JP2011226728A - 冷凍装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷凍サイクル内でフッ化水素の発生を抑制し、冷凍サイクル内の使用部品の劣化を抑えて、長期間に渡って安定的に動作可能にすること。
【解決手段】炭素と炭素間に二重結合を有するハイドロフルオロオレフィンをベース成分とし、二重結合を有しないハイドロフルオロカーボンと混合した冷媒が循環する冷凍装置であって、圧縮機1から凝縮器2又は4、膨張機構3及び蒸発器4又は2を経て該圧縮機1に至り、冷媒が循環する冷媒循環経路と前記冷媒循環経路内に酸素除去剤を含む冷凍機油を含有している。
【選択図】図1
【解決手段】炭素と炭素間に二重結合を有するハイドロフルオロオレフィンをベース成分とし、二重結合を有しないハイドロフルオロカーボンと混合した冷媒が循環する冷凍装置であって、圧縮機1から凝縮器2又は4、膨張機構3及び蒸発器4又は2を経て該圧縮機1に至り、冷媒が循環する冷媒循環経路と前記冷媒循環経路内に酸素除去剤を含む冷凍機油を含有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、塩素原子を含まず、炭素と炭素間に二重結合を有するハイドロフルオロオレフィンを冷媒として用い、冷凍機油を封入した圧縮機、凝縮器、膨張機構ならびに蒸発器を備えた冷凍装置に関する。
従来、例えば空調機やカーエアコンに形成される冷凍サイクルには、冷媒としてフッ素と水素を含むフッ化炭化水素(HFC)が用いられてきた。また、このような冷凍装置では、冷媒としてのHFCとの相溶性の観点から、例えばポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)又はポリビニルエーテル(PVE)のような、極性を有する冷凍機油が主に用いられてきた。
一方、地球温暖化防止のために地球温暖化係数の小さい冷媒の使用が進められている。しかしながら地球温暖化係数が小さい冷媒は大気中で分解しやすい傾向にある。そのため、冷媒分解を引き起こす空気の成分である酸素を除去する方法が提案されている。たとえば直接的に冷凍サイクルから酸素を除去するために冷凍サイクル中に酸素吸着器を配置することが開示されている(例えば特許文献1参照)。
ここで開示されている冷媒はヨウ素を含有している特殊なものであるが、この酸素吸着器は冷凍サイクルの凝縮器と膨張弁の間または蒸発器と圧縮機の間に配置され、分子ふるいを用いることが開示されている。この酸素吸着器は、ヨウ素を含有する冷媒が酸素存在下で鉄系材料や銅系材料を腐食することを阻止する目的で配置されている。
一方、ボイラーの腐食防止として水中の溶存酸素を反応により除去する酸素除去剤に関しては、ヒドラジンなどが開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
ハイドロフルオロオレフィンは二重結合を有しており、従来のHFCに比べて反応性が高い。冷媒としてハイドロフルオロオレフィンを従来の構成の冷凍装置に用いると、冷媒であるハイドロフルオロオレフィンが圧縮機の摺動部分のように高温となる部分において、酸素と反応して分解することによってフッ化水素を発生する。ここで冷媒との反応で消費される酸素は、冷凍サイクル内に残存しているものや冷凍機油中に残存しているものが使用される。気相中の酸素については、冷凍装置の設置の際に室内機および配管を適切に真空引きすることや、特許文献1に開示された酸素吸着器を設けることで除去することができる。
しかしながら冷凍機油中の溶存酸素は、真空引きや特許文献1に開示された酸素吸着器で除去するのは困難であり、冷凍機油中の酸素により冷媒が酸化分解しフッ化水素が発生するのを防ぐことはできず、冷凍サイクル内の使用部材が劣化する場合があるという問題点があった。また、特許文献2に開示された酸素除去剤は、水系で使用されるため、冷凍機油に溶解しにくく、冷凍機油としての機能を阻害する恐れがあった。
それ故に、本発明の目的は、冷媒が冷凍機油中に溶存する酸素と反応する前に所定の酸素除去剤が酸素と反応することによって、冷凍サイクル内の使用部品の劣化を抑えて長期間に渡って安定的に動作可能な冷凍装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、炭素と炭素間に二重結合を有するハイドロフルオロオレフィンをベース成分とし、二重結合を有しないハイドロフルオロカーボンと混合した冷媒が循環する冷凍装置に向けられており、圧縮機から凝縮器、膨張機構、蒸発器を経て該圧縮機に至り、前記冷媒が循環する冷媒循環経路と、前記冷媒循環経路内に酸素除去剤を含む冷凍機油を含有している。
上記構成によれば、冷凍装置の内部に酸素除去剤を含む冷凍機油を含有することにより、冷媒が酸素と反応する前に酸素除去剤が冷凍機油中の酸素を除去するため、フッ化水素の発生を防ぐことが可能となる。このため、冷凍装置内(つまり、冷凍サイクル内)の使用部品の劣化を抑えることができる。これにより、長期間に渡って安定的に動作可能な冷凍装置を提供することできる。
第1の発明は、炭素と炭素間に二重結合を有するハイドロフルオロオレフィンの単一冷媒、またはそれをベース成分とし二重結合を有しないハイドロフルオロカーボンと混合した冷媒を封入し、圧縮機から凝縮器、膨張機構、蒸発器を経て該圧縮機に至り、前記冷媒が循環する冷媒循環経路を備え、前記冷媒循環経路内に酸素除去剤を含む冷凍機油を含有してなる冷凍装置である。これによれば、酸素除去剤は冷凍サイクル内で冷凍機油内溶存酸素を除去するので、ハイドロフルオロオレフィンの分解が抑制され、冷媒分解生成物であるフッ化水素の発生を抑制し、冷凍サイクル内使用部品の劣化を抑えることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の酸素除去剤がヒドラジン誘導体、亜硫酸アルカリ金属塩、カルボヒドラジドのうち少なくとも1種類を含有するものである。これにより、効率よく冷凍機油溶存酸素を除去することができ、冷凍機油に溶解した冷媒と酸素との反応を防止することができる。
第3の発明は、特に、第1の発明の酸素除去剤が冷凍機油に溶解したものである。これにより、冷凍機油中に溶解した酸素は酸素除去剤により速やかに除去される。
第4の発明は、特に、第1の発明の酸素除去剤とともにキノン類を使用するものであり、キノン類が酸化されることにより効果的に酸素除去剤が働き、これにより迅速に溶存酸素を除去することができる。
第5の発明は、特に、第1の発明において、冷媒循環経路内にドライヤを設置したものであり、酸素除去剤が酸素と反応して生成した水分を除去することができるため、冷凍機油の分解や銅メッキ現象を防止することができる。
第6の発明は、特に、第1の発明の酸素除去剤の冷凍機油に対する含有率が1%以下である。これにより、冷凍機油としての機能を阻害する恐れがなく、冷媒循環経路内に混入
する酸素を十分に除去できる。
する酸素を十分に除去できる。
第7の発明は、特に、第1の発明において、ハイドロフルオロオレフィンはテトラフルオロプロペンをベース成分とし、ハイドロフルオロカーボンとしてジフルオロメタンとペンタフルオロエタンを、地球温暖化係数が5以上、750以下となるように、望ましくは300以下となるようにそれぞれ2成分混合もしくは3成分混合した冷媒を封入したものである。これにより、回収されない冷媒が大気に放出されても地球温暖化に対しその影響を極少に保つことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る冷凍装置のサイクル図である。図1において、冷凍装置は、冷媒循環経路として、冷媒を圧縮する圧縮機1と、冷媒を凝縮又は蒸発させる室外熱交換器2と、膨張弁等のような冷媒を膨張させる膨張機構3と、冷媒を蒸発又は凝縮させる室内熱交換器4とを備える。冷凍装置はさらに、上記構成を連結する配管5、四方弁6及びアキュムレータ7およびドライヤユニット8を備えており、冷媒と冷凍機油とを作動媒体とする。ドライヤユニット8は、冷凍循環経路内の水分を吸着するドライヤであり、内部にゼオライトなどの水分を選択的に吸着する物質を有している。冷凍機油は通常、圧縮機1内に封入されており、使用時にはそのごく一部が冷媒とともに冷凍サイクル内を循環する。なお、本冷凍装置には、再熱除湿運転に使用する室内器側の電磁弁など公知の部品を必要に応じて追加することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る冷凍装置のサイクル図である。図1において、冷凍装置は、冷媒循環経路として、冷媒を圧縮する圧縮機1と、冷媒を凝縮又は蒸発させる室外熱交換器2と、膨張弁等のような冷媒を膨張させる膨張機構3と、冷媒を蒸発又は凝縮させる室内熱交換器4とを備える。冷凍装置はさらに、上記構成を連結する配管5、四方弁6及びアキュムレータ7およびドライヤユニット8を備えており、冷媒と冷凍機油とを作動媒体とする。ドライヤユニット8は、冷凍循環経路内の水分を吸着するドライヤであり、内部にゼオライトなどの水分を選択的に吸着する物質を有している。冷凍機油は通常、圧縮機1内に封入されており、使用時にはそのごく一部が冷媒とともに冷凍サイクル内を循環する。なお、本冷凍装置には、再熱除湿運転に使用する室内器側の電磁弁など公知の部品を必要に応じて追加することができる。
また、図1に示す冷凍装置に封入される冷媒は、ハイドロフルオロオレフィンである、例えばテトラフルオロプロペン(HFO1234yf)を基本成分にジフルオロメタン(HFC32)とペンタフルオロエタン(HFC125)とのいずれか一方又は両方を、地球温暖化係数(GWP)が5以上で750以下、望ましくは5以上で300以下となるようにそれぞれ2成分混合もしくは3成分混合した冷媒である。または、ハイドロフルオロオレフィンの単一冷媒(GWP=4)でも良い。
図2は、テトラフルオロプロペンとジフルオロメタン又はペンタフルオロエタンとの2成分を混合した冷媒の混合比率による地球温暖化係数を示した特性図である。具体的には図3に示すように、2成分混合の場合にはテトラフルオロプロペンとジフルオロメタンとを混合してGWP300以下とするためにはジフルオロメタンを44wt%以下、テトラフルオロプロペンとペンタフルオロエタンとを混合してGWP750以下とするためにはペンタフルオロエタンを21.3wt%以下、さらにGWP300以下とするためにはペンタフルオロエタンを8.4wt%以下と混合することになる。
また、冷媒をテトラフルオロプロペンの単一冷媒とした時にはGWP4となり極めて良好な値を示す。しかしながら、ハイドロフルオロカーボンと混合した冷媒に比べて比容積が大きいことなどから冷凍能力が低くなるため、より大きな冷却サイクル装置が必要になる。換言すれば、炭素と炭素間に2重結合を有するハイドロフルオロオレフィンを基本成分とし、2重結合を有しないハイドロフルオロカーボンを混合した冷媒を用いれば、ハイドロフルオロオレフィンの単一冷媒と比較して冷凍能力などの所定の特性を改善して冷媒として使用しやすくすることができる。従って、封入する冷媒において、単一冷媒を含めてテトラフルオロプロペンの割合をどれほどにするかは、圧縮機を組み込む冷却サイクル装置等の目的や上述したGWPの制限などの条件に応じて適宜選択すればよい。
図1の冷凍装置において、冷凍機油内に酸素除去剤を含んでいる。酸素除去剤としては、溶存酸素を速やかに除去する能力を持つものであればどのようなものが用いられても構
わないが、冷凍サイクル内で悪影響をしにくいものを選ぶべきである。ここで望ましい酸素除去剤としては、ヒドラジンヒドラート、イソプロピルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、ネオペンチルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2−ヒドラジノピリジン等のヒドラジン誘導体、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウムなどの亜硫酸金属塩、カルボノヒドラジド、1,5−ジフェニルカルボノヒドラジド等が挙げられる。さらに望ましくは、これらのうち冷凍機油に1%程度溶解するものを選択して使用するべきである。
わないが、冷凍サイクル内で悪影響をしにくいものを選ぶべきである。ここで望ましい酸素除去剤としては、ヒドラジンヒドラート、イソプロピルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、ネオペンチルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2−ヒドラジノピリジン等のヒドラジン誘導体、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウムなどの亜硫酸金属塩、カルボノヒドラジド、1,5−ジフェニルカルボノヒドラジド等が挙げられる。さらに望ましくは、これらのうち冷凍機油に1%程度溶解するものを選択して使用するべきである。
また、酸素除去剤は第二成分としてキノン類を併用するのが望ましい。キノン類の具体例としてp−ベンゾキノン、2−メチル−p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノンなどのヒドロキノン類を挙げることができる。
図1に示すような、酸素除去剤を含む冷凍機油を含有した冷凍サイクルにおいて、冷房運転時には、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒が四方弁6、室外熱交換器2を通り凝縮されて液化する。液化した冷媒はドライヤユニット8を通過した後、膨張機構3を通って減圧され、さらに室内熱交換器4に入る。そこで低温低圧の液冷媒は蒸発して室内空気と熱交換し、低温低圧のガス冷媒となりアキュムレータ7を通って圧縮機1に戻る。
また、暖房運転時には四方弁6で流路を逆転するため、圧縮機1を出た冷媒は四方弁6を通って室内熱交換器4で室内空気と熱交換して凝縮されて液化する。液化した冷媒は膨張機構3、ドライヤユニット8を通って室外熱交換器2で蒸発して低温低圧のガス冷媒となりアキュムレータ7を通って圧縮機1に戻る。
ここで酸素除去剤を含む冷凍機油を含有した冷凍サイクル内で、冷凍機油は主に圧縮機1内に残存している。冷凍機油内に存在している溶存酸素は圧縮機1内のモータなどで発生した熱により酸素除去剤と反応する。
本実施の形態では、冷凍装置の内部に酸素除去剤を含む冷凍機油を含有することにより、冷媒が酸素と反応する前に酸素除去剤が冷凍機油中の酸素を除去するため、フッ化水素の発生を防ぐことが可能となる。そして、冷凍装置内(つまり、冷凍サイクル内)の使用部品の劣化を抑えることができる。このため、長期間に渡って安定的に動作可能な冷凍装置を提供することできる。
また、酸素除去剤として、ヒドラジン誘導体、亜硫酸アルカリ金属塩、カルボヒドラジドのうち少なくとも1種類を含有しているので、効率よく冷凍機油溶存酸素を除去することができ冷凍機油に溶解した冷媒と酸素との反応を防止することができる。そのため冷媒分解生成物であるフッ化水素の発生を抑制し、冷凍サイクル内使用部品の劣化を抑えることができる。従来からボイラー腐食防止用途で用いられている酸素除去剤は水系で使用されるため、冷凍機油に溶解しにくいが、ここで用いるヒドラジン誘導体、亜硫酸アルカリ金属塩、カルボヒドラジドは用いる冷凍機油、すなわちポリオールエステル(POE)やポリビニルエーテル(PVE)、ポリアルキレングリコール(PAG)などに溶解するように有機性を向上させたものを用いることが好ましい。具体的には飽和炭化水素の置換基を導入することで溶解性を向上させることができる。
さらに、図1において、圧縮機1に封入される冷凍機油は冷媒と相溶性を有する冷凍機油を含むものであり、ポリオールエステルやポリビニルエーテル、ポリアルキレングリコールなどを使用することができる。本実施の形態によるエステル系冷凍機油は多価アルコールと飽和または不飽和脂肪酸との脱水反応により合成される。
多価アルコールとしては、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが冷凍機油の粘度に合わせて用いられる。また一方の飽和脂肪酸としては、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ノナン酸、デカン酸などの直鎖の脂肪酸ならびに2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸などの分岐鎖の脂肪酸が用いられる。直鎖脂肪酸を含むエステル油は摺動特性が良好だが加水分解性に劣り、分岐鎖脂肪酸を含むエステル油は摺動特性が若干劣るものの加水分解しにくいという特長を有している点に留意すべきである。
冷媒と相溶性を有する冷凍機油は極性が高く、極性の高い冷凍機油中へは酸素が溶解しやすくなる。しかし、本実施の形態では、冷凍機油中に酸素除去剤を含んでいるため、冷凍機油中に溶解した酸素は酸素除去剤により速やかに除去される。さらに冷凍装置内の気相中に酸素があった場合にも、酸素分圧の低い冷凍機油への酸素の溶解が進行する。そのため、気相中に酸素除去剤を設置しなくても気相内の酸素濃度を下げることができる。これにより、フッ化水素の発生を防ぎ、冷凍サイクル内の使用部品の劣化を抑えることができる。このため、長期間に渡って安定的に動作可能な冷凍装置を提供することできる。
また、酸素除去剤とともにキノン類を使用しているので、キノン類が酸化されることにより効果的に酸素除去剤が働き、これにより迅速に溶存酸素を除去することができる。キノン類の添加量は特に規定しないが、酸素除去剤よりも少ない添加量で十分である。溶存酸素を取り除くことによりハイドロフルオロオレフィンの分解が確実に抑制され、冷媒の分解生成物であるフッ化水素の発生を防止し冷凍サイクル内使用部品の劣化を抑えることができる。
さらに、酸素除去剤の冷凍機油に対する含有率が1%以下であるため、基油の粘度など冷凍機油としての機能を阻害する恐れがなく、通常の冷凍機油と同様に使用することができる。冷凍サイクル中に入る酸素の最大量は次のように推定できる。空気混入が最大となる場合は、エアコン設置時に室内機と配管を真空引きしなかった場合である。これはおよそ3L程度と見積もることができる。酸素量はこの1/5であるため0.6Lである。たとえばフェニルヒドラジン(分子量122)との反応でこの酸素を除去しようとした場合に必要な重量は122×0.6/(0.082×298)=3.05(g)となる。冷凍機油の標準的な使用量を350gとすれば、フェニルヒドラジン3.05g添加は0.9%となる。そのため酸素除去剤の冷凍機油に対する含有率は、10%の余裕を考慮し1%以下の添加が最適である。
酸素除去剤は水分を含有しやすいため、本実施の形態の冷凍サイクルにはドライヤユニット8が設置されている。たとえば酸素除去剤として用いるヒドラジン誘導体は、次に示す反応で酸素を除去し水分を生成する。
水分は冷凍機油の分解や銅メッキ現象などを引き起こしやすく冷凍サイクル内での濃度を低く保つべきである。水分濃度を低く保つため、ドライヤユニット8を冷媒循環経路内で冷媒が液冷媒となる箇所に設置するのが好ましい。より具体的には冷媒を吸着しない程度の細孔径を有するゼオライトやシリカゲルなどを膨張機構3の前などの冷媒が液相となっている部分に設置するのが好ましい。
本実施の形態では、冷媒は、ハイドロフルオロオレフィンはテトラフルオロプロペンを
ベース成分とし、ハイドロフルオロカーボンとしてジフルオロメタンとペンタフルオロエタンとを、地球温暖化係数が5以上750以下となるようにそれぞれ2成分混合もしくは3成分混合したものである。これによって回収されない冷媒が大気に放出されても地球温暖化に対しその影響を極少に保つことができる。
ベース成分とし、ハイドロフルオロカーボンとしてジフルオロメタンとペンタフルオロエタンとを、地球温暖化係数が5以上750以下となるようにそれぞれ2成分混合もしくは3成分混合したものである。これによって回収されない冷媒が大気に放出されても地球温暖化に対しその影響を極少に保つことができる。
また、44wt%以下のジフルオロメタンとテトラフルオロプロペンとを混合した混合冷媒、または、21.3wt%以下、望ましくは、8.4wt%以下のペンタフルオロエタンとテトラフルオロプロペンとを混合した混合冷媒は、非共沸混合冷媒にも関わらず温度差を小さくでき擬似共沸混合冷媒に挙動が近づくため、冷凍装置の冷却性能や冷却性能係数(COP)を改善することができる。
また、本実施の形態の冷凍機油には、酸素除去剤の他に必要に応じて、リン酸トリフェニルやリン酸トリクレジルなどの極圧剤、含エポキシ化合物などの酸捕捉剤および消泡剤などの各種の添加剤が選択的に加えられる。
なお、本実施の形態では、ドライヤユニット8は、冷房運転時において冷媒が液冷媒となる室外熱交換器2と膨張機構3との間に設置しているが、暖房運転時に冷媒が液冷媒となる室内熱交換器4と膨張機構3との間に設置してもよい。すなわち、ドライヤユニット8は凝縮器と膨張機構3との間に設置するのが望ましい。
また、本実施の形態では、冷暖房用のエアコンを主体とした冷凍装置として説明してきたが、開放式でない冷凍装置であればその効果は同じであり、冷凍冷蔵庫、冷凍庫、除湿機、ヒートポンプ式乾燥洗濯機、ヒートポンプ式給湯器、飲料用自動販売機等に適用できる技術であることは言うまでもない。
本発明にかかる冷凍装置は、冷媒が冷凍サイクル内に残存する酸素と反応する前に所定の酸素除去剤が酸素と反応することによって、冷媒の酸化生成物であるフッ化水素による冷凍サイクル内の使用部品の劣化を抑えることが可能となるため、空調機、カーエアコン、給湯器、冷凍冷蔵庫、冷凍庫、除湿機、ヒートポンプ式乾燥洗濯機、ヒートポンプ式給湯器、飲料用自動販売機等の用途に適用できる。
1 圧縮機
2 室外熱交換器
3 膨張機構
4 室内熱交換器
5 配管
6 四方弁
7 アキュムレータ
8 ドライヤユニット
2 室外熱交換器
3 膨張機構
4 室内熱交換器
5 配管
6 四方弁
7 アキュムレータ
8 ドライヤユニット
Claims (7)
- 炭素と炭素間に二重結合を有するハイドロフルオロオレフィンの単一冷媒、またはそれをベース成分とし二重結合を有しないハイドロフルオロカーボンと混合した冷媒を封入し、圧縮機から凝縮器、膨張機構、蒸発器を経て該圧縮機に至り、前記冷媒が循環する冷媒循環経路を備え、前記冷媒循環経路内に酸素除去剤を含む冷凍機油を含有してなる冷凍装置。
- 前記酸素除去剤がヒドラジン誘導体、亜硫酸アルカリ金属塩、カルボヒドラジドのうち少なくとも1種類を含有する請求項1に記載の冷凍装置。
- 前記酸素除去剤が冷凍機油に溶解してなる請求項1に記載の冷凍装置。
- 前記酸素除去剤とともにキノン類を使用してなる請求項1に記載の冷凍装置。
- 前記冷媒循環経路内にドライヤを設置してなる請求項1記載の冷凍装置。
- 前記酸素除去剤の冷凍機油に対する含有率が1%以下である請求項1に記載の冷凍装置。
- ハイドロフルオロオレフィンはテトラフルオロプロペンをベース成分とし、ハイドロフルオロカーボンとしてジフルオロメタンとペンタフルオロエタンを、地球温暖化係数が5以上、750以下となるように、望ましくは300以下となるようにそれぞれ2成分混合もしくは3成分混合した冷媒を封入した請求項1に記載の冷凍装置。
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