JP2011230659A - 車両用空調システム及びその制御方法 - Google Patents

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謙吾 林
Hidenori Ezaki
秀範 江崎
Daisuke Yamaoka
大祐 山岡
Kenzo Kimura
謙三 木村
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Abstract

【課題】種々の運転状況下であっても、簡単且つ経済的な構成及び制御で、所望の吐気温度を確実に得ることを可能にする。
【解決手段】空調システム10は、コンプレッサ16を介して冷媒体を循環させるヒートポンプ循環路18に、コンデンサ20、自動絞り弁34、第1エバポレータ24及びヒータ26が配置される。空調システム10は、コンプレッサ16の冷媒体吐出圧力を測定する圧力測定器44と、ヒータ26の下流における空調用空気の吐気温度を測定する温度測定器46と、前記コンプレッサ16の冷媒体吐出圧力、及び要求吐気温度と実測吐気温度との比較結果に基づいて、前記コンプレッサ16の出力及び自動絞り弁34の開度の少なくともいずれかを調整する制御部48とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載されて乗員用のキャビンの空調を行うためのヒートポンプ式の車両用空調システム及びその制御方法に関する。
車両、例えば、内燃エンジンを組み込むエンジン自動車、エンジンと二次電池(又は二次電池と燃料電池等)とを併用するハイブリッド自動車、電気自動車及び燃料電池自動車等の自動車に対応して、種々の車両用空調システムが採用されている。
例えば、特許文献1に開示されている車両ヒートポンプ式冷暖房装置が知られている。この車両用ヒートポンプ式冷暖房装置は、図11に示すように、冷媒に仕事量を加えるコンプレッサ1と、このコンプレッサ1から吐出された冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換器2と、第1の送風手段3aにより送風された空気にコンプレッサ1から吐出された冷媒の熱を放熱して温風を作る放熱用車室内熱交換器4aと、この放熱用車室内熱交換器4aの冷媒流出側に接続された膨脹手段5と、この膨脹手段5の冷媒流出側とコンプレッサ1の冷媒吸入側とに接続され、第1の送風手段3aにより送風された空気の熱を冷媒に吸熱して冷風を作る吸熱用車室内熱交換器4bと、コンプレッサ1の冷媒吐出側に設けられ、コンプレッサ1から吐出される冷媒を車室外熱交換器2と放熱用車室内熱交換器4aとに任意の割合で分配可能な冷媒流路切換手段6と、制御装置7とを備えている。
制御装置7は、熱環境情報に基づいて吹き出し風温度の目標値を演算する吹き出し風温度演算手段と、熱環境情報に基づいて吹き出し風温度を推定する吹き出し風温度推定手段と、車室外熱交換器2に送風して放熱量を増加させるための第2の送風手段3bと、吹き出し風温度の目標値と推定値との差に応じて第2の送風手段3bの送風量を調節する送風量調節手段と、吹き出し風温度の目標値と推定値との差に基づいて車室外熱交換器2と放熱用車室内熱交換器4aへの冷媒分配割合を演算して冷媒流路切換手段6の開度を設定する開度設定手段と、暖房運転状態から冷房運転状態に移行する場合に、吹き出し風温度の推定値が目標値よりも高くなり、それらの差の絶対値が所定の温度T1になってから開度設定手段により車室外熱交換器2への冷媒の分配を開始し、さらに推定値と目標値との差の絶対値が所定の温度T2(T2>T1)になってから、送風量調節手段により車室外熱交換器2への送風を開始する制御手段として機能している。
このように、暖房運転状態から冷房運転状態に移行する場合に、吹き出し風温度の推定値が目標値よりも高くなり、それらの差の絶対値が所定の温度T1になってから車室外熱交換器2への冷媒の分配を開始し、さらに吹き出し風温度の推定値と目標値との差の絶対値が所定の温度T2(T2>T1)になってから、車室外熱交換器2への送風を開始するようにしている。このため、外気温が20℃前後の冷房運転と暖房運転の切換が頻繁に必要となる環境条件下でも、暖房運転状態のままでコンプレッサ1を停止せずに、吹き出し風温度を目標値まで低下させることができる、としている。
特許第3301209号公報
しかしながら、上記の特許文献1では、暖房運転状態と冷房運転状態との切り換え時の制御が、相当に複雑化するという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、種々の運転状況下であっても、簡単且つ経済的な構成及び制御で、所望の吐気温度を確実に得ることが可能な車両用空調システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、圧縮機を介して冷媒体を循環させるヒートポンプ循環路に配置され、前記冷媒体と外気とで熱交換を行うコンデンサと、前記コンデンサをバイパスするバイパス通路に配設される絞り弁と、前記ヒートポンプ循環路に配置され、前記冷媒体と空調用空気とで熱交換を行う第1エバポレータと、前記ヒートポンプ循環路に配置され、前記圧縮機から送出される前記冷媒体と前記第1エバポレータを通過した前記空調用空気とで熱交換を行うヒータと、前記ヒートポンプ循環路から分岐する分岐路に配置され、キャビンから排出される熱媒体と前記冷媒体とで熱交換を行う第2エバポレータとを備えるヒートポンプ式の車両用空調システム及びその制御方法に関するものである。
この車両用空調システムは、圧縮機の冷媒体吐出圧力を測定する吐出圧力測定部と、ヒータの下流における空調用空気の吐気温度を測定する吐気温度測定部と、前記圧縮機の冷媒体吐出圧力、及び要求吐気温度と実測吐気温度との比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整する制御部とを備えている。
また、この車両用空調システムは、第2エバポレータに熱媒体を送り込む第2エバポレータ用ブロアを備え、制御部は、外気温と実測吐気温度との比較結果に基づいて、前記第2エバポレータ用ブロアの風量を調整することが好ましい。
さらに、この制御方法は、圧縮機の冷媒体吐出圧力を検出する工程と、要求吐気温度と実測吐気温度とを比較する工程と、検出された前記冷媒体吐出圧力及び前記比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整する工程とを有している。
さらにまた、この制御方法は、運転モードが、暖房モードに切り換えられた際、圧縮機の出力を中間値以上に設定するとともに、絞り弁の開度を中間値に設定する工程を有し、検出された冷媒体吐出圧力及び比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整することが好ましい。
また、この制御方法は、運転モードが、冷房モードに切り換えられた際、圧縮機の出力を中間値以上に設定するとともに、絞り弁を全閉に設定する工程を有し、検出された冷媒体吐出圧力及び比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整することが好ましい。
さらに、この制御方法は、運転モードが、暖房モードと冷房モードとの中間領域の要求により冷房モードに切り換えられた際、圧縮機の出力を中間値以下に設定するとともに、絞り弁を全開に設定する工程を有し、検出された冷媒体吐出圧力及び比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整することが好ましい。
さらにまた、この制御方法は、運転モードが、除湿モードに切り換えられた際、圧縮機の出力を中間値以下に設定するとともに、絞り弁を全開に設定する工程と、ヒートポンプ循環路に冷媒体を行き渡らせた後、要求吐気温度に応じて暖房除湿モード又は冷房除湿モードに設定する工程と、検出された冷媒体吐出圧力及び比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整することが好ましい。
また、この制御方法は、第2エバポレータに熱媒体を送り込む第2エバポレータ用ブロアを備え、運転モードが、除湿暖房モードに切り換えられた際、外気温と実測吐気温度とを比較する工程と有し、前記比較結果に基づいて、前記第2エバポレータ用ブロアの風量を調整することが好ましい。
本発明では、圧縮機の冷媒体吐出圧力、及び要求吐気温度と実測吐気温度との比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整するだけでよい。このため、種々の運転状況下であっても、簡単且つ経済的な構成及び制御で、所望の吐気温度を確実に得ることが可能になる。
これにより、暖房運転モードから冷房運転モードを含む各運転モードにおいて、特に運転モードの切り換え時に、吐気温度が急激に変動することがなく、安定した吐気温度を確実に得ることができる。
本発明の実施形態に係る車両用空調システムの概略ブロック図である。 前記車両用空調システムの暖房モードの概略説明図である。 前記車両用空調システムの運転モードの説明図である。 前記車両用空調システムの暖房制御方法を説明するフローチャートである。 前記車両用空調システムの除湿暖房モードの概略説明図である。 前記車両用空調システムの冷房制御方法を説明するフローチャートである。 前記車両用空調システムの冷房モードの概略説明図である。 前記車両用空調システムの切り換えモードの概略説明図である。 前記車両用空調システムの除湿制御方法を説明するフローチャートである。 前記車両用空調システムの立ち上がり除湿モードの概略説明図である。 特許文献1に開示されている車両ヒートポンプ式冷暖房装置の説明図である。
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る車両用空調システム10は、自動車(車両)12に搭載されており、乗員用のキャビン(車室)14の空調を行う。
空調システム10は、コンプレッサ(圧縮機)16を介して冷媒体を循環させるヒートポンプ循環路18を備える。ヒートポンプ循環路18には、冷媒体と外気とで熱交換を行うコンデンサ20と、前記コンデンサ20から送られる前記冷媒体を減圧させる膨張弁22と、前記膨張弁22を通過した前記冷媒体と空調用空気とで熱交換を行う第1エバポレータ24と、前記コンプレッサ16から送出される前記冷媒体と前記第1エバポレータ24を通過した前記空調用空気とで熱交換を行うヒータ26とが配置される。また、第1エバポレータ24に空調用空気を送り込むため、第1ブロア41が設けられている。
ヒートポンプ循環路18から分岐路28が分岐するとともに、前記分岐路28には、キャビン14から排出される熱媒体(キャビン14からの排熱気体)と冷媒体で熱交換を行う第2エバポレータ30が配置される。また、第2エバポレータ30に前記熱媒体を送り込むため、第2ブロア31(第2エバポレータ用ブロア)が設けられている。
ヒートポンプ循環路18には、暖房時に、コンデンサ20をバイパスしてヒータ26と膨張弁22とを連結するための第1バイパス路32aが設けられる。この第1バイパス路32aには、開度が自動的に調整可能な自動絞り弁34が配設される。なお、自動絞り弁34に代えて、電子膨張弁や電磁弁等を使用してもよい。
膨張弁22は、空調用空気を冷却する第1エバポレータ24から送出された冷媒体の温度及び圧力を検出する手段(図示せず)を有する。この膨張弁22は、第1エバポレータ24から送出された冷媒体の温度及び圧力に応じて、開度を自動的に変更させることにより、冷媒体流量を変更可能に構成される。
ヒートポンプ循環路18には、膨張弁22に近接する部位と、分岐路28の入り口側との接続部位に対応して、三方弁36aが配置される。ヒートポンプ循環路18には、第1エバポレータ24をバイパスする第2バイパス路32bの出口部と前記ヒートポンプ循環路18との接続部位に対応して、三方弁36bが配置される。コンデンサ20の入口側に近接して電磁弁38が配置される。
第2エバポレータ30は、自動車12の後部側に配置される(図2参照)。第1エバポレータ24とヒータ26との間には、前記第1エバポレータ24により冷却された空調用空気を前記ヒータ26を迂回させてキャビン14に送出するためのエアミックスダンパ40が設けられる。
自動車12には、外気を空調用空気として取り入れるための外気取り入れ口42が形成される。この外気取り入れ口42の下流には、第1エバポレータ24及びヒータ26の順に配置される。
図1に示すように、空調システム10は、コンプレッサ16の冷媒体吐出圧力を測定する圧力測定器(吐出圧力測定部)44と、ヒータ26の下流における空調用空気の吐気温度を測定する温度測定器(吐気温度測定部)46と、前記コンプレッサ16の冷媒体吐出圧力、及び要求吐気温度と実測吐気温度との温度差に基づいて、前記コンプレッサ16の出力及び自動絞り弁34の開度の少なくともいずれかを調整する制御部(ECU)48とを備える。
制御部48は、電磁弁38の開閉制御及び三方弁36a、36bの切換制御を行って、暖房運転と冷房運転とを切り換え制御する流路切換手段として機能するとともに、前記空調システム10全体の駆動制御を行う。
このように構成される空調システム10の動作について、図3に示す運転モード図に沿って以下に説明する。
空調システム10の各運転モードは、最大暖房モード、暖房モード、除湿暖房モード、切換モード、除湿冷房モード、冷房モード及び最大冷房モードを有する。各運転モードは、コンプレッサ16の回転数制御と自動絞り弁34の回動調整とにより制御される一方、エアミックスダンパ40は、開度調整を行うことがなく、暖房運転位置と冷房運転位置との2つの位置に切り換え制御だけが行われる。また、図3に示すように、暖房時、第1ブロア41の風量が大きい場合には、吸熱量を大きくするため第2ブロア31の風量も大きくなる。さらに、除湿暖房の際には、要求吸熱量が減らされるのに応じて、第2ブロア31の風量が減少される。
以下に詳細に説明すると、先ず、空調システム10の暖房時には、図4に示すフローチャートに沿って制御される。
エアコンが自動又は手動(スイッチ等)でオンされると(ステップS1)、ステップS2に進んで、暖房モードであるか否かが判断される。暖房モードでなければ、他の該当運転モードに移行する一方(ステップS2中、NO)、暖房モードであると判断されると(ステップS2中、YES)、ステップS4に進む。
このステップS4では、電磁弁38が閉塞され、三方弁36a、36bが切り換えられて、ヒートポンプ循環路18に分岐路28が接続されるとともに、前記ヒートポンプ循環路18に第2バイパス路32bが接続される。さらに、自動絞り弁34は、中間開度に設定される一方、コンプレッサ16の回転数は、最大に設定される。
ここで、空調システム10では、図2に示すように、コンプレッサ16が駆動され、前記コンプレッサ16からヒートポンプ循環路18に冷媒体が送出される。この冷媒体は、ヒータ26に供給され、このヒータ26で空調用空気と熱交換(放熱)を行い、前記空調用空気を昇温させる。
ヒータ26から排出される冷媒体は、電磁弁38が閉塞されるため、コンデンサ32を迂回して第1バイパス路32aを通り、自動絞り弁34の絞り作用下に、圧力が上昇されて膨張弁22に送られる。
膨張弁22で減圧された冷媒体は、三方弁36aを介して分岐路28に分岐され、第2エバポレータ30に導入される。第2エバポレータ30では、冷媒体がキャビン14内の熱源と熱交換を行った後、第1エバポレータ24を迂回して第2バイパス路32bから膨張弁22を通って、再度、コンプレッサ16に送られる。
図4に示すように、ステップS5では、高圧判定の良否が判断される。ここで、高圧判定は、コンプレッサ16の冷媒体吐出圧力が所定圧に至っているか否か、すなわち、圧力過大になっているか否かを確認するものである。圧力過大であると判断されると(ステップS5中、NO)、ステップS6に進んで、コンプレッサ16の回転数が最小であるか否かが判断される。コンプレッサ16の回転数が最小ではないと判断されると(ステップS6中、NO)、ステップS7に進んで、前記コンプレッサ16の回転数を低下させる。
一方、コンプレッサ16の回転数が最小であると判断されると(ステップS6中、YES)、ステップS8に進んで、自動絞り弁34の開度が最大であるか否かが判断される。自動絞り弁34の開度が最大でないと判断されると(ステップS8中、NO)、前記自動絞り弁34の開度が開放側に制御される(ステップS9)。なお、自動絞り弁34の開度が最大であると判断されると(ステップS8中、YES)、ステップS10に進んで、何らかの不調があるとして空調システム10がオフされる。
ステップS5において、圧力過大になっていないと判断されると(ステップS5中、YES)、ステップS11に進んで、ヒータ26を通過した吐気温度、すなわち、キャビン14内の空調用空気の吐気温度が、暖房モードに対応して得られているか否かが判断される。吐気温度が得られていないと判断されると(ステップS11中、NO)、ステップS12に進んで、コンプレッサ16が最大回転数であるか否かが判断される。コンプレッサ16が最大回転数でないと判断されると(ステップS12中、NO)、ステップS13に進んで、前記コンプレッサ16の回転数が上げられる。
一方、コンプレッサ16が最大回転数であると判断されると(ステップS12中、YES)、ステップS14に進んで、自動絞り弁34の開度が最小であるか否かが判断される。そして、自動絞り弁34の開度が最小でないと判断されると(ステップS14中、NO)、ステップS15に進んで、前記自動絞り弁34の開度が閉じられる方に制御される。自動絞り弁34の開度が最小であると判断されると(ステップS14中、YES)、ステップS10に進む。
ステップS11において、吐気温度が得られると判断されると(ステップS11中、YES)、ステップS16に進んで、吐気温度が要求設定温度(ユーザが要求した温度)を超えているか否かが判断される。吐気温度が要求設定温度を超えていると判断されると(ステップS16中、NO)、ステップS16以降に進む一方、吐気温度が要求設定温度以下であると判断されると(ステップS16中、YES)、ステップS17に進んで、この状態が維持される。
さらに、設定温度の変更があると(ステップS18中、NO)、ステップS11に戻る一方、設定温度の変更がなければ(ステップS18中、YES)、ステップS19に進んで、この状態が保持される。そして、エアコンスイッチがオフされることにより(ステップS20中、YES)、空調システム10の運転が停止される。
次いで、除湿暖房モードでは、図3及び図5に示すように、三方弁36bが切り換え制御されて、第2バイパス路32bがヒートポンプ循環路18から遮断され、このヒートポンプ循環路18には、第1エバポレータ24が接続される。自動絞り弁34は、全開状態に制御される一方、コンプレッサ16は、出力低下側(低回転数側)に制御される。
このため、コンプレッサ16の作用下に、ヒートポンプ循環路18に送出される冷媒体は、ヒータ26を通って放熱された後、コンデンサ20を迂回して分岐路28に送られる。この冷媒体は、第2エバポレータ30で吸熱された後、第1エバポレータ24に送られる。
第1エバポレータ24では、空調用空気から吸熱することにより、前記空調用空気が一旦冷却された後、ヒータ26の放熱作用下に昇温され、キャビン14に送出される。従って、空調用空気は、第1エバポレータ24で冷却されることにより、外気から取り込まれた空気に含まれる水蒸気が除去されて、除湿処理が施されることになる。
さらに、外気温に吐気温度が近い程(その差が小さい程)、吸熱量はより少なくて済むことになるため、その場合は外気温と吐気温度とを比較し、第2ブロア31の風量を少なくして吸熱を抑制していくように調整してもよい。
次に、空調システム10の冷房時には、図6に示すフローチャートに沿って制御される。
先ず、空調システム10がオンされて、冷房モードか否かが判断される(ステップS21及びステップS22)。冷房モードでなければ(ステップS22中、NO)、ステップS23に進んで、該当モードに移行する一方、冷房モードであると判断されると(ステップS22中、YES)、ステップS24に進む。このステップS24では、電磁弁38が開放される一方、三方弁36a、36bが切り換え制御される。
図7に示すように、三方弁36aにより分岐路28がヒートポンプ循環路18から遮断されるとともに、三方弁36bを介して第1エバポレータ24が前記ヒートポンプ循環路18に接続される。自動絞り弁34が閉塞されるとともに、エアミックスダンパ40は、ヒータ26を閉塞する全閉姿勢(冷房時)に配置される。そして、コンプレッサ16は、最大回転数(冷房時対応の最大回転数であり、コンプレッサ16の最大回転数とは異なる場合がある)に設定される。
そこで、コンプレッサ16の作用下に、圧縮されて高温となった冷媒体は、ヒータ26を通過してコンデンサ20で冷却される。この冷媒体は、膨張弁22でさらに低温及び低圧の冷媒体となった後、第1エバポレータ24に供給される。従って、第1エバポレータ24では、低温の冷媒体が通過して空調用空気と熱交換することにより、前記空調用空気が冷却される一方、冷媒体は、吸熱後に膨張弁22からコンプレッサ16に戻される。
第1エバポレータ24により冷却された空調用空気は、エアミックスダンパ40の閉塞によってヒータ26で暖められることがなく、キャビン14に送出されるため、前記キャビン14の冷房が行われる。
さらに、ステップS25に進んで、高圧判定の可否が判断される。高圧判定が否であると判断されると(ステップS25中、NO)、ステップS26に進んで、コンプレッサ16の回転数が最小であるか否かが判断される。コンプレッサ16の回転数が最小でないと判断されると(ステップS26中、NO)、ステップS27に進んで、前記コンプレッサ16の回転数が低下される。一方、コンプレッサ16の回転数が最小であると判断されると(ステップS26中、YES)、ステップS28に進んで、空調システム10の運転が停止される。
ステップS25において、高圧判定が良であると判断されると(ステップS25中、YES)、ステップS29に進んで、吐気温度の良否が判断される。吐気温度が冷房モードに対応していないと判断されると(ステップS29中、NO)、ステップS30に進んで、コンプレッサ16の回転数が上昇される。一方、吐気温度が冷房モードに対応していると判断されると(ステップS29中、YES)、ステップS31に進んで、この吐気温度が要求設定温度以上であるか否かが判断される。
吐気温度が要求設定温度未満であると判断されると(ステップS31中、NO)、ステップS26に進んで、前記吐気温度を要求設定温度側に上昇させる処理が行われる。吐気温度が要求設定温度を超えていると判断されると(ステップS31中、YES)、ステップS32に進んで、この冷房制御が持続される。さらに、設定温度の変更がなければ(ステップS33中、YES)、ステップS34及びステップS35に進む。
なお、図3に示すように、除湿冷房モードでは、上記の冷房モードに対して、コンプレッサ16の回転数が低く設定される他、冷房モードと同様に制御される。
さらにまた、暖房と冷房との切り換えモードでは、図3及び図8に示すように、電磁弁38が閉塞されるとともに、三方弁36a、36bを介して第2エバポレータ30がヒートポンプ循環路18から遮断される一方、第1エバポレータ24が前記ヒートポンプ循環路18に接続される。エアミックスダンパ40は、全開姿勢(暖房時)に配置される。
この場合、本実施形態では、図3に示すように、最大暖房モードから最大冷房モードまでの各運転モードにおいて、コンプレッサ16の冷媒体吐出圧力、及び要求吐気温度と実測吐気温度との比較結果に基づいて、前記コンプレッサ16の出力及び自動絞り弁34の開度の少なくとも何れかを調整している。このため、種々の運転状況下であっても、例えば、エアミックスダンパ40の開度調整等が不要になり、簡単且つ経済的な構成及び制御で、所望の吐気温度を確実に得ることが可能になる。
これにより、最大暖房モードから最大冷房モードを含む各運転モードにおいて、特に、運転モードの切換時に、吐気温度が急激に変動することがなく、安定した吐気温度を確実に得ることができるという効果が得られる。
次いで、空調システム10の立ち上がり時に、除湿モードと判定された場合の制御について、図9及び図10を参照して以下に説明する。
先ず、空調システム10がオンされて、除湿モードであるか否かが判断される(ステップS41及びステップS42)。除湿モードでなければ(ステップS42中、NO)、ステップS43に進んで、該当モードに移行する一方、除湿モードであると(ステップS42中、YES)、ステップS44に進む。
このステップS44では、電磁弁38が開放されるとともに、三方弁36a、36bを介してヒートポンプ循環路18には、分岐路28及び第1エバポレータ24が接続される。さらに、自動絞り弁34が開放(全開)され、コンプレッサ16が最小回転数で駆動される。
このため、ヒートポンプ循環路18の全域に渡って冷媒体を行き渡らせることができ、冷媒体が過剰になることによって回路内に破綻が惹起することを、有効に阻止することが可能になる。これにより、熱運搬機能がさほど要求されない立ち上がり時の冷媒体を、ヒートポンプ循環路18の全域に渡って良好に供給することができ、高圧限界までの対応可能な範囲が増加するとともに、安定した空調制御を行うことが可能になる。
ステップS45では、高圧判定の良否が判断され、高圧判定が否である際(ステップS45中、NO)、ステップS46に進んで、吐気温度=外気温度±αであるか否かが判断される。吐気温度=外気温度±αであれば、空調の必要がなく、ステップS47に進んで、送風モードに移行する。また、吐気温度=外気温度±αとならない場合には(ステップS46中、NO)、ステップS48に進んで、空調システム10の運転が停止される。
一方、高圧判定が良であると判断されると(ステップS45中、YES)、ステップS49に進んで、除湿モードが冷房側と暖房側とのどちら寄りかの判断が行われる。冷房側であると判断されると、ステップS50に進んで、自動絞り弁34が閉塞されるとともに、三方弁36aが切り換えられて、分岐路28がヒートポンプ循環路18から遮断される(図7参照)。また、除湿モードが暖房側であると判断されると、ステップS51において、電磁弁38が閉塞される(図5参照)。
さらに、ステップS52に進んで、高圧判定の良否が判断され、高圧判定が否である際には(ステップS52中、NO)、ステップS53に進む。ステップS53では、ステップS44と同様に、立ち上がり除湿モードとなり(図10参照)、ステップS54に進んで、高圧判定の良否が判断される。高圧判定が否であれば(ステップS54中、NO)、ステップS55に進んで、コンプレッサ16の回転数が最小であるか否かが判断される。このコンプレッサ16の回転数が最小であれば(ステップS55中、YES)、ステップS46に進む一方、回転数が最小でなければ(ステップS55中、NO)、ステップS56に進んで、コンプレッサ16の回転数が減少される。
ここで、ステップS46にて、吐気温度と外気温との比較を温度差で把握し、その温度差が少ない程、第2ブロア31の風量を落とすように調整すれば、吸熱量が大き過ぎることなく設定され、適する吐気温度をより確実に得ることができるようになる。
ステップS52及びステップS54で、高圧判定が良であると判断されると、ステップS57に進んで、ヒータ26の下流における吐気温度の良否が判断される。吐気温度が不足であると判断されると(ステップS57中、NO)、ステップS58に進んで、コンプレッサ16の回転数が上昇される。一方、吐気温度が十分であると判断されると(ステップS57中、YES)、ステップS59に進んで、この状態が維持される。そして、設定温度の変更がなければ(ステップS60中、YES)、ステップS61以降に進む。
10…空調システム 12…自動車
14…キャビン 16…コンプレッサ
18…ヒートポンプ循環路 20…コンデンサ
22…膨張弁 24、30…エバポレータ
26…ヒータ 28…分岐路
32a、32b…バイパス路 34…自動絞り弁
36a、36b…三方弁 38…電磁弁
40…エアミックスダンパ 44…圧力測定器
46…温度測定器 48…制御部

Claims (8)

  1. 圧縮機を介して冷媒体を循環させるヒートポンプ循環路に配置され、前記冷媒体と外気とで熱交換を行うコンデンサと、
    前記コンデンサをバイパスするバイパス通路に配設される絞り弁と、
    前記ヒートポンプ循環路に配置され、前記冷媒体と空調用空気とで熱交換を行う第1エバポレータと、
    前記ヒートポンプ循環路に配置され、前記圧縮機から送出される前記冷媒体と前記第1エバポレータを通過した前記空調用空気とで熱交換を行うヒータと、
    前記ヒートポンプ循環路から分岐する分岐路に配置され、キャビンから排出される熱媒体と前記冷媒体とで熱交換を行う第2エバポレータと、
    を備えるヒートポンプ式の車両用空調システムであって、
    前記圧縮機の冷媒体吐出圧力を測定する吐出圧力測定部と、
    前記ヒータの下流における前記空調用空気の吐気温度を測定する吐気温度測定部と、
    前記圧縮機の冷媒体吐出圧力、及び要求吐気温度と実測吐気温度との比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整する制御部と、
    を備えることを特徴とする車両用空調システム。
  2. 請求項1記載の空調システムにおいて、前記第2エバポレータに前記熱媒体を送り込む第2エバポレータ用ブロアを備え、
    前記制御部は、外気温と実測吐気温度との比較結果に基づいて、前記第2エバポレータ用ブロアの風量を調整することを特徴とする車両用空調システム。
  3. 圧縮機を介して冷媒体を循環させるヒートポンプ循環路に配置され、前記冷媒体と外気とで熱交換を行うコンデンサと、
    前記コンデンサをバイパスするバイパス通路に配設される絞り弁と、
    前記ヒートポンプ循環路に配置され、前記冷媒体と空調用空気とで熱交換を行う第1エバポレータと、
    前記ヒートポンプ循環路に配置され、前記圧縮機から送出される前記冷媒体と前記第1エバポレータを通過した前記空調用空気とで熱交換を行うヒータと、
    前記ヒートポンプ循環路から分岐する分岐路に配置され、キャビンから排出される熱媒体と前記冷媒体とで熱交換を行う第2エバポレータと、
    を備えるヒートポンプ式の車両用空調システムの制御方法であって、
    前記圧縮機の冷媒体吐出圧力を検出する工程と、
    要求吐気温度と実測吐気温度とを比較する工程と、
    検出された前記冷媒体吐出圧力及び前記比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整する工程と、
    を有することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
  4. 請求項3記載の制御方法において、運転モードが、暖房モードに切り換えられた際、前記圧縮機の出力を中間値以上に設定するとともに、前記絞り弁の開度を中間値に設定する工程を有し、
    検出された前記冷媒体吐出圧力及び前記比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
  5. 請求項3又は4記載の制御方法において、運転モードが、冷房モードに切り換えられた際、前記圧縮機の出力を中間値以上に設定するとともに、前記絞り弁を全閉に設定する工程を有し、
    検出された前記冷媒体吐出圧力及び前記比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の制御方法において、運転モードが、暖房モードと冷房モードとの中間領域の要求により冷房モードに切り換えられた際、前記圧縮機の出力を中間値以下に設定するとともに、前記絞り弁を全開に設定する工程を有し、
    検出された前記冷媒体吐出圧力及び前記比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
  7. 請求項3〜6のいずれか1項に記載の制御方法において、運転モードが、除湿モードに切り換えられた際、前記圧縮機の出力を中間値以下に設定するとともに、前記絞り弁を全開に設定する工程と、
    前記ヒートポンプ循環路に前記冷媒体を行き渡らせた後、前記要求吐気温度に応じて暖房除湿モード又は冷房除湿モードに設定する工程と、
    検出された前記冷媒体吐出圧力及び前記比較結果に基づいて、前記圧縮機の出力及び前記絞り弁の開度の少なくともいずれかを調整することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
  8. 請求項3〜7のいずれか1項に記載の制御方法において、前記第2エバポレータに前記熱媒体を送り込む第2エバポレータ用ブロアを備え、
    運転モードが、除湿暖房モードに切り換えられた際、外気温と実測吐気温度とを比較する工程と有し、
    前記比較結果に基づいて、前記第2エバポレータ用ブロアの風量を調整することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
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