JP2011176790A - 通信装置および通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のサブキャリアのうちの一部のサブキャリアを使用するときに、歪みの発生を低減するとともに、サブキャリアの配置を自由に設定可能な通信装置および通信方法を提供する。
【解決手段】マッピング部10で変調された信号に、サブキャリア配置部11で周波数帯域内の一部のサブキャリアを割当ててマルチキャリア信号を生成した後、振幅制限部14によって、マッピング部10における1次変調方式に応じて、マルチキャリア信号の振幅を制限する。そして第1周波数変換部17および増幅部18などを経て、アンテナ20からマルチキャリア信号を送信する。また振幅制限部14の前段にレベル調整部13を設けて、マルチキャリア信号のレベルを調整した後で、振幅制限部14によってマルチキャリア信号の振幅を制限する。
【選択図】図1

Description

本発明は、直交性を有する複数のサブキャリアが重畳されたマルチキャリア信号を用いて複数の通信相手装置と多元接続通信を行う通信装置および通信方法に関する。
次世代PHS(Personal Handyphone System)では、直交性を有する複数のサブキャリアが重畳されたマルチキャリア信号であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を用いたOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式によって、基地局装置は複数の通信端末装置と多元接続通信を行うことが可能となっている。次世代PHSシステムでは、900kHzの帯域幅を1単位(Physical Resource Unit;略称:PRU)として通信を行っている。
OFDMA方式の通信システムでは、複数のサブキャリアのうちの一部を使用して通信を行うことがある。たとえば、低速伝送ではあるが、周波数単位あたりの電力を大きくして通信可能なエリア(以下「通信エリア」という場合がある)を広げるために、複数のサブキャリアのうちの一部のサブキャリアを使用することがある。このとき、使用されるサブキャリアが、チャネル内における周波数軸上に連続して配置されずに、周波数軸上の2箇所に分かれて配置される場合がある。この場合、パワーアンプの性能によっては、サブキャリアが分かれて配置された2箇所の部分の信号の相互変調によって歪みが発生する。この相互変調による歪みを抑えるための技術が、たとえば特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示される技術では、周波数単位あたりの電力を大きくする場合に、周波数帯域の中央部のサブキャリアを選択することによって、相互変調による歪みの発生を抑え、歪みによるスプリアスが、隣接したチャネルに影響を与えないようにしている。
特開2009−10693号公報
特許文献1に開示される技術では、周波数帯域の中央部のサブキャリアを選択するので、サブキャリアの配置が制限される。したがって、特許文献1に開示される技術を適用できない場合がある。制御チャネル(Control Channel;略称:CCH)を周波数帯域の両端に配置する場合には、特許文献1に開示される技術を適用することができず、相互変調による歪みを抑制することができない。
また特許文献1に開示される技術では、変調方式については考慮されていない。相互変調による歪みを変調方式に応じて適切に抑制するためには、特許文献1に開示される技術には改良の余地がある。
したがって本発明の目的は、複数のサブキャリアのうちの一部のサブキャリアを使用するときに、歪みの発生を低減するとともに、サブキャリアの配置を自由に設定可能な通信装置および通信方法を提供することである。
本発明に係る通信装置は、所定の周波数帯域内に配置され、周波数成分が互いに直交する複数のサブキャリアを重畳して得られるマルチキャリア信号を用いて、複数の通信相手装置と通信を行う通信装置であって、前記通信相手装置に送信すべき信号を、予め定める変調方式で変調する変調手段と、前記変調手段によって変調された信号に、前記周波数帯域内の一部のサブキャリアを割当てて、割当てられたサブキャリアを重畳して得られるマルチキャリア信号を生成する生成手段と、前記変調手段における前記変調方式に応じて、前記生成手段によって生成されたマルチキャリア信号の振幅を制限する振幅制限手段と、前記振幅制限手段によって振幅が制限されたマルチキャリア信号を、前記通信相手装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
また本発明に係る通信装置の一態様では、前記振幅制限手段を制御する制御手段を備え、前記振幅制限手段は、前記マルチキャリア信号の振幅が、予め定める振幅制限値以下になるように、前記マルチキャリア信号の振幅を制限し、前記制御手段は、前記変調手段における変調方式に応じて前記振幅制限値を変更するように、前記振幅制限手段を制御することを特徴とする。
また本発明に係る通信装置の一態様では、前記生成手段によって生成された前記マルチキャリア信号のレベルを調整するレベル調整手段を備え、前記振幅制限手段は、前記レベル調整手段によってレベルが調整された前記マルチキャリア信号の振幅を制限することを特徴とする。
また本発明に係る通信装置の一態様では、前記振幅制限手段よりも後段であって前記送信手段よりも前段に設けられ、前記振幅制限手段によって振幅が制限されたマルチキャリア信号を増幅する増幅手段と、前記振幅制限手段よりも後段であって前記増幅手段よりも前段に設けられ、前記増幅手段によって生じる前記マルチキャリア信号の歪みを補償する歪み補償手段とを備えることを特徴とする。
また本発明に係る通信方法は、所定の周波数帯域内に配置され、周波数成分が互いに直交する複数のサブキャリアを重畳して得られるマルチキャリア信号を用いて、複数の通信相手装置と通信を行う通信方法であって、前記通信相手装置に送信するべき信号を、予め定める変調方式で変調する変調工程と、前記変調工程で変調された信号に、前記周波数帯域内の一部のサブキャリアを割当てて、割当てられたサブキャリアを重畳して得られるマルチキャリア信号を生成する生成工程と、前記変調工程における前記変調方式に応じて、前記生成工程で生成されたマルチキャリア信号の振幅を制限する振幅制限工程と、前記振幅制限工程で振幅が制限されたマルチキャリア信号を、前記通信相手装置に送信する送信工程とを備えることを特徴とする。
また本発明に係る通信方法の一態様では、前記振幅制限工程よりも後であって前記送信工程よりも前に設けられ、前記振幅制限工程で振幅が制限されたマルチキャリア信号を増幅する増幅工程と、前記振幅制限工程よりも後であって前記増幅工程よりも前に設けられ、前記増幅工程で生じる前記マルチキャリア信号の歪みを補償する歪み補償工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、相互変調による歪みを低減することができる。また、サブキャリアの配置を従来に比べて自由に設定することができる。
第1の実施の形態である通信装置1の構成を示すブロック図である。 通信装置1におけるフレームの構成を示す図である。 図2に示す各タイムスロットを構成する第1チャネルの構成を示す図である。 図3に示すサブチャネルのうちの1つのサブチャネルの構成を示す図である。 通信装置1におけるサブチャネルの配置を示す図である。 次世代PHSにおける基地局装置からの送信信号のスペクトラムの一例を示す図である。 通信チャネルにおけるサブチャネルの配置の一例を模式的に示す図である。 通信装置1における送信信号の送信条件の決定に関する処理手順を示すフローチャートである。 通信装置1における送信信号の送信条件の決定に関する処理手順を示すフローチャートである。 第2の実施の形態である通信装置1Aの構成を示すブロック図である。 VGA39の入出力特性の一例を示すグラフである。 VGA39の入出力特性およびその逆特性の一例を示すグラフである。 DPD処理部32で元信号71に歪み補正処理を施して得られる信号72を示す図である。 歪み補正処理が施された信号72をVGA39で増幅して得られる信号73を示す図である。 VGA39の入出力特性およびその逆特性の他の例を示すグラフである。 DPD処理部32で元信号71に歪み補正処理を施して得られる信号74を示す図である。 歪み補正処理が施された信号74をVGA39で増幅して得られる信号75を示す図である。 次世代PHSにおける基地局装置からの送信信号のスペクトラムの他の例を示す図である。 通信装置1Aにおける送信信号の送信条件の決定に関する処理手順を示すフローチャートである。 通信装置1Aにおける送信信号の送信条件の決定に関する処理手順を示すフローチャートである。 第3の実施の形態である通信装置1Bの構成を示すブロック図である。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態である通信装置1の構成を示すブロック図である。通信装置1は、次世代PHSに準拠した基地局装置であり、OFDMA方式で不図示の複数の通信端末装置と多元接続通信を行う。通信端末装置は、通信相手装置に相当する。通信装置1は、時間軸と周波数軸とからなる2次元で特定される無線リソースを複数の通信端末装置にそれぞれ個別に割当てることによって、複数の通信端末装置と同時に通信することが可能となっている。また通信装置1は、時間分割多元接続(Time Division Multiple Access;略称:TDMA)および時分割複信(Time Division Duplexing;略称:TDD)を用いた通信方式によって、複数の通信端末装置と通信を行う。
図2は、通信装置1におけるフレームの構成を示す図である。図2の紙面に向かって右方に延びる線は、時間軸を表す。図1に示す通信装置1を備える通信システムにおいて、フレームは、複数のタイムスロットが時間分割多重されることによって形成される。本実施の形態では、フレームは、図2に示すように、8つのタイムスロットの時間分割多重によって形成される。
8つのタイムスロットは、4つの上りタイムスロットおよび4つの下りタイムスロットを含んで構成される。本実施の形態では、4つの上りタイムスロットを「第1上りタイムスロット」、「第2上りタイムスロット」、「第3上りタイムスロット」および「第4上りタイムスロット」といい、4つの下りタイムスロットを「第1下りタイムスロット」、「第2下りタイムスロット」、「第3下りタイムスロット」および「第4下りタイムスロット」という。下りタイムスロットを「送信スロット」という場合がある。図2に示したフレームは、連続して繰り返される。
本実施の形態では、図2に示すように、8つのタイムスロットで構成されるフレームについて説明するが、フレームは、8つのタイムスロットによって構成される場合に限定されず、たとえば、4つのタイムスロットまたは16個のタイムスロットによって構成されてもよい。
また本実施の形態では、上りのタイムスロットおよび下りのタイムスロットの構成は同一であるとする。したがって、上りタイムスロットおよび下りタイムスロットのいずれかについてのみ説明を行う場合もあるが、他方のタイムスロットも同様の説明が有効である。図2に示されたフレームが複数個連続することによって、スーパーフレームが形成される。
図3は、図2に示す各タイムスロットを構成する第1チャネルの構成を示す図である。本実施の形態の通信装置1を含む通信システムは、30MHzの周波数帯域をシステム帯域として使用する。システム帯域は、複数、たとえば3つに分けられ、それぞれチャネルとして使用される。各チャネルを構成するチャネル帯域は、チャネル帯域同士がPRU単位で重なるように配置される。本実施の形態では、30MHzのシステム帯域を10MHzずつ3つに分けて、10MHzのチャネル帯域同士をPRU単位で重なるように配置している。
この3つのチャネル帯域で構成される3つのチャネルを、第1チャネル、第2チャネルおよび第3チャネルと呼ぶ。このうちの1つのチャネルである第1チャネルの構成を図3に示している。1つのチャネルを構成する10MHzのチャネル帯域には、図3に示すように「第1サブチャネル」から「第9サブチャネル」までの9つのサブチャネルが存在する。この9つのサブチャネルをまとめて、「第1チャネル」と呼ぶ。第2チャネルおよび第3チャネルも第1チャネルと同様に、9つのサブチャネルをまとめたものである。
図2に示す各タイムスロットは、「第1チャネル」、「第2チャネル」および「第3チャネル」の3つのチャネルの周波数多重によって形成され、各チャネルは、「第1サブチャネル」から「第9サブチャネル」までの9つのサブチャネルの周波数分割多重によって形成される。これらの9つのサブチャネルは、直交周波数分割多重されている。
各タイムスロットを構成する各チャネルが図3に示すように構成されているので、タイムスロットとサブチャネルとの組合せによって、チャネル(以下「通信チャネル」という場合がある)が特定される。また本実施の形態とは異なるが、図3に示すサブチャネルのうちの1つのサブチャネルに対応したフレームの構成を図2に示す構成としてもよい。1つのタイムスロットに配置されるチャネルの数は、3つでなくてもよく、サブチャネルの数は、9つでなくてもよい。
ここで、上りタイムスロットにおけるサブチャネルの割当てと、下りタイムスロットにおけるサブチャネルの割当てとは、同一であるものとする。また、スーパーフレームを単位にして、少なくとも1つの制御信号が割り当てられるものとする。たとえば、スーパーフレームに含まれる複数の下りタイムスロットのうち、1つのタイムスロットの1つのサブチャネルに制御信号が割り当てられる。上り回線も同様である。
図4は、図3に示すサブチャネルのうちの1つのサブチャネルの構成を示す図である。図4において、紙面に向かって右方に延びる線は時間軸を表し、紙面に向かって下方に延びる線は周波数軸を表す。図4では、周波数軸に対して、「1」から「29」の番号を付与しているが、これらは、サブキャリアの番号を示す。このようにサブチャネルは、複数のサブキャリアを重畳して得られるマルチキャリア信号、具体的にはOFDM信号によって構成されている。サブチャネルは、所定の周波数帯域を占めており、その所定の周波数帯域内に複数のサブキャリアが配置されている。複数のサブキャリアは、直交性を有しており、周波数成分が互いに直交している。
図4において、「TS」はトレーニングシンボルを表す。TSは、既知の値によって構成される。TS中には制御信号が含まれていてもよい。また「GS」はガードシンボルを表す。GSには、実質的な信号は配置されない。また「PS」は、パイロットシンボルを表す。PSは、既知の値によって構成される。また「DS」は、データシンボルを表す。DSは、送信すべきデータである。また「GT」は、ガードタイムを表す。GTには、実質的な信号は配置されない。
図5は、通信装置1におけるサブチャネルの配置を示す図である。図5において、紙面に向かって右方に延びる線は周波数軸を表す。図5では、図3に示したタイムスロットに対するスペクトルを示す。1つのタイムスロットには、図5に示す第1サブチャネルから第9サブチャネルまでの9個のサブチャネルが周波数分割多重されている。各サブチャネルは、マルチキャリア信号、本実施の形態ではOFDM信号によって構成されている。
図6は、次世代PHSにおける基地局装置からの送信信号のスペクトラムの一例を示す図である。図6において、横軸は周波数を示し、縦軸は信号強度を示す。図6に示すスペクトラムは、送信すべきデータを表す信号を、図3に示す1つのチャネルの一部のサブチャネルに配置させた場合のスペクトラムである。図6では、周波数軸上において、相対的に低い周波数の部分と、相対的に高い周波数の部分とに分かれて配置されるようにサブチャネルを使用した場合のスペクトラムを示す。図6において、相対的に低い周波数の部分を低周波数部分「P1」といい、相対的に高い周波数の部分を高周波数部分「P2」という。
図6に示すように、使用されるサブキャリアが、チャネル内における周波数軸上に連続して配置されずに、周波数軸上の2箇所に分かれて配置される場合、基地局装置の周波数変換部に含まれるミキサ、および増幅部などによって、低周波数部分「P1」と高周波数部分「P2」との間に相互変調が生じる。たとえば、低周波数部分「P1」に対応する周波数を「f(P1)」で表し、高周波数部分「P2」に対応する周波数を「f(P2)」で表すと、「2×f(P1)−f(P2)」および「2×f(P2)−f(P1)」の周波数の部分に相互変調の歪みが発生する。この相互変調による歪みは、スプリアスと呼ばれる。図6では、スプリアスを「P3」および「P4」で示す。スプリアスは、隣接したチャネルに影響を与えるので、低減することが求められる。
そこで本実施の形態の通信装置1は、スプリアスを低減させるために、後述するように送信信号の振幅制限を行うように構成されている。具体的には、通信装置1は、以下のように構成される。
通信装置1は、図1に示すように、N個のマッピング部、すなわち第1マッピング部10a、第2マッピング部10b、・・・、第N(Nは自然数)マッピング部10nと、サブキャリア配置部11と、逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform;略称:IFFT)部12と、レベル調整部13と、振幅制限部14と、直交変調部15と、デジタルアナログ(Digital/Analog;略称:D/A)変換部16と、第1周波数変換部17と、増幅部18と、送受信切替スイッチ19と、アンテナ20と、制御部21と、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier;略称:LNA)22と、第2周波数変換部23と、直交検波部24と、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;略称:FFT)部25と、特定部26と、計算部27と、記憶部28とを備えて構成される。以下の説明では、第1マッピング部10a〜第Nマッピング部10nのN個のマッピング部を「マッピング部10」と総称する場合がある。
マッピング部10には、送信すべきデータが与えられる。マッピング部10は、送信すべきデータのビット列をコンスタレーションに配置する。ここで、コンスタレーションは、予め規定された変調方式に相当し、たとえば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、256QAMなどに相当する。また、送信すべきデータのビット列は、シリアルの信号系列であり、コンスタレーションに配置された信号は、パラレルの信号系列である。コンスタレーションに配置された信号は、同相(In-phase)成分(以下「I成分」という)と、直交(Quadrature-Phase)成分(以下「Q成分」という)とを含む。マッピング部10は、コンスタレーションに配置した信号をサブキャリア配置部11に与える。
マッピング部10において、送信すべきデータのビット列をコンスタレーションに配置することは、1次変調を行うことに相当する。マッピング部10において、いずれの変調方式で1次変調されたかという情報、すなわちマッピング部10における1次変調方式に関する情報は、計算部27に与えられる。マッピング部10は変調手段に相当し、マッピング部10によって1次変調を行う工程は変調工程に相当する。
マッピング部10は、第1マッピング部10a〜第Nマッピング部10nのように複数備えられている。各マッピング部10は、上記の処理をユーザ単位に実行する。ユーザ単位とは、ユーザに使用されている通信端末装置単位を意味し、通信端末装置に含まれる受信装置単位であってもよい。ここでは、理解を容易にするために、1つの通信端末装置に対して、1つのサブチャネルを割り当てるものとする。したがって、マッピング部10の総数は9個であり、各マッピング部10は、各サブチャネルに対応する。
計算部27は、所定の周波数帯域内、たとえばチャネル内に配置された複数のサブチャネルのうち、通信に使用すべきサブチャネルを求める。本実施の形態では、計算部27は、マッピング部10から与えられる1次変調方式に関する情報に基づいて、マッピング部10における1次変調方式を特定し、特定した1次変調方式による通信端末装置に対する通信速度に応じて、通信に使用すべきサブチャネルを求める。
具体的には、マッピング部10における1次変調方式が、256QAMなどの通信速度が比較的高速の変調方式である場合、計算部27は、チャネルの周波数帯域の中央部に配置された一部のサブチャネルを、通信に使用すべきサブチャネルとして求める。サブチャネルは、前述の図4に示すように、チャネルの周波数帯域に含まれる複数のサブキャリアによって構成される。したがって、チャネルの周波数帯域の中央部に配置されたサブチャネルを選択することは、チャネルの周波数帯域の中央部のサブキャリアを選択することに相当する。
計算部27は、チャネルの周波数帯域の中央部に配置されたサブチャネルが使用中である場合、使用中でないサブチャネル、すなわち空いているサブチャネルの中から、周波数帯域の中央部に可能な限り近い部分に配置されたサブチャネルを、通信に使用すべきサブチャネルとして求める。計算部27は、マッピング部10における1次変調方式が、BPSK、QPSKなどの通信速度が比較的低速の変調方式である場合、空いているサブチャネルの中から、通信に使用すべきサブチャネルを求める。たとえば、通信に使用すべきサブチャネルの個数を求める。サブチャネルが使用中であるか否かは、後述する特定部26から与えられる特定結果に基づいて判断される。
また計算部27は、前述のようにして求めた、通信に使用すべきサブチャネル、たとえば通信に使用すべきサブチャネルの個数に応じて、アンテナ20から送信する送信信号の送信電力であるパワー値を決定し、決定したパワー値に対応するマルチキャリア信号のレベル(以下「信号レベル」という場合がある)を求め、レベル調整部13に与える。このように振幅制限部14の前段のレベル調整部13に与える信号レベルを求めるためにパワー値を決定することは、振幅制限部14における振幅制限分のパワー値を決定することに相当する。また計算部27は、マッピング部10における1次変調方式に応じて、後述する振幅制限部14で用いられる閾値である振幅制限値αを決定し、振幅制限部14に与える。
計算部27は、以上の処理をユーザ単位、本実施の形態ではサブチャネル単位に実行する。これは、マッピング部10単位の実行に相当する。計算部27は、求めた結果をサブキャリア配置部11に与える。本実施の形態では、マッピング部10単位に求めた結果がサブキャリア配置部11に与えられる。また計算部27は、マッピング部10から与えられる1次変調方式に関する情報を振幅制限部14に与える。
前述の図2に示すように、フレームは、複数のタイムスロットを含みながら、周期的に繰返されている。たとえば、通信装置1が第1下りタイムスロットにおいてマルチキャリア信号を送信する場合、過去のフレームにおける第1下りタイムスロットのタイミングにおいて、計算部27は、前述の処理を実行する。
サブキャリア配置部11は、計算部27から与えられる結果に基づいて、マッピング部10から与えられる信号をサブチャネルに配置させる。配置した結果は、前述の図3および図5に示すマルチキャリア信号になる。すなわち、マッピング部10から与えられる信号をサブチャネルに配置することは、マッピング部10から与えられる信号にサブキャリアを割り当てることに相当する。
サブキャリア配置部11においてサブチャネルに配置されたマルチキャリア信号は、周波数領域の信号である。サブキャリア配置部11は、周波数領域のマルチキャリア信号をOFDMシンボル単位でIFFT部12に与える。サブキャリア配置部11は生成手段に相当し、サブキャリア配置部11によって、マッピング部10から与えられる信号をサブチャネルに配置する工程は生成工程に相当する。
IFFT部12は、サブキャリア配置部11から与えられる周波数領域のマルチキャリア信号に対して、逆高速フーリエ変換を実行することによって、周波数領域のマルチキャリア信号を時間領域のマルチキャリア信号へ変換する。ここで、時間領域のマルチキャリア信号は、I成分とQ成分とを有する。IFFT部12は、時間領域のマルチキャリア信号をレベル調整部13に与える。
レベル調整部13は、IFFT部12から与えられる時間領域のマルチキャリア信号のレベルを調整して、調整後のマルチキャリア信号を振幅制限部14に与える。レベル調整部13は、たとえば乗算器を用いて、IFFT部12から与えられる時間領域のマルチキャリア信号に、予め定められた倍率を乗算することによって、マルチキャリア信号のレベルを調整し、それによって得たマルチキャリア信号を振幅制限部14に与える。レベル調整部13は、レベル調整手段に相当する。
より詳細には、レベル調整部13は、IFFT部12から与えられたマルチキャリア信号のレベルを調整することによってマルチキャリア信号の振幅を調整し、後段の直交変調部15から出力される出力信号の振幅を調整する。これによってレベル調整部13は、最終的にアンテナ20から送信される出力信号の送信電力、すなわちパワー値を調整する。レベル調整部13は、たとえば、アンテナ20から送信される出力信号の送信電力が10Wになるように、マルチキャリア信号のレベルを調整する。レベル調整部13で調整すべき信号レベルは、計算部27によって求められて与えられる。
レベル調整部13は、IFFT部12から与えられる時間領域のマルチキャリア信号のレベルを、前述のように乗算器によって調整してもよいし、シフトレジスタによって調整してもよい。また、レベル調整部13は、マルチキャリア信号のレベルではなく、サブキャリアのレベルを調整してもよい。サブキャリアのレベルを調整することによって、サブキャリアを重畳して得られるマルチキャリア信号のレベルを調整することができる。
振幅制限部14は、マッピング部10における1次変調方式に応じて、レベル調整部13から与えられるマルチキャリア信号の振幅を制限する。具体的には、振幅制限部14は、マッピング部10における1次変調方式が、BPSK、QPSKなどの通信速度が比較的低速の変調方式である場合、レベル調整部13から与えられるマルチキャリア信号の振幅を制限する。振幅制限部14は振幅制限手段に相当し、振幅制限部14によってマルチキャリア信号の振幅を制限する工程は振幅制限工程に相当する。
振幅制限部14は、マッピング部10における1次変調方式が、256QAMなどの通信速度が比較的高速の変調方式であり、計算部27において、チャネルの周波数帯域の中央部に配置された一部のサブチャネルが、通信に使用すべきサブチャネルとして求められた場合には、レベル調整部13から与えられるマルチキャリア信号を、振幅を制限せずにそのまま、直交変調部15に与える。
振幅を制限する場合、振幅制限部14は、レベル調整部13から与えられるマルチキャリア信号のI成分およびQ成分に基づいて、振幅の値√(I2+Q2)を求め、この振幅値が予め定める閾値(以下「振幅制限値」という場合がある)αを超えている(√(I2+Q2)>α)場合は、振幅値が振幅制限値αと同値(√(I2+Q2)=α)になるように、振幅を制限する。振幅制限値αは、計算部27において、マッピング部10における1次変調方式に応じて決定され、振幅制限部14に与えられる。
振幅制限部14によって振幅が制限された後のマルチキャリア信号は、不図示のデジタルフィルタ、具体的には有限インパルス応答(Finite Impulse Response;略称:FIR)フィルタに与えられる。FIRフィルタは、振幅制限部14から与えられるマルチキャリア信号から、振幅制限部14による振幅制限(以下「クリッピング」という場合がある)によって生じた不要なノイズを除去して直交変調部15に与える。
直交変調部15は、振幅制限部14から与えられる時間領域のマルチキャリア信号を直交変調する。つまり、直交変調部15は、ベースバンドのマルチキャリア信号を中間周波数のマルチキャリア信号に変換する。直交変調部15は、中間周波数のマルチキャリア信号をD/A変換部16に与える。D/A変換部16は、直交変調部15から与えられた中間周波数のマルチキャリア信号に対して、デジタル信号をアナログ信号に変換する処理をする。D/A変換部16は、アナログ信号に変換した中間周波数のマルチキャリア信号を第1周波数変換部17に与える。
第1周波数変換部17は、D/A変換部16から与えられた中間周波数のマルチキャリア信号を、無線周波数のマルチキャリア信号に周波数変換する。第1周波数変換部17には、図示しない局部発振器およびミキサが含まれており、ミキサは、局部発振器から出力される発振信号を用いることによって、中間周波数のマルチキャリア信号から無線周波数のマルチキャリア信号への周波数変換を行う。第1周波数変換部17は、無線周波数のマルチキャリア信号を増幅部18に与える。
増幅部18は、第1周波数変換部17から与えられた無線周波数のマルチキャリア信号を、予め定められた増幅率で増幅する。増幅部18は、増幅した無線周波数のマルチキャリア信号を、送受信切替スイッチ19を介して、アンテナ20に与える。
アンテナ20は、送受信切替スイッチ19を介して増幅部18から与えられる無線周波数のマルチキャリア信号を、他の通信端末装置に向けて送信する。振幅制限部14の後段から、送受信切替スイッチ19の前段までの構成、すなわち直交変調部15、D/A変換部16、第1周波数変換部17、増幅部18および送受信切替スイッチ19は、送信手段に相当する。また直交変調部15、D/A変換部16、第1周波数変換部17、増幅部18および送受信切替スイッチ19による処理工程は、送信工程に相当する。
またアンテナ20は、無線周波数のマルチキャリア信号を受信する。アンテナ20によって受信された無線周波数のマルチキャリア信号は、送受信切替スイッチ19を介して、LNA22に与えられる。アンテナ20において受信される無線周波数のマルチキャリア信号は、たとえば、不図示の他の基地局装置から送信されたマルチキャリア信号、または通信対象でない通信端末装置から送信されたマルチキャリア信号である。これらのマルチキャリア信号は、通信装置1を含んだ基地局装置が必要としないマルチキャリア信号に相当し、周囲の基地局装置において使用されるマルチキャリア信号である。このようなマルチキャリア信号の受信は、キャリアセンスに相当する。
アンテナ20は、通信装置1の通信対象の通信端末装置から応答信号、たとえば通信のエラー率を表す信号が送信された場合には、この応答信号を無線周波数のマルチキャリア信号として受信して、送受信切替スイッチ19を介してLNA22に与える。
制御部21は、通信装置1を構成する前述のマッピング部10、サブキャリア配置部11、IFFT部12、レベル調整部13、振幅制限部14、直交変調部15、D/A変換部16、第1周波数変換部17、増幅部18、送受信切替スイッチ19、アンテナ20、LNA22、第2周波数変換部23、直交検波部24、FFT部25、特定部26、計算部27および記憶部28を含むハードウェア資源を統括的に制御する。
LNA22は、アンテナ20で受信され、送受信切替スイッチ19を介して与えられる無線周波数のマルチキャリア信号を増幅し、増幅した無線周波数のマルチキャリア信号を第2周波数変換部23に与える。第2周波数変換部23は、LNA22から与えられた無線周波数のマルチキャリア信号を、中間周波数のマルチキャリア信号に周波数変換する。第2周波数変換部23は、中間周波数のマルチキャリア信号を直交検波部24に与える。
直交検波部24は、第2周波数変換部23から与えられる中間周波数のマルチキャリア信号を直交検波する。つまり、直交検波部24は、中間周波数のマルチキャリア信号をベースバンドのマルチキャリア信号に変換する。直交検波部24は、ベースバンドのマルチキャリア信号をFFT部25に与える。FFT部25は、ベースバンドのマルチキャリア信号に対して、高速フーリエ変換を実行することによって、時間領域のマルチキャリア信号を周波数領域のマルチキャリア信号へ変換する。FFT部25は、周波数領域のマルチキャリア信号を特定部26に与える。
特定部26は、FFT部25から与えられた周波数領域のマルチキャリア信号に基づいて、使用中のサブチャネルを特定する。特定部26は、FFT部25から与えられたマルチキャリア信号の信号強度をサブチャネル単位に測定し、信号強度が予め定める閾値よりも大きい場合に、そのサブチャネルを使用中のサブチャネルとして特定する。たとえば、特定部26は、第1チャネルの第1サブチャネルおよび第2サブチャネルの信号強度が閾値よりも大きい場合、第1サブチャネルと第2サブチャネルとを使用中のサブチャネルとして特定する。特定部26は、特定した結果を計算部27に与える。特定部26は、キャリアセンスの結果、マルチキャリア信号が受信されず、FFT部25から与えられなかった場合は、使用中のサブチャネルが無いことを特定し、その特定結果を計算部27に与える。
また特定部26は、通信装置1の通信対象の通信端末装置から応答信号、たとえば通信のエラー率を表す信号が送信された場合には、この応答信号として、FFT部25から与えられた周波数領域のマルチキャリア信号、具体的には応答信号に含まれるエラー率に基づいて、通信装置1から送信された送信信号が通信端末装置で受信できたか否かを判断する。特定部26は、送信信号が通信端末装置で受信できなかったと判断すると、その判断結果を計算部27に与える。
また特定部26は、送信信号がレベル調整部13による信号レベルの調整によってパワーを上げられてアンテナ20から送信された場合に、通信端末装置からの応答信号に基づいて、送信信号が通信端末装置で受信できたと判断すると、パワーが上昇して、通信エリアが広がったと判断し、その判断結果を制御部21に与える。また特定部26は、送信信号が通信端末装置で受信できなかったと判断すると、通信エリアが広がっていないと判断し、その判断結果を計算部27に与える。
計算部27は、特定部26から与えられる判断結果に基づいて、マッピング部10で使用すべき1次変調方式を求め、求めた1次変調方式をマッピング部10に与える。マッピング部10は、1次変調方式を、計算部27から与えられた1次変調方式に変更して、1次変調を行う。
記憶部28は、中間周波数帯のマルチキャリア信号において使用すべきサブチャネル、および第1周波数変換部17に含まれる局部発振器から出力される発振信号を予め記憶する。ここで、中間周波数帯のマルチキャリア信号において使用すべきサブチャネルとは、サブキャリア配置部11において配置されるサブチャネルの候補に相当する。
ベースバンドのマルチキャリア信号と中間周波数のマルチキャリア信号とは互いに対応付けられるので、サブキャリア配置部11におけるベースバンドのサブチャネルが特定されると、中間周波数のサブチャネルも特定される。
以上の通信装置1の構成は、ハードウェア的には、任意のコンピュータの中央演算処理装置(Central Processing Unit;略称:CPU)、メモリ、その他の大規模集積回路(Large Scale Integration;略称:LSI)で実現することができる。また通信装置1の構成は、ソフトウェア的には、メモリにロードされた通信機能の所定のプログラムなどによって実現されるが、図1ではそれらの連携によって実現される機能ブロックを示している。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによって実現することができる。
以上のように本実施の形態の通信装置1では、マッピング部10における1次変調方式に応じて振幅制限部14で振幅制限を行うので、複数のサブチャネルのうちの一部のサブチャネルを使用するときに、増幅部18などの送信回路の影響を抑えることができる。これによって、相互変調による歪みの発生を低減することができる。
本実施の形態のように振幅制限を行うと、OFDM信号の平均電力とピークとの比が小さくなる。したがって、理想変調信号と測定変調信号との位相ずれを理想変調信号で正規化したエラーベクトル振幅(Error Vector Magnitude;略称:EVM)は劣化することになる。EVMが許容値を超えると、通信が困難になる。したがって振幅制限は、EVMが許容値以下となる範囲内で行うことが必要である。EVMが許容値以下となる範囲内で振幅制限を行うために、振幅制限部14における振幅制限値(以下「クリッピング値」という場合がある)は、EVMの許容値に応じて決定される。EVMの許容値とクリッピング値との関係を表1に示す。表1では、クリッピング値を16進数と10進数とで表す。
Figure 2011176790
表1に示すように、EVMは、変調方式によって許容値が異なる。たとえば次世代PHSにおけるEVMの許容値は、表1に示すように、BPSKでは10%、QPSKでは8%、16QAMでは6%、64QAMでは4%、256QAMでは2%となっている。これらのEVMの許容値は、理想変調信号および測定変調信号の実効値である二乗平均平方根(Root Mean Square;略称rms)から求められる値を表す。
表1に示すように、たとえばBPSKでは、EVMの許容値が大きいので、クリッピング値を小さくして、振幅制限を大きくすることができ、送信電力もその分だけ大きくすることが可能となる。これに対し、高次QAMの変調方式、たとえば256QAMでは、EVMの許容値が小さいので、クリッピング値を大きくせざるを得ず、振幅制限を大きくすることができず、送信電力を大きくすることができない。
したがって本実施の形態では、EVMの許容値が比較的大きい変調方式、たとえばBPSK、QPSK、16QAMおよび64QAMの場合には、振幅制限部14による振幅制限を行い、EVMの許容値が比較的小さい高次QAMの変調方式、たとえば256QAMの場合には、振幅制限部14による振幅制限を行わないようにしている。高次QAMの変調方式の場合、必ずしも振幅制限を行わないようにする必要はなく、BPSK、QPSK、16QAMおよび64QAMなどのEVMの許容値が比較的大きい変調方式の場合に比べて少ない割合で振幅を制限してもよい。
このように本実施の形態では、変調方式毎に許容されるEVMの劣化までを考慮して、振幅制限を施すことによって、通信品質を確保しつつ、周波数あたりのパワー、すなわち送信電力を大きくして、相互変調による歪みを低減することができる。しかも、この歪みの低減は、サブチャネルの配置、より詳細にはサブキャリアの配置によらずに可能である。したがって本実施の形態の通信装置1では、サブチャネルの配置、より詳細にはサブキャリアの配置を、従来に比べて自由に設定することができる。
また本実施の形態では、高次QAMの変調方式、具体的には256QAMの場合は、EVMの劣化が許されないので、振幅制限を施さずに、周波数帯域の中央部に配置されるサブチャネルを使用することによって、周波数あたりのパワーを大きくしている。これによって、高次QAMの変調方式の場合にも、通信品質を確保しつつ、相互変調による歪みを低減することが可能となる。
図7は、通信チャネルにおけるサブチャネルの配置の一例を模式的に示す図である。図7では、システム帯域を4つの通信チャネル、すなわち第1〜第4通信チャネルfc0〜fc3に分けて、隣接する通信チャネル同士が重なっている場合を示している。図7において、横軸は、各通信チャネルfc0〜fc3の中心周波数(MHz)を示す。図7に示す例では、第1通信チャネルfc0の中心周波数は2600.1MHzであり、第2通信チャネルfc1の中心周波数は2605.5MHzであり、第3通信チャネルf2の中心周波数は2612.7MHzであり、第4通信チャネルfc3の中心周波数は2619.9MHzである。
各通信チャネルfc0〜fc3は、前述の図3に示す第1チャネルと同様に構成されており、図7に示すように、各通信チャネルfc0〜fc3には、それぞれサブチャネルが9個ずつある。図7において、各通信チャネルfc0〜fc3を表すブロック群の各ブロックは、サブチャネルを表す。図7では、ブロック内に記載した数字でサブチャネルを区別している。
第1通信チャネルfc0の第8サブチャネル、第2通信チャネルfc1の第1サブチャネル、第3通信チャネルfc2の第9サブチャネル、および第4通信チャネルfc3の第1サブチャネルは、主制御チャネル用サブチャネルである。第2通信チャネルfc1の第9サブチャネル、第3通信チャネルfc2の第1サブチャネル、および第4通信チャネルfc3の第9サブチャネルは、副制御チャネル用サブチャネルである。以下では、主制御チャネル用サブチャネルと副制御チャネル用サブチャネルとを合わせて、制御チャネル用サブチャネルという場合がある。
図7に示すように、周波数軸上で隣合う通信チャネルの制御チャネル用サブチャネル(以下「CCH用サブチャネル」という場合がある)は、周波数帯域が重なっている。具体的には、第1通信チャネルfc0の第8サブチャネルと第2通信チャネルfc1の第1サブチャネル、第2通信チャネルfc1の第9サブチャネルと第3通信チャネルfc2の第1サブチャネル、第3通信チャネルfc2の第9サブチャネルと第4通信チャネルfc3の第1サブチャネルは、それぞれ周波数帯域が重なっている。
このように周波数軸上で隣合う通信チャネルのCCH用サブチャネルを周波数帯域が重なるように配置している理由は、通信端末装置が基地局装置を探すときに、可能な限り短い時間で基地局装置を探すことができるようにするためである。たとえば、通信端末装置が第3通信チャネルfc2の周波数帯域で基地局装置を探す場合、図7に示すように隣合う通信チャネルのCCH用サブチャネルの周波数帯域が重なっていれば、通信端末装置は、第2通信チャネルfc1、第3通信チャネルfc2および第4通信チャネルfc3のいずれかにおいて、CCHを検出して、基地局装置を探すことができる。
仮にCCH用サブチャネルの周波数帯域が重なっていなければ、通信端末装置は、第1通信チャネルfc0、第2通信チャネルfc1、第3通信チャネルfc2のおよび第4通信チャネルfc3でそれぞれCCHを探すという、4つの工程を経ることになるので、遅延が生じる。
次世代PHSでは、図7に示すようにCCHを各通信チャネルfc0〜fc3の周波数帯域であるチャネル帯域の両端部に配置することができる。次世代PHSでは、30MHzのシステム帯域のうち、10MHzのチャネル帯域同士をPRU単位で重なるように配置しているので、CCHを各チャネル帯域の両端部に配置することによって、通信端末装置がCCHを検出しやすいようにすることができる。
このようにCCHをチャネル帯域の両端部に配置する場合、チャネル帯域の中央部に配置されるサブチャネルを使用して、前述の相互変調による歪みを低減することはできない。これに対し、本実施の形態の通信装置1では、前述のように振幅制限を施すことによって相互変調による歪みを低減するので、サブチャネルの配置、より詳細にはサブキャリアの配置によらずに、歪みを低減することができる。したがって、サブチャネルの配置、より詳細にはサブキャリアの配置を、従来に比べて自由に設定することができる。
図8および図9は、通信装置1における送信信号の送信条件の決定に関する処理手順を示すフローチャートである。送信信号の送信条件とは、たとえば、マッピング部10における1次変調方式、レベル調整部13における信号レベル、振幅制限部14における振幅制限値、通信に使用すべきサブチャネル、およびアンテナ20から送信される送信信号のパワー値である。図8および図9に示すフローチャートの各処理は、制御部21によって実行される。図8および図9に示すフローチャートの処理は、前述の図1に示すマッピング部10に、送信すべきデータが与えられると開始され、ステップa1に移行する。
ステップa1では、制御部21は、LNA22、第2周波数変換部23、直交検波部24およびFFT部25に指示して、キャリアセンスを実行する。LNA22、第2周波数変換部23、直交検波部24およびFFT部25は、制御部21から与えられる制御信号に基づいて、キャリアセンスを実行する。具体的には、制御部21は、LNA22、第2周波数変換部23、直交検波部24およびFFT部25によって、不図示の他の基地局装置から送信されたマルチキャリア信号、または通信対象でない通信端末装置から送信されたマルチキャリア信号などの、周囲の基地局装置で使用されるマルチキャリア信号を受信する動作を行う。キャリアセンスを実行した後は、ステップa2に移行する。
ステップa2では、制御部21は、特定部26に指示して、既に使用されているサブチャネルを特定する。特定部26は、制御部21の指示に従い、ステップa1のキャリアセンスの結果に基づいて、使用中のサブチャネルを特定する。ステップa1のキャリアセンスによってマルチキャリア信号が受信された場合、受信されたマルチキャリア信号が使用しているサブチャネルが、使用中のサブチャネルとして特定される。ステップa1のキャリアセンスによってマルチキャリア信号が受信されなかった場合、ステップa2では、使用中のサブチャネルが無いことが特定される。使用中のサブチャネルが特定されると、ステップa3に移行する。
ステップa3では、制御部21は、計算部27に指示して、ステップa2で特定されたサブチャネルを使用している通信チャネルが、制御チャネル(CCH)であるか否かを判断し、CCHであると判断した場合はステップa4に移行し、CCHではない、すなわちデータチャネルであると判断した場合は図9のステップa8に移行する。
ステップa4では、制御部21は、計算部27に指示して、チャネル帯域のCCHが使用していないサブチャネルの中から、使用すべきサブチャネルを決定する。計算部27は、制御部21からの指示に応じて、使用されていない、すなわち空いているサブチャネルの中から、使用すべきサブチャネルを求める。使用すべきサブチャネルが決定されると、ステップa5に移行する。
ステップa5では、制御部21は、計算部27に指示して、送信スロットにCCH以外の通信チャネル、すなわちデータチャネルが含まれるか否かを判断し、CCH以外の通信チャネルが含まれると判断した場合は、図8のステップa8に移行し、CCH以外の通信チャネルが含まれないと判断した場合は、ステップa6に移行する。
ステップa6では、制御部21は、計算部27に指示して、CCHの変調方式に基づいて、振幅制限値を決定する。振幅制限値が決定されると、ステップa7に移行する。
ステップa7では、制御部21は、計算部27に指示して、振幅制限分のパワー値を決定する。具体的には、計算部27は、ステップa4で、使用すべきサブチャネルとして決定したサブチャネルの数に応じて、アンテナ20から送信する送信信号の送信電力であるパワー値を決定する。このパワー値が、振幅制限分のパワー値に相当する。計算部27は、決定したパワー値に対応する信号レベルを求め、レベル調整部13に与える。振幅制限分のパワー値が決定されると、全ての処理手順を終了する。
図9のステップa8では、制御部21は、計算部27に指示して、マッピング部10から与えられる1次変調方式に関する情報に基づいて、マッピング部10における1次変調方式を特定する。1次変調方式が特定されると、ステップa9に移行する。
ステップa9では、制御部21は、計算部27に指示して、ステップa8で特定された1次変調方式が、通信速度が比較的高速の変調方式である高次QAM変調方式か否かを判断し、高次QAM変調方式であると判断した場合はステップa12に移行し、高次QAM変調方式ではないと判断した場合はステップa10に移行する。
ステップa10では、制御部21は、計算部27に指示して、ステップa8で特定された1次変調方式に基づいて振幅制限値を決定する。振幅制限値が決定されると、ステップa11に移行する。
ステップa11では、制御部21は、計算部27に指示して、振幅制限分のパワー値、および使用すべきサブチャネルを決定する。振幅制限分のパワー値およびサブチャネルが決定されると、ステップa16に移行する。
ステップa12では、制御部21は、計算部27に指示して、周波数帯域の中央部のサブチャネルが空いているか否か、すなわち使用中でないか否かを判断し、空いていると判断するとステップa13に移行し、空いていないと判断するとステップa14に移行する。
ステップa13では、制御部21は、計算部27に指示して、使用すべきサブチャネルを、周波数帯域の中央部のサブチャネルに決定し、ステップa15に移行する。
ステップa14では、制御部21は、計算部27に指示して、空いているサブチャネルの中から、使用すべきサブチャネルを決定し、ステップa15に移行する。ステップa14では、計算部27は、空いているサブチャネル、すなわち使用中でないサブチャネルの中から、周波数帯域の中央部に可能な限り近い部分に配置されたサブチャネルを、使用すべきサブチャネルとして決定する。
ステップa15では、制御部21は、計算部27に指示して、ステップa13またはステップa14において、使用すべきサブチャネルとして決定したサブチャネルに基づいて、パワー値を決定する。具体的には、計算部27は、ステップa13またはステップa14で、使用すべきサブチャネルとして決定したサブチャネルの数に応じて、アンテナ20から送信する送信信号の送信電力であるパワー値を高くするように決定する。計算部27は、決定したパワー値に対応する信号レベルを求め、レベル調整部13に与える。これによって、送信信号のパワーが上昇する。パワー値が決定されると、ステップa16に移行する。
ステップa16では、制御部21は、特定部26に指示して、ステップa11またはステップa15におけるパワー値の決定によって送信信号のパワーが上昇して、通信エリアが広がったか否かを判断し、通信エリアが広がったと判断した場合は全ての処理手順を終了し、通信エリアが広がっていないと判断した場合はステップa8に戻り、前述の処理を繰返し行う。
ステップa16において、通信エリアが広がっていないと判断してステップa8に戻った場合は、制御部21は、ステップa8において、計算部27に指示して、マッピング部10で使用すべき1次変調方式を変更し、マッピング部10に与える。そして制御部21は、マッピング部10に指示して、計算部27から与えられた1次変調方式で1次変調を行わせる。制御部21は、通信エリアを広げることができるように、1次変調方式を変更させる。
以上のように本実施の形態の通信装置1によれば、マッピング部10における1次変調方式に応じて、振幅制限部14によって信号の振幅を制限することによって、相互変調による歪みを低減するので、サブチャネルの配置、より詳細にはサブキャリアの配置によらずに、相互変調による歪みを低減することができる。たとえばチャネル帯域の両端部にCCHが配置される場合でも、振幅制限部14によって信号の振幅を制限することによって、相互変調による歪みを低減することができる。したがって、サブチャネルの配置、より詳細にはサブキャリアの配置を、従来に比べて自由に設定することができる。
また本実施の形態では、マッピング部10における1次変調方式が高次QAMの変調方式である場合には、振幅制限部14で振幅制限を施すのではなく、チャネルの周波数帯域の中央部に配置されるサブチャネルを使用することによって、相互変調による歪みを低減している。これによって、高次QAMの変調方式の場合に、振幅制限部14で振幅制限を施すことによって通信品質が低下することを回避することができる。したがって、高次QAMの変調方式の場合でも、通信品質を確保しつつ、相互変調による歪みを低減することができる。
また本実施の形態では、レベル調整部13でマルチキャリア信号のレベルを調整した後で、振幅制限部14で振幅を制限するので、アンテナ20から送信される送信信号の送信電力であるパワー値が、振幅制限部14における振幅制限によって下がってしまうことを防ぐことができる。これによって、通信エリアが狭くなってしまうことを防ぐことができる。
<第2の実施の形態>
図10は、第2の実施の形態である通信装置1Aの構成を示すブロック図である。本実施の形態の通信装置1Aは、前述の第1の実施の形態の通信装置1と構成が類似しているので、対応する部分については同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
通信装置1Aは、図10に示すように、マッピング部10Aと、シリアル/パラレル変換部31と、IFFT部12と、レベル調整部13と、振幅制限部14と、デジタル歪み補償(Digital Pre-Distortion;略称:DPD)処理部32と、直交変調部15と、D/A変換部16と、第1周波数変換部17と、可変利得増幅器(Variable Gain Amplifier;略称:VGA)39と、カプラ部40と、送受信切替スイッチ19と、アンテナ20と、制御部21と、第2周波数変換部41と、第1アナログ/デジタル(Analog/Digital;略称:A/D)変換部42と、第1直交検波部43と、LNA22と、第3周波数変換部44と、第2A/D変換部45と、第2直交検波部46と、FFT部25と、特定部26と、計算部27と、記憶部28とを備えて構成される。
マッピング部10Aには、送信すべきデータが与えられる。マッピング部10Aは、前述の第1の実施の形態におけるマッピング部10と同様に、送信すべきデータのビット列をコンスタレーションに配置する。送信すべきデータのビット列は、シリアルの信号系列であり、コンスタレーションに配置された信号は、パラレルの信号系列である。マッピング部10Aは、コンスタレーションに配置した信号をシリアル/パラレル変換部11に与える。
マッピング部10Aにおいて、送信すべきデータのビット列をコンスタレーションに配置することは、1次変調を行うことに相当する。マッピング部10Aにおいて、いずれの変調方式で1次変調されたかという情報、すなわちマッピング部10Aにおける1次変調方式に関する情報は、計算部27に与えられる。マッピング部10Aは変調手段に相当し、マッピング部10Aによって1次変調を行う工程は変調工程に相当する。
マッピング部10Aは、以上のコンスタレーションに配置する処理をユーザ単位、具体的にはサブチャネル単位に実行する。本実施の形態では、マッピング部10Aは1つであり、この1つのマッピング部10Aによって、コンスタレーションに配置する処理をユーザ単位に実行する。これに限定されず、第1の実施の形態と同様に、複数のマッピング部10a〜10nを設けて、各マッピング部10によって、コンスタレーションに配置する処理をユーザ単位に実行するように構成してもよい。
計算部27は、第1の実施の形態と同様に、所定の周波数帯域内、たとえばチャネル内に配置された複数のサブチャネルのうち、通信に使用すべきサブチャネルを求める。具体的には、計算部27は、マッピング部10Aから与えられる1次変調方式に関する情報に基づいて、マッピング部10Aにおける1次変調方式を特定し、特定した1次変調方式による通信端末装置に対する通信速度に応じて、通信に使用すべきサブチャネルを求める。
本実施の形態では、計算部27は、マッピング部10Aにおける1次変調方式が、256QAMなどの通信速度が比較的高速の変調方式である場合、使用中でないサブチャネル、すなわち空いているサブチャネルの中から、通信に使用すべきサブチャネルを求める。また計算部27は、マッピング部10Aにおける1次変調方式が、BPSK、QPSKなどの通信速度が比較的低速の変調方式である場合、通信に使用するサブチャネルに応じて、たとえば空いているサブチャネルの個数に応じて、アンテナ20から送信する送信信号の送信電力であるパワー値を決定し、決定したパワー値に対応するマルチキャリア信号のレベルである信号レベルを求め、レベル調整部13に与える。
このように振幅制限部14の前段のレベル調整部13に与える信号レベルを求めるためにパワー値を決定することは、振幅制限部14における振幅制限分のパワー値を決定することに相当する。また計算部27は、マッピング部10Aにおける1次変調方式に応じて、振幅制限部14で用いられる閾値である振幅制限値αを決定し、振幅制限部14に与える。
計算部27は、以上の処理をユーザ単位、本実施の形態ではサブチャネル単位に実行する。計算部27は、以上の処理で求めた結果をシリアル/パラレル変換部31に与える。本実施の形態では、サブチャネル単位に求めた結果がシリアル/パラレル変換部31に与えられる。また計算部27は、マッピング部10Aから与えられる1次変調方式に関する情報を振幅制限部14に与える。
前述の図2に示すように、フレームは、複数のタイムスロットを含みながら、周期的に繰返されている。したがって、たとえば、通信装置1Aが第1下りタイムスロットにおいてマルチキャリア信号を送信する場合、計算部27は、過去のフレームにおける第1下りタイムスロットのタイミングにおいて、前述の処理を実行する。
シリアル/パラレル変換部31は、計算部27から与えられる結果に基づいて、マッピング部10Aから与えられる信号をパラレル列に変換する。これによって、シリアル/パラレル変換部31は、マッピング部10Aから与えられる信号をサブチャネルに配置させる。配置した結果は、前述の図3および図5に示すマルチキャリア信号になる。すなわち、マッピング部10Aから与えられる信号をサブチャネルに配置することは、マッピング部10Aから与えられる信号にサブキャリアを割り当てることに相当する。
シリアル/パラレル変換部31においてパラレル列に変換されてサブチャネルに配置されたマルチキャリア信号は、周波数領域のマルチキャリア信号である。シリアル/パラレル変換部31は、この周波数領域のマルチキャリア信号をOFDMシンボル単位でIFFT部12に与える。シリアル/パラレル変換部31は生成手段に相当し、シリアル/パラレル変換部31によって、マッピング部10Aから与えられる信号をパラレル列に変換してサブチャネルに配置する工程は、生成工程に相当する。
IFFT部12は、シリアル/パラレル変換部31から与えられる周波数領域のマルチキャリア信号に対して、逆高速フーリエ変換を実行することによって、周波数領域のマルチキャリア信号を時間領域のマルチキャリア信号へ変換し、レベル調整部13に与える。時間領域のマルチキャリア信号は、複素信号であり、前述のように同相成分であるI成分と、直交成分であるQ成分とを含む。レベル調整部13は、前述の第1の実施の形態と同様に、IFFT部12から与えられる時間領域のマルチキャリア信号のレベルを調整して、調整後のマルチキャリア信号を振幅制限部14に与える。
振幅制限部14は、前述の第1の実施の形態と同様に、マッピング部10Aにおける1次変調方式に応じて、レベル調整部13から与えられるマルチキャリア信号の振幅を制限する。本実施の形態では、振幅制限部14は、後述するVGA39による増幅後の送信信号にクリッピングが生じないように、振幅を制限する。振幅制限部14は、マッピング部10Aにおける1次変調方式が、256QAMなどの通信速度が比較的高速の変調方式である場合には、EVMが劣化しないように、レベル調整部13から与えられるマルチキャリア信号を、振幅を制限せずに、DPD処理部32に与える。
振幅制限部14によって振幅が制限された後のマルチキャリア信号は、不図示のデジタルフィルタ、具体的にはFIRフィルタに与えられる。FIRフィルタは、振幅制限部14から与えられるマルチキャリア信号から、振幅制限部14による振幅制限によって生じた不要なノイズを除去してDPD処理部32に与える。
DPD処理部32は、振幅制限部14からFIRフィルタを介して与えられるマルチキャリア信号(以下「送信信号」という場合がある)に対して、後段のVGA39において生じる非線形の入出力特性を補償するために、VGA39の入出力特性と逆の特性を表す歪み補正値に基づいて補正する歪み補正処理を施す。これによって、DPD処理部32は、VGA39から出力される信号が、結果として線形性の入出力特性を示すように、VGA39によって生じる送信信号の歪みを補償する。DPD処理部32によって歪みが補償された送信信号は、直交変調部15に与えられる。DPD処理部32は歪み補償手段に相当し、DPD処理部32によって、振幅制限部14から与えられる送信信号に歪み補正処理を施して、VGA39によって生じる送信信号の歪みを補償する工程は、歪み補償工程に相当する。
DPD処理部32は、第1遅延部33と、包絡線演算部34と、第2遅延部35と、ルックアップテーブル(Look Up Table;略称:LUT)部36と、複素乗算部37と、テーブル更新部38とを備える。振幅制限部14からFIRフィルタを介して与えられるマルチキャリア信号は、第1遅延部33、包絡線演算部34および第2遅延部35にそれぞれ与えられる。
第1遅延部33は、振幅制限部14から与えられる送信信号を遅延して、複素乗算部37に与える。包絡線演算部34は、振幅制限部14から与えられる送信信号の振幅を算出する。具体的には、包絡線演算部34は、振幅制限部14から与えられる送信信号のI成分を2乗した値(I2)とQ成分を2乗した値(Q2)とを足し合わせた値の1/2乗((I2+Q21/2)を、振幅制限部14から与えられる送信信号の振幅として算出する。包絡線演算部34は、算出した振幅をLUT部36に与える。
第2遅延部35は、振幅制限部14から与えられる送信信号を遅延して、テーブル更新部38に与える。テーブル更新部38に与えられる送信信号は、ベースバンドのマルチキャリア信号(以下「ベースバンド信号」という場合がある)である。
LUT部36は、後段のVGA39で増幅された送信信号の歪みを補正するための歪み補正値が登録された歪み補正値テーブルをLUTとして記憶している。歪み補正テーブルでは、歪み補正値と送信信号の振幅とが一対一で対応付けられている。歪み補正テーブルにおいて、歪み補正値は、複素数で表されている。LUT部36は、包絡線演算部34から送信信号の振幅が与えられると、与えられた送信信号の振幅に対応する歪み補正値を選択し、複素乗算部37に与える。
複素乗算部37は、LUT部36から与えられる歪み補正値と、第1遅延部33から与えられる送信信号とを複素乗算することによって、送信信号の振幅および位相を補正する。第1遅延部33での送信信号に対する遅延量は、包絡線演算部34に送信信号が入力されてから、送信信号の振幅に対応する歪み補正値がLUT部36から複素乗算部37に与えられるまでの時間と一致するように設定される。これによって、複素乗算部37では、入力される送信信号の振幅および位相を、その送信信号の振幅に対応付けられた歪み補正値に基づいて調整することができる。したがって、VGA39から出力される送信信号の歪みを補正することができる。
テーブル更新部38は、後述する第1直交検波部43から与えられるベースバンド信号と、第2遅延部35から与えられる送信信号である送信時のベースバンド信号とを比較して、LUT部36に記憶されている歪み補正テーブルを更新する。VGA39の特性は、温度変化および経年変化を生じるので、歪み補正テーブルの歪み補正値は、通信装置1Aの温度が変化したり、通信装置1Aが長時間動作したりすると、適切でない値となることがある。そこで、本実施の形態の通信装置1Aでは、テーブル更新部38によって、第1直交検波部43から与えられるベースバンド信号、すなわちVGA39で増幅された後の送信信号と、第2遅延部35から与えられる送信時のベースバンド信号、すなわちVGA39で増幅される前の送信信号とを比較して、歪み補正テーブルを更新するようにしている。
テーブル更新部38は、具体的には、第1直交検波部43から与えられる増幅後の送信信号と、第2遅延部35から与えられる増幅前の送信信号とに基づいて、VGA39で増幅されて出力される送信信号の歪みを推定し、推定結果に基づいて、歪み補正テーブルを新たに作成する。そして、テーブル更新部38は、作成した歪み補正テーブルをLUT部36に与え、LUT部36に記憶される歪み補正テーブルを、新たに作成した歪み補正テーブルに更新させる。
直交変調部15は、DPD処理部32で歪みが補償されて与えられる時間領域のマルチキャリア信号を直交変調して、複素信号から実信号に変換する。つまり、直交変調部15は、ベースバンドのマルチキャリア信号を中間周波数のマルチキャリア信号に変換する。直交変調部15は、中間周波数のマルチキャリア信号をD/A変換部16に与える。D/A変換部16は、直交変調部15から与えられた中間周波数のマルチキャリア信号に対して、デジタル信号をアナログ信号に変換する処理をする。D/A変換部16は、アナログ信号に変換した中間周波数のマルチキャリア信号を第1周波数変換部17に与える。
第1周波数変換部17は、D/A変換部16から与えられた中間周波数のマルチキャリア信号を、無線周波数のマルチキャリア信号に周波数変換する。第1周波数変換部17には、図示しない局部発振器およびミキサが含まれている。ミキサは、局部発振器から出力される発振信号を用いることによって、中間周波数のマルチキャリア信号から無線周波数のマルチキャリア信号への周波数変換を行う。第1周波数変換部17は、得られた無線周波数のマルチキャリア信号をVGA39に与える。
VGA39は、第1周波数変換部17から与えられた送信信号である無線周波数のマルチキャリア信号を、予め定められた増幅率で増幅する。本実施の形態では、前述のように、DPD処理部32において、VGA39の非線形特性と逆の特性が与えられるので、VGA39から出力される送信信号の線形性は保たれる。VGA39は、レベル調整部13と連携して動作する。VGA39における増幅率は、変更可能であり、レベル調整部13によって調整される信号レベルに応じて変更される。VGA39は、増幅した無線周波数のマルチキャリア信号を、カプラ部40および送受信切替スイッチ19を介して、アンテナ20に与える。
カプラ部40は、VGA39から与えられた増幅後の送信信号を、送受信切替スイッチ19に与えるとともに、第2周波数変換部41にフィードバック信号として与える。第2周波数変換部41は、カプラ部40から与えられた無線周波数のマルチキャリア信号を、中間周波数のマルチキャリア信号に周波数変換する。第2周波数変換部41は、得られた中間周波数のマルチキャリア信号を第1A/D変換部42に与える。第1A/D変換部42は、第2周波数変換部41から与えられた中間周波数のマルチキャリア信号に対して、アナログ信号をデジタル信号に変換する処理をする。第1A/D変換部42は、デジタル信号に変換した中間周波数のマルチキャリア信号を第1直交検波部43に与える。
第1直交検波部43は、第1A/D変換部42から与えられるマルチキャリア信号を直交検波して、実信号から複素信号であるベースバンドのマルチキャリア信号、すなわちベースバンド信号に変換する。第1直交検波部43は、直交検波して得たベースバンド信号をDPD処理部32のテーブル更新部38に与える。
送受信切替スイッチ19は、カプラ部40から与えられる送信信号をアンテナ20から送信する送信動作と、アンテナ20で受信された受信信号をLNA22に与える受信動作とを切替える。送受信切替スイッチ19での切替動作は、制御部21によって制御される。
アンテナ20は、送受信切替スイッチ19を介してVGA39から与えられる送信信号である無線周波数のマルチキャリア信号を、他の通信端末装置に向けて送信する。振幅制限部14の後段から、送受信切替スイッチ19までの構成、すなわちDPD処理部32、直交変調部22、D/A変換部23、第1周波数変換部17、VGA39、カプラ部40および送受信切替スイッチ19は、送信手段に相当する。またDPD処理部32、直交変調部15、D/A変換部16、第1周波数変換部17、VGA39、カプラ部40および送受信切替スイッチ19による処理工程は、送信工程に相当する。
またアンテナ20は、無線周波数のマルチキャリア信号を受信する。アンテナ20によって受信された無線周波数のマルチキャリア信号である受信信号は、送受信切替スイッチ19を介して、LNA22に与えられる。アンテナ20において受信される無線周波数のマルチキャリア信号は、たとえば、不図示の他の基地局装置から送信されたマルチキャリア信号、または通信対象でない通信端末装置から送信されたマルチキャリア信号である。これらのマルチキャリア信号は、通信装置1Aで構成される基地局装置が必要としないマルチキャリア信号に相当し、周囲の基地局装置において使用されるマルチキャリア信号である。このようなマルチキャリア信号の受信は、キャリアセンスに相当する。
アンテナ20は、通信装置1Aの通信対象の通信端末装置から応答信号、たとえば通信のエラー率を表す信号が送信された場合には、この応答信号を無線周波数のマルチキャリア信号として受信して、送受信切替スイッチ19を介してLNA22に与える。
LNA22は、アンテナ20で受信され、送受信切替スイッチ19を介して与えられる無線周波数のマルチキャリア信号を増幅し、増幅した無線周波数のマルチキャリア信号を第3周波数変換部44に与える。第3周波数変換部44は、LNA22から与えられる無線周波数のマルチキャリア信号を、中間周波数のマルチキャリア信号に周波数変換する。第3周波数変換部44は、得られた中間周波数のマルチキャリア信号を第2A/D変換部45に与える。第2A/D変換部45は、第3周波数変換部44から与えられた中間周波数のマルチキャリア信号に対して、アナログ信号をデジタル信号に変換する処理をする。第2A/D変換部45は、デジタル信号に変換した中間周波数のマルチキャリア信号を第2直交検波部46に与える。
第2直交検波部46は、第2A/D変換部45から与えられるマルチキャリア信号を直交検波して、実信号から複素信号であるベースバンドのマルチキャリア信号に変換する。つまり、第2直交検波部46は、第2A/D変換部45から与えられるマルチキャリア信号を、IQ信号に分離したベースバンドのマルチキャリア信号に変換する。第2直交検波部46は、得られたベースバンドのマルチキャリア信号をFFT部25に与える。FFT部25は、第2直交検波部46から与えられたベースバンドのマルチキャリア信号に対して、高速フーリエ変換を実行することによって、時間領域のマルチキャリア信号を周波数領域のマルチキャリア信号へ変換する。FFT部25は、得られた周波数領域のマルチキャリア信号を特定部26に与える。
特定部26は、FFT部25から与えられた周波数領域のマルチキャリア信号に基づいて、使用中のサブチャネルを特定する。具体的には、特定部26は、FFT部25から与えられたマルチキャリア信号の信号強度をサブチャネル単位に測定し、得られた信号強度が、予め定める閾値よりも大きい場合に、そのサブチャネルを使用中のサブチャネルとして特定する。たとえば、特定部26は、第1チャネルの第1サブチャネルおよび第2サブチャネルの信号強度が閾値よりも大きい場合、第1サブチャネルと第2サブチャネルとを使用中のサブチャネルとして特定する。特定部26は、特定した結果を計算部27に与える。特定部26は、キャリアセンスの結果、マルチキャリア信号が受信されず、FFT部25から与えられなかった場合は、使用中のサブチャネルが無いことを特定し、その特定結果を計算部27に与える。
また特定部26は、通信装置1Aの通信対象の通信端末装置から応答信号が送信された場合には、この応答信号としてFFT部25から与えられた周波数領域のマルチキャリア信号に基づいて、通信装置1Aから送信された送信信号が通信端末装置で受信できたか否かを判断する。たとえば、応答信号が、通信のエラー率を表す信号である場合、特定部26は、応答信号に含まれるエラー率に基づいて、送信信号が通信端末装置で受信できたか否かを判断する。特定部26は、送信信号が通信端末装置で受信できなかったと判断すると、その判断結果を計算部27に与える。送信信号が通信端末装置で受信できたと判断された場合には、その判断結果は計算部27には与えられない。
また特定部26は、送信信号がレベル調整部13による信号レベルの調整によってパワーを上げられてアンテナ20から送信された場合に、通信端末装置からの応答信号に基づいて、送信信号が通信端末装置で受信できたと判断すると、パワーが上昇して通信エリアが広がったと判断し、その判断結果を制御部21に与える。また特定部26は、送信信号が通信端末装置で受信できなかったと判断すると、通信エリアが広がっていないと判断し、その判断結果を計算部27に与える。
計算部27は、特定部26から与えられる判断結果に基づいて、マッピング部10Aで使用すべき1次変調方式を求め、求めた1次変調方式をマッピング部10Aに与える。マッピング部10Aは、1次変調方式を、計算部27から与えられた1次変調方式に変更して、1次変調を行う。
記憶部28は、中間周波数帯のマルチキャリア信号において使用すべきサブチャネル、および第1周波数変換部17に含まれる局部発振器から出力される発振信号を予め記憶する。ここで、中間周波数帯のマルチキャリア信号において使用すべきサブチャネルとは、シリアル/パラレル変換部31において配置されるサブチャネルの候補に相当する。ベースバンドのマルチキャリア信号と中間周波数のマルチキャリア信号とは互いに対応付けられるので、シリアル/パラレル変換部31におけるベースバンドのサブチャネルが特定されると、中間周波数のサブチャネルも特定される。
制御部21は、通信装置1Aを構成する前述のマッピング部10A、シリアル/パラレル変換部31、IFFT部12、レベル調整部13、振幅制限部14、DPD処理部32、直交変調部15、D/A変換部16、第1周波数変換部17、VGA39、カプラ部40、送受信切替スイッチ19、アンテナ20、LNA22、第2周波数変換部41、第1A/D変換部42、第1直交検波部43、第3周波数変換部44、第2A/D変換部45、第2直交検波部46、FFT部25、特定部26、計算部27および記憶部28を含むハードウェア資源を統括的に制御する。
以上の通信装置1Aの構成は、ハードウェア的には、任意のコンピュータの中央演算処理装置(CPU)、メモリ、その他の大規模集積回路(LSI)で実現することができる。また通信装置1Aの構成は、ソフトウェア的には、メモリにロードされた通信機能の所定のプログラムなどによって実現されるが、図10ではそれらの連携によって実現される機能ブロックを示している。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによって実現することができる。
図11は、VGA39の入出力特性の一例を示すグラフである。参照符61で示される曲線は、VGA39の入出力特性を表し、参照符60で示される直線は、VGA39の理想的な入出力特性(以下「理想特性」という場合がある)を表す。図11では、VGA39の入出力特性のうち、振幅特性(AM−AM特性)を示す。図11において、横軸は、VGA39に入力される入力信号の振幅(以下「入力振幅」という場合がある)を示し、縦軸は、VGA39から出力される出力信号の振幅(以下「出力振幅」)という場合がある)を示す。
図11に示すように、VGA39の入出力特性61は、非線形特性となっており、理想特性60である線形特性にはならない。具体的には、VGA39の入出力特性61は、入力振幅が比較的小さい領域では、理想特性60のように線形性を示すが、入力振幅が大きくなってくると、非線形性を示すようになる。したがって、VGA39の入出力特性61が、理想特性60である線形特性からずれて非線形性を示す領域(以下「非線形領域」という場合がある)Aでは、入力信号の振幅に依存した非線形歪みが出力信号に生じる。具体的には、非線形領域Aに対応する出力信号の領域Bでは、入力振幅に対して、出力振幅が非線形的に小さくなる。以下、非線形歪みが生じた出力信号の領域Bを「歪み発生領域B」という場合がある。
このように、VGA39で増幅されて出力される信号には、VGA39の入出力特性に依存した歪みが発生する。この歪みによって、後述する図18に示すように、不要な周波数成分であるスプリアスSPが発生する場合がある。そこで、本実施の形態では、VGA39よりも前段にDPD処理部32を設けて、VGA39に入力される信号に予め歪み補正処理を施している。
図12は、VGA39の入出力特性およびその逆特性の一例を示すグラフである。図13は、DPD処理部32で元信号71に歪み補正処理を施して得られる信号72を示す図である。図14は、歪み補正処理が施された信号72をVGA39で増幅して得られる信号73を示す図である。図11と同様に、図12〜図14において、横軸は入力振幅を示し、縦軸は出力振幅を示す。図12および図13において参照符62で示される曲線は、VGA39の入出力特性61と逆の特性を表す。
DPD処理部32は、VGA39によって生じる歪みを予め把握しておき、信号に予め歪み補正処理を施すことによって、通信装置1Aの系全体の歪みを低減させる。具体的には、図13に示すように、非線形領域Aの元信号71に対して、歪み補正処理として、VGA39の入出力特性61の逆特性62を示す信号を加える処理を施す。これによって、歪み補正処理が施された領域(以下「歪み補正領域」という場合がある)Cでは、入力振幅に対して、出力振幅が非線形的に大きくなる。
このようにしてDPD処理部32で歪み補正処理が施された信号72がVGA39に入力されると、VGA39の入出力特性61によって、非線形領域Aに対応する歪み発生領域Bの出力信号に歪みが生じる。非線形領域Aは、歪み補正領域Cであり、DPD処理部32でVGA39の入出力特性61の逆特性62を示す信号が加えられている領域であるので、VGA39で増幅して得られる信号73は、結果として、図14に示すように、元信号71と同じ波形となる。
このようにDPD処理部32で予め歪み補正処理を施すことによって、VGA39によって生じる歪みを補償することができるので、元信号71と同じ波形で増幅された信号を、VGA39の出力信号として得ることができる。
図15は、VGA39の入出力特性およびその逆特性の他の例を示すグラフである。図16は、DPD処理部32で元信号71に歪み補正処理を施して得られる信号74を示す図である。図17は、歪み補正処理が施された信号74をVGA39で増幅して得られる信号75を示す図である。図11と同様に、図15〜図17において、横軸は入力振幅を示し、縦軸は出力振幅を示す。参照符63で示される曲線は、VGA39の入出力特性を表し、参照符64で示される曲線は、VGA39の入出力特性63と逆の特性を示す。
図15〜図17では、図12〜図14に示す場合に比べて、VGA39の出力の伸びが足らない、すなわち入力振幅が比較的小さい領域で出力振幅が飽和に達する場合を示す。この場合、VGA39の入出力特性63は、入力振幅が比較的小さい領域が飽和領域Fとなっている。VGA39の入出力特性63の逆特性64は、VGA39の入出力特性63の飽和領域Fに対応する領域である、入力振幅が比較的小さい領域が、飽和領域Dとなる。
ここで、図16に示すように、元信号71の振幅が、VGA39の逆特性64の飽和領域Dに達する場合を考える。この場合に、DPD処理部32で非線形領域Aの元信号71に、VGA39の入出力特性63の逆特性62を表す歪み補正値に基づいて歪み補正処理を施すと、出力が頭打ちになってしまう。つまり、逆特性62の飽和領域Dでは、同じ大きさの歪み補正値に基づいて歪み補正処理が施されるので、歪み補正領域Cのうち、逆特性62の飽和領域Dに対応する領域(以下「飽和補正領域」という場合がある)Eでは、入力信号の振幅の大きさが異なっていても、歪み補正処理を施した後に得られる信号74の振幅は同じ大きさになってしまう。
このような歪み補正処理を施した後の信号74がVGA39に入力されると、非線形領域Aに対応する歪み発生領域Bの出力信号には、VGA39の入出力特性63に応じた歪みが生じる。歪み補正処理を施した後の信号74の振幅は、VGA39の入出力特性63の飽和領域Fで頭打ちになっているので、VGA39で増幅して得られる信号75は、VGA39の逆特性64の飽和領域Dに対応する領域で、ピークの先端が切り取られた状態となる、いわゆるクリッピングCPが生じている。つまり、VGA39の逆特性64の飽和領域Dに対応する領域では、元信号71と同じピークは出力されないので、VGA39で増幅して得られる信号75は、元信号71と同じ波形にはならず、クリッピングCPが生じた状態となる。このクリッピングCPによって、スプリアスが増加してしまう場合がある。
図18は、次世代PHSにおける基地局装置からの送信信号のスペクトラムの他の例を示す図である。図18において、横軸は周波数を示し、縦軸は信号強度を示す。図18に示すスペクトラムは、送信すべきデータを表す信号を、前述の図3に示す1つのチャネルを構成する全てのサブチャネルに配置させた場合のスペクトラムである。図18に示す送信信号は、VGA39から出力される信号に相当する。前述の図11に示すように、VGA39の入出力特性63の非線形領域Aに信号が入力されると、出力信号も当然、非線形な特性で出力される。したがって、図18に破線で示すように、スペクトラムに歪みが生じ、信号に劣化が生じる。このようなVGA39などの増幅器の非線形性による歪みが、前述のスプリアスであり、「隣接チャネル漏洩電力」とも呼ばれる。スプリアスは、隣接したチャネルに影響を与えるので、低減することが求められる。
このスプリアスを低減する手段として、本実施の形態では前述のようにDPD処理部32を設けて歪み補正処理を施している。前述の図12〜図14に示すように、クリッピングCPが起こらない出力レベルでは、DPD処理部32による歪み補正処理によってスプリアスを充分に低減することが可能であるが、前述の図17に示すようにクリッピングCPが起こる出力レベルでは、クリッピングCPに起因して、スプリアスが増加してしまう場合がある。
サブキャリアの配置の自由度を高めるためには、チャネルを構成する周波数帯域内の可及的に広い範囲にわたって、スプリアスの発生を抑えるとともに、周波数単位あたりの送信電力、すなわちパワーを大きくすることが好ましい。そこで、本実施の形態では、チャネルを構成する周波数帯域内の可及的に広い範囲にわたって、スプリアスの発生を抑えるとともに、周波数単位あたりの送信電力を大きくすることができ、サブキャリアの配置の自由度を高めることが可能な通信装置および通信方法を提供することを目的として、前述のように振幅制限部14によって送信信号の振幅制限を行うようにしている。
図19および図20は、通信装置1Aにおける送信信号の送信条件の決定に関する処理手順を示すフローチャートである。送信信号の送信条件とは、たとえば、マッピング部10Aにおける1次変調方式、レベル調整部13における信号レベル、振幅制限部14における振幅制限値、通信に使用すべきサブチャネル、およびアンテナ20から送信される送信信号のパワー値である。図19および図20に示すフローチャートの各処理は、制御部21によって実行される。図19および図20に示すフローチャートの処理は、前述の図10に示すマッピング部10Aに、送信すべきデータが与えられると開始され、ステップb1に移行する。
ステップb1では、制御部21は、LNA22、第3周波数変換部44、第2A/D変換部45、第2直交検波部46およびFFT部25に指示して、キャリアセンスを実行する。LNA22、第3周波数変換部44、第2A/D変換部45、第2直交検波部46およびFFT部25は、制御部21から与えられる制御信号に基づいて、キャリアセンスを実行する。具体的には、制御部21は、LNA22、第3周波数変換部44、第2A/D変換部45、第2直交検波部46およびFFT部25によって、不図示の他の基地局装置から送信されたマルチキャリア信号、または通信対象でない通信端末装置から送信されたマルチキャリア信号などの、周囲の基地局装置で使用されるマルチキャリア信号を受信する動作を行う。キャリアセンスを実行した後は、ステップb2に移行する。
ステップb2では、制御部21は、特定部26に指示して、既に使用されているサブチャネルを特定する。特定部26は、制御部21の指示に従い、ステップb1のキャリアセンスの結果に基づいて、使用中のサブチャネルを特定する。ステップb1のキャリアセンスによってマルチキャリア信号が受信された場合、受信されたマルチキャリア信号が使用しているサブチャネルが、使用中のサブチャネルとして特定される。ステップb1のキャリアセンスによってマルチキャリア信号が受信されなかった場合、ステップb2では、使用中のサブチャネルが無いことが特定される。使用中のサブチャネルが特定されると、ステップb3に移行する。
ステップb3では、制御部21は、計算部27に指示して、ステップb2で特定されたサブチャネルを使用している通信チャネルが、制御チャネル(CCH)であるか否かを判断し、CCHであると判断した場合はステップb4に移行し、CCHではない、すなわちデータチャネルであると判断した場合は図20のステップb7に移行する。
ステップb4では、制御部21は、計算部27に指示して、送信スロットにCCH以外の通信チャネル、すなわちデータチャネルが含まれるか否かを判断し、CCH以外の通信チャネルが含まれると判断した場合は、図20のステップb7に移行し、CCH以外の通信チャネルが含まれないと判断した場合は、ステップb5に移行する。
ステップb5では、制御部21は、計算部27に指示して、CCHの変調方式に基づいて、振幅制限値を決定する。振幅制限値が決定されると、ステップb6に移行する。
ステップb6では、制御部21は、計算部27に指示して、振幅制限分のパワー値を決定する。具体的には、計算部27は、アンテナ20から送信する送信信号の送信電力であるパワー値を決定する。このパワー値が、振幅制限分のパワー値に相当する。計算部27は、決定したパワー値に対応する信号レベルを求め、レベル調整部13に与える。振幅制限分のパワー値が決定されると、全ての処理手順を終了する。
図20のステップb7では、制御部21は、計算部27に指示して、マッピング部10Aから与えられる1次変調方式に関する情報に基づいて、マッピング部10Aにおける1次変調方式を特定する。1次変調方式が特定されると、ステップb8に移行する。
ステップb8では、制御部21は、計算部27に指示して、ステップb7で特定された1次変調方式が、通信速度が比較的高速の変調方式である高次QAM変調方式か否かを判断し、高次QAM変調方式であると判断した場合はステップb11に移行し、高次QAM変調方式ではないと判断した場合はステップb9に移行する。
ステップb9では、制御部21は、計算部27に指示して、ステップb7で特定された1次変調方式に基づいて振幅制限値を決定する。振幅制限値が決定されると、ステップb10に移行する。
ステップb10では、制御部21は、計算部27に指示して、振幅制限分のパワー値、および使用すべきサブチャネルを決定する。振幅制限分のパワー値およびサブチャネルが決定されると、ステップb13に移行する。
ステップb11では、制御部21は、計算部27に指示して、空いているサブチャネルの中から、使用すべきサブチャネルを決定し、ステップb12に移行する。
ステップb12では、制御部21は、計算部27に指示して、ステップb11において、使用すべきサブチャネルとして決定したサブチャネルに基づいて、パワー値を決定する。具体的には、計算部27は、ステップb11で、使用すべきサブチャネルとして決定したサブチャネルの数に応じて、アンテナ20から送信する送信信号の送信電力であるパワー値を高くするように決定する。計算部27は、決定したパワー値に対応する信号レベルを求め、レベル調整部13に与える。これによって、送信信号のパワーが上昇する。パワー値が決定されると、ステップb13に移行する。
ステップb13では、制御部21は、特定部26に指示して、ステップb10またはステップb12におけるパワー値の決定によって送信信号のパワーが上昇して、通信エリアが広がったか否かを判断し、通信エリアが広がったと判断した場合は全ての処理手順を終了し、通信エリアが広がっていないと判断した場合はステップb7に戻り、前述の処理を繰返し行う。
ステップb13において、通信エリアが広がっていないと判断してステップb7に戻った場合は、制御部21は、ステップb7において、計算部27に指示して、マッピング部10Aで使用すべき1次変調方式を変更し、マッピング部10Aに与える。そして制御部21は、マッピング部10Aに指示して、計算部27から与えられた1次変調方式で1次変調を行わせる。制御部21は、通信エリアを広げることができるように、1次変調方式を変更させる。
以上のように本実施の形態の通信装置1Aでは、マッピング部10Aにおける1次変調方式に応じて、振幅制限部14で振幅制限を行う。これによって、VGA39による増幅に先立ってDPD処理部32で歪み補正処理する構成において、VGA39の線形性特性が不足している場合、すなわち入力レベルが比較的小さい領域で出力レベルが飽和してしまう場合に、送信回路を構成するVGA39などの影響を抑えることができる。これによって、VGA39による歪みの発生を低減することができる。
本実施の形態のように振幅制限を行うと、OFDM信号の平均電力とピークとの比が小さくなる。したがって、理想変調信号と測定変調信号との位相ずれを理想変調信号で正規化したエラーベクトル振幅(EVM)は劣化することになる。EVMが許容値を超えると、通信が困難になる。したがって振幅制限は、EVMが許容値以下となる範囲内で行うことが必要である。EVMが許容値以下となる範囲内で振幅制限を行うために、振幅制限部14における振幅制限値であるクリッピング値は、第1の実施の形態と同様に、EVMの許容値に応じて決定される。
EVMの許容値とクリッピング値との関係を表2および表3に示す。表2は、使用するサブチャネルが第9サブチャネルである場合のEVMの許容値とクリッピング値との関係を示す。表3は、使用するサブチャネルが第1サブチャネルである場合のEVMの許容値とクリッピング値との関係を示す。本実施の形態では、前述のようにVGA39はレベル調整部13と連携して動作されるので、表2および表3に示すように、使用するサブチャネルによって、振幅制限部14における振幅制限値であるクリッピング値を変えている。表2および表3では、前述の表1と同様に、クリッピング値を16進数と10進数とで表す。
Figure 2011176790
Figure 2011176790
表2および表3に示すように、EVMは、変調方式によって許容値が異なる。たとえばBPSKでは、EVMの許容値が比較的大きいので、クリッピング値を小さくして、振幅制限を大きくすることができ、送信電力もその分だけ大きくすることが可能となる。これに対し、高次QAMの変調方式、たとえば256QAMでは、EVMの許容値が比較的小さいので、クリッピング値を大きくせざるを得ず、振幅制限を大きくすることができず、送信電力を大きくすることができない。
したがって本実施の形態では、EVMの許容値が比較的大きい変調方式、たとえばBPSK、QPSK、16QAMおよび64QAMの場合には、振幅制限部14による振幅制限を行い、EVMの許容値が比較的小さい高次QAMの変調方式、たとえば256QAMの場合には、振幅制限部14による振幅制限を行わないようにしている。高次QAMの変調方式の場合、必ずしも振幅制限を行わないようにする必要はなく、BPSK、QPSK、16QAMおよび64QAMなどのEVMの許容値が比較的大きい変調方式の場合に比べて少ない割合で振幅を制限してもよい。
このように本実施の形態では、変調方式毎に許容されるEVMの劣化までを考慮して、振幅制限を施すので、通信品質を確保しつつ、周波数あたりのパワー、すなわち送信電力を大きくすることができる。また本実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、振幅制限後の送信信号をDPD処理部32で歪み補正処理して、VGA39で増幅するので、歪みの発生を抑えて、チャネルを構成する周波数帯域全体のパワー、すなわち送信電力を上げることができる。したがって、本実施の形態では、サブチャネルの配置、より詳細にはサブキャリアの配置を、第1の実施の形態に比べて、さらに自由に設定することができる。
<第3の実施の形態>
図21は、第3の実施の形態である通信装置1Bの構成を示すブロック図である。本実施の形態の通信装置1Bは、前述の第1の実施の形態の通信装置1および第2の実施の形態の通信装置1Aと構成が類似しているので、対応する部分については同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態の通信装置1Bは、前述の第2の実施の形態の通信装置1Aにおいて、VGA39に代えて、第1増幅部51、可変減衰器(Variable Attenuator;略称:VATT)52および第2増幅部53を備えること以外は、第2の実施の形態の通信装置1Aと同一の構成である。
第1増幅部51は、第1周波数変換部17に接続される。第1増幅部51、VATT52および第2増幅部53は、この順に、第1周波数変換部17の後段に設けられる。第2増幅部53は、カプラ部40に接続される。本実施の形態では、第1周波数変換部17は、周波数変換によって得られた無線周波数のマルチキャリア信号である送信信号を、第1増幅部51に与える。
第1増幅部51は、第1周波数変換部17から与えられる送信信号を、予め定められた増幅率で増幅し、増幅した送信信号をVATT52に与える。VATT52は、第1増幅部51から与えられる送信信号を、予め定められた減衰率で減衰し、減衰した送信信号を第2増幅部53に与える。第2増幅部53は、VATT52から与えられる送信信号を、予め定められた増幅率で増幅し、増幅した送信信号をカプラ部40に与える。カプラ部40は、第2増幅部53から与えられた増幅後の送信信号を、送受信切替スイッチ19に与えるとともに、第2周波数変換部41にフィードバック信号として与える。
VATT52は、レベル調整部13と連携して動作する。VATT52における減衰率は、変更可能であり、レベル調整部13によって調整される信号レベルに応じて変更される。VATT52の減衰率を変更することによって、第1増幅部51に与えられる送信信号を、目的とする増幅率で増幅して、第2増幅部53から出力することができる。すなわち第1増幅部51、VATT52および第2増幅部53は、第1の実施の形態におけるVGA39と同様の機能を発揮する。
本実施の形態では、DPD処理部32は、第1増幅部51、VATT52および第2増幅部53において生じる非線形の入出力特性を補償するために、振幅制限部14からFIRフィルタを介して与えられる送信信号に、第1増幅部51、VATT52および第2増幅部53を合わせた入出力特性と逆の特性を示す歪み補正値に基づいて歪み補正処理を施す。これによって、第2増幅部53から出力される送信信号の線形性を保つことができる。また本実施の形態においても、DPD処理部32の前段の振幅制限部14によって、マッピング部10Aにおける1次変調方式に応じて、振幅制限部14で振幅制限が行われる。
以上のように本実施の形態の通信装置1Bでは、第2の実施の形態の通信装置1Aと同様に、マッピング部10Aにおける1次変調方式に応じて、振幅制限部14で振幅制限を行うので、第1増幅部51、VATT52および第2増幅部53の線形性特性が不足している場合の歪みの発生を低減することができる。これによって、歪みの発生を抑えて、チャネルを構成する周波数帯域全体のパワーを上げることができる。したがって、サブチャネルの配置、より詳細にはサブキャリアの配置を、第1の実施の形態に比べて、さらに自由に設定することができる。
以上のように第1〜第3の実施の形態では、アンテナ20から送信される送信信号の送信電力に関わらず、振幅制限部14によって振幅を制限する場合の構成について説明したが、送信電力の大きさによっては、必ずしも振幅制限部14によって振幅を制限しなくてもよい。たとえば、送信電力が比較的大きい場合には、スプリアスが発生するので、スプリアスを低減するために、振幅制限部14によって送信信号の振幅を制限することが好ましい。送信電力が比較的小さい場合には、スプリアスは発生しないので、振幅制限部14によって送信信号の振幅を制限する必要はない。
したがって、送信電力が比較的大きい場合には、振幅制限部14によって送信信号の振幅を制限し、送信電力が比較的小さい場合には、振幅制限部14による送信信号の振幅の制限を行わないように構成してもよい。たとえば、送信電力が所定の基準値よりも大きい場合には、振幅制限部14によって送信信号の振幅を制限し、送信電力が所定の基準値未満である場合には、振幅制限部14による送信信号の振幅の制限を行わないように構成してもよい。
また第1〜第3の実施の形態では、通信装置1,1A,1Bを、次世代PHSにおける基地局装置に適用した場合について説明したが、通信装置1,1A,1Bは、OFDM信号を用いたOFDMA方式によって通信端末装置と通信可能であればよく、次世代PHSに限らず、たとえばWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)またはLTE(Long Term Evolution)における基地局装置に適用されてもよい。
1,1A,1B 通信装置
10,10A マッピング部
11 サブキャリア配置部
12 IFFT部
13 レベル調整部
14 振幅制限部
15 直交変調部
16 D/A変換部
17 第1周波数変換部
18 増幅部
19 送受信切替スイッチ
20 アンテナ
21 制御部
22 LNA
23,41 第2周波数変換部
24 直交検波部
25 FFT部
26 特定部
27 計算部
28 記憶部
31 シリアル/パラレル変換部
32 DPD処理部
39 可変利得増幅器(VGA)
40 カプラ部
42 第1A/D変換部
43 第1直交検波部
44 第3周波数変換部
45 第2A/D変換部
46 第2直交検波部
51 第1増幅部
52 可変減衰器(VATT)
53 第2増幅部

Claims (6)

  1. 所定の周波数帯域内に配置され、周波数成分が互いに直交する複数のサブキャリアを重畳して得られるマルチキャリア信号を用いて、複数の通信相手装置と通信を行う通信装置であって、
    前記通信相手装置に送信すべき信号を、予め定める変調方式で変調する変調手段と、
    前記変調手段によって変調された信号に、前記周波数帯域内の一部のサブキャリアを割当てて、割当てられたサブキャリアを重畳して得られるマルチキャリア信号を生成する生成手段と、
    前記変調手段における前記変調方式に応じて、前記生成手段によって生成されたマルチキャリア信号の振幅を制限する振幅制限手段と、
    前記振幅制限手段によって振幅が制限されたマルチキャリア信号を、前記通信相手装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とする通信装置。
  2. 前記振幅制限手段を制御する制御手段を備え、
    前記振幅制限手段は、前記マルチキャリア信号の振幅が、予め定める振幅制限値以下になるように、前記マルチキャリア信号の振幅を制限し、
    前記制御手段は、前記変調手段における変調方式に応じて前記振幅制限値を変更するように、前記振幅制限手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  3. 前記生成手段によって生成された前記マルチキャリア信号のレベルを調整するレベル調整手段を備え、
    前記振幅制限手段は、前記レベル調整手段によってレベルが調整された前記マルチキャリア信号の振幅を制限することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
  4. 前記振幅制限手段よりも後段であって前記送信手段よりも前段に設けられ、前記振幅制限手段によって振幅が制限されたマルチキャリア信号を増幅する増幅手段と、
    前記振幅制限手段よりも後段であって前記増幅手段よりも前段に設けられ、前記増幅手段によって生じる前記マルチキャリア信号の歪みを補償する歪み補償手段とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の通信装置。
  5. 所定の周波数帯域内に配置され、周波数成分が互いに直交する複数のサブキャリアを重畳して得られるマルチキャリア信号を用いて、複数の通信相手装置と通信を行う通信方法であって、
    前記通信相手装置に送信するべき信号を、予め定める変調方式で変調する変調工程と、
    前記変調工程で変調された信号に、前記周波数帯域内の一部のサブキャリアを割当てて、割当てられたサブキャリアを重畳して得られるマルチキャリア信号を生成する生成工程と、
    前記変調工程における前記変調方式に応じて、前記生成工程で生成されたマルチキャリア信号の振幅を制限する振幅制限工程と、
    前記振幅制限工程で振幅が制限されたマルチキャリア信号を、前記通信相手装置に送信する送信工程とを備えることを特徴とする通信方法。
  6. 前記振幅制限工程よりも後であって前記送信工程よりも前に設けられ、前記振幅制限工程で振幅が制限されたマルチキャリア信号を増幅する増幅工程と、
    前記振幅制限工程よりも後であって前記増幅工程よりも前に設けられ、前記増幅工程で生じる前記マルチキャリア信号の歪みを補償する歪み補償工程とを備えることを特徴とする請求項5に記載の通信方法。
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