JP2011234451A - 回転電機装置 - Google Patents

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伸 中増
Yoshinari Asano
能成 浅野
Yoshihito Sanga
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Abstract

【課題】回転シャフトを回転する駆動機構と回転シャフトの回転を減速する減速機構とを備えて小型化・簡素化・低コスト化を図れる回転電機装置を提供する。
【解決手段】この回転電機装置は、回転シャフト(40)と、複数の巻線付き磁芯(20e)を有する第1固定子(20)と、前記第1固定子に対して相対的に固定される様に配置された第2固定子(30)と、前記第1および前記第2固定子の間に配置する様に前記回転シャフトに配設され、複数の界磁部材(10i)を有し、前記回転軸方向に沿って前記第1固定子側または前記第2固定子側に移動自在である回転子(10)と、前記回転子における前記第2固定子側の面(10g)に配設されたブレーキディスク(BD)と、前記第2固定子における前記回転子側の面(30a)に配設されたブレーキパッド(BP)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動車両に搭載可能な回転電機装置に関し、特に回転シャフトを回転させる駆動機構と回転シャフトの回転を減速する減速機構とを備えた回転電動装置に関する。
排気ガス低減による環境汚染やCO2削減による温暖化対策として、内燃機関を駆動力とする自動車に駆動力用の回転電機(モータ)を組み込んだハイブリッド車両、または回転電機だけを駆動力とする電気自動車が各メーカから発売されている。
内燃機関と回転電機とのトルク分配の方式や回転電機の形式等には各種の形態があるが、中でも車輪を直接駆動することによりトランスミッションやクラッチ機構を無くすことができるインホイールモータに関する技術が特許文献1に公開されている。
しかしながら、特許文献2や特許文献4に挙げられるように、インホイールモータ装置を配設するための空間の制限には厳しい要求がある。
またこの様なハイブリッド車両や電気自動車では、車両減速時には回転電機を発電機として機能させることで運動エネルギーの回収が行えるという利点があるが、安全確保の為に必要となる減速装置の制動力は、加速度の絶対値よりも減速度の絶対値の方が大きい性能を満足する必要があり、発電機の回生電力を全て蓄電池に回収するには、大容量の蓄電池が必要となるため、コスト高と車両の重量増とを招くという欠点がある。
この大容量の蓄電池の代替技術として、回転電機の制動時に、回転電機の電機子巻線を短絡させて回転電機に制動力が作用する様に、回転電機の界磁巻線に流れる界磁電流を制御する技術が特許文献3に開示されている。しかしそれでも制動力の確保の為に、回転電機の回生制御による制動力と、ディスクブレーキやドラムブレーキ等の機械的な減速装置による制動力とを兼用するのが一般的である。
特開2005-253250号公報 特開2004-090822号公報 特開2006-321397号公報 特開2009-190440号公報 特許第3932705号公報
しかしながら、インホイールモータ形式にてディスクブレーキを配設すると、その配設のための更なる空間が必要となり、ホイール内または車両下部内に駆動機構を収めるのが困難になるという欠点や、バネ下部分の荷重が大きくなり操舵性や懸架性ともに悪化するという欠点を招く。
また回転電機は、内燃機関と比べて低速から大トルクを発揮できるという利点がある一方で、特許文献5に記載されるように、回転加速開始時(即ち車両発進時)に加速ショックを乗員に与えるという欠点がある。そのため、力行時の回転電機の発生トルクを簡易に抑制できる技術が求められている。
本発明は、上記課題に鑑みて発明されたものであり、第1に、駆動機構と減速機構とを備えて小型化・簡素化・低コスト化を図れる回転電機装置を提供することにある。また第2に、回転加速開始時の加速ショックを抑制できる回転電機装置を提供することにある。また第3に、大容量の蓄電池を搭載しなくても大きな減速トルクを確保できる回転電機装置を提供することにある。
上記課題を解決する為に、本発明の第1の態様は、回転軸(Q1)に沿って配置された回転シャフト(40)と、前記回転軸方向の一方側(Q+)の面(20d)に前記回転軸回りに環状に配設された複数の巻線付き磁芯(20e)を有する第1固定子(20)と、前記第1固定子に対する前記回転軸方向の一方側において前記第1固定子と間隔を空け、且つ前記第1固定子に対して相対的に固定される様に配置された第2固定子(30)と、前記第1および前記第2固定子の間に配置する様に前記回転シャフトに配設され、前記第1固定子側の面(10c1)に前記回転軸回りに環状に配置されて界磁磁束を発生する複数の界磁部材(10i)を有し、前記回転軸方向に沿って前記第1固定子側または前記第2固定子側に移動自在である回転子(10)と、前記回転子における前記第2固定子側の面(10g)および前記第2固定子における前記回転子側の面(30a)の何れか一方の面に配設されたブレーキディスク(BD)と、前記回転子における前記第2固定子側の面(10g)および前記第2固定子における前記回転子側の面(30a)の何れか他方の面に配設されたブレーキパッド(BP)と、を含むアキシャルギャップ型回転電機(90)と、前記各巻線付き磁芯(20e)の巻線(20a)に電流を選択的に流すインバータ手段(80)と、前記インバータ手段を制御して前記各巻線に電流を選択的に流して電機子磁界を発生させて、前記回転子を回転制御する制御手段(100)と、を備え、前記第1および前記第2固定子が前記回転子に作用する磁気力の合力の前記回転軸方向の成分(F1)は、前記一方側(Q+)から前記他方側(Q−)に向かう方向を正として、その値が正値と負値の間を選択的に取る様に、前記制御手段(100)が前記インバータ手段を制御するものである。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の回転電機装置であって、前記制御手段(100)は、前記インバータ手段(80)を制御して前記各巻線(20a)に流れる電流の電流値および位相角(β)を制御することで、前記合力の回転軸方向の成分(F1)に正値と負値との間の値を選択的に取らせるものである。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の回転電機装置であって、前記制御手段(100)は、前記回転子(10)の回転速度が所定の回転速度(ω1)以下の範囲で加速する場合は、前記合力の前記回転軸方向の成分(F1)を負値にして前記回転子(10)を前記第2固定子(30)側に移動させることで前記ブレーキディスク(BD)を前記ブレーキパッド(BP)に押し当てる様にして、前記回転子の回転を加速させるものである。
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の回転電機装置であって、前記制御手段(100)は、前記回転子(10)の加速中に前記所定の回転速度(ω1)を超えると、前記合力の前記回転軸方向の成分(F1)を負値からゼロに向けて徐々に変化させて前記回転子を前記第1固定子(20)側に徐々に移動させることで前記ブレーキディスク(BD)の前記ブレーキパッド(BP)への押し当てが低減する様にして、前記回転子の回転を加速させるものである。
本発明の第5の態様は、第1または第2の態様に記載の回転電機装置であって、前記制御手段(100)は、前記回転子(10)が回生制御され、且つ前記合力の前記回転軸方向の成分(F1)を負値にして前記回転子を前記第2固定子(30)側に移動させることで前記ブレーキディスク(BD)が前記ブレーキパッド(BP)に押し当てられる様にして、前記回転子の回転を減速させるものである。
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の回転電機装置であって、前記各巻線付き磁芯(20e)の巻線(20a)に流れる電流のうち、前記電機子磁界が前記界磁磁束を増減する成分をd軸電流とし、前記d軸電流と位相が直交する成分をq軸電流とし、前記界磁磁束を弱める方向を前記d軸電流の負値とし、回転トルクを弱める方向を前記q軸電流の負値とし、前記制御手段(100)は、前記各巻線に流れる電流の前記d軸電流および前記q軸電流が共に負値となる様に前記インバータ手段を制御するものである。
本発明の第7の態様は、第1〜6の態様の何れかに記載の回転電機装置(2)であって、ハウジング(60)と、前記ハウジング(60)に固定された状態で、前記回転シャフトを前記回転軸(Q1)方向に移動自在に支持する第1軸受け(50a)および第2軸受け(50b)と、を更に備え、前記回転子(10)は前記回転シャフト(40)に固定され、前記第1固定子(20)および第2固定子(30)は前記ハウジングに固定されるものである。
本発明の第8の態様は、第7の態様に記載の回転電機装置(2)であって、前記回転シャフト(40)において前記第1軸受け(50a)と前記第1固定子(20)との間に固定されて、前記回転子(10)の前記第1固定子(20)側への移動範囲を制限する第1ストッパ(70a)を更に備えるものである。
本発明の第9の態様は、第1〜6の態様の何れかに記載の回転電機装置(2B)であって、ハウジング(60)と、前記回転シャフト(40)に対しては固定され、前記ハウジングに対しては、前記回転軸(Q1)方向には移動可動で且つ前記回転軸方向に直交する方向には固定される様に配設された第1軸受け(50aB)および第2軸受け(50bB)と、を更に備え、前記回転子(10)は前記回転シャフト(40)に固定され、前記第1固定子(20)および第2固定子(30)は前記ハウジングに固定されるものである。
本発明の第10の態様は、第9の態様に記載の回転電機装置(2B)であって、前記第1軸受け(50a)の前記回転軸(Q1)方向の他方側(Q−)への移動範囲を制限する様に前記ハウジング(60)に配設されて、前記回転子(10)の前記第1固定子(20)側への移動範囲を制限する第1ストッパ(70aB)を更に備えるものである。
本発明の第11の態様は、第1〜6の態様の何れかに記載の回転電機装置(2C)であって、ハウジング(60)と、前記ハウジングに固定された状態で、前記回転シャフト(40C)を前記回転軸(Q1)回りには回転自在で且つ前記回転軸方向には固定する様に支持する第1軸受け(50aC)および第2軸受け(50bC)と、を更に備え、前記第1固定子(20)および第2固定子(30)は前記ハウジングに固定され、前記回転子(10C)は、前記回転シャフトに対して前記回転軸方向には相対的に移動可能で且つ前記回転軸回りには相対的に回転できない様に配設されるものである。
本発明の第12の態様は、第11の態様に記載の回転電機装置(2C)であって、前記回転シャフト(40C)は、前記第1固定子(20)および前記第2固定子(30)の間に配置する部分であって第1直径(d3)を有する細径部分(40d)と、前記細径部分の両側の部分であって前記第1直径よりも大きい第2直径(d4)を有する太径部分(40e)とを有し、前記回転子(10C)は、前記細径部分に対して前記回転軸(Q1)方向には相対的に移動可能で且つ前記回転軸回りには相対的に固定される様に配設され、前記第1ストッパ(70aC)は、前記細径部分と一方側(Q+)の前記太径部分(40e+)との境界の段差により構成されるものである。
本発明の第13の態様は、第12の態様に記載の回転電機装置(2C)であって、前記細径部分(40d)における前記回転軸(Q1)に直交する断面は、非円形に形成され、前記回転子(10C)には、その前記回転軸方向の両側の面を貫通する様に、前記断面が嵌合する中心孔(10n)が形成され、その中心孔に前記細径部分が嵌挿されるものである。
本発明の第14の態様は、第13の態様に記載の回転電機装置(2C)であって、前記細径部分(40d)における前記回転軸(Q1)に直交する前記断面は、歯車形または星形であるものである。
本発明の第1の態様によれば、回転子を回転制御しつつ回転子を第1固定子側また第2固定子側に移動できる。これにより回転子を回転制御しつつ、ブレーキディスクのブレーキパッドへの押付けまたはその解除を行う事ができる。即ち回転子(従って回転シャフト)を回転駆動する駆動機構と回転子を機械的に減速させる減速機構とを一体的に構成でき、これにより小型化・簡素化・低コスト化を図れる。
本発明の第2の態様によれば、各巻線に流れる電流の電流値または位相角の制御だけで、回転子の回転と機械的な減速とを制御できる。
本発明の第3の態様によれば、各巻線に流れる電流の電流値または位相角の制御だけで、回転子の回転と機械的な減速とを制御できる。
本発明の第4の態様によれば、ブレーキディスクとブレークパッドによる機械的な減速を伴う加速から、ブレーキディスクとブレークパッドによる機械的な減速を伴わない本格的な加速へとスムーズに移行できる。
本発明の第5の態様によれば、回生制御による回生ブレーキと、ブレーキディスクとブレークパッドによる機械的な減速とを併用して減速するので、小容量の蓄電池を搭載する場合でも大きな制動力を確保できる。
本発明の第6の態様によれば、d軸電流およびq軸電流の制御だけで、回生制御による回生ブレーキと、ブレーキディスクとブレークパッドによる機械的な減速とを制御できる。
本発明の第7の態様によれば、低コストで簡便な構成で回転子を回転軸方向に移動自在にできる。
本発明の第8の態様によれば、低コストで簡便な構成で、第1ストッパを設ける事ができる。
本発明の第9の態様によれば、低コストで簡便な構成で、回転子を回転軸方向に移動可能にできる。
本発明の第10の態様によれば、低コストで簡便な構成で、第1ストッパを設ける事ができる。
本発明の第11の態様によれば、低コストで簡便な構成で、回転子を回転軸方向に移動可能にできる。
本発明の第12の態様によれば、細径部分と太径部分との段差を第1ストッパとして利用するので、第1ストッパを別部材として備える必要が無くなる。
本発明の第13および第14の態様によれば、低コストで簡便な構成で、回転子を、前記細径部分に対して回転軸方向には相対的に移動可能で且つ回転軸回りには相対的に固定される様に配設できる。
第1実施形態に係るインホイール装置1のモータ90および車輪3の構成概略図である。 第1実施形態に係るインホイール装置1の制御回路100およびインバータ80の構成概略図である。 モータ90の分解斜視図の概略図である。 スラスト力F1と位相角βとの関係の一例を示す図である。 モータ90の加速時におけるd軸電流指令値Id*と回転速度指令値ω*との関係の一例を示す図である。 モータ90の加速時におけるq軸電流指令値Iq*と回転速度指令値ω*との関係の一例を示す図である。 モータ90の加速時におけるスラスト力F1と回転速度指令値ω*との関係の一例を示す図である。 モータ90の減速時におけるd軸電流指令値Id*と回転速度指令値ω*との関係の一例を示す図である。 モータ90の減速時におけるq軸電流指令値Iq*と回転速度指令値ω*との関係の一例を示す図である。 モータ90の減速時におけるスラスト力F1と回転速度指令値ω*との関係の一例を示す図である。 第2実施形態に係るインホイール装置1Bのモータ90Bの構成概略図である。 第3実施形態に係るインホイール装置1Cのモータ90Cの構成概略図である。 図12のXIII−XIII断面図である。
<第1実施形態>
この実施形態に係る回転電機装置は、回転シャフトを回転させる駆動機構と回転シャフトの回転を減速する減速機構とを備えたものであり、例えば、車輪のホイールの裏側に配置されて前記車輪を駆動するインホイールモータ装置に適用されている。
この実施形態のインホイールモータ装置1は、図1の様に、回転電機装置2を構成するモータ90(図3参照)と、モータ90の回転シャフト40に同心軸状に配設された金属製のホイール3aとを備えている。ホイール3aは例えばゴム製のタイヤ3bと共に車輪3を構成する。図1は回転シャフト40に平行かつその中心軸を含む、インホイールモータ装置の断面を示す。
回転電機装置2は、図2の様に、直流電源70と、3相モータ90と、直流電源70の直流電力を3相交流電力に変換して3相モータ90の各相U,V,Wに電流を供給するインバータ回路(インバータ手段)80と、インバータ回路80を制御する制御回路(制御手段)100とを備えている。直流電源70は交流電源とコンバータによって形成されてもよい。例えば電流Iu,Iv,Iwは、複数の電流センサ120u,120v、120wによって検出され、各電流センサ120u,120v、120wの検出結果に基づいて制御回路100がインバータ回路80を制御する。
モータ90は、図1の様に、回転子10が回転軸Q1回りに回転自在で且つ回転軸Q1方向に移動自在に配設され、且つ回転子10における回転軸Q1方向の一方側Q−に電機子巻線付きの第1固定子20が配設され、回転子10における回転軸Q1方向の他方側Q+に電機子巻線無しの第2固定子30が配設された構造を有するセンサレス型のアキシャルギャップ型回転電機である。この実施形態では、モータ90は、回転軸Q1が水平になる様に配置されている。
より詳細には、モータ90は、図1および図3の様に、回転子10と、第1および第2固定子20,30と、回転シャフト40と、第1および第2軸受け50a,50bと、ハウジング60と、第1ストッパ70aと、ブレーキディスクBDと、ブレーキパッドBPとを備えている。但し図3では回転シャフト40と、第1および第2軸受け50a,50bと、ハウジング60との図示を省略している。
ハウジング60は、図1の様に、内部に収容空間を有する箱状に形成されており、その内部に各構成要素10,20,30,40,50a,50b,70a,BD,BPが配設されている。ハウジング60の一方側の面60aおよび反対側の面60cにはそれぞれ孔60b,60dが形成されており、各孔60b,60dには、回転シャフト40がその回転軸Q1を中心に回転自在に挿通配置される。
回転子10は、複数の界磁部材10iと、複数のコア部材10fと、保持部材10hと、鋼板10gとを備えている。但しコア部材10fは図1に示された断面には現れない位置に配置されている。
各界磁部材10iは、回転軸Q1の周囲において相互に離間して環状に配置されている。各界磁部材10iは、例えば平面視略台形状の板状に形成されており、界磁磁石10aと、コア部材10cとを備えている。
界磁磁石10aは、例えばネオジム、鉄、ホウ素を主成分とした希土類磁石である。界磁磁石10aは、例えば平面視略台形状の板状に形成されている。ここでは、界磁磁石10aの前記略台形の下底に対応する辺10a3は、円弧状に外周側に凸形成されている。界磁磁石10aは、その両側の主面10a1,10a2が磁極面となっている。各界磁磁石10aはそれぞれ、その両側の主面10a1,10a2が回転軸Q1方向と略直交し、且つその下底に対応する辺10a3が外側を向く様にして、回転軸Q1の周囲において相互に離間して配置される。尚、各界磁磁石10aは、それらの同じ側(例えば回転軸Q1方向のQ−側)の主面(例えば主面10a1)の磁極の極性が、回転軸Q1に対する周方向Q2に沿って交互に異なる様に、配置される。
コア部材10cは、磁性材(例えば鉄等の軟磁性材)により、界磁磁石10aと例えば同形同大の平面視形状(ここでは略台形状)の板状に形成されている。コア部材10cは、界磁磁石10aの一方の主面10a1に配設されている。
各コア部材10fは、磁性材(例えば鉄等の軟磁性材)により例えば略直方体状に形成されている。各コア部材10fは、その長手方向が回転軸Q1に対する径方向Q3に沿う様にして、隣り合う各界磁部材10iの間に配置される。
保持部材10hは、複数の界磁部材10iおよび複数のコア部材10fを保持するものである。保持部材10hは、非磁性材料、例えば非磁性金属からなり、内周枠部10jと、外周枠部10kと、複数の連結部10mとを備えている。
内周枠部10jは、環状(例えば略円環板状)に形成されている。ここでは内周枠部10jの外周形状は、回転軸Q1方向に沿って見た平面視で、例えば略六角形状に形成されている。また外周枠部10kは、環状(例えば円環状)に形成されており、内周枠部10jの外周側に同心軸状に配置される。内周枠部10jの中央孔10nには、回転シャフト40が同心軸状に挿通されて固設される。
回転シャフト40は、回転軸Q1に沿って配置されており、その回転軸Q1方向の一方側Q−が第1軸受け50aにより支持され、その回転軸Q1方向の他方側Q+が第2軸受け50bにより支持されている。より詳細には、第1軸受け50aおよび第2軸受け50aはそれぞれ、ハウジング60に固定された状態で、回転シャフト40を、回転軸Q1回りに回転自在で且つ回転軸Q1方向に移動自在に支持している。
この様な軸受けとして、第1軸受け50aおよび第2軸受け50bは、例えば焼結含油軸受けが使用される。即ち第1軸受け50aおよび第2軸受け50bは、鉄などからなる焼結材料により多孔子を含む様に形成され、その多孔子に潤滑油が含浸される。そして第1軸受け50aおよび第2軸受け50bの各々の内径は、回転シャフト40の外径よりも若干(例えば数μm〜数十μm程度)大きく設計されており、これにより回転シャフト40が第1軸受け50aおよび第2軸受け50bの内径部に挿通された状態で回転すると、その回転によるポンプ作用により、回転シャフト40と各軸受け50a,50bとの接触部分付近の隙間において前記多孔子に含浸された潤滑油が染み出し、その潤滑油により回転シャフト40が支持される。この様に回転シャフト40が潤滑油で支持されることで、回転シャフト40は、上記の様に、回転軸Q1回りに回転自在で且つ回転軸Q1方向に移動自在に支持される。
またここでは、ハウジング60の一方側Q−の内面60gには凹部60hが形成されており、その凹部60h内に第1軸受け50aが例えば圧入されて嵌合配設されることで、第1軸受け50aはハウジング60に固定されている。またハウジング60の他方側Q+の内面60eには凹部60fが形成されており、その凹部60f内に第2軸受け50bが例えば圧入されて嵌合配設されることで、第2軸受け50bはハウジング60に固定されている。尚、孔60bは凹部60hの底部に形成され、また孔60dは凹部60fの底部に形成されている。この様に回転シャフト40が第1軸受け50aおよび第2軸受け50bに支持されることで、回転子10は、回転軸Q1方向に沿って一方側Q−側または他方側Q+に移動自在にハウジング60に配設されている。この様な構成により、低コストで且つ簡便な構成で、回転子10が回転軸Q1方向に移動可能できる。
尚、回転シャフト40は、図1の様に、シャフト本体40aと、車輪3(より詳細にはホイール3a)が取り付けられる取付部40bとを備えている。シャフト本体40aは円柱状である。取付部40bは、シャフト本体40aの他方側Q+の一端部の外周面において、シャフト本体40aの径方向Q3に張り出す様に周設されている。また取付部40bの他方側Q+の面40cには、車輪3を締結するための複数の雄ねじ部40kが、回転軸Q1回りに環状に立設されている。尚ここでは、取付部40bは、回転軸Q1方向から見た輪郭が例えば円形状に形成されており、シャフト本体40aに対して同心軸状に設けられている。
タイヤ3bは、ホイール3aの外周に配設されている。ホイール3aには、取付部40bの複数の雄ねじ部40eに対応する複数の孔3eが形成されている。これらの孔3eは、回転軸Q1方向の両側におけるホイール3aの面3c,3dを貫通し且つ回転軸Q1回りに環状に配置する様に形成されている。各雄ねじ部40kがそれぞれそれに対応する孔3eに貫挿する様に、ホイール3aの裏面3d側において取付部40bの面40cが当接され、この状態で、ナット4aがホイール3aの面3c側から雄ねじ部40kに螺合される。これにより各ナット4aと取付部40bとによりホイール3aが狭持されて、ホイール3aが取付部40bに取り付けられる。タイヤ3bは公知の手法にてホイール3aに取り付けられる。
回転子10において、各連結部10mは、内周枠部10jと外周枠部10kとの間においてほぼ径方向Q3に沿って配置されて、内周枠部10jと外周枠部10kとを連結する。隣り合う各連結部10mの間隔は、相対的に小さい間隔と相対的に大きい間隔とが周方向Q2に沿って交互に繰り返されている。前記相対的に小さい間隔に対応する区間10p1には、コア部材10fが嵌合配設され、前記相対的に大きい間隔に対応する空間10p2には、界磁部材10iが嵌合配設される。
即ち各界磁部材10iは、回転軸Q1の周囲に相互に離間して環状に配置し、且つ界磁磁石10aの一方側Q+の主面10a2が保持部材10hの同側Q+の主面10h2から露出すると共にコア部材10cの他方側Q−の主面(磁極面)10c1が保持部材10hの同側Q−の主面10h1から露出した状態で、保持部材10hに配設される。またコア部材10fは、保持部材10hの両側の主面10h1,10h2の間を貫通する様に、隣り合う各界磁部材10iの間に配設される。
鋼板10gは、磁性材(例えば鉄等の軟磁性材)により例えば略環板状(例えば円環板状)に形成されており、各界磁磁石10aの主面10a2を被覆する様に、保持部材10hの一方側Q+の面に同心軸状に配設される。
第1固定子20は、例えば、バックヨーク20cと、複数の巻線付き磁芯20eとを有している。第1固定子20は、例えば、回転子10と第1軸受け50aとの間において、ハウジング60に固定されて配設されている。
バックヨーク20cは、例えば略環板状(例えば円環板状)に形成され、その中央孔20fに、回転シャフト40が回転軸Q1回りに回転自在に挿通されている。バックヨーク20cは、回転子10と第1軸受け50aとの間において、回転子10と同心軸状に配置する様にハウジング60に固定されて配設されている。
各巻線付き磁芯20eはそれぞれ、電機子磁芯20bと電機子巻線20aとを備えている。電機子磁芯20bは、例えば略台形柱状に形成されており、その外周に電機子巻線20aが巻回されている。電機子磁芯20bは、バックヨーク20cの回転子10側の主面20dにおいて、その略台形の下底に対向する側面20b3が外側を向く様にして、回転軸Q1の周りに環状に複数配置されている。尚、電機子磁芯20bは、図1の様に、電機子巻線20aが巻回される例えば略台形柱状の磁芯本体部20b1と、磁芯本体部20b1の回転子10側の面に、磁芯本体部20b1の外周側に張り出す様に磁芯本体部20b1と一体的に形成された例えば略台形板状の幅広磁芯部20b2とを有している。
電機子巻線20aは、電機子磁芯20bの外周に絶縁体(図示省略)を介して巻回される。尚、本願では特に断りのない限り、電機子巻線20aは、これを構成する導線の1本1本を指すのではなく、導線が一纏まりに巻回された態様を指すものとする。また、巻始めおよび巻終わりの引出線、および、それらの結線も図面においては省略している。各電機子巻線20aは、モータを構成する様に配線接続されて、モータ90に備えられた各相U,V,W毎の電極11u,11v,11w(図2参照)に接続される。
第2固定子30は、磁性材により例えば略環板状(例えば円環板状)に形成されており、その中央孔30cに、回転シャフト40が回転軸Q1回りに回転自在に挿通される。第2固定子30は、例えば、回転子10と第2軸受け50bとの間において、回転子10と同心軸状に配置する様にハウジング60に固定されて配設されている。
第1ストッパ70aは、回転子10の第1固定子20側への移動範囲を制限するものである。第1ストッパ70aは、例えば、回転シャフト40において第1軸受け50aと第1固定子20との間に固定されており、回転シャフト40と共に(従って回転子10と共に)回転軸Q1方向に移動し、第1ストッパ70aが第1軸受け50aに当接することで、回転子10の第1固定子20側への移動範囲を制限する。この様な構成により、簡便な構成で、第1ストッパ70aを設ける事ができる。
尚、回転子10が第1固定子20側に移動した際に回転子10が第1固定子20と接触しない様に、第1ストッパ70aと第1軸受け50aとの間隔G1は、第1固定子20と回転子10との間の間隔(より詳細には電機子磁芯20eの端面20gとコア部材10cの主面10c1との間の間隔)d1よりも小さく設定されている。
ブレーキディスクBDは、例えば金属部材により、その中央に孔BDbを有する円板状に形成されている。ブレーキディスクBDは、回転子10の第2固定子30側の面(換言すれば鋼板10gの第2固定子30側の面)10qおよび第2固定子30の回転子10側の面30aの何れか一方(図1では面10q)に、同心軸状に配設されている。
ブレーキパッドBPは、例えばレジンモールド材(樹脂による成型)または焼結材(紛体冶金)により平板状に形成されている。ブレーキパッドBPは、回転子10の第2固定子30側の面10qおよび第2固定子30の回転子10側の面30aの何れか他方(図1では面30a)に、回転軸Q1回りに互いに環状に複数配設されている。図3では、各ブレーキパッドBPは、一例として、界磁磁石10aと同様に、例えば平面視略台形状の板状に形成されており、その下底に対応する辺BPaが外側を向く様にして、回転軸Q1の周囲において相互に離間して配置される。
このモータ90では、回転子10,第1固定子20および第2固定子30により回転シャフト40を回転させる駆動機構が構成される。また回転子10,第1固定子20、第2固定子30、ブレーキディスクBDおよびブレーキパッドBPにより、回転シャフト40を減速する減速機構が構成される。
即ちインバータ回路80から各相U,V,Wの電極11u,11v,11wを介して各電機子巻線20aに電流Iu,Iv,Iwが供給されることで、各電機子巻線20aが励磁される。この励磁した電機子巻線20aと回転子10の各界磁部材10iとの間で磁気力が発生し、この磁気力により回転子10が回転軸Q1回りに回転され、この回転力が回転シャフト40を回転させて、車輪3が回転駆動される。
従来技術のブレーキキャリパーとして機能する先記機構においては、従来技術の適用が選択の上で搭載できる。例えば、ブレーキディスクBDの放熱性能の向上の為に、モータ90の電磁性能が劣化しない範囲内の径にて、ブレーキディスクBDにQ1方向に貫通穴を設けて表面積を拡大することもできる。ブレーキディスクBDの放熱時間を増やすために、ブレーキパッドBPの数を、モータ90の磁極数より減らすことも可能である。但し、従来技術のキャリパー機構に対して、本発明はモータ90と兼用している為、ブレーキディスクBDとブレーキパッドBPとの平面度の歪みはモータ90のエアギャップの歪みに繋がるため、平面度維持の観点からは磁極数の偶数分の1の数を、円周等分に配置すると良い。乃至は偶数個の数を、おなじく円周等分に配置するのでも良い。ブレーキパッドBPの磨耗粉排出用として、ブレーキディスクBDを回転軸Q1方向から見た際に、Q3方向へ広がりながら螺旋状を描く溝を設けても良い。
また回転子10が回転軸Q1方向に移動自在になっており、電流Iu,Iv,Iwの電流値または位相角βに応じて、回転子10と第1固定子20および第2固定子30との間に作用する磁気力の合力の回転軸Q1方向の成分(スラスト力)が負値と正値との間の値を取り、このスラスト力により回転子10が第2固定子30側に接近または離間される。そして回転子10が第2固定子20側に接近することで、レーキディスクBDがブレーキパッドBPに押し付けられて、回転シャフト40の回転(従って車輪3の回転)が減速される。尚ここでは、スラスト力が負値を取る場合だけレーキディスクBDがブレーキパッドBPに当接し、スラスト力の負値の範囲でスラスト力の絶対値が増大するほど、レーキディスクBDがブレーキパッドBPに強く押し付けられる。
尚、このモータ90は、図4の様に、モータ90の無通電状態(即ちモータ90の停止状態)では、スラスト力F1が負値(初期値)Fs(図4ではFs≒−80)となる様に設計されている。またモータ90の通電状態(即ちモータ90の回転状態)では、モータ90の出力トルクが少なくとも一定の範囲内で、各巻線20aに流れる電流Iu,Iv,Iwの位相角βに応じてスラスト力F1が正値から負値に変化する様に設計されている。尚、スラスト力F1は、回転軸Q1方向の一方側(第2固定子30側)Q+から他方側(第1固定子20側)Q−に向かう方向を正としている。
上記の設計に際しては、例えば、回転子10と第1固定子20および第2固定子30との間の間隔d1,d2を調整してもよく、また鋼板10gの厚みを調整してもよく、また磁芯20eの回転子10側の面20gおよび第2固定子30の回転子10側の面30aの各々の形状または材質を変更してもよく、また各面20g,30aでの磁束密度を調整してもよく、また各面20g,30aを回転軸Q1方向に対して傾斜させてもよい(尚、この実施形態では各面20g,30aは回転軸Q1方向に対して直交している)。
尚、図4では、モータ90の出力トルクが0[Nm](無負荷状態)の場合(グラフg5)、0.5[Nm]の場合(グラフg4)、1.0[Nm]の場合(グラフg3)、2.0[Nm]の場合(グラフg2)および3.0[Nm]の場合(グラフg1)のスラスト力F1と位相角βとの関係が示されている。またモータ90の出力トルクが1.0[Nm]の場合および2.0[Nm]の場合では、スラスト力F1は位相角βに応じて正値から負値に変化し、0.5[Nm]の場合および1.0[Nm]の場合では、スラスト力F1は位相角βの全範囲で負値となる様に設計されている。
インバータ回路80は、図2の様に、複数(ここでは6個)のスイッチ素子SU1,SU2,SV1,SV2,SW1,SW2を備えている。各スイッチ素子SU1,SU2は、互いに直列接続された状態で直流電源70の陽極および陰極間に接続されており、それらの間の電位が3相負荷90のU相電極11uに印加されている。また各スイッチ素子SV1,SV2は、互いに直列接続された状態で直流電源70の陽極および陰極間に接続されており、それらの間の電位がモータ90のV相電極11vに印加されている。また各スイッチ素子SW1,SW2は、互いに直列接続された状態で直流電源70の陽極および陰極間に接続されており、それらの間の電位がモータ90のW相電極11wに印加されている。
各スイッチ素子SU1,SU2,SV1,SV2,SW1,SW2はそれぞれ、トランジスタTと、トランジスタTの主電極間に設けられたダイオードDとを備えている。ダイオードDは、その通電方向が、トランジスタTの通電方向に対して逆向きになる様にトランジスタTの主電極間に設けられている。各スイッチ素子の制御電極Gはそれぞれ、制御回路100に接続されている。スイッチ素子SU1,SU2,SV1,SV2,SW1,SW2としては、還流ダイオードを備えたIGBT等を使用する事ができる。
このインバータ回路80は、制御回路100により、各スイッチ素子SU1,SU2,SV1,SV2,SW1,SW2の制御電極Gに電圧が印加されて、それら各スイッチ素子の導通/非導通が制御される。これにより直流電源70の直流電力が3相交流電力に変換されて、モータ90の各相U,V,Wの電極11u,11v,11wに電流が供給されて、モータ90が回転駆動される。
制御回路100は、モータ90に流れる各電流(即ち各巻線20aに流れる電流)Iu,Iv,Iwに基づいてモータ90の回転速度を求める。また制御回路100は、(i)モータ90の回転速度ωが回転速度指令値ω*に一致する様に、且つ(ii)回転子10がモータ90の回転速度ωおよび回転速度ωの加減速に応じて回転軸Q1方向に移動する様にスラスト力F1を制御する様に、インバータ回路80を制御する。
より詳細には、上記(ii)では、制御回路100は、(ii−1)モータ90の回転速度ωが所定の回転速ω1以下(即ち低速回転領域)の範囲でモータ90の回転を加速させるとき(例えば発進持)は、スラスト力F1を負値にして回転子10を第2ステータ30側に移動させることでブレーキディスクBDをブレークパッドBPに押し当てながら(即ち減速機構によるブレーキを掛けながら)モータ90の回転を加速させる様に、インバータ回路80を制御する。これにより加速時のショックを抑えつつゆっくりと加速する事ができる。
そして制御回路100は、(ii−2)モータ90の回転の加速中に所定の回転速度ω1を超えると、スラスト力F1を負値から正値側に向けて徐々に変化させて回転子10を第1固定子20側に徐々に移動させることでブレーキディスクBDのブレーキパッドBPへの押し当てを低減させながら回転子10の回転が加速する様に、インバータ回路80を制御する。これにより減速機構による機械的な減速を伴う加速から、減速機構による機械的な減速を伴わない本格的な加速へとスムーズに移行できる。
また制御回路100は、(ii−3)モータ90を減速するときは、回転子10が回生制御され、且つスラスト力F1を負値にして回転子10を第2固定子30側に移動させることでブレーキディスクBDがブレーキパッドBPに押し当りながら(即ち減速機構によるブレーキを併用しながら)回転子10の回転が減速する様に、インバータ回路80を制御する。これにより回生ブレーキと減速機構によるブレーキとを併用して減速できるので、小容量の蓄電池を搭載する場合でも大きな制動力(減速トルク)を確保できる。
尚、上記(ii)の様にスラスト力F1を制御するために、制御回路100は、インバータ回路80を制御して各巻線20aに流れる電流Iu,Iv,Iwの電流値および位相角βを制御することで、スラスト力の値が正値と負値との間を選択的に取る事ができる様に設定されている。
制御回路100は、図2の様に、回転速度指令値生成部100jと、d軸電流指令値生成部100dと、d軸電圧指令値生成部100eと、q軸電流指令値生成部100fと、q軸電圧指令値生成部100gと、第1の座標変換部100aと、第2の座標変換部100hと、PWM信号発生部100iと、第3の座標変換部100bと、第4の座標変換部100cと、位置推定出部100kと、回転速度算出部100mと、初期回転推定部100qとを備えている。
PWM信号生成部100iは、モータ90の回転起動の直前に、インバータ回路80の各制御電極GにPWM信号を印加して、インバータ回路80からモータ90の各電極11u,11v,11wのうちの所定の2つ(例えば11v,11w)に所定の電圧(例えばモータ90が動作反応しない程度の高周波電圧)を印加させる。これにより、モータ90の回転停止状態で、モータ90の各電極11u,11v,11wのうちの所定の1つ(例えば11u)に電圧を発生させる。以後、前記所定の電圧が印加されなかった相を非導通相(ここではU相)と呼ぶ。
初期回転位置推定部100qは、各電流センサ120u,120v,120wのうちのモータ90の非通電相に対応する電流センサの検出結果および非導通相の電極に発生した電圧を用いて、回転子20の初期回転位置θ0を検出する。より詳細には、モータ90のインダクタンスはモータ90の回転位置θに依存するので、初期回転位置推定部100qは、非通電相に対応する電流センサの検出結果および非導通相の電極に発生した電圧からモータ90のインダクタンスを推定し、その推定値からモータ90の初期回転位置θ0を推定する。
第3の座標変換部100bは、各電流センサ120v,120wにより検出された電流Iv,Iwに対し、所定の座標変換(即ち各相U,V,Wに対応する3軸の3次元座標系からα軸およびβ軸の2次元座標系(2相直交固定子座標系)への座標変換)を行って、α軸電流Iαおよびβ軸電流Iβを算出する。
第4の座標変換部100cは、第2の座標変換部100hにより算出された後述のV相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*に対し、所定の座標変換(即ち各相U,V,Wに対応する3軸の3次元座標系からα軸およびβ軸の2次元座標系(2相直交固定子座標系)への座標変換)を行って、α軸電圧指令値Vα*およびβ軸電圧Vβ*を算出する。
位置推定部100kは、第3の座標変換部100bにより算出されたα軸電流Iαおよびβ軸電流Iβと、第4の座標変換部100cにより算出されたα軸電圧指令値Vα*およびβ軸電圧指令値Vβ*とに基づいて、モータ90の回転時の回転位置(位置推定値)θを算出する。
回転速度算出部100mは、モータ90の回転起動の直前は、初期回転位置推定部100gにより推定された初期回転位置θ0に基づいて、またモータ90の回転時は、位置推定部100kにより推定された回転位置θに基づいて、モータ90の回転速度ωを算出する。
第1の座標変換部100aは、各電流センサ120u,120v,120wにより検出された各電流Iu,Iv,Iwに対し、モータ90の回転起動の直前は、初期位置推定部100gにより算出された初期回転位置θ0を用いて、またモータ90の回転時は、位置推定部100kにより算出された回転位置θを用いて所定の座標変換(即ち各相U,V,Wに対応する3軸の3次元座標系からd軸およびq軸の2次元座標系への座標変換)を行って、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出する。
尚、d軸は、界磁磁石10aが発生させる界磁磁束の向きに取った軸であり、q軸は、d軸に直交する軸である。d軸電流Idは、電機子巻線20aの励磁により発生する磁界(電機子磁界)のd軸方向に寄与する電流成分であり、q軸電流Iqは、電機子巻線20aの励磁により発生する磁界のq軸方向に寄与する電流成分である。
回転速度指令値生成部100jは、モータ90を所望の回転速度ωで回転させるための回転速度指令値ω*を生成する。
q軸電流指令値生成部100fは、回転速度指令値生成部100jからの回転速度指令値ω*が低減しない場合は、回転速度算出部100mにより算出された回転速度ωが、回転速度指令値生成部100jからの回転速度指令値ω*に近づく様に、q軸電流指令値Iq*を生成する。具体的には、q軸電流指令値生成部100fは、回転速度ωと回転速度指令値ω*との偏差を比例積分微分演算(PID)してq軸電流指令値Iq*を生成する。またq軸電流指令値生成部100fは、回転速度指令値ω*が低減した場合(即ちモータ90の回転を減速する場合)は、回転速度検出部100mで算出される回転速度ωが回転速度指令値ω*の低減後の値に一致するまでの間、モータ90を回生制御するべくq軸電流指令値Iq*が負値となる様に、q軸電流指令値Iq*を生成する。これによりモータ90の減速時には、回生ブレーキが掛けられる。
q軸電圧指令値生成部100gは、第1の座標変換部100aにより算出されたq軸電流Iqが、q軸電流指令値生成部100fにより生成されたq軸電流指令値Iq*に近づく様に、q軸電圧指令値Vq*を生成する。具体的には、q軸電圧指令値生成部100gは、q軸電流Iqとq軸電流指令値Iq*との偏差を比例積分微分演算(PID)してq軸電圧指令値Vq*を生成する。
d軸電流指令値生成部100dは、モータ90の回転速度ωおよび出力トルクに応じて、d軸電流指令値Id*を生成する。尚ここでは、回転速度ωは回転速度指令値ω*に一致する様に制御されるので、回転速度ωの代わりに回転速度指令値ω*に応じてd軸電流指令値Id*が生成される。またモータ90の出力トルクはq軸電流Iqと相関を有し、q軸電流Iqはq軸電流指令値Iq*に一致する様に制御されるので、出力トルクの代わりにq軸電流指令値Iq*に応じてd軸電流指令値Id*が生成される。
より詳細には、d軸電流指令値生成部100dは、回転速度指令値ω*が第1回転速度ω1以下の範囲で上昇する場合(即ちモータ90が第1回転速度ω1以下の範囲で加速する場合)は、q軸電流指令値Iq*に基づいて、スラスト力F1を負値にするべくd軸電流指令値Id*が負値になる様に、d軸電流指令値Id*を生成する。即ちスラスト力F1を負値にするd軸電流指令値Id*の値は、モータ90の出力トルク(従ってq軸電流指令値Iq*の値)によって変化する。例えば図4の様に、出力トルクが3.0Nmの場合は、位相角βが37°以上の範囲でスラスト力F1は負値となるので、この場合は、d軸電流指令値Id*は、q軸電流指令値Iq*に対して位相角βが37°以上となる所定の負値に生成される。尚、d軸電流指令値生成部100dには、q軸電流指令値Iqの値と、その値に対してスラスト力F1が負値となるd軸電流指令値Id*の値との対応関係が設定されており、この対応関係に基づいて、d軸電流指令値生成部100dは、q軸電流指令値Iqから、スラスト力F1が負値になるd軸電流指令値Id*を生成する。これによりブレーキディスクBDがブレーキパッドBPに押し当てられながら(即ち減速機構によるブレーキが掛けられながら)、モータ90が加速される。尚、ω1は、例えば低中速回転領域に含まれる回転速度を想定している。
そしてd軸電流指令値生成部100dは、回転速度指令値ω*が第1回転速度ω1を超えて更に上昇すると、スラスト力F1を負値からゼロに向けて徐々に変化させるべくd軸電流指令値Id*が負値から正値側に徐々に変化する様に、d軸電流指令値Id*を生成する。これによりモータ90は、減速機構によるブレーキが徐々に弱められながら加速される。これによりモータ90は、減速機構によるブレーキが掛けられることで安定した加速状態から減速機構によるブレーキが完全に解除された本格的な加速状態にスムーズに移行する。
またd軸電流指令値生成部100dは、回転速度指令値ω*が低減した場合(即ちモータ90の回転を減速する場合)は、回転速度検出部100mで算出される回転速度ωが回転速度指令値ω*の低減後の値に一致するまでの間、スラスト力F1を負値にするべくd軸電流指令値Id*が負値となる様に、d軸電流指令値Id*を生成する。これによりモータ90の減速時には、減速機構によるブレーキが掛けられる。
d軸電圧指令値生成部100eは、第1の座標変換部100aにより算出されたd軸電流Idが、d軸電流指令値生成部100dにより生成されたd軸電流指令値Id*に近づく様に、d軸電圧指令値Vd*を生成する。具体的には、d軸電圧指令値生成部100eは、d軸電流Idとd軸電流指令値Id*との偏差を比例積分微分演算(PID)してd軸電圧指令値Vd*を生成する。
第2の座標変換100hは、d軸電圧指令値生成部100eおよびq軸電圧指令値生成部100gにより生成されたd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*に対し、モータ90の回転起動前は、初期位置推定部100gにより算出された初期回転位置θ0を用いて、またモータ90の回転時は、位置推定部100kにより算出された回転位置θを用いて所定の座標変換(即ちd軸およびq軸の2次元座標系から各相U,V,Wに対応する3軸の3次元座標系への座標変換)を行って、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vu*およびW相電圧指令値Vw*を算出する。
またPWM信号生成部100iは、モータ90の回転時は、インバータ回路80の各制御電極GにPWM信号を印加して、モータ90の各相電極11u,11v,11wにそれぞれ、第3の座標変換部100bにより算出された各相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に一致する電圧が印加される様に、インバータ回路80を制御する。これにより、モータ90の回転速度ωが回転速度指令値ω*に一致する様に制御される。
次に図5〜図10に基づいて、モータ90の回転(従って車輪3の回転)を加速および減速させる場合の動作について、q軸電流指令値生成部100fおよびd軸電流指令値生成部100dの動作を中心に説明する。まずモータ90の回転を加速させる場合の動作を説明する(図5〜図7参照)。以下では、説明便宜上、モータ90の停止状態から加速する場合で説明する。
モータ90を停止させる場合は、回転速度指令値ω*がゼロにされる。そして回転速度指令値ω*がゼロにされると、d軸電流指令値生成部100dは、図5の様に、d軸電流指令値Id*をゼロにし、またq軸電流指令値生成部100fは、図6の様に、q軸電流指令値Iq*をゼロにする。これにより各電流Iu,Iv,Iwはゼロに制御されて、モータ90の回転速度ωはゼロに制御される(即ちモータ90は停止される)。この状態では、図7の様に、スラスト力F1は負値Fsとなり、回転子10は第2固定子30側に移動して、ブレーキディスクBDがブレーキパッドBPに押し当てられる為、通電することなくパーキングブレーキの作用が行われている。尚、必ずしも停止時にId=0とする必要はなく、坂道発進停止時等では、Id<0としていてもよいが、減磁の観点から許容限界値であるマイナス値の−Idmaxを超える通電は回避すべきである。
そしてモータ90を停止状態から加速させる場合は、回転速度指令値ω*がゼロから上昇される。回転速度指令値ω*がゼロから第1回転速度ω1に達するまでの間(即ちモータ90が或る程度の回転速度ω1に達するまでの間)は、q軸電流指令値生成部100fは、回転速度指令値ω*と回転速度ωとの差がゼロになる様にq軸電流指令値Iq*を生成する。ここでは一例として、q軸電流指令値Iq*は、図6の様に、回転速度指令値ω*の上昇に伴って上昇する様に生成される。またこの間、d軸電流指令値生成部100dは、q軸電流指令値Iq*の値に対してスラスト力F1が負値(例えば一定の負値)になる様に、d軸電流指令値Id*を生成する。ここでは、d軸電流指令値Id*は、図5の様に、スラスト力F1を一定の負値にするべくq軸電流指令値Iq*の上昇に伴って負値の範囲で絶対値が増大する様にd軸電流指令値Id*を生成する。即ち図4の様に、スラスト力F1が一定の負値となる位相角βの値は、モータ90の出力トルク(従ってq軸電流指令値Iq*)の上昇に伴って増大する。そのため、スラスト力F1を一定の負値にするために、d軸電流指令値Id*は、q軸電流指令値Iq*の上昇に伴って負値の範囲で絶対値が増大する様に生成される。
よってこの間では、q軸電流指令値Iq*の上昇によりq軸電流Iqが上昇してモータ90の出力トルクが上昇し、これにより回転速度ωが上昇される(即ちモータ90の回転が加速される)。その際、d軸電流指令値Id*(従ってq軸電流Id)がスラスト力F1が一定の負値になる様に制御されることで、スラスト力F1が一定の負値(例えばF1a)になり、これにより回転子10が第2固定子30側に移動されて、ブレーキディスクBDがブレーキパッドBPに一定の力で押し付けられる。即ちモータ90は、減速機構により一定の力でブレーキが掛けられることで安定して加速される。
そして回転速度指令値ω*の第1回転速度ω1を超えると、q軸電流指令値生成部100fは、図6の様に、例えば引き続き、回転速度指令値ω*の上昇に伴って上昇する様にq軸電流指令値Iq*を生成る。またd軸電流指令値生成部100fは、図5の様に、スラスト力F1を負値からゼロに向けて減少させるべくd軸電流指令値Id*が負値から正値側に向けて変化する様に、d軸電流指令値Id*を生成する。尚ここでは、d軸電流指令値Id*は、負値から正値側に変化して行きゼロに達すると、例えば、ゼロに維持される様に生成される。
よってこの間では、図7の様に、スラスト力F1は、回転速度指令値ω*の上昇に伴って、負値側から正値側に向けて変化してゼロクロスする。これにより、ブレーキディスクBDのブレーキパッドBPへの押し付けが徐々に弱められて最終的にゼロになる。これによりモータ90は、或る程度の回転速度ω1に達すると、減速機構により一定の力でブレーキが掛けられることで安定した加速状態から、減速機構によるブレーキが完全に解除された本格的な加速状態にスムーズに移行する。この様にしてモータ90の回転(従って車輪3の回転)が加速される。尚、図7では、この間のスラスト力F1は一定に図示されているが、必ずしも一定である必要はない。
次にモータ90の回転を減速させる場合の動作を説明する。以下では、説明便宜上、回転速度ω(従って回転速度指令値ω*)がω2からω3に減速する場合で説明する(図8〜図10参照)。
回転速度指令値ω*がω2のときは、d軸電流指令値生成部100dは、図8および図10の様に、スラスト力F1を非負値(図10ではゼロ)にするべくd軸電流指令値Id*が例えば正値(例えばId2)になる様に、d軸電流指令値Id*を生成する。またq軸電流指令値生成部100fは、回転速度指令値ω*(ここではω*=ω2)と回転速度ωとの差がゼロになる様にq軸電流指令値Iq*を生成する。ここではq軸電流指令値Iq*は、図9の様に、回転速度ωがω2となる様に所定値Iq1に生成される。よってこの間は、スラスト力F1が非負値(ここではゼロ)となり、これにより回転子10は第2固定子30側に移動されないので、ブレーキディスクBDはブレーキパッドBPに押し付けられない。即ちモータ90は、減速機構によるブレーキが掛けられない状態で回転速度ω2で回転される。
そして回転速度指令値ω*がω2からω3に低減されると、q軸電流指令値生成部100fは、図9の様に、回転速度指令値ω*の値(ここでは低減後の値ω3)に基づいて、モータ90を回生制御するべくq軸電流指令値Iq*が負値(例えば所定値Iq2)となる様に、q軸電流指令値Iq*を生成する。またd軸電流指令値生成部100dは、図8の様に、q軸電流指令値Iq*の値に対してスラスト力F1が負値になる様に(換言すればd軸電流指令値Id*が負値(例えば所定値Id1)となる様に)、d軸電流指令値Id*を生成する。よってこの間では、モータ90が回生制御されることで、モータ90に回生ブレーキが掛けられる。またスラスト力F1が負値(例えばF1b)になることで、回転子10が第2固定子30側に移動され、これによりブレーキディスクBDがブレーキパッドBPに押し付けられて、減速機構によるブレーキが掛けられる。これらにより、回生制御による回生ブレーキと、減速機構によるブレーキ(即ち機械的な減速)とを併用してモータ90の回転が減速されるので、小容量の蓄電池を搭載する場合でも大きな制動力を確保できる。
尚、上記の所定の所定値Id1(即ち回生時においてスラスト力F1を負値にするd軸電流指令値Id*の値)は、以下の様に決められる。即ち、モータ90の力行と回生との違いは、電流Iu,Iv,Iwの向きと、モータ90の出力トルクの向きとが逆になる以外は、電磁的にはdq軸モデルのdq軸上では、巻線20aを鎖交する鎖交磁束φaと、d軸リアクタンスLd、q軸リアクタンスLq、d軸電流Idおよびq軸電流Iqとのベクトル関係は同じである。よって、力行時(0°<β≦90°)の位相角βとスラスト力F1との関係(以後、β−F1関係と呼ぶ)と、回生時(90°<β≦180°)のβ−F1関係とは、スラスト力F1を縦軸とし位相角βを横軸とした座標上ではβ=90°を境界として対称的な関係になる。従って、例えばスラスト力F1を大きくする場合(従って減速機構によるブレーキを強く掛ける場合)は、位相角βが90°に近づく様に所定値Id1を決めれば良い。
ここでは、力行時の0°≦β≦60°の範囲のβ−F1関係が図4で与えられるので、この図4のグラフをβ=90°で対称的に反転させることで、回生時の120°≦β≦180°のβ−F1関係が得られる。この様に得られる回生時のβ−F1関係に基づいて、q軸電流指令値Iq*の値と所定値Id1とで決まる位相角βが、スラスト力F1が負値になる位相角βの範囲に含まれる様に、所定値Id1が決められる。
そして回転速度検出部100mで検出される回転速度ωがω3になると、q軸電流指令値生成部100fは、回生制御を止めて、回転速度指令値ω*(ここではω3)と回転速度ωとの差がゼロになる様にq軸電流指令値Iq*を生成する。ここでは、図9の様に、q軸電流指令値Iq*は、所定の負値Iq3になる様に生成される。またd軸電流指令値生成部100dは、スラスト力F1を非負値(例えばゼロ)にするべくd軸電流指令値Id*を生成する。これらにより、回生ブレーキおよび減速機構によるブレーキが解除されて、モータ90が回転される。この様にしてモータ90の回転(従って車輪3の回転)が減速される。
尚、上記の動作説明では、スラスト力F1により回転子10が第1固定子20側または第2固定子30側に移動すると説明したが、回転子10は回転シャフト40に固定され、回転シャフト40は車輪3に固定されており、実施の使用状況では、車輪3は地面に接地して回転軸Q1方向には容易に移動しない(従って回転子10も回転軸Q1方向には容易に移動しない)ので、第1固定子20および第2固定子30が回転軸Q1方向に移動することで、回転子10が相対的に第1固定子20側または第2固定子30側に移動することになる。尚、この場合、ハウジング60は、車輪3と車体とから構成される車両の前記車体において、回転軸Q1方向に移動自在で且つ回転軸Q1回りに回転しない様に取り付られる。また回転シャフト40は、前記車体において回転軸Q1回りに回転自在で且つ回転軸Q1方向に移動できない様に支持される事が望ましい。
もちろん、インホイールモータ当事者における設計思想や車体側の都合にて、ハウジング60は車体に固定しておきたく、かつ回転子10を回転軸方向Q1に容易に移動させたい場合は、ハブナットとして機能する先記ナット4aにて螺合締結されているホイール3dと、シャフト40aのホイール取り付け部40cとの間に、例えば適度なばね定数の螺旋ばねを挟み込んでも良い。螺旋ばねは、内径はシャフト本体40aの外径より大きく、外径は取り付け部40bの外径よりは小さい1つのものでも良い。もしくは、従来技術における多板クラッチの動力伝達機構の様に、螺旋ばねの内径がボルト40kの外径よりも大きい適度な大きさのものを、ボルトの数だけはめ込んでも良い。
尚、上記の動作説明では、モータ90の減速時には、常に、回生ブレーキと減速機構によるブレーキとの両方が行われたが、モータ90の急減速の時(即ち減速の変化率の絶対値が所定値以上の時)だけ、上述の様に回生ブレーキと減速機構によるブレーキとの両方が行われ、それ以外の減速時(即ち減速の変化率の絶対値が所定値未満の時)は、回生ブレーキだけが行われる様にしても良い(この場合のd軸電流指令値Id*は、減速機構によるブレーキが行われない様にゼロまたは正値になる様に生成される)。
以上の様に構成された回転電機装置2(従ってインホイールモータ装置1)によれば、回転子10と第1固定子20および第2固定子30との間に作用する磁気力の合力の回転軸方向の成分(スラスト力)が正値と負値の間の値を選択的に取る様にインバータ手段80を制御することで、回転子10を回転制御しつつ回転子10を第1固定子20側また第2固定子30側に移動できる。これにより回転子10を回転制御しつつ、ブレーキディスクBDのブレーキパッドBPへの押付けまたはその解除を行う事ができる。即ち回転子10(従って回転シャフト40)を回転駆動する駆動機構と回転子10を機械的に減速させる減速機構とを一体的に構成でき、これにより小型化・簡素化・低コスト化を図れる。
また各巻線20aに流れる電流Iu,Iv,Iwの電流値または位相角βの制御だけで、回転子10の回転と機械的な減速とを制御できる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、図1の様に、第1軸受け50aおよび第2軸受け50bはそれぞれ、ハウジング60に対しては回転軸Q1方向に固定されて配設されたが、この実施形態では、第1軸受け50aおよび第2軸受け50bはそれぞれ、ハウジング60に対しては回転軸Q1方向に移動自在に配設される。以下、図11に基づいて、第1実施形態と同じ部分は同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。尚、図11では、作図上の都合で、車輪3は省略されている。
この実施形態のモータ90Bでは、図11の様に、第1実施形態と比べて、(a1)第1実施形態の第1ストッパ70a(図1参照)は省略され、且つ(b1)第1軸受け50aBおよび第2軸受け50bBはそれぞれ、ハウジング60に対しては、回転軸Q1方向には移動自在で且つ回転軸Q1に直交する方向(以後、径方向と呼ぶ)Q3には固定される様に配設され、且つ回転シャフト40に対しては、回転軸Q1回りに回転自在で且つ回転軸Q1方向に固定される様に配設される。
より詳細には、上記(b1)では、第1軸受け50aBおよび第2軸受け50bBはそれぞれ、例えばころがり軸受け(即ち内径部と外径部との間に配置された転動体のころがりを利用して摩擦抵抗を低減した軸受け、具体的には例えば玉軸受け)として構成される。そして第1軸受け50aBおよび第2軸受け50bBの各々の内径部には、回転シャフト40が挿通状に圧入されることで固定される。これにより第1軸受け50aBおよび第2軸受け50bBは、上記の様に、回転シャフト40に対して、回転軸Q1回りに回転自在で且つ回転軸Q1方向に固定される様に配設される。
またハウジング60の一方側Q−の内面60gには凹部60hが形成されており、第1軸受け50aBの外径部は、凹部60hに対して、回転軸Q1方向には移動自在に嵌合し且つ径方向Q3には位置決めされる様に嵌合されることで、ハウジング60に配設される。同様に、ハウジング60の他方側Q+の内面60eには凹部60fが形成されており、第2軸受け50bBの外径部は、凹部60fに対して、回転軸Q1方向には移動自在に嵌合し且つ径方向Q3には位置決めされる様に嵌合されることで、ハウジング60に配設される。尚、孔60bは凹部60hの底部に形成され、また孔60dは凹部60fの底部に形成されている。尚、上記(b1)により、低コストで且つ簡便な構成で、回転子10を回転軸Q1方向に移動可能にできる。
またこの実施形態では、ハウジング60の凹部60hの前記底部は、回転子10の第1固定子10側への移動範囲を制限する第1ストッパ70aBとして機能する(即ちこの実施形態では第1ストッパ70aBは凹部60hの前記底部と一体的に形成されている)。またハウジング60の凹部60fの前記底部は、回転子10の第12定子20側への移動範囲を制限する第2ストッパ70bBとして機能する(即ちこの実施形態では第2ストッパ70bBは凹部60fの前記底部と一体的に形成されている)。これにより、簡便な構成で、第1ストッパ70aBおよび第2ストッパ70bBを設ける事ができる。特に第1ストッパ70aBおよび第2ストッパ70bBはハウジング60と一体的に構成されるので、別途部材を追加すること無く、第1ストッパ70aBおよび第2ストッパ70bBを設ける事ができる。
尚、この実施形態の他の構成要素は、第1実施形態と同様に構成されているので、説明は省略する。
またこの実施形態では、回転子10が第1固定子20側に移動した際に回転子10が第1固定子20と接触しない様に、第1ストッパ70aBは、第1軸受け50aとの間隔G1が第1固定子20と回転子10との間の間隔d1よりも小さくなる様に設定される。また減速機構によるブレーキを掛けるために回転子10が第2固定子30側に移動した際に、ブレーキディスクBDがブレーキパッドBPに当接する様に、ブレーキディスクBDとブレーキパッドBPとの間隔d5は、第2軸受け50bBと第2ストッパ70bBとの間隔d6よりも小さく設定される。
このモータ90Bでも、第1実施形態と同様に、回転子10,第1固定子20および第2固定子30により回転シャフト40を回転させる駆動機構が構成され、回転子10,第1固定子20、第2固定子30、ブレーキディスクBDおよびブレーキパッドBPにより、回転シャフト40を減速する減速機構が構成されている。即ちインバータ回路80から各相U,V,Wの電極11u,11v,11wを介して各電機子巻線20aに電流Iu,Iv,Iwが供給されることで、第1実施形態と同様に、回転シャフト40が回転されて車輪3が回転される。また上記の様に回転子10が回転軸Q1方向に移動自在に配設されており、第1実施形態と同様に、電流Iu,Iv,Iwの電流値または位相角に応じてスラスト力が制御されて、回転子10が第2固定子30側に接近または離間され、これによりレーキディスクBDのブレーキパッドBPへの押し付けまたはその解除が行われる。
以上の様に構成された回転電機装置2B(従ってインホイールモータ装置1B)によっても、第1実施形態と同様の効果を得る事ができる。
<第3実施形態>
第1実施形態では、図1の様に、回転子10が回転シャフト40に固定され、回転シャフト40が回転軸Q1方向に移動することで、回転子10が回転軸Q1方向に移動したが、この実施形態では、図12の様に、回転シャフト40において、回転子10Cが回転軸Q1方向に移動自在に配設されることで、回転子10Cが回転軸Q1方向に移動する。以下、図12に基づいて、第1実施形態と同じ部分は同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。尚、図12では、作図上の都合で、車輪3は省略されている。
この実施形態のモータ90Cでは、図12の様に、第1実施形態と比べて、(a3)第1実施形態の第1ストッパ70a(図1参照)は省略され、且つ(b3)第1軸受け50aCおよび第2軸受け50bCはそれぞれ、ハウジング60に固定された状態で、回転シャフト40を回転軸Q1回りには回転自在で且つ回転軸Q1方向には固定される様に配設され、(c3)回転子10Cは、回転シャフト40Cにおいて、回転軸Q1方向には相対的に移動可能で且つ回転軸Q1回りには相対的に回転できない様に配設される以外は、同様に構成される。
より詳細には、上記(b3)では、第1軸受け50aCおよび第2軸受け50bCはそれぞれ、例えばころがり軸受け(即ち内径部と外径部との間に配置された転動体のころがりを利用して摩擦抵抗を低減した軸受け、具体的には例えば玉軸受け)として構成される。そして第1軸受け50aCの外径部は、ハウジング60の凹部60h内に例えば圧入されて固定され、また第2軸受け50bCの外径部は、ハウジング60の凹部60fに例えば圧入されて固定される。また第1軸受け50aCの内径部内には、回転シャフト40Cの後述の太径部分40e+が例えば圧入されて固定され、また第2軸受け50bCの内径部内には、回転シャフト40Cの後述の太径部分40e−が例えば圧入されて固定される。
また回転シャフト40Cは、第1固定子20および第2固定子30の間に配置する部分であって第1直径d3を有する細径部分(第1部分)40dと、細径部分40dの両側の部分(換言すれば細径部分40d以外の部分)であって第1直径d1よりも大きい第2直径d4を有する太径部分(第2部分)40eとを有して構成される。尚ここでは、細径部分40dにおける回転軸Q1に直交する断面は、図13の様に歯車形または星形等の非円形に形成されており、太径部分40eにおける回転軸Q1に直交する断面は、例えば円形状に形成されている。また細径部分40dと他方側Q−の太径部分40e(以後40e−と呼ぶ)との境界の段差により、回転子10Cの第1固定子20側への移動範囲を制限する第1ストッパ70aCが構成され、細径部分40eと一方側Q+の太径部分40e(以後40e+と呼ぶ)との境界の段差により、回転子10Cの第2固定子30側への移動範囲を制限する第2ストッパ70bCが構成される。
また回転子10Cは、細径部分40dにおいて、回転軸Q1方向には相対的に移動可能で且つ回転軸Q1回りには相対的に固定される様に配設される。より詳細には、回転子10Cの中央孔10nにおける回転軸Q1に直交する断面は、図13の様に、細径部分40dの断面と比べて略同形で且つ若干大きい大きさに形成される。これにより回転子10Cは、細径部分40dにおいて、回転軸Q1回りには相対的に固定される様に配設される。特に、回転子10Cの前記断面が細径部分40dの前記断面よりも若干大きく形成されることで、回転子10Cが、細径部分40dにおいて、スムーズに回転軸Q1方向に相対的に移動可能になっている。
この実施形態では、回転子10Cが第1固定子20側に移動した際に回転子10Cが第1固定子20と接触しない様に、第1ストッパ70aCは、回転子10Cとの間隔G1が第1固定子20と回転子10Cとの間の間隔d1よりも小さくなる様に設定される。また減速機構によるブレーキを掛けるために回転子10が第2固定子30側に移動した際に、ブレーキディスクBDがブレーキパッドBPに当接する様に、第2ストッパ70bCは、ブレーキパッドBPのブレーキディスクBD側の面BPaよりも第2固定子30側に配置する様に設定されている。
尚、この実施形態の他の構成要素は、第1実施形態と同様に構成されているので、説明は省略する。
このモータ90Cでも、第1実施形態と同様に、回転子10,第1固定子20および第2固定子30により回転シャフト40を回転させる駆動機構が構成され、回転子10C,第1固定子20、第2固定子30、ブレーキディスクBDおよびブレーキパッドBPにより、回転シャフト40を減速する減速機構が構成されている。即ちインバータ回路80から各相U,V,Wの電極11u,11v,11wを介して各電機子巻線20aに電流Iu,Iv,Iwが供給されることで、第1実施形態と同様に、回転シャフト40が回転されて車輪3が回転される。また上記の様に回転子10Cが回転シャフト40において回転軸Q1方向に移動自在に配設されており、第1実施形態と同様に、電流Iu,Iv,Iwの電流値または位相角に応じてスラスト力が制御されて、回転子10が第2固定子30側に接近または離間され、これによりレーキディスクBDのブレーキパッドBPへの押し付けまたはその解除が行われる。
以上の様に構成された回転電機装置2C(従ってインホイールモータ装置1C)によっても、第1実施形態と同様の効果を得る事ができる。また回転子10Cは第1ストッパ70aCに対して相対的に回転軸Q1回りに回転しないので、回転子10Cが第1ストッパ70aCに接触しても、回転子10Cと第1ストッパ70aCとの間で摩擦が発生しない(即ち回転子10Cの回転が減速しない)という利点がある。
また回転子10が回転シャフト40に対して相対的に回転軸Q1方向に移動自在なので、車輪3と車体とから構成される車両に搭載される場合に、ハウジング60を、前記車体に対して第1実施形態の様に回転軸Q1方向に移動自在にする必要はなく固定できる。
2,2B,2C 回転電機装置
10,10C 回転子
20 第1固定子
30 第2固定子
40,40C 回転シャフト
50a,50aB,50aC,第1軸受け
50b,50bB,50bC 第2軸受け
60 ハウジング
70a,70aB,70aC 第1ストッパ
80 インバータ手段
90,90B,90C モータ
100 制御手段
BP ブレーキパッド
BD ブレーキディスク

Claims (14)

  1. 回転軸(Q1)に沿って配置された回転シャフト(40)と、
    前記回転軸方向の一方側(Q+)の面(20d)に前記回転軸回りに環状に配設された複数の巻線付き磁芯(20e)を有する第1固定子(20)と、
    前記第1固定子に対する前記回転軸方向の一方側において前記第1固定子と間隔を空け、且つ前記第1固定子に対して相対的に固定される様に配置された第2固定子(30)と、
    前記第1および前記第2固定子の間に配置する様に前記回転シャフトに配設され、前記第1固定子側の面(10c1)に前記回転軸回りに環状に配置されて界磁磁束を発生する複数の界磁部材(10i)を有し、前記回転軸方向に沿って前記第1固定子側または前記第2固定子側に移動自在である回転子(10)と、
    前記回転子における前記第2固定子側の面(10g)および前記第2固定子における前記回転子側の面(30a)の何れか一方の面に配設されたブレーキディスク(BD)と、
    前記回転子における前記第2固定子側の面(10g)および前記第2固定子における前記回転子側の面(30a)の何れか他方の面に配設されたブレーキパッド(BP)と、
    を含むアキシャルギャップ型回転電機(90)と、
    前記各巻線付き磁芯(20e)の巻線(20a)に電流を選択的に流すインバータ手段(80)と、
    前記インバータ手段を制御して前記各巻線に電流を選択的に流して電機子磁界を発生させて、前記回転子を回転制御する制御手段(100)と、
    を備え、
    前記第1および前記第2固定子が前記回転子に作用する磁気力の合力の前記回転軸方向の成分(F1)は、前記一方側(Q+)から前記他方側(Q−)に向かう方向を正として、その値が正値と負値の間を選択的に取る様に、前記制御手段(100)が前記インバータ手段を制御することを特徴とする回転電機装置。
  2. 請求項1に記載の回転電機装置であって、
    前記制御手段(100)は、前記インバータ手段(80)を制御して前記各巻線(20a)に流れる電流の電流値および位相角(β)を制御することで、前記合力の回転軸方向の成分(F1)に正値と負値との間の値を選択的に取らせることを特徴とする回転電機装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の回転電機装置であって、
    前記制御手段(100)は、前記回転子(10)の回転速度が所定の回転速度(ω1)以下の範囲で加速する場合は、前記合力の前記回転軸方向の成分(F1)を負値にして前記回転子(10)を前記第2固定子(30)側に移動させることで前記ブレーキディスク(BD)を前記ブレーキパッド(BP)に押し当てる様にして、前記回転子の回転を加速させることを特徴とする回転電機装置。
  4. 請求項3に記載の回転電機装置であって、
    前記制御手段(100)は、前記回転子(10)の加速中に前記所定の回転速度(ω1)を超えると、前記合力の前記回転軸方向の成分(F1)を負値からゼロに向けて徐々に変化させて前記回転子を前記第1固定子(20)側に徐々に移動させることで前記ブレーキディスク(BD)の前記ブレーキパッド(BP)への押し当てが低減する様にして、前記回転子の回転を加速させることを特徴とする回転電機装置。
  5. 請求項1または請求項2に記載の回転電機装置であって、
    前記制御手段(100)は、前記回転子(10)が回生制御され、且つ前記合力の前記回転軸方向の成分(F1)を負値にして前記回転子を前記第2固定子(30)側に移動させることで前記ブレーキディスク(BD)が前記ブレーキパッド(BP)に押し当てられる様にして、前記回転子の回転を減速させることを特徴とする回転電機装置。
  6. 請求項5に記載の回転電機装置であって、
    前記各巻線付き磁芯(20e)の巻線(20a)に流れる電流のうち、前記電機子磁界が前記界磁磁束を増減する成分をd軸電流とし、前記d軸電流と位相が直交する成分をq軸電流とし、
    前記界磁磁束を弱める方向を前記d軸電流の負値とし、回転トルクを弱める方向を前記q軸電流の負値とし、
    前記制御手段(100)は、前記各巻線に流れる電流の前記d軸電流および前記q軸電流が共に負値となる様に前記インバータ手段を制御することを特徴とする回転電機装置。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の回転電機装置(2)であって、
    ハウジング(60)と、
    前記ハウジング(60)に固定された状態で、前記回転シャフトを前記回転軸(Q1)方向に移動自在に支持する第1軸受け(50a)および第2軸受け(50b)と、
    を更に備え、
    前記回転子(10)は前記回転シャフト(40)に固定され、
    前記第1固定子(20)および第2固定子(30)は前記ハウジングに固定されることを特徴とする回転電機装置。
  8. 請求項7に記載の回転電機装置(2)であって、
    前記回転シャフト(40)において前記第1軸受け(50a)と前記第1固定子(20)との間に固定されて、前記回転子(10)の前記第1固定子(20)側への移動範囲を制限する第1ストッパ(70a)を更に備えることを特徴とする回転電機装置。
  9. 請求項1〜6の何れかに記載の回転電機装置(2B)であって、
    ハウジング(60)と、
    前記回転シャフト(40)に対しては固定され、前記ハウジングに対しては、前記回転軸(Q1)方向には移動可動で且つ前記回転軸方向に直交する方向には固定される様に配設された第1軸受け(50aB)および第2軸受け(50bB)と、
    を更に備え、
    前記回転子(10)は前記回転シャフト(40)に固定され、
    前記第1固定子(20)および第2固定子(30)は前記ハウジングに固定されることを特徴とする回転電機装置。
  10. 請求項9に記載の回転電機装置(2B)であって、
    前記第1軸受け(50a)の前記回転軸(Q1)方向の他方側(Q−)への移動範囲を制限する様に前記ハウジング(60)に配設されて、前記回転子(10)の前記第1固定子(20)側への移動範囲を制限する第1ストッパ(70aB)を更に備えることを特徴とする回転電機装置。
  11. 請求項1〜6の何れかに記載の回転電機装置(2C)であって、
    ハウジング(60)と、
    前記ハウジングに固定された状態で、前記回転シャフト(40C)を前記回転軸(Q1)回りには回転自在で且つ前記回転軸方向には固定する様に支持する第1軸受け(50aC)および第2軸受け(50bC)と、
    を更に備え、
    前記第1固定子(20)および第2固定子(30)は前記ハウジングに固定され、
    前記回転子(10C)は、前記回転シャフトに対して前記回転軸方向には相対的に移動可能で且つ前記回転軸回りには相対的に回転できない様に配設されることを特徴とする回転電機装置。
  12. 請求項11に記載の回転電機装置(2C)であって、
    前記回転シャフト(40C)は、前記第1固定子(20)および前記第2固定子(30)の間に配置する部分であって第1直径(d3)を有する細径部分(40d)と、前記細径部分の両側の部分であって前記第1直径よりも大きい第2直径(d4)を有する太径部分(40e)とを有し、
    前記回転子(10C)は、前記細径部分に対して前記回転軸(Q1)方向には相対的に移動可能で且つ前記回転軸回りには相対的に固定される様に配設され、
    前記第1ストッパ(70aC)は、前記細径部分と一方側(Q+)の前記太径部分(40e+)との境界の段差により構成されることを特徴とする回転電機装置。
  13. 請求項12に記載の回転電機装置(2C)であって、
    前記細径部分(40d)における前記回転軸(Q1)に直交する断面は、非円形に形成され、
    前記回転子(10C)には、その前記回転軸方向の両側の面を貫通する様に、前記断面が嵌合する中心孔(10n)が形成され、その中心孔に前記細径部分が嵌挿されることを特徴とする回転電機装置。
  14. 請求項13に記載の回転電機装置(2C)であって、
    前記細径部分(40d)における前記回転軸(Q1)に直交する前記断面は、歯車形または星形であることを特徴とする回転電機装置。
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