JP2011206420A - 髄内釘 - Google Patents

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Yoichi Nishio
洋一 西尾
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Abstract

【課題】機械的強度を低下させることなく、全体として細く形成される髄内釘を提供する。
【解決手段】大腿骨内腔に挿入される髄内釘であって、大腿骨の骨頭側に配置される近位部と、前記近位部の遠位側に連なり遠位側に向かって小径となるテーパ部と、前記テーパ部の遠位側に連なる遠位部と、大腿骨の骨頭に挿入される固定部材が貫通可能な貫通孔とを備えており、前記貫通孔の一方の開口端は、前記近位部及び前記テーパ部の境界Kを含む表面に開口しており、前記貫通孔の他方の開口端は、前記近位部の表面に開口している髄内釘。
【選択図】図3

Description

本発明は、大腿骨内腔に差し込まれ、大腿骨近位部骨折の手術に使用される髄内釘に関するものである。
従来、大腿骨上部の骨折を治療する骨接合具として、大腿骨の近位部から髄内腔に挿入される髄内釘(例えば、特許文献1及び2)が知られている。この髄内釘は、図14に示すように、大腿骨の骨頭に挿入されるラグスクリュウ等の固定部材が貫通する貫通孔121(ラグスクリュウ固定孔)を有する近位部12と、当該近位部12の遠位側に連なり、遠位側に向かって小径となるテーパ部13と、テーパ部13の遠位側に連なる遠位部14とが一体に形成されている。
ここで、髄内釘が挿入される大腿骨における髄内腔は、図15に示すように、狭窄部101を境にして大腿骨近位側のロート状部102と、大腿骨遠位側の略ストレートな管状部103とを有している。また、大腿骨100の近位端にドリルで穿孔104を形成して髄内釘10を大腿骨100の髄内空(内腔)100aへ打ち込むときに、骨盤が邪魔になるので、髄内釘10を内腔100aに対して近位部側からやや斜めに打ち込む必要がある。なお、ドリルで形成される穿孔104は、髄内釘10打ち込み時の骨盤との干渉回避及び穿孔104周辺の強度維持の観点から、その形成位置の自由度が低く、ほぼ決まった位置に形成される。
つまり、大腿骨の髄内腔100aに髄内釘10を挿入するに際しては、略一定の位置に形成される穿孔104を介して、内腔100aに対して近位部側からやや斜めに髄内釘10を打ち込みつつ、髄内釘10の遠位部14を内腔100aにおける略ストレートな管状部103に設置する必要がある。したがって、髄内釘10の形状として直線状のものを使用すると、髄内釘10が内腔100aの狭窄部101と干渉し、髄内釘10の挿入作業を行いにくいという問題や、髄内釘10の挿入作業中において内腔100aの狭窄部101周辺の骨組織に損傷を与えてしまうという問題があった。このような問題を解消するために、図14に示すように、遠位部14に屈曲部15が形成され、全体として、くの字状に屈曲した髄内釘(例えば、特許文献1及び2)が現在一般的に使用されている。
また、上述のような髄内釘10を患者の大腿骨の髄内腔100aに挿入し、ラグスクリュウ等の固定部材を髄内釘10の近位部の貫通孔121に挿入した場合、患者の体重負荷は、患者の体内に設置された固定部材を介して当該固定部材が貫設される髄内釘10の貫通孔121に作用し、貫通孔と固定部材との当接箇所に大きな応力が発生する。ここで、貫通孔は挿入される固定部材の大きさに応じて、その断面積が小さくなることから、元々、機械的強度が低下しやすい箇所である。そのため、このような大きな応力が発生した場合であっても髄内釘10が破損しないように、髄内釘10の近位部12は太く形成されている。一方、髄内釘10の遠位部14は、大腿骨の髄内腔100aとの干渉を回避して挿入させるために、近位部よりも細く形成されている。
このように、髄内釘10は、近位部12においては機械的強度を高めるという観点から太く形成され、遠位部14においては髄内釘10のスムーズな挿入を図るという観点から細く形成されるものである。
特開2005−237528号公報 特開2004−237108号公報
しかしながら、上述の髄内釘のテーパ部は、機械的強度を高める必要性から太く形成される近位部に接続するため、テーパ部の太さも近位部の太さに応じた太さとなり、髄内釘全体を細く形成することに限界があるという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、機械的強度を低下させることなく、全体として細く形成される髄内釘を提供することを目的とする。
本発明の前記目的は、大腿骨内腔に挿入される髄内釘であって、大腿骨の骨頭側に配置される近位部と、前記近位部の遠位側に連なり遠位側に向かって小径となるテーパ部と、前記テーパ部の遠位側に連なる遠位部と、大腿骨の骨頭に挿入される固定部材が貫通可能な貫通孔とを備えており、前記貫通孔の一方の開口端は、前記近位部及び前記テーパ部の境界を含む表面に開口しており、前記貫通孔の他方の開口端は、前記近位部の表面に開口している髄内釘により達成される。
また、上記髄内釘において、前記貫通孔の内面は、前記一方の開口端から前記他方の開口端に向けて延びる複数の平面部を備えており、前記複数の平面部のうち少なくとも一つは、前記近位部の軸心と平行であることが好ましい。
また、前記近位部の軸心と平行な平面部は、前記近位部に形成されていることが好ましい。
また、前記複数の平面部には、前記一方の開口端から前記他方の開口端に向けて延びる凹状溝が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、機械的強度を低下させることなく、全体として細く形成される髄内釘を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る髄内釘の使用状態を示す説明図である。 図1に示す髄内釘の斜視図である。 図1に示す髄内釘の正面図である。 図1に示す髄内釘の側面図である。 図4のA−A断面図である。 貫通孔の拡大断面図である。 本発明に係る髄内釘の効果を説明するための説明図である。 本発明に係る髄内釘及び従来の髄内釘の使用状態を示す説明図である。 本発明に係る髄内釘及び従来の髄内釘を大腿骨内腔に挿入する過程を示す説明図である。 本実施形態に係る髄内釘及び従来の髄内釘の遠位部同士を重ね合わせた状態を示す説明図である。 図1に係る髄内釘における貫通孔の変形例を示す要部拡大断面図である。 図11に示す変形例の効果を説明するための説明図である。 図11に示す変形例の効果を説明するための説明図である。 従来の髄内釘を示す正面図である。 大腿骨の断面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる髄内釘の使用状態を示す説明図であり、図2は、髄内釘を示す斜視図である。図3は、髄内釘の正面図、図4は、髄内釘の側面図、図5は、図4のA−A断面図である。
本実施形態に係る髄内釘1は、転子貫通骨折、転子間骨折、転子下骨折等の大腿骨近位部骨折手術時に、大腿骨内腔に挿入されるものであり、チタン合金やステンレス等の金属材料により形成されている。この髄内釘1は、図1〜図5に示すように、近位側から順に、近位部2と、テーパ部3と、遠位部4とを備えている。これら近位部2、テーパ部3及び遠位部4は、一体に形成されている。また、髄内釘1には、大腿骨の骨頭に挿入されるラグスクリュウ等の固定部材6が貫通する貫通孔5が形成されている。
近位部2は、略一定の径の筒状に形成されており、大腿骨の骨頭側に配置される。この近位部2の軸心には、図5の断面図に示すように、近位端部に形成されるキャップ孔22と、当該キャップ孔22の遠位側に連なり、これより小径の連結ねじ孔23と、連結ねじ孔23の遠位側に連なり、これより小径の近位部軸孔24とが形成されている。キャップ孔22の内周面には、雌ねじが形成されており、エンドキャップ25が螺合するようになっている。また、連結ねじ孔23の内周面にも、雌ねじが形成されており、ターゲットデバイス7と髄内釘1とを連結する連結ねじ(図示せず)が、螺合するようになっている。
テーパ部3は、近位部2の遠位側に連なり、遠位側に向かって小径に形成されている。また、テーパ部3の軸心には、図5の断面図に示すように、上記の近位部軸孔24の遠位側に連なり、これと同径のテーパ部軸孔34が形成されている。
このテーパ部3は、近位側に配置される第1テーパ部分31と、当該第1テーパ部分31に連なり遠位側に配置される第2テーパ部分32とを備えている。第1テーパ部分31と第2テーパ部分32との接続部分には、大腿骨内腔100aに倣って屈曲形成した屈曲部33が形成されている。この屈曲部33は、髄内釘1の使用状態において、第2テーパ部分32の遠位端が、屈曲部33よりも近位側の軸線(近位側軸線Z1)に対し、大腿骨外側に配置されるように構成されている。なお、近位部2の軸線と、第1テーパ部分31における軸線とは、同一軸線(近位側軸線Z1)となるように構成されている。このような構成により、髄内釘1は、全体として大腿骨内側に凸となるように屈曲した屈曲形状となる。ここで、遠位側の軸線(遠位側軸線Z2)は、屈曲部33よりも近位側の軸線(近位側軸線Z1)に対して、3°〜6°の角度で傾斜していることが好ましい。
遠位部4は、テーパ部3の遠位側に連なると共に、略一定の径の筒状に形成されており、遠位端部は僅かに先細に形成されている。また、遠位部4の遠位端部近傍には、ロッキングボルト(図示せず)が貫通する固定孔41を有している。固定孔41は、遠位部4の軸線(遠位側軸線Z2)に対し、略直交するように貫通形成されている。すなわち、固定孔41は、ロッキングボルトを、略水平に案内するようになっている。なお、遠位部4の軸線と、第2テーパ部分32における軸線とは、同一軸線(遠位側軸線Z2)となるように構成されている。
また、遠位部4の軸心には、図5の断面図に示すように、前述のテーパ部軸孔34の遠位側に連なり、これと同径の遠位部軸孔42が形成されている。遠位部軸孔42は、固定孔41を貫通すると共に、遠位部4の遠位側端部に開口している。このように、髄内釘1には、近位側から順に、前述したキャップ孔22、連結ねじ孔23、近位部軸孔24、テーパ部軸孔34および遠位部軸孔42により、軸心を貫通する髄内釘ワイヤー孔が構成されている。この髄内釘ワイヤー孔にガイドワイヤー(図示省略)を挿通して、大腿骨内腔100aへの差込みを行うことができるようになっている。なお、ガイドワイヤーを使用せずに髄内釘1の差込みを行う場合には、近位部軸孔24、テーパ部軸孔34および遠位部軸孔42を形成しなくてもよい。
貫通孔5は、大腿骨の骨頭に挿入されるラグスクリュウ等の固定部材6が貫通する孔であり、近位部2の軸線(近位側軸線Z1)に対し、斜めに貫通形成されている。すなわち、貫通孔5は、固定部材6を、骨頭100cに向かって斜め上向きに案内するようになっている。この貫通孔5の一方の開口端5aは、近位部2及びテーパ部3の境界Kを含む表面に開口するように構成されている。また、貫通孔5の他方の開口端5bは、近位部2の表面に開口するように構成されている。
また、貫通孔5の断面形状は、種々の形状を採用することができる。例えば、四角形、六角形状、八角形状等の多角形状の断面形状、或いは、円形状の断面形状を採用することが可能である。ここで、貫通孔5の断面形状として、四角形、六角形状、八角形状等の多角形状を採用することが、貫通孔5周辺部の機械的強度を高めるという観点から好ましい。また、貫通孔5の断面形状として多角形状を採用する場合、図6の断面図に示すように、貫通孔5の内面は、一方の開口端5aから他方の開口端5bに向けて延びる複数の平面部51〜58を備えることになるが、複数の平面部51〜58のうちの少なくとも一つの平面部53(57)が、近位部2の軸心と平行となるように構成することが好ましい。また、この近位部2の軸心と平行な平面部53(57)が、近位部2に形成されるように貫通孔5を構成することが好ましい。なお、本実施形態においては、貫通孔5の断面形状が正八角形状となるように構成すると共に、互いに対向する一対の平面部51〜58の一部53,57が、近位部2の軸心と平行となるように構成している。また、貫通孔5周囲の薄肉領域における機械的強度を高めるために、近位部2の軸心と平行な平面部53,57を近位部2に形成し、テーパ部3の外表面との間に薄肉領域が形成されないように構成している。
次に、本実施形態に係る髄内釘1を用いた外科手術における操作手順について説明する。まず、術者は、手術前の準備として、患者の健肢側をX線写真で撮影を行い、患者に適した髄内釘1を選択する。そして、その髄内釘1を、連結ねじにより、ターゲットデバイス7に装着しておく。また、患者を仰臥位にして、患肢側を牽引した状態で患者を固定する。そして、術者は、放射線撮像装置(図示省略)により患肢を撮像しながら患者の大腿骨100の骨折部の整復を行う。
次に、大腿骨100近傍の皮膚を切開し、そこから髄内釘用のガイドワイヤーを大腿骨100に刺入し、当該ガイドワイヤーを案内にして、ドリル(図示せず)で大腿骨100に穿孔104を形成し、大腿骨100を開窓する。そして、ターゲットデバイス7に接続した髄内釘1を、開窓部に挿入する。このとき、髄内釘ワイヤー孔にガイドワイヤーを通し、これを案内にして髄内釘1を差し入れていく。なお、大腿骨100にドリルで穿孔104して大腿骨の内腔(骨髄腔)100aへ挿入するときに、骨盤が邪魔になるので、内腔100aに対して大腿骨100の近位部側からやや斜めに髄内釘1は挿入される。
次に、貫通孔5を介して、固定部材6を骨頭100cに挿入する。ここで、固定部材6は、大腿骨100の骨頭100c(骨折片)を骨幹部100dに固定するためのものであり、全体として細長い形状を有し、基端部61と先端部62とを備えている。基端部61の外表面は、貫通孔5の内周面に摺接するように形成されており、先端部62の外表面には、スクリュウ部が形成されている。このようなラグスクリュウタイプの固定部材6は、回転させながら骨内に挿入される。
最後に、髄内釘1の遠位部4に形成される固定孔41を介して、髄内釘1と大腿骨100とをロッキングボルトにより固定すると共に、骨組織が髄内釘1の内部に進入することを防止するためのエンドキャップ25を髄内釘1のキャップ孔22に螺合し、切開部分を縫合して手術を終了する。
上記実施形態に係る髄内釘1は、貫通孔5の一方の開口端5aが、近位部2及びテーパ部3の境界Kを含む表面に開口し、貫通孔5の他方の開口端5bが、近位部2の表面に開口するように構成されている。貫通孔5の一方の開口端5aであって近位部2表面に開口している部分、及び、貫通孔5の他方の開口端5bは、太く形成されている近位部2表面に開口しているため、これらの周囲での貫通孔5の機械的強度が低下することはない。また、貫通孔5の一方の開口端5aであって近位部2表面に開口している部分以外の部分(テーパ部開口端)は、近位部2よりも細く形成されるテーパ部3の表面に開口しているが、テーパ部3が、テーパ部開口端の面取り部として機能するため、当該部分に応力集中が発生することを緩和して機械的強度を高めることができる。
また、貫通孔5の一方の開口端5aが、近位部2及びテーパ部3の境界Kを含む表面に開口するように構成しているため、従来の近位部12に貫通孔121が形成される髄内釘10と比較して、テーパ部3を髄内釘1の近位側となるように配置することができ、貫通孔5よりも遠位側の領域を細くして髄内釘1全体のスリム化を図ることが可能となる。
また、テーパ部3の上端部(近位部2とテーパ部3との接続部分)や、テーパ部3の下端部(テーパ部3と遠位部4との接続部分)は、髄内釘1の直径が比較的大きく変化する部分であるため、固定部材6を介して患者の体重負荷が髄内釘1に作用した場合、これらの部分(テーパ部3の上端部及び下端部)に比較的大きな曲げモーメントが作用し、当該部分に割れ等の損傷が発生するおそれが高い。本実施形態の髄内釘1においては、貫通孔5の一方の開口端5aが、近位部2及びテーパ部3の境界Kを含む表面に開口するように構成しているため、従来の近位部12に貫通孔121が形成される髄内釘10に比べて、貫通孔5に挿入される固定部材6の軸心とテーパ部3の上端部との距離や、固定部材6の軸心とテーパ部3の下端部との距離が、短くなるように構成することができ、この結果、テーパ部3の上端部や下端部に作用する曲げモーメントを低下させることが可能になり、当該部分で割れ等の損傷が発生することを抑制することが可能になる。
また、貫通孔5よりも遠位側の領域を細くすることができる結果、髄内釘1が、弾性変形しやすい構造となる。これにより、体内に設置された髄内釘1に様々な応力、例えば、曲げ応力や引張応力、これらの組合せ応力等が作用したとしても、これら応力を弾性変形により吸収し、髄内釘1が疲労破壊等により損傷することを効果的に防止することができる。
また、本実施形態に係る髄内釘1においては、貫通孔5の内面が、一方の開口端5aから他方の開口端5bに向けて延びる複数の平面部51〜58を備えるように、貫通孔5の断面形状を多角形状となるように構成しているため、ラグスクリュウ等の固定部材6における基端部61を複数の平面部51〜58で支持することができる。つまり、患者の体内に設置された固定部材6を介して当該固定部材6が貫設される髄内釘1の貫通孔5に作用する患者の体重負荷を複数の平面部51〜58で分散して支持することができるため、貫通孔5周囲に大きな応力が局所的に発生することを抑制することができ、貫通孔5周囲に疲労破壊等の損傷が発生することを防止することができる。
また、本実施形態に係る髄内釘1においては、貫通孔5の断面形状を多角形状となるように構成すると共に、互いに対向する一対の平面部の一部53,57が、近位部2の軸心と平行となるように構成している。このような構成により、互いに対向する一対の平面部の一部53,57が、貫通孔5の近位部2の幅方向の側壁部を構成することになり、貫通孔5の周囲の機械的強度をより一層高めることができる。具体的に説明すると、例えば、貫通孔5の断面形状を円形状に構成した場合、図7の断面図に示すように、近位部の幅方向(図7の左右方向)における貫通孔5の各端部(図7においては各端点5c)と、近位部の側縁2aとの間の薄肉領域に、大きな応力が作用することになるが、本実施形態のように、貫通孔5の断面形状を多角形状となるように構成すると共に、互いに対向する一対の平面部の一部53,57が、近位部2の軸心と平行となるように構成し、貫通孔5の近位部2の幅方向の側壁部を構成する場合、図6に示すように、貫通孔5の周囲の薄肉領域を近位部2の軸心方向に拡大することができるため、貫通孔5の薄肉領域に作用する応力を分散することができ、貫通孔5周囲に疲労破壊等の損傷が発生することを効果的に防止することができる。
また、髄内釘1は、上述のように、大腿骨100にドリルで穿孔104して大腿骨内腔(骨髄腔)100aへ挿入するときに骨盤が邪魔になるので、内腔100aに対して大腿骨100の近位部側からやや斜めに挿入されるものである。また、髄内釘1を大腿骨内部に設置した場合に、髄内釘1の遠位部4先端が大腿骨内腔100aの中央に配置されるように構成されるものである。そして、髄内釘1の大腿骨内腔100aへの挿入を首尾よく行えるように、髄内釘1には屈曲部33が形成されているが、髄内釘1における近位側軸線Z1に対する遠位部4の先端までの最短距離(図3においてLで示す距離)の関係は、髄内釘1の長さというパラメータによって制約を受けることになる。このような制約を受ける状況において、本実施形態に係る髄内釘1は、近位部2及びテーパ部3の境界Kが、より近位部側に形成されているので、それに伴い、屈曲部33もより近位部側(すなわち、テーパ部3)に形成することができる。このような本実施形態に係る髄内釘1は、全体として大腿骨内側に凸となるように屈曲した形状となるように形成されているので、遠位部4に屈曲部33が形成されている従来の髄内釘10と比較して、以下のような効果を有する。
つまり、図8に示すように、本実施形態に係る髄内釘1は、従来の髄内釘10と比較して、近位側軸線Z1に対する遠位側軸線Z2の傾斜角度が緩くなる。言い換えれば、髄内釘1の屈曲の度合いが緩くなる。このような構成により、従来の髄内釘10よりも大腿骨内腔100aに髄内釘1を挿入し易くなるという効果を有する。なお、図8においては、本実施形態に係る髄内釘1を実線で示しており、従来の髄内釘10を破線で示している。
また、図9に示すように、髄内釘1を大腿骨内腔に挿入していく際に、髄内釘1の遠位部4先端が内腔100aの壁面に当たるとしても、髄内釘1の屈曲の度合いが緩くなっているため、内腔100aの壁面を強く押圧することを回避することが可能になり、大腿骨内腔100aの壁面を損傷させるリスクを大幅に軽減させることができる。これに対し、従来の髄内釘10においては、屈曲の度合いが強いため、内腔100aの壁面を強く押圧したり、壁面に引っかかり易くなるため、内腔100aの壁面を損傷させるリスクが、本実施形態に係る髄内釘1に対して大きい。なお、図9(a)は、本実施形態に係る髄内釘1の大腿骨内腔挿入過程を示す説明図であり、図9(b)は、従来の髄内釘10の大腿骨内腔挿入過程を示す説明図である。
更に、髄内釘1を大腿骨内腔に挿入し易くなる結果、ドリルにより形成した大腿骨100の穿孔104が拡大してしまうことを効果的に抑制することができ、穿孔104の拡大に伴って発生する恐れのあった骨頭100cの内反変位を防止することが可能になる。
また、大腿骨内腔100aは、図8及び15に示すように、狭窄部101近傍に骨頭100cに向かって弧状にのびる内壁部100eを有しているが、本実施形態に係る髄内釘1は、屈曲部33をテーパ部3に形成するように構成しているため、図8に示すように、従来の髄内釘10と比べて、テーパ部3の第2テーパ部分32及び遠位部4における近位側端部(第2テーパ部分32との接続部分近傍)が、弧状にのびる内壁部100eから離隔する位置に配置されている。したがって、髄内釘1を大腿骨内腔に挿入する際に、弧状にのびる内壁部100eと干渉を起こすことを効果的に防止することが可能になる。
また、本実施形態に係る髄内釘1においては、屈曲部33をテーパ部3の近位部側に形成しているため、髄内釘1の屈曲の度合いを更に緩くすることができると共に、テーパ部3の第2テーパ部分32及び遠位部4における近位側端部を、弧状にのびる内壁部100eからより一層離れる位置に配置することができるので、髄内釘1の挿入作業をより行い易くすることができる。
また、大腿骨100における内腔100aのストレート状の管状部103が狭い場合、内腔100aに挿入される髄内釘の遠位部が広い領域にわたって管状部103の内壁に接することになる。つまり、髄内釘の遠位部が管状部103に拘束された状態で髄内釘が挿入されることとなる。このような場合、本実施形態に係る髄内釘1及び従来の髄内釘10の各遠位部4,14を重ね合わせた状態を示す図10から分かるように、屈曲部15が遠位部14に存在する従来の髄内釘10は、本実施形態に係る髄内釘1と比べて、内腔への挿入を進めるに従って、近位部12の端部の変位量が大きくなってしまう。この結果、髄内釘10の近位部12が、大腿骨に形成された穿孔104を拡大してしまうこととなる。また、近位部端部の変位に伴って、穿孔104の上部側(近位側)は、大腿骨外側に押圧され、穿孔104の下部側(遠位側)は、大腿骨内側に押圧されることになり、骨頭100cの内反変位を誘発するおそれがある。なお、図10においては、本実施形態に係る髄内釘1を実線で、従来の髄内釘10を破線で示している。
一方、本実施形態に係る髄内釘1においては、屈曲部33がテーパ部3に形成されており、髄内釘1の屈曲の度合いが緩くなっているため、髄内釘1の内腔挿入過程において、内腔の管状部103に遠位部4が拘束されたとしても、内腔への挿入を進めるに従って発生する近位部端部の変位量を小さく抑えることができ、大腿骨に形成される穿孔104が拡大することを効果的に抑制することができる。この結果、骨頭100cの内反変位を効果的に防止することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る髄内釘1について説明したが、髄内釘1の具体的構成は上記実施形態に限定されない。上記実施形態においては、貫通孔5の内面が、一方の開口端5aから他方の開口端5bに向けて延びる複数の平面部51〜58を備えるように、貫通孔5の断面形状を多角形状となるように構成しているが、例えば、図11の断面図に示すように、貫通孔5の内面を構成する複数の平面部51〜58に、一方の開口端5aから他方の開口端5bに向けて延びる凹状溝51a〜58aを形成するように構成してもよい。なお、各平面部に形成される凹状溝51a〜58aは、貫通孔5に挿入される固定部材6の基端部61の外周面に摺接するように構成することが好ましい。このような構成を採用した場合の効果を具体的に説明すると、例えば、図1における固定部材6の先端部62を下方に押す力が作用した場合(図1において矢視Bで示す方向の力が作用した場合)、貫通孔5の一方の開口端5aには、図12において矢視Cで示すような上向きの力が作用することになるが、図12のように凹状溝を形成しない場合には、この上向きの力を、平面部51,52,58が主に支持することになる。これに対し、凹状溝51a〜58aを設けた場合、図13に示すように、平面部51,52,58に形成される凹状溝51a,52a,58aに加えて、平面部53、57に形成された凹状溝53a、57aでも上向きの力を支持することができ、貫通孔5に作用する応力を分散することができる。この結果、貫通孔5周囲に疲労破壊等の損傷が発生することをより一層防止することができる。
1 髄内釘
2 近位部
22 キャップ孔
23 連結ねじ孔
24 近位部軸孔
3 テーパ部3
31 第1テーパ部分
32 第2テーパ部分
33 屈曲部
34 テーパ部軸孔
4 遠位部4
41 固定孔
42 遠位部軸孔
5 貫通孔
51〜58 平面部
51a〜58a 凹状溝
K 近位部及びテーパ部の境界
100 大腿骨
100a 大腿骨内腔
100b 大腿骨の頚部
100c 骨頭
101 狭窄部
102 ロート状部
103 管状部

Claims (4)

  1. 大腿骨内腔に挿入される髄内釘であって、
    大腿骨の骨頭側に配置される近位部と、
    前記近位部の遠位側に連なり遠位側に向かって小径となるテーパ部と、
    前記テーパ部の遠位側に連なる遠位部と、
    大腿骨の骨頭に挿入される固定部材が貫通可能な貫通孔とを備えており、
    前記貫通孔の一方の開口端は、前記近位部及び前記テーパ部の境界を含む表面に開口しており、前記貫通孔の他方の開口端は、前記近位部の表面に開口している髄内釘。
  2. 前記貫通孔の内面は、前記一方の開口端から前記他方の開口端に向けて延びる複数の平面部を備えており、
    前記複数の平面部のうち少なくとも一つは、前記近位部の軸心と平行である請求項1に記載の髄内釘。
  3. 前記近位部の軸心と平行な平面部は、前記近位部に形成されている請求項2に記載の髄内釘。
  4. 前記複数の平面部には、前記一方の開口端から前記他方の開口端に向けて延びる凹状溝が形成されている請求項2または3に記載の髄内釘。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017535401A (ja) * 2014-11-25 2017-11-30 スウェマック・イノヴェーション・アーベー 髄内釘
CN112869855A (zh) * 2014-04-11 2021-06-01 史密夫和内修有限公司 Dmls矫形髓内装置及制造方法

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