JP2011237182A - 部分放電判別装置及び部分放電判別方法 - Google Patents

部分放電判別装置及び部分放電判別方法 Download PDF

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Abstract

【課題】いかなる状況下においても高圧系統に接続された高圧送電機器(電力ケーブル等)の内部で生じた部分放電とノイズ信号とを正しく判別する部分放電判別装置及び部分放電判別方法を提供する。
【解決手段】被測定線である接地線5に流れる電流を検出する変流器7と、変流器7により検出された電流に基づく電流信号から特徴量を導出する特徴量導出部23と、特徴量導出部23により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する場合に、被測定線で部分放電が生じたと判定する放電判定部25とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、高圧系統に接続された高圧送電機器(電力ケーブル等)の内部で生じた部分放電とノイズ信号とを判別する部分放電判別装置及び部分放電判別方法に関する。
従来、放電電流を利用して電力ケーブル内に発生する部分放電を検出する方法は、絶縁劣化を早期に発見する方法として利用されており、安全性及び信頼性の確保に役立てられている。
特許文献1には、高電圧回転機で発生した部分放電信号の尖頭値と極性を検出する信号処理回路とその信号処理回路を用いた部分放電計測装置が記載されている。この信号処理回路は、複数の演算回路を接続して構成され、各演算回路は、パルス性又はパルスの後に振動を含む電気的な部分放電信号波形の尖頭値を検出する並列に接続した正極性及び負極性の各半波の尖頭値検出回路と、両尖頭値検出回路の出力を加算する加算回路とを備えている。この信号処理回路によれば、部分放電信号波形の最初の半波ピーク値及び極性を持つ単一半波のみを波形整形するので、尖頭値及び極性の誤検出を防止し、精度の高い信号検出を行うことができる。
特許文献2には、安価、小型、軽量、及び高機能を目的とする絶縁診断装置が記載されている。この絶縁診断装置は、外部ノイズの影響を排除するため、部分放電センサとノイズセンサの2つのセンサを採用している。また、非同期ノイズを除去するために同期加算を行う。このとき、同期検出用のセンサ又は信号を用いない構成とするため、1秒ごとに所定回数の波形取得を行う。
部分放電信号とノイズ信号の各加算平均波形を差動処理することで、測定環境による固有ノイズや架線などからの同期ノイズを除去する。商用周波に対する周期性のあるデータエリアとして、部分放電信号が検出されているエリアが抽出される。そのデータから1/4サイクルずれた点は、仮想ゼロクロス点とされる。データエリアのデータと1/4サイクルずれた点の周辺のデータを比較することで、商用周波の最大値付近とゼロクロス点付近の検出データの比較による判定が行われる。
この絶縁診断装置によれば、架線やその他機器からの同期ノイズ、突発的過大ノイズ、連続する非同期ノイズが除去でき、高機能タイプの絶縁診断装置と同様な効果が得られ、確実に部分放電検出を行うとともに、装置が簡単な構成となり、小型・軽量・安価な装置構成にできるので、可搬性の装置とすることができる。
特許文献3には、需要家における停電を回避して電気機器の劣化を特定することができる部分放電劣化機器の特定方法が記載されている。この部分放電劣化機器の特定方法は、電力設備の内部に選定された第1の検出位置、及び電力設備の内部あるいは外部に選定された第2の検出位置において部分放電信号を検出し、第1及び第2の検出位置で検出した部分放電信号を比較し、部分放電信号の比較から電気機器の絶縁体劣化を特定するものである。
この部分放電劣化機器の特定方法によれば、引込みケーブルの両端、線路の分岐部や高圧機器の前後等に高周波CTを取付け、放電信号の波高値の減衰方向を検出することによって、需要家における停電を回避して電気機器の劣化を特定することができる。
特許文献4には、部分放電測定の放電パルスとノイズとを含む検出出力に対し、放電パルスとパルス性ノイズとの弁別を経験や統計的処理に依らずに、検出出力ごとに行える部分放電測定装置が記載されている。この部分放電測定装置は、放電パルスとノイズとを含む部分放電測定の検出出力が入力される各々通過域の異なった複数の周波数成分分析用フィルタ回路と、検出出力の有無を検出するトリガ信号生成回路と、そのトリガ信号生成回路から検出出力を検出したトリガ出力が出力されると、そのトリガ出力が出力されてから一定期間内に出力される各周波数成分分析用フィルタ回路の出力を比較し、その比較した各フィルタ回路出力から部分放電測定の検出出力中に含まれる周波数スペクトル成分比を解析し、その解析結果から検出出力が放電パルスかあるいはノイズかを弁別し、その弁別結果を出力する判別回路とを備えている。
この部分放電測定装置によれば、放電パルスの周波数スペクトルとノイズの周波数スペクトルとのスペクトル成分の違いに着目し、そのスペクトル成分の違いでもって両者を判別することができる。例えばCV(電力)ケーブルの部分放電測定を行った場合、その際出力される検出出力のパルス性ノイズの周波数スペクトル特性は、数MHz以上で急激に減衰する。一方、放電パルスの周波数スペクトル特性は、10MHz程度まで平坦となることから、検出出力がトリガ信号生成回路に検出された際の各周波数成分分析用フィルタ回路の出力を、各出力の伝搬時間が周波数により異なるため、一定期間サンプリングした後、そのサンプリングされた各出力値の最大値同士を比較し、その比較結果から、周波数成分分析用フィルタ回路のうち、通過域の10MHz程度までの全てのフィルタ回路から分析出力が出力される場合、検出出力を放電パルスとする。一方、フィルタ回路のうち通過域が数MHz以内のものの出力が大きく、また数MHz以上のものの出力が小さい場合、その検出出力をノイズと弁別する。このようにして、特許文献4に記載の部分放電測定装置は、部分放電測定の検出出力を個々に弁別してその出力が放電パルスであるかノイズであるかを判別することができる。
特開2004−309301号公報 特開2001−249156号公報 特開平11−352177号公報 特開平5−157796号公報
運転中の高圧ケーブル・機器から生ずる部分放電信号を検出する際の最も重要なポイントは、放電信号とは異なるノイズと放電信号とを見分けること(弁別)である。従来技術において示されている放電信号とノイズ信号との弁別方法は、必ずしも充分でない場合があり、普遍性のある物理法則等にのっとった弁別の手法を追加することが望ましい。
特許文献1においては、ノイズの主要因であるインバータからのノイズ信号は主に2MHz以下であるのに対して、部分放電信号は十数MHz以上の高い周波数成分を含むことから、部分放電計測装置にハイパスフィルタを用いて5MHz以上の信号を検出、波形整形処理するとあるが、この数値の根拠に乏しい。また、「理想的」な場合の入力信号においては、振動波形の第1波の尖頭値が最も大きい旨が記載されているが、実態と異なるという問題点がある。
特許文献2に記載の絶縁診断装置においては、電気機器の部分放電信号は、商用電圧位相のピーク付近で、各サイクル毎に、あるいは間欠的に発生するとし、1/4サイクルずれた点を仮想ゼロクロス点とすることで判定を行っている。しかしながら、放電現象は、印加電圧のピーク値に限って発生するものではなく、放電開始電圧を超えた際に発生するものである。したがって、1/4サイクルずれた時刻が必ずしも印加電圧のゼロクロス点であるとは限らず、特許文献2に記載の絶縁診断装置は、常に正確な判定を行うのに充分な判定方法を採用しているとは言い難い。
特許文献3に記載の部分放電劣化機器の特定方法においては、系統の各部に多数のセンサを取り付け、信号の大きさを比較することにより発生源を特定しているが、各センサが必ずしも同じ信号を「同様な波形形状」で「同時」に検出するものではないため、発生した1放電波形が、センサにより各部で取得した連続信号のいずれに該当するのを特定するのは実際には困難であり、確実ではないという問題点がある。特に、複数の放電発生源が存在する場合にはさらに混乱をきわめてしまう。
特許文献4に記載の部分放電測定装置は、パルス性ノイズの周波数スペクトル特性が数MHz以上で急激に減衰する一方、放電パルスの周波数スペクトル特性が10MHz程度まで平坦となることから、周波数成分を分析することにより判定を行っているが、選定した周波数帯にはラジオ・無線が含まれているため、ラジオ・無線の影響が大きい場所では、放電信号にラジオ・無線が重畳してしまい、大きさ比較だけでは正しい判定を行うことが困難であるという問題点がある。
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するもので、いかなる状況下においても高圧系統に接続された高圧送電機器(電力ケーブル等)の内部で生じた部分放電とノイズ信号とを正しく判別する部分放電判別装置及び部分放電判別方法を提供することを課題とする。
本発明に係る部分放電判別装置は、上記課題を解決するために、被測定線に流れる電流を検出する電流検出器と、前記電流検出器により検出された電流に基づく電流信号から特徴量を導出する特徴量導出部と、前記特徴量導出部により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された前記電流信号が複数の振動波形を有し、且つ前記複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する場合に、前被測定線で部分放電が生じたと判定する判定部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る部分放電判別方法は、上記課題を解決するために、被測定線に流れる電流を検出する電流検出ステップと、前記電流検出ステップにより検出された電流に基づく電流信号から特徴量を導出する特徴量導出ステップと、前記特徴量導出ステップにより導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された前記電流信号が複数の振動波形を有し、且つ前記複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる波形が含まれていると判断する場合に、前被測定線で部分放電が生じたと判定する判定ステップとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、いかなる状況下においても高圧系統に接続された高圧送電機器(電力ケーブル等)の内部で生じた部分放電とノイズ信号とを正しく判別することができる。
本発明の実施例1の形態の部分放電判別装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1の形態の部分放電判別装置における部分放電発生時の放電波形を示す波形図である。 一般的な部分放電現象を説明する波形図である。 本発明の実施例1の形態の部分放電判別装置における部分放電発生時の特徴量導出について説明する波形図である。 本発明の実施例2の形態の部分放電判別装置における部分放電発生時の特徴量導出について説明する波形図である。 本発明の実施例3の形態の部分放電判別装置における部分放電発生時の特徴量導出について説明する波形図である。 本発明の実施例4の形態の部分放電判別装置における部分放電発生時の特徴量導出について説明する周波数強度分布図である。
以下、本発明の部分放電判別装置及び部分放電判別方法の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施例1の部分放電判別装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、ケーブル2は終端接続部3を取り付けた端部を有する。接地線5は、ケーブル2の端部外周上の遮蔽層に接続された一端と、接地された他端とを有する。接地線5は、例えばIV線からなり、裸銅線やスズめっき銅線が使用される場合もある。IV線は、銅撚り線の外周を取り囲む0.8mm厚のPVCからなる。接地線5の遮蔽層は銅テープ等からなる。なお、接地線5は本発明の被測定線に対応する。
部分放電判別装置は、接地線5に取り付けられ、変流器(CT)7、負荷抵抗13、抵抗14、増幅器15、バンドパスフィルタ17、ノイズ除去部19、波形記憶部21、特徴量導出部23、及び放電判定部25を備える。
変流器7は、本発明の電流検出器に対応し、被測定線である接地線5に流れる電流を検出する。具体的には、変流器7は、クランプ状に形成されて、コア8と出力巻線(2次巻線)9からなる。コア8は、環状に形成されて、接地線5が貫通する中空部を有する。コア8は、例えばフェライトコアである。出力巻線9は、コア8に数回(例えば10回)巻きつけられ、且つ接地された第1端部を有する。接地線5に流れる電流が変化すると、出力巻線9には誘導電流が流れる。したがって、放電電流が接地線5に流れると、誘導電流が放電電流のパルス波形に対応して出力巻線9に生じる。なお、変流器7は、ハイパスフィルタとして機能する。
負荷抵抗13は、出力巻線9の両端に接続されて、例えば100Ωの抵抗値を有する。
抵抗14は、出力巻線9の第2端部に接続された第1端部と、接地された第2端部とを有する。増幅器15は、抵抗14の第1端部に接続され、誘導電流が抵抗14に流れることによって、抵抗14の両端に発生した電圧を10倍程度に増幅して、増幅信号を出力する。増幅信号は、増幅器15からバンドパスフィルタ17に出力される。
バンドパスフィルタ17は、電流検出器である変流器7により検出された電流に基づく電流信号(すなわち増幅器15により出力された増幅信号)のうち所定の帯域の周波数成分のみを通過させる。バンドパスフィルタ17による通過帯域は、図1においては、「100kHz−5MHz」と記載されているが、さらに狭い帯域でもよく、「1MHz〜5MHz」あるいは「100kHz〜500kHz」等でもよい。この程度の範囲であれば、本願発明に必要な減衰振動波形が得られることが本願発明の発明者の調査により判明している。
ノイズ除去部19は、バンドパスフィルタ17により出力された増幅信号からノイズを除去する。ただし、ノイズ除去部19は、本発明を実施するうえで必須の構成ではなく、ノイズ除去の方法も従来の方法を採用すればよい。例えば、ノイズ除去部19は、特願2005−513567に記載された極性判定部やキャンセル回路に該当する構成が設けられている。また、ノイズ除去部19は、同じ特願2005−513567に記載された低域放電判定部や高域放電判定部に相当する構成をさらに備え、放電判定を行ってもよい。本実施例における部分放電判別装置は、ノイズ除去部19を通過しても除去しきれないノイズと部分放電との判別を行うものとする。
波形記憶部21は、ノイズ除去部19により出力された減衰振動波形を記憶する。
特徴量導出部23は、電流検出器である変流器7により検出された電流に基づく電流信号から特徴量を導出する。ただし、本実施例においては、特徴量導出部23は、バンドパスフィルタ17を通過した電流信号から特徴量を導出する。すなわち、特徴量導出部23は、波形記憶部21により記憶された波形に基づいて、振幅の大きさや振動の向き、ピークピッチ、収束時間等の特徴量を必要に応じて導出する。なお、本実施例において特徴量導出部23は、特徴量として極大点の振幅値、極大点の前後における複数の変極点の振幅値、極大点と複数の変極点の各々との時間差、及び各点における符号を導出するものとする。
放電判定部25は、本発明の判定部に対応し、特徴量導出部23により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する場合に、被測定線である接地線5で部分放電が生じたと判定する。
本実施例において放電判定部25は、複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された他の振動波形と比較した場合に、極大点の振幅値、複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差が略同等であり、且つ各点における符号が逆となる波形が存在した場合に、複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する。
なお、放電判定部25は、特徴量導出部23により導出された特徴量を含む波形についての情報をデータベースとして記憶しており、波形の比較の際に当該データベースを活用する。すなわち、放電判定部25は、一旦メモリした波形を次にメモリされたものとのみ比較するわけではなく、次々とメモリされる波形と順次比較することにより、所定時間内における振動波形の比較を行うことができる。言い換えると、放電判定部25は、所定時間内に測定された波形について、新入りの波形を過去にメモリされた全ての波形と比較する。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。運転中のケーブル2には充電電流が流れる。充電電流は、商用周波数(50Hz又は60Hz)を有する電流である。この状態において、接地線5にも充電電流が流れる。
運転中のケーブル2に部分放電が発生すると、放電電流は充電電流に重畳されて接地線5に流れる。放電電流が接地線5に流れると、誘導電流が放電電流のパルス波形に対応して出力巻線9に生じる。すなわち、変流器7は、被測定線である接地線5に流れる電流を検出する(本発明の電流検出ステップに対応)。このとき、商用周波数を有する充電電流は、変流器7のフィルタ機能によって除去される。
なお、部分放電現象は、印加電圧や異常部の状態が変わらない限り発生し続けるものであり、特に交流波形の電圧上昇時(いわゆる第1象限、第3象限)に発生する。第1象限で発生した放電と第3象限で発生した放電とは、大きさが略同等であり振動の向きが逆である。
図2は、本実施例の部分放電判別装置における部分放電発生時の放電波形を示す波形図であり、同じ試料からほぼ連続的に発生した逆向きの放電波形である。特願2005−513567の図21,22にも示すように、放電信号は振動波形となる。この振動波形の向きに着目し、本実施例の部分放電判別装置は、図2に示すように、大きさが略同等であり振動の向きが逆となる信号が連続して観察されることを判定要素とする。すなわち、本実施例の部分放電判別装置は、部分放電発生時の振動波形の波形形状が特徴的であることに基づいて、放電の発生を認知するものである。図2に示す「大きさ」がほぼ同等で「振動の向きが互いに逆」である2つの減衰振動波形の両方が1回の測定中(所定時間内)に複数回観察された場合には、部分放電現象が発生したと考えられる。
図3は、一般的な部分放電現象を説明する波形図である。部分放電現象は、図3に示すパッシェン則でしばしば説明される。Sin波状の点線で示される印加電圧において、異常個所(例えばボイド(絶縁物中の空隙))の耐電圧性能が低く、部分放電開始電圧で放電をしてしまう場合に、プラス側に印加電圧が上昇する(第1象限)際と、マイナス側に印加電圧が上昇する(第3象限)際に放電が発生する。放電によるパルス電流を見ると、第1象限で発生した放電と第3象限で発生した放電とは、大きさがほぼ同等で向きが逆になる。
第1増幅器15は、変流器7からの誘導電流に基づく電流信号を10倍程度に増幅して、バンドパスフィルタ17に増幅信号を出力する。バンドパスフィルタ17は、変流器7により検出された電流に基づく電流信号(すなわち増幅器15により出力された増幅信号)のうち所定の帯域の周波数成分のみを通過させる。ただし、バンドパスフィルタ17の通過帯域は、放電時の振動波形が通過するように予め設定されたものである。
ノイズ除去部19は、バンドパスフィルタ17により出力された増幅信号からノイズを除去する。また、波形記憶部21は、ノイズ除去部19により出力された減衰振動波形を記憶する。
特徴量導出部23は、電流検出器である変流器7により検出されバンドパスフィルタ17を通過した電流に基づく電流信号から特徴量を導出する(本発明の特徴量導出ステップに対応)。すなわち、特徴量導出部23は、波形記憶部21により記憶された波形に基づいて、極大点の振幅値、極大点の前後における複数の変極点の振幅値、極大点と複数の変極点の各々との時間差、及び各点における符号を特徴量として導出する。
図4は、本実施例の部分放電判別装置における部分放電発生時の特徴量導出について説明する波形図である。図4に示すように、部分放電発生時の電圧波形は、減衰振動波形であり、プラス・マイナスに振動する。そこで、変極値を数値化した場合の符号の順を追うことにより、向き判定が可能である。図4における極大値はプラスであり、その前後の変極点はマイナスである。振動の向きが逆の場合には、極大値がマイナスであり、その前後の変極点はプラスとなる。上述したように、特徴量導出部23は、極大点の振幅値、極大点の前後における複数の変極点の振幅値、極大点と複数の変極点の各々との時間差、及び各点における符号を特徴量として導出するので、後述する放電判定部25は、振動波形の振動の向きと波形の大きさ、形状を把握し、放電判定に利用することができる。
放電判定部25は、特徴量導出部23により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する場合に、被測定線である接地線5で部分放電が生じたと判定する(本発明の判定ステップに対応)。
図3で説明したように、「第1象限で発生した放電と第3象限で発生した放電とは、大きさがほぼ同等で向きが逆となる」ということは、物理法則にのっとった普遍的な現象である。したがって、本実施例の放電判定部25は、「所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれている」か否かを判断することにより、振動波形として捉えられる特徴を補強し、放電現象か否かの判定を強化することができる。すなわち、放電判定部25は、1回の測定において連続的に検出される波形の中で、「大きさ」がほぼ同等で、「振動の向きが逆」になる波形が複数回検出された場合を放電現象とし、その条件を満たさない場合をノイズと判定する。
本実施例において放電判定部25は、複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された他の振動波形と比較した場合に、極大点の振幅値、複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差が略同等であり、且つ各点における符号が逆となる波形が存在するか否か判断する。具体的には、放電判定部25は、図4に示すような横軸:時間で縦軸:電圧の波形のデータを座標化し、極大点や変極点における振幅等の値を検査することで、上述の判断を行うことができる。
複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された他の振動波形と比較した場合に、極大点の振幅値、複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差が略同等であり、且つ各点における符号が逆となる波形が存在する場合には、放電判定部25は、複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断し、被測定線である接地線5で部分放電が生じたと判定する。
なお、本実施例の部分放電判別装置における特徴量導出部23は、極大点の振幅値、極大点の前後における複数の変極点の振幅値、極大点と複数の変極点の各々との時間差、及び各点における符号を導出しているが、必ずしもこれらの値にかぎらない。複数の振動波形の中に波形の形が類似で向きが逆の波形を探し出すことができればよいため、それを探す判断要素として充分であれば、特徴量導出部23は、他の値を特徴量として導出してもよい。
上述のとおり、本発明の実施例1の形態に係る部分放電判別装置及び部分放電判別方法によれば、いかなる状況下においても高圧系統に接続された高圧送電機器(本実施例においてはケーブル2)の内部で生じた部分放電とノイズ信号とを正しく判別することができる。
すなわち、本実施例の部分放電判別装置及び部分放電判別方法は、運転中の高圧ケーブル・機器から生ずる部分放電信号を検出する際に、1回の測定において連続的に検出される波形の中で、「大きさ」がほぼ同等で、「振動の向きが逆」になる波形が複数回検出された場合を放電現象として判別するので、普遍性のある物理法則等にのっとった弁別の手法を採用して部分放電信号とノイズ信号とを判別していると言うことができ、高い信頼性を得ることができる。
また、バンドパスフィルタ17で放電信号から所定の周波数帯の成分だけ取り出せば、たいていの場合、減衰振動波形として得られるので、本実施例の部分放電判別装置及び部分放電判別方法は、対象周波数を問わずに適用することができ、汎用性が高いという利点を有する。
さらに、本実施例の部分放電判別装置は、特徴量導出部23が極大点の振幅値、極大点の前後における複数の変極点の振幅値、極大点と複数の変極点の各々との時間差、及び各点における符号を導出することにより、迅速且つ的確に部分放電判別を行うことができる。
次に、本発明の実施例2の部分放電判別装置及び部分放電判別方法について説明する。本実施例の部分放電判別装置の構成は、図1に示す実施例1の部分放電判別装置の構成と同様であるが、以下に示す点において実施例1と異なる。
特徴量導出部23は、電流検出器である変流器7により検出されバンドパスフィルタ17を通過した電流に基づく電流信号から特徴量を導出する。ただし、本実施例においては、特徴量導出部23は、特徴量として、複数の振動波形の各々が有する振幅値及び符号を導出する。すなわち、本実施例の特徴量導出部23は、実施例1のように極大点や変極点の値のみを特徴量として導出するのではなく、符号を伴う振幅値の推移を特徴量として導出する。
放電判定部25は、実施例1と同様に、特徴量導出部23により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する場合に、被測定線である接地線5で部分放電が生じたと判定する。
ただし、本実施例における放電判定部25は、複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された他の振動波形と足し合わせた場合に、互いに打ち消しあうことで足し合わせ後の波形全体における振幅の絶対値が所定値以下となる場合に、複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する。
なお、放電判定部25は、実施例1と同様にデータベースとして動作してもよく、次々とメモリされる波形と順次比較することにより、所定時間内における振動波形の比較を行うことができる。
その他の構成は、実施例1と同様であり、重複した説明を省略する。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。ただし、波形記憶部21までの動作は、実施例1と同様であるため、重複した説明を省略する。
特徴量導出部23は、電流検出器である変流器7により検出されバンドパスフィルタ17を通過した電流に基づく電流信号から特徴量を導出する。すなわち、特徴量導出部23は、波形記憶部21により記憶された波形に基づいて、複数の振動波形の各々が有する振幅値及び符号を特徴量として導出する。
図5は、本実施例の部分放電判別装置における部分放電発生時の特徴量導出について説明する波形図である。部分放電発生時には、図5(a),(b)に示すように、「大きさ」がほぼ同等で「振動の向きが互いに逆」である2つの減衰振動波形が連続的に発生する。上述したように、特徴量導出部23は、複数の振動波形の各々が有する振幅値及び符号を特徴量として導出するので、図5(a),(b)に示すような波形をそのまま取り込むと考えればよい。
本実施例において放電判定部25は、複数の振動波形の各々について、複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された他の振動波形と足し合わせた場合に、互いに打ち消しあうことで足し合わせ後の波形全体における振幅の絶対値が所定値以下となるか否か判断する。すなわち、図5(a),(b)に示すように、「大きさ」がほぼ同等で「振動の向きが互いに逆」である2つの減衰振動波形は、足し合わせると打ち消しあって図5(c)に示すような波形となる。そこで、放電判定部25は、足し合わせ後の波形全体における振幅の絶対値が所定値以下となる場合に、打ち消しあったと判断し、複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する。
したがって、放電判定部25は、特徴量導出部23により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断することができ、被測定線である接地線5で部分放電が生じたと判定する。
上述のとおり、本発明の実施例2の形態に係る部分放電判別装置及び部分放電判別方法によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施例の部分放電判別装置及び部分放電判別方法は、特徴量導出部23が複数の振動波形の各々が有する振幅値及び符号を特徴量として導出し、放電判定部25で波形同士を足し合わせることで打ち消しあうか否かを判断するので、迅速且つ的確に部分放電判別を行うことができる。
次に、本発明の実施例3の部分放電判別装置及び部分放電判別方法について説明する。本実施例の部分放電判別装置の構成は、図1に示す実施例1の部分放電判別装置の構成と同様であるが、以下に示す点において実施例1と異なる。
特徴量導出部23は、電流検出器である変流器7により検出されバンドパスフィルタ17を通過した電流に基づく電流信号から特徴量を導出する。ただし、本実施例においては、特徴量導出部23は、特徴量として、複数の振動波形の各々について全波整流した場合の極大点の振幅値、極大点の前後における複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差を導出する。
放電判定部25は、実施例1と同様に、特徴量導出部23により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する場合に、被測定線である接地線5で部分放電が生じたと判定する。
ただし、本実施例における放電判定部25は、全波整流後の複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された全波整流後の他の振動波形と比較した場合に、極大点の振幅値、複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差が略同等である場合に、複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する。
なお、放電判定部25は、実施例1と同様にデータベースとして動作してもよく、次々とメモリされる波形と順次比較することにより、所定時間内における振動波形の比較を行うことができる。
その他の構成は、実施例1と同様であり、重複した説明を省略する。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。ただし、波形記憶部21までの動作は、実施例1と同様であるため、重複した説明を省略する。
特徴量導出部23は、電流検出器である変流器7により検出されバンドパスフィルタ17を通過した電流に基づく電流信号から特徴量を導出する。すなわち、特徴量導出部23は、波形記憶部21により記憶された波形に基づいて、複数の振動波形の各々について全波整流した場合の極大点の振幅値、極大点の前後における複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差を特徴量として導出する。
図6は、本実施例の部分放電判別装置における部分放電発生時の特徴量導出について説明する波形図である。部分放電発生時における「大きさ」がほぼ同等で「振動の向きが互いに逆」である2つの減衰振動波形の各々を全波整流した場合には、図6(a),(b)に示すような波形となる。すなわち、振動の向きが異なるだけの2つの波形は、全波整流後においては同じ大きさで同じ向きの波形となる。
上述したように、特徴量導出部23は、複数の振動波形の各々について全波整流した場合の極大点の振幅値、極大点の前後における複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差を特徴量として導出するので、図6(a),(b)に示す波形の極大点付近の振幅値等を取り込む。
また、本実施例において放電判定部25は、全波整流後の複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された全波整流後の他の振動波形と比較した場合に、極大点の振幅値、複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差が略同等であるか否かを判断する。
図6(a),(b)に示すように、部分放電発生時における「大きさ」がほぼ同等で「振動の向きが互いに逆」である2つの減衰振動波形は、全波整流後においては同じ大きさで同じ向きの波形となる。したがって、極大点の振幅値、複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差が略同等である場合には、放電判定部25は、複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する。
以上の動作により、放電判定部25は、特徴量導出部23により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断することができ、被測定線である接地線5で部分放電が生じたと判定する。
上述のとおり、本発明の実施例3の形態に係る部分放電判別装置及び部分放電判別方法によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施例の部分放電判別装置及び部分放電判別方法は、特徴量導出部23が複数の振動波形の各々について全波整流した場合の極大点の振幅値、極大点の前後における複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差を特徴量として導出し、放電判定部25で極大点の振幅値、複数の変極点の各々の振幅値、及び極大点と複数の変極点の各々との時間差が略同等であるか否かを判断するので、迅速且つ的確に部分放電判別を行うことができる。
なお、本実施例の変形例として、特徴量導出部23は、特徴量として複数の振動波形の各々について全波整流した場合の各振幅値を導出してもよい。すなわち、特徴量導出部23は、図6(a),(b)に示すような波形をそのまま取り込むと考えればよい。
この場合において、放電判定部25は、全波整流後の複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された全波整流後の他の振動波形との間で減算処理を行った場合に、減算処理後の波形全体における振幅の絶対値が所定値以下となる場合に、複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する。
図6(c)は、図6(a)の波形から図6(b)の波形を減算処理(すなわち図6(a)−図6(b))した場合の減算処理後の波形を示す。上述したように、部分放電発生時における「大きさ」がほぼ同等で「振動の向きが互いに逆」である2つの減衰振動波形は、全波整流後においては図6(a),(b)のように同じ大きさで同じ向きの波形となる。したがって、全波整流後の波形同士に減算処理を行うと、図6(c)に示すように振動波形が消えることになる。
そこで、放電判定部25は、減算処理後の波形全体における振幅の絶対値が所定値以下となる場合に、複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する。すなわち、放電判定部25は、特徴量導出部23により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断することができ、被測定線である接地線5で部分放電が生じたと判定する。
次に、本発明の実施例4の部分放電判別装置及び部分放電判別方法について説明する。本実施例の部分放電判別装置の構成は、図1に示す実施例1の部分放電判別装置の構成と同様であるが、以下に示す点において実施例1と異なる。
特徴量導出部23は、電流検出器である変流器7により検出されバンドパスフィルタ17を通過した電流に基づく電流信号から特徴量を導出する。ただし、本実施例においては、特徴量導出部23は、特徴量として、複数の振動波形の各々について周波数解析を行った場合の強度分布を導出する。
放電判定部25は、実施例1と同様に、特徴量導出部23により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する場合に、被測定線である接地線5で部分放電が生じたと判定する。
ただし、本実施例における放電判定部25は、複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された他の振動波形と比較した際に、周波数解析後の強度分布が略一致する波形が存在した場合に、複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する。
なお、放電判定部25は、実施例1と同様にデータベースとして動作してもよく、次々とメモリされる波形と順次比較することにより、所定時間内における振動波形の比較を行うことができる。
その他の構成は、実施例1と同様であり、重複した説明を省略する。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。ただし、波形記憶部21までの動作は、実施例1と同様であるため、重複した説明を省略する。
特徴量導出部23は、電流検出器である変流器7により検出されバンドパスフィルタ17を通過した電流に基づく電流信号から特徴量を導出する。すなわち、特徴量導出部23は、波形記憶部21により記憶された波形に基づいて、複数の振動波形の各々について周波数解析を行った場合の強度分布を特徴量として導出する。
図7は、本実施例の部分放電判別装置における部分放電発生時の特徴量導出について説明する周波数強度分布図である。部分放電発生時における「大きさ」がほぼ同等で「振動の向きが互いに逆」である2つの減衰振動波形は、含まれている周波数成分が同じであるために、図7(a),(b)に示すように周波数解析した場合の強度分布がほぼ一致する。図7(c)は、図7(a),(b)の強度分布図を重ね合わせたものである。上述したように、特徴量導出部23は、複数の振動波形の各々について周波数解析を行った場合の強度分布を特徴量として導出するので、図7(a),(b)に示すような波形をそのまま取り込むと考えればよい。
放電判定部25は、複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された他の振動波形と比較した際に、周波数解析後の強度分布が略一致する波形が存在するか否か判断する。略一致するか否かの判断方法は、様々な方法が考えられるが、放電判定部25は、例えば2つの波形の周波数解析後の強度分布について減算処理を行い、減算処理後の強度分布が所定値以下となるか否かにより判断することができる。
周波数解析後の強度分布が略一致する波形が存在すると判断した場合に、放電判定部25は、複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する。
したがって、放電判定部25は、特徴量導出部23により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された電流信号が複数の振動波形を有し、且つ複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断することができ、被測定線である接地線5で部分放電が生じたと判定する。
上述のとおり、本発明の実施例4の形態に係る部分放電判別装置及び部分放電判別方法によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施例の部分放電判別装置及び部分放電判別方法は、特徴量導出部23が複数の振動波形の各々について周波数解析を行った場合の強度分布を特徴量として導出し、放電判定部25で周波数解析後の強度分布が略一致する波形が存在するか否かを判断するので、迅速且つ的確に部分放電判別を行うことができる。
本発明に係る部分放電判別装置及び部分放電判別方法は、高圧系統に接続された高圧送電機器(電力ケーブル等)の内部で生じた部分放電とノイズ信号とを判別する部分放電判別装置及び部分放電判別方法に利用可能である。
2 ケーブル
3 終端接続部
5 接地線
7 変流器
8 コア
9 出力巻線
13 負荷抵抗
14 抵抗
15 増幅器
17 バンドパスフィルタ
19 ノイズ除去部
21 波形記憶部
23 特徴量導出部
25 放電判定部

Claims (8)

  1. 被測定線に流れる電流を検出する電流検出器と、
    前記電流検出器により検出された電流に基づく電流信号から特徴量を導出する特徴量導出部と、
    前記特徴量導出部により導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された前記電流信号が複数の振動波形を有し、且つ前記複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断する場合に、前被測定線で部分放電が生じたと判定する判定部と、
    を備えることを特徴とする部分放電判別装置。
  2. 前記電流検出器により検出された電流に基づく電流信号のうち所定の帯域の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタを備え、
    前記特徴量導出部は、前記バンドパスフィルタを通過した電流信号から特徴量を導出することを特徴とする請求項1記載の部分放電判別装置。
  3. 前記特徴量導出部は、特徴量として極大点の振幅値、前記極大点の前後における複数の変極点の振幅値、前記極大点と前記複数の変極点の各々との時間差、及び各点における符号を導出し、
    前記判定部は、前記複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された他の振動波形と比較した場合に、前記極大点の振幅値、前記複数の変極点の各々の振幅値、及び前記極大点と前記複数の変極点の各々との時間差が略同等であり、且つ各点における符号が逆となる波形が存在した場合に、前記複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の部分放電判別装置。
  4. 前記特徴量導出部は、特徴量として前記複数の振動波形の各々が有する振幅値及び符号を導出し、
    前記判定部は、前記複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された他の振動波形と足し合わせた場合に、互いに打ち消しあうことで足し合わせ後の波形全体における振幅の絶対値が所定値以下となる場合に、前記複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の部分放電判別装置。
  5. 前記特徴量導出部は、特徴量として前記複数の振動波形の各々について全波整流した場合の極大点の振幅値、前記極大点の前後における複数の変極点の各々の振幅値、及び前記極大点と前記複数の変極点の各々との時間差を導出し、
    前記判定部は、全波整流後の前記複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された全波整流後の他の振動波形と比較した場合に、前記極大点の振幅値、前記複数の変極点の各々の振幅値、及び前記極大点と前記複数の変極点の各々との時間差が略同等である場合に、前記複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の部分放電判別装置。
  6. 前記特徴量導出部は、特徴量として前記複数の振動波形の各々について全波整流した場合の各振幅値を導出し、
    前記判定部は、全波整流後の前記複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された全波整流後の他の振動波形との間で減算処理を行った場合に、減算処理後の波形全体における振幅の絶対値が所定値以下となる場合に、前記複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の部分放電判別装置。
  7. 前記特徴量導出部は、特徴量として前記複数の振動波形の各々について周波数解析を行った場合の強度分布を導出し、
    前記判定部は、前記複数の振動波形の各々について、所定時間内に検出された他の振動波形と比較した際に、周波数解析後の強度分布が略一致する波形が存在した場合に、前記複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる複数の波形が含まれていると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の部分放電判別装置。
  8. 被測定線に流れる電流を検出する電流検出ステップと、
    前記電流検出ステップにより検出された電流に基づく電流信号から特徴量を導出する特徴量導出ステップと、
    前記特徴量導出ステップにより導出された特徴量に基づいて、所定時間内に検出された前記電流信号が複数の振動波形を有し、且つ前記複数の振動波形の中に大きさが略同等で振動の向きが互いに逆となる波形が含まれていると判断する場合に、前被測定線で部分放電が生じたと判定する判定ステップと、
    を備えることを特徴とする部分放電判別方法。
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