JP2011217481A - 地絡方向検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】地絡事故時に発生する零相電流と零相電圧との位相差を検出することにより地絡の方向を判定する地絡方向検出装置において、地絡方向の判定誤差を低減させる。
【解決手段】地絡検出部9と、零相電流と零相電圧の位相差を検出する位相差検出部8と、地絡検出部9が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に位相差検出部8から位相差情報を時間をずらして複数回取得して記憶する位相差情報記憶部10Bと、位相差情報記憶部10Bに記憶された複数の位相差情報のそれぞれを用いて地絡方向の判定を行ってそれぞれの判定結果を記憶する地絡判定記憶部10Cと、地絡判定記憶部10Cに記憶された複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果として出力する判定結果特定部10Dとを備えた。
【選択図】 図3
【解決手段】地絡検出部9と、零相電流と零相電圧の位相差を検出する位相差検出部8と、地絡検出部9が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に位相差検出部8から位相差情報を時間をずらして複数回取得して記憶する位相差情報記憶部10Bと、位相差情報記憶部10Bに記憶された複数の位相差情報のそれぞれを用いて地絡方向の判定を行ってそれぞれの判定結果を記憶する地絡判定記憶部10Cと、地絡判定記憶部10Cに記憶された複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果として出力する判定結果特定部10Dとを備えた。
【選択図】 図3
Description
本発明は、配電系統に設置された区分開閉器等に接続されて、地絡方向を検出する地絡方向検出装置に関するものである。
地絡方向を検出する装置として、特許文献1に示されているように、配電線に設定された検出点で零相電流と零相電圧とを検出して、検出した零相電流と零相電圧との位相関係から、地絡方向の検出(検出点の両側の線路のいずれの側で地絡事故が発生したかの検出)とを行うようにしたものが知られている。
この種の地絡方向検出装置は、配電線から零相電流を検出する零相電流検出装置と、配電線から零相電圧を検出する零相電圧検出装置と、零相電流検出装置及び零相電圧検出装置によりそれぞれ検出された零相電流及び零相電圧の位相差を検出する位相差検出部と、閾値以上の零相電流及び(または)零相電圧が検出されたときに地絡事故の発生を検出する地絡検出部と、零相電流と零相電圧の位相関係から地絡方向の判定を行う地絡方向判定部とを備えている。通常この検出装置は、区分開閉器などに接続された子局内に設けられていて、地絡事故が発生したときに、地絡方向の判定結果を変電所などに設置された親局に送信する。親局では、配電系統の各所に設置された子局から送信されてくる地絡方向の判定結果に基づいて地絡事故点を特定して、事故が発生した区間を健全な区間から切り離す。
零相電流と零相電圧の位相差から地絡事故点の方向を検出する地絡方向検出装置においては、零相電流及び零相電圧にそれぞれ相応した波形を有する零相電流検出信号及び零相電圧検出信号を得て、これらの信号の位相差を検出しているが、地絡事故の原因によっては、零相電流の波形が大きく歪んだり、その位相が細かく変動したりするため、零相電流検出信号及び零相電圧検出信号を取得するタイミングによっては、地絡方向の判定を誤るおそれがある。
従来の地絡方向検出装置においては、地絡事故が発生してから停電するまでの期間、零相電流及び零相電圧の位相が一定であるという前提のもとに、地絡事故発生時に地絡方向の判定を1回だけ行っていた。ところが、実際には、零相電流の位相が変動することがあるため、地絡方向の判定をただ1回だけ行っただけでは、判定を誤るおそれがあった。
本発明の目的は、地絡方向の判定を誤るおそれを少なくすることができる地絡方向検出装置を提供することにある。
本発明は、配電線から零相電流を検出する零相電流検出装置と、配電線から零相電圧を検出する零相電圧検出装置と、零相電流及び(または)零相電圧が検出された時に地絡事故の発生を検出する地絡検出部と、零相電流検出装置及び零相電圧検出装置によりそれぞれ検出された零相電流及び零相電圧の位相差情報を検出する位相差検出部と、位相差検出部により検出された位相差情報を用いて地絡方向の判定を行う地絡方向判定部とを備えた地絡方向検出装置を対象とする。
本発明においては、上記地絡方向判定部を、地絡検出部が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に地絡方向の判定を時間をずらして複数回行って、得られた複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果とするように構成する。
上記地絡方向判定部は、地絡検出部が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に位相差検出部から位相差情報を時間をずらして複数回取得して記憶する位相差情報記憶部と、位相差情報記憶部に記憶された複数の位相差情報のそれぞれを用いて地絡方向の判定を行ってそれぞれの判定結果を記憶する地絡判定記憶部と、地絡判定記憶部に記憶された複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果として出力する判定結果特定部とを備えた構成とすることができる。
上記地絡方向判定部はまた、地絡検出部が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に、位相差検出部から位相差情報を取得して、取得した位相差情報を用いて地絡方向の判定を行う処理を時間をずらして複数回行う地絡反復判定部と、地絡反復判定部が複数回行った判定のそれぞれの判定結果を記憶する判定結果記憶部と、判定結果記憶部に記憶された複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果として出力する判定結果特定部とを備えた構成とすることもできる。
地絡事故が発生した直後に零相電流と零相電圧との位相差の情報を時間をずらして複数回取得して、取得した複数の位相差情報のそれぞれから、検出点の両側の線路のうちのいずれの側で地絡事故が発生したかの判定(地絡方向の判定)を行った場合、得られる複数の判定結果の中には、検出点の両側の線路のうちの一方の線路側で地絡事故が発生したとの第1の判定結果と、検出点の両側の線路のうちの他方の線路側で地絡事故が発生したとの第2の判定結果が含まれる。また判定基準の設定の仕方によっては、判定が不能であるとの第3の判定結果が含まれることもある。判定結果を「多数決方式で特定」するとは、「多数決」の語が持つ通常の意味から理解されるように、上記の判定結果の中から、最も数が多い判定結果を正規の判定結果として特定することを意味する。
上記のように、地絡検出部が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に地絡方向の判定を複数回行って、得られた判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果とするようにすると、正しい判定結果が得られる確率を高くすることができるため、誤判定が行われるおそれを少なくすることができる。
なお複数回取得した位相差情報の平均値から地絡方向を判定することも考えられるが、複数回取得した位相差情報の平均値は、複数の位相差のデータの中にたまたま、他の大部分のデータとかけ離れた値を示す異常なデータが含まれていた場合と、そのような異常データが含まれていない場合とで、平均値が大きく変わるため、判定を誤る危険がある。これに対し、多数決方式によれば、たまたま含まれていた異常な値のデータの影響を排除できるため、判定結果の信頼性を高めることができる。
本発明によれば、地絡検出部が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に地絡方向の判定を複数回行って、得られた判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果とするようにしたので、正しい判定結果が得られる確率を高くすることができ、地絡方向の検出を誤る確率を少なくすることができる。
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態のハードウェアの構成を示したもので、同図において、1a,1b及び1cはA,B,C三相の配電線、2は配電線の途中に挿入された区分開閉器である。3は本発明に係わる地絡方向検出装置、4は、2相の配電線間の電圧、例えばA相及びC相の配電線間の電圧を地絡方向検出装置3に電源電圧として取り込むトランスである。
図1は、本発明の一実施形態のハードウェアの構成を示したもので、同図において、1a,1b及び1cはA,B,C三相の配電線、2は配電線の途中に挿入された区分開閉器である。3は本発明に係わる地絡方向検出装置、4は、2相の配電線間の電圧、例えばA相及びC相の配電線間の電圧を地絡方向検出装置3に電源電圧として取り込むトランスである。
図1に示された地絡方向検出装置3は、トランス4から与えられる単相交流電圧を整流して一定の直流電圧を出力する電源301と、マイクロプロセッサを備えて、電源301から電源電圧が与えられて動作する信号処理部302と、開閉器2内に設けられた零相変流器や零相電圧変成器等の計測器から与えられる情報を信号処理部302に入力する計測情報インターフェース303と、信号処理部302により判定された地絡方向などの判定結果を表示する表示部304とを備えている。
図2は開閉器2内の構成を示したもので、同図において4aないし4cは配電線1aないし1cに対してそれぞれ直列に接続されたスイッチ、ZCTは三相の配電線を流れる零相電流を検出して零相電流検出信号を出力する零相変流器、ZPDは零相電圧を検出して零相電圧検出信号を出力するコンデンサ型零相電圧変成器である。
ZPDは、一端が共通接続され、他端が配電線1aないし1cに接続されたコンデンサC1aないしC1c及びこれらのコンデンサの一端の共通接続点に一端が接続されたコンデンサC2からなるコンデンサ分圧回路と、コンデンサC2の両端に得られるコンデンサ分圧回路の出力電圧が一次巻線に印加された計器用変圧器PTとからなっている。
この例ではまた、過電流を検出するためにA相の電流及びC相の電流を検出する変流器CTa及びCTcが開閉器2内に設けられている。零相変流器ZCT,零相電圧変成器ZPD及び変流器CTa,CTbの出力は、出力端子U1ないしU5とこれらの出力端子に接続された信号ケーブルとを通して地絡方向検出装置3の計測情報インターフェース303に入力されている。
本実施形態の地絡方向検出検出装置3の信号処理部302には、図3に示したように、零相変流器ZCTから得られる零相電流検出信号Ioから基本波成分を取り出す第1のローパスフィルタ5Aと、フィルタ5Aの出力を増幅して零相電流検出信号の基本波成分を示す零相電流基本波成分検出信号Io′を出力する第1の増幅部6Aと、増幅部6Aから得られる零相電流基本波成分検出信号Io′の零クロス点を零相電流の位相として検出する零相電流位相検出手段7Aとを備えている。
地絡方向検出装置3はまた、零相電圧変成器ZPDから得られる零相電圧検出信号Voから基本波成分を取り出す第2のローパスフィルタ5Bと、フィルタ5Bの出力を増幅して零相電圧検出信号の基本波成分を示す零相電圧基本波成分検出信号Vo′を出力する第2の増幅部6Bと、増幅部6Bから得られる零相電圧基本波成分検出信号Vo′の零クロス点を零相電圧の位相として検出する零相電圧位相検出手段7Bとを備え、零相電流位相検出手段7A及び零相電圧位相検出手段7Bによりそれぞれ検出された零相電流及び零相電圧の位相情報が、位相差検出部8に与えられている。位相差検出部8は、零相電流の位相と零相電圧の位相との差を位相差情報として検出して、検出した位相差情報を地絡方向判定部10に与える。地絡方向判定部10による判定結果は表示部304に与えられて、該表示部により表示される。
図3に示した各部のうち、ローパスフィルタ5A,5B及び増幅部6A,6Bはハードウェア回路により構成される。零相電流位相検出手段7A及び零相電圧位相検出手段7Bはそれぞれ、増幅部6A及び6Bから得られる零相電流基本波成分検出信号及び零相電圧基本波成分検出信号の正または負の半波の波形を矩形波状に波形整形する波形整形回路と、これらの波形整形回路から得られる矩形波信号の立上がりまたは立ち下がりを零クロス点として検出する零クロス検出回路(微分回路)とにより構成できる。
例えば、零相電流位相検出手段7Aは、図5(A)に模式的示したような零相電流基本波成分検出信号Io′の正の半波を同図(B)に示したような矩形波信号Iqo′に変換する波形整形回路と、矩形波信号Iqo′の立ち上がりの時刻tiを検出する零クロス検出回路とにより構成することができる。また零相電圧位相検出手段7Bは、例えば、図5(C)に示されたような零相電圧基本波成分検出信号Vo′の正の半波を同図(D)に示したような矩形波信号Vqo′に変換する波形整形回路と、矩形波信号Vqo′の立ち上がりの時刻tvを検出する零クロス検出回路とにより構成できる。
位相差検出部8、地絡検出部9及び地絡方向判定部10は、マイクロプロセッサにより構成される。位相差検出部8は、上記時刻tiとtvとの差Δtを演算することにより、零相電流検出信号Ioと零相電圧検出信号Voとの位相差を求める。
地絡検出部9は、閾値以上の零相電流または零相電圧が検出されたときに地絡事故が発生したことを検出する。図3に示した例では、地絡検出部9が、増幅部6Aから閾値以上の零相電流基本波成分検出信号Io′が出力された時に地絡事故の発生を検出するように構成されている。地絡が発生した後、地絡検出部9が地絡事故の発生を検出するまでに要する時間は例えば0.2秒程度である。子局は、地絡検出部9が地絡事故の発生を検出したときに直ちに、地絡事故検出信号を変電所等に設置された親局に送信する。
地絡方向判定部10は、地絡検出部9が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に地絡方向の判定を時間をずらして複数回行って、得られた複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果とするように構成されている。
更に詳細に説明すると、図3に示された地絡方向判定部10は、地絡検出部9が地絡事故の発生を検出した後、変電所の遮断器が開かれて配電線が停電するまでの間に、所定の時間間隔で(例えば1/60sec毎に)到来するタイミングを検出タイミングとして、各検出タイミングで検出指令を発生する検出タイミング生成部10Aと、検出タイミング生成部10Aが検出指令を発生する毎に位相差検出部8が検出している位相差情報を読み込んで記憶装置に記憶させる位相差情報記憶部10Bと、位相差情報記憶部10Bに記憶された複数の位相差情報のそれぞれを用いて地絡方向の判定を行ってそれぞれの判定結果を記憶する地絡判定記憶部10Cと、地絡判定記憶部10Cに記憶された複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果として出力する判定結果特定部10Dとにより構成される。
地絡方向判定記憶部10Cは、位相差検出部8から取得した位相差情報から得られる零相電流と零相電圧との間の位相関係から、地絡事故が検出点の両側の線路の内のいずれの側の線路で発生したのか(図1において開閉器2より左側の線路で発生したのか右側の線路で発生したのか)を判定する。
本実施形態においては、地絡検出部9が地絡事故の発生を検出した後、配電線が停電するまでの期間に、位相差情報記憶部10Bが位相差検出部8から位相差情報を複数回取得して、取得した各位相差情報を記憶装置に記憶させる。地絡判定記憶部10Cは、位相差情報記憶部10Bに記憶された複数の位相差情報のそれぞれを用いて地絡方向の判定を行い、それぞれの判定結果を記憶装置に記憶させる。したがって、地絡判定記憶部10Cの記憶装置には、地絡が検出された後、時間をおいて検出された複数の位相差情報に基づいて行われた複数の判定の結果が記憶される。
判定結果特定部10Dは、地絡判定記憶部10Bに記憶された複数の判定結果の中から多数決方式で特定した一つの判定結果を正規の判定結果として出力して表示部304に表示させるとともに、その判定結果を変電所等に設置された親局に送信する。
地絡が発生してから変電所の遮断器が開かれて配電線が停電するまでの時間は、設定により異なるが、通常は0.5秒ないし1.0秒程度である。一例として、地絡が発生してから停電するまでの時間を0.7秒とし、地絡発生後地絡検出部9がその地絡を検出するまでに要する時間を0.2秒とした場合、複数回行う地絡方向の判定のために残されている時間は0.5秒である。検出タイミングを1/60秒毎に発生させるとした場合、位相差情報の取得は、0.5秒の間に最大で29回行うことが可能であり、29個の判定結果を得ることが可能である。実行が可能な範囲で、検出回数を予め設定しておく。
図3に示した実施形態の地絡方向判定部10を構成するために、マイクロプロセッサに実行させる処理のアルゴリズムを示すフローチャートを図6に示した。このアルゴリズムによる場合には、ステップS101で地絡事故の発生が検出されるのを待つ。地絡事故の発生が検出された時にステップS102に進んで1/60秒間隔で発生する検出タイミングが到来するのを待ち、検出タイミングが到来した時にステップS103に進んで位相差検出部が検出している位相差情報を読み込んで記憶装置に記憶させる。次いでステップS104で検出回数が設定値に達したか否かを判定し、検出回数が設定値に達していない場合には、ステップS102に戻る。ステップS104で検出回数が設定値に達した(すべての位相差情報の取得が完了した)と判定されたときには、ステップS105に進んで記憶されている複数の位相差情報を用いて地絡方向を判定し、それぞれの判定結果を記憶させる。次いでステップS106で記憶された複数の判定結果から多数決方式で正規の判定結果を特定し、ステップS107で特定した正規の判定結果を表示部304に表示させてこの処理を終了する。
上記の実施形態では、各検出タイミングで位相差情報を取得して記憶させてから、記憶された複数の位相差情報を用いて地絡方向の判定を行うようにしたが、各検出タイミングで位相差情報を取得したときに直ちに地絡方向の判定を行って、その判定結果を記憶装置に記憶させておき、記憶された複数の判定結果から多数決方式で正規の判定結果を特定するように地絡方向判定部を構成してもよい。この場合地絡方向判定部10は、図4に示したように、検出タイミング生成部10Aと、地絡反復判定部10Eと、判定結果記憶部10Fと、判定結果特定部10Dとにより構成することができる。
ここで地絡反復判定部10Eは、地絡検出部9が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に、検出タイミング生成部10Aが生成する各検出タイミングで位相差検出部8から位相差情報を取得して、取得した位相差情報を用いて地絡方向の判定を行う処理を時間をずらして複数回行うように構成される。また判定結果記憶部10Fは、地絡反復判定部が複数回行った判定のそれぞれの判定結果を記憶する。判定結果特定部10Dは、判定結果記憶部10Fに記憶された複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果として出力する。
図4に示したように地絡方向判定部10を構成する場合にマイクロプロセッサに実行させる処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートを図7に示した。このアルゴリズムによる場合には、ステップS201で地絡事故の発生が検出されるのを待つ。地絡事故の発生が検出された時にステップS202に進んで1/60秒間隔で発生する検出タイミングが到来するのを待ち、検出タイミングが到来した時にステップS203に進む。ステップS203では、位相差検出部が検出している位相差情報を読み込んで、読み込んだ位相差情報を用いて地絡方向を判定し、その判定結果を判定結果記憶部10Fに記憶させる。次いでステップS204で検出回数が設定値に達したか否かを判定し、検出回数が設定値に達していない場合には、ステップS202に戻る。ステップS204で検出回数が設定値に達した(すべての位相差情報の取得と地絡方向の判定とが完了した)と判定されたときには、ステップS205に進んで記憶された複数の判定結果から多数決方式で正規の判定結果を特定し、ステップS206で特定した正規の判定結果を表示部304に表示させてこの処理を終了する。
上記の実施形態では、零相電流位相検出手段7A及び零相電圧位相検出手段7Bのそれぞれを波形整形回路と零クロス検出回路とにより構成するとしたが、零相電流位相検出手段7A及び零相電圧位相検出手段7Bはそれぞれ、増幅部6A及び6Bから出力される零相電流基本波成分検出信号Io′及び零相電圧基本波成分検出信号Vo′の瞬時値をマイクロプロセッサによりサンプリングしてデジタル処理することにより、零相電流及び零相電圧の正の半波から負の半波に移行する際の零クロス点または負の半波から正の半波に移行する際の零クロス点を零相電流の位相及び零相電圧の位相として検出するように構成してもよい。
また零相電流位相検出手段7A及び零相電圧位相検出手段7Bが、増幅部6A及び6Bから出力される零相電流基本波成分検出信号Io′及び零相電圧基本波成分検出信号Vo′の零クロス点を検出することにより、零相電流と零相電圧の位相差を検出するように構成されているが、零相電流位相検出手段7A及び零相電圧位相検出手段7Bは、増幅部6A及び6Bから出力される零相電流基本波成分検出信号Io′及び零相電圧基本波成分検出信号Vo′のピーク点を検出することにより、零相電流と零相電圧の位相差を検出するように構成してもよい。
上記の実施形態では、零相電流検出装置として零相変流器ZCTを用いているが、三相の配電線電流を検出する変流器を設けて、これらの変流器の出力を加算することにより、零相電流を検出するように零相電流検出装置を構成することもできる。また零相電圧変成器ZPDを用いる代りに三相の相電圧をそれぞれ検出する計器用変圧器の出力を加算することにより零相電圧を検出するように零相電圧検出装置を構成することもできる。
1a〜1c 三相の配電線
2 区分開閉器
3 地絡方向検出装置
5A 第1のローパスフィルタ
5B 第2のローパスフィルタ
6A 第1の増幅部
6B 第2の増幅部
7A 零相電流位相検出手段
7B 零相電圧位相検出手段
8 位相差検出部
9 地絡検出部
10 地絡方向判定部
10A 検出タイミング生成部
10B 位相情報記憶部
10C 地絡判定記憶部
10D 判定結果特定部
10E 地絡反復判定部
10F 判定結果記憶部
2 区分開閉器
3 地絡方向検出装置
5A 第1のローパスフィルタ
5B 第2のローパスフィルタ
6A 第1の増幅部
6B 第2の増幅部
7A 零相電流位相検出手段
7B 零相電圧位相検出手段
8 位相差検出部
9 地絡検出部
10 地絡方向判定部
10A 検出タイミング生成部
10B 位相情報記憶部
10C 地絡判定記憶部
10D 判定結果特定部
10E 地絡反復判定部
10F 判定結果記憶部
Claims (3)
- 配電線から零相電流を検出する零相電流検出装置と、前記配電線から零相電圧を検出する零相電圧検出装置と、前記零相電流及び(または)零相電圧が検出された時に地絡事故の発生を検出する地絡検出部と、前記零相電流検出装置及び零相電圧検出装置によりそれぞれ検出された零相電流及び零相電圧の位相差情報を検出する位相差検出部と、前記位相差検出部により検出された位相差情報を用いて地絡方向の判定を行う地絡方向判定部とを備えた地絡方向検出装置において、
前記地絡方向判定部は、前記地絡検出部が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に地絡方向の判定を時間をずらして複数回行って、得られた複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果として特定するように構成されていること、
を特徴とする地絡方向検出装置。 - 前記地絡方向判定部は、
前記地絡検出部が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に前記位相差検出部から位相差情報を時間をずらして複数回取得して記憶する位相差情報記憶部と、
前記位相差情報記憶部に記憶された複数の位相差情報のそれぞれを用いて地絡方向の判定を行ってそれぞれの判定結果を記憶する地絡判定記憶部と、
前記地絡判定記憶部に記憶された複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果として出力する判定結果特定部と、
を具備してなる請求項1に記載の地絡方向検出装置。 - 前記地絡方向判定部は、
前記地絡検出部が地絡事故の発生を検出した後配電線が停電するまでの期間に、前記位相差検出部から位相差情報を取得して、取得した位相差情報を用いて前記地絡方向の判定を行う処理を時間をずらして複数回行う地絡反復判定部と、
前記地絡反復判定部が複数回行った判定のそれぞれの判定結果を記憶する判定結果記憶部と、
前記判定結果記憶部に記憶された複数の判定結果の中から多数決方式で特定した判定結果を正規の判定結果として出力する判定結果特定部と、
を具備してなる請求項1に記載の地絡方向検出装置。
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