JP2011226030A - 織物製造方法および織物製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】扁平形状の緯糸を用いた織物の製造の高速化を図ることができる織物製造方法および織物製造装置を提供する。
【解決手段】綜絖装置74,75の上下動により形成された経糸群Bの杼口Sの外において予め所定長さに切断された扁平形状の緯糸Aを緯入装置60により把持し、緯入装置60を杼口Sの内に移動させて経糸群Bの杼口Sに緯糸Aを挿入する。経糸群Bの杼口Sに緯糸Aを挿入した後に、綜絖装置74,75により経糸群Bを上下動させて緯糸Aを織り込む。
【選択図】図1

Description

本発明は、扁平形状の緯糸を経糸群の杼口に挿入して扁平帯状の織物を製造する織物製造方法および織物製造装置に関するものである。
近年、炭素繊維束、ガラス繊維束などの強化繊維束を元幅から所要の幅に適宜開繊した開繊糸を経糸および緯糸に用いて織り込む開繊糸織物が注目されている。開繊糸織物の製造方法として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、綜絖手段により経糸群を上下に開口して杼口を形成し、緯糸ボビンに巻回された緯糸を緯糸把持部が引き出すことで緯糸を杼口に挿入(緯入れ)し、その後に杼口に挿入した緯糸を切断し、綜絖手段を上下動させて緯糸を織り込んで織物を製造することが記載されている。なお、特許文献2に記載されたような、扁平形状の紙を経糸および緯糸に用いて織り込む紙製織物が存在する。
特許第2983531号公報 特開2005−35017号公報
ところで、開繊糸または紙などのような扁平形状の緯糸を用いて織物を製造する場合には、経糸群により形成される杼口に緯糸を挿入したときに、緯糸をほぼ扁平な状態(平面状の状態)、すなわち緯糸に撓みや捩れが生じていない状態にすることが求められる。また、高速で織物を製造することも求められる。従来の織物製造方法では、緯糸を杼口に挿入する際に、緯糸ボビンに巻回されている緯糸を一旦弛ませて、弛ませた緯糸を緯糸把持部が引っ張る。そして、緯糸の杼口への挿入の高速化を図るためには、緯糸を杼口に挿入する際に、緯糸を高速で引っ張る必要がある。しかしながら、緯糸を高速で引っ張ると、上述したように、緯糸を緯糸ボビンから一旦弛ませた後に引っ張るため、杼口に挿入された緯糸が撓んだり捩れたりするおそれがある。従って、緯糸把持部が緯糸を引っ張る速度には限界があった。つまり、扁平形状の緯糸を用いた織物の製造の高速化を図ることは困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、扁平形状の緯糸を用いた織物の製造の高速化を図ることができる織物製造方法および織物製造装置を提供することを目的とする。
(織物製造方法)
(請求項1)本発明の織物製造方法は、織り込み途中の状態である扁平帯状の織物の後端側である織前を上下方向から挟み込む織前側挟込手段と前記織前側挟込手段に対して経糸群の供給側に位置し前記経糸群を上下方向から挟み込む経糸群供給側挟込手段との間に配置された綜絖手段を上下動させて前記経糸群の杼口を形成する杼口形成工程と、前記綜絖手段の上下動により形成された前記杼口の外において、扁平形状の緯糸を所定長さに切断する緯糸切断工程と、前記緯糸切断工程により切断された前記緯糸の両端側を緯入手段により把持し、前記緯入手段を前記杼口の内に移動させて、前記杼口に前記緯糸を挿入する緯入工程と、前記杼口に前記緯糸を挿入した後に、前記綜絖手段により前記経糸群を上下動させて前記緯糸を織り込む織込工程と、を備える。
このように、緯糸を経糸群の杼口に挿入する前に、予め所定長さに切断された緯糸の両端側を緯入手段により把持しておくことで、緯糸の杼口への挿入(緯入れ)に際し、従来のように緯糸を一旦弛ませる必要がない。従って、緯糸を経糸群の杼口に挿入する前において、緯糸を、撓みや捩れのない状態、つまり、扁平帯状の織物における緯糸の状態に一致する扁平な状態にしておくことができる。そして、緯入手段が緯糸を上記した扁平な状態にて把持したまま、緯糸を経糸群の杼口に高速で挿入することができる。このことからも、本発明によれば、緯糸の杼口への挿入に際し、緯糸の撓みや捩れを防止しつつ、緯糸の杼口への挿入を高速化することができ、その結果、織物の製造の高速化を図ることができる。また、本発明において、緯入手段により緯糸を経糸群の杼口へ挿入する速度は、緯糸の長さに依存することなく、緯入手段の機械的な移動速度に依存する。一方、従来の織物製造装置を用いた織物製造方法では、緯糸を高速で引っ張った際の緯糸の撓みや捩れを考慮しなければならない。そのため、緯糸を経糸群の杼口へ挿入する速度は、緯糸の長さに依存する。従って、緯糸の長さが長くなるほど、緯糸を経糸群の杼口へ挿入する速度は低下する。つまり、緯糸の長さが長くなればなるほど、すなわち織物の帯幅が広くなればなるほど、本発明を適用した場合の織物の製造速度と従来の織物製造装置を適用した場合の織物の製造速度との差が拡大する。本発明によれば、織物の帯幅が広くなればなるほど、織物の生産性の向上効果が著しいものとなる。なお、扁平とは、例えば綜絖手段の上下動作方向に対して垂直な方向において平らとなる状態をいう。
(請求項2)また、本発明の織物製造方法は、前記緯入工程の後に、前記杼口に挿入された状態の前記緯入手段を前記織前側挟込手段に対して前記織前側に相対移動させて、前記経糸群のうち前記杼口の前記織前側を形成する部位を前記緯入手段により前記織前側に押すことで、前記杼口の前記織前側の内角を拡大しながら、前記緯入手段により前記緯糸を前記杼口の前記織前側に配置する杼口内角拡大工程と、前記杼口内角拡大工程にて前記杼口の前記織前側に配置された前記緯糸を、前記緯入手段から織前側把持手段へ受け渡す緯糸受渡工程と、前記緯糸受渡工程の後に、前記緯入手段を前記杼口から排出する排出工程と、を備え、前記織込工程は、前記排出工程の後であって、前記緯糸が前記織前側把持手段に把持され、かつ前記杼口の前記織前側に配置された状態で行うようにしてもよい。
ここで、織物を綺麗に製造するためには、経糸群の杼口に挿入された緯糸を当該杼口のうち織前側のクロスポイント(上経糸と下経糸とが交差する位置)にできるだけ寄せる必要がある。開繊糸などのような扁平形状ではない糸により織物を製造する際には、筬により緯糸を杼口の織前側に打ち込むことで、緯糸を杼口の織前側のクロスポイントに寄せることができる。しかしながら、扁平形状の緯糸を用いて織物を製造する場合には、扁平形状の緯糸を筬により打ち込むと、緯糸が折れ曲がったり捩れたりするという問題がある。そうすると、織物を綺麗に製造することができない。仮に、筬を用いずに扁平形状の緯糸を杼口の織前側に配置しようとしても、杼口の織前側の内角は小さく、扁平形状の緯糸を杼口の織前側のクロスポイントに寄せることには限界がある。また、経糸群により形成される杼口を上下に大きく開口させることにより、杼口の織前側の内角を大きくすることができるが、これでは綜絖手段の上下移動量を大きくする必要があり、織物製造装置の大型化を招来してしまう。綜絖手段の上下移動量を大きくすることは、織物の生産性を低下することにもなる。
また、従来、経糸群により形成される杼口において、それぞれの経糸に均一なテンションをかけることは容易ではない。そのため、綜絖手段と織前側のクロスポイントとの間におけるそれぞれの経糸の撓み量は不均一となる。その結果、経糸群の杼口における織前側の内角は、それぞれの経糸によってばらついている。この状態において、筬を用いず、かつ扁平形状の緯糸が折れ曲がったり捩れたりすることなく、緯糸を杼口の織前側のクロスポイントに寄せることは困難である。特に、経糸群を形成する経糸の本数が多いほど、例えば経糸の本数が数百本以上の場合には、この問題は顕著となる。
これに対して、本発明の織物製造方法によれば、緯入手段により経糸群のうち杼口の織前側を形成する部位を織前側に押すことで、杼口の織前側の内角を拡大することができる。そして、杼口の織前側の内角を拡大しながら、緯糸を杼口の織前側に配置する。従って、本発明によれば、筬を用いることなく、かつ、綜絖手段の上下移動量を大きくすることなく、緯糸を経糸群の杼口の織前側のクロスポイントに寄せることができる。これにより、緯糸が折れ曲がったり捩れたりせず、かつ、緯糸間に隙間がない綺麗な織物を製造することができる。特に、経糸の本数が多くなればなるほど効果的である。
(織物製造装置)
(請求項3)また、本発明の織物製造装置は、織り込み途中の状態である扁平帯状の織物の後端側である織前を上下方向から挟み込む織前側挟込手段と、前記織前側挟込手段に対して経糸群の供給側に位置し前記経糸群を上下方向から挟み込む経糸群供給側挟込手段と、前記織前側挟込手段と前記経糸群供給側挟込手段との間に配置され、前記経糸群を上下動させて前記経糸群の杼口を形成する綜絖手段と、前記杼口の外において扁平形状の緯糸を所定長さに切断する緯糸切断手段と、前記緯糸切断手段により切断された前記緯糸の両端側を前記杼口の外において把持し、切断された前記緯糸を把持した状態で前記杼口の内に移動し、前記杼口に前記緯糸を挿入する緯入手段と、を備える。
本発明の織物製造装置によれば、上述した織物製造方法における効果と同一の効果を奏する。すなわち、緯糸を経糸群の杼口に高速で挿入することができ、その結果、織物の製造の高速化を図ることができる。
(請求項4)また、本発明の織物製造装置において、前記緯入手段は、前記杼口に挿入された状態で前記織前側挟込手段に対して前記織前側に相対移動可能であり、前記織前側挟込手段に対して前記織前側に相対移動して前記経糸群のうち前記杼口の前記織前側を形成する部位を前記織前側に押すことで、前記杼口の前記織前側の内角を拡大しながら、前記緯糸を前記杼口の前記織前側に配置し、前記織物製造装置は、前記緯入手段により前記杼口の前記織前側に配置された前記緯糸を、前記緯入手段から受け取る織前側把持手段を備えるようにしてもよい。
これにより、筬を用いることなく、かつ、綜絖手段の上下移動量を大きくすることなく、緯糸を経糸群の杼口の織前側のクロスポイントに寄せることができる。従って、緯糸が折れ曲がったり捩れたりせず、かつ、緯糸間に隙間がない綺麗な織物を製造することができる。なお、上述した織物製造方法の場合と同じく、特に、経糸の本数が多くなればなるほど効果的である。
(請求項5)また、本発明の織物製造装置は、前記緯糸切断手段により切断された前記緯糸の両端側をそれぞれ把持し、前記緯入手段に対して前記緯糸を引き渡す一対のグリッパを有する緯糸把持手段を備え、前記緯入手段は、前記緯糸把持手段から前記緯糸を受け取る際に、前記緯糸把持手段の前記一対のグリッパが把持する前記緯糸の一端側であり前記緯糸把持手段の前記一対のグリッパの対向面側を把持する一端側グリッパと、前記緯糸の他端側であり前記緯糸把持手段の前記一対のグリッパの対向面とは反対の面側に延在した部位を把持する他端側グリッパと、を備えるようにしてもよい。
ここで、経糸群の杼口に挿入される緯糸の有効長さは、緯入手段の一端側グリッパと他端側グリッパの対向する各面間の距離(離間距離)である。そして、切断された緯糸の全長に対して、緯糸の有効長さの割合が高いことが望まれる。つまり、緯糸の歩留まりをできるだけ高くすることが望まれる。本発明の織物製造装置によれば、緯糸把持手段の一対のグリッパの対向する各面間の距離(離間距離)と緯入手段の一端側グリッパと他端側グリッパの離間距離とを同一にすることができる。これは、緯入手段の一端側グリッパが、緯糸把持手段の一対のグリッパの対向面側(内側)で緯糸の一端側を把持し、緯入手段の他端側グリッパが、緯糸把持手段の一対のグリッパの対向面とは反対の面側(外側)で緯糸の他端側を把持することによってなし得たものである。つまり、緯糸把持手段から緯入手段へ緯糸を受け渡す際に、緯糸の有効長さが短くなることを防止できる。従って、緯糸把持手段から緯入手段へ緯糸を受け渡したとしても、緯糸の全長に対する緯糸の有効長さの割合を一定とすることができる。その結果、緯糸の歩留まりが低下することを防止できる。
織物製造装置の平面図である。 経糸群の杼口の側面図であり、経糸群の杼口と緯入装置のグリッパとの位置を示す拡大図である。 経糸群の杼口の側面図であり、経糸群の杼口と緯入装置の杼口内角拡大板との位置を示す拡大図である。
以下、本発明の織物製造方法および織物製造装置を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(織物製造装置)
織物製造装置1について、図1〜図3を参照して説明する。織物製造装置1は、扁平形状の緯糸と経糸とを織り込んだ扁平帯状の織物を製造する装置である。この織物製造装置1は、例えば、炭素繊維束、ガラス繊維束などの強化繊維束を開繊した開繊糸を緯糸および経糸に用いて織り込む開繊糸織物や、開繊糸のような扁平形状の紙などを緯糸および経糸に用いて織り込む紙糸織物の製造に適用される。例えば炭素繊維束を開繊した開繊糸の場合、開繊糸の幅は、数ミリ〜数十ミリ程度、例えば2mmで、厚みは、数ミクロン〜数十ミクロン程度、例えば30μmである。織物製造装置1は、経糸群Bの杼口Sに緯糸Aを挿入する際に、緯糸Aを緯糸ボビン20から引き出し、一旦弛ませるのではなく、予め所定長さに切断した緯糸Aを経糸群Bの杼口Sに挿入する。
織物製造装置1は、図1に示すように、基台10と、緯糸ボビン20と、リコイラー30と、緯糸引出装置40と、緯糸ストック装置50と、緯入装置60と、織込装置70とを備えて構成される。なお、以下の説明において、特に断らない限り、上下左右の方向は、図1に示す上下左右の方向を意味する。図1に示す上下左右は、織物製造装置1の設置床面に設置された状態における織物製造装置1の上下左右を示すものではない。図1を正面視した場合における上下左右を示すものである。基台10は、織物製造装置1の設置床面に設置される。緯糸ボビン20は、織物製造装置1の設置床面に垂直な軸回りに回転可能な状態で、基台10に支持される。この緯糸ボビン20の外周面には、扁平形状の緯糸Aが巻回されている。
リコイラー30は、緯糸ボビン20から緯糸Aを引き出すと共に、引き出した緯糸Aを保持する。このリコイラー30は、複数の固定プーリ31と、複数の可動プーリ32と、カッター33と、グリッパ34とを備える。複数の固定プーリ31は、基台10に固定された複数の水平固定軸のそれぞれに回転可能に支持される。複数の可動プーリ32は、固定プーリ31に対して接近または離間する方向(図1の正面視において前後方向)に移動可能となるように、基台10に設けられた複数の水平可動軸のそれぞれに回転可能に支持される。可動プーリ32は、二つの固定プーリ31の間にそれぞれ配置される。そして、緯糸ボビン20から引き出した緯糸Aが、固定プーリ31および可動プーリ32に掛けられる。
カッター33は、リコイラー30のうち緯糸ボビン20とは反対側の端部に設けられ、緯糸ボビン20から引き出した緯糸Aの端部を切断する。このカッター33は、後述する緯糸引出装置40の第一グリッパ41によって緯糸Aが引き出され、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42によって緯糸Aが把持された後に、緯糸Aを切断する。グリッパ34は、カッター33に近接した位置であって、カッター33よりも固定プーリ31および可動プーリ32側に固定されている。グリッパ34は、カッター33により切断された緯糸Aの端部を把持する。これにより、固定プーリ31および可動プーリ32に掛けられた緯糸Aに撓みや捩れが生じることを抑制できる。ここで、このグリッパ34は、スプリング可動式の摺動部を内蔵するとよい。このような構成によれば、緯糸Aにテンションがかかり、固定プーリ31および可動プーリ32に掛けられた緯糸Aに撓みや捩れが生じることをさらに好適に抑制できる。グリッパ34により緯糸Aの端部を把持した状態において、可動プーリ32が固定プーリ31から離間した位置にある場合には、リコイラー30に保持されている緯糸Aの長さが長くなり、可動プーリ32が固定プーリ31に接近した位置にある場合には、リコイラー30に保持されている緯糸Aの長さが短くなる。
緯糸引出装置40は、リコイラー30により保持されている緯糸Aを引き出す装置である。緯糸引出装置40は、一対のグリッパ41,42(第一グリッパ41と第二グリッパ42)を備える。第一グリッパ41は、緯糸Aの一端部を把持すると共に、リコイラー30のグリッパ34に対して接近または離間する方向に移動可能に設けられる。つまり、緯糸引出装置40の第一グリッパ41は、図1の矢印Y1方向(図1の上下方向)に往復移動可能に設けられる。さらに、第一グリッパ41は、緯糸ストック装置50に対して接近または離間する方向、すなわち、図1の矢印Y2方向(図1の左右方向)に往復移動可能に設けられる。第二グリッパ42は、リコイラー30のグリッパ34に近接した位置に設けられ、第一グリッパ41によって引き出された緯糸Aの他端部を把持する。この第二グリッパ42は、第一グリッパ41がリコイラー30側に移動した際に退避可能となるように、図1の矢印Y3の左方向に移動可能に設けられる。また、第二グリッパ42は、第一グリッパ41と同様に、緯糸ストック装置50に対して接近する方向、すなわち図1の矢印Y3の右方向に移動可能に設けられる。
つまり、緯糸引出装置40は、リコイラー30から緯糸Aを所定長さ引き出し、リコイラー30のカッター33により所定長さに切断された緯糸Aの両端部を第一グリッパ41と第二グリッパ42によって把持する。これにより、第一グリッパ41と第二グリッパ42によって把持された緯糸Aに撓みや捩れが生じることを抑制できる。つまり、所定長さに切断された緯糸Aは、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42によって扁平な状態にて把持される。ここで、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42の少なくとも一方は、スプリング可動式の摺動部を内蔵するとよい。このような構成によれば、緯糸Aにテンションがかかり、第一グリッパ41と第二グリッパ42によって把持された緯糸Aに撓みや捩れが生じることをさらに好適に抑制し、扁平な状態にて把持される。さらに、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42を緯糸ストック装置50側へ移動して、緯糸引出装置40は、緯糸ストック装置50に対して切断した緯糸Aを受け渡す。
緯糸ストック装置50は、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42が把持していた緯糸Aを受け取り、切断された緯糸Aを緯入装置60へ引き渡すと共に、緯入装置60へ引き渡すための緯糸Aをストックしておく。この緯糸ストック装置50は、回転ドラム51と、第一の一対のグリッパ52,53(第一グリッパ52と第二グリッパ53)と、第二の一対のグリッパ54,55(第三グリッパ54と第四グリッパ55)とを備えて構成される。回転ドラム51は、緯糸引出装置40の図1の右側に配置され、基台10に対して図1の上下方向の軸L1回りに回転可能に支持される。第一,第二グリッパ52,53と第三,第四グリッパ54,55は、回転ドラム51の外周面のうち180°位相の異なる位置に配置される。
緯糸ストック装置50の第一,第二グリッパ52,53は、切断された緯糸Aの両端部を把持できる距離だけ離間している。緯糸ストック装置50の第一グリッパ52は、緯糸引出装置40の第一グリッパ41が把持する緯糸Aの一端部であって、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42の対向面側(内側)の部位(第一グリッパ41の左右両側のうち第二グリッパ42側であって、第一グリッパ41に近接した部位)を把持する。一方、緯糸ストック装置50の第二グリッパ53は、緯糸引出装置40の第二グリッパ42が把持する緯糸Aの他端部であって、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42の対向面とは反対の面側(外側)の部位(第二グリッパ42の左右両側のうち第一グリッパ41とは反対側であって、第二グリッパ42に近接した部位)を把持する。これにより、緯糸ストック装置50の第一グリッパ52と第二グリッパ53によって把持された緯糸Aに撓みや捩れが生じることを抑制できる。つまり、所定長さに切断された緯糸Aは、第一,第二グリッパ52,53によって扁平な状態にて把持される。なお、第一グリッパ52と第二グリッパ53の間であって、把持される緯糸Aの両扁平面にそれぞれ近接して対向する位置には、一対の規制板(図略)が扁平状の緯糸Aの厚みに対応した所定の隙間を隔てて設けられている。一対の規制板により、回転ドラム51が回転する際に緯糸Aに撓みや捩れが生じることを防止できる。
ここで、緯糸引出装置40に把持される緯糸Aの他端部の側の部位、つまり、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42の対向面とは反対の面から第二グリッパ42の外側に延在している部位は、第二グリッパ42に把持された状態において、緯糸Aの曲げ剛性に応じて下方に垂れないような長さで切断されている。従って、緯糸ストック装置50の第二グリッパ53は、この緯糸Aの他端部の側の部位を把持することができる。なお、炭素繊維束、ガラス繊維束などの強化繊維束を開繊した開繊糸を緯糸Aに用いた場合には、当該緯糸Aは十分な曲げ剛性を有しているため、緯糸ストック装置50の第二グリッパ53が受け取れるのに必要な緯糸Aの長さであれば、下方に垂れない。
緯糸ストック装置50の第一,第二グリッパ52,53の対向する各面の離間距離と、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42の対向する各面の離間距離を同一とすることにより、上述したように、緯糸引出装置40から緯糸ストック装置50へ緯糸Aを受け渡すことができる。その結果、緯糸引出装置40から緯糸ストック装置50へ緯糸Aを受け渡したとしても、緯糸Aの歩留まりが低下することを防止できる。ここで、緯糸ストック装置50の第一グリッパ52と第二グリッパ53の少なくとも一方は、スプリング可動式の摺動部を内蔵するとよい。これにより、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42と同様に、緯糸Aにテンションがかかり、緯糸Aに撓みや捩れが生じることをさらに好適に抑制し、緯糸Aを扁平な状態にて把持することができる。
また、緯糸ストック装置50の第三,第四グリッパ54,55は、第一,第二グリッパ52,53に対して図1の上下方向の軸L1の軸対称に配置される。図1においては、第一,第二グリッパ52,53が緯糸引出装置40側に位置し、第三,第四グリッパ54,55が緯入装置60側に位置する。そして、回転ドラム51が180°回転すると、第一グリッパ52と第三グリッパ54の位置が逆転し、第二グリッパ53と第四グリッパ55の位置が逆転する。第三,第四グリッパ54,55は、第一,第二グリッパ52,53と同一の構成を有し、この位置、つまり図1で第一,第二グリッパ52,53が図示されている位置において、上述した第一,第二グリッパ52,53による動作と同一の動作を実現する。回転ドラム51が180°回転し、図1で第三,第四グリッパ54,55が図示されている位置に配置された第一,第二グリッパ52,53は、上述したように緯糸Aを把持する。なお、第三グリッパ54と第四グリッパ55の間であって、把持される緯糸Aの両扁平面にそれぞれ近接して対向する位置にも、回転ドラム51が回転する際に緯糸Aに撓みや捩れが生じることを防止するための一対の規制板(図略)が、扁平状の緯糸Aの厚みに対応した所定の隙間を隔てて設けられている。
緯入装置60は、緯糸ストック装置50のうち、緯糸引出装置40とは反対側、すなわち図1の右側に配置される。緯入装置60は、緯糸ストック装置50から切断された緯糸Aを受け取り、緯糸Aを経糸群Bの杼口Sに挿入し、緯糸Aを杼口Sの織前E側に配置する。この緯入装置60は、スライド本体61と、一対のグリッパ62,63(第一グリッパ62と第二グリッパ63)と、杼口内角拡大板64,65とを備えて構成される。スライド本体61は、基台10に対して、図1の矢印Y4の方向(図1の上下方向)、かつ矢印Y5,Y6方向(図1の左右方向)に往復移動可能に設けられる。スライド本体61は、図2および図3に示すように、綜絖装置74,75によって開口形成された経糸群Bの杼口Sに挿入可能となるように設けられる。
第一グリッパ62と第二グリッパ63は、スライド本体61の両端部に設けられ、切断された緯糸Aの両端部を把持できる距離だけ離間している。緯入装置60が緯糸ストック装置50の第三,第四グリッパ54,55から緯糸Aを受け取る場合には、緯入装置60の第一グリッパ62は、緯糸ストック装置50の第三グリッパ54が把持する緯糸Aの一端部であって、緯糸ストック装置50の第三,第四グリッパ54,55の対向面とは反対の面側の部位(第三グリッパ54の左右両側のうち第四グリッパ55と反対側であって、第三グリッパ54に近接した部位)を把持する。一方、緯入装置60の第二グリッパ63は、緯糸ストック装置50の第四グリッパ55が把持する緯糸Aの他端部であって、緯糸ストック装置50の第三,第四グリッパ54,55の対向面側(内側)の部位(第四グリッパ55の左右両側のうち第三グリッパ54側であって、第四グリッパ55に近接した部位)を把持する。これにより、緯入装置60の第一グリッパ62と第二グリッパ63によって把持された緯糸Aに撓みや捩れが生じることを抑制できる。つまり、所定長さに切断された緯糸Aは、第一,第二グリッパ62,63によって扁平な状態にて把持される。
上述したように、回転ドラム51が、図1に示す状態から180°回転し、図1で第三,第四グリッパ54,55が図示されている位置に、第一,第二グリッパ52,53が配置された場合、緯入装置60は、緯糸ストック装置50の第一,第二グリッパ52,53から緯糸Aを受け取る。この場合、上述した説明において、第三グリッパ54は、第一グリッパ52となり、第四グリッパ55は、第二グリッパ53に置き換えられた状態となる。
緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63の対向する面間の離間距離と、緯糸ストック装置50の第一,第二グリッパ52,53の対向する面間の離間距離および緯糸ストック装置50の第三,第四グリッパ54,55の対向する面間の離間距離を同一にすることにより、上述したように、緯糸ストック装置50から緯入装置60へ緯糸Aを受け渡すことができる。その結果、緯糸ストック装置50から緯入装置60へ緯糸Aを受け渡したとしても、緯糸Aの歩留まりが低下することを防止できる。ここで、緯入装置60の第一グリッパ62と第二グリッパ63の少なくとも一方は、スプリング可動式の摺動部を内蔵するとよい。これにより、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42などと同様に、緯糸Aにテンションがかかり、緯糸Aに撓みや捩れが生じることをさらに好適に抑制し、緯糸Aを扁平な状態にて把持される。
図2に示すように、第一グリッパ62は、その先端を構成する一対の部材62a,62bで緯糸Aを把持する。緯糸Aを把持している状態において一対の部材62a,62bの最先端側は、尖る形状(鋭角状)に形成される。また、一対の部材62a,62bを図2の正面視において上下方向に離間することで、緯糸Aの把持状態を開放する。なお、他のグリッパ41〜42,52〜55,63と、後述するグリッパ77,78についても、第一グリッパ62と同様の構成を有し、同様に緯糸Aを把持し、把持状態を開放する。
さらに、第一,第二グリッパ62,63は、スライド本体61に対して図1の上下方向の軸L2回りに回転可能に支持される。つまり、第一,第二グリッパ62,63は、その先端を構成する一対の部材62a,62bが緯糸ストック装置50側に向いた状態とその反対側を向いた状態とに切り替わる。第一,第二グリッパ62,63は、スライド本体61が緯糸ストック装置50に対向する位置にある場合であって、一対の部材62a,62bが緯糸ストック装置50側を向いている場合に、スライド本体61が緯糸ストック装置50に対して接近または離間する方向、すなわち、図1の矢印Y5方向(図1の左右方向)に往復移動することにより、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63が、緯糸ストック装置50から緯糸Aを受け取ることができる。第一,第二グリッパ62,63は、スライド本体61が経糸群Bの杼口Sに挿入されている場合であって、一対の部材62a,62bが経糸群Bの杼口Sの織前E側を向いている場合に(図1の二点鎖線にて示す状態および図2に示す状態)、スライド本体61が経糸群Bの杼口Sの織前E側に対して接近または離間する方向、すなわち、図1の矢印Y6方向(図1の左右方向)に移動することにより、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63が、切断された緯糸Aを経糸群Bの杼口Sの織前E側のクロスポイント(上経糸と下経糸とが交差する位置)に配置することができる。
杼口内角拡大板64,65は、図3に示すように、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63により緯糸Aを経糸群Bの杼口Sの織前E側のクロスポイントに配置しようとする際に、杼口Sの織前E側の内角θを拡大する。この杼口内角拡大板64,65は、図1に示すように、第一グリッパ62と第二グリッパ63との間に設けられ、経糸群Bの全幅と同一または全幅より長い長さを有している。杼口内角拡大板64,65は、例えば図3に示すように、薄板の一辺を折り返して形成され、図3に示す様態において、この折返部64a,65aが先端側となるように、スライド本体61に設けられる。また、杼口内角拡大板64,65は、相互に対向するように設けられる。
さらに、杼口内角拡大板64,65は、第一,第二グリッパ62,63と同様に、スライド本体61に対して回転可能に支持される。つまり、第一,第二グリッパ62,63を構成する一対の部材62a,62bが緯糸ストック装置50側を向いている場合には、杼口内角拡大板64,65の折返部64a,65aも緯糸ストック装置50側を向く。一方、図2に示すように、一対の部材62a,62bが経糸群Bの杼口Sの織前E側を向いている場合には、折返部64a,65aも杼口Sの織前E側を向く。そして、図2に示すように、スライド本体61の移動により、第一,第二グリッパ62,63が杼口Sに挿入されて杼口Sの織前E側へ移動するときには、図3に示すように、これらと同時に、杼口内角拡大板64,65も、杼口Sの織前E側へ移動する。そうすると、杼口内角拡大板64,65、より具体的には、折返部64a,65aは、経糸群Bの上経糸、下経糸のそれぞれを杼口Sの織前E側へ押して、図3において二点鎖線で示す経糸群Bのように、杼口Sの織前E側の内角θを拡大する。織前E側への移動方向において、一対の部材62a,62bは、折返部64a,65aの先端より、織前E側に突出している。
織込装置70は、複数の経糸フープ71と、経糸フープ側挟込体72と、織前側挟込体73と、綜絖装置74,75と、巻取ローラ76と、一対のグリッパ77,78(第一グリッパ77と第二グリッパ78)とを備えて構成される。複数の経糸フープ71(詳細は図略)は、基台10に対して図1の上下方向の軸L3に平行な軸回りに回転可能に支持される。それぞれの経糸フープ71には、扁平形状の経糸が巻回されている。これら複数の経糸を経糸群Bと称する。経糸フープ側挟込体72は、経糸フープ71に対して所定の位置に回転自在に配置され、経糸フープ71から引き出された経糸群Bが圧せられることなく扁平な状態にて通過できるように、織物製造装置1の設置床面に対して鉛直方向(図1の正面視において前後方向)に隙間を形成する。つまり、経糸フープ側挟込体72は、経糸群Bを上下方向から圧接しないように挟み込んでいる。
織前側挟込体73は、織り込み途中の織物の後端側である織前E付近に位置し、織物の後端が圧せられることなく扁平な状態にて通過できるように、織物製造装置1の設置床面に対して鉛直方向(図1の正面視において前後方向)に隙間を形成する。つまり、織前側挟込体73は、織物の後端を上下方向から圧接しないように挟み込んでいる。綜絖装置74,75は、経糸フープ側挟込体72と織前側挟込体73の間に配置され、経糸群Bの一部を上方(図2の正面視において上側)へ移動させ、経糸群Bの残りを下方(図2の正面視において下側)へ移動させて経糸群Bの杼口Sを形成する。また、綜絖装置74,75は、経糸群Bの上下を逆転させて、経糸群Bの上経糸と経糸群Bの下経糸とを逆転させる。巻取ローラ76は、織前側挟込体73を通過した織物を巻き取る。
第一グリッパ77と第二グリッパ78は、織前側挟込体73の両端(図1の上下方向の両端)に設けられ、切断された緯糸Aの両端部を把持できる距離だけ離間している。織込装置70の第一、第二グリッパ77,78は、杼口Sに挿入された緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63から緯糸Aを受け取る。織込装置70の第一グリッパ77は、緯入装置60の第一グリッパ62が把持する緯糸Aの一端部であって、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63の対向面(内側)とは反対の面側(第一グリッパ62の左右両側のうち第二グリッパ63とは反対側であって、第一グリッパ62に近接した部位)を把持する。一方、織込装置70の第二グリッパ78は、緯入装置60の第二グリッパ63が把持する緯糸Aの他端部であって、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63の対向面とは反対の面側(第二グリッパ63の左右両側のうち第二グリッパ63とは反対側であって、第二グリッパ63に近接した部位)を把持する。これにより、織込装置70の第一グリッパ77と第二グリッパ78によって把持された緯糸Aに撓みや捩れが生じることを抑制できる。つまり、所定長さに切断された緯糸Aは、第一,第二グリッパ77,78によって扁平な状態にて把持される。
ここで、織込装置70の第一グリッパ77と第二グリッパ78の少なくとも一方は、スプリング可動式の摺動部を内蔵するとよい。これにより、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42などと同様に、緯糸Aにテンションがかかり、緯糸Aに撓みや捩れが生じることをさらに好適に抑制し、緯糸Aを扁平な状態にて把持される。織込装置70の第一,第二グリッパ77,78は、織前側挟込体73のうち織物の後端側と織前側挟込体73のうち織物の前端側との間を、図1の矢印Y7,Y8方向(図1の左右方向)に往復移動可能に設けられる。
(織物製造方法)
上述した織物製造装置1による織物製造方法について図1〜図3を参照して説明する。まず、リコイラー30により緯糸ボビン20から緯糸Aを引き出し、固定プーリ31および可動プーリ32に緯糸Aをかけた状態とする。このとき、リコイラー30のグリッパ34は、緯糸Aの端部を把持している。続いて、緯糸引出装置40の第一グリッパ41を図1の矢印Y1の上方向へ移動させ、当該第一グリッパ41がリコイラー30のグリッパ34から延在している緯糸Aの端部を把持する。そして、リコイラー30のグリッパ34は緯糸Aの把持を開放する。このとき、緯糸引出装置40の第二グリッパ42は、第一グリッパ41と干渉しないように、図1の矢印Y3の左方向へ退避する。
続いて、緯糸引出装置40の第一グリッパ41を図1の矢印Y1の下方向へ移動させて、緯糸Aをリコイラー30から引き出す。そして、緯糸引出装置40の第二グリッパ42を図1の矢印Y3の右方向へ移動させて当該第二グリッパ42により緯糸Aの他端部を把持する。さらに、リコイラー30のグリッパ34により緯糸Aを把持する。その後、リコイラー30のカッター33により、緯糸引出装置40の第二グリッパ42とリコイラー30のグリッパ34との間の緯糸Aを切断する。続いて、切断された緯糸Aの両端を把持した緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42を、図1の矢印Y2,Y3の右方向、すなわち緯糸ストック装置50側へ移動する。そして、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42から緯糸ストック装置50の第一,第二グリッパ52,53へ、切断した緯糸Aを引き渡す。
続いて、緯糸ストック装置50の回転ドラム51を180°回転させて、緯糸Aを把持している第一,第二グリッパ52,53を緯入装置60側へ向ける。すなわち、図1の状態における第三,第四グリッパ54,55の位置に、緯糸Aを把持している第一,第二グリッパ52,53を移動する。この動作に伴って、緯糸ストック装置50の第三,第四グリッパ54,55が、緯糸引出装置40側を向く。そして、第一,第二グリッパ52,53に対する処理と同様の処理を実行して、緯糸ストック装置50の第三,第四グリッパ54,55に、切断した緯糸Aを把持させる。続いて、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63の先端側を緯糸ストック装置50側へ向けておき、スライド本体61を図1の矢印Y5の左方向へ移動させて、第一,第二グリッパ62,63を緯糸ストック装置50へ接近させる。そして、回転ドラム51の回転に伴い、図1に示す第三,第四グリッパ54,55の位置に配置された、緯糸ストック装置50の第一,第二グリッパ52,53から緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63へ、切断された緯糸Aが受け渡される。そして、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63を180°回転させて、それらの先端を緯糸ストック装置50の反対側に向ける。
このとき、経糸群Bの杼口Sを開口形成しておく。なお、前回の緯糸Aを経糸群Bに織り込んだ際に、織込装置70の綜絖装置74,75を上下動させることにより経糸群Bの杼口Sが開口形成されている。そして、この経糸群Bの杼口Sの内に、緯入装置60のスライド本体61を移動させて、第一,第二グリッパ62,63および杼口内角拡大板64,65を挿入する。そうすると、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63により把持された緯糸Aが、経糸群Bの杼口Sに挿入されることになる。続いて、緯入装置60のスライド本体61を、図1の矢印Y6の右方向、すなわち織込装置70の織前側挟込体73側へ移動させて、第一,第二グリッパ62,63および杼口内角拡大板64,65を織前側挟込体73へ接近させる。そうすると、緯入装置60の杼口内角拡大板64,65、より具体的には、折返部64a,65aにより経糸群Bの杼口Sの織前E側を形成する部位が、織前E側に押され、図3において二点鎖線で示す経糸群Bのように、杼口Sの織前E側の内角θを拡大される。
この状態において、図2に示すように、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63により緯糸Aが杼口Sの織前E側に配置される。これにより、筬を用いることなく、かつ、綜絖装置74,75の上下移動量を大きくすることなく、緯糸Aを経糸群Bの杼口Sの織前E側のクロスポイントに寄せることができる。
続いて、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63から織込装置70の第一,第二グリッパ77,78へ、切断した緯糸Aを受け渡す。この際、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63と、織込装置70の第一,第二グリッパ77,78とにより両端が把持された緯糸Aは、扁平な状態に維持される。なお、上述したように、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63の少なくとも一方と、織込装置70の第一,第二グリッパ77,78の少なくとも一方が、スプリング可動式の摺動部を内蔵する場合、経糸群Bの杼口Sの織前E側のクロスポイントに配置された緯糸Aにテンションをかけることができる。その結果、より好適に、緯糸Aを、扁平な状態を維持して経糸群Bの杼口Sの織前E側に配置することができる。続いて、緯入装置60のスライド本体61、第一,第二グリッパ62,63および杼口内角拡大板64,65は経糸群Bの杼口Sから排出され、再び緯糸ストック装置50から次の緯糸Aを受け取る。
そして、巻取ローラ76を回転させながら、織込装置70の第一,第二グリッパ77,78を織物の進む方向、すなわち、図1の矢印Y7,Y8の右方向へ移動させる。そうすると、緯糸Aは、第一,第二グリッパ77,78によって扁平な状態を維持したまま、織前側挟込体73の隙間の中へ移動する。また、第一,第二グリッパ77,78の移動と同じタイミングで、綜絖装置74,75を上下動させて、経糸群Bの上経糸と下経糸を逆転させて、織り込む。このようにして、緯糸Aが折れ曲がったり捩れたりせず、かつ、緯糸A間に隙間がない綺麗な織物を製造することができる。
以上説明した織物製造装置1によれば、緯糸Aを経糸群Bの杼口Sに挿入する前に、予め所定長さに切断された緯糸Aを緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63により把持しておくことで、緯糸Aを撓みや捩れが抑制され、ほぼ扁平な状態にしておくことができる。そして、緯入装置60が緯糸Aを扁平な状態にて把持したまま、緯糸Aを経糸群Bの杼口Sに高速で挿入(緯入れ)することができる。また、緯糸Aを杼口Sに挿入する際に、従来のように緯糸Aを緯糸ボビン20から一旦弛ませて引っ張ることはない。このことからも、緯糸Aの杼口Sへの挿入を高速化することができ、その結果、織物の製造の高速化を図ることができる。
また、緯入装置60により緯糸Aを経糸群Bの杼口Sへ挿入する速度は、緯糸Aの長さに依存することなく、緯入装置60のスライド本体61の図1の矢印Y4方向への移動速度に依存する。一方、従来の織物製造装置では、緯糸Aを高速で引っ張った際の緯糸Aの撓みや捩れを考慮しなければならない。そのため、緯糸Aを経糸群Bの杼口Sへ挿入する速度は、緯糸Aの長さに依存する。従って、緯糸Aの長さが長くなるほど、緯糸Aを経糸群Bの杼口Sへ挿入する速度は低下する。つまり、緯糸Aの長さが長くなればなるほど、すなわち織物の帯幅が広くなればなるほど、本実施形態の織物製造装置1を適用した場合の織物の製造速度と従来の織物製造装置を適用した場合の織物の製造速度との差が拡大する。本実施形態の織物製造装置1によれば、織物の帯幅が広くなればなるほど、織物の生産性の向上効果が著しいものとなる。
また、緯入装置60の杼口内角拡大板64,65(折返部64a,65a)により経糸群Bのうち杼口Sの織前E側を形成する部位を織前E側に押すことで、杼口Sの織前E側の内角θを拡大することができる。そして、杼口Sの織前E側の内角θを拡大しながら、緯糸Aを杼口Sの織前E側に配置する。従って、筬を用いることなく、かつ、綜絖装置74,75の上下移動量を大きくすることなく、緯糸Aを経糸群Bの杼口Sの織前E側のクロスポイントに寄せることができる。これにより、綺麗な織物を製造することができる。特に、経糸の本数が多くなればなるほど効果的である。
さらに、緯入装置60と緯糸引出装置40とを別々にすることで、緯糸Aを切断する切断処理と、緯糸Aを挿入する緯入処理とを並行して行うことができる。これにより、より高速化を図ることができる。さらに、緯糸ストック装置50が、切断した緯糸Aをストックしておくことで、さらに高速化を図ることができる。すなわち、緯糸引出装置40による緯糸Aの切断処理に要する時間が、緯入装置60による緯糸Aの緯入処理に要する時間に対して長いとしても、緯入装置60による緯糸Aの緯入処理を停止することなく連続して行うことができる。
また、緯糸ストック装置50の第一,第二グリッパ52,53の一方は、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42の内側に位置する緯糸Aを把持し、他方は、緯糸引出装置40の第一,第二グリッパ41,42の外側に延在する緯糸Aを把持する。また、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63の一方は、緯糸ストック装置50の第三,第四グリッパ54,55(図1の状態から回転ドラム51が180°回転した場合、第一,第二グリッパ52,53。以下、同じ)の内側に位置する緯糸Aを把持し、他方は、緯糸ストック装置50の第三,第四グリッパ54,55の外側に延在する緯糸Aを把持する。これにより、緯糸Aを、緯糸引出装置40から緯糸ストック装置50へ、さらには緯糸ストック装置50から緯入装置60へ受け渡したとしても、緯糸Aの全長に対する緯糸Aの有効長さの割合を一定とすることができる。つまり、予め切断した緯糸Aに対して、緯糸Aの有効長さに相当する部分以外を少なくすることができる。その結果、緯糸Aの歩留まりが低下することを防止できる。ここで、緯糸Aの有効長さとは、経糸群Bに織り込まれる緯糸Aの長さ、すなわち経糸群Bの幅に相当する。本実施形態において、緯糸Aを緯入装置60により経糸群Bの杼口Sに配置する際に、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63が経糸群Bの幅方向両外側に位置する。従って、緯糸Aの有効長さの最大値は、第一,第二グリッパ62,63の対向する各面の離間距離となる。
なお、上記実施形態において、緯入装置60の杼口内角拡大板64,65を有しない構成としたとしても、上述した高速化を図ることができる。ただし、緯糸Aを杼口Sの織前E側のクロスポイントに寄せるためには、杼口内角拡大板64,65を有することが好ましい。また、緯糸ストック装置50には二対のグリッパ52,53,54,55を設けたが、サイクルタイムに合わせてグリッパの数を適宜増減させるとよい。また、各グリッパにより緯糸Aの受け渡しの際に、移動させるグリッパと固定させているグリッパは、逆転させてもよい。つまり、両者が相対移動すればよい。例えば、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63から織込装置70の第一,第二グリッパ77,78へ緯糸Aを受け渡す際に、緯入装置60の第一,第二グリッパ62,63を固定しておき、織込装置70の第一,第二グリッパ77,78を移動するようにしてもよい。また、織込装置70において、緯糸Aを織前側挟込体73の隙間の中へ移動させる際に、織前側挟込体73を固定しておき、第一,第二グリッパ77,78を織物の進む方向に移動させることとしたが、織前側挟込体73と第一,第二グリッパ77,78とが相対移動するようにすればよい。例えば、第一,第二グリッパ77,78を固定し、織前側挟込体73を第一,第二グリッパ77,78に対して図1の矢印Y7,Y8方向へ移動させるようにしてもよい。また、グリッパ34,41,42,52,53,62,63,77,78の全てまたは一部にはスプリング可動式の摺動部を内蔵したが、緯糸Aにテンションをかけることができる構成であればこれに限定されるものではない。例えば、スプリング可動式の摺動部をエアシリンダなどに置換してもよい。
1:織物製造装置
10:基台、 20:緯糸ボビン
30:リコイラー、 31:固定プーリ、 32:可動プーリ
33:カッター、 34:グリッパ
40:緯糸引出装置、 41,42:第一,第二グリッパ
50:緯糸ストック装置、 51:回転ドラム
52,53:第一,第二グリッパ、 54,55:第三,第四グリッパ
60:緯入装置、 61:スライド本体
62,63:第一,第二グリッパ、 64,65:杼口内角拡大板
70:織込装置、 71:経糸フープ、 72:経糸フープ側挟込体
73:織前側挟込体、 74,75:綜絖装置、 76:巻取ローラ
77,78:第一,第二グリッパ
A:緯糸、 B:経糸群、 S:杼口、 E:織前

Claims (5)

  1. 織り込み途中の状態である扁平帯状の織物の後端側である織前を上下方向から挟み込む織前側挟込手段と前記織前側挟込手段に対して経糸群の供給側に位置し前記経糸群を上下方向から挟み込む経糸群供給側挟込手段との間に配置された綜絖手段を上下動させて前記経糸群の杼口を形成する杼口形成工程と、
    前記綜絖手段の上下動により形成された前記杼口の外において、扁平形状の緯糸を所定長さに切断する緯糸切断工程と、
    前記緯糸切断工程により切断された前記緯糸の両端側を緯入手段により把持し、前記緯入手段を前記杼口の内に移動させて、前記杼口に前記緯糸を挿入する緯入工程と、
    前記杼口に前記緯糸を挿入した後に、前記綜絖手段により前記経糸群を上下動させて前記緯糸を織り込む織込工程と、を備えることを特徴とする織物製造方法。
  2. 前記緯入工程の後に、前記杼口に挿入された状態の前記緯入手段を前記織前側挟込手段に対して前記織前側に相対移動させて、前記経糸群のうち前記杼口の前記織前側を形成する部位を前記緯入手段により前記織前側に押すことで、前記杼口の前記織前側の内角を拡大しながら、前記緯入手段により前記緯糸を前記杼口の前記織前側に配置する杼口内角拡大工程と、
    前記杼口内角拡大工程にて前記杼口の前記織前側に配置された前記緯糸を、前記緯入手段から織前側把持手段へ受け渡す緯糸受渡工程と、
    前記緯糸受渡工程の後に、前記緯入手段を前記杼口から排出する排出工程と、を備え、
    前記織込工程は、前記排出工程の後であって、前記緯糸が前記織前側把持手段に把持され、かつ前記杼口の前記織前側に配置された状態で行う請求項1に記載の織物製造方法。
  3. 織り込み途中の状態である扁平帯状の織物の後端側である織前を上下方向から挟み込む織前側挟込手段と、
    前記織前側挟込手段に対して経糸群の供給側に位置し前記経糸群を上下方向から挟み込む経糸群供給側挟込手段と、
    前記織前側挟込手段と前記経糸群供給側挟込手段との間に配置され、前記経糸群を上下動させて前記経糸群の杼口を形成する綜絖手段と、
    前記杼口の外において扁平形状の緯糸を所定長さに切断する緯糸切断手段と、
    前記緯糸切断手段により切断された前記緯糸の両端側を前記杼口の外において把持し、切断された前記緯糸を把持した状態で前記杼口の内に移動し、前記杼口に前記緯糸を挿入する緯入手段と、を備えることを特徴とする織物製造装置。
  4. 前記緯入手段は、前記杼口に挿入された状態で前記織前側挟込手段に対して前記織前側に相対移動可能であり、前記織前側挟込手段に対して前記織前側に相対移動して前記経糸群のうち前記杼口の前記織前側を形成する部位を前記織前側に押すことで、前記杼口の前記織前側の内角を拡大しながら、前記緯糸を前記杼口の前記織前側に配置し、
    前記織物製造装置は、前記緯入手段により前記杼口の前記織前側に配置された前記緯糸を、前記緯入手段から受け取る織前側把持手段を備える請求項3に記載の織物製造装置。
  5. 前記織物製造装置は、前記緯糸切断手段により切断された前記緯糸の両端側をそれぞれ把持し、前記緯入手段に対して前記緯糸を引き渡す一対のグリッパを有する緯糸把持手段を備え、
    前記緯入手段は、前記緯糸把持手段から前記緯糸を受け取る際に、前記緯糸把持手段の前記一対のグリッパが把持する前記緯糸の一端側であり前記緯糸把持手段の前記一対のグリッパの対向面側を把持する一端側グリッパと、前記緯糸の他端側であり前記緯糸把持手段の前記一対のグリッパの対向面とは反対の面側に延在した部位を把持する他端側グリッパと、を備える請求項3または4に記載の織物製造装置。
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