JP2011219500A - ムスカリンレセプターアンタゴニストとしての有用なビフェニル化合物 - Google Patents

ムスカリンレセプターアンタゴニストとしての有用なビフェニル化合物 Download PDF

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JP2011219500A
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ヨンチー ムー
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リー リー
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Abstract

【課題】効力が高く、吸入により投与したときの全身性副作用を少なくした新しいムスカリンレセプターアンタゴニストの提供。
【解決手段】本発明は、式(I)の化合物を提供する:ここで、a、b、c、d、m、n、p、s、t、W、Ar、R、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書中で定義したとおりである。この式(I)の化合物は、ムスカリンレセプターアンタゴニストである。本発明はまた、このような化合物を含有する薬学的組成物、このような化合物を調製する方法および中間体、およびこのような化合物を使用して肺障害を治療する方法を提供する。
Figure 2011219500

【選択図】なし

Description

(発明の分野)
本発明は、ムスカリンレセプターアンタゴニスト活性または抗コリン作用活性を有する新規ビフェニル化合物に関する。本発明はまた、このようなビフェニル化合物を含有する薬学的組成物、このようなビフェニル化合物を調製するためのプロセスおよび中間体ならびにこのようなビフェニル化合物を使用して肺障害を処置する方法に関する。
(当該技術の状況)
肺障害または呼吸器障害(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息)は、世界中で、無数の人々を苦しめており、このような障害は、罹患率および死亡率の主な原因である。
ムスカリンレセプターアンタゴニストは、気管支保護効果を与えることが知られており、従って、このような化合物は、呼吸器障害(例えば、COPDおよび喘息)を処置するのに有用である。ムスカリンレセプターアンタゴニストは、このような障害を処置するのに使用される場合、代表的には、吸入により、投与される。しかし、吸入により投与したときでさえ、相当量のムスカリンレセプターアンタゴニストは、しばしば、体循環に吸収されて、全身性副作用(例えば、口渇、散瞳および心血管副作用)を生じる。
さらに、吸入されたムスカリンレセプターアンタゴニストの多くは、作用の持続時間が比較的に短く、1日あたり数回投与する必要がある。このような複数回を毎日投薬するレジメンは、不便であるだけでなく、必要とする頻繁な投薬スケジュールに患者が従わないことが原因で不十分な処置となるリスクが著しい。
従って、新しいムスカリンレセプターアンタゴニストに対する必要性が存在する。特に、効力が高く、吸入により投与したときの全身性副作用を少なくした新しいムスカリンレセプターアンタゴニストに対する必要性が存在する。さらに、作用持続時間が長く、それにより、1日1回または1週間に1回の投薬が可能である吸入されるムスカリンレセプターアンタゴニストが必要とされている。このような化合物は、副作用(例えば、口渇および便秘)をなくすか少なくしつつ、肺障害(例えば、COPDおよび喘息)を処置するのに特に有効であると予想されている。
(発明の要旨)
本発明は、ムスカリンレセプターアンタゴニスト活性または抗コリン作用活性を有する新規ビフェニル化合物を提供する。他の特性のうち、本発明の化合物は、吸入により投与したとき、効力が高く全身性副作用が低いうえに作用持続時間が長いことが発見されている。
従って、その組成物局面の1つでは、本発明は、式I:
Figure 2011219500
の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を提供し、
ここで:
aは、0または1〜5の整数である;
各Rは、別個に、(1〜4C)アルキル、(2〜4C)アルケニル、(2〜4C)アルキニル、(3〜6C)シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR1a、−C(O)OR1b、−SR1c、−S(O)R1d、−S(O)1e、−NR1f1g、−NR1hS(O)1iおよび−NR1jC(O)R1kから選択される;ここで、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1f、R1g、R1h、R1i、R1jおよびR1kの各々は、別個に、水素、(1〜4C)アルキルまたはフェニル(1〜4C)アルキルである;
bは、0または1〜4の整数である;
各Rは、別個に、(1〜4C)アルキル、(2〜4C)アルケニル、(2〜4C)アルキニル、(3〜6C)シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR2a、−C(O)OR2b、−SR2c、−S(O)R2d、−S(O)2e、−NR2f2g、−NR2hS(O)2iおよび−NR2jC(O)R2kから選択される;ここで、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g、R2h、R2i、R2jおよびR2kの各々は、別個に、水素、(1〜4C)アルキルまたはフェニル(1〜4C)アルキルである;
Wは、OまたはNWを表わし、ここで、Wは、水素または(1〜4C)アルキルである;
cは、0または1〜5の整数である;
各Rは、別個に、(1〜4C)アルキルを表わすか、または2個のR基は、結合して、(1〜3C)アルキレン、(2〜3C)アルケニレンまたはオキシラン−2,3−ジイルを形成する;
mは、0または1である;
は、水素、(1〜4C)アルキルおよび(3〜4C)シクロアルキルから選択される;
sは、0、1または2である;
Arは、フェニレン基または(3〜5C)ヘテロアリーレン基を表わし、該(3〜5C)ヘテロアリーレン基は、1個または2個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、別個に、酸素、窒素または硫黄から選択される;ここで、該フェニレンまたはヘテロアリーレン基は、(Rで置換されており、ここで、qは、0、または1〜4の整数であり、そして各Rは、別個に、ハロ、ヒドロキシ、(1〜4C)アルキルまたは(1〜4C)アルコキシから選択される;
tは、0、1または2である;
nは、0または1〜3の整数である;
dは、0または1〜4の整数である;
各Rは、別個に、フルオロまたは(1〜4C)アルキルを表わす;
pは、0または1である;そして
およびRは、別個に、水素または(1〜4C)アルキルである;
ここで、R、R1a−1k、R、R2a−2k、R、R、R、RおよびR中の各アルキル基およびアルコキシ基は、必要に応じて、1個〜5個のフルオロ置換基で置換されている。
その組成物局面の別のものでは、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアと式Iの化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体の治療有効量とを含有する薬学的組成物に関する。このような薬学的組成物は、必要に応じて、他の治療薬を含有し得る。従って、1実施形態では、本発明は、このような薬学的組成物に関し、ここで、該組成物は、さらに、治療有効量のステロイド性抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド);βアドレナリンレセプターアゴニスト;ホスホジエステラーゼ−4インヒビター;またはそれらの組み合わせを含有する。
本発明の化合物は、ムスカリンレセプターアンタゴニスト活性を有する。従って、式Iの化合物は、肺障害(例えば、慢性閉塞性肺疾患および喘息)を処置するのに有用であると予想されている。
従って、その方法局面の1つでは、本発明は、肺障害を処置するための方法に関し、該方法は、患者に、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体の治療有効量を投与する工程を包含する。
さらに、その方法局面の他のものでは、本発明は、患者における気管支拡張を与える方法に関し、該方法は、患者に、式Iの化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体の気管支拡張発生量を投与する工程を包含する。
本発明はまた、慢性閉塞性肺疾患または喘息を処置する方法に関し、該方法は、患者に、式Iの化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体の治療有効量を投与する工程を包含する。
その方法局面の別のものでは、本発明は、哺乳動物におけるムスカリンレセプターをアンタゴナイズするための方法に関し、該方法は、該哺乳動物に、式Iの化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
本発明の化合物は、ムスカリンレセプターアンタゴニスト活性を有するので、このような化合物はまた、研究手段として有用である。従って、その方法局面のさらに別のものでは、本発明は、生体系または試料を研究するため、またはムスカリンレセプターアンタゴニスト活性を有する新規化学化合物を発見するための研究手段として、式Iの化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を使用するための方法に関する。
本発明はまた、式Iの化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を調製するためのプロセスおよび新規中間体に関する。従って、その方法局面の別のものでは、本発明は、式Iの化合物を調製するプロセスに関し、該プロセスは、以下:
(a)式IIの化合物と式IIIの化合物とを反応させる工程;または
(b)式IVの化合物と式Vの化合物とをカップリングする工程;または
(c)式VIの化合物と式VIIの化合物とを反応させる工程;または
(d)還元剤の存在下にて、式IIの化合物と式VIIIの化合物とを反応させる工程;または
(e)還元剤の存在下にて、式IXの化合物と式VIIの化合物とを反応させる工程;または
(f)式XVIIIの化合物と式XIXの化合物とを反応させる工程;次いで、必要な場合、任意の保護基を除去して、式Iの化合物を提供する工程を包含し;ここで、式I〜IX、XVIIIおよびXIXの化合物は、本明細書中で定義したとおりである。
1実施形態では、上記方法は、さらに、式Iの化合物の薬学的に受容可能な塩を形成する工程を包含する。他の実施形態では、本発明は、本明細書中で記述した他のプロセスに関し、また、本明細書中で記述したプロセスのいずれかにより調製された生成物に関する。
本発明はまた、治療に使用するか医薬として使用するための式Iの化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体に関する。
さらに、本発明は、医薬(特に、肺障害を処置するための医薬または哺乳動物におけるムスカリンレセプターをアンタゴナイズする医薬)を製造するための式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体の使用に関する。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iの化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体:
Figure 2011219500

ここで:
aは、0または1〜5の整数である;
各R は、別個に、(1〜4C)アルキル、(2〜4C)アルケニル、(2〜4C)アルキニル、(3〜6C)シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR 1a 、−C(O)OR 1b 、−SR 1c 、−S(O)R 1d 、−S(O) 1e 、−NR 1f 1g 、−NR 1h S(O) 1i および−NR 1j C(O)R 1k から選択される;ここで、R 1a 、R 1b 、R 1c 、R 1d 、R 1e 、R 1f 、R 1g 、R 1h 、R 1i 、R 1j およびR 1k の各々は、別個に、水素、(1〜4C)アルキルまたはフェニル(1〜4C)アルキルである;
bは、0または1〜4の整数である;
各R は、別個に、(1〜4C)アルキル、(2〜4C)アルケニル、(2〜4C)アルキニル、(3〜6C)シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR 2a 、−C(O)OR 2b 、−SR 2c 、−S(O)R 2d 、−S(O) 2e 、−NR 2f 2g 、−NR 2h S(O) 2i および−NR 2j C(O)R 2k から選択される;ここで、R 2a 、R 2b 、R 2c 、R 2d 、R 2e 、R 2f 、R 2g 、R 2h 、R 2i 、R 2j およびR 2k の各々は、別個に、水素、(1〜4C)アルキルまたはフェニル(1〜4C)アルキルである;
Wは、OまたはNW を表わし、ここで、W は、水素または(1〜4C)アルキルである;
cは、0または1〜5の整数である;
各R は、別個に、(1〜4C)アルキルを表わすか、または2個のR 基は、結合して、(1〜3C)アルキレン、(2〜3C)アルケニレンまたはオキシラン−2,3−ジイルを形成する;
mは、0または1である;
は、水素、(1〜4C)アルキルおよび(3〜4C)シクロアルキルから選択される;
sは、0、1または2である;
Ar は、フェニレン基または(3〜5C)ヘテロアリーレン基を表わし、該(3〜5C)ヘテロアリーレン基は、1個または2個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、別個に、酸素、窒素または硫黄から選択される;ここで、該フェニレンまたはヘテロアリーレン基は、(R で置換されており、ここで、qは、0、または1〜4の整数であり、そして各R は、別個に、ハロ、ヒドロキシ、(1〜4C)アルキルまたは(1〜4C)アルコキシから選択される;
tは、0、1または2である;
nは、0または1〜3の整数である;
dは、0または1〜4の整数である;
各R は、別個に、フルオロまたは(1〜4C)アルキルを表わす;
pは、0または1である;そして
およびR は、別個に、水素または(1〜4C)アルキルである;
ここで、R 、R 1a−1k 、R 、R 2a−2k 、R 、R 、R 、R およびR 中の各アルキル基およびアルコキシ基は、必要に応じて、1個〜5個のフルオロ置換基で置換されている、
化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体。
(項目2)
a、bおよびcがそれぞれ0を表わす、項目1に記載の化合物。
(項目3)
WがOを表わす、項目1に記載の化合物。
(項目4)
mが0であり、sが0であり、そしてtが1である、項目1に記載の化合物。
(項目5)
前記−CONR 基が、パラ位にあり、dが0であり、そしてnが2である、項目1に記載の化合物。
(項目6)
Ar が、フェン−1,3−イレン、フェン−1,4−イレン、2,4−チエニレンまたは2,5−チエニレンを表わす;ここで、該フェニレンまたはチエニレン基が、必要に応じて、1個または2個のR 置換基で置換されている、項目1に記載の化合物。
(項目7)
Ar が、フェン−1,4−イレンまたは2,4−チエニレンを表わし、該フェン−1,4−イレンまたは2,4−チエニレンが、必要に応じて、1個または2個のR 置換基で置換されている、項目6に記載の化合物。
(項目8)
が、水素、メチルおよびエチルから選択される、項目1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
(項目9)
が、水素、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルから選択される;そしてR が水素である、項目1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
(項目10)
およびR が、エチルである、項目1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
(項目11)
a、bおよびcがそれぞれ0を表わす;WがOを表わす;mが0である;sが0である;tが1である;Ar がフェン−1,4−イレンを表わし、該フェン−1,4−イレンが、必要に応じて、1個または2個のR 置換基で置換されている;dが0である;nが2であり、前記−CONR 基が、パラ位にある;そしてR が水素である、、項目1に記載の化合物。
(項目12)
が、別個に、ハロ、(1〜4C)アルキルまたは(1〜4C)アルコキシから選択され、ここで、各アルキル基およびアルコキシ基が、必要に応じて、1個〜3個のフルオロ置換基で置換されている、項目11に記載の化合物。
(項目13)
以下から選択される、項目1に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物:
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]エチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{メチル−[4−(4−メチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−エチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{メチル−[4−(4−プロピルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−イソプロピルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−{2−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[2,5−ジブロモ−4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−{2−[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(3−(S)−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[4−(2−カルバモイル−ピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイル−ピペリジン−1−イルメチル)−2−メトキシベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−1H−ピロール−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−1H−ピロール−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−ジエチルカルバモイル−ピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]−アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−[2−({3−[4−(3−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニル}メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−[2−({3−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニル}メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{3−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{3−[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{3−[4−(3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−{2−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−クロロ−ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−クロロ−5−メトキシベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;および
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−[2−({2−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]アセチル}メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イルエステル。
(項目14)
以下から選択される、項目13に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物:ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。
(項目15)
薬学的に受容可能なキャリアと、項目1〜14のいずれか1項に記載の化合物の治療有効量とを含有する、薬学的組成物。
(項目16)
前記組成物が、さらに、β アドレナリン作用性レセプターアゴニスト、ステロイド性抗炎症薬、ホスホジエステラーゼ−4インヒビター、およびそれらの組み合わせから選択される薬剤の治療有効量を含有する、項目15に記載の薬学的組成物。
(項目17)
前記組成物が、β アドレナリン作用性レセプターアゴニストおよびステロイド性抗炎症薬の治療有効量を含有する、項目16に記載の薬学的組成物。
(項目18)
項目1〜14のいずれか1項に記載の化合物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、以下:
(a)式IIの化合物:
Figure 2011219500

またはそれらの塩と、式IIIの化合物:
Figure 2011219500

とを反応させる工程であって、ここで、Z は、脱離基を表わす、工程;または
(b)式IVの化合物:
Figure 2011219500

を、式Vの化合物:
Figure 2011219500

またはそれらの反応性誘導体とカップリングする工程;または
(c)式VIの化合物:
Figure 2011219500

であって、ここで、Z は、脱離基を表わす化合物と;式VIIの化合物:
Figure 2011219500

とを反応させる工程;または
(d)還元剤の存在下にて、式IIの化合物と式VIIIの化合物:
Figure 2011219500

とを反応させる、工程;または
(e)還元剤の存在下にて、式IXの化合物:
Figure 2011219500

と式VIIの化合物とを反応させる工程;または
(f)式XVIIIの化合物と、式XIXの化合物:
Figure 2011219500

Figure 2011219500
とを反応させて、式Iの化合物を得る工程であって、ここで、R’は、H、−CH または−CH CH である、工程:
を包含する、プロセス。
(項目19)
前記プロセスが、さらに、式Iの化合物の薬学的に受容可能な塩を形成する工程を包含する、項目18に記載のプロセス。
(項目20)
項目18または19に記載のプロセスにより調製される、生成物。
(項目21)
ムスカリンレセプターを含む生体系または試料を研究する方法であって、該方法は、以下:(a)該生体系または試料を項目1〜14のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程;および(b)該生体系または試料に対して該化合物により引き起こされる効果を決定する工程、を包含する、方法。
(項目22)
治療において使用するため、または医薬として使用するための項目1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
(項目23)
肺障害を処置するための項目1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
(項目24)
哺乳動物におけるムスカリンレセプターをアンタゴナイズするための項目1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
(項目25)
項目1〜14のいずれか1項に記載の化合物を含有する医薬。
(項目26)
医薬を製造するための項目1〜14のいずれか1項に記載の化合物の使用。
(項目27)
前記医薬が、肺障害の処置のためのものである、項目26に記載の使用。
(項目28)
前記医薬が、哺乳動物におけるムスカリンレセプターをアンタゴナイズするためのものである、項目26に記載の使用。
(発明の詳細な説明)
その組成物局面の1つでは、本発明は、式Iの新規ビフェニル化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体に関する。これらの化合物は、1個またはそれ以上のキラル中心を含み得、従って、本発明は、特に明記しない限り、ラセミ混合物;純粋立体異性体(すなわち、鏡像異性体またはジアステレオマー);立体異性体に富んだ混合物などに関する。本明細書中で特定の立体異性体が示されるか命名されている場合、特に明記しない限り、当業者は、本発明の組成物中にて少量の他の立体異性体が存在し得ることを理解するが、但し、この組成物の全体としての所望の有用性は、このような他の異性体の存在によってなくなるものではない。
式Iの化合物はまた、数個の塩基性基(例えば、アミノ基)を含有し、従って、式Iの化合物は、遊離塩基または種々の塩形状で存在し得る。このような塩の全ての形状は、本発明の範囲内に含まれる。さらに、本発明の範囲内には、式Iの化合物の溶媒和物またはそれらの塩も含まれる。
さらに、適用可能な場合、式Iの化合物の全てのシス−トランスまたはE/Z異性体(幾何異性体)、互変異性形状およびトポ異性体形状は、特に明記しない限り、本発明の範囲内に含まれる。
式Iの化合物だけでなく、その合成において使用される化合物はまた、同位体で標識された化合物(すなわち、この場合、1個またはそれ以上の原子は、天然に主として見出される原子量とは異なる原子量を有する原子に富んでいる)を含み得る。式(I)の化合物に取り込まれ得る同位元素の例には、H、H、13C、14C、15N、18Oおよび17Oが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の化合物を命名するのに本明細書中で使用される命名法は、本明細書中の実施例で例示されている。この命名法は、市販のAutoNomソフトウェア(MDL,San
Leandro,California)を使用して誘導される。例えば、WがOである式Iの化合物は、典型的には、ビフェニル−2−イルカルバミン酸のエステル誘導体と命名されている。
(代表的な実施形態)
以下の置換基および値は、本発明の種々の局面および実施形態の代表的な例を提供することを目的としている。これらの代表的な値は、このような局面および実施形態をさらに規定し説明することを目的とし、他の実施形態を除外したり本発明の範囲を限定する意図はない。このことに関して、特定の値または置換基が好ましいという表現は、特に明記しない限り、決して、他の値または置換基を本発明から除外する意図はない。
aの値は、0、1、2、3、4または5である;特に、0、1または2であり、さらに特定すると、0または1である。bの値は、0、1、2、3、または4である;特に、0、1または2であり、さらに特定すると、0または1である。1実施形態では、aおよびbの両方は、0である。
各Rは、存在するとき、それが結合するフェニル環の2、3、4、5または6位にあり得る。各Rは、別個に、(1〜4C)アルキル、(2〜4C)アルケニル、(2〜4C)アルキニル、(3〜6C)シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR1a、−C(O)OR1b、−SR1c、−S(O)R1d、−S(O)1e、−NR1f1g、−NR1hS(O)1iおよび−NR1jC(O)R1kから選択され、それらの例には、メチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノなどが挙げられる。Rの特定の例は、フルオロまたはクロロである。
各Rは、存在するとき、それが結合するフェニレン環の3、4、5または6位にあり得る(この場合、窒素原子に結合されたフェニレン環上の炭素原子は、1位である)。各Rは、別個に、(1〜4C)アルキル、(2〜4C)アルケニル、(2〜4C)アルキニル、(3〜6C)シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR2a、−C(O)OR2b、−SR2c、−S(O)R2d、−S(O)2e、−NR2f2g、−NR2hS(O)2iおよび−NR2jC(O)R2kから選択され、それらの例には、メチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノなどが挙げられる。Rの特定の例は、フルオロまたはクロロである。
各R1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1f、R1g、R1h、R1i、R1j、およびR1kならびにR2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g、R2h、R2i、R2j、およびR2kは、それぞれ、RおよびRにおいて使用されるとき、別個に、水素、(1〜4C)アルキルまたはフェニル(1〜4C)アルキルであり、それらの例には、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルまたはベンジルが挙げられる。1実施形態では、これらの基は、別個に、水素または(1〜3C)アルキルである。別の実施形態では、これらの基は、別個に、水素、メチルまたはエチルである。それに加えて、R、R1a−1k、RおよびR2a−2kの各アルキル基およびアルコキシ基は、必要に応じて、1個〜5個のフルオロ置換基で置換されている。
本発明の1実施形態では、Wは、Oである。別の実施形態では、Wは、NWである。一般に、WがOを表わす化合物は、ムスカリンレセプターに対して特に高い親和性を示すことが発見されている。従って、本発明の特定の実施形態では、Wは、Oを表わす。
WがNWである場合、Wは、水素または(1〜4C)アルキルであり、それらの例には、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。1実施形態では、Wは、水素または(1〜3C)アルキルである。他の実施形態では、Wは、水素、メチルまたはエチルであり、特に、水素またはメチルである。さらに別の実施形態では、Wは、水素であり、そしてNWは、NHである。
cの値は、0、1、2、3、4または5である;特に、0、1または2である;さらに特定すると、0または1である。特定の1実施形態では、cは、0である。他の実施形態では、cは、2である。
各Rは、別個に、(1〜4C)アルキルを表わすか、または2個のR基は、結合して、(1〜3C)アルキレン、(2〜3C)アルケニレンまたはオキシラン−2,3−ジイルを形成する。1実施形態では、各Rは、別個に、(1〜4C)アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル)である。それに加えて、R中の各アルキル基は、必要に応じて、1個〜5個のフルオロ置換基で置換されている。1実施形態では、各Rは、別個に、(1〜3C)アルキルであり、別の実施形態では、各Rは、別個に、メチルまたはエチルである。
1実施形態では、各Rは、ピペリジン環の3、4または5位にある(この場合、このピペリジン環の窒素原子は、1位にある)。特定の実施形態では、Rは、ピペリジン環の4位にある。別の実施形態では、Rは、ピペリジン環の1位、すなわち、ピペリジン環の窒素原子にあり、それゆえ、四級アミン塩を形成する。
さらに別の実施形態では、2個のR基は、結合して、(1〜3C)アルキレン基または(2〜3C)アルケニレン基を形成する。例えば、ピペリジン環の2位および6位にある2個のR基は、結合して、エチレン架橋を形成し得る(すなわち、このピペリジン環とR基とは、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン環を形成する);またはピペリジン環の1位および4位にある2個のR基は、結合して、エチレン架橋を形成し得る(すなわち、このピペリジン環とR基とは、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン環を形成する)。この実施形態では、本明細書中で定義したような他のR基もまた、存在し得る。
さらに別の実施形態では、2個のR基は、結合して、オキシラン−2,3−ジイル基を形成する。例えば、ピペリジン環の2位および6位にある2個のR基は、結合して、3−オキサトリシクロ[3.3.1.02、4]ノナン環を形成する。この実施形態では、本明細書中で定義したような他のR基もまた、存在し得る。
mの値は、0または1である。1実施形態では、mは、0である。
は、水素、(1〜4C)アルキルまたは(3〜4C)シクロアルキルを表わす。(1〜4C)アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。(3〜4C)シクロアルキル基の例には、シクロプロピルおよびシクロブチルが挙げられる。1実施形態では、Rは、水素または(1〜3C)アルキル、特に水素、メチルまたはエチルを表わす。他の実施形態では、Rは、水素である。
sの値は、0、1または2である。sの特定の値は、0または1である。1実施形態では、sは、0である。他の実施形態では、sは、2である。
Arは、フェニレン基または(3〜5C)ヘテロアリーレン基であり、該(3〜5C)ヘテロアリーレン基は、1個または2個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、別個に、酸素、窒素または硫黄から選択される。該フェニレンまたはヘテロアリーレン基は、非置換(qは、0である)であり得るか、または1個、2個、3個または4個(qは、1、2、3または4である)のR置換基で置換されており、これらは、別個に、ハロ、ヒドロキシ、(1〜4C)アルキルまたは(1〜4C)アルコキシから選択される。それに加えて、R中の各アルキルおよびアルコキシ基は、必要に応じて、1個〜5個のフルオロ置換基で置換されている。qの値は、0、1、2、3または4であり、特に、0、1、2または3である。1実施形態では、qは、0、1または2である。Arに対する結合点は、任意の利用可能な炭素またはヘテロ原子の環原子にある。特定の実施形態では、Arは、メタ位置またはパラ位置で結合されたフェニレン基である。
1実施形態では、Arは、フェン−1,3−イレンまたはフェン−1,4−イレンであり、ここで、そのフェニレン基は、非置換であるか、または1個、2個または3個のR置換基で置換されている。代表的なR置換基には、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルおよびトリフルオロメトキシが挙げられる。この実施形態では、Ar基の特定の例には、2−フルオロフェン−1,4−イレン、3−フルオロフェン−1,4−イレン、2−クロロフェン−1,4−イレン、3−クロロフェン−1,4−イレン、2−メチルフェン−1,4−イレン、3−メチルフェン−1,4−イレン、2−メトキシフェン−1,4−イレン、3−メトキシフェン−1,4−イレン、2−トリフルオロメトキシフェン−1,4−イレン、3−トリフルオロメトキシフェン−1,4−イレン、2,3−ジフルオロフェン−1,4−イレン、2,5−ジフルオロフェン−1,4−イレン、2,6−ジフルオロフェン−1,4−イレン、2,3−ジクロロフェン−1,4−イレン、2,5−ジクロロフェン−1,4−イレン、2,6−ジクロロフェン−1,4−イレン、2−クロロ−5−メトキシフェン−1,4−イレン、2−クロロ−6−メトキシフェン−1,4−イレン、2−クロロ−5−トリフルオロメトキシフェン−1,4−イレン、2−クロロ−6−トリフルオロメトキシフェン−1,4−イレン、および2,5−ジブロモフェン−1,4−イレンが挙げられる。
他の実施形態では、Arは、(3〜5C)ヘテロアリーレン基であり、該(3〜5C)ヘテロアリーレン基は、1個または2個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、別個に、酸素、窒素または硫黄から選択される;ここで、該ヘテロアリーレン基は、非置換であるか、または1個または2個のR置換基で置換されている。代表的なヘテロアリーレン基には、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンの二価種が挙げられ、ここで、結合点は、任意の利用可能な炭素または窒素環原子である。このようなAr基のさらに特定の例には、2,5−フリレン、2,4−チエニレン、2,5−チエニレン、2,5−ピリジレン、2,6−ピリジレンおよび2,5−ピロリレンが挙げられる。代表的なR置換基には、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルおよびトリフルオロメトキシが挙げられる。置換Ar基の特定の例には、3−フルオロ−2,5−チエニレン、3−クロロ−2,5−チエニレン、3−メチル−2,5−チエニレン、3−メトキシ−2,5−チエニレン、および3−メトキシ−6−クロロ−2,5−ピリジレンが挙げられる。
特定の1実施形態では、Arは、、フェン−1,3−イレン、フェン−1,4−イレン、2,4−チエニレンまたは2,5−チエニレンを表わす;ここで、該フェニレンまたはチエニレン基は、必要に応じて、1個または2個のR置換基で置換されている。他の特定の実施形態では、Arは、フェン−1,4−イレンまたは2,4−チエニレンを表わし、該フェン−1,4−イレンまたは2,4−チエニレンは、必要に応じて、1個または2個のR置換基で置換されている。
tの値は、0、1または2である。tの特定の値は、1である。
nの値は、0、1、2または3である。nの特定の値は、1または2である。1実施形態では、nは、2である。
dの値は、0、1、2、3または4である。dの特定の値は、0、1または2である。1実施形態では、dは、0である。
各Rは、別個に、フルオロまたは(1〜4C)アルキルを表わし、それらの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。それに加えて、R中の各アルキル基およびアルコキシ基は、必要に応じて、1個〜5個のフルオロ置換基で置換されている。1実施形態では、各Rは、別個に、フルオロまたは(1〜3C)アルキルを表わし、他の実施形態では、各Rは、別個に、フルオロ、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルから選択される。
pの値は、0または1である。特定の1実施形態では、pは、0である。
およびRは、それぞれ別個に、水素または(1〜4C)アルキルを表わし、それらの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。1実施形態では、RおよびRは、それぞれ別個に、水素または(1〜3C)アルキルを表わす。特定の実施形態では、Rは、水素、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルであり、そしてRは、水素である。別の特定の実施形態では、RおよびRは、両方共に水素であるか、または両方共にエチルである。それに加えて、RおよびR中の各アルキル基およびアルコキシ基は、必要に応じて、1個〜5個のフルオロ置換基で置換されている。
式Iで述べたように、−CONR基は、その環上の任意の炭素原子に位置し得る。例えば、nが2である場合、−CONR基は、オルト、メタまたはパラ位置で位置し得る。1実施形態では、−CONR基は、メタ位またはパラ位に位置している;特定の実施形態では、−CONR基は、パラ位に位置している。
特定の群の目的の化合物は、a、b、cおよびdが0である;nが2である;そしてRが水素、メチルまたはエチルである式Iの化合物である。
別の群の目的の化合物は、a、b、cおよびdが0である;Rが水素、メチルまたはエチルである;そしてRが水素である式Iの化合物である。
別の群の目的の化合物は、a、b、cおよびdが0である;Rが水素、メチルまたはエチルである;Rが水素、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルであり、そしてRが水素である式Iの化合物である。
別の群の目的の化合物は、a、b、cおよびdが0である;Rが水素、メチルまたはエチルである;そしてRおよびRがエチルである式Iの化合物である。
別の群の目的の化合物は、a、b、cおよびdが0である;Rが水素、メチルまたはエチルである;RおよびRが水素である;そしてsが0である式Iの化合物である。
別の群の目的の化合物は、a、b、cおよびdが0である;Rが水素、メチルまたはエチルである;RおよびRが水素である;sが0である;そしてtが1である式Iの化合物である。
別の群の目的の化合物は、a、b、cおよびdが0である;Rが水素、メチルまたはエチルである;RおよびRが水素である;sが0である;tが1である;そしてmが0である式Iの化合物である。
(代表的な亜属分類)
以下の亜属の式および分類は、本発明の種々の局面および実施形態の代表的な例を提供する目的であり、従って、それらは、特に明記しない限り、他の実施形態を排除したり本発明の範囲を限定する意図はない。
特定の群の式Iの化合物は、米国仮特許出願第60/552,443号(これは、2004年3月11日に出願された)で開示されている。この群には、式Ia:
Figure 2011219500
の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体が挙げられ、
ここで:
aは、0、または1〜3の整数である;各Rは、別個に、(1〜4C)アルキル、(2〜4C)アルケニル、(2〜4C)アルキニル、(3〜6C)シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR1a、−C(O)OR1b、−SR1c、−S(O)R1d、−S(O)1eおよび−NR1f1gから選択される;R1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1fおよびR1gの各々は、別個に、水素、(1〜4C)アルキルまたはフェニル−(1〜4C)アルキルである;
bは、0、または1〜3の整数である;各Rは、別個に、(1〜4C)アルキル、(2〜4C)アルケニル、(2〜4C)アルキニル、(3〜6C)シクロアルキル、シアノ、ハロ、−OR2a、−C(O)OR2b、−SR2c、−S(O)R2d、−S(O)2eおよび−NR2f2gから選択される;R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2fおよびR2gの各々は、別個に、水素、(1〜4C)アルキルまたはフェニル−(1〜4C)アルキルである;
Wは、OまたはNWを表わし、ここで、Wは、水素または(1〜4C)アルキルである;
cは、0、または1〜4の整数である;各Rは、別個に、(1〜4C)アルキルを表わす;
mは、0または1である;
は、水素または(1〜4C)アルキルである;
sは、0または1である;
Arは、フェニレン基または(3〜5C)ヘテロアリーレン基を表わし、該(3〜5C)ヘテロアリーレン基は、1個または2個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、別個に、酸素、窒素または硫黄から選択される;ここで、該フェニレンまたはヘテロアリーレン基は、(Rで置換されており、ここで、qは、0、または1〜4の整数であり、そして各Rは、別個に、ハロ、ヒドロキシ、(1〜4C)アルキルまたは(1〜4C)アルコキシから選択される;
tは、0または1である;
nは、0、1または2である;
dは、0、または1〜4の整数である;各Rは、別個に、フルオロまたは(1〜4C)アルキルを表わす;そして
は、水素または(1〜4C)アルキルである;
ここで、R、R1a−1g、R、R2a−2g、R、R、RまたはR中の各アルキル基およびアルコキシ基は、必要に応じて、1個〜5個のフルオロ置換基で置換されている。
この群には、また、式Ibの化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体が挙げられる:
Figure 2011219500
ここで:R、q、RおよびRは、式Iaについて定義したとおりである。特定の実施形態には、qが0、1または2であり、そしてRが、別個に、ハロ、(1〜4C)アルキルまたは(1〜4C)アルコキシから選択され、ここで、各アルキル基およびアルコキシ基が、必要に応じて、1個〜3個のフルオロ置換基で置換されている式Ibの化合物が挙げられる。
さらに、特定の式Iの目的化合物には、以下の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物が挙げられる:
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]エチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{メチル−[4−(4−メチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−エチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{メチル−[4−(4−プロピルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−イソプロピルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−{2−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[2,5−ジブロモ−4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−{2−[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(3−(S)−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[4−(2−カルバモイル−ピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイル−ピペリジン−1−イルメチル)−2−メトキシベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−1H−ピロール−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−1H−ピロール−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−ジエチルカルバモイル−ピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]−アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−[2−({3−[4−(3−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニル}メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−[2−({3−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニル}メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{3−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{3−[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{3−[4−(3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−{2−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−クロロ−ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−クロロ−5−メトキシベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;および
ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−[2−({2−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]アセチル}メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イルエステル。
(定義)
本発明の化合物、組成物、方法およびプロセスを記述する場合、以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有する。
「アルキル」との用語は、一価飽和炭化水素基であって、直鎖状または分枝状であり得るものを意味する。特に明記しない限り、このようなアルキル基は、代表的には、1個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なアルキル基には、例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが挙げられる。
「アルキレン」との用語は、二価飽和炭化水素基であって、直鎖状または分枝状であり得るものを意味する。特に明記しない限り、このようなアルキレン基は、代表的には、1個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なアルキレン基には、例として、メチレン、エタン−1,2−ジイル(「エチレン」)、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルなどが挙げられる。
「アルコキシ」との用語は、式(アルキル)−O−の一価基を意味し、ここで、アルキルは、本明細書中で定義したとおりである。代表的なアルコキシ基には、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
「アルケニル」との用語は、一価不飽和炭化水素基であって、直鎖状または状分枝であり得、そして少なくとも1個、代表的には、1個、2個または3個の炭素−炭素二重結合を有するものを意味する。特に明記しない限り、このようなアルケニル基は、代表的には、2個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なアルケニル基には、例として、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテ−2−エニル、n−ヘキセ−3−エニルなどが挙げられる。「アルケニレン」との用語は、二価アルケニル基を意味する。
「アルキニル」との用語は、一価不飽和炭化水素基であって、直鎖または分枝であり得、そして少なくとも1個、代表的には、1個、2個または3個の炭素−炭素三重結合を有するものを意味する。特に明記しない限り、このようなアルキニル基は、代表的には、2個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なアルキニル基には、例として、エチニル、n−プロピニル、n−ブチ−2−イニル、n−ヘキシ−3−イニルなどが挙げられる。「アルキニレン」との用語は、二価アルキニル基を意味する。
「アリール」との用語は、単一環(すなわち、フェニル)または縮合環(すなわち、ナフタレン)を有する一価芳香族炭化水素を意味する。特に明記しない限り、このようなアリール基は、代表的には、6個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なアリール基には、例として、フェニルおよびナフタレン−1−イル、ナフタレン−2−イルなどが挙げられる。「アリーレン」との用語は、2価アリール基を意味する。
「アザシクロアルキル」との用語は、1個の窒素原子を含有する一価複素環式環、すなわち、1個の炭素原子を窒素原子で置き換えたシクロアルキル基を意味する。特に明記しない限り、このようなアザシクロアルキル基は、代表的には、2個〜9個の炭素原子を含有する。アザシクロアルキル基の代表的な例は、ピロリジニル基およびピペリジニル基である。「アザシクロアルキレン」との用語は、二価アザシクロアルキル基を意味する。アザシクロアルキレン基の代表的な例は、ピロリジニレン基およびピペリジニレン基である。
「シクロアルキル」との用語は、一価飽和炭素環式炭化水素基を意味する。特に明記しない限り、このようなシクロアルキル基は、代表的には、3個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なシクロアルキル基には、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。「シクロアルキレン」との用語は、二価シクロアルキル基を意味する。
「ハロ」との用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
「ヘテロアリール」との用語は、一価芳香族基であって、単一環または2つの縮合した環を有し、そして環内に、窒素、酸素または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(代表的には、1個〜3個のヘテロ原子)を含有するものを意味する。特に明記しない限り、このようなヘテロアリール基は、代表的には、全部で5個〜10個の環原子を含有する。代表的なヘテロアリール基には、例として、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、フラン、チオフェン、トリアゾール、ピラゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリンなどの一価種が挙げられ、その結合点は、利用できる任意の炭素環原子または窒素環原子においてである。「ヘテロアリーレン」との用語は、二価ヘテロアリール基を意味する。
「ヘテロシクリル」または「複素環式」との用語は、一価飽和または不飽和(非芳香族)基であって、単一環または複数の縮合環を有し、そして環内に、窒素、酸素または硫黄から選択される少なくとも1個ヘテロ原子(代表的には、1個〜3個のヘテロ原子)を含有するものを意味する。特に明記しない限り、このような複素環式基は、代表的には、全部で2個〜9個の環炭素原子を含有する。代表的な複素環式基には、例として、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、3−ピロリンなどの一価種が挙げられ、その結合点は、利用できる任意の炭素または窒素環原子である。「ヘテロシクレン」との用語は、二価ヘテロシクリル基または複素環式基を意味する。
本明細書中で使用する特定の用語に対して、特定数の炭素原子が意図されている場合、その炭素原子数は、その用語に先行する括弧で示されている。例えば、「(1〜4C)アルキル」との用語は、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
「薬学的に受容可能な塩」との用語は、患者(例えば、哺乳動物)に投与することが許容できる塩(例えば、所与の投薬レジメンに対する、受容可能な哺乳動物の安全性を有する塩)を意味する。このような塩は、薬学的に受容可能な無機塩基または有機塩基から、および薬学的に受容可能な無機酸または有機酸から誘導できる。薬学的に受容可能な無機塩基から誘導される塩には、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。特に、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩が好ましい。薬学的に受容可能な有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級および第三級アミン(置換アミン、環状アミン、および天然に存在するアミンなど(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルフォリン、ピペラジン(piperazine)、ピペラジン(piperadine)、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなど)を含む)の塩が挙げられる。薬学的に受容可能な酸から誘導された塩には、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、エディシリック(edisylic)酸、フマル酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルクロン(glucoronic)酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オロチン酸、パモ(pamoic)酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、キナホイック(xinafoic)酸などが挙げられる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、マレイン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、リン酸、硫酸および酒石酸は、特に好ましい。
「それらの塩」との用語は、酸の水素をカチオン(例えば、金属カチオンまたは有機カチオンなど)で置き換えた場合に形成される化合物を意味する。好ましくは、この塩は、薬学的に受容可能な塩であるが、このことは、患者に投与する目的ではない中間体化合物の塩には、必要ではない。
「溶媒和物」との用語は、溶質(すなわち、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩)の1つ以上の分子と溶媒の1つ以上の分子とにより形成された錯体または凝集体を意味する。このような溶媒和物は、代表的には、実質的に不変のモル比の溶質および溶媒を有する結晶化した固形物である。代表的な溶媒には、例として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸などが挙げられる。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は、水和物である。
「またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体」との用語は、塩、溶媒和物および立体異性体の全ての順列(例えば、式Iの化合物の立体異性体の薬学的に受容可能な塩の溶媒和物)を含むことが意図される。
「治療有効量」とは、治療が必要な患者に投与した場合に、処置を達成するのに十分な量を意味する。
本明細書中で使用する場合、「処置する」または「処置」との用語は、患者(例えば、哺乳動物(特に、ヒト))における疾患または病態(例えば、COPD)を処置することまたは処置を意味し、この用語は、以下を包含する:
(a)疾患または病態が起こるのを防止すること(すなわち、患者の予防的処置);
(b)疾患または病態を改善すること(すなわち、患者における疾患または病態をなくすかその退行を引き起こすこと);
(c)疾患または病態を抑制すること(すなわち、患者における疾患または病態の進行を遅くするか阻止すること);または
(d)患者における疾患または病態の症状を軽減すること。
「脱離基」との用語は、置換反応(例えば、求核置換反応)において別の官能基または原子で置き換えることができる官能基または原子を意味する。例として、代表的な脱離基には、クロロ基、ブロモ基およびヨード基;スルホン酸エステル基(例えば、メシレート、トリレート、ブロシレート、ノシレートなど);ならびにアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、トリフルオロアセトキシなど)が挙げられる。
「それらの保護誘導体」との用語は、その化合物の1つ以上の官能基を保護基またはブロッキング基で望ましくない反応から保護した特定化合物の誘導体を意味する。保護され得る官能基には、例として、カルボン酸基、アミノ基、水酸基、チオール基、カルボニル基などが挙げられる。カルボン酸に対する代表的な保護基には、エステル(例えば、p−メトキシベンジルエステル)、アミドおよびヒドラジドが挙げられる;アミノ基に対しては、カルバメート(例えば、tert−ブトキシカルボニル)およびアミドが挙げられる;水酸基に対しては、エーテルおよびエステルが挙げられる;チオール基に対しては、チオエーテルおよびチオエステルが挙げられる;カルボニル基に対しては、アセタールおよびケタールが挙げられる;など。このような保護基は、当業者に周知であり、例えば、T.W.GreeneおよびG.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,第3版,Wiley,New York,1999およびそこで引用された参考文献で記述されている。
「アミノ保護基」との用語は、アミノ基との望ましくない反応を防止するのに適当な保護基を意味する。代表的なアミノ保護基には、tert−ブトキシカルボニル(BOC);トリチル(Tr)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc);ホルミル、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)などが挙げられるが、これらに限定されない。
「カルボキシ保護基」との用語は、カルボキシ基での望ましくない反応を防止するのに適当な保護基を意味する。代表的なカルボキシ保護基には、エステル(例えば、メチル、エチル、tert−ブチル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、9−フルオレニルメチル(Fm)、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM))などが挙げられるが、これらに限定されない。
「ヒドロキシル保護基」との用語は、ヒドロキシル基における望ましくない反応を阻止するのに適当な保護基を意味する。代表的なヒドロキシル保護基には、シリル基(トリ(1〜6C)アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)など)を含む);エステル(アシル基)((1〜6C)アルカノイル基(例えば、ホルミル、アセチルなど)を含む);アリールメチル基(例えば、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、9−フルオレニルメチル(Fm)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM)など)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、2個のヒドロキシル基はまた、アルキリデン基(例えば、プロパ−2−イリデン(これは、例えば、ケトン(例えば、アセトン)との反応により形成される))として、保護され得る。
(一般合成手順)
本発明のビフェニル化合物は、以下の一般方法および手順を使用して、または当業者に容易に入手できる他の情報を使用することにより、容易に入手できる出発物質から調製され得る。本明細書中では、本発明の特定の実施形態が示され得るか、または記述され得るが、当業者は、本発明の全ての実施形態または局面が、本明細書中で記述される方法を使用して、または当業者に公知の他の方法、試薬および出発物質を使用することにより、調製され得ることを認識している。代表的または好ましい処理条件(例えば、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、特に明記しない限り、他の処理条件もまた使用され得ることが分かる。最適な反応条件は、使用する特定の反応物または溶媒に依存して変動し得るが、このような条件は、慣習的な最適化手順によって、当業者により容易に決定され得る。
さらに、当業者に明らかなように、特定の官能基が望ましくない反応を受けるのを防止するために、従来の保護基が必要とされ得るか、または望まれ得る。特定の官能基に適当な保護基、ならびにこのような官能基の保護および脱保護に適当な条件の選択は、当該技術分野で周知である。所望される場合、本明細書中で記述した手順で例示されたもの以外の保護基が使用され得る。例えば、多数の保護基およびそれらの導入および除去は、T.W.GreeneおよびG.M.Wuts,Protecting Groups in
Organic Synthesis,第3版,Wiley,New York,1999およびそこで引用された参考文献で記述されている。
例として、式Iの化合物は、以下の工程を包含するプロセスにより、調製され得る:
(a)式IIの化合物:
Figure 2011219500
またはそれらの塩と、式IIIの化合物:
Figure 2011219500
とを反応させる工程であって、ここで、Zは、脱離基を表わす、工程;または
(b)式IVの化合物:
Figure 2011219500
を、式Vの化合物:
Figure 2011219500
またはそれらの反応性誘導体とカップリングする工程;または
(c)式VIの化合物:
Figure 2011219500
であって、ここで、Zは、脱離基を表わす化合物と;式VIIの化合物:
Figure 2011219500
とを反応させる工程;または
(d)還元剤の存在下にて、式IIの化合物と式VIIIの化合物:
Figure 2011219500
とを反応させる、工程;または
(e)還元剤の存在下にて、式IXの化合物:
Figure 2011219500
と式VIIの化合物とを反応させる工程;または
(f)式XVIIIの化合物と、式XIXの化合物:
Figure 2011219500
Figure 2011219500
とを反応させて、式Iの化合物を得る工程であって、ここで、R’は、H、−CHまたは−CHCHである、工程:次いで、
(g)存在し得る任意の保護基を除去して、式Iの化合物を提供する工程;および必要に応じて、それらの薬学的に受容可能な塩を形成する工程。
一般に、上記プロセスにおいて、これらの出発物質のうちの1種の塩(例えば、酸付加塩)を使用する場合、その塩は、代表的には、この反応プロセスの前またはこの反応プロセスの間に、中和される。この中和反応は、代表的には、この塩を、1モル当量の酸付加塩に対して、1モル当量の塩基と接触させることにより、達成される。
プロセス(a)(すなわち、式IIおよびIIIの化合物間での反応)では、Zで表わされる脱離基は、例えば、ハロ(例えば、クロロ、ブロモもしくはヨード)またはスルホン酸エステル基(例えば、メシレートもしくはトシレート)であり得る。この反応は、好都合には、塩基(例えば、第三級アミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン))の存在下にて、実行される。好都合な溶媒には、ニトリル(例えば、アセトニトリル)が挙げられる。この反応は、好都合には、0℃〜100℃の範囲の温度で、行われる。
式IIの化合物は、一般に、当該分野で公知であるか、または式Xの化合物を脱保護することにより、調製され得る:
Figure 2011219500
ここで、Pは、アミノ保護基(例えば、ベンジル基)を表わす。ベンジル基は、好都合には、水素またはギ酸アンモニウムおよび第VIII族金属触媒(例えば、パラジウム)を使用して、還元により、除去される。WがNWを表わす場合、この水素化は、好都合には、パールマン触媒(Pd(OH))を使用して、実行される。
式Xの化合物は、式XIのイソシアネート化合物と:
Figure 2011219500
式XIIの化合物とを反応させることにより、調製され得る:
Figure 2011219500
式IIIの化合物は、Zがヒドロキシル基を表わす対応する化合物から出発して、例えば、ハロゲン化剤(例えば、塩化チオニル)の反応により調製され、Zがハロ(例えば、クロロ)を表す式IIIの化合物を得ることができる。Zがヒドロキシル基を表わす化合物は、例えば、式Vの化合物と適当なアミノ置換アルコール(例えば、2−アミノエタノールまたは3−アミノプロパン−1−オール)とを反応させることにより、調製され得る。
プロセス(b)では、式IVの化合物は、式Vの化合物またはそれらの反応性誘導体と反応される。化合物Vの「反応性誘導体」とは、そのカルボン酸が、例えば、無水物またはカルボン酸ハロゲン化物(例えば、カルボン酸塩化物)を形成することにより、活性化されていることを意味する。あるいは、このカルボン酸は、従来のカルボン酸/アミンカップリング試薬(例えば、カルボジイミド、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)など)を使用して、活性化され得る。この反応は、好都合には、従来のアミド結合形成条件下にて、実行される。このプロセスは、−10℃〜100℃の範囲の温度で、行われる。
式IVの化合物は、還元剤(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)の存在下にて、式IIの化合物と式XIIIの化合物とを反応させることにより、続いて、必要な場合、例えば、パラジウムの存在下での水素化により、アミノ保護基Pを除去することにより、調製され得る:
Figure 2011219500
ここで、Pは、水素またはアミノ保護基(例えば、ベンジル)を表す。
式Vの化合物は、式VIIの化合物と式XIVの化合物とを反応させることにより、続いて、必要な場合、カルボキシル保護基Pを除去することにより、調製され得る:
Figure 2011219500
ここで、Pは、水素またはカルボキシル保護基(例えば、メチルもしくはエチル)を表わし、そしてZは、脱離基を表わす。あるいは、このような化合物は、通常の反応条件(例えば、プロセス(d)および(e)について記述した条件)下にて、式XVの化合物と式VIIの化合物との還元アミノ化により、調製され得る:
Figure 2011219500
プロセス(c)を参照すると、Zで表わされる脱離基は、例えば、ハロ(例えば、クロロ、ブロモもしくはヨード)、またはスルホン酸エステル基(例えば、メシレートもしくはトシレート)であり得る。この反応は、好都合には、塩基(例えば、第三級アミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン))の存在下にて、実行される。好都合な溶媒には、ニトリル(例えば、アセトニトリル)が挙げられる。この反応は、好都合には、0℃〜100℃の範囲の温度で、行われる。式VIの化合物は、式IVの化合物と式XVIの化合物またはそれらの反応性誘導体(例えば、酸塩化物または無水物)とを反応させることにより、調製され得る:
Figure 2011219500
この反応は、好都合には、例えば、本明細書中で記述したプロセス(b)の方法に従って、実行される。式VIIの化合物は、一般に、公知であるか、または周知の合成方法を使用して、容易に利用可能な出発物質から調製できる。
プロセス(d)では、その還元剤は、例えば、第VIII族金属触媒(例えば、パラジウム)の存在下での水素、または水素化金属還元剤(例えば、ホウ化水素(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを含む))であり得る。好都合な溶媒には、アルコール(例えば、メタノール)が挙げられる。この反応は、好都合には、0℃〜100℃の範囲の温度で、実行される。式VIIIの化合物は、Zがヒドロキシル基を表わす式IIIに対応する化合物を酸化することにより、調製され得る。このような酸化反応は、例えば、ジメチルスルホキシド中で、第三級アミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の存在下にて、二酸化硫黄−ピリジン錯体を使用して、行うことができる。
プロセス(e)では、その還元剤は、例えば、第VIII族金属触媒(例えば、パラジウム)の存在下での水素、または水素化金属還元剤(ホウ化水素(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)を含む)であり得、必要に応じて、チタンテトラアルコキシド(例えば、チタンテトライソプロポキシド)と併用され得る。好都合な溶媒には、アルコール(例えば、メタノール)およびハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)が挙げられる。この反応は、好都合には、0℃〜100℃の範囲の温度で、実行される。式IXの化合物は、カルボン酸/アミンカップリング剤(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT)など)の存在下にて、式IVの化合物と式XVIIの化合物とを反応させることにより、調製され得る:
Figure 2011219500
プロセス(f)を参照すると、式XVIIIの化合物は、プロセス(e)で行ったものと同様にして、還元剤(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)の存在下にて、式IXの化合物と式VIIの化合物とを反応させることにより、調製され得る。
当業者に明らかなように、本明細書における工程(a)〜(f)のいずれかにより調製された式Iの化合物は、当該分野で周知の方法および試薬を使用して、さらに誘導体化され得、式Iの他の化合物が形成される。例として、式Iの化合物が臭素と反応されて、Rが例えばブロモ基を表わす、式Iの対応する化合物を得ることができる。さらに、Rが水素原子を表わす式Iの化合物がアルキル化されて、Rが(1〜4C)アルキル基を表わす式Iの対応する化合物を得ることができる。
本明細書中で記述される特定の中間体は、新規であると考えられ、従って、このような化合物は、例えば、式III、VおよびVIIIの化合物およびそれらの塩を含めて、本発明のさらに他の局面として、提供される。
本発明の代表的な化合物またはそれらの中間体を調製するための特定の反応条件および他の手順に関するさらなる詳細は、以下で示す実施例において記述されている。
(薬学的組成物および薬学的処方物)
本発明のビフェニル化合物は、代表的には、薬学的組成物または薬学的処方物の形態で、患者に投与される。このような薬学的組成物は、任意の受容可能な投与経路(吸入、経口、鼻内、局所(経皮を含めて)および非経口投与様式が挙げられるが、これらに限定されない)により、患者に投与され得る。
本明細書中で考察される薬学的組成物中では、特定の投与様式に適当な本発明の化合物の任意の形態(すなわち、遊離塩基、薬学的に受容可能な塩、溶媒和物など)が使用され得ることが理解される。
従って、その組成物局面の1つでは、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体の治療有効量とを含有する薬学的組成物に関する。必要に応じて、このような薬学的組成物は、所望される場合、他の治療剤および/または処方剤を含有し得る。
本発明の薬学的組成物は、代表的には、本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体の治療有効量を含有する。代表的には、このような薬学的組成物は、約0.01〜約95重量%の活性剤(約0.01〜約30重量%(例えば、約0.01〜約10重量%)の活性剤を含めて)を含有する。
本発明の薬学的組成物では、任意の従来のキャリアまたは賦形剤が使用され得る。特定のキャリアまたは賦形剤、またはキャリアまたは賦形剤の組合せの選択は、特定の患者または病態または疾患状態の型を処置するために使用されるべき投与様式に依存している。このことに関して、特定の投与様式に適当な薬学的組成物の調製は、十分に、薬学分野の当業者の範囲内である。さらに、このような化合物の成分は、例えば、Sigma,P.O.Box 14508,St.Louis,MO 63178から市販されている。さらなる例として、従来の処方技術は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第20版,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(2000);およびH.C.Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第7版,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(1999)で記述されている。
薬学的に受容可能なキャリアとして働くことができる物質の代表例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)糖類(例えば、ラクトース、グルコースおよびショ糖);(2)デンプン(例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン);(3)セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびセルロース酢酸塩));(4)粉末化トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑石;(8)賦形剤(例えば、カカオ脂および坐薬ワックス);(9)油(例えば、落花生油、、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、とうもろこし油および大豆油);(10)グリコール(例えば、プロピレングリコール);(11)ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール);(12)エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);(13)寒天;(14)緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);(15)アルギン酸;(16)発熱物質非含有の水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;(21)圧縮噴霧剤ガス(例えば、クロロフルオロカーボンおよびヒドロフルオロカーボン);ならびに(22)薬学的組成物で使用される他の非毒性の適合性物質。
本発明の薬学的組成物は、代表的には、本発明の化合物を薬学的に受容可能なキャリアおよび1種またはそれ以上の任意の成分と十分かつ密接に混合またはブレンドすることより、調製される。必要な場合または所望される場合、得られる均一にブレンドした混合物は、次いで、通常の手順および装置を使用して、錠剤、カプセル剤、丸薬、キャニスター、カートリッジ、ディスペンサーなどに成型または装填され得る。
1実施形態では、本発明の薬学的組成物は、吸入投与に適当である。吸入投与に適当な薬学的組成物は、代表的には、エアロゾルまたは粉末の形態である。このような組成物は、一般に、周知の送達デバイス(例えば、噴霧吸入器、定量吸入器(MDI)、乾燥粉末吸入器(DPI)または類似の送達デバイス)を使用して、投与される。
本発明の特定の実施形態では、この活性剤を含有する薬学的組成物は、噴霧吸入器を使用して、吸入により投与される。このような噴霧吸入デバイスは、代表的には、高速の空気流を生じ、これにより、この活性剤を含有する薬学的組成物は、患者の気道に運ばれる霧として、噴霧される。従って、この活性剤は、噴霧吸入器で使用するように処方される場合、代表的には、溶液を形成するように、適当なキャリアに溶解される。あるいは、この活性剤は、微粉化され、そして適当なキャリアと混ぜ合わされて、吸入可能な大きさの微粉化粒子の懸濁液を形成し得る。この場合、微粉化は、代表的には、約10μm未満の直径を有する粒子を約90%以上有するものとして、定義される。適当な噴霧デバイスは、例えば、PARI GmbH(Starnberg,German)により、商業的に提供される。他の噴霧デバイスには、Respimat(Boehringer Ingelheim)、および例えば、Lloydらへの米国特許第6,123,068号およびWO97/12687(Eicherら)で開示されたものが挙げられる。
噴霧吸入器で使用するための代表的な薬学的組成物は、約0.05μg/ml〜約10mg/mLの式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を含む等張水溶液を含有する。
本発明の別の特定の実施形態では、この活性剤を含有する薬学的組成物は、乾燥粉末吸入器を使用する吸入により、投与される。このような乾燥粉末吸入器は、代表的には、この活性剤を、自由流動粉末(これは、吸気の間、患者の気流に分散される)として、投与する。自由流動粉末を得るためには、この活性剤は、代表的には、適当な賦形剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)と共に、処方される。
乾燥粉末吸入器で使用するための代表的な薬学的組成物は、約1μmと約100μmの間の粒径を有する乾燥ラクトースと、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体の微粉化粒子とを含有する。
このような乾燥粉末処方物は、例えば、このラクトースを活性剤と混ぜ合わせ、次いで、それらの成分を乾燥ブレンドすることにより、製造され得る。あるいは、所望される場合、この活性剤は、賦形剤なしで、処方され得る。この薬学的組成物は、次いで、代表的には、乾燥粉末ディスペンサー、または乾燥粉末送達デバイスと併用するための吸入カートリッジまたはカプセルに充填される。
乾燥粉末吸入器送達デバイスの例には、Diskhaler(GlaxoSmithKline,Research Triangle Park,NC)(例えば、Newellらへの米国特許第5,035,237号を参照);Diskus(GlaxoSmithKline)(例えば、Daviesらへの米国特許第6,378,519号を参照);Turbuhaler(AstraZeneca,Wilmington,DE)(例えば、Wetterlinへの米国特許第4,524,769号を参照);Rotahaler(GlaxoSmithKline)(例えば、Hallworthらへの米国特許第4,353,365号を参照)およびHandihaler(Boehringer Ingelheim)が挙げられる。適当なDPIデバイスのさらなる例は、Casperらへの米国特許第5,415,162号、Evansへの第5,239,993号およびArmstrongらへの第5,715,810号、およびそれらで引用された参考文献で記述されている。
本発明のさらに別の特定の実施形態では、この活性剤を含有する薬学的組成物は、定量吸入器を使用して、吸入によって投与される。このような定量吸入器は、代表的には、圧縮噴霧剤ガスを使用して、計量した量の活性剤またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を放出する。従って、定量吸入器を使用して投与される薬学的組成物は、この活性剤の液化噴霧剤の溶液または懸濁液を含有する。任意の適当な液化噴霧剤が使用され得、これには、クロロフルオロカーボン(例えば、CClF)およびヒドロフルオロアルカン(HFA)(例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134a)および1,1,1,2,3,3,3,−ヘプタフルオロ−n−プロパン(HFA 227)が挙げられる。クロロフルオロカーボンはオゾン層に悪影響を与える懸念があるので、一般に、HFAを含有する処方物が好ましい。HFA処方物の任意の追加成分には、共溶媒(例えば、エタノールまたはペンタン)および界面活性剤(例えば、ソルビタントリオレエート、オレイン酸、レシチンおよびグリセリン)が挙げられる。例えば、Purewalらへの米国特許第5,225,183号、EP 0717987
A2(Minnesota Mining and Manufacturing Company)およびWO92/22286(Minnesota Mining and Manufacturing Company)を参照。
定量吸入器で使用する代表的な薬学的組成物は、約0.01重量%〜約5重量%の式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体;約0重量%〜約20重量%のエタノール;および約0重量%〜約5重量%の界面活性剤;残りは、HFA噴霧剤を含有する。
このような組成物は、代表的には、適当な容器(これは、活性剤、エタノール(存在する場合)および界面活性剤(存在する場合)を含む)に冷却または加圧したヒドロフルオロアルカンを加えることにより、調製される。懸濁液を調製するために、この活性剤は、微粉化され、次いで、この噴霧剤と混ぜ合わされる。この処方物は、次いで、定量吸入器デバイスの一部をなすエアロゾルキャニスターに充填される。HFA噴霧剤と併用するように特別に開発された定量吸入器装置デバイスの例は、Mareckiへの米国特許第6,006,745号およびAshurstらへの第6,143,277号で提供されている。あるいは、活性剤の微粉粒子上で界面活性剤の被覆を噴霧乾燥することにより、懸濁液処方物が調製され得る。例えば、WO 99/53901(Glaxo Group Ltd.)およびWO 00/61108(Glaxo Group Ltd.)を参照。
吸入可能粒子を調製するプロセスおよび吸入投薬に適当な処方およびデバイスの別の例については、Gaoらの米国特許第6,268,533号、Trofastの第5,983,956号、Briggnerらの第5,874,063号およびJakupovicらの第6,221,398号;およびWO 99/55319(Glaxo Group
Ltd.)およびWO 00/30614(AstraZeneca AB)を参照。
他の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、経口投与に適当である。経口投与に適当な薬学的組成物は、カプセル剤、錠剤、丸薬、ロゼンジ、カシュ剤、糖衣錠、粉剤、顆粒;または水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液;または水中油型液状乳濁液もしくは油中水型液状乳濁液;またはエリキシル剤もしくはシロップなどの形態であり得る;各々は、活性成分として、所定量の本発明の化合物を含有する。
固形投薬形態(すなわち、カプセル剤、錠剤、丸薬など)で経口投与することが意図される場合、本発明の薬学的組成物は、代表的には、活性剤としての本発明の化合物および1つ以上の薬学的に受容可能なキャリア(例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム)を含有する。必要に応じて、または代替的に、このような固形投薬形態はまた、以下を含有し得る:(1)充填剤または増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸);(2)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシア);(3)湿潤剤(例えば、グリセロール);(4)崩壊剤(例えば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および/または炭酸ナトリウム;(5)溶液遅延剤(例えば、パラフィン);(6)吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物);(7)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよび/またはグリセリンモノステアレート;(8)吸収剤(例えば、カオリンおよび/またはベントナイト粘土);(9)潤滑剤(例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよび/またはそれらの混合物;(10)着色剤;ならびに(11)緩衝剤。
離型剤、湿潤剤、被覆剤、甘味料、矯味矯臭剤および芳香剤、防腐剤および酸化防止剤はもまた、本発明の薬学的組成物中に存在し得る。薬学的に受容可能な酸化防止剤の例には、以下が挙げられる:(1)水溶性酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど);(2)油溶性酸化防止剤(例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど);および(3)金属キレート化剤(例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など)。錠剤、カプセル剤、丸薬などの被覆剤には、腸溶コーティングに使用されるもの(例えば、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ポリビニル酢酸フタル酸(PVAP)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、酢酸ケイ酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)などが挙げられる。
もし望ましいなら、本発明の薬学的組成物はまた、一例として、割合を変えたヒドロキシプロピルメチルセルロース;または他の高分子マトリックス、リポソームおよび/または微小球体を使用して、その活性成分の遅延放出または制御放出を生じるように、処方され得る。
それに加えて、本発明の薬学的組成物は、必要に応じて、乳白剤を含有し得、活性成分のみを放出するか、または優先的に、胃腸管の特定の部分において、必要に応じて、遅延様式で放出するように、処方され得る。使用できる包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが挙げられる。この活性成分はまた、もし適当なら、上記賦形剤の1種またはそれ以上と共に、マイクロカプセルの形態であり得る。
経口投与に適当な液体投薬量形態には、例として、薬学的に受容可能な乳濁液、微小乳濁液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。このような液体投薬量形態は、代表的には、この活性成分および不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳濁液(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール)、油(例えば、綿実油、落花生油、とうもろこし油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルおよびそれらの混合物)を含有する。懸濁液は、この活性成分に加えて、懸濁剤(例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天−寒天およびトラガカントおよびそれらの混合物)を含有し得る。
経口投与向けのとき、本発明の薬学的組成物は、好ましくは、単位投薬量形態に包装される。「単位投薬量形態」との用語は、患者に投薬するのに適当な物理的に別個の単位を意味し、すなわち、各単位は、単独でまたは1種またはそれ以上の追加単位と組み合わせて、いずれかで所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性剤を含有する。例えば、このような単位投薬量形態は、カプセル剤、錠剤、丸薬などであり得る。
本発明の化合物はまた、公知の経皮送達システムおよび賦形剤を使用して、経皮的に投与され得る。例えば、本発明の化合物は、浸透向上剤(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレート、アザシクロアルカン−2−オンなど)と混合され得、そしてパッチまたは類似の送達システムに取り込まれ得る。ゲル化剤、乳濁液および緩衝液を含めた追加賦形剤が、所望の場合、このような経皮組成物に使用され得る。
本発明の薬学的組成物はまた、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体と共に同時投与される他の治療薬を含有し得る。例えば、本発明の薬学的組成物は、さらに、1種またはそれ以上の治療薬を含有し得、これは、他の気管支拡張薬(例えば、PDEインヒビター、アデノシン2bモジュレーターおよびβアドレナリンレセプターアゴニスト);抗炎症薬(例えば、ステロイド性抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド);非ステロイド抗炎症薬(NSAID)およびPDEインヒビター);他のムスカリンレセプターアンタゴニスト(すなわち、抗コリン薬);抗感染薬(例えば、グラム陽性抗生物質およびグラム陰性抗生物質または抗ウイルス薬);抗ヒスタミン薬;プロテアーゼインヒビター;および求心神経遮断薬(例えば、Dアゴニストおよびニューロキニンモジュレーター)から選択される。本発明の特定の1局面では、本発明の化合物は、βアドレナリンレセプターアゴニストおよびステロイド性抗炎症薬と共に、同時投与される。他の治療薬は、薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の形態で使用され得る。さらに、もし適当なら、これらの他の治療薬は、光学的に純粋な立体異性体として、使用され得る。
本発明の化合物と併用できる代表的なβアドレナリンレセプターアゴニストには、サルメテロール、サルブタモール、フォルモテロール、サルメファモール、フェノテロール、テルブタリン、アルブテロール、イソエタリン、メタプロテレノール、ビトルテロール、ピルブテロール、レバルブテロールなど、またはそれらの薬学的に受容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物と併用できる他のβアドレナリンレセプターアゴニストには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:3−(4−{[6−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−フェニル]エチル}アミノ)−ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミドおよび3−(−3−{[7−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}−アミノ)ヘプチル]オキシ}−プロピル)ベンゼンスルホンアミドおよび関連化合物(これらは、WO02/066422(Glaxo Group Ltd.)で開示されている);3−[3−(4−{[6−([(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)−フェニル]イミダゾリジン−2,4−ジオンおよび関連化合物(これらは、WO 02/070490(Glaxo Group Ltd.)で開示されている);3−(4−{[6−({(2R)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)−ベンゼンスルホンアミド、3−(4−{[6−({(2S)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)−ベンゼンスルホンアミド、3−(4−{[6−({(2R/S)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)−ベンゼンスルホンアミド、N−(tert−ブチル)−3−(4−{[6−({(2R)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]−オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(tert−ブチル)−3−(4−{[6−({(2S)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)−ヘキシル]オキシ}ブチル)−ベンゼンスルホンアミド、N−(tert−ブチル)−3−(4−{[6−({(2R/S)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]−オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミドおよび関連化合物(これらは、WO 02/076933(Glaxo Group Ltd.)で開示されている);4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールおよび関連化合物(これらは、WO 03/024439(Glaxo Group Ltd.)で開示されている);N−{2−[4−((R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルアミノ)フェニル]エチル}−(R)−2−ヒドロキシ−2−(3−ホルムアミド−4−ヒドロキシフェニル)エチルアミンおよび関連化合物(これらは、Moranらの米国特許第6,576,793号で開示されている);N−{2−[4−(3−フェニル−4−メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}−(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン−5−イル)エチルアミンおよび関連化合物(これらは、Moranらの米国特許第6,653,323号で開示されている);およびそれらの薬学的に受容可能な塩。特定の実施形態では、このβ−アドレナリンレセプターアゴニストは、N−{2−[4−((R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルアミノ)フェニル]エチル}−(R)−2−ヒドロキシ−2−(3−ホルムアミド−4−ヒドロキシフェニル)エチルアミンの結晶性一塩酸塩である。このβ−アドレナリンレセプターアゴニストは、使用されるとき、この薬学的組成物中にて、治療有効量で存在している。代表的には、このβ−アドレナリンレセプターアゴニストは、1用量あたり、約0.05μg〜約500μgを供給するのに十分な量で、存在している。
本発明の化合物と併用できる代表的なステロイド性抗炎症薬には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメサゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α、9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロフラン−3S−イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、その17−プロピオネートエステルまたは17,21−ジプロピオネートエステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、そのフロ酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコルト、RPR−106541、ST−126など、またはそれらの薬学的に受容可能な塩。このステロイド性抗炎症薬は、使用されるとき、この薬学的組成物中にて、治療有効量で存在する。代表的には、このステロイド性抗炎症薬は、1用量あたり、約0.05μg〜約500μgを供給するのに十分な量で、存在している。
代表的な組み合わせは、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体(これは、βアドレナリンレセプターアゴニストとして、サルメテロールと同時投与される)およびプロピオン酸フルチカゾン(ステロイド性抗炎症薬として)である。別の代表的な組み合わせは、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体(これは、βアドレナリンレセプターアゴニストとして、N−{2−[4−((R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルアミノ)フェニル]エチル}−(R)−2−ヒドロキシ−2−(3−ホルムアミド−4−ヒドロキシフェニル)エチルアミンの結晶性一塩酸塩と同時投与される)および6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(ステロイド性抗炎症薬として)である。
他の適当な組合せには、例えば、以下が挙げられる:他の抗炎症薬(例えば、NSAID(例えば、クロモグリク酸ナトリウム);ネドクロミルナトリウム;ホスホジエステラーゼ(PDE)インヒビター(例えば、テオフィリン、PDE4インヒビターまたは混合PDE3/PDE4インヒビター);ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト);ロイコトリエン合成のインヒビター;iNOSインヒビター;プロテアーゼインヒビター(例えば、トリプターゼおよびエラスターゼインヒビター);β−2 インテグリンアンタゴニストおよびアデノシンレセプターのアゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト);サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト(例えば、インターロイキン抗体(αIL抗体)、具体的には、αIL−4療法、αIL−13療法、またはそれらの組み合わせ));またはサイトカイン合成のインヒビター。
例えば、本発明の化合物と併用できる代表的なホスホジエステラーゼ−4(PDE4)インヒビターまたは混合PDE3/PDE4インヒビターには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:シス−4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸、2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オン;シス−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール];シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサン−1−カルボン酸など、またはそれらの薬学的に受容可能な塩。他の代表的なPDE4または混合PDE4/PDE3インヒビターには、以下が挙げられる:AWD−12−281(elbion);NCS−613(INSERM);D−4418(ChiroscienceおよびSchering−Plough);CI−1018またはPD−168787(Pfizer);WO99/16766で開示されたベンゾジオキソール化合物(Kyowa Hakko);K−34(Kyowa Hakko);V−11294A(Napp);ロフルミラスト(Byk−Gulden);WO99/47505で開示されたフタラジノン化合物(Byk−Gulden);Pumafentrine(Byk−Gulden、現在、Altana);アロフィリン(Almirall−Prodesfarma);VM554/UM565(Vernalis);T−440(Tanabe Seiyaku);およびT2585(Tanabe Seiyaku)。
本発明の化合物と共にまたはそれに加えて使用できる代表的なムスカリンアンタゴニスト(すなわち、抗コリン剤)には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アトロピン、硫酸アトロピン、酸化アトロピン、硝酸メチルアトロピン、臭化水素酸ホマトロピン、臭化水素酸ヒヨスチアミン(d,l)、臭化水素酸スコポラミン、イプラトロピウム臭化物、オキシトロピウム臭化物、チオトロピウム臭化物、メタンテリン、プロパンテリン臭化物、アニソトロピン臭化メチル、臭化クリジニウム、コピロレート(Robinul)、ヨウ化イソプロパミド、臭化メペンゾラート、塩化トリジヘキシエチル(Pathilone)、メチル硫酸ヘキソシクリウム、塩酸シクロペントレート、トロピカミド、塩酸トリヘキシフェニジル、ピレンゼピン、テレンゼピン、AF−DX 116およびメトクトラミンなど、またはそれらの薬学的に受容可能な塩;または塩として列挙した化合物、それらの代替の薬学的に受容可能な塩。
本発明の化合物と併用できる代表的な抗ヒスタミン剤(すなわち、H−レセプターアンタゴニスト)には、エタノールアミン(例えば、マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェニルヒドラミンおよびジメンヒドリネート);エチレンジアミン(例えば、マレイン酸ピリラミン(pyrilamine amleate)、塩酸トリペレナミンおよびクエン酸トリペレナミン);アルキルアミン(例えば、クロルフェニラミンおよびアクリバスチン);ピペラジン(例えば、塩酸ヒドロキシジン、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸シクリジン、乳酸シクリジン、塩酸メクリジンおよび塩酸セチリジン);ピペリジン(例えば、アステミゾール、塩酸レボカバスチン、ロラタジンまたはそのデスカルボエトキシアナログ、テルフェナジンおよび塩酸フェキソフェナジン);塩酸アゼラスチンなど、またはそれらの薬学的に受容可能な塩;または塩として列挙した化合物については、それらの代替的な薬学的に受容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物と併用して投与される他の治療薬の適当な用量は、約0.05μg/日〜約100mg/日の範囲である。
以下の処方は、本発明の代表的な薬学的組成物を例示する。
(処方実施例A)
以下のようにして、吸入で投与する乾燥粉末を調製する:
Figure 2011219500
代表的な手順:本発明の化合物を微粉化し、次いで、ラクトースとブレンドする。次いで、このブレンドした混合物をゼラチン吸入カートリッジに装填する。粉末吸入器を使用して、このカートリッジの内容物を投与する。
(処方実施例B)
以下のようにして、乾燥粉末吸入デバイスで使用する乾燥粉末処方を調製する:
代表的な手順:本発明の微粉化化合物とラクトースとのバルク処方比が1:200の薬学的組成物を調製する。この組成物を乾燥粉末吸入デバイス(これは、1用量あたり、約10μgと約100μgとの間の本発明の化合物を送達できる)に充填する。
(処方実施例C)
以下のようにして、定量吸入器での吸入投与用の乾燥粉剤を調製する:
代表的な手順:微粉化粒子(これは、10μm未満の平均粒径を有する)としての本発明の化合物10gを溶液(これは、脱イオン水200mLに溶解したレシチン0.2gから形成した)に分散させることにより、本発明の化合物5重量%およびレシチン0.1重量%を含有する懸濁液を調製する。この懸濁液を噴霧乾燥し、得られた物質を、1.5μm未満の平均粒径を有する粒子まで微粉化する。これらの粒子を、加圧1,1,1,2−テトラフルオロエタンと共に、カートリッジに装填する。
(処方実施例D)
以下のようにして、定量吸入器で使用する薬学的組成物を調製する:
代表的な手順:微粉化粒子(これは、10μm未満の平均粒径を有する)としての活性成分5gをコロイド溶液(これは、脱イオン水100mLに溶解したトレハロース0.5gおよびレシチン0.5gから形成した)に分散させることにより、本発明の化合物5重量%、レシチン0.5重量%およびトレハロース0.5重量%を含有する懸濁液を調製する。この懸濁液を噴霧乾燥し、得られた物質を、1.5μm未満の平均粒径を有する粒子まで微粉化する。これらの粒子を、加圧1,1,1,2−テトラフルオロエタンと共に、キャニスターに装填する。
(処方実施例E)
以下のようにして、噴霧吸入器で使用する薬学的組成物を調製する:
代表的な手順:本発明の化合物0.1mgを0.9%塩化ナトリウム溶液(これは、クエン酸で酸性化した)1mLに溶解することにより、噴霧器で使用する水性エアロゾル処方を調製する。この混合物を、その活性成分が溶解するまで、攪拌し超音波処理する。NaOHをゆっくりと加えることにより、この溶液のpHを3〜8の範囲の値に調節する。
(処方実施例F)
以下のようにして、経口投与用の硬質ゼラチンカプセル剤を調製する:
Figure 2011219500
代表的な手順:これらの成分を十分にブレンドし、次いで、硬質ゼラチンカプセルに装填する(カプセル剤1個あたり、460mgの組成物)。
(処方実施例G)
以下のようにして、経口投与用の懸濁液を調製する:
Figure 2011219500
代表的な手順:これらの成分を混合して、懸濁液を形成する(これは、懸濁液10mLあたり、活性成分100mgを含有する)。
(処方実施例H)
注射用処方物を以下のように調製する:
Figure 2011219500
代表的な手順:上記成分をブレンドし、そのpHを、0.5N HClまたは0.5N NaOHを使用して、4±0.5に調節する。
(有用性)
本発明のビフェニル化合物は、ムスカリンレセプターアンタゴニストとして有用であると予想され、従って、そのような化合物は、ムスカリンレセプターによって媒介される医学的状態(すなわち、ムスカリンレセプターアンタゴニストでの処置によって改善される医学的状態)を処置するのに有用であると予想される。このような病状としては、例えば、可逆性気道閉塞に関連するものを含めた肺障害または肺疾患((例えば、慢性閉塞性肺疾患(例えば、慢性的かつぜいぜいいう気管支炎および気腫)、喘息、肺線維症など)、アレルギー性鼻炎、鼻漏などが挙げられる。ムスカリンレセプターアンタゴニストで処置され得る医学的状態としては、尿生殖路障害(例えば、過敏性膀胱または排尿筋機能亢進およびそれらの症状);胃腸管障害(例えば、過敏性腸症候群、憩室性疾患、噴門痙攣、胃腸過剰運動性障害および下痢);心不整脈(例えば、洞徐脈);パーキンソン病;認知障害(例えば、アルツハイマー病);月経不全(dismenorrhea)などが挙げられる。
1実施形態では、本発明の化合物は、哺乳動物(ヒトおよびペット動物(例えば、イヌ、ネコなど)を含めて)における平滑筋障害を処置するのに有用である。このような平滑筋障害には、例として、過敏性膀胱、慢性閉塞性肺疾患および過敏性腸症候群が挙げられる。
平滑筋障害またはムスカリンレセプターによって媒介される他の状態を処置するのに使用されるとき、本発明の化合物は、代表的には、1日あたり、単一毎日用量または複数用量で、経口投与、直腸投与、非経口投与または吸入投与される。1用量あたり投与される活性剤の量または1日あたり投与される全量は、代表的に、患者の担当医により決定され、患者の状態の性質および重症度、処置される状態、患者の年齢および一般的な健康状態、活性剤に対する患者の耐性、投与経路などのような要因に依存している。
代表的には、平滑筋障害またはムスカリンレセプターによって媒介される他の障害を処置するのに適当な用量は、約0.14μg/kg/日〜約7mg/kg/日(約0.15μg/kg/日〜約5mg/kg/日を含めて)の活性剤の範囲である。平均して70kgのヒトには、これは、約10μg/日〜約500mg/日の活性剤の量である。
特定の実施形態では、本発明の化合物は、ヒトを含めた哺乳動物において、肺障害または呼吸器障害(例えば、COPDまたは喘息)を処置するのに有用である。このような障害を処置するのに使用されるとき、本発明の化合物は、代表的には、1日あたり複数用量、単一毎日用量または単一毎週用量で、吸入投与される。一般に、肺障害を処置する用量は、約10μg/日〜約200μg/日である。本明細書中で使用される場合、COPDは、慢性閉塞性気管支炎および気腫を包含する(例えば、Barnes,Chronic
Obstructive Pulmonary Disease,N Engl J Med 343:269−78(2000)を参照のこと)。
肺障害を処置するのに使用されるとき、本発明の化合物は、必要に応じて、他の治療剤(例えば、β−アドレナリンレセプターアゴニスト;コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、またはそれらの組み合わせ)と併用して、投与される。
吸入投与されるとき、本発明の化合物は、代表的には、気管支拡張を引き起こす効果を有する。従って、その方法局面の別のものでは、本発明は、患者において気管支拡張を引き起こす方法に関し、上記方法は、患者に、本発明の化合物の気管支拡張発生量を投与する工程を包含する。一般に、気管支拡張を引き起こす治療有効用量は、約10μg/日〜約200μg/日の範囲である。
別の実施形態では、本発明の化合物は、過敏性膀胱を処置するのに使用される。過敏性膀胱を処置するのに使用するとき、本発明の化合物は、代表的には、1日あたり、単一毎日用量または複数用量、好ましくは、単一毎日用量で、経口投与される。好ましくは、過敏性膀胱を処置するための用量は、約1.0mg/日〜約500mg/日の範囲である。
さらに別の実施形態では、本発明の化合物は、過敏性腸症候群を処置するのに使用される。過敏性腸症候群を処置するのに使用されるとき、本発明の化合物は、代表的には、1日あたり、単一毎日用量または複数用量で、経口投与または直腸投与される。好ましくは、過敏性腸症候群を処置するための用量は、約1.0mg/日〜約500mg/日の範囲である。
本発明の化合物は、ムスカリンレセプターアンタゴニストであるので、このような化合物はまた、ムスカリンレセプターを有する生体系もしくは試料を調査または研究するための研究道具として有用である。このような生体系または試料は、M、M、M、Mおよび/またはMムスカリンレセプターを含み得る。ムスカリンレセプターを有する任意の適切な生体系または試料は、インビトロまたはインビボで行われ得るそのような研究で使用され得る。このような研究に適切な代表的な生体系またはサンプルとしては、細胞、細胞抽出物、原形質膜、組織サンプル、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。
この実施形態において、ムスカリンレセプターを含む生体系または試料は、本発明の化合物のムスカリンレセプターアンタゴナイズ量と接触される。次いで、ムスカリンレセプターをアンタゴナイズする効果が、従来の手順および機器(例えば、放射性リガンド結合アッセイおよび機能性アッセイ)を使用して決定される。このような機能性アッセイは、細胞内の環状アデノシン一リン酸(cAMP)におけるリガンド媒介性変化、酵素アデニリルシクラーゼ(cAMPを合成する酵素)の活性におけるリガンド媒介性変化、GDPに対する[35S]GTPγSのレセプター触媒交換を介するグアノシン5’−O−(γ−チオ)三リン酸([35S]GTPγS)の単離膜への取り込みにおけるリガンド媒介性変化、遊離の細胞内カルシウムイオン(例えば、蛍光を接続した画像化プレート読み取り装置またはMolecular Devices,Inc.製のFLIPR(登録商標)を用いて測定される)におけるリガンド媒介性変化を含む。本発明の化合物は、上記に列挙した任意の機能性アッセイ、または類似の性質のアッセイにおいて、ムスカリンレセプター活性をアンタゴナイズするかまたはムスカリンレセプター活性を低下させる。本発明の化合物のムスカリンレセプターアンタゴナイズ量は、代表的には、約0.1ナノモル〜約100ナノモルの範囲である。
さらに、本発明の化合物は、ムスカリンレセプターアンタゴニスト活性を有する新規化合物を見出すための研究道具として使用され得る。この実施形態において、試験化合物または試験化合物群についての(例えば、インビトロ放射性リガンド置換アッセイによって決定されるような)ムスカリンレセプター結合データは、本発明の化合物についてのムスカリンレセプター結合データと比較されて、存在する場合には、ほぼ同じかまたはより優れたムスカリンレセプター結合性を有する試験化合物が同定される。本発明のこの局面は、別個の実施形態として、比較データの生成(適切なアッセイを使用する)および目的の試験化合物を同定するための試験データの分析の両方を包含する。
別の実施形態では、本発明の化合物は、生体試料において、そして、哺乳動物(特に、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタ、ヒトなど)において、ムスカリンレセプターをアンタゴナイズするのに使用される。この実施形態では、式Iの化合物の治療有効量が哺乳動物に投与される。次いで、従来の手順および機器(それらの例は、上で記述されている)を使用して、ムスカリンレセプターをアンタゴナイズする効果が決定され得る。
本発明の化合物は、他の性質のうち、Mムスカリンレセプター活性の強力なインヒビターであることが見出されている。従って、特定の実施形態では、本発明は、Mレセプター亜型に対する阻害解離定数(K)が(例えば、インビトロ放射性リガンド置換アッセイで決定したとき)10nM以下、好ましくは、5nM以下である式Iの化合物に関する。
さらに、本発明の化合物は、驚くべき予想外の作用持続時間を有することが発見されている。従って、別の特定の実施形態では、本発明は、約24時間以上の作用持続時間を有する式Iの化合物に関する。
さらに、本発明の化合物は、吸入投与されたとき、吸入投与される他の公知のムスカリンレセプターアンタゴニスト(例えば、チオトロピウム)と比較して、有効用量で、副作用(例えば、口の乾燥)が低いことが発見されている。
本発明の化合物のこれらの特性および有用性は、当業者に周知の種々のインビトロアッセイおよびインビボアッセイを使用して示され得る。例えば、代表的なアッセイは、以下の実施例にさらに詳細に記載される。
(実施例)
以下の調製および実施例は、本発明の特定の実施形態を説明する。これらの実施例では、以下の略語は、以下の意味を有する:
AC アデニリルシクラーゼ
ACh アセチルコリン
ACN アセトニトリル
BSA ウシ血清アルブミン
cAMP 3’−5’環状アデノシン一リン酸
CHO チャイニーズハムスター卵巣
cM クローン化チンパンジーMレセプター
DCM ジクロロメタン(すなわち、塩化メチレン)
DIBAL 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
dPBS ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
EDCI 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FBS ウシ胎児血清
FLIPR 蛍光定量的画像プレート読み取り装置
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HBSS ハンク緩衝塩溶液
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
hM クローン化ヒトMレセプター
hM クローン化ヒトMレセプター
hM クローン化ヒトMレセプター
hM クローン化ヒトMレセプター
hM クローン化ヒトMレセプター
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IPA イソプロパノール
MCh メチルコリン
MTBE メチルt−ブチルエーテル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
本明細書中で使用するが定義されていない他の略語は、それらの標準的で一般に受け入れられている意味を有する。特に明記しない限り、全ての物質(例えば、試薬、出発物質および溶媒)は、業者(例えば、Sigma−Aldrich、Flukaなど)から購入し、さらに精製することなく、使用した。
特に明記しない限り、HPLC分析は、Agilent(Palo Alto,CA)Series 1100機器(これは、3.5ミクロンの粒径を有するZorbax Bonus RP 2.1×50mmカラム(Agilent)を備える)を使用して、行った。検出は、214nmでのUV吸光度により、行った。使用した移動相は、以下のとおりである(容量基準):Aは、ACN(2%)、水(98%)およびTFA(0.1%)である;そしてBは、ACN(90%)、水(10%)およびTFA(0.1%)である。HPLC 10〜70データは、6分間の勾配にわたって、10〜70%のBの0.5mL/分の流速を使用して、得た(残りは、Aであった)。同様に、HPLC 5〜35データおよびHPLC 10〜90データは、5分間の勾配にわたって、5〜35%B;または10〜90%Bを使用して得た。
液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)データは、Applied Biosystems(Foster City,CA)モデルAPI−150EX機器を使用して、得た。LCMS 10−90データは、5分間の勾配にわたって、10%〜90%移動相Bを使用して、得た。
小規模精製は、Applied Biosystems製のAPI 150EX Prep Workstationシステムを使用して、行った。使用した移動相は、以下のとおりであった(容量基準):Aは、水および0.05% TFAである;そしてBは、ACNおよび0.05% TFAである。アレイ(代表的には、約3〜50mgの回収試料サイズ)については、以下の条件を使用した:20mL/分の流速;15分の勾配および20mm×50mmのPrism RPカラム(これは、5ミクロンの粒径を有する)(Thermo Hypersil−Keystone,Bellefonte,PA)。大規模精製(代表的には、100mgより多い粗試料)については、以下の条件を使用した:60mL/分の流速;30分の勾配および41.4mm×250mmのMicrosorb BDSカラム(これは、10ミクロンの粒径を有する)(Varian,Palo Alto,CA)。
(調製1)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 ピペリジン−4−イルエステル)
ビフェニル−2−イソシアネート(97.5g、521mmol)および4−ヒドロキシ−N−ベンジルピペリジン(105g、549mmol)を、70℃で、12時間にわたって、共に加熱した。次いで、その反応混合物を50℃まで冷却し、そしてEtOH(1L)を加え、次いで、6M HCl(191mL)をゆっくりと加えた。次いで、得られた混合物を外界温度まで冷却し、そしてギ酸アンモニウム(98.5g、1.56mol)を加え、次いで、その溶液に、20分間にわたって、激しく窒素気体を泡立たせた。次いで、活性炭担持パラジウム(20g、乾燥基準で10重量%)を加え、この反応混合物を、40℃で、12時間加熱し、次いで、セライトのパッドで濾過した。次いで、減圧下にて溶媒を除去し、その粗残渣に1M HCl(40mL)を加えた。次いで、この混合物のpHを、10N NaOHで、pH12に調節した。水層を酢酸エチル(2×150mL)で抽出し、そして有機層を乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、そして減圧下にて溶媒を除去して、155gの表題中間体(収率100%)を得た。HPLC(10−70)R=2.52;m/z:[M+H]C1820に対する計算値、297.15;実測値、297.3。
(調製2)
(N−ベンジル−N−メチルアミノアセトアルデヒド)
2Lの三口フラスコに、N−ベンジル−N−メチルエタノールアミン(30.5g、0.182mol)、DCM(0.5L)、DIPEA(95mL、0.546mol)およびDMSO(41mL、0.728mol)を加えた。氷浴を使用して、その混合物を約−10℃まで冷却し、そして5分間の間隔にわたって、4つの部分で、三酸化硫黄−ピリジン錯体(87g、0.546mol)を加えた。その反応物を、−10℃で、2時間撹拌した。氷浴を取り除く前に、水(0.5L)を加えることにより、この反応をクエンチした。水層を分離し、そして有機層を水(0.5L)およびブライン(0.5L)で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濾過して、表題化合物を得、これを、さらに精製することなく、使用した。
(調製3)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−[2−(ベンジルメチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イルエステル)
2Lフラスコ(これは、DCM(0.5L)に調製2の生成物を含む)に、調製1の生成物(30g、0.101mol)を加え、続いて、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(45g、0.202mol)を加えた。その反応混合物を一晩撹拌し、次いで、激しく撹拌しつつ、1N塩酸(0.5L)を加えることにより、クエンチした。3層が観察され、水層を除した。1N NaOH(0.5L)で洗浄した後、均一な有機層が得られ、次いで、これを、NaCl飽和水溶液(0.5L)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて溶媒を除去した。その残渣を、最小量のIPAに溶解することにより、そしてこの溶液を0℃まで冷却することにより、精製して、固形物を得、これを、集めて、冷IPAで洗浄して、42.6gの表題化合物(収率95%)を得た。MS m/z:[M+H] C2833に対する計算値、444.3;実測値、444.6。R=3.51分(10−70 ACN:HO、逆相HPLC)。
(調製4)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−メチルアミノエチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Parr水素化フラスコに、調製3の生成物(40g、0.09mol)およびEtOH(0.5L)を加えた。このフラスコを窒素ガスでフラッシュし、そして酢酸(20mL)と共に、活性炭担持パラジウム(15g、10重量%(乾燥基準)、37%wt/wt)を加えた。その混合物を、Parr水素化装置(Parr hydrogenator)にて、水素雰囲気(約50psi)で、3時間保持した。次いで、この混合物を濾過し、そしてEtOHで洗浄した。その濾液を凝縮し、その残渣を最小量のDCMに溶解した。酢酸イソプロピル(10容量)をゆっくりと加えて、固形物を形成し、これを集めて、22.0gの表題化合物(収率70%)を得た。MS m/z:[M+H] C2127に対する計算値、354.2;実測値、354.3.R=2.96分(10−70 ACN:HO、逆相HPLC)。
(調製5)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−{2−[(4−ホルミルベンゾイル)メチルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル)
1Lの三口フラスコに、4−カルボキシベンズアルデヒド(4.77g、31.8mmol)、EDC(6.64g、34.7mmol)、HOBT(1.91g、31.8mmol)およびDCM(200mL)を加えた。その混合物が均一になったとき、調製4の生成物(10g、31.8mmol)のDCM(100mL)溶液をゆっくりと加えた。この反応混合物を、室温で、16時間撹拌し、次いで、水(1×100mL)、1N HCl(5×60mL)、1N NaOH(1×100mL)、ブライン(1×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮し、12.6gの表題化合物(収率92%;HPLCに基づいた純度85%)を得た。MS m/z:[M+H] C2931に対する計算値、486.2;実測値、486.4。R=3.12分(10−70 ACN:HO、逆相HPLC)。
(実施例1)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
2Lの三口フラスコに、イソニペコタミド(5.99g、40.0mmol)、酢酸(2.57mL)、硫酸ナトリウム(6.44g)およびIPA(400mL)を加えた。その反応混合物を、氷浴で、0〜10℃まで冷却し、そして調製5の生成物(11g、22.7mmol)のIPA(300mL)溶液をゆっくりと加えた。この反応混合物を、室温で、2時間撹拌し、次いで、0〜10℃まで冷却した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(15.16g、68.5mmol)を少しずつ加え、この混合物を、室温で、16時間撹拌した。次いで、その反応混合物を、減圧下にて、約50mLの容量まで濃縮し、この混合物を、1N HCl(200mL)で、pH3まで酸性化した。得られた混合物を、室温で、1時間撹拌し、次いで、DCM(3×250mL)で抽出した。次いで、水相を、氷浴で、0〜5℃まで冷却し、そして50%NaOH水溶液を加えて、その混合物のpHを10に調製した。次いで、この混合物を酢酸イソプロピル(3×300mL)で抽出し、合わせた有機層を、水(100mL)、ブライン(2×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、10.8gの表題化合物(収率80%)を得た。MS m/z:[M+H] C3543に対する計算値、598.3;実測値、598.6。R=2.32分(10−70 ACN:HO、逆相HPLC)。
(実施例1A)
以下の手順を使用して、二リン酸塩として、ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステルもまた調製した:
実施例1の生成物5.0gを、IPA:ACN(1:1)80mLと混ぜ合わせた。水4.0mLを加え、その混合物を、撹拌下にて、50℃まで加熱すると、透明溶液が形成された。これに、50℃で、1Mリン酸16mLを加えた。得られた濁った溶液を、50℃で、5時間撹拌し、次いで、ゆっくりとした撹拌下にて、一晩にわたって、外界温度まで冷却した。得られた結晶を濾過により集め、1時間空気乾燥し、次いで、真空下にて、18時間乾燥して、白色結晶性固形物(HPLCにより、98.3%の純度)として、表題化合物の二リン酸塩(5.8g、収率75%)を得た。
(実施例1B)
以下の手順を使用して、一硫酸塩として、ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステルもまた調製した。
実施例1の生成物442mg(96%純粋な物質0.739mmol)をHO:ACN(1:1)5mLに吸収させ、そのpHをモニターしつつ、1N硫酸1.45mLをゆっくりと加えた。このpHを約pH3.3に調節した。その透明溶液を0.2ミクロンのフィルターで濾過し、凍結させ、そして乾燥状態まで凍結乾燥した。凍結乾燥した物質161gを、IPA:ACN(10:1)8.77mLに溶解した。バイアルを予め70℃に加熱した水浴に1.5時間置くことにより、その懸濁液を加熱した。5分以内に、油滴が形成された。この加熱を60℃まで下げ、その混合物をさらに1.5時間加熱し、続いて、50℃で40分間、40℃で40分間、次いで、30℃で45分間加熱した。加熱を止め、この混合物を室温までゆっくりと冷却した。翌日、物質を顕微鏡で見ると、針状物および板状物が認められた。次いで、この物質を、40℃で2時間、35℃で30分間、次いで、30℃で30分間加熱した。加熱を止め、この混合物を室温までゆっくりと冷却した。次いで、固形物を濾過し、そして真空ポンプを使用して、1時間乾燥して、表題化合物の一硫酸塩(117mg、収率73%)を得た。
(実施例1C)
以下の手順を使用して、二シュウ酸塩として、ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステルもまた調製した。
実施例1の生成物510mg(96%純粋な物質0.853mmol)をHO:ACN(1:1)5mLに吸収させ、そのpHをモニターしつつ、1Mシュウ酸水溶液1.7mLをゆっくりと加えた。このpHを約pH3.0に調節した。その透明溶液を0.2ミクロンのフィルターで濾過し、凍結させ、そして乾燥状態まで凍結乾燥した。凍結乾燥した物質150mgを、94%IPA/6%HO(13.1mL)に溶解した。その混合物を、予め60℃に加熱した水浴にて、2.5時間加熱した。加熱を止め、その混合物を室温まで冷却した。バイアルを4℃で冷却した。6日後、このバイアルの側面にて、油状物質が認められ、これは、結晶であるように見えた。次いで、このバイアルを室温に到達させ、その時点で、シード(下記のように合成)を加え、そして16日間置いた。この間、さらに多くの結晶が溶液から出てくるのが観察された。次いで、固形物を濾過し、そして真空ポンプを使用して、14時間乾燥して、表題化合物の二シュウ酸塩(105mg、収率70%)を得た。
(シードの合成)
実施例1の生成物510mg(96%純粋な物質0.853mmol)をHO:ACN(1:1)5mLに吸収させ、そのpHをモニターしつつ、1Mシュウ酸水溶液1.7mLをゆっくりと加えた。このpHを約pH3.0に調節した。その透明溶液を0.2ミクロンのフィルターで濾過し、凍結させ、そして乾燥状態まで凍結乾燥して、二シュウ酸塩を得た。この二シュウ酸塩31.5mgを、94%IPA/6%HO 2.76mLに溶解した。その混合物を、予め60℃に加熱した水浴にて、2.5時間加熱した。25分後、全ての試料が溶液になった。加熱を止め、その混合物を室温まで冷却した。翌日、少量の粘稠物質が存在していた。バイアルを4℃で冷却した。4日後、この粘稠物質は、依然として存在していた。次いで、このバイアルを室温で置き、1ヶ月後に観察した。この物質は固形に見え、顕微鏡下にて、結晶性であると認められた。次いで、固形物を濾過し、そして真空ポンプを使用して、1時間乾燥して、表題化合物の二シュウ酸塩(20mg、収率63.5%)を得た。
(実施例1D)
以下の手順を使用して、遊離塩基結晶として、ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステルもまた調製した。
実施例1の生成物230mgを、僅かに加熱して、HO:ACN(1:1)0.2mLに溶解した。次いで、その混合物を、70℃の水浴にて、2時間加熱した。加熱を止め、この混合物を室温まで冷却し、次いで、4℃で、1時間冷却した。次いで、水50μLを加え(油状物が分離した(oiled out))、続いて、ACN(40μL)を加えて、その試料を溶液に戻した。ゆっくりとした撹拌下にて、室温で、シード(下記のように合成)を加えた。結晶が形成し始め、その混合物を、ゆっくりと撹拌しつつ、一晩置いた。翌日、加熱冷却サイクルを適用した(30℃で10分間、40℃で10分間、次いで、50℃で20分間)。加熱を止め、この混合物を、ゆっくりと撹拌しつつ、一晩冷却した。翌日、第二加熱/冷却サイクルを適用した(60℃で1時間、70℃で溶解が認められた)。加熱を止め、この混合物を、ゆっくりと撹拌しつつ、一晩冷却した。翌日、結晶が存在しており、第三の加熱冷却サイクルを適用した(60℃で3時間)。加熱を止め、この混合物を、ゆっくりと撹拌しつつ、一晩冷却した。翌日、加熱冷却サイクルを適用した(60℃で3時間、ゆっくりと冷却、次いで、60℃で3時間)。加熱を止め、この混合物を、ゆっくりと撹拌しつつ、一晩冷却した。3日後、固形物を濾過し、そして高真空ラインに置いて、全ての溶媒を除去して、表題化合物の遊離塩基結晶を得た。
(シードの合成)
実施例1の生成物109mgを、HO:ACN(1:1)0.56mLに溶解した。その懸濁液をバイアルに入れて(上部にゆるく蓋をした)、ゆっくりとした蒸発時間を与えた。このバイアルを窒素流環境に置いたが、窒素は、蒸発には使用せず、この環境のためだけに使用した。1日以内に、沈澱物が見え、これは、顕微鏡下にて、結晶性であると認められた。次いで、固形物を高真空ラインに置いて、全ての溶媒を除去して、遊離塩基結晶を得た。定量回収、HPLCにより97.8%純粋。
(実施例1E)
以下の代替手順を使用して、遊離塩基結晶として、ビフェニル−2−イルカルバミン酸
1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステルもまた調製した。
実施例1の生成物70mgをACN(0.1mL)に溶解した。MTBE(0.3mL)を加えた後、その溶液は、濁って見えた。ACN(50μL)を追加して、この溶液を透明にした(155mg/ml ACN:MTBE=1:2)。その混合物をバイアルに入れ、蓋をした。翌日、固形物が見えた。次いで、この固形物を濾過し、そして高真空ラインに置いて、全ての溶媒を除去して、表題化合物の遊離塩基結晶を得た。
(実施例2)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−ベンゾイル]エチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
実施例1の手順を使用し、調製2において、N−ベンジル−N−メチルエタノールアミンに代えてN−ベンジル−N−エチルエタノールアミンで置き換えて、表題化合物を調製した。MS m/z:[M+H] C3645に対する計算値、612.3;実測値、612.6。
(調製6)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−メチルエステルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
100mlの三口フラスコに、イソニペコ酸メチル(344mg、2.4mmol)、酢酸(136μL)、硫酸ナトリウム(341mg)およびIPA(20mL)を加えた。その反応混合物を、氷浴で、0〜10℃まで冷却し、そして調製5の生成物(600mg、1.24mmol)のIPA溶液(10mL)をゆっくりと加えた。その反応混合物を、室温で、1時間撹拌し、次いで、0〜10℃まで冷却した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(763mg、3.6mmol)を少しずつ加えた。室温で、16時間撹拌した後、次いで、この反応混合物を、減圧下にて、約5mLの容量まで濃縮し、そしてDCM(50mL)で希釈した。有機層を、0.5N HCl(2×30mL)、水(2×30mL)、ブライン(2×30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、700mgの表題化合物を得た。(収率92%、MS m/z:[M+H] C3644に対する計算値、612.8;実測値、613.5)。
(実施例3)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{メチル−[4−(4−メチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
4mLバイアルに、調製6の生成物(61.2mg、0.1mmol)およびメチルアミン(1mL、MeOH中で2M)を加えた。その反応混合物を、60℃で、72時間加熱し、そして分取HPLCで精製して、46.9mgの表題化合物を得た。(MS m/z:[M+H] C3645に対する計算値、611.8;実測値、612.4)。
(実施例4)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−エチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
実施例3の手順を使用し、メチルアミン(1mL、MeOH中で2M)に代えてエチルアミン(1mL、EtOH中で2M)で置き換えて、17mgの表題化合物を調製した。(MS m/z:[M+H] C3747に対する計算値、625.8;実測値、626.4)。
(実施例5)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{メチル−[4−(4−プロピルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
4mLバイアルに、調製6の生成物(61.2mg、0.1mmol)およびプロピルアミン(1mL)を加えた。その反応混合物を、60℃で、24時間加熱し、そして分取HPLCで精製して、39.5mgの表題化合物を得た。(MS m/z:[M+H
3849に対する計算値、639.8;実測値、640.4)。
(実施例6)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−イソプロピルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
実施例5の手順を使用し、プロピルアミン(1mL)に代えてイソプロピルアミン(1mL)で置き換えて、27.8mgの表題化合物を調製した。(MS m/z:[M+H] C3849に対する計算値、639.8;実測値、640.4)。
(調製7)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−Boc−アミノエチル)ピペリジン−4−イルエステル)
DCM(0.43L)中の調製1の生成物(25.4g、85.6mmol)を含む1Lフラスコに、DIPEA(29.9mL、171.1mmol)および臭化2−(Boc−アミノ)エチル(21.8g、94.4mmol)を加えた。次いで、その反応物を、50℃で、一晩(約18時間)加熱した。一晩の後、次いで、この反応物を0℃まで冷却して、生成物の沈殿物を誘発した。この沈殿物を濾過し、そして集めて、収率42%(15.8g)で、表題化合物を得た。MS m/z:[M+H] C2533に対する計算値、439.3;実測値、440.4。
(調製8)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2アミノエチル)ピペリジン−4−イルエステル)
1:1のDCM:TFA(50mL)に調製7の生成物(3.5g、8.1mmol)を加え、その反応物を、室温で、30分間撹拌した。完結すると、この反応物をDCM(125mL)で希釈し、その混合物を1N NaOH(200mL)で洗浄した。次いで、有機層を、水(200mL)、NaCl(飽和)(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、次いで、濾過した。減圧下にて溶媒を除去した。粗製物質は、さらに精製することなく使用するのに十分に純粋であった。収率94%(2.6g、7.6mmol)で、表題化合物を得た。MS m/z:[M+H] C2025に対する計算値、339.2;実測値、339.6。
(調製9)
(2−フルオロ−4−ホルミル安息香酸)
4−シアノ−2−フルオロ安息香酸(2.5g、15.2mmol)のDCM(100mL)撹拌溶液を−78℃まで冷却し、これに、Hの発生に注意して、DIBAL(30mL、45.4mmol、トルエン中で25%)を滴下した。これを、−78℃で、4時間撹拌した。その反応を、Hの発生に注意して、MeOH(10mL)を加えることにより、クエンチした。次いで、有機層を、1N HCl(100mL)、水(100mL)、NaCl(飽和)(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、次いで、濾過した。減圧下にて溶媒を除去した。その粗製物質は、さらに精製することなく使用するのに十分に純粋であった。収率78%(2.0g、11.9mmol)で、表題化合物を得た。
(実施例7)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−{2−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
実施例1の手順を使用し、調製5において、調製4の生成物に代えて調製8の生成物で置き換え、そして4−カルボキシベンズアルデヒドに代えて調製9の生成物で置き換えて、表題化合物を調製した。MS m/z:[M+H] C3440FNに対する計算値、601.7;実測値、602.2。
(実施例8)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
実施例1の手順を使用し、調製5において、4−カルボキシベンズアルデヒドに代えて調製9の生成物で置き換えて、表題化合物を調製した。MS m/z:[M+H] C3542FNに対する計算値、615.8;実測値、616.2。
(調製10)
(ピペリジン−4−カルボン酸ジエチルアミド)
1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−カルボン酸(5g、22.0mmol)のDMF(100mL)撹拌溶液に、ジエチルアミン(4.6mL、44mmol)、トリエチルアミン(9.1mL、66.0mmol)、HOAt(22.0mL、DMF中で0.5M、22.0mmol)を加え、最後に、EDCI(8.4g、44mmol)を加えた。これを、室温で、14時間撹拌した。次いで、減圧下にて溶媒を除去した。その混合物をDCM(100mL)に吸収させた。次いで、有機層を、水(100mL)、1N HCl(100mL)、NaCl(飽和)(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、次いで、濾過した。この有機層にTFA(33mL)を加えた。その反応物を、室温で、2時間撹拌した。次いで、減圧下にて溶媒を除去した。この混合物をDCM(100mL)に吸収させた。次いで、有機層を、1N NaOH(100mL)、水(100mL)、NaCl(飽和)(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、次いで、濾過した。減圧下にて溶媒を除去した。粗製物質は、さらに精製することなく使用するのに十分に純粋であった。収率86%(3.5g、19.0mmol)で、表題化合物を得た。
(実施例9)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−{2−[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
実施例1の手順を使用し、調製5において、4−カルボキシベンズアルデヒドに代えて調製9の生成物で置き換え、調製4の生成物に代えて調製8の生成物で置き換え、実施例1において、イソニペコタミドに代えて調製10の生成物で置き換えて、表題化合物を調製した。MS m/z:[M+H] C3848FNに対する計算値、657.8;実測値、658.4.
(実施例10)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−フルオロベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
実施例1の手順を使用し、調製5において、4−カルボキシベンズアルデヒドに代えて調製9の生成物で置き換え、実施例1において、イソニペコタミドに代えて調製10の生成物で置き換えて、表題化合物を調製した。MS m/z:[M+H] C3950FNに対する計算値、671.9;実測値、672.4。
(実施例11)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
イソニペコタミドに代えて調製10の生成物で置き換えたこと以外は、実施例1の手順を使用して、表題化合物を調製した。MS m/z:[M+H] C3951に対する計算値、653.9;実測値、654.4。
(実施例12)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(3−(S)−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
イソニペコタミドに代えてピペリジン−3−(S)−カルボン酸ジエチルアミドで置き換えたこと以外は、実施例1の手順を使用して、表題化合物を調製した。MS m/z:[M+H] C3951に対する計算値、653.9;実測値、654.4。
ピペリジン−3−(S)−カルボン酸ジエチルアミドの調製は、Chirality 7(2):90−95(1995)に従って、行った。
(調製11)
(N−{2−[4−(ビフェニル−2−イルカルバモイルオキシ)ピペリジン−1−イル]エチル}−2,5−ジブロモ−N−メチルテレフタラミン酸)
DMF(20mL)中の調製1の生成物(2.5g、7.1mmol)を含む100mLフラスコに、2,5−ジブロモテレフタル酸(6.88g、21.2mmol)を加え、続いて、DIPEA(1.6mL、9.2mmol)およびHATU(3.23g、8.5mol)を加えた。その黄色スラリーを、室温で、3時間撹拌した(溶液中の全ての物質は反応の完結に従った)。その反応混合物をDCM(200mL)で希釈した。この溶液に、1N NaOH(150mL)およびMeOH(塩基の添加に続いて認められた細かい白色沈殿物を溶解するために加えられる最小量)。この溶液を分液漏斗に移し、そして水層を捨てた。有機層を1N HCl(1×150mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて溶媒を除去して、7gの表題化合物を得た(残留DMFの存在のために、収率>100%)。この物質を、さらに精製することなく、使用した。MS m/z:[M+H] C2929Brに対する計算値、659.4;実測値、660.3。R=3.39分(2−90 ACN:HO、逆相HPLC)。
(調製12)
(N−{2−[4−(ビフェニル−2−イルカルバモイルオキシ)ピペリジン−1−イル]エチル}−2,5−ジブロモ−N−メチルテレフタラミン酸メチルエステル)
調製11の生成物(7.0g、10.6mmol)を含む100mLフラスコに、トルエン/MeOH(9:1、70mL)の溶液を加えた。固形物質の全ては溶解しなかったので、MeOH(3mL)を追加した。その溶液を、氷浴で、0℃まで冷却し、そして注射器を経由して、トリメチルシリルジアゾメタン(2.0Mヘキサン溶液、6.3mL、12.7mmol)を加えた。その反応混合物を室温まで温めた。2時間撹拌した後、HPLCおよびMS分析により、この反応が完結していなかったことが示された。トリメチルシリルジアゾメタン(10.0mL)を追加し、その反応物を、室温で、70時間撹拌した。HPLCにより、この反応が完結していなかったことが示されたものの、この反応混合物に酢酸(15mL)を加え、そして得られた溶液を減圧下にて濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(これは、溶離液として、DCM中の2%〜5%MeOHの勾配溶出を使用する)で精製して、2.32gの表題化合物(収率49%)を得た。MS m/z:[M+H] C3031Brに対する計算値、673.4;実測値、674.3。R=4.26分(2−90 ACN:HO、逆相HPLC)。
(調製13)
(ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−{2−[(2,5−ジブロモ−4−ヒドロキシメチルベンゾイル)メチルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル)
調製12の生成物(2.2g、3.3mmol)を含む100mLフラスコに、THF(35mL)を加えた。氷浴を使用して、その混合物を約0℃まで冷却し、そして注射器を経由して、水素化リチウムアルミニウム(1.0M THF溶液、6.6mL、6.6mmol)を加えた。得られたスラリーを、室温で、4時間撹拌した。1N NaOH(100mL)を加えることにより、その反応をクエンチした。水層を分離し、そして有機層をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて濃縮した(HPLCにより、80.2%純粋)。粗生成物の一部を分取HPLC(20−40 ACN:HO、逆相HPLC)で精製して、317mgのTFA塩を得た。所望生成物のTFA塩を、EtOAc(10mL)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)との間で分配した。有機層をブライン(5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、223.6mgの表題化合物を得た。MS m/z:[M+H] C2931Brに対する計算値、645.4;実測値、646.3。R=3.56分(10−70 ACN:HO、逆相HPLC)。
(調製14)
(メタンスルホン酸 4−({2−[4−(ビフェニル−2−イルカルバモイルオキシ)ピペリジン−1−イル]エチル}メチルカルバモイル)−2,5−ジブロモベンジルエステル)
調製13の生成物(223.6mg、0.346mmol)を含む25mLフラスコに、DCM(10mL)を加え、続いて、DIPEA(135.5μL、0.778mmol)および塩化メタンスルホニル(41μL、0.528mmol)を加えた。その反応物を、室温で、30分間撹拌した。次いで、この反応混合物に、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を加えた。水層を捨て、そして有機層をブライン(5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて濃縮して、229mgの表題化合物(収率91%)を得た。MS m/z:[M+H] C3033BrSに対する計算値、723.5;実測値、724.3。R=3.77分(10−70 ACN:HO、逆相HPLC)。
(実施例13)
(ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[2,5−ジブロモ−4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
調製14の生成物(229mg、0.316mmol)を含む25mLフラスコに、イソニペコタミド(48.7mg、0.380mmol)、DIPEA(110.2μL、0.633mmol)およびACN(4mL)を加えた。その反応混合物を、窒素雰囲気下にて、室温で、63時間撹拌した。次いで、この反応混合物をDCM(15mL)で希釈し、そして炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。1.0N HCl(2×10mL)を使用して、生成物を水層に抽出した。この水層をDCM(2×15mL)で洗浄し、1.0N NaOHを使用して、そのpHを10〜11に調節した。次いで、この混合物をDCM(3×20mL)で抽出し、そして合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、表題化合物を得た。MS m/z:[M+H] C3541Brに対する計算値、756.5;実測値、756.3。R=2.65分(10−70 ACN:HO、逆相HPLC)。
(実施例14)
(ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[4−(2−カルバモイル−ピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
実施例1で記述した手順を使用して、適当な出発物質で置き換えて、表題化合物を調製した。MS m/z:[M+H] C3543に対する計算値、598.3;実測値、597.8。
(実施例15)
(ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイル−ピペリジン−1−イルメチル)−2−メトキシベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル)
Figure 2011219500
4−ブロモ−3−メトキシ−安息香酸(15.0g、58mmol)のDMSO(150mL)撹拌溶液に、NaHCO(20.0g、230mmol)を加えた。これを、18時間にわたって、80℃まで加熱した。次いで、その反応物を室温まで冷却し、そして減圧下にて溶媒を除去した。次いで、この粗反応混合物をDCM(200mL)に溶解し、そして1N HCl(100mL)、水(100mL)、NaCl(飽和)(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、次いで、濾過した。減圧下にて溶媒を除去した。粗製物質は、さらに精製することなく使用するのに十分に純粋であった。収率79%(8.9g、45.8mmol)で、生成物である4−ホルミル−3−メトキシ安息香酸メチルエステルが得られた。
4−ホルミル−3−メトキシ−安息香酸メチルエステル(5.0g、26mmol)のtert−ブチルアルコール(200mL)撹拌溶液に、NaHPO−2HO(3.6g、26mmol)、水(50mL)、2−メチル−2−ブテン(11mL、104mmol)を加え、最後に、NaClO(7.02g、78mmol)を加えた。その反応物を、室温で、4時間撹拌した。次いで、減圧下にて溶媒を除去した。次いで、この粗反応混合物をDCM(200mL)に溶解し、そして生成物を1N NaOH(200mL)で抽出した。水層をDCM(200mL)で洗浄し、次いで、6N HCl(約40mL)で中和し、この生成物をDCM(200mL)で抽出した。次いで、有機層を、水(100mL)、NaCl(飽和)(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、次いで、濾過した。減圧下にて溶媒を除去した。粗製物質は、さらに精製することなく使用するのに十分に純粋であった。収率47%(2.4g、12.3mmol)で、生成物である2−メトキシテレフタル酸 4−メチルエステルが得られた。
2−メトキシテレフタル酸 4−メチルエステル(450mg、2.1mmol)のDMF(10mL)撹拌溶液に、EDC(630mg、3.3mmol)、HOAt(2.4mL、1.18mmol、DMF中で0.5M)およびDIPEA(1.3mL、7.05mmol)を加えた。その混合物が均一になったとき、調製4の生成物の溶液(830mg、2.4mmol)をゆっくりと加えた。この反応混合物を、室温で、16時間撹拌し、次いで、水(100mL)、1N HCl(100mL)、1N NaOH(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、収率89%(1.04g、1.9mmol)で、エステル生成物を得た。MS m/z:[M+H] C3135に対する計算値、545.6;実測値、546.6。
このエステル生成物(1.0g、1.8mmol)のTHF(100mL)撹拌溶液に、0℃で、メタノール(57μL、1.8mmol)を加え、続いて、LiAlH(1.8mL、1.8mmol、THF中で1.0M)を加えた。氷浴を取り除き、その反応混合物を、室温で、1時間撹拌した。この反応を、0℃で、もはや泡立たなくなるまで、1N HCl(水溶液)でクエンチし、撹拌を10分間継続した。減圧下にて溶媒を除去した。この粗反応混合物をDCM(100mL)に吸収させ、そして水(100mL)、NaCl(飽和)(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、次いで、濾過した。減圧下にて溶媒を除去した。粗製物質は、さらに精製することなく使用するのに十分に純粋であった。収率89%(831mg、1.6mmol)で、このアルコール生成物が得られた。MS m/z:[M+H] C3035に対する計算値、517.6;実測値、518.6。
このアルコール生成物(78mg、1.5mmol)のDCM(2.5mL)撹拌溶液に、−15℃で、DMSO(130μL、22.5mmol)、DIPEA(130μL、7.5mmol)を加えた。その溶液に、三酸化硫黄−ピリジン錯体(240mg、15mmol)を加えた。30分後、その反応混合物をHO(約3mL)でクエンチした。2層を分離し、有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、そしてアルデヒド生成物を、次の反応で、直接使用した。
調製5の生成物に代えてこのアルデヒド生成物を置き換えたこと以外は、実施例1の手順を使用して、表題化合物を調製した。MS m/z:[M+H] C3645に対する計算値、627.3;実測値、628.2。
本明細書中で記述した手順を使用し、適当な出発物質で置き換えて、以下の化合物を調製した:
実施例16 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3341Sに対する計算値、604.3;実測値 604.2。
実施例17 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H
3749Sに対する計算値、660.4;実測値 660.4。
実施例18 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3647Sに対する計算値、646.3;実測値 646.4。
実施例19 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)チオフェン−2−カルボニル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3239Sに対する計算値、590.3;実測値 590.2。
実施例20 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイル ピペリジン−1−イルメチル)−1H−ピロール−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3750に対する計算値、643.4;実測値 643.2。
実施例21 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−1H−ピロール−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3342に対する計算値、587.3;実測値 587.2。
実施例22 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイル ピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3749に対する計算値、644.4;実測値 644.4。
実施例23 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−ジエチルカルバモイル−ピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3749に対する計算値、644.4;実測値 644.4。
実施例24 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]−アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3239に対する計算値、574.3;実測値 574.2。
実施例25 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{[5−((R)−3−ジエチルカルバモイル ピペリジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3647に対する計算値、630.4。
実施例26 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−[2−({3−[4−(3−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニル}メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3747に対する計算値、626.4;実測値 625.8。
実施例27 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−[2−({3−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニル}メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3747に対する計算値、626.4;実測値 625.8。
実施例28 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{3−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C3645に対する計算値、612.4;実測値 611.8。
実施例29 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{3−[4−(4−ジエチルカルバモイル ピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C4053に対する計算値、668.4;実測値 667.9。
実施例30 − ビフェニル−2−イル−カルバミン酸 1−(2−{3−[4−(3−ジエチルカルバモイル ピペリジン−1−イルメチル)フェニル]プロピオニルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル。MS m/z:[M+H] C4053に対する計算値、668.4;実測値 667.9。
本明細書中で記述した手順を使用し、適当な出発物質で置き換えて、以下の化合物を調製し得る:
実施例31 − ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−{2−[4−(4−カルバモイル−ピペリジン−1−イルメチル)ベンゾイルアミノ]エチル}ピペリジン−4−イルエステル;
実施例32 − ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−クロロ−ベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
実施例33 − ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−(2−{[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)−2−クロロ−5−メトキシベンゾイル]メチルアミノ}エチル)ピペリジン−4−イルエステル;
実施例34 − ビフェニル−2−イルカルバミン酸 1−[2−({2−[4−(4−カルバモイルピペリジン−1−イルメチル)フェニル]アセチル}メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イルエステル。
(アッセイ1 放射性リガンド結合アッセイ)
(A.hMムスカリン性レセプターサブタイプ、hMムスカリン性レセプターサブタイプ、hMムスカリン性レセプターサブタイプおよびhMムスカリン性レセプターサブタイプを発現する細胞からの膜調製)
クローニングされたヒトのhMムスカリン性レセプターサブタイプ、hMムスカリン性レセプターサブタイプ、hMムスカリン性レセプターサブタイプおよびhMムスカリン性レセプターサブタイプを安定に発現するCHO細胞株をそれぞれ、10% FBSおよび250μg/mL ジェネテシンを補充したHAM F−12からなる培地中でほぼコンフルーエンシーまで増殖させた。細胞を5%CO、37℃のインキュベーター内で増殖させ、dPBS中2mMのEDTAを用いて浮遊させた。650×gでの5分間の遠心分離により、細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃にて凍結保存するか、または膜をすぐに調製した。膜の調製のために、細胞ペレットを溶解緩衝液に再懸濁し、Polytron PT−2100組織分離機(disrupter)(Kinematica
AG;20秒×2バースト)を用いてホモジェネートした。粗製の膜を、4℃にて15分間、40,000×gで遠心分離した。次いでこの膜ペレットを、再懸濁緩衝液で再懸濁し、Polytron組織分離機で再度ホモジェネートした。この膜懸濁液のタンパク質濃度を、Lowry,O.ら、Journal of Biochemistry、193:265(1951)に記載される方法で決定した。全ての膜を、−80℃にてアリコートで凍結保存するかまたはすぐに使用した。調製したhMレセプター膜のアリコートを、Perkin Elmerから直接購入し、そして使用まで−80℃で保存した。
(B.hMムスカリン性レセプターサブタイプ、hMムスカリン性レセプターサブタイプ、hMムスカリン性レセプターサブタイプおよびhMムスカリン性レセプターサブタイプおよびhMムスカリン性レセプターサブタイプに対する放射性リガンド結合アッセイ)
96ウェルマイクロタイタープレートで100μLの総アッセイ体積にて、放射性リガンド結合アッセイを行った。hM、hM、hM、hMまたはhMのムスカリン性サブタイプのいずれかを安定に発現するCHO細胞膜を、以下の特定の標的タンパク質濃度(μg/ウェル)までアッセイ緩衝液中で希釈した:hMについて10μg、hMについて10〜15μg、hMについて10〜20μg、hMについて10〜20μg、およびhMについて10〜12μg。この膜を、アッセイプレートへの添加の前に、Polytron組織分離機を使用して、短時間ホモジェネートした(10秒間)。0.001nM〜20nMの範囲の濃度のL−[N−メチル−H]スコポラミンメチル塩酸塩([H]−NMS)(TRK666、84.0 Ci/mmol、Amersham Pharmacia Biotech、Buckinghamshire、England)を使用して、放射性リガンドのK値を決定するための飽和結合研究を行った。1nMおよび11点の異なる試験化合物濃度の[H]−NMSを用いて試験化合物のK値を決定するための置換アッセイを行った。最初に、この試験化合物を、希釈緩衝液中に400μMの濃度に溶解させ、次いで、希釈緩衝液を用いて段階的に5倍希釈し、10pM〜100μMの範囲の最終濃度にした。アッセイプレートへの添加の順序および体積は、以下のとおりであった:25μLの放射性リガンド、25μLの希釈した試験化合物、および50μLの膜。アッセイプレートを37℃で60分間インキュベートした。1% BSAで前処理したGF/Bガラス繊維フィルタープレート(PerkinElmer Inc.、Wellesley、MA)での急速濾過によって結合反応を終了した。フィルタープレートを、洗浄緩衝液(10mM HEPES)で3回リンスして、非結合性の放射能を除去した。次いで、このプレートを風乾し、50μLのMicroscint−20液体シンチレーション流体(PerkinElmer Inc.、Wellesley、MA)を各ウェルに添加した。次いで、このプレートを、PerkinElmer Topcount液体シンチレーションカウンター(PerkinElmer Inc.,Wellesley,MA)でカウントした。1部位競合モデルを使用してGraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)を用いた非線形回帰分析により、結合データを分析した。Cheng−Prusoff式(Cheng Y;Prusoff W.H.、Biochemical Pharmacology、22(23):3099−108(1973))を使用して放射性リガンドの観察されたIC50値およびK値から、試験化合物についてのK値を計算した。K値を、pK値に変換して、相乗平均および95%信頼区間を決定した。次いで、これらの基本統計量をデータ報告のためにK値に逆変換した。
このアッセイにおいて、より低いK値は、上記の試験化合物が、試験したレセプターに対してより高い結合親和性を有することを示唆する。例えば、実施例1の化合物および実施例2の化合物は、このアッセイにおいて、Mムスカリン性レセプターサブタイプに対して約5nM未満のK値を有することを見出した。
(アッセイ2 ムスカリンレセプター機能効力アッセイ)
(A.cAMP蓄積のアゴニスト媒介性阻害の遮断)
このアッセイにおいて、hMレセプターを発現するCHO−K1細胞における、試験化合物がフォルスコリン媒介性cAMP蓄積のオキソトレモリン阻害を遮断する能力を測定することによって、試験化合物の機能効力を決定した。
cAMPアッセイを、製造業者の指示書に従って、125I−cAMPを用いたFlashplate Adenylyl Cyclase Activation Assay System(NEN SMP004B、PerkinElmer Life Sciences Inc.、Boston、MA)を使用した放射免疫アッセイ形式で行った。
上の細胞培養および膜調製の節に記載されるように、細胞を、dPBSで1回リンスし、トリプシン−EDTA溶液(0.05%トリプシン/0.53mM EDTA)を用いて浮遊させた。50mLのdPBS中で5分間650×gで遠心分離することによって、剥がした細胞を2回洗浄した。次いで、この細胞ペレットを10mLのdPBS中に再懸濁し、Coulter Z1 Dual Particle Counter(Beckman Coulter,Fullerton,CA)を用いて、この細胞をカウントした。この細胞を650×gにて5分間再度遠心分離し、1.6×10〜2.8×10細胞/mLのアッセイ濃度に刺激緩衝液中に再懸濁した。
試験化合物を、最初、希釈緩衝液(1mg/mL BSA(0.1%)を補充したdPBS)中に400μMの濃度に溶解し、次いで、100μM〜0.1nMの範囲の最終モル濃度に希釈緩衝液を用いて段階希釈した。オキソトレモリンを、同様の様式で希釈した。
アデニリルシクラーゼ(AC)活性のオキソトレモリン阻害を測定するために、25μLのフォルスコリン(dPBSに希釈した25μMの最終濃度)、25μLの希釈オキソトレモリン、および50μLの細胞を、アゴニストアッセイウェルに添加した。試験化合物がオキソトレモリン阻害性AC活性を遮断する能力を測定するために、25μLのフォルスコリンおよびオキソトレモリン(dPBSに希釈した、それぞれ、25μMおよび5μMの最終濃度)、25μLの希釈試験化合物、および50μLの細胞を、残りのアッセイウェルに添加した。
反応を、37℃で10分間インキュベートし、そして100μLの氷冷検出緩衝液を添加することによって、停止した。プレートをシールし、室温で一晩インキュベートし、そして翌朝PerkinElmer TopCount液体シンチレーションカウンター(PerkinElmer Inc.、Wellesley、MA)でカウントした。製造業者のユーザマニュアルに記載されるように、サンプルおよびcAMP標準物について観察されたカウントに基づいて、生成されるcAMPの量(pmol/ウェル)を計算した。非線形回帰(1部位競合式)を使用したGraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)での非線形回帰分析によって、データを分析した。Cheng−Prusoff式を使用し、それぞれ、Kおよび[L]としてオキソトレモリン濃度応答曲線のEC50およびオキソトレモリンアッセイ濃度を使用してKを計算した。K値を、pK値に変換して、相乗平均および95%信頼区間を決定した。次いで、これらの基本統計量をデータ報告のためにK値に逆転換した。
このアッセイにおいて、より低いK値は、上記の試験化合物が試験したレセプターでより高い機能活性を有することを示す。本アッセイにおいて試験した本発明の例示的化合物は、代表的に、hMレセプターを発現するCHO−K1細胞におけるフォルスコリン媒介性cAMP蓄積についてのオキソトレモリン阻害の遮断に対し、約10nM未満のK値を有することが見出された。例えば、実施例1の化合物は、10nM未満のK値を有することが見出された。
(B.アゴニスト媒介性[35S]GTPγS結合の遮断)
第2の機能アッセイにおいて、hMレセプターを発現するCHO−K1細胞におけるこの化合物がオキソトレモリン刺激した[35S]GTPγS結合を遮断する能力を測定することによって、試験化合物の機能効力を決定し得る。
使用時に、凍結した膜を解凍し、次いで1ウェルあたり5〜10μgのタンパク質の最終標的組織濃度で、アッセイ緩衝液中に希釈する。膜を、Polytron PT−2100組織分離機を使用して短時間ホモジェネートし、次いで、アッセイプレートに添加する。
各実験において、アゴニストであるオキソトレモリンによる[35S]GTPγS結合の刺激に対するEC90値(90%最大応答についての有効濃度)を決定する。
試験化合物がオキソトレモリン刺激した[35S]GTPγS結合を阻害する能力を決定するために、以下のものを、96ウェルプレートの各ウェルに添加する:[35S]GTPγS(0.4nM)を含む25μLのアッセイ緩衝液、25μLのオキソトレモリン(EC90)およびGDP(3μM)、25μLの希釈した試験化合物ならびにhMレセプターを発現する25μLのCHO細胞膜。次いで、このアッセイプレートを37℃で60分間インキュベートする。このアッセイプレートを、PerkinElmer 96−ウェルハーベスターを使用して1%BSAで前処理したGF/Bフィルターで濾過する。上記のプレートを、3秒間氷冷洗浄緩衝液で3回リンスし、次いで、風乾または減圧乾燥する。Microscint−20シンチレーション液体(50μL)を各ウェルに添加し、各プレートをシールし、topcounter(PerkinElmer)で放射能をカウントする。非線形回帰(1部位競合式)を使用したGraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)での非線形回帰分析によって、データを分析する。Cheng−Prusoff式を使用し、それぞれ、Kおよび[L](リガンド濃度)として試験化合物についての濃度応答曲線のIC50値およびアッセイにおけるオキソトレモリン濃度を使用してKを計算する。
このアッセイにおいて、より低いK値は、上記の試験化合物が試験したレセプターでより高い機能活性を有することを示唆する。このアッセイにおいて試験した本発明の例示的化合物は、代表的に、hMレセプターを発現するCHO−K1細胞におけるオキソトレモリン刺激した[35S]GTPγS結合の遮断に対し、約10nM未満のK値を有することが見出された。
(C.FLIPRアッセイを介したアゴニスト媒介性カルシウム放出の遮断)
タンパク質と結合するムスカリン性レセプターサブタイプ(Mレセプター、MレセプターおよびMレセプター)は、このレセプターにアゴニストが結合する場合にホスホリパーゼC(PLC)経路を活性化する。結果として、活性化PLCは、ホスファチジル(phosphatyl)イノシトール二リン酸(PIP)をジアシルグリセロール(DAG)およびホスファチジル−1,4,5−三リン酸(IP)に加水分解し、次いで、細胞内貯蔵(すなわち、小胞体および筋小胞体)からのカルシウム放出を生じる。FLIPR(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)アッセイは、遊離のカルシウムが結合するときに蛍光を発するカルシウム感受性色素(Fluo−4AM、Molecular Probes、Eugene、OR)を使用して、上記細胞内カルシウムの増加を利用する。この蛍光事象を、FLIPRにより、リアルタイムで測定する(このFLIPRは、ヒトMレセプターおよびヒトMレセプター、ならびにチンパンジーMレセプターを有するクローン化した細胞の単層由来の蛍光における変化を検出する)。アンタゴニストの効力は、アンタゴニストが細胞内カルシウムにおけるアゴニスト媒介性増加を阻害する能力によって決定され得る。
FLIPRカルシウム刺激アッセイのために、アッセイを行う前の夜に、hMレセプター、hMレセプターおよびcMレセプターを安定発現するCHO細胞を96ウェルFLIPRプレートに播種する。FLIPR緩衝液(カルシウムおよびマグネシウムを含まないHBSS緩衝化塩溶液中の10mM HEPES、pH 7.4、2mM塩化カルシウム、2.5mMプロベネシド)を用いて、Cellwash(MTX Labsystems,Inc.)により、播種した細胞を2回洗浄して、増殖培地を除去し、そして50μL/ウェルのFLIPR緩衝液を残す。次いで、37℃、5%二酸化炭素で40分間50μL/ウェルの4μM FLUO−4AM(2×溶液を作製した)でこの細胞をインキュベートする。色素のインキュベーション期間の後、細胞を、FLIPR緩衝液で2回洗浄し、50μL/ウェルの最終体積を残す。
アンタゴニスト効力を決定するために、オキソトレモリンについての細胞内Ca2+放出の用量依存性刺激を最初に決定し、それによって、後で、EC90濃度でのオキソトレモリン刺激に対するアンタゴニスト効力を測定し得る。20分間化合物希釈緩衝液で最初に細胞をインキュベートし、次いで、アゴニストを添加する。これは、FLIPRにより実行する。式EC=((F/100−F)^1/H)*EC50とともに以下のFLIPR測定およびデータ整理の節に記載した方法に従って、オキソトレモリンに対するEC90値を算出する。刺激プレート中で3×ECのオキソトレモリン濃度を調製し、EC90濃度のオキソトレモリンをアンタゴニスト阻害アッセイプレートの各ウェルに添加する。
FLIPRについて使用するパラメータは、以下である:0.4秒の暴露期間、0.5Wのレーザー強度、488nmの励起波長、および550nmの放射波長。アゴニストを添加する前に、10秒間蛍光における変化を測定することによりベースラインを決定する。アゴニスト刺激の後、FLIPRにより、1.5分間0.5〜1秒毎に蛍光の変化を連続的に測定して最大蛍光変化を得る。
蛍光の変化を、各ウェルについてベースラインライン蛍光を差し引いた最大蛍光として表す。生データを、シグモイド用量応答についての組み込みモデルを使用してGraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)を用いた非線形回帰により、薬物濃度の対数に対して分析する。Cheng−Prusoff式(ChengおよびPrusoff、1973)に従って、オキソトレモリンEC50値をKとして、およびリガンド濃度についてオキソトレモリンEC90を使用したPrismによって、アンタゴニストK値を決定する。
このアッセイにおいて、より低いK値は、上記の試験化合物が試験したレセプターでより高い機能活性を有することを示唆する。このアッセイにおいて試験した本発明の例示的化合物は、代表的に、hMレセプターを安定発現するCHO細胞におけるアゴニスト媒介性カルシウム放出の遮断に対し、約10nM未満のK値を有することが見出された。例えば、実施例1の化合物は、hMレセプターに対して約5nM未満のK値を有することが見出された。
(アッセイ3 アセチルコリン誘導性気管支収縮のモルモットモデルにおける気管支保護(bronchoprotection)の持続時間の決定)
このインビボアッセイを使用して、ムスカリン性レセプターアンタゴニスト活性を示す試験化合物の気管支保護効果を評価した。
体重250〜350gの6匹のオスモルモット(Duncan−Hartley(HsdPoc:DH)Harlan,Madison,WI)の群を、ケージカードによって個々に識別した。研究の間、動物に、自由に飼料と水とを利用可能とした。
全身曝露投薬チャンバ(R&S Molds,San Carlos,CA)において、試験化合物を10分間にわたって吸入により投与した。エアロゾルが、中央のマニホルドから6つの個々のチャンバに同時に送達されるように、投薬チャンバを準備した。モルモットをエアロゾルの試験化合物またはビヒクル(WFI)に曝露した。22psiの圧力でガスの混合物(CO=5%,O=21%およびN=74%)により駆動するLC Star Nebulizer Set(Model 22F51、PARI Respiratory Equipment,Inc.Midlothian、VA)を使用して、これらのエアロゾルを水溶液から作製した。この運転圧での噴霧器を介したガス流は、約3L/分であった。生じたエアロゾルを、陽圧によってチャンバ内に駆動した。希釈空気は、エアロゾル化溶液を送達する間に使用しなかった。10分間の噴霧の間に、約1.8mLの溶液を噴霧した。充填した噴霧器の噴霧前の重さと噴霧後の重さとを比較することによって、この値を重量測定した。
吸入経由で投与する試験化合物の気管支保護効果を、投与後1.5時間、24時間、48時間および72時間に全身プレチスモグラフィを使用して評価した。
肺評価を開始する45分前に、ケタミン(43.75mg/kg)、キシラジン(3.50mg/kg)およびアセプロマジン(1.05mg/kg)の筋肉内注射を用いて各モルモットを麻酔した。外科的部位を、剃毛し、70%アルコールで消毒した後に、首腹側面の2〜3cmの正中切開を施した。次いで、頚静脈を単離し、生理食塩水充填ポリエチレンカテーテル(PE−50、Becton Dickinson、Sparks、MD)でカニューレ挿入して、生理食塩中のACh(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)の静脈内注入を可能にした。次いで、気管を切開して分離し、14Gのテフロン(登録商標)チューブ(#NE−014、Small Parts、Miami Lakes、FL)でカニューレ挿入した。必要な場合、さらなる上述の麻酔用混合物の筋肉内注射によって麻酔を維持した。麻酔の深さをモニタリングし、そして動物が、動物の足をつまむことに応答する場合、または呼吸数が、100呼吸/分よりも多い場合、麻酔を調整した。
一旦カニューレ挿入が完了した場合、動物を、プレチスモグラフ(#PLY3114、Buxco Electronics,Inc.、Sharon、CT)の中へ置き、食道圧カニューレ(PE−160、Becton Dickinson、Sparks、MD)を挿入して、肺駆動圧(pressure)を測定した。テフロン(登録商標)気管チューブをプレチスモグラフの開口部に取り付けて、モルモットにチャンバの外側からの空気を呼吸させた。次いで、チャンバをシールした。加熱灯を使用して体温を維持し、10mLの較正シリンジ(#5520 Series、Hans Rudolph、Kansas City、MO)を使用して4mLの空気でモルモットの肺を3回膨張させて、下気道が、虚脱しないこと、および動物が過呼吸にならないことを保証した。
一旦ベースライン値が、コンプライアンスについて0.3〜0.9mL/cm HOの範囲内であること、および抵抗について1秒間あたり0.1〜0.199cm HO/mLの範囲であることを決定した場合、肺評価を開始した。Buxco肺測定コンピュータプログラムにより、肺の値の収集および導出を可能にした。
このプログラムを始めることにより、実験プロトコルおよびデータ収集を開始した。各呼吸でプレチスモグラフ内に生じる時間に対する体積の変化を、Buxco圧力トランスデューサを介して測定した。時間に対してこのシグナルを積分することによって、流動の測定を各呼吸について計算した。このシグナルを、Sensym圧力トランスデューサ(#TRD4100)を使用して収集した肺駆動圧変化とともに、Buxco(MAX 2270)前置増幅器を介して、データ収集インタフェース(#SFT3400および#SFT3813)に接続した。全ての他の肺のパラメータを、これら2つの入力から導いた。
ベースライン値を5分間収集し、その後モルモットをAChでチャレンジした。以下の用量および実験開始からの所定時間で、ACh(0.1mg/mL)を、シリンジポンプ(sp210iw,World Precision Instruments,Inc.、Sarasota、FL)から1分間静脈内に注入した:5分で1.9μg/分、10分で3.8μg/分、15分で7.5μg/分、20分で15.0μg/分、25分で30μg/分および30分で60μg/分。各ACh投薬の3分後に、抵抗またはコンプライアンスがベースライン値に回復しなかった場合、10mLの較正シリンジからの4mLの空気でモルモットの肺を3回膨張させた。記録した肺のパラメータは、呼吸数(呼吸/分)、コンプライアンス(mL/cm HO)および肺抵抗(1秒あたりのcm HO/mL)を含んでいた。一旦このプロトコルの35分で肺機能測定を完了すると、モルモットをプレチスモグラフから取り出し、二酸化炭素窒息によって安楽死させた。
データを以下の方法のうちの1つまたは両方で評価した:
(a)肺抵抗(R、1秒あたりのcm HO/mL)を、「圧力の変化」と「流動の変化」との比から計算した。ACh(60μg/分、IH)に対するR応答を、ビヒクル群および試験化合物群について計算した。各前処置時間での、ビヒクル処置した動物における平均ACh応答を計算し、これを使用して、対応する前処置時間での各試験化合物用量でのACh応答の阻害%を計算した。「R」についての阻害用量応答曲線を、Windows(登録商標)用GraphPad Prism、バージョン3.00(GraphPad Software、San Diego、California)を使用した4パラメータロジスティック式にフィットさせ、気管支保護ID50(50%までACh(60μg/分)気管支収縮剤応答を阻害するために必要な用量)を推定した。使用した式は、以下のとおりであった:
Y=Min+(Max−Min)/(1+10((log ID50−X)*勾配))ここで、Xは、用量の対数であり、Yは応答(RにおいてのACh誘導性増加の阻害%)である。Yは、Minで始まり、シグモイドの形で漸近的にMaxに近づく。
(b)以下の式(American Thoracic Society.Guidelines for methacholine and exercise challenge testing−1999、Am J Respir Crit Care
Med.161:309−329(2000)に記載されるPC20値を計算するために使用した式から導かれる)を使用してAChまたはヒスタミンのチャレンジの範囲にわたる流動および圧力から導かれた肺抵抗値を使用して、量PD(これは、ベースラインの肺抵抗の倍加を引き起こすために必要なAChまたはヒスタミンの量として定義される)を計算した。
Figure 2011219500
ここで、
=Cより前のAChまたはヒスタミンの濃度
=肺抵抗(R)において少なくとも2倍の増加をもたらすAChまたはヒスタミンの濃度
=ベースラインR
=C後のR
=C後のR値。
有効量を、50μg/mLの用量のAChに対する気管支収縮応答を、ベースラインの肺抵抗(PD2(50))の倍加までに制限する用量と定義した。
両側スチューデントt検定を使用して、データの統計学的分析を行った。P値<0.05を有意とみなした。
概して、このアッセイにおいて投与後1.5時間でのACh誘導性気管支収縮について約200μg/mL未満のPD2(50)を有する試験化合物が、好ましい。例えば、実施例1の化合物は、投薬後1.5時間で、ACh誘導性気管支収縮について約200μg/mL未満のPD2(50)を有することが見出された。
(アッセイ4 吸入モルモット唾液分泌アッセイ)
200g〜350gの体重のモルモット(Charles River、Wilmington、MA)を、到着後少なくとも3日間屋内モルモットコロニーに環境順化させた。試験化合物またはビヒクルを、パイ形状の投薬チャンバ(R&S Molds、San
Carlos、CA)において10分間の期間にわたって吸入(IH)により投薬した。試験溶液を、滅菌水に溶解させ、5.0mLの投薬溶液で充填した噴霧器を使用して送達した。モルモットを、30分間吸入チャンバに拘束した。この時間の間、モルモットを、約110cmの領域に制限した。この空間は、動物が自由に向きを変えるため(動物自身が位置を変えること)に適切であり、毛づくろいを可能とした。20分間の順化後、22psiの圧力で屋内の気体によって駆動するLS Star Nebulizer Set(Model 22F51、PARI Respiratory Equipment,Inc.Midlothian、VA)から発生させたエアロゾルにモルモットを曝露した。噴霧が完了すると、モルモットを、処置後1.5時間、6時間、12時間、24時間、48時間、または72時間で評価した。
試験する1時間前に、0.88mL/kg体積で、ケタミン43.75mg/kg、キシラジン3.5mg/kg、およびアセプロマジン1.05mg/kgの混合物の筋肉内(IM)注射でモルモットを麻酔した。動物を、加熱した(37℃)ブランケット上で腹側を上にして配置し、その頭を下向き勾配で20°傾けた。4層の2×2インチのガーゼパッド(Nu−Gauze General−use sponge、Johnson and Johnson、Arlington、TX)を、モルモットの口に挿入した。5分後、ムスカリン性アゴニスト、ピロカルピン(3.0mg/kg、SC)を投与し、ガーゼパッドを直ちに廃棄し、新しい事前秤量したガーゼパッドで置き換えた。唾液を10分間収集し、この時点で、ガーゼパッドを秤量し、蓄積した唾液の量(mg)を決定するために重量の差異を記録した。ビヒクルおよび各用量の試験化合物を受容する動物について、収集した唾液の平均量を計算した。ビヒクル群の平均を、100%唾液分泌であるとみなした。得られた平均値(n=3以上)を使用して結果を計算した。二元配置ANOVAを使用して各時点で各用量について信頼区間(95%)を計算した。このモデルは、Rechter、「Estimation of anticholinergic drug effects in mice by antagonism against pilocarpine−induced salivation」Ata Pharmacol Toxicol、24:243−254(1996)に記載される手順の修正版である。
各前処置時間で、ビヒクル処置動物における唾液の平均重量を計算し、対応する前処置時間で、各用量で、唾液分泌の阻害%を計算するために使用した。Windows(登録商標)用GraphPad Prism,バージョン3.00(GraphPad Software、San Diego、California)を使用して阻害用量応答データを4パラメータロジスティック式にフィットさせ、抗唾液促進ID50(50%のピロカルピン誘発唾液分泌を阻害するのに必要な用量)を推定した。
使用した式は以下のとおりであった:
Y=Min+(Max−Min)/(1+10((log ID50−X)*勾配))ここで、Xは用量の対数であり、Yは応答(唾液分泌の阻害%)である。Yは、Minで始まり、シグモイドの形で漸近的にMaxに近づく。
抗唾液促進ID50と気管支保護ID50との比を使用して、試験化合物の見かけ上の肺選択性指標を計算した。一般的に、約5より大きい見かけ上の肺選択性指数を有する化合物が好ましい。例えば、このアッセイにおいて、実施例1の化合物は、約5より大きい見かけ上の肺選択性指数を有していた。
(アッセイ5 意識のあるモルモットにおけるメタコリン誘導性の抑制応答)

体重200gと300gとの間の健康な成体のオスのSprague−Dawleyモルモット(Harlan、Indianapolis、IN)を、これらの研究に使用した。イソフルラン麻酔(効くまで)下で、動物に一般的な頚動脈カテーテルおよび頚静脈カテーテル(PE−50チュービング)を取り付けた。このカテーテルを、肩甲下の領域への皮下トンネルを利用して外側に出した。全ての外科切開を、4−0 Ethicon
Silkで縫合し、カテーテルをヘパリン(1000単位/mL)でロックした。各動物に外科手術の終了時に、生理食塩水を投与(3mL、SC)し、ブプレノルフィンを投与(0.05mg/kg、IM)した。動物を、保持室に戻す前に加熱パッド上で回復させた。
外科手術後約18〜20時間で、動物を秤量し、動脈圧を記録するために各動物の頚動脈カテーテルをトランスデューサに接続した。動脈圧および心拍数を、Biopac MP−100 Acquisition Systemを使用して記録した。動物を環境順化させ、20分間の期間安定させた。
各動物をMCh(0.3mg/kg、IV)を頚静脈のラインを介して投与してチャレンジし、心臓血管の応答を10分間モニタリングした。次いで、この動物を、全身投薬チャンバ中に配置し、この全身投薬チャンバを、試験化合物溶液またはビヒクル溶液を含む噴霧器に接続した。この溶液を、呼吸可能な空気と5%二酸化炭素との混合気体を3L/分の流速で使用して10分間噴霧した。次いでこの動物を全身チャンバから取り出し、それぞれのケージに戻した。投薬後1.5時間および24時間で、動物をMCh(0.3mg/kg、IV)で再チャレンジし、血流力学的応答を決定した。その後、動物をペントバルビタール(150mg/kg、IV)を用いて安楽死させた。
MChは、平均動脈圧(MAP)を減少させ、心拍数を減少させる(徐脈)。MAPにおけるベースラインからのピークの減少(降圧応答)を、各MChチャレンジについて(IH投薬の前後で)測定した。これらの応答は強くなく、再現可能ではなかったので、この徐脈効果は、分析のために使用しなかった。MCh応答に対する処置の効果を、コントロールの降圧応答の阻害%(平均+/−SEM)として表す。適切な事後試験の二元配置ANOVAを使用して、処置時間および前処置時間の効果を試験した。MChに対する降圧応答は、ビヒクルを用いた吸入投薬後1.5時間および24時間では、相対的に変化しなかった。
抗降圧ID50の気管支保護ID50に対する比を使用して、試験化合物の見かけの肺選択性を計算した。一般的に、5より大きい見かけの肺選択性指数を有する化合物が好ましい。例えば、このアッセイにおいて、実施例1の化合物は、5より大きい見かけの肺選択性指数を有していた。
本発明は、特定の局面またはこれらの実施形態を参照して記載されており、一方、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変化がなされ得るか、または等価物が置換され得ることが、当業者によって理解される。さらに、適用可能な特許法および特許規則によって認められる範囲まで、各文献が個々に、本明細書中に参考として援用されているような同じ範囲まで、本明細書中に引用される全ての刊行物、特許および特許出願のその全体が、本明細書中に参考として援用される。

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  1. 本願明細書に記載された発明。
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