JP2011507919A - 修飾第ix因子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、化学修飾された第IX因子について開示し、ここで活性ペプチド領域が、共有結合した親水性ポリマーを含む。

Description

本発明は、化学修飾された血液凝固第IX因子(FIX)の製造に関する。
血友病B又はクリスマス病は血液凝固因子第IX因子の欠乏により生じる、遺伝的なX因子関連の劣性出血性疾患である。第IX因子(FIX)は、活性化形態である第IXa因子(FIXa)が、第VIIIa因子、リン脂質及びカルシウムイオンと相互作用し、「テナーゼ」複合体を形成し、これが第X因子を第Xa因子に変換するという固有の血液凝固経路において重要な役割を果たしている血漿中の単鎖糖タンパク質である。
FIXは、415アミノ酸側鎖を持つ単鎖ポリペプチドとして合成される。FIXは、(1)ガンマ-カルボキシグルタミン酸含有ドメイン(「Glaドメイン」)、(2)及び(3)2つの上皮細胞成長因子様ドメイン(「EGF-1ドメイン」、「EGF-2ドメイン」)、(4)活性ペプチド領域(「AP領域」)、及び(5)セリンプロテアーゼドメインからなる不活性前駆体分子として血中に存在する。FIXは、小胞体からゴルジ装置を移動中に広く翻訳後修飾を受ける:シグナル配列の切断;ビタミンK依存性γ-グルタミルカルボキシラーゼである肝ミクロソーム酵素による、Glaドメインにおける12のGlu残基のγ-カルボキシル化;AP領域におけるN-157及びN-167のN-グリコシル化;GlaドメインにおけるS-53及びS-61、及びAP領域におけるT-159、T-169、T-172及びT-179のO-グリコシル化;EGF-1ドメインにおけるAsp-64におけるβ-ヒドロキシル化;いずれもAP領域における、Tyr-155の硫酸化及びSer-158のリン酸化である。
血友病Bにおいては、FIXの量又は機能が欠乏している。この疾患は、ヒト血漿由来(pdFIX)又は遺伝子組換え血液凝固第IX因子(rFIX)の製剤を投与することから構成される置換療法により、有効に治療される。血漿由来の製品は、プロトロンビン複合体濃縮製剤(過去に血友病Bの治療に用いられてきた)又は精製したFIX濃縮製剤(主としてアフィニティ精製第IX因子)である。rFIXは、翻訳後修飾という点で広く特徴づけられる。pdFIXとは小さな違いがあるが、特異的活性及び薬効は同程度である。
pdFIXとCHO細胞由来rFIXの生化学的比較において、蛍光、円偏光二色性、又は分析用超遠心機によっては、二次/三次構造の違いは見られなかった。翻訳後修飾においては小さな違いが見られるのみだった。pdFIXにおいては、Glaドメインにおいてすべての12Glu残基が占有されているのに対し(すなわちGlaに置換されている)、rFIXにおいては、12の部位のうち10のみが完全に占有されているのみである(Gla-40又はGla-40及びGla-36はそれぞれ「非カルボキシル化」されている)。pdFIXにおいては、N-結合グリカンは完全にシアル化されており、高度に不均一である(しかし、これはpdFIXが、血漿成分献血による多様な血漿プールから調製されたためでもあり得る); rFIXにおいては、不均一性が低く、しばしばシアル化は不完全である。rFIXにおいて、Ser-53はXyl-Xyl-Glc-でグリコシル化されているのに対し、pdFIXにおいて、Ser-53は、追加的にXyl-Glc-によるグリコシル化を含む(いずれにおいてもSer-61は、NeuAc-Gal-GlcNAc-Fuc-を含む)。CHO細胞由来のrFIXは、糖質がシアル酸-α(2-3)-ガラクトース基で覆われたグリコシル化された糖質(CHO細胞は、α(2-6)-シアリルトランスフェラーゼがない)であるのに対し、pdFIXは、末端シアル酸α(2-6)-ガラクトース残基を有する。rFIXを発現するヒト由来の細胞(例えばHEK293細胞)は、α(2-3)-及びα(2-6)-シアリルトランスフェラーゼを含む;従って、HEK293由来のrFIXは、この点で市販のCHO-細胞由来のrFIXと異なる(White et al., Thromb.Haemost. 78(1) (1997), 261-265; Bond et al., Sem.Hematol. 35 (2) (1998), Suppl.2, 11-17; Bebgie et al., Thromb.Haemost.94 (2005), 1138-1147)。
AP領域におけるSer-155のリン酸化の程度が低い、又はTyr-158の硫酸化の程度が低いと、インビボ修復をさせないと考えられた((rFIXの場合で37.81±14.0%であるのに対し、モノクローナル抗体で精製したpdFIXでは52.61±12.36であった(White et al. (1997))。GriffithらによりAP領域におけるSer-155のリン酸の低さ又はAP領域におけるTyr-158の硫酸化の低さのため、N-グリカンのシアル化はインビボにおけるrFIXの回復に貢献していると報告された(J.Thromb.Haemost. 5 (2007), Suppl.2: P-M-043)。完全にリン酸化及び硫酸化されている場合に対し、少なくとも25%であり98%未満であるrFIX製品は、インビボ回復の改善が見られた(国際公開第2007/101681 A1号パンフレット)。
CHO細胞発現型rFIXと免疫修飾pdFIX排泄半減期は、同等である(それぞれ18.10±5.10時間、及び17.66±5.31時間(White et al., 1997))。AP領域(del(155-177)欠損変異体は、末端異化半減期が45%、野生型に比べて増加したことが報告された(Bebgie et al. (2005))、Chang et al. (J.Thromb.Haemost. 5 (2007), Suppl.2: O-M-088)。FIXをノイラミニダーゼ及びN-及びO-グリカナーゼで処置し、N-及びO-結合糖質の両方を除く処置した。脱グリコシル化FIXは、有意に無処置FIXよりも回復が低下したのに対し、脱グリコシル化形態による回復は、rFIXとpdFIXにおいて統計的に異ならなかった。それゆえ、FIXによる回復力の決定にグリコシル化が主要な役割を果たすと結論づけられる。さらに、インビボにおける回復に、硫酸化/リン酸化の役割は「比較的小さい」。Changらによっては、rFIX及びpdFIXの脱グリコシル化の半減期又は活性データは報告されていない。
臨床試験において、rFIXは安全で効果的であるが、有効な治療にはpdFLXよりも20ないし50%高用量が必要である。これは、(上述の通り)30ないし50%、CHO細胞由来のpdFIXよりもrFIXの方がインビボでの回復が低いためであり、前臨床及び臨床試験において集められた薬物動態データにより表されてもいる通りであり、ここでこれは異なる動物モデル及び血友病B患者の臨床試験で比較されたからである。しかし、血中rFIXの半減期は、pdFIX製剤と区別がつかない。
(rFIXにおいては)例えば、FIX薬の改善のための様々な試みが行われてきた。(上述したとおり)mRNA生産を増加させ、コラーゲンIVへの結合を低下させ、特異的活性の増加、及びrFIXをpdFIXにより近づけること(Pipe, Sem.Thromb.Hemost. 30 (2) (2004), 227-237; 国際公開第2007/101681 A1号パンフレット); (pdFIXの)増加及び特異的精製(米国特許登録第5,639,857 A号公報) により回復を改善させる試みがあった。しかし、依然として有効な治療には、従来のFIX製剤に比べ低容量又は投与間隔の長い改善されたFIX製剤の開発が切望される。先行文献における戦略では回復及びFIX活性の改善に注力されていたのに対し、タンパク質の半減期を引き延ばすことに目標をおいた戦略はまれであり、それはrFIX及びpdFIXの半減期が同じであるからである。これは主として、(小さな)化学修飾及び変異によるFIXタンパク質の公知の分解性、及びヒトタンパク質の変異の導入による免疫学的効果の可能性による(Bebgie et al. (2005); Kaufman, Thromb.Haemost. 79 (1998), 1068-1079; Hansson et al., J Thromb.Haemost. 3 (2005), 2633-2648; Wojcik et al., Biochem.J. 323 (1997), 629-636)。
本発明は、改善されたFIX半減期を有するFIX及び医薬製剤を提供することを目的とする。
それゆえ、本発明は、活性ペプチド領域においてFIXが化学修飾されたFIXを含有する、単離されたFIX又は医薬製剤を提供する。本発明のこの化学修飾は、FIXが投与されるべき対象の体内における半減期を増加させるAP領域に、有機部分を導入することにある。従って、本発明は、AP領域に水溶性の親水性ポリマーが共有結合しており、該ポリマーが生物学的に生産されたものでないFIXに関する。例えば、ポリエチレングリコール又は糖質がAP領域に付加される。本発明は、また本発明に関連し、出血性疾患、例えば血友病Bを治療する、改善された半減期を有する精製されたrFIX製剤を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、本発明の改善された半減期を有するFIX製剤を含む医薬組成物を投与するステップを含む出血性疾患を治療する方法を可能とする。加えて、本発明はまた、AP領域が、水溶性ポリマーをFIXに共有結合させることによる、共有結合した水溶性の親水性ポリマーを含む、FIXの生産方法に関する。
本発明はFIXを開示し、ここでこれはAP領域に水溶性の親水性ポリマーが共有結合したものを含んでいる。ポリマーは、例えば生物学的に生産されたFIXに化学的又は酵素的に結合している。それゆえ、本発明の水溶性の親水性ポリマーは、当然、生物学的に生産されたFIXの形態を含まない。
通常FIXは化学修飾において不安定であることが知られているにもかかわらず、驚くべきことにこの戦略がFIXに適用できることがわかった。(化学的に)FIX分子の微細構造(特に翻訳後の構築)に影響することは、その活性に不利又は少なくとも有意なインビボ活性の低下につながりうることが、過去に様々な報告によって示されている(Chang et al. (2007), WO2007/101681 A, Atoda et al., J.Biol.Chem.281(14) (2006), 9314-9314;など)。本発明に関しては、FIXは、FIXを投与された患者の血液循環において半減期が増加する水溶性の親水性ポリマーと共有結合によるカップリングされて修飾される。本発明のFIXを活性化すると、ポリマーと結合したFIXからAP領域(Ala-146ないしArg-180において)が切り出され、FIXaがインビボで未修飾形、すなわちポリマー(及びAP領域)と共有結合していない形態で提供される。それゆえ、活性化にあたりポリマーは(AP領域とともに)酵素的にFIXから放出される。これが循環系において必要である限り(すなわち、FIXの活性がFIXaとして必要となる直前に)「放出可能な」修飾を提供する簡潔な方法である。本発明の経過において、AP領域はまた化学的に容易に変換し、AP領域のみにおいてポリマーと共有結合を形成し、当該分野において(生)化学的に行うことができることがわかった(それに対し、FIX分子の他の部分は影響を受けない(又は選択的に保護される))。
「FIX」は、血液凝固第IX因子の典型的な特徴を有する第IX因子分子のいかなる形態であってもよい。FIXは、FIXの欠乏(例えば血友病B)に起因する患者の出血性疾患を治癒しうる血漿由来のFIX(pdFIX)及びあらゆる形態のrFIXを含みうる。FIXは、Glaドメイン、2つのEGFドメイン(EGF-1及びEGF-2)、AP領域及びセリンプロテアーゼドメインを含む。本発明のFIXは、ヒトpdFIX及びヒトrFIX、及び(アミノ酸配列及び翻訳後修飾の両方における)それらの全ての機能的バリエーションと同じアミノ酸配列を持っていてもよく、すなわち、FIXと同等又は改善されたインビボ活性を提供するバリエーションがある。動物におけるそれぞれのFIX関連出血性疾患の治療には、対応するFIX配列又は関連する動物種において十分な交差活性を示すFIX形態が適用される。さらに、本発明のFIXは、インビボにおけるタンパク質の適切な機能に必要な翻訳後修飾の全てを有する。適切な機能形態、例えば、148位における天然に起こるAla/Thr交換を記載した;本発明の共有結合しうる水溶性の親水性ポリマーの適切なFIX分子について記載した、例えば、White et al. (1997); Pipe (2004); WO2007/101681 A1; US5,639,857 A; Bebgie et al. (2005); Kaufman (1998); Hansson et al. (2005); Wojcik et al. (1997)等といった多くの文献が入手可能である。好ましくは、本発明のFIXは、遺伝子組換え技術により生産されたFIXである。用語「遺伝子組換え」は、FIXに関して用いられる場合には、FIXを異種の又は非天然の核酸又はタンパク質を宿主細胞に導入したもの、又は宿主細胞における天然の核酸又はタンパク質を変化させたものを示す。それゆえ、例えば、遺伝子組換え細胞は、天然(非組換え)型の細胞には見られない遺伝子を発現する、又は細胞のゲノムの天然の部位には存在しない野生型及び変異遺伝子を発現する、又は異常な発現、発現されている途中又は全く発現されない天然の遺伝子を発現する。用語「生物学的に生産された」FIXとは、それらの器官又は細胞から単離された後は、(それらの器官又は細胞においては行うことができない)さらなる化学修飾をされない器官又は細胞の全てのFIX形態を含む。
市販の遺伝子組換え第IX因子製品は、しばしば安定的にトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いて生産される。CHO細胞は、グリコシル化及び他の翻訳後修飾の余地がある。これらの細胞においては、動物又はヒト由来の原料を添加することなく、大規模懸濁培養を維持できる。これらの市販の製品(ベネフィックス(登録商標)という商品名で市販される)の1つを製造する場合、rFIXとエンドペプチダーゼPACE/フリンは同時発現され、複数回の濾過及びクロマトグラフにより高度に精製される。
用語「異種の」とは、核酸部分に関して用いられる場合には、性質が互いに同一の関係にはない2以上のサブ配列を含む核酸のことを示す。1つの例としては、この用語はゲノムにおける天然の配置でないことを言う。他の例としては、該核酸は遺伝子組換えにより生産され、2つ以上の関係のない遺伝子から新しい機能の核酸を作ること、例えば、あるソースからのプロモータ及び他のソースからのコード領域をいう。同様に、性質が互いに同一の関係にはない2以上のサブ配列を含む異種のタンパク質(例えば、融合タンパク質)、又は異種の核酸から得られたタンパク質を示す。
FIXのあらゆる生物活性誘導体は、本発明において修飾され得、それには質的に同一の機能及び/又は生物学的性質、例えば結合性及び/又は同一の基本構造、例えばペプチド骨格を持つFIXのあらゆる誘導体を含む。該ポリペプチドの生物活性を消失させるものではないFIXのポリペプチド配列のアミノ酸のマイナーな欠失、付加及び/又は置換は、また、生物活性誘導体として本出願に含まれ(すなわち、野生型(=100%)の10%未満、又はさらに5%未満に活性を減少させる)、特に改善された特異的活性(野生型の100%活性を上回る)のあるものが含まれる。本発明のFIXはあらゆる脊椎動物、例えば哺乳類から由来するものであってもよい。本発明の1つの具体的な例としては、FIXはヒトFIXである。本発明のFIXは、当該技術分野において知られたいかなる方法によって生産されてもよい。これは、遺伝子工学による遺伝子組換えDNAの生産の分野におけるあらゆる知られた方法を含み、例えば、RNAの逆転写及び/又はDNAの増幅を介して行われる。加えて、FIXをコードしている遺伝子組換えDNAは、例えばプラスミドもうまくトランスフェクトできたプラスミドを有する細胞を選択できる選択マーカーをコードするDNA配列を含みうる。本発明の例として、プラスミドが選択マーカー、例えば新しくG418に耐性を獲得した耐性遺伝子を送達することにより例えば抗生物質G418に耐性を有しうる。
rFIXの生産には、真核細胞への遺伝子組換えDNA技術の当該分野においてあらゆる知られた方法を含み、例えばエレクトロポレーション又はミクロインジェクションを介してDNAに組み込まれることを含みうる。例えば、ヒトFIX遺伝子組換え発現体は、例えば強いプロモータによる1つ以上の制御配列による制御のもと、適切なトランスフェクション方法で、ヒトFIXをコードするDNA配列を含む発現プラスミドを導入することにより、適切な宿主細胞株に導入し、安定的にゲノムに組み込まれた導入された配列を有する細胞に生成することにより行われる。カルシウム-リン酸共沈法は、本発明において用いられ得るトランスフェクション法の例である。
rFIXの生産は、該形質転換細胞の培養における当該分野において知られたあらゆる方法を含み得、例えば連続式又はバッチ式で、及びrFIXの発現は、例えば構成的に又は導入に際して行われる。例えば、宿主の器官に含有されるrFIXをコードする核酸は、誘導性、一過性、及び永久発現からなる群から選択される発現モードを介して発現される。例えば制御可能なプロモータ、エンハンサのような適切な制御系を含むrFIXをコードする遺伝子組換え核酸の発現のために、市販に入手可能なあらゆる発現系を用いることができる。
rFIXの生産は、タンパク質の精製において当該分野において知られたあらゆる方法を含み得、例えば培地から、又は形質転換細胞を収穫することにより行われる。例えば、rFIX-生産細胞は、トランスフェクション後に希釈すること、及び任意に選択的薬物を培地に加えることを介して、単細胞由来集団、すなわち細胞クローンを単離することにより同定できる。単離後、酵素結合免疫吸着法(ELISA)技術により、細胞培養の上清のrFIX成分を測定するため、同定された細胞クローンは、コンフルエントになるまで培養しうる。加えて、細胞によって分泌されたrFIXは、いかなる成長促進ウシ胎児血清又はその成分の非存在下でも、例えば細胞を成長させることにより同定されうる。ビタミンKは、rFIXタンパク質の機能を改善するために適切な濃度で添加される。上清は、例えばトランスフェクションから24時間後に回収されうる。同定後、高rFIX生産細胞クローン、例えばさらに増殖させ、及び/又は低温保存させてもよい。rFIXはビタミンK還元酵素複合体サブユニット1及び/又はフリンと同時発現させてもよい。
さらに、FIXの生産は当該分野において知られたあらゆる方法を含み得、FIXの精製には、例えば陰イオン交換クロマトグラフィ又はアフィニティクロマトグラフィを用いうる。1つの態様としては、rFIXは細胞培養上清から、半親和性(semi-affinity)カルシウム依存性陰イオン交換クロマトグラフィー、例えばエンドトキシンフリーの系において精製することもできる。精製したFIXは、遺伝子組換えタンパク質の分析の分野において知られた方法により、例えばELISA法に加え、免疫ブロッティングを含む電気泳動技術により活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を測定することによりタンパク質の完全性及び活性を評価することができる。
本発明において好ましい態様としては、FIXは遺伝子組換えヒトFIX(rhFIX)である。本発明のrFIXが生産される宿主細胞の型は、rFIXの適切な翻訳後修飾を行うことのできる任意の哺乳類の細胞であってもよい。例えば、SkHep-、CHO-、HEK293-及びBHK-細胞から選択される細胞株である。このように、本件の分野においては、多くのFIX発現系から入手可能である;しかし、FIXは好ましくはCHO-又はHEK293-由来の細胞において発現されることである。厳密なヒトシアル酸残基が好ましい場合、HEK293のようなヒト細胞株が好ましい;しかし、またCHO細胞由来のFIXも酵素的にα(2-6)シアル化体を生産しうる(Fischer et al., Thromb.Res.89 (1998), 147-150)。
Tyr-155硫酸化及び/又はSer-158リン酸化した改良体を所望する場合には、そのような性質を持ったFIX産物を水溶性ポリマーとのカップリングに用いることである。FIXのTyr-155が硫酸化及び/又はFIXのSer-158がリン酸化されているそのようなFIXは、例えば国際公開第2007/10168A1号パンフレットに記載されている。
水溶性の親水性ポリマーは、水溶性で親水性であれば任意のポリマーであり得、すなわち、水素結合を介して一時的に結合できる分子である。さらにFIXに結合するポリマーとして必要なことは、ポリマーが薬学的に許容されうること、すなわちヒトへの投与が非毒性であることはもちろんであり、副作用又は患者の全体的な状態から見て耐えうる副作用であることである(すなわち、副作用が、投与薬物の有利な効果に比べて耐えうるかである)。薬学的許容性は、FIXに対する共有結合体、及びFIXからFIXaへの分子の活性化過程においてFIX複合体からの分解又はAP領域が切り出された後の遊離体又は解離体で存在することである。最終的には、FIXに結合したポリマーは、有害な免疫反応を示さないことである。従って、(ヒトの)体に適合する(及び有害な免疫反応を示さない)天然のポリマー、又はさらにはヒトのポリマーに基づくことが好ましい。
FIXのAP領域に共有結合する好ましいポリマーは、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン又はポリシアル酸(PSA)である。
HESは非イオン性デンプン誘導体である。しばしば血漿代替品として用いられ、広く受け入れられている。それゆえ、FIXと関連して用いることは重要ではない。これはモチトウモロコシ澱粉又はジャガイモ澱粉から調製される。この平均分子量は、約130kDaである。HESは、ほとんどがアミロペクチンを含有し、それゆえヒトの血中α-アミラーゼによって代謝される。澱粉はグルコースユニットにヒドロキシエチル基を導入して修飾することにより、そのような代謝を阻害又は遅らせる。ヒトに投与される場合、通常、HESの半減期が1.4時間となるような、モル置換度(MS)が約0.4であるものが用いられる。しかし、HESは異なる物理化学的性質を有する様々な形態で提供されうる。
例えば、米国登録特許第5,502,043A号公報には、分子量MWが110,000ないし150,000、モル置換度MS(モル置換度)が0.38ないし0.5、好ましくは0.38ないし0.45、置換度DS(置換度)が0.32ないし0.45、好ましくは0.32ないし0.42、及びC2/C6比が8ないし20であるHESを開示し、これらは血漿粘度及び微小循環を有意に改善する。これら又は他の性質を持つHESの製造方法は、例えば欧州特許出願公開第0 402 724A号明細書、英国特許出願公開第1,395,777号公報、ドイツ特許出願公開第A28 14 032号公報、ドイツ特許出願公開第A33 13 600号公報又は国際公開第2005/082942A号パンフレットに開示されている。
それゆえHESは容易にFIXのAP領域に糖質部分として結合でき、それによりHESにより置換されていないFIXに比べ、半減期の増加したFIX修飾体が得られる。HESにおいて半減期の伸張は、上述の通り、血漿体積を増加させることとしてすでに知られている。
タンパク質のPEG化は、タンパク質化学において確立された手法であり、近年の薬物送達法において重要な役割を果たす。多くのタンパク質又はペプチドは、近年、PEG化により治療薬に改良されている。改良されたPEG化タンパク医薬、例えばマクゲン、ニューラスタ、ペガシス(Pegasys)又はペグイントロンはうまく近年市場に導入された。PEG化法は、当該分野において容易に行われ、例えばタンパク質のPEG化及びその詳細な説明は、例えばDelgado et al. (Crit.Rev.Ther.Drug Carr.Syst. 9 (1992), 249-304); Fernandes et al. (Biochim.Biophys.Acta 1341 (1997), 26-34); Harris et al. (Clin. Pharmacokinet. 40 (7) (2001), 539-551); Bhadra et al. (Pharmazie 57(1) (2002), 5-29); Roberts et al. (Adv.Drug Del.Rev. 54 (2002), 459-476); DDT 10 (21) (2005) 1451-1458)等に記載されている。
PEGをタンパク質に結合させるには、片方又は両方の末端に官能基を有するPEGの誘導体を調製することによりPEGを活性化させる必要がある。官能基は、PEGに結合させる分子における、可能な反応性官能基の型に基づき選択される。FIXのAP領域については、PEG化は好ましくはSer-又はThr-残基において行われる。ビシナルヒドロキシ基を過酸によって酸化させることが可能であり、2つの反応性ホルミル基を形成する。この場合、酸化させるべきでない全ての他の炭化水素部分は適切に保護される。
第1世代アミン反応性PEG誘導体は、例えばジクロロトリアジン化PEG、トシル化PEG、炭酸スクシンイミジル化PEG、炭酸ベンゾトリアゾール化PEG、炭酸p-ニトロフェニル化PEG、炭酸トリクロロフェニル化PEG、カルボニルイミダゾール化PEG及びコハク酸スクシンイミド化PEGがある。第2世代PEG誘導体は、例えばプロピオンアルデヒド化mPEG、プロピオンアルデヒド化PEG又はアセトアルデヒド化PEGのアセタール誘導体、PEG-カルボン酸の活性化エステル(例えばPEG-カルボン酸をN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS又はHOSu)及びカルボジイミドと反応させることにより得られる)、プロピオン酸及びブタン酸に基づくPEG-NHSエステル及びプロピオン酸及びブタン酸に基づくα-分岐-PEG-NHSエステルがある。本発明における特に好ましいPEG化の形態は、特に加水分解のような解離可能なPEG基を提供することであり、chapter 3.2.4 of Roberts et al. (2002), Tsubery et al. (use of maleiimide-9-OH-methyl-7-sulfofluorene-N-OH-succinimide-OH-succinimide ester(MAL-FMS-OSU), a bifunctional agent which enables PEG chains to be linked to the AP region of FIX through a slowly hydrolysable chemical bond; J.Biol.Chem.279 (37) (2004), 38118-38124; 国際公開第2004/089280A号パンフレット)に記載されているPEG化である。
FIXのAP領域のPEG化は、好ましくはFIXのSer-158、Thr-159、Thr-163、Thr-169、Ser-171、Thr-172、Ser-174又はThr-179、特にSer-158、Thr-163、Ser-171又はSer-174を介して行われることである。
デキストランは、様々な長さのグルコース分子が鎖状に結合した、分岐ポリ多糖であり、抗血栓(抗血小板)治療、及び血漿粘度を低下させるために用いられる複合体である。グルコース分子間のα(1,6)グリコシド結合の直鎖であるが、分岐はα(1,3)結合(及び、ある場合にはα(1,2)及びα(1,4)結合である)において分岐している。デキストランは、特定の乳酸菌、例えばロイコノストック・メセンテロイデス及びミュータンス菌により得られるショ糖から合成される。
PSAは、陰性荷電の親水性ポリマーであるα-2,8-結合ポリシアル酸である。これはヒト組織における、非免疫原性生物分解性の天然の構成物である(細胞表面においては、ヒト乳汁; 免疫系に侵入するバクテリアによっても発現される)。PSAは、例えばpH=5.5、37℃の酸性条件下(インビボ:リポソーム)、加水分解され、シアル酸となる。PSAは、例えば、還元的アミノ化ステップを経るアルデヒドカップリングによってFIXのAP領域において結合しうる。まず、PSAにおいてビシナルOH基が酸化され(例えば、NaIO4又はその他の適切な酸化剤によって)、続いて酸化されたPSAは、シッフ塩基を介してFIXのAP領域と結合され(例えばNaCNBH3により、例えば処置した後)、二級アミン結合により安定的にFIXと結合する。
本発明のポリマーをFIXに導入する方法は多くある。まず、AP領域はFIXにおいて露出している領域であり、それゆえ容易に近づくことができる。他に近づきやすい部分が適切に保護されれば(例えば、保護基による又は分子(例えば、生理学的結合パートナー又は特異的抗体)又は界面活性剤、脂質又は膜構造により結合(linking)又は結合(binding)させることによる)、AP領域は分子の他の部分に影響を与えることなくポリマーに共有結合できる。
FIXには、例えばGlaドメイン、EGFドメイン及びAP領域のような、FIXの様々な領域と特異的結合をする、様々なモノクローナル抗体(mAbs)が存在する。これらの抗体は、FIXの免疫精製にも用いられる。それゆえこれらの抗体への結合は可逆的であり、FIXの活性に重要な影響を与えない。露出した領域とそのような抗体(又は天然の結合パートナー)との結合は、これらの領域における本発明の結合化学を保護する。あるいは、FIXは、mAbがAP領域と結合する部分に結合し得、それにより、可能性のある反応性官能基は保護され、-mAbから解離した後には-(無保護)AP領域ではポリマーの結合化学が維持される。結合(coupling)は均一系で行われるのに対し、FIXは固体表面のmAb等を介して結合する。これは、FIXにおいて化学反応を行った後の精製において好ましい。この場合、ポリマーが結合したFIXを洗浄でき、免疫精製品質で固相表面から選択的に解離できる。
また、選択的酵素活性又は結合化学は、特異的にAP領域を配向するために用いることができる。そのような選択的結合の好ましい標的は、FIXにおいては唯一のN結合グリコシル残基であるN結合グリコシル基である。これらの標的は、選択的Nグリコシル化において、酵素的にも化学的にも特異的に配向される。それゆえ、本発明の好ましい態様は、水溶性の親水性ポリマーはFIXのAsn-157及び/又はAsn-167を介して結合している。これらのN-グリコシル化部位(糖構造における)へのHES、PSA、PEG及びデキストランの結合は、それゆえ特に好ましく、特にHES及びPSAが好ましい。
他の態様としては、本発明のFIXは、AP領域におけるTyr-及びSer-残基においてポリマーと共有結合していてもよい。これは、他の可能性のある反応基(特にFIXにおける他のTyr-及びSer-残基)を適切に結合反応(上述参照)から保護した後になされうる。適切な保護基は、不可逆的にFIX活性に影響しない、当該分野において知られた任意の保護基でありうる(特にTyr-及びSer-残基)。したがって、他の好ましい態様としては、FIXのSer-158、Thr-159、Thr-163、Thr-169、Ser-171、Thr-172、Ser-174又はThr-179、特にSer-158、Thr-163、Ser-171又はSer-174を介して水溶性の親水性ポリマーが結合していることである。この態様はPEG化反応に好ましい。
好ましい態様は、水溶性の親水性ポリマーは解離可能なリンカーを介してFIXに結合しており、特に加水分解可能なリンカーである。そのような加水分解可能なリンカーは、この分野において入手可能であり、例えばRoberts et al. (2002), Tsubery et al. (2004); 国際公開第2004/089280A号パンフレット(上述参照)に記載されている。解離可能なリンカーを提供することにより、ポリマーはFIXから、例えば加水分解又は他の解離機構により、FIXから解離される(例えば、特異的酵素反応)。それは、非解離可能なポリマーでは、活性の減少につながり、さらにはAP領域又は少なくともFIX前駆体を大きくし、原則として活性化受ける機会を減少させるからである。
本発明のFIXは、それを必要とする患者にFIX活性体を投与するために主として用いられ、特に、主としてヒトの患者に用いられる。それゆえ本発明の重要な態様は、本発明のFIX及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。
医薬組成物は、必要とする患者に投与され、通常、適用される患者への投与ユニット製剤を含む。それゆえ本発明の薬学的に適用されうる組成物は、治療されるべき疾患を補う又は少なくとも有意に改善する治療量又は治療上の有効量を含む(contains)又は(2つ以上の投与用量が含まれる場合)含む(comprises)。「治療量」又は「治療上の有効量」又は「有効量」のFIX、又はFIXを含む組成物とは、又はFIXの機能的欠陥又はFIXの欠乏に関連する出血性疾患の症状を予防する、改善する、緩和する、又は減少させる、FIXの用量又はFIXを含む組成物である。本明細書に記載の組成物のFIXの投与の頻度、ならびに投与量は、個体によって異なり、標準的な技術を用いて容易に設定することができるであろう。しばしば、各週1、2、3、4、又は5回、投与される。ある場合には、その用量が毎日投与される。ある場合には、1、2、3、4、又はそれ以上が毎日投与される。また、投与は必要に応じて行われうる(例えば、対象の出血によるトラウマ、又は外科手術又は歯科治療のような対象に出血が予想される、予定された治療)。治療量は、個体に組成物が投与された場合に、上述の投与を行うと、例えば第IX因子活性のようなインビボ回復を促進する量である(例えば、Chen et al. Adv Ther. 2003 Sep-Oct;20(5):231-6に説明されている、APTTアッセイにより測定される)。また組成物は、FIXの投与を受ける患者において、そのような治療を受けない患者に比べて、改善された臨床結果(例えば凝固時間の改善)を導く反応を生じうるものである。そのような反応は、治療前後において患者から得られたサンプルを用いて一般に評価しうる。適切な用量は、患者の体重、治療又は予防する出血のタイプ、及び望ましい血漿中FIX濃度により様々であるが、典型的には約10-150、20-100、20-5-、又は40-50国際単位(IU)/体重kgである。FIX活性/体重kgにおけるIUは、典型的には新鮮な血漿1mL中のFIX活性に等しく、FIX血漿中濃度を1%増加させる単位である。従って本発明の組成物は、少なくとも100国際単位(IU)/mg(FIXタンパク質)の特異的活性を有するFIXを含み、特に少なくとも200IU/mg(FIXタンパク質)を含む。
本発明の医薬組成物は、通常の熟練を有する者が知っている適切な担体を含んでいてもよく、例えば、水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス、リン酸緩衝液、固体担体、例えば、マンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、ショ糖、及び炭酸マグネシウムがある。適切な緩衝液には、例えば、中性の緩衝生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水がある。加えて、適切な賦形剤には、例えば糖質(例えば、グルコース、マンノース、ショ糖又はデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド又はアミノ酸、例えば、ヒスチジン又はグリシン、抗酸化剤、静菌剤、キレート化剤、例えばEDTA又はグルタチオン、海面活性剤(例えば、ソルビタンポリエトキシラートの脂肪酸エステル、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート60、又はポリソルベート80)、製剤を意図するレシピエントの血液に等張、低張又は若干高張にする溶質、懸濁化剤、増粘剤及び/又は保存剤がある。また、本発明の組成物は、凍結乾燥品として製剤されていてもよい。本明細書中に記載された組成物は、徐放性製剤の一部として投与されてもよい(すなわち、例えば、カプセルまたはスポンジのような、投与された化合物の放出を遅らせる効果を有する)。そのような製剤は、一般によく知られた方法で調製されうる(例えば、Coombes et al. (1996) Vaccine 14:1429-1438参照)。徐放性製剤は、担体マトリクス中に分散させた、及び/又は放出制御膜に覆われた貯留体ポリペプチド、ポリヌクレオチド又は抗体を含んでいてもよい。そのような製剤に用いられる担体は、生体適合性があり、また生物分解性である;好ましくは、製剤は、比較的安定したレベルの活性成分の放出を提供するものである。そのような担体は、ポリ(ラクタイドCOグリコライド)の微小粒子だけでなく、ポリアクリル酸、天然ゴム、デンプン、セルロース及びデキストランも含む。他の遅延放出担体としては、スーパーモレキュラーバイオベクター(supramolecular biovector)があり、それは非液性の親水性の核(例えば、架橋性多糖又はオリゴ糖)及び任意に両親媒性化合物を含む外部層を含む(例えば、国際公開第94/20078号パンフレット;国際公開第94/23701号パンフレット;及び国際公開第96/06638号パンフレット参照)。徐放性製剤に含まれる活性化合物の量は、埋め込み部位、放出速度、及び想定する持続時間、及び治療又は予防する状態の性質による。上述したとおり、本発明の医薬組成物は、単位用量又は複数回用量容器、例えば、密封アンプル又はバイアルに入れてもよい。そのような容器は、好ましくは、使用まで製剤の無菌性を保つため密封される。一般には、製剤は、油性又は水性担体中で、懸濁液、溶液又は乳液として保存されうる。あるいは、医薬組成物は凍結乾燥された状態で貯蔵され得て、これは使用直前に無菌の液体担体の添加のみを必要とする。
(ポリマーを含まない)FIX製剤に対応する、又は(それらがすでに医薬として投与されているのであれば)ポリマー自体を同様の医薬製剤として用いることは、有利である。例えば、ベネフィックス(登録商標)は、200I.U./mg(タンパク質)以上の特異的活性を有する商品である;これには、保存剤又は動物又はヒトの成分は添加されていない。ベネフィックス(登録商標)は、静脈内注射(IV)のために、無菌の、非発熱性の凍結乾燥粉末として製剤されている。国際単位(I.U.)で示された表記の用量の第IX因子活性を有する単回使用バイアルが入手可能である。それぞれのバイアルには、表記上250、500、又は1000I.U.の血液凝固第IX因子(遺伝子組換え)が含まれている。凍結乾燥製剤を再構成した後、レシピエントにおける濃度は500及び1000I.U.であり、用量強度は、10mM L-ヒスチジン、1% ショ糖、260mM グリシン、0.005% ポリソルベート80である。250I.U.の濃度において再構成した場合の用量強度は、他の2用量の用量強度の半分であった。500及び1000I.U.の用量における用量強度は再構成後、等張であり、250I.U.の用量の用量強度は、再構成後、他の2用量の半分の浸透力であった。
他の例としては、モノニン(登録商標)が高純度の第IX因子製剤である。再構成した濃縮液は、1mLにつき約100IUの第IX因子を含み、検出可能なレベルの第II、VII及びX因子は存在しなかった(標準的血液凝固アッセイを用い、<0.0025IU/第IX因子ユニットであった)。また、この製剤は、ヒスチジン(約10mM)、塩化ナトリウム(約0.066M)及びマンニトール(約3%)を含む。塩酸及び/又は水酸化ナトリウムは、pHを調節するために用いうる。また、モノニン(登録商標)は、その精製に用いられたネズミモノクローナル抗体を微量含む(=50ng マウスタンパク質/100第IX因子活性ユニット)。
FIXにとっては、医薬製剤の製剤化剤としてアミノ酸、糖質及び界面活性剤は特に好ましい。それゆえ、本発明の組成物はアミノ酸、好ましくはL-ヒスチジン又はグリシン、糖質、好ましくはショ糖、界面活性剤、好ましくはポリソルベート、特にポリソルベート80、又は薬学的に許容される担体としてのそれらの混合物を含む。
また、本発明の組成物を凍結乾燥品として提供することは、FIX溶液に比べてFIX凍結乾燥品の安定性が有意に増加するため、有利である。凍結乾燥品として提供される場合、本発明の医薬組成物は、凍結乾燥FIXを投与可能な医薬組成物を再構成するのに必要な成分を含む担体を含有する、適切な再構成溶液とともに提供されることが好ましい。
他の態様としては、本発明はまた出血性疾患を治療する方法に関し、ここで該方法は本発明の医薬組成物の有効量を、必要としている患者に投与するステップを含む。治療に好ましい出血性疾患は、血友病Bである。語句「出血性疾患」は、本発明の文脈においては、当然「FIXの機能的欠陥又はFIXの欠乏に関連する出血性疾患」を含むと理解され、ここで、出血性疾患の要因はFIXの機能の欠如又は減弱によるものであり、例えば、FIXのインビボ半減期の短縮、FIXの結合性の変化、FIXの遺伝的欠陥、及びFIXの血漿中濃度の低下を含む。FIXの遺伝的欠陥には、例えばFIXをコードしているヌクレオチド配列の中の塩基の欠失、付加及び/又は置換が含まれ、ヌクレオチド配列の欠失、存在、及び/又は置換が、それぞれFIXの活性に否定的な影響を与えるものである。そのような出血性疾患症状には、例えば、重大な鼻血、口腔粘膜内の出血、関節血症、血腫、持続性血尿、胃腸内出血、後腹膜出血、舌/咽後出血、脳内出血、心的外傷関連出血がある。
ポリマー-結合型FIXを含む本発明の組成物は、あらゆる非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、又は腹腔内)又は非経口でない経路(例えば経口)で投与される。
本発明は、さらに本発明による出血性疾患の治療のための医薬の製造における、AP領域において水溶性の親水性ポリマーが共有結合しているFIXの使用に関連する。本明細書中、FIXは機能的なFIXの欠陥又はFIXの欠乏による、例えばB型肝炎に関連する出血性疾患の症状を治療、予防又は軽減するために用いられる。本明細書中「対象」又は「患者」は、あらゆる温血動物、例えば霊長類であるが、しかし好ましくは、本発明は人間の患者に用いられることである。
他の態様としては、本発明は、AP領域において共有結合した水溶性の親水性ポリマーを含む、FIX活性ペプチド領域(AP領域)を有する血液凝固第IX因子(FIX)の製造方法に関連し、以下のステップを含む:
-FIX活性ペプチド領域(AP領域)を含むFIX分子を提供する
-水溶性の親水性ポリマーを混合して該AP領域において共有結合を形成する、及び
-該AP領域において水溶性の親水性ポリマーが共有結合した結合したFIXを単離する
過程を含む。
本方法にはrFIXを用いることが好ましく、特にrhFIXが好ましい;しかしまた、特に免疫精製したヒトpdFIXも本発明の方法の出発物質として用いられる場合には、適用されうる。好ましいrhFIXの形態は、CHO-又はHEK293-由来の細胞において発現されたrhFIX製剤である。
好ましい方法としては、適用されるFIXは、pdFIXとできるだけ似たものとなることである;したがって、rFIXがrFIX製剤の場合には、FIXのTyr-155が硫酸化及び/又はFIXのSer-158がリン酸化されていることが好ましい。
本発明の好ましい態様としては、水溶性の親水性ポリマーは、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン又はポリシアル酸(PSA)である。
本発明の好ましい態様は、水溶性の親水性ポリマーがFIXのAsn-157及び/又はAsn-167を介して結合していることであり、特に水溶性の親水性ポリマーPEG、HES、デキストラン又はPSA、特にHES又はPSAである。
異なる好ましい態様としては、水溶性の親水性ポリマーはFIXにSer-158、Thr-159、Thr-163、Thr-169、Ser-171、Thr-172、Ser-174 or Thr-179、特にFIXのSer-158、Thr-163、Ser-171又はSer-174、特に水溶性の親水性ポリマーがPEGであることが望ましい。
解離可能なリンカーを用いることが好ましく、水溶性の親水性ポリマーをFIXと結合するのに、加水分解性のリンカーが好ましい。
本発明は、これらの医薬において水溶性の親水性ポリマーと結合した市販のFIX医薬を改善するために用いることができる。好ましくは、例えば、ベネフィックス(登録商標)又はモノニン(登録商標)のようなrFIX又は免疫精製されたFIX製剤が、この目的に用いられる。
本発明は以下の実施例においてさらに説明されるが、いかなる意味においてもそれらに限定されるものでない。
糖質残基の修飾によるヒト遺伝子組換え第IX因子-PEG複合体の合成
活性化ペプチド中の糖質残基を介したrFIX複合体の合成については、1mg/ml濃度のrFIX溶液を、Van Lenten L and Ashwell G (J.Biol.Chem. 246 (1971), 1889-1894)により記載された条件により調製した。糖質残基の酸化には、pH5.6、20mM酢酸ナトリウム溶液緩衝液に、最終濃度0.01MとなるようにNaIO4を加えた。酸化は、20分間4℃で、続いて重亜硫酸ナトリウム(最終濃度5mM)を、反応を停止させるために加えた。続いて、mPEG-ヒドラジド(鎖の長さ:3kD)を加え(最終濃度10mM)、rFIXのPEG化は1時間室温で行った。続いて、PEG化rFIXの精製を、サイズ排除クロマトグラフィーにより行った。反応混合物は、セファクリルS-300HR(アマシャム社)を充填したクロマトグラフィー用カラムにアプライし(サイズ:26mm×840mm)、5%トレハロース含有20mM HEPES-緩衝液、150mM NaCl、pH7.4を用いてPEG化されたrFIXを反応剤から解離した。修飾されたrFIXは、rFIX-抗原レベル及び280nmにおけるODの測定により示されるとおり、空隙に溶出される。rFIX含有分画は、EMD TMAE 650 M(メルク社)を充填した陰イオン交換カラム(サイズ:10mm×108mm)に直接アプライされ、さらに精製した。続いて、PEG化rFIXを、5%トレハロース及び1000mM NaCl含有20mM HEPES緩衝液で溶出した。実施例1におけるrFIXの化学修飾は、シアル酸に比較的選択的に起こる条件下で行われる、糖質のビシナルヒドロキシ基の過ヨウ素酸酸化に関わる。Ser-63、Ser-61、Thr-159、Thr-169、Thr-172位におけるO-結合グリカンは末端シアル酸が欠落しているのに対し、この試験に用いたrFIXタンパク質は、Asn-157及びAsn-167は完全にシアル化しているため、PEGによる修飾はN-結合グリカンに選択的に起こり、それは活性化ペプチドにのみ存在するものである。これは糖質分析により確認された。
デキストランとrFIXのカップリング
6mg/mlのデキストラン(分子量40kD)溶液をpH6.0、20mM酢酸ナトリウム緩衝液中で調製し、NaIO4(最終濃度10mM)を加えて遊離のアルデヒド基を調製した。酸化反応は遮光下、4℃において1時間行い、続いて重亜硫酸ナトリウム(最終濃度5mM)を反応の停止のために加えた。活性化デキストランを0.15M NaClを含有 0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(PBS-緩衝液)、pH7.2で透析した。続いて、この活性化デキストラン溶液2.4mLを遺伝子組換えrFIX(PBS緩衝液中、濃度:0.6mg/ml)10mLに加えた。この混合物にシアノ水素化ホウ素ナトリウム溶液(PBS緩衝液中、64mg/ml)5mLを加え、遮光下、室温で終夜反応させた。続いてpH7.2、1.0M TRIS-HCl溶液3mLを加えて残りのアルデヒド基を保護し、室温で1時間反応させ、5 %ショ糖を含有するpH7.4、20mM HEPES-緩衝液で透析した。続いて、デキストラン結合rFIX誘導体をさらに、セファクリルS-300HR(緩衝液:20mM HEPES、5%ショ糖、pH7.4)を充填した、サイズ排除クロマトグラフィーカラム(サイズ:50mm×860mm)にアプライし、精製した。rFIX誘導体は、rFIX-抗原レベル及び280nmにおけるODの測定により示された分画に溶出している。これらの分画を集め、10kD再生セルロース膜(ミリポア社)を用いて限外濾過により濃縮した。
第IX因子活性の測定
第IX因子活性は、FIX欠乏血漿を用いた従来の凝固アッセイ又は発色基質を用いたアミド分解アッセイにより測定した。後者の方法は、FIXaアミド分解活性の測定によるが、例えば、Lenting et al.(J.Biol.Chem. 270 (1995), 14884-14890)により報告されている。
発色基質の活性のアッセイの原理は以下の通りである:トロンビン、リン脂質及びカルシウムの存在下、まず一定濃度で過剰にアッセイ系に供給された第XIa因子が、テストサンプル中に存在したFIXを活性化してFIXaとし(これがトロンビン活性化第VIII:C因子と酵素複合体を形成するが、これも一定濃度で過剰にアッセイ系に供給される)、リン脂質(PLPs)及び(アッセイ系に存在する)カルシウムが第X因子を活性化し、第Xa因子へと活性化する。この活性は直接第IX因子の量に関連し、これが制御因子となる。生成した第Xa因子は、続いて第Xa因子は発色基質(SXa-11)により特異的活性により正確に測定される。第Xa因子は基質及びpNAを切断する。pNAの量は、第IXa因子活性の割合に直接応じて生成している。最後に、アッセイサンプルにおける第IX因子の量、及び405nmでの比色によって決定されたpNAの量の測定による、第Xa因子活性の間には直接的な関係がある。
ハイフンバイオメド(Hyphen BioMed社)により記載された方法に基づく画像
Figure 2011507919

試験の1つの態様としては、以下の通りである:150nM FIXaを、濃度0.5ないし5mMの発色基質CH3SO2-(D)-CHG-GLY-ARG-pNAを含む33%(体積/体積)エチレングリコール、100mM NaCl、10mM CaCl2、0.2%(重量/体積)HSA及び50mM Tris(ph7.4)中、96穴ウエルプレートにおいて培養した。37℃において基質の加水分解の初期速度を、経時的に405nmでの吸収によりモニターした。試験結果は、ミカエリス-メンテン式に当てはめ、Km及びKcatを得た。
FIXの凝固アッセイは、現在の版の欧州薬局方及びDIN58907-1(Bestimmung der Faktor IX Gerinnungsaktivitaet (Determination of FIX Clotting Activity)-(FIXC)Teil 1: Referenzmessverfahren fuer die Einstufenmethode (Part 1: Reference value method for one-step procedure), 2000)に記載されている、ヒト血液凝固第IX因子のアッセイに従い行われた。試験原理は、部分トロンボプラスチン時間の測定の修正された方法に基づいて行われた。FIX特異性は、ヒト(FIX)欠乏血漿サンプルを用いることで達成された。FIX活性の対数と凝固時間の関係は、直線的である。評価は、平行線検定又は適切なFIX対照の調製により得られた対照曲線を用いて行われた。
血友病B動物における修飾FIXの薬物動態
ヒトFIX及びFIX変異体の薬物動態及び薬力学は、好ましくは、血友病Bを生じる血液凝固FIX遺伝子の標的不活性化をした動物において行われた。そのようなモデルは、例えばKundu RK at al.(Blood. 1998;92:168-74)が発展させ、それはタンパク質の酵素活性ドメインをコードしている遺伝子断片を入れ替えることにより行われた。トランスフェクトされた胚幹細胞クローンから雄性キメラマウスの中から、FIX欠乏マウスのコロニーが発見された。これらのマウスはFIXレベルが通常のマウスの約1-2%である。またこのFIX欠乏は出血性素因となり、尾の切断による致命的な出血を招いた。
第IX因子欠乏マウスのうち10動物の群に、非修飾FIXに対して1、10、30、100及び200単位FIX/体重kgと等価となるような量の修飾FIXを処置した。対照として、追加的に非修飾FIX(例えば、ヒト遺伝子組換えFIX ベネフィックス(登録商標))又は10mL/体重kgの緩衝液を処置した。試験物質は、静脈内に投与し、各処置群の小集団のマウスは、試験物質の投与から5分、1時間、3時間、6時間、15時間、24時間、48時間及び72時間に心臓穿刺により失血させた。心臓穿刺により得られた血液は、実施例3に記載されたFIX活性の測定に用い、FIX排泄曲線を作成して薬物動態パラメータを算出した。糖質残基の修飾によりPEGを結合させたヒト修飾FIXは、血友病B遺伝子ノックアウトマウスの血中におけるFIX活性を長くした。典型的な薬物動態の改善は、薬物血中濃度−時間曲線下面積の増加又は終末半減期の因子が1.2と2.5の間にあることによって確認された。
血友病B動物における修飾FIXの薬物速度論
実施例4に記載されているのと同じ動物を用い、FIX及び修飾FIXの止血薬としての可能性を試験するために尾端放血試験を行った。薬物動態試験に用いたのと同じ用量を投与した後、尾2mmを切断した。処置は尾切断の5分前に行い、試験物質を静脈内に投与した。放血は45分行い、出血の合計量をTurecek et al. (Thromb Haemost. 77(1997), 591-599)により記載された方法で測定した。出血強度の測定に加えて、失血量及び生存率も異なる処置群において測定した。緩衝液で処置したFIX欠乏動物における典型的な失血量は、200から800μlであり、メジアンが約500μlだったのに対し、ヒトFIXで処置した動物は約200μlの失血量であった。同様の失血量の減少が、修飾FIXで処置された動物においても見られた。遺伝子組換えヒトFIXを処置された動物の24時間後における生存率は、緩衝液を処置された群の2倍であった。修飾FIXを投与されたFIXは、20ないし50%のさらなる生存率を示した。

Claims (26)

  1. FIX活性ペプチド領域(AP領域)を有する血液凝固第IX因子(FIX)であり、該AP領域は、共有結合した水溶性の親水性ポリマーを含み、該ポリマーが生物学的に生産されたFIXには存在しないものである第IX因子。
  2. 該FIXが、遺伝子組換えヒトFIX(rhFIX)である請求項1に記載のFIX。
  3. 該rhFIXが、CHO-又はHEK293-由来の細胞に発現されている請求項2に記載のFIX。
  4. FIXのTyr-155が硫酸化及び/又はFIXのSer-158がリン酸化されている請求項1ないし3のいずれかに記載のFIX。
  5. 該水溶性の親水性ポリマーがヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン又はポリシアル酸(PSA)である請求項1ないし4のいずれかに記載のFIX。
  6. 該水溶性の親水性ポリマーがFIXのAsn-157及び/又はAsn-167を介してFIXに結合している請求項1ないし5のいずれかに記載のFIX。
  7. 該水溶性の親水性ポリマーがHES又はPSAである請求項6に記載のFIX。
  8. 該水溶性の親水性ポリマーが、FIXのSer-158、Thr-159、Thr-163、Thr-169、Ser-171、Thr-172、Ser-174又はThr-179を介して、特にSer-158、Thr-163、Ser-171又はSer-174を介してFIXに結合している請求項1ないし7のいずれかに記載のFIX。
  9. 該水溶性の親水性ポリマーがPEGである請求項8に記載のFIX。
  10. 該水溶性の親水性ポリマーが解離可能なリンカー、特に加水分解性のリンカーを介してFIXに結合している請求項1ないし9のいずれかに記載のFIX。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載のFIX及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
  12. FIXが、少なくとも100国際単位(IU)/mg(FIXタンパク質)の特異的活性を有する、特に少なくとも200IU/mg(FIXタンパク質)を有する、請求項11に記載の組成物。
  13. 該薬学的に許容される担体が、アミノ酸、好ましくはL-ヒスチジン又はグリシン、糖質、好ましくはショ糖、界面活性剤、好ましくはポリソルベート、特にポリソルベート80、又はそれらの混合物である請求項11又は12に記載の組成物。
  14. 組成物が、凍結乾燥品である請求項11ないし13のいずれかに記載の組成物。
  15. 方法として、それを必要とする患者に対し、医薬組成物の有効量を投与するステップを含む、請求項11ないし14のいずれかに記載の出血性疾患の治療方法。
  16. 該出血性疾患が、血友病Bである請求項15に記載の方法。
  17. AP領域において共有結合した水溶性の親水性ポリマーを含む、FIX活性ペプチド領域(AP領域)を有する血液凝固第IX因子(FIX)の製造方法であり、以下のステップ:
    -FIX活性ペプチド領域(AP領域)を含むFIX分子を提供する、
    -水溶性の親水性ポリマーを混合して、該AP領域において共有結合する、及び
    -該AP領域において共有結合した水溶性の親水性ポリマーを有するFIXを単離する、
    ステップを含む請求項1ないし10のいずれかに記載の製造方法。
  18. 該FIXが、遺伝子組換えヒトFIX(rhFIX)である請求項17に記載の方法。
  19. 該rhFIXが、CHO-又はHEK293-由来の細胞に発現される請求項18に記載の方法。
  20. FIXのTyr-155が硫酸化及び/又はFIXのSer-158がリン酸化されている請求項17ないし19のいずれかに記載の方法。
  21. 該水溶性の親水性ポリマーが、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン又はポリシアル酸(PSA)である請求項17ないし20のいずれかに記載の方法。
  22. 該水溶性の親水性ポリマーが、FIXのAsn-157及び/又はAsn-167を介してFIXと結合している請求項17ないし21のいずれかに記載の方法。
  23. 該水溶性の親水性ポリマーが、HES又はPSAである請求項22に記載の方法。
  24. 該水溶性の親水性ポリマーが、FIXのSer-158、Thr-159、Thr-163、Thr-169、Ser-171、Thr-172、Ser-174又はThr-179、特にSer-158、Thr-163、Ser-171又はSer-174を介してFIXと結合している請求項17ないし23のいずれかに記載の方法。
  25. 該水溶性の親水性ポリマーが、PEGである請求項24に記載の方法。
  26. 該水溶性の親水性ポリマーが、FIXと、解離可能なリンカー、特に加水分解性リンカーを介して結合する請求項17ないし25のいずれかに記載の方法。
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