JP2011149618A - 熱交換器 - Google Patents

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剛爾 田端
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伊藤  博
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Abstract

【課題】熱媒体流路における圧力損失を抑えることができると共に、容量を容易に変更することのできる熱交換器を提供する。
【解決手段】実施形態に係る熱交換器1は、水素吸蔵合金25を内蔵する水素吸蔵合金筒20であって、水素吸蔵合金25を多段に仕切る仕切プレート24と、水素吸蔵合金25に吸蔵される水素及び水素吸蔵合金25から放出される水素の外部への通路である水素管22と、を有する複数の水素吸蔵合金筒20と、複数の水素吸蔵合金筒20を内蔵するシェル10であって、その内面と水素吸蔵合金筒20の外面との間に熱媒体流路を形成するシェル10と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱交換器に関し、特に、水素吸蔵合金(MH合金)の反応熱を利用した冷凍・冷蔵・冷水システムに適した熱交換器に関する。
従来から、水素吸蔵合金の反応熱を利用した冷凍システムや冷蔵システム等が提供されている。水素吸蔵合金は、加熱すると水素を放出し、冷却すると水素を吸入する性質を有している。同時に、水素を放出する時に合金自体の温度が下がり、水素を吸入する時に合金自体の温度が上がる性質を有している。したがって、この水素吸蔵合金の水素を放出するときに吸熱する性質を利用すれば、冷凍・冷蔵システムを実現することができる。
例えば、下記特許文献1に従来の水素吸蔵合金冷凍システムが開示されている。この従来の水素吸蔵合金冷凍システムは、水素平衡圧の異なる高温側の水素吸蔵合金と、低温側の水素吸蔵合金とを、一対の容器のそれぞれに格納して具備しており、以下に示すような動作を行う。
まず、ボイラーから供給される160〜180℃の蒸気にて高温側合金容器を加熱すると、高温側合金は水素を放出する。同時にクーリングタワーから供給される35℃程度の冷却水にて低温側合金容器を冷却すると、低温側合金はその水素を吸収し、水素移動が行われる。水素移動終了後、高温側合金容器に供給される熱媒をバルブの操作により蒸気からクーリングタワーで供給される冷却水に切り換え、同時に低温側合金容器に供給される熱媒も、バルブの操作により冷却水からブライン液に切り換える。
すると高温側合金は冷却により水素を吸収し、これに伴って低温側合金は水素を放出する。この水素放出により低温側合金は、合金自体の温度を下げる。これにブライン液を通すことで冷熱が取り出せ、該冷熱を冷凍庫に供給することで冷凍を行うことができる。
また、本発明者らは、下記特許文献2に示すMH合金の反応熱の利用に適した熱交換器を開示している。この熱交換器においては、水素吸蔵合金と熱媒体との間の熱伝導速度を向上させるために、シェルの内部にMH合金層と伝熱材とを交互に積層させたMH合金部を配置すると共に、内側熱媒体流路を構成するパイプがMH合金基部の内部を延在するように設置されている。
特開2003−121026号公報 特開2009−174784号公報
しかし、熱媒体流路がMH合金部の内部を延在するパイプで構成されている熱交換器では、パイプが長くなくなってしまい、圧力損失により熱媒体のスムーズな流れが阻害されてしまう場合があった。
また、従来の熱交換器は、MH合金が一箇所に充填されているだけであり、ヒートポンプに求められる性能に合わせて容量を変更したい場合であっても、容易に容量変更を行うことができなかった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、熱媒体流路における圧力損失を抑えることができると共に、容量を容易に変更することのできる熱交換器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る熱交換器は、水素吸蔵合金を内蔵する水素吸蔵合金筒であって、前記水素吸蔵合金を多段に仕切る仕切プレートと、前記水素吸蔵合金に吸蔵される水素及び前記水素吸蔵合金から放出される水素の外部への通路である水素管と、を有する複数の水素吸蔵合金筒と、複数の前記水素吸蔵合金筒を内蔵するシェルであって、その内面と前記水素吸蔵合金筒の外面との間に熱媒体流路を形成するシェルと、を備えることを特徴とする。
本発明に係る熱交換器によれば、熱媒体流路における圧力損失を抑えることができると共に、容量を容易に変更することができる。
図1は、本実施形態に係る熱交換器の上面図である。 図2は、図1のA−A線における断面図である。 図3は、本実施形態に係るMH合金筒の断面図である。 図4は、本実施形態に係る冷水システムの構成を概略的に示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る熱交換器の上面図であり、図2は、図1のA−A線による断面図である。図3は、本実施形態に係るMH合金筒の断面図である。図4は、本実施形態に係る冷水システムのシステム構成を概略的に示す模式図である。
図1及び図2に示すように熱交換器1は、外側の筐体として機能し、上端が開口している円筒形のシェル10、シェル10の上端開口を閉じるための上蓋11、熱媒体流路として機能する熱媒体入口管13及び熱媒体出口管14、熱交換器1への水素の出入口として機能する水素出入口管16、シェル内に並列に配置された複数の細長い円筒形状のMH合金筒20−1〜20−4を備えている。
シェル10はステンレス製であり、上端開口を閉じる上蓋11とは、ネジ等の固定部材18で強固に固定されている。熱媒体入口管13は、シェル10の側壁面近傍において、上端13cが上蓋11から若干飛び出すと共に、下端13dはシェル10の底面付近まで延在し、先端が内側に折れ曲がっている。また、熱媒体入口管13の途中には、垂直方向において複数箇所に小孔13aが形成されている。図2においては、熱媒体入口管13の後側の面に形成された小孔13aを示しているが、同じ高さにおいて前側の面にも小孔13aが形成されている。
したがって、熱媒体入口管13の入口である上端13cから管内に流入した熱媒体は、管内を下方に流れながら小孔13aから順次シェル10内のシェル内部空間10aに流れ込むと共に、下端13dまで到達した熱媒体は、シェル内部空間10aの底面付近において中央に向けて流れ出すことになる。
熱媒体出口管14は、熱媒体入口管13とは反対側のシェル10の側壁面近傍において、上端14cが上蓋11から若干飛び出すと共に、下端14dがシェル10内に位置するように下方に延在している。よって、熱媒体入口管13からシェル内部空間10a内へ流入した熱媒体は、下端14dから熱媒体出口管14へと流れ込み、シェル10外へと出て行く。
このように、シェル10内に流入した熱媒体は、シェル10の底面、側壁内面及び上蓋11の下面と、MH合金筒20の外面とに囲まれたシェル内部空間10aを熱媒体流路として、熱媒体入口管13から熱媒体出口管14へと流れる。このシェル内部空間10aの流路を流れる間に、熱媒体は、MH合金筒20の壁面を介して筒内のMH合金25との間で熱交換を行う。
水素出入口管16は、上蓋11の上面に設置されており、上蓋11の内部空間11aと外部とを連通している。低温側と高温側の水素出入口管16は、水素移動管によって互いに接続されており、この水素出入口管16を通って、低温側と高温側との間で水素が移動する。
図3に示すように、MH合金筒20は、細い円筒形状の筐体筒21と、筐体筒21の中心において上下に延在する水素管22と、MH合金25と、筐体筒21内において垂直方向に所定の間隔で配置されてMH合金25を仕切る仕切プレート24とを備えている。
筐体筒21はステンレス製であり、上端のみ開口している。水素管22には、MH合金25が存在する場所に対応して、所定の間隔で小孔22aが形成されており、この小孔22aを介して、水素が水素管22外へ出たり水素管22内に戻ったりする。なお、小孔22aは、所定の高さにおいて、水素管22の軸周りに複数箇所に開けられており、管内の水素がMH合金層の各段に流出したり、MH合金層の各段の水素が管内に流入したりできる。
MH合金25には、粒状の水素吸蔵合金が充填されている。MH合金25を多段に仕切る仕切プレート24は、中心に水素管22が貫通するための穴が開いた円板である。仕切プレート24の中心穴及び周縁は、水素管22及び筐体筒21に密接しており、基本的には、MH合金粒は、仕切プレート24を超えて移動することはない。また、仕切プレート24はステンレス製であり、熱伝導率が高く、MH合金25と、熱媒体流路を流れる熱媒体との間の熱交換効率の向上に寄与している。
なお、本実施形態に係るMH合金筒20においては、MH合金25の充填量を変えることで、熱交換器1の容量を変更することが可能である。上述したように、MH合金筒20内は、仕切プレート24により多段化(図3では13段)されているので、MH合金25を充填する段数を変更することで、MH合金の充填量を変更することができる。なお、MH合金を充填していない段が空洞となることを防止するために、MH合金を充填していない段には、ダミー部材を充填しておくのが望ましい。
また、開口している各水素管22の上端は、上蓋11の閉じられた内部空間11aに位置しており、この内部空間11aを介して、各水素管22と水素出入口管16との間を水素が移動する。
以上、本実施形態に係る熱交換器1の構成について説明したが、熱交換器1においては、MH合金25を内蔵するMH合金筒20を並列に複数本設置した多気筒の熱交換器1としたので、MH合金筒20の本数を変更することで、熱交換器の容量を容易に変更が可能である。例えば、MH合金筒20を二本とすれば、容量を小さくすることができ、シェル10を大きくして、MH合金筒20を六本とすれば、容量を大きくすることができる。
また、多気筒にしたことで、一つのMH合金筒20を小さく構成することができる。MH合金筒20を小さくすれば、MH合金25が充填される空間が小さくなり、MH合金25とMH合金筒20の筐体との伝熱面積が大きくなるので、伝熱効率を大きく向上させることができる。
また、多気筒にしたことで、単気筒の場合と比較して配置の自由度が大幅に向上したので、熱交換器1自体を小型化することが可能となり、冷水システム等をコンパクトに構成できる。また、熱交換器1を小型化できれば、熱交換器1を容易に断熱材で覆って断熱することができる。
また、本実施形態によれば、種々の容量の熱交換器を製造する場合や、性能の異なるMH合金を使用する場合でも、MH合金筒20の本数を調節したり、MH合金筒20へのMH合金25の充填量を変更したりすることで対応できる。よって、従来のように容量に合わせて熱交換器の全ての設計を変更する必要がなく、共通の部品を利用することができるため、製造コストも大幅に低減できる。
また、本実施形態においては、水素流路である水素管22をMH合金筒20の中心に通し、熱媒体流路をMH合金筒20の外側であるシェル内部空間10aとしたので、細長い管の中に熱媒体を通す必要がない。したがって、本実施形態によれば、液体を細長い管に通した場合に発生する圧力損失の発生を抑え、効率的な熱交換を実現できる。
また、熱交換器1を小型化することで、熱交換器1を長手方向が垂直となるように縦型で設置することが可能となる。よって、本熱交換器1を使用する冷凍・冷蔵・冷水システムにおいて、無駄な空間の無い効率的な配置を実現でき、システム自体を小型化できる。
また、一般的にMH合金は、水素の吸蔵及び放出を繰り返すと、体積が減少する。よって、従来の横置き型の熱交換器では、MH合金の体積減少により、熱媒体流路を形成するパイプとMH合金が接触できず、熱媒体とMH合金との間で熱交換がほとんど行えないといったケースが生じることもあったが、熱媒体流路がMH合金筒20の外側にある本実施形態に係る熱交換器1によれば、このような不具合の発生を防止できる。
続いて、上記熱交換器1を、水素吸蔵合金を用いた冷水システムに適用した場合について説明する。図4は、本実施形態に係る冷水システムの構成を概略的に示す模式図である。なお、本実施形態においては、高温側と低温側で同じ構成の熱交換器1を使用し、高温側に一つの熱交換器1−1、低温側に一つの熱交換器1−2を設置した、最も構成の簡単なシステムを例に挙げて説明する。
図4に示すように、冷水システム50は、高温側の熱交換器1−1、低温側の熱交換器1−2、温水装置53、冷却水タンク54、出力水タンク55、それぞれ所定の位置に設置された複数のバルブ60、圧力計61、温度計62、流量計63、ポンプ65を備えている。
冷水システム50において、高温側の熱交換器1−1には、高温側の特性に適したMH合金が内蔵され、低温側の熱交換器1−2には、低温側の特性に適したMH合金が内蔵されている。
また、熱交換器1−1,1−2は、長手方向が垂直になるように縦型で設置されている。また、冷水システム50では、温水及び冷却水として使用する水は、地下水を利用している。
高温側の熱交換器1−1の熱媒体流路には、熱媒体として、加熱用の温水装置53からの温水(95℃)と、冷却用の冷却水タンク54からの冷却水(20℃)をバルブの切替により交互に供給している。一方、低温側の熱交換器1−2には、熱媒体として、冷却用の冷却水タンク54からの冷却水と、出力水タンク55からの出力水をバルブの切替により交互に供給している。
このような構成において、まず、高温側の熱交換器1−1において、温水装置53から供給される温水をシェル内部空間10aの熱媒体流路に流し、高温側のMH合金25を加熱する。そうすると、加熱された高温側のMH合金25は、熱を吸収して水素を放出する。放出された水素は、水素管22及び水素出入口管16を通って、低温側の熱交換器1−2へと移動する。なお、図4では、熱交換器1−1と熱交換器1−2の水素出入口管16同士を連結する水素移動管を省略している。
低温側へ移動した水素は、低温側のMH合金25に吸蔵される。このとき、水素を吸蔵する低温側のMH合金25は発熱するため、低温側の熱交換器1−2の熱媒体流路に、冷却水タンク54から供給される冷却水で低温側を冷やす。
続いて、バルブ60を切り替えることで、高温側の熱交換器1−1の熱媒体流路に冷却用の冷却水を流し、高温側のMH合金25を冷却する。そうすると、冷却された高温側のMH合金25は、水素を吸入する。このため、水素移動管を通って、低温側の熱交換器1−2から高温側の熱交換器1−1へ水素が移動することとなり、低温側のMH合金は、水素を放出して自らの合金温度を低下させる。
このとき、低温側の熱交換1−2において、熱媒体流路であるシェル内部空間10aに出力水タンク55からの出力水を流せば、低温側のMH合金25の吸熱により、4〜15℃の出力冷水が得られる。
以上、本実施形態に係る熱交換器1を使用した冷水システム50について詳細に説明したが、本冷水システム50によれば、伝熱効率の良いコンパクトな熱交換器1を使用することで、伝熱効率を高めつつシステム自体もコンパクトに構成することができる。
また、本実施形態に係る熱交換器1は、MH合金筒20の本数や、MH合金筒20内に多段化されて充填されたMH合金の量を変更することで、容易にその容量を変更することができるので、冷水システム50の設置環境や環境の変化に合わせて、適宜最適な容量とすることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態に係る熱交換器の形状や材質等は適宜変更可能であり、MH合金筒の仕切プレートや筐体筒は、ステンレスや銅製に限らず、熱伝導率の高い金属等を適宜選択可能である。
また、上記実施形態に係る冷水システムでは、高温側と低温側の熱交換器の容量比が1:1であるが、一般的に高温側のほうが大きな容量が必要なので、高温側と低温側の熱交換器の容量比を、MH合金の性能に応じて自由に設定しても良い。
1 熱交換器
10 シェル
11 上蓋
13 熱媒体入口管
14 熱媒体出口管
16 水素出入口管
20 MH合金筒
21 筐体筒
22 水素管
24 仕切プレート
25 MH合金
50 冷水システム
53 温水装置
54 冷却水タンク
55 出力水タンク
60 バルブ
61 圧力計
62 温度計
63 流量計
65 ポンプ

Claims (3)

  1. 水素吸蔵合金を内蔵する水素吸蔵合金筒であって、前記水素吸蔵合金を多段に仕切る仕切プレートと、前記水素吸蔵合金に吸蔵される水素及び前記水素吸蔵合金から放出される水素の外部への通路である水素管と、を有する複数の水素吸蔵合金筒と、
    複数の前記水素吸蔵合金筒を内蔵するシェルであって、その内面と前記水素吸蔵合金筒の外面との間に熱媒体流路を形成するシェルと、
    を備えることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記水素管は前記水素吸蔵合金筒の中心を延在して配置されていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  3. 前記仕切プレートによって仕切られた所定の空間において、前記水素吸蔵合金の代わりに充填されたダミー部材をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器。
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