JP2011247114A - スクロール流体機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】旋回スクロールと旋回軸とを締結する締結部材の取り付け制限を少なくでき、且つ旋回軸の温度上昇を抑えることができるスクロール流体機械を提供する。
【解決手段】ケーシング2と、ケーシングに固定された固定側端板3A、4Aに固定ラップ3B、4Bを立設した固定スクロール3、4と、ケーシングに回転自在に支持されるとともに偏心軸穴5Aが形成された偏心筒5と、偏心軸穴5A内に回動自在に設けられた旋回軸11と、旋回軸の端部に固定され、固定ラップと噛合する旋回ラップ12B、13Bを有した旋回スクロール12、13と、旋回スクロールの自転を防止する自転防止機構15とを備えたスクロール流体機械1において、旋回スクロール12、13を旋回軸11に締結する締結部材20と、旋回軸11の端部と旋回ラップ12B、13Bとの間に形成され、締結部材20の露出部を収納する収納空間30とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ケーシング内に設けた固定スクロールの固定ラップと、偏心筒に枢支した旋回軸により旋回駆動する旋回スクロールの旋回ラップとを互いに噛み合わせ、固定ラップと旋回ラップとにより形成される圧縮室で流体の圧縮、膨張、及び圧送を行うスクロール流体機械に係り、特に旋回スクロールを締結部材により旋回軸に固定した構造を有するスクロール流体機械に関する。
スクロール圧縮機やスクロール真空ポンプ等のスクロール流体機械は、一般に、ケーシングに固定した端板に固定ラップを立設した固定スクロールと、旋回軸に軸受を介して枢支した端板に旋回ラップを立設した旋回スクロールとを有し、前記固定ラップと旋回ラップとを噛み合わせることにより、旋回ラップと固定ラップとの間に密閉した圧縮室を形成して構成されている。
このようにして構成されたスクロール圧縮機では、前記旋回軸を偏心的に旋回させることにより、固定ラップと旋回ラップとの相対運動によって前記圧縮室の容積が求心方向に漸次減少するとともに、圧縮室の外周部から吸引した流体を圧縮しながら中心部へ導いた後に吐出することで、前記流体を圧縮する。
上記したようなスクロール流体機械において、旋回軸の旋回運動にともない旋回スクロールを精度良く駆動させるためには、旋回軸と旋回スクロールとを確実に固定する必要がある。そこで、旋回スクロールを旋回軸に固定する構造として、特許文献1(特開2003−3968号公報)には、旋回スクロールの端板を締結ボルトにより旋回軸の両端側に固定した構造が開示されている。
また、旋回スクロールを旋回軸に固定する他の構造として、特許文献2(特開2000−130365号公報)には、旋回スクロールの背面に設けられた筒状突起に旋回軸を嵌合させた構造が開示されている。
特開2003−3968号公報 特開2000−130365号公報
しかしながら、特許文献1のように旋回スクロールを締結ボルトにより旋回軸に固定する構造では、締結ボルトを旋回スクロールの中心部付近に設置しなければならず、旋回スクロールと固定スクロールとの摺動を阻害しない位置に締結ボルトを設置する必要があり、締結ボルトの頭部の大きさやその取り付け位置が制限されてしまうという問題があった。さらに、圧縮室で発生した圧縮熱が直接旋回軸に伝わり、ケーシングと旋回軸との間に生じた温度差によって軸方向のクリアランスが小さくなり、端板とラップの接触等の問題が発生してしまうおそれがある。さらにまた、旋回軸の温度上昇により旋回軸が取り付けられたベアリングの温度上昇を引き起こし、ベアリングのグリース寿命を短くしてしまうという問題もあった。
また、特許文献2のように旋回スクロールの筒状突起に旋回軸を嵌合させて固定する構造では、旋回軸が筒状突起内で回転してしまい旋回スクロールと旋回軸を確実に固定することは難しかった。
そこで本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、旋回スクロールと旋回軸とを締結する締結部材の取り付け制限を少なくでき、且つ旋回軸の温度上昇を抑えることができるスクロール流体機械を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係るスクロール流体機械は、ケーシングと、前記ケーシングに固定された固定側端板に固定ラップを立設した固定スクロールと、前記ケーシングに回転自在に支持されるとともに、その回転軸線に対して偏心した偏心軸線に沿って偏心軸穴が形成された偏心筒と、前記偏心軸穴内に回動自在に設けられた旋回軸と、前記旋回軸の端部に固定され、前記固定ラップと噛合する旋回ラップを有した旋回スクロールと、前記旋回スクロールの自転を防止する自転防止機構とを備えたスクロール流体機械において、前記旋回スクロールを前記旋回軸に締結する締結部材と、前記旋回軸の端部と前記旋回ラップとの間に形成され、前記締結部材の露出部を収納する収納空間とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、旋回スクロールと旋回軸とを締結する締結部材の露出部を、旋回軸の端部と旋回ラップとの間に形成された収納空間に収納する構成としたため、締結部材の露出部が固定スクロールと旋回スクロールとの摺動に影響を与えるおそれがなくなり、締結部材の取り付け位置や締結部材の大きさの制限を少なくすることができる。
また、収納空間が旋回軸の端部と旋回ラップとの間に形成され、且つこの収納空間が断熱効果を有することから、圧縮熱による旋回軸の温度上昇を抑えることが可能であり、ケーシングと旋回軸の温度差に起因する軸方向のクリアランス変動を抑制でき、スクロール流体機械を円滑に稼動できるとともに、ベアリングのグリースが劣化することを防止しベアリングの寿命を向上できる。このとき、前記収納空間は、締結部材の露出部の周囲に空間が残存するような形状、大きさであることが好ましく、これにより上記した断熱効果を高くすることができる。
なお、前記締結部材の露出部とは、締結部材で旋回スクロールと旋回軸とを締結した状態において締結部材の露出した部位をいう。
また、前記締結部材の露出部が、前記締結部材を取付又は取り外しするための工具を装着する締結部材取付・取り外し工具装着部であることが好ましく、これにより締結部材取付・取り外し工具装着部の位置や大きさの自由度が高くなり、工具による締結部材の取付又は取り外しを容易にすることが可能となる。
また、前記収納空間から前記旋回ラップ側へ貫通し、前記締結部材を取付又は取り外しするための工具を挿入する工具挿入穴をさらに備えることが好ましい。
これにより、収納空間内に位置する締結部材の露出部を工具挿入穴から挿入した工具により操作することが可能となり、締結作業が容易となる。
さらに、前記工具挿入穴を封止するシール部材を備えることが好ましく、これにより工具挿入穴から圧縮空気が漏出することを防止できる。
また、前記収納空間は、少なくとも前記旋回軸の径より大に形成されていることが好ましい。
これにより、収納空間による断熱効果を大きくでき、旋回軸の温度上昇を最小限に抑えることができる。
さらに、前記旋回スクロールは、前記旋回ラップと、前記旋回ラップが立設されたラップ側板状部材と、前記ラップ側板状部材に固定され、前記旋回軸の端部が嵌合する嵌合部を有した軸側板状部材とから構成され、前記ラップ側板状部材と前記軸側板状部材との間に前記収納空間を形成したことが好ましい。
このように、旋回スクロールを旋回ラップとラップ側板状部材と軸側板状部材とで構成し、これらの間に収納空間を形成することにより、収納空間の形成が容易になる。なお、ラップ側板状部材と軸側板状部材とは、ネジ等の固定部材により固定してもよい。
さらにまた、前記旋回スクロールは、前記ラップ側板状部材の前記旋回ラップが立設された面とは反対側の面に冷却フィンが設けられていることが好ましい。
このように、旋回スクロールのラップ側板状部材に冷却フィンを設けることにより、旋回軸の温度上昇をより一層抑制することが可能となる。
以上記載のように本発明によれば、旋回スクロールと旋回軸とを締結する締結部材の露出部を、旋回軸の端部と旋回ラップとの間に形成された収納空間に収納する構成としたため、締結部材の露出部が固定スクロールと旋回スクロールとの摺動に影響を与えるおそれがなくなり、締結部材の取り付け位置や締結部材の大きさの制限を少なくすることができる。また、収納空間が旋回軸の端部と旋回ラップとの間に形成され、且つこの収納空間が断熱効果を有することから、圧縮熱による旋回軸の温度上昇を抑えることが可能であり、ケーシングと旋回軸の温度差に起因する軸方向のクリアランス変動を抑制でき、スクロール流体機械を円滑に稼動できるとともに、ベアリングのグリースが劣化することを防止しベアリングの寿命を向上できる。
本発明の第1実施形態に係るスクロール流体機械の断面図である。 本発明の第1実施形態に係るスクロール流体機械の分解斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るスクロール流体機械の外観斜視図である。 締結部材の他の例を示す要部断面図である。 本発明の第2実施形態に係るスクロール流体機械の断面図である。 本発明の第2実施形態に係るスクロール流体機械の斜視図である。 冷却フィンの一例を示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
(第1実施形態)
まず、図1乃至図3を参照して本発明の第1実施形態に係るスクロール流体機械の全体構成を説明する。ここで、図1は第1実施形態に係るスクロール流体機械の断面図、図2は本発明の第1実施形態に係るスクロール流体機械の分解斜視図、図3は本発明の第1実施形態に係るスクロール流体機械の外観斜視図である。
図1乃至図3に示すように、本第1実施形態のスクロール流体機械1は、円筒状のケーシング2を有し、該ケーシング2の左右両側面には、互いに対向する内側面に第1の固定スクロール3、第2の固定スクロール4が複数のネジ(図示略)によりそれぞれ固定されている。
第1の固定スクロール3は、ケーシング2に固定された円盤状の固定側端板3Aと、該固定側端板3Aの第2の固定スクロール4に対向する面に立設された渦巻状の固定ラップ3Bとを有する。同様に、第2の固定スクロール4は、固定側端板4Aと固定ラップ4Bとを有する。なお、本実施形態では、ケーシング2の左右両側に第1の固定スクロール3、第2の固定スクロール4を配置した構成を示しているが、これに限定されるものではなく、左右いずれか一側にのみ固定スクロールを配置した構成であってもよい。この場合、後述する旋回スクロールも旋回軸11のいずれか一端側(固定スクロールに対応した側)にのみ設ける。
第1の固定スクロール3と第2の固定スクロール4の間には偏心筒5が設けられている。該偏心筒5は、ケーシング2内に設けられた左右方向へ貫通する左右の軸受孔14に左右のボールベアリング7を介して、左右両端の外周が回転可能に枢支されており、外部電動機(図示略)により駆動される従動プーリ6によって回転するようになっている。
前記従動プーリ6は、偏心筒5の外周に固嵌されるとともに、外周に伝動ベルトが掛けられるようになっており、旋回筒6の回転軸線8を中心に回転するようにケーシング2内に枢支されている。なお、伝動ベルトは従動プーリ6と外部電動機の出力軸に設けられた主動プーリ(図示略)とに掛け回されており、これにより外部電動機の回転は、主動プーリ及び伝動ベルトを介して従動プーリ6に伝達され、従動プーリ6は回転軸線8を中心に回転する。
また、偏心筒5には、従動プーリ6により回転する回転軸線8に対して所定量偏心した偏心軸線9に沿って偏心軸穴5Aが形成されている。
偏心軸穴5A内には、ベアリング10を介して回動自在に旋回軸11が設けられている。
旋回軸11の両端には、それぞれ第1の旋回スクロール12、第2の旋回スクロール13が固定されている。
第1の旋回スクロール12は、旋回軸11の端部に固定された旋回側端板12Aと、該旋回側端板12Aの第1の固定スクロール3に対向する面に立設された渦巻状の旋回ラップ12Bとを有する。同様に、第2の旋回スクロール13は、旋回側端板13Aと旋回ラップ13Bとを有する。なお、旋回側端板12A、13Aは、図1及び図2に示すように円盤状の構造を有していてもよいし、旋回軸11に対してフランジ状の構造(不図示)を有していてもよい。
第1の旋回スクロール12及び第2の旋回スクロール13の少なくとも一方と、ケーシング2、第1、第2の固定スクロール3、4のいずれかの固定側部材との間には、旋回スクロールの自転を防止する自転防止機構15が設けられている。図1では一例として、第1の旋回スクロール12とケーシング2との間に自転防止機構15を設けた場合を示している。自転防止機構15は、120度間隔をもって同一円周上に配設され、旋回スクロール12、13の自転運動を阻止しつつ旋回運動させる公知のピンクランク式自転防止機構が用いられる。なお、本実施形態においては、上記したように第1の旋回スクロール12と第2の旋回スクロール13とが旋回軸11の両端に固定されている構成であるため、自転防止機構15を一方の旋回スクロールのみに設けた構成であっても両側の旋回スクロールを確実に旋回運動させることができる。
ここで、旋回軸11と、第1、第2の旋回スクロール12、13との固定構造を具体的に説明する。
本第1実施形態では一例として、第1、第2の旋回スクロール12、13の旋回側端板12A、12Bと、旋回軸11とが、締結部材であるボルト20によって締結された場合を示している。この場合、ボルト20のネジ部20Aは、その外周に形成された雄ネジを旋回軸11の端部に形成された雌ネジに螺合して固定し、締結部材の露出部であるボルト20の頭部20Bは、旋回軸11の端部と旋回ラップ12B、13Bとの間にそれぞれ形成された収納空間30に収納される。なお、例えば本第1実施形態に記載したボルト20の頭部20Bのように、締結部材の露出部が、締結部材を取付又は取り外しするための工具を装着する締結部材取付・取り外し工具装着部であることが好ましく、これにより締結部材取付・取り外し工具装着部の位置や大きさの自由度が高くなり、工具による締結部材の取付又は取り外しを容易にすることが可能となる。
収納空間30は、ボルト20の頭部20Bが収納可能なように該頭部20Bの肉厚よりも収納空間高さ(図中X方向)が大で、且つ該頭部20Bの径よりも収納空間幅(図中Y方向)が大となるように形成されている。好適には、ボルト20の頭部20Bの周囲に空間が残存するような形状、大きさであるとよく、これにより後述する断熱効果を高くすることができる。さらに好適には、収納空間30の幅は、旋回軸11の径よりも大に形成するとよく、これにより断熱効果をより高くすることができる。
また、収納空間30は、旋回軸11側に貫通するボルト孔30aに連通し、このボルト孔30aからボルト20のネジ部20Aを挿通させて、該ネジ部20Aを旋回軸11の凹部に嵌入させ、頭部20Bの肩部でボルト孔30aの周囲を旋回軸11側に押圧することにより旋回スクロール12、13と旋回軸11とを固定する。
さらに、収納空間30は、旋回側端板12A、13Aの旋回ラップ12B、13B側の面に貫通する工具挿入穴30bに連通している。該工具挿入穴30bは、ボルト20の締結時に、工具を挿入するための穴である。ボルト20の頭部20Bは、十字穴や六角穴等の締め付け部を有しており、工具を締め付け部に固定して回転させることによりボルト20を旋回軸11に螺合するようになっている。なお、ボルト20は、上記したような穴状の締め付け部を有する形式の他に、六角ボルト等を用いることもできる。
工具挿入穴30bはシール部材31により封止されるようになっている。該シール部材31にはプラグボルトを用いることができる。
具体的には、該工具挿入穴30bの内周面には雌ネジが形成されており、この雌ネジに、円筒状で外周面に雄ネジが形成されたシール部材31を螺合させることによって工具挿入穴30bを封止する。
シール部材31は、好適には旋回スクロール12、13と同一の金属材料で形成するか、又は旋回スクロール12、13に近い熱膨張率を有する金属材料で形成する。これにより圧縮空気が外部へ漏出することを防止できる。
さらに好適には、シール部材31と工具挿入穴30bとの間にオイルシール等の液シールを介在させる。これにより、圧縮空気の外部への漏出をより確実に防止できる。
このような構成を有するスクロール流体機械1において、外部電動機により従動プーリ6が回転軸線8を中心に回転すると、これにともない偏心筒5が回転し、さらに旋回軸11と第1、第2の旋回スクロール12、13とが一体となって回転軸線8を中心に旋回運動する。第1、第2の旋回スクロール12、13が旋回すると、各固定ラップ3B、4Bと各旋回ラップ12B、13Bとによりそれぞれ仕切られた圧縮室の容積が、外周から内周に向かって徐々に減少する。これにより、各固定スクロール3、4の外周側面に設けられた吸入口3C(図3参照)から圧縮室に吸入された外気は、内周方向に向かって徐々に圧縮され、最終的に各固定スクロール3、4の中心部に設けられた吐出口3D、4D(図1参照)からそれぞれ吐出される。
本第1実施形態においては、旋回スクロール12、13と旋回軸11とを締結するボルト20の頭部20Bを、旋回側端板12A、13A内に形成した収納空間30に収納する構成としたため、ボルト20の頭部20Bが固定スクロール3、4と旋回スクロール12、13との摺動に影響を与えるおそれがなくなり、ボルト20の取り付け位置やボルト20の大きさの制限を少なくすることができる。
また、収納空間30が断熱効果を有することから圧縮熱による旋回軸の温度上昇を抑えることが可能であり、ケーシング2と旋回軸11の温度差に起因する軸方向のクリアランス変動を抑制でき、流体機械を円滑に稼動できるとともに、ベアリング10のグリースが劣化することを防止しベアリング10の寿命を向上できる。
また、工具挿入穴30bを封止するシール部材31を備えることにより工具挿入穴30bから圧縮空気が漏出することを防止できる。
さらに本第1実施形態では、旋回スクロール12、13の旋回側端板12A、13Aを、旋回ラップ12B、13Bが立設されたラップ側板状部材12A1、13A1と、ラップ側板状部材12A1、13A1に固定され、旋回軸11の端部が嵌合する嵌合部19を有した軸側板状部材12A2、13A2とから構成してもよい。そして、ラップ側板状部材12A1、13A1と軸側板状部材12A2、13A2との間に収納空間30を形成する。ラップ側板状部材12A1、13A1と軸側板状部材12A2、13A2とは、ボルト20の頭部20Bを収納した後にネジ等の固定部材によって固定する。
このように、旋回側端板12A、12Bを、別体であるラップ側板状部材12A1、13A1と軸側板状部材12A2、13A2から構成することで、収納空間30を形成し易く、スクロール流体機械1の組み立てを容易にすることができる。
なお、上記した第1実施形態においては、旋回スクロール12、13と旋回軸11とを締結する締結部材がボルト20である例を示したが、他の締結部材を用いてもよい。他の締結部材としては、例えば図4に示すようにナット21を用いることができる。ここで、図4は締結部材の他の例(ナット21)を示す要部断面図である。
これは、あらかじめ旋回軸11の端部を段差状に縮径して凸部11Aを形成しておく。凸部11Aの外周には雄ネジを形成しておく。そして、この凸部11Aを、旋回側端板12A(図では軸側板状部材12A2)に形成した孔に貫通させて、凸部11Aにナット21を螺合させ、旋回スクロール12と旋回軸11とを締結する。この場合、締結部材の露出部はナット21全体となるため、ナット21全体が収納される収納空間30を形成しておく。また、凸部11Aにナット21を螺合させる方法としては、上記したように工具挿入孔31を介して工具を収納空間30に挿入して螺合させてもよいし、旋回側端板12Aと平行に工具を挿入して螺合させてもよい。
(第2実施形態)
図5乃至図7を参照して、本発明の第2実施形態に係るスクロール流体機械の全体構成を説明する。ここで、図5は本発明の第2実施形態に係るスクロール流体機械の断面図で、図6は本発明の第2実施形態に係るスクロール流体機械の斜視図で、図7は冷却フィンの一例を示す斜視図である。なお、以下に示す第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
図5及び図6に示すように、本第2実施形態のスクロール流体機械1の主要構成は、第1実施形態と同様に、ケーシング2と、第1、第2の固定スクロール3、4と、第1、第2の旋回スクロール12、13と、偏心筒5と、旋回軸11と、自転防止機構15とを備えている。
さらに、本第2実施形態のスクロール流体機械1は、旋回スクロール12、13の旋回ラップ12B、13Bが立設された面とは反対側の面に、冷却フィン18が設けられている。冷却フィン18は旋回軸11と旋回ラップ12B、13Bとの間に配置されており、外部に設けたファン(図示略)から吸引した外気を冷却用ダクトから吸い込み、冷却フィン18に送り込むことにより、圧縮熱により温度上昇した旋回側端板12A、13Aを冷却するようになっている。
図7に示すように、冷却フィン18は、平板状のフィンが複数並行に配列されている構造とすることができる。このように、平板状のフィンが並行に配列されていることにより、冷却用の外気が直線状に流れることとなり外気の通流を円滑にし、冷却効率を高くすることが可能である。なお、冷却フィン18の形状は、渦巻状、曲線状等他の形状を採用してもよいことは勿論である。
このように本第2実施形態によれば、冷却フィン18により旋回軸11の温度上昇をより一層抑制することが可能となる。
また、第1実施形態と同様に、旋回スクロール12、13の旋回側端板12A、13Aを、ラップ側板状部材12A1、13A1と、軸側板状部材12A2、13A2とから構成した場合、ラップ側板状部材12A1、13A1の旋回軸11側の面に冷却フィン18を設ける。そして、冷却フィン18の先端部に軸側板状部材12A2、13A2が当接するように、ラップ側板状部材12A1、13A1と軸側板状部材12A2、13A2とをネジ等の固定部材で固定する。これにより、ラップ側板状部材12A1、13A1と軸側板状部材12A2、13A2との間に冷却用の外気が流れる空気通路が形成され、冷却効率を向上できる。
1 スクロール流体機械
2 ケーシング
3 第1の固定スクロール
4 第2の固定スクロール
3A、4A 固定側端板
3B、4B 固定ラップ
5 偏心筒
6 従動プーリ
11 旋回軸
12 第1の旋回スクロール
13 第2の旋回スクロール
12A、13A 旋回側端板
12B、13B 旋回ラップ
15 自転防止機構
18 冷却フィン
20 ボルト
20A ボルトネジ部
20B ボルト頭部
30 収納空間
30a ボルト孔
30b 工具挿入孔

Claims (7)

  1. ケーシングと、前記ケーシングに固定された固定側端板に固定ラップを立設した固定スクロールと、前記ケーシングに回転自在に支持されるとともに、その回転軸線に対して偏心した偏心軸線に沿って偏心軸穴が形成された偏心筒と、前記偏心軸穴内に回動自在に設けられた旋回軸と、前記旋回軸の端部に固定され、前記固定ラップと噛合する旋回ラップを有した旋回スクロールと、前記旋回スクロールの自転を防止する自転防止機構とを備えたスクロール流体機械において、
    前記旋回スクロールを前記旋回軸に締結する締結部材と、
    前記旋回軸の端部と前記旋回ラップとの間に形成され、前記締結部材の露出部を収納する収納空間とを備えることを特徴とするスクロール流体機械。
  2. 前記締結部材の露出部が、前記締結部材を取付又は取り外しするための工具を装着する締結部材取付・取り外し工具装着部であることを特徴とする請求項1に記載のスクロール流体機械。
  3. 前記収納空間から前記旋回ラップ側へ貫通し、前記締結部材を取付又は取り外しするための工具を挿入する工具挿入穴をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクロール流体機械。
  4. 前記工具挿入穴を封止するシール部材を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスクロール流体機械。
  5. 前記収納空間は、少なくとも前記旋回軸の径より大に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスクロール流体機械。
  6. 前記旋回スクロールは、前記旋回ラップと、前記旋回ラップが立設されたラップ側板状部材と、前記ラップ側板状部材に固定され、前記旋回軸の端部が嵌合する嵌合部を有した軸側板状部材とから構成され、前記ラップ側板状部材と前記軸側板状部材との間に前記収納空間を形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスクロール流体機械。
  7. 前記旋回スクロールは、前記ラップ側板状部材の前記旋回ラップが立設された面とは反対側の面に冷却フィンが設けられていることを特徴とする請求項6に記載のスクロール流体機械。
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