JP2011259601A - 電動車両のモータロック対策制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】t4でのブレーキ操作およびアクセル操作により、電動モータの回転ロックが発生した場合において、t4から設定時間TM1が経過したt5より、目標モータトルクtTmにモータロック時過熱対策用モータ駆動力上限値uTmおよびモータ要求駆動力vTmの小さい方がセットされ、このtTm=Min(vTm,uTm)が電動モータの駆動力制御に供される。t6まではuTm>vTmのため、tTm=vTmとなり、t6〜t7ではuTm<vTmのため、tTm=uTmとなり、モータ駆動力が上限値uTmを越えることのないよう制限され、過熱防止を図り得る。ところでuTmが車速VSPに応じ高車速ほど大きくなるよう変化することから、t6の直後において、tTmがステップ状に急変せず、ショックを回避し得る。
【選択図】図3
Description
従って、モータロック判定時に駆動力が急低下し、急で大きな減速度を乗員に感じさせて不快感を与えるという問題を生ずる。
当該モータロック時過熱防止用駆動力制限値を車速に応じて異ならせることにより、モータロック対策時に駆動力が急低下することのないようにし、もって急で大きな減速度を乗員に感じさせて不快感を与えるという上記の問題を解消し得るようにした電動車両のモータロック対策制御装置を提供することを目的とする。
電動モータの駆動力を車輪に伝達して走行可能な電動車両に対し、
前記電動モータの回転ロック条件が成立したのを判定するモータロック条件成立判定手段と、
該手段によるモータロック条件成立判定時に電動モータの駆動力がモータ駆動力上限値を超えることのないよう、電動モータの駆動力を制限するモータ駆動力制限手段とを設け、
上記のモータ駆動力上限値を、高車速ほど大きくなる値に設定したことを特徴とするものである。
モータロック条件の成立時に電動モータの駆動力が、高車速ほど大きなモータ駆動力上限値を超えることのないよう、電動モータの駆動力を制限するため、
モータロック対策時に駆動力が車速低下につれて徐々に低下されることとなり、従ってモータロック対策時に駆動力が一気に、停車時の要求制限値へ一気に急低下することがなく、モータロック対策時に急で大きな減速度を乗員に感じさせて不快感を与えるという上記の問題を解消することができる。
<構成>
図1は、本発明の一実施例になるモータロック対策制御装置を具えた車両の駆動系およびその制御系を示し、
本実施例において図1における車両は、左右前輪(または左右後輪)1L,1Rを駆動して走行可能な電気自動車とする。
これら左右輪1L,1Rの駆動に際しては、電動モータ(走行動力源)2により、ディファレンシャルギヤ装置を含む減速機3を介して、当該左右輪1L,1Rの駆動を行うものとする。
このとき電動モータ2が回生制動作用により発電した電力は、インバータ6により交流−直流変換してバッテリ5に充電するものとする。
電気自動車の対地速度である車速VSPを検出する車速センサ7からの信号と、
運転者によるアクセルペダル踏み込み量であるアクセル開度APO(電動モータ要求負荷)を検出するアクセル開度センサ8からの信号と、
電動モータ2の電流(図1ではU相、V相、W相よりなる三相交流であるから電流iu,iv,iw)を検出する電流センサ9からの信号と、
運転者が車両の走行形態を指令するために行うシフト操作によって選択されたレンジが前進走行(D)レンジ、モータ速度制限(B)レンジ(自動変速機搭載車におけるエンジンブレーキレンジに相当する)、後退走行(R)レンジ、停車(N)レンジ、駐車(P)レンジの何れであるかを検出するレンジセンサ11からの信号と、
ブレーキペダルを踏み込み制動時にONするブレーキスイッチ12からの信号とを入力する。
インバータ6は、例えば各相ごとに2個のスイッチング素子(例えばIGBT等のパワー半導体素子)からなり、駆動信号に応じてスイッチング素子をON/OFFすることにより、バッテリ5から供給される直流の電流を交流に変換・逆変換し、電動モータ2に目標モータトルク対応の電流を供給する。
また車両走行中、電動モータ2が左右輪1L,1Rに連れ回される所謂逆駆動時は、電動モータ2に発電負荷を与えて電動モータ2に回生制動作用を行わせることで、車両の運動エネルギーを回生してバッテリ5に蓄電する。
モータコントローラ4は、図2の制御プログラムを実行してモータロック対策制御を遂行することにより上記の目標モータトルクtTmを求め、これをインバータ6へ指令して電動モータ2の駆動力制御に資する。
設定アクセル開度A1は、電動モータ2の回転ロック条件が成立したか否かを判定するのに用いるモータロック条件成立判定用のアクセル開度とする。
従ってステップS11は、本発明におけるモータロック条件成立判定手段に相当する。
ブレーキペダルを踏み込んだままアクセルペダルを踏み込んだことによる、つまりブレーキ操作およびアクセル操作による電動モータ2の回転ロック(以下、2操作モータロックと言う)は起きず、2操作モータロック条件が成立していないことから、
ステップS13において、当該2操作モータロック条件が成立した時からの経過時間を計測するタイマTMを0にリセットする。
ブレーキペダルを踏み込んだままアクセルペダルを踏み込んだことによる電動モータ2の2操作モータロックが起きる可能性があって、2操作モータロック条件が成立していることから、
ステップS14において、上記タイマTMを歩進(インクリメント)させることにより、当該2操作モータロック条件が成立した時からの経過時間を計測する。
従ってステップS12も、ステップS11と同様、本発明におけるモータロック条件成立判定手段に相当する。
ここで設定時間TM1は、ブレーキペダルを踏み込んだままアクセルペダルをAPO≧A1となるよう踏み込んだ状態において、電動モータ2が過熱状態になることのない限界時間に対応させる。
従ってステップS15も、ステップS11およびステップS12と同様、本発明におけるモータロック条件成立判定手段に相当する。
ステップS19においては、先ずモータロック対策用モータ駆動力上限値uTmを演算し、このモータロック対策用モータ駆動力上限値uTmと、ステップS17につき前述したと同様の要領で求めたモータ要求駆動力vTmとの小さい方Min(vTm,uTm)を目標モータトルクtTmとし、この目標モータトルクtTm=Min(vTm,uTm)を電動モータ2の駆動力制御に資する。
従ってステップS19は、本発明におけるモータ駆動力制限手段に相当する。
本実施例においては、かかる車速VSPごとのモータ駆動力限界値をモータロック対策用モータ駆動力上限値uTmと定めるべく、例えば図4に示すマップに基づき車速VSPからモータロック対策用モータ駆動力上限値uTm(図4における車速VSPは絶対値)を検索により求める。
また当該モータロック対策用モータ駆動力上限値uTmは、車速VSPの上昇に対し単調増加するものであるのが好ましい。
なお図4における車速VSP=V1は、アクセルペダルをAPO≧A1となるよう踏み込んだ状態において、電動モータ2が回転ロックし、過熱状態となる限界車速、例えば7km/hに対応させる。
本実施例の図2によるモータロック対策制御によれば、図3のタイムチャートに基づき代表的に説明すると、以下のような作用効果を奏し得る。
ステップS13で(TM=0)を実行し、ステップS17で目標モータトルクtTmにモータ要求駆動力vTmをセットする。
なお、瞬時t4〜t7の制動中は、車速VSPがこの制動により図3の時系列変化をもって低下する。
ステップS15では、タイマTM(瞬時t4からの経過時間)が設定時間TM1を示すか否かを、つまり瞬時t5に至ったか否かをチェックする。
図3に示すようにタイマTMが設定時間TM1に保持され(ステップS18)、目標モータトルクtTmにモータロック対策用モータ駆動力上限値uTmおよびモータ要求駆動力vTmの小さい方Min(vTm,uTm)がセットされる(ステップS19)。
ステップS19で目標モータトルクtTmにモータロック対策用モータ駆動力上限値uTmおよびモータ要求駆動力vTmの小さい方Min(vTm,uTm)=uTmがセットされることとなり、この目標モータトルクtTm=uTmが電動モータ2の駆動力制御に供されるようになる。
ステップS13においてタイマTMが図3に示すごとく0にされ、
ステップS17において目標モータトルクtTmにモータ要求駆動力vTmがセットされ、この目標モータトルクtTm=vTmが電動モータ2の駆動力制御に供されるようになる。
本実施例においては目標モータトルクtTmを、図2では図示しなかったが所定のレートリミット処理により、瞬時t7より図3に示す所定の時間変化割合でモータロック対策用モータ駆動力上限値uTmからモータ要求駆動力vTmへと徐々に復帰させ、これによりショックが発生しないようにする。
電動モータ2への供給電流が、モータロック対策用の駆動力上限値uTmに対応する電流値を越えることのないよう制限されることとなり、電動モータ2が回転ロック傾向によっても過熱状態になるのを確実に防止することができる。
電動モータ2の駆動力制限が開始される瞬時t6の直後における目標モータトルクtTmの経時変化から明らかなように、電動モータ2の駆動力が車速変化につれて徐々に変化されることとなる。
電動モータが過熱状態になる直前をもって、2操作モータロック条件が成立したと判定することができ、モータロック対策用の電動モータ2の駆動力制限を必要最小限にし得ることとなる。
インバータ6よりも上位側にあって自由度の高い車両の統合コントローラによる電動モータ2の過熱保護が可能となり、運転者に対しての違和感を軽減することができる。
なお上記した実施例では、モータロック対策用モータ駆動力上限値uTmを、2操作モータロック時においても、電動モータ2が過熱状態になることのないような、車速VSPごとのモータ駆動力限界値としたが、
モータロック対策用モータ駆動力上限値uTmはこれに限られるものではなく、図3の瞬時t6におけるモータ駆動力制限の実質的な開始時より、車速VSPの低下に伴って徐々に減少し、前記したモータロック時過熱対策の用をなすようなものであれば任意のものでよい。
2 電動モータ
3 減速機
4 モータコントローラ
5 バッテリ
6 インバータ
7 車速センサ
8 アクセル開度センサ
9 電流センサ
11 レンジセンサ
12 ブレーキスイッチ
Claims (5)
- 電動モータの駆動力を車輪に伝達して走行可能な電動車両において、
前記電動モータの回転ロック条件が成立したのを判定するモータロック条件成立判定手段と、
該手段によるモータロック条件成立判定時に電動モータの駆動力がモータ駆動力上限値を超えることのないよう、電動モータの駆動力を制限するモータ駆動力制限手段とを具え、
前記モータ駆動力上限値を、高車速ほど大きくなる値に設定したことを特徴とする電動車両のモータロック対策制御装置。 - 請求項1に記載された電動車両のモータロック対策制御装置において、
前記モータ駆動力上限値は、車速上昇に対し単調増加するものであることを特徴とする電動車両のモータロック対策制御装置。 - 請求項1または2に記載された電動車両のモータロック対策制御装置において、
前記モータ駆動力上限値は、前記モータロック条件が成立しても電動モータが過熱状態になることのない、車速に応じたモータ駆動力限界値であることを特徴とする電動車両のモータロック対策制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載された電動車両のモータロック対策制御装置において、
前記モータロック条件成立判定手段は、電動モータへの要求負荷が設定負荷以上で、且つ、車両を制動している状態が設定時間継続した時をもって、モータロック条件が成立したと判定するものであることを特徴とする電動車両のモータロック対策制御装置。 - 請求項4に記載された電動車両のモータロック対策制御装置において、
前記設定時間は、電動モータへの要求負荷が前記設定負荷以上で、且つ、車両を制動している状態において、電動モータが過熱状態になることのない限界時間であることを特徴とする電動車両のモータロック対策制御装置。
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