以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による無線通信システムの構成図である。同図示すように、本実施形態の無線通信システムは、基地局1及び端末5により構成される。同図においては、基地局1のサービスエリア内に、基地局1と無線通信可能な端末5が1以上存在しており、基地局1と各端末5との間で無線リンクが確立されている。以下、複数の端末5をそれぞれ、端末5−1、端末5−2、…と記載する。
本実施形態の無線通信システムには、複数の周波数チャネル(以下、周波数チャネルを単に「チャネル」と記載する。)としてチャネルCh−1、Ch−2、…、Ch−n(nは2以上の整数)が割当てられている。チャネルCh−iは、チャネル番号がi番(iは1以上n以下の整数)のチャネルであり、ここでは中心周波数の低いチャネルから順にチャネルCh−1、Ch−2、…、Ch−nとする。各チャネルそれぞれの周波数帯域幅は一定であり、隣接するチャネル番号のチャネルの周波数帯域は連続している。基地局1と端末5は複数の周波数チャネルを利用して通信することができる。例えば、各チャネルの周波数帯域幅が20MHzであり、40MHzで基地局1と端末5との間で通信を行なう場合、周波数帯域が連続したチャネルCh−k、Ch−(k+1)(kは1以上(n−1)以下のいずれかの整数)の2チャネルを用いる。
図2は、本実施形態の基地局1の内部構成を示すブロック図である。基地局1は、アンテナ101、サーキュレータ102、ローカル信号制御部103、ローカル信号発生器104、送信デジタル信号処理部105、デジタル・アナログ信号変換器(以下、「DAC」と記載)106、アナログ変調部107、アナログ復調部108、アナログ・デジタル信号変換器(以下、「ADC」と記載)109、受信デジタル信号処理部110、チャネル情報テーブル記憶部111、利用チャネル決定部112、及び、上位レイヤ処理部113を備えて構成される。
アンテナ101は、送信する無線信号の発信、及び、無線信号の受信を行う。サーキュレータ102は、送受信信号の伝達方向の切り替えを行う。ローカル信号制御部103は、利用チャネル決定部112からローカル信号情報を受信し、このローカル信号情報が示す周波数のローカル信号を発生させるよう指示するためのローカル信号制御用信号を出力する。ローカル信号発生器104は、ローカル信号制御部103から出力されたローカル信号制御用信号に従って、指示された周波数の無変調連続波であるローカル信号を発生させる。
送信デジタル信号処理部105は、利用チャネル決定部112から出力された利用チャネル情報や、上位レイヤ処理部113から出力されたアプリケーションデータから送信用デジタル信号を生成する。利用チャネル情報には、全端末5が受信可能な制御チャネルのチャネル番号と、各端末5個別に割当てる通信用チャネルのチャネル番号が含まれる。DAC106は、送信デジタル信号処理部105が生成したデジタル信号をアナログ信号に変換する。アナログ変調部107は、DAC106が変換したアナログ信号である無線ベースバンドI/Q信号に対して、ローカル信号発生器104が発生させたローカル信号をミキシングし、無線RF(Radio Frequency)信号に変換する。
アナログ復調部108は、アンテナ101によって受信した無線RF信号に対してローカル信号発生器104が発生させたローカル信号をミキシングし、無線ベースバンドI/Q信号に変換する。ADC109は、アナログ復調部108により変換されたアナログの無線ベースバンドI/Q信号をデジタル信号に変換する。受信デジタル信号処理部110は、ADC109によって変換されたデジタル信号を復調及び復号した結果に従って処理を行なう。
チャネル情報テーブル記憶部111は、チャネル情報テーブルを格納する。チャネル情報テーブルは、各チャネルの状態を示す。状態には、「利用可」、「利用中」、「利用不可」等がある。利用チャネル決定部112は、チャネル情報テーブルにより示される各周波数チャネルの状態を基に、制御チャネルと端末5の利用チャネルを決定する。上位レイヤ処理部113は、上位レイヤのアプリケーションを実行する。
図3は、基地局1の送信デジタル信号処理部105の詳細な機能構成を示すブロック図である。送信デジタル信号処理部105は、利用チャネル情報パケット生成部121、アプリケーションパケット生成部122、スイッチ123、パケット変調部124より構成される。
利用チャネル情報パケット生成部121は、利用チャネル決定部112から出力された利用チャネル情報を利用チャネル情報パケットに変換する。アプリケーションパケット生成部122は、上位レイヤ処理部113から出力されたアプリケーションデータをアプリケーションパケットに変換する。なお、各種データ(情報)をパケットに変換する処理には、例えば、データを所定のデータ長毎に区切った後、誤り訂正符号化、プリアンブルの付加、シーケンス番号の付与、パケットの種類を示す情報(パケット種別情報)の付加等を行う処理が含まれる。
スイッチ123は、パケット変調部124への出力を、利用チャネル情報パケット生成部121が出力した利用チャネル情報パケット、または、アプリケーションパケット生成部122が出力したアプリケーションパケットのいずれかに切り替える。スイッチ123は、普段はアプリケーションパケット生成部122側に接続されており、利用チャネル情報パケット生成部121からの指示があったときに、利用チャネル情報パケット生成部121側に切り替わる。パケット変調部124は、スイッチ123により選択された利用チャネル情報パケット、または、アプリケーションパケットを無線ベースバンド信号に変換する。
図4は、基地局1の受信デジタル信号処理部110の詳細な機能構成を示すブロック図である。受信デジタル信号処理部110は、パケット復調部131、パケット解析部132、通信開始要求パケット復号部133、アプリケーションパケット復号部134、及び、信号検出情報パケット復号部135を備えて構成される。
パケット復調部131は、無線ベースバンド信号をパケットに変換する。パケット解析部132は、パケット復調部131により変換されたパケットの種類をパケット種別情報により識別し、適切な処理部へパケットを出力する。通信開始要求パケット復号部133は、パケット解析部132から出力された通信開始要求パケットを復号して通信開始要求情報を取得した後、利用チャネル決定部112を起動し、取得した通信開始要求情報を伝達する。通信開始要求パケットは、端末5が通信の開始を要求するためのパケットであり、通信開始要求情報には、端末5の上限の利用通信帯域や、QoS、アプリケーションの種類等、端末5に割当てるチャネルを決定するための情報を含む。アプリケーションパケット復号部134は、パケット解析部132から出力されたアプリケーションパケットを復号してアプリケーションデータを取得し、上位レイヤ処理部113へ出力する。信号検出情報パケット復号部135は、パケット解析部132が出力した信号検出情報パケットを復号して信号検出情報を取得し、取得した信号検出情報に基づいて、チャネル情報テーブル記憶部111に記憶されているチャネル情報テーブルを更新する。信号検出情報は、端末5において利用不可を検出したチャネルを示す。また、信号検出情報パケット復号部135は、利用チャネル決定部112を起動する。
図5は、本実施形態の端末5の構成を示すブロック図である。
端末5は、アンテナ501、サーキュレータ502、ローカル信号制御部503、ローカル信号発生器504、送信デジタル信号処理部505、DAC506、アナログ変調部507、アナログ復調部508、ADC509、受信デジタル信号処理部510、及び、上位レイヤ処理部513を備えて構成される。
アンテナ501、サーキュレータ502、ローカル信号制御部503、ローカル信号発生器504、DAC506、アナログ変調部507、アナログ復調部508、ADC509、上位レイヤ処理部513はそれぞれ、図2に示す基地局1のアンテナ101、サーキュレータ102、ローカル信号制御部103、ローカル信号発生器104、DAC106、アナログ変調部107、アナログ復調部108、ADC109、上位レイヤ処理部113と同様の機能を有する。
送信デジタル信号処理部505は、上位レイヤ処理部513からの起動によって通信開始要求情報の送信用デジタル信号を生成したり、上位レイヤ処理部113から出力されたアプリケーションデータや、受信デジタル信号処理部510から出力された信号検出情報から送信用デジタル信号を生成したりする。受信デジタル信号処理部510は、ADC509によって変換されたデジタル信号を復調及び復号した結果に従って処理を行なう。受信デジタル信号処理部510は、復調及び復号の結果、利用チャネル情報を得た場合、利用チャネル情報に従った受信制御を行い、アプリケーションデータを得た場合は上位レイヤ処理部513に出力する。
図6は、端末5の送信デジタル信号処理部505の詳細な機能構成を示すブロック図である。送信デジタル信号処理部505は、通信開始要求パケット生成部521、アプリケーションパケット生成部522、信号検出情報パケット生成部523、スイッチ524、及び、パケット変調部525を備えて構成される。
通信開始要求パケット生成部521は、上位レイヤ処理部513からの指示により、通信開始要求パケットを生成する。アプリケーションパケット生成部522は、上位レイヤ処理部513から出力されたアプリケーションデータをアプリケーションパケットに変換する。信号検出情報パケット生成部523は、受信デジタル信号処理部511から出力された信号検出情報を信号検出情報パケットに変換する。
スイッチ524は、パケット変調部525への出力を、通信開始要求パケット生成部521が出力した通信開始要求パケット、アプリケーションパケット生成部522が出力したアプリケーションパケット、及び、信号検出情報パケット生成部523が出力した信号検出情報パケットのいずれかに切り替える。スイッチ524は、普段はアプリケーションパケット生成部522側に接続されており、通信開始要求パケット生成部521や信号検出情報パケット生成部523からの指示があったときに切り替わる。パケット変調部525は、スイッチ524により選択された通信開始要求パケット、アプリケーションパケット、または、信号検出情報パケットを無線ベースバンド信号に変換する。
図7は、端末5の受信デジタル信号処理部510の詳細な機能構成を示すブロック図である。受信デジタル信号処理部510は、バンドパスフィルタ(以下、「BPF」と記載。)531、532、パケット復調部533、パケット解析部534、利用チャネル情報パケット復号部535、受信設定部536、アプリケーションパケット復号部537、信号検出部538を備えて構成される。
BPF531、532は、通過帯域が可変のデジタルのBPFであり、受信設定部536から受信した通過帯域情報に従って通過帯域を設定し、設定した通過帯域の信号を通過させる。BPF531には、自端末において利用するチャネルである利用チャネルの周波数帯域(利用通信帯域)を通過させ、BPF532は、センシング(監視)対象のチャネルである監視チャネルの周波数帯域(監視帯域)を通過させる。なお、この通過帯域は、DC(直流)の周波数を基準とした周波数により示される。パケット復調部533は、BPF531を通過した無線ベースバンド信号をパケットに変換する。パケット解析部534は、パケット復調部533により変換されたパケットを識別し、適切な処理部へパケットを伝達する。
利用チャネル情報パケット復号部535は、パケット解析部534から出力された利用チャネル情報パケットを復号し、得られた利用チャネル情報を受信設定部536へ出力する。受信設定部536は、受信した利用チャネル情報に設定されている通信用チャネル情報及び制御チャネル情報、及び自局が受信可能な帯域幅等の情報に基づいて利用チャネルと監視チャネルを決定し、ローカル信号制御部503にローカル信号情報を出力するとともに、BPF531、532に通過帯域情報を出力して通過帯域を設定する。ローカル信号情報は、利用チャネル及び監視チャネルを受信可能とするローカル信号の周波数が設定される。また、BPF531には、利用チャネルに対応した通過帯域が設定され、BPF532には、監視チャネルに対応した周波数帯域が設定される。アプリケーションパケット復号部537は、パケット解析部534から出力されたアプリケーションパケットを復号してアプリケーションデータを取得し、上位レイヤ処理部513へ出力する。信号検出部538は、BPF532を通過した信号が存在するかどうかを判定する。
次に、本実施形態による無線通信システムの処理について説明する。以下では、端末5が基地局1を介してインターネットへ接続し、通信を行なう場合について説明する。
図8は、基地局1の運用開始処理フローを示す。
同図において、基地局1は、起動した時に、その無線通信システムに割り当てられている全チャネルCh−1〜Ch−nそれぞれの受信レベルを測定して信号検出を行い、利用可否を判定すると(ステップS11)、その利用可否の判定結果をチャネル情報テーブルに登録する(ステップS13)。
具体的には、まず、ローカル信号制御部103は、チャネルCh−1の中心周波数をローカル信号制御用信号によりローカル信号発生器104に指示し、ローカル信号発生器104は、指示された周波数のローカル信号を発生させる。アナログ復調部108は、アンテナ101によって受信した信号をローカル信号によってベースバンドのアナログ信号に復調する。復調された信号は、ADC109を介して受信デジタル信号処理部110に入力される。受信デジタル信号処理部110のパケット復調部131は、ADC109から入力された受信信号のレベルを測定する。
パケット復調部131は、この入力された受信信号の受信レベルが、チャネルが利用されているか否かを判断するための所定の閾値以下である場合は、利用可であると判断する。一方、受信レベルが所定の閾値を超えている場合は、チャネルCh−1が他の無線通信システム等に利用されている、つまり、利用不可であると判断する。
続いて基地局1は、チャネルCh−2、・・・、Ch−nについて順に、上述したチャネルCh−1の場合と同様の処理を行って、チャネルCh−2〜Ch−nそれぞれが利用可であるか利用不可であるかを判断する。受信デジタル信号処理部110は、チャネルCh−1〜Ch−nそれぞれが利用可であるか利用不可であるかをチャネル情報テーブルに書き込む。
次に、利用チャネル決定部112は、チャネル情報テーブルを参照して利用可能なチャネルがあるかを判断する(ステップS15)。利用可能なチャネルがなければ(ステップS15:NO)、処理を終了し、運用を行わない。利用可能なチャネルがあれば(ステップS15:YES)、利用可能なチャネルの中から運用開始するチャネルを1つ決定する(ステップS17)。例えば、受信レベルが一番低いチャネルを運用開始するチャネルとして決定してもよい。利用チャネル決定部112は、ステップS17で決定したチャネルを制御チャネルとして設定し、この制御チャネルを使ってビーコンを発信する(ステップS19)。
具体的には、利用チャネル決定部112は、制御チャネルの中心周波数を設定したローカル信号情報をローカル信号制御部103に出力し、ローカル信号制御部103は、その中心周波数をローカル信号制御用信号によりローカル信号発生器104へ指示する。同時に利用チャネル決定部112は、送信デジタル信号処理部105へビーコンの送信を指示し、送信デジタル信号処理部105はビーコン信号を生成し、出力する。DAC106は、送信デジタル信号処理部105が出力したビーコン信号をアナログ信号に変換し、アナログ変調部107は、ローカル信号発生器104が発生させたローカル信号によってビーコン信号を無線RF信号に変換する。RF信号に変換されたビーコン信号は、アンテナ101によって送信される。
なお、アンテナ101が無線信号を受信してから受信デジタル信号処理部110にデジタル信号が入力されるまでの処理、送信デジタル信号処理部105がデジタル信号を送信してからアンテナ101によって無線信号として送信されるまでの処理は上記と同様のため、以下では記載を省略する。また、端末5において、アンテナ501が無線信号を受信してから受信デジタル信号処理部510にデジタル信号が入力されるまでの処理、送信デジタル信号処理部505がデジタル信号を送信してからアンテナ501によって無線信号として送信されるまでの処理についても、基地局1と同様の処理のため、以下では記載を省略する。
図9は、端末5の運用開始処理フローを示す。なお、起動直後、端末5のBPF531には、何ら設定は行なわれていない。
端末5は、起動した際に、基地局1から発信されているビーコンの受信を行う(ステップS21)。
具体的には、まず、ローカル信号制御部503は、チャネルCh−1の中心周波数をローカル信号制御用信号によりローカル信号発生器504に指示し、ローカル信号発生器504は、指示された周波数のローカル信号を発生させる。また、受信設定部536は、BPF531の通過帯域を、1チャネル分通過させるために、DC〜10MHzに設定する。受信デジタル信号処理部510において、パケット復調部533は、BPF531を通過したデジタル信号を受信し、受信した信号に含まれるプリアンブルによって同期を行った後、復調を行う。パケット解析部534は、復調された信号によりビーコンであるか否かを判断する。
一方、復調されたベースバンドのアナログ信号の受信レベルがある値以下である場合、受信デジタル信号処理部510において信号を復調することができないため、チャネルCh−1ではビーコンは発信されていないと判断する。
端末5は、さらに、チャネルCh−2、・・・、Ch−nについて順に、上述したチャネルCh−1の場合と同様の処理を行う。これにより、端末5は、各チャネルについてビーコンが検出されたか否かを判断する。
上記によって、いずれかのチャネルでビーコンが受信できた場合(ステップS23:YES)、端末5は、ビーコンを受信したチャネルの中から運用開始するチャネルを決定し(ステップS25)、この決定したチャネル、つまり、制御チャネルを用い、基地局1に対して、認証・帰属処理を行う(ステップS27)。この結果、基地局1と端末5の間で無線リンクが確立される。なお、この時、ローカル信号の周波数は、制御チャネル送受信できるように設定される。また、BPF531の通過帯域をDC〜10MHzに設定する。
図10は、無線通信システムの通信開始処理フローを示す。
まず、端末5は、アプリケーション通信を開始する前に、上位レイヤ処理部513からの起動トリガを基に通信開始要求パケット生成部521を起動する。通信開始要求パケット生成部521は、スイッチ524に切替要求を出力し、通信開始要求パケット生成部521側にスイッチ524を接続すると、通信開始要求パケットを生成して出力する。通信開始要求パケットは、自端末が送受信処理可能な最大の周波数帯域幅(DAC506やADC509の動作速度、アナログ変調部507やアナログ復調部508等のデバイスの特性など)を示す通信可能帯域情報やQoS、アプリケーションの種類などが含まれる通信開始要求情報をパケット化したものである。通信開始要求パケットは、パケット変調部525によって変調された後、DAC506に出力される。端末5は、制御チャネルによって、通信開始要求パケットを基地局1へ送信する(ステップS30)。
基地局1が受信した通信開始要求パケットは、パケット復調部131により復調され、パケット解析部132により通信開始要求パケットであると判断される。通信開始要求パケット復号部133は、パケット解析部132から出力された通信開始要求パケットを復号すると、利用チャネル決定部112を起動し、復号により得られた通信開始要求情報を利用チャネル決定部112へ出力する(ステップS31)。利用チャネル決定部112は、通信開始要求情報により示される通信可能帯域情報や、QoS、アプリケーションの種類などに基づいて、アプリケーションデータパケットの送受信に用いる周波数帯域幅を決定する。利用チャネル決定部112は、チャネル情報テーブルを参照し、決定した周波数帯域幅のチャネル数分だけ利用可能な、連続したチャネル番号のチャネルを、端末5との間でパケットを送受信するために利用する通信用チャネルとして決定する(ステップS33)。利用チャネル決定部112は、通信用チャネルとして決定したチャネルが利用中である旨をチャネル情報テーブルに格納する。また、端末5から受信した通信開始要求情報を内部に備える記憶部に記憶しておく。
利用チャネル決定部112は、通信用チャネル情報及び制御チャネル情報を設定した利用チャネル情報を送信デジタル信号処理部105に出力する。通信用チャネル情報は、割当チャネルのチャネル番号を示し、制御チャネル情報は、制御チャネルのチャネル番号を示す。送信デジタル信号処理部105の利用チャネル情報パケット生成部121は、スイッチ123を利用チャネル情報パケット生成部121側に接続させると、受信した利用チャネル情報と、上記通信用チャネルを利用予定の端末5の識別情報とを格納した利用チャネル情報パケットを生成し、出力する。利用チャネル情報パケットは、パケット変調部124によって変調された後、DAC106に出力される。基地局1は、利用チャネル情報パケットを、制御チャネルを用いて全端末5へ伝送する。
同時に、利用チャネル決定部112は、利用チャネルを用いてパケットを送信できるように、ローカル信号の周波数を変更する。つまり、利用チャネル決定部112は、端末5の通信用チャネルと、制御チャネルとを併せた利用チャネルの中心周波数をローカル信号情報に設定し、ローカル信号制御部103に出力する。ローカル信号発生器104は、ローカル信号制御部103から受信したローカル信号制御用信号により指示された周波数のローカル信号を発生させる(ステップS35)。
各端末5は、基地局1から制御チャネルによって送信された利用チャネル情報パケットを受信する(ステップS37)。各端末5において、デジタル信号に変換された利用チャネル情報パケットは、受信デジタル信号処理部510のBPF531を通過し、パケット復調部533へ出力される。パケット復調部533は、入力された利用チャネル情報パケットを復号し、パケット解析部534は復調されたパケットを解析し、パケット種別から利用チャネル情報パケットであることを判断すると、利用チャネル情報パケット復号部535へ出力する。利用チャネル情報パケット復号部535は、利用チャネル情報パケットを復号して得られた利用チャネル情報を受信設定部536へ出力する。
受信設定部536は、復号により得られた利用チャネル情報に基づいて、自端末の利用通信帯域と監視帯域を設定する。利用通信帯域とは、自端末の利用チャネルの通信帯域、監視帯域とは自端末の監視チャネルの通信帯域である。
例えば、基地局1から宛先に端末5−1が設定され、通信用チャネル情報にチャネルCh−3、Ch−4が設定され、制御チャネル情報にチャネルCh−4が設定された利用チャネル情報が制御チャネルにより送信されたとする。この場合、宛先である端末5−1の利用チャネルは通信用チャネルとして用いるチャネルと制御チャネルに用いるチャネルを併せたチャネルCh−3、Ch−4となり、端末5−1以外の端末5の利用チャネルは制御チャネルに用いるチャネルCh−4となる。
また、利用通信帯域を中心とした自端末の通信可能帯域を受信帯域とし、この受信帯域から、利用チャネル情報により示される通信用チャネルと制御チャネルに対応する通信帯域(他端末の通信帯域も含む)を除いた帯域が監視帯域となる。
受信設定部536は、自端末の利用通信帯域と監視帯域を設定すると、続いてローカル信号の周波数を変更する。受信設定部536は、自端末の利用チャネルの中心周波数を設定したローカル信号情報をローカル信号制御部503へ出力し、ローカル信号制御部503は、ローカル信号情報に設定された中心周波数のローカル信号を発生させるためローカル信号制御用信号を出力する。ローカル信号発生器504は、ローカル信号制御用信号によって指示された周波数のローカル信号を発生させる。
さらに、受信設定部536は、BPF531、532の通過帯域を変更する。この時、アプリケーションパケット復号部537に続くパケット復調部533に接続されているBPF531には利用チャネルの周波数帯域を通過帯域として設定し、信号検出部538に接続されているBPF532には利用チャネル以外のチャネルの周波数帯域であり、監視チャネルの周波数帯域を通過帯域として設定する(ステップS39)。
この後、基地局1は、アプリケーションデータパケットを端末5−1へ送信し、また、端末5−1もアプリケーションデータパケットを基地局1へ送信する。
図11は、無線通信システムのアプリケーションデータ送受信フローを示す。ここでは、基地局1から端末5へアプリケーションデータパケットを送信する場合の例を示す。
基地局1のアプリケーションパケット生成部122は、上位レイヤ処理部113から出力されたアプリケーションデータからアプリケーションパケットを生成し、パケット変調部124は、生成されたアプリケーションパケットを変調してDAC106へ出力する。RF信号に変調されたアプリケーションパケットは、宛先となる端末5の通信用チャネルを用いて送信される(ステップS41)。
端末5のパケット復調部533は、BPF531が通過させたパケットを復調し、パケット解析部534は、復調したパケットがアプリケーションパケットであるため、このパケットをアプリケーションパケット復号部537へ出力する。アプリケーションパケット復号部537は、復調されたアプリケーションパケットを復号し、得られたアプリケーションパケットを上位レイヤ処理部513へ出力する(ステップS43)。基地局1と端末5の間で、まだアプリケーションパケットの送受信が完了していない場合は(ステップS45:NO)、ステップS41からの処理を繰り返し、アプリケーションパケットの送受信が完了した場合(ステップS45:YES)、処理を完了する。
また、図11の処理と同時に、端末5は、センシング対象である監視チャネルの利用可否を判定する。
図12は、端末5における、信号レベルの観測による利用可否判定処理フローを示す。
端末5のBPF532は、センシング対象の周波数帯域の信号を通過させ、信号検出部538は、BPF532を通過した信号の信号レベルを測定し(ステップS51)、所定の閾値と比較する(ステップS53)。全チャネルの信号レベルが閾値に満たない場合(ステップS53:NO)、処理を終了する。一方、少なくとも一つのチャネルにおいて信号レベルが閾値を上回った場合(ステップS53:YES)、信号検出部538は、他の基地局1または他システムから発信された信号がそのチャネルに存在すると判定し、その周波数帯域のチャネルを利用不可と判定する。信号検出部538は、利用不可と判断したチャネル番号を設定した信号検出情報を信号検出情報パケット生成部523へ出力する。信号検出情報パケット生成部523は、スイッチ524に切替要求を出力して信号検出情報パケット生成部523側にスイッチ524を接続すると、入力された信号検出情報から信号検出情報パケットを生成し、スイッチ524に出力する。信号検出情報パケットは、制御チャネルを使って基地局1へ送信される(ステップS55)。
基地局1は、制御チャネルによって信号検出情報パケットを受信する(ステップS57)。基地局1のパケット復調部131は、受信したパケットを復調し、パケット解析部132は、復調したパケットが信号検出情報パケットであるため、信号検出情報パケット復号部135へ出力する。信号検出情報パケット復号部135は、信号検出情報パケットを復号して信号検出情報を得ると、得られた信号検出情報に設定されているチャネル番号のチャネルは他基地局1または他システムが利用しているものと判断し、利用不可と判定する。信号検出情報パケット復号部135は、利用不可と判定したチャネルの現在の状態をチャネル情報テーブルから読み出した後、該チャネルが利用不可であることをチャネル情報テーブルに書き込み、更新する(ステップS59)。
さらに、信号検出情報パケット復号部135は、利用不可を書き込む前に取得したチャネルの状態が利用中以外であれば(ステップS61:NO)、処理を終了し、利用中である場合は(ステップS61:YES)、図10のステップS33からの処理を行い、このチャネルを利用していた端末5に新たに利用チャネルを割当てる(ステップS63)。終了した場合は、開始に戻り、この処理を繰り返す。
以下に、基地局1のサービスエリア内に端末5−1、5−2が存在し、端末5−1、端末5−2が基地局1を介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う場合の通信処理例を示す。なお、基地局1は、時分割によって通信先の端末5を切り替える。
図13は、無線通信システムが利用可能なチャネルを示す図である。同図に示すように、無線通信システムが利用可能なチャネルは、チャネルCh−1〜Ch−8の8つであり、それぞれ20MHzの周波数帯域であるとする。
また、各種アナログ装置、DAC、ADCなどの装置の性能により、基地局1及び端末5−1は80MHz、端末5−2は100MHzまでの帯域の通信が可能であるとする。また、基地局1及び端末5におけるチャネルの利用可否判定は、信号レベルの観測により行うものとし、基地局1及び端末5では、閾値として−60dBmが設定されている。
そして、図8の処理により、基地局1は、起動した時に、全チャネルの受信電力レベルを測定し、全チャネルで利用可能と判定し、その中からチャネルCh−5で運用を開始したものとする。また、図9の処理により、端末5−1及び端末5−2は、チャネルCh−1から順番に各チャネルでビーコンの受信を試み、チャネルCh−5でビーコンの受信に成功し、認証及び帰属が完了し、図1のように、基地局1に端末5−1、5−2が帰属している状態となっている。この時、ローカル信号は、Ch−5で信号を送受信できるように、5.26GHzに設定される。また、CH−5の帯域の信号を通過させるように、BPF531の通過帯域はDC〜10MHzに設定される。
図14は、基地局1が全チャネルで利用可能と判定したときのチャネル情報テーブルの設定内容を示す図である。周辺には他の基地局1や他システムの無線局などは存在しておらず、同図に示すように、基地局1及び端末5のチャネル情報テーブルは、全8チャネルとも「利用可」である。基地局1は、チャネルCh−5を制御チャネルとして選択している。
最初に、端末5−1が基地局1を介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う手順を示す。
まず、端末5−1のユーザは、基地局1を介してインターネットへの接続を試みるための指示を入力する。端末5−1は、このオペレーションを上位レイヤ処理部513において認識し、通信開始パケットを基地局1に送信する(図10、ステップS30)。通信開始要求パケットには、端末5−1が通信可能な帯域やQoSが格納されている。QoSは通信に必要な帯域や優先度であり、例えば、端末が動画像の通信を行う場合は要求帯域として6Mbit/sの情報が格納される。本動作例では、端末5−1の通信可能帯域が80MHzであることを示す情報のみが通信開始要求パケットに格納されているとする。
基地局1は、端末5−1から通信開始要求パケットを受信し(図10、ステップS31)、通信開始要求情報を取得すると、この通信開始要求情報内の通信可能帯域情報と、チャネル情報テーブルとに基づいて、端末5−1の通信用チャネルを決定し(図10、ステップS33)、利用チャネル情報パケットを全端末5へ伝送する(図10、ステップS35)。ここでは、チャネルCh−4、Ch−5の2チャネル(40MHz)を端末5−1に割当て、アプリケーションパケットを伝送するものとする。基地局1は、チャネルCh−4、Ch−5を設定した通信用チャネル情報と、チャネルCh−5を設定した制御チャネル情報と、上記の通信用チャネルを用いる予定の端末5−1の識別情報を設定した宛先情報とを格納した利用チャネル情報から利用チャネル情報パケットを生成し、制御チャネルであるチャネルCh−5を利用して全端末5へ伝送する。同時に、ローカル信号の周波数をチャネルCh−4、Ch−5全体の周波数帯域(5.23GHz〜5.27GHz)の中心周波数である5.25GHzに設定する。
図15は、端末5−1にチャネルを割当てた後の、基地局1のチャネル情報テーブルの設定内容を示す図である。同図に示すように、チャネルCh−4、Ch−5は、利用中に更新される。
全端末5は、CH−5により利用チャネル情報パケットを受信する。端末5−1は、利用チャネル情報パケットを受信して(図10、ステップS37)、利用チャネル情報を取得し、自局宛てにアプリケーションデータが送信されることと、チャネルCh−4、Ch−5がアプリケーションパケット受信用チャネル、チャネルCh−5が制御チャネルであることを認識する。端末5−1は、チャネルCh−4、Ch−5の周波数帯域を利用通信帯域とする。
ここで、端末5−1は、通信可能帯域が80MHzのため、最大チャネル数4までを利用した通信が可能である。そのため、端末5−1は、チャネルCh−4及びCh−5を中心に含んだ4チャネル分、換言すれば、チャネルCh−4及びCh−5を受信するためのローカル信号の周波数を変えずに4チャネル分のチャネルCh−3〜Ch−6が受信可能である。そこで、端末5−1の受信設定部536は、この受信可能なチャネルCh−3〜Ch−6から、自端末−1の利用チャネルを除いたチャネルCh−3、Ch−6を監視チャネルとして決定する。このように、端末5−1は、チャネルCh−4及びCh−5でアプリケーションパケットを受信しつつ、他基地局1や他システムがチャネルCh−3、Ch−6を利用して信号を送信していないかどうかを監視することを決定する。この時の対象帯域の設定を図16に示す。
図16は、端末5−1の利用通信帯域と監視帯域を示す図である。同図において、ローカル信号の周波数は利用チャネルであるチャネルCh−4、Ch−5の中心周波数5.25GHzに設定される。端末5−1の受信設定部536は、BPF531を、チャネルCh−4、Ch−5で伝送される信号を受信できるように準備設定するとともに、BPF532を、チャネルCh−3、Ch−6を利用した信号の検出ができるように準備設定する(図10、ステップS39)。このときのBPF531及びBPF532の設定を図17に示す。
図17は、端末5−1のBPFの通過帯域を示す図である。同図は、DCを基準周波数とした周波数により示している。同図において、ローカル信号のDCから20MHzまでがチャネルCh−4、Ch−5に相当するため、BPF531の通過帯域をDC〜20MHzに設定する。また、20MHzから40MHzまでがチャネルCh−3、Ch−6に相当するため、BPF532の通過帯域を20MHz〜40MHzに設定する。
同様に、端末5−2は、利用チャネル情報パケットを受信して(図10、ステップS37)、利用チャネル情報を取得し、チャネルCh−4、Ch−5が他局(端末5−1)宛てのアプリケーションパケット受信用チャネル、チャネルCh−5が制御チャネルであることを認識する。そこで、端末5−2は、制御チャネルCh−5の周波数帯域を利用通信帯域とする。
ここで、端末5−2は、通信可能帯域が100MHzのため、チャネル数5まで利用した通信が可能である。そのため、端末5−2の受信設定部536は、チャネルCh−5を受信するためのローカル信号の周波数を変えずに受信可能な5チャネル分のチャネルCh−3〜Ch−7が受信可能である。一方、ローカルの周波数は、Ch−5の中心周波数であるため、利用チャネル情報により示される他端末(端末5−1)の通信用チャネルCh−4、Ch−5に対応した通信帯域にはチャネルCh−6も含まれる。そのため、受信可能な5チャネル分のチャネルCh−3〜Ch−7から、チャネルCh−4、Ch−5、Ch−6を除いたチャネルCh−3、Ch−7を監視チャネルとして決定する。このように、端末5−2は、制御チャネルであるチャネルCh−5で制御信号を受信しつつ、チャネルCh−3、Ch−7において他基地局1や他システムが信号を送信していないかどうかを監視する。この時の対象帯域の設定を図18に示す。
図18は、端末5−2の利用通信帯域と監視帯域を示す図である。同図において、ローカル信号の周波数は、制御チャネル(チャネルCh−5)の中心周波数である5.26GHzに設定される。端末5−2の受信設定部536は、BPF531を、制御チャネル(Ch−5)で伝送される信号を受信できるように準備設定するとともに、BPF532を、チャネルCh−3、Ch−7を利用した信号の検出ができるように準備設定する(図10、ステップS39)。このときのBPF531及びBPF532の設定を図19に示す。
図19は、端末5−2のBPFの通過帯域を示す図である。同図は、DCを基準周波数とした周波数により示している。同図において、ローカル信号のDCから10MHzまでがチャネルCh−5に相当するため、BPF531の通過帯域をDC〜10MHzに設定する。また、30MHz〜50MHzまでがチャネルCh−3、Ch−7に相当するため、BPF532の通過帯域を30MHz〜50MHzに設定する。
この後、端末5−1は基地局1を介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う。これにより、基地局1と端末5−1との間でブラウジング用のアプリケーションパケットを送受信する。基地局1は、アプリケーションパケットを無線RF信号に変換し、チャネルCh−4、Ch−5を用いて、端末5−1へ伝送する(図11、ステップS41)。端末5−1は、BPF531を通過した信号から、アプリケーションパケットを受信及び復号し、上位レイヤ処理部513へ出力する(図11、ステップS43)。同時に端末5−1の信号検出部538は、BPF532を通過した信号の信号レベルを観測する(図12、ステップS51)。この時の観測した信号レベルは−80dBmであり、閾値よりも低いため(図12、ステップS53:NO)、チャネルCh−3、Ch−6は利用可能と判定する。
同様に、端末5−2の信号検出部538は、BPF532を通過した信号の信号レベルを観測する(図12、ステップS51)。この時の観測した信号レベルはそれぞれ、−84dBmであり、閾値よりも低いため、チャネルCh−3、Ch−7は利用可能と判定する(図12、ステップS53:NO)。以後、この処理を繰り返す。
次に、端末5−2が基地局1を介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う手順を示す。但し、端末5−1は、監視チャネルの受信のみを行なうものとする。
まず、ユーザが端末5−2に基地局1を介したインターネットの接続を試みるための指示を入力すると、上位レイヤ処理部513がこのオペレーションを認識し、通信開始パケットが基地局1に送信される(図10、ステップS30)。基地局1は、端末5−2から受信した通信開始要求パケットに基づいて、チャネルCh−3、Ch−4、Ch−5の3チャネル(60MHz)でアプリケーションパケットを伝送すると決定し(図10、ステップS31、S33)、利用チャネル情報パケットを全端末5へ伝送する(図10、ステップS35)。ここでは、基地局1は、チャネルCh−3、Ch−4、Ch−5を設定した通信用チャネル情報と、チャネルCh−5を設定した制御チャネル情報と、上記の通信用チャネルを用いる予定の端末5−2の識別情報を設定した宛先情報とを格納した利用チャネル情報から利用チャネル情報パケットを生成し、制御チャネルであるチャネルCh−5を利用して全端末5へ伝送する。同時に、ローカル信号の周波数をチャネルCh−3〜Ch−5全体の周波数帯域(5.21GHz〜5.27GHz)の中心周波数である5.24GHzに設定する。
端末5−2は、利用チャネル情報パケットを受信して(図10、ステップS37)、利用チャネル情報を取得し、自端末宛てにアプリケーションデータが送信されることと、チャネルCh−3、Ch−4、Ch−5がアプリケーションパケット受信用チャネル、チャネルCh−5が制御チャネルであることを認識する。端末5−2は、チャネルCh−3〜Ch−5の周波数帯域を利用通信帯域とする。
ここで、端末5−2は、通信可能帯域が100MHzのため、最大チャネル数5まで利用した通信が可能である。そのため、端末5−2の受信設定部536は、チャネルCh−3〜Ch−5を受信するためのローカル信号の周波数を変えずに受信可能な5チャネル分のチャネルCh−2〜Ch−6から、自端末の利用チャネルを除いたチャネルCh−2、Ch−6を監視チャネルとして決定する。このように、端末5−2は、チャネルCh−3、Ch−4、Ch−5でアプリケーションパケットを受信しつつ、他基地局1や他システムがチャネルCh−2、Ch−6を利用していないかどうかを監視することを決定する。この時の対象帯域の設定を図20に示す。
図20は、端末5−2の利用通信帯域と監視帯域を示す図である。ローカル信号の周波数は利用チャネルであるチャネルCh−3〜Ch−5の中心周波数5.24GHzに設定される。端末5−2の受信設定部536は、BPF531を、チャネルCh−3、Ch−4、Ch−5で伝送される信号を受信できるように準備設定するとともに、BPF532を、チャネルCh−2、Ch−6を利用した信号の検出ができるように準備設定する(図10、ステップS39)。このときのBPF531及びBPF532の設定を図21に示す。
図21は、端末5−2のBPFの通過帯域を示す図である。同図は、DCを基準周波数とした周波数により示している。同図において、ローカル信号のDCから30MHzまでがチャネルCh−3、Ch−4、Ch−5に相当するため、BPF531の通過帯域をDC〜30MHzに設定する。また、30MHzから50MHzまでがチャネルCh−2、Ch−6に相当するため、BPF532の通過帯域を30MHz〜50MHzに設定する。
同様に、端末5−1は、利用チャネル情報パケットを受信して(図10、ステップS37)、利用チャネル情報を取得し、チャネルCh−3、Ch−4、Ch−5が他局(端末5−2)宛てのアプリケーションパケット受信用チャネル、チャネルCh−5が制御チャネルであることを認識する。そこで、端末5−1の受信設定部536は、チャネルCh−5の周波数帯域を利用通信帯域とする。端末5−1は、通信可能帯域が80MHzであるため、中心周波数5.26GHzでチャネルCh−4、Ch−6を受信できるが、これらのチャネルの受信帯域は、他局(端末5−2)の利用チャネルと重なるため、監視帯域は設定しない。端末5−1がチャネルCh−5で制御信号の受信のみ行う時の対象帯域の設定を図22に示す。
図22は、端末5−1が制御信号の受信のみを行う場合の帯域設定を示す図である。同図において、ローカル信号の周波数は、制御チャネル(チャネルCh−5)の中心周波数5.26GHzに設定されおり、BPF531を、制御チャネル(チャネルCh−5)で伝送される信号を受信できるように準備設定する。このときのBPF531の設定を図23に示す。
図23は、端末5−1のBPFの通過帯域を示す図である。同図は、DCを基準周波数とした周波数により示している。同図において、ローカル信号のDCから10MHzまでがチャネルCh−5に相当するため、BPF531の通過帯域をDC〜10MHzに設定する。
なお、端末5−1、または、端末5−2の信号検出部538が、BPF532を通過した信号の信号レベルを観測し(図12、ステップS51)、この時の観測したチャネルの信号レベルが閾値よりも高いことを検出した場合は(図12、ステップS53:YES)、その検出したチャネル番号を設定した信号検出情報パケットを基地局1に送信する(図12、ステップS55)。基地局1は、受信した信号検出情報パケットに設定されているチャネル番号と対応づけて利用不可をチャネル情報テーブルに書き込む(図12、ステップS57、S59)。また、利用中のチャネルが利用不可になった場合、チャネルの再割当を行なう。以後、この処理を繰り返す。
以上説明した処理により、信号を送受信しながら、端末が通信可能な帯域を最大限利用して、利用周波数帯域以外の周波数帯をセンシングすることができる。また、全端末が受信可能な制御チャネルを用いて、基地局が利用チャネル情報を全端末に送信しているため、同一サービスエリア内、或いは、同一のアンライセンスシステム内の基地局や他の端末が信号を発信している状況でも、他基地局、或いはライセンスシステムが発信している信号と識別することができ、誤り無くセンシングを行うことが可能となる。
また、端末においてセンシングを行なうため、基地局の通信可能なエリアの外側にある基地局や他システムからの干渉を検知することができる。
なお、本実施形態では、受信電力レベルの測定結果からチャネルの利用可否を判定したが、この限りでは無く、例えば、他の基地局が送信している信号の特徴を解析する方法などでも、チャネル利用可否の判定は可能である。つまり、信号の中に、他の基地局が送信して信号であることを示す特定の情報が設定されていることを検出した場合、他の基地局に利用されているチャネル、すなわち、利用不可チャネルであると判断する。例えば、他の基地局が送信する特定パターンのプリアンブルや、自端末が通信している基地局とは異なるセルの番号やSSID(Service Set Identifier)等を検出する。
また、本実施形態では、基地局1と端末5の間で通信を行う際に利用チャネル情報パケットを用いて利用チャネル情報を伝達していたが、この限りでは無く、基地局1と端末5間で利用する通信用チャネルや制御チャネルがあらかじめ設定されていてもよい。
また、各端末5の通信可能帯域を予め基地局1に記憶させてもよい。
また、本実施形態では、制御チャネルは1つとしたが、この限りでは無く、2つ以上存在してもよい。
また、本実施形態では、デジタル信号処理によるBPFを想定したが、通過帯域を可変にできるアナログBPFを用いても同様の処理が可能である。
また、本実施形態では、デジタル信号処理においてBPFを用いたが、フーリエ変換器を用いてもよい。
また、無線通信システムに適用する無線通信規格、チャネル数、チャネル帯域幅はあくまで一例であり、実施形態の記載に限定されるものではない。
また、本実施形態では、信号検出部を有する端末がチャネルの利用可否を判定したが、この限りでは無く、端末は信号を検出したチャネル番号を基地局に報知し、基地局が利用可否を判定しても良い。この場合は、複数の端末から報知される情報を基に利用可否を判定することが可能になる。例えば、全端末の50%以上から、あるチャネル番号に信号を検出したことが報知された場合に、基地局は、そのチャネルの利用を不可と判定する。
また、本実施形態では、アナログ復調部において利用チャネルで伝送された信号をベースバンド信号に変換するような周波数のローカル信号を生成したが、この限りでは無く、例えば、IF(Intermediate Frequency)信号に変換されるような周波数のローカル信号を生成しても良い。利点として、柔軟に監視帯域を設定することが可能になる。但し、この場合は、受信デジタル信号処理部内でIF信号をベースバンド信号に変換する処理が必要になる。
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態の無線通信システムは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)通信方式を用いる。第1の実施形態では、端末5にBPFを用いているが、本実施形態では、フーリエ変換器がBPFを兼ねる。以下、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
本実施形態の無線通信システムは、図1に示す第1の実施形態における無線通信システムの端末5を端末5aとした構成である。以下、複数の端末5aをそれぞれ、端末5a−1、端末5a−2、…と記載する。
本実施形態の基地局1の構成は、図2〜図4に示す第1の実施形態の構成と同様である。但し、基地局1のパケット変調部124は、OFDM信号を生成し、パケット復調部131は、OFDM信号の復調を行う。
また、本実施形態の端末5aの構成は、第1の実施形態の端末5が備える受信デジタル信号処理部510を、図24に示す受信デジタル信号処理部510aに置き換えたものであり、それ以外は、第1の実施形態の端末5と同様の構成である。但し、端末5aのパケット変調部525は、OFDM信号を生成する。
図24は、本実施形態の端末5aの受信デジタル信号処理部510aの詳細な構成を示すブロック図である。同図において、図7に示す第1の実施形態の受信デジタル信号処理部510と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す受信デジタル信号処理部510aが第1の実施形態の受信デジタル信号処理部510と異なる点は、BPF531、532を設けていない点、パケット復調部533、受信設定部536、信号検出部538に変えてパケット復調部533a、受信設定部536a、信号検出部538aを備える点である。
パケット復調部533aは、OFDM通信方式に基づいてパケットを復調し、利用通信帯域について復調及び復号したパケットをパケット解析部534へ出力し、監視帯域において受信した信号を信号検出部538aへ出力する。
受信設定部536aは、受信した利用チャネル情報に設定されている通信用チャネル情報及び制御チャネル情報に基づいて利用チャネルと監視チャネルを決定し、ローカル信号制御部503にローカル信号情報を出力するとともに、利用通信帯域及び監視帯域を設定した通過帯域情報をパケット復調部533aに出力する。なお、本実施形態はFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)によって復調を行うため、通信可能帯域幅の受信帯域内に利用通信帯域が含まれるようにすれば、監視帯域を利用通信帯域の低周波数側、または、高周波数側、あるいは、低周波数側と高周波数側の両方など、任意に設定することが可能である。
信号検出部538aは、パケット復調部533aから出力された復調結果から信号を検出する。
図25は、パケット復調部533aの詳細な機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、パケット復調部533aは、プリアンブル検出部541、タイミング・周波数同期部542、GI除去部543、FFT演算部544、等化部545、デマッピング部546、デインタリーバ547、及び、誤り訂正復号部548を備えて構成され、GI除去部543及びFFT演算部544を除けば第1の実施形態のパケット復調部533と同様の構成である。
プリアンブル検出部541は、パケットのプリアンブルを検出する。タイミング・周波数同期部542は、パケットを復調できるように、プリアンブル検出部541により検出されたプリアンブルに基づいてタイミングと周波数を合わせる。GI除去部543は、パケットからガードインターバル(GI)を除去する。FFT演算部544は、GIが除去されたパケットに対して高速フーリエ変換処理を行って周波数領域のI/Q信号に変換すると、受信設定部536aから受信した通過帯域情報に従って、利用通信帯域の信号を等化部545へ出力し、監視帯域の信号を信号検出部538aへ出力する。等化部545は、FFT演算部544から出力されたFFT演算結果のI/Q信号に等化を行う。デマッピング部546は、等化部545により等化処理されたI/Q信号をマッピング前の信号に変換する。デインタリーバ547は、デマッピング部546により生成された信号の並び替え処理を行う。誤り訂正復号部548は、デインタリーバ547によって並び替えが行なわれた信号の誤りを訂正する。
上記に示すFFT演算部544が、第1の実施形態におけるBPF531、532を兼ねている。
次に、本実施形態による無線通信システムの処理について説明する。
本実施形態の基地局1、端末5aの運用開始処理フロー、通信開始処理フロー、アプリケーションデータ送受信フローは、図8〜図11に示す第1の実施形態による基地局1、端末5の運用開始処理フロー、通信開始処理フロー、アプリケーションデータ送受信フローと同様である。また、アプリケーション信号の送受信を行なっている端末5aの利用可否判定処理フローは、図12に示す利用可否判定処理フローと同様である。
図26は、本実施形態による端末5aのうち、アプリケーション信号の送受信を行なっていない端末5aの利用可否判定処理フローを示す図である。本実施形態において、アプリケーション信号の送受信を行っていない端末5aは、監視帯域変更タイマを用いて、ローカル信号の周波数を周期的に変更し、利用チャネル以外のチャネルの利用可否を判定する。
なお、端末5aは、上位レイヤ処理部513による上位レイヤの処理状況、あるいは、利用チャネル情報パケットやアプリケーションパケットがある期間送受信されていないことを認識することによって、アプリケーション信号の送受信を行なっていないことを判断することができる。
同図において、アプリケーション信号の送受信を行なっていない端末5aは、内部に備える監視帯域変更タイマ(図示せず)をセットし(ステップS61)、図12に示す利用可否判定処理フローを実施して監視チャネルの利用可否を判定する(ステップS63)。端末5aは、監視帯域変更タイマが満了するまで(ステップS65:NO)、ローカル信号の周波数変更は行なわず、同じ監視チャネルにより繰り返しステップS63(図12に示す利用可否判定処理フロー)を実行する。監視帯域変更タイマが満了した場合(ステップS65:YES)、ローカル信号の周波数を変更し、監視チャネルを変更し(ステップS67)、ステップS61からの処理を行なう。この時、ローカル信号の周波数は引き続き制御チャネルの信号を受信できる範囲内での変更を行なう。
以下に、基地局1のサービスエリア内に端末5a−1、5a−2が存在し、端末5a−1が基地局1を介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う場合の通信処理例を示す。無線通信システムが利用可能なチャネルは、図13に示すチャネルと同様であるとする。
図8の処理により、基地局1は、起動した時に、全チャネルの受信電力レベルを測定し、全チャネルで利用可能と判定し、その中からチャネルCh−5で運用を開始したものとする。また、図9の処理により、端末5a−1及び端末5a−2は、チャネルCh−1から順番に、各チャネルでビーコンの受信を試み、チャネルCh−5でビーコンの受信に成功し、認証及び帰属が完了し、基地局1に端末5a−1、端末5a−2が帰属している状態となっている。
周辺には他の基地局1や他システムの無線局などは存在しておらず、図14に示すように、基地局1のチャネル情報テーブルは、全8チャネルとも「利用可」である。基地局1は、チャネルCh−5を制御チャネルとして選択している。
各種アナログ装置、DAC、ADCの装置の性能により、基地局1は80MHz、端末5a−1は60MHz、端末5a−2は80MHzまでの帯域の通信が可能であるものとする。また、基地局1及び端末5aにおける、チャネルの利用可否判定は、信号レベルの観測により行うものとし、基地局1及び端末5aでは、閾値として−60dBmが設定されている。また、端末5aが、ローカル信号の周波数変更を周期的に変える時間(監視帯域変更タイマ)は、3百マイクロ秒に設定されている。
端末5a−1が基地局1を介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う手順を示す。
まず、基地局1は、第1の実施形態と同様の手順により、端末5a−1から受信した通信開始要求パケットに基づいて通信用チャネルを決定し(図10、ステップS33)、利用チャネル情報パケットを全端末5aへ伝送する(図10、ステップS35)。ここでは、チャネルCh−4、Ch−5の2チャネル(40MHz)を端末5a−1に割当て、通信用チャネルとする。基地局1は、チャネルCh−4、Ch−5を設定した通信用チャネル情報と、チャネルCh−5を設定した制御チャネル情報と、上記の通信用チャネルを用いる予定の端末5a−1の識別情報を設定した宛先情報とを格納した利用チャネル情報から利用チャネル情報パケットを生成し、制御チャネルであるチャネルCh−5を利用して全端末5aへ伝送する。同時に、ローカル信号の周波数を端末5a−1の利用チャネルであるチャネルCh−4、Ch−5全体の周波数帯域(5.23GHz〜5.27GHz)の中心周波数である5.25GHzに設定する。
端末5a−1は、利用チャネル情報パケットを受信して(図10、ステップS37)、利用チャネル情報を取得し、自端末宛てにアプリケーションデータが送信されることと、チャネルCh−4、Ch−5がアプリケーションパケット受信用チャネル、チャネルCh−5が制御チャネルであることを認識する。端末5a−1は、チャネルCh−4、Ch−5の周波数帯域を利用通信帯域とする。
ここで、端末5a−1は、通信可能帯域が60MHzのため、最大チャネル数3までを利用した通信が可能である。そのため、端末5a−1は、利用チャネルであるチャネルCh−4、Ch−5全体の周波数の低周波数側、あるいは、高周波数側に隣接した1チャネルを監視チャネルとする。ここでは、高周波数側のチャネルCh−6を監視チャネルとして決定する。このように、端末5a−1は、チャネルCh−4、Ch−5でアプリケーションパケットを受信しつつ、他基地局1や他システムがチャネルCh−6を利用して信号を送信していないかどうかを監視することを決定する。この時の対象帯域の設定を図27に示す。
図27は、端末5a−1の利用通信帯域と監視帯域を示す図である。同図において、ローカル信号の周波数は、利用チャネル及び監視チャネルを併せた受信帯域のチャネルCh−4〜Ch−6の中心周波数5.26GHzに設定される。また、受信設定部536aは、受信デジタル信号処理部510a内のFFT演算部544において、利用チャネルCh−4、Ch−5の周波数帯域(利用通信帯域)の信号を等化部545に、監視チャネルCh−6の周波数帯域(監視帯域)の信号を信号検出部538aに出力するように設定する。この設定を図28に示す。
図28は、端末5a−1のFFT演算部544における利用通信帯域及び監視帯域の設定を示す図である。同図は、DCを基準周波数とした周波数により示している。同図に示すように、端末5a−1のFFT演算部544は、利用チャネルCh−4、Ch−5に対応したDC〜10MHz、30MHz〜60MHzの信号を等化部545へ出力し、監視チャネルCh−6に対応した10MHz〜30MHzの信号を信号検出部538aへ出力する。
同様に、端末5a−2は、利用チャネル情報パケットを受信して(図10、ステップS37)、利用チャネル情報を取得し、チャネルCh−4、Ch−5が他局(端末5a−1)宛てのアプリケーションパケット受信用チャネル、チャネルCh−5が制御チャネルであることを認識する。そこで、端末5a−2は、チャネルCh−5の周波数帯域を利用通信帯域とする。
ここで、端末5a−2は、通信可能帯域が80MHzのため、最大チャネル数4までを利用した通信が可能である。そのため、端末5a−2は、利用チャネルであるチャネルCh−5の周波数の低周波数側、あるいは、高周波数側に隣接した3チャネルのうち、他端末5aの利用チャネルを除いたチャネルを監視チャネルとする。ここでは、他端末5aの通信用チャネルが含まれない高周波数側のチャネルCh−6、Ch−7、Ch−8を監視チャネルとして決定する。このように、端末5a−2は、制御チャネルであるチャネルCh−5で制御信号を受信しつつ、他基地局1や他システムがチャネルCh−6、Ch−7、Ch−8を利用して信号を送信していないかどうかを監視する。この時の対象帯域の設定を図29に示す。
図29は、端末5a−2の利用通信帯域と監視帯域を示す図である。同図において、ローカル信号の周波数は、利用チャネル及び監視チャネルを併せたチャネルのうち、最も低い周波数帯のチャネルCh−5と最も高い周波数帯のチャネルCh−8の中心となる周波数、すなわち、受信帯域の中心周波数の5.29GHzに設定される。また、受信デジタル信号処理部510a内のFFT演算部544において、利用チャネルCh−5の周波数帯域(利用通信帯域)の信号を等化部545に、監視チャネルCh−6、Ch−7、Ch−8の周波数帯域(監視帯域)の信号を信号検出部538aに出力するように設定する。この設定を図30に示す。
図30は、端末5a−2のFFT演算部544における利用通信帯域及び監視帯域の設定を示す図である。同図は、DCを基準周波数とした周波数により示している。同図に示すように、端末5a−2のFFT演算部544は、利用チャネルCh−5に対応した40MHz〜60MHzの信号を等化部545へ出力し、監視チャネルCh−6、Ch−7、Ch−8に対応したDC〜40MHz、60MHz〜80MHzの信号を信号検出部538aへ出力する。
この後、端末5a−1は基地局1を介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う。これにより、基地局1と端末5a−1間でブラウジング用のアプリケーションパケットを送受信する。基地局1は、アプリケーションパケットを無線RF信号に変換し、チャネルCh−5を用いて、端末5a−1へ伝送する(図11、ステップS41)。端末5a−1においてパケット復調部533aのFFT演算部544から等化部545側へ出力された利用通信帯域のアプリケーションパケットは、アプリケーションパケット復号部537において復号され、上位レイヤ処理部513へ渡される。同時に端末5a−1において、信号検出部538aが、パケット復調部533aのFFT演算部544から出力された監視帯域の信号レベルを観測する。この時の観測した信号レベルは−80dBmであり、閾値よりも低いため(図12、ステップS53:NO)、チャネルCh−6は利用可能と判定する。
同様に、端末5a−2の信号検出部538aは、パケット復調部533aのFFT演算部544から出力された監視帯域の信号レベルを観測する。この時の観測した信号レベルは、チャネルCh−6、Ch−7、Ch−8それぞれのチャネルの帯域において、−84dBm、−86dBm、−94dBmであり、閾値よりも低いため、チャネルCh−6、Ch−7、Ch−8は利用可能と判定する。
そして、3百マイクロ秒が経過すると、通信を行っていない端末5a−2は、ローカル信号の周波数及び、監視帯域を変更する。端末5a−2は、自端末の利用チャネルCh−5の周波数の高周波数側に隣接した3チャネルを監視チャネルとしていたため、監視チャネルを利用チャネルCh−5の低周波数側に隣接した3チャネルであるチャネルCh−2,Ch−3、Ch−4のうち、他端末5の利用チャネルCh−4を除いたチャネルCh−2、Ch−3を監視チャネルとして決定する。このように、端末5a−2は、制御チャネルであるチャネルCh−5で制御信号を受信しつつ、他基地局1や他システムがチャネルCh−2、Ch−3を利用して信号を送信していないかどうかを監視する。この時の対象帯域の設定を図31に示す。
図31は、端末5a−2の利用通信帯域と監視帯域を示す図である。同図において、ローカル信号の周波数は、利用チャネル及び監視チャネルを併せたチャネルCh−2、Ch−3、Ch−5のうち、最も低い周波数帯のチャネルCh−2と最も高い周波数帯のチャネルCh−5の中心となる周波数、すなわち、受信帯域の中心周波数の5.23GHzに設定される。また、受信設定部536aは、受信デジタル信号処理部510a内のFFT演算部544において、監視チャネルCh−2、Ch−3の周波数帯域(監視帯域)の信号を信号検出部538aに出力するように設定する。この設定を図32に示す。
図32は、端末5a−2のFFT演算部544における利用通信帯域及び監視帯域の設定を示す図である。同図は、DCを基準周波数とした周波数により示している。同図に示すように、端末5a−2のFFT演算部544は、利用チャネルCh−5に対応した20〜40MHzの信号を等化部545へ出力し、監視チャネルCh−2、Ch−3に対応した40MHz〜80MHzの信号を信号検出部538aへ出力する。
この設定後、端末5a−2は、チャネルCh−2、Ch−3の利用可否を判定する。
以後、端末5a−2は、3百マイクロ秒毎に監視帯域を利用通信帯域の高周波数側、低周波側に変更し、チャネルCh−6、Ch−7、Ch−8の利用可否の判定、チャネルCh−2、Ch−3の利用可否を周期的に判定する。この変化を図33に示す。
図33は、利用通信帯域と監視帯域の時間変化を示す図である。同図において、端末5a−1の利用通信帯域は、基地局1により再割り当てが行なわれない限り時間が経過しても変化せず、チャネルCh−4、Ch−5を用いている。一方、端末5a−2の監視帯域は、周期的に端末5a−1の利用通信帯域の高周波数側(チャネルCh−6、Ch−7、Ch−8)、低周波数帯域側(チャネルCh−2、Ch−3)と、周期的に変化している。
なお、端末5a−1または端末5a−2の信号検出部538aにおいて、監視チャネルの信号レベルが閾値よりも高いことを検出した場合は(図12、ステップS53:YES)、その検出したチャネル番号を設定した信号検出情報パケットを基地局1に送信する(図12、ステップS55)。基地局1は、受信した信号検出情報パケットに設定されているチャネル番号と対応づけて利用不可をチャネル情報テーブルに書き込む(図12、ステップS57、S59)。また、利用中のチャネルが利用不可になった場合、チャネルの再割当を行なう。
以上説明した処理により、第1の実施形態の効果に加え、信号を送受信していない端末5aについては、ローカル信号を変更しても通信に支障がでないため、ローカル信号の周波数を周期的に変更することにより、信号を送受信している端末5aよりもさらに広範囲な周波数帯域をセンシングすることができる。
また、本実施形態によれば、2つのBPFに代えてFFT演算器を用いることにより、コストが低減する。
また、端末が受信可能な通信帯域を受信帯域とし、その受信帯域の中で、高周波数側、低周波数帯域側のいずれを監視帯域、利用通信帯域に割当てるかを任意に決定することができる。
[第3の実施形態]
続いて、本発明の第3の実施形態を説明する。上述した第2の実施形態では、ローカル信号発生器を1つのみ設け、監視帯域を周期的に切り替える際には、ローカル信号発生器から発生されるローカル信号を切り替えている。しかし、ローカル信号発生器が指示されたローカル信号を安定して発生させるには時間がかかってしまう。そこで、本実施形態では、ローカル信号発生器を2つ設け、そのどちらかを選択することにより、すばやく監視帯域を切り替えるようにし、アプリケーションパケットの送受信を行なっている端末においても、監視帯域を切り替えた監視を可能とする。
以下、第1、第2の実施形態との差分を中心に説明する。
本実施形態の無線通信システムは、図1に示す第1の実施形態における無線通信システムの端末5を端末5bとした構成である。以下、複数の端末5bをそれぞれ、端末5b−1、端末5b−2、…と記載する。本実施形態の無線通信システムは、第2の実施形態と同様に、OFDM通信方式を基に信号の送受信を行う。
本実施形態の基地局1の構成は、図2〜図4に示す第1の実施形態の構成と同様である。但し、基地局1のパケット変調部124は、OFDM信号を生成し、パケット復調部131は、OFDM信号の復調を行う。
図34は、本実施形態の端末5bの構成を示すブロック図である。同図において、図5に示す第1の実施形態の端末5と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す端末5bが第1の実施形態の端末5と異なる点は、ローカル信号制御部503に変えてローカル信号制御部503bを設けている点、1台のローカル信号発生器504に変えてローカル信号発生器504−1、504−2を設けている点、受信デジタル信号処理部510に変えて受信デジタル信号処理部510aを設けている点、ローカル信号スイッチ514−1、514−2を設けている点である。受信デジタル信号処理部510aは、図24に示す第2の実施形態と同様である。
ローカル信号制御部503bは、発生させる周波数を設定したローカル信号情報を受信し、このローカル信号情報が示す周波数のローカル信号を発生させるようローカル信号発生器504−1、504−2それぞれに対して指示するためのローカル信号制御用信号を出力する。さらに、ローカル信号制御部503bは、スイッチ制御用信号を出力し、ローカル信号発生器504−1が発生させるローカル信号とローカル信号発生器504−2が発生させるローカル信号の切り替えをローカル信号スイッチ514−1、514−2に指示する。ローカル信号発生器504−1、504−2は、第1の実施形態のローカル信号発生器504と同様の機能を有する。ローカル信号スイッチ514−1は、ローカル信号制御部503bの指示によってローカル信号発生器504−1が発生させるローカル信号とローカル信号発生器504−2が発生させるローカル信号を切り替えてアナログ変調部507に出力する。ローカル信号スイッチ514−2は、ローカル信号制御部503bの指示によってローカル信号発生器504−1が発生させるローカル信号とローカル信号発生器504−2が発生させるローカル信号を切り替えてアナログ復調部508に出力する。
次に、本実施形態による無線通信システムの処理について説明する。
本実施形態の基地局1、端末5bの運用開始処理フロー、アプリケーションデータ送受信前の処理フロー、アプリケーションデータ送受信フロー、利用可否判定処理フローは、第2の実施形態と同様である。
本実施形態の無線通信システムでは、基地局1と端末5bとの間で送受信するパケットに、宛て先アドレス及びサービスエリア固有のサービスエリアIDが格納されており、宛て先アドレスを解析することにより、自端末宛てのパケットかどうかを判別し、自端末宛てでは無いパケットは破棄する。また、サービスエリアIDを解析することにより、他のサービスエリアから送信されたパケットかどうかを識別することが可能である。この処理は、端末5bの受信デジタル信号処理部510aのパケット解析部534において行われる。これは、第1、第2の実施形態にも適用することができる。
以下に、基地局1のサービスエリア内に端末5b−1、5b−2が存在し、端末5b−1、端末5b−2が基地局1を介してインターネットへ接続してブラウジングを行い、その通信中に他の基地局1、さらに他の基地局1が運用を開始した場合の通信処理例を示す。以下、端末5b−1、5b−2がサービスエリアに存在する基地局1を基地局1−1、基地局1−1の次に運用を開始する他の基地局1を基地局1−2、基地局1−2の次に運用を開始するさらに他の基地局1を基地局1−3とする。
基地局1−1が属する無線通信システムが利用可能なチャネルは、図13に示すチャネルと同様であり、利用可能チャネルは8つ、各チャネルは20MHz帯域である。
図8の処理により、基地局1−1は、起動した時に、全チャネルの受信電力レベルを測定し、全チャネルで利用可能と判定し、その中からチャネルCh−5で運用を開始したものとする。また、図9の処理により、端末5b−1及び端末5b−2は、チャネルCh−1から順番に、各チャネルでビーコンの受信を試み、チャネルCh−5でビーコンの受信に成功し、認証及び帰属が完了し、基地局1−1に端末5b−1、端末5b−2が帰属している状態となっている。
周辺には他の基地局1−1や他システムの無線局などは存在しておらず、図14に示すように、基地局1−1のチャネル情報テーブルは、全8チャネルとも「利用可」である。基地局1−1は、チャネルCh−5を端末5bの通信用チャネルとして設定し、同チャネルCh−5を制御チャネルとして選択している。
また、基地局1−1、端末5b−1、及び、端末5b−2は80MHzまでの帯域の通信が可能であるものとする。
基地局1−1及び端末5bにおける、チャネルの利用可否判定は、信号レベルの観測、及び、受信パケットの解析により行う。信号レベルの観測による判定は、第1の実施形態に示したものと同様であり、利用チャネル以外のチャネルの利用可否を判定する。受信パケットの解析は、現在利用している利用チャネルの利用可否判定に用いる方法であり、他基地局が信号を発信していることを、受信パケットに格納されているサービスエリアIDから認識することにより、そのチャネルの利用可否を判定する。基地局1−1及び端末5bでは、信号レベルの観測によるチャネルの利用可否判定用に、閾値として−60dBmが設定されている。また、端末5bの監視帯域変更タイマには3百マイクロ秒が設定されている。
最初に、端末5b−1が基地局1−1を介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う手順を示す。
まず、基地局1−1は、第1及び第2の実施形態と同様の手順により、端末5b−1から受信した通信開始要求パケットに基づいて通信用チャネルを決定し(図10、ステップS33)、利用チャネル情報パケットを全端末5bへ伝送する(図10、ステップS35)。ここでは、チャネルCh−5を端末5b−1に割当て、アプリケーションパケットを伝送する。基地局1−1は、チャネルCh−5を設定した通信用チャネル情報と、チャネルCh−5を設定した制御チャネル情報と、上記の通信用チャネルを用いる予定の端末5b−1の識別情報を設定した宛先情報とを格納した利用チャネル情報から利用チャネル情報パケットを生成し、制御チャネルであるチャネルCh−5を利用して全端末5bへ伝送する。同時に、ローカル信号の周波数を端末5b−1の利用チャネルであるチャネルCh−5(5.25GHz〜5.27GHz)の中心周波数である5.26GHzに設定する。
端末5b−1、5b−2は、利用チャネル情報パケットを受信して(図10、ステップS37)、利用チャネル情報を取得し、チャネルCh−5が端末5b−1用のアプリケーションパケット受信用チャネル、チャネルCh−5が制御チャネルであることを認識する。端末5b−1、5b−2は、通信可能帯域が80MHzのため、最大チャネル数4までを利用した通信が可能である。端末5b−1、5b−2の受信設定部536aは、利用チャネルCh−5の低周波数側の3チャネルであるチャネルCh−2、Ch−3、Ch−4を第1の周波数帯域を監視帯域として設定し、Ch−5の高周波数側の3チャネルCh−6、Ch−7、Ch−8の周波数帯域を第2の監視帯域として設定する。
端末5b−1、5b−2の受信設定部536aは、第1の監視帯域と通信帯域を併せたチャネルCh−2〜Ch−5の中心周波数5.23GHzを第1のローカル信号周波数とし、同様に、第2の監視帯域と通信帯域を併せたチャネルCh−5〜Ch−8の中心周波数5.29GHzを第2のローカル信号周波数とする。受信設定部536aは、第1のローカル周波数と第2のローカル周波数を設定したローカル信号情報をローカル信号制御部503bへ出力し、ローカル信号制御部503bは、ローカル信号発生器504−1に第1のローカル信号周波数のローカル信号を発生させるようローカル信号制御用信号により指示するとともに、ローカル信号発生器504−2に第2のローカル信号周波数のローカル信号を発生させるようローカル信号制御用信号により指示する。これにより、ローカル信号発生器504−1、504−2がそれぞれ5.23GHz、5.29GHzのローカル信号を出力するように設定する。
上記の設定後、端末5b−1は、第1の監視帯域であるチャネルCh−2、Ch−3、Ch−4を監視帯域として設定する。この時の対象帯域の設定を図35に示す。
図35は、端末5b−1の利用通信帯域と監視帯域を示す図である。同図において、ローカル信号制御部503bは、ローカル信号スイッチ514−1、514−2に、ローカル信号発生器504−1側へ切り替るよう指示し、ローカル信号の周波数を5.23GHzに切り替える。また、受信デジタル信号処理部510a内において、受信設定部536aは、利用チャネルCh−5の周波数帯域が利用通信帯域であり、監視チャネルCh−2、Ch−3、Ch−4の周波数帯域が監視帯域であることを示す通過帯域情報をFFT演算部544に出力し、利用通信帯域の信号を等化部545に、監視帯域の信号を信号検出部538aに出力するよう設定する。この設定を、図36に示す。
図36は、端末5b−1のFFT演算部544における利用通信帯域及び監視帯域の設定を示す図である。同図は、DCを基準周波数とした周波数により示している。同図に示すように、端末5b−1のFFT演算部544は、利用チャネルCh−5に対応した20〜40MHzの信号を等化部545へ出力し、監視チャネルCh−2、Ch−3、Ch−4に対応したDC〜20MHz、40MHz〜80MHzの信号を信号検出部538aへ出力する。
同様に上記の設定後、端末5b−2は、第2の監視帯域であるチャネルCh−6、Ch−7、Ch−8を監視帯域として設定する。この時の対象帯域の設定は、図29と同様である。端末5b−2のローカル信号制御部503bは、ローカル信号スイッチ514−1、514−2に、スイッチ制御用信号を出力してローカル信号発生器504−2側へ切り替るよう指示し、ローカル信号の周波数を5.29GHzに切り替える。また、受信デジタル信号処理部510a内において、受信設定部536aは、利用チャネルCh−5の周波数帯域が利用通信帯域であり、監視チャネルCh−6、Ch−7、Ch−8の周波数帯域が監視帯域であることを示す通過帯域情報をFFT演算部544に出力し、利用通信帯域の信号を等化部545に、監視帯域の信号を信号検出部538aに出力するよう設定する。このときの端末5b−2のFFT演算部544における利用通信帯域及び監視帯域の設定は図30と同様となる。
この後、端末5b−1は基地局1−1を介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う。これにより、基地局1−1と端末5b−1との間でブラウジング用のアプリケーションパケットを送受信する。基地局1−1は、アプリケーションパケットを無線RF信号に変換し、チャネルCh−5を用いて、端末5b−1へ伝送する(図11、ステップS41)。このアプリケーションパケットの宛て先アドレスには端末5b−1のアドレスが格納される。
端末5b−1は、パケット解析部534において、パケットのサービスエリアIDを解析して、自身が帰属している基地局1−1から送信されたパケットであることを認識し、さらに、アプリケーションパケットの宛先アドレスを解析して自端末宛てのパケットであることを認識した後、アプリケーションパケット復号部134において、アプリケーションパケットを復号し、復号したデータを上位レイヤ処理部513へ出力する。同時に、端末5b−1は、信号検出部538aにおいて、信号レベルを観測する。この時の観測したチャネルCh−2、Ch−3、Ch−4の信号レベルはそれぞれ、−88dBm、−87dBm、−85dBmであり、閾値よりも低いため、チャネルCh−2、Ch−3、Ch−4は利用可能と判定する。
一方、端末5b−2は、パケット解析部534において、パケットのサービスエリアIDを解析して、自身が帰属している基地局1−1から送信されたパケットであることを認識するが、パケットの宛先アドレスを解析して自端末宛てのパケットでは無いことを認識すると、パケットを破棄する。また、信号検出部538aにおいて、信号レベルを観測する。この時の観測したチャネルCh−6、Ch−7、Ch−8の信号レベルはそれぞれ−73dBm、−76dBm、−82dBmであり、閾値よりも低いため、チャネルCh−6、Ch−7、Ch−8は利用可能と判定する。
端末5b−1が第1の監視帯域により、端末5b−2が第2の監視帯域によりチャネルの監視を開始してから3百マイクロ秒が経過すると、端末5b−1及び端末5b−2は、監視帯域を変更する。
端末5b−1は、第2の監視帯域であるチャネルCh−6、Ch−7、Ch−8を監視帯域として設定する。端末5b−1のローカル信号制御部503bは、ローカル信号スイッチ514−1、514−2に、ローカル信号発生器504−2側へ切り替るよう指示し、ローカル信号の周波数を5.29GHzに切り替える。それとともに、受信デジタル信号処理部510a内において、受信設定部536aは、利用チャネルCh−5の周波数帯域が利用通信帯域であり、第2の監視チャネルであるCh−6、Ch−7、Ch−8の周波数帯域が監視帯域であることを示す通過帯域情報をFFT演算部544に出力し、利用通信帯域の信号を等化部545に、監視帯域の信号を信号検出部538aに出力するよう設定する。
同様に端末5b−2は、第1の監視帯域チャネルであるCh−2、Ch−3、Ch−4を監視帯域として設定する。端末5b−2のローカル信号制御部503bは、ローカル信号スイッチ514−1、514−2に、ローカル信号発生器504−1側へ切り替るよう指示し、ローカル信号の周波数を5.23GHzに切り替える。それとともに、受信デジタル信号処理部510a内において、受信設定部536aは、利用チャネルCh−5の周波数帯域が利用通信帯域であり、第1の監視チャネルであるCh−2、Ch−3、Ch−4の周波数帯域が監視帯域であることを示す通過帯域情報をFFT演算部544に出力し、利用通信帯域の信号を等化部545に、監視帯域の信号を信号検出部538aに出力するように設定する。
設定後、端末5b−1は、チャネルCh−5でアプリケーションパケットを受信しつつ、チャネルCh−6、Ch−7、Ch−8を監視し、利用可否を判定する。同様に、端末5b−2は、チャネルCh−5でアプリケーションパケットを受信しつつ、チャネルCh−2、Ch−3、Ch−4を監視し、利用可否を判定する。
以後、端末5b−1はチャネルCh−5でアプリケーションパケットを受信しつつ、3百マイクロ秒毎に監視帯域を変更しながら、チャネルCh−2、Ch−3、Ch−4、Ch−6、Ch−7、Ch−8を監視し、利用可否を判定する。また、端末5b−2は、端末5b−1と同様にチャネルCh−5でアプリケーションパケット(5b−1宛て)を受信しつつ、3百マイクロ秒毎に監視帯域を変更しながら、チャネルCh−2、Ch−3、Ch−4、Ch−6、Ch−7、Ch−8を監視し、利用可否を周期的に判定する。
なお、基地局1−1から端末5b−2へアプリケーションパケットを送信する場合も、上記と同様に動作する。
ここで、図37に示すように、基地局1−1と同一の無線通信システムにより実現される基地局1−2が運用を開始したものとする。基地局1−2は、チャネルCh−7のチャネルで運用を開始したものとする。
この時、端末5b−1の監視帯域はチャネルCh−2、Ch−3、Ch−4、端末5b−2の監視帯域はチャネルCh−6、Ch−7、Ch−8とする。端末5b−2は、基地局1−2のサービスエリアにも存在するため、基地局1−2から送信されたパケットを受信する。端末5b−2の信号検出部538aは、チャネルCh−7の周波数帯域の信号レベルを観測した結果(図12、ステップS51)、信号レベルは−36dBmであり、閾値よりも高いため(図12、ステップS53:YES)、チャネルCh−7は利用不可と判定する。信号検出部538aから利用不可と判断されたチャネル番号を設定した信号検出情報を受け、端末5b−2の信号検出情報パケット生成部523は、チャネルCh−7が利用不可である情報を格納した信号検出情報パケットを生成し、この生成された信号検出情報パケットは基地局1−1へ送信される(図12、ステップS55)。
基地局1−1において、信号検出情報パケットが受信・復号されると(図12、ステップS57)、信号検出情報パケット復号部135は、チャネルCh−7が利用不可であることを認識し、チャネル情報テーブルを更新する(図12、ステップS59)。この時のチャネル情報テーブルを図38に示す。
図38は、チャネル利用不可を認識した後に更新されたチャネル情報テーブルの設定内容を示す図である。同図において、制御チャネルであり、端末5b−1の通信用チャネルであるチャネルCh−5には「利用中」が設定され、チャネルCh−2、Ch−3、Ch−4、Ch−6、Ch−8には「利用可」が設定されており、利用不可が検出されたチャネルCh−7は「利用不可」に更新されている。また、チャネルCh−1は、長時間監視ができないため、「不明」に更新されている。
なお、チャネルCh−7は、更新前は通信用チャネルでは無かったため(図12、ステップS61:NO)、現在利用中のチャネルの変更は実施しない。
続いて、図39に示すように、基地局1−1と同一の無線通信システムにより実現される基地局1−3が、チャネルCh−5で運用を開始したものとする。
端末5b−1は、基地局1−3のサービスエリアにも存在するため、基地局1−3から送信されたパケットをチャネルCh−5により受信する。端末5b−1のパケット復調部533aは、受信したパケットを復調し、パケット解析部534はパケットのサービスエリアIDを解析して、基地局1−1からの送信では無いことを認識すると、チャネルCh−5が他の基地局1によって利用されているものと判断し、このチャネルは利用不可であると判定する。端末5b−1の信号検出情報パケット生成部523は、チャネルCh−5が利用不可である情報を格納した信号検出情報パケットを生成し、この生成された信号検出情報パケットは基地局1−1へ送信される(図12、ステップS55)。
基地局1−1において、信号検出情報パケットが受信・復号されると、信号検出情報パケット復号部135は、チャネルCh−5が利用不可であることを認識し、チャネル情報テーブルを更新する(図12、ステップS59)。この時のチャネル情報テーブルを図40に示す。
図40は、チャネル利用不可を認識した後に更新されたチャネル情報テーブルの設定内容を示す図である。同図に示すように、図38に示すチャネル情報テーブルの設定内容に対して、チャネルCh−5が「利用不可」に更新されている。
基地局1−1は、利用中であったチャネルCh−5が利用不可となったため(図12、ステップS61:YES)、現在利用可能なチャネルの中からチャネルCh−3を端末5b−1の通信用チャネルとして設定し、チャネルCh−3を制御チャネルとして選択する(図10、ステップS33)。基地局1−1は、チャネルCh−3を設定した通信用チャネル情報と、チャネルCh−3を設定した制御チャネル情報と、上記通信用チャネルを利用予定の端末5b−1の識別情報を設定した宛先情報とを格納した利用チャネル情報から利用チャネル情報パケットを生成し、制御チャネルであるチャネルCh−5を利用して、基地局1−1のサービスエリア内の全端末5bへ伝送する(図10、ステップS35)。同時に、基地局1−1は、ローカル信号の周波数をチャネルCh−3の中心周波数5.22GHzに設定する。
端末5b−1、5b−2は、利用チャネル情報パケットを受信して(図10、ステップS37)、利用チャネル情報を取得し、チャネルCh−3が端末5b−1のアプリケーションパケット受信用チャネル、チャネルCh−3が制御チャネルであることを認識する。端末5b−1、5b−2は、チャネルCh−3の低周波数側には2チャネルしかないため、高周波数側の1チャネルを加え、チャネルCh−1、Ch−2、Ch−4の周波数帯域を第1の監視帯域とし、チャネルCh−3の高周波数側の3チャネルCh−4、Ch−5、Ch−6の周波数帯域を第2の監視帯域として設定する。さらに、端末5b−1、5b−2は、ローカル信号発生器504−1、504−2それぞれがチャネルCh−1〜Ch−4の中心周波数5.21GHz、チャネルCh−3〜Ch−6の中心周波数5.25GHzのローカル信号を出力するように設定する。
上記の設定後、端末5b−1は、第1の監視帯域であるチャネルCh−1、Ch−2、Ch−4を監視帯域として設定し、ローカル信号スイッチ514−1及び514−2を使ってローカル信号の周波数を5.21GHzに切り替えるとともに、受信デジタル信号処理部510a内において、FFT演算部544が利用通信帯域の信号を等化部545に、監視帯域の信号を信号検出部538aに出力するよう設定する。
同様に端末5b−2は、第2の監視帯域であるチャネルCh−4、Ch−5、Ch−6を監視帯域として設定し、ローカル信号スイッチ514−1及び514−2を使ってローカル信号の周波数を5.25GHzに切り替えるとともに、受信デジタル信号処理部510a内において、FFT演算部544が利用通信帯域の信号を等化部545に、監視帯域の信号を信号検出部538aに出力するよう設定する。
以後、基地局1−1は、チャネルCh−3を用いて、端末5b−1へアプリケーションパケットの伝送を行う。また、端末5b−1,5b−2は、チャネルCh−3でアプリケーションパケットを受信しつつ、周期的にチャネルCh−1、Ch−2、Ch−4、Ch−5、Ch−6を監視し、利用可否を判定する。
以上説明したように、本実施形態では、ローカル信号スイッチを用いてアナログ変調部及びアナログ復調部へ入力されるローカル信号を切り替えることが可能となり、ローカル信号の周波数の変更に時間を要することが無いため、通信中の端末は、第1、第2の実施形態よりも、より広範囲な周波数帯をセンシングすることができる。また、利用チャネルによって受信したパケットを解析することによって、同一の周波数で運用している他基地局や他の端末、或いは、同一の周波数で運用しているライセンスシステム内の基地局や他の端末が信号を発信している状況でも、他基地局1、或いはライセンスシステムが発信している信号と識別することができ、誤り無くセンシングを行うことが可能となる効果については同様である。
本実施形態によれば、すばやく監視帯域を切り替えることができるため、例えば、プライオリティの低い端末や基地局などにおいて、常に移行先の周波数帯域を広く検索する必要がある場合に有効である。
なお、本実施形態では、端末5b−1は、基地局1−3から発信されたパケットを受信した場合にチャネルCh−5は利用不可と判定したが、この限りでは無く、例えばパケット内にサービスエリアのプライオリティ情報を格納しておき、端末5b−1は、受信時にパケットを解析してプライオリティ情報を取得し、自サービスエリアのプライオリティよりもプライオリティが高いと判断した場合のみ利用不可と判定するような処理が可能である。
[第4の実施形態]
続いて本実施形態の第4の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態では、端末側でチャネルの監視を行なっているが、本実施形態では、基地局側でチャネルの監視を行なう。
図41は、本実施形態による無線通信システムの構成図である。同図において、無線通信システムは、基地局1c及び端末5cにより構成される。同図においては、基地局1cのサービスエリア内に、基地局1cと無線通信可能な端末5cが複数存在しており、基地局1cと各端末5cとの間で通信リンクが確立されている。
図42は、本実施形態の基地局1cの内部構成を示すブロック図である。同図において、図2に示す第1の実施形態の基地局1と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す基地局1cが図2に示す第1の実施形態の基地局1と異なる点は、受信デジタル信号処理部110に変えて受信デジタル信号処理部110cを設ける点、及び、利用チャネル決定部112に変えて利用チャネル決定部112cを設ける点である。
受信デジタル信号処理部110cは、利用通信帯域のチャネルの信号を復調及び復号した結果に従って処理を行なうとともに、監視帯域の信号の有無を検出する。利用チャネル決定部112cは、チャネル情報テーブルにより示される各周波数チャネルの状態と、端末5cから受信した通信開始要求情報に基づいて通信用チャネルおよび制御チャネルを決定し、利用チャネル情報を送信デジタル信号処理部105へ、ローカル信号情報をローカル信号制御部103へ、通過帯域情報を受信デジタル信号処理部110cへ出力する。
なお、送信デジタル信号処理部105は、図3に示す第1の実施形態と同様であるが、利用チャネル情報パケット生成部121は、利用チャネル決定部112cから利用チャネル情報を受信する。
図43は、基地局1cの受信デジタル信号処理部110cの詳細な機能構成を示すブロック図である。同図において、図4に示す第1の実施形態の基地局1の受信デジタル信号処理部110と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す受信デジタル信号処理部110cが図4に示す第1の実施形態の受信デジタル信号処理部110と異なる点は、BPF136、137、及び、信号検出部138を設ける点、通信開始要求パケット復号部133に変えて通信開始要求パケット復号部133cを設ける点である。
BPF136、137は、通過帯域が可変のデジタルのBPFであり、利用チャネル決定部112cから受信した通過帯域情報に基づいて通過帯域を設定し、設定した通過帯域の信号を通過させる。BPF136は、通信先の端末5cの利用チャネルの周波数帯域(利用通信帯域)を通過させてパケット復調部131へ出力し、BPF137は、監視チャネルの周波数帯域(監視帯域)を通過させる。信号検出部138は、BPF137の通過後に信号が存在するかどうかを判定し、判定結果をチャネル情報テーブルへ反映させる。また、信号検出部138は、信号が検出された場合、利用チャネル決定部112cへ起動トリガを伝達する。通信開始要求パケット復号部133cは、端末5cから伝送された通信開始要求パケットから通信開始要求情報を取得し、起動トリガ及び通信開始要求情報を利用チャネル決定部112cへ伝達する。
図44は、本実施形態による端末5cの内部構成を示すブロック図である。同図において、図5に示す第1の実施形態の端末5と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す端末5cが図5に示す第1の実施形態の端末5と異なる点は、送信デジタル信号処理部505に変えて送信デジタル信号処理部505cを設ける点、受信デジタル信号処理部510に変えて受信デジタル信号処理部510cを設ける点である。
送信デジタル信号処理部505cは、上位レイヤ処理部513からの起動によって通信開始要求情報の送信用デジタル信号を生成したり、上位レイヤ処理部113から出力されたアプリケーションデータから送信用デジタル信号を生成したりする。受信デジタル信号処理部510cは、復調及び復号の結果、利用チャネル情報を得た場合、利用チャネル情報に従った受信制御を行い、アプリケーションデータを得た場合は上位レイヤ処理部513に出力する。
図45は、端末5cの送信デジタル信号処理部505cの詳細な機能構成を示すブロック図である。同図において、図6に示す第1の実施形態の送信デジタル信号処理部505と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す送信デジタル信号処理部505cが図6に示す第1の実施形態の送信デジタル信号処理部505と異なる点は、信号検出情報パケット生成部523を設けていない点、スイッチ524に変えてスイッチ524cを設ける点である。
スイッチ524cは、通信開始要求パケット生成部521が出力した通信開始要求パケット、及び、アプリケーションパケット生成部522が出力したアプリケーションパケットの送信を切り替える。
図46は、端末5cの受信デジタル信号処理部510cの詳細な機能構成を示すブロック図である。同図において、図7に示す第1の実施形態の受信デジタル信号処理部510と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す受信デジタル信号処理部510cが図7に示す第1の実施形態の受信デジタル信号処理部510と異なる点は、BPF532、及び、信号検出部538を設けていない点、受信設定部536に変えて受信設定部536cを設ける点である。
受信設定部536cは、利用チャネル情報に設定されている通信用チャネル情報及び制御チャネル情報に基づいて利用チャネルを決定してローカル信号の周波数と通過帯域を導出し、ローカル信号の周波数を示すローカル信号情報をローカル信号制御部103へ、利用チャネルの通過帯域を示す通過帯域情報をBPF531に出力する。
次に、本実施形態処理フローを以下に示す。端末5cが基地局1cを介してインターネットへ接続し、通信を行うものとする。
本実施の形態による基地局1cの運用開始処理フロー、及び、端末5cの運用開始処理フローは、図8に示す基地局1の運用開始処理フロー、図9に示す端末5の運用開始処理フローと同様である。
ただし、図8のステップS17において、利用チャネル決定部112cが、運用開始するチャネルを1つ決定したときに、この運用開始するチャネルの周波数帯域を設定した通過帯域情報を受信デジタル信号処理部110cのBPF136へ出力する。BPF136は、受信した通過帯域情報に従って通過帯域を設定する。
図47は、本実施形態による無線通信システムの通信開始処理フローを示す。
端末5cは、アプリケーション通信を開始する前に、上位レイヤ処理部513からの起動トリガを基に通信開始要求パケット生成部521を起動する。通信開始要求パケット生成部521は、スイッチ524cに切替要求を出力し、通信開始要求パケット生成部521側にスイッチ524cを接続すると、通信開始要求パケットを生成して出力する。通信開始要求パケットは、第1の実施形態と同様の通信開始要求情報をパケット化したものである。通信開始要求パケットは、パケット変調部525によって変調された後、DAC506に出力される。端末5cは、制御チャネルによって、通信開始要求パケットを基地局1cへ送信する(ステップS61)。
基地局1cが受信した通信開始要求パケットは、受信デジタル信号処理部110cのBPF136を通過し、パケット復調部131により復調され、パケット解析部132により通信開始要求パケットであると判断される。通信開始要求パケット復号部133cは、パケット解析部132から出力された通信開始要求パケットを復号すると、利用チャネル決定部112cを起動し、復号により得られた通信開始要求情報を出力する(ステップS63)。
利用チャネル決定部112cは、通信開始要求情報に基づいて、アプリケーションデータパケットの送受信に用いる周波数帯域幅を決定する。利用チャネル決定部112cは、チャネル情報テーブルを参照し、決定した周波数帯域幅のチャネル数分だけ利用可能な、連続したチャネル番号のチャネルを、端末5cとの間でパケットを送受信するための通信用チャネルとして決定する。利用チャネル決定部112cは、通信用チャネルとして決定したチャネルが利用中である旨をチャネル情報テーブルに格納する。また、端末5cから受信した通信開始要求情報を内部に備える記憶部に記憶しておく。
利用チャネル決定部112cは、通信用チャネルと制御チャネルとを併せた利用チャネルを用いてパケットを送受信できるように、BPF136、137に通過帯域情報を出力して通過帯域を設定するとともに、ローカル信号制御部103にローカル信号情報を出力してローカル信号の周波数を設定する(ステップS67)。利用チャネル決定部112cは、パケット復調部131に接続されているBPF136に、利用チャネルの周波数帯域を通過帯域として設定した通過帯域情報を、信号検出部138に接続されているBPF137に、利用チャネル以外のチャネルの周波数帯域を通過帯域として設定した通過帯域情報を出力する。また、ローカル信号情報には、利用チャネルの周波数帯域の中心周波数を設定する。さらに、利用チャネル決定部112cは、通信用チャネルとして決定したチャネルが利用中である旨をチャネル情報テーブルに格納する。
利用チャネル決定部112cは、通信用チャネル情報及び制御チャネル情報を設定した利用チャネル情報を送信デジタル信号処理部105に出力する。送信デジタル信号処理部105の利用チャネル情報パケット生成部121は、スイッチ123を利用チャネル情報パケット生成部121側に接続させると、受信した利用チャネル情報を格納するとともに、通信用チャネルを割当てた端末5cを宛先として格納した利用チャネル情報パケットを生成し、出力する。利用チャネル情報パケットは、パケット変調部124によって変調された後、DAC106に出力される。基地局1cは、利用チャネル情報パケットを、制御チャネルを用いて全端末5cへ伝送する(ステップS69)。
各端末5cは、基地局1cから送信された利用チャネル情報パケットを受信する(ステップS71)。各端末5cにおいて、デジタル信号に変換された利用チャネル情報パケットは、受信デジタル信号処理部510cのBPF531を通過し、パケット復調部533へ出力される。パケット復調部533は、入力された利用チャネル情報パケットを復号し、パケット解析部534は復調されたパケットを解析し、パケット種別から利用チャネル情報パケットであることを判断すると、利用チャネル情報パケット復号部535へ出力する。利用チャネル情報パケット復号部535は、利用チャネル情報パケットを復号して得られた利用チャネル情報を受信設定部536cへ出力する。
受信設定部536cは、復号により得られた利用チャネル情報に基づいて、自端末の利用通信帯域を判断する。受信設定部536cは、自端末の利用通信帯域を判断すると、続いてローカル信号の周波数を変更する。受信設定部536cは、自端末の利用チャネルの中心周波数を設定したローカル信号情報をローカル信号制御部503へ出力する。さらに、受信設定部536cは、利用チャネルの周波数帯域を通過帯域に設定した通過帯域情報をBPF531に出力する(ステップS73)。
この後、基地局1cは、アプリケーションデータパケットを端末5cへ送信し、また、端末5cもアプリケーションデータパケットを基地局1cへ送信する。
本実施の形態によるアプリケーションデータ送受信フローは、図11に示す第1の実施形態のアプリケーションデータ送受信フローと同様である。
また、図11に示すアプリケーションデータ送受信の処理と同時に、基地局1cは、利用チャネル以外のチャネル、つまり、センシング対象のチャネルの利用可否を判定する。
図48は、基地局1cにおける、信号レベルの観測による利用可否判定処理フローを示す。
基地局1cのBPF137は、センシング対象の周波数帯域の信号を通過させ、信号検出部138は、BPF137を通過した信号の信号レベルを測定し(ステップS81)、所定の閾値と比較する(ステップS83)。信号レベルが閾値に満たない場合(ステップS83:NO)処理を終了する。一方、信号レベルが閾値を上回った場合(ステップS85:YES)、信号検出部138は、他の基地局1cやその基地局に帰属する端末5c、あるいは、他システムから発信された信号が存在すると判定し、その周波数帯域のチャネルを利用不可と判定する。信号検出部138は、利用不可と判断したチャネル番号の現在の状態をチャネル情報テーブルから読み出した後、該チャネルが利用不可であることを書き込み、更新する(ステップS85)。
さらに、信号検出部138は、利用不可を書き込む前のチャネルの状態が利用中以外であれば(ステップS87:NO)、処理を終了し、利用中である場合は(ステップS87:YES)、図47のステップS65からの処理を行い、このチャネルを利用していた端末5cに新たに利用チャネルを割当てる(ステップS89)。
以下に、基地局1cのサービスエリア内に1台の端末5cが存在し、端末5cが基地局1cを介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う場合の通信処理例を示す。
無線通信システムが利用可能なチャネルは、図13に示すチャネルと同様であり、利用可能チャネルは8つ、それぞれ20MHzの帯域であるものとする。
基地局1cは、図8の処理により、起動した時に、全チャネルの受信電力レベルを測定し、全チャネルで利用可能と判定し、その中からチャネルCh−5を制御チャネルとして運用を開始し、ビーコンを発信する。
また、端末5cは、図9の処理により、BPF531の通過帯域とローカル信号を変更していくことによって、チャネルCh−1から順番に各チャネルでビーコンの受信を試みる。端末5cは、チャネルCh−5でビーコンの受信に成功し、認証及び帰属が完了し、図49に示すように、基地局1cに端末5cが帰属している状態となっている。
周辺には他の基地局1cや他システムの無線局などは存在しておらず、図14に示すように、基地局1cのチャネル情報テーブルは、全8チャネルとも「利用可」である。なお、基地局1cは、チャネルCh−5を制御チャネルとして選択している。
また、各種アナログ装置、DAC、ADCなどの装置の性能により、基地局1cは80MHz、端末5cは40MHzまでの帯域の通信が可能であるものとする。また、基地局1cにおけるチャネルの利用可否判定は、信号レベルの観測により行うものとし、閾値として−60dBmが設定されている。
以下に、端末5cが基地局1cを介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う手順を示す。
まず、端末5cのユーザは、基地局1cを介してインターネットへの接続を試みるための指示を入力する。端末5cは、このオペレーションを上位レイヤ処理部513において認識し、通信開始要求パケットを基地局1cへ送信する(図47、ステップS61)。本実施形態では、端末5cが通信可能な帯域として40MHzの情報のみ通信開始要求パケットに格納されているものとする。
基地局1cは、端末5cから通信開始要求パケットを受信し、通信開始要求情報を取得すると、利用チャネル決定部112cを起動する(図47、ステップS63)。利用チャネル決定部112cは、通信開始要求情報内の通信可能帯域情報と、チャネル情報テーブルとに基づいて、端末5cの通信用チャネルを決定する(図47、ステップS65)。基地局1cは、チャネルCh−4、Ch−5の2チャネル(40MHz)を通信用チャネルとして端末5cに割当て、アプリケーションパケットを伝送するものとする。
ここで、基地局1cは、通信可能帯域が80MHzのため、最大チャネル数4までを利用した通信が可能である。そのため、基地局1cは、端末5cの利用チャネルであるチャネルCh−4及びCh−5を中心に含んだ4チャネル分、換言すれば、チャネルCh−4及びCh−5を受信するためのローカル信号の周波数を変えずに4チャネル分の受信帯域のチャネルCh−3〜Ch−6が受信可能である。そこで、基地局1cの利用チャネル決定部112cは、この受信可能なチャネルCh−3〜Ch−6から、端末5cの利用チャネルを除いたチャネルCh−3、Ch−6を監視チャネルとする。このように、基地局1cは、チャネルCh−4及びCh−5を端末5cとの通信に利用しつつ、チャネルCh−3、Ch−6を利用して他基地局1cや端末5c、他システムが信号を送信していないかどうかを監視することを決定する。この時の対象帯域の設定を図50に示す。
図50は、基地局1cの利用通信帯域と監視帯域を示す図である。同図において、ローカル信号の周波数は利用チャネルであるチャネルCh−4、Ch−5の中心周波数5.25GHzに設定される。基地局1cの利用チャネル決定部112cは、BPF136を、チャネルCh−4、Ch−5で伝送される信号を受信できるように準備設定するとともに、BPF137を、チャネルCh−3、Ch−6を利用した信号の検出ができるように準備設定する(図47、ステップS67)。このときのBPF531及びBPF532の設定を図51に示す。
図51は、基地局1cのBPFの通過帯域を示す図である。同図は、DCを基準周波数とした周波数により示している。同図において、ローカル信号のDCから20MHzまでがチャネルCh−4、Ch−5に相当するため、BPF136の通過帯域をDC〜20MHzに設定する。また、20MHzから40MHzまでがチャネルCh−3、Ch−6に相当するため、BPF137の通過帯域を20MHz〜40MHzに設定する。
基地局1cは、BPFの通過帯域及びローカル信号の周波数の設定が完了すると、チャネルCh−4、Ch−5を設定した通信用チャネル情報と、チャネルCh−5を設定した制御チャネル情報と、上記の通信用チャネルを用いる予定の端末5cの識別情報を設定した宛先情報とを格納した利用チャネル情報から利用チャネル情報パケットを生成し、制御チャネルであるチャネルCh−5を利用して全端末5cへ伝送する(図47、ステップS69)。
端末5cは、利用チャネル情報パケットを受信して(図47、ステップS71)、利用チャネル情報を取得し、チャネルCh−4、Ch−5が自端末宛のアプリケーションパケット受信用の通信用チャネル、チャネルCh−5が制御チャネルであることを認識する。端末5cは、チャネルCh−4、Ch−5が利用チャネルであるため、ローカル信号の周波数を、チャネルCh−4、Ch−5を併せた周波数帯域の中心周波数である5.25GHzに設定する。さらに端末5cは、BPF531の通過帯域を、チャネルCh−4、Ch−5で伝送される信号を受信できるように準備設定する(図47、ステップS73)。
この後、端末5cは基地局1cを介してインターネットへ接続し、ブラウジングを行う。これにより、チャネルCh−4、Ch−5を利用して、基地局1cと端末5cとの間でブラウジング用のアプリケーションパケットを送受信する。同時に、基地局1cの信号検出部138は、BPF137を通過した信号の信号レベルを観測する(図48、ステップS81)。このとき観測した信号レベルは−85dBmであり、閾値よりも低いため(図48、ステップS83:NO)、チャネルCh−3、Ch−6は利用可能と判定する。
以降、同様に、基地局1cと端末5c間でアプリケーションパケットの送受信を行いつつ、チャネルCh−3及びCh−6を監視する。
なお、基地局1cの信号検出部138が、BPF137を通過した信号の信号レベルを観測し(図48、ステップS81)、この時の観測したチャネルCh−3またはCh−6の信号レベルが閾値よりも高いことを検出した場合(図48、ステップS83:YES)、その検出したチャネルが利用不可であることをチャネル情報テーブルに書き込む(図48、ステップS85)。
以上説明した処理により、本実施形態によれば、信号を送受信しながら、基地局が通信可能な範囲を最大限利用して、利用周波数帯域以外の周波数帯をセンシングすることが可能となる。
なお、第4の実施形態の無線通信システムが、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)通信方式を用いるようにしてもよい。
この場合、第4の実施形態の基地局1cの受信デジタル信号処理部110cに、BPF136、137、及び、パケット復調部131に代えて端末5aのパケット復調部533aを、信号検出部138に代えて端末5aの信号検出部538aを備える。ただし、基地局1cに備えられたパケット復調部533aは、通過帯域情報を利用チャネル決定部112cから受信する。そして、利用チャネル決定部112cは、第2の実施形態の受信デジタル信号処理部510aと同様に、受信帯域(監視帯域)、及び、その受信帯域に応じたローカル信号の周波数を決定し、切替を行なう。
また、OFDM通信方式を用いる場合、第4の実施形態の基地局1cの受信デジタル信号処理部110cのBPF136、137、及び、パケット復調部131に代えて端末5aのパケット復調部533aを設けるとともに、信号検出部138に代えて端末5aの信号検出部538aを設け、さらに、ローカル信号制御部103、ローカル信号発生器104、及び、受信デジタル信号処理部110に変えて、端末5bのローカル信号制御部503b、ローカル信号発生器504−1、504−2、ローカル信号スイッチ514−1、514−2を設けるようにしてもよい。そして、利用チャネル決定部112cは、第3の実施形態の端末1bの受信設定部536aと同様に、受信帯域(監視帯域)、及び、その受信帯域に応じたローカル信号の周波数を決定し、切替を行なう。