疫複合体を検出することができる。
タンパク質またはペプチドが固定化された別のELISAは、検出に抗体の競合を利用することを伴う。このELISAでは、ラベルされた抗体をウェルに添加し、バイオマーカータンパク質に結合させ、抗体のラベルにより検出する。次に、コーティングされたウェルと共にインキュベートする前または途中に、試料とラベルされた抗体を混合することにより、未知試料中のマーカー抗原の量を決定する。試料中にマーカー抗原が存在すると、ウェルへの結合に利用できる抗体の量を減らすように作用することで、最終的なシグナルが減少する。これは、ラベルされていない抗体が、抗原でコーティングされたウェルに結合し、同様に、ラベルされた抗体に結合するために利用できる抗原の量を減少させる、未知試料中の抗体を検出することに適する。
用いられる形式にかかわらず、ELISAは、コーティング、インキュベートまたは結合、非特異的に結合した種を除去するための洗浄、および結合した免疫複合体の検出などの、ある特徴を共通して有する。これらは、以下のように説明される。
抗原または抗体のいずれかをプレートにコーティングするとき、プレートのウェルを抗原または抗体の溶液と共に一晩または特定の時間のいずれかの間インキュベートする。次に、プレートのウェルを洗浄して、不完全に吸着した物質を除去する。次に、ウェルの利用可能な任意の残留表面を、被験抗血清に関して抗原的に中性の非特異的タンパク質で「コーティング」する。これらには、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインおよび粉乳溶液が含まれる。固定化表面の非特異的吸着部位のコーティングは、その表面の抗血清の非特異的結合により起こるバックグラウンドを減少させる。
ELISAでは、直接手順よりも二次または三次検出手段を使用する方がおそらく慣例的である。したがって、ウェルへのタンパク質または抗体の結合、バックグラウンドを減少させるための非反応性物質を用いたコーティング、および未結合物質を除去するための洗浄の後に、免疫複合体(抗原/抗体)を形成させるために有効な条件で、固定化表面に対照試料および/または検査される臨床もしくは生物学的試料を接触させる。次に、免疫複合体の検出は、ラベルされた二次結合性リガンドもしくは抗体を必要とするか、またはラベルされた三次抗体もしくは三次結合性リガンドと共に二次結合性リガンドもしくは抗体を必要とする。
「免疫複合体(抗原/抗体)を形成させるために有効な条件で」は、その条件が、非限定的に、BSA、ウシγグロブリン(BGG)およびリン酸緩衝食塩水(PBS)/Tweenなどの溶液で抗原および抗体を希釈することを含むことを意味する。これらの添加された薬剤は、また、非特異的バックグラウンドの減少を助ける傾向にある。
「適切な」条件は、また、インキュベーションが、有効に結合させるために十分な温度および時間で行われることを意味する。インキュベーション段階は、典型的には約1時間から2〜4時間、好ましくは25℃〜27℃のオーダの温度であり、約4℃で一晩であってもよい。
ELISAの全インキュベーション段階の後で、複合体を形成していない物質を除去するために、接触された表面を洗浄する。好ましい洗浄手順は、PBS/Tweenまたはホウ酸緩衝液などの溶液で洗浄することを含む。被験試料と本来結合している物質の間に特異的免疫複合体を形成させ、続いて洗浄した後に、微量の免疫複合体の存在さえ決定することができる。
検出手段を提供するために、二次または三次抗体は、検出させるための関連ラベルを有するであろう。好ましくは、このラベルは、適切な発色基質または他の基質と共にインキュベートした際に、色または他の検出可能なシグナルを発生する酵素である。したがって、例えば、第一または第二免疫複合体をウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼまたは過酸化水素抱合抗体を用いて、さらなる免疫複合体の形成を容易にする時間および条件(例えば、PBS-TweenなどのPBS含有溶液中で室温、2時間のインキュベーション)で検出することができる。
ラベルされた抗体と共にインキュベーション後に、未結合の物質を除去するために洗浄した後で、例えば、尿素およびブロモクレゾールパープル、または酵素ラベルとしてペルオキシダーゼの場合に2,2'-アジド-ジ-(3-エチル-ベンズチアゾリン-6-スルホン酸[ABTS]およびH2O2などの発色基質と共にインキュベーションすることにより、ラベルの量を定量する。次に、例えば、可視分光光度計を使用して発色の程度を測定することにより、定量を達成する。
B. mRNAアッセイ
本発明の別の態様では、遺伝子産物の破壊はmRNAレベルで検出される。mRNA発現を評価するための核酸に基づく技法は、当技術分野で周知であり、例えば、生体試料中のバイオマーカーmRNAのレベルを決定することが含まれる。多数の発現検出法は、単離されたRNAを使用する。mRNAの単離に反する選択を行わない任意のRNA単離技法を、生体試料からのRNA精製のために利用することができる(例えば、Ausubel, ed., 1999, Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, New York)を参照されたい。追加的に、多数の組織試料は、当業者に周知の技法、例えば、Chomczynski、1989、米国特許第4,843,155号の一段階RNA単離工程を使用して容易に加工することができる)。
バイオマーカーとしての単離されたmRNAは、非限定的に、サザンまたはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析およびプローブアレイを含むハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイで検出することができる。mRNAレベルの検出のための一方法は、単離されたmRNAと、検出される遺伝子によりコードされるmRNAにハイブリダイズできる核酸分子(プローブ)を接触させることを伴う。核酸プローブは、少なくとも7、15、30、50、100、250または500ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドなどで、ストリンジェントな条件で本発明のバイオマーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAと特異的にハイブリダイズするために十分な、例えば、全長cDNAまたはその部分でありうる。mRNAとプローブとのハイブリダイゼーションは、問題のバイオマーカーが発現中であることを示す。
一態様では、例えば、単離されたmRNAをアガロースゲルで泳動させ、mRNAをゲルからニトロセルロースなどのメンブランに移行させることにより、mRNAを固体表面に固定化し、プローブと接触させる。代替の態様では、例えば、Affymetrix遺伝子チップアレイ(Santa Clara, CA)で、プローブを固体表面に固定化し、mRNAをプローブと接触させる。当業者は、本発明のバイオマーカーによりコードされるmRNAのレベル検出に使用するための公知のmRNA検出法を容易に適用することができる。
試料中のバイオマーカーmRNAを検出するための代替法は、例えば、RT-PCR(実験の態様は、Mullis(1987)、米国特許第4,683,202号に示される)、リガーゼ連鎖反応(Barany, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189 193)、自家持続配列複製法(Guatelli, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:1874 1878)、転写増幅システム(Kwoh, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:1173 1177)、Q-βレプリカーゼ(Lizardi, 1988, Bio/Technology, 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardi、米国特許第5,854,033号)または任意の他の核酸増幅法による核酸複製工程に続く、当業者に周知の技法を使用した、増幅された分子の検出を伴う。これらの検出スキームは、核酸分子が非常に少数存在するならば、そのような分子の検出に特に有用である。本発明の特定の局面では、バイオマーカーの発現は、定量蛍光発生RT-PCR (すなわちTaqMan. RTM. System)により評価される。そのような方法は、典型的には、関心対象のバイオマーカーに特異的なオリゴヌクレオチドプライマー対を使用する。公知の配列に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを設計するための方法は、当技術分野において周知である。
RNAのバイオマーカー発現レベルは、メンブランブロット(ノーザン、サザン、ドットなどのハイブリダイゼーション分析で使用されるものなど)、またはマイクロウェル、試料チューブ、ゲル、ビーズもしくは繊維(または結合した核酸を含む任意の固体支持体)を使用してモニターすることができる。参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,770,722号、第5,874,219号、第5,744,305号、第5,677,195号および第5,445,934号を参照されたい。バイオマーカーの発現の検出は、また、溶液状態の核酸プローブを使用することを含みうる。
キット
本発明の方法を実施するためのキットが、さらに提供される。「キット」とは、本発明のバイオマーカーの発現を特異的に検出するための、少なくとも一つの試薬、例えば、抗体、核酸プローブなどを含む任意の製品(例えばパッケージまたは容器)を意図する。キットは、本発明の方法を行うためのユニットとして販促、流通または販売することができる。追加的に、キットは、そのキットを説明し、その使用のための説明資料を含む添付文書を内部に含むことがある。
陽性および/または陰性対照は、本発明により用いられる試薬の活性および正しい利用法を検証するためにキットに含まれることがある。対照は、関心対象のバイオマーカーの存在について陽性または陰性のいずれかであることが公知の、組織切片、ガラススライドに固定された細胞などの試料を含んでもよい。対照の設計および使用は、標準的であり、十分に当業者の日常的な能力の範囲内である。
実験実施例
以下の実験実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、例示のためだけに提供されており、別に特定しない限り限定することを意図しない。したがって、本発明は、以下の実施例に限定されると全く解釈してはならず、むしろ、本明細書に提供された教示の結果として明らかになった任意のおよび全ての変更を包含すると解釈すべきである。
本実施例に提示された実験の材料、方法および結果をこれから説明する。
実施例1: 発達遅延を有する小児におけるデノボ逆位(inv(7)(q11.22;q35))の位置づけ
A. (46,XY,inv(7)(q11.22;q35))患者の臨床説明
患者は、4.5歳男児であり、骨盤位が原因の帝王切開により33歳のG3P3母から妊娠第38週に生まれた。出生体重は3.3kgであった。患者の新生児経過および乳児期は、全身の筋緊張低下に関連して哺乳不振および重症胃食道逆流症を合併した(生後2.5ヶ月でKUB/UGIにより確認)。これにより、最終的に生後6ヶ月でPEGチューブ留置に至った。生後7週間の体重は4.4kgであった(10〜25パーセンタイル)。生後3ヶ月での遺伝的評価および検査には、核型分析に加えて、著しい筋緊張低下が原因で行ったPrader-Willi遺伝子座(SNRPNプローブ、15ql1.2)についての通常のFISH実験が含まれた。トキソプラズマ、単純ヘルペス、およびサイトメガロウイルスに関する抗ウイルス抗体力価は、生後2.5ヶ月で陰性であった。風疹IgGは1.1(免疫範囲の下限)であった。血清グルコースおよび電解質は正常で、重炭酸イオン濃度21mEq/Lおよび陰イオンギャップ11であった。尿検査は正常で、ケトンは存在しなかった。生後3ヶ月の乳酸は1.4(範囲0.5〜2.2)で、アンモニアは63(範囲28〜80)であった。クレアチンキナーゼレベルは106(正常範囲0〜200IU/L)であった。肝トランスアミナーゼ値は、正常の範囲内であった。血漿アミノ酸およびアシルカルニチン分析値ならびに尿アシルグリシンおよび有機酸プロファイルは正常であった。糖タンパク質糖鎖不全症候群(carbohydrate deficient glycoprotein syndromes)を除外するためのトランスフェリン等電点電気泳動は正常で、スミス-レムリ-オピッツ症候群を除外するための血漿7-デヒドロコレステロール測定も同様であった。脳脊髄液アミノ酸、乳酸、およびピルビン酸は正常であった。生後3.5ヶ月に早期幼児期の視覚不注意歴についての眼科学的評価を開始した。網膜電図および視力の選考注視検査(Preferential Looking Test of Visual Acuity)は年齢の割に正常であった。心エコーは生後7ヶ月で正常であった。生後2.5ヶ月の脳MRIは、髄鞘形成遅延を示した(内包前脚内のミエリンは欠如しているが、ローランド溝周囲の白質および内包後脚内の髄鞘形成は正常)。加えて、前頭葉および側頭葉の発育不全に一致して、隆起した脳室系を伴う隆起したクモ膜下腔が前頭部にあった。EEGは正常であった。
3.5歳での臨床的遺伝的評価から、生後1年における逆流に関して重要な意味をもつ過去の病歴、すなわち以前の3回の肺炎発症、筋緊張低下、アキレス腱の牽引、斜視修復、および左鼠径ヘルニア修復が明らかとなった。患者は、伝音難聴を伴う反復性中耳炎のために両耳に均圧管を挿入されていた。家族歴は、2人の正常に発育した年上の兄弟姉妹にとって意義をもち、3世代に拡大した家系に認知遅延または運動遅延の病歴はなかった。診察の時に、身長は100.2cm(75〜90パーセンタイル)、体重は14.7kg(25〜50パーセンタイル)、および後頭前頭頭囲は49.4cm(25〜50パーセンタイル)であった。外科的に矯正された斜視および垂れた瞼裂を除き、顔は本質的に異形ではなかった。特有の身体所見に、軽度の両側第5指斜指、第二・第三趾間合指(Y字型ではない)、外反膝および外反足、持続性胎児足趾先隆起(persistent fetal pads ontoes)、アキレス腱の牽引、および隆起した陰嚢縫線が含まれた。眼の距離、手、足、乳首間距離、および伸展した陰茎長は正常範囲内であった。患者の臨床遺伝学者(T.M.M.)は遺伝症候群を認識できなかった。
発達では、患者は生後3ヶ月が過ぎるまで社会的微笑を行わず、13.5ヶ月でハイハイし、24ヶ月で歩きそして最初の単語を話し、3歳で2単語の語句を組み立て始めた。乳児発達用ベーリー尺度(Bayley Scale)は、その小児が「著しく遅延」した範囲にあることを示した。親の報告手段であるVineland-IIで、患者は次の通りの標準スコアを有した(各検査の平均は100であり、標準偏差は15である):コミュニケーション:67、日常生活スキル:77、社会化:77、運動:64、および適応行動複合値:68。ピーボディー発達運動尺度(Peabody Developmental Motor Scale)-2(PDMS-2)を用いた細かい運動スキルの検査は、患者を平均より2SD下に分類した。
患者は生後49ヶ月でYale Child Study CenterでADI-RおよびADOSを用いて評価された。ADI-Rでは、最初の単語は30ヶ月で、最初の語句は48ヶ月であったと、両親は報告し、このことは、文書に記録された病歴とやや異なる。追加的に、両親は、患者に「癲癇のおそれがある発作歴」があることを報告した。述べたように、これらは、小児科医によってEEGで追跡されたが、EEGは正常であった。患者は、社会(10)、行動(4)、および発症年齢(4)のADI-R尺度基準に合致した。患者は、コミュニケーション領域のカットオフには合致しなかった:言語(0)または非言語(3)。AGREレポジトリ(そこから突然変異スクリーニング試料を入手した)により使用されるADI-Rアルゴリズムに基づくと、患者は、「広いスペクトラム」に分類されるであろう。しかし、患者はASDの診断に関するADOS基準に合致しなかった。
B. 蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)を使用する染色体再配列のマッピング結果
社会的遅延および認知遅延を有すると確認された個体に存在する染色体異常を検出するために、上記個体から得られた中期染色体のGバンド試料を調製し、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)を使用して探査した。
逆位ブレークポイントにより、この個体の遺伝子AUTS2は7q11.22で、CNTNAP2は7q35で破壊された(図1)。AUTS2は、7q11.22の1.2MBのゲノム領域に位置し;BAC RP11-709J20は逆位をまたぎ、イントロン5内にあり、ブレークをエキソン5と6の間に置く。CNTNAP2は、7q35の2.3MBのゲノム領域に位置し;BAC RP11-1012D24は、逆位をまたぐことが見出され、コードしているエキソン11および12を含み、ブレークをエキソン10と13の間に置く。400塩基対の平均スペーシングを有する約385000個のプローブを含む第7染色体特異的マイクロアレイ(Nimblegen)を用いた、アレイに基づく競合ゲノムハイブリダイゼーションを行うことによって、患者をさらに評価した。数メガ塩基のブレークポイント内で大規模な欠失または重複は観察されなかった。
AUTS2およびCNTNAP2の両者は、単独または組合せのいずれかで、指標症例にみられた認知遅延および社会的遅延の病因の一因の強力な候補である。AUTS2は、ASDを有する一組の双生児における染色体異常の位置づけにより本来同定された機能未知の予測されたタンパク質をコードする(Sultana et al., 2002, Genomics 80:129-134)。追加的に、MRおよびAUTS2の均衡型転座の3例が報告されている(Kalscheuer et al., 2007, Human Genetics 121:501-509)。しかし、罹患していない個体のコピー数多型もまた、AUTS2遺伝子座に報告されており(Redon et al., 2006, Nature 444:444-454)、このことは、この区間でのハプロ不全および構造再配列が一部の症例で寛容化されうることを示唆している。患者および罹患していない家族からの末梢リンパ芽球でのRT-PCRによりAUTS2 mRNAの発現を評価したが、患者の発言レベルではエキソン50からブレークまで正常であったが、それから遠位のエキソンについては約50%だけ減少した(データは示さない)。
CNTNAP2は、また、社会的および認知遅延への関与に関する強力な候補である。それは、末梢神経系(PNS)のミエリン産生シュワン細胞間の規則的な間隔のギャップであるランビエ(Ranvier)絞輪の近接傍絞輪部に、TAG-Iとしても知られているコンタクチン2(Cntn2)と相互作用することが知られている神経細胞接着分子である。(Traka et al., 2003, J. Cell Biol. 162:1161-1172; Poliak et al., 2003, J. Cell Biol. 162:1149-1160)。以前の研究は、PNSの発生にCNTNAP2が果たす役割に主として焦点を当てていたが、最近の報告は、旧体制アーミッシュ集団におけるCNTNAP2の相同突然変異が難治性の発作を招くことを実証し、皮質神経細胞移動の異常、MR、およびASDを組織学的に確認した(Strauss et al., 2006, New Eng. J. Med. 354:1370-1377)。これらのデータは、本発明者らによる、MRおよびASDを患う小児におけるCNTN4の細胞遺伝学的破壊の以前の同定と共に(Fernandez et al., 2004, Am. J. Human genetics 74:1286-1293)、これらの障害にコンタクチン関連経路が関与している可能性があることを示唆している。
AUTS2の場合と同様に、CNTNAP2が関与する細胞遺伝学的異常の入手可能な報告からの証拠は一貫性がなかった。一例では、トゥレット症候群および発達遅延が、CNTNAP2を破壊する複合再配列を有する家族で同定された(Verkerk et al., 2003, Genomics 82:1-9)。最近になって、CNTNAP2のコード領域が関与する均衡型転座の保有者(Sebat et al., 2007, Science 316:445-449; Sultana et al., 2002, Genomics 80:129-134)は、正常であると記載された(Belloso et al., 2007, Eur. J. Hum. Genetics. 15:711-713。末梢リンパ芽球にCNTNAP2の発現が非存在であるを考慮すると、指標症例における発現変化を直接評価することは不可能であった。しかし、家系の罹患したメンバーにのみ本明細書に記載されたデノボ逆位が特徴づけられたことは、CNTN4に関する以前の結果(Fernandez et al., 2004, Am. J. Hum. Genetics 74:1286-1293)およびCNTNAP2における低頻度相同突然変異がASD3を引き起こすという強力な証拠と一緒になって、この分子が中枢神経系(CNS)の発達、特に自閉症に主要な役割を果たすという仮説を支持している。
実施例2: CNTNAP2/Cntnap2の発現
A. インサイチューハイブリダイゼーション
マウスCntnap2 cDNA(NM_025771)の塩基3909〜4890またはヒトCNTNAP2 cDNA (NM_014141.3)の塩基1343〜2496に相補的なジゴキシゲニン-11-UTP RNAプローブを用いたインサイチューハイブリダイゼーションを使用して、マウスおよびヒトのCNSにおけるCntnap2 mRNAの分布を調べた(Grove et al., 1998, Development 125:2315-2325)。P9マウス脳切片をCntnap2アンチセンスプローブとハイブリダイズさせた(図2)。年齢6および58歳のヒト側頭皮質切片(図3Aおよび図3B)およびP7マウス皮質(図3C)もまた、対応するアンチセンスリボプローブとハイブリダイズさせた。
B. ラット前脳細分画
ラット前脳ホモジェネート(homog.)を核沈殿後上清(S1)、シナプトソーム上清(S2)、粗シナプトソーム(P2)、シナプトソーム膜(LP1)、粗シナプス小胞(LP2)、シナプス形質膜(SPM)、およびミトコンドリア (mito.)に細分画した(図3D)。シナプス膜タンパク質N-カドヘリンおよびシナプス小胞タンパク質であるシナプトタグミン1は、これらの各画分のマーカーとして役立つ。Pierce BCAアッセイでタンパク質濃度を測定し、等量の各画分を分析した。Cntn2/TAG-1に対するモノクローナル抗体(3.1C12、Columbia University、Thomas Jessellが開発)は、University of Iowaにより維持されているDevelopmental Studies Hybridoma Bankから、シナプトタグミン1に対するモノクローナル抗体(41.1)は、Synaptic Systems(Gottingen、Germany)から、N-カドヘリンに対するモノクローナル抗体はBD Biosciences(#610920)から入手した。Cntnap2に対するポリクローナル抗体は、Sigma(#C8737)から得た。
C. マウスおよびヒトの中枢神経系におけるCNTNAP2/Cntnap2のmRNAおよびタンパク質の発現
マウスCntnap2 cDNA(NM_025771)の塩基3909〜4890またはヒトCNTNAP2 cDNA (NM_014141.3)の塩基1343〜2496に相補的なジゴキシゲニン-11-UTP RNAプローブを用いたインサイチューハイブリダイゼーション(Grove et al., 1998, Development 125:2315-2325)を使用して、マウスおよびヒトのCNSにおけるCntnap2 mRNAの分布を調べた。P9マウス脳切片をCntnap2アンチセンスプローブとハイブリダイズさせた(図2)。
Cntnap2の発現は、皮質(図2A〜図2D)、中隔(図2A)、基底核(図2Aおよび図2B)、多数の視床核(図2B〜図2D)および視床下部核(図2C〜図2E)で検出され、前核および手綱、扁桃体の一部(図2C)、上丘および中脳水道周囲灰白質(図2F)、橋、小脳、および髄質に特に高レベルが観察され、同様に下オリーブ核で特に高レベルが認められる。
年齢6および58歳のヒト側頭皮質切片(図3Aおよび図3B)およびP7マウス皮質(図3C)もまた、対応するアンチセンスリボプローブとハイブリダイズさせた。ヒト側頭葉の皮質層II〜V(図3Aおよび図3B)およびマウス新皮質のII〜VIにおける発現が検出される(図3C)。社会的行動に関係づけられる神経解剖学的回路である辺縁系内を含む広範囲の発現が、胎児および出生後のマウス脳に見出された(図2および3C)。ヒト脳では、側頭葉の全ての皮質層におけるCNTNAP2 mRNA発現の以前の結果もまた確認された(図3)。
Cntnap2タンパク質の発現およびその推定上の結合パートナーであるCntn2/TAG-1をまた、細分画された生後9日のラット前脳溶解物で調べた(Jones and Matus, 1974, Biochem. Biophys. Acta 356:276-287; Biederer et al., 2002, Science 297:1525-1531)。Cntnap2およびCntn2/TAG-1の両方がシナプス形質膜を含有する画分に存在し、これは、それらがこの区画で物理的複合体を形成していることに一致した(図3D)。これらのデータは、CNTNAP2とおよびコンタクチン関連経路の要素を、自閉症に関して顕著な関心対象の神経細胞構造と共に位置特定した(Jamain et al., 2003, Nature Genetics 34:27-29; Laumonnier et al., 2004, Am. J. Hum. Genetics 74: 552-557; Zoghbi (2003) Science 302:826-830; Talebizadeh et al., 2004, J. Autism Dev. Disord. 34:735-736; Craig and Kang, 2007, Curr. Opin. Neurobio. 17:43-52; Durand et al., 2007, Nature genetics 39:25-27; Szatmari et al., 2007, Nature Genetics 39:25-27)。
実施例3: CNTNAP2の配列決定は、低頻度で独特な非同義変異体を同定する
A. 対象
症例群は、Autism Genetics Research Exchange (AGRE)から得られた584家族からの患児およびYale Child Study Centerで募集された患児51人から構成された。診断には、自閉症96.7%、広いスペクトラム2.0%、および完全には自閉症ではない1.3% (http://agre.org/agrecatalog/algorithm.cfmのAGRE診断参照)が含まれた。男性が標本の81.1%を占めた。群の民族/人種組成は、白人587人(92.4%)、白人-ヒスパニック系24人(3.8%)、不明7人(1.1%)、アジア系6人(0.9%)、一つを超える人種6人(0.9%)、黒人またはアフリカ系アメリカ人3人(0.5%)、ハワイ原住民または太平洋諸島-ヒスパニック系1人(0.2%)、および一つを超える人種-ヒスパニック系1人(0.2%)であった。再度配列決定された対照群は、942人(白人757人(80.4%)、白人-ヒスパニック系94人(10%)、およびアジア系91人(9.6%))から構成された。これらの個体は、発達遅延または自閉症について評価されず、腎疾患、心筋梗塞、または正常なヒト変異パネルから引き出した。
B. DNA配列の再決定
DNAを、標準ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で56.7℃のアニーリング温度で35サイクルにわたり増幅し(Abelsom et al, 2005, Science 310:317-320)、一本鎖のダイターミネーティング配列決定後にSequencher(Genecodes)またはPolyPhredソフトウェアで分析した。低頻度の非同義変異体、フレームシフト変異体、ナンセンス変異体、およびスプライス部位変異体を探して、症例および対照の両者を同一の方法で評価した。さらに、Custom Taqman遺伝子型決定アッセイ(Applied Biosystems)を用いて、1073人の血縁関係のない白人対象の追加的な対照試料で、初回配列決定作業で症例または対照群にのみ見出された変化を遺伝子型決定した。合わせた対照試料において1/4000よりも大きな対立遺伝子頻度を有する変異体を除外した。
配列決定された対照に1回見出された一つの変異体、R283Cは、さらなる遺伝子型決定に失敗したが、その後の分析に含めた。それぞれの種の全長BLASTpの上位ヒットまでClustalWアライメントを行って、多様な種にわたる保存について全ての低頻度の非同義変異体を調査した(表2および図5)。追加的に、アミノ酸分析プログラムPoly-PhenおよびSIFT(タンパク質サブミッションオプション)により、参照CNTNAP2タンパク質としてQ9UHC6を用いて置換を調査し、タンパク質の機能に有害な可能性があるか、おそらく有害であると予測される置換を同定した(表2)。
C. CNTNAP2配列の再決定の結果
患者635人および特徴づけされていない対照942人においてCNTNAP2の全24個のコードエキソンの配列を再決定した(表1)。このアプローチは、対立遺伝子不均一性にもかかわらず頑健なことから選択され、特発性自閉症の低頻度原因突然変異の同定に有益なことが証明された(Jamain et al., 2003, Nature Genetics 34:27-29; Laumonnier et al., 2004, Am. J. Hum. Genetics 74:552-557)。さらに、他の複合遺伝障害において、低頻度の劣性疾患の一因となる遺伝子に見出されるヘテロ接合性非同義変異体は、より幅広い集団にリスクを付与することが示された(Cohen et al., 2004, Science 305:869-872)。
(表1) CNTNAP2の突然変異スクリーニング用のプライマー配列
Figure 2011509096
aNM_014141で定義された通り
(表2) ASDの症例および対照で同定された独特な非同義変異体
Figure 2011509096
a症例(表上部)にのみ、または対照(表下部)にのみ見出されたアミノ酸変化
bP:PolyPhen、S:SIFT
c全ての配列が同一の場合または保存的置換のみが見られた場合に、アミノ酸は保存されていると見なした。
dN407S/I869Tは、1人の発端者の対になった染色体に見出された。
e有害または保存されていると予測された変異体
f親のDNAを配列決定し、疑いのある変異体がアジア系の父親由来であることを決定した。
g遺伝子型決定を失敗した変異体。
合計37個の非同義変異体が645症例から見出され、その23例が1/4000未満の対立遺伝子頻度を有した(図4;表2および表3)。これらの23個の低頻度変異体のうち、14個が有害と予測されるか、または調査した全ての種にわたり保存された領域から見つかった(図4Aおよび図5)。
4例では、これらの潜在的に有害な対立遺伝子が、1人を超える患者を有する家系で同定され、これらの3例が罹患した第1度近親者においてASDと共に分離を示した(図4B)。942人の対照のうち、35個の非同義変異体が同定され、これらの11個が低頻度であり、6個が有害と予測され、又は全ての種で保存されていた(図5;表2)。
表3に、自閉症を有する383家族に見られたCNTNAP2遺伝子に存在する10個の追加的な低頻度変異体を示す。
(表3)
Figure 2011509096
a症例(表上部)のみ、または対照(表下部)のみに見出されるアミノ酸変化
bPolyPhenおよびSIFTにより決定
c全ての配列が同一の場合または保存的置換のみが見られた場合に、アミノ酸は保存されていると見なした。
d有害または保存されていると予測された変異体
全ての独特で有害/保存されていると予測される変異体の率は、症例では対照と比較してそれぞれ1.75倍および2倍高かったが、どちらも突然変異負荷の増大とASDの関連についての統計的閾値に達しなかった(フィッシャー(Fisher)の直接確率検定のp 1/4は0.21、ORは1.76、95% CIは0.80〜3.87; p 1/4は0.27、ORは1.98、95% CIは0.72〜5.49)。
SIFTにより有害と予測された、高度に保存された一変異体I869Tは、自閉症を有する血縁関係のない3家族からの患者4人から同定されたが、4010個の対照染色体には存在せず、このことは、この置換についての関連性を支持している(フィッシャーの直接確率検定;p=0.014)。それぞれの家族では、変異体は一見罹患していない親から遺伝していた。その変異体は、数千の対照染色体に非存在で、種間で保存されており、第1度近親者間の罹患状態と共に分離しており(図4B)、これら全てが、この変異体がさらなる注目を保証することを示唆している。
CNTNAP2近くの高頻度SNPとASDの間の連鎖および/または関連を実証している二つの独立した研究に関連して調べた場合(Alarcon al., 2008, Am. J. Hum. Genetics 82:150-159; Arking et al., 2008, Am. J. Hum. Genetics 82:160-164)、これらの結果は、共にこれらの結論を支持し、この転写物における低頻度変異体の潜在的貢献の限界を実証している。ASDに関連すると見なされる脳領域におけるCNTNAP2発現の確認と同様に、シナプス膜にCNTNAP2タンパク質およびその結合パートナーが実証されたことは、ASDに関連して、特に、ニューロリジン3、X連鎖性ニューロリジン4、SHANK3、およびニューレキシン1を含む他のシナプスタンパク質の突然変異が同定されたことを考慮すると、これらの結論の生物学的真実味を支持している(Jamain et al., 2003, Nature Genetics 34:27-29; Laumonnier et al., 2004, Am. J. Hum. Genetics 74:552-557; Durand et al., 2007, Nature Genetics 39:25-27; Szatmari et al., 2007, Nature Genetics 39:319-328)。デノボ染色体異常に起因する破壊されたCNTNAP2転写物が見出されたこと、対照に存在しなかった、症例群に低頻度で高度に保存された変異体が複数同定されたこと、およびI869TとASDの関連の全ては、タンパク質の機能を破壊するいくつかの低頻度変異体が疾患リスクの一因になりうることを、示唆している。
本明細書に引用したありとあらゆる特許、特許出願、および刊行物の開示は、本明細書によって全体として参照により本明細書に組み入れられる。具体的な態様を参照して本発明を開示したが、本発明の真の精神および範囲から逸脱せずに、本発明の他の態様および変更が当業者により考案されうることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのような態様および等価の変更の全てを含むと解釈されることが意図される。

Claims (33)

  1. 自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症するリスクのあるヒト対象を同定する方法であって、該対象から生体試料を得ること;CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、およびそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子における少なくとも一つの染色体異常を検出することを含み、ここで、該遺伝子に少なくとも一つの染色体異常が検出された場合に、該対象はASDを発症するリスクがある、前記方法。
  2. 対象が、胎児、新生児、および小児からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  3. 小児が、5歳以下である、請求項2記載の方法。
  4. 生体試料が、組織、細胞、および体液からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  5. PCRアッセイ、配列決定アッセイ、プローブアレイを使用するアッセイ、遺伝子チップを使用するアッセイ、およびマイクロアレイを使用するアッセイからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  6. 自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症するリスクのあるヒト対象を同定する方法であって、該対象から生体試料を得ること;CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、およびそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子の少なくとも一つの破壊された転写を検出することを含み、ここで、該遺伝子に少なくとも一つの破壊された転写物が検出された場合に、該対象はASDを発症するリスクがある、前記方法。
  7. CNTNAP2 mRNA、AUTS2 mRNA、またはそれらの組合せからなる群より選択されるmRNAについてのアッセイを含む、請求項6記載の方法。
  8. アッセイが、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはRT-PCRを含む、請求項7記載の方法。
  9. CNTNAP2タンパク質、AUTS2タンパク質、またはそれらの組合せについてのアッセイを含む、請求項6記載の方法。
  10. アッセイが、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ (RIA)、およびイムノアッセイ、化学発光アッセイ、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を含む、請求項9記載の方法。
  11. 対象が、胎児、新生児、および小児からなる群より選択される、請求項6記載の方法。
  12. 小児が、5歳以下である、請求項11記載の方法。
  13. 生体試料が、組織、細胞、および体液からなる群より選択される、請求項6記載の方法。
  14. CNTNAP2、AUTS2、またはそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子における配列変異の存在または非存在をヒト対象において決定するための方法であって、該対象から生体試料を得ること;CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、およびそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子における少なくとも一つの配列変異を検出することを含み、ここで、該遺伝子のいずれかに少なくとも一つの突然変異が検出された場合に、該対象はASDを発症するリスクがある、前記方法。
  15. 対象が、胎児、新生児、および小児からなる群より選択される、請求項14記載の方法。
  16. 小児が、5歳以下である、請求項15記載の方法。
  17. 生体試料が、組織、細胞、および体液からなる群より選択される、請求項14記載の方法。
  18. アッセイが、PCRアッセイ、配列決定アッセイ、プローブアレイを使用するアッセイ、遺伝子チップを使用するアッセイ、およびマイクロアレイを使用するアッセイからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
  19. CNTNAP2遺伝子における配列変異が、I869T、R1119H、D1129H、I1253T、I1278I、T218M、L226M、R283C、S382N、E680K、W134G、L292Q、V708A、Q921R、R1027T、およびV1157Aからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
  20. ヒト対象の子孫に自閉症スペクトラム障害(ASD)を生殖系列伝達するリスクのある該対象を同定する方法であって、該対象から生体試料を得ること;CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、およびそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子の少なくとも一つの配列変異を検出することを含み、ここで、該遺伝子に少なくとも一つの配列変異が検出された場合に、該対象は該子孫にASDを伝達するリスクがある、前記方法。
  21. CNTNAP2 mRNA、AUTS2 mRNA、またはそれらの組合せからなる群より選択されるmRNAについてのアッセイを含む、請求項20記載の方法。
  22. アッセイが、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはRT-PCRを含む、請求項21記載の方法。
  23. CNTNAP2タンパク質、AUTS2タンパク質、またはそれらの組合せについてのアッセイを含む、請求項20記載の方法。
  24. アッセイが、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ(RIA)、およびイムノアッセイ、化学発光アッセイ、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を含む、請求項23記載の方法。
  25. 生体試料が、組織、細胞、および体液からなる群より選択される、請求項20記載の方法。
  26. CNTNAP2遺伝子の配列変異が、I869T、R1119H、D1129H、I1253T、I1278I、T218M、L226M、R283C、S382N、E680K、W134G、L292Q、V708A、Q921R、R1027T、およびV1157Aからなる群より選択される、請求項20記載の方法。
  27. ヒト対象の子孫に自閉症スペクトラム障害(ASD)を生殖系列伝達するリスクのある該対象を出生前に同定する方法であって、該対象から生体試料を得ること;CNTNAP2遺伝子、AUTS2遺伝子、およびそれらの組合せからなる群より選択される遺伝子の少なくとも一つの配列変異を検出することを含み、ここで、該遺伝子に少なくとも一つの配列変異が検出された場合に、該対象は該子孫にASDを伝達するリスクがある、前記方法。
  28. CNTNAP2 mRNA、AUTS2 mRNA、またはそれらの組合せからなる群より選択されるmRNAについてのアッセイを含む、請求項27記載の方法。
  29. アッセイが、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはRT-PCRを含む、請求項28記載の方法。
  30. CNTNAP2タンパク質、AUTS2タンパク質、またはそれらの組合せについてのアッセイを含む、請求項27記載の方法。
  31. アッセイが、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ(RIA)、およびイムノアッセイ、化学発光アッセイ、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を含む、請求項30記載の方法。
  32. 生体試料が、組織、細胞、および体液からなる群より選択される、請求項27記載の方法。
  33. CNTNAP2遺伝子の配列変異が、I869T、R1119H、D1129H、I1253T、I1278I、T218M、L226M、R283C、S382N、E680K、W134G、L292Q、V708A、Q921R、R1027T、およびV1157Aからなる群より選択される、請求項27記載の方法。
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