JP2011218803A - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のガスバリア性積層フィルムは、プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面に、無機薄膜層及びガスバリア性樹脂組成物層が、他の層を介して又は介さずにこの順に積層されており、前記ガスバリア性樹脂組成物層が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるガスバリア性樹脂と無機層状化合物と添加剤とからなるガスバリア性樹脂組成物から形成され、該ガスバリア性樹脂組成物中の無機層状化合物の含有量が0.1質量%〜9.0質量%であり、かつ、前記添加剤がカップリング剤及び/又は架橋剤であり、前記ガスバリア性樹脂組成物層の厚さが0.05μm〜0.5μmであることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
前記ガスバリア性樹脂組成物層は、ガスバリア性樹脂組成物から形成される。前記ガスバリア性樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下、「EVOH」と称する場合がある。)からなるガスバリア性樹脂と無機層状化合物と添加剤とからなる。以下、ガスバリア性樹脂組成物層の個々の構成に関して説明する。
ガスバリア性樹脂として用いることができるEVOHとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものが挙げられる。上記エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものの具体例としては、エチレン及び酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるもの;エチレン及び酢酸ビニルとともに、他の単量体を共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものが挙げられる。本発明では、エチレン及び酢酸ビニルを共重合して得られる共重合体、及び、エチレン及び酢酸ビニルとともに他の単量体を共重合して得られる共重合体を総称して「エチレン−酢酸ビニル系共重合体」とする。
上記過酸化物としては、以下の(1)〜(7)が挙げられる。
(1)H2O2
(2)M2O2型(M:Na、K、NH4、Rb、Cs、Ag、Li等)
(3)M’O2型(M’:Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cs、Hg等)
(4)R−O−O−R型(Rはアルキル基を表す。以下同様):過酸化ジエチル等の過酸化ジアルキル類
(5)R−CO−O−O−CO−R型:過酸化ジアセチル、過酸化ジアミル、過酸化ジベンゾイル等の過酸化アシル等
(6)過酸化酸型
a)−O−O−結合を持つ酸:過硫酸(H2SO5)、過リン酸(H3PO5)等
b)R−CO−O−OH:過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等
(7)過酸化水素包含物:(NaOOH)2/H2O2、(KOOH)2/3H2O2等
これらの中でも、特に過酸化水素は、後から還元剤、還元性酵素や触媒を用いて、容易に分解処理することが可能であるために好適である。
前記無機層状化合物は、スメクタイト、カオリン、雲母、ハイドロタルサイト、クロライト等の粘土鉱物を挙げることができる。具体的には、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、加水ハロイサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、金雲母、タルク、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、バーミキュライト、ザンソフィライト、緑泥石等を挙げることができる。また鱗片状シリカ等も使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特にスメクタイト(その合成品も含む)が好ましい。
本発明では、ガスバリア性樹脂組成物が添加剤として、カップリング剤及び架橋剤の少なくとも一種を含有する。前記カップリング剤としては、樹脂組成物に使用されるものであれば特に限定されないが、有機官能基を少なくとも1種類以上有するシランカップリング剤が好ましい。前記有機官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
ガスバリア性樹脂組成物層を無機薄膜層上に形成する方法としては、例えば、ガスバリア性樹脂組成物の各材料を溶媒に溶解、分散させた塗工液を無機薄膜層上に塗工する方法;ガスバリア性樹脂組成物を溶融して無機薄膜層上に押し出してラミネートする方法;ガスバリア性樹脂組成物のフィルムを別途形成して、これを無機薄膜層上に接着剤等で貼り合わせる方法;等が挙げられる。これらの中でも、塗工による方法が簡便性、生産性等の面から好ましい。なお、この際に、無機薄膜層上にアンカーコート層を設け、アンカーコート層上にガスバリア性樹脂組成物層を設けても良い。アンカーコート層については後述する。
ガスバリア性樹脂組成物の塗工液を塗工した後の乾燥温度は、100℃以上が好ましく、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、200℃以下が好ましい。また、別処理工程での追加の熱処理、すなわち、一度フィルムを巻き取った後、巻き返しながら、またはロールで、或はラミネート工程等の後工程を行う前やその途中で追加の加熱処理(150〜200℃)を行うことも効果的である。乾燥温度が100℃以上であれば、塗工層が十分に乾燥でき、ガスバリア性樹脂組成物層の結晶化や架橋が進行し、レトルト処理後のガスバリア性、ラミネート強度がより良好となる。一方、乾燥温度が200℃以下であれば、プラスチックフィルムに熱がかかりすぎることが抑制され、フィルムが脆くなったり、収縮してしまうことが抑制され、加工性が良好となる。
ガスバリア性樹脂組成物層の厚さは、0.05μm以上、好ましくは0.10μm以上、より好ましくは0.15μm以上であり、0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。厚さが0.05μm未満では、レトルト処理後のガスバリア性が低下し、一方、0.5μmを超えると、塗工液を用いた場合に、塗工液の乾燥不足が生じてガスバリア性樹脂組成物層が脆くなり、レトルト処理後のラミネート強度が低下する。
本発明で用いるプラスチックフィルムは、有機高分子樹脂からなり、溶融押出し後、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムである。前記有機高分子としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸等を挙げることができる。
前記無機薄膜層は、金属又は無機酸化物からなる薄膜である。前記金属薄膜を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、例えば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、インジウム等が挙げられ、コスト等の観点からアルミニウムが好ましい。また、前記無機酸化物薄膜を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等が挙げられ、好ましくは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムである。これらの中でも、ガスバリア性に優れることから、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含む多元系無機酸化物薄膜がより好ましく、酸化ケイ素・酸化アルミニウム二元系無機酸化物薄膜が最も好ましい。ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO2等の各種珪素酸化物の混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl2O3等の各種アルミニウム酸化物の混合物である。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいては、無機薄膜層とガスバリア性樹脂組成物層との間に、アンカーコート層を有することが好ましい。アンカーコート層を有することにより、無機薄膜層とガスバリア性樹脂組成物層との接着力をより向上させることができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいては、プラスチックフィルムと無機薄膜層との間に、プライマーコート層を設けてもよい。プライマーコート層を有することにより、ガスバリア性積層フィルムの平面性を向上させたり、プラスチックフィルムと無機薄膜層との接着力をより向上させることができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、食品包装用途を初め、様々な用途に用いることができ、それに合わせてさらに、ヒートシール層、印刷層、他の樹脂フィルム、これらの層を接着するための接着剤層等、他の素材と積層することが出来る。積層の際には、本発明のガスバリア性積層フィルムの上に直接溶融押し出しラミネートする方法、コーティングによる方法、フィルム同士を直接又は接着剤を介してラミネートする方法等、公知の手段を採用することが出来る。また、高いバリア性が求められる場合には、本発明のガスバリア性積層フィルムを2枚以上積層することもできる。
1−1.ラミネートガスバリア性積層フィルムの作製
ガスバリア性積層フィルムNo.1〜23のガスバリア性樹脂組成物層(No.16ではアンカーコート層)の上に、ウレタン系2液硬化型接着剤を用いたドライラミネート法により、熱接着性樹脂として無延伸ポリプロピレンフィルム(「P1147」(厚さ70μm)、東洋紡績社製)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングしてラミネートガスバリア性積層フィルムを得た。なお、乾燥後の接着剤層の厚さは3μmであった。
ラミネートガスバリア性積層フィルムについて、JIS K7129 B法に準じて、水蒸気透過度測定装置(「PERMATRAN−W 3/33MG」、MOCON社製)を用い、温度40℃、湿度100%RHの雰囲気下で水蒸気透過度を測定した。なお、ガスバリア性積層フィルムへの調湿は、プラスチックフィルム側からガスバリア性樹脂組成物層側に水蒸気が透過する方向とした。また、上記ラミネートガスバリア性積層フィルムに対して、温度121℃、気圧0.2MPa(2kgf/cm2)で30分間のレトルト処理を施した後、40℃にて1日間乾燥させたものについても、同様に水蒸気透過度を測定した。
ラミネートガスバリア性積層フィルムについて、JIS K7126−1(2006)付属書1に準じて、酸素透過度測定装置(「OX−TRAN 2/20」、MOCON社製)を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で酸素透過度を測定した。また、上記ラミネートガスバリア性積層フィルムに対して、温度121℃、気圧0.2MPa(2kgf/cm2)で30分間のレトルト処理を施した後、40℃にて1日間乾燥させたものについても、同様に酸素透過度を測定した。
ラミネートガスバリア積層フィルムを幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(「テンシロン UMT−II−500型」、東洋ボールドウイン社製)を用いてラミネート強度を測定した。なお、引張速度は200mm/分とし、ガスバリア性積層フィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとの間に水をつけて、剥離角度90度で剥離させたときの強度を測定した。また、上記ラミネートガスバリア性積層フィルムに対して、温度121℃、気圧0.2MPa(2kgf/cm2)で30分間のレトルト処理を施した後、40℃にて1日間乾燥させたものについても、同様にラミネート強度測定した。
ガスバリア性積層フィルムの試料を2mm×5mmの短冊状に切り出し、エポキシ樹脂に包埋した。包埋した試料をミクロトームで超薄切片とし、染色剤に四酸化ルテニウムを用いて染色した。観察は、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、「JEM2100」)を使用し、加速電圧は200kV、観察倍率は5,000倍、10,000倍で観察し、ガスバリア性樹脂組成物層の厚さを測定した。
2−1.プラスチックフィルムの作製
極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン(質量比)=60/40)、シリカを100ppm含むポリエチレンテレフタレート(PET)を予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4倍延伸を行い、一軸延伸PETフィルムを得た。
<調製例1>
ウレタン系の樹脂(「タケラック(登録商標) A525−S」、三井化学社製)に、イソシアネート系の硬化剤(「タケラック A−50」、三井化学社製)を添加し、溶媒に酢酸エチルを用いて、固形分濃度が6.5質量%になるよう調製した。ここに、エポキシ系シランカップリング剤(「KBM403」、信越化学工業社製)を、アンカーコート剤樹脂組成物(樹脂と硬化剤とシランカップリング剤の合計100質量%)中の含有量が5質量%となるように添加してアンカーコート層用塗工液No.1とした。
シランカップリング剤を、イソシアネート系シランカップリング剤(「KBE9007」、信越化学工業社製)に変更したこと以外は、調製例1と同様にしてアンカーコート層溶塗工液No.2を調製した。
シランカップリング剤を、アミン系シランカップリング剤(「KBM603」、信越化学工業社製)に変更したこと以外は、調製例1と同様にしてアンカーコート層溶塗工液No.3を調製した。
樹脂をウレタン系の樹脂(「EL−530A」、東洋モートン社製)、硬化剤を、イソシアネート系の硬化剤(「EL−530B」、東洋モートン社製)に変更したこと以外は調製例1と同様にしてアンカーコート層用塗工液No.4を調製した。
ウレタン系の樹脂(「タケラック(登録商標) A525−S」、三井化学社製)に、イソシアネート系の硬化剤(「タケラック A−50」、三井化学社製)を添加し、溶媒に酢酸エチルを用いて、固形分濃度が6.5質量%になるよう調製し、これをアンカーコート層用塗工液No.5とした。
<エチレン−ビニルアルコール系共重合体溶液の調製>
精製水20.996質量部とn−プロピルアルコール(NPA)51質量部の混合溶媒に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(商品名:「SG−525」(エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られた重合体、エチレン比率26モル%、酢酸ビニル成分のケン化度約100%)、日本合成化学社製(以下、「EVOH」と略記することがある。))15質量部を加え、更に過酸化水素水(濃度30質量%)13質量部と硫酸鉄(FeSO4)0.004質量部を添加して撹拌下で80℃に加温し、約2時間反応させた。その後冷却してカタラーゼを3000ppmになるように添加し、残存過酸化水素を除去し、これにより固形分15質量%のほぼ透明なエチレン−ビニルアルコール系共重合体溶液(EVOH溶液)を得た。
精製水40質量%、n−プロピルアルコール(NPA)60質量%からなる混合溶剤70質量部に、完全けん化ポリビニルアルコール樹脂(商品名:「ゴーセノール(登録商標) NL−05」(けん化度99.5%以上)、日本合成化学社製)30質量部を加え溶解させ、これにより固形分30質量%の透明なポリビニルアルコール溶液を得た。
無機層状化合物であるモンモリロナイト(商品名:「クニピア(登録商標) F」、クニミネ工業社製)4質量部を精製水96質量部中に攪拌しながら添加し、高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で充分に分散させた。その後、40℃で1日間保温し固形分4質量%の無機層状化合物分散液を得た。
架橋剤:塩酸化ジルコニウム(商品名「ジルコゾール(登録商標) Zc−20」(固形分20質量%)、第一稀元素化学工業社製)
架橋剤:チタンラクテート(商品名:「オルガチックス(登録商標) TC−310」(固形分約45質量%)、松本製薬工業社製)
シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:「KBE−403」(固形分100質量%)、信越化学工業社製)
<調製例1>
混合溶剤A(精製水:n−プロピルアルコール(質量比)=40:60)62.30質量部に、EVOH溶液を31.75質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.95質量部を添加した。この分散液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加し、イオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作で得られた分散液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した。分散処理した混合液97質量部に対して、添加剤としての塩酸化ジルコニウム0.75質量部、精製水0.9質量部、NPA1.35質量部を添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュ(目開き60μm)のフィルターにて濾過し固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.1を得た。
混合溶剤A、EVOH溶液及び無機層状化合物分散液の使用量を、混合溶剤A65.76質量部、EVOH溶液33.00質量部、無機層状化合物分散液1.24質量部に変更したこと以外は調製例1と同様にして、固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.2を得た。
混合溶剤A、EVOH溶液及び無機層状化合物分散液の使用量を、混合溶剤A64.00質量部、EVOH溶液32.36質量部、無機層状化合物分散液3.64質量部に変更したこと以外は調製例1と同様にして、固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.3を得た。
混合溶剤A、EVOH溶液及び無機層状化合物分散液の使用量を、混合溶剤A66.21質量部、EVOH溶液33.17質量部、無機層状化合物分散液0.62質量部に変更したこと以外は調製例1と同様にして、固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.4を得た。
混合溶剤A、EVOH溶液及び無機層状化合物分散液の使用量を、混合溶剤A60.67質量部、EVOH溶液31.15質量部、無機層状化合物分散液8.18質量部に変更したこと以外は調製例1と同様にして、固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.5を得た。
添加剤を3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.15質量部に、精製水及びNPAの使用量を、精製水1.14質量部、NPA1.71質量部に変更したこと以外は調製例1と同様にして、固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.6を得た。
添加剤をチタンラクテート0.33質量部に、精製水及びNPAの使用量を、精製水1.07質量部、NPA1.60質量部に変更したこと以外は調製例1と同様にして、固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.7を得た。
混合溶剤A、EVOH溶液及び無機層状化合物分散液の使用量を、混合溶剤A59.10質量部、EVOH溶液30.58質量部、無機層状化合物分散液10.32質量部に変更したこと以外は調製例1と同様にして、固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.8を得た。
混合溶剤A61.52質量部に、EVOH溶液を32.40質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液6.08質量部を添加した。この分散液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作で得られた分散液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウム0.25質量部と、混合溶剤A2.75質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.9を得た。
混合溶剤A65.02質量部に、EVOH溶液を29.46質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.52質量部を添加した。この分散液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作で得られた分散液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウム2.50質量部と、混合溶剤A0.50質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.10を得た。
混合溶剤A66.67質量部に、EVOH溶液を33.33質量部添加し、充分に攪拌混合した。更に、この溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
この様にして得られた混合液97質量部に対して、塩酸化ジルコニウム0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.11を得た。
混合溶剤A78.17質量部に、ポリビニルアルコール樹脂溶液を15.87質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.95質量部を添加した。この分散液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作で得られた分散液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウム0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.12を得た。
混合溶剤A62.30質量部に、EVOH溶液を31.75質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.95質量部を添加した。この分散液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた分散液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5質量%のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.13を得た。
<製造例1>
上記で得た一軸延伸PETフィルムを120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を225℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度225℃で8秒行った。その後冷却し、両縁部を裁断除去することによって、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムを1000m以上に亘って連続的に製膜してミルロールを作製した。得られたミルロールについて、幅400mm、長さ1000mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、PETフィルムを得た。前記PETフィルムに、無機薄膜層として酸化ケイ素と酸化アルミニウムの二元系無機酸化物薄膜層(酸化ケイ素/酸化アルミニウムの比率(質量比)=60/40)を形成した。
ガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を、ガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.2〜10に変更したこと以外は製造例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムNo.2〜10を作製した。
酸化ケイ素と酸化アルミニウムの2元系酸化物無機薄膜層中の酸化ケイ素と酸化アルミニウムの質量比(酸化ケイ素/酸化アルミニウム)を、50/50に変更したこと以外は製造例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムNo.11を作製した。
アンカーコート層用塗工液を、アンカーコート層用塗工液No.2〜5に変更したこと以外は製造例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムNo.12〜15を作製した。
ガスバリア性樹脂組成物層を形成しなかったこと以外は製造例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムNo.16を作製した。
無機薄膜層を形成しなかったこと以外は製造例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムNo.17を作製した。
ガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を、ガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液No.11〜13に変更したこと以外は製造例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムNo.18〜20を作製した。
ガスバリア性樹脂組成物層の厚さを、0.01μmに変更したこと以外は製造例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムNo.21を作製した。
アンカーコート層の厚さを、0.01μmに変更したこと以外は製造例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムNo.22を作製した。
ガスバリア性樹脂組成物層の厚さを、0.7μmに変更したこと以外は製造例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムNo.23を作製した。
4−1.原料ポリエステル樹脂の重合
(ポリエステル樹脂(a)の重合)
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、高純度テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.03質量部、トリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧343kPa(3.5kgf/cm2)、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻した。
15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃の減圧下で固有粘度が0.65dl/gに到達するまで重縮合反応を行った。
重縮合にて得られたポリエチレンテレフタレートを常法に従ってチップ化しポリエステルを得た。この際、溶融樹脂を約275℃に保った状態で、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)5μmのステンレス焼結体フィルターを用いて、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行った。
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、高純度テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.03質量部、トリエチルアミンを0.16質量部、平均粒径2.5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、生成PETに対し、2000ppmとなるよう添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧343kPa(3.5kgf/cm2)、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻した。
15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃の減圧下で固有粘度が0.65dl/gに到達するまで重縮合反応を行った。
重縮合にて得られたポリエチレンテレフタレートを常法に従ってチップ化しポリエステルを得た。この際、溶融樹脂を約275℃に保った状態で、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)20μmのステンレス焼結体フィルターを用いて、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行った。
ポリエステル樹脂(a)及びポリエステル樹脂(b)を、それぞれ回転型真空重合装置を用い、66Pa(0.5mmHg)の減圧下、220℃で固相重合を行い、固有粘度0.75dl/gのポリエステル樹脂(A)及びポリエステル樹脂(B)を得た。
ガスバリア性積層フィルムNo.1、21及びポリエステル基材フィルムを21cm×30cmに切り、ガスバリア性積層フィルムとポリエステル基材フィルムとをガスバリア性樹脂組成物層が内側になるように2枚重ね合わせて、ドライラミネーションした。
接着剤はドライラミネーション用ポリウレタン接着剤(大日本インキ化学工業社製 製品名:LX951/KMW70)を使い、接着剤量は3.5g/m2とした。エージング条件としては、室温エージング1日後、40℃でのエージングを1日施した。
得られた太陽電池バックシート用積層シートに対して、温度121℃、湿度100%RH、気圧0.2MPaで30分間処理した後、40℃にて1日間乾燥した。
湿熱処理後の試料について、上記ラミネートガスバリア性積層フィルムの場合と同様にして、水蒸気透過度及び酸素透過度を測定した。なお、水蒸気透過度測定において積層シートへの調湿は、ガスバリア性積層フィルムを構成するプラスチックフィルム側から無機薄膜層側に水蒸気が透過する方向とした。結果を表3に示した。
Claims (10)
- プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面に、無機薄膜層及びガスバリア性樹脂組成物層が、他の層を介して又は介さずにこの順に積層されており、
前記ガスバリア性樹脂組成物層が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるガスバリア性樹脂と無機層状化合物と添加剤とからなるガスバリア性樹脂組成物から形成され、
該ガスバリア性樹脂組成物中の無機層状化合物の含有量が0.1質量%〜9.0質量%であり、かつ、前記添加剤がカップリング剤及び/又は架橋剤であり、
前記ガスバリア性樹脂組成物層の厚さが0.05μm〜0.5μmであることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。 - 前記無機層状化合物が、スメクタイトである請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記カップリング剤が、有機官能基を少なくとも1種類以上有するシランカップリング剤である請求項1又は2に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記架橋剤として、水素結合性基用架橋剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記ガスバリア性樹脂組成物中の添加剤(カップリング剤及び/又は架橋剤)の合計含有量が、0.3質量%〜20質量%である請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記無機薄膜層が、無機酸化物を少なくとも含有する請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記無機薄膜層と前記ガスバリア性樹脂組成物層との間に、厚さ0.05μm〜0.5μmのアンカーコート層を有する請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記アンカーコート層を形成するためのアンカーコート剤樹脂組成物が、有機官能基を少なくとも1種類以上有するシランカップリング剤を含有している請求項7に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記アンカーコート層を形成するためのアンカーコート剤樹脂組成物中の前記シランカップリング剤の添加量が0.1質量%〜10質量%である請求項8に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルムのガスバリア性樹脂組成物層側に、ポリエステル基材フィルムを積層したことを特徴とする太陽電池バックシート用積層体。
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