JP2011173575A - 電動車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ユーザの要望により後付け可能なオプションとしてグリップヒータ30a及びシートヒータ36aが追加される場合、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aの作動によってこれらヒータの電力供給源となるバッテリ16の蓄電量が不足するおそれがあること。
【解決手段】グリップヒータ30a及びシートヒータ36aの電力供給源を風力発電機18とする。こうした構成において、車輪速センサ60の出力値から算出される車両の走行速度と、外気温センサ62の出力値から算出される外気温度とに基づき、グリップ温度センサ54に基づき算出されるグリップヒータ30aの温度(グリップ温度)及びシート温度センサ56の出力値に基づき算出されるシートヒータ36aの温度(シート温度)の目標値を算出する。そしてグリップ温度及びシート温度を上記目標値に制御する。
【選択図】 図3
【解決手段】グリップヒータ30a及びシートヒータ36aの電力供給源を風力発電機18とする。こうした構成において、車輪速センサ60の出力値から算出される車両の走行速度と、外気温センサ62の出力値から算出される外気温度とに基づき、グリップ温度センサ54に基づき算出されるグリップヒータ30aの温度(グリップ温度)及びシート温度センサ56の出力値に基づき算出されるシートヒータ36aの温度(シート温度)の目標値を算出する。そしてグリップ温度及びシート温度を上記目標値に制御する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、車両の走行動力源となる回転電機と、該回転電機に給電する蓄電池と、ユーザと接触する車載部品を加熱するためのヒータとを備える電動車両に適用される電動車両の制御装置に関する。
従来、下記特許文献1に見られるように、車載蓄電池と、この蓄電池から給電されて車両の走行動力源となるモータとを備える電動2輪車両が知られている。
ところで、上記車両には、ユーザの要望により後付け可能なオプションとして、下記特許文献2に見られるようなヒータ(グリップヒータ)が設けられることがある。上記ヒータは、蓄電池から給電されて加熱される。これにより、冬期等、外気温度が低い場合にユーザの快適性を向上させることが可能となる。
ここで上記電動車両においては、ヒータの電力供給源が蓄電池のみとなる。このため、オプションとしてヒータが追加されると、ヒータに給電されることで蓄電池の蓄電量が不足することがある。この場合、車両の走行動力源となる回転電機への給電量が不足することで、電動車両の航続距離が想定したものよりも短くなる等、ユーザの希望する車両の走行を適切に実現することができなくなるおそれがある。ここでヒータへの給電に伴う蓄電池の蓄電量が不足する事態を回避すべく、電動車両の設計段階においてヒータがオプションとして追加される場合を想定し、ヒータの最大消費電力に見合った蓄電池の搭載数や容量を決定することも考えられる。しかしながら、車両の搭載スペースの制約によって蓄電池の搭載数が制約されたり、蓄電池の容量を大きくすることでコストが増大したりすることが懸念される。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蓄電池の蓄電量が不足することによって、ユーザの希望する車両走行を適切に実現できなくなる事態の発生を好適に抑制することのできる電動車両の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、車両の走行動力源となる回転電機と、該回転電機に給電する蓄電池と、ユーザと接触する車載部品を加熱するためのヒータとを備える電動車両に適用され、前記車両には、前記車両の走行に伴い生じる風力によって発電する風力発電機が備えられ、前記風力発電機の発電電力を前記ヒータに供給することで前記車載部品を加熱させる制御手段を備えることを特徴とする。
上記発明では、車載部品を加熱するヒータの電力供給源を風力発電機とするため、ヒータへの給電に伴い蓄電池の蓄電量が低下しない。これにより、蓄電池の蓄電量が不足することによって、ユーザの希望する車両走行を適切に実現できなくなる事態の発生を好適に抑制することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記ヒータの温度の目標値として設定可能な上限値を、前記風力発電機によって発電可能な電力が大きいほど高くすることを特徴とする。
車両の走行速度が高くなると、走行に伴いユーザに吹き付けられる風が強くなり、ユーザの体感温度が低くなる。このため、車両の走行速度が高い状況下においてヒータの温度を高く設定することで、ユーザの快適性を向上させることが可能となる。ただしこの場合、ヒータの消費電力が増大する。ここで車両の走行速度が高くなると、走行に伴い風力発電機に供給される風量が多くなり、ヒータへの電力供給源となる風力発電機の発電可能な電力が増大する。この点に鑑み、上記発明では、ヒータの温度の目標値(目標温度)として設定可能な上限値を、風力発電機の発電可能な電力が大きいほど高くする。これにより、車両の走行速度が高くなる等、ユーザの体感温度が低くなる状況下においてヒータの温度を高く設定することが可能となり、ひいてはユーザの快適性を向上させることができる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記制御手段は、前記ヒータの温度を前記目標値に制御し、前記車両の走行速度が高いほど前記目標値を高く設定することを特徴とする。
上記発明では、車両の走行速度が高いほど、目標温度を高く設定する。これにより、車両の走行状態に応じてヒータの温度を調節することができ、ひいてはユーザの快適性をより好適に向上させることができる。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記制御手段は、前記ヒータの温度を前記目標値に制御し、ユーザによって指示される前記車両の要求トルクが大きいほど前記目標値を高く設定することを特徴とする。
一般に、ユーザによって指示される車両の要求トルクが大きくなると、車両の力行に用いられる回転電機の生成トルクが増大するため、車両の走行速度が高くなる傾向にある。車両の走行速度が高くなると、走行に伴い風力発電機に供給される風量が多くなり、風力発電機の発電可能とする電力が増大する。この点に鑑み、上記発明では、上記要求トルクが大きいほど、目標温度を高く設定する。これにより、車両の走行状態に応じてヒータの温度を調節することができ、ひいてはユーザの快適性をより好適に向上させることができる。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記制御手段は、前記ヒータの温度をその目標値に制御し、外気温度が高いほど前記目標値を低く設定することを特徴とする。
外気温度が高くなるとユーザの体感温度が高くなるため、ユーザがヒータ温度の上昇を望まないと考えられる。この点に鑑み、上記発明では、外気温度が高いほどヒータの温度の目標値(目標温度)を低く設定する。これにより、ユーザの快適性を適切に維持することができる。
請求項6記載の発明は、請求項3〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記制御手段は、前記ヒータの温度が前記目標値以上となる場合、前記ヒータへの給電を停止させ、前記風力発電機の発電電力によって前記蓄電池を充電することを特徴とする。
上記発明では、ヒータへの給電が停止される場合に風力発電機の発電電力を蓄電池に充電することで、蓄電池の蓄電量を増大させる。これにより、ユーザの希望する車両走行を適切に実現することなどができる。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記制御手段は、外気温度が規定温度を上回る場合、前記ヒータへの給電を停止させることを特徴とする。
外気温度が高いと、ユーザの体感温度が高くなるため、ユーザがヒータの作動を希望しないと考えられる。この点に鑑み、上記発明では、上記態様にてヒータへの給電を停止させることで、ユーザの快適性を適切に維持することができる。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記風力発電機は、前記車両の走行に伴い該車両に吹き付けられる風を導入する送風通路と、該送風通路に導入された風によって回転する回転体とを備えて構成されるものであって且つ、前記回転体の回転によって発電するものであり、前記送風通路は、該送風通路の通路面積が前記回転体に近づくほど小さくされる状態を維持しつつ該通路面積を可変とする機構を備えるものであり、前記車両には、前記機構を操作するためのアクチュエータが更に備えられ、前記制御手段は、前記車両の走行速度が高いほど、前記送風通路の通路面積を小さくするように前記アクチュエータを操作することを特徴とする。
車両の走行速度が高くなると、走行に伴い送風通路に吹き付けられる風による空気抵抗が増大することで、同一の走行速度で走行するために要する回転電機の生成トルクが増大し、蓄電池の蓄電量の低下度合いが増大するおそれがある。また、車両の走行速度が高くなると、回転体に供給される風量が過度に多くなることで、回転体の回転速度が過度に高くなることに起因して風力発電機の信頼性が低下するおそれもある。この点、上記発明では、車両の走行速度が高い状況下において上記アクチュエータの操作により送風通路の通路面積を小さくすることで、空気抵抗が増大したり、風力発電機の信頼性が低下したりする事態の発生を極力抑制することができる。
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明において、前記車載部品を加熱するためのヒータとは、グリップヒータ及びシートヒータのうち少なくとも一方であることを特徴とする。
上記発明では、グリップヒータやシートヒータによってユーザの快適性を好適に向上させることができる。
以下、本発明にかかる制御装置を、走行動力源として回転電機を備える電動2輪車両(電動バイク)に適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に本実施形態にかかる電動2輪車両の全体構成を示す。
図1(a)に示すように、電動2輪車両10は、車体フレーム、前輪(操舵輪12)、後輪(駆動輪14)、バッテリ16、風力発電機18及び駆動装置20等を備えて構成されている。車体フレームは、メインフレーム22m、サイドフレーム22s及びリアフレーム22r等を備えて構成されている。詳しくは、メインフレーム22mの一端には、ヘッドパイプ24が接続され、ヘッドパイプ24には、操舵軸26が回転自在に設けられている。操舵軸26の一端には、フロントフォーク28を介して操舵輪12が設けられている。一方、操舵軸26の他端には、操舵部材であるハンドル29が接続されている。そしてハンドル29の両端には、グリップ30がそれぞれ設けられている。ここでグリップ30の内部には、バッテリ16からの給電によってグリップ30を加熱するグリップヒータ30aが設けられている。グリップヒータ30aは、冬期等、外気温度が低い場合にユーザの手を暖めて、ユーザの快適性を向上させるために設けられるものである。なお、グリップ30の一方は、ユーザが車両要求トルクを指示するアクセルグリップとなっている。また、上記ヘッドパイプ24の車両前方側及び車両後方側には、フロントカバー32及びレッグシールド34がヘッドパイプ24を囲むように設けられている。
上記メインフレーム22mの他端には、サイドフレーム22sを介してリアフレーム22rが接続されている。リアフレーム22rの上方には、シート36が設けられている。ここでシート36内部には、バッテリ16からの給電によってシート36を加熱するシートヒータ36aが設けられている。シートヒータ36aは、上記グリップヒータ30aと同様に、ユーザの快適性を向上させるために設けられるものである。
上記サイドフレーム22sの下方には、バッテリ収容室38が形成されている。バッテリ収容室38には、バッテリ16及び風力発電機18が設けられている。ここでバッテリ16は、複数の蓄電池(例えば鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウム電池等)の直列接続体からなるものである。また、風力発電機18は、筒状の送風通路18a、回転体(風車18b)及び発電機(交流発電機18c)等を備えて構成されており、車両の走行に伴い生じる風力によって発電するものである。詳しくは、バッテリ収容室38の車両前方側には、走行に伴い車両に吹き付けられる風(走行風)を導入可能な開口部が形成されており、送風通路18aは、その軸方向を走行方向とすることで走行風を導入可能なように設けられている(図1(b)に走行方向に直交する断面図を示す)。そして送風通路18aに導入された風によって風車18bが回転することで交流発電機18cが発電する。具体的には、車両の走行速度が高いほど、送風通路18aに導入される風の速度が高くなることで、風車18bの回転速度が高くなり、交流発電機18cの発電電力が増大する。
上記送風通路18aの通路形状は、図2に示すように、この通路の通路面積が風車18bに近づくほど(走行方向後方ほど)小さくなるように決定されている。これは、風力発電機18の発電可能な電力を増大させるためである。つまり、送風通路18aにおいて、走行風の導入部付近の通路面積Ainよりも風車18b付近の通路面積Aoutが小さいため、上記導入部付近よりも風車18b付近の風速が上昇することで風車18bの回転速度が上昇し、上記発電可能な電力が増大する。これにより、例えば車両の走行速度が低い場合であっても風力発電機の発電可能な電力の低下を極力抑制することが可能となる。ここで本実施形態では、風車18bに近づくほど送風通路18aの通路面積が小さくされる状態を維持しつつ上記通路面積を可変とする機構が送風通路18aに備えられている。そして上記機構がアクチュエータ(通路用アクチュエータ18d)によって操作されることで、上記風車18b付近の通路面積Aoutを維持しつつ上記導入部付近の通路面積Ainが調節される。具体的には、上記機構は、送風通路18aの内径が調節されることによって送風通路18aの通路面積を可変とするものである。これにより、通路用アクチュエータ18dの操作によって上記内径が調節されることで送風通路18aの通路面積が調節される。
次に、図3を用いて、本実施形態にかかる車載機器のシステム構成について説明する。
図3に、本実施形態にかかるシステム構成図を示す。
図示されるように、駆動装置20は、発電機兼電動機であるモータジェネレータ40及び変速装置42等を備えて構成されている。モータジェネレータ40は、バッテリ16を電力供給源として駆動輪14を駆動するための電動機の機能と、車両の減速時において車両の運動エネルギを電気エネルギに変換し、変換された電気エネルギによってバッテリ16を充電するための発電機の機能とを有するものである。詳しくは、モータジェネレータ40の生成トルクは、変速装置42を介して駆動輪14へと伝達される。なお、変速装置42に備えられるアクチュエータ(変速用アクチュエータ42a)が操作されることで変速装置42の変速比が定まる。そしてモータジェネレータ40の回転速度は、上記変速比に従った駆動輪14の回転速度に変換される。
上記風力発電機18には、コントロールユニット44内のスイッチ46を介して、上記グリップヒータ30a及びシートヒータ36aと、バッテリ16とが選択的に接続可能となっている。詳しくは、風車18bが回転することで交流発電機18cから出力される交流電流は、コントロールユニット44内の整流器48(例えば全波整流器)によって直流電流に変換され、変換された直流電流がスイッチ46を介して上記いずれかに出力される。
上記コントロールユニット44は、CPU、RAM、ROM等からなる制御装置(ECU50)及びインバータ52等を備えて構成されている。ECU50は、車載機器の各種制御に必要な各種アクチュエータを操作する制御装置である。ECU50は、グリップヒータ30aの温度(グリップ温度)を検出するグリップ温度センサ54や、シートヒータ36aの温度(シート温度)を検出するシート温度センサ56、ユーザのアクセルグリップの操作量(スロットル操作量)を検出するスロットルセンサ58、車両の走行速度を検出すべく駆動輪14付近に設けられる車輪速センサ60、更には外気温度を検出する外気温センサ62の検出信号を逐次入力する。またECU50は、モータジェネレータ40の回転子の回転速度を検出するエンコーダ64、モータジェネレータ40に通電される電流値を検出する電流センサ66、更にはバッテリ16の電圧を検出する図示しないバッテリセンサ等の検出信号も逐次入力する。ECU50は、これらの入力信号に基づき、変速用アクチュエータ42aの操作による変速装置42の変速制御や、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aと、バッテリ16とのいずれに風力発電機18の発電電力を供給するかの切替制御、インバータ52の操作によるモータジェネレータ40のトルク制御等を行う。ここで上記トルク制御について詳述すると、まず、スロットルセンサ58の出力値に基づくスロットル操作量に基づき、車両要求トルクを設定する。具体的には、スロットル操作量が大きいほど、上記車両要求トルクを大きく設定する。次に、設定された車両要求トルクに基づきモータジェネレータ40へ通電する電流値の目標値(目標電流値)を設定する。具体的には、上記車両要求トルクが大きいほど、目標電流値を高く設定する。そして電流センサ66に基づき算出される実際の電流値を上記目標電流値に制御すべくインバータ52を操作する。
特にECU50は、グリップ温度及びシート温度をその目標値(ヒータ目標温度)に制御する処理であるヒータ温度制御処理を行う。以下、この処理について詳述する。
図4に、本実施形態にかかるヒータ温度制御処理の手順を示す。この処理は、ECU50によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、車両の走行速度Vが規定速度Vαよりも高いか否かを判断する。この処理は、グリップ温度及びシート温度を上昇可能な風力発電機18の発電電力が見込めるか否かを判断するための処理である。つまり、車両の走行速度Vが低いと、走行に伴い送風通路18aに導入される風量が少なくなり、風車18bの回転速度の上昇が見込めなくなる。このため、風力発電機18の発電可能な電力が過度に少なくなることで、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aに給電することができなくなるおそれがある。なお、上記規定速度Vαは、例えば風力発電機18の発電特性(車両の走行速度V、風車18bの回転速度及び交流発電機18cの発電可能な電力が関係付けられた特性)に基づき予め設定すればよい。また、車両の走行速度Vは、車輪速センサ60の出力値に基づき算出すればよい。
ステップS10において車両の走行速度Vが規定速度Vαよりも高いと判断された場合には、ステップS12に進み、車両の走行速度Vに基づき送風通路18aの通路面積を調節する処理(通路面積可変処理)を行う。詳しくは、車両の走行速度Vが高いほど、上記通路用アクチュエータ18dの操作によって送風通路18aの通路面積を小さくする処理を行う。この処理は、車両の走行に伴う空気抵抗を低減したり、風力発電機18の信頼性の低下を抑制したりするための処理である。つまり、車両の走行速度Vが高くなると、送風通路18aに吹き付けられる風によって空気抵抗が増大する。空気抵抗が増大すると、同一の車両の走行速度Vで走行するために要するモータジェネレータ40の生成トルクが増大し、バッテリ16の蓄電量の低下度合いが増大するおそれがある。また、車両の走行速度Vが高くなると、風車18bに供給される風量が過度に多くなり、風車18bの回転速度が過度に高くなることに起因して風力発電機18の信頼性が低下するおそれもある。このため、車両の走行速度Vに基づき上記態様にて送風通路18aの通路面積を調節することで、車両の走行速度Vが高い状況下において、空気抵抗が増大したり、風力発電機18の信頼性が低下したりする事態の発生を極力抑制する。ちなみに、車両の走行速度Vが高い状況下においては、風車18bに供給される風量が十分である。このため、上記通路面積を小さくする処理を行ったとしても、風力発電機18の発電可能な電力はグリップヒータ30a等に給電する上で十分であると考えられる。
続くステップS14では、外気温度Toutが規定温度Tαよりも低いか否かを判断する。この処理は、ユーザの快適性を維持するための処理である。つまり、外気温度Toutが高いと、ユーザの体感温度が高くなるため、ユーザがグリップヒータ30a及びシートヒータ36aの作動を希望しないと考えられる。なお、上記規定温度Tαは、外気温度Toutが様々な温度となる状況下において、グリップヒータ30a等の作動によってユーザの快適性が損なわれるか否かを予め測定した結果に基づき設定すればよい。また、外気温度Toutは、外気温センサ62の出力値に基づき算出すればよい。
ステップS14において外気温度Toutが規定温度Tαよりも低いと判断された場合には、ステップS16に進み、車両の走行速度V及び外気温度Toutに基づき、上記ヒータ目標温度を算出する。以下、ヒータ目標温度の算出手法について詳述する。
本実施形態では、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aのヒータ目標温度を共通の値に設定し、車両の走行速度Vが高かったり、外気温度Toutが低かったりするほどヒータ目標温度を高くする。これは、ユーザの快適性を向上させるための設定である。つまり、車両の走行速度Vが高くなると、走行に伴いユーザに吹き付けられる風が強くなるため、ユーザの体感温度が低くなる。このため、グリップ温度及びシート温度を高く設定することで、ユーザの快適性を向上させる。ここでグリップ温度等を高くするとこれらヒータの消費電力が増大するものの、車両の走行速度Vが高くなることによって風力発電機18に供給される風量が多くなり、風力発電機18の発電可能な電力が増大する。したがって、車両の走行速度Vに応じてヒータ目標温度が高く設定される場合であっても、グリップヒータ30a等の消費電力を賄うことが可能となる。一方、外気温度Toutが高くなるとユーザの体感温度が高くなるため、ユーザがヒータ目標温度の上昇を望まないと考えられる。このため、外気温度Toutが高いほど、ヒータ目標温度を低く設定することで、ユーザの快適性を維持する。
ここで本実施形態では、車速補正係数Kv及び外気温補正係数Ktを、ヒータ目標温度の基本となる値であるヒータ基本温度に乗算した値としてヒータ目標温度を算出する。ここで車速補正係数Kvは、図5(a)に示すように、車両の走行速度Vが第1の所定速度V1(>0)未満である場合に0となり、車両の走行速度Vが第1の所定速度V1以上であって且つ第1の所定速度V1よりも高い第2の所定速度V2以下となる場合に車両の走行速度Vに比例して大きくなり、車両の走行速度Vが第2の所定速度V2を上回る場合に1よりも大きい固定値となるように設定される。なお、上記第1の所定速度V1は、例えば先の図4のステップS10の処理における規定速度Vαと同じ値に設定すればよい。また、上記第2の所定速度V2は、風力発電機18の発電可能な電力が上限値に達すると想定される値に設定されるものであり、例えば風力発電機18の発電特性に基づき予め設定すればよい。
一方、外気温補正係数Ktは、図5(b)に示すように、外気温度Toutが第1の所定温度T1(>0)未満である場合に1よりも大きな固定値となり、外気温度Toutが第1の所定温度T1以上であって且つ第1の所定温度T1よりも高い第2の所定温度T2以下となる場合に外気温度Toutに比例して小さくなり、外気温度Toutが第2の所定温度T2を上回る場合に0となるように設定される。
なお、上記第1の所定温度T1は、グリップヒータ30a等の作動をユーザが要求すると想定される温度の上限値として設定されるものであり、上記第2の所定温度T2は、グリップヒータ30a等の停止をユーザが要求すると想定される値に設定されるものである。これらの値は、例えば外気温度Toutが様々な温度となる状況下においてグリップヒータ30a等の作動をユーザが要求するか否かを予め測定した結果に基づき設定すればよい。
図4の説明に戻り、続くステップS18では、グリップ温度及びシート温度の双方がヒータ目標温度よりも低いか否かを判断する。なお、グリップ温度は、グリップ温度センサ54の出力値に基づき算出し、シート温度は、シート温度センサ56の出力値に基づき算出すればよい。ステップS18においてグリップ温度及びシート温度の双方がヒータ目標温度よりも低いと判断された場合には、ステップS20に進み、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aへの給電を継続させる。一方、上記ステップS14、S18において否定判断された場合には、ステップS22に進み、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aへの給電を停止させる。
続くステップS24では、風力発電機18の発電電力をバッテリ16に充電すべくスイッチ46を切り替える処理であるバッテリ充電処理を行う。なお、上記バッテリセンサの出力値から算出されるバッテリ16の電圧が規定電圧以上であると判断された場合、バッテリ16の信頼性が低下する事態を回避すべくバッテリ16への充電を中断するのが望ましい。
なお、ステップS20、S24の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)グリップヒータ30a及びシートヒータ36aの電力供給源をバッテリ16ではなく風力発電機18とした。このため、バッテリ16の給電先からグリップヒータ30a等を除くことができ、バッテリ16の電力をモータジェネレータ40の駆動に適切に使用することができる。したがって、バッテリ16の蓄電量が不足することによって、ユーザの希望する車両走行を適切に実現できなくなる事態の発生を好適に抑制することができる。
(2)車両の走行速度Vが高いほどヒータ目標温度を高く設定した。これにより、ヒータ目標温度が高く設定されることによって増大するグリップヒータ30a及びシートヒータ36aの消費電力を賄うことができ、ひいてはユーザの快適性を好適に向上させることができる。
(3)外気温度Toutが高いほどヒータ目標温度を低く設定した。これにより、ユーザの快適性を適切に維持することができる。更に、上記車両の走行速度V及び外気温度Toutに基づきヒータ目標温度を自動的に設定する手法によれば、例えばユーザ自らがヒータ目標温度を調節する手法と比較して、ユーザの操作負担を低減することもできる。
(4)外気温度Toutが規定温度Tα以上になると判断された場合、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aへの給電を停止させた。これにより、ユーザの快適性を適切に維持することができる。
(5)グリップ温度及びシート温度のうちいずれかがヒータ目標温度以上になると判断された場合、これらヒータへの給電を停止させるとともに、上記バッテリ充電処理を行った。これにより、バッテリ16の蓄電量を増大させることができ、ひいては車両の航続距離が長くなる等、ユーザの希望する車両走行を適切に実現することができる。
(6)車両の走行速度Vが高くなるほど送風通路18aの通路面積を小さくする処理である通路面積可変処理を行った。これにより、車両の走行に伴い空気抵抗が増大したり、風力発電機18の信頼性が低下したりする事態の発生を極力抑制することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・車両の走行速度Vの算出手法としては、上記実施形態に例示したものに限らない。例えば、エンコーダ64の出力値に基づくモータジェネレータ40の回転子の回転速度と、変速装置42の変速比とに基づき算出してもよい。
・上記実施形態において、グリップヒータ30aやシートヒータ36aへの給電の停止を指示すべくユーザによって操作されるスイッチを設けてもよい。
・上記実施形態において、先の図4のステップS10やS14の処理を除いてもよい。
・上記実施形態では、ヒータ基本温度に車速補正係数Kv及び外気温補正係数Ktを乗算することでヒータ目標温度を算出したがこれに限らない。例えば、ヒータ基本温度に車速補正温度及び外気温補正温度を加算することでヒータ目標温度を算出してもよい。ここで車速補正温度は、図6(a)に示すように、車両の走行速度Vが第1の所定速度V1未満である場合に0よりも低い温度(固定値)となり、車両の走行速度Vが第1の所定速度V1以上であって且つ第1の所定速度V1よりも高い第2の所定速度V2以下となる場合に車両の走行速度Vに比例して高くなり、車両の走行速度Vが第2の所定速度V2を上回る場合に0よりも高い温度(固定値)となるように設定すればよい。一方、外気温補正温度は、図6(b)に示すように、外気温度Toutが第1の所定温度T1未満である場合に0よりも高い温度(固定値)となり、外気温度Toutが第1の所定温度T1以上であって且つ第1の所定温度T1よりも高い第2の所定温度T2以下となる場合に外気温度Toutに比例して小さくなり、外気温度Toutが第2の所定温度T2を上回る場合に0よりも低い温度(固定値)となるように設定すればよい。
・上記実施形態において、グリップ温度及びシート温度の双方がヒータ目標温度よりも低いと判断された場合にグリップヒータ30a及びシートヒータ36aの双方への給電を継続したがこれに限らない。例えば、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aと風力発電機18とを接続する電気経路のそれぞれを各別に接続又は遮断する手段(スイッチ)を備え、グリップ温度及びシート温度のうちいずれかがヒータ目標温度以上になると判断された場合、ヒータ目標温度以上となったヒータへの給電を停止させるようにしてもよい。また、上記実施形態においてグリップヒータ30a及びシートヒータ36aのヒータ目標温度を共通な値として設定したがこれに限らず、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aについて各別に設定してもよい。
・上記実施形態では、ヒータ目標温度を、車両の走行速度V及び外気温度Toutの双方に基づき算出したがこれに限らない。例えば、車両の走行速度V及び外気温度Toutのうちいずれか一方に基づき算出してもよい。
・上記実施形態において、ヒータ目標温度を算出するためのパラメータとして、車両の走行速度Vに代えてスロットル操作量を用いてもよい。この場合、スロットル操作量が大きいほど、上記車速補正係数Kvを大きく設定すればよい。これは、スロットル操作量と車両の走行速度Vとが相関を有することに基づくものである。つまり、スロットル操作量が大きくなると、モータジェネレータ40の生成トルクが増大するため、車両の走行速度Vが高くなる傾向にある。
・グリップ温度やシート温度の制御手法としては、上記実施形態に例示したものに限らない。例えば、ヒータ目標温度を指示すべくユーザによって操作される指示手段(スイッチやダイヤル等)を備え、指示されたヒータ目標温度にグリップ温度等を制御するようにしてもよい。この場合、ヒータ目標温度の上限値を設定し、車両の走行速度Vが高いほど上記上限値を高くすればよい。
・上記実施形態では、風力発電機18と、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aとの間にスイッチ46を設けたがこれに限らない。例えば、グリップヒータ30a及びシートヒータ36aと、風力発電機18とを電気経路で直接接続し、風力発電機18の発電電力をグリップヒータ30a及びシートヒータ36aに常時供給するようにしてもよい。この場合、車両の走行速度Vが高い運転領域においてグリップ温度等が過度に上昇するのを回避すべく、上記通路面積可変処理によって送風通路18aの通路面積を小さくする処理を行うのが望ましい。
・上記実施形態において、風力発電機18を直流発電のものとしてもよい。
・風力発電機18が設けられる場所としては、上記実施形態に例示したものに限らず、例えばフロントカバー32の車両前方側に送風通路18aの導入部を設けるべく、フロントカバー32及びレッグシールド34で囲まれた空間に風力発電機18を設けてもよい。
・本願発明が適用される車両としては、2輪車に限らず、例えば3輪車等であってもよい。要は車両の操縦席と外部とを遮断する部材を備えない車両であればよい。この場合であっても、車両の走行に伴いユーザに風が吹き付けられる状況下、ユーザの快適性を向上させることができる。
10…電動2輪車両、16…バッテリ、18…風力発電機、30a…グリップヒータ、36a…シートヒータ、18a…送風通路、18b…風車、18d…通路用アクチュエータ、40…モータジェネレータ、50…ECU(電動車両の制御装置の一実施形態)。
Claims (9)
- 車両の走行動力源となる回転電機と、該回転電機に給電する蓄電池と、ユーザと接触する車載部品を加熱するためのヒータとを備える電動車両に適用され、
前記車両には、前記車両の走行に伴い生じる風力によって発電する風力発電機が備えられ、
前記風力発電機の発電電力を前記ヒータに供給することで前記車載部品を加熱させる制御手段を備えることを特徴とする電動車両の制御装置。 - 前記制御手段は、前記ヒータの温度の目標値として設定可能な上限値を、前記風力発電機によって発電可能な電力が大きいほど高くすることを特徴とする請求項1記載の電動車両の制御装置。
- 前記制御手段は、前記ヒータの温度を前記目標値に制御し、前記車両の走行速度が高いほど前記目標値を高く設定することを特徴とする請求項2記載の電動車両の制御装置。
- 前記制御手段は、前記ヒータの温度を前記目標値に制御し、ユーザによって指示される前記車両の要求トルクが大きいほど前記目標値を高く設定することを特徴とする請求項2記載の電動車両の制御装置。
- 前記制御手段は、前記ヒータの温度をその目標値に制御し、外気温度が高いほど前記目標値を低く設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動車両の制御装置。
- 前記制御手段は、前記ヒータの温度が前記目標値以上となる場合、前記ヒータへの給電を停止させ、前記風力発電機の発電電力によって前記蓄電池を充電することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の電動車両の制御装置。
- 前記制御手段は、外気温度が規定温度を上回る場合、前記ヒータへの給電を停止させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動車両の制御装置。
- 前記風力発電機は、前記車両の走行に伴い該車両に吹き付けられる風を導入する送風通路と、該送風通路に導入された風によって回転する回転体とを備えて構成されるものであって且つ、前記回転体の回転によって発電するものであり、
前記送風通路は、該送風通路の通路面積が前記回転体に近づくほど小さくされる状態を維持しつつ該通路面積を可変とする機構を備えるものであり、
前記車両には、前記機構を操作するためのアクチュエータが更に備えられ、
前記制御手段は、前記車両の走行速度が高いほど、前記送風通路の通路面積を小さくするように前記アクチュエータを操作することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動車両の制御装置。 - 前記車載部品を加熱するためのヒータとは、グリップヒータ及びシートヒータのうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電動車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010040971A JP2011173575A (ja) | 2010-02-25 | 2010-02-25 | 電動車両の制御装置 |
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JP2010040971A JP2011173575A (ja) | 2010-02-25 | 2010-02-25 | 電動車両の制御装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101627350B1 (ko) * | 2015-01-07 | 2016-06-08 | 백경현 | 풍력발전시스템을 구비한 바이크 |
JP2016185775A (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-27 | 株式会社ファルテック | ハンドルグリップ、ハンドルグリップの温度制御装置、およびハンドルグリップを備えた車両 |
-
2010
- 2010-02-25 JP JP2010040971A patent/JP2011173575A/ja active Pending
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JP2016185775A (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-27 | 株式会社ファルテック | ハンドルグリップ、ハンドルグリップの温度制御装置、およびハンドルグリップを備えた車両 |
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