JP2011501088A - ポリエチレン繊維を含有するヘルメット - Google Patents

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Abstract

一方向性超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)繊維の単層を含有するシェル(2)を有し、その縁部でシェルが補強形材(3)に接合される防弾ヘルメット(1)。
【選択図】 図1

Description

発明の詳細な説明
本発明は、一方向性超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)繊維の単層を含有するシェルを有する防弾ヘルメットに関する。
防弾ヘルメット(特記されない限り、以下、単にヘルメットと記載する)は、米国特許第4,613,535号明細書から既知である。米国特許第4,613,535号明細書には、一方向性UHMwPE繊維とバインダーとの単層を含有する成形部品が記載される。成形部品の例として、ヘルメットなどの防弾物品を含む。成形部品は、剛性が増加した部品が生じるように、部品の主要面上に少なくとも1層の追加の剛性の層を備える。
開発中のヘルメットの主な課題の1つは、重量減少を得ることである。既知のスチールヘルメットを考慮すれば、複合材料ヘルメットの導入は、重量減少における重要な前進であった。使用されるデザインと材料の改善によって、さらなる重量減少がもたらされた。しかしながら、ヘルメットの防弾、耐用年数および損傷耐性を犠牲にすることなく、さらなる重量減少が必要とされる。例えば、空挺部隊に関して、全頭上運搬荷物を容認できる限度より少なく保つことは非常に重要であるが、同時に隊員は、例えば、ヘルメットに取り付けられた通信機器、ナイトビューアなどをさらに装備し、結果的に重量が増加する。
ほとんどの場合、解決策を見出す様式は、様々な種類の層を組み合わせて、複雑な複合材料構造を提供することであった。一例は、上記米国特許第4,613,535号明細書である。別の例は、国際公開第961478号パンフレットと、またSAMPE 2005 conferenceで発表されたthe US Army Research Laboratory Weapons & Materials Research Directorate Aberdeen Proving GroundのS.M.Walsh,B.R.Scott,D.M.SpagnuoloおよびJ.P.Wolbert による「Hybridized thermoplastic aramids enabling material technology for future force headgear」で開示されるヘルメットであり、最も有望な構造は、基層としてアラミド複合材料層を含有するシェルと、カーボンファイバーおよびエポキシを含有するスキンとしての硬質の層であると記載されている。
本発明の目的は、全重量が低いが、弾道衝撃からの十分な保護を提供し、さらに、良好な耐久性を有するヘルメットを提供することである。
意外なことに、この目的は、一方向性UHMwPE繊維と好ましくはバインダーとの単層を含有するシェルを有し、その縁部でヘルメットシェルが補強形材に接合されるヘルメットによって実現される。バインダーの作用は、繊維を一緒に保持することである。しかしながら、バインダーを適用する代わりに、十分に高い温度で十分に高い圧力によって押圧することにより、繊維を接合することもできる。
補強形材をシェルの縁部に適用することによって、ヘルメットの縁部から離れた部分で、衝撃に対する十分な防弾が得られ、低重量であり、なお良好な耐久性を有するヘルメットを製造することが可能であることは予想外である。シェルの表面上に追加の剛性の層を有するヘルメットは本発明の範囲から排除されないが、複合材料ヘルメットでしばしば適用されるこのような剛性の層を含まないヘルメットを製造することがさらに可能である。
補強縁部と外層とを備え、内部の剛性の層を有し、好ましくは高密度フォームで製造された安全ヘルメットについては、オーストラリア特許出願第2005/202254A1号明細書から既知である。しかしながら、その中に開示される安全ヘルメットは、建設用またはスポーツ用ヘルメットとして適切であるが、防弾ヘルメットとして明らかに適切ではない。そのようなヘルメット構造によって提供される保護メカニズムは、弾丸のエネルギーを分散させる他のメカニズムが必要である弾丸に対する使用には明らかに適切ではない。内部の剛性の層に補強縁部を備えているが、引用された用途には、防弾特性に対する補強縁部の存在に直接的または間接的に関連する利点に言及していない。
本発明を図面でさらに説明するが、これらの図面中で例示される実施形態に限定されることはない。
本発明によるヘルメットの側面図。 本発明によるヘルメットの断面図。 ヘルメットの底面図。
図1は、一方向性繊維と好ましくはバインダーとの単層を含有するシェル(2)を含有するヘルメット(1)を示す。その縁部で、シェルは補強形材(3)に接合される。この形材は、形材の方向の繊維と、形材の方向に対して45°および−45°の角度の繊維とで好ましい繊維配向を有する。
図2は、シェル(2)と補強形材(3)とを含有し、補強形材がU型である本発明によるヘルメット(1)の断面図を示す。シェルは、U型の形材の脚部間に適合し、そして形材の表面(3.1)、(3.2)および(3.3)で形材に接合される。
図3は、シェル(2)と補強形材(3)を有する本発明によるヘルメット(1)を示す。
好ましくは、本発明のヘルメットのシェルは、一方向性UHMwPE繊維とバインダーとの単層を含む。
本発明に従って、一方向性UHMwPE繊維と好ましくはバインダーとの単層という用語は、一方向性配向のUHMwPE繊維と、好ましくは、基本的に繊維を一緒に保持するバインダーとの繊維網の層を指す。一方向性配向の繊維という用語は、本質的に平行に配向する一平面上の繊維を指す。
繊維という用語には、モノフィラメントのみではなく、特にマルチフィラメント糸またはテープも含まれる。テープの幅は、好ましくは2mm〜100mm、より好ましくは5mm〜60mm、最も好ましくは10mm〜40mmである。テープの厚さは、好ましくは10μm〜200μm、より好ましくは25μm〜100μmである。
本発明のヘルメットの単層中のUHMwPE繊維は、好ましくは少なくとも約1.2GPaの引張強さと少なくとも40GPaの引張係数を有する。繊維は、より好ましくは少なくとも2GPa、さらにより好ましくは少なくとも2.5GPaまたは最も好ましくは少なくとも3GPaの引張強さを有する。これらの強度の高い繊維の利点は、それらが軽量の弾道抵抗物品での使用に非常に適切であるということである。
直鎖UHMwPEが使用される場合、良好な結果が得られる。直鎖UHMwPEは、本明細書では、側鎖または分枝が一般に少なくとも10個のC原子を含有しているものとして、C原子100個あたり1本未満の側鎖を有し、好ましくはC原子300個あたり1本未満の側鎖を有するポリエチレンを意味するものとして理解される。直鎖ポリエチレンは、5モル%までの1種以上の他のアルケンをさらに含有してもよい。ここで、他のアルケンとは、プロペン、ブテン、ペンテン、4−メチルペンテン、オクテンなどの一緒に共重合可能なものである。好ましくは、直鎖ポリエチレンは、少なくとも4dl/g、より好ましくは少なくとも8dl/gの固有粘度(IV、以下に示される試験方法に従って135℃でデカリン溶液で決定される)を有する高モル質量のものである。固有粘度は、MおよびMなどの実際のモル質量パラメーターより簡単に決定することができる分子量の尺度である。IVとMとの間にはいくつかの経験的関係があるが、そのような関係は分子量分布に非常に依存している。式M=5.37×10[IV]1.37(欧州特許出願公開第0504954A1号明細書)に基づき、4dl/gまたは8dl/gのIVは、それぞれ、約360kg/モルまたは930kg/モルのMに等しい。
例えば、英国特許第2042414A号明細書または国際公開第2001/73173号パンフレットに記載されるようなゲル紡糸法によって調製されたUHMwPE繊維が好ましくは使用される。これにより、非常に良好な防弾/重量性能が得られる。ゲル紡糸法は、高いモル質量の直鎖ポリエチレンの溶液を調製すること、溶解温度より高い温度で溶液をフィラメントへと紡糸すること、ゲル化が生じるようにゲル化温度より低い温度までフィラメントを冷却すること、溶媒除去の前、その間またはその後にフィラメントを伸長することから本質的になる。
本発明の好ましい実施形態において、ヘルメットのシェルは一方向性配向のUHMwPE繊維の単層を含み、前記単層は少なくとも2枚のシートでグループ化されている。シートは、好ましくは少なくとも2枚の単層を含有する。シート中の単層は互いに対してある角度に配置され、この角度は0〜90°で変化する。シートが互いに対してある角度に配置されてもよい。
バインダーという用語は、一方向性配向の繊維とバインダーとの単層を含むシートで一緒に一方向性繊維を結合または保持する材料も指す。あらかじめ形成されたシートの取り扱いおよび製造の間、単層の構造が保持されるように、バインダーは、それらの全体で、または部分的に繊維を封入してもよい。バインダーは、様々な形態および方法で、例えば、フィルムとして(少なくとも部分的にUHMwPE繊維を被覆するバインダーを融解させることによる)、横断方向接着ストリップとして、もしくは横断方向繊維として(一方向性繊維に関して横断方向)、あるいはマトリックス材料、例えば、ポリマー溶融体、液体中のポリマー材料の溶液または分散によって繊維を含浸および/または包埋することによって、適用されてもよい。好ましくは、マトリックス材料は単層の全表面上で均一に分散しているが、接着ストリップまたは接着繊維は局所的に適用されてもよい。適切なバインダーは、例えば、欧州特許第0191306B1号明細書、欧州特許出願公開第1170925A1号明細書、欧州特許第0683374B1号明細書および欧州特許出願公開第1144740A1号明細書に記載される。
好ましい実施形態において、バインダーは高分子マトリックス材料であり、熱硬化性材料または熱可塑性材料またはそれら2つの混合物であってよい。マトリックス材料の破断点伸びは、好ましくは繊維の伸びより大きい。バインダーは、好ましくは2〜600%の伸び、より好ましくは4〜500%の伸びを有する。適切な熱硬化性および熱可塑性マトリックス材料は、例えば、国際公開第91/12136A1号パンフレット(15〜21ページ)に列挙される。マトリックス材料が熱硬化性ポリマーである場合、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、エポキシまたはフェノール樹脂がマトリックス材料として好ましく選択される。マトリックス材料が熱可塑性ポリマーである場合、ポリウレタン、ポリビニル、ポリアクリル、ポリオレフィン、またはポリイソプロペン−ポリエチレン−ブチレン−ポリスチレンもしくはポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロックコポリマーなどの熱可塑性エラストマーブロックコポリマーがマトリックス材料として好ましく選択される。好ましくは、バインダーは熱可塑性ポリマーからなり、バインダーは、好ましくは単層で前記繊維の個々のフィラメントを完全にコーティングし、そしてバインダーは、少なくとも75MPa、より好ましくは少なくとも150MPa、さらにより好ましくは少なくとも250MPa、最も好ましくは少なくとも400MPaの引張係数(25℃でASTM D638に従って決定される)を有する。好ましくは、バインダーは1000MPa以下の引張係数を有する。バインダーは、単層を含むシートの高い可撓性が得られるが、前記シートから圧縮されるシェルが十分高い剛性を有するように選択されるべきである。
好ましくは、単層中のバインダーの量は、30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下、20質量%以下、または15質量%以下である。これにより、最良の防弾性能が得られる。
隣接する単層中の繊維の配向の方向が5〜90°、好ましくは45〜90°、最も好ましくは75〜90°の角度である場合、良好な結果が得られる。
単層中のUHMWPE繊維の配向の方向がヘルメットの縁部に向かう角度である場合、本発明のヘルメットに関して非常に良好な結果が得られる。好ましくは、シェルの単層中の繊維の配向の方向は+30°〜+60°、それぞれヘルメットの縁部に向かって−30°および−60°の角度である。より好ましくはこの角度は+40°〜+50°、それぞれ−40および−50°、最も好ましくは+45°または約45°、それぞれ−45°または約−45°である。
なおシェルは、硬質の最上層、例えば、金属またはセラミックストライクフェース、あるいは硬質の複合材料最上層、例えば、熱硬化性樹脂が含浸されたガラス繊維織布を含有してもよい。しかしながら、好ましくは、重量、防弾および耐久性に関して最適なヘルメットが得られるように、そのような層は存在しない。耐久性という用語については以下に説明する。
補強形材は、剛性および強さが高いあらゆる種類の軽量材料から製造され得る。良い例としては、鋼、チタン、アルミニウム、マグネシウムおよびそれらの合金などの金属が挙げられる。好ましくは、補強形材は、補強繊維と第2のバインダーとを含有する複合材料から製造される。複合材料は、あらゆる種類の補強繊維、例えばアラミド繊維などの有機繊維を含有してもよい。より好ましくは、複合材料は、例えば、セラミック繊維、ガラス繊維、玄武岩または炭化ケイ素繊維などの無機繊維を含有する。一般に、そのような繊維は少なくとも15%のケイ素を含有する。最も好ましくは、複合材料はカーボンファイバーを含有する。複合材料が選択される場合、補強繊維の配向数は少なくとも2である。少なくとも3の繊維配向がより好ましい。適切な配向は、補強形材の方向に対して、0°、90°、+45°および−45°であり、図1中、項目(3)で例示される。最も好ましくは、繊維は、形材の方向に対して、0°、+45°および−45°で配向される。前述の繊維方向に従って、複合材料中の繊維は、織られるか、または一方向に整列されてもよい。
補強形材の複合材料中の第2のバインダーは、好ましくは、繊維に対する適切な粘着力と、好ましくは少なくとも1400MPaの係数を示すべきである。第2のバインダーの量は、好ましくは、20〜70容量%、より好ましくは35〜55容量%である。
好ましくは、補強形材は、シェルの圧縮降伏応力の少なくとも2倍の圧縮降伏応力、より好ましくはシェルの圧縮収率の少なくとも4倍、最も好ましくは少なくとも6倍を有する。圧縮降伏応力は、ASTM D6641(2001年発行)によって測定する。細長い補強要素、例えば繊維を含む補強縁部の場合、圧縮降伏応力は、縁部に沿って配置されるそれらの前記補強要素の方向で測定されなければならない。必要とされる圧縮降伏応力を有する補強縁部によって、本発明のヘルメットに防弾特性の改善がもたらされ、特に、縁部から離れた位置の防弾特性が改善されることが観察された。別の利点は、そのようなヘルメットはさらに改善された耐久性を有するということである。
補強形材は、例えばL型またはU型などのあらゆる種類の形状の横断面を有してよい。好ましくは、補強形材はU型を有する。さらに、シェルがU型の形材に適合する場合、U型の形材はシェルに容易に接合され、固定され得る。
補強形材は、前記シェルの縁部でヘルメットのシェルに接合される。接合によって、本明細書において、補強形材がヘルメットのシェル上に固定され、シェルに作用する力は、補強形材に効果的に伝達され、それによって減少され得、その逆も同様であることが理解される。
補強形材は、当該技術分野におけるいずれかの既知の方法に従って、ヘルメットのシェルに接合されてもよい。適切な例としては、適切な接着剤による接着、加熱による固定、または単にシェル上での良好な固定が達成されるまでU型の形材の横側に接近することが挙げられる。
ヘルメットのシェルの横側と重なる補強縁部の部分が、好ましくは、ヘルメットのシェルの底部で測定されるシェルの厚さの少なくとも0.5倍、より好ましくは、シェルの厚さの少なくとも1倍、最も好ましくは少なくとも2倍の長さを有する場合、良好な接合は達成される。そのようなヘルメットは、さらに改善された耐久性と、特に縁部から離れた場所での改善された防弾特性を示す。
好ましくは、ヘルメットのシェルの横側と重なる補強縁部の部分は、ヘルメットの底部の厚さの不必要な増加を引き起こさないように十分薄い厚さを有する。その底部でのヘルメットの厚さの増加が30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満であることが好ましい。そのようなヘルメットは、軽量でありながら、良好な防弾特性を示す。また多用途性も増加する。
当業者は、ヘルメットの部分およびヘルメット自体の製造のために適切な製造工程を選択する方法を知っている。ヘルメットのシェルは、一方向に整列されたUHMwPE繊維と好ましくはバインダーとのクロスプライ単層を含有するシートの積み重ねを形成する工程と、型に積み重ねを配置する工程と、型を閉じて、層の積み重ねをヘルメット形状のシェルへと形成し、結合する工程とを含む方法によって製造され得る。そのような方法は、国際公開第2007/107359号パンフレットに記載される。
補強形材は、機械加工されたか、または成形された軽量金属部分でもよい。しかしながら、好ましくは、補強形材は、ヘルメットの縁部に沿って薄板にされるカーボンファイバー複合材料である。
好ましくは、本発明によるヘルメットのシェルと補強形材の重量の合計は、1.2kg以下、より好ましくは1.1kg以下、さらにより好ましくは1.0kg以下である。
本発明は、実施例と比較試験でさらに例示される。
比較試験および実施例で製造されたヘルメットに2種類の試験を行った。最初の試験は、17グレイン フラグメント シミュレーティング プロジェクタイル(17grain fragment simulating projectiles)(FSP)であった。第2の試験は、いわゆる耐久性試験であった。
[シューティング試験]
シューティング試験は、銃の前の適切な固定デバイスにヘルメットを固定することによって実行された。固定デバイスは、ヘルメットが回転可能で、その後、再びしっかりと固定することができるような様式で製造された。このようにして、各ヘルメットに約8回の発砲が行われるように、ヘルメットは各発砲後に回転され、再び固定される。発射体は、17グレイン フラグメント シミュレーティング プロジェクタイル(FSP)である。
50%の貫通の可能性が存在することが予想される予期される速度で、期待されるいわゆるV50値で最初の発砲を実行する。全ての発射体の速度は、衝撃前の短距離で測定された。測定は、光学的デバイスによって実行された。貫通が生ずる場合、次のFSPは、前の発射体よりも10%低いことが予期される速度で発砲された。再び、速度は衝撃前の短距離で測定された。発射体が貫通せずに停止する場合、次の発射体は、前の発射体よりも10%大きいことが予期される速度で発砲された。衝撃位置間の距離が、精神的外傷領域(衝撃が影響を及ぼす領域)との重複を防ぐために十分に大きいことは常に保証される。一般に、この様式で各ヘルメットに対して約8回の発砲が可能だった。実験的なV50値は、停止が生じた3回の最高速度と、貫通が生じた3回の最低速度との平均速度から得られた。2回のみの停止または2回のみの貫通が得られる場合、V50は2回の最高の停止と2回の最低の貫通から得られる。固有運動エネルギーUは、V50におけるFSPの運動エネルギー、したがって、0.5m V50 として得られる。17グレインFSPの質量mは、m=0.0011kgに等しい。ヘルメットの性能は、V50における固有運動エネルギーUおよびヘルメット質量Mに関連する。したがって、性能パラメーターPは、P=U/Mとして導き出される。
[耐久性試験]
着用者の耳の位置で、ヘルメットにその縁部の2つの対立する位置で圧縮力をかける。圧縮力が作用する位置は、補強縁部のちょうど上になるように選択され、したがって、補強縁部も圧縮することを防ぐ。圧縮力の作用としてのヘルメットの形状の変化を測定する。
1500N(人間の体重の約2倍)の力でヘルメットのシェルに引き起こされる変位は、代表的な品質パラメーターと考えられ、今後は「変位」と記載される。
圧縮力を緩め、5分間回復させた後、ヘルメットの形状の変化を再び測定する。この値は「変形」と記載される。
ヘルメットシェルの層間剥離または可塑性が生ずる力が1500Nのこの力より十分に高いべきであることに注意すべきである。
1500Nの変形が十分に小さい場合、この負荷を24回繰り返し、変位の展開を記録する。これは、「損傷耐性」または単に「耐久性」と記載される。
[他の試験方法]
・側鎖:UHPE試料の側鎖の数は、厚さ2mmの圧縮成形されたフィルムでFTIRによって、1375cm−1における吸収を定量化することによって、NMR測定に基づく較正曲線を使用して決定される(例えば欧州特許第0269151号明細書の場合のように)。
・IV:固有粘度は、PTC−179法(Hercules Inc.Rev.Apr.29,1982)に従って、デカリン中135℃で、溶解時間が16時間であり、酸化防止剤として2g/l溶液の量のDBPCを使用し、0濃度まで種々の濃度で測定される粘度を外挿することによって決定される。
・引張強さ(または強さ)は、ASTM D885Mに明示されるように定義され、マルチフィラメント糸で、500mmの繊維の公称ゲージ長さ、50%/分のクロスヘッド速度、Fibre Grip D5618C型のInstron 2714クランプを使用して決定される。強さの算出のため、繊維10メーターの重量を測定することによって決定されるタイターによって、測定された張力を除算し、GPaの値は、0.97g/cmのUHMwPEの密度を仮定して計算する。
[比較試験A]
3.5GPaの引張強さを有する一方向に整列されたUHMwPE繊維80重量%と、熱可塑性バインダーとの2枚の単層を含むクロスプライシートの50層の積み重ねからヘルメットを製造した。クロスプライシートの2枚の単層の繊維配向はほぼ垂直である。ヘルメットの形状の開放している型に積み重ねを入れ、続いて130℃の温度で型を閉じてヘルメットを製造し、そして1時間の8MPa(すなわち、推定されるヘルメット表面によって分けられる押圧)の圧力での強化後、ヘルメットを冷却し、型抜きして所望の大きさに形を整えた。平均ヘルメット質量Mは、0.876kgであった。ヘルメットを試験し、試験結果を表1に示す。
[比較試験B]
同一方法を使用して、50層の比較試験Aの代わりに42枚の積み重ねからヘルメットを製造した。成形間の圧力は、比較試験Aと同様だった。型抜きして形を整えた後、平均質量は0.737kgであった。その後、型抜きして形を整えた後、カーボンファイバーの布を用いて、ヘルメットに積層工程を行った。標準的な市販のエポキシ樹脂を使用して、0.12kg/mの気中濃度を有する4層の綾織りカーボンファイバー布をヘルメットの外側で積層化した。樹脂を室温で硬化することができた。それでも、周囲空気での2日間の硬化の後、40℃のオーブン中での後硬化(post curing)を実行した。ヘルメットの全位置でエポキシの最適な硬化を確実にするために後硬化を実行した。したがって、ヘルメットはカーボンエポキシ複合材料の硬質の外側スキンから製造された。ヘルメットの厚さは、参照例1のヘルメットと同様だった。しかしながら、硬質の外側スキンを加えた後のヘルメットの平均質量は0.946kgであった。ヘルメットを試験し、試験結果を表1に示す。
[本発明による実施例]
比較試験Aに記載されたものと同様の様式でヘルメットを製造した。しかしながら、型抜きして形を整えた後、比較試験Bに関して記載されたものと同様の様式でカーボンファイバーエポキシ複合材料層をヘルメットの縁部周囲に積層し、硬化した。カーボンファイバーエポキシ[エポキシの量は40容量%であった。]複合材料層は、図1(3)に示すように、80mmの幅を有し、3つの繊維配向を有する布テープからなる。布テープの面密度は600g/mであった。1つの繊維配向は、テープの長さ方向にある。他の2つの繊維配向は、テープ方向に対して+45°および−45°である。図面中に例示されるように、1つのみのテープをヘルメットの縁部に沿って積層化し、テープの始めおよび終わりが互いに3cm重なり合う。このような縁部を有するヘルメットの質量は0.940kgであった。ヘルメットを試験し、試験結果を表1に示す。
Figure 2011501088

この結果は、UHMwPE単層から完全に製造されるヘルメットは、FSPの衝撃に対して良好なヘルメット性能パラメーターPを示すことを示す。しかしながら、耐久性は低い。低い横断方向の圧縮負荷のみが維持され得、そして結果として生じる変形は大きい。硬質の外層を加えることによってシェル変形が改善されるが、その耐久性はなお最適ではない。変位は大きく、そして部分的な回復のみが生ずる。そのうえ、パラメーターPによって表される防弾性能はかなり減少する。
しかしながら、本発明によるヘルメットは優れた耐久性を示し、加えて、変位は限定的であり、また変形はほとんどない。また、意外にも、V50の増加が示され、したがって、既知のヘルメットと比較して、防弾特性が改善された。

Claims (13)

  1. 一方向性超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)繊維の単層を含有するシェルを有する防弾ヘルメットであって、
    その縁部でシェルが補強形材に接合されることを特徴とする防弾ヘルメット。
  2. 前記シェルがバインダーをさらに含む請求項1に記載のヘルメット。
  3. 前記補強形材がU型である請求項1または2に記載のヘルメット。
  4. 前記形材が金属製である請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘルメット。
  5. 前記補強形材が、繊維と第2のバインダーとを含有する複合材料からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘルメット。
  6. 前記補強形材がセラミック繊維、ガラス繊維、玄武岩または炭化ケイ素繊維を含有する請求項5に記載のヘルメット。
  7. 前記補強形材がカーボンファイバーを含有する請求項6に記載のヘルメット。
  8. 前記補強形材が少なくとも2つの繊維配向を有する請求項5〜7のいずれか一項に記載のヘルメット。
  9. U環が少なくとも3つの繊維配向を有する請求項5〜7のいずれか一項に記載のヘルメット。
  10. 1つの繊維配向が前記形材の方向にある、そして他の2つの配向が前記形材の方向に対して+45°および−45°である請求項9に記載のヘルメット。
  11. 前記シェルおよび前記補強形材の重量の合計が1.2kg以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載のヘルメット。
  12. 前記補強形材が、ASTM D6641によって測定される際に、シェルの圧縮降伏応力の少なくとも2倍の圧縮降伏応力を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載のヘルメット。
  13. ヘルメットの前記シェルの横側と重なる補強縁部の部分が好ましくは前記シェルの厚さの少なくとも0.5倍の長さを有する請求項1〜12のいずれか一項に記載のヘルメット。
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