JP2011203219A - 流体流量計測システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流体流量計測システム1は、流体の流量と相関を持った周期的運動を流体流路内で行う磁性部材から、流体流路の外部にて漏洩磁場を検知する磁気センサ111と、この磁気センサ111の検知データを記憶する記憶手段133と、前記検知データのうち、前記磁性部材の周期的運動に対応する周波数成分を抽出する変動成分抽出手段21と、前記周波数成分と前記相関とを用いて流体の流量を演算する流量演算手段23とを備える。
【選択図】図1
Description
図1に示すように、この流量計測システム1は、ガス流量と相関する周期的運動を行う膜板62(図3)からの漏洩磁場をガスメータMからの検知データとして取得する検知デバイス部10と、この検知データを処理してガス流量を演算するデータ処理部20とを備える。そのうち、検知デバイス部10は、ガスメータMの近傍に設置され、データ処理部20は、ガスメータMから離れた任意の場所に設置される。検知デバイス部10は、センサ部11、制御部13及び接続ケーブル15を備え、データ処理部20は変動成分抽出手段21と流量演算手段23とを備える。センサ部11に備える磁気センサ111で膜板62からの漏洩磁場を含む検知データを取得し、この検知データをデータ処理部20に取り込む。この検知データの取り込みには、必要に応じて伝送手段30が用いられる。そして、変動成分抽出手段21で検知データから地磁気などの外乱磁場成分を除去して、さらに外乱磁場成分を除去した検知データから流量演算手段13でガス流量を求める。以下、各部の構成を詳しく説明する。
検知デバイス部10は、ガスメータMの近傍に設置されるため、屋外設置を前提としており、その構成要素はいずれも防水構造となっている。
センサ部11は、磁気センサ111とセンサケース113を主たる構成部材とする。
磁気センサ111は、膜板の往復運動に伴う微小な磁場の変動を検出する。この磁気センサ111には、10-4ガウス(10-8テスラ)オーダ以下程度の微小な磁気を検知できる高感度な磁気インピーダンスセンサやフラックスゲートセンサが好適に利用できる。特に、磁気インピーダンスセンサは、小型で高精度に磁場を検知することができ、磁気センサ111として好適に利用できる。この磁気センサ11は、例えば愛知製鋼株式会社製のMIセンサが利用できる。
センサケース113は、磁気センサ111やその検知信号を増幅するアンプ(図示略)などを実装した基板(図示略)を収納している。本例では、ライター程度の大きさで、箱型のセンサケース113としている。このケース113を構成する面のうち、ガスメータMに向ける検知面113Dは非磁性材料で、検知面113D以外のシールド面113Sは磁性材料で構成している。この構成により、周期的運動をする膜板からの漏洩磁場は検知面113Dを通して検知し、シールド面113Sにより地磁気などの外乱磁場が磁気センサ111に到達することを防止する。ここでの非磁性材料としては、プラスチックの他、アルミニウムや銅などの金属が挙げられる。また、磁性材料としては、低周波の磁気遮蔽にはフェライト系磁気遮蔽材料が、高周波の磁気遮蔽には軟磁性アモルファス合金が好適に利用できる。
制御部13は、センサ部11での検知データの取得と、その記憶とを制御しており、マイクロコンピュータ(マイコン)131、記憶手段133、通信インターフェイス135及び電源(バッテリ)137を備える。本例では、弁当箱程度のサイズの筐体に制御部13を収納している。
マイコン131は、所定のサンプリング間隔で漏洩磁場を検知するように磁気センサ111を制御し、その検知データを記憶手段133に記憶させる。
記憶手段133は、磁気センサ111の検知データを記憶する。この記憶手段133には、各種公知のメモリが利用できる。具体的には、フラッシュメモリなどが利用できる。
通信インターフェイス135は、記憶手段133の検知データをUSBメモリなどの可搬型メモリに出力したり、検知データを後述する伝送手段30で伝送するための出力端末部である。検知データを可搬型メモリに出力するには、USBやメモリカードのスロットを用い、伝送手段30に出力する場合はLANポートなどを通信インターフェイス135として利用すれば良い。
電源137は、磁気センサ111やマイコン131、記憶手段133の駆動に必要な電力を供給する。この電源137の代表例としては、バッテリが挙げられる。バッテリであれば、商用電源のとれない場所にも検知デバイス部10を設置することができる。より特定的には、小型で電池容量の大きいリチウムイオン電池やニッケル水素二次電池が好適に利用できる。バッテリを電源137に用いる場合、ガスの利用傾向が把握できる程度の期間、例えば数ヶ月〜1年程度の間、計測システム1を駆動することができる程度の容量を備えることが好ましい。勿論、商用電源が利用できる場所であれば、その商用電源を検知デバイス部10の電源としてもよい。その場合は、バッテリのように交換や充電の必要がない。
接続ケーブル15は、センサ部11に必要な電力を制御部13から供給すると共に、センサ部11の検知データを制御部13に伝送する。この接続ケーブル15には、公知の各種ケーブルが利用できる。接続ケーブル15を用いた有線通信とすれば、無線送信とする場合に比べて検知デバイス部10の構成を簡易にすることができる。
一方、データ処理部20は、検知デバイス部10で取得した検知データに所定の処理を施してガス流量を求めるための演算を行う。
変動成分抽出手段21は、検知データのうち、周期的運動をする膜板62からの漏洩磁場成分を地磁気などの外乱磁場成分と区別して抽出する。膜板62からの漏洩磁場は、地磁気などの外乱磁場よりもかなり小さいため、単に漏洩磁場を検知しただけでは、図2(A)に示すように、漏洩磁場は外乱磁場に埋もれて適切に検知することができない。しかし、地磁気などの外乱磁場が定常的であるのに対し、膜板62からの漏洩磁場は所定の周波数で変動しているため、この周波数成分を検知データから抽出すれば、図2(B)に示すように、漏洩磁場成分を外乱磁場成分から区別して抽出することができる。具体的には、検知データに高速フーリエ変換を行う。そして、その変換データから、外乱磁場成分に相当するゼロヘルツ近傍の周波数成分をカットすることで、所定の周波数成分のみを抽出することができる。このゼロヘルツ近傍の周波数成分のカットは、例えばハイパスフィルタを用いればよい。
流量演算手段23は、抽出された漏洩磁場成分を用いて流体の流量を演算する。膜式ガスメータは、図3に示すように、ガスメータMの本体ケース50内で計量膜61と一体の膜板62が往復運動し、その運動に伴って計量室となるA室51とB室52の一方にガスを充填すると共に他方からガスを本体ケース50の外部に排出する。つまり、ガスの充填と排出がA室51とB室52で交互に繰り返される。そのため、A室51及びB室52の容積と膜板62の動作回数がわかれば、この容積と動作回数から演算にてガス流量を求めることができる。A室51及びB室52の容積はガスメータMの仕様から既知であり、膜板62の動作回数は漏洩磁場の検知データうち、膜板62の周期的運動に対応する周波数成分の周波数に相当する。
伝送手段30は、検知デバイス部10で取得した検知データをデータ処理部20に伝送するもので、必要に応じて用いられる。伝送手段30の具体例としては、有線通信や無線通信が挙げられる。この伝送手段30を用いれば、例えば検知デバイス部10をガスメータMの近傍に設置し、データ処理部20となるサーバをガスメータMから離隔した場所に設置して、インターネットなどの公衆通信網を含む伝送手段30を介して検知デバイス部10の検知データをサーバのデータ処理部20に伝送することができる。その場合、複数のガスメータMからの検知データをサーバに集約して処理することもできる。一方、伝送手段30として通信手段を用いない場合、検知デバイス部10の検知データを一旦可搬型メモリに記憶させ、その可搬型メモリをデータ処理部20の設置場所にまで持ち帰り、可搬型メモリから検知データを読み出してデータ処理部20で処理してもよい。
本発明流量計測システム1では、都市ガスなどの気体の他、液体や、蒸気などの気液混合体などの各種流体の流量を計測対象とすることができる。また、これら流体の流路内において、流体の流量と相関を有する周期的運動をする磁性部材が存在することが計測の前提となる。このような磁性部材の具体例としては、膜式ガスメータMにおける膜板62の他、膜板の往復運動に連動するリンク機構やバルブ71などの部材が挙げられる。これらの磁性部材は、通常、ガスメータMの筐体内部に設けられているが、筐体自体は非磁性材料であることが望ましい。筐体自体が非磁性材料であれば、筐体が膜板62などからの漏洩磁場を遮蔽することがなく、磁気センサ111による漏洩磁場の検知が阻害されることがない。なお、計測対象が膜式ガスメータ以外であっても、流体の流量と相関する周期的運動を行う磁性部材を備えた流路であれば、本発明流量計測システム1の計測対象とできる。
上述したシステム1の設置は、ガスメータMの周辺に検知デバイス部10を設置することにより行う。より具体的には、センサ部11をガスメータMの近傍に、制御部13をセンサ部11周辺の適宜な位置に設置する。
このシステムを用いたガス流量の計測は、次の手順により行う。
以上のシステムによれば、次の効果を奏することができる。
上述した流量計測システムを用いて、ガスメータの外部からガス流量が計測できるかどうかを模擬試験した。
ガスメータ:愛知時計電機株式会社製膜式ガスメータ
ガス供給源:コンプレッサー
ガス圧調整器:単段式調整器
ガス器具:鋳物ガスコンロ
磁気センサ:愛知製鋼株式会社製MIセンサ
センサ部の設置位置:ガスメータ背面から10cmの位置
サンプリングレート:100ms間隔で計測
計測時間:100秒
空気送出条件:大・中・小の3種類(0.0066、0.0098、0.0106m3)の定常流
10 検知デバイス部
11 センサ部
111 磁気センサ 113 センサケース 113D 検知面 113S シールド面
13 制御部
131 マイクロコンピュータ 133 記憶手段 135 通信インターフェイス
137 電源
15 接続ケーブル
20 データ処理部
21 変動成分抽出手段 23 流量演算手段
30 伝送手段
M 膜式ガスメータ
50 本体ケース 51 A室 52 B室 61 計量膜 62 膜板 71 バルブ
Claims (8)
- 流体の流量と相関を持った周期的運動を流体流路内で行う磁性部材から、流体流路の外部にて漏洩磁場を検知する磁気センサと、
この磁気センサの検知データを記憶する記憶手段と、
前記検知データのうち、前記磁性部材の周期的運動に対応する周波数成分を抽出する変動成分抽出手段と、
前記周波数成分と前記相関とを用いて流体の流量を演算する流量演算手段とを備えることを特徴とする流体流量計測システム。 - 前記磁気センサが磁気インピーダンスセンサであることを特徴とする請求項1に記載の流体流量計測システム。
- さらに、前記磁気センサを収納するセンサケースを備え、
このセンサケースは、
前記漏洩磁場が前記磁気センサに到達することを許容する検知面と、
検知面以外の面であって、地磁気などの外乱磁場を遮蔽するシールド面とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の流体流量計測システム。 - 前記磁気センサ及び前記記憶手段を有し、前記流体流路の近傍に設置される検知デバイス部と、
前記変動成分抽出手段及び流量演算手段を有し、前記検知デバイス部とは独立して設置されるデータ処理部と、
前記検知デバイス部から前記データ処理部に検知データを伝送する伝送手段とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体流量計測システム。 - 流体の流量と相関を持った周期的運動を流体流路内で行う磁性部材から、流体流路の外部にて漏洩磁場を検知する磁気センサと、
この磁気センサの検知データを記憶する記憶手段と、
前記磁気センサ及び記憶手段を動作させるための電源とを備えることを特徴とする流体流量計測システム用検知デバイス部。 - 前記磁気センサが、磁気インピーダンスセンサであることを特徴とする請求項5に記載の流体流量計測システム用検知デバイス部。
- さらに、前記磁気センサを収納するセンサケースを備え、
このセンサケースは、
前記漏洩磁場が前記磁気センサに到達することを許容する検知面と、
検知面以外の面であって、地磁気などの外乱磁場を遮蔽するシールド面とを有することを特徴とする請求項5又は6に記載の流体流量計測システム用検知デバイス部。 - 前記磁気センサを有して流体流路の近傍に設置されるセンサ部と、
前記記憶手段及び電源を有して、前記センサ部とは独立して設置される制御部と、
前記センサ部から制御部に前記検知データを伝送する接続ケーブルとを備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の流体流量計測システム用検知デバイス部。
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