JP2011212930A - インクジェット画像形成方法及びインクジェット印画物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ブロッキング抑制効果を良好に維持しながら、定着オフセットを改善できるインクジェット画像形成方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、インクジェット法により記録媒体上に画像を記録する記録工程、及び不揮発性溶媒に含有された粒径が1μm以上の粉末粒子を、当該粉末粒子の粒子数が1個/mm以上1000個/mm以下となるように当該記録媒体に付与する付与工程、を備えたインクジェット画像形成方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット画像形成方法及びインクジェット印画物に関する。
インクジェット技術は、オフィスプリンタ、ホームプリンタ等の分野においてカラー画像を記録する画像記録方法として適用されてきた。インクジェットで形成した画像は、その耐擦性向上等のために定着ローラ等を用いた定着処理を行なう場合があるが、記録媒体上の画像部が定着ローラに転写してしまうオフセット(定着オフセット)が発生する場合があった。
ここで、特許文献1には、積み重ねられた印刷物同士が密着してインクが他の印刷物の裏面に付着する現象(ブロッキング)を抑制する技術として、紙面上に粉体微粒子を含む液体を付着させることが開示され、特許文献2には、記録面に樹脂粒子を含む樹脂液を塗布して樹脂皮膜を形成することが開示されている。
特開昭62−246730号公報 特開2004−50751号公報
しかしながら、上記各技術では、インクジェット画像を定着処理する際に生じる前記定着オフセットを低減することは何ら検討されていない。
したがって、本発明は、インクジェット印画物のブロッキングを抑制するために特定のブロッキング抑制剤を付与して定着工程を行う際に、ブロッキング抑制効果を良好に維持しながら、定着オフセットを改善できる画像形成方法を提供することを目的とする。
また、定着オフセットが改善され、ブロッキング抑制が良好で、さらに耐擦性も高いインクジェット印画物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記問題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、下記の工程を備えることにより、上記課題を解決するに至った。すなわち、本発明は、下記の画像形成方法及び印画物に関する。
<1> インクジェット法により記録媒体上に画像を記録する記録工程、及び、
不揮発性溶媒に含有された粒径が1μm以上の粉末粒子を、当該粉末粒子の粒子数が1個/mm以上1000個/mm以下となるように当該記録媒体に付与する付与工程、
を備えたインクジェット画像形成方法。
<2> 前記粉末粒子の粒子数が10個/mm以上100個/mm以下となるように付与する工程を備えた前記<1>に記載のインクジェット画像形成方法。
<3> 前記粉末粒子が、ポリメチル(メタ)アクリレート又はシリカである前記<1>又は前記<2>に記載のインクジェット画像形成方法。
<4> 前記不揮発性溶媒が、シリコーンオイル又は流動パラフィンである前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のインクジェット画像形成方法。
<5> 前記不揮発性溶媒のSP値が30以下である前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載のインクジェット画像形成方法。
<6> 前記付与工程は、前記粉末粒子を含有する不揮発性溶媒を、1.0g/m以下の範囲で、前記記録媒体に転写する工程である前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載のインクジェット画像形成方法。
<7> 前記付与工程後に、インクジェット法により記録された画像を定着する定着工程を更に備えた前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のインクジェット画像形成方法。
<8> 前記<1>〜前記<7>のいずれか1つのインクジェット画像形成方法によって製造されるインクジェット印画物。
<9> 前記インクジェット印画物表面に不揮発性溶媒が存在しており、更に当該不揮発性溶媒がシリコーンオイル又は流動パラフィンである前記<8>に記載のインクジェット印画物。
本発明によれば、ブロッキング抑制効果を良好に維持しながら、定着オフセットを改善できる画像形成方法を提供する。
本発明によれば、定着オフセットが改善され、ブロッキング抑制が良好で、さらに耐擦性も高いインクジェット印画物を提供する。
図1は、本発明の付与工程時の装置の模式図を示した図である。 図2は、本発明の形成工程の装置の模式図を示した図である。
本発明のインクジェット画像形成方法は、インクジェット法により記録媒体上に画像を記録する記録工程、及び不揮発性溶媒に含有された粒径が1μm以上の粉末粒子を、当該粉末粒子の粒子数が1個/mm以上1000個/mm以下となるように当該記録媒体に付与する付与工程、を備えることを特徴とする。以下、各工程を詳述する。
1.記録工程
本発明の記録工程は、インクジェット法により記録媒体上に画像を記録する記録工程である。
(インクジェット法)
インクジェット法は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット法、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
インクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。本発明のインクジェット記録方法は、これらのいずれにも適用可能であるが、一般にダミージェットを行なわないライン方式に適用した場合に、吐出精度及び画像の耐擦過性の向上効果が大きい。
インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴量としては、高精細な画像を得る観点で、0.5〜15pl(ピコリットル)が好ましく、1〜12plがより好ましく、更に好ましくは2〜10plである。
(記録媒体)
本発明のインクジェット法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製の「OKプリンス上質」、日本製紙(株)製の「しおらい」、及び日本製紙(株)製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。また、インクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることも可能である。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。特に、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましい。これらは、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙であることがより好ましい。
(インク組成物)
本発明で使用する組成物は、色材及び水を含有するものであれば限定的でなく、公知又は市販のものを使用することができる。
(色材)
色材としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である色材であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、顔料であることがより好ましい。本発明においては、水不溶性の顔料自体または分散剤で表面処理された顔料自体を色材とすることができる。
本発明における顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機及び無機顔料を用いることができる。例えば、アゾレーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水相に分散可能であれば、いずれも使用できる。更に、前記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものや、グラフトカーボン等も勿論使用可能である。前記顔料のうち、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、カーボンブラック系顔料を用いることが好ましい。
本発明に用いられる有機顔料の具体的な例を以下に示す。以下の色材は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレンジ又はイエロー用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・オレンジ31、C.I.ピグメント・オレンジ43、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー13、C.I.ピグメント・イエロー14、C.I.ピグメント・イエロー15、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー93、C.I.ピグメント・イエロー94、C.I.ピグメント・イエロー128、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー151、C.I.ピグメント・イエロー155、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・レッド2、C.I.ピグメント・レッド3、C.I.ピグメント・レッド5、C.I.ピグメント・レッド6、C.I.ピグメント・レッド7、C.I.ピグメント・レッド15、C.I.ピグメント・レッド16、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド53:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド123、C.I.ピグメント・レッド139、C.I.ピグメント・レッド144、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド166、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド178、C.I.ピグメント・レッド222C.I.ピグメント・バイオレット19等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・ブルー15、C.I.ピグメント・ブルー15:2、C.I.ピグメント・ブルー15:3、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー16、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・グリーン7、米国特許4311775号明細書に記載のシロキサン架橋アルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。
ブラック用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・ブラック1、C.I.ピグメント・ブラック6、C.I.ピグメント・ブラック7等が挙げられる。
本発明における着色材が顔料である場合、分散剤によって水系溶媒に分散されていてもよい。分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性の分散剤でも非水溶性の分散剤の何れでもよい。
本発明におけるポリマー分散剤のうち水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物を用いることができる。例えば、天然の親水性高分子化合物では、アラビアガム、トラガンガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子などが挙げられる。
また、天然物を原料として化学修飾した親水性高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子などが挙げられる。
また、合成系の水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物等が挙げられる。
ポリマー分散剤のうち非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ポリマー分散剤の酸価としては、処理液が接触したときの凝集性が良好である観点から、100mgKOH/g以下が好ましい。更には、酸価は、25〜100mgKOH/gがより好ましく、30〜90mgKOH/gが特に好ましい。
色材の平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。平均粒子径は、200nm以下であると色再現性が良好になり、インクジェット法で打滴する際の打滴特性が良好になり、10nm以上であると耐光性が良好になる。また、色材の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を2種以上混合して使用してもよい。
色材の組成物中における含有量としては、画像濃度の観点から、組成物に対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
(ポリマー粒子)
本発明の組成物は必要に応じてポリマー粒子を含有することが好ましい。これにより、画像の耐擦過性、定着性等をより向上させることができる。
本発明におけるポリマー粒子としては、例えば、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する樹脂の粒子が挙げられる。これらのうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1以上を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。ポリマー粒子は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明におけるポリマー粒子の分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。上記重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(ポリスチレン換算)で測定される。
ポリマー粒子の平均粒子径は、体積平均粒子径で10〜400nmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、10〜100nmの範囲が更に好ましく、特に好ましくは10〜50nmの範囲である。この範囲とすることにより、製造適性、保存安定性等が向上する。ポリマー粒子の平均粒子径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
ポリマー粒子の液体組成物中における含有量としては、画像の光沢性などの観点から、組成物に対して、1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。
(水)
組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
(有機溶媒)
必要に応じて上記水に加えて水溶性有機溶媒を含有していてもよい。このような水溶性有機溶媒としては、吐出性の観点から、アルキレンオキシアルコールが好ましい。更にはアルキレンオキシアルコールの少なくとも1種とアルキレンオキシエーテルの少なくとも1種とを含む2種以上の親水性有機溶媒を含有する場合が特に好ましい。
前記アルキレンオキシアルコールとしては、好ましくは、プロピレンオキシアルコールである。プロピレンオキシアルコールとしては、例えば、サンニックスGP250、サンニックスGP400(三洋化成工業(株)製)が挙げられる。
前記アルキレンオキシアルキルエーテルとしては、好ましくは、アルキル部位の炭素数が1〜4のエチレンオキシアルキルエーテル又はアルキル部位の炭素数が1〜4のプロピレンオキシアルキルエーテルである。アルキレンオキシアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルなどが挙げられる。
また、上記の親水性有機溶媒に加え、必要に応じて、乾燥防止、浸透促進、粘度調整などを図る目的で、他の有機溶媒を含有してもよい。
(その他の添加剤)
組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、例えば、活性エネルギー線により重合する重合性化合物、重合開始剤、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、ワックス、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、組成物を調製後に直接添加してもよく、組成物の調製時に添加してもよい。
2.付与工程
本発明の付与工程は、不揮発性溶媒に含有された粒径が1μm以上の粉末粒子を、当該粒子の粒子数が1個/mm以上1000個/mm以下となるように当該記録媒体に付与する工程である。特定粒径の粉末粒子を含有する不揮発性溶媒を用いて、特定数の粉末粒子を記録媒体上に存在させることにより、定着オフセットを抑制しながら、記録媒体上の適度な粒子数がブロッキングを抑制することができる。また、耐擦性も向上させることができる。
付与する粒子数は、1個/mm以上1000個/mm以下であり、好ましくは、10個/mm以上100個/mm以下であり、最も好ましくは10個/mm以上50個/mm以下である。1個/mm未満であると、ブロッキング抑制効果が十分に得られず、一方、1000個/mmを超えると、粉末粒子が凝集しブロッキング性能を悪化するおそれがある。なお、本発明において、粒子数は、顕微鏡にて1000倍の倍率に拡大して観察し、ランダムに50の視野を選択して当該視野内の粒子数を数え、(50視野内で数えた粒子の総数)を(50視野の総面積)で除することにより計算される。
本発明における不揮発性溶媒とは、1気圧において150℃以下では沸騰しない溶媒をいう。このような不揮発性溶媒としては例えば、ジメチルシリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル;フッ素オイル;流動パラフィン;グリセリン等が挙げられる。これらの中でも、定着オフセット等の観点より、シリコーンオイル又は流動パラフィンがより好ましい。
これらの不揮発性有機溶媒としては、例えばシリコーンオイルの具体例としては、信越化学工業(株)製の「KF−96−10cs」、「KF−96−20cs、KF−96−30cs」、「KF−96−50cs」、「KF−96−100cs」、「KF−96−200cs」、「KF−96−300cs」、「KF−96−500cs」、「KF−96−1000cs」、「KF−96−3000cs」、「KF−96−5000cs」、「KF−96−1万cs」、東レ・ダウコーニング(株)製の「SH200−10CS」、「SH200−100CS」、「SH200−1000CS」、「SH200−10000CS」等のジメチルシリコーンオイル; 信越化学工業(株)製の「KF−393」、「KF−859」、「KF−860」、「KF−861」、「KF−864」、「KF−865」、「KF−867」、「KF−868」、「KF−869」、「KF−6012」、「KF−880」、「KF−8002」、「KF−8004」、「KF−8005」、「KF−877」、「KF−8008」、「KF−8010」、「KF−8012」、「X−22−3820W」、「X−22−3939A」、「X−22−161A」、「X−22−161B」、「X−22−1660B−3」、東レ・ダウコーニング(株)の「BY16−871」、「BY16−853U」、「FZ−3705」、「SF8417」、「BY16−849」、「FZ−3785」、「BY16−890」、「BY16−208」、「BY16−893」、「FZ−3789」、「BY16−878」、「BY16−891」等のアミノ変性シリコーンオイル; 信越化学工業(株)製の「FL−5」、「X22−821」、「X−22−822」、「FL−100−100CS」、「FL−100−450CS」、「FL−100−1000CS」、「FL−100−10000CS」、東レ・ダウコーニング(株)の「FS1265−300CS」、「FS1265−1000CS」、「FS1265−10000CS」等のフロロシリコーンオイル;等が挙げられる。
本発明で用いられる流動パラフィンは、常温(25℃)で液体であるパラフィンであれば限定的でない。これらの中でも、密度(15℃)が、0.850〜0.905g/cm3程度のものが好適に用いることができる。
このような流動パラフィンとしては、例えば、工業用流動パラフィン、薬局方流動パラフィン等が挙げられる。具体的には、三光化学工業(株)の「流動パラフィン 150−S」、「流動パラフィン 260−S」、「流動パラフィン 350−S」、「流動パラフィン No.100」、「流動パラフィン No.350」、MORESCO(株)の「P−100、P−120、P−150、P−200、P−260、P−350、P−350P」、カネダ(株)の「ハイコールM−352」等が挙げられる。
不揮発性溶媒は、そのSP値が30以下であることが好ましい。この範囲の溶媒を使用することにより、画像強度を向上し、耐擦性を良好なものとすることができる。本発明におけるSP値は、Fedors法により得られる値である。
粉末粒子の体積平均粒径は、粒径1μm以上であることを必須とする。これにより、ブロッキング抑制が可能となる。特に1μm以上20μm以下であり、好ましくは2μm以上15μm以下程度、より好ましくは、4μm以上12μm以下程度である。本発明の体積平均粒径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)によって測定される値である。測定は、20質量%の粉末粒子水分散物100μlに対してイオン交換水10mlを加えて測定用サンプル液を調製し、これを25℃に調温して行なえばよい。
溶媒に含有させる粉末粒子の含有量は限定的でないが、例えば、粉末粒子含有液全量に対して、1〜50質量%程度、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは8〜30質量%程度とすればよい。
粉末粒子は水難溶性及び水不溶性のいずれであってもよいが、本発明では水不溶性のものであることが好ましい。これにより、粉末粒子が記録画像上に付与された際に当該記録画像内部に粉末粒子が溶解ないし浸透することにより生じるブロッキング抑制効果の低下及び記録画像面のムラの発生を、効果的に防止することができる。本発明において水不溶性とは、水100質量部(25℃)に対する溶解量が、5.0質量部以下であることをいう。
粉末粒子としては、無機粒子及び有機粒子のいずれも挙げることができる。無機粒子としては、シリカ(二酸化珪素)、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。有機粒子としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられる。これらの中でも、単分散度が高く、性能バラツキを抑えることから、ポリメチル(メタ)アクリレート又はシリカが好ましい。なお、ポリメチル(メタ)アクリレートとは、ポリメチルアクリレート及びポリメチルメタアクリレート(PMMA)のうち少なくとも1種をいう。
なお、粉末粒子含有液は好ましくは粉末粒子が分散状態である分散液であることが好ましい。また、粉末粒子以外にも、公知又は市販の添加剤(例えば、有機溶媒の欄で上述したもの)を含んでいてもよい。
本発明は、粉末粒子を含有する不揮発性溶媒(以下「粉末粒子含有液」ともいう。)を付与する方法であるが、その付与する方法は限定的でなく、例えば、スプレー法、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を記録媒体等に対して適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
粉末粒子含有液の記録媒体への転写量(付与量)は、例えば10g/m以下とすればよく、1.0g/m以下とすることが好ましく、0.05〜0.5g/mとすることがより好ましい。これにより、目的の粒子数が印画物上に付与されやすくなる。
本発明では、例えば、粉末粒子含有液を、ローラ(好ましくは加熱ローラ)を介して記録媒体上に付与する方法が好ましい。すなわち、まず粉末粒子含有液をローラ表面に付与し、次いで、表面に粉末粒子含有液が付与されたローラを記録媒体に接触させることにより、粉末粒子を記録媒体に付与することが好ましい。これにより目的の付与量を好適に付与しやすくできる。
ローラへの付与方法は、粉末粒子含有液を直接又は間接的に付着させればよい。例えば、粉末粒子含有液を含浸させた布材をローラ表面に接触させる方法、粉末粒子含有液をローラ表面に噴霧する方法、ロールコーターで塗布する方法等が挙げられる。特に、布材をローラに接触させる方法は、ムラなく適量の粉末粒子含有液をローラ表面に付着できる点で好ましい。
この際の布材(ウェブ部材)は、織物及び不織布のいずれであってもよく、市販又は公知のものを使用すればよいが、加熱ローラに接触させる観点からは耐熱性の不織布が好ましい。例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、アラミド、ポリエステル、ポリアミドまたはこれらの混合物等が挙げられる。粉末粒子含有液の布材への含浸量は限定的でないが、例えば1〜100g/m(特に2〜50g/m)程度とすればよい。布材への含浸量、ローラへの接触(回転)速度等を適宜調整することによっても、粉末粒子の付与量を変更することが可能である。
なお、上記ローラに粉末粒子含有液を付与する場合、当該ローラを加熱可能な加熱ローラとすれば、加熱ローラを介して記録媒体に粉末粒子を付与する際に、同時に定着工程も兼ねることができる点で好ましい。
この好適な態様の一例を図1に図示する。図1において、加熱ローラ(定着ローラ)1には、ウェブ押圧ローラ3によって、粉末粒子含有液に含浸された布材5が、押圧されている。布材5は、送出ローラ2及び巻取りローラ4の回転により巻き取られながら、加熱ローラ1と接触することにより、加熱ローラ表面に粉末粒子含有液体を連続的に供給している。
3.定着工程
本発明のインクジェット記録方法は、前記付与工程の後、粉末粒子が画像表面に付与された記録媒体を定着する定着工程を有することが好ましい。この定着処理を施すことにより、記録媒体上の画像の定着が施され、画像の擦過に対する耐擦性をより向上させることができる。
定着工程は例えば、前記記録媒体表面に加熱及び加圧処理を行うことにより行えばよい。この際の加熱温度は、40〜150℃の範囲が好ましく、より好ましくは50℃〜100℃の範囲であり、更に好ましくは60℃〜90℃の範囲である。
加熱と共に加圧する際の圧力としては、表面平滑化の点で、0.1〜3.0MPaの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0MPaの範囲であり、更に好ましくは0.1〜0.5MPaの範囲である。
加熱の方法は、特に制限されないが、ニクロム線ヒーター等の発熱体で加熱する方法、温風又は熱風を供給する方法、ハロゲンランプ、赤外線ランプなどで加熱する方法など、非接触で乾燥させる方法を好適に挙げることができる。また、加熱加圧の方法は、特に制限はないが、例えば、熱板を記録媒体の画像形成面に押圧する方法;一対の加熱ローラ、一対の加熱加圧ベルト、あるいは記録媒体の画像記録面側に配された加熱加圧ベルトとその反対側に配された保持ローラとを備えた加熱加圧装置を用い、対をなすローラ等を通過させる方法;など接触させて加熱定着を行なう方法が好適に挙げられる。
加熱加圧する場合、好ましいニップ時間は、1ミリ秒〜10秒であり、より好ましくは2ミリ秒〜1秒であり、更に好ましくは4ミリ秒〜100ミリ秒である。また、好ましいニップ幅は、0.1mm〜100mmであり、より好ましくは0.5mm〜50mmであり、更に好ましくは1mm〜10mmである。
加熱ローラを使用する場合には、その加熱ローラは金属製の金属ローラでもよく、また、金属製の芯金の周囲に弾性体からなる被覆層及び必要に応じて表面層(離型層ともいう)が設けられたものでもよい。後者の芯金は、例えば、鉄製、アルミニウム製、SUS製等の円筒体で構成することができ、芯金の表面は被覆層で少なくとも一部が覆われているものが好ましい。被覆層は、特に、離型性を有するシリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂で形成されるのが好ましい。また、加熱ローラの一方の芯金内部には、発熱体が内蔵されていることが好ましく、ローラ間に記録媒体を通すことによって、加熱処理と加圧処理とを同時に施したり、あるいは必要に応じて、2つの加熱ローラを用いて記録媒体を挟んで加熱してもよい。発熱体としては、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等が好ましい。
加熱加圧ベルトを使用する場合には、そのベルト基材としては、シームレスのニッケル電鍮が好ましく、基材の厚さは10〜100μmが好ましい。また、ベルト基材の材質としては、ニッケル以外にもアルミニウム、鉄、ポリエチレン等を用いることができる。シリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂を設ける場合は、これら樹脂を用いて形成される層の厚みは、1〜50μmが好ましく、更に好ましくは10〜30μmである。
前記圧力(ニップ圧)を実現するには、例えば、加熱ローラ等のローラ両端に、ニップ間隙を考慮して所望のニップ圧が得られるように、張力を有するバネ等の弾性部材を選択して設置すればよい。
記録媒体の搬送速度は、200〜700mm/秒の範囲が好ましく、より好ましくは300〜650mm/秒であり、更に好ましくは400〜600mm/秒である。
本発明の画像形成方法には、記録工程と付与工程の間、付与工程と定着工程の間、定着工程後等の各工程間に、インク乾燥ゾーン等の装置を設けて乾燥工程を行ってもよい。
本発明の形成工程の好ましい一例を図2に例示の装置の概略図を用いて説明する。系内に、記録媒体11が搬送ベルト10等により送り込まれてくると、まず処理液塗布部12にて処理液塗布用バー13により処理液が付与され、次いで加熱乾燥部14にて乾燥機15により記録媒体が乾燥される。その後、インクジェット記録部16に到達すると、インクジェットノズル17から組成物が記録媒体に向かって噴射され、記録媒体上に記録画像が形成される。この画像が記録された記録媒体(印画物)はさらに加熱乾燥部14を経て定着部に搬送される。定着部には、加熱ローラ(定着ローラ)1と加圧ローラ6とが備えられている。加熱ローラは、粉末粒子含有液に一部含浸された布材5が押圧されており、その結果、そのローラ表面に粉末粒子が付着している。搬送された印画物はその加熱ローラ1と加圧ローラ6との間を通過する。この通過により、記録媒体上に形成された画像が定着されるとともに、加熱ローラ表面上に付着していた粉末粒子は印画物表面に転写される。その後、必要に応じて所定の大きさに切断された後、排出口から排出され、排出トレー(図示せず)の上に印画物が積み重ねられていく。なお、図2では、まず処理液塗布部12を設けて処理液塗布用バーを接触することにより記録媒体表面に処理液付与工程(後述)を行い、さらに処理液付与塗布部12及びインクジェット記録部16の後にそれぞれ加熱乾燥部14を設けて乾燥工程を行っているが、これらの処理液付与工程及び加熱工程は必須ではない。
(処理液付与工程)
また、本発明の画像形成方法は、処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程を備えてもよい。処理液付与工程は、インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液を記録媒体に付与し、処理液をインク組成物と接触させて画像化する。この場合、インク組成物中のポリマー粒子や色材(例えば顔料)などの分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
処理液付与工程は、インク組成物を用いたインク付与工程の前又は後のいずれに設けてもよい。
本発明においては、処理液付与工程で処理液を付与した後にインク付与工程を設けた態様が好ましい。すなわち、記録媒体上に、インク組成物を付与する前に、予めインク組成物中の色材(好ましくは顔料)を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与して画像化する態様が好ましい。これにより、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
処理液の付与量としては、インク組成物を凝集可能であれば特に制限はないが、好ましくは、凝集成分(例えば、2価以上のカルボン酸又はカチオン性有機化合物)の付与量が0.1g/m以上となる量とすることができる。中でも、凝集成分の付与量が0.1〜1.0g/mとなる量が好ましく、より好ましくは0.2〜0.8g/mである。凝集成分の付与量は、0.1g/m以上であると凝集反応が良好に進行し、1.0g/m以下であると光沢度の点で好ましい。
本発明における処理液は、既述のインク組成物と接触することで凝集体を形成可能なように構成されたものである。具体的には、処理液は、インク組成物中の色材粒子(顔料等)などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集成分を少なくとも含むことが好ましく、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
処理液は、インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集成分の少なくとも1種を含有することができる。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に処理液が混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
処理液の例としては、インク組成物のpHを変化させることにより凝集物を生じさせることができる液体が挙げられる。このとき、処理液のpH(25℃)は、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜6であることが好ましく、1.2〜5であることがより好ましく、1.5〜4であることが更に好ましい。この場合、吐出工程で用いる前記インク組成物のpH(25℃)は、7.5〜9.5(より好ましくは8.0〜9.0)であることが好ましい。中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25℃)が1.5〜3である場合が好ましい。前記凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
処理液は、凝集成分として、酸性化合物の少なくとも1種を用いて構成することができる。酸性化合物としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボキシル基を有する化合物、あるいはその塩(例えば多価金属塩)を使用することができる。中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシル基を有する化合物がより好ましく、カルボキシル基を有する化合物であることが更に好ましい。
カルボキシル基を有する化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種単独で用いるほか2種以上併用してもよい。
本発明における処理液は、上記酸性化合物に加えて、水系溶媒(例えば、水)を更に含んで構成することができる。
酸性化合物の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、処理液の全質量に対して、5〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、更に好ましくは15〜50質量%であり、特に好ましくは18〜30%である。
また、多価金属塩を添加した処理液が挙げられ、高速凝集性を向上させることができる。多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、及びランタニド類(例えば、ネオジム)の塩を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
金属の塩の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜7質量%であり、更に好ましくは2〜6質量%の範囲である。
また、処理液は、凝集成分として、カチオン性有機化合物の少なくとも1種を用いて構成することができる。カチオン性有機化合物としては、例えば、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、ポリグアニド、又はポリアリルアミン及びその誘導体などのカチオン性ポリマーを挙げることができる。
前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量としては、処理液の粘度の観点では分子量が小さい方が好ましい。処理液をインクジェット方式で記録媒体に付与する場合には、1,000〜500,000の範囲が好ましく、1,500〜200,000の範囲がより好ましく、更に好ましくは2,000〜100,000の範囲である。重量平均分子量は、1000以上であると凝集速度の観点で有利であり、500,000以下であると吐出信頼性の点で有利である。但し、処理液をインクジェット以外の方法で記録媒体に付与する場合には、この限りではない。
さらに、前記カチオン性有機化合物として、例えば、1級、2級、又は3級アミン塩型の化合物が好ましい。このアミン塩型の化合物の例として、塩酸塩もしくは酢酸塩等の化合物(例えば、ラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミンなど)、第4級アンモニウム塩型化合物(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなど)、ピリジニウム塩型化合物(例えば、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイドなど)、イミダゾリン型カチオン性化合物(例えば、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリンなど)、高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物(例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミンなど)等のカチオン性の化合物や、例えば、アミノ酸型の両性界面活性剤、カルボン酸塩型両性界面活性剤(例えば、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなど)、硫酸エステル型、スルホン酸型、又は燐酸エステル型等の両性界面活性剤など所望のpH領域でカチオン性を示す両性界面活性剤などを挙げることができる。
中でも、2価以上のカチオン性有機化合物が好ましい。
カチオン性有機化合物の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは2〜30質量%である。
上記のうち、凝集成分としては、凝集性及び画像の耐擦過性の点で、2価以上のカルボン酸、又は2価以上のカチオン性有機化合物が好ましい。
処理液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mであることが好ましく、20〜45mN/mであることがより好ましく、25〜40mN/mであることがさらに好ましい。なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
本発明における処理液は、凝集成分に加え、一般には水溶性有機溶剤を含むことができ、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の各種添加剤を用いて構成することができる。水溶性有機溶剤の詳細については、既述のインク組成物におけるものと同様である。
前記その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ、既述のインク組成物に含まれるその他の添加剤の具体的な例に挙げたものが適用できる。
4.インクジェット印画物
本発明の印画物は、上記本発明の形成方法によって得られたものである。すなわち、インクジェット法により画像が記録された記録媒体の表面に、粉末粒子が1個/mm以上1000個/mm以下(好ましくは、10〜100個/mm、より好ましくは10〜50個/mm)の割合で存在しているインクジェット印画物である。
粉末粒子、記録媒体、記録された画像を形成するインク等は好ましいものも含めて上述したものである。
本発明のインクジェット印画物は、その表面に更に不揮発性溶媒が存在していてもよい。その不揮発性溶媒は上述したものであり、好ましくはシリコーンオイル又は流動パラフィンである。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(いずれも東ソー(株)製の商品名)を用いて3本直列につなぎ、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。酸価は、JIS規格(JIS K0070:1992)に記載の方法により求めた。
<インク組成物>
(シアンインクC1の組成)
下記の組成となるように、シアンインクC1を調製した。
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4質量%
・アクリル系ポリマー分散剤
(酸価65.2mgKOH/g、重量平均分子量44600) : 2質量%
・アクリル系ポリマー粒子の水分散物
(固形分28質量%、重量平均分子量66000) :14質量%
・サンニックスGP250
(三洋化成工業社製、水溶性有機溶剤) :10質量%
・トリプロピレングリコールモノエチルエーテル
(和光純薬社製、水溶性有機溶剤) :10質量%
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1質量%
・マイクロクリスタリンワックス
(日本精蝋(株)製HI−MIC1090) : 2質量%
上記成分にイオン交換水を加えて100質量%となるように調整した。
(マゼンタインクM1の組成)
前記シアンインクC1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC1と同様の組成とした。
(イエローインクY1の組成)
前記シアンインクC1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC1と同様の組成とした。
(ブラックインクK1の組成)
前記シアンインクC1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC1と同様の組成とした。
<処理液の調製>
下記組成となるように各成分を混合し、処理液を調製した。
・マロン酸(2価のカルボン酸、和光純薬工業(株)製) 15.0質量%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製) 20.0質量%
・N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム(界面活性剤) 1.0質量%
・イオン交換水 64.0質量%
処理液の物性値は、粘度2.6mPa・s、表面張力37.3mN/m、pH1.6であった。なお、表面張力の測定は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて、白金プレートを用いたウィルヘルミ法にて25℃の条件下で行なった。粘度の測定は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて30℃の条件下で行なった。pHは、東亜DKK(株)製のpHメータWM−50EGを用い、原液のまま25℃にて測定した。
体積平均粒径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)によって測定した。測定は、20質量%の粉末粒子水分散物100μlに対してイオン交換水10mlを加えて測定用サンプル液を調製し、これを25℃に調温して行なった。
−ウェブ部材1−
・流動パラフィン(三光化学工業社製、流動パラフィン 260−S、密度(15℃)0.866g/cm、SP値10以下) 80.0質量%
・ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子
(綜研化学社製、MX−600、体積平均粒径6μm) 20.0質量%
上記組成の液1Lをシルバーソン製乳化装置で8000rpm、10分混合させ、粉末粒子分散液1を作製した。
作製した粉末粒子分散液1を不織布に30g/mとなるよう含浸させ、これをウェブ部材1とした。なお、不織布は、ポリアミドとポリエステルからなる混合材料で、重さ30g/m、厚さ0.1mmのものを使用した(下記のウェブ部材2〜9も同様)。
−ウェブ部材2−
・流動パラフィン
(三光化学工業社製、流動パラフィン 260−S) 80.0質量%
・PMMA粒子
(綜研化学社製、MX−800、体積平均粒径8μm) 20.0質量%
上記組成の液1Lをシルバーソン製乳化装置で8000rpm、10分混合させ、粉末粒子分散液2を作製した。
作製した粉末粒子分散液2を不織布に30g/mとなるよう含浸させ、これをウェブ部材2とした。
−ウェブ部材3−
・流動パラフィン(三光化学工業社製)、流動パラフィン 260−S)80.0質量%
・シリカ粒子(キャボット社製、CAB−O−SIL TG−820F、平均体積粒径10μm) 20.0質量%
上記組成の液1Lをシルバーソン製乳化装置で8000rpm、10分混合させ、粒子分散液3を作製した。
作製した粉末粒子分散液3を不織布に30g/mとなるよう含浸させ、これをウェブ部材3とした。
−ウェブ部材4−
・シリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−96−100cs)100.0質量%
上記組成の液1Lを液体4とした。
液体4を不織布に30g/mになるように含浸させ、ウェブ部材4を作製した。
−ウェブ部材5−
・流動パラフィン(三光化学工業社製、流動パラフィン 260−S)100.0質量%
上記組成の液1Lを液体5とした。
液体5を不織布に30g/mになるように含浸させ、ウェブ部材5を作製した。
−ウェブ部材6−
・水 70.0質量%
・イソプロピルアルコール(IPA)(沸点82.4℃) 10.0質量%
・PMMA粒子(綜研化学社製、MX−600、平均粒径6μm) 20.0質量%
上記組成の液1Lを粉末粒子分散液6とした。
粉末粒子分散液6を不織布に30g/mになるように含浸させ、ウェブ部材6を作製した。
−ウェブ部材7−
・グリセリン (沸点290℃、SP値40.97) 80.0質量%
・PMMA粒子(綜研化学社製、MX−800、体積平均粒径8μm)20.0質量%
上記組成の液1Lをシルバーソン製乳化装置で8000rpm、10分混合させ、粉末粒子分散液7を作製した。
粉末粒子分散液7を不織布に30g/mになるように含浸させ、ウェブ部材7を作製した。
−ウェブ部材8−
・流動パラフィン(三光化学工業社製、流動パラフィン 260−S)
80.0質量%
・PMMA粒子(綜研化学社製、MP−1000、体積平均粒径0.4μm)
20.0質量%
上記組成の液1Lをシルバーソン製乳化装置で8000rpm、10分混合させ、粉末粒子分散液8を作成した。
粉末粒子分散液8を不織布に30g/mになるように含浸させ、ウェブ部材8を作製した。
−ウェブ部材9−
・シリコーンオイル
(信越化学工業社製、KF−96−100cs、SP値10以下)80.0質量%
・PMMA粒子
(綜研化学社製、MX−3000、平均体積粒径32μm) 20.0質量%
上記組成の液1Lをシルバーソン製乳化装置で8000rpm、10分混合させ、粉末粒子分散液9を作製した。
作製した粉末粒子分散液9を不織布に30g/mになるように含浸させ、ウェブ部材9を作製した。
−ウェブ部材10−
粉末粒子分散液1を不織布に50g/mとなるよう含浸させ、これをウェブ部材10とした。なお、不織布は、ポリアミドとポリエステルからなる混合材料で、重さ45g/m、厚さ0.15mmのものを使用した。
−ウェブ部材11−
粉末粒子分散液1を不織布に60g/mとなるよう含浸させ、これをウェブ部材11とした。なお、不織布は、ウェブ部材10と同じものを使用した。
<画像記録及び評価>
以下に示すように、インクC1/M1/Y1/K1を用いて画像を記録すると共に、下記評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
−耐擦性−
GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を用意し、これに繋がる貯留タンクを上記で得たシアンインクC1、マゼンタインクM1、イエローインクY1、ブラックインクK1に詰め替えた。記録媒体として特菱アート両面N(三菱製紙社製)を、500mm/秒で所定の直線方向に移動可能なステージ(搬送ベルト)上に固定し、これに上記で得た反応液をワイヤーバーコーターで約1.5μm(マロン酸0.34g/m相当)の厚みとなるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた(図2)。
その後、GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を、前記ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に対して、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)が75.7°傾斜するように固定配置し、記録媒体を副走査方向に定速移動させながらインク液滴量3.5pL、吐出周波数24kHz、解像度1200dpi×600dpiの吐出条件にてライン方式で吐出し、ベタ画像を印字して描画サンプルを得た。印字直後、60℃で3秒間乾燥させた。
次いで、図2のように設置されたウェブ部材を各評価(下表1)に合わせて変更し、表1に記載の転写量となるようウェブ部材の回転速度を調整し、60℃に加熱された一対のローラ間(加熱ローラ及び加圧ローラ)を通過させることにより、ニップ圧0.25MPa、ニップ幅4mmにて定着処理を実施し、評価サンプルを得た。
なお、図2の加熱ローラ(定着ローラ)は、内部にハロゲンランプが内装されたSUS製の円筒体の芯金の表面がシリコーン樹脂で被覆されたものを使用した。
10mm×50mmに裁断した未印字の特菱アート両面Nを文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印字の特菱アート両面Nと評価サンプルが接触する面積は150mm)、上記で作成した評価サンプルを3往復擦った(荷重260kg/mに相当)。擦った後の印字面を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
A:印字面の画像の剥れは全く視認できなかった。
B:印字面の画像の剥れが、わずかに視認されたが、実用上問題ないレベルであった。
C:印字面の画像の剥れが視認でき、実用上問題があるレベルであった。
−ブロッキング評価−
耐擦性と同様にベタ画像を作製した。2枚の評価サンプルを4cm×4cmのサイズに裁断し、記録面同士を重ね合わせるように貼り合わせ、プレス機で2.0MPaの圧力を30秒間かけ、評価サンプルを剥がした。このときの剥がれ易さ及び剥がした後の色移りを目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
A:自然に剥がれ、互いの紙への色移りも見られなかった。
B:くっつきが生じ、互いの紙への色移りが多少見られた。
C:くっつきが強く、互いの紙へ多く色移りし、実用上問題があるレベルであった。
−定着オフセット−
耐擦性の評価において総インク液適量が7.0pLなるようにベタ画像を以外は、耐擦性の評価と同様に出力した。この時、定着ローラへの画像の転写による画像部の剥がれを目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
A:印字面の画像の剥れは全く視認できなかった。
B:印字面の画像の剥れが、わずかに視認されたが、実用上問題ないレベルであった。
C:印字面の画像の剥れが視認でき、実用上問題があるレベルであった。
なお、粉末粒子の個数は、顕微鏡にて観察して測定した。具体的には、×1000で、50視野ランダム(各視野は0.59mm×0.44mm)に観察し、(50視野中の粒子の総数)/(50視野の総面積) から計算した。
1 加熱ローラ
2 送出ローラ
3 ウェブ押圧ローラ
4 巻取ローラ
5 布材(ウェブ部材)
6 加圧ローラ
10 搬送ベルト
11 記録媒体
12 処理液塗布部
13 処理液塗布用バー
14 加熱乾燥部
15 乾燥機
16 インクジェット記録部
17 インクジェットのノズル

Claims (9)

  1. インクジェット法により記録媒体上に画像を記録する記録工程、及び、
    不揮発性溶媒に含有された粒径が1μm以上の粉末粒子を、当該粉末粒子の粒子数が1個/mm以上1000個/mm以下となるように前記記録媒体に付与する付与工程、
    を備えたインクジェット画像形成方法。
  2. 前記粉末粒子の粒子数が10個/mm以上100個/mm以下となるように付与する工程を備えた請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
  3. 前記粉末粒子が、ポリメチル(メタ)アクリレート又はシリカである請求項1又は2に記載のインクジェット画像形成方法。
  4. 前記不揮発性溶媒が、シリコーンオイル又は流動パラフィンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
  5. 前記不揮発性溶媒のSP値が30以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
  6. 前記付与工程は、前記粉末粒子を含有する不揮発性溶媒を、1.0g/m以下の範囲で、前記記録媒体に転写する工程である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
  7. 前記付与工程後に、インクジェット法により記録された画像を定着する定着工程を更に備えた請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法によって製造されるインクジェット印画物。
  9. 前記インクジェット印画物表面に不揮発性溶媒が存在しており、更に当該不揮発性溶媒がシリコーンオイル又は流動パラフィンである請求項8に記載のインクジェット印画物。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104999792A (zh) * 2014-04-17 2015-10-28 株式会社御牧工程 喷墨打印装置和喷墨打印方法
CN106696470A (zh) * 2016-12-16 2017-05-24 深圳市润天智数字设备股份有限公司 一种印刷单元及喷墨式印花机

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