JP2011211001A - 着磁コイルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 着磁による磁極のズレを防ぎ、簡単に作製できる着磁コイルを提供する。
【解決手段】 本発明は、軸方向にN極とS極が交互に多極磁化された円柱状ボンド磁石を着磁するための着磁コイルにおいて、上記着磁コイルは、周縁部から中心部にかけて切り欠き部を有する複数の金属板と、絶縁性の板材とが、着磁すべき円柱状ボンド磁石の磁極距離により決定される幅に合うように交互に重ねられた積層体からなり、上記金属板の切り欠き部の上端が、それぞれ上記絶縁性の板材を介して隣り合う別の金属板の切り欠き部の上端に電気的に接続されており、上記金属板および絶縁性の板材は、それぞれの中心部に、上記円柱状ボンド磁石が挿入できる大きさの貫通孔を有し、その貫通孔の一部が上記切り欠き部に接続されている着磁コイルである。上記金属板は、上記貫通孔の内壁面が上記円柱状ボンド磁石の側面と接することが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軸方向にN極およびS極が交互に多極磁化された円柱状ボンド磁石を着磁するための着磁コイルおよびその製造方法に関する。
食品から鉄粉を除去するための異物除去装置やシャフトモータの固定子や可動子として用いられる磁石として、軸方向にN極とS極が交互に多極磁化された円柱状ボンド磁石がある。このような円柱状ボンド磁石を着磁するためには、例えば、特許文献1に開示されるように、金属細線を正方向と逆方向とに交互に巻回させてなるコイルにて構成された着磁コイルが必要とされてきた。
このような着磁コイルの製造方法としては、例えば、図2に示されるように、予め巻回された複数のコイル102をベークライトのような絶縁性材料からなる中空芯104に通して、正方向に巻回させたコイルと逆方向に巻回させたコイルとを交互に並置する。それらのコイルとコイルの間にベークライトを材料とする絶縁性の隔壁103を挟んだ後に、それぞれのコイルの両端を一極ずつ電気的に接続して着磁コイルとする方法がある。
特開平6−69034号公報
しかしながら、図2のように着磁コイルを作製する場合、金属細線を複数回巻く際に、金属細線同士が重なったり、金属細線同士の間隔がばらついたりすることにより、金属細線と他の金属細線との位置に微小なズレが生じてしまう。特に、円柱状ボンド磁石の軸方向に対応する方向のズレは、着磁の際に円柱状ボンド磁石の磁極ズレの原因となってしまう。この磁極ズレは、円柱状ボンド磁石がシャフトモータに使われる場合に位置決め精度が低下する要因となる。そのため、円柱状ボンド磁石は、その軸方向に、着磁後においても着磁前と同じ所定の間隔で正確に磁極が並んでいる必要がある。
そこで、本発明は、このような課題を解決するものであり、着磁による磁極のズレを防ぎ、かつ、簡単に作製できる円柱状ボンド磁石用の着磁コイルを提供することにある。
以上の目的を達成するために本発明に係る着磁コイルは、軸方向にN極とS極が交互に多極磁化された円柱状ボンド磁石を着磁するための着磁コイルにおいて、上記着磁コイルは、周縁部から中心部にかけて欠損された切り欠き部を有する複数の金属板と、その金属板の間に介在される絶縁性の板材とが、交互に着磁すべき円柱状ボンド磁石の磁極間の距離により決定される幅で重ねられた積層体からなり、上記金属板の切り欠き部の上端が、それぞれ上記絶縁性の板材を介して隣り合う別の金属板の切り欠き部の上端に電気的に接続されており、上記金属板および絶縁性の板材は、それぞれの中心部に、上記円柱状ボンド磁石が挿入できる大きさの貫通孔を有し、その貫通孔の一部が上記切り欠き部に接続されていることを特徴とする。
上記金属板は、上記貫通孔の内壁面が上記円柱状ボンド磁石の側面と接することが好ましい。
上記円柱状ボンド磁石は、絶縁性を有することが好ましい。上記円柱状ボンド磁石は、SmFeN系の磁性材料により構成されることが好ましい。
本発明に係る着磁コイルの製造方法は、上記着磁コイルの製造方法であって、複数の金属板と、それらの金属板の間に介在される絶縁性の板材とを重ねて積層体を形成する第一の工程と、上記積層体の側面の一部から上記積層体の中心部まで切削することにより、上記金属板および絶縁性の板材に切り欠き部を形成する第二の工程と、上記切り欠き部に絶縁性部材を配置する第三の工程と、上記金属板の切り欠き部の上端を、それぞれ上記絶縁性の板材を介して隣り合う別の金属板の切り欠き部の上端に電気的に接続する第四の工程と、上記積層体を、その両端が突出するように支持体に固定した後、上記円柱状ボンド磁石を挿入する貫通孔を、その内壁の一部が上記切り欠き部に接続するように、上記積層体の軸方向に沿った中心部に形成する第五の工程と、を有することを特徴とする。
上記第三の工程は、絶縁性の板材を上記切り欠き部に挿入する工程を含むことが好ましい。
上記第四の工程は、半田または導電性ワイヤにより電気的に接続する工程を含むことが好ましい。
本発明の着磁コイルは、一定の厚さの金属板を用いているので、金属細線からなるコイルよりも着磁による磁極のズレが低減されるので、優れた位置精度で着磁することができる。
また、本発明の着磁コイルの製造方法は、金属細線からなるコイルの代わりに金属板にてコイルを構成しているため、コイルを形成する際に金属細線を巻く手間がかからない。よって、本発明は、金属細線を巻く作業が不要であるため、着磁コイルの製造がより容易である。
また、本発明の着磁コイルは、金属板に設けられた磁石挿入孔の内壁面と円柱状ボンド磁石の側面が絶縁材料を介さない状態で接することができる。これにより、電流が流れる部分と円柱状ボンド磁石が非常に近くなる。よって、強い着磁磁場を円柱状ボンド磁石に与えることができるため、着磁後の磁石の表面磁束密度を向上させることができる。
図1は、本発明の着磁コイルで着磁される円柱状ボンド磁石の模式的な斜視図である。 図2は、円柱状ボンド磁石を着磁するための従来の着磁コイルの構造を模式的に示す斜視図である。 図3は、本発明の着磁コイルを分解した状態を示す斜面図である。 図4は、本発明の着磁コイルの製造方法を示す斜面図である。 図5は、本発明の着磁コイルの製造方法を示す斜面図である。 図6は、本発明の着磁コイルの製造方法を示す斜面図である。 図7は、本発明の着磁コイルの製造方法を示す斜面図である。 図8は、本発明の着磁コイルの製造方法を示す斜面図である。 図9は、図1に示す円柱状ボンド磁石の側面における軸方向(A−A’)における磁束密度の分布を示す特性図である。 図10は、図9に示される特性図の一部を拡大して示す図である。
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための着磁コイルおよびその製造方法を例示するものであって、本発明は、着磁コイルおよびその製造方法を以下に限定するものではない。
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
軸方向にN極およびS極が交互に多極磁化された円柱状ボンド磁石を着磁するための着磁コイルにおいて、着磁による磁極のズレを防ぎ、かつ、簡単に作製できる円柱状ボンド磁石用の着磁コイルを提供するべく、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、通常の着磁コイルで金属細線を巻回してなるコイルの代わりに金属板を使用すればよいことに着目し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、中心部から周縁部にかけて切り欠きを有する複数の金属板と、それらの金属板を隔てる絶縁性の板材とを、円柱状ボンド磁石の磁極距離により決められた幅に合うように交互に重ねた積層体により構成されており、金属板の切り欠き部の上端をそれぞれ隣の金属板の切り欠き部の上端に電気的に接続させた構成となっている。さらに、本発明は、積層体の軸方向に沿った中心部に円柱状ボンド磁石を挿入できる貫通孔(磁石挿入孔)を有することを特徴とする円柱状ボンド磁石を着磁するための着磁コイルである。
本発明の着磁コイルを構成する金属板は、その中心部に設けられた磁石挿入用の貫通孔の内壁面が、着磁すべき円柱状ボンド磁石の側面と接することが好ましい。これにより、金属板により形成される磁場が円柱状ボンド磁石の側面に直接に印加されることができるので、高い磁力で円柱状ボンド磁石を着磁させることができる。従来のように、金属細線を巻回して形成したコイルでは、金属細線の表面をコーティングする絶縁性材料が存在した。そのため、金属細線を直接に円柱状ボンド磁石の側面に接触させることができなかった。また、金属細線の表面をコーティングする絶縁性材料を除去する作業が煩雑であった。しかし、本発明の金属板によると、絶縁性材料によるコーティングが存在しないので、金属板の貫通孔の内壁面と円柱状ボンド磁石の側面とを直接に接触させることができる。
着磁すべき円柱状ボンド磁石は、絶縁性を有することが好ましい。円柱状ボンド磁石が絶縁性であることにより、円柱状ボンド磁石の側面が金属板の磁石挿入孔内の内壁と接する構成をとっても、金属板同士が円柱状ボンド磁石を介して導通することがない。そのため、円柱状ボンド磁石を介しての導通を回避する他の絶縁性材料を必要とすることなく、円柱状ボンド磁石を金属板で直接に着磁することができる。
特に、絶縁性の円柱状ボンド磁石は、SmFeN系の磁性材料により作製されたボンド磁石であることが好ましい。SmFeN系の磁性材料は、高い絶縁性を有するので好適に利用することができる。
本発明にかかる着磁コイルの製造方法は、以下に説明する工程を含む。まず、複数の金属板と、それらの金属板の間に介される複数の絶縁性の板材を交互に重ねて円柱状の積層体を形成する。なお、金属板および絶縁性の板材の形状は、円盤状、楕円状、多角形状など種々の形状を選択することができるが、円柱状ボンド磁石の周方向に均一な磁力で着磁させることを考慮して、円盤状とすることが好ましい。
次に、この円柱状の積層体の側面の一部を、円柱状の積層体の周縁部から中心部まで切削して、円柱状の積層体の側面の一部に溝を形成する。なお、この溝は、金属板および絶縁性の板材については切り欠き部として形成されている。また、本発明の製造方法においては、金属板および絶縁性の板材の両方に切り欠き部を形成したが、本発明の着磁コイルにおいては、絶縁性の板材にまで切り欠き部を設ける必要はなく、少なくとも金属板に切り欠き部を設けていれば、着磁コイルとしての機能を果たすことができる。
そして、積層体の溝に絶縁性部材を配置する。この絶縁性部材の配置は、絶縁性接着剤を溝に流し込んで硬化することによりなされてもよいし、溝に嵌合する絶縁性の板材を積層体の溝に挿入することによりなされてもよい。
そして、金属板の切り欠き部の上端を、それぞれ絶縁性の板材を介して隣り合う別の金属板の切り欠き部の上端に電気的に接続する。この電気的な接続は、半田や導電性ワイヤによって行うことができる。
そして、上記の積層体を、向かい合う両側面に穴が設けられたプラスチックケースのような、内部に空洞が設けられた支持体内に配置して、その支持体の両側面の穴から積層体の両端を突出させた後、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂のような絶縁性接着剤で上記の積層体を固定する。
最後に、上記積層体の両端から円柱状の積層体の中心部に、円柱状ボンド磁石がぎりぎりで挿入できる程度の大きさおよび形状で、円柱状の積層体の軸方向に沿ってドリルのような工具で切削することにより貫通孔を形成して、この貫通孔を、円柱状ボンド磁石を挿入するための磁石挿入孔とする。なお、この貫通孔は、金属板および絶縁性の板材に対して重ね合わす前に予め形成させておいてもよいが、それぞれの貫通孔の位置合わせの困難性を考慮すると、積層後に金属板および絶縁性の板材に対して纏めて貫通孔を形成することが好ましい。また、貫通孔は、円柱状の積層体の中心部、すなわち、積層体の側面に形成された溝の底部に沿って形成されており、貫通孔の内壁面の一部が、金属板および絶縁性の板材に形成された切り欠き部に接続されている。これにより、金属板の切り欠き部を通じて電流が流れることなく、金属板の貫通孔の円周に沿って電流が流れる。この電流によって発生した磁力により、円柱状ボンド磁石を着磁することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる着磁コイルおよびその製造方法について詳述する。
図1は、本発明で着磁する対象である円柱状ボンド磁石の斜視図である。この円柱状ボンド磁石は、射出成形機による単一の成形工程によって形成される。すなわち、まず、射出成形機のキャビティへの樹脂と磁性材料からなるコンパウンドを充填する工程と、次に、磁性材料を配向させながらコンパウンド中の樹脂を固化させる工程と、最後に、成形体である円柱状ボンド磁石をキャビティから取り出す工程によって形成される。そのため、このような射出成形によって形成される円柱状ボンド磁石は、磁極と隣の磁極との間に継ぎ目が無い単一の成形体となる。
磁性材料は、異方性または等方性の磁性粉末を利用することができる。例えば、異方性磁性粉末としては、フェライト系、SmCo系、NdFeB系、SmFeN系が挙げられる。等方性磁性粉末としては、SmCo系、NdFeB系などが挙げられる。磁力の強い円柱状ボンド磁石を形成する必要がある場合には、異方性磁性粉末を用いることが好ましく、特に、成形性を考慮するとSmFeN系が好ましい。これは、異方性磁性粉末は、配向の際に印加される磁場によって、磁化方向が非常に揃い易く、結果的に円柱状ボンド磁石の磁力が強くなるためである。成形性の優れる材料は、配向もしやすい。上記の磁性粉末は、一種単独でも二種以上を混合物として使用しても使用可能である。また必要に応じて耐酸化処理やカップリング処理を施しても良い。
図2は、図1に示される円柱状ボンド磁石を着磁するために従来から用いられている着磁コイルを、円柱状ボンド磁石の軸方向に対応する方向に分解した状態の斜視図である。この着磁コイルを作製するには、まず、専用の治具を用いて、巻回方向が異なる2種類のコイル(右巻きコイル、左巻きコイル)を作製する。次に、「右巻きコイル、絶縁性の板材、左巻きコイル」の順番になるように、これらを絶縁性の空芯棒104に通し、コイル部分の幅を決める為のスペーサを入れる。着磁コイルの端部を万力で軽く挟んでコイルの両端を引っ張って巻きの弛みをとり、更に万力で挟んで固定してコイルの両端を接合した後、接着剤等で全体を仮止めする。最後に、これをプラスチックケースに入れ、全体をエポキシ樹脂に封入して完成させる。
この着磁コイルを着磁器に接続し、空芯棒104の磁石挿入孔に円柱状ボンド磁石を挿入して着磁する。しかし、この作製方法では、巻回された複数の金属細線により構成されたコイルにおいて、金属細線の巻回方向に垂直な方向へのズレが出来てしまう。そのため、金属細線の巻回方向に垂直な方向は、円柱状ボンド磁石の軸方向に対応しており、このようなコイルで着磁された円柱状ボンド磁石は、着磁前と後とで、軸方向に形成された磁極のズレが生じてしまう。また、断面が四角形の金属細線(角線)を用いてズレの少ない着磁コイルを作製可能であるが、金属細線を巻回させて構成しているコイルである以上、磁極のズレが生じてしまう。
図3は、本発明の着磁コイルを分解した状態の斜面図である。本発明にかかる着磁コイルを構成する金属板108は、図3に示すように金属板108の中心部から周縁部にかけて一箇所だけ欠損された切り欠き部105を有しており、この切り欠き部105の片側の上端を、絶縁性の板材109を介して隣り合う金属板108の切り欠き部105の片側の上端へ導電性ワイヤ106で接続する構造となっている。この構造は、コイルを1巻ずつ逆方向に巻く構造と等価な構造であり、金属細線が乱雑に重なったコイルと異なり、絶縁性の板材109と金属板108が平面で重なるため、これらの厚みだけで着磁による磁極位置の精度が決まる。
この着磁コイルは、図1に示される磁極のパターンと同じ着磁パターンで円柱状ボンド磁石101を着磁するためのものである。従来の着磁コイルと本発明の大きな違いは、図2に示されたコイル102が、図3に示された金属板108に変更された点である。これにより、絶縁性の板材109と金属板108の厚みだけで着磁の間隔が決まる。そのため、一般的な金属細線によるコイルを用いて着磁コイルを作製した場合と比較して、着磁の精度が高い着磁コイルが容易に作製できる。つまり、金属細線を巻回してコイルを形成した着磁コイルと異なり、本発明は、円柱状ボンド磁石の軸方向に対応する方向へのズレを低減できる。そのため、本発明は、円柱状ボンド磁石の磁極間の距離により決められたピッチで、正確に円柱状ボンド磁石を着磁することができる。また、着磁コイルの作製において、一番煩雑な金属細線を巻く作業を省略することができるため、着磁コイルの製造が容易となる。
金属板108に用いる金属としては、抵抗率が低い素材であれば何でも良く、銅、銀、金、アルミニウムなどが好ましい。特に、電気伝導性を考慮して、銅が好ましい。
絶縁性の板材109の材料としては、絶縁性、強度および耐熱性が高い材料が好ましい。例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂などのような熱硬化性樹脂や熱硬化性ポリイミドから選択することができる。また、磁器も利用することができる。絶縁性の板材109の材料としては、絶縁性、強度および耐熱性を兼ね備えた材料として、特に、フェノール樹脂(ベークライト)を好適に利用することができる。
図9は、図1に示される円柱状ボンド磁石101の側面の軸方向(A−A’)における磁束密度の分布を示す特性図である。また、図10は、図9に示される特性図のうち、一部を拡大して示す図である。ここでは、内径が5.0mm、長さが30mmの大きさの円柱状ボンド磁石(磁極のピッチが5.0mm)を用いて、その中央付近15mmの範囲(円柱状ボンド磁石の中心から軸方向に沿った左右にそれぞれ7.5mmの範囲)内での測定を行った。着磁前の円柱状ボンド磁石は、射出成形時における配向用磁石の配置により軸方向に多極磁化されている。そのため、軸方向に沿って磁束密度を測定すると、図9に示されるように、その表面磁束の分布は正弦曲線となる。図1で示した円柱状ボンド磁石の場合、磁極が5mmピッチで現れ、5mmピッチで磁束密度がゼロになるため、着磁後の磁束密度の分布もこれに沿った形になるはずである。しかし、図9および10に示すように、「本発明の着磁コイルで着磁(実施例1)、従来の着磁コイルで着磁(比較例1)、着磁前(参考例)」の3つを比較すると、比較例1および参考例は、正弦波の端で磁束密度がゼロにならず、一方、実施例1では正弦波の端で磁束密度がゼロになる。これにより、本発明の着磁コイルは、従来の着磁コイルと比較して、着磁による磁極のズレが少なくなることが分かる。
図4乃至8は、本発明の着磁コイルの製造方法を示す図である。まず、図4に示されるように、複数の金属板110と複数の絶縁性の板材111とを交互に挟み、図4のような円柱状の積層体を作成する。図5に示されるように、この積層体の側面の一部を周縁部から中心部まで切削して溝112を形成した後、この溝112に図5のような絶縁性の板材113を挿入して、エポキシ樹脂のような絶縁性の接着剤で固定する。次に、図6に示されるように、金属板110の切り欠き部の上端部を交互に、半田や導電性ワイヤ114で接続する。図7に示すように、円柱状の積層体の両方の端面が突出するように、向かい合う二つの側面に穴が設けられた支持体115であるプラスチックケースに入れ、広がらないように着磁コイルの端部を万力で軽く挟んで固定した後、プラスチックケース内に収納された積層体の全体が被覆されるように、プラスチックケースと積層体との隙間にエポキシ樹脂からなる充填材117を封入する。最後に、図7に示されるように、積層体の中心部に円柱状ボンド磁石がぎりぎりで挿入できる大きさの磁石挿入孔118をドリル116で切削して、図8に示されるように着磁コイルを完成させる。
このようにして作製した場合、円柱状ボンド磁石を挿入するための貫通孔118の内面は、金属板110が露出された状態であり、金属板110は絶縁性材料によってコーティングされていない。一方、着磁される円柱状ボンド磁石は、抵抗率の高いSmFeN系の磁性材料からなる略絶縁性のボンド磁石である。そのため、着磁するための金属板に流れる電流が磁石側に流れて短絡することがないので、N極とS極とを交互に着磁することができ、本発明の積層体を着磁コイルとして機能させることができる。また、電流が流れるコイルと着磁される円柱状ボンド磁石との距離が小さいほど、着磁される磁場は大きくなる。本発明の場合、電流が流れる金属板110と円柱状ボンド磁石が直に接する。そのため、本発明の着磁コイルは、着磁の際に磁石にかかる磁場が最大となり、着磁される磁場を強くすることができる。
本発明の着磁コイルの構造は、金属板が一枚一枚積層されて構成されているので、実質的にコイルが1巻の場合と同じである。そのため、着磁される磁場をより高くすることが求められる。これは、着磁される磁場の大きさが、コイルの巻き数と電流値をかけた値となるからである。本発明において、金属板108と絶縁性の板材109の厚みを薄くすることで、着磁される磁場の強さを大きくすることができる。これは、例えば一枚の金属板を5つに分割する場合、分割された5枚の薄い金属板を1本の導電性ワイヤで接続する構造にすることで、電流が流れる金属板を5つに増やすことができるからである。言い換えれば、金属細線から構成されたコイルを1巻から5巻に増やしたことと等価であるからである。
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は、以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
(金属板を用いた着磁コイルによる着磁)
図4乃至8は、本実施例の着磁コイルの製造方法を示す図である。金属板には、内径が30mmの銅丸棒(C1100)を、絶縁性の板材には内径が30mmのベークライト丸棒を用い、それぞれ銅丸棒を厚さ3mm、ベークライト丸棒を厚さ2mm(両端のみ10mm)に加工したものを組合せ、金属板と絶縁性の板材とを積層させて構成した着磁コイルを作製した。
この着磁コイルの磁石挿入孔に、外径が5.0mm、長さが30mmの大きさの円柱状ボンド磁石(磁極のピッチが5.0mm)をセットし、配向にあわせて500μF、2.0kV(12.6kA)の条件のパルス電流を通電して着磁を行った。着磁後、図1に示される円柱状ボンド磁石側面の軸方向(A−A’)の中央付近の15mmの範囲における磁束密度を測定した。
<比較例1>
(コイルを用いた着磁コイルによる着磁)
図2は、図1に示される円柱状ボンド磁石を着磁するために従来から用いられている着磁コイルを、円柱状ボンド磁石の軸方向に対応する方向に分解した状態の斜視図である。図2に示されるように、着磁コイルを作製する。本比較例では、線径が1mmのコイル(ガラス巻き銅線)を用いて作製した着磁コイルを作製した。これに上記実施例1と同じ大きさの円柱状ボンド磁石をセットし、配向にあわせて500μF、2.0kV(6.8kA)の条件のパルス電流を通電して着磁を行った。着磁後、図1に示される円柱状ボンド磁石側面の軸方向(A−A’)の中央付近15mmの範囲内における磁束密度を測定した。
<参考例>
(着磁前の円柱状ボンド磁石)
着磁前の、上記実施例1と同じ大きさの円柱状ボンド磁石側面の軸方向(A−A’)の中央付近15mmの範囲内における磁束密度を測定した。
(表面磁束密度の比較)
図9は、図1に示される円柱状ボンド磁石101の側面の軸方向(A−A’)の中央付近15mmの範囲内における磁束密度の分布を示す特性図である。また、図10は、図9に示される特性図のうち、位置が15mm付近の一部を拡大して示す図である。
上記実施例1、比較例1および参考例の3つの円柱状ボンド磁石の表面磁束密度分布を、図9および10に示すようにグラフ化して比較した。図10の拡大したグラフを見ると、本発明にかかる実施例1の着磁コイルを用いて着磁した円柱状ボンド磁石は、比較例と比べて、磁束密度分布グラフの正弦波の端が、磁束密度の測定範囲の端(位置目盛りが15mmのところ)、つまり、着磁前の円柱状ボンド磁石の5mm間隔の磁極の予定位置に一番正確に来ている。これにより、着磁を予定していた磁極が5mm間隔の円柱状ボンド磁石として最も磁極ズレが少ないことが分かる。
以上の結果から、本発明の着磁コイルは、着磁による磁極のズレを少なくすることができる。
本発明の着磁コイルは、シャフトモータの部品として用いられる円柱状ボンド磁石を着磁するための着磁コイルとして利用することができる。
101・・・円柱状ボンド磁石、102・・・コイル、103・・・絶縁性の板材、104・・・空芯棒、105、112・・・切り欠き部、106、114・・・導電性ワイヤ、107、118・・・磁石挿入孔、108、110・・・金属板、109、111、113・・・絶縁性の板材、115・・・支持体、116・・・ドリル、117・・・充填材。

Claims (7)

  1. 軸方向にN極とS極が交互に多極磁化された円柱状ボンド磁石を着磁するための着磁コイルにおいて、
    前記着磁コイルは、周縁部から中心部にかけて欠損された切り欠き部を有する複数の金属板と、その金属板の間に介在される絶縁性の板材とが、着磁すべき円柱状ボンド磁石の磁極間の距離により決定される幅で重ねられた積層体からなり、
    前記金属板の切り欠き部の上端が、それぞれ前記絶縁性の板材を介して隣り合う別の金属板の切り欠き部の上端に電気的に接続されており、
    前記金属板および絶縁性の板材は、それぞれの中心部に、前記円柱状ボンド磁石が挿入できる大きさの貫通孔を有し、その貫通孔の一部が前記切り欠き部に接続されていることを特徴とする着磁コイル。
  2. 前記金属板は、前記貫通孔の内壁面が前記円柱状ボンド磁石の側面と接する請求項1に記載の着磁コイル。
  3. 前記円柱状ボンド磁石は、絶縁性を有する請求項1または2に記載の着磁コイル。
  4. 前記円柱状ボンド磁石は、SmFeN系の磁性材料により構成される請求項1から3のいずれか一項に記載の着磁コイル。
  5. 前記請求項1から4のいずれか一項に記載の着磁コイルの製造方法であって、
    複数の金属板と、それらの金属板の間に介在される絶縁性の板材とを重ねて積層体を形成する第一の工程と、
    前記積層体の側面の一部から前記積層体の中心部まで切削することにより、前記金属板および絶縁性の板材に切り欠き部を形成する第二の工程と、
    前記切り欠き部に絶縁性部材を配置する第三の工程と、
    前記金属板の切り欠き部の上端を、それぞれ前記絶縁性の板材を介して隣り合う別の金属板の切り欠き部の上端に電気的に接続する第四の工程と、
    前記積層体を、その両端が突出するように支持体に固定した後、前記円柱状ボンド磁石を挿入する貫通孔を、その内壁の一部が前記切り欠き部に接続するように、前記積層体の軸方向に沿った中心部に形成する第五の工程と、を有することを特徴とする着磁コイルの製造方法。
  6. 前記第三の工程は、絶縁性の板材を前記切り欠き部に挿入する工程を含む請求項5に記載の着磁コイルの製造方法。
  7. 前記第四の工程は、半田または導電性ワイヤにより電気的に接続する工程を含む請求項5または6に記載の着磁コイルの製造方法。
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