JP2011207154A - タイヤの製造方法及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤ骨格部材にトレッドゴムを接着してタイヤを製造する際に、トレッドゴムの形状を安定的に維持する。
【解決手段】タイヤ骨格部材12の外周面12Aのタイヤ直径方向外側に、加硫済み又は半加硫状態のトレッドゴム16を配置し、トレッドゴム16をタイヤ骨格部材12側に押し付けるように、トレッドゴム16と、クッションゴム14と、少なくともタイヤ骨格部材12のトレッドゴム16側とをエンベロープで覆って仮組品を構成し、仮組品を容器内に収容し、容器内を加熱して加硫を行う。エンベロープとトレッドゴム16との間には、エンベロープのバルブに対するタイヤ径方向内側の位置にウィックを挟んだ状態でエンベロープ内が吸引される。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤの製造方法及びタイヤに関する。
従来、乗用車等の車両には、ゴム、有機繊維材料、スチール部材等から構成された空気入りタイヤが用いられている。また、近年では、軽量化やリサイクルのし易さから、タイヤ骨格部材に熱可塑性エラストマーや熱可塑性樹脂等の熱可塑性材料を用いることが求められている。例えば特許文献1には、熱可塑性の高分子材料を用いて成形された空気入りタイヤが開示されている。
このような熱可塑性材料からなるタイヤ骨格部材を製造するために、加硫金型を用いて、タイヤ骨格部材とトレッドゴムとの一体化を行うと、大型で高価な加硫装置、及びタイヤサイズに応じた種々の金型が必要となる。また、タイヤ骨格部材とトレッドゴムとが一体化した状態で、トレッドゴムの形状が安定的に維持されている必要がある。
ところで、使用済みタイヤからトレッドゴムを除去して台タイヤ(タイヤ骨格部材)を形成し、この台タイヤ(タイヤ骨格部材)のクラウン部に、あらかじめ踏面側にトレッドパターンが形成された下流済みのトレッドゴムを配置し、エンベローブ内で減圧しながらトレッドゴムをタイヤ骨格部材に押し付けて接着を行って、いわゆる更生タイヤを得る技術が知られている。
たとえば、特許文献2には、プレキュアトレッドとエンベローブとの間に、プレキュアトレッドの表面を覆うガス抜きシートを配設し、ガス抜きシートを経てエンベローブ内を吸引するタイヤの更生方法が記載されている。また、特許文献3には、加硫エンベローブの内周面に、排気孔を包囲するシート状の繊維体を一体に設け、エンベローブ内を吸引する技術が記載されている。
特開平3−143701号公報 特開2007−331152号公報 特開2009−143099号公報
タイヤ骨格部材に貼り付けられる加硫済みのトレッドゴムには、たとえば周方向溝や幅方向溝(以下、「凹み部」と称する)などによって、相対的に薄肉となっている部分が形成されていることがある。たとえば、乗用車用のタイヤでは、バスやトラックに用いられるタイヤや、航空機に用いられるタイヤ等と比較して、トレッドゴムが、上記した周方向溝や幅方向溝などのような凹み部により、薄肉部分を有しているものが多い。このようなトレッドゴムをタイヤ骨格部材(台タイヤ)に配置してエンベローブ内で吸引すると、薄肉部分のゴムが変形するおそれがある。
特に、吸引用のバルブ(口金部)の近傍では、トレッドゴムが局所的に強く吸引される。このため、トレッドゴムの変形を抑制することが望まれる。
本発明は、上記事実を考慮して、タイヤ骨格部材にトレッドゴムを接着してタイヤを製造する際に、トレッドゴムの形状を安定的に維持すること、及び、トレッドゴムの形状が安定的に維持されたタイヤを得ること、を目的とする。
請求項1に記載の発明(タイヤの製造方法)では、タイヤ骨格部材のタイヤ径方向外側に、加硫済み又は半加硫状態とされたトレッドゴムを配置し、前記トレッドゴムと少なくとも前記タイヤ骨格部材のトレッドゴム側とを被覆部材で覆って仮組品を構成すると共に、バルブを通じて被覆部材内を吸引してトレッドゴムをタイヤ骨格部材に向かって押し付け、前記仮組品を容器内に収容し、この容器内の加熱を行うことで、前記トレッドゴムを前記タイヤ骨格部材に接着するタイヤの製造方法であって、前記被覆部材と前記トレッドゴムとの間で、少なくとも前記バルブと前記トレッドゴムとの間を含む位置に、通気性を有すると共にトレッドゴムをタイヤ径方向外側から前記タイヤ骨格部材に向かって押し付け可能な押付部材を配置して被覆部材内を吸引する。
このタイヤの製造方法では、大型で高価な加硫装置が必要となる加硫金型や、タイヤサイズに応じた種々の金型を用いずに、タイヤ骨格部材にトレッドゴムを接着してタイヤを製造することができる。このため、タイヤ骨格部材にトレッドゴムを接着して、タイヤ(更生タイヤを含む)を製造する際の製造コストを低減することができる。
しかも、被覆部材内を吸引する際に、被覆部材とトレッドゴムとの間で、少なくともバルブとトレッドゴムとの間を含む位置に押付部材を配置して、トレッドゴムをタイヤ径方向外側から押し付けている。したがって、吸引時にバルブ跡がトレッドゴムに付くことが抑制され、トレッドゴムの形状を安定的に維持できるようになる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記トレッドゴムの一部分に、タイヤ径方向外側に形成された凹み部によって薄肉とされた薄肉部が構成され、前記押付部材の一部を前記凹み部に入り込ませて前記吸引を行う。
このように、押付部材の一部をトレッドゴムの凹み部に入り込ませた状態で被覆部材内の吸引を行うので、吸引時に変形しやすい薄肉部の形状を特に安定的に維持できる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記押付部材として、クッション性を有するスポンジ状部材を用いる。
押付部材として、クッション性を有するスポンジ状部材を用いるので、トレッドゴムの薄肉部にスポンジ状部材が入り込んだ状態で、薄肉部以外の部位(厚肉部)では、スポンジ状部材が被覆部材とトレッドゴムとの間で挟まれて圧縮される。このように、スポンジ状部材を用いることで、トレッドゴムの薄肉部と厚肉部の双方に対応した押付部材を1つの部材で構成できる。
請求項4に記載の発明では、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記押付部材として、有機繊維又は金属繊維により構成されたものを用いる。
押付部材として、有機繊維又は金属繊維により構成されたものを用いるので、布状部材としての形状安定性を高く確保できる。
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記バルブの、前記押付部材側に位置する口金部の外形が60mm以下とされている。
口金部の外形が60mm以下とされているので、バルブ跡(口金部の跡)がトレッドゴムに付くことが、より効果的に抑制される。しかも、このようにバルブ跡が付くことも抑制する目的のために、本発明では、従来よりも大径の口金部を用いることが可能になり、より多くの口金部(バルブ)から選択できるようになる。
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記トレッドゴムと少なくとも前記タイヤ骨格部材のトレッドゴム側とを被覆部材で覆って仮組品を構成するときに前記タイヤ骨格部材の外周面と前記トレッドゴムとの間に未加硫ゴムを配置する。
タイヤ骨格部材の外周面とトレッドゴムとの間に未加硫ゴムを配置しているので、この未加硫ゴムを加硫することでタイヤ骨格部材に対しトレッドゴムを接着できる。また、未加硫ゴムを加硫した後は、クッションゴムとして作用させることもできる。
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明において、前記タイヤ骨格部材の前記外周面に予め凹凸部を設けておき、前記未加硫ゴムが加硫後にこの凹凸部と嵌まり合うようにする。
加硫によりトレッドゴムをタイヤ骨格部材に接着する際に、未加硫ゴムが、タイヤ骨格部材の外周面の凹凸部に嵌まり合うので、トレッドゴムとタイヤ骨格部材との機械的結合を確保することができ、トレッドゴムとタイヤ骨格部材との接合強度を向上させることができる。
請求項8に記載の発明では、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の発明において、前記容器内で加熱を行う際に容器内を加圧する。
容器内で加硫を行う際に、容器内を加熱するだけでなく更に加圧するので、トレッドゴムがタイヤ骨格部材側より強く押し付けられることとなる。このため、タイヤ骨格部材に対するトレッドゴムの接着性をより高めることができる。
請求項9に記載の発明では、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の発明において、前記タイヤ骨格部材を樹脂材料を用いて成形する。
すなわち、本発明のタイヤ骨格部材を構成する材料としては、ゴム(加硫ゴム)であってもよいが、特に樹脂(加硫ゴムは除く)とすることで、製造されるタイヤの軽量化を図ることができる。また、樹脂はゴム(加硫ゴム)と比較して成形が容易な場合が多く、製造に必要なエネルギーを少なくすることも可能になる。
請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の発明において、前記樹脂材料として熱可塑性樹脂材料を用いる。
すなわち、タイヤ骨格部材を構成する樹脂としては、たとえば熱硬化性樹脂等を用いることも可能であるが、特に、熱可塑性樹脂を用いることで、再利用(リサイクル)が容易になる。
さらに、タイヤ骨格部材を構成する樹脂としては、上記した再利用の容易さに加えて、走行時の弾性と製造時の成形性を考慮すると、熱可塑性エラストマー(TPE)等を用いることが望ましい。
請求項11に記載の発明(タイヤ)では、タイヤ骨格部材のタイヤ径方向外側に、加硫済み又は半加硫状態とされたトレッドゴムを配置し、前記トレッドゴムと少なくとも前記タイヤ骨格部材のトレッドゴム側とを被覆部材で覆って仮組品を構成すると共に、バルブを通じて被覆部材内を吸引してトレッドゴムをタイヤ骨格部材に向かって押し付け、前記仮組品を容器内に収容し、この容器内の加熱を行うことで、前記トレッドゴムを前記タイヤ骨格部材に接着されたタイヤであって、前記被覆部材と前記トレッドゴムとの間で、少なくとも前記バルブに対しタイヤ径方向内側を含む位置に、通気性を有すると共にトレッドゴムをタイヤ径方向外側から前記タイヤ骨格部材に向かって押し付け可能な押付部材が配置された状態で被覆部材内が吸引されてトレッドゴムをタイヤ骨格部材に向かって押し付けられている。
このタイヤは、大型の加硫装置が必要となる加硫金型を用いずに低コストで提供することができる。しかも、被覆部材内を吸引する際に、被覆部材とトレッドゴムとの間に押付部材を配置して、トレッドゴムをタイヤ径方向外側からタイヤ骨格部材に向かって押し付けているので、トレッドゴムにバルブ跡が付くことが抑制されたタイヤ、すなわちトレッドゴムの形状が安定的に維持されたタイヤとなっている。
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の発明において、前記タイヤ骨格部材の外周面と前記トレッドゴムとの間に未加硫ゴムが配置されている。
未加硫ゴムを加硫することでタイヤ骨格部材にトレッドゴムを接着したタイヤが得られる。
請求項13に記載の発明では、請求項12に記載の発明において、前記タイヤ骨格部材の前記外周面には、予め凹凸部が設けられており、前記未加硫ゴムが加硫後に前記凹凸部と嵌まり合っている。
未加硫ゴムを加硫した後も、タイヤ骨格部材の外周面に設けられた凹凸部が、加硫後のゴムと嵌まり合っており、トレッドゴムとタイヤ骨格部材との機械的結合が確保されているので、トレッドゴムとタイヤ骨格部材との接合強度が高い。
請求項14に記載の発明では、請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載の発明において、前記タイヤ骨格部材が樹脂材料で成形されている。
すなわち、本発明のタイヤ骨格部材を構成する材料としては、ゴム(加硫ゴム)であってもよいが、特に樹脂(加硫ゴムは除く)とすることで、タイヤの軽量化を図ることができる。また、樹脂はゴム(加硫ゴム)と比較して成形が容易な場合が多く、製造に必要なエネルギーを少なくすることも可能になる。
請求項15に記載の発明では、請求項14に記載の発明において、前記樹脂材料が熱可塑性樹脂材料である。
すなわち、タイヤ骨格部材を構成する樹脂としては、たとえば熱硬化性樹脂等を用いることも可能であるが、特に熱可塑性材料を用いることで、再利用(リサイクル)が容易になる。
さらに、タイヤ骨格部材を構成する樹脂としては、上記した再利用の容易さに加えて、走行時の弾性と製造時の成形性を考慮すると、熱可塑性エラストマー(TPE)等を用いることが望ましい。
本発明のタイヤ製造方法に用いられる熱可塑性エラストマー、及び本発明に係るタイヤにおいてタイヤ骨格部材を構成する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
また熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、加硫済みとは、最終製品として必要とされる加硫度に至っている状態をいい、半加硫状態とは、未加硫の状態よりは加硫度が高いが、最終製品として必要とされる加硫度には至っていない状態をいう。
以上説明したように、本発明に係るタイヤの製造方法及びタイヤによれば、トレッドゴムの形状を安定的に維持できる、という優れた効果が得られる。
樹脂製のタイヤ骨格部材、接着剤、クッションゴム、ゴムセメント組成物及びトレッドゴムを示す分解断面図である。 タイヤ軸方向断面において、樹脂製のタイヤ骨格部材の外周面に形成された凹凸部を示す拡大斜視図である。(A)に示される凹凸部は、逆台形の凸部と台形の凹部とからなっている。(B)に示される凹凸部は、幅寸法が一定の凸部と台形の凹部からなっている。(C)に示される凹凸部は、断面円弧形の凹部と、隣接する凹部の間に位置する凸部とからなっている。(D)に示される凹凸部は、千鳥配置された凸部と、凸部以外の領域である凹部とからなっている。 帯状のトレッドゴムを、タイヤ骨格部材の外周面に配置されたクッションゴムの外周に巻き付ける工程を示す斜視図である。 図3において、クッションゴムの外周に巻き付けた帯状のトレッドゴムの端部同士を突き合わせて円環状とした状態を示す斜視図である。 (A)トレッドゴムの継目において、タイヤ半径方向に沿った端面がタイヤ周方向に対向している例を示す、図4における5A−5A矢視拡大断面図である。(B)トレッドゴムの継目において、タイヤ半径方向に対して傾斜した端面が略平行に対向している例を示す5B−5B矢視拡大断面図である。 治具により、円環状のトレッドゴムを拡径している状態を示す斜視図である。 拡径されたトレッドゴムの内周側に、タイヤ骨格部材を配置した状態を示す斜視図である。 トレッドゴムがクッションゴムのタイヤ直径方向外側に配置された状態を示す斜視図である。 樹脂製のタイヤ骨格部材の外周面のうち、トレッドゴムが接着される範囲の少なくとも一部に、加硫済みのゴム層を設けておき、クッションゴムを、少なくともトレッドゴムとゴム層との間に配置する例を示す断面図である。 クッションゴムと、少なくともタイヤ骨格部材のトレッドゴム側とを、エンベロープで覆った仮組品を示す斜視図である。 クッションゴムと、少なくともタイヤ骨格部材のトレッドゴム側とを、エンベロープで覆った仮組品を部分的に拡大して示す図10−1のII−II線断面図である。 仮組品の一例を示す断面図である。 仮組品の他の一例を示す断面図である。 仮組品の他の一例を示す断面図である。 加硫用の容器内において、仮組品を押付部材で支持した例を模式的に示す断面図である。 台車上の押付部材により支持した仮組品を、該台車ごと加硫用の容器内に配置した例を模式的に示す断面図である。 熱可塑性材料を用いたタイヤ骨格部材にトレッドゴムが接着されたタイヤを示す断面図である。 タイヤ骨格部材として3列のチューブ体を用いたタイヤを示す断面図である。 チューブ体を示す断面図である。 タイヤ骨格部材として単列のチューブ体を用いたタイヤを示す断面図である。 ゴム製のタイヤ骨格部材、接着剤、クッションゴム、ゴムセメント組成物及びトレッドゴムを示す分解断面図である。 ゴム製のタイヤ骨格部材にトレッドゴムが接着されたタイヤを示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。図1から図16において、本実施形態に係るタイヤの製造方法は、本実施形態では特に樹脂材料を用いてタイヤ骨格部材12を形成し、このタイヤ骨格部材12の外周面12Aに、未加硫ゴムの一例であるクッションゴム14を配置し、更にこのクッションゴム14のタイヤ直径方向外側に、加硫済み又は半加硫状態のトレッドゴム16を配置している。そして、トレッドゴム16をタイヤ骨格部材12側に押し付けるように、トレッドゴム16と、クッションゴム14と、少なくともタイヤ骨格部材12のトレッドゴム16側とを、本発明の被覆部材の一例であるエンベロープ18(図10−1参照)で覆って仮組品20を構成している。さらに、この仮組品20を容器22(図14及び図15参照)内に収容し、この容器22内に対し、例えば加熱及び加圧を行って加硫を行うことで、トレッドゴム16をタイヤ骨格部材12に接着する、というものである。なお、後述するように、タイヤ骨格部材12を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。さらには、タイヤ骨格部材12を構成する材料としては、樹脂にも限定されず、たとえば加硫ゴムであってもよい。
(タイヤ骨格部材)
タイヤ骨格部材12は、熱可塑性材料を用いて、例えばタイヤ10のクラウン部24に対応した形状と、このクラウン部24のタイヤ軸方向両側から夫々タイヤ径方向内側に連なるサイド部26に対応した形状と、このサイド部26のタイヤ径方向内側に連なるビード部28に対応した形状とを有するように成型される。ビード部28には、ビードコア30が埋設される。このビードコア30の材料には、例えば金属、有機繊維、有機繊維を樹脂で被覆したもの、又は硬質樹脂が用いられる。なお、ビード部28の剛性が確保され、リム(図示せず)との嵌合に問題がなければ、ビードコア30を省略してもよい。
タイヤ骨格部材12を構成する樹脂材料としては、ゴム様の弾性を有する熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)や熱硬化性樹脂等を用いることができるが、走行時の弾性と製造時の成形性を考慮すると、熱可塑性エラストマーを用いることが望ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
また熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
更にこれらの熱可塑性材料としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定される荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78℃以上、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、同じくJIS K7113に規定される引張降伏点伸びが10%以上、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸びが50%以上、JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130℃以上であるものを用いることができる。
このタイヤ骨格部材12は、まず、例えばタイヤ10のタイヤ幅方向の中心部、即ちタイヤ赤道面CL、又はその近傍面を中心とした半割り形状に成型され、クラウン部24の端部同士を接合することにより構成される。この接合には、例えば同種又は異種の熱可塑性材料や溶融樹脂を用いた溶接法、あるいは、端部の間に熱板を挟みつけ、端部どうしを接近する方向に押付ながら熱板を除去して、端部において溶融状態になっている半割り形状品を溶着する熱板溶着方等により、接合してもよい。さらに、これらと併用して、接着剤等の接合部材34を用いてもよい。
クラウン部24には、補強用のコード32が例えば螺旋状に巻回されている。このコード32としては、例えばスチールコードや、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)又はこれらの繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)を用いるとよい。コード32としてスチールコードを用いる場合、例えばクラウン部24のタイヤ直径方向外側に、熱可塑性材料からなるシート(図示せず)を貼り付けておき、コード32を加熱しながら、該シートに対してタイヤ周方向に螺旋巻きして埋設して行くことができる。このとき、コード32とシートの双方を加熱するようにしてもよい。
このように、クラウン部24に対して、補強用のコード32を、タイヤ周方向に螺旋巻きすることで、クラウン部24のタイヤ周方向の剛性を向上させると共に、クラウン部24の耐破壊性を向上させることができる。またこれによって、タイヤ10のクラウン部24における耐パンク性を高めることができる。なお、クラウン部24を補強するに際し、コード32をタイヤ周方向に螺旋状に巻回することが、製造上容易であるため好ましいが、コード32をタイヤ幅方向において不連続としてもよい。またタイヤ骨格部材12(例えば、ビード部28、サイド部26、クラウン部24等)に、更なる補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布)を埋設配置してタイヤ骨格部材12を補強してもよい。
タイヤ骨格部材12のビード部28のうち、リム(図示せず)に嵌合する部位には、シール層36が設けられる。これにより、ビード部28のリムフィット性を高めることができる。このシール層36としては、タイヤ骨格部材12に用いられる熱可塑性材料よりもシール性の高い、ゴムや樹脂、エラストマー等を用いることができる。なお、タイヤ骨格部材12に用いられる熱可塑性材料のみでリムとの間のシール性が確保できれば、シール層36を省略してもよい。
図2(A)〜(D)に示されるように、タイヤ骨格部材12の外周面12Aには、例えば予め凹凸部38を設けておき、クッションゴム14(図1)が加硫後にこれらの凹凸部38と嵌まり合うようにすることが好ましい。この凹凸部38は、金型により容易に形成することが可能である。クッションゴム14は加熱により粘度が低下して流動しやすくなるので、凹凸部38に対して隙間なく接合することができる。
図2(A)に示される凹凸部38は、タイヤ骨格部材12の外周面12Aに、タイヤ周方向に沿って延びる稜線状の凸部38Aと凹部38Bとを、タイヤ幅方向に交互に形成したものである。タイヤ軸方向断面において、凸部38Aは、タイヤ中心側からタイヤ半径方向外側に向かって幅寸法が拡大する逆台形に設定されている。これに伴い、凹部38Bは、タイヤ中心側からタイヤ半径方向外側に向かって幅寸法が縮小するように設定されている。このような凹凸部38を設けることで、クッションゴム14(図1)が加硫後に凹凸部38と強固に嵌まり合い、所謂アンカー効果が得られる。
図2(B)に示される凹凸部38は、タイヤ骨格部材12の外周面12Aに、タイヤ周方向に沿って延びる稜線状の凸部38Aと凹部38Bとを、タイヤ幅方向に交互に形成したものであり、タイヤ軸方向断面において、凸部38A及び凹部38Bの幅寸法は、タイヤ半径方向において一定となっている。
図2(C)に示される凹凸部38は、タイヤ骨格部材12の外周面12Aに、タイヤ周方向に沿って延びる断面円弧形の凹部38Bを、タイヤ幅方向に所定間隔で複数本形成したものである。この例では、隣接する凹部38Bの間に位置する領域が、相対的に凸部38Aとなっている。
図2(D)に示される凹凸部38は、タイヤ骨格部材12の外周面12Aに、複数の円柱状又は逆円錐台状の凸部38Aをタイヤ半径方向外側に立設すると共に、凸部38Aを例えば千鳥配置したものである。この例では、凸部38A以外の領域が、相対的に凹部38Bとなっている。
(クッションゴム及びトレッドゴムの配置)
図1に示されるように、タイヤ骨格部材12の外周面12Aにクッションゴム14を配置する際、外周面12Aに例えば1層又は2層の接着剤40を塗布することが好ましい。この接着剤40の塗布は、湿度70%以下の雰囲気で行うことが好ましい。接着剤40は、特定の種類に限定されるものではないが、例えばトリアジンチオール系のものを用いることができ、他には塩化ゴム系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤等も用いることができる。
また、外周面12Aに接着剤40を塗布する前に、外周面12Aをサンドペーパーやグラインダ等でバフ掛けしておくことが好ましい。外周面12Aに接着剤40が付き易くなるからである。更に、バフ掛け後の外周面12Aをアルコール等で洗浄して脱脂しておくことが好ましい。またバフ掛け後の外周面12Aに対し、コロナ処理や紫外線照射処理を行うことが好ましい。
加硫済み又は半加硫状態のトレッドゴム16を、クッションゴム14のタイヤ直径方向外側に配置する際には、トレッドゴム16の裏面側やクッションゴム14の外周面側に、粘着性を有する部材、例えばゴムセメント組成物42を塗布しておくことが好ましい。これにより、トレッドゴム16がクッションゴム14に貼り付くことで仮止め状態となり、作業性が向上するからである。
トレッドゴム16の材質として、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)を用いる場合には、ゴムセメント組成物42として、例えばSBR系のスプライスセメントを用いることが好ましい。また、トレッドゴム16の材質として、NR(天然ゴム)の配合比の高いSBR系ゴムを用いる場合には、SBR系のスプライスセメントにBR(ブタジエンゴム)を配合したものを用いることが好ましい。この他、ゴムセメント組成物42として、液状BR等の液状エラストマーを配合した無溶剤セメントや、IR(イソプレンゴム)−SBRのブレンドを主成分とするセメントを用いることが可能である。
トレッドゴム16は、予め踏面16A側に主溝等のトレッドパターンが形成されたPCT(Pre−Cured Tread)である。トレッドパターンを形成するため、未加硫ゴムをPCT用金型内で加硫して、トレッドゴム16を成型する。このとき、トレッドゴム16は、最終製品として必要とされる加硫度に至った加硫済み状態、又は未加硫の状態よりは加硫度が高いが、最終製品として必要とされる加硫度には至っていない半加硫状態とされる。特に、本実施形態に係るトレッドゴム16には、タイヤ周方向に沿って延在する環状の凹み部16Bが1本又は複数本(本実施形態は2本)形成されており、凹み部16Bが形成された部分は薄肉部16Cとされると共に、凹み部16Bが形成されていない部分は薄肉部16Cに対して相対的に厚肉の厚肉部16Dとされている(図1等参照)。本実施形態では特に、凹み部16Bはタイヤ周方向に沿って環状に形成されており、タイヤ10の主溝となっている。薄肉部16C及び厚肉部16Dの肉厚は、タイヤとして求められる性能を満たせば特に限定されるものではないが、たとえば、薄肉部16Cの肉厚T1は1mm程度、タイヤセンター部(最も厚い部分)における厚肉部16Dの肉厚T2は5mm程度とされる。
トレッドゴム16をクッションゴム14の外周に配置するに際しては、図3から図5に示されるように、帯状のトレッドゴム16をクッションゴム14の外周に円環状に巻き付けるようにしてもよいし、また図6から図8に示されるように、予め円環状に形成されたトレッドゴム16を用いてもよい。
ここで、図3から図5において、帯状のトレッドゴム16をクッションゴム14の直径方向外側に円環状に巻き付ける方法について簡単に説明する。この方法では、図3に示されるように、外周面12Aにクッションゴム14が配置されたタイヤ骨格部材12を、例えば円盤状の押付部材44により支持し、押付部材44の中心に設けられた支持軸46を中心としてタイヤ骨格部材12を矢印A方向に回転させ、タイヤ軸方向と直交する方向から供給されるトレッドゴム16を、タイヤ骨格部材12の外周面12Aに配置されたクッションゴム14(図1参照)の外周に、1周分巻き付けて切断する。そして、図4に示されるように、端部同士を突き合わせて円環状とする。図5(A)及び(B)において、その端部同士の継目48には、例えば未加硫ゴム50を配置しておき、後述する加硫工程において端部同士を加硫接着する。継目48の断面形状は、図5(A)に示されるように、タイヤ半径方向に沿った端面がタイヤ周方向に対向する単なる突合せでもよいし、また図5(B)に示されるように、タイヤ半径方向に対して傾斜した端面が略平行に対向する突合せであってもよい。
次に、図6から図8において、円環状のトレッドゴム16をクッションゴム14のタイヤ直径方向外側に配置する方法について簡単に説明する。この方法では、図6に示されるように、環状のトレッドゴム16を治具52によって拡径し、拡径したトレッドゴム16の内周側に、タイヤ骨格部材12を配置する。図示は省略するが、タイヤ骨格部材12の外周面12Aには、クッションゴム14(図1参照)が配置されている。
治具52は円盤状の台座54の上面に、円形に配置された複数(本実施形態では合計で8つ)の移動ブロック56を備えている。これらの移動ブロック56は、シリンダやねじ等の送り手段(図示省略)により台座54の直径方向内側(矢印E方向)と直径方向外側(矢印F方向)に同期して移動可能に構成されている。また、各移動ブロック56には、それぞれ複数(本実施形態では合計で2つ)のピン58が立設されている。台座54におけるピン58の内周側には、複数のピン60が円形に沿って配置されている。
なお、すべてのピン58は、円形に沿った位置に配置されており、各移動ブロック56の移動によって、台座54の直径方向内側(矢印E方向)と直径方向外側(矢印F方向)へ移動させるようになっている。
従って、環状のトレッドゴム16を各ピン58の外周側に配置し、各移動ブロック56を台座54の直径方向外側(矢印F方向)へ移動させることでトレッドゴム16を拡径する。その後、図7に示されるように、トレッドゴム16の内周側に、タイヤ骨格部材12を配置する。このとき、タイヤ骨格部材12は、ピン58と、ピン60との間に配置された状態となる。
その後、すべてのピン58、60を、トレッドゴム16とタイヤ骨格部材12との間から引き抜くことで、図8に示されるように、トレッドゴム16がクッションゴム14(図示せず)のタイヤ直径方向外側に配置された状態となる。このとき、拡径された環状のトレッドゴム16の張力により、タイヤ骨格部材12の外周面12Aとトレッドゴム16との間にクッションゴム14が挟み込まれた状態となる。
なお、図9に示されるように、タイヤ骨格部材12の外周面12Aのうち、トレッドゴム16が接着される範囲の少なくとも一部に、加硫済みのゴム層62Aを設けておき、クッションゴム14を、少なくともトレッドゴム16とゴム層62Aとの間に配置するようにしてもよい。このゴム層62Aは、例えばタイヤ骨格部材12のサイド部26に設けられるサイドゴム62のトレッド側の端部であり、サイドゴム62をタイヤ骨格部材12の外周面12Aまで延設したものである。サイドゴム62は、タイヤ骨格部材12に対して、例えば接着により固定される。
タイヤ骨格部材12がチューブ体である場合には、チューブ体に内圧を付与した状態で、帯状のトレッドゴム16をタイヤ円周方向に連続して螺旋状に巻回してもよい。またビード付のタイヤ骨格部材12の場合において、タイヤ骨格部材12をリム組みして、リムに設けられたバルブ(図示せず)を通じて内圧を付与した状態で、トレッドゴム16を配置してもよい。
(仮組品の組立て及び加硫)
次に、図10−1から図13に示されるように、トレッドゴム16と、クッションゴム14と、少なくともタイヤ骨格部材12のトレッドゴム16側とをエンベロープ18で覆って仮組品20を構成する。エンベロープ18は、気密性及び伸縮性を有し、熱及び化学的に適度に安定で、適度な強度を有する例えばゴム製の被覆部材である。エンベロープ18には、エンベロープ18で覆われた領域内を真空引きすることで、トレッドゴム16をタイヤ骨格部材12側に押し付けるようにするためのバルブ64が設けられている。バルブ64は、真空引き後における外部からエンベロープ18内への空気の流入を防止するための弁機構(図示せず)を有していることが望ましい。
そして、図10−2にも詳細に示されるように、トレッドゴム16とエンベロープ18との間には、有機繊維あるいは金属繊維によって多孔質性のスポンジ状の部材として形成されたウィック88が挟み込まれる。このウィック88は、少なくとも、バルブ64の口金部64Mを覆うことが可能な形状(本実施形態では長方形の板状)に形成されると共に、口金部64Mを覆う位置に配置されているが、上記したように、スポンジ状とされている。吸引時に、エンベローブ18や口金部64Mを介して大気圧による圧力を受けた際にも、気体の吸引が可能な多孔質を形成することができるため、バルブ64からのエンベロープ18内の吸引には影響しないようになっている。
ウィック88は、部分的に凹み部16Bに入り込むことで、トレッドゴム16、特に薄肉部16Cをタイヤ径方向外側から押圧するように支持して、エンベロープ18内が吸引されたときの、トレッドゴム16(特に薄肉部16C)の変形を抑制できるように、十分な肉厚を有している。特にウィック88はクッション性を有するスポンジ状に形成されており、厚み方向に弾性的に圧縮されるので、薄肉部16Cとエンベロープ18との間では低圧縮部88L、厚肉部16Dとエンベロープ18との間では高圧縮部88Hが構成されて、トレッドゴム16の肉厚変化を吸収している。この場合、ウィック88の厚み方向の弾性は、エンベロープ18内の上記した吸引時におけるトレッドゴム16(特に薄肉部16C)の変形を抑制可能な程度とされている。換言すれば、エンベロープ18内の吸引時には、ウィック88は口金部64Mからの負圧によって変形することはあっても、トレッドゴム16(特に薄肉部16C)は変形しないようになっている(ウィック88が変形を吸収している)。
なお、バルブ64には、ウィック88側に円環状の口金部64Mが形成されているが、この口金部64Mの外径は、トレッドゴム16の変形(口金部64Mの跡がトレッドゴム16に付くこと)をさらに確実に抑制する観点からは、たとえば60mm以下、好ましくは40mm以下とされる。外径が60mmの口金部64Mは、本実施形態に用いるものとしては十分に大きいものであり、一般に、外径が大きくなる程トレッドゴム16が変形しやすくなるのであるが、本実施形態では、ウィック88を用いてトレッドゴム16の変形を抑制しているので、このように大径の口金部64Mを有するバルブ64を使用することが可能で、より多くの種類のバルブから適宜に選択して使用できる(選択肢が増える)ようになっている。
図10−1、図11に示される例では、タイヤ骨格部材12が、リムに近い構造を有する一対の環状の支持部材66に組み付けられており、ビード部28が支持部材66のフランジ部66Fに密着している。エンベロープ18は、タイヤ骨格部材12における両側のサイド部26の外面と、トレッドゴム16とを覆い、タイヤ直径方向内側の端縁(図示せず)は、ビード部28とフランジ部66Fとの間に挟み込まれている。
この状態でバルブ64から真空引きを行うことで、エンベロープ18をトレッドゴム16及びタイヤ骨格部材12に密着させて、トレッドゴム16をタイヤ骨格部材12側に押し付けることができる。一対の支持部材66の間には、所定の間隙68が設けられている。加硫時の圧力を、この間隙68を通じて(矢印C方向)、タイヤ骨格部材12の内面側に作用させることで、タイヤ骨格部材12の形状を保つことができる。
また図12に示されるように、タイヤ骨格部材12の内面側にブラダー70を配置してもよい。エンベロープ18の構成については図11と同様である。この例では、加硫時にブラダー70を膨らませることで、タイヤ骨格部材12の内面側に圧力を作用させて、タイヤ骨格部材12の形状を保つことができる。
更に図13に示されるように、タイヤ骨格部材12が、エンベロープ18内の真空引き時に変形しない程度の十分な剛性を有している場合には、上記支持部材66を用いずに、トレッドゴム16、及びタイヤ骨格部材12の外面側だけでなく、内面側までエンベロープ18で覆うようにしてもよい。
なお、タイヤ半径方向に移動可能な内駒をタイヤ周方向に複数配置した治具(図示せず)を用い、各々の内駒をタイヤ半径方向外側に移動させることで、タイヤ骨格部材12のクラウン部24を内面側から支持して、クラウン部24の形状を保持するようにしてもよい。この治具は、その分解・組立てが容易であることが好ましい。
そして、図14、図15に示されるように、この仮組品20を容器22内に収容し、容器22内の加熱及び加圧を行って加硫を行う。この容器22は、所謂加硫缶であるが、仮組品20を収容する容量を有し、加硫時の加熱及び加圧に耐えうる容器であればよく、形式は問わない。加硫条件は、例えば温度が120℃、圧力が2026hPa(2気圧)、時間が1時間である。
トレッドゴム16等の変形を防ぐ観点から、容器22内に仮組品20を収納する際には、仮組品20の外周部が容器22の内壁等に接触しないようにすることが望ましい。そのための手段としては、例えば、図14に示されるように、単数又は複数の仮組品20を支持部材72により支持する方式や、図15に示されるように、単数又は複数の仮組品20を、台車76上に設けられた支持部材74により支持し、仮組品20を台車76ごと容器22内に配置する方式が考えられる。
ここで、加硫促進剤としては、硫黄若しくはパーオキサイドを用いることができる。またクッションゴム14の補強剤には、カーボンブラック又はシリカを用いることができ、シリカがより好ましい。更に、カップリング剤には、アミノシラン又はポリスルフィドを用いることができる。
加硫温度は100℃以上160℃未満であることが好ましい。160℃以上であると、タイヤ骨格部材12に用いられる熱可塑性材料の熱収縮により、コード32により補強されたクラウン部24(図11から図13参照)が座屈してしまう可能性があるからである。また100℃未満であると、クッションゴム14の加硫度が不十分となる場合があるからである。
このように容器22内の温度を設定すると共に、容器22内の圧力を加硫に適した圧力に設定し、所定時間加硫を行うことで、クッションゴム14が加硫される。これにより、図16に示されるように、トレッドゴム16とタイヤ骨格部材12の外周面12Aとが加硫接着されて、タイヤ10(空気入りタイヤ)となる。半加硫状態のトレッドゴム16を用いた場合には、トレッドゴム16も更に加硫されて最終製品の加硫度に至る。図5(A)及び(B)に示されるように、帯状のトレッドゴム16を用い、その継目48に未加硫ゴム50を配置しておいた場合には、この未加硫ゴム50が加硫されて、トレッドゴム16の継目48も加硫接着される。
このように、本実施形態では、大型の加硫装置が必要となる加硫金型を用いずに、熱可塑性材料を用いたタイヤ骨格部材12にトレッドゴム16を接着してタイヤ10を製造することができる。このため、熱可塑性材料をタイヤ骨格部材12に用いたタイヤ10の製造コストを低減することができる。
しかも、エンベロープ18内を吸引するときに、トレッドゴム16とエンベロープ18との間にウィック88を挟みこむようにしているので、エンベロープ18内の吸引に起因するトレッドゴム16(特に薄肉部16C)の変形を抑制することが可能である。すなわち、タイヤ10の製造時において、トレッドゴム16の形状を安定的に維持できる。
なお、本発明において、エンベロープ18内を吸引するときの変形を抑制する対象部位としては、タイヤ10の主溝を構成する上記の薄肉部16Cに限定されない。たとえば、主溝を構成する薄肉部16C以外であっても、エンベロープ18内の吸引時に変形するおそれがあるような部分に対して、ウィック88を配置して吸引を行えばよい。
容器22内の加圧は、必ずしも必須ではなく、加熱だけでも加硫を行うことは可能である。しかしながら、容器22内の加圧を行うことで、タイヤ骨格部材12に対するトレッドゴム16の接着性をより高めることができる。
また図9に示されるように、トレッドゴム16と、タイヤ骨格部材12の外周面12Aに設けた加硫済みのゴム層62Aとの間に、クッションゴム14を配置して加硫する場合には、加硫ゴム又は半加硫状態のゴム(トレッドゴム16)と、加硫ゴム(ゴム層62A)とを加硫接着できることから、熱可塑性材料を用いたタイヤ骨格部材12にトレッドゴム16を容易に接着することができる。加硫済みのゴム層62Aが、サイドゴム62の一部である場合には、サイドゴム62を別途設ける場合と比較して、工数を削減でき、タイヤ10の製造コストを更に低減することができる。
なお、加硫済みのゴム層62Aとトレッドゴム16との間だけでなく、更にタイヤ骨格部材12の外周面12Aのうちゴム層62Aが設けられていない領域とトレッドゴム16との間にも、クッションゴム14を設けてもよい。
図2(A)〜(D)に示されるように、タイヤ骨格部材12の外周面12Aに凹凸部38を設けておいた場合には、凹凸部38が、加硫後のクッションゴム14と嵌まり合い、トレッドゴム16とタイヤ骨格部材12との機械的結合が確保されるので、タイヤ10におけるトレッドゴム16とタイヤ骨格部材12との接合強度が高くなる。
なお、トレッドゴム16と、クッションゴム14と、少なくともタイヤ骨格部材12の該トレッドゴム16側とをエンベロープ18で覆う形態は、本実施形態及び図示の構成には限られない。また本実施形態に係るタイヤの製造方法における工程の順序は、適宜変更することが可能である。
更に上記実施形態に係るタイヤ10は、ビードコア30付きのタイヤ骨格部材12を用いたチューブレスタイプのタイヤであったが、タイヤ10の構成はこれに限られるものではない。図17に示されるように、熱可塑性材料を用いたタイヤ骨格部材12として、タイヤ周方向に円環状に形成され、リム80の外周部に配置される中空のチューブ体78を用いてもよい。このチューブ体78は、タイヤ幅方向において、複列(図17)又は単列(図19)に配置することができる。
図17に示される例では、タイヤ骨格部材12として、3本のチューブ体78がリム80の外周部に配置されている。これらのチューブ体78の外周部分には、例えば補強用のベルト層82が埋設されたトレッドゴム16が、例えばクッションゴム14を介して跨って配置され、加硫接着されている。
図18に示されるように、チューブ体78は、断面半円形状のチューブ半体78Aを互いに向き合わせて溶接用熱可塑性材料86で溶接したり、図示はしないが溶着シートで接合して成形することができる。
また、図19に示される例では、タイヤ骨格部材12として、2つのチューブ半体78Aからなる1本のチューブ体78が、リム80の外周部に配置されている。このチューブ体78の外周部分には、例えば補強用のベルト層82が埋設されたトレッドゴム16が、例えばクッションゴム14を介して配置され、加硫接着されている。
図17、図19に示される何れの構造のタイヤ10においても、チューブ体78の外周部分に対するトレッドゴム16の接着方法として、上記したタイヤの製造方法を用いることができる。
また、本発明では、タイヤ骨格部材として、上記の熱可塑性材料に限定されるものではない。すなわち、樹脂材料(熱硬化性材料を含む)を用いれば、軽量化を図ることが可能で、しかもタイヤ骨格部材の成形が容易であり、タイヤの製造に必要なエネルギーも少なくて済むので、製造コストも低くすることが可能である。特に熱可塑性材料をタイヤ骨格部材に用いれば、タイヤ骨格部材の再利用(リサイクル)が容易になる。
これに対し、タイヤ骨格部材が加硫ゴム製とされていてもよい。この場合、図20に示すように使用済みのゴムタイヤからトレッドを除去した状態の、いわゆる台タイヤ102を、本発明に係るタイヤ骨格部材とすることが可能である。この台タイヤ102は、必要に応じて、ビードコア104の間に配置されるカーカスプライ106や、このカーカスプライ106の径方向外側に配置されるコード108等を有している。
そして、台タイヤ102の外周面(クラウン部)にトレッドゴム16を配置して接着するが、この工程において、図10−1〜図13に示した工程と同様に、トレッドゴム16とエンベロープ18との間にウィック88が挟み込まれた状態で、バルブ64から真空引きを行う。得られたタイヤ100は、図21に示すように、トレッドゴム16の変形が抑制された更生タイヤとなる。もちろん、更生タイヤに限らず、タイヤ骨格部材が加硫ゴム製とされた未使用のタイヤ(新品タイヤ)を製造する場合にも、本発明を適用可能である。
特に、乗用車用のタイヤでは、バスやトラックに用いられるタイヤや、航空機に用いられるタイヤ等と比較して、トレッドゴム16に周方向溝や幅方向溝などのような凹み部16Bが形成されることで、薄肉部16Cを有する構造となっているものが多い。すなわち、本発明は、このような乗用車用タイヤを製造する場合や更生する場合に、特に好ましく適用できる。
10 タイヤ
12 タイヤ骨格部材
12A 外周面
14 クッションゴム(未加硫ゴム)
16 トレッドゴム
18 エンベロープ(被覆部材)
20 仮組品
22 容器
38 凹凸部
62 サイドゴム
62A ゴム層
88 ウィック(押付部材)
100 タイヤ
102 台タイヤ(タイヤ骨格部材)

Claims (15)

  1. タイヤ骨格部材のタイヤ径方向外側に、加硫済み又は半加硫状態とされたトレッドゴムを配置し、
    前記トレッドゴムと少なくとも前記タイヤ骨格部材のトレッドゴム側とを被覆部材で覆って仮組品を構成すると共に、バルブを通じて被覆部材内を吸引してトレッドゴムをタイヤ骨格部材に向かって押し付け、
    前記仮組品を容器内に収容し、この容器内の加熱を行うことで、前記トレッドゴムを前記タイヤ骨格部材に接着するタイヤの製造方法であって、
    前記被覆部材と前記トレッドゴムとの間で、少なくとも前記バルブと前記トレッドゴムとの間を含む位置に、通気性を有すると共にトレッドゴムをタイヤ径方向外側から前記タイヤ骨格部材に向かって押し付け可能な押付部材を配置して被覆部材内を吸引するタイヤ製造方法。
  2. 前記トレッドゴムの一部分に、タイヤ径方向外側に形成された凹み部によって薄肉とされた薄肉部が構成され、
    前記押付部材の一部を前記凹み部に入り込ませて前記吸引を行う請求項1に記載のタイヤ製造方法。
  3. 前記押付部材として、クッション性を有するスポンジ状部材を用いる請求項2に記載のタイヤ製造方法。
  4. 前記押付部材として、有機繊維又は金属繊維により構成されたものを用いる請求項2又は請求項3に記載のタイヤ製造方法。
  5. 前記バルブの、前記押付部材側に位置する口金部の外形が60mm以下とされている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ製造方法。
  6. 前記トレッドゴムと少なくとも前記タイヤ骨格部材のトレッドゴム側とを被覆部材で覆って仮組品を構成するときに前記タイヤ骨格部材の外周面と前記トレッドゴムとの間に未加硫ゴムを配置する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ製造方法。
  7. 前記タイヤ骨格部材の前記外周面に予め凹凸部を設けておき、前記未加硫ゴムが加硫後にこの凹凸部と嵌まり合うようにする請求項6に記載のタイヤの製造方法。
  8. 前記容器内で加熱を行う際に容器内を加圧する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のタイヤ製造方法。
  9. 前記タイヤ骨格部材を樹脂材料を用いて成形する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のタイヤ製造方法。
  10. 前記樹脂材料として熱可塑性樹脂材料を用いる請求項9に記載のタイヤ製造方法。
  11. タイヤ骨格部材のタイヤ径方向外側に、加硫済み又は半加硫状態とされたトレッドゴムを配置し、
    前記トレッドゴムと少なくとも前記タイヤ骨格部材のトレッドゴム側とを被覆部材で覆って仮組品を構成すると共に、バルブを通じて被覆部材内を吸引してトレッドゴムをタイヤ骨格部材に向かって押し付け、
    前記仮組品を容器内に収容し、この容器内の加熱を行うことで、前記トレッドゴムを前記タイヤ骨格部材に接着されたタイヤであって、
    前記被覆部材と前記トレッドゴムとの間で、少なくとも前記バルブに対しタイヤ径方向内側を含む位置に、通気性を有すると共にトレッドゴムをタイヤ径方向外側から前記タイヤ骨格部材に向かって押し付け可能な押付部材が配置された状態で被覆部材内が吸引されてトレッドゴムをタイヤ骨格部材に向かって押し付けられているタイヤ。
  12. 前記タイヤ骨格部材の外周面と前記トレッドゴムとの間に未加硫ゴムが配置されている請求項11に記載のタイヤ。
  13. 前記タイヤ骨格部材の前記外周面には、予め凹凸部が設けられており、
    前記未加硫ゴムが加硫後に前記凹凸部と嵌まり合っている請求項12に記載のタイヤ。
  14. 前記タイヤ骨格部材が樹脂材料で成形されている請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載のタイヤ。
  15. 前記樹脂材料が熱可塑性樹脂材料である請求項14に記載のタイヤ。
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