JP2011167469A - コーヒー抽出器及びコーヒー抽出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コーヒー抽出器での浸漬法と透過法の切り替えを、部品の物理的な移動をすることなく、あるいは、部品の非常に単純な物理的移動で可能にすること。
【解決手段】コーヒー抽出器は、コーヒーが抽出される抽出部と、抽出されたコーヒー液が流出する経路となる貫通孔と、その貫通孔に接続し当該接続部から上方に向かい途中から下方に向かうように形成された管と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、コーヒー抽出に関する。特に、本発明は、液面の高さの差に由来するサイフォンの原理を用いたコーヒー抽出方法及びそれに用いられる器具に関する。
コーヒーの抽出方法としては様々な方法があるが、基本的には透過法と浸漬法とに大別出来る。コーヒーサイフォン、パーコレータ、コーヒープレスは浸漬法、ネルドリップやペーパードリップ、コーヒーメーカーは透過法に分類される。
特許文献1(特許第2814400号)におけるコーヒー淹れ器の技術によれば、浸漬法と透過法を組み合わせた抽出が可能である。しかしながら、浸漬法と透過法の切り替えにはコーヒー液の流出孔を塞ぐ棒状の栓を物理的に移動することが必要である。
特許第2814400号
本願発明者は、次の点に着目した。上記特許文献1におけるコーヒー淹れ器では、浸漬法と透過法の切り替えにはコーヒー液の流出孔を塞ぐ棒状の栓を物理的に移動することが必要である。これをコーヒーメーカーに応用するには、特許文献1で説明されているような電磁弁などが必要となる。
本発明の1つの目的は、コーヒー抽出器での浸漬法と透過法の切り替えを、部品の物理的な移動をすることなく、あるいは、部品の非常に単純な物理的移動で可能にすることにある。
本発明の1つの観点において、コーヒー抽出器が提供される。そのコーヒー抽出器は、コーヒーが抽出される抽出部と、抽出されたコーヒー液が流出する経路となる貫通孔と、その貫通孔に接続し当該接続部から上方に向かい途中から下方に向かうように形成された管と、を備える。
本発明の他の観点において、上記コーヒー抽出器を用いたコーヒー抽出方法が提供される。そのコーヒー抽出方法は、(a)前記抽出部にコーヒー粉を投入するステップと、(b)前記抽出部に湯を注入するステップと、(c)前記貫通孔を経て前記管の中にあるコーヒー液面が前記管の最上部を越す前に、湯の注入をいったん止めるステップと、(d)前記(c)ステップの後、放置するステップと、(e)前記(d)ステップの後、更に注湯をすることにより、あるいは、前記管の最上部を押し下げることにより、前記管中のコーヒー液面が前記管の最上部を越して、サイフォン効果によりコーヒー液が前記管を通じて流出するステップと、を含む。
本発明によれば、注湯の量とタイミングを変えるだけで浸漬法の抽出と透過法の抽出を自由に制御することができる。このため、電磁弁などの可動部品が不要であり、浸漬法と透過法を使い分けるコーヒーメーカーの製造が容易となる。
図1は、本発明の実施の形態に係るコーヒー抽出器の正面図である。 図2は、図1で示されたコーヒー抽出器の右側面図である。 図3は、図1で示されたコーヒー抽出器の左側面図である。 図4は、図1で示されたコーヒー抽出器の平面図である。 図5は、コーヒー抽出の開始直前の状態を示す図である。 図6は、湯を少しずつ注いで次第にコーヒー粉が浸る様子を示す図である。 図7は、コーヒー粉がひたひた状態になった状態で注湯を止める図である。 図8は、コーヒー粉がひたひた状態で放置された状態を示す図である。 図9は、更に注湯してコーヒー液が管の最上部を越す状態を示す図である。 図10は、図9の反対側から見た図である。 図11は、抽出部のコーヒー液が管を通じてすべてサイフォン効果によりサーバーに流出していく様子を示す図である。 図12は、抽出部内にあったコーヒー液が管を通じてサーバーに流出し、抽出が完了した状態を示す図である。 図13は、本発明の実施の形態に係るコーヒー抽出方法を概略的に示すフローチャートである。 図14は、変形例に係るコーヒー抽出器の正面図である。 図15は、図14で示されたコーヒー抽出器の右側面図である。 図16は、図14で示されたコーヒー抽出器の平面図である。 図17は、図14〜図16で示されたコーヒー抽出器を用いたカッピングを説明するための図である。 図18は、同じくカッピングを説明するための図である。 図19は、同じくカッピングを説明するための図である。 図20は、同じくカッピングを説明するための図である。 図21は、同じくカッピングを説明するための図である。
添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係るコーヒー抽出器及びコーヒー抽出方法を説明する。
図1〜図4は、それぞれ、本実施の形態に係るコーヒー抽出器1の正面図、右側面図、左側面図、および平面図である。コーヒー抽出器1は、コーヒーが抽出される抽出部11と、抽出器全体をコーヒーサーバーに乗せるためのサーバー乗せ台14を備えている。抽出部11には、抽出されたコーヒーが流出する経路となる貫通孔11aと、貫通孔11aに接続した管12と、取っ手を兼ねた管支え13が備わっている。管12は、貫通孔11aとの接続部から上方に向かい、途中から下方に向かうように形成されている。管12が透明であれば抽出の進行状況が観測できて便利である。抽出部11の底は貫通孔11aのほかは閉じており、サーバー乗せ台14には管12を通す貫通孔14aがある。
図5〜図12は、本実施の形態に係るコーヒー抽出器1を用いてコーヒー抽出を行う手順を説明するための図である。まず、コーヒー抽出器1をコーヒーサーバー5に乗せ、フィルター6を抽出部11にセットし、人数分のコーヒー粉7をフィルター6の内側に入れる。この状態を図5が示している。以下にこのコーヒー抽出器1を用いてコーヒーを抽出する原理を説明する。
まず、お湯8を少しづつコーヒー粉7の上に注ぎ続ける(図6)。湯8ははじめコーヒー粉7に吸い取られるが、抽出部11の底が閉じているため徐々にコーヒー液面が上昇し、コーヒー粉7のほぼ全体がコーヒー液に浸たり、わずかに粉がコーヒー液の上に出た状態になり、抽出部11の貫通孔11aから管12に流出したコーヒー液面の高さは抽出部11のコーヒー液面と同じ高さになる(図7)。このコーヒー粉7のほぼ全体が浸った状態をひたひたの状態と呼ぶ。新鮮なコーヒー粉7の場合泡が沢山出るが、その場合は泡の下のコーヒー粉7の全体がコーヒー液に浸った状態をひたひたの状態と呼ぶ。
ひたひたの状態で注湯を止めてしばらく放置して浸す(図8)。ひたひたの状態でコーヒー液は濃い状態にあるが、コーヒーのまろやかな成分は濃いコーヒー液であってもどんどん溶け出すのに対し、しぶみ成分は濃いコーヒー液にはあまり溶け出さない。放置時間はコーヒー粉の種類、焙煎度にもよるが3分程度が目安である。
再度注湯を行うと、抽出部11内のコーヒー液面が上昇すると同時に、抽出部貫通孔11aを通じて流出するコーヒー液9が管12内のコーヒー液面を押し上げ、ついには管12の最上部を越して管12の反対側に押し出される(図9)。この押し出されたコーヒー液の先端9bの高さと抽出部11の中のコーヒー液面9aの高さの差hが、物理法則として一般に知られた“サイフォン効果”を起こす(図10)。以後は注湯を止めても自動的なコーヒー液の流出が継続する。
管12を通してコーヒー液9がコーヒーサーバー5に流出し始めれば、抽出部11の中のコーヒー液面9aの高さと管12の終端12bの高さの差Hがサイフォン効果を起こす(図11)。図11のごとく管12の終端12bの高さが管12の始端12aの高さより低くければ、管12の始端12aより上にあるコーヒー液9はすべて流出する(図12)。
図13は、本実施の形態に係るコーヒー抽出方法を要約的に示すフローチャートである。(a)まず、上記抽出部11にフィルター6をセットしコーヒー粉7を投入する。(b)次に、抽出部11に入ったコーヒー粉7に湯8を注湯する。(c)抽出部11の貫通孔11aを経て管12の中にあるコーヒー液面が管12の最上部を越す前に湯の注入をいったん止める。(d)ここで任意の時間そのまま放置することにより、抽出部11に入れられたコーヒー粉7の「浸し」を行うと、時間とともにコーヒー成分が湯に溶け出す。(e)上記(a)〜(d)ステップの後に、さらに注湯をすることにより、あるいは、管12の中のコーヒー液面が管12の最上部を越すまで管最上部を押し下げることにより、管12中のコーヒー液面が管12の最上部を越してサイフォン効果が現れ、コーヒー液9が管12を通じて流出し始める。
(f)そのまま放置すれば、上記(d)ステップにて抽出された濃いコーヒー液のすべてがサイフォン効果によりコーヒーサーバー5に流出するので、それを人数分の量になるまで湯でうすめるのがひとつの手順である。(e)ステップに続いてさらに注湯を行うと、湯はコーヒー粉7を通過し、更に管12を通じてコーヒー液がサーバーに流出する。人数分のコーヒー液ができるまで注湯することによって目的とするコーヒー液を得るのが他方の手順である。
このように、ステップ(d)でコーヒー粉を湯に浸す抽出は浸漬法であり、ステップ(f)で連続的に湯をつぐことによる抽出は透過法である。また、ステップ(f)を行わなければ浸漬法のみの抽出になり、ステップ(d)を省略してすぐステップ(e)(f)に進めば、透過法のみによる抽出になる。
このように、本実施の形態によれば、注湯の量とタイミングを変えるだけで、浸漬法の抽出と透過法の抽出を自由に制御することができる。このため、電磁弁などの可動部品が不要であり、浸漬法と透過法を使い分けるコーヒーメーカーの製造が容易となる。
図14〜図16は、コーヒー抽出器1の変形例を示している。本変形例では、貫通孔11aが抽出部11の中央付近に開けられている。その貫通孔11aを貫通した管12は、上方に向かったあと下方へ向かう。その管12の終端12bは、管12の始端12aより高い位置に設定されていることに留意されたい。さらに、管支え13の高さも抽出部11より高く設定してある。これは、管12および管支え13を弾力のある素材で作成することにより、管12を下方に押し下げて管12内の最上部の高さを動的に制御できることが前提になっている。コーヒー抽出の(e)ステップで、管12を下方に押し下げて、管12内のコーヒー液の先端9bが抽出部11内のコーヒー液面9aの高さより下になるようにすることにより、サイフォン効果が起こり、あとは管12の最上部が元の高さに戻っても自動的なコーヒー液の流出が継続する。
また、管12の終端12bの高さが管12の始端12aより高ければ、抽出部11内のコーヒー液面9aが、管の終端12bと同じ高さになるところで流出が止まる。この特殊なコーヒー抽出器1を用いれば、(d)ステップで抽出されたコーヒー液の中央付近にある部分だけを取り出すことができる。
コーヒーの評価にはカッピングと呼ばれる方法が一般的に用いられているが、前記の特殊な抽出器はカッピングにおける課題の解決に利用できる。カッピングでは一般的に抽出器として単純なガラスコップを用い、フィルターは使わない。コップにコーヒー粉を入れて湯を注いで攪拌し、香りを評価し、さらに上に浮いたコーヒーかすをスプーン等で取り除きうわずみのコーヒー液を口に含んで香りと味を評価するのであるが、ここに2つの課題がある。1つは浮いたコーヒーかすを取り除く作業がめんどうであること、2つはコーヒー粉が底に沈んだままなので時間とともに抽出が進んでしまい、多人数で多種多数のカッピング評価をするとき、同じコーヒーでも先にテストした人と遅れてテストした人の味わうコーヒー成分が大きく異なってしまう可能性があることである。
図14〜図16で示された特殊なコーヒー抽出器1をカッピングに用いれば、上記2つの問題を解決することができる。以下にその手順を示しながら、課題がどのように解決されるかを説明する。
まず、抽出部11の底にコーヒー粉を入れる(図17)。次に湯をつぐとコーヒー粉が浮いてくるので、スプーン等で数回攪拌してしばらく放置する。多くのコーヒー粉は沈むが一部のコーヒー粉は表面に浮いた状態になる。中央付近の貫通孔11aからは管12を通じてコーヒー液が流出し、その先頭は抽出部11の中のコーヒー液面の高さと同じ高さになる(図18)。そこで、コーヒー液を受けるカップを準備し、管を下に押し下げて管の中のコーヒー液が管の最上部を越すところまで下げると、サイフォン効果によりコーヒー液が管を通じて外に流出するのでそれをカップで受ける(図19)。管が元の高さに戻っても、サイフォン効果によりコーヒー液は継続流出し(図20)、抽出部11中のコーヒー液面が管の終端の高さに達したところでコーヒー液の流出が止まる(図21)。コーヒー液を受けるカップの中には、かすのないコーヒー液が得られるので、これをカッピングテストに用いることができる。
以上に説明されたように、本発明は、浸漬法と透過法を組み合わせる利点を保ちつつ、棒状の栓を使わない方式を提案している。その方式によれば、浸漬法と透過法の切り替えを管の上げ下げという単純な操作で可能になるのみならず、注湯量の加減によっても浸漬法から透過法に切り替えることが可能になる。この注湯量の加減で浸漬法と透過法を切り替える方式によれば、可動部品が不要のためコーヒーメーカーに応用する場合、製造が容易という利点がある。
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。
1 コーヒー抽出器
5 コーヒーサーバー
6 フィルター
7 コーヒー粉
8 湯
9 コーヒー液
9a 抽出部内のコーヒー液面
9b 管内に流出したコーヒー液の先端
11 抽出部
11a 抽出部貫通孔(管の接続部になる)
12 管
12a 管の始端(抽出部の内側にある)
12b 管の終端(抽出部の外側にある)
13 管支え(取っ手を兼ねる)
14 サーバー乗せ台
14a サーバー乗せ台貫通孔(管を通してサーバーに導く)

Claims (2)

  1. コーヒーが抽出される抽出部と、
    抽出されたコーヒー液が流出する経路となる貫通孔と、
    前記貫通孔に接続し、当該接続部から上方に向かい途中から下方に向かうように形成された管と
    を備える
    コーヒー抽出器。
  2. 請求項1に記載されたコーヒー抽出器を用いたコーヒー抽出方法であって、
    (a)前記抽出部にコーヒー粉を投入するステップと、
    (b)前記抽出部に湯を注入するステップと、
    (c)前記貫通孔を経て前記管の中にあるコーヒー液面が前記管の最上部を越す前に、湯の注入をいったん止めるステップと、
    (d)前記(c)ステップの後、放置するステップと、
    (e)前記(d)ステップの後、更に注湯をすることにより、あるいは、前記管の最上部を押し下げることにより、前記管中のコーヒー液面が前記管の最上部を越して、サイフォン効果によりコーヒー液が前記管を通じて流出するステップと
    を含む
    コーヒー抽出方法。
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JP2015104382A (ja) * 2013-12-03 2015-06-08 オアシス珈琲有限会社 コーヒー抽出方法
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