JP2011252335A - 防波構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で越波流量をより効果的に低減することのできる防波構造物を提供する。
【解決手段】通常状態における静水面よりも上方に突出した状態で沖に面して立設されるケーソン20と、当該ケーソン20の天端面20a上に設けられるパラペット30とを設け、パラペット30を、ケーソン20のケーソン沖側壁面22よりも陸側に後退した位置に設けるとともに、パラペット30の沖側を向くパラペット沖側壁面32に、その下端部近傍から上方に向かうに従って陸側に後退し、かつ、高さ方向の中間部位から上方に向かうに従って沖側に迫り出す形状を有するとともに勾配が連続的に変化する曲面からなるパラペット波返し面34を設ける。
【選択図】図2

Description

本発明は、港湾等に設置されるケーソンと当該ケーソン上に設けられるパラペットとを備えた防波構造物に関するものである。
従来、港湾等に設置される防波堤等の防波構造物においては、景観や施工コスト等の観点から防波構造物の天端高さ(水面から防波構造物本体上面の高さ)をできるだけ低くしつつ防波構造物よりも陸側への越波流量を低減することが求められている。
これに対して、例えば、沖に面して海底等に立設されるケーソンの天端面上にパラペットが設けられた防波構造物が提案されている(特許文献1)。この防波構造物の模式図を図10に示す。この防波構造物610は、直方体形状を有するケーソン620と、このケーソン620の天端面620aから上方に突出する直方体形状を有するパラペット630とを有しており、パラペット630の沖側を向く平面状のパラペット沖側壁面632が、沖側を向く平面状のケーソン沖側壁面622から陸側に後退した位置に設けられている。
この防波構造物610では、ケーソン620を超えて陸側に波が進行したとしても、パラペット630により波の陸側への進行が抑制される。特に、パラペット630のパラペット沖側壁面632がケーソン沖側壁面622から陸側に後退した位置に配置されており、パラペット沖側壁面632にはケーソン620の天端面620a上を進行中に崩れた波すなわち勢いが弱められた波が来襲する。そのため、パラペット630には高い越波低減性能が要求されず、パラペット630の天端高さひいては防波構造物610の天端高さを低く抑えながらも陸側への越波流量を少なく抑えることができる。
特開2000−204529号公報
外洋に面した比較的大水深、高波浪の沿岸域等においては、陸側への越波流量のさらなる低減が求められている。
本発明は、このような事情に鑑み、パラペットを有する防波構造物を改良したものであって、簡単な構成で防波構造物の天端高さを低く抑えつつより効果的に越波流量を低く抑えることのできる防波構造物を提供する。
前記課題を解決する手段として、本発明は、通常状態における静水面よりも上方に突出した状態で沖に面して立設されるケーソンと、当該ケーソンの天端面上に設けられるパラペットとを有する防波構造物であって、前記ケーソンは、沖に面して立設された状態で沖側を向いて上下方向および陸に沿う方向に延びるケーソン沖側壁面を有しており、前記パラペットは、前記ケーソンが沖に面して立設された状態で前記ケーソン沖側壁面よりも陸側に後退した位置において沖側を向くパラペット沖側壁面を有しており、前記パラペット沖側壁面は、当該パラペット沖側壁面の下端部近傍から上方に向かうに従って陸側に後退し、かつ、高さ方向の中間部位から上方に向かうに従って沖側に迫り出す形状を有するとともに勾配が連続的に変化する曲面からなるパラペット波返し面を含むことを特徴とする防波構造物を提供する(請求項1)。
この防波構造物によれば、パラペットが陸側に後退した位置に配置されている上に、パラペットのパラペット沖側壁面が、下端部近傍から上方に向かうに従って陸側に後退し、かつ、高さ方向の中間部位から上方に向かうに従って沖側に迫り出す形状を有するとともに勾配が連続的に変化する曲面からなるパラペット波返し面を備えており、パラペットにこのようなパラペット波返し面を設けるという簡単な構成でパラペットの天端高さひいては防波構造物の天端高さを低く抑えつつ陸側への越波流量を少なく抑えることができる。すなわち、この防波構造物では、パラペット沖側壁面にはその勢いがケーソンの天端面上で弱められた波が来襲する上に、このパラペット沖側壁面に来襲した波は、前記パラペット波返し面に沿って上方に進行することでその進行方向が徐々に陸向きから沖向きへと変えられてより円滑に沖に返されるため、来襲した波の陸側への進行がより効果的に抑止される。
また、本発明において、前記パラペット波返し面の陸側に最も後退した最後退部位から当該パラペット波返し面の上端までの水平方向の距離は、当該パラペット波返し面の高さ寸法の1/2以上かつ2/3以下であるのが好ましい(請求項2)。
この構成によれば、パラペット波返し面の最後退位置から上端までの距離すなわちパラペット波返し面の沖側への迫り出し量が十分に確保されることで来襲した波をこのパラペット波返し面でより確実に沖に返しつつ、パラペット波返し面の迫り出し量が過剰になることでこの迫り出し部分にかかる波力が過大となるのを抑制することができる。
また、本発明において、前記パラペット波返し面の下端から前記最後退部位までの高さ寸法は、当該パラペット波返し面の高さ寸法の1/3以上かつ1/2以下であるのが好ましい(請求項3)。
この構成によれば、パラペット波返し面の最後退部位から上側の部分と最後退部位から下側の部分とがそれぞれ適切な勾配で湾曲することで波をより円滑に沖に返しつつ、パラペット波返し面とパラペットの天端面との間の厚みが過剰に薄くなることでパラペットの強度が低下するのを抑制することができる。
また、本発明において、前記ケーソン沖側壁面は、通常状態における静水面が位置する部位あるいは当該静水面よりも下側の部位からケーソン沖側壁面の上端近傍まで延びて上方に向かうに従って沖側に迫り出す形状を有するとともに勾配が連続的に変化する曲面からなるケーソン波返し面を含むのが好ましい(請求項4)。
この構成によれば、前記ケーソン波返し面において波が円滑に沖に返されてケーソンを越えてパラペットに来襲する波の勢いがより一層低減されるため、パラペットにおいて波の進行をより確実に阻止することができる。
以上のように、本発明によれば、簡単な構成で防波構造物の天端高さを低く抑えつつ越波流量をより効果的に低減することができる。
本発明の第1の実施形態に係る防波構造物の概略斜視図である。 図1に示す防波構造物の概略側面図である。 図1に示すパラペットの概略側面図である。 本発明の第2の実施形態に係る防波構造物の概略斜視図である。 図4に示す防波構造物の概略側面図である。 本発明の他の実施形態に係る防波構造物の概略斜視図である 実施例1に係る防波構造物の概略側面図である。 実施例2に係る防波構造物の概略側面図である。 比較例1に係る防波構造物の概略側面図である。 従来の防波構造物に係る防波構造物の概略側面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。まず防波構造物の実施形態について説明し、その後、防波構造物の縮小モデルを用いた水理実験によりこの防波構造物の越波阻止性能について検証した結果について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る防波構造物10を示す概略斜視図である。図2はこの防波構造物10の概略側面図である。この防波構造物10は、ケーソン20と、パラペット30とを備えている。
前記ケーソン20は、沖に面して海底等に立設される部分である。このケーソン20は、略直方体状を有し、そのケーソン沖側壁面22が沖に向かって鉛直方向に延びるとともにその上端面すなわち天端面20aが水平方向に延びる状態で海底等に設置される。
図2に示すように、前記ケーソン20の高さh20は、このケーソン20が、海底等に設置された際に、高波でない通常状態における静水面よりも上方に突出するように設定されている。したがって、通常状態あるいは波が通常状態よりもわずかに高いときには、沖から来襲した波はケーソン20のケーソン沖側壁面22との衝突により沖に返されて陸側への進行が阻止される。
前記パラペット30は、前記ケーソン20の天端面20aから上方に突出する部分であり、波が通常状態よりも比較的高い場合においてケーソン20を越えて陸側に進行した波のさらなる陸側への進行を阻止するためのものである。このパラペット30は、そのパラペット沖側壁面32に側面視で略半円弧状のパラペット波返し面34が形成されており、全体として、略直方体状の部材の一側面が側面視で略半円形に切りかかれた形状を有している。このパラペット30は、前記ケーソン20が海底等に立設された際に、前記パラペット沖側壁面32が沖側を向くように、かつ、このパラペット沖側壁面32が前記ケーソン沖側壁面22よりも陸側に後退する位置に配置されるように、ケーソン20の天端面20a上に設けられている。本実施形態では、パラペット30は、その陸側縁がケーソン20の陸側縁と同じ位置になるように配置されている。
このように、パラペット30が陸側に後退した位置に配置されることで、パラペット30のパラペット沖側壁面32にはケーソン20の天端面20a上で崩れて勢いが弱められた波が来襲する。そのため、このパラペット沖側壁面32によって来襲した波のさらなる陸側への進行が容易に阻止される。
前記ケーソン20とパラペット30とは、例えば陸側の側面に沿って鋼板が配置された鋼コンクリート合成構造を有する鉄筋コンクリート製のものである。これらケーソン20とパラペット30とは、互いに一体に成形されていてもよいし、個別に成形されていてもよい。個別に成形されている場合は、例えば、ケーソン20の天端面20a上にパラペット30がアンカー等で固定される。
前記パラペット沖側壁面32に含まれるパラペット波返し面34の詳細について図3を用いて説明する。このパラペット波返し面34は、前記パラペット沖側壁面32の下端部32b近傍であってこの下端部32bよりもわずかに上方の位置からこのパラペット沖側壁面32の上端部32a近傍であってこの上端部32aよりもわずかに下方の位置まで延びている。このパラペット波返し面34は、勾配が連続的に変化する曲面であって、パラペット沖側壁面32の下端部32b近傍から上方に向かうに従って陸側に後退し、かつ、高さ方向の中間部位すなわちパラペット波返し面34の上端部34aと下端部34bとの間の部位から上方に向かうに従って沖側に迫り出す形状を有しており、いわゆるフレア型に構成されている。
本実施形態では、前記パラペット波返し面34の最も陸側に後退した最後退部位34cは、この最後退部位34cからパラペット波返し面34の上端部34aまでの水平方向の距離l34がパラペット波返し面34の高さ寸法h34の1/2となる位置に配置されており、パラペット波返し面34の沖側への迫り出し量が十分に確保されている。
また、本実施形態では、この最後退部位34cは、パラペット波返し面34の下端部34bかからの高さ寸法h34dがパラペット波返し面34の高さ寸法h34の2/5となる位置に配置されており、パラペット波返し面34の最後退部位34cから上方の部分および下方の部分のいずれもが適度に湾曲して来襲した波が円滑に沖に返されるように、また、パラペット波返し面34とパラペット30の天端面30aとの間の肉厚が十分に確保されてパラペット30の強度が高く維持されるよう構成されている。なお、前記パラペット波返し面34の上端部34aと下端部34bの水平方向の位置はほぼ同一である。また、本実施形態では、このパラペット波返し面34の上端部34aは、その接線の水平線に対する角度が、例えば、20〜45度程度に設定されており、この上端部34aが鋭角に尖らずに肉厚が確保されるよう構成されている。さらに、パラペット30のうち前記パラペット波返し面34の上端部34aよりも上方の部分およびパラペット30のうちパラペット波返し面34の下端部34bよりも下方の部分、にはそれぞれ鉄筋が配置されており、パラペット30の上下端の沖側に突出する部分の強度が確保されている。例えば、パラペット30の高さすなわちケーソン20の天端面20aからパラペット30の天端面30aまでの高さを2.5mとした場合には、パラペット30の天端面30aとパラペット波返し面34の上端部34aおよび下端部34bとの間の距離が0.3m〜0.6mに設定されて、これらの間に鉄筋が配置されている。
このように構成されたパラペット波返し面34では、前記パラペット沖側壁面32に来襲した波は、このパラペット波返し面34に沿って進行することで上方に案内されつつその進行方向が徐々に沖向きに変換されて、円滑に沖へと返される。
以上のように構成された防波構造物10では、前述のように、沖から来襲する波のうち波の高さが低い波は、前記ケーソン20のケーソン沖側壁面22のみでその陸側への進行が阻止される。一方、波の高さが高い波は、ケーソン20のケーソン沖側壁面22を越えて陸側に進行するが、この進行中にケーソン20の天端面20a上で崩れてその勢いが低減された上にパラペット30の前記パラペット波返し面34により円滑に沖へと返されてパラペット30から陸側への進行が阻止される。
ここで、前記パラペット波返し面34の具体的な寸法は前記に限らない。
ただし、前記パラペット波返し面34の最後退部位34cからパラペット波返し面34の上端部34aまでの水平方向の距離l34とパラペット波返し面34の高さ寸法h34との比l34/h34を1/2以上2/3以下の範囲に設定すれば、パラペット波返し面34の沖側への迫り出し量を十分に確保しつつ、パラペット波返し面34にかかる波力を適切な範囲に抑えることができるとともにパラペット30の強度を確保することができる。すなわち、前記比l34/h34を大きくしてパラペット波返し面34の沖側への迫り出し量を多くしパラペット波返し面34の懐面積A(図3に示すパラペット波返し面34の上端部34aと下端部34bを結ぶ線とパラペット波返し面34との間の領域の面積)を大きくすれば、パラペット波返し面34を越える越波流量をより少なく抑えることができる。そのため、前記比l34/h34を1/2以上とするのが好ましい。一方、l34/h34を大きくし過ぎるとパラペット波返し面34の曲率が大きくなることで、パラペット波返し面34に加えられる鉛直上向きの波力が過剰になるとともに、パラペット波返し面34とパラペット30の天端面30aとの間の肉厚が薄くなりパラペット34の強度が低下する。そのため、前記比l34/h34を2/3以下に設定するのが好ましい。
また、前記パラペット波返し面34の下端部34bから前記最後退部位34cまでの高さ寸法h34dとパラペット波返し面34の高さ寸法h34との比h34d/h34を1/3以上1/2以下の範囲に設定すれば、パラペット波返し面34の最後退部位34cから上側の部分および下側の部分のいずれをも適切に湾曲させつつ、パラペット波返し面34の強度を確保することができる。すなわち、前記比h34b/h34を小さくして最後退部位34cを過剰に下方に位置させると、最後退部位34cの下側の部分の曲率と最後退部位34cの上側の部分の曲率の差が過剰となり、波を円滑に返すことが困難になるとともに、最後退部位34c近傍においてパラペット波返し面34に加えられる波力が過剰になる。そこで、前記比h34b/h34を1/3以上の範囲に設定するのが好ましい。一方、前記比h34b/h34を大きくして最後退部位34cを過剰に上方に位置させると、パラペット波返し面34とパラペット30の天端面との間の肉厚が薄くなりパラペット30の強度が低下する。そのため、前記比h34b/h34を1/2以下に設定するのが好ましい。
次に本発明の第2の実施形態に係る防波構造物110について説明する。以下の実施形態において、前記第1の実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明は省略する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る防波構造物110を示す概略斜視図である。図5は、この防波構造物110の概略側面図である。この防波構造物110は、ケーソンの構造が前記第1の実施形態に係るケーソンの構造と異なっている。すなわち、この第2の実施形態に係る防波構造物110のケーソン120では、そのケーソン沖側壁面122にケーソン波返し面124が設けられている。
前記ケーソン波返し面124は、ケーソン120のケーソン沖側壁面122に来襲した波を沖へより円滑に返すためのものである。このケーソン波返し面124は、通常状態における静水面よりも下側の部位からケーソン沖側壁面122の上端部近傍であってこの上端部よりもわずかに下方に位置までのびている。このケーソン波返し面124は、勾配が連続的に変化する曲面であって、上方に向かうに従って沖側に迫り出す形状を有し、いわゆるフレア型に構成されている。本実施形態では、このケーソン波返し面124は、側面視で1/4円弧状を有している。
このように構成された防波構造物110では、沖から来襲した波は、前記ケーソン波返し面124に沿って進行することで上方に案内されつつその進行方向が徐々に沖向きに変換されて、円滑に沖へと返される。従って、比較的高い波が来襲した場合であっても、このケーソン120のみでこの波の陸側への進行を阻止することができる。また、波が非常に高い場合であっても、沖から来襲した波は、このケーソン波返し面124において一旦沖に返されることでその勢いが低減された後に陸側に進行する。そのため、前記パラペット30には十分に勢いが弱められた波が来襲し、この波はパラペット30において容易に沖に返される。
ここで、前記ケーソン波返し面124の具体的構成は前記に限らず、通常状態における静水面が位置する部位あるいは当該静水面よりも下側の部位からケーソン沖側壁面の上端近傍まで延びて上方に向かうに従って沖側に迫り出す形状を有していればよい。例えば、図6に示すように、ケーソン波返し面224が側面視で半円状を有しており、その上下方向中央部位よりも上方に通常状態の静水面が位置するように構成されていてもよい。
次に、以上のように構成された防波構造物の越波阻止性能について検証する。
この検証は、図示省略した2次元造波水槽内に縮小モデルを設置し、造波装置によって発生させた不規則波をこの縮小モデルに衝突させる水理実験を行い、その衝突時の越波流量を測定することで行なった。なお、以下で説明する各モデルの寸法および波の高さは、モデル化された防波構造物の実際の寸法およびこれに対応する実際の波の高さである。
縮小モデルとしては、本発明に係る防波構造物の縮小モデル(実施例1、2)と、従来の防波構造物の縮小モデル(従来例1)と、比較のための防波構造物の縮小モデル(比較例2)とを用いた。各縮小モデルは以下の通りである。
実施例1のモデルは、図7に示すように、前記第1の実施形態と同様にパラペット330にパラペット波返し面334が設けられる一方、ケーソン320にはケーソン波返し面が設けられていない防波構造物310をモデル化したものである。すなわち、ケーソン320は直方体形状を有しており、そのケーソン沖側壁面322は鉛直方向に延びる平面となっている。
この実施例1のモデルでは、ケーソン320の高さすなわち海底面からケーソン320の天端面320aまでの高さh20が11.5m、パラペット30の高さすなわちケーソン320の天端面320aからパラペット330の天端面330aまでの高さh30が2.5m、ケーソン沖側壁面322からパラペット330の沖側端部までのパラペット330の後退距離l30が4.2mに設定された防波構造物310がモデル化されている。この防波構造物310では、パラペット波返し面334はパラペット330のパラペット沖側壁面332の上端部から0.3m下方の位置からパラペット沖側壁面332の下端部から0.3m上方の位置まで延びており、パラペット波返し面334の上端部と下端部との上下方向の離間距離h34は1.9mに設定されている。そして、パラペット波返し面334は、側面視で直径h34=1.9mの半円弧状を有しており、パラペット波返し面334の最後退部位334cからパラペット波返し面334の上端部までの水平方向の距離l34が前記直径h34の1/2に設定されている。
実施例2のモデルは、図8に示すように、パラペット330が前記第2の実施形態と同様の形状を有し、このパラペット330に前記第2の実施形態と同様のパラペット波返し面334が設けられるとともにケーソン420にケーソン波返し面424が設けられた防波構造物410をモデル化したものである。
この防波構造物410では、パラペット330の形状が前記実施例1の防波構造物310のパラペット330と同様の形状であって、ケーソン320の高さh20、パラペット330の高さh34、パラペット330の後退距離l30の各寸法が実施例1のモデルと同じに設定されている一方、ケーソン420のケーソン沖側壁面422に側面視で1/4円弧状を有するケーソン波返し面424が設けられており、このケーソン波返し面424の半径すなわち水平方向の迫り出し量l24が1.25mに設定されている。
従来例1のモデルは、図10に示すように、パラペット630およびケーソン620のいずれにもパラペット波返し面およびケーソン波返し面が設けられていない従来の防波構造物610をモデル化したものである。すなわち、パラペット630は直方体形状を有しており、そのパラペット沖側壁面632は鉛直方向に延びる平面となっている。また、ケーソン620も直方体形状を有しており、そのケーソン沖側壁面622は鉛直方向に延びる平面となっている。この防波構造物610では、ケーソン620の高さh20、パラペット630の高さh30、パラペット630の後退距離l30の各寸法は実施例1および実施例2と同じ寸法に設定されている。
比較例1のモデルは、図9に示すように、パラペット530にパラペット波返し面が設けられていない一方、ケーソン420が実施例2と同様の形状を有し、このケーソン420に実施例2と同様のケーソン波返し面424が設けられた防波構造物510をモデル化したものである。すなわち、パラペット530は直方体形状を有しており、そのパラペット沖側壁面532は鉛直方向に延びる平面となっている。この防波構造物510では、前記ケーソン420の高さh20、パラペット530の高さh30、パラペット530の後退距離l30、ケーソン波返し面424の半径すなわち水平方向の迫り出し量l24の各寸法は実施例2のモデルと同じ寸法に設定されている。
各縮小モデルに衝突させた不規則波は、換算沖波波高さ4.05m、沖波周期7.1secである。なお、水深h0は11mに設定されている。この波を各縮小モデルに衝突させたときの越波流量Q(m/m/sec)の測定結果を表1に示す。
Figure 2011252335
表1に示すように、従来例1の越波流量Qが0.045m/m/secであるのに対して、実施例1の越波流量Qは0.034m/m/secであり、実施例1では、越波流量Qが従来例1の76%に低減している。実施例1の防波構造物310は、従来例1の防波構造物610に対して、パラペット330にパラペット波返し面334が設けられている点のみが異なり、その他の構成は従来例1の防波構造物610と同一である。従って、この越波流量Qの低減効果は、パラペット330にパラペット波返し面334が設けられていることによるものであり、このようにパラペット330のパラペット沖側壁面332にその下端部から上方に向かうに従って陸側に後退し、かつ、最後退部位334cから上方に向かうに従って沖側に迫り出す曲面からなるパラペット波返し面334を設けるという簡単な構成によって、パラペットの高さひいては防波構造物全体の高さを高くすることなく越波流量の低減が実現されている。特に、容積が非常に大きく海底等に設置されるケーソンに比べて容積が小さくケーソンの天端面上に設置される扱いの容易なパラペットの形状を変更することで前記のような越波流量の低減が実現されており、製造コストを抑えつつ高い越波流量低減効果を得ることができる。
さらに、実施例1に対してケーソン420にケーソン波返し面424を設けた実施例2では、越波流量Qが0.0117m/m/secと従来例1の越波流量Qの26%にまで低減しており、パラペット330にパラペット波返し面334を設けるとともにケーソン420にケーソン波返し面424を設けるという簡単な構成で、防波構造物全体の天端高さを高くすることなく越波流量の大幅な低減が実現されている。
ここで、パラペット530にパラペット波返し面が設けられていない一方ケーソン420にケーソン波返し面424が設けられた比較例1の越波流量Qは0.0274m/m/secであり従来例1の61%である。そして、ケーソン320にケーソン波返し面が設けられていない一方パラペット330に波返し面334が設けられた実施例1の越波流量Qは従来例1の76%である。従って、ケーソン420にケーソン波返し面424が設けられるとともにパラペット330にパラペット波返し面334が設けられた実施例2の越波流量Qは、従来例1の越波流量Qの0.76×0.61=0.46すなわち46%になると予想される。しかしながら、実際には、実施例2の越波流量Qはこの予想値を大幅に下回り従来例1の26%にまで低減しており、実施例2ではより効果的に越波流量が低減されている。これは、前述のように、沖から来襲した波は、ケーソン波返し面426において一旦沖に返されることでその勢いが低減されており、パラペット30には勢いが十分に低減された波が来襲することでこのパラペット30において波がより円滑に沖に返されるためと考えられる。
このように、パラペット330にパラペット波返し面334を設けるとともにケーソン420にケーソン波返し面424を設けた場合には、防波構造物全体の天端高さを高くすることなく越波流量をより一層効果的に低減することができる。
10 防波構造物(第1の実施形態)
20 ケーソン
20a ケーソンの天端面
22 ケーソン沖側壁面
24 ケーソン波返し面
30 パラペット
32 パラペット沖側壁面
34 パラペット波返し面
34c 最後退部位
110 防波構造物(第2の実施形態)
310 防波構造物(実施例1)
410 防波構造物(実施例2)

Claims (4)

  1. 通常状態における静水面よりも上方に突出した状態で沖に面して立設されるケーソンと、当該ケーソンの天端面上に設けられるパラペットとを有する防波構造物であって、
    前記ケーソンは、沖に面して立設された状態で沖側を向いて上下方向および陸に沿う方向に延びるケーソン沖側壁面を有しており、
    前記パラペットは、前記ケーソンが沖に面して立設された状態で前記ケーソン沖側壁面よりも陸側に後退した位置において沖側を向くパラペット沖側壁面を有しており、
    前記パラペット沖側壁面は、当該パラペット沖側壁面の下端部近傍から上方に向かうに従って陸側に後退し、かつ、高さ方向の中間部位から上方に向かうに従って沖側に迫り出す形状を有するとともに勾配が連続的に変化する曲面からなるパラペット波返し面を含むことを特徴とする防波構造物。
  2. 請求項1に記載の防波構造物であって、
    前記パラペット波返し面の陸側に最も後退した最後退部位から当該パラペット波返し面の上端までの水平方向の距離は、当該パラペット波返し面の高さ寸法の1/2以上かつ2/3以下であることを特徴とする防波構造物。
  3. 請求項1または2に記載の防波構造物であって、
    前記パラペット波返し面の下端から前記最後退部位までの高さ寸法は、当該パラペット波返し面の高さ寸法の1/3以上かつ1/2以下であることを特徴とする防波構造物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の防波構造物であって、
    前記ケーソン沖側壁面は、通常状態における静水面が位置する部位あるいは当該静水面よりも下側の部位からケーソン沖側壁面の上端近傍まで延びて上方に向かうに従って沖側に迫り出す形状を有するとともに勾配が連続的に変化する曲面からなるケーソン波返し面を含むことを特徴とする防波構造物。
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