JP2011157056A - 旅客乗車経路推定方法、列車ダイヤ作成方法、プログラム及び旅客乗車経路推定装置 - Google Patents

旅客乗車経路推定方法、列車ダイヤ作成方法、プログラム及び旅客乗車経路推定装置 Download PDF

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雅之 浅見
Norio Tomii
規雄 富井
Naoto Fukumura
直登 福村
Takashi Sakaguchi
隆 坂口
Yoko Takeuchi
陽子 武内
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Abstract

【課題】新たな手法による列車ダイヤに対する旅客の乗車経路推定方法を実現すること。
【解決手段】列車ダイヤを構成する各列車スジを駅間で分割した駅間断片スジと、各駅において駅間断片スジ同士の着事象と発事象とをつなぐ着発間断片スジとを仮想電路と見立てた仮想電気回路が生成され、各仮想電路には対応する断片スジの不効用値Uに応じた可変抵抗rが設定される。そして、この仮想電気回路において、旅客の出現駅から目的駅に向けて旅客の乗車確率pと見立てた仮想電流Iが供給されるとともに、各仮想抵抗rに流れる電流iの相対的な大きさに応じて当該仮想抵抗rが可変される。最終的に、仮想電気回路を流れる電流経路が出現駅から目的駅に至る1本の電流経路に収束すると、この収束した1本の電経路が旅客の乗車経路として決定される。
【選択図】図4

Description

本発明は、列車ダイヤに対する旅客の乗車経路を推定する旅客乗車経路推定方法等に関する。
コンピュータにより列車ダイヤを自動的に作成する研究がなされている。例えば、特許文献1には、ダイヤの修正と、旅客全員分の不効用値である旅客コスト及び鉄道事業者が当該ダイヤを運行した場合の運行コストを算出する評価処理とを繰り返し行って、コストの合計値が最も低くなったダイヤを解として決定する手法が記載されている。
特開2007−237948号公報
上述の特許文献1に記載されている列車ダイヤの作成では、その処理過程において、暫定的に定めた列車ダイヤに対する各旅客の乗車経路の推定(旅客流動の推定)を行う必要がある。この旅客の乗車経路の推定方法としては、旅客の出現駅から目的駅に至る経路を候補として列挙し、旅客の不効用値が最小となる経路を当該旅客の乗車経路として選択する方法が一般的であった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、新たな手法による列車ダイヤに対する旅客の乗車経路の推定方法を実現することである。
上記課題を解決するための第1の形態は、
コンピュータシステムが、出現駅、目的駅及び出現時刻が定められた旅客の列車ダイヤに対する乗車経路を推定するための旅客乗車経路推定方法であって、
前記列車ダイヤを構成する列車スジを着発駅で分割した駅間断片スジと、各駅において駅間断片スジ同士の着発つなぎを示す着発間断片スジとを算出する断片スジ算出ステップ(例えば、図14のステップB1〜B3)と、
前記算出された各断片スジ(駅間断片スジ及び着発間断片スジを包括して「断片スジ」という。)を仮想電路と見立てた仮想電気回路を構成する仮想電気回路構成ステップ(例えば、図14のステップB7)と、
前記各仮想電路それぞれに仮想電気抵抗を設定する抵抗設定ステップ(例えば、図14の棄ステップB11)と、
前記仮想電気回路において前記出現駅から前記目的駅に向けて仮想電流を供給し、前記各仮想電路に流れる電流を算出する電気回路シミュレーション処理を実行するシミュレーションステップ(例えば、図14のステップB13)と、
前記電気回路シミュレーション処理において算出された各仮想電路に流れる電流の相対的な大きさに応じて、各仮想電路の仮想電気抵抗を変化させる抵抗可変ステップ(例えば、図14のステップB15〜B17)と、
前記シミュレーションステップ及び前記抵抗可変ステップを、所定の収束条件を満たすまで繰り返し行うように制御する繰り返し制御ステップ(例えば、図14のステップB21)と、
前記収束条件を満たした際の前記各仮想電路に流れる電流をもとに、前記出現駅から前記目的駅に至る前記旅客の乗車経路を決定する乗車経路決定ステップ(例えば、図14のステップB23)と、
を含む旅客乗車経路推定方法である。
また、他の形態として、
出現駅、目的駅及び出現時刻が定められた旅客の列車ダイヤに対する乗車経路を推定する旅客乗車経路推定装置であって、
前記列車ダイヤを構成する列車スジを着発駅で分割した駅間断片スジと、各駅において駅間断片スジ同士の着発つなぎを示す着発間断片スジとを算出する断片スジ算出手段と、
前記算出された各断片スジを仮想電路と見立てた仮想電気回路を構成する仮想電気回路構成手段と、
前記各仮想電路それぞれに仮想電気抵抗を設定する抵抗設定手段と、
前記仮想電気回路において前記出現駅から前記目的駅に向けて仮想電流を供給し、前記各仮想電路に流れる電流を算出する電気回路シミュレーション処理を実行するシミュレーション手段と、
前記電気回路シミュレーション処理において算出された各仮想電路に流れる電流の相対的な大きさに応じて、各仮想電路の仮想電気抵抗を変化させる抵抗可変手段と、
前記シミュレーション手段による前記電気回路シミュレーション処理及び前記抵抗可変手段による仮想電気抵抗の変更を、所定の収束条件を満たすまで繰り返し行うように制御する繰り返し制御手段と、
前記収束条件を満たした際の前記各仮想電路に流れる電流をもとに、前記出現駅から前記目的駅に至る前記旅客の乗車経路を決定する乗車経路決定手段と、
を備えた旅客乗車経路推定装置を構成しても良い。
この第1の形態等によれば、列車ダイヤを構成する列車スジを着発駅間で分割した駅間断片スジ、及び、これらの駅間断片スジ同士の着発つなぎを示す着発間断片スジ(断片スジ)を仮想電路と見立てた仮想電気回路が構成される。そして、この仮想電気回路において、旅客の出現駅から目的駅に向けて仮想電流が供給され、各仮想電路に流れる電流を算出する電気回路シミュレーション処理と、各仮想電路に設定された仮想電気抵抗の可変とが所定の収束条件を満たすまで繰り返し行われ、収束条件を満たした際の各仮想電路に流れる電流をもとに出現駅から目的駅に至る旅客の乗車経路が決定される。
仮想電気回路に供給された仮想電流は、出現駅から目的駅に至るそれぞれの仮想電路(断片スジ)に流れるため、各断片スジに対する旅客の乗車確率とみなすことができる。また、電気回路において、電流は抵抗が小さい経路を流れる性質がある。このため、仮想電路に流れる電流の相対的な大きさに応じた当該仮想電路に設定された仮想電気抵抗の可変として、例えば、流れる電流が相対的に大きい仮想電路の仮想電気抵抗を小さくすることで、当該仮想電路に流れる電流を更に増加させ、最終的に流れる電流が相対的に最も大きい経路を、旅客の乗車経路として決定することができる。従って、従来とは異なる全く新しい旅客の乗車経路推定方法を実現することができる。
第2の形態として、第1の形態の旅客乗車経路推定方法であって、
前記抵抗設定ステップは、前記駅間断片スジに対応する仮想電路には、少なくとも当該駅間断片スジに係る乗車時間及び混雑度に基づき定められた不効用値に応じた仮想電気抵抗を設定し、前記着発間断片スジに対応する仮想電路には、少なくとも当該着発間断片スジに係る乗換時間に基づき定められた不効用値に応じた仮想電気抵抗を設定するステップである、
旅客乗車経路推定方法を構成しても良い。
この第2の形態によれば、駅間断片スジに対応する仮想電路には、当該駅間断片スジに係る乗車時間及び混雑度に基づく不効用値に応じた仮想電気抵抗が設定され、着発間断片スジに対応する仮想電路には、当該着発間断片スジに係る乗換時間に基づく不効用値に応じた仮想電気抵抗が設定される。つまり、各断片スジには、旅客の不効用値に応じた仮想電気抵抗が設定される。これにより、対応する断片スジの不効用値がより大きい仮想電路にはより大きな仮想電気抵抗を設定でき、より旅客の要望を反映した乗車経路の推定が実現される。
第3の形態として、第1又は第2の形態の旅客乗車経路推定方法であって、
前記抵抗可変ステップは、同一駅の着発間断片スジそれぞれに対応する仮想電路に流れる電流の大きさが相対的に小さい仮想電路の仮想電気抵抗を大きくするように変化させる着発間断片スジ抵抗可変ステップを有する、
旅客乗車経路推定方法を構成しても良い。
この第3の形態によれば、各仮想電路の仮想電気抵抗の可変によって、流れる電流が相対的に小さい仮想電路に流れる電流が更に小さくなる(減少する)。これにより、仮想電気回路全体を流れる電流が、1本の電流経路に収束し得る。
第4の形態として、第3の形態の旅客乗車経路推定方法であって、
前記着発間断片スジ抵抗可変ステップは、当該駅を着駅とする同一の駅間断片スジから、当該駅を発駅とする異なる駅間断片スジへのつなぎを示す着発駅間断片スジそれぞれに対応する仮想電路に流れる電流の相対的な大きさに基づいて、当該仮想電路の仮想電気抵抗を変化させるステップである、
旅客乗車経路推定方法を構成しても良い。
この第4の形態によれば、着発間断片スジの仮想電気抵抗の可変は、当該駅を着駅とする同一の駅間断片スジから、当該駅を発駅とする異なる駅間断片スジへのつなぎを示す着発間断片スジそれぞれに対応する仮想電路に流れる電流の相対的な大きさに基づいてなされる。駅間断片スジは、駅への到着と当該駅からの発車との間をつなぐもの、すなわち駅での列車の乗り換えを表すものである。また、着発間断片スジに対応する仮想電路に流れる仮想電流の相対的な大きさは、駅に到着した旅客が当該駅から発車する列車として何れを選択するかの確率に相当する。このため、例えば、流れる電流が相対的に小さい仮想電路の仮想電気抵抗を増加させるように可変することで、当該仮想電路に流れる電流を更に減少させ、当該着発間断片スジを旅客の乗車経路として選択する確率を減少させることができる。
第5の形態として、第1〜第4の何れかの形態の旅客乗車経路推定方法であって、
前記繰り返し制御ステップは、前記仮想電気回路における電流経路が、前記出現駅から前記目的駅に至る1本の経路に収束したことを前記収束条件として前記繰り返し制御を行うステップである、
旅客乗車経路推定方法を構成しても良い。
この第5の形態によれば、各仮想電路に流れる電流を算出する電気回路シミュレーション処理、及び、仮想電気抵抗の可変の繰り返し制御は、仮想電気回路における電流経路が出現駅から目的駅に至る1本の経路に収束したことを収束条件として行われる。従って、出現駅から目的駅に至る収束した1本の電流経路が、最終的に旅客の乗車経路として決定される。
第6の形態として、第1〜第5の何れかの形態の旅客乗車経路推定方法であって、
前記抵抗可変ステップは、前記着発間断片スジの仮想電気抵抗について、当該着発間断片スジ以降の断片スジに流れる電流が大きくなるに従って、少なくとも当該着発間断片スジに係る乗換時間に基づき定められた不効用値に応じた仮想電気抵抗に近づける電流変動時抵抗可変ステップを有する、
旅客乗車経路推定方法を構成しても良い。
この第6の形態によれば、着発間断片スジの仮想電気抵抗は、当該断片スジ以降の断片スジに流れる電流が大きくなるに従って、当該着発間断片スジの不効用値に応じた仮想電気抵抗に近づけるようになされる。
以上、第1〜第6の形態を説明したが、これらの形態の旅客乗車経路推定方法を組み込んだ列車ダイヤ作成方法を構成することとしても良いのは勿論である。
例えば、第7の形態として、
暫定列車ダイヤのデータである暫定列車ダイヤデータと、各旅客の出現駅、目的駅及び出現時刻が定められた旅客データとを用いて、コンピュータシステムが列車ダイヤを作成するための列車ダイヤ作成方法であって、
前記暫定列車ダイヤに対する前記各旅客それぞれについて、第1〜第6の何れかの形態の旅客乗車経路推定方法を行うことで、前記暫定列車ダイヤに対する各旅客の乗車経路を算出する旅客乗車経路算出ステップと、
前記暫定列車ダイヤを修正するダイヤ修正ステップと、
前記旅客乗車経路算出ステップ及び前記ダイヤ修正ステップを、前記暫定列車ダイヤが所定の評価条件を満たすまで繰り返し行うように制御し、当該評価条件を満たした暫定列車ダイヤを前記列車ダイヤとして決定するダイヤ繰り返し演算ステップと、
を含む列車ダイヤ作成方法を構成しても良い。
また、第8の形態として、第7の形態の列車ダイヤ作成方法であって、
前記暫定列車ダイヤを構成する着発駅間の各列車スジに対する不効用値と、各駅における列車スジ間の乗換に係る不効用値を算出する不効用値算出ステップを更に含み、
前記ダイヤ繰り返し演算ステップは、前記旅客乗車経路算出ステップ及び前記ダイヤ修正ステップに加えて、前記不効用値算出ステップを繰り返し行うように制御するステップであり、
前記旅客乗車経路算出ステップにおいて実行される前記旅客乗車経路推定方法において、前記抵抗設定ステップは、当該実行時点において前記不効用値算出ステップで算出された不効用値を用いて、前記各仮想電路それぞれの仮想電気抵抗を設定するステップである、
列車ダイヤ作成方法を構成しても良い。
また、第9の形態として、第7の形態の列車ダイヤ作成方法であって、
前記旅客乗車経路算出ステップにおいて算出された各旅客の乗車経路を用いて、前記暫定列車ダイヤに対する評価値を算出する評価値算出ステップを更に含み、
前記ダイヤ修正ステップは、前記算出された評価値に基づいて、前記暫定列車ダイヤを修正するステップである、
列車ダイヤ作成方法を構成しても良い。
更に、第10の形態として、第1〜第5の何れかの形態の旅客乗車経路推定方法をコンピュータシステムが実行するためのプログラムを構成しても良い。
列車ダイヤ作成の概要図。 列車ダイヤの一例。 断片スジの生成の説明図。 仮想電気回路の構成例。 駅間断片スジの不効用値の説明図。 着発間断片スジの不効用値の説明図。 列車ダイヤ作成装置の構成図。 旅客出現確率テーブルのデータ構成例。 旅客データのデータ構成例。 駅間断片スジデータのデータ構成例。 着発間断片スジのデータ構成例。 仮想電気回路データのデータ構成例。 列車ダイヤ作成処理のフローチャート。 乗車経路推定処理のフローチャート。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では、本発明を、列車ダイヤ作成装置に適用した場合を説明するが、本発明が適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
[概要]
先ず、本実施形態における列車ダイヤ作成の概要を説明する。図1は、列車ダイヤ作成の概要図である。図1に示すように、本実施形態における列車ダイヤ作成では、先ず、暫定解となる暫定列車ダイヤが生成される。この暫定列車ダイヤは、例えば、既存の列車ダイヤとしても良いし、或いは、既存のODデータ等や所定の出現確率関数等を用いて、各駅における旅客の出現時刻屋出現人数を決定し、旅客人数が一定人数に達する毎に順次列車を発車させるようにして新規に生成することにしても良い。
次いで、暫定列車ダイヤに対する各旅客の乗車経路の推定が行われる。具体的には、旅客に定められた出現駅から目的駅に至る経路のうち、例えば不効用値Uが最も小さい経路が、当該旅客の乗車経路として決定される。続いて、推定した各旅客の乗車経路をもとに、暫定列車ダイヤが評価される。この暫定列車ダイヤの評価は、例えば、全ての旅客の不効用値の総和を評価値とし、この評価値が所定値以下であることを評価条件として実行される。評価結果が所定の評価条件を満たさないならば、評価結果が所定の評価条件を満たすまで、各旅客の乗車経路の推定及び暫定列車ダイヤの修正を繰り返す。そして、暫定列車ダイヤの評価結果が所定の評価条件を満たしたならば、その時点での暫定列車ダイヤを、最終的な列車ダイヤとして決定する。
続いて、本実施形態の特徴の1つである旅客の乗車経路の推定について説明する。本実施形態では、列車ダイヤを仮想的な電気回路に見立て、この仮想電気回路に流れる電流を各列車に対する旅客の選択確率とすることで、回路に流れる電流を求める電気回路問題としてモデル化し、列車ダイヤに対する旅客の乗車経路の推定を行う。
図2は、列車ダイヤの一例である。列車ダイヤは、横軸を時刻t、縦軸を駅として、A駅〜C駅間を走行する列車を列車スジで表している。図2では、出現駅がA駅、目的駅がC駅である旅客を対象とし、列車ダイヤでは、当該旅客の出現時刻t以降にA駅からC駅に向かう列車として、2本の列車(1,2列車)が存在する。
この列車ダイヤにおいて、図3上側に示すように、列車ダイヤを構成する各列車スジを、駅間を単位とする駅間断片スジ10に分割する。この駅間断片スジ10は、駅間の列車の乗車を表すものである。図3では、列車1の列車スジは、A〜B駅間の駅間断片スジ10−1と、B駅〜C駅間の駅間断片スジ10−3とに分割され、列車2の断片スジは、A〜B駅間の駅間断片スジ10−2と、B〜C駅間の駅間断片スジ10−4とに分割され、合計4本の駅間断片スジ10−1〜10〜4が生成される。
次いで、図3下側に示すように、各途中駅(乗換駅)を着事象と発事象とに分離し、当該途中駅における着事象と発事象との間を、全ての組合せについて着発間断片スジ20によってつなぐ。この着発間断片スジ20は、ある駅における列車の乗り換え或いは停車を表すものである。図3では、B駅において駅間断片スジ10−1,10−3の間をつなぐ着発間断片スジ20−1と、駅間断片スジ10−1,10−4の間をつなぐ着発間断片スジ20−2と、駅間断片スジ10−2,10−3の間をつなぐ着発間断片スジ20−3と、駅間断片スジ10−2,10−4の間をつなぐ着発間断片スジ20−4との合計4本の着発間断片スジ20−1〜20−4が生成される。
なお、以下では、駅間断片スジ10と着発間断片スジ20とを包括して、適宜「断片スジ」という。このように、列車ダイヤから断片スジの集合(断片スジ群)を生成する。
続いて、図4に示すように、この断片スジ群を構成する各断片スジを仮想電路とし、各仮想電路に対応する断片スジの不効用値Uに応じた仮想抵抗を設定した仮想電気回路を生成する。図4は、図3の断片スジ群に基づく仮想電気回路を示す図である。図4に示す仮想電気回路は、A駅(出現駅)〜B駅間の駅間断片スジ10−1,10−2それぞれに相当する並列接続された仮想抵抗r,rと、B駅〜C駅(目的駅)間の駅間断片スジ10−3,10−4それぞれに相当する並列接続された仮想抵抗r,rと、仮想抵抗r,rそれぞれと仮想抵抗r,rそれぞれとの間をつなぐ、着発間断片スジ20−1〜20−4それぞれに対応する仮想抵抗r1,3、r1,4、r2,3、r2,4とから構成される。
そして、この仮想電気回路において、出発駅(A駅)側から目的駅(C駅)側に向けて電流Iを供給したとき、この電気回路の各仮想抵抗r(各断片スジに相当する仮想電路)に流れる電流iが、対応する断片スジを旅客が乗車する確率(乗車確率)pとなる。この乗車確率pは「0≦p≦1」である。すなわち、「1[A]」の電流Iを供給したとき、各仮想抵抗に流れる電流i[A]が、対応する断片スジの乗車確率pとなる。
ところで、この状態での仮想電気回路における電流分布は、出発駅から目的駅に至る複数の経路それぞれの部分的な乗車確率を表現しているに過ぎない。そこで、電気回路に流れる電流iの流れを出発駅から目的駅に至る1本の経路に収束させるため、各仮想抵抗rを電流iの大きさなどに応じて可変する。具体的には、各仮想抵抗rについて、当該仮想抵抗rを流れる電流iが相対的に大きいほどその抵抗値rを小さくさせるとともに、電流iが相対的に小さいほどその抵抗値rを大きくさせる。これにより、最終的に電流iの流れる経路が1本に収束されたとき、その収束した経路が、求める旅客の乗車経路となる。
各断片スジに設定する仮想抵抗rは、次のように与えられる。先ず、駅間断片スジ10−xに対応する仮想抵抗rは、次式(1)で与えられる。
Figure 2011157056
上式(1)において、「R」は駅間断片スジ10−xの不効用値Uによって決まる基本抵抗値である。この基本抵抗値Rは、不効用値Uが大きいほど大きくなるように定められ、例えば、不効用値Uに比例する値として決定される。
図5は、駅間断片スジ10の不効用値Uを説明する図である。駅間断片スジ10の不効用値Uは、例えば、次式(2)で与えられる。
U=Ur+Uw ・・(2)
上式(2)において、「Ur」は乗車不効用値であり、「Uw」は待ち不効用値である。
乗車不効用値Urは、列車の乗車に関する不効用であり、具体的には、当該駅間断片スジ10の走行時間(乗車時間)tや混雑度(乗車率)cなどによって決まる。待ち不効用値Uwは、列車の乗車待ちに関する不効用であり、具体的には、出現駅に出現した旅客が最初の列車に乗車するまでの待ち時間(すなわち、旅客の出現時刻tから当該駅間断片スジ10の発時刻までの時間)tによって決まる。この待ち不効用値Uwは、旅客の出現駅を発車する駅間断片スジ10(図5では、駅間断片スジ10−1,10−2)についてのみ定められる。
また、着発間断片スジ20−x,yに設定する仮想抵抗rx,yは、次式(3)で与えられる。なお、着発間断片スジ20−x,yは、駅間断片スジ10−x,10−yをつなぐ断片スジである。
Figure 2011157056
上式(3)において、「σ(x)」は変数xの関数であり、例えば、次式(4)で定義される。
Figure 2011157056
上式(4)において、「m」は定数であり、具体的には、100〜1000程度の充分大きな数値である。つまり、x≒0、ならば、σ(x)≒0、となり、x>>0、ならば、σ(x)=1、となる。但し、x>0、である。
また、式(3)において、「Rx,y」は着発間断片スジ20−x,yの基本抵抗値であり、「δx,y」は抵抗rx,yの増幅係数であり、「k1,k2,k3」は何れも正値の係数である。
基本抵抗値Rx,yは、当該着発間断片スジ20−x,yの不効用値Uによって決まる。図6は、着発間断片スジの不効用値Uを説明する図である。着発間断片スジの不効用値Uは、次式(5)で与えられる。
U=Ut+Uc ・・(5)
上式(5)において、「Ut」は乗換不効用値であり、「Uc」は制約不効用値である。
乗換不効用値Utは、駅における列車乗り換えに関する不効用であり、具体的には、駅での乗換時間(着時刻から発時刻までの時間)tや、駅での乗り換えに要する標準歩数などに応じて決まる。制約不効用値Ucは、列車ダイヤの作成上の制約に関する不効用である。制約としては、例えば、着発時刻の時間関係(当該着発間断片スジの終点となる発時刻が始点となる着時刻より所定時間以上遅い時刻であること)などがある。この制約不効用値Ucは、制約条件を満たすならば、Uc≒0、となり、制約条件を満たさないならば、Uc→∞、となる。
抵抗の増幅係数δx,yは、仮想抵抗rx,yを変化させるための係数であり、「0≦δx,y≦1」の値を取る。この増幅係数δx,yは、例えば、次式(6)で与えられる。
Figure 2011157056
上式(6)において、「k」は定数であり、k>0、の値を取る。また、微小時間Δtの具体的は値は、求められる計算の精度等により決定される。
すなわち、着発間断片スジ20−x,yに対応する仮想抵抗rx,yの増幅係数δx,yは、当該着発間断片スジ20−x,yと同じ駅の着発間断片スジ20であって、当該着発間断片スジ20−x,yがつなぐ発側の駅間断片スジ10−xが同じである全ての着発間断片スジ20−x,z(当該着発間断片スジ20−x,yを含む)それぞれに流れる電流ix,zの総和に対する、当該着発間断片スジ20−x,yの電流ix,yの比率に応じて決まり、この比率が高いほど、増幅係数δx,yの単位時間当たりの変化量Δδ/Δtが増加する。
つまり、ある駅間断片スジ10−xに流れる電流iは、当該駅間断片スジ10−xにつながる複数の着発間断片スジ20−x,yに分流するが、これらの複数の着発間断片スジ20−x,yのうち、流れる電流ix,yが相対的に大きい着発間断片スジ20−x,yについては、その増幅係数δx,yが増加して「1」に近づく(δx,y→1)。その結果、式(3)における関数σ(x)が増加して「1」に近づき(σ(x)→1)、仮想抵抗rx,yは基本抵抗値Rx,yに近づく(rx,y→Rx,y)。逆に、流れる電流ix,yが相対的に少ない着発間断片スジ20−x,yについては、その増幅係数δx,yが減少して「0」に近づき(δx,y→0)、その結果、式(3)における関数σ(x)が減少して「0」に近づき(σ(x)→0)、仮想抵抗rx,yが増加する(rx,y→∞)。
着発間断片スジ20−x,yに対応する仮想抵抗rx,yの定義式(3)において、関数σ(x)の変数xに相当する式の第2項は、基本抵抗値Rの変動を表す。つまり、着発間断片スジ20−x,yがつなぐ着側の駅間断片スジ10−xが同じである全ての着発間断片スジ20−x,zそれぞれの基本抵抗値Rx,zの変動の自乗和である。この値は、何れの基本抵抗値Rx,zも変動が無い場合に「0」となり、この場合、仮想抵抗rx,yは増幅係数δx,yに応じて可変される。逆に、基本抵抗値Rの変動がある場合には、関数σ(x)が増加して「1」に近づき(σ(x)→1)、仮想抵抗rx,yは基本抵抗値Rx,yに近づく(rx,y→Rx,y)。
また、着発間断片スジ20−x,yの仮想抵抗rx,yの定義式(3)において、関数σ(x)に相当する式の第3項は、当該着発間断片スジ20−x,y以降の断片スジに流れる電流iの変動を表す。つまり、着発間断片スジ20−x,yがつなぐ発側の駅間断片スジ10−yから流れる電流iは、その下流の着発間断片スジ20−y,zそれぞれに分流するが、この着発間断片スジ20−y,zそれぞれに流れる電流iy,zの総和に対する、着発間断片スジ20−y,zそれぞれに流れる電流iy,zの比率の変動の自乗和である。この値は、この電流比率に変動が無い場合に「0」となり、この場合、仮想抵抗rx,yは増幅係数δx,yに応じて可変される。逆に、電流比率の変動が有る場合には、関数σ(x)が増加して「1」に近づき(σ(x)→1)、仮想抵抗rx,yは基本抵抗値Rx,yに近づく(rx,y→Rx,y)。
このように、着発間断片スジ20−x,yに対応する仮想抵抗rx,yは、増幅係数δx,yによって可変(増加或いは減少)されるが、その時の可変の程度は、当該仮想抵抗rx,yに流れる電流ix,yの相対的な大きさによって決まる。また、この増幅係数δx,yによる仮想抵抗rx,yの可変は、基本抵抗値Rが変動した場合や当該仮想抵抗rx,yの下流の電流が変動した場合にはキャンセルされ、これらの変動が収束した後、改めて増幅係数δx,yによる仮想抵抗x,yの可変がなされることになる。
なお、本実施形態では、差分法に基づく近似的な計算方法を採用しており、そのため、式(3),(6)を差分方程式として表現している。より厳密な解を求めるには、式(3),(6)を微分方程式として表す必要があり、その上で、例えばニュートン法といった他の方法を採用することで、より厳密な解を得ることができる。
[構成]
図7は、列車ダイヤ作成装置1の構成図である、図7に示すように、列車ダイヤ作成装置1は、コンピュータシステムとして実現され、機能的には、処理部100と、入力部200と、表示部300と、通信部400と、記憶部500とを有して構成される。また、この列車ダイヤ作成装置1は、旅客乗車経路推定装置としての機能を有する。
処理部100は、記憶部500に記憶されたプログラムやデータ、入力部200から入力されたデータ等に基づいて、列車ダイヤ作成装置1を構成する各部への指示やデータ転送等を行い、列車ダイヤ作成装置1の全体制御を行う。
また、処理部100は、列車ダイヤ作成プログラム510に従った列車ダイヤ作成処理を行う。具体的には、先ず、暫定列車ダイヤを生成する。暫定列車ダイヤの生成方法としては、例えば、既存の列車ダイヤとしても良いし、或いは、既存のODデータ等や所定の出現確率関数等を用いて、各駅における旅客の出現時刻屋出現人数を決定し、旅客人数が一定人数に達する毎に順次列車を発車させるようにして新規に生成することにしても良い。生成した暫定列車ダイヤについてのデータは、暫定列車ダイヤデータ520として記憶される。
次いで、処理部100は、旅客出現確率テーブル530に従って、各駅に出現させる旅客を決定する。このとき、各旅客について、出現駅や出現時刻、目的駅を決定する。出現させるとして決定された旅客についてのデータは、旅客データ570として記憶される。
図8は、旅客出現確率テーブル530のデータ構成の一例を示す図である。図8によれば、旅客出現確率テーブル530は、出現駅と目的駅との組合せ毎に生成され、該当する出現駅531及び目的駅532の組合せとともに、単位時間当たりの旅客出現確率533が格納されている。なお、図8では、時刻tに対する旅客出現確率ρ(t)のグラフが示されているが、例えば時間帯毎に旅客出現確率ρを対応付けたデータテーブルとして格納されていても良い。
また、この旅客出現確率テーブル530は、より精確な旅客行動の再現のため、より詳細に分類した構成としても良い。例えば、出現駅と目的駅との組合せそれぞれについて、年齢や性別等の属性毎に設定することにしても良い。或いは、旅客出現確率テーブル530を旅客一人一人に設定することにし、各旅客の旅客データ570(図9参照)に含めることにしても良い。
図9は、旅客データ570のデータ構成の一例を示す図である。図9によれば、旅客データ570は、出現させる旅客それぞれについて生成され、該当する旅客を識別する旅客ID571と、出現駅572と、目的駅573と、出現駅における出現時刻574と、暫定列車ダイヤに対する乗車経路575とを格納している。
続いて、処理部100は、出現させた各旅客について、出現駅から目的駅に至る乗車経路を推定する乗車経路推定処理を行う。この乗車経路推定処理では、先ず、暫定列車ダイヤから断片スジ群を生成する。すなわち、暫定列車ダイヤを構成する各列車スジを、駅間を単位として分割し、駅間断片スジ10を生成する。続いて、各駅において着事象と発事象とを分離し、駅間断片スジ10の着事象と発事象とをつなぐ全ての組み合わせについて、着発間断片スジ20を生成する。
生成した断片スジ群についてのデータは、断片スジ群データ540として記憶される。断片スジ群データ540は、駅間断片スジについての駅間断片スジデータ550と、着発間断片スジ20についての着発間断片スジデータ560とを含む。
図10は、駅間断片スジデータ550のデータ構成の一例を示す図である。図10によれば、駅間断片スジデータ550は、駅間断片スジ10毎に生成され、該当する駅間断片スジ10を識別する断片スジID551と、始点となる発駅552及びその発時刻553と、終点となる着駅554及びその着時刻555と、当該駅間断片スジを乗車経路して選択した旅客のID556とを格納している。
図11は、着発間断片スジデータ560のデータ構成の一例を示す図である。図11によれば、着発間断片スジデータ560は、着発間断片スジ20毎に生成され、該当する着発間断片スジ20を識別する断片スジID561と、対応する着発駅562と、始点となる着時刻563と、終点となる発時刻564と、当該着発間断片スジを乗車経路として選択した旅客のID565とを格納している。
次いで、各旅客それぞれを対象として、暫定列車ダイヤに対する乗車経路の推定を行う。すなわち、暫定列車ダイヤから、対象旅客の出現駅から目的駅までの駅範囲であり、対象旅客の出現時刻以降の時間範囲である対象部分ダイヤを抽出する。
次いで、対象部分ダイヤに対応する仮想電気回路を構築する。すなわち、暫定列車ダイヤに対応する断片スジ群から、対象部分ダイヤに含まれる断片スジを抽出し、抽出した各断片スジを仮想電路とする仮想電気回路を生成する。そして、生成した仮想電気回路の各仮想電路に、当該仮想電路に対応する断片スジの不効用値Uに応じた仮想抵抗rを設定する。
このとき、各断片スジの不効用値Uは、駅間断片スジ10については、上述の式(2)に従って不効用値Uを算出し、着発間断片スジ20については、上述の式(5)に従って不効用値Uを算出する。次いで、各断片スジについて、算出した不効用値Uに応じた基本抵抗値Rを決定する。そして、駅間断片スジ10に対応する仮想抵抗rについては、上述の式(1)に従って算出した仮想抵抗rを設定し、着発間断片スジ20については、上述の式(3)に従って算出した仮想抵抗rを設定する。
生成された各旅客の仮想電気回路についてのデータは、仮想電気回路データ580として記憶される。図12は、仮想電気回路データ580のデータ構成の一例を示す図である。図12によれば、仮想電気回路データ580は、旅客毎に生成され、該当する旅客ID581と、当該旅客についての仮想電気回路を構成する断片スジそれぞれについて、断片スジID582と、不効用値583と、基本抵抗値584と、抵抗値585と、増幅係数586と、電流587とを対応付けて格納している。
対象旅客の仮想電気回路を生成すると、処理部100は、生成した仮想電気回路において、出現駅側から目的駅側に向けて、所定電流I(例えば、1A)を供給したときの、各仮想抵抗を流れる電流(初期電流)iを算出する。
続いて、この仮想電気回路の各仮想抵抗rを可変する。すなわち、駅間断片スジ10については、式(1)に従って、対応する各仮想抵抗rをそのままとする。一方、着発間断片スジ20については、式(6)に従って増幅係数δを変化させ、次いで、式(3)に従って仮想抵抗rを可変させる。このように、仮想電気回路の各仮想抵抗rを変化させると、仮想電気回路における各仮想抵抗rに流れる電流iを再算出する。
そして、算出した電流iが所定の収束条件を満たすかを判断し、収束条件を満たさないならば、収束条件を満たすまで、各断片スジの可変抵抗rの可変、及び、電流iの再算出を繰り返す。ここで、「収束条件」は、電流iが1本の電流経路に収束したことである。
そして、収束条件を満たすと、1本に収束した電流経路を対象旅客の乗車経路として決定する。
このように、暫定列車ダイヤに対する各旅客の乗車経路の推定を行うと、処理部100は、続いて、暫定列車ダイヤの修正を行う。暫定列車ダイヤの修正方法としては、例えば、各旅客の不効用値の総和が小さくなるような修正がある。そして、修正後の暫定列車ダイヤが所定の評価条件を満たすかを判断し、評価条件を満たさないならば、評価条件を満たすまで、暫定列車ダイヤに対する各旅客の乗車経路の推定、及び、暫定列車ダイヤの修正を繰り返す。ここで、終了条件としては、例えば、暫定列車ダイヤに対する全ての旅客の不効用値の総和を評価値とし、この評価値が所定値以下であることである。そして、評価条件を満たすと、その時点での暫定列車ダイヤを、最終的な列車ダイヤとして決定する。
図7に戻り、入力部200は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等で実現される入力装置であり、操作入力に応じた入力信号を処理部100に出力する。
表示部300は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等で実現される表示装置であり、処理部100から入力される表示信号に基づく各種画面を表示する。
通信部400は、例えば無線通信モジュールやルータ、モデム、TA、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等で実現される通信装置であり、外部装置との間でデータ通信を行う。
記憶部500は、処理部100が列車ダイヤ作成装置1を統合的に制御するための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、本実施形態を実現するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部100の作業領域として用いられ、処理部100が各種プログラムに従って実行した演算結果や、入力部200からの入力信号が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部500には、プログラムとして、列車ダイヤ作成プログラム510が記憶されるとともに、データとして、暫定列車ダイヤデータ520と、旅客出現確率テーブル530と、断片スジ群データ540と、旅客データ570と、仮想電気回路データ580とが記憶される。
[処理の流れ]
図13は、列車ダイヤ作成処理を説明するフローチャートである。図13によれば、処理部100は、先ず、暫定列車ダイヤを生成する(ステップA1)。次いで、旅客出現確率テーブル530を参照して、各駅に出現させる旅客を決定する(ステップA3)。続いて、乗車経路推定処理を実行して、暫定列車ダイヤに対する各旅客の乗車経路を決定する(ステップA5)。
図14は、乗車経路選推定処理を説明するフローチャートである。図14によれば、処理部100は、先ず、暫定列車ダイヤから断片スジ群を生成する。すなわち、暫定列車ダイヤを駅間で分割して、駅間断片スジ10を生成する(ステップB1)。次いで、各駅において着事象と発事象とを分離し、駅間断片スジ10の着事象と発事象とをつなぐ全ての組合せについて、着発間断片スジ20を生成する(ステップB3)。
その後、出現させた全ての旅客それぞれを対象としたループAの処理を行う。ループAでは、先ず、暫定列車ダイヤに対応する断片スジ群のうちから、対象旅客の出現駅から目的駅までの駅範囲であって、出現時刻以降の時間範囲における断片スジを抽出する(ステップB5)。続いて、抽出した各断片スジを仮想電路とする仮想電気回路を生成する(ステップB7)。また、抽出した各断片スジについて、不効用値Uを算出し、基本抵抗値Rを決定する(ステップB9)。そして、各断片スジについて、対応する仮想電路に、当該断片スジの基本抵抗値Rに応じた仮想抵抗rを設定する(ステップB11)。続いて、このように生成した仮想電気回路において、対象旅客の出現駅側から目的駅側に向けて、所定電流Iを供給したときの、各仮想抵抗rに流れる電流(初期電流)iを算出する(ステップB13)。
その後、仮想電気回路の各仮想抵抗rを変更する。すなわち、着発間断片スジ20について、対応する仮想抵抗rの増幅係数δを変更し(ステップB15)、この増幅係数δの変更に応じて、当該仮想抵抗rを変更する(ステップB17)。そして、各仮想抵抗rに流れる電流iを再算出する(ステップB19)。その後、再算出した仮想電気回路を流れる電流iが収束条件を満たすかを判断し、満たさないならば(ステップB21:NO)、ステップB15に戻る。一方、収束条件を満たすならば(ステップB21:YES)、1本に収束した電流経路を、対象旅客の乗車経路として決定する(ステップB23)。ループAの処理はこのように行われる。全ての旅客についてループAの処理を行うと、処理部100は、乗車経路推定処理を終了する。
乗車経路推定処理を終了すると、処理部100は、暫定列車ダイヤを修正し(ステップA7)、修正した暫定列車ダイヤの評価を行う(ステップA9)。その結果、修正後の暫定列車ダイヤが所定の評価条件を満たすかを判断し、満たさないならば(ステップA11:NO)、ステップA5に戻る。一方、評価条件を満たすならば(ステップA11:YES)、現時点での暫定列車ダイヤを、求める最終的な列車ダイヤとして決定する(ステップA13)。以上の処理を行うと、処理部100は、列車ダイヤ作成処理を終了する。
[作用・効果]
本実施形態によれば、列車ダイヤを構成する各列車スジを駅間で分割した駅間断片スジ10と、各駅において駅間断片スジ同士の着事象と発事象とをつなぐ着発間断片スジ20とを仮想電路と見立てた仮想電気回路が生成され、各仮想電路には対応する断片スジの不効用値Uに応じた可変抵抗rが設定される。そして、この仮想電気回路において、旅客の出現駅から目的駅に向けて旅客の乗車確率pと見立てた仮想電流Iが供給されるとともに、各仮想抵抗rに流れる電流iの相対的な大きさに応じて当該仮想抵抗rが可変される。最終的に、仮想電気回路を流れる電流経路が出現駅から目的駅に至る1本の電流経路に収束すると、この収束した1本の電経路が旅客の乗車経路として決定される。このように、列車ダイヤを仮想電気回路と見立て、流れる電流iを旅客の乗車確率pとして乗車経路を求めるといった、旅客の乗車確率pを「1(選択する)」又は「0(選択しない)」の離散変数ではなく「0〜1」の連続変数として扱うことが可能な従来とは全く異なる新しい旅客の乗車経路推定方法が実現される。
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
1 列車ダイヤ作成装置
100 処理部、200 入力部、300 表示部、400 通信部
500 記憶部
510 列車ダイヤ作成プログラム、520 暫定列車ダイヤデータ
530 旅客出現確率テーブル、540 断片スジ群データ
550 駅間断片スジデータ、560 着発間断片スジデータ
570 旅客データ、580 仮想電気回路データ
10 駅間断片スジ、20 着発間断片スジ

Claims (11)

  1. コンピュータシステムが、出現駅、目的駅及び出現時刻が定められた旅客の列車ダイヤに対する乗車経路を推定するための旅客乗車経路推定方法であって、
    前記列車ダイヤを構成する列車スジを着発駅で分割した駅間断片スジと、各駅において駅間断片スジ同士の着発つなぎを示す着発間断片スジとを算出する断片スジ算出ステップと、
    前記算出された各断片スジ(駅間断片スジ及び着発間断片スジを包括して「断片スジ」という。)を仮想電路と見立てた仮想電気回路を構成する仮想電気回路構成ステップと、
    前記各仮想電路それぞれに仮想電気抵抗を設定する抵抗設定ステップと、
    前記仮想電気回路において前記出現駅から前記目的駅に向けて仮想電流を供給し、前記各仮想電路に流れる電流を算出する電気回路シミュレーション処理を実行するシミュレーションステップと、
    前記電気回路シミュレーション処理において算出された各仮想電路に流れる電流の相対的な大きさに応じて、各仮想電路の仮想電気抵抗を変化させる抵抗可変ステップと、
    前記シミュレーションステップ及び前記抵抗可変ステップを、所定の収束条件を満たすまで繰り返し行うように制御する繰り返し制御ステップと、
    前記収束条件を満たした際の前記各仮想電路に流れる電流をもとに、前記出現駅から前記目的駅に至る前記旅客の乗車経路を決定する乗車経路決定ステップと、
    を含む旅客乗車経路推定方法。
  2. 前記抵抗設定ステップは、前記駅間断片スジに対応する仮想電路には、少なくとも当該駅間断片スジに係る乗車時間及び混雑度に基づき定められた不効用値に応じた仮想電気抵抗を設定し、前記着発間断片スジに対応する仮想電路には、少なくとも当該着発間断片スジに係る乗換時間に基づき定められた不効用値に応じた仮想電気抵抗を設定するステップである、
    請求項1に記載の旅客乗車経路推定方法。
  3. 前記抵抗可変ステップは、同一駅の着発間断片スジそれぞれに対応する仮想電路に流れる電流の大きさが相対的に小さい仮想電路の仮想電気抵抗を大きくするように変化させる着発間断片スジ抵抗可変ステップを有する、
    請求項1又は2に記載の旅客乗車経路推定方法。
  4. 前記着発間断片スジ抵抗可変ステップは、当該駅を着駅とする同一の駅間断片スジから、当該駅を発駅とする異なる駅間断片スジへのつなぎを示す着発駅間断片スジそれぞれに対応する仮想電路に流れる電流の相対的な大きさに基づいて、当該仮想電路の仮想電気抵抗を変化させるステップである、
    請求項3に記載の旅客乗車経路推定方法。
  5. 前記繰り返し制御ステップは、前記仮想電気回路における電流経路が、前記出現駅から前記目的駅に至る1本の経路に収束したことを前記収束条件として前記繰り返し制御を行うステップである、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の旅客乗車経路推定方法。
  6. 前記抵抗可変ステップは、前記着発間断片スジの仮想電気抵抗について、当該着発間断片スジ以降の断片スジに流れる電流が大きくなるに従って、少なくとも当該着発間断片スジに係る乗換時間に基づき定められた不効用値に応じた仮想電気抵抗に近づける電流変動時抵抗可変ステップを有する、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の旅客乗車経路推定方法。
  7. 暫定列車ダイヤのデータである暫定列車ダイヤデータと、各旅客の出現駅、目的駅及び出現時刻が定められた旅客データとを用いて、コンピュータシステムが列車ダイヤを作成するための列車ダイヤ作成方法であって、
    前記暫定列車ダイヤに対する前記各旅客それぞれについて、請求項1〜6の何れか一項に記載の旅客乗車経路推定方法を行うことで、前記暫定列車ダイヤに対する各旅客の乗車経路を算出する旅客乗車経路算出ステップと、
    前記暫定列車ダイヤを修正するダイヤ修正ステップと、
    前記旅客乗車経路算出ステップ及び前記ダイヤ修正ステップを、前記暫定列車ダイヤが所定の評価条件を満たすまで繰り返し行うように制御し、当該評価条件を満たした暫定列車ダイヤを前記列車ダイヤとして決定するダイヤ繰り返し演算ステップと、
    を含む列車ダイヤ作成方法。
  8. 前記暫定列車ダイヤを構成する着発駅間の各列車スジに対する不効用値と、各駅における列車スジ間の乗換に係る不効用値を算出する不効用値算出ステップを更に含み、
    前記ダイヤ繰り返し演算ステップは、前記旅客乗車経路算出ステップ及び前記ダイヤ修正ステップに加えて、前記不効用値算出ステップを繰り返し行うように制御するステップであり、
    前記旅客乗車経路算出ステップにおいて実行される前記旅客乗車経路推定方法において、前記抵抗設定ステップは、当該実行時点において前記不効用値算出ステップで算出された不効用値を用いて、前記各仮想電路それぞれの仮想電気抵抗を設定するステップである、
    請求項7に記載の列車ダイヤ作成方法。
  9. 前記旅客乗車経路算出ステップにおいて算出された各旅客の乗車経路を用いて、前記暫定列車ダイヤに対する評価値を算出する評価値算出ステップを更に含み、
    前記ダイヤ修正ステップは、前記算出された評価値に基づいて、前記暫定列車ダイヤを修正するステップである、
    請求項7に記載の列車ダイヤ作成方法。
  10. 請求項1〜5の何れか一項に記載の旅客乗車経路推定方法をコンピュータシステムが実行するためのプログラム。
  11. 出現駅、目的駅及び出現時刻が定められた旅客の列車ダイヤに対する乗車経路を推定する旅客乗車経路推定装置であって、
    前記列車ダイヤを構成する列車スジを着発駅で分割した駅間断片スジと、各駅において駅間断片スジ同士の着発つなぎを示す着発間断片スジとを算出する断片スジ算出手段と、
    前記算出された各断片スジを仮想電路と見立てた仮想電気回路を構成する仮想電気回路構成手段と、
    前記各仮想電路それぞれに仮想電気抵抗を設定する抵抗設定手段と、
    前記仮想電気回路において前記出現駅から前記目的駅に向けて仮想電流を供給し、前記各仮想電路に流れる電流を算出する電気回路シミュレーション処理を実行するシミュレーション手段と、
    前記電気回路シミュレーション処理において算出された各仮想電路に流れる電流の相対的な大きさに応じて、各仮想電路の仮想電気抵抗を変化させる抵抗可変手段と、
    前記シミュレーション手段による前記電気回路シミュレーション処理及び前記抵抗可変手段による仮想電気抵抗の変更を、所定の収束条件を満たすまで繰り返し行うように制御する繰り返し制御手段と、
    前記収束条件を満たした際の前記各仮想電路に流れる電流をもとに、前記出現駅から前記目的駅に至る前記旅客の乗車経路を決定する乗車経路決定手段と、
    を備えた旅客乗車経路推定装置。
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