JP2011189090A - 生体吸収性ヘルニア治療用材料 - Google Patents

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光男 宮澤
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Abstract

【課題】腹壁瘢痕ヘルニアの治療方法として、非吸収体素材からなる腹壁瘢痕ヘルニア治療用材料を用いた治療が一般的となっているが、材料が半永久的に生体に残存することから、感染巣となるおそれや、瘢痕治癒の過程において治療用材料が収縮を起こしてしまい、塊状となって生体外に突出してしまうこともある。また、治癒過程において治療用材料が腹腔内に露出した場合、腹腔内の臓器と補強材と強く癒着してしまい、重篤な術後合併症を引き起こすこともある。
【解決手段】この非吸収性素材を用いる代わりに、全て生体吸収性材料で作製した治療用材料であれば、腹壁瘢痕ヘルニアが治癒するまでの間は強度を保ち、治癒した後にはすみやかに生体内で分解、吸収されてしまうため、これらの問題を解決することができる。生体吸収性多孔体と生体吸収性繊維状補強材料と複合化することによって、柔軟性と強度を兼ね備えた材料を提供することが可能になる。
【選択図】 図1

Description

開腹手術時に起こり得る腹壁瘢痕ヘルニアを治療するための、生体吸収性ヘルニア治療用材料に関する。
開腹手術とは、皮膚、皮下組織、筋膜、腹膜などの組織を切り開き、消化器などの臓器を治療する方法である。手術が終われば切り開いた組織を縫合糸やステープルを用いて縫い合わせる。これらの組織の中でも、もっとも腹部の圧力を支えている層が筋膜である。手術後に縫合した部分の傷が感染を起こしたり、手術後の全身状態が良くなかったりすると、筋膜の癒合が悪くなって組織に隙間に生じることがある。このような隙間があると、皮膚や皮下組織は完全に癒合したにもかかわらず、この隙間を通って腸管や腹部の脂肪組織などが出入りしてしまう。このような状態を腹壁瘢痕ヘルニアという。約10〜20%の確率で腹壁瘢痕ヘルニアが生じる。皮膚や皮下組織は癒合しているので、腸管や皮下脂肪が体表に直接出てくるわけではないが、皮膚の下が膨らんだような状態になる。一般に、立っているときによく膨らみ、仰向けに寝ると自然に戻ることが多い。
腹壁瘢痕ヘルニアは自然に治癒することはなく、そのまま放置すると鈍痛や消化不良の原因となる。まれに、突出した腸管が元に戻らなくなってヘルニアのある部位で強い痛みが生じたり、腹部全体が腸閉塞という状態になって痛みと膨満感がでたりすることがある。このような症状がみられた場合、筋膜を縫い合わせる縫合閉鎖法を行う必要がある。しかし、縫合閉鎖法を行った場合には、圧力がかかって同じ場所に再度隙間ができてしまうこともある、すなわち腹壁瘢痕ヘルニアが再発してしまうことがある。大きなヘルニアの場合、あるいは再発症例の場合には、ポリプロピレン製、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のメッシュやパッチなどの腹壁瘢痕ヘルニア治療用材料を用いた方法が用いられる。(特許文献1〜3)
これらの治療用材料は生体内非吸収性であり、半永久的に生体内に残存することとなる。治療用材料に細菌が付着した場合には感染巣となってしまい、その多くは難治性であることから、治療用材料を摘出しなければならないという問題があった(非特許文献1)。また、生体内非吸収性の治療用材料を用いた場合、瘢痕治癒の過程において治療用材料が収縮を起こしてしまい、塊状となって生体外に突出してしまうこともあった(非特許文献2)。さらに、治癒過程において治療用材料が腹腔内に露出した場合、腹腔内の臓器と補強材と強く癒着してしまい、重篤な術後合併症を引き起こすこともある。
現在、感染巣があるような腹壁瘢痕ヘルニア症例に対し、適当な治療用材料がないのが現状であり、感染に強いシート状の治療用材料が求められている。また、長期間にわたって治療用材料が生体内に残存することは前述のごとく好ましくなく、ヘルニアが治癒した後にすみやかに生体内で分解吸収されてしまうことが必要である。
特開平11−146888号公報 特表2003−523783号公報 特表2003−530954号公報
岸川博隆ほか;手術、第55巻、587頁 (2001) Klinge U. et al; European Journal of Surgery, Vol.162, No.12 (1998)
本発明の課題は、腹壁瘢痕ヘルニアが治癒するまでの間は強度を保ち、治癒した後にはすみやかに生体内で分解、吸収されてしまう、生体吸収性ヘルニア治療用材料を提供することである。
これらの問題を解決すべく、本願発明者らは鋭意研究を行い、生体吸収性高分子多孔体と生体吸収性繊維状補強材料からなるヘルニア治療用材料を作製し、腹壁瘢痕ヘルニアの修復に利用可能であることを見いだした。
本発明の生体吸収性治療用材料は、生体吸収性高分子多孔体と生体吸収性繊維状補強材料を複合化させることにより、腹腔内の臓器が体外に突出しないように押さえる強度と、腹部の動きに合わせられる柔軟性を有するものである。また、多孔体構造を有することから、材料内部に周囲組織の細胞が侵入しやすく、治療用材料が組織にしっかりと固定され、材料の収縮を抑制するという効果もある。さらには、多孔体は周囲組織から侵入した細胞の足場となり、腹壁組織が再生しやすくさせる効果があり、その結果として治癒期間が短くなるという大変優れた効果を有するものである。
また、本発明に係る治療用材料は生体吸収性であることから、腹壁瘢痕ヘルニアが治癒した後には生体内で分解、吸収されるものであるから、生体内に異物が残らず、細菌の感染巣になるおそれがなく、また生体外に突出するということもない。
生体吸収性ヘルニア治療用材料の外観 生体吸収性ヘルニア治療用材料を実験動物に移植した部位の外観
本発明に係る生体吸収性ヘルニア治療用材料は、多孔体と繊維状補強材料からなるものである。
多孔体および繊維状補強材料を構成する材料は生体吸収性高分子であれば特に限定されないが、天然高分子としてはコラーゲン、ゼラチン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸などが例示できる。合成高分子としては脂肪族ポリエステルがあげられる。ポリマーを構成する成分としてグリコリド、ラクタイド、ε−カプロラクトン、ジオキサノン、トリメチレンカーボネートなどがあり、これらのホモポリマーあるいは、これらの成分のうち少なくとも2種類からなる共重合体がある。このようなポリマーとしては、ポリグリコリド、ポリラクタイド、ラクタイド−ε−カプロラクトン共重合体、グリコリド−ε−カプロラクトン共重合体などが例示できる。
このうち、分解性の制御や材料の均質性の面から、合成高分子である脂肪族ポリエステルを用いることが好ましい。早く分解することが必要であればポリグリコリド、あるいはグリコリドを構成成分とする共重合体、例えばグリコリド−ε−カプロラクトン共重合体を選択することができる。ゆっくりと分解することが必要であれば、ポリラクタイド、あるいはラクタイドを構成成分とする共重合体、例えばラクタイド−ε−カプロラクトン共重合体を選択することができる。
多孔体は柔軟であることが必要であり、このような物性を満足する材料としては、ラクチド−ε−カプロラクトン共重合体を用いることがより好ましい。ラクチド−ε−カプロラクトン共重合体であれば、ラクチドとε−カプロラクトンの共重合比を変化させることによって、分解性や柔軟性を変えることが可能である。
多孔体の形状は、編物、織物、不織布などの繊維形状やスポンジ構造など特に限定されるものではないが、スポンジ状であることが好ましい。材料がスポンジ状であると、柔軟性を付与しやすく、また周囲組織からの細胞侵入容易になる。そのために、周囲組織と材料が安定的に固定されるようになり、治療用材料が収縮したり、体外に突出したりすることがない。また、多孔構造を有することによって、周囲組織から入り込んだ細胞の足場となり、腹壁組織の再生に有利である。細胞が三次元的に増殖して組織の再生を早くすることができるためである。
スポンジ状の多孔体は、原料となる高分子を溶媒に溶解させた溶液を凍結乾燥することによって作製することもできるし、溶液をホモジナイザーなどで泡立てた後に凍結乾燥することによって作製することもできる。
スポンジ状の多孔体の孔径は、多孔体形状を保てるものであれば特に限定されるものではないが、周囲組織からの細胞が侵入しやすい孔径としては1μm〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは細胞が多孔体の内部にまで入り込むことが可能であって、かつ、組織の再生のために三次元的に増殖することができる孔径30〜200μmである。
繊維状補強材料を構成する材料は、繊維状にすることができる生体吸収性高分子であれば特に限定されないが、強度や分解速度から合成高分子を用いることが望ましい。このような合成高分子としては、脂肪族ポリエステルである、ポリグリコリド、ポリラクタイド、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、グリコリド−ラクチド共重合体、グリコリド−ε−カプロラクトン共重合体、ラクチド−ε−カプロラクトン共重合体などが例示できる。
繊維状補強材料の形状としては、編物、織物、不織布などの形状がある。編物の場合には十分な伸縮性をもたせることが可能であり、織物や不織布の場合には伸縮性が少ないが、腹腔内の臓器を押さえるという効果は高くなる。患部の状況にあわせて適宜選択することも可能である。伸縮性と強度を兼ね備える材料であって、伸縮の方向性が少ない形状として不織布であることが好ましい。
繊維状補強材料に用いられる繊維は、編物、織物、不織布にできる繊維径であれば特に限定されるものではないが、0.01mm〜0.8mmの間であればよい。補強材料としての強度、および編物、織物、不織布としての加工性から、繊維径は0.1〜0.6mmが好ましく、より好ましくは0.35〜0.5mmである。
本発明の治療用材料は、多孔体と繊維状補強材料が複合されているものであるが、繊維状補強材料が多孔体の内部に包埋されていてもよく、また多孔体の片面あるいは両面に存在していてもよい。
このような治療用材料の作製方法としては特に限定されるものではないが、多孔体と繊維状補強材料を別々に作製しておき、接着剤などを用いて複合化することもできる。また、繊維状補強材料を作製した後に枠の内部に固定し、この枠の中に多孔体作製用の原料となる高分子を流し込む、あるいは繊維状補強材料を静置した上に多孔体を形成させることによって複合化する方法であれば、接着剤などの材料を用いる必要がない点で好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(繊維状補強材料作製方法)
繊維状補強材料の原料としては、ポリグリコリド不織布を用いた。フエノール10に対し、トリクロロフェノール7の割合で混合した溶媒中にて溶解し、これを190℃で3分間加熱した後、30℃まで冷却して測定した時の粘度(ηsp/c)が1.5であるポリグリコール酸チップを245℃で溶融紡糸し、1.8倍に延伸して12フィラメント、33デニールのポリグリコリド糸を得た。これを18ゲージの丸編機を用い、45g/m2の目付で編成して筒状の丸編地を得た。前記丸編地に対し、ウエール方向に軽くニードルパンチを施し、2PLYの不織布を得た。
(治療用材料の作製方法)
L−ラクチド−ε−カプロラクトン共重合体(モル比 モル比 ラクチド:ε−カプロラクトン50:50)をジオキサンに溶解し、4重量%L−ラクチド−ε−カプロラクトン共重合体溶液を調製した。前述の2PLYのポリグリコリド不織布を、2枚のガラス板の間に置き、2枚のガラス板の間に前記の4重量%L−ラクチド−ε−カプロラクトン共重合体溶液を流し込んだ。これを、−20℃のエタノール中で凍結した後、−40℃〜40℃で12時間凍結乾燥した。その結果、ポリグリコリド不織布からなる繊維状補強材料が中心部に包埋された、スポンジ状の治療用材料を得た。スポンジ層の孔径は平均50μmであった。
(実験方法)
全身麻酔下に雑種ブタの臍上部正中を8cm大に切開した。腹膜を切開しないように腹直筋後鞘を切開し、腹膜上に4×8cm大の生体吸収性ヘルニア治療用材料を移植した。治療用材料は腹直筋後鞘と吸収糸にて固定した。腹直筋前鞘は縫合せずに皮膚のみを縫合閉鎖した。実験は5頭の雑種ブタ(n=5)で実施した。
(評価)
生体吸収性ヘルニア治療用材料を埋植してから10週後に、生体吸収性ヘルニア治療用材料の埋植部を肉眼的、組織学的に観察した。全例(n=5)、食事量の減少なく、犠牲死させるまで生存した。治療用材料移植10週後、腹壁瘢痕ヘルニアを発症した例は皆無であった。組織学的にポリマーの遺残は認めず、線維性の組織の増生が認められ、腹壁が再建されてヘルニアは発生しなかった。
本発明は、ヘルニアが治癒するまでの間は腹部の圧力を支えることが可能であり、治癒後はすみやかに分解、吸収されて感染や瘢痕の原因となることがない生体吸収性医療材料を提供する。

Claims (3)

  1. 生体吸収性多孔体と生体吸収性繊維状補強材料からなる、生体吸収性ヘルニア治療用材料。
  2. 生体吸収性多孔体がL−ラクチド−ε−カプロラクトン共重合体スポンジからなり、生体吸収性繊維状補強材料がポリグリコリド不織布である請求項1に記載の生体吸収性ヘルニア治療用材料。
  3. L−ラクチド−ε−カプロラクトン共重合体は、L−ラクチドの含有量が25〜75重量%であることを特徴とする請求項2に記載の生体吸収性ヘルニア治療用材料。
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