JP2011248211A - エレクトロ・ウェッティング現象を用いる光学素子 - Google Patents

エレクトロ・ウェッティング現象を用いる光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】目標の界面状態までの過渡時間を柔軟に制御できると共に、界面状態安定化時の保持電力が不要ないし低減できるエレクトロ・ウェッティング現象を用いる液体型光学素子及びその制御方法を提供する。
【解決手段】液体型光学素子は、界面移動手段114と電圧印加手段113と連動制御手段115を有する。界面移動手段は、筐体101、102に封入された導電性液体103と絶縁性液体104間の界面105、206の位置を筐体の内壁面に沿って移動させる。電圧印加手段は、筐体の内壁面と境界が接する位置に絶縁層107を介して設けられた電極108と導電性液体間に電圧を印加する。連動制御手段は、界面移動手段と電圧印加手段の駆動を連動して制御する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、デジタルカメラやズーム光学系などに応用できる屈折力可変レンズ等のエレクトロ・ウェッティング現象を用いる液体型光学素子及びその制御方法に関する。
撮像光学系の小型化を実現するために、レンズそのものの光学特性を変化させることにより焦点距離を可変にする、いわゆるアクティブなパワー可変素子である液体レンズの採用が期待されている。液体レンズは、液体形状変化の制御方法の観点から、電気方式、機械方式、化学方式の3方式に大別される。電気方式は、絶縁性と導電性の2液を用い、その濡れ性を電界によって制御するエレクトロ・ウェッティング原理を用いる方式である。機械方式は、封止した液体に何らかの手段で圧力、応力、液体の量自体などを制御して形状を変化させる方式である。化学方式は、化学的な変化によって形状変化を実現する方式である。エレクトロ・ウェッティング原理、電気方式、機械方式の夫々の例について簡単に説明する。
例えば、平板電極の上に配置された誘電体フィルム上に置かれた導電性液体小滴を含むデバイスにおいて、導電性液体小滴と電極との間に電圧を印加すると、誘電体フィルム上での導電性液体小滴の接触角が変化する。この現象がエレクトロ・ウェッティング現象と呼ばれる。電気方式では、例えば、密閉収容室に、導電性の第1の液体と、これと混合しない絶縁性の第2の液体とが封入されていて、2つの電極間に電圧を印加して第1の液体に電界をかけることで第1及び第2の液体間の界面形状を変化させる(特許文献1参照)。機械方式では、例えば、第1の液体と第2の液体とが封入された収容室における液体の体積比を圧力機構により調整することで、第1の液体と第2の液体の界面形状を制御する(特許文献2参照)。
特開2007−293349号公報 特開2008−152090号公報
しかしながら、上述した従来の技術においては、以下の様な課題があった。
特許文献1に代表される電気方式では、屈折力安定時(界面安定化時)にも界面を一定曲率に保持するための待機電力が必要である。また、目標の屈折力に達した直後(目標の界面曲率に達した直後)にも界面が変動し易い。また、特許文献2に代表される機械方式では、目標の界面曲率に達するまでに或る程度の時間を要する。また、液体レンズへの振動や加速度によって界面が変動し易い。
上記課題に鑑み、本発明のエレクトロ・ウェッティング現象を用いる液体型光学素子は、界面移動手段と電圧印加手段と連動制御手段を有する。界面移動手段は、筐体に封入された互いに不混和な導電性液体と絶縁性液体により規定される界面の位置を筐体の内壁面に沿って移動させる。電圧印加手段は、筐体の内壁面と境界が接する位置に絶縁層を介して設けられた電極と導電性液体間に電圧を印加する。連動制御手段は、界面移動手段と電圧印加手段の駆動を連動して制御する。
本発明によれば、上記の如き界面移動手段と電圧印加手段を連動して制御できるので、目標の界面状態までの過渡時間等の過程を柔軟に制御できると共に、界面状態安定化時の保持電力を不要ないし低減できる。
電気駆動方式の屈折力可変液体レンズの構成図。 機械駆動方式の屈折力可変液体レンズの構成図。 本発明の実施例1のハイブリッド方式の屈折力可変液体レンズの構成図。 実施例1の様なレンズの界面の曲率変化、及びその機能ブロックを説明する図。 ハイブリッド制御による制御時間、界面曲率変化などを示す図。 制御パラメータを納めたテーブルの構成を示す図。 実施例1の様なレンズの制御の流れを説明するフローチャート。 屈折力検出を利用したハイブリッド方式液体レンズの構成と機能ブロックの図。 屈折力検出を利用したハイブリッド方式液体レンズの制御のフローチャート。 屈折力拡大のためのハイブリッド制御による制御時間などを示す図。 実施例2のハイブリッド制御による制御時間などを示す図。 実施例3のハイブリッド制御による制御時間などを示す図。
本発明の液体型光学素子及び制御方法は、筐体内の導電性液体と絶縁性液体間の界面の位置を移動させる手段及び筐体の内壁面と境界が接する位置にある絶縁層付き電極と導電性液体間に電圧を印加する手段の駆動を連動して制御することを特徴とする。この連動制御は、目標の界面状態にするために、界面移動手段の駆動による寄与と電圧印加手段の駆動による寄与との割合を制御しつつ両手段を駆動し、目標の界面状態に達したところで、その界面状態を維持する駆動状態に両手段を置くことで行われる。こうした構成では、界面移動手段と電圧印加手段の特性を組み合わせて利用するべく、これらを連動して制御するので、目標の界面状態までの過程を柔軟に制御できると共に、界面状態安定化時の保持電力を抑制できる。筐体は、どの様な形状のものでもよいが、例えば、光軸を含む面内での内壁面形状が直線(特に光軸に対して傾いた直線状)又は曲線状である筐体とすれば界面状態を制御し易くなる。温度を計測する温度センサを備えてもよく、この場合、温度センサによる温度計測結果を考慮して、界面移動手段と電圧印加手段の駆動の連動制御が行われる(後述の実施例1参照)。また、屈折力を検出する屈折力検出部を備えてもよく、この場合、屈折力検出結果を考慮して、界面移動手段と電圧印加手段の駆動の連動制御が行われる(後述の実施例1参照)。典型例を示す後述の実施例で説明される様に、連動制御は、場合に応じて様々な態様で実行することができる。
(実施例1)
本発明の実施例1を図1から図7を用いて説明する。本実施例は、電気駆動方式と機械駆動方式を組み合わせたハイブリッド駆動方式を用いた屈折力可変液体レンズに関する。ここでは、電気駆動方式は、エレクトロ・ウェッティング現象により筐体の内壁面と界面の接触角を制御する方式であり、機械駆動方式は、ポンプを用いた液量調整により湾曲した内壁面に沿って界面を移動させて接触角を制御する方式である。まず、図1で電気駆動方式の屈折力可変液体レンズを説明し、次に図2で機械駆動方式の屈折力可変液体レンズの説明を行う。そして、図3で、図1の電気駆動方式と図2の機械駆動方式を組み合わせた本実施例のハイブリッド駆動方式の液体レンズの説明を行う。
電気駆動方式の液体レンズの構成を示す図1は、液体レンズを側面から見た図であり、光軸は図中の上下方向であり、液体レンズは光軸に対して回転対称形状をなしている。101は、液体レンズを保持する透光性の平板状上側部材である。ここでは、アクリル製の透明基板である。102は、上側部材101と同じく液体レンズを保持する透光性の平板状下側部材である。同じくアクリル製の透明基板で構成され、上側部材101と平行に配置され、両者で筐体であるセルが構成される。103は、セル内に封止された導電性液体である。水とエチルアルコールが所定比率で混合され、更に所定量の食塩が加えられた、比重1.06、室温での屈折率1.38の電解液である。導電性液体103は、無機塩の水溶液や、有機液体など、それ自身が導電性を有するもの、或いはイオン性成分を付加することで導電性とされた液体でもよい。比重や屈折率は1つの仕様として提示したものであり、特に上記値に限定されない。104は、導電性液体103と同じくセル内に封止された絶縁性液体である。無色透明で、比重1.06、室温での屈折率1.49のシリコーンオイルをここでは用いる。シリコーンオイルの他、パラフィンオイルの様な、導電性液体103と互いに不混和な絶縁性の液体であればその種類は問わない。液体レンズとして大きな屈折力変化を得るために、絶縁性液体104は導電性液体103よりも屈折率が大きいことが望ましい。
上述した様に、導電性液体103と絶縁性液体104とは、互いに混合することなく、且つ互いに屈折率が異なる。電圧制御部113の印加電圧を変化させることで、導電性液体103と絶縁性液体104とによって形成される界面105(レンズ面)の形状は変化させられる。導電性液体103としては親水性液体を用い、絶縁性液体104としては疎水性液体を用いることができる。これら2つの液体は、比重が等しく、且つ互いに不溶、不混合の液体である結果、2つの液体は界面105を形成し、混じり合わずに各々が独立して存在する。106は、電界がかかっているときの導電性液体103と絶縁性液体104との界面の様子を示す。詳細は後述するが、印加する電界の大きさによって濡れ性が変化し、接触角が変化する。107は、導電性液体103及び絶縁性液体104と電極108との間に配置された絶縁層である。絶縁層107の厚さは、電圧制御部113による駆動電圧を低減するためには1μm以下であることが好ましい。ここでは、Langmuir−Blodgett(LB)法で形成される膜(LB膜)とする。LB法によれば、常温、常圧で、均一な無欠陥の薄膜を得ることができる。絶縁層107の他の例としては、キャストコート膜が挙げられる。この絶縁膜は、有機や無機の化合物(好ましくはフッ素系やシリコン系の樹脂)を溶媒と共にディピングやスピンコートなどの手法を用いて基板上に塗布することにより形成できる。金属酸化物やシリコンなどのスパッタリングにより作製した絶縁膜を用いることも可能である。
111は、導電性液体103と接触する棒状電極である。上記セルの一部には孔が開けられ、ここに棒状電極が挿入される。棒状電極が挿入された孔は接着剤で封止され、セルの液室の密閉性が維持される。電極108と棒状電極111には電圧制御部113が接続され、所望の操作及び制御によって両電極間に所定の電圧が印加される。112は、電圧制御部113と電極108を接続する接続電極である。電圧制御部113は、棒状電極111と電極108間に印加する電圧を制御する。電圧制御の詳細についても後述する。電圧制御部113によって印加される電圧は直流電圧でもよいが、絶縁層107への電荷注入を抑制するために、数10Hz〜数10KHzで変調した交流電圧を用いるのが好ましい。
次に、界面105の形状について説明する。導電性液体103と電極108間に電位差がない場合、界面105の形状は、両液体間の界面張力、導電性液体103と絶縁層107との界面張力、絶縁性液体104と絶縁層107との界面張力、及び絶縁性液体104の体積によって決まる。ここでは、絶縁性液体104の材料であるシリコーンオイルと絶縁層107との界面張力が、導電性液体103と絶縁層107との界面張力に比べて小さくなる様に、材料選定されている。両液体の比重は前述の如く等しいため、重力は作用しない。そのため、絶縁性液体104と絶縁層107との接触角θ1は90°以下となり、図示の様な破線で示す界面105を形成することになる。
一方、導電性液体103と電極108間に電位差が発生すると、電気毛管現象(エレクトロ・ウェッティング現象)によって導電性液体103と絶縁層107との界面エネルギーが減少し、絶縁性液体104の外縁が導電性液体103により侵食される。その結果、界面は105の破線で示された形状から、実線で示された106の形状へと変化する。この様に導電性液体103と電極108間に電位差が発生すると、2種類の液体と絶縁層107における界面エネルギーの釣り合いが変化し、両液体間の界面の形状が変わる。こうして、電圧制御部113による電界制御で界面105の形状を自在に変えられる光学素子が実現できる。導電性液体103及び絶縁性液体104が異なる屈折率を有するため、光学レンズとしてのパワーが付与されることになり、図1の液体レンズは、界面105の形状変化可能な屈折力可変レンズ(可変焦点レンズ)となる。
図1において、電極108と棒状電極111との間に電圧を印加したときの接触角はθ2で示されている。θ2を電圧Vの関数として表現したθ2(V)は、絶縁層107の層厚をt、絶縁層107の比誘電率をε、絶縁性液体104と絶縁層107の界面エネルギーをγ、真空の誘電率をε0とすると、次の式(1)で与えられる。
cosθ2(V)−cosθ1=ε0*ε*V*V/(2*t*γ)・・・(1)
式(1)から、印加電圧の制御によってθ2を変化させ、界面106の形状を制御できることが分かる。以上、図1の構成要素により、エレクトロ・ウェッティング現象を利用した電気駆動方式の屈折力可変液体レンズが構成できる。
次に、図2に示す機械駆動方式の屈折力可変液体レンズを説明する。図1と同様な図である図2(a)、(b)の液体レンズにおいて、互いに屈折率の異なる第1の液体201と第2の液体202が、互いに混合することなくセル内に封止されている。203は、第1の液体201と第2の液体202を封入している筐体の壁面部材である。第1の液体201と第2の液体202の接触角α(図1との対応ではα=180°−θ1)は常に一定であるため、壁面部材203の曲率により第1の液体201と第2の液体202の界面形状が規定される。109は、液体レンズの第1及び第2の液体201、202夫々に連通する流路を備える圧力室である。圧力室109内で、第1の液体201と第2の液体202は圧力駆動部110a、110bにより離隔されている。圧力駆動部110a、110bは、マイクロポンプによる加圧又は減圧で第1の液体201と第2の液体202の体積比率を調整する。マイクロポンプは、圧電素子を利用したピエゾアクチュエータなどである。液量制御部114からの駆動電圧に応じた圧電素子の変形(伸縮)を利用して圧力駆動部110a、110bを駆動する。液量制御部114は、圧力駆動部110a、110bを連動制御する。圧力駆動部110a、110bを逆位相で駆動して界面の位置を変化させる。具体的には、第1の液体201を加圧するときは第2の液体202を減圧し、界面205の位置を206まで下降させて曲率を変化させる。同様に、第1の液体201を減圧するときは第2の液体202を加圧し、界面205の位置を204まで上昇させて曲率を変化させる。すなわち、液体レンズセル内の第1及び第2の液体201、202の体積比率を調整して界面形状を制御する。この場合は、接触角を調整して界面形状を制御するのではないので、筐体の内壁面形状が直線(特に光軸に対して傾いた直線状)又は曲線状であることが好ましい。
前記界面205の形状について説明する。界面205の形状は、両液体間の界面張力、第1の液体201と壁面部材203との界面張力、第2の液体202と壁面部材203との界面張力、及び第1の液体201(第2の液体202)の体積によって決まる。ここでは、第2の液体202と壁面部材203との界面張力が、第1の液体201と壁面部材203との界面張力に比べて小さくなる様に、材料選定されている。両液体の比重は前述の如く等しいため重力は作用しない。そのため、第2の液体202と壁面部材203との接触角αは90°以上となり、図2の様な界面205を形成することになる。
液量制御部114によって圧力駆動部110aと圧力駆動部110bを制御して、液体レンズセル内の第1の液体201と第2の液体202の体積比率を調整する場合を考える。ここでは、体積比に偏りができるほど、界面が接する壁面部材203の内壁面は光軸に対して角度を有する形状になっており、且つ、第1の液体201と第2の液体202の接触角αは常に一定である。そのため、体積比によって界面は205の破線で示された形状から、実線で示された204や206の状態へと変化する。
図2(a)は、壁面部材203の壁面の形状が光軸に対して回転対称で、且つ、光軸に垂直で液体レンズセルの構造上の重心を通る軸に対しても回転対称な液体レンズセル構造の例である。この場合、界面205の位置を上昇させる制御の方が、界面205の位置を下降させる制御に比較して曲率変化が大きい。すなわち、界面205の位置を上昇させるか、下降させるか、によって界面の曲率の変化率が異なる。一方、図2(b)は、壁面203の形状が光軸に対して回転対称であるが、光軸に垂直で液体レンズセルの構造上の重心を通る軸に対しては回転非対称な液体レンズセル構造の例である。界面205の位置を上昇させる制御と界面205の位置を下降させる制御とで、曲率変化が等しくなる様に壁面部材203の壁面形状を規定している。そのため、正方向にも負方向にも同じパワーをもつ液体レンズとすることができる。正方向にも負方向にもパワーに偏りがないため、光軸の方向に依存しない液体レンズとなる。
図2(a)や図2(b)の壁面形状の様に、或る方向でパワーの変化を大きくする液体レンズや、正負方向で同じパワー変化を得られる液体レンズなど、所望の液体レンズの特性に合わせて最適な壁面形状とすることができる。以上、図2で説明した構成要素により、機械駆動方式の屈折力可変液体レンズが構成できる。
以上の2つの方式を組み合わせて電気駆動と機械駆動を連動して制御するハイブリッド方式の屈折力可変液体レンズの実施例1の構成が図3に示されている。図1と図2で説明した構成要素を用いてハイブリッド方式屈折力可変液体レンズは構成できるため、図3のハイブリッド方式の構成要素のうち、図1と図2の構成要素と対応するものは同符号で示す。図1、図2と重複する個別構成要素の説明は省略し、ハイブリッド方式に特徴的な内容を説明する。115は、電気駆動と機械駆動を連動制御する連動制御部である。本実施例では、電気駆動と機械駆動のハイブリッド駆動によって界面の状態(曲率など)が定まる。電気駆動の特徴である所望の界面曲率までの過渡時間(液体レンズが所望の屈折力を得るまでの時間)を短縮できるという効果と、機械駆動の特徴である界面安定化時の保持電力が不要になるという効果を両立するよう駆動を制御するのが連動制御部115である。詳細は図4と図5で説明する。以上、図3の構成要素により、電気駆動方式と機械駆動方式のハイブリッド駆動による屈折力可変液体レンズが構成できる。
図4(a)から(c)は、ハイブリッド方式屈折力可変液体レンズの界面の曲率変化を示す図である。実際には電圧制御(電気駆動)と液量制御(機械駆動)で界面の曲率を変化させるが、界面の状態(曲率)を中心に説明するため液体レンズのセルのみを示す。図4(a)から(c)夫々において実線で示された界面の形状が説明の対象である。図4(a)は、初期状態での界面の形状を示す。電圧制御(電気駆動)、液量制御(機械駆動)ともに行われていない場合に、実線で示された界面401を形成する。界面401の形状は、両液体間の界面張力、導電性液体103と絶縁層107との界面張力、絶縁性液体104と絶縁層107との界面張力、及び絶縁性液体104の体積によって決まる。本実施例では、絶縁性液体104と絶縁層107との界面張力が、導電性液体103と絶縁層107との界面張力に比べて小さくなる様に、材料選定されている。両液体の比重は前述の如く等しいため重力は作用しない。そのため、絶縁性液体104と絶縁層107との接触角θ1は90°以下となり、図4(a)の様な界面が形成される。この界面401は、図1の界面105、図2(b)の界面205と同じ状態と解釈することもできる。
図4(b)は、駆動初期段階での界面の形状を示す。電圧制御(電気駆動)が行われ、液量制御(機械駆動)が行われていない場合に、実線で示された界面402を形成する。導電性液体103と電極108間に電界が発生すると、エレクトロ・ウェッティング現象によって導電性液体103と絶縁層107の界面エネルギーが減少し、絶縁性液体104の外縁が導電性液体103により侵食される。その結果、界面は401の破線で示された形状から、実線で示された402の状態へと変化する。絶縁性液体104と絶縁層107との接触角はθ2となり、θ1よりも大きくなる(上記式(1)参照)。この界面402は、図1の界面106と同じ状態と解釈することもできる。
図4(c)は、駆動終期段階での界面の状態、すなわち屈折力安定時の界面の状態を示す。界面402と同じ形状であるが、界面と壁面部材との接触面の位置が異なる。これは、屈折力安定時には絶縁層107の曲率で導電性液体103と絶縁性液体104の界面形状を規定して(つまり、電界による接触角の制御で規定するのではない)、待機電力を不要とするためである。界面402から界面403への変化の過程は図5で詳述する。以上、図4(a)から(c)における界面形状の変遷は、ハイブリッド駆動の制御により実現できる。
図4(d)は、ハイブリッド方式屈折力可変液体レンズの機能ブロック図である。この液体レンズの機能ブロックは、電圧制御部113、液量制御部114、連動制御部115、及び夫々の制御部に電源を供給する電源505から構成される。電源505は、乾電池や蓄電池等の直流電源である。CPU501、DC/DCコンバータ506、509への給電の他、液体レンズを始めとする他の制御機構の動作に必要な電力を供給する。電圧制御部113は、DC/DCコンバータ506、棒状電極111と接続電極112へ供給する電圧値まで電圧を増幅するアンプ507と508から構成される。DC/DCコンバータ506は、CPU501の制御信号に応じて、電源505から供給される電圧を所望の電圧値へと昇圧する。エレクトロ・ウェッティング動作を行うには、一般的には数百ボルトの電圧が必要となる。棒状電極111及び接続電極112に供給する信号レベルは、DC/DCコンバータ506で昇圧された電圧レベルを基に増幅される。CPU501の制御信号に応じて、電源505の出力電圧が、DC/DCコンバータ506、アンプ507及びアンプ508によって所望の電圧値、周波数、及びデューティで液体レンズに印加される。
接続電極112に接続しているアンプ508は、CPU501の制御信号により、所望の周波数、デューティ比で矩形波形の電圧を出力する。一方、棒状電極111に接続しているアンプ507からは、同じくCPU501の制御信号により、アンプ508とは逆位相で、同一周波数、同一デューティ比の矩形波形の電圧が出力される。これにより、液体レンズの棒状電極111と接続電極112との間の電圧は夫々の電極に印加される電圧(グランドからの電位)の2倍の値の矩形波形の電圧、つまり交流電圧となる。こうして、電圧制御部113によって液体レンズには交流電圧が印加される。なお、ここでの説明は、過渡応答制御後の安定した状態での印加電圧についてであり、過渡応答制御用の電圧は直流電圧である。
液量制御部114は、DC/DCコンバータ509から構成される。DC/DCコンバータ509は、CPU501の制御信号に応じて、電源505から供給される電圧を、圧力駆動部110a、110bの駆動電圧に変換して供給する。DC/DCコンバータ509からの2系統の出力は、圧力駆動部110a及び圧力駆動部110bに夫々接続している。DC/DCコンバータ509への入力は実際の印加電圧を生成する元となる電源505からの電圧であり、CPU501の制御信号により所望の振幅の電圧が出力される。2系統の出力は互いに逆位相であり、同一振幅の直流電圧が出力される。これにより、圧力駆動部110a、110bは互いに逆方向の動作(一方が加圧のときは他方は減圧)を行い、液体レンズセル内の2液の体積比を調節する。
連動制御部115は、制御演算、駆動信号の制御を行うCPU501、CPU501内に内蔵されている時間計測用のタイマー502、CPU501のバスに接続されるROM503とRAM504から構成される。CPU501は、電圧制御部113と液量制御部114の連動制御を行う組み込み型のCPUである。電圧制御部113と液量制御部114夫々へ印加する電圧の値、印加のタイミング及び印加電圧のデューティ比の制御を行う。また、本実施例の液体レンズが組み込まれた光学装置全体の制御も行う。タイマー502は、本実施例ではCPU501に内蔵されているが、CPUの周辺回路として外付けされる構成でもよい。タイマー502は、過渡応答制御における制御時間をカウントするのに使用される。ROM503は、後述する制御用の参照テーブル(LUT)やCPU501に各種制御を実行させるためのプログラムやデータが格納されている。不揮発性のメモリであるFlashメモリ等が使用される。RAM504は、CPU501が各種制御や処理を行うために用いるワークエリア、液体レンズの状態や装置の環境情報等を格納する。リフレッシュが必要なDRAMやリフレッシュ動作が不要なSRAM等、速度やコストを考慮して適したデバイスを採用する。以上、図4(d)の機能ブロックにより、ハイブリッド駆動方式を用いた屈折力可変液体レンズが構成できる。
電気駆動と機械駆動の連動制御の一例を図5で説明する。図5において、(a)は焦点距離と制御時間との関係を示し、(b)は電気駆動による焦点距離と時間(実線)、電気駆動の印加電圧と時間(鎖線)を示し、(c)は機械駆動による焦点距離と時間(実線)、機械駆動の印加電圧と時間(鎖線)を示す。焦点距離の軸(左側縦軸)と時間軸(横軸)のスケールは(a)、(b)、(c)で一致している。従って、(b)に示す電気駆動による焦点距離と(c)に示す機械駆動による焦点距離を加算したものが、(a)に示す焦点距離となる。
図5(a)において、601は、目標の焦点距離である。602は、現在の焦点距離の値である。現在の焦点距離602は目標値601よりも短い場合を想定している。603は、現在の状態(焦点距離が602の状態)から目標の状態(焦点距離が601の状態)へと変化させるタイミングt0を示す。604は、第1の過渡応答制御が終了したタイミングt1を示す。t1は、目標の状態(焦点距離が601の状態)へ到達したタイミングでもある。605は、時刻t0から時刻t1までの第1の過渡応答制御を行う時間Tfである。606は、第1の過渡応答制御を開始したタイミング603から第1の過渡応答制御が終了するタイミング604までの過渡的な焦点距離の状態を示す。図示する様に目標値601に漸近していく。607は、第2の過渡応答制御が終了したタイミングt2を示す。608は、時刻t1から時刻t2までの第2の過渡応答制御を行う時間Tsである。609は、目標状態に到達したタイミング604以降の焦点距離の状態を示す。
図5(b)において、610〜613は、電気駆動が焦点距離制御に与える効果だけを仮定した場合(機械駆動による焦点距離制御の効果を無視した場合)の焦点距離推移を示す。610は、現在の焦点距離の値であり、焦点距離602と同じ値である。611は、電気駆動が焦点距離制御に与える効果だけを仮定した場合の、タイミング603からタイミング604までの過渡的な焦点距離の状態を示す。612は、同様に仮定した場合の、タイミング604からタイミング607までの過渡的な焦点距離の状態を示す。613は、同様に仮定した場合の、第2の過渡応答制御が終了したタイミング607以降の焦点距離の状態を示す。614は、第1の過渡応答制御において電気駆動で必要とされる印加電圧を示す。ただし、電気駆動と機械駆動のハイブリッド方式により目標の焦点距離601に到達するため、電気駆動の印加電圧だけでは目標の焦点距離601には到達しない。615〜618は、電気駆動における棒状電極111と電極108間の電位差の推移を示す。この電気駆動における制御電圧はLUT(図6(a)のテーブル1)から読み出した値を用いる。615は、棒状電極111と電極108間の電位差(零)を示し、電気駆動による制御は行われていない。616は、第1の過渡応答制御において電気駆動で必要とされる制御電圧を示す。第1の過渡応答制御開始のタイミング603で目標値へ制御するための電圧値へと変更する。617は、第2の過渡応答制御において電気駆動で必要とされる制御電圧を示す。618は、第2の過渡応答制御が終了したタイミング607以降の制御電圧の状態を示す。
図5(c)において、619〜621は、機械駆動が焦点距離制御に与える効果だけを仮定した場合(電気駆動による焦点距離制御の効果を無視した場合)の焦点距離の推移を示す。619は、現在の焦点距離の値であり、焦点距離602と同じ値である。620は、同様に仮定した場合の、第1の過渡応答制御を開始したタイミング603から第2の過渡応答制御が終了するタイミング607までの過渡的な焦点距離の状態を示す。第1の過渡応答制御と第2の過渡応答制御とで、焦点距離は同じ応答を示す。621は、同様に仮定した場合の、第2の過渡応答制御が終了したタイミング607以降の焦点距離の状態を示す。622は、第1の過渡応答制御が終了するタイミング604で、機械駆動で必要とされる印加電圧を示す。623は、第2の過渡応答制御が終了するタイミング607で、機械駆動で必要とされる印加電圧を示す。624〜626は、機械駆動における圧力駆動部110a、110bにおける印加電圧の推移を示す。この機械駆動における制御電圧は、LUT(図6(a)のテーブル1)から読み出した値を用いる。624は、圧力駆動部110a、110bへの印加電圧(零)であり、機械駆動による制御は行われていない。625は、第1の過渡応答制御及び第2の過渡応答制御において機械駆動で必要とされる制御電圧を示す。626は、第2の過渡応答制御が終了したタイミング607以降の機械駆動で必要とされる制御電圧の状態を示す。第2の過渡応答制御が終了したタイミング607で、圧力駆動部のアクチュエータを固定するため、待機電力が不要となる。
図5に示す第1の過渡応答制御では、短時間で目標の焦点距離に到達することを目的とする。そのため、電気駆動を主たる駆動源とし、電気駆動は一定電圧を印加して焦点距離を短時間で変化させ、機械駆動は第1の過渡応答制御時間を更に短くするために補助的に用いる。これにより、第1の過渡応答制御が終了するタイミング604で、目標の焦点距離601に到達する。第2の過渡応答制御では、電気駆動の印加電圧(棒状電極111と電極108間の電位差)を徐々に減少させ、その焦点距離変動を相殺する様に、機械駆動の印加電圧(圧力駆動部110a、110bへの印加電圧の振幅)を徐々に増加させる。図5では、機械駆動の印加電圧の変化率を一定とし、機械駆動による焦点距離変動を相殺する様に電気駆動の印加電圧を制御(減少)する手法を示す。第2の過渡応答制御が終了するタイミング607で、圧力駆動部のアクチュエータを固定し界面曲率保持制御に移行する。
図6は、制御パラメータを納めたテーブルの構成である。図6(a)には制御パラメータ参照用テーブル1の内容を示す。このテーブル1には、焦点距離、第1の過渡応答制御の電気駆動電圧V1e、第1と第2の過渡応答制御の機械駆動電圧Vm、第1の過渡応答制御時間Tf、第2の過渡応答制御の電気駆動電圧V2e、第2の過渡応答制御時間Tsが組として格納されている。第2の過渡応答制御の電気駆動電圧V2eはテーブルで構成されており、図6(b)には焦点距離N=N0のときのテーブル内容を例として示す。本実施例では、目標の焦点距離と他の電圧や印加時間との対応をセットとして各々の値を格納しているが、メモリ容量削減のためには、任意の焦点距離と他の電圧や印加時間との差分データを格納する構成でもよい。また、焦点距離を実現するための制御電圧は、環境条件、特に液体レンズセル内の液体の温度によって変わるため、環境条件に対応した参照用テーブルを複数保持する構成が望ましい。この場合、環境条件を計測するためのセンサが必要となり、これにより任意のタイミングで環境条件を把握し、参照用のテーブルを選択することになる。実際に格納する制御パラメータは、実験で得た値を使用することができる。
図7は、本実施例の制御の流れを説明するフローチャートである。このフローチャートにおいて、ステップS801では、モードを把握する。過渡時間短縮モードか、屈折力拡大モード(図10で説明)か、がユーザにより予め設定され、CPU501によってその値がRAM504に格納される。ステップS802では、環境条件を把握する。図3では不図示の温度センサによって液体レンズ近傍又は液体レンズセル内の温度を計測し、CPU501によってその値を把握する。把握した計測値はRAM504内に格納する。ステップS803では、現在の焦点距離を把握する。現在の焦点距離はRAM504内の所定のアドレスに格納されているものとする。ステップS804では、到達目標の焦点位置へ変化させるための制御後の焦点距離を把握する。ここまでのステップS801からS804までの動作は順番を入れ替えてもよい。ステップS805では、これまでの情報把握の結果より、まず環境条件が一致する参照用テーブルであるLUTを選択する。現在の焦点距離、制御後の焦点距離の値を基に、所望の制御を行うのに必要な安定化時の電圧、過渡応答制御時の電圧及び過渡応答制御時間をROM503又はRAM504上に展開したLUTより読み込む。ステップS806では、LUTで参照した値を基に第1の過渡応答制御を開始する。
ステップS807では、過渡応答制御時間の管理のため、タイマーに所定時間をセットすると共に、第1の過渡応答制御を開始する。タイマーにセットする所定時間とは、第1の過渡応答制御を継続する時間であり、LUT(図6(a)のテーブル1)から読み出した値を用いる。ステップS808では、時間がタイマーにセットした第1の過渡応答制御の所定時間に達したかどうかを判断する。所定時間に達しない場合は、ステップS808へ戻りループを繰り返す。所定時間に達した場合、すなわち、第1の過渡応答制御時間の終了をタイマーのタイムアウトによって検知したときには、第1の過渡応答制御を終了する。ステップS809では、過渡時間短縮モードか、屈折力拡大モードか、を判断する。ステップS801でRAM804に格納したモード情報を読み出し、過渡時間短縮モードならばステップS810へ、屈折力拡大モードならばステップS811へ進む。ステップS810では、制御の切り替えを行う。第1の過渡応答制御から第2の過渡応答制御へ切り替え、LUTで参照した値を基に第2の過渡応答制御を開始する。ステップS811では、過渡応答制御時間の管理のため、タイマーに所定時間をセットすると共に、第2の過渡応答制御を開始する。タイマーにセットする所定時間とは、第2の過渡応答制御を継続する時間であり、LUT(図6(a)のテーブル1)から読み出した値を用いる。ステップS812では、時間がタイマーにセットした第2の過渡応答制御の所定時間に達したかどうかを判断する。所定時間に達しない場合は、ステップS812へ戻りループを繰り返す。所定時間に達した場合、すなわち、第2の過渡応答制御時間の終了をタイマーのタイムアウトによって検知したときには、第2の過渡応答制御を終了する。ステップS813では、制御の切り替えを行う。第2の過渡応答制御から安定制御へ切り替える。ステップS814では、第1の過渡応答制御で到達した焦点距離の値を把握し、現在の焦点距離として値を更新する。以上、図7で説明した処理ステップにより、屈折力可変液体レンズのハイブリッド制御を実現する。この様に、過渡時間短縮モードにおいて、以上の制御方法では次の第1のステップから第4のステップが実行される。第1のステップでは、第1の屈折力から第2の屈折力に向かって屈折力に変化させる様に、界面移動手段(液量制御部)と電圧印加手段(電圧制御部)を同時に連動して駆動する。第2のステップでは、第2の屈折力に達したことを判定する。第3のステップでは、界面移動手段による駆動を継続すると共に第2の屈折力を保持するための量だけ電圧印加手段を駆動する。第4のステップでは、電圧印加手段による界面制御力がなくなったことを判定し第2の屈折力を保持しつつ界面移動手段の駆動を停止する。
次に、構成と機能ブロックを示す図8及び制御フローを示す図9を用いて、液体レンズが屈折力検出部を有する変形例を説明する。図6や図7では、過渡応答制御の時間として参照テーブル(LUT)に予め保持している値を使用していた。この変形例では、LUTに保持する時間情報を用いる以外の方法として、屈折力検出部901で検出した液体レンズの屈折力をフィードバックして過渡応答制御を実施する。基本的な構成要素は、図3及び図4(d)で説明したハイブリッド方式屈折力可変液体レンズと同じである。図8(a)、(b)に構成と機能ブロックを示す変形例では、赤外光源902及び受光素子903を有し、赤外光情報を基に屈折力検出部901が連動制御部115(これのCPU501)と通信することに特徴がある。屈折力検出の手法例としては、液体レンズの平板状上側部材101端部に取り付けた赤外光源902からの光を、平板状下側部材102端部に取り付けた受光素子903で受光する。そして、受光した赤外光の情報は屈折力検出部901に送られ、屈折力検出部901で、赤外光の2次元的な広がりや強度、中心位置から界面の状態、屈折力を検出する。
図9は、屈折力検出を利用したハイブリッド方式屈折力可変液体レンズの制御の流れを説明するフローチャートである。ステップS1001では、環境条件を把握する。図9では不図示の温度センサによって液体レンズ近傍又は液体レンズセル内の温度を計測し、CPU501によってその値を把握する。把握した計測値はRAM504内に格納する。ステップS1002では、現在の焦点距離を把握する。現在の焦点距離はRAM504内の所定のアドレスに格納されているものとする。ステップS1003では、到達目標の焦点位置へ変化させるための制御後の焦点距離を把握する。ここまでのステップS1001からS1003までの動作は順番を入れ替えてもよい。ステップS1004では、これまでの情報把握の結果より、まず環境条件が一致する参照用テーブルであるLUTを選択する。現在の焦点距離、制御後の焦点距離の値を基に、所望の制御を行うのに必要な安定化時の電圧、過渡応答制御時の電圧及び過渡応答制御時間をROM503又はRAM504上に展開したLUTより読み込む。ステップS1005では、LUTで参照した値を基に第1の過渡応答制御を開始する。ステップS1006では、屈折力検出部901で液体レンズの屈折力を検出しCPU501へ通信する。ステップS1007では、液体レンズの屈折力が第1の過渡応答制御で目標とする屈折力に達したかどうかを判断する。所定屈折力に達しない場合は、ステップS1006へ戻りループを繰り返す。所定屈折力に達した場合、すなわち、液体レンズが目標の屈折力となったときには、第1の過渡応答制御を終了する。
ステップS1008では、制御の切り替えを行う。第1の過渡応答制御から第2の過渡応答制御へ切り替え、LUTで参照した値を基に第2の過渡応答制御を開始する。ステップS1009では、第2の過渡応答制御での電気駆動の印加電圧(棒状電極111と電極108間の電位差)が零になったかどうかを判断する。電気駆動の印加電圧が零に達しない場合は、ステップS1009へ戻りループを繰り返す。所定印加電圧に達した場合には、第2の過渡応答制御を終了する。電気駆動の印加電圧にはLUT(図6(b))から読み出した値を用いる。ステップS1010では、制御の切り替えを行う。第2の過渡応答制御から安定制御へ切り替える。ステップS1010では、第1の過渡応答制御で到達した焦点距離の値を把握し、現在の焦点距離として値を更新する。
図7のフローチャートでは、タイマー設定時間を用いて第1の過渡応答制御の目的を達したかどうかを判断した(S808)。一方、図9のフローチャートでは、屈折力検出部901からのリアルタイムの屈折力のフィードバックを用いて第1の過渡応答制御の目的を達したかどうかを判断する(S1007)。また、第2の過渡応答制御において、屈折力検出部901からのフィードバックを、液体レンズの屈折力が変化しない様な電気駆動の印加電圧の制御に用いることができる。
図8及び図9の構成では、液体レンズの屈折力をリアルタイムでフィードバックするために環境条件の把握のステップ(S1001)を省略することもでき、簡略なフロー、データ量を削減したLUTで屈折力可変液体レンズを構成することもできる。以上の図3から図9で説明した実施例1によれば、電気駆動と機械駆動のハイブリッド駆動方式を用いる液体レンズにおいて、目標の界面曲率までの過渡時間を短縮できると同時に、界面安定化時の保持電力が不要になる。
次に、上記接触角を制御する電気駆動と界面位置を制御する機械駆動のハイブリッド駆動による相乗効果を用いて、液体レンズの屈折力変化を拡大する別の変形例を説明する。これは、図7のステップS801でのモードの選択で、屈折力拡大モードを選択する例に係る。上記過渡時間短縮モードでは、第1の過渡応答制御と第2の過渡応答制御として2つの異なる制御を考えていたが、屈折力拡大モードでは1つの過渡応答制御のみを有する。すなわち、第1の過渡応答制御と第2の過渡応答制御で制御内容が同一である。過渡時間短縮モードと屈折力拡大モードとでは、制御用の参照テーブル(LUT)の構成や値は異なるものとなる。
屈折力拡大のためのハイブリッド制御による制御時間と界面曲率変化、及び電気駆動・機械駆動の関係を示す図10の約束事も図5と同じである。そのため、図10(b)に示す電気駆動による焦点距離と図10(c)に示す機械駆動による焦点距離を加算したものが、図10(a)に示す焦点距離となる。
図10(a)において、1101は、第1の過渡応答制御で目標とする焦点距離(第2の屈折力)である。1102は、第2の過渡応答制御で目標の焦点距離(第3の屈折力)である。1103は、現在の焦点距離の値であり、目標値1101、1102よりも短い場合を想定している。1104は、現在の状態から第1の過渡応答制御での目標状態へと変化させるタイミングt0を示す。1105は、第1の過渡応答制御が終了したタイミングt1を示し、t1は第1の過渡応答制御での目標状態へ到達したタイミングでもある。1106は、時刻t0から時刻t1までの第1の過渡応答制御を行う時間Tfを示し、1107は、タイミング1104からタイミング1105までの過渡的な焦点距離の状態を示す。図示する様に第1の過渡応答制御の目標値1101に漸近していく。1108は、第2の過渡応答制御が終了したタイミングt2を示し、1109は、時刻t1から時刻t2にまでの第2の過渡応答制御を行う時間Tsを示す。1110は、タイミング1105からタイミング1108までの過渡的な焦点距離の状態を示す。1111は、第2の過渡応答制御での目標状態に到達したタイミング1108以降の焦点距離の状態を示す。
1112〜1114は、電気駆動が焦点距離制御に与える効果だけを仮定した場合の、焦点距離の推移を示す。1112は、現在の焦点距離の値であり、1103と同じ値である。1113は、同様に仮定した場合の、タイミング1104からタイミング1105までの過渡的な焦点距離の状態を示す。実際に液体レンズの過渡応答が観察されるのは第1の過渡応答制御であり、第2の過渡応答制御では定常応答を示す。1114は、同様に仮定した場合の、第1の過渡応答制御が終了したタイミング1105以降の焦点距離の状態を示す。1115は、第1及び第2の過渡応答制御において電気駆動で必要とされる印加電圧を示す。ここでは、上記接触角を維持するために印加電圧は該必要印加電圧に維持される。ただし、電気駆動と機械駆動のハイブリッド方式により目標の焦点距離に到達するため、電気駆動の印加電圧だけでは目標の焦点距離には到達しない。1116、1117は、電気駆動における棒状電極111と電極108間の電位差の推移を示す。この電気駆動における制御電圧は、LUTから読み出した値を用いる。1116の電位差は零であり、電気駆動による制御は行われていない。1117は、第1の過渡応答制御を開始するタイミング1104以降において電気駆動で必要とされる制御電圧の状態を示す。
1118〜1120は、機械駆動が焦点距離制御に与える効果だけを仮定した場合の焦点距離の推移を示す。1118は、現在の焦点距離の値であり、1103と同じ値である。1119は、同様に仮定した場合の、第1の過渡応答制御を開始したタイミング1104から第2の過渡応答制御が終了するタイミング1108までの過渡的な焦点距離の状態を示す。第1の過渡応答制御と第2の過渡応答制御とで、焦点距離は同じ応答を示す。1120は、同様に仮定した場合の、第2の過渡応答制御が終了したタイミング1108以降の焦点距離の状態を示す。1121は、第1の過渡応答制御が終了するタイミング1105で、機械駆動で必要とされる印加電圧を示す。1122は、第2の過渡応答制御が終了するタイミング1108で、機械駆動で必要とされる印加電圧を示す。1123〜1125は、機械駆動における圧力駆動部110a、110bでの印加電圧の推移を示す。この機械駆動における制御電圧はLUTから読み出した値を用いる。1123は、圧力駆動部への印加電圧(零)を示し、機械駆動による制御は行われていない。1124は、第1の過渡応答制御及び第2の過渡応答制御において機械駆動で必要とされる制御電圧を示す。1125は、第2の過渡応答制御が終了したタイミング1108以降の機械駆動で必要とされる制御電圧の状態を示す。タイミング1108で圧力駆動部のアクチュエータを固定するため、待機電力が不要となる。屈折力拡大モードは、ハイブリッド方式を利用して、電気駆動だけや機械駆動だけでは到達できない焦点距離を実現することを目的とする。そのために、図10の例では1種類の制御内容の過渡応答制御のみを有する制御方法を示したが、それに限らず、2種類以上の制御内容の過渡応答制御を有する制御方法としてもよい。
以上に説明した様に、図10で説明した変形例の制御方法では次の第1のステップから第4のステップが実行される。第1のステップでは、第1の屈折力から第2の屈折力に向かって屈折力に変化させる様に、界面移動手段(液量制御部)と電圧印加手段(電圧制御部)を同時に連動して駆動する。第2のステップでは、第2の屈折力に達したことを判定する。第3のステップでは、第2の屈折力から第3の屈折力に向かって屈折力に変化させる様に、電圧印加手段による駆動を維持すると共に界面移動手段を駆動する。第4のステップでは、第3の屈折力に達したことを判定し電圧印加手段による駆動を維持して第3の屈折力を保持しつつ界面移動手段の駆動を停止する。この変形例によれば、上記接触角を制御する電気駆動と上記界面位置を制御する機械駆動のハイブリッド駆動による相乗効果を用いて、液体レンズの屈折力変化を拡大することができる。
以上で説明した実施例1(過渡時間短縮モードと屈折力拡大モード)によれば、電気駆動と機械駆動のハイブリッド駆動方式を用いる液体レンズにおいて、目標の界面曲率までの過渡時間を短縮できると同時に、界面安定化時の保持電力を不要又は低減できる。
(実施例2)
本発明の実施例2を説明する。液体レンズの界面曲率が目標値に達したあと(液体レンズの焦点距離が目標値に達したあと)の機械駆動と電気駆動の連動制御は、界面曲率を目標値に安定させたまま行う必要がある。そのため、機械駆動、電気駆動夫々による界面曲率変化率が小さくなる様に駆動制御することで、目標の界面曲率に達した直後の界面曲率の変動を抑制し、界面曲率の安定を保つことができる。本実施例では、液体レンズの界面曲率が目標値に達したあとは、機械駆動、電気駆動夫々による界面曲率変化率が小さくなる様に駆動制御する。液体レンズの構成や機能ブロックなどは、実施例1で説明した図3〜図7を前提とする。本実施例の特徴は、図11に示す制御時間と界面曲率変化、及び電気駆動・機械駆動の関係であり、図11は実施例1の図5に相当する。本実施例では、第2の過渡応答制御を図5のそれと比して長い時間で実施し、機械駆動、電気駆動夫々による界面曲率変化率を小さくする。つまり、界面移動手段の駆動を継続すると共に第2の屈折力を保持するための量だけ電圧印加手段を駆動するステップの駆動時間を、第1の屈折力から第2の屈折力へ屈折力に変化させる様に両手段を同時に連動して駆動するステップの駆動時間を長くする。図11では、図5との過渡応答時間の違いを分かり易くするために、第3の過渡応答制御を追加して説明する。
実施例2でのハイブリッド制御による制御時間と界面曲率変化、及び電気駆動・機械駆動の関係を示す図11において、図5と同等の箇所は同じ符号で示す。図11の約束事も図5と同じである。従って、図11(b)に示す電気駆動による焦点距離と図11(c)に示す機械駆動による焦点距離を加算したものが、図11(a)に示す焦点距離となる。第1の過渡応答制御が終了したタイミング604までは図5と同様である。1201は、第3の過渡応答制御が終了したタイミングt3を示す。1202は、時刻t1から時刻t3までの第2及び第3の過渡応答制御を行う時間Tsを示す。図11(b)において、610、611、1212、1213は、電気駆動が焦点距離制御に与える効果だけを仮定した場合の、焦点距離の推移を示す。1212は、同様に仮定した場合の、第2の過渡応答制御を開始したタイミング604から第3の過渡応答制御が終了するタイミング1201までの過渡的な焦点距離の状態を示す。1213は、同様に仮定した場合の、第3の過渡応答制御が終了したタイミング1201以降の焦点距離の状態を示す。615、616、1217、1218は、電気駆動における棒状電極111と電極108間の電位差の推移を示す。この電気駆動における制御電圧は、LUT(図6(a)のテーブル1)から読み出した値を用いる。1217は、第2及び第3の過渡応答制御において電気駆動で必要とされる制御電圧を示し、1218は、第3の過渡応答制御が終了したタイミング1201以降の制御電圧の状態を示す。
図11(c)において、619、1220〜1222は、機械駆動が焦点距離制御に与える効果だけを仮定した場合の焦点距離の推移を示す。1220は、同様に仮定した場合の、第1の過渡応答制御を開始したタイミング603から第1の過渡応答制御が終了するタイミング604までの過渡的な焦点距離の状態を示す。1221は、同様に仮定した場合の、第2の過渡応答制御を開始したタイミング604から第3の過渡応答制御が終了するタイミング1201までの過渡的な焦点距離の状態を示す。第2の過渡応答制御と第3の過渡応答制御とで、焦点距離は同じ応答を示す。1222は、同様に仮定した場合の、第3の過渡応答制御が終了したタイミング1201以降の焦点距離の状態を示す。1223は、第3の過渡応答制御が終了するタイミング1201で、機械駆動で必要とされる印加電圧を示す。624、1225〜1227は、機械駆動での圧力駆動部110a、110bにおける印加電圧の推移を示す。この機械駆動における制御電圧は、LUT(図6(a)のテーブル1)から読み出した値を用いる。1225は、第1の過渡応答制御において機械駆動で必要とされる制御電圧を示す。1226は、第2及び第3の過渡応答制御において機械駆動で必要とされる制御電圧を示す。1227は、第3の過渡応答制御が終了したタイミング1201以降の機械駆動で必要とされる制御電圧の状態を示す。第3の過渡応答制御が終了したタイミング1201で圧力駆動部のアクチュエータを固定するため、待機電力が不要となる。
第1の過渡応答制御では、短時間で目標の焦点距離に到達することを目的とする。そのため、電気駆動を主たる駆動源とし、電気駆動は一定電圧を印加して焦点距離を短時間で変化させ、機械駆動は第1の過渡応答制御時間を更に短くするために補助的に用いる。第1の過渡応答制御が終了するタイミング604で目標の焦点距離601に到達する。第2及び第3の過渡応答制御では、電気駆動の印加電圧を徐々に減少させ、その焦点距離変動を相殺する様に、機械駆動の印加電圧を徐々に増加させる。第1の過渡応答制御と比較して、第2及び第3の過渡応答制御での機械駆動による界面曲率変化率が小さくなる様に駆動制御する。図11では、第2及び第3の過渡応答制御での機械駆動の印加電圧の変化率を一定とし、機械駆動による焦点距離変動を相殺する様に電気駆動の印加電圧を制御する手法を示す。第3の過渡応答制御が終了するタイミング1201で、圧力駆動部のアクチュエータを固定して界面曲率保持制御に移行する。
以上で説明した実施例2によれば、電気駆動と機械駆動のハイブリッド駆動方式を用いる液体レンズにおいて、目標の界面曲率に達した直後のハイブリッド制御中における界面曲率の変動を抑制して、安定した界面曲率を実現できる。
(実施例3)
本発明の実施例3を説明する。本実施例では、液体レンズの界面曲率が目標値に達したあと、界面曲率を保持する際に僅かに電気駆動して保持力を高める。液体レンズの構成や機能ブロック図などは、実施例1で説明した図3〜図7を前提とする。本実施例で特徴となるのは、図12に示す制御時間と界面曲率変化、及び電気駆動・機械駆動の関係であり、図12は実施例1の図5に相当する。本実施例では、第2の過渡応答制御を、図5と異なり、途中で終了し、界面保持時でも僅かに電気駆動を行う。以下の図12の説明では、図5の過渡応答時間との違いを分かり易くするために、図5との違いを中心に説明する。
実施例3でのハイブリッド制御による制御時間と界面曲率変化、及び電気駆動・機械駆動の関係を示す図12において、図5と同等の箇所は同じ符号で示す。図12の約束事も図5と同じである。そのため、図12(b)に示す電気駆動による焦点距離と図12(c)に示す機械駆動による焦点距離を加算したものが、図12(a)に示す焦点距離となる。第1の過渡応答制御が終了したタイミング604までは図5と同様である。
図12(a)において、1301は、第2の過渡応答制御が終了したタイミングt2’を示す。1302は、時刻t1から時刻t2’までの第2の過渡応答制御を行う時間Teを示す。図12(b)において、610、611、1312、1313は、電気駆動が焦点距離制御に与える効果だけを仮定した場合の、焦点距離の推移を示す。1312は、同様に仮定した場合の、第2の過渡応答制御を開始したタイミング604から第2の過渡応答制御が終了するタイミング1301までの過渡的な焦点距離の状態を示す。1313は、同様に仮定した場合の、タイミング1301以降の焦点距離の状態を示す。615、616、1317、1318は、電気駆動における棒状電極111と電極108間の電位差の推移を示す。この電気駆動における制御電圧は、LUT(図6(a)のテーブル1)から読み出した値を用いる。1317は、第2の過渡応答制御において電気駆動で必要とされる制御電圧を示す。1318は、第2の過渡応答制御が終了したタイミング1301以降の制御電圧の状態を示す。界面保持のために僅かに電気駆動が行われている。
図12(c)において、619、1320、1321は、機械駆動が焦点距離制御に与える効果だけを仮定した場合の焦点距離の推移を示す。1320は、同様に仮定した場合の、第1の過渡応答制御を開始したタイミング603から第2の過渡応答制御が終了するタイミング1301までの過渡的な焦点距離の状態を示す。第1の過渡応答制御と第2の過渡応答制御とで、焦点距離は同じ応答を示す。1321は、同様に仮定した場合の、タイミング1301以降の焦点距離の状態を示す。1323は、タイミング1301で、機械駆動で必要とされる印加電圧を示す。624、1325、1326は、機械駆動における圧力駆動部110a、110bにおける印加電圧の推移を示す。この機械駆動における制御電圧は、LUT(図6(a)のテーブル1)から読み出した値を用いる。1325は、第1及び第2の過渡応答制御において機械駆動で必要とされる制御電圧を示す。第1の過渡応答制御と第2の過渡応答制御とで、焦点距離は同じ応答を示す。1326は、第2の過渡応答制御が終了したタイミング1301以降の機械駆動で必要とされる制御電圧の状態を示す。タイミング1301で圧力駆動部のアクチュエータを固定するため、待機電力が不要となる。
第1の過渡応答制御では、短時間で目標の焦点距離に到達することを目的とする。そのため、電気駆動を主たる駆動源とし、電気駆動は一定電圧を印加して焦点距離を短時間で変化させ、機械駆動は第1の過渡応答制御時間を更に短くするために補助的に用いる。第1の過渡応答制御が終了するタイミング604で目標の焦点距離601に到達する。第2の過渡応答制御では、電気駆動の印加電圧を徐々に減少させ、その焦点距離変動を相殺する様に、機械駆動の印加電圧を徐々に増加させる。図12では、機械駆動の印加電圧の変化率を一定とし、機械駆動による焦点距離変動を相殺する様に電気駆動の印加電圧を制御する手法を示す。第2の過渡応答制御が終了するタイミング1301では、電気駆動が液体レンズの界面保持に対して持つ効果が未だ有効な状態である。そのタイミングで、その時点での電気駆動を行ったまま、圧力駆動部のアクチュエータを固定して界面曲率保持制御に移行する。
以上に説明した様に、本実施例の制御方法では次の第1のステップから第5のステップが実行される。第1のステップでは、第1の屈折力から第2の屈折力に向かって屈折力に変化させる様に、界面移動手段(液量制御部)と電圧印加手段(電圧制御部)を同時に連動して駆動する。第2のステップでは、第2の屈折力に達したことを判定する。第3のステップでは、界面移動手段による駆動を継続すると共に第2の屈折力を保持するための量だけ電圧印加手段を駆動する。第4のステップでは、電圧印加手段の駆動による界面制御力がゼロになる前に第2の屈折力を保持しつつ界面移動手段の駆動を停止する。第5のステップでは、第2の屈折力を電圧印加手段の駆動により保持する。以上で説明した実施例3によれば、電気駆動と機械駆動のハイブリッド駆動方式を用いる液体レンズにおいて、機械振動や傾きに対する界面変動を減少できる。
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施例の制御方法を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。なお、記憶媒体は、コンピュータに実行させるためのプログラムを格納できるものであれば何でもよい。こうした記憶媒体は、上記制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体である。
101、102…筐体(上側部材、下側部材)、103…導電性液体、104…絶縁性液体、105…界面(無電界時)、107…絶縁層、108…電極、113…電圧印加手段(電圧制御部)、114…界面移動手段(液量制御部)、115…連動制御手段(連動制御部)

Claims (9)

  1. エレクトロ・ウェッティング現象を用いる液体型光学素子であって、
    筐体に封入された互いに不混和な導電性液体と絶縁性液体により規定される界面の位置を前記筐体の内壁面に沿って移動させるための界面移動手段と、
    前記筐体の内壁面と前記境界が接する位置に絶縁層を介して設けられた電極と前記導電性液体間に電圧を印加するための電圧印加手段と、
    前記界面移動手段と前記電圧印加手段の駆動を連動して制御するための連動制御手段と、
    を有することを特徴とする液体型光学素子。
  2. 前記連動制御手段は、目標の界面状態にするために、前記界面移動手段の駆動による寄与と前記電圧印加手段の駆動による寄与との割合を制御しつつ前記界面移動手段と前記電圧印加手段を駆動し、目標の界面状態に達したところで、その界面状態を維持する駆動状態に前記界面移動手段と前記電圧印加手段を置くことを特徴とする請求項1に記載の液体型光学素子。
  3. 前記筐体は、光軸を含む面内での内壁面形状が直線又は曲線状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体型光学素子。
  4. 温度を計測する温度センサを有し、
    前記連動制御手段は、前記温度センサによる温度計測結果を考慮して、前記界面移動手段と前記電圧印加手段の駆動を連動して制御することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の液体型光学素子。
  5. 当該液体型光学素子の屈折力を検出する屈折力検出部を有し、
    前記連動制御手段は、前記屈折力検出部による屈折力検出結果を考慮して、前記界面移動手段と前記電圧印加手段の駆動を連動して制御することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の液体型光学素子。
  6. 筐体に封入された互いに不混和な導電性液体と絶縁性液体により規定される界面の位置を前記筐体の内壁面に沿って移動させるための界面移動手段と、前記筐体の内壁面と前記境界が接する位置に絶縁層を介して電極を設け、前記電極と前記導電性液体間に電圧を印加するための電圧印加手段とを有するエレクトロ・ウェッティング現象を用いる液体型光学素子の制御方法であって、
    第1の屈折力から第2の屈折力に向かって屈折力に変化させる様に、前記界面移動手段と前記電圧印加手段を同時に連動して駆動する第1のステップと、
    第2の屈折力に達したことを判定する第2のステップと、
    前記界面移動手段による駆動を継続すると共に第2の屈折力を保持するための量だけ前記電圧印加手段を駆動する第3のステップと、
    前記電圧印加手段による界面制御力がなくなったことを判定し第2の屈折力を保持しつつ界面移動手段の駆動を停止する第4のステップと、
    を含むことを特徴とする制御方法。
  7. 前記第3のステップの駆動時間が、前記第1のステップの駆動時間より長いことを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
  8. 筐体に封入された互いに不混和な導電性液体と絶縁性液体により規定される界面の位置を前記筐体の内壁面に沿って移動させるための界面移動手段と、前記筐体の内壁面と前記境界が接する位置に絶縁層を介して電極を設け、前記電極と前記導電性液体間に電圧を印加するための電圧印加手段とを有するエレクトロ・ウェッティング現象を用いる液体型光学素子の制御方法であって、
    第1の屈折力から第2の屈折力に向かって屈折力に変化させる様に、前記界面移動手段と前記電圧印加手段を同時に連動して駆動するステップと、
    第2の屈折力に達したことを判定するステップと、
    第2の屈折力から第3の屈折力に向かって屈折力に変化させる様に、前記電圧印加手段による駆動を維持すると共に前記界面移動手段を駆動するステップと、
    第3の屈折力に達したことを判定し前記電圧印加手段による駆動を維持して第3の屈折力を保持しつつ前記界面移動手段の駆動を停止するステップと、
    を含むことを特徴とする制御方法。
  9. 筐体に封入された互いに不混和な導電性液体と絶縁性液体により規定される界面の位置を前記筐体の内壁面に沿って移動させるための界面移動手段と、前記筐体の内壁面と前記境界が接する位置に絶縁層を介して電極を設け、前記電極と前記導電性液体間に電圧を印加するための電圧印加手段とを有するエレクトロ・ウェッティング現象を用いる液体型光学素子の制御方法であって、
    第1の屈折力から第2の屈折力に向かって屈折力に変化させる様に、前記界面移動手段と前記電圧印加手段を同時に連動して駆動するステップと、
    第2の屈折力に達したことを判定するステップと、
    前記界面移動手段による駆動を継続すると共に第2の屈折力を保持するための量だけ前記電圧印加手段を駆動するステップと、
    前記電圧印加手段の駆動による界面制御力がゼロになる前に第2の屈折力を保持しつつ前記界面移動手段の駆動を停止するステップと、
    第2の屈折力を前記電圧印加手段の駆動により保持するステップと、
    を含むことを特徴とする制御方法。
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